(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】接続端子を備えたフィードスルーならびにこのようなフィードスルーを備えたケーシングおよびリレー
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20241003BHJP
H01H 50/14 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01R9/16 101
H01H50/14 C
H01H50/14 B
H01H50/14 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522286
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022077903
(87)【国際公開番号】W WO2023061862
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021126633.5
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ハートル
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086PP07
5E086PP23
5E086QQ07
(57)【要約】
特に高出力リレー(200)のための、接続端子(22)を備えたフィードスルー(10)であって、貫通開口(14)を備えたケーシング部分(12)と、貫通開口(14)を貫通して案内されていて、固定材料(16)によって貫通開口(14)に対してシールされている接続端子装置(20)とを有し、接続端子装置(20)は、第1の材料から成る接続端子(22)と、第2の材料から成る管ガイド(26)とを含み、管ガイド(26)は、接続端子(22)の少なくとも一部を取り囲んでいて、固定材料(16)は接続端子装置(20)をシールするために、管ガイド(26)のスリーブ区域(27)の外壁と貫通開口(14)の内壁との間に配置されており、スリーブ区域(27)の内壁と接続端子(22)との間には、第1のギャップ(32)が存在しており、接続端子装置(20)はさらに、管ガイド(26)を接続端子(22)に接続しているフレキシブルなエレメント(28)を有し、フレキシブルなエレメント(28)は、接続端子(22)のピン区域を取り囲んでおり、接続端子(22)のピン区域とフレキシブルなエレメント(28)との間には第2のギャップ(34)が存在している、フィードスルー(10)。さらに、フレキシブルなエレメント(28)は、管ガイド(26)の減じられた厚さを有する区域として、管ガイド(26)と一体に形成されている、またはフレキシブルなエレメント(28)は第3の材料から製造されている、またはフレキシブルなエレメント(28)は接続端子(22)と一体に形成されていることが想定されている。本発明のさらなる態様は、それぞれ少なくとも1つのこのようなフィードスルーを含むケーシングならびにリレーに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に高出力リレー(200)用の、接続端子(22)を備えたフィードスルー(10)であって、
貫通開口(14)を備えたケーシング部分(12)と、
前記貫通開口(14)を貫通して案内されていて、固定材料(16)によって前記貫通開口(14)に対してシールされている接続端子装置(20)と、
を有し、
前記接続端子装置(20)は、第1の材料から成る接続端子(22)と、第2の材料から成る管ガイド(26)とを含み、前記管ガイド(26)は、前記接続端子(22)の少なくとも一部を取り囲んでいて、前記固定材料(16)は前記接続端子装置(20)をシールするために、前記管ガイド(26)のスリーブ区域(27)の外壁と前記貫通開口(14)の内壁との間に配置されており、前記スリーブ区域(27)の内壁と前記接続端子(22)との間には、第1のギャップ(32)が存在している、フィードスルー(10)において、
前記接続端子装置(20)は、前記管ガイド(26)を前記接続端子(22)に接続しているフレキシブルなエレメント(28)をさらに有し、前記フレキシブルなエレメント(28)は、前記接続端子(22)のピン区域を取り囲んでおり、前記接続端子(22)の前記ピン区域と前記フレキシブルなエレメント(28)との間には第2のギャップ(34)が存在しており、
i)前記フレキシブルなエレメント(28)は、減じられた厚さを有する前記管ガイド(26)の区域として、前記管ガイド(26)と一体に形成されている、または
ii)前記フレキシブルなエレメント(28)は第3の材料から製造されている、または
iii)前記フレキシブルなエレメント(28)は、前記接続端子(22)と一体に形成されている、
ことを特徴とするフィードスルー(10)。
【請求項2】
前記接続端子(22)は、カラー(24)を有し、前記フレキシブルなエレメント(26)は、態様i)またはii)によれば、前記カラー(24)の、前記貫通開口(14)に面した側で、前記カラーに結合されている、または態様iii)による前記管ガイド(26)と一体に形成されている場合には、前記フレキシブルなエレメント(28)を形成する、前記接続端子(22)の区域は、前記カラー(24)の、前記貫通開口(14)に面した側から始まる、請求項1記載のフィードスルー(10)。
【請求項3】
前記接続端子(22)はカラー(24)を有し、前記フレキシブルなエレメント(28)は、態様i)またはii)によれば、前記カラー(24)の側方の面で、前記カラーに結合されている、請求項1記載のフィードスルー(10)。
【請求項4】
前記カラー(24)は、前記貫通開口(14)の外側に配置されている、請求項2または3記載のフィードスルー(10)。
【請求項5】
前記管ガイド(26)は、前記フレキシブルなエレメント(28)に面した側で、前記貫通開口(14)の外側で、連続的なまたは変動する直径の拡大部を有し、前記管ガイド(26)は、拡大された直径を有するこの領域で前記フレキシブルなエレメント(28)に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項6】
前記接続端子(22)は、外側に面した側に、接続ラインを取り付けるためのねじ山付き孔(23)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項7】
前記固定材料(16)と、前記ケーシング部分(12)の隣接する区域とは、前記フィードスルー(10)の上面および/または下面で絶縁材料(36)によって覆われている、請求項1から6までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項8】
前記絶縁材料(36)は、電気絶縁材料から成るディスクとして形成されていて、または電気絶縁材料から成るコーティングとして形成されている、請求項7記載のフィードスルー(10)。
