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特表2024-537350易壊性リンクを備えた再配置対応オーバーザスコープクリップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】易壊性リンクを備えた再配置対応オーバーザスコープクリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/10 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B17/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522239
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2023010212
(87)【国際公開番号】W WO2023172349
(87)【国際公開日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】63/268,948
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サエンス ビラロボス、ゴンサロ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ディーパック クマール
(72)【発明者】
【氏名】ジー、シャラス クマール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC07
4C160CC18
(57)【要約】
クリッピングシステムは、アダプタと、クリップと、第1の延長部材とを含む。クリップは、挿入形態と初期配備形態との間で移動可能である第1および第2の顎状部を含む。顎状部は、初期形態に向かって付勢されている。第1の部材は、クリップに解放可能に結合されるとともに、アダプタに移動可能に接続されている。第1の部材は、第1の顎状部に解放可能に結合された遠位端を含んで、アダプタに対する第1の部材の長手方向の移動によって、クリップが挿入形態、初期形態、および点検形態の間で移動するようになっている。第1の部材は、クリップがアダプタの上に後退されたときにクリップが強制的に開放されるように、クリップをアダプタの上に近位に後退させるように動作可能である。第1の解放可能なリンクは、第1の部材をクリップに接続するとともに、第1の部材が所定の閾値を超える力を受けたときに解放する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
挿入デバイスの遠位端の上に取り付けられるように構成された近位部分と、前記近位部分から遠位に延在する遠位部分とを含むアダプタと、
前記アダプタの前記遠位部分の上に取り付けられるように構成されたクリップであって、前記クリップは、互いに接続された第1および第2の顎状部を含んで、前記第1および第2の顎状部が挿入形態と初期配備形態との間で移動可能となっており、前記挿入形態では、前記第1および第2の顎状部は、前記アダプタの前記遠位部分の両側部分の周囲に延在するとともに、前記第1および第2の顎状部の間に組織を受容するために互いから離間されており、前記初期配備形態では、前記第1および第2の顎状部が相互に向かって引き寄せられて、前記第1および第2の顎状部の間に組織を把持するように前記クリップが前記アダプタから遠位に移動されており、前記第1および第2の顎状部は、前記初期配備形態に向けて付勢されている、前記クリップと、
前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続された第1の延長部材であって、前記第1の延長部材は、前記アダプタに対する前記第1の延長部材の長手方向移動により、前記挿入形態、前記初期配備形態、および点検形態の間で前記クリップを移動させるように前記第1の顎状部に解放可能に結合された遠位端と、前記点検形態では、前記クリップの視覚的観察を向上させるために、前記アダプタが前記クリップから離れて近位に引き寄せられる一方で、前記第1の延長部材が前記クリップに結合された状態に維持されており、前記第1の延長部材は、前記クリップが前記アダプタの上に後退されたときに前記クリップが強制的に開放されるように、前記クリップを前記アダプタの上に近位に引き込むように動作可能であり、前記第1の延長部材を前記クリップに接続する第1の解放可能なリンクと、を含んでおり、前記第1の解放可能なリンクは、前記第1の延長部材が所定の閾値を超える力を受けたときに解放するように構成されている、前記第1の延長部材と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1の顎状部は、操作形態において前記アダプタの方向を向いている前記クリップの第1の表面から、前記操作形態において前記アダプタから離れる方向を向く第2の表面まで貫通して延在する開口部を含んでおり、前記開口部は、前記開口部内に前記第1の延長部材の一部を受容するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の顎状部の前記開口部内に受容されたカプセルをさらに備え、前記カプセルは、前記第1の延長部材の拡張遠位端を枢動可能に受容するように大きさが決定され、形作られ、かつ構成されたソケットを含んでおり、前記第1の延長部材は、前記第1の延長部材に加えられる力が所定の閾値レベルを超えると破断するように構成されており、前記カプセルは、前記第1の延長部材が破断すると、前記拡張遠位端が前記カプセル内に残るように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記カプセルは、前記ソケットと連通して中心軸に沿って前記カプセルを貫通して延在するチャネルを含んでおり、前記カプセルの遠位開口部は、前記第1の延長部材の前記拡張遠位端の通過を許容するように大きさが決定され、かつ形作られており、前記カプセルの近位開口部は、前記第1の延長部材の前記拡張遠位端の通過を防止するように大きさが決定され、かつ形作られている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記カプセルは、前記ソケットから前記カプセルの外部まで延在するスロットを含み、前記スロットは、前記第1の延長部材の残りの長さ部分が前記クリップの前記第1の表面に沿って延在する第1の位置から、前記残りの長さ部分が前記第1の顎状部に対して横方向に延在する第2の位置に向かって枢動されるときに、前記第1の延長部材の前記残りの長さ部分の一部が前記スロットに沿って移動することを許容するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記カプセルの前記遠位開口部を覆うように構成されたキャップであって、最終的な配備中に、前記第1の延長部材の前記拡張遠位端が前記第1の延長部材の残りの長さ部分から分離されると、前記第1の延長部材の前記拡張遠位端が、前記カプセル内に捕捉された状態に維持されるようにする前記キャップをさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記カプセルの前記遠位開口部は、前記第1の延長部材の前記拡張遠位端の大きさおよび形状に合わせられている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記開口部は、前記クリップの前記第2の表面に沿って前記開口部の周囲にある皿穴を含んでおり、前記皿穴は、前記第1の延長部材の前記拡張遠位端を枢動可能に受容するように大きさが決定され、形作られ、かつ構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記クリップの最終的な配備中に、前記第1の延長部材の前記拡張遠位端が前記第1の延長部材の残りの長さ部分から分離されたときに、前記拡張遠位端が、前記クリップの前記開口部内に捕捉された状態に維持されるように、前記第2の表面に沿って前記皿穴を覆うように大きさが決定され、かつ形作られたキャップをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続された第2の延長部材であって、前記第2の延長部材は、前記アダプタに対する前記第2の延長部材の長手方向移動により、前記挿入形態、前記初期配備形態、および前記点検形態の間で前記クリップを移動させるように前記第2の顎状部に枢動可能に結合された拡張遠位端と、前記第2の延長部材の前記拡張遠位端を前記第2の延長部材の残りの長さ部分に接続する第2の解放可能なリンクと、を含んでおり、前記第2の解放可能なリンクは、前記第2の延長部材が所定の閾値を超える力を受けたときに解放するように構成されている、前記第2の延長部材をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の延長部材の上に摺動可能に延在する第1のシースであって、前記第1のシースの遠位端が前記クリップの第1の表面の近位に配置されるように構成されている、前記第1のシースをさらに備え、前記クリップは、前記クリップの最終的な配備中に、前記第1のシースの前記遠位端に対して近位に引き込まれるように構成されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延在する内視鏡と、
前記内視鏡の前記遠位端の上に取り付けられるように構成された近位部分と、前記近位部分から遠位に延在する遠位部分とを含むアダプタと、
