(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ガラス・パネル装置及びガラス・パネル装置を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
H03F 3/217 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H03F3/217
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522275
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022078102
(87)【国際公開番号】W WO2023061941
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021126557.6
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】ライナー シュトイデ
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ホイザーマン
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA66
5J500AC27
5J500AH10
5J500AH26
5J500AH46
(57)【要約】
スイッチャブル・ガラス・パネル(4)と、制御電圧(UA)でスイッチャブル・ガラス・パネル(4)を制御するための制御ユニット(6)とを有するガラス・パネル装置(2)が提供され、制御電圧(UA)は、第1のAC電圧信号(S1)及び第2のAC電圧信号(S2)から構成され、第1のAC電圧信号(S1)は、第2のAC電圧信号(S2)に対して180°位相シフトされている。制御ユニット(6)は、二つの第1のパワー・スイッチ(T1、T2)を備える、第1のAC電圧信号(S1)を増幅するための第1のアナログ増幅器(8)と、二つの第2のパワー・スイッチ(T3、T4)を備える、第2のAC電圧信号(S2)を増幅するための第2のアナログ増幅器(10)とを有し、二つのアナログ増幅器(8、10)のそれぞれの一方のパワー・スイッチ(T1、T3)は、上側電圧回路(12)を一緒に形成し、二つのアナログ増幅器(8、10)のそれぞれのもう一方のパワー・スイッチ(T2、T4)は、下側電圧回路(14)を一緒に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス・パネル装置(2)であって
-スイッチャブル・ガラス・パネル(4)と
-制御電圧(U
A)で前記スイッチャブル・ガラス・パネル(4)を制御するための制御ユニット(6)であって、前記制御電圧(U
A)が第1のAC電圧信号(S
1)及び第2のAC電圧信号(S
2)から構成され、前記第1のAC電圧信号(S
1)が前記第2のAC電圧信号(S
2)に対して180°位相シフトされている、制御ユニット(6)と、
を備えるガラス・パネル装置(2)において、
-前記制御ユニット(6)が、二つの第1のパワー・トランジスタ(T1、T2)を有する、前記第1のAC電圧信号(S
1)を増幅するための第1のアナログ増幅器(8)と、二つの第2のパワー・トランジスタ(T3、T4)を有する、前記第2のAC電圧信号(S
2)を増幅するための第2のアナログ増幅器(10)とを有し、前記二つのアナログ増幅器(8、10)のそれぞれの一方のパワー・トランジスタ(T1、T3)が上側電圧回路(12)を一緒に形成し、前記二つのアナログ増幅器(8、10)のそれぞれのもう一方のパワー・トランジスタ(T2、T4)が下側電圧回路(14)を一緒に形成し、
-前記スイッチャブル・ガラス・パネル(4)が前記第1のアナログ増幅器(8)の出力(OUT)と前記第2のアナログ増幅器(10)の出力(COM)との間に接続され、
-前記制御ユニット(6)が前記上側電圧回路(12)に可変供給電圧を印加するように構成された第1の電圧レギュレータ(16)を更に有する、
ことを特徴とする、ガラス・パネル装置(2)。
【請求項2】
前記制御ユニット(6)が前記第1のアナログ増幅器(8)の前記出力(OUT)と前記第2のアナログ増幅器(10)の前記出力(COM)との間に接続された放電ユニット(18)を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス・パネル装置(2)。
【請求項3】
前記制御ユニット(6)が可変供給電圧を前記下側電圧回路(14)に印加するように構成された第2の電圧レギュレータ(20)を更に有する、