【請求項9】
前記フィードスルー(10)は、前記ケーシング部分(12)の熱膨張係数が、前記固定材料(16)の熱膨張係数よりも大きい圧縮ガラス封止部として形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項10】
前記第1の材料は、前記第2の材料よりも低い電気抵抗を有し、かつ/または前記第1の材料は、前記第2の材料よりも低い弾性率を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項11】
態様ii)による前記第3の材料は、前記第2の材料よりも低い弾性率を有し、好適には前記第1の材料よりも低い弾性率を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項12】
前記第1の材料は、銅または銅合金、特に真鍮、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような非鉄金属から選択されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項13】
前記接続端子(22)の端面は、接触抵抗を減じるための、かつ/または火花形成を減じるためのコンタクト材料によって被覆されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項14】
前記管ガイド(26)が金属薄板部分として形成されており、前記スリーブ区域(27)では、前記金属薄板部分の1回以上の折曲げにより、前記フレキシブルなエレメント(28)として形成されている区域よりも厚さが増大されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項15】
前記金属薄板部分は、片側で被覆された金属薄板部分であって、前記金属薄板部分は、前記金属薄板部分の被覆された側が、前記フレキシブルなエレメント(28)または前記接続端子(22)との結合部(30)の方向を向いていて、前記金属薄板部分の被覆されていない側が前記固定材料(16)の方向に面しているように折り曲げられ配置されている、請求項14記載のフィードスルー(10)。
【請求項16】
前記第2の材料は、鋼、特にフェライト鋼、または鋼合金、特にニッケル鋼合金またはクロム鋼から選択されている、請求項1から15までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項17】
前記固定材料(16)は、ガラス、ガラスセラミックまたはセラミックから選択されている、請求項1から16までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項18】
前記ガラスは、ホウケイ酸ガラス、ナトリウムバリウムガラス、アルカリガラス、ケイ酸塩ガラス、またはソーダガラスから選択されている、請求項17記載のフィードスルー(10)。
【請求項19】
前記接続端子装置(20)は、前記管ガイド(26)に結合されている別のフレキシブルなエレメントを含み、前記フレキシブルなエレメント(28)と前記別のフレキシブルなエレメントとは、前記貫通開口(14)に関して逆側で、前記接続端子(22)に結合されている、または一体的な構成の場合には前記接続端子に移行している、請求項1から18までのいずれか1項記載のフィードスルー(10)。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項記載の少なくとも1つのフィードスルー(10)を含むケーシング(100)。
【請求項21】
請求項1から19までのいずれか1項記載の少なくとも2つのフィードスルー(10)、または請求項20記載のケーシング、ならびに両前記フィードスルー(10)の前記接続端子(22)の間の電気的な接続を形成するためのコンタクト装置(110)を含むリレー(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に高出力リレーのための、接続端子を備えたフィードスルーであって、貫通開口を備えたケーシング部分と、貫通開口を貫通して案内されていて、固定材料によって貫通開口に対してシールされている接続端子装置とを有しているフィードスルーに関する。本発明のさらなる態様は、それぞれ少なくとも1つのこのようなフィードスルーを含むケーシングならびにリレーに関する。
【0002】
従来技術において、電流をオン・オフすることができるリレーが公知である。そのための一例は、車両用の電気エネルギを供給する駆動用バッテリを車両の電力網から確実に分離するために、電気車両またはハイブリッド車両で使用される高出力リレーである。このようなリレーは、ケーシング、切り替えるべき電流回路用の電気的フィードスルー、および電流を切り替えるために2つの端子を接続または分離するコンタクト装置を含む。コンタクト装置は、例えば電磁石の形態のアクチュエータによって操作することができる。ケーシングの内部は、通常、一方では湿分の侵入を阻止するために、他方では、場合によりケーシング内に存在する、アークを消すための消弧ガスをケーシング内に保持するために、シールされている。
【0003】
欧州特許第3358593号明細書からは、特に高出力リレーに適している気密な端子が公知である。この気密な端子は、貫通孔を有する金属容器、この貫通孔を通して案内されている管ガイド、管ガイドと金属容器とを気密にシールする絶縁ガラス、ならびに管ガイドを通って延在し、管ガイドに気密に取り付けられている端子台を含む。端子台は、低抵抗金属から製造されており、端子において、管ガイドの、絶縁ガラスと接触する区域の内周面と、端子台の相応する区域の外周面との間にギャップが存在するように配置されている。端子台が熱膨張する際には、管ガイドが変形し、これにより絶縁ガラスの損傷が阻止される。
【0004】
公知のフィードスルーでは、接続端子の熱膨張を補償するために必要な柔軟性は、このために最小限の長さもしくは最小限の高さを有していなければならない管ガイドにより提供される。したがって、公知のフィードスルーは、比較的高い構成高さを有している。このような形式のフィードスルーを備えたケーシングを全体としてよりコンパクトに形成することができるように、本発明の課題は、構成高さの低い、接続端子を備えたフィードスルーを提供することである。
【0005】
公知の管ガイドは、接続端子の熱膨張による長さ変動を吸収することができるように、弾性でなければならない。しかしながら、気密なシールのために圧縮ガラス封止が所望される場合には、公知の管ガイドによっては、このために必要な対抗圧力を加えることができない。したがって、本発明の課題は、圧縮ガラス封止のために適したフィードスルーを提供することである。
【0006】
