(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】フィルタ要素及びフィルタシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B01D46/52 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522368
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022078105
(87)【国際公開番号】W WO2023061943
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021126855.9
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘットカンプ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン、ミハエル
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA14
4D058KA12
4D058KB11
4D058KC28
4D058KC33
4D058KC35
4D058KC62
4D058LA02
4D058QA01
4D058QA08
4D058QA11
4D058SA07
(57)【要約】
本発明は、流体、特に空気を濾過するためのフィルタ要素(10)であって、未処理側の流入面(50)と清浄側の流出面(52)とを有する、ジグザグ状に折り畳まれた濾材(13)を含む少なくとも1つのフィルタベローズ(12)を備えるフィルタ要素(10)に関する。フィルタベローズ(12)は、補強フレーム(18)内に配置され、フィルタベローズ(12)の流入側(70)及び/又は流出側(72)に、複数の細長い接着部(28、29)が、少なくとも2つの接着剤トラック(26、27)に、濾材(13)のひだ(22)の展延部に沿って配置される。流入側(70)の接着剤トラック(26)及び流出側(72)の接着剤トラック(27)は、横方向(64)において互いにずれて配置され、接着剤トラック(26、27)は、少なくとも前記流出側(72)において、少なくとも部分的に、濾材(13)及び/又はシール(20)に対する接着剤トラック(26)の長さ変化を補償するために張力を緩和するように設計される。本発明は、このようなフィルタ要素(10)を備えるフィルタシステム(100)に更に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体、特に空気を濾過するためのフィルタ要素(10)であって、
未処理側の流入面(50)と清浄側の流出面(52)とを有する、ジグザグ状に折り畳まれた濾材(13)を含む少なくとも1つのフィルタベローズ(12)であって、補強フレーム(18)内に配置されたフィルタベローズ(12)と、
前記フィルタベローズ(12)の前記流入面(50)又は前記流出面(52)において、前記濾材(13)の外周側に、周方向に少なくとも部分的に連続して配置された少なくとも1つのシール(20)であって、特に発泡又は成形によって前記補強フレーム(18)に接続されたシール(20)と、を備え、
前記フィルタベローズ(12)のひだ(22)の流入側(70)及び/又は流出側(72)に、複数の細長い接着部(28、29)が、少なくとも2つの接着剤トラック(26、27)に、前記濾材(13)のひだ(22)の展延に沿って配置され、前記流入側(70)の接着剤トラック(26)及び前記流出側(72)の接着剤トラック(27)は、横方向(64)において互いにずれて配置され、
前記接着剤トラック(26、27)は、少なくとも前記流出側(72)において、少なくとも部分的に、前記濾材(13)及び/又は前記シール(20)に対する前記接着剤トラック(26)の長さ変化を補償するために張力を緩和するように構成されるフィルタ要素。
【請求項2】
前記濾材(13)及び/又は前記シール(20)に対する前記接着剤トラック(26、27)の長さ変化を補償するために、前記接着部(28、29)と接着間隙(30、31)とが、各接着剤トラック(26、27)の張力緩和のために交互に配置される請求項1に記載のフィルタ要素。
【請求項3】
前記流入側(70)の接着部(28、29)と前記流出側(72)の接着間隙(30、31)とは、前記ひだ(22)の展延に沿って、特に重なり合って、交互に配置される請求項2に記載のフィルタ要素。
【請求項4】
前記流入側(70)又は前記流出側(72)に、ひだ先端部(24)を横切って延在する接着部(28、29)がそれぞれ配置され、及び/又は、前記流出側(72)又は前記流入側(70)に、ひだ先端部(24)を横切って延在する接着間隙(30、31)がそれぞれ配置される請求項2又は3に記載のフィルタ要素。
【請求項5】