ことを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか一項に記載のガラス・パネル装置(2)。
【請求項4】
前記第2の電圧レギュレータ(20)がスイッチ(22)と、ダイオード(24)と、比較器(26)とを備える、
ことを特徴とする、請求項3に記載のガラス・パネル装置(2)。
【請求項5】
前記第1のアナログ増幅器(8)の前記第1のパワー・トランジスタ(T1、T2)及び前記第2のアナログ増幅器(10)の前記第2のパワー・トランジスタ(T3、T4)がバイポーラ・トランジスタ又はMOSFETとして形成されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガラス・パネル装置(2)。
【請求項6】
前記第1のAC電圧信号(S
1)及び前記第2のAC電圧信号(S
2)がそれぞれ、40V~80Vの範囲の電圧値を有する、
ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガラス・パネル装置(2)。
【請求項7】
第1のアナログ増幅器(8)の出力(OUT)と第2のアナログ増幅器(10)の出力(COM)との間に接続されたスイッチャブル・ガラス・パネル(2)を制御するための方法であって、前記二つのアナログ増幅器(8、10)のそれぞれの一方のパワー・トランジスタ(T1、T3)が上側電圧回路(12)を一緒に形成し、前記二つのアナログ増幅器(8、10)のそれぞれのもう一方のパワー・トランジスタ(T2、T4)が下側電圧回路(14)を一緒に形成し、
-前記二つのアナログ増幅器(8、10)によって供給される制御電圧(U
A)を前記スイッチャブル・ガラス・パネル(4)に印加するステップであって、前記制御電圧(U
A)が第1のAC電圧信号(S
1)、及び前記第1のAC電圧信号(S
1)に対して180°位相シフトされた第2のAC電圧信号(S
2)から構成される、ステップと、
-前記スイッチャブル・ガラス・パネル(4)を放電するステップであって、前記第1のアナログ増幅器(8)の前記出力(OUT)が前記第2のアナログ増幅器(10)の前記出力(COM)を介して放電される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記スイッチャブル・ガラス・パネル(4)を放電するステップであって、前記第1のアナログ増幅器(8)の前記出力(OUT)が接地電位を介して更に放電される、ステップ、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のアナログ増幅器(8)及び前記第2のアナログ増幅器(10)に可変供給電圧を印加するステップ、
を更に含む、請求項7乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記可変供給電圧の設定値が前記制御電圧(U
A)の電圧値よりも小さくなるように前記可変供給電圧を適合させることによって、前記上側電圧回路(12)の前記パワー・トランジスタ(T1、T3)を介して前記スイッチャブル・ガラス・パネルを放電するステップ、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガラス・パネル装置(2)を有する自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス・パネル装置、ガラス・パネル装置を制御するための方法、及びガラス・パネル装置を有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチャブル・ガラス又はスマート・ガラス(例えば、LC、PDLC、又はSPD)は、AC(交流)電圧が印加されると、その光学特性を透明から不透明に、及びその逆に変化させることができるフィルムである。このようなフィルムは、例えば、透明、すなわち半透明、及び不透明、すなわち遮光の状態が顧客によって要求又は所望される、建物又は自動車のガラス窓、例えばガラス屋根の形態で使用される。
【0003】
技術に応じて、スイッチャブル・ガラスは、通常、20V-AC~180V-ACの正弦波電圧で制御される。したがって、他のAC電圧曲線も可能である。「スイッチ・オン」(例えば、不透明)及び「スイッチ・オフ」(例えば、透明)の状態のみが必要な場合は、240V-AC網への接続のために相応の変圧比を有する変圧器が使用されることがある。
【0004】
例えば自動車の場合のように、AC電圧がDC(直流)電圧から生成される場合、インバータが必要となる。これは、とりわけ以下の回路を使用して実現することができる。
-ブリッジ回路(フルブリッジ)
-D級増幅器、又は
-アナログ増幅器
【0005】