接続端子と供給ラインとの間でねじ固定を使用する場合には、結合ねじを締め付ける際に高いトルクが生じる場合があり、このトルクは公知の気密にシールされた接続端子では良好に吸収することはできない。したがって、本発明のさらなる課題は、接続端子に加えられるトルクの吸収および放出が改善されている、接続端子を備えたフィードスルーを提供することであると言える。
【0007】
発明の開示
特に高出力リレーのために適している、接続端子を備えたフィードスルーが提案される。このフィードスルーは、貫通開口を備えたケーシング部分と、貫通開口を貫通して案内されていて、固定材料によって貫通開口に対してシールされている接続端子装置とを有している。接続端子装置は、第1の材料から成る接続端子と、第2の材料から成る管ガイドとを含んでおり、管ガイドは、接続端子の少なくとも一部を取り囲んでいて、固定材料は、接続端子装置をシールするために、管ガイドのスリーブ区域の外壁と貫通開口の内壁との間に配置されており、スリーブ区域の内壁と接続端子との間には、第1のギャップが存在している。この場合、固定材料は、接続端子装置を貫通開口内で機械的に固定していて、接続端子装置をケーシング部分から電気的に絶縁している。さらに、接続端子装置は、管ガイドを接続端子に接続しているフレキシブルなエレメントを有しており、このフレキシブルなエレメントは、接続端子のピン区域を取り囲んでおり、接続端子のピン区域とフレキシブルなエレメントとの間には第2のギャップが存在している。フレキシブルなエレメントは、第1の態様i)では、減じられた厚さを有する管ガイドの区域として、この管ガイドと一体に形成されている。第2の態様ii)では、フレキシブルなエレメントは第3の材料から製造されている。第3の態様iii)では、フレキシブルなエレメントは、接続端子と一体に形成されている。
【0008】
接続端子は、フィードスルー内で特に電流導体として機能するピン区域を有している。ピン区域は、好適には実質的に筒状に、特に円筒の形状に形成されているが、別の形状も考えられる。したがって、例えば、楕円形、正方形、または長方形の横断面を有する筒形状も考えられる。さらに、ピン区域が完全にまたは部分的に円錐状に成形されていることが考えられる。スリーブ区域を備えた管ガイドならびにフレキシブルなエレメントは、ピン区域を少なくとも部分的に取り囲んでいる。好適には、その横断面形状は、ピン区域の横断面形状に相応に選択される。
【0009】
本発明の第1の態様では、管ガイドの、フレキシブルなエレメントとして機能する部分の弾性が、厚さの減少により高められる。この場合、厚さのこのような減少は、特にスリーブ区域に関して行われ、これによりフレキシブルなエレメントの領域における管ガイドの厚さ、特に壁厚は、スリーブ区域の領域における厚さよりも小さい。
【0010】
本発明の第2の態様では、フレキシブルなエレメントを別の材料から製造することにより、フレキシブルなエレメントの弾性が高められる。第3の材料は、この場合、好適には、その弾性率が、管ガイドのための第2の材料の弾性率よりも僅かであるように選択される。これにより、フレキシブルなエレメントが、スリーブ領域における管ガイドと同じ壁厚を有していたとしても、弾性は高められる。しかしながら付加的に、勿論、弾性をさらに高めるために、フレキシブルなエレメントの厚さもしくは壁厚を、スリーブ領域における管ガイドの厚さよりも小さく選択することもできる。
【0011】
第3の態様では、フレキシブルなエレメントが、接続端子と一体に形成されていて、したがって、接続端子と同じ材料から製造されている。接続端子のための第1の材料は、通常、管ガイドのための第2の材料よりも低い弾性率を有している。フレキシブルなエレメントの厚さもしくは壁厚も、管ガイドのスリーブ区域の厚さとは無関係に選択することができるので、良好な弾性特性を有するフレキシブルなエレメントが得られる。特に、この場合、フレキシブルなエレメントの厚さもしくは壁厚を、スリーブ区域における管ガイドの厚さよりも小さく選択することができる。
【0012】
3つすべての態様は、従来技術により公知のフィードスルーよりも、フレキシブルなエレメントの柔軟性を、管ガイドのスリーブ領域の特性に関係なく調節することができ、フレキシブルなエレメントの長さを減じることができ、これによりフィードスルーの構成高さが減じられる。構成高さとしては、この場合、特に、接続端子装置がケーシング部分を超えて突出する長さであると理解される。
【0013】
フレキシブルなエレメントと接続端子または管ガイドとの結合は、好適には溶接またはろう接により行われる。
【0014】
この結合は、好適には気密にシールされて行われる。同様に、管ガイドと貫通開口の内壁との間の固定材料によるシールも、好適には気密にシールされて行われる。
【0015】
気密とは、特に、差圧が1barの場合、ヘリウム漏れ速度が、1×10-8mbar l/s-1未満、好適には、1×10-9mbar l/s-1未満であると理解される。
【0016】
好適には、接続端子は少なくとも1つのカラーを有している。この場合、カラーは、特に、接続端子の外径が、ピン区域における外径よりも大きい、接続端子の領域として形成されている。このようなカラーは、一定の直径を有していてもよい。しかしながら、カラーの領域では、直径は、1つ以上の段において急激にまたは連続的に変化することが想定されていてもよい。
【0017】
少なくとも1つのカラーは、好適には、接続端子に配置されていて、カラーが、貫通開口の外側に配置されているように寸法設定されている。
【0018】
好適には、フレキシブルなエレメントは、態様i)またはii)によると、カラーの、貫通開口に面した側で、カラーに結合されている。態様iii)により、フレキシブルなエレメントが接続端子に一体に形成されている場合には、接続端子の、フレキシブルなエレメントを形成する区域が、カラーの、貫通開口に面した側から始まると好適である。
【0019】
カラーの外径およびフレキシブルなエレメントの外径は同一に選択されていてもよく、これによりフレキシブルなエレメントは、カラーと同一平面を成して接続されている。これに対して代替的に、フレキシブルなエレメントの外径は、相対的に小さく選択されていてもよい。
【0020】
カラーの、貫通開口に面した面におけるフレキシブルなエレメントの配置に対して代替的に、好適には、フレキシブルなエレメントは、態様i)またはii)によると、カラーの側方の面で、カラーに結合されている。
【0021】
接続端子は、電気的な供給ラインの接続を容易にするために、一方または両方の端面に接続手段を有していてもよい。この接続手段は、例えば、電気的な接続部とのねじ固定を可能にするねじ山付き孔として形成されている。好適には、少なくとも、フィードスルーの、外側に面した側には、このようなねじ山付き孔が配置されている。
【0022】
しかしながら、これに対して代替的に、接続手段は、例えば、平坦な面の形態で形成されていてもよく、これは、ろう接または溶接のために適している。この関連で、このような接続を良好に付着させるために、表面を被覆するおよび/または粗面化することが想定されてもよい。