前記アダプタの前記遠位部分の上に取り付けられるように構成されたクリップであって、前記クリップは、互いに接続された第1および第2の顎状部を含んで、前記第1および第2の顎状部が挿入形態と初期配備形態との間で移動可能となっており、前記挿入形態では、前記第1および第2の顎状部は、前記アダプタの前記遠位部分の両側部分の周囲に延在するとともに、前記第1および第2の顎状部の間に組織を受容するために互いから離間されており、前記初期配備形態では、前記第1および第2の顎状部が互いに向かって引き寄せられて、前記第1および第2の顎状部の間に組織を把持するように前記クリップが前記アダプタから遠位に移動されており、前記第1および第2の顎状部は、前記初期配備形態に向けて付勢されている、前記クリップと、
前記クリップの第1および第2の顎状部に解放可能にそれぞれ結合された第1および第2の延長部材であって、前記第1および第2の延長部材の各々は、前記アダプタに対する前記第1および第2の延長部材の長手方向移動により、前記挿入形態、前記初期配備形態、および点検形態の間で前記クリップを移動させるように前記第1および第2の顎状部のうちの対応する1つに解放可能に結合された遠位端と、前記点検形態では、前記クリップの視覚的観察を向上させるために、前記アダプタが前記クリップから離れて近位に引き寄せられることが許容される一方で、前記第1および第2の延長部材が前記クリップに結合された状態に維持されており、前記第1および第2の延長部材は、前記クリップが前記アダプタの上に後退されたときに前記クリップが強制的に開放されるように動作可能であり、前記第1および第2の延長部材を前記クリップに接続する解放可能なリンクと、を含んでおり、前記解放可能なリンクは、前記第1および第2の延長部材が所定の閾値を超える力を受けたときに解放するように構成されている、前記第1および第2の延長部材と、を備えるシステム。
【請求項13】
前記第1および第2の延長部材の上に摺動可能にそれぞれ延在する第1および第2のシースであって、前記第1および第2のシースの遠位端が前記クリップの第1の表面の近位に配置されるように構成されている前記第1および第2のシースをさらに備え、前記クリップは、前記クリップの最終的な配備中に、第1および第2のコイルの遠位端に対して近位に引き込まれるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムの使用者がアクセス可能な生体の外側に留まるように構成されたハンドルをさらに備え、前記ハンドルは、
ハンドル部材と、
前記ハンドル部材の上に摺動可能に取り付けられるとともに、前記第1および第2の延長部材の近位端に接続され、前記アダプタに対する前記第1および第2の延長部材の移動を制御するスプールと、
前記第1および第2のシースの近位端に接続されるとともに、前記スプールの一部と摩擦係合されるシースホルダと、を含んでおり、前記シースホルダが前記ハンドル部材に対してロック解除されると、前記ハンドル部材に対する前記スプールの長手方向移動により、前記第1および第2の延長部材および前記第1および第2のシースが共に移動するようになっている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ユーザインタフェースが、前記ハンドル部材の一部の上に回転可能に取り付けられ、前記シースホルダと相互作用して、前記シースホルダが前記スプールと共に移動可能であるロック解除形態と、前記シースホルダが前記ハンドル部材に対して固定されて、前記スプールの移動により前記第1および第2の延長部材が前記第1および第2のシースに対して長手方向に移動するロック形態との間で前記シースホルダを移動させる回転ノブをさらに含んでいる、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡デバイスに関し、特に、胃腸管に沿って組織を処置するための内視鏡クリッピングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、積極的な介入的および治療的内視鏡胃腸(GI)処置をより進んで実行するようになってきており、このことは、GI管の壁を穿孔するリスクを増加させ得るか、または処置の一部としてGI管壁の閉鎖を必要とし得る。そのような処置は、例えば、大きな病変の除去、粘膜の下の病変を治療するためのGI管の粘膜層の下のトンネリング、組織の全層除去、GI管の外側を通過することによる他の器官上の病変の治療、および手術後の問題(例えば、手術後漏出、手術ステープルラインの機能停止、および吻合部漏出)の内視鏡治療/修復を含み得る。現在、組織は、スルーザスコープ(through-the-scope)クリップまたはオーバーザスコープ(over-the-scope)クリップを含む内視鏡用閉鎖デバイスを介して処置され得る。オーバーザスコープクリップは、より大きな組織欠損の閉鎖を達成するために特に有用であり得る。これらの内視鏡用閉鎖デバイスは、病院の費用を節約することができ、患者に利益を提供し得る。
【0003】
しかしながら、場合によっては、現在の内視鏡用閉鎖デバイスは、使用が困難であるか、位置決めに時間がかかるか、または特定の穿孔、状態、および解剖学的形状に対して不十分である可能性がある。例えば、現在のオーバーザスコープクリップは、概して、クリップ自体が操作者に視認不可能な位置からクリップを送り出す必要がある。即ち、クリッピングに先立って、操作者は、クリッピングされる標的組織を視認し得、標的組織のこの可視化に基づいて、デバイスの遠位端およびクリップが標的組織に対して所望の位置にあることを判断し得る。次いで、標的組織の観察に基づいて、操作者は、クリップが配備されるまで、クリップ自体を確認することができない状態でクリップを配備する。そのような現行のオーバーザスコープクリップは、一旦配備されると、一般に、再配置することができない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、アダプタと、クリップと、第1の延長部材とを含む、組織を治療するためのクリッピングシステムに関する。アダプタは、挿入デバイスの遠位端の上に取り付けられるように構成された近位部分と、近位部分から遠位に延在する遠位部分とを含む。クリップは、アダプタの遠位部分の上に取り付けられるように構成され、クリップは、互いに接続された第1および第2の顎状部を含んで、第1および第2の顎状部が挿入形態と初期配備形態(initial deployed configuration)との間で移動可能となっており、挿入形態では、第1および第2の顎状部は、アダプタの遠位部分の両側部分の周囲に延在するとともに、第1および第2の顎状部の間に組織を受容するために互いから離間されており、初期配備形態では、第1および第2の顎状部が相互に向かって引き寄せられて、第1および第2の顎状部の間に組織を把持するようにクリップがアダプタから遠位に移動されており、第1および第2の顎状部は、初期配備形態に向かって付勢されている。
【0005】
第1の延長部材は、クリップに解放可能に結合されるとともに、アダプタに移動可能に接続されている。第1の延長部材は、アダプタに対する第1の延長部材の長手方向移動により、挿入形態、初期配備形態、点検形態の間でクリップを移動させるように第1の顎状部に解放可能に結合された遠位端を含んでおり、点検形態では、クリップの視覚的観察を向上させるために、アダプタがクリップから離れて近位に引き寄せられる一方で、第1の延長部材がクリップに結合された状態に維持されており、第1の延長部材は、クリップがアダプタの上に後退されたときにクリップが強制的に開放されるように、クリップをアダプタの上に近位に引き込むように動作可能である。第1の解放可能なリンクは、第1の延長部材をクリップに接続する。第1の解放可能なリンクは、第1の延長部材が所定の閾値を超える力を受けたときに解放すように構成される。
【0006】
一実施形態では、第1の顎状部は、操作形態においてアダプタの方向を向いているクリップの第1の表面から、操作形態においてアダプタから離れる方向を向く第2の表面まで貫通して延在する開口部を含んでおり、開口部は、開口部内に第1の延長部材の一部を受容するように構成されている。
【0007】
一実施形態では、システムは、第1の顎状部の開口部内に受容されたカプセルをさらに含んでおり、カプセルは、第1の延長部材の拡張遠位端を枢動可能に受容するように大きさが決定され、形作られ、かつ構成されたソケットを含んでおり、第1の延長部材は、第1の延長部材に加えられる力が所定の閾値レベルを超えると破断するように構成されており、カプセルは、第1の延長部材が破断すると、拡張遠位端がカプセル内に残るように構成されている。
【0008】
一実施形態では、カプセルは、ソケットと連通して中心軸に沿ってカプセルを貫通して延在するチャネルを含んでおり、カプセルの遠位開口部は、カプセルを通る第1の延長部材の拡張遠位端の通過を許容するように大きさが決定され、かつ形作られており、カプセルの近位開口部は、第1の延長部材の拡張遠位端の通過を防止するように大きさが決定され、かつ形作られている。
【0009】
一実施形態では、カプセルは、ソケットからカプセルの外部まで延在するスロットを含み、スロットは、第1の延長部材の残りの長さ部分がクリップの第1の表面に沿って延在する第1の位置から、残りの長さ部分が第1の顎状部に対して横方向に延在する第2の位置に向かって枢動されるときに、第1の延長部材の残りの長さ部分の一部がスロットに沿って移動することを許容にするように構成されている。
【0010】