フルブリッジの形態のブリッジ回路は、容易に実装することができる。しかしながら、フルブリッジによって提供される矩形の電圧曲線は、ケーブル及びフォイルに高周波EMC干渉を生成するという欠点を有する。これを回避するためには、例えば、相応に大きなLCフィルタが必要となる。加えて、比較的高い電圧のデジタル・スイッチングは、既存のPCBにEMC干渉を生成する。このため、シールドに必要な金属ハウジングが必要となる場合がある。
【0006】
D級増幅器は、例えばオーディオ増幅器に使用されている。これは、パルス幅変調信号で制御されるデジタル・ハーフブリッジである。しかしながら、ここでも高周波のEMC干渉が起こり得る。この理由から、通常、シールドのためにLCフィルタ及び場合によっては金属ハウジングが必要となり、全体的な設計をコスト集約的で複雑なものにする。
【0007】
アナログ増幅器による制御は、例えば、独国特許出願102016214292A1号に記載されている。アナログ増幅器を使用する制御は、高周波EMC干渉を生成しない。しかしながら、このタイプの制御は、比較的大きな電力損失を伴う。したがって、ここでは大規模な冷却が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに基づいて、本発明は、EMC干渉が発生せず、電力損失が低減されたガラス・パネル装置及びガラス・パネル装置を制御するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ガラス・パネル装置に関して、本発明によると、本目的は、請求項1の特徴を備えるガラス・パネル装置によって解決される。方法に関して、本発明によると、本目的は、請求項7の特徴を有するガラス・パネル装置を制御するための方法によって解決される。
【0010】
有利な実施形態、更なる発展形態及び変形形態は、従属請求項の主題である。ガラス・パネル装置に関して述べた利点及び好ましい実施形態は、方法にも同様に適用可能であり、その逆も同様である。
【0011】
具体的には、ガラス・パネル装置の根底にある目的は、スイッチャブル・ガラス・パネルと、制御電圧でスイッチャブル・ガラス・パネルを制御するための制御ユニットとを有するガラス・パネル装置によって解決される。制御電圧は、第1のAC電圧信号及び第2のAC電圧信号から構成され、第1のAC電圧信号は、第2のAC電圧信号に対して電気的に180°位相シフトされている。
【0012】
更に、制御ユニットは、第1のAC電圧信号を増幅するための二つの第1のパワー・トランジスタを有する第1のアナログ増幅器と、第2のAC電圧信号を増幅するための二つの第2のパワー・トランジスタを有する第2のアナログ増幅器とを有する。パワー・トランジスタは、例えば、MOSFETとして、又は代替としてバイポーラ・トランジスタとして設計されてもよい。二つのアナログ増幅器のそれぞれの一方のパワー・トランジスタは、上側電圧回路を一緒に形成する。換言すれば、上側電圧回路は、第1のアナログ増幅器の二つのパワー・トランジスタのうちの一つと、第2のアナログ増幅器の二つのパワー・トランジスタのうちの一つとによって形成される。同様に、二つのアナログ増幅器のもう一方のパワー・トランジスタは、下側電圧回路を一緒に形成する。
【0013】
スイッチャブル・ガラス・パネルは、第1のアナログ増幅器の出力と第2のアナログ増幅器の出力との間に更に接続されている。その結果、負の供給電圧を省くことができる。
【0014】
アナログ増幅器を使用することによって、冒頭で述べたEMC干渉を回避することができる。その結果、シールドのための費用のかかる金属製ハウジングを省くことができるため、費用対効果の高いプラスチック製ハウジングを使用することが可能である。更に、更なるフィルタ構成部品は不要であり、このことも同様にコスト及び設計上の利点をもたらす。
【0015】
制御ユニットは、可変供給電圧を上側電圧回路に印加するように構成された第1の電圧レギュレータを更に有する。その結果、正弦波制御信号のピーク間の領域において、供給電圧を相応に下げることが可能である。このようにして最適化された供給電圧によって、上側電圧回路における電力損失を、従来のアナログ増幅回路と比較して、例えば約30%低減することができる。電力損失の節約/低減に関するパーセンテージ・データが以下で指定されている場合、これらのデータは常に、正弦波出力電圧を有する従来のアナログ増幅回路との比較に関するものである。
【0016】