【0023】
管ガイド、もしくは管ガイドと一体に形成されているならばフレキシブルなエレメントは、接続端子、特に接続端子のカラーとの結合を容易にするためにフランジを含むこともできる。このために、管ガイドの壁を折り曲げてフランジにすることが、または外径および/または内径の適合により管ガイドの終端面を拡大することが想定されていてもよい。
【0024】
このようなフランジを設けることにより、結合個所の直径も拡大することができ、これにより、接続端子に作用するトルクを、結合個所における損傷なく良好に伝達することができる。
【0025】
フレキシブルなエレメントが管ガイドに一体に形成されていない場合には、好適には、管ガイドは、フレキシブルなエレメントに面した側で、貫通開口の外側で、連続的なまたは変動する直径の拡大部を有しており、管ガイドは、拡大された直径を有するこの領域でフレキシブルなエレメントに結合されていることが想定されている。この場合も、ここで生じる拡大された直径は、接続端子に作用するトルクの伝達を改善することができ、これにより、特にねじ固定により接続ケーブルが接続端子に接続される場合に、フィードスルーの損傷が行われることはない。
【0026】
好適には、フレキシブルなエレメントは、フレキシブルなエレメントとピン区域との間の第2のギャップが、スリーブ区域とピン区域との間の第1のギャップよりも大きいか同じあるように配置され構成されている。例えば、フレキシブルなエレメントが、減じられた壁厚を有する管ガイドの延長により形成される場合は、好適には、厚さを減じるために、内径が拡大されて、外径は不変である。
【0027】
フィードスルーが、特に100V超、特に好適には1000V超の高い電圧を伴う電気的接続のために設けられている場合には特に、固定材料によって提供される絶縁区間は、好適には、さらなる絶縁材料の配置によって延長される。これにより、特に、さらなる絶縁材料によって延長されていない場合には、固定材料のみによって提供される絶縁距離を、不純物および/または湿気が存在する場合には克服するおそれのある漏れ電流および/または弧絡を減じることができる。
【0028】
このために好適には、固定材料と、ケーシング部分の隣接する区域とは、フィードスルーの上面および/または下面で絶縁材料によって覆われている。
【0029】
絶縁材料は、電気絶縁性の材料からなる絶縁ディスクとして形成されていてもよい。代替的にまたは付加的に、絶縁材料は、電気絶縁材料から成る、特に封止コンパウンドを含むコーティングとして形成されていてもよい。
【0030】
絶縁ディスクとしての構成では、絶縁材料は、特に、ガラス、ガラスセラミック、セラミックまたはプラスチックから選択されていてもよく、この場合、プラスチックが好適である。絶縁材料は、固定材料と同一に選択されてもよい。
【0031】
好適には、フィードスルーは、ケーシング部分の熱膨張係数が、固定材料の熱膨張係数よりも大きい圧縮ガラス封止部として形成されている。この場合、好適にはガラスである固定材料は、例えばガラス粉末から成る圧入体として準備され、接続端子装置と共にまたは少なくとも管ガイドと共に、ハウジング部分の貫通開口内に挿入される。この装置の加熱により、圧入体から固定材料が得られ、この固定材料が、貫通開口および管ガイドの壁にガラス付けされる。次いで、冷却の際には、ケーシング部分は、膨張係数の選択により固定材料よりも著しく収縮するため、完成したフィードスルーでは、ケーシング部分を通して連続的に圧力が固定材料に加えられる。これにより、特に、シールは高い品質を有し、頻繁な温度変化および高い機械的要求のような困難な条件下でも持続的にシールを維持し、特に気密封止されたままであることが達成される。管ガイドはこの場合、固定材料がこの圧縮ガラス封止において内側から支えられるように設計され、形成されている。このために、スリーブ区域は、スリーブ区域が十分な対抗圧力を加えることができるように、管ガイドの材料選択と組み合わせて選択されている厚さを有している。
【0032】
圧縮ガラス封止としての構成のために、好適には、ケーシング部分の材料と固定材料とは、ケーシング部分の熱膨張係数αケーシングが、固定材料の熱膨張係数αガラスよりも少なくとも20%大きくなるように選択される。例えば、αケーシングは、12×10-61/K~19×10-61/Kの範囲で選択され、αガラスは、9×10-61/K~11×10-61/Kの範囲で選択される。
【0033】
圧縮ガラス封止に対して代替的に、ケーシング部分、固定材料、および管ガイドの熱膨張係数を互いに整合させて選択することもでき、これにより、固定材料の熱膨張係数は、ケーシング部分および/または管ガイドの熱膨張係数とは、20%未満、好適には10%未満、特に好適には5%未満だけ異なる。
【0034】
好適には、接続端子のために使用される第1の材料は、管ガイドのために使用される第2の材料よりも低い電気抵抗を有している。接続端子はフィードスルーにおいて導電体として機能するので、可能な限り低い電気抵抗を有する材料が好適である。これにより特に、フィードスルーは、電流が大きい場合でも過剰に加熱されることはないことが達成される。
【0035】
特に、フレキシブルなエレメントが接続端子に一体に形成されているフィードスルーの態様では、好適には、第1の材料が、第2の材料よりも低い弾性率を有している。これにより、材料厚が大きな場合でも、フレキシブルなエレメントの弾性変形を行うことができる。
【0036】
フレキシブルなエレメントが第3の材料から製造されていて、したがって別個の構成要素として存在している限りは、態様ii)によるフレキシブルなエレメントのための第3の材料は、好適には、管ガイドのための第2の材料よりも低い弾性率を有している。さらに好適には、第3の材料はさらに、接続端子のための第1の材料よりも低い弾性率を有している。
【0037】
好適には、接続端子のための第1の材料は、銅または銅合金のような非鉄金属、特に真鍮、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような非鉄金属合金から選択されている。
【0038】
好適には、少なくとも接続端子の内側に向かう端面は、接触抵抗を減じるための、かつ/または火花形成を減じるためのコンタクト材料によって被覆されている。しかしながら、オプションとして、両端面にこのようなコンタクト材料が設けられていてもよい。コンタクト材料は、酸化に対する良好な耐久性によって優れており、かつスイッチング過程で生じる火花およびアークによる損耗に対しても耐性がある。
【0039】
適したコンタクト材料には、特に、銀、金および白金が含まれる。コンタクト材料として適した合金には、特に、銀ニッケルと銀酸化スズとが含まれる。
【0040】
管ガイドは、第2の材料から製造されている。好適には、第2の材料は、鋼、特にフェライト鋼、鋼合金、特にニッケル鋼合金およびクロム鋼から選択されている。
【0041】