一実施形態では、システムは、カプセルの遠位開口部を覆うように構成されたキャップであって、最終的な配備中に、第1の延長部材の拡張遠位端が第1の延長部材の残りの長さ部分から分離されると、第1の延長部材の拡張遠位端がカプセル内に捕捉された状態に維持されるようにするキャップをさらに含んでいる。
【0011】
一実施形態では、カプセルの遠位開口部は、第1の延長部材の拡張遠位端の大きさおよび形状に合わせられる。
一実施形態では、開口部は、クリップの第2の表面に沿って開口部の周囲にある皿穴を含んでおり、皿穴は、第1の延長部材の拡張遠位端を枢動可能に受容するように大きさが決定され、形作られ、かつ構成されている。
【0012】
一実施形態では、システムは、クリップの最終的な配備中に、第1の延長部材の拡張遠位端が第1の延長部材の残りの長さ部分から分離されたときに、拡張遠位端がクリップの開口部内に捕捉された状態に維持されるように、第2の表面に沿って皿穴を覆うように大きさが決定され、かつ形作られたキャップをさらに含んでいる。
【0013】
一実施形態では、本システムは、クリップに解放可能に結合されるとともに、アダプタに移動可能に接続された第2の延長部材であって、第2の延長部材は、アダプタに対する第2の延長部材の長手方向移動により、挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間でクリップを移動させるように第2の顎状部に枢動可能に結合された拡張遠位端と、第2の延長部材の拡張遠位端を第2の延長部材の残りの長さ部分に接続する第2の解放可能なリンクと、を含んでおり、第2の解放可能なリンクは、第2の延長部材が所定の閾値を超える力を受けたときに解放するように構成されている、第2の延長部材をさらに含んでいる。
【0014】
一実施形態では、システムは、第1の延長部材の上に摺動可能に延在する第1のシースであって、第1のシースの遠位端がクリップの第1の表面の近位に配置されるように構成されている、第1のシースをさらに含んでおり、クリップは、クリップの最終的な配備中に、第1のシースの遠位端に対して近位に引き込まれるように構成されている。
【0015】
本開示はまた、組織を処置するためのクリッピングシステムに関し、クリッピングシステムは、近位端から遠位端まで長手方向に延在する内視鏡と、内視鏡の遠位端の上に取り付けられるように構成された近位部分と、近位部分から遠位に延在する遠位部分とを含むアダプタと、アダプタの遠位部分の上に取り付けられるように構成されたクリップであって、クリップは、互いに接続された第1および第2の顎状部を含んで、第1および第2の顎状部が挿入形態と初期配備形態との間で移動可能となっており、挿入形態では、第1および第2の顎状部は、アダプタの遠位部分の両側部分の周囲に延在するとともに、第1および第2の顎状部の間に組織を受容するために互いから離間されており、初期配備形態では、第1および第2の顎状部が互いに向かって引き寄せられて、第1および第2の顎状部の間に組織を把持するようにクリップがアダプタから遠位に移動されており、第1および第2の顎状部は、初期配備形態に向けて付勢されている、クリップと、クリップの第1および第2の顎状部に解放可能にそれぞれ結合された第1および第2の延長部材であって、第1および第2の延長部材の各々は、アダプタに対する第1および第2の延長部材の長手方向移動により、挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間でクリップを移動させるように第1および第2の顎状部のうちの対応する1つに解放可能に結合された遠位端と、点検形態では、クリップの視覚的観察を向上させるために、アダプタがクリップから離れて近位に引き寄せられることが許容される一方で、第1および第2の延長部材がクリップに結合された状態に維持されており、第1および第2の延長部材は、クリップがアダプタの上に後退されたときにクリップが強制的に開放されるように動作可能であり、第1および第2の延長部材をクリップに接続する解放可能なリンクと、を含んでおり、解放可能なリンクは、第1および第2の延長部材が所定の閾値を超える力を受けたときに解放するように構成されている、第1および第2の延長部材と、を含んでいる。
【0016】
一実施形態では、システムは、第1および第2の延長部材の上に摺動可能にそれぞれ延在する第1および第2のシースであって、第1および第2のシースの遠位端がクリップの第1の表面の近位に配置されるように構成されている第1および第2のシースをさらに含んでおり、クリップは、クリップの最終的な配備中に、第1および第2のコイルの遠位端に対して近位に引き込まれるように構成されている。
【0017】
一実施形態では、システムは、システムの使用者がアクセス可能な生体の外側に留まるように構成されたハンドルをさらに含んでいる。ハンドルは、ハンドル部材と、ハンドル部材の上に摺動可能に取り付けられるとともに、第1および第2の延長部材の近位端に接続され、アダプタに対する第1および第2の延長部材の移動を制御するスプールと、第1および第2のシースの近位端に接続されるとともに、スプールの一部と摩擦係合されるシースホルダと、を含んでおり、コイルホルダがハンドル部材に対してロック解除されると、ハンドル部材に対するスプールの長手方向移動により、第1および第2の延長部材および第1および第2のシースが共に移動するようになっている。
【0018】
一実施形態では、ユーザインタフェースは、ハンドル部材の一部の上に回転可能に取り付けられ、シースホルダと相互作用して、シースホルダがスプールと共に移動可能であるロック解除形態と、シースホルダがハンドル部材に対して固定されて、スプールの移動により第1および第2の延長部材が第1および第2のシースに対して長手方向に移動するロック形態との間でシースホルダを移動させる回転ノブをさらに含んでいる。
【0019】
さらに、本開示は、組織を処置するための方法に関し、方法は、アダプタの上に取り付けられたクリップを体管腔中の標的領域に挿入する工程であって、クリップは、クリップの顎状部がアダプタによって互いから離間している挿入形態に維持されている、挿入する工程と、組織をアダプタのチャネル内およびクリップの顎状部の間に引き込む工程と、クリップに解放可能に連結された延長部材を遠位に前進させることによって、クリップをアダプタから離れて遠位に移動させて、クリップが挿入形態から初期配備形態に移動することを許容する工程であって、クリップの顎状部は、アダプタ中に引き込まれた組織を把持するために顎状部が互いに向かって延在する初期配備形態に向かって付勢されており、延長部材の各々の遠位端は、顎状部のうちの対応する1つに枢動可能かつ解放可能に連結されており、延長部材の各々の遠位端は、解放可能なリンクを介して延長部材の残りの長さ部分に接続されている、許容する工程と、クリップが延長部材に連結された状態に維持されている間に、アダプタをクリップから離れるように引き込んで点検形態にするステップと、を含む。
【0020】
一実施形態では、クリップを再配置することが必要であると判定されたとき、クリップがアダプタの上に開放挿入形態に向かって近位に引き込まれるまで、延長部材を内視鏡に対して近位に引き込んで、クリップの顎状部を開放して、クリップを以前にクリップされた組織から解放し、クリップを標的組織の上に再配置する。
【0021】
一実施形態では、本方法はさらに、クリップを解放するために延長部材に加えられる力が延長部材の遠位端を延長部材の残りの長さ部分から分離する所定の閾値力を超えるまで、延長部材を包囲するシースをクリップに対して当接させることによって、クリップがアダプタの上で開放されることを防止しながら、延長部材を内視鏡に対して近位に引き込むことによって、クリップを点検形態から最終配備形態に向かって移動させるステップを含む。
【0022】
一実施形態では、シースの遠位端は、シースが延長部材と共に移動して、クリップを挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間で移動させるように、クリップのすぐ近位に配置されている。
【0023】
一実施形態では、クリップを最終配備形態に向かって移動させることは、遠位端がクリップの表面に対向して配置されるまで、シースをアダプタに対して遠位に移動させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の例示的な実施形態によるクリッピングシステムの遠位部分の斜視図である。
図2】挿入形態における、図1のクリッピングシステムの遠位部分の斜視図である。
図3】点検形態における、図1のクリッピングシステムの遠位部分の斜視図である。
図4】最終配備形態に向かう、図1のクリッピングシステムの遠位部分の斜視図である。
図5図1の例示的クリッピングシステムによる、クリップおよび延長部材の斜視図である。
図6】第1の位置における、図5のクリップおよび延長部材の断面図である。
図7】第2の位置における、図5のクリップおよび延長部材の断面図である。
図8図1の例示的なクリッピングシステムによるユーザインタフェースの斜視図である。
図9図8のユーザインタフェースの透視斜視図である。
図10】回転ノブがロック解除形態にある、図8のユーザインタフェースの一部の拡大透視斜視図である。
図11】回転ノブがロック形態にある、図8のユーザインタフェースの一部の拡大透視斜視図である。
図12】回転ノブがロック形態にある、図8のユーザインタフェースの一部の別の拡大透視側面図である。
図13図8の例示的なユーザインタフェースによるコイルホルダの斜視図である。
図14図8の例示的なユーザインタフェースによる回転ノブの斜視図である。
図15】本開示のクリッピングシステムの代替実施形態による、カプセルの斜視図である。