代替の実施形態によると、制御ユニットは、第1のアナログ増幅器の出力と第2のアナログ増幅器の出力との間に接続された放電ユニットを有する。その結果、スイッチャブル・ガラス・パネルを半分の制御電圧で放電することが可能であり、これにより、既知の従来のアナログ増幅回路と比較して電力損失が約50%低減される。放電回路を実現するために、例えばバイポーラ・トランジスタ又はMOSFETを使用することができる。このタイプのスイッチング素子は、多種多様な変形形態及び構成で市場において入手可能であり、その結果、放電ユニットは、第一に単純な手段で実装することができ、第二にガラス・パネル装置の電力パラメータに関して最適に適合させることができる。
【0017】
上述した構成によって、電力損失を、既知のアナログ増幅回路と比較して最大65%低減することができる。上述の構成による電力損失の最小化については、具体例を使用して図の説明の文脈において再度説明する。具体的には、アナログ増幅器にMOSFETを使用し、AC電圧信号の信号形態を巧みに生成すると、放電回路の追加の構成部品を省くことができ、これもガラス・パネル装置の構造に有利に影響する。
【0018】
一発展形態では、制御ユニットは、可変供給電圧を下側電圧回路に印加するように構成された第2の電圧レギュレータを更に有する。上側電圧回路への可変供給電圧の印加と同様に、下側電圧回路にも可変電圧源が供給される。その結果、約15%の更なる電力損失の低減を実施することができる。
【0019】
一実施形態では、第2の電圧レギュレータは、スイッチと、ダイオードと、比較器とを有する。特に自動車の場合、供給される電圧は、通常、約12~13Vであるため、第2の電圧レギュレータは、上述の構成部品によって容易に実装することができ、その結果、「下側供給電圧」、すなわち下側電圧回路の供給電圧が接地と車両電圧との間で交互に切り替えられる。この制御は比較器によって行われる。更に、第2の電圧レギュレータのパワー・トランジスタがオープンである間、動作中に電流が車両バッテリに逆流する。その結果、総電力を更に低減することができる。
【0020】
上述した構成によって、ほとんど費用をかけずに(最適化を伴わない電力損失に基づいて)それ自体で約7%の電力損失を節約することができる。最大の節約は、(最適化を行わない電力損失に基づいて)約70%である。
【0021】
電力損失の更なる低減によって、本実施形態では、最高105℃の値を有する温度でもエラーなしにスイッチャブル・ガラス・パネルの制御が機能することが保証される。この「温度耐性」は、このような温度値が、特に夏場に、自動車構成部品で発生する可能性があるため、特にスイッチャブル・ガラス・パネルを自動車の車両ルーフとして使用する場合に重要である。一実施形態では、第1のアナログ増幅器のパワー・トランジスタ及び第2のアナログ増幅器のパワー・トランジスタは、バイポーラ・トランジスタ又はMOSFETとして形成される。この構成の利点は、このタイプの構成部品が様々な変形形態で入手可能であり、したがって、アナログ増幅器をそれぞれの要件に対して容易かつ最適に適合させ、又は構成することができることである。
【0022】
一実施形態では、第1のAC電圧信号及び第2のAC電圧信号はそれぞれ、40V~80Vの範囲の電圧値を有する。この結果、制御信号のピーク・ツー・ピーク値がそれに応じて80V~160Vとなる。このような電圧値は、既知のスイッチャブル・ガラス・パネルを制御するのに有利であり十分であることが証明されている。第1及び第2のAC電圧信号は、自動車の現行の(車載)電圧が通常DC電圧であるため、インバータによって生成されることがある。
【0023】
具体的には、本方法に向けられた目的は、第1のアナログ増幅器の出力と第2のアナログ増幅器の出力との間に接続されたスイッチャブル・ガラス・パネルを制御するための方法によって解決され、二つのアナログ増幅器のそれぞれの一方のパワー・トランジスタが上側電圧回路を一緒に形成し、二つのアナログ増幅器のそれぞれのもう一方のパワー・トランジスタが下側電圧回路を一緒に形成し、本方法は、
-二つのアナログ増幅器によって供給される制御電圧をスイッチャブル・ガラス・パネルに印加するステップであって、制御電圧が、第1のAC電圧信号と、第1のAC電圧信号に対して180°信号位相シフトされた第2のAC電圧信号とから構成される、ステップと、
-スイッチャブル・ガラス・パネルを放電するステップであって、第1のアナログ増幅器の出力が第2のアナログ増幅器の出力を介して放電される、ステップと、を含む。
【0024】
一実施形態では、本方法は、
スイッチャブル・ガラス・パネルを放電するステップであって、第1のアナログ増幅器の出力が接地電位を介して更に放電される、ステップを更に含む。
【0025】
言い換えると、スイッチャブル・ガラス・パネルの放電は、したがって、主に第2のアナログ増幅器の出力を介して、及び(更に)接地電位を介して行われる。
【0026】