ケーシング部分は好適には、金属から製造されており、管ガイドに関して記載した材料は、基本的には、ケーシング部分のための材料としても適している。付加的に、別の鋼、特にオーステナイト鋼も適している。使用される固定材料の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する材料が好適である。
【0042】
特に管ガイドの場合には、第2の材料は、複数の層から構成されている複合材料であってもよい。また、基本的には、別個のフレキシブルなエレメントのためにもまたは接続ピンのためにも、複合材料の選択を考慮することができる。
【0043】
別個のフレキシブルなエレメントが使用される場合、第3の材料は、好適には非鉄金属または非鉄金属合金から選択されている。適切な材料の例には、銅、銅合金、特に真鍮が含まれる。
【0044】
管ガイドは、内実の構成部分として構成されていてもよく、または折り曲げられた金属薄板部分として形成されていてもよい。例えば、管ガイドは、金属薄板部分として形成されており、この場合、スリーブ区域では、金属薄板部分の1回以上の折曲げにより、フレキシブルなエレメントとして形成されている区域よりも厚さが増大されている。
【0045】
好適には、金属薄板部分は、片側で被覆された金属薄板部分であって、この金属薄板部分は、金属薄板部分の被覆された側が、フレキシブルなエレメントまたは接続端子との結合部の方向を向いていて、金属薄板部分の被覆されていない側が固定材料の方向に面しているように折り曲げられ配置されている。
【0046】
金属薄板部分のコーティングは、特に、ニッケル層、または特にろう接工程による結合を容易にするその他の層であってもよい。これは特に、金属薄板部分が鋼から製造されている場合に有利である。
【0047】
被覆された金属薄板部分は好適には常に、コーティングが固定材料と接触しないように折り曲げられて配置されている。したがって、被覆された側は、スリーブ区域の領域で好適には常に内側にあり、固定材料には隣接していない。フランジを備えた管ガイドを形成する場合、コーティングは、このフランジの領域で、好適には接合対偶の方向に面している。これにより、管ガイドが固定材料とあまり良好には結合しなかったとしても、管ガイドには溶接および/またはろう接を促進する表面を設けることができる。金属薄板部分を相応に折り曲げることにより、各接合対偶との結合のために最も適した表面が常に接合対偶に隣接する。
【0048】
内実の構成部分として形成された管ガイドも、特にろう接工程においてフレキシブルなエレメントおよび/または接続端子との接合を容易にするために、部分的に被覆されていてもよい。この場合も、特にニッケル層を使用することができる。コーティングは、この場合、好適には、接合対偶に対向する面にだけ選択的に被着される。特に、固定材料の方向に向いた面は、この場合、コーティングされないままである。
【0049】
固定材料を介して、接続端子装置は、機械的に保持され、かつケーシング部分に対しても電気的に絶縁される。好適には、固定材料は、ガラス、ガラスセラミックまたはセラミックから選択されている。
【0050】
特に好適には、固定材料としてガラスが使用され、ガラスは、ホウケイ酸ガラス、ナトリウムバリウムガラス、アルカリガラス、ケイ酸塩ガラス、またはソーダガラスから選択されている。この場合、ホウケイ酸ガラス、およびナトリウムバリウムガラスは、特に、整合ガラス封止に適しており、アルカリガラス、ケイ酸塩ガラス、およびソーダガラスは、特に圧縮ガラス封止に適している。
【0051】
フィードスルーの材料選択の一例は、接続端子のための第1の材料としては銅であり、管ガイドのための第2の材料としてはフェライト鋼である。固定材料としては、例えばソーダガラスを使用することができる。
【0052】
銅は、ここでは、約200GPaを有する管ガイドのフェライト鋼よりも低い弾性率、約110GPaを有する。したがって、接続ピンの銅材料から成る弾性的なエレメントは、弾性的なエレメントのジオメトリが同じ場合、より小さな力作用により既に弾性的に変形することができ、これにより、固定材料に不都合な力を伝達することなく、接続ピンの熱膨張により生じる形状変化を吸収することができる。フェライト鋼から成る管ガイドの弾性を維持する場合、銅から製造される弾性的なエレメントの寸法を相応に小さくするこができ、これによりフィードスルーをよりコンパクトにすることができる。
【0053】
接続端子装置は付加的に、管ガイドに結合されている別のフレキシブルなエレメントを含むことができ、フレキシブルなエレメントと別のフレキシブルなエレメントとは、貫通開口に関して逆側で、接続端子に結合されている、または一体的な構成の場合には接続端子に移行している。
【0054】
別のフレキシブルなエレメントも、好適には実質的にスリーブ状に形成されていて、好適には接続端子のピン区域を少なくとも部分的に取り囲んでいる。ケーシング部分における貫通開口に関して、一方のフレキシブルなエレメントは、上面の方向に向けられていて、他方のフレキシブルなエレメントは、下面の方向に向けられているので、接続端子をケーシング部分の両側から保持することができる。
【0055】
記載したフィードスルーは、特に、数アンペア、特に10アンペアを超える範囲の、特に好適には100アンペアを超える範囲の大きな電流を、気密に封止されたケーシングを通して確実に通過させるために適している。
【0056】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載したフィードスルーのうちの少なくとも1つを含むケーシングの提供である。このケーシングは、例えば、電気的な安全装置のケーシング、リレーのような制御装置のケーシング、またはバッテリモジュールのケーシングであってもよい。
【0057】
本発明の別の態様では、本明細書で説明された少なくとも2つのフィードスルーを備えたケーシング、ならびに両フィードスルーの接続端子間に電気的な接続を形成するためのコンタクト装置を含むリレーが提案される。
【0058】
コンタクト装置は、この場合特に、電気信号を介して制御することができるアクチュエータを含んでいてもよく、これにより、このような制御信号に応じて、両接続端子間の電流の流れを制御することができる。このようなアクチュエータの一例は、電磁石および可動の可動子を備えた電気機械的なアクチュエータである。これに対して付加的にまたは代替的に、コンタクト装置は、電気信号を介して装薬を点火することができ、これにより両接続端子間の電気的な接続の迅速な分離を行わせるパイロ技術的なアクチュエータを含むことができる。電気信号のフィードスルーのために、ケーシングは別の電気的なフィードスルーを含むことができる。
【0059】
リレーのケーシングは、好適には気密にシールされているので、ケーシングの内部は、一方では周囲の環境に対して保護されており、他方ではケーシングの内部から外部へは何も漏れることはあり得ない。これにより、ケーシングの内部または少なくともコンタクト装置を取り囲む領域に、いわゆる消弧ガスを充填することができる。このような消弧ガスは、接続端子への電気的なコンタクトの分離の際に生じるおそれのあるアークを可能な限り迅速に消すという課題を有している。