図16図15のクリッピングシステムの代替実施形態による、延長部材の遠位部分の斜視図である。
図17】本開示のクリッピングシステムの別の例示的な実施形態による、クリップおよび延長部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、以下の説明および添付の図面を参照してさらに理解することができ、同様の構成要素は同じ参照番号で参照される。本開示は、クリッピングシステムに関し、具体的には、クリップの初期配置が、その最終的な配備に先立って視認および調節され得る、オーバーザスコープ内視鏡クリッピングシステムに関する。本開示の例示的な実施形態は、アダプタを介して内視鏡の遠位端の上に取り付け可能であるとともに、延長部材に解放可能に結合されたクリップを備えて、クリップが、挿入形態と、初期配備形態と、クリップが最終的に配備される前に、内視鏡観察システムを介して視認することができる点検形態との間でアダプタに対して移動され得るようにする。
【0026】
例示的な実施形態によれば、延長部材の各々の遠位端は、クリップの対応する顎状部に結合されている。各延長部材は、遠位端と延長部材の残りの長さ部分との間にある易壊性リンク(frangible link)を含んでおり、易壊性リンクは、クリップの最終的な配備中に、易壊性リンクが破断または分離してクリップを延長部材から解放するように、所定の閾値力を超える力を受けたときに破断、破損、または他の方法で分離するように構成されている。例示的な実施形態では、延長部材の遠位端は、クリップに連結されて、易壊性リンクの破断または分離時に、延長部材の遠位端がクリップに取り付けられた状態に維持されて、最終的な配備中に脱落部分が生じるのを防止する一方、残りの長さ部分を、身体から取り外すことができるようになっている。当業者によって理解されるように、現在のクリップ設計の中には、クリップをカテーテルから分離する配備プロセス中に、脱落部分が生じて、GI管を自然に通過する脱落部分が残るようになっているものがある。より大きな欠損症例がより一般的になるにつれて、一部の医師は、欠損内で閉鎖されることになる脱落部分の可能性を排除するために、脱落部分を生成しないクリップを好む場合がある。
【0027】
延長部材がクリップに結合されている間、例えば、易壊性リンクは、易壊性リンクに加えられる力が所定の閾値を超えないため、無傷の状態に維持されており、延長部材を内視鏡に対して長手方向に移動させて、クリップを挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間で移動させることができる。挿入形態では、クリップの位置が内視鏡のビジョンシステムの視野の遮蔽を最小限にしながら、クリップの顎状部の間に組織を受容する準備ができている挿入形態に維持された近位位置にクリップがアダプタの上に取り付けられている。挿入形態は、クリップされるべき組織に隣接する標的部位への内視鏡の挿入を容易にするように構成される一方、本システムは、クリップが初期配備形態において組織の上で配備およびクリップすることを可能にする。デバイスは、クリップが点検形態においてデバイスに結合された状態に維持されている間に、内視鏡がクリップおよびクリップされる組織から離れて近位に引き寄せられることを可能にする。
【0028】
クリップが標的組織上の適所に残っている間に内視鏡が近位に引き寄せられると、内視鏡のビジョンシステムの視野は、クリップおよびクリップによってクリップされた組織を示すように広がるため、操作者は、クリップの位置が所望した通りであるか、または調節が必要であるかを決定することができる。クリップが所望した通りに配置されたと操作者が判断した場合、クリップは、クリップを延長部材の留め具から解放することによって配備され、標的組織上でクリップした定位置に留まる。クリップの位置を調節する必要があると操作者が判断した場合、内視鏡および内視鏡に結合されたアダプタは、クリップに隣接する位置まで遠位に移動される。次に、クリップがアダプタ上で近位側に引き込まれてクリップを再び開放し、このクリップは、アダプタの遠位端上に近位に引き込まれ、クリップがアダプタ上に近位に摺動して後退して挿入形態に戻ると、クリップがその自然な付勢力に抗して開放する。
【0029】
クリップが組織から外され、挿入形態に戻された後、操作者は、内視鏡およびデバイスを所望した通りに再配置し、標的組織をアダプタ内に引き込み(例えば、内視鏡の作業チャネルを介して印加される吸引または把持器の下で)、再度、クリップをアダプタから初期配備位置における標的組織上に配備することができる。次いで、クリップがデバイスに結合された状態に維持されているときに、内視鏡が再び近位に引き寄せられて、デバイスが再び点検形態に移動する。クリップの位置およびクリップされた組織が再び観察され、クリップが所望の位置に配置されるまで、このプロセスが繰り返され得る。操作者がクリップが閉鎖される組織が所望の組織部分であることを確認すると、最終配備形態に向かって、クリップを延長部材から解放するために、延長部材の易壊性リンクが破壊され得る。本明細書で使用される場合、近位および遠位という用語は、それぞれ、デバイスの使用者に向かう方向および使用者から離れる方向を指すように意図されることが、当業者に理解されるであろう。
【0030】
図1図14に示すように、例示的な実施形態による組織の欠損および/または穿孔を治療するためのクリッピングシステム100は、例えば、体管腔を通して標的領域に挿入されてその標的組織をクリッピングするように構成されたクリップ102を備える。クリップ102は、例えば、内視鏡106を含む挿入デバイス104を介して、標的領域に挿入可能である。図1図4に示すように、クリップ102は、内視鏡106の遠位端108の上に取り付けられたアダプタ110を介して内視鏡106の遠位端108に結合されている。クリップ102は、クリップ102が解放可能に連結される延長部材112を介して、アダプタ110および内視鏡106に対して移動されるように構成される。クリップ102は、挿入形態から初期配備形態へ、および初期配備形態から点検形態へ移動可能である。
【0031】
使用者が所望する場合、クリップ102は、点検形態から挿入形態に戻るように移動され、次いで、新たな位置で初期配備形態に移動され得る。使用者が、クリップ102が所望の位置に配置されていることに納得すると、クリップ102は、初期配備形態から最終配備形態に移動させられ得、最終配備形態では、クリップ102は、システム100の残りの部分が身体から引き寄せられる間、所望の組織上でクリップした定位置に留まり得るように、システム100の残りの部分から分離される。
【0032】
例示的な実施形態では、図5図7に示すように、延長部材112の各々は、クリップ102の対応する顎状部114に結合された拡張遠位端116を含む。各延長部材112は、拡張遠位端116を延長部材112の残りの長さ部分120に接続する易壊性リンク118を含む。易壊性リンク118は、易壊性リンク118に加えられた力が所定の閾値を超えたときに破断し、破損し、または他の方法で分離して、クリップ102を易壊性リンク118から最終配備形態に解放するように構成される。
【0033】
しかしながら、易壊性リンク118が無傷の状態を維持している間、内視鏡106に対する延長部材112の長手方向の移動により、クリップ102は、挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間で移動する。挿入形態では、クリップ102は、顎状部114を備えてアダプタ110の上方に取り付けられ、顎状部114は、顎状部114の間に組織を受容するように互いに分離されている。クリップ102を挿入形態から初期配備形態に向かって移動させるために、延長部材112は、内視鏡106に対して遠位に移動されて、クリップ102が閉鎖形態に向かってアダプタ110から離れて遠位に移動する(即ち、クリップ102が挿入形態にある間に)ことが可能となり、閉鎖形態では、顎状部114は、互い向かって移動して、アダプタ110内に以前に引き込まれた組織を把持する。
【0034】
クリップ102を初期配備形態に移動させることによって、組織が顎状部114によってクリップされた後、内視鏡106の遠位端およびアダプタ110がクリップ102から離間されている間に、クリップ102が組織上でクリップした定位置に留まるように、内視鏡106を延長部材112に対して近位に引き込みながら延長部材112を内視鏡106に対して遠位に移動させることによって、クリップ102が点検形態に向かって移動し得る。この形態では、クリップ102は、延長部材112を介して挿入デバイス104に係留された状態に維持されており、クリップ102および標的組織に対する内視鏡のビジョンシステムの視野が拡大される一方で、クリップ102に対する内視鏡106の移動が可能となり、標的組織に対するクリップ102の配置および/または位置をより広範に観察することが可能となる。
【0035】
以下に説明されるように、使用者がクリップ102の位置が不正確または最適でないと判断した場合、使用者は、内視鏡106を延長部材112上で摺動させることによって、内視鏡106をクリップ102に隣接する位置まで遠位に移動させ得る。次いで、内視鏡106を適所に保持しながら、延長部材112を近位に引き寄せて、クリップ102をアダプタ110の遠位端上に後退させ得る。これによりクリップ102が強制的に開放されて、以前にクリップされた組織を解放し、クリップ102を挿入形態に戻す。使用者は、次いで、内視鏡106およびクリップ102を配置し、これらのステップを繰り返して、クリップ102の最終的な配備に先立って、所望した通りに、標的組織に対するクリップ102の配置および/または位置を調節し得る。即ち、クリップ102が所望した通りに配置されていないことを操作者が点検形態において判断した場合、クリップ102が組織の所望の部分上で閉鎖されるまでデバイスを再配置し得るように、クリップ102が再び開放されて組織から取り外され得る。