特に、少なくとも一つの放電段階においてスイッチャブル・ガラス・パネルを放電させる上述の方法ステップによって、放電が既存の構成部品を介して有利に行われるため、追加の放電回路及びその制御を省くことができる。マイクロコントローラは、通常、スイッチャブル・ガラスのための制御ユニットにおいていずれにせよ使用されるため、前記マイクロコントローラを介して、アナログ増幅器の出力のためのAC電圧信号及び可変供給電圧を生成することもできる。したがって、信号形態を個々に適合させることが可能である。
【0027】
一実施形態では、本方法は、
第1のアナログ増幅器及び第2のアナログ増幅器に可変供給電圧を印加するステップを更に含む。
【0028】
一実施形態によると、この可変供給電圧は、放電にも使用することができ、その場合、放電は、可変供給電圧を適合させることによって上側電圧回路のパワー・トランジスタを介して行われる。可変供給電圧の適合とは、ここでは、放電段階における可変供給電圧の設定値が制御電圧の電圧値よりも低い値を有することを意味すると理解することができる。例えば、限定するものではないが、可変供給電圧の設定値は、制御電圧の電圧値よりも1ボルト小さくてもよい。適合は、例えば、二つの正弦波電圧プロファイルの互いに対する時間シフトによって行われてもよい。
【0029】
本実施形態によって、有利な作動との組合せで既存の構成部品のみが放電に使用されるため、放電回路を省くことができる。
【0030】
更に、ガラス・パネル装置を有する自動車が、本出願の文脈において特許請求され、開示される。ガラス・パネル装置は、既に上述したガラス・パネル装置であることが好ましい。
【0031】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。これらの図面は、部分的に大幅に簡略化された表現で以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】第1の実施形態による本発明によるガラス・パネル装置の概略回路図である。
【
図2】第2の実施形態による本発明によるガラス・パネル装置の概略回路図である。
【
図3】可変供給電圧を下側電圧回路に印加するための第2の電圧レギュレータの概略回路図である。
【
図4】第3の実施形態による本発明によるガラス・パネル装置の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
各図において、同じ効果を有する構成要素は、それぞれ同じ参照数字で表されている。
【0034】
図1は、ガラス・パネル装置2の回路図を概略的に示す。ガラス・パネル装置2は、スイッチャブル・ガラス・パネル4を有し、このガラス・パネルは、回路図では、単に等価回路の形態でRC素子として表されている。
【0035】
ガラス・パネル装置2は、第1のアナログ増幅器8及び第2のアナログ増幅器10を有する制御ユニット6を更に有する。簡単にするために、図では、制御ユニット6の二つのアナログ増幅器8、10のみが示されている。しかしながら、この種の表現が制御ユニット6に関して限定的な性質を有していないことは言うまでもない。むしろ、本明細書に記載されていない更なる構成要素が制御ユニット6の一部であってもよい。
【0036】
制御ユニット6は、第1のアナログ増幅器8によって増幅される第1のAC電圧信号(S
1)と、第2のアナログ増幅器10によって増幅される第2のAC電圧信号S
2(
図2参照)とから構成される制御電圧U
A(
図2参照)でスイッチャブル・ガラス・パネル4を制御する。第1のAC電圧信号S
1は、第2のAC電圧信号S
2に対して電気的に180°位相シフトされている。
【0037】
更に、第1のアナログ増幅器8は、二つの第1のパワー・トランジスタT1、T2を有し、第2のアナログ増幅器は、二つの第2のパワー・トランジスタT3、T4を有する。パワー・トランジスタT1、T2、T3、T4は、例示的な実施形態ではMOSFETとして具現化されている。二つのアナログ増幅器8、10のそれぞれの一方のパワー・トランジスタT1、T3は、図において破線の矩形によって概略的に表されている上側電圧回路12を一緒に形成する。二つのアナログ増幅器8、10のそれぞれのもう一方のパワー・トランジスタT2、T4は、同様に、下側電圧回路14を形成する。
【0038】
スイッチャブル・ガラス・パネル4は、第1のアナログ増幅器8の出力OUTと第2のアナログ増幅器10の出力COMとの間に接続されている。
【0039】
同様に
図1に示されるように、制御ユニット6は、第1の電圧レギュレータ16を更に有する。第1の電圧レギュレータ16は、上側電圧回路12に可変供給電圧を印加するように構成され、上側電圧回路12に電気的に接続されている。
図1において、第1の電圧レギュレータ16と、その上側電圧回路12への電気的接続は、大幅に簡略化された態様で表されているに過ぎない。