【0060】
以下に本発明を、図面につき詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】フィードスルーの第1の実施形態を側方から概略的に示す断面図である。
【
図2】フィードスルーの第2の実施形態を側方から概略的に示す断面図である。
【
図3】フィードスルーの第3の実施形態を側方から概略的に示す断面図である。
【
図4】フィードスルーの第4の実施形態を側方から概略的に示す断面図である。
【
図5】フィードスルーの第5の実施形態を側方から概略的に示す断面図である。
【
図6】フィードスルーの第6の実施形態を側方から概略的に示す断面図である。
【
図7】フィードスルーの第7の実施形態を側方から概略的に示す断面図である。
【
図8】第6の実施形態による本発明の2つのフィードスルーを備えたリレーの実施例を側方から概略的に示す断面図である。
【0062】
図1は、接続端子22を有するフィードスルー10の第1の実施形態を示している。フィードスルー10は、その中に貫通開口14が形成されたケーシング部分12を含む。この貫通開口14を貫通して接続端子装置20が案内されていて、この貫通開口内で固定材料16によって保持されている。固定材料16は、接続端子装置20を貫通開口14の壁に対して気密にシールするので、貫通開口14は気密に封止されている。
【0063】
接続端子装置20は、接続端子22と管ガイド26とを含む。接続端子22の長手方向軸線は、図示の実施例では、管ガイド26の長手方向軸線に対して同軸に延在しており、この場合、管ガイド26は、接続端子22の一部を取り囲んでいる。接続端子装置20をシールするための固定材料16は、管ガイド26のスリーブ区域27の外壁と貫通開口14の内壁との間に配置されており、スリーブ区域27の内壁と接続端子22との間には、第1のギャップ32が存在している。したがって、
図1の図示からわかるように、スリーブ区域27は、固定材料16に直接接する、貫通開口14の内側に配置された、管ガイド26の区域である。
【0064】
図1の第1の実施形態では、管ガイド26は、厚さが減じられた区域を有しており、この区域は、フレキシブルなエレメント28として機能する。厚さが減じられた区域では、管ガイド26の外径は不変であり、厚さを減じるためには内径のみが減じられ、これによりこの区域で管ガイド26の壁厚ひいては管ガイドの厚さが減じられる。これにより、フレキシブルなエレメント28と、接続端子22の円筒状に構成されたピン区域との間に、第1のギャップ32よりも大きな第2のギャップ34が生じる。さらに、減じられた厚さにより管ガイド26の柔軟性が高められ、これにより形成されるフレキシブルなエレメント28は、管ガイドを備えた公知のフィードスルーよりも比較的短くすることができるにもかかわらず、温度変動により引き起こされる接続端子22の寸法の変化を、弾性的な変形により補償することができる。
【0065】
接続端子22は、上端部においてカラー24を有しており、このカラーは、
図1の実施例においては2つの段部の形態で形成されており、これらの段部では、円筒状に形成された接続端子22の各直径がそれぞれ大きくなっている。さらに、接続端子22は、その上面にねじ山付き孔23を有する。ねじ山付き孔23は、特に、電気的な供給ライン(図示せず)との接続を形成するように構成されており、この場合、供給ラインは接続端子22にねじ固定される。勿論、別の実施形態では、ねじ山付き孔23の代わりに別の接続手段を設けてもよく、または接続手段を省いてもよく、これにより、接続端子22は、例えばその上面に、平らな面を有しており、この面は、例えばろう接または溶接により、電気的な供給ラインに接続することができる。
【0066】
管ガイド26の壁厚が減じられた領域によって形成されたフレキシブルなエレメント28は、
図1に示す第1の実施形態では、接続端子22のカラー24の第1の段部の側壁に結合されている。相応に、カラー24の第1の段部の外径は、固定材料16の内径よりも小さい。さらに、図示した例では、カラーのより大きな第2の段部の外径は、貫通開口14の内径よりも小さい。しかしまた別の変化形態では、この直径は、貫通開口14の直径よりも大きく選択されてもよい。結合は、図示の例では、ろう接部30を介して行われ、勿論、溶接のような別の結合方法が採用されてもよい。フレキシブルなエレメント28とカラー24との間の結合部も気密にシールされて構成されているので、フィードスルー10は全体として、ケーシング部分12の貫通開口14を気密に封止している。
【0067】
フレキシブルなエレメント28の、カラー24とスリーブ区域27との間に位置する部分は、力が作用する際に弾性変形するように調整かつ形成されていて、この場合、第1のギャップ32と第2のギャップ34とが、そのために必要な空間を提供している。このようにして、特に、固定材料16に対して不都合な力の作用なしに、接続端子22の熱膨張により生じる力を、フレキシブルなエレメント28の弾性的な形状変化を介して吸収することができる。このような熱膨張は、特に、接続端子22に高電流が負荷され、既存の電気抵抗に基づき接続端子22が加熱されると生じる場合がある。
【0068】
有利には、管ガイド26の壁厚は、スリーブ区域27では減じられていないので、管ガイド26、固定材料16およびケーシング部分12は、ケーシング部分12の熱膨張係数が、固定材料16の熱膨張係数よりも大きく選択されている圧縮ガラス封止部を形成することができる。これにより、固定材料16のガラス化後に、ケーシング部分12は固定材料16よりも著しく収縮し、これにより固定材料16に所定の圧力を加える。スリーブ区域27の領域でより大きな壁厚を有する管ガイド26は、この場合、所要の対抗圧を生成することができ、この場合同時に、フレキシブルなエレメント28は、接続端子22の熱膨張を吸収するための必要な弾性を有している。
【0069】
図1の第1の実施例の接続端子22は第1の材料から製造されていて、管ガイド26は第2の材料から製造されている。これにより、接続端子装置20の両部分のためにそれぞれ最適な材料特性を選択することができる。したがって、特に、接続端子22のためには、電気抵抗が低い材料を選択することができ、管ガイド26と、特にそのスリーブ区域27とのためには、大きな弾性率を有する剛性的な材料を選択することができる。
【0070】
図2には、フィードスルー10の第2の実施例が示されている。