【0036】
延長部材112の各々の少なくとも遠位部分は、対応する延長部材112と協働して、または対応する延長部材112に対して相対的に、内視鏡106に対して近位および遠位に移動可能である内側シース122(例示的な実施形態では、その対応する延長部材112を包囲するコイルとして形成される)等の包囲部材内に収納される。即ち、内側シース122は、これらの要素の相対位置を変化させるために、近位に、または対応する延長部材112上で摺動され得るか、またはそれらは、挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間でクリップ102を共同で移動させるように協働して使用されるように、共に移動され得る。
【0037】
次いで、クリップ102を最終的に配備することが所望されるとき、内側シース122は、内側シース122の遠位端がクリップ102に当接するまで、延長部材112上を遠位に前進する。この時点で、使用者は、内側シース122の位置を一定に保持しながら、延長部材112を近位に引き込む。これは、延長部材112に加えられる力が、延長部材112の各々の拡張遠位端116が延長部材112の残りの長さ部分120から分離される所定の閾値力を超えるまで、増加する張力が延長部材112に印加される。
【0038】
この時点で、クリップ102は、挿入デバイス104から完全に解放されて、クリップ102が身体内に配備される一方で、システム100の残りの部分が身体から引き抜かれるために解放される。当業者によって理解され、以下でさらに詳細に説明されるように、挿入形態と、初期配備形態と、点検形態と、最終配備形態との間のクリップ102の移動は、一実施形態では、図8図14に示されるように、内視鏡106の近位端に結合されるユーザインタフェース126を介して行われる。
【0039】
図5に示すように、クリップ102は、ヒンジ128を介して互いに接続された2つの顎状部114を含む。一実施形態では、顎状部114の各々は、第1の端部130から第2の端部132まで曲線に沿って在しており、ヒンジ128のうちの第1のヒンジが顎状部114の各々の第1の端部130を互いに接続し、ヒンジ128のうちの第2のヒンジが顎状部114の各々の第2の端部132を互いに接続する。一実施形態では、ヒンジ128は、閉鎖形態において、顎状部114が互いに向かって移動される初期配備形態に向かって顎状部114を付勢するようにばね付勢されている。本実施形態の顎状部114の各々は、例えば、歯等の把持特徴部134を含み、従って、初期配備形態では、顎状部114のうちの1つの把持特徴部134が他方の顎状部114の把持特徴部134と相互に噛合し、クリップされた組織に対するクリップ102の保持を強化する。特に、初期配備形態において、顎状部114は、標的組織が把持特徴部134を介して顎状部114の間に把持され得るように、相互に向かって延在する。
【0040】
しかしながら、クリップ102が、挿入形態においてアダプタ110の上に取り付けられているとき、アダプタ110の外面136によって顎状部114が互いに離間した開放形態にクリップ102が維持されるように、顎状部114は、アダプタ110の両側部分の周囲に延在する。従って、クリップ102がアダプタ110の上に取り付けられているとき、標的組織は、顎状部114の間に受容されるように、アダプタ110内のルーメンに引き込まれ得る。クリップ102がアダプタ110から離れて遠位に移動されると、クリップ102は、アダプタ110に引き込まれていた組織上でヒンジ128の自然な付勢力下で閉鎖する。
【0041】
クリップ102のヒンジ128および/または顎状部114は、上述のように、ヒンジ128が顎状部114を初期配備形態に向かって付勢し、従って、付勢力が、クリップが最終的に配備された後、クリップ102を標的組織上のクリップした位置に維持するのに十分な強度である限り、種々の材料のうちのいずれかから形成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。一例では、クリップ102の一部(例えば、ヒンジ128)は、閉鎖形態に向かう付勢力を提供および/または追加するために、例えば、ニチノール等の形状記憶合金から形成される。
【0042】
例示的な実施形態によれば、顎状部114の各々は、アダプタ110を向くクリップ102の第1の表面140からアダプタ110とは反対側を向くクリップ102の第2の表面142まで、クリップ102を貫通して延在する開口部138を含む。一実施形態では、顎状部114の各々の開口部138は、開口部138内にカプセル144を受容するように大きさが決定され、形作られ、かつ構成されている。この実施形態のカプセル144の各々は、延長部材112のうちの対応する1つの拡張遠位端116を枢動可能に受容するように構成される。一実施形態では、開口部138は、開口部138がクリップ102の両側の部分を貫通して延在するように、第1の端部130と第2の端部132との間の中間で顎状部114の各々を貫通して延在する。
【0043】
各カプセル144は、開口部138のうちの対応する1つ内に受容されるとともに、それに取り付けられるように大きさが決定され、形作られ、かつ構成される。一実施形態では、カプセル144は、溶接、機械的結合、または接着剤接合を含むが、それらに限定されない、種々の機構のいずれかを介して、開口部138に取り付けられ得る。カプセル144は、ソケット146を含むように形成され、ソケット146内に、延長部材112の拡張遠位端116が枢動可能に受容される。例示的な実施形態では、カプセル144は、一実施形態では、クリップ102の第1および第2の表面140、142に対して実質的に垂直に延在する中心軸に沿ってカプセル144を貫通して延在するチャネル143を含む。
【0044】
チャネル143は、ソケット146と連通しており、従って、延長部材112の近位端113をカプセル144のチャネルの遠位開口部150に挿入して、拡張遠位端116がソケット146内に着座するまで延長部材112をそこに通すことによって、延長部材112の各々がカプセル144の対応する1つに組み付けられ得る。残りの長さ部分120は、チャネル143の近位開口部151を通ってカプセル144から近位に延在する。この実施形態の遠位開口部150は、遠位開口部150を通して拡張遠位端116の挿入を可能にするように大きさが決定され、かつ形作られるが、近位開口部151は、近位開口部151を通した遠位端116の通過を防止するように大きさが決定され、かつ形作られることが、当業者によって理解されるであろう。
【0045】
当業者によって理解されるように、これは、開口部を対応する遠位端116よりも少なくとも1つの寸法において小さくすることによって達成され得る。従って、拡張遠位端116は、近位端を通過することが防止され、代わりに、ソケット146内に着座されるため、延長部材112に印加される近位方向の力によって遠位端116がカプセル144から引き出されることはなく、延長部材112を介してクリップ102に近位方向の力を印加することが可能となる。
【0046】
例示的な実施形態では、カプセル144はまた、ソケット146からカプセル144の外部まで横方向に延在するスロット148を含んでおり、スロット148がソケット146および近位開口部151の両方と連通するようになっている。スロット148は、カプセル144に対する延長部材112の枢動を可能にするように構成されている。特に、拡張遠位端116がカプセル144のソケット146内で枢動されると、延長部材112の残りの長さ部分120は、図6に示すような第1の位置と図7に示すような第2の位置との間でスロット148に沿って移動する。
【0047】
当業者が理解するように、これにより、顎状部114が、挿入形態(顎状部が延長部材112に実質的に平行に延在する)と初期配備形態(顎状部が延長部材112に対して実質的に垂直である)との間で回転することが可能となる。第1の位置では、クリップ102の顎状部は、延長部材112の一部がクリップ102の第1の表面140に沿って延びるように、アダプタ110の上に取り付けられる。第2の位置では、クリップ102の顎状部114は、延長部材112が、中心軸と実質的に整列するように閉鎖形態に向かって移動されており、カプセル144の遠位開口部150および近位開口部151が中心軸に沿って延在している。
【0048】
スロット148の幅(即ち、スロット148の長手方向に延在する縁部間の距離)は、延長部材112の残りの長さ部分120の一部がスロット148に沿って移動可能であるが、拡張遠位端116がスロット148を通過することが防止されるように構成される。一実施形態では、カプセル144は、延長部材112がそれに組み付けられると、カプセル144の各々の遠位開口部150を閉鎖するためのキャップ、プラグ、または他のシール145をさらに含み得る。従って、延長部材112の易壊性リンク118が破断または分離しても、拡張遠位端116は、カプセル144のソケット146内に捕捉された状態に維持されており、クリップ102の最終的な配備中に脱落部分が生じることが防止される。
【0049】