【0040】
上で説明した電力損失の最小化は、例えば、スイッチャブル・ガラス・パネル4の放電段階において、可変供給電圧が第2のアナログ増幅器10の第2のパワー・トランジスタのうちの一つT3によって出力COMに印加されるように、上述したガラス・パネル装置2によって達成される。しかしながら、出力COMへのこの印加中の放電は、第1のアナログ増幅器6の出力OUTの、MOSFETとして具現化された一方の第1のパワー・トランジスタT1の(ボディ)ダイオードを介して更に行われる。第1のアナログ増幅器8の出力OUTは、もう一方の第1のパワー・トランジスタT2を介して接地電位に対して更に放電される。
【0041】
可変供給電圧の設定値は、この時点で既に、第1のアナログ増幅器8の出力OUTに存在する電圧よりも低い。したがって、第1の電圧レギュレータ16からは何も供給されない。こうして、第1のアナログ増幅器8の出力OUTの放電電流は、一方の第1のパワー・トランジスタT1の(ボディ)ダイオードを介して、及び一方の第2のパワー・トランジスタT3を介して、第2のアナログ増幅器10の出力COMに直接伝導される。これにより、追加の放電回路及びその作動を省くことができる。
【0042】
したがって、本発明は、パワー・トランジスタT1及びT3の既存のダイオードを、容易に適合される可変供給電圧の電圧プロファイルと共に使用する。更に、本発明は、非同期電圧レギュレータ・アーキテクチャの状況、すなわち、電流を供給することだけが可能で、放電することはできないという状況を利用する。
【0043】
更なる前提条件は、電圧レギュレータの出力キャパシタンスがフィルムのキャパシタンスよりもかなり低く、例えば1:10の比でなければならないことである。可変供給電圧は、放電段階中のこの電圧の設定値が所望の電圧プロファイルよりも約1V低くなるように、動作中に適合される。
【0044】
既に述べたように、MOSFETの代わりにバイポーラ・トランジスタを使用することもできる。しかしながら、トランジスタT1及びT3と並列に、上述したMOSFETの変形例の(ボディ)ダイオードに従って機能するダイオードを実装しなければならない。
【0045】
図2は、本発明によるガラス・パネル装置2の代替の実施形態の回路図を示す。この代替の実施形態は、
図1による実施形態に実質的に対応する。このため、
図2の回路図は、
図1による回路図と比較して更に簡略化された態様で表されている。
【0046】
図1による実施形態とは異なる特徴として、ガラス・パネル装置2、特に制御ユニット4は、第1のアナログ増幅器8の出力OUTと第2のアナログ増幅器10の出力COMとの間に接続された放電ユニット18を有する。放電ユニット18は、前述のスイッチャブル・ガラス・パネル4の放電を代替のやり方で可能にする。
【0047】
図3は、スイッチ22と、ダイオード24と、比較器26とを備える第2の電圧レギュレータ20の詳細な構造を示す。第2の電圧レギュレータ20は、可変供給電圧を下側電圧回路14に印加するように機能する(
図4参照)。
【0048】
図4は、ガラス・パネル装置2の第3の実施形態を示す。ガラス・パネル装置2の第3の実施形態も、
図1による第1の実施形態に実質的に対応する。しかしながら、本実施形態では、ガラス・パネル装置2及び特に制御ユニット6は、大幅に簡略化された態様で示されているように、下側電圧回路14に電気的に接続された上述の第2の電圧レギュレータ20を更に備える。一般的な動作モードについては既に上述したので、ここでは省略する。
【0049】
本発明は、上述した例示的な実施形態に限定されない。むしろ、当業者であれば、本発明の主題から逸脱することなく、本発明の他の変形形態を導き出すこともできる。特に、例示的な実施形態に関連して説明した個々の特徴はすべて、本発明の主題から逸脱することなく、別のやり方で互いに組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0050】
2 ガラス・パネル装置
4 スイッチャブル・ガラス・パネル
6 制御ユニット
8 第1のアナログ増幅器
10 第2のアナログ増幅器
12 上側電圧回路
14 下側電圧回路
16 第1の電圧レギュレータ
18 放電ユニット
20 第2の電圧レギュレータ
22 スイッチ
24 ダイオード
26 比較器
S1 第1のAC電圧信号
S2 第2のAC電圧信号
UA 制御電圧
OUT 第1のアナログ増幅器の出力
COM 第2のアナログ増幅器の出力
T1 第1のアナログ増幅器の第1のパワー・トランジスタ
T2 第1のアナログ増幅器の第1のパワー・トランジスタ
T3 第2のアナログ増幅器の第2のパワー・トランジスタ
T4 第2のアナログ増幅器の第2のパワー・トランジスタ
【国際調査報告】