図1に示した第1の実施形態とは異なり、管ガイド26は2部分から形成されているので、スリーブ区域27とフレキシブルなエレメント28とは、2つの部分から構成されていて、例えばろう接部または溶接結合部として構成された結合部30を介して互いに結合されている。これにより、フレキシブルなエレメント28として用いられる管ガイド26の区域を、第3の材料から製造することができ、スリーブ区域27のみを第2の材料から製造することができる。この場合、第3の材料は、好適には、第2の材料よりも低い弾性率を有していて、したがって比較的僅かな力作用で既に弾性変形を示すことができるように選択される。
【0071】
図3は、フィードスルー10の第3の実施例を示している。
図1につき既に説明したように、フィードスルー10は、貫通開口14を備えたケーシング部分12を有しており、貫通開口を貫通して、接続端子22および管ガイド26を備えた接続端子装置20が案内されている。接続端子装置は、固定材料16を介して貫通開口14内に保持され、貫通開口を気密にシールしている。
【0072】
図1および
図2の最初の両実施形態と同様に、接続端子22は一方の側にカラー24を有しているが、この場合、カラーは1段として形成されていて、接続端子22の端面のうちの1つと同一平面を成すように配置されている。この端面にはさらに、電気的な供給ラインとのねじ固定を可能にするねじ山付き孔23が配置されている。
【0073】
管ガイド26は、
図3の第3の実施例では、片側に被着されたコーティング39を有する金属薄板38を含む被覆された金属薄板部分により形成される。金属薄板部分は、実質的に管状に形成されていて、接続端子22の円筒状のピン区域を取り囲んでおり、管ガイド26の長手方向軸線は、接続端子22の長手方向軸線に対して同軸に延在している。金属薄板部分は、第1の端部で、増大させられた厚さを有するスリーブ領域27を形成しており、第2の端部でフランジを形成している。金属薄板部分は、この場合、コーティング39が、接続端子22の円筒状のピン区域の方向で内側に面していて、したがって、薄板部分の被覆されていない側が外側に面するように構成されている。スリーブ領域27は、金属薄板部分を1回以上折り曲げることにより得られる。この場合、金属薄板部分は、金属薄板38のコーティング39が互いに重なるように折られ、したがって内側に位置するように変形させられる。相応に、金属薄板38の被覆されていない側は、スリーブ領域27で固定材料16の方向に面している。フランジも、金属薄板部分の変形により得られ、この場合は、金属薄板38のコーティング39は、接続端子22のカラー24の方向に面していて、例えばろう接部として形成されている結合部30を介してカラーに結合されている。フランジとの結合部30のためにできるだけ大きな面積を提供するために、カラーの外径は、図示されているように、好適には固定材料16の内径よりも大きく選択されている。
図3に示された実施例では、カラー24の直径は、貫通開口14の内径よりも小さく選択されている。しかしながら結合面積をさらに拡大するために、カラー24の外径は、貫通開口14の内径よりも大きく選択されてもよい。
【0074】
フランジとスリーブ領域27との間では、金属薄板部分は折り曲げられておらず、ここでは、スリーブ領域27よりも薄い厚さを有し、フレキシブルなエレメント28として機能する区域を形成している。これにより、スリーブ領域27と接続端子22の円筒状のピン区域との間の第1のギャップ32は、フレキシブルなエレメント28と、接続端子22の円筒状のピン区域との間の第2のギャップ34よりも小さくなる。
【0075】
図4は、フィードスルー10の第4の実施例を示している。フィードスルー10は、この場合も、貫通開口14を備えたケーシング部分12を有しており、貫通開口を貫通して、接続端子22および管ガイド26を備えた接続端子装置20が案内されている。接続端子装置は、固定材料16を介して貫通開口14内に保持され、貫通開口を気密にシールしている。
【0076】
図1および
図2の最初の両実施形態と同様に、接続端子22は一方の側にカラー24を有しており、この場合も、このカラーは多段に形成されており、ねじ山付き孔23を備えた上面とは逆側の下面を起点として、カラー24は第1の段部と第2の段部とを有しており、第1の段の直径は、第2の段の直径よりも大きい。しかしながら別の実施形態では、勿論、カラー24を異なるように構成することもでき、例えば、接続端子22の上面と同一平面を成すように配置されている1つだけの段を有するように構成することもできる。
【0077】
カラー24の下面では、管ガイド26がカラー24に、例えばろう接部として形成された結合部30を介して結合されている。この場合、管ガイド26は2部分から形成されており、固定材料16に対向するスリーブ区域27は第2の材料から製造されていて、フレキシブルなエレメント28として機能する部分は、第2の材料よりも低い弾性率を有する第3の材料から製造されている。管ガイド26の両部分も、図示の例では、例えばろう接部として形成された結合部30を介して結合されている。この場合、管ガイド26は、フレキシブルなエレメント28がカラー24に面しているように配置されている。管ガイド26は全体として、実質的に円筒状に形成されていて、接続端子22の円筒状のピン区域を、管ガイド26の長手方向軸線が、接続端子22の長手方向軸線に対して同軸に延在するように取り囲んでいる。カラー24の寸法と管ガイド26の寸法とは、この場合、管ガイド26の外径が、カラー24の相対的に大きな直径に相当し、これにより両部分が段差なく互いに移行するように選択されている。
【0078】
図5は、
図4の第4の実施例に類似のフィードスルー10の第5の実施例を示している。第4の実施例とは異なり、管ガイド26の直径は、カラー24の直径よりも小さい。さらに、フィードスルー10の耐電圧性を改善するために、この場合、2つの絶縁ディスクとして形成されている付加的な絶縁材料36が設けられている。この場合、第1の絶縁ディスクは、固定材料16の上面と、ケーシング部分12の上面の隣接する部分とを覆っている。この場合、第2の絶縁ディスクは、固定材料16の下面と、ケーシング部分12の下面の隣接する部分とを覆っている。絶縁材料36が配置されていることにより、特に、接続端子装置20とケーシング部分12との間の沿面距離が増加し、これによりフィードスルー10の耐電圧性が改善される。絶縁ディスクの代わりに、絶縁材料36を、例えば絶縁性のコーティングとして被着することもできる。さらに、用途に応じて、絶縁材料36がフィードスルー10の一方の側、例えば上面の側のみに配置されても十分であり得る。
【0079】
図6は、フィードスルー10の第6の実施例を示している。フィードスルー10は、この場合も、貫通開口14を備えたケーシング部分12を有しており、貫通開口を貫通して、接続端子22および管ガイド26を備えた接続端子装置20が案内されている。接続端子装置20は、固定材料16を介して貫通開口14内に保持され、貫通開口を気密にシールしている。
【0080】
接続端子22は、この場合、ねじ山付き孔23を備えた上面と同一平面を成すようにカラー24を有しており、カラー24の、貫通開口14に面した下面には、接続端子22の、フレキシブルなエレメント28として機能するスリーブ状の区域が接続している。スリーブ状に形成された区域の外径は、この例では、カラー24の外径に相当するが、この外径は、これとは異なり、より小さく選択されていてもよい。さらに、