上述したように、クリップ102は、挿入デバイス104に取り付けられており、挿入デバイス104は、例えば、任意の標準的な内視鏡106であり得るこの実施形態のクリップ102は、内視鏡106の遠位端108の上に取り付けられるように大きさが決定され、形作られ、構成されたアダプタ110を介して内視鏡106に取り付けられている。当業者によって理解されるように、内視鏡106は、体管腔を通って管腔内の標的領域まで挿入されるように構成され、従って、体管腔の曲がりくねった経路でさえも通って進むのに十分な可撓性を備えている必要がある。アダプタ110は、近位端152から遠位端154まで延在するとともに、アダプタ110を通って延在するチャネル156を含む。
【0050】
アダプタ110の近位部分153は、内視鏡106の遠位端108の上に取り付けられるように構成されており、一方、アダプタ110の遠位部分155は、挿入形態において、クリップ102を遠位部分155の上に受容するように構成されている。アダプタ110の近位部分153は、アダプタ110のチャネル156が内視鏡106の遠位端と実質的に長手方向に整列されるように、例えば、摩擦嵌合を介して内視鏡106に取り付けられ得る。従って、組織は、内視鏡106の光学系を介して、チャネル156を通して観察され得る。別の実施形態では、組織および/またはクリップ102の視認性を向上させるために、アダプタ110は、透明材料から形成されている。
【0051】
一実施形態では、アダプタ110の近位部分153は、近位部分153の壁160を貫通して長手方向に延在する一対の穴158を含む。穴158の各々は、内側シース122のうちの対応する1つを摺動可能に受容するように構成され、延長部材112は、クリップ102に結合されるように内側シース122を通って延在している。以下にさらに詳細に説明されるように、延長部材112は、拡張遠位端116が、カプセル144を介してクリップ102に連結されるように、内側シース122の遠位端124を越えて遠位に延在するように、内側シース122を通って延在している。
【0052】
アダプタ110の遠位部分155の外径は、挿入形態において顎状部114が互いに離間して伸張されたときに、クリップ102を遠位部分155の上に受容するように大きさが決定され、形作られ、かつ構成される。1つの例示的な実施形態において、遠位部分155は、遠位端154に向かってテーパ状となっており、その結果、クリップ102を閉鎖するように促すクリップ102の付勢力は、クリップ102をアダプタ110から遠位方向に移動させて、初期の配備形態をとることを補助する。クリップ102がアダプタ110の遠位部分155上に取り付けられ、顎状部114がアダプタ110の両側の部分の上に延在するとき、アダプタ110の外面136は、クリップ102の顎状部114を半径方向外向きに押し、顎状部114を挿入形態で開放された状態に維持する(即ち、顎状部114は、アダプタ110によって顎状部114の自然な付勢力に抗して開放された状態に保持される)。
【0053】
この実施形態のクリップ102は、クリップ102を定位置に保持するようにクリップ102に係合する留め金を用いて、十分な近位方向の張力が延長部材112に印加される限り、開放挿入形態でアダプタ110の上に取り付けられた状態を維持する。この張力が延長部材112から取り除かれるか、または延長部材112がアダプタ110に対して遠位に延在すると、クリップ102の自然な付勢力は、クリップ102がアダプタ110から遠位に摺動して外れるまで、遠位部分155のテーパを超えて顎状部114を相互に引き寄せ、クリップ102をアダプタ110を超えて遠位に押し出す。顎状部114がアダプタ110の遠位端を越えて遠位に移動すると、顎状部114は、アダプタ110内に引き込まれていた組織をクリップする自然な付勢力下で閉じるように開放される。
【0054】
図4に示されるように、本実施形態のアダプタ110の遠位部分155は、アダプタ110の外面136の円周の周りに分布する複数の長手方向に延在する平坦部分162を含む。平坦部分162の各々は、遠位部分155の長さ部分の少なくとも一部に沿って延在するとともに、遠位部分155の外周(例えば、円周)の一部を覆う。平坦部分162は、遠位部分155の円周の回りに等しい大きさで互いに等しく離間し得るか、または所望に応じて大きさおよび長さが変化し得る。これらの平坦部分162は、クリップ102とアダプタ110の遠位部分155との間の摩擦を低減し、挿入形態と初期配備形態との間のクリップ102の移動を容易にすることが、当業者によって理解されるであろう。
【0055】
本実施形態のアダプタ110の遠位部分155はまた、アダプタ110の遠位端においてアダプタ110のチャネル156内に半径方向に延在する複数の任意選択の突出部164を含む。一実施形態では、突出部164は、隣接する平坦部分162の間に延在する遠位部分155の複数の湾曲部分163から延在する。1つの例示的な実施形態において、これらの湾曲部分163の各々の遠位面166は、アダプタ110の長手方向軸に対して角度が付けられており、その結果、クリップ102が、顎状部114が遠位面166に当接するまで、初期配備形態から近位に引き込まれる場合、これらの突出部164の角度が、顎状部114の自然な付勢力に抗して開放挿入形態に向かって顎状部114の再開放を容易にする傾斜として機能する。即ち、顎状部114は、突出部164上を近位に摺動して、顎状部114が再び開放されて、クリップ102がクリップされた組織から解放されるとともに、アダプタ110上に近位に摺動して戻ることができるようにする。
【0056】
挿入デバイス104は、本実施形態では、例えば、ユーザインタフェース126を介して使用者がアクセス可能な身体の外側に留まる近位端168から、アダプタ110の上に延在する遠位端124まで、内視鏡106の全長に沿って延在する一対の内側シース122を含む。この実施形態における内側シース122の各々は、ニチノールハイポチューブ、プラスチックチューブとして構成されるか、または内側シース122が延長部材112の上に延在する限り、様々なコイル状および/または実質的に管状構造のいずれかを有する。
【0057】
この実施形態における内側シース122の各々は、例えば、ユーザインタフェース126の一部に接続された近位端172からアダプタ110に接続された遠位端124まで内視鏡106の長さに沿って延在する外側シャフト170を通って延在する。特に、外側シャフト170の遠位端124は、各外側シャフト170がアダプタ110の穴158のうちの対応する1つと位置合わせされるように、アダプタ110の近位端152に接続される。従って、各内側シース122は、各内側シース122が、内視鏡106に対して、その対応する外側シャフト170を通って長手方向に移動可能であるように、外側シャフト170および穴158のうちの対応する1つを通って延在する。
【0058】
延長部材112は、内側シース122内に受容されるとともに、ユーザインタフェース126に接続された近位端113から、内側シース122の遠位端124の遠位に延在する拡張遠位端116まで延在する。上述したように、拡張遠位端116の各々は、対応するカプセル144を介してクリップ102に結合されている。例示的な実施形態では、拡張遠位端116は、実質的にボール形状であり、拡張遠位端116の各々の大きさおよび形状は、拡張遠位端116が受容されるソケット146の大きさおよび形状に実質的に対応している。従って、拡張遠位端116は、延長部材112が第1の位置と第2の位置との間でクリップ102に対して枢動され得るように、ソケット146内で枢動することが許容される。例示的な実施形態では、易壊性リンク118は、拡張遠位端116のすぐ近位にある縮径部分として構成されており、この縮径部分は、縮径部分に加えられた力が所定の閾値力を超えたときに、破断するか、破損するか、または他の方法で分離するように設計されている。
【0059】
しかしながら、当業者であれば、易壊性リンク118は、破断するか、破損するか、または他の方法で分離するように構成された様々な接続部のいずれかを含むことができることを理解するであろう。加えて、例示的な実施形態は、易壊性リンク118を易壊性のものとして示し、説明しているが、各易壊性リンク118がクリップ102の最終的な配備中に、対応する延長部材112の残りの長さ部分120から対応する拡張遠位端116を分離または解放するように構成されている限り、拡張遠位端116と残りの長さ部分120との間の易壊性リンク118は、多数の結合部および/または接続部のいずれかを含み得ることが当業者には理解されるであろう。
【0060】
一つの例示的な方法では、内側シース122および延長部材112は、クリップ102を挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間で移動させるように、同時に、共に移動される。この方法では、内側シース122の遠位端124は、クリップ102の第1の表面140のすぐ近位に配置される。従って、クリップ102を最終配備形態に向かって移動させることが所望されるとき、延長部材112は、内側シース122に対して近位に引き込まれて、従って、クリップ102は、内側シース122の遠位端124に対して近位に引かれて、張力が延長部材112に印加される。この張力が所定の閾値を超えると、易壊性リンク118は、破断し、破損し、または他の方法で分離して、クリップ102を延長部材112の残りの長さ部分から解放し、クリップ102をシステム100の残りの部分から完全に分離する。
【0061】