図6に示された実施例では、カラー24の外径は、固定材料16の内径よりも大きく、かつ貫通開口14の内径よりも小さく選択されている。しかしながら、代替的にカラー24の外径は、貫通開口14の内径よりも大きく選択されてもよい。
【0081】
スリーブ状の区域はフレキシブルなエレメント28として機能し、例えばろう接部として形成された結合部30を介して管ガイド26に結合されている。管ガイド26は、固定材料16に隣接するスリーブ区域27を含んでいる。接続端子22の円筒状のピン区域を取り囲むスリーブ区域27と接続端子22との間には、第1のギャップ32が存在している。
図6に示された実施形態では、スリーブ区域27が上方に向かって延長されていて、カラー24に面した端部で拡張されて結合フランジを成している。結合フランジでは、管ガイド26が、接続端子22のフレキシブルなエレメント28と結合されている。管ガイド26は、接続端子22が製造されている第1の材料よりも大きな弾性率を有する第2の材料から製造されている。したがって、接続端子22の熱膨張の際に生じる力は、接続端子22のフレキシブルなエレメント28の弾性的な形状変化を介して吸収される。したがって有利には、熱膨張により生じる力が、管スリーブ26を介して、特にそのスリーブ区域27を介して固定材料16に伝達されることはなく、またはこのような伝達は少なくとも問題ない程度にまで減じられる。
【0082】
接続端子22の、フレキシブルなエレメント28として機能するスリーブ状の区域は、接続端子22の円筒状のピン区域を取り囲んでおり、この場合、スリーブ状の区域の長手方向軸線は、円筒状のピン区域の長手方向軸線に対して同心に配置されており、スリーブ状の区域の内面もしくはスリーブ状の区域によって形成されるフレキシブルなエレメント28の内面と円筒状のピン区域との間には第2のギャップ34が存在している。
【0083】
図7は、フィードスルー10の第7の実施例を示しており、この実施例では、
図6の第6の実施例と同様に、接続端子22のスリーブ状の区域がフレキシブルなエレメント28として形成されている。
【0084】
図6の実施形態とは異なり、接続端子22の、フレキシブルなエレメント28として機能する区域は、この場合、カラー24よりも小さい外径を有しており、カラー24は、
図4および
図5の実施例の場合と同様に多段に形成されている。さらに、管ガイド26は、この場合、拡大された直径を有する、結合フランジとして機能する領域を有していない。図示した例では、管ガイド26の外径および内径とフレキシブルなエレメント28の外径および内径とは同一に形成されている。接続端子22の第1の材料、ひいては接続端子と一体に形成されたフレキシブルなエレメント28の第1の材料は、管ガイド26の第2の材料よりも低い弾性率を有しているので、接続端子22の熱膨張により発生する力は、フレキシブルなエレメント28の弾性変形を介して吸収され、管ガイド26の形状は実質的に不変のままである。
【0085】
図8には、例えば電気車両のための高出力リレーとして形成されているリレー200の例が示されている。リレー200は、ケーシング100を含み、このケーシングは、カバーとして形成されたケーシング部分12を有している。ケーシング部分12は、接続端子22を備えた2つの電気的なフィードスルー10を含み、接続端子には、リレー200によって切り替えるべき電流回路を接続することができる。例えば、このために電気的なコネクタを接続端子22にねじ固定することができる。
図8に示された例では、フィードスルー10は、
図6につき説明したように構成されている。しかしながら、勿論、本明細書に記載された別のフィードスルー10を使用することもできる。
【0086】
ケーシング100の内部には、コンタクト装置110が配置されていて、このコンタクト装置は、第1の位置では両接続端子22を電気的に接続し、これにより電流が流れることができ、第2の位置では両接続端子22を電気的に分離し、これにより電流が流れることができないように構成されている。
図8の図に示されているように、接続端子22は、コンタクト装置110に面した端面に、コンタクト材料から成るコンタクトコーティング40を有することができる。コンタクト材料、例えば、銀または銀・銅合金または銀・ニッケル合金は、酸化に対して耐性があり、各接続端子22とコンタクト装置110との間の電気的な接触抵抗を減じる。
【0087】
コンタクト装置を、一方の位置から他方の位置へと移行させるために、
図8に示された実施例では、電磁的なアクチュエータとして形成されているアクチュエータ120が設けられている。アクチュエータ120の電気的なコンタクトのために、ケーシング100は、
図6の断面図には示されていない別の電気的なフィードスルーを有している。
【0088】
この場合、アクチュエータ120の電磁石122を介して、例えばコンタクト装置110を、電磁石122への給電時に第1の位置にもたらすことができ、これによって、両接続端子22の間に電流を流すことができる。電磁石122への給電が終了すると、例えばばね124を介して、コンタクト装置110を第2の位置にもたらすことができ、これによって、両接続端子22の間でそれ以上電流が流れることはできない。接続端子22からのコンタクト装置110の分離時に場合によっては発生するアーク放電を迅速に消すために、ケーシング100の内部に、いわゆる消弧ガスを充填することが想定されていてもよい。本発明によるフィードスルー10は気密にシールされているので、消弧ガスはケーシング100から逃出し得ない。
【0089】
リレー200には、アクチュエータ120に加えて付加的に、コンタクト装置110を動かすための別の操作装置を設けることもできる。例えば、イグナイタの通電時に装薬を発動させ、次いでこれにより、コンタクト装置110を、接続端子22が電気的に互いに分離される第2の位置へと迅速に移行させるパイロ技術装置を設けることができる(
図8には図示せず)。
【0090】
特許請求の範囲は、本明細書に記載した実施例に限定されるものではない。特に、本明細書に記載した実施例の個別の特徴が互いに組み合わせられる多数の変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 フィードスルー
12 ケーシング部分
14 貫通開口
16 固定材料
20 接続端子装置
22 接続端子
23 ねじ山付き孔
24 カラー
26 管ガイド
27 スリーブ区域
28 フレキシブルなエレメント
30 ろう接部
32 第1のギャップ
34 第2のギャップ
36 絶縁材料
38 金属薄板
39 コーティング
40 コンタクトコーティング
100 ケーシング
110 コンタクト装置
120 アクチュエータ
122 電磁石
124 ばね
200 リレー
【国際調査報告】