別の例示的な方法では、内視鏡106に対する、および使用者がクリップ102を最終的に配備する準備ができるまで不動に保持される内側シース122に対する延長部材112の移動を介して、クリップ102は、挿入形態と、初期点検形態と、点検形態との間で移動される。この方法では、クリップ102が組織の所望の部分の上で閉鎖され、かつ最終的な配備の準備ができていることを使用者が判断した後、内側シース122は、内側シース122の遠位端124がクリップ102の近位側のカプセル144に当接するまで、延長部材112に対して遠位に移動される。次に、上述した実施形態と同様に、延長部材112が内側シース122に対して近位に引かれて、延長部材112上に結果的に生じる張力が所定の閾値を超えるまで、クリップ102が内側シース122の遠位端124に対して近位に引き込まれるようにする。この時点で、易壊性リンク118は、破断、破損、または他の方法で分離して、クリップ102をその残りの長さ部分から解放し得る。当業者は、内側シース122が、閾値レベルを超えるまで延長部材112に印加される近位方向の力に対抗するのに十分な柱強度を有していなければならないことを理解するであろう。
【0062】
一実施形態では、外側シャフト170(および内側シース122および延長部材112)は、内視鏡106の長手方向の両側に沿って延在する(即ち、この実施形態では、外側シャフト170は、互いに正反対の両側にある)。この実施形態における外側シャフト170の各々は、アダプタ110の穴158のうちの1つ、および顎状部114のうちの対応する1つの開口部のうちの1つと実質的に長手方向に整列されており、これにより、クリップ102がアダプタ110上に取り付けられたとき、内側シース122は、アダプタ110の穴158から遠位に延び、延長部材112は、内側シース122から遠位に延在して、クリップ102の顎状部114と解放可能に係合する。しかしながら、上述したように、延長部材112が外側シャフト170内に摺動可能に収容され、かつクリップ102上の所望の位置に送達される限り、外側シャフト170の任意の構成が採用され得ることは、当業者であれば理解されよう。
【0063】
例示的な実施形態によれば、図8図14に示すように、ユーザインタフェース126は、ハンドル部材174と、内視鏡106に対する延長部材112の移動を制御するように構成されたスプール176と、内視鏡106に対する内側シース122の移動を制御するように構成された回転ノブ178とを含む。図示されていないが、内視鏡106(または他の挿入デバイス104)の近位端は、ハンドル部材174に接続されている。スプール176は、延長部材112の近位端113に接続されており、回転ノブ178は、内側シース122の近位端168と接合して、内側シース122の移動を制御する。この実施形態における外側シャフト170の近位端172は、キャップ180を介してハンドル部材174に接続されており、キャップ180は、ハンドル部材174の遠位端175に取り付けられている。
【0064】
使用者が把持するように構成されたハンドル部材174は、近位端173から遠位端175まで長手方向に延在する。この実施形態の遠位端175は、キャップ180に螺合するためのねじ山を含む。ハンドル部材174の遠位部分はまた、遠位部分の壁を貫通して延在する開口部188を含み、開口部188は、内部にピン190を収容している。例示的な実施形態では、ピン190は、ピン190がハンドル部材174の外面を越えて半径方向外向きに延在する半径方向外側位置に向かって付勢されている。一実施形態では、ユーザインタフェース126は、ハンドル部材174の正反対の両側を貫通する一対の開口部188を含み、開口部188の各々は、上述したように、ピン190を含む。
【0065】
一実施形態のキャップ180は、ハンドル部材174の遠位端175に螺合するために、キャップ180の内面に沿ってねじ山を含む。外側シャフト170の近位端172は、キャップ180とハンドル部材174との螺合により外側シャフト170をハンドル部材174に係合させるように、例えば、圧着を介してキャップ180の内部に取り付けられ得る。キャップ180の近位で、ハンドル部材174は、コイルホルダ182を摺動可能に収容している。図13に示されるように、コイルホルダ182は、コイルホルダ182を貫通して長手方向に延在する一対の穴184を含み、穴184の中に内側シース122の近位端168が固定されている。コイルホルダ182は、一対の穴184がキャップ180を介してハンドル部材174の遠位端175に取り付けられた外側シャフト170と実質的に整列されるように、ハンドル部材174内に収容されている。従って、内側シース122は、コイルホルダ182から外側シャフト170を通って遠位に延在する。
【0066】
コイルホルダ182はまた、コイルホルダ182を貫通して横方向に延在する開口部186を含む。開口部186は、一対のピン190を受容するように大きさが決定され、形作られ、および構成されており、ピン190の各々は、両側の開口部186を通して延在可能である。ピン190は、ピン190がコイルホルダ182に係合しない半径方向外側に付勢されたロック解除位置(図10)と、ピン190がコイルホルダ182の開口部186内に半径方向内側に押し込まれるロック位置(図11図12)との間で移動可能である。ロック位置では、ピン190がコイルホルダ182の開口部186内に受容されると、コイルホルダ182は、ハンドル部材174に対して固定され、従って、以下でさらに詳細に説明されるように、内側シース122は、内視鏡106に対して静止状態を維持し、一方、延長部材112は、クリップの最終的な配備中に、内側シース122に対して移動可能である。
【0067】
例示的な実施形態では、スプール176は、ハンドル部材174に沿って長手方向に移動可能である。延長部材112の近位端113は、スプール176に取り付けられており、ハンドル部材174に対するスプール176の長手方向の移動によって、延長部材112が内視鏡106に対して長手方向に対応して移動するようになっている。近位端113は、例えば、延長部材112の近位端113およびスプール176の内部に取り付けられたコイルホルダ182を含む様々な機構のいずれかを介してスプール176に取り付けられ得る。
【0068】
一実施形態では、コイルホルダ182の近位端192は、スプール176の一部に摩擦係合しているが、スプール176に対して長手方向に摺動可能でもある。従って、ピン190がロック解除位置にあり、コイルホルダ182と係合していないとき、スプール176とコイルホルダ182の近位端192との間の摩擦係合によって、ハンドル部材174に対するスプール176の長手方向の移動が生じて、延長部材112および内側シース122の両方が内視鏡106に対して共に、同時に移動する。しかしながら、コイルホルダ182がハンドル部材174に対して固定されるように、ピン190がロック位置に向かって移動されてコイルホルダ182に係合するとき、ハンドル部材174に対するスプール176の長手方向移動によって、延長部材112が内側シース122および内視鏡106に対して長手方向に移動する。
【0069】
例示的な実施形態によれば、ピン190は、回転ノブ178を介してロック解除位置とロック位置との間で移動される。回転ノブ178は、キャップ180の近位側でハンドル部材174上に回転可能に取り付けられている。図14に示されるように、一実施形態の回転ノブ178は、実質的に円筒形であるとともに、回転ノブ179の内面196に沿って配置された一対のカム194を含んでおり、これらのカム194がピン190に接触すると、ピン190は、ロック解除位置から、ピン190がコイルホルダ182の開口部186内に受容されるロック位置に向かって移動され、それによって、コイルホルダ182がハンドル部材174および内視鏡106に対して固定されるようになっている。
【0070】
上述したように、ユーザインタフェース126は、内側シース122および延長部材112を共に同時に移動させて、クリップ102を挿入形態、初期配備形態、および点検形態との間で移動させるように構成されている。クリップ102を最終配備形態に移動させることが所望されるとき、回転ノブ178がハンドル部材174に対して回転されて、ピン190をロック解除位置からロック位置に移動させる。コイルホルダ182がハンドル部材174に対してロックされると、スプール176をコイルホルダ182に対して近位に移動させて、延長部材112を介してクリップ102を内側シース122の遠位端124に対して近位に引き込み得る。
【0071】
しかしながら、上述したように、別の方法では、クリップ102を挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間で移動させるために、延長部材112のみが(即ち、内側シース122の移動なしに)内視鏡106に対して移動される。この実施形態では、ピン190をロック解除位置とロック位置との間で移動させる回転ノブ178ではなく、ユーザインタフェース126は、ハンドル部材174に対するその移動が、スプール176および延長部材112から独立して、内側シース122を内視鏡106に対して長手方向に移動させるように、内側シース122の近位端168に接続されたアクチュエータを含み得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0072】
クリッピングシステム100を利用する組織閉鎖のための例示的な方法によると、クリップ102は、アダプタ110上に取り付けられ、アダプタ110は、内視鏡106の遠位端上に取り付けられる。延長部材112および内側シース122を収容する外側シャフト170は、内視鏡106に連結され、内視鏡106は、例えば、GI管等の体管腔(例えば、存在する自己の身体開口部を介してアクセスされる)を通して、クリッピングされるべき組織に隣接する体管腔内の標的領域にまで挿入される。
【0073】
上述したように、標的領域への内視鏡106の挿入中、クリップ102は、アダプタ110によって、顎状部114が1つのものから分離された挿入形態に維持される。使用者が、(例えば、内視鏡106のビジョンシステムを使用して)アダプタ110が標的組織に隣接していることを認識すると、使用者は、(例えば、内視鏡106の作業チャネルを通して適用される把持器または吸引力を介して)組織をアダプタ110のチャネル156内に引き込む。次いで、使用者は、延長部材112を内視鏡10に対して遠位に延在させることによって、クリップ102を初期配備形態に移動させ得る。これにより、クリップ102を定位置に保持していた力が解放され、クリップ102がアダプタ110の上で遠位に積極的に押される。クリップ102がアダプタ110のテーパ状表面に沿って遠位に摺動するにつれて、クリップ102の顎状部114は、顎状部114がアダプタ110内に引き込まれていた組織の上で閉鎖する(即ち、初期配備形態に到達する)ことが可能となるようにクリップ102がアダプタ110から離れて遠位に移動するまで、クリップ102の自然な付勢力下で徐々に閉鎖する。
【0074】
この初期配備形態における組織の吸引および/または把持は、内視鏡106の撮像レンズ/光学レンズを妨害し得、その結果、使用者は、所望の標的組織が適切にクリップされたかどうかを明確に視認および/または確認することができないことが、当業者によって理解されるであろう。従って、使用者は、次いで、クリップ102が延長部材112と係合された状態に維持されている間に、内視鏡106をクリップ102に対して近位に引き込むことによって(即ち、内視鏡106が近位に引き寄せられるにつれて、延長部材を内視鏡106に対してさらに遠位に延在させることによって)、クリップ102を点検形態に移動させ得る。
【0075】
アダプタ110とクリップ102との間の距離が増加するにつれて、内視鏡106の視野が広がり、これはまた、クリップ102に対する内視鏡の移動のいくらかの自由度を許容するため、使用者がクリップ102およびクリップされた組織のより良好な視界を得ることができる。視認した上で、クリップ102が標的組織に対して調節および/または再配置を必要とすることを使用者が判断した場合、使用者は、アダプタ110の遠位端がクリップ102に隣接するまで、内視鏡106を遠位に摺動させながら、延長部材112を内視鏡106に対して近位に引き込む。
【0076】
次いで、使用者は、内視鏡106を定位置に保持しながら、延長部材112をさらに近位に引き込む。これにより、クリップ102の近位側がアダプタ110の遠位端に押し付けられ、顎状部114が開放されてクリップされた組織が解放される。クリップ102は、クリップ102を挿入形態に戻すために、アダプタ110の上にさらに近位に引き寄せられ、使用者は、組織を視覚的に点検し、アダプタ110がクリッピングされるべき組織の一部に隣接して所望した通りに配置されるまで、内視鏡106を再配置し得る。使用者は、次いで、使用者が、点検形態において、クリップ102が所望した通りに標的組織上でクリップしていることを判断するまで、プロセス全体を繰り返し得る。
【0077】
一実施形態では、クリップ102は、延長部材112および内側シース122の両方を共に内視鏡106に対して遠位に移動させることによって、挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間で移動される。上述したように、回転ノブ178がロック解除位置に維持される限り、例えば、回転ノブ178のカム194がピン190と係合せず、ピン190がコイルホルダ182の開口部186内に延在しない限り、延長部材112および内側シース122は、ユーザインタフェース126のスプール176を介して共に同時に移動され得る。クリップ102が標的組織上で所望した通りにクリップしていることが判断されると、ノブ178を回転させて、カム194がピン190に係合し、ピン190をロック位置に移動させることによって、最終的な配備プロセスが開始され得る。
【0078】
ロック位置では、内側シース122は、内視鏡106に対してロックされているため、スプール176の近位移動により、延長部材112が内視鏡106に対して近位に移動して、クリップ102が内側シース122の遠位端124に対して近位に引き込まれる。延長部材112は、延長部材112に加えられる力が所定の閾値力を超えるまで近位に引き込まれて、易壊性リンク118を破断させるか、破損させるか、または別様に分離させて、クリップ102が延長部材112の残りの長さ部分120から解放する。上述したように、拡張遠位端116は、各顎状部114の開口部138内に取り付けられたカプセル144内に捕捉された状態に維持される。
【0079】
別の実施形態では、クリップ102は、内視鏡106に対する延長部材112のみの移動によって、挿入形態、初期配備形態、および点検形態の間で移動され得る。点検形態中に、クリップ102が所望した通りに標的組織上でクリップしていることが判断された後にのみ、内側シース122は、遠位端124がクリップ102の第1の表面140のすぐ近位に配置されるように、内視鏡106に対して遠位に移動される。次いで、クリップ102は、延長部材112に加えられる力が所定の閾値を超えるまで、遠位端124に対して近位にクリップ102を引き込むことによって、最終配備形態に同様に移動され得る。
【0080】
クリップ102が最終配備形態に向かって移動すると、延長部材112の残りの長さ部分120および内側シース122を含む挿入デバイス104は、身体から取り外され、クリップ102が標的組織上でクリップされた状態に維持される。
【0081】
代替実施形態によると、図15図16に示されるように、クリップ102の最終的な配備時に延長部材112の拡張遠位端116を捕捉するためのカプセル144の遠位開口部150に挿入可能なキャップ、プラグ、または他のシール145ではなく、本実施形態のクリップ102は、延長部材212の拡張遠位端216の形状に合わせられた遠位開口部250を含むカプセル200を含む(即ち、これらの要素が相互に対して正確な向きにある場合のみ、拡張遠位端216が開口部250を通過することを許容にする)。
【0082】
一例では、開口部250は、開口部250の円周249の一部に沿った平坦部分247を含み、平坦部分247は、拡張遠位端216の外部の実質的に丸みを帯びた表面219に沿った平坦部分217に対応する。延長部材212は、平坦部分247、217を正確に位置合わせすることによってカプセル244に組み付けられる。開口部250は、拡張遠位端216がこの正確な挿入方向以外の任意の方向にあるとき、拡張遠位端216が開口部250を通過することができないように大きさが決定され、かつ形作られている。クリップ102が最終的に配備された後、これらの要素が互いに対してこの正確な向きをとる可能性は極めて低いため、拡張遠位端216はカプセル244内に捕捉される。
【0083】
当業者によって理解されるように、これは、拡張遠位端216が延長部材212の残りの長さ部分220から分離される際に拡張遠位端216がカプセル244から脱出する可能性を排除しないが、拡張遠位端216がカプセル244から解放される可能性を大幅に低減させ、この部分が最終的な配備中に脱落するであろうリスクを実質的に排除する。また、クリップ102およびシステム100に関するカプセル244および延長部材212の他の特徴は、システム100に関して上記で説明されるようなカプセル144および延長部材112と実質的に同様であることも、当業者によって理解されるはずである。
【0084】
さらに別の例示的な実施形態によれば、延長部材をクリップに連結するためのカプセルを含むのではなく、延長部材312の拡張遠位端316は、クリップ302の対応する顎状部314の開口部338に直接連結され得る。この実施形態では、開口部338は、座ぐり穴として構成され、かつ/または操作形態においてアダプタから離れる方向を向いたクリップ302の表面342に沿ってその周囲に延在する皿穴346を含み得る。従って、延長部材312をクリップ302に組み付けると、拡張遠位端316が開口部338内に枢動可能に着座し、延長部材312の残りの長さ部分320がそこから近位に延在する。
【0085】
一実施形態では、開口部338は、鍵穴形状を有し、従って、拡張遠位端316の通過を可能にするように大きさが決定され、かつ形作られた第1の部分339を通して拡張遠位端316を挿入し、拡張遠位端316を拡張遠位端316の通過を防止するように大きさが決定され、かつ形作られた第2の部分341に向かって横方向に移動させることによって延長部材312が開口部338に組み付けられ得る。拡張遠位端316が第2の部分341に向かって移動されると、拡張遠位端316は、皿穴内に着座する。この実施形態のクリップ302は、拡張遠位端316の上で皿穴346内に受容され得るキャップ、プラグ、他のシールの345をさらに含み、その結果、クリップ302の最終的な配備中に残りの長さ部分320からの拡張遠位端316の分離の際に、拡張遠位端316は、クリップ302内に捕捉された状態を維持し、脱落部分が生じることが防止される。
【0086】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示において様々な修正が行われ得ることが当業者には明らかであろう。さらに、当業者は、様々な実施形態のいずれかの特徴が、実施形態の説明および/または機能と矛盾しない任意の方法で組み合わされ得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】