前記流入側(70)のひだ(22)、特に前記フィルタベローズ(12)の最初及び/又は最後のひだ(22)について、ひだ基部(25)において、少なくとも縁部領域(54)に接着部(28)が存在しない請求項2~4のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項6】
前記ひだ(22)において、前記流出側の外部から視認可能なひだ先端部(24)に、少なくとも1つ、好ましくは複数の接着間隙(32)が配置される請求項2~5のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項7】
前記流入側のひだ基部(25)に接着部が存在しないひだ(22)において、前記流出側の外部から視認可能なひだ先端部(24)に、少なくとも1つ、好ましくは複数の接着間隙(32)が配置される請求項6に記載のフィルタ要素。
【請求項8】
前記流入側(70)において、ひだ基部(25)に延在する接着部(28)がそれぞれ配置され、及び/又は、前記流出側(72)において、ひだ基部(25)に延在する接着間隙(31)が配置される請求項2~7のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項9】
前記流出側(72)において、ひだ先端部(24)は、更なる接着間隙(32)を含み、前記更なる接着間隙(32)は、前記ひだ(22)に対する横方向(64)に関して、隣接する接着剤トラック(26、27)の更なる接着間隙(32)が異なるひだ先端部(24)上に位置するように分布して配置され、特に前記更なる接着間隙(32)は、少なくとも1つのひだ(22)にわたって延在する請求項2~8のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項10】
前記ひだ(22)に対する横方向(64)に関して、隣接する接着剤トラック(26、27)の前記接着部(28、29)及び前記接着間隙(30、31)が、前記ひだ(22)の展延に対してそれぞれ同じ高さ位置に配置される請求項2~9のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項11】
前記接着部(28、29)及び前記接着間隙(30、31)は、同じ長さを有する請求項2~10のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項12】
前記接着剤トラック(26、27)は、互いに等距離に平行に配置され、及び/又は、前記接着間隙(30、31)は、前記流入側(70)にわたって及び/又は前記流出側(72)にわたって、均一に分布して配置される請求項2~11のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項13】
前記接着剤トラック(26、27)は、ひだ先端部(24)に対して垂直に延びる請求項2~12のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項14】
流体を濾過するためのフィルタシステム(100)であって、
流体流(120)を流入させるための少なくとも1つの流入口(102)と、浄化された流体流(122)を流出させるための少なくとも1つの流出口(104)とを有するフィルタハウジング(110)と、
前記フィルタハウジング(110)内に、未処理側(40)と清浄側(42)との間に交換可能に配置された、流体を濾過するためのフィルタ要素(10)、特に請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルタ要素(10)と、を備え、前記フィルタ要素(10)は、
未処理側の流入面(50)と清浄側の流出面(52)とを有する、ジグザグ状に折り畳まれた濾材(13)を含む少なくとも1つのフィルタベローズ(12)であって、前記清浄側に配置された補強フレーム(18)内に配置されたフィルタベローズ(12)と、
前記フィルタベローズ(12)の前記流入面(50)又は前記流出面(52)において、前記濾材(13)の外周側に、周方向に少なくとも部分的に連続して配置された少なくとも1つのシール(20)であって、特に発泡又は成形によって前記補強フレーム(18)に接続されたシール(20)と、を備え、
前記フィルタベローズ(12)の流入側(70)及び/又は流出側(72)に、複数の細長い接着部(28、29)が、少なくとも2つの接着剤トラック(26、27)に、前記濾材(13)のひだ(22)の展延に沿って配置され、前記流入側(70)の接着剤トラック(26)及び前記流出側(72)の接着剤トラック(27)は、横方向(64)において互いにずれて配置され、
前記接着剤トラック(26、27)は、少なくとも前記流出側(72)において、少なくとも部分的に、前記濾材(13)及び/又は前記シール(20)に対する前記接着剤トラック(26)の長さ変化を補償するために張力を緩和するように構成されるフィルタシステム。
【請求項15】
前記フィルタハウジング(110)内に、前記フィルタ要素(10)より流体的に上流側である前方にサイクロンプレセパレータ(14)が設けられ、及び/又は、前記フィルタ要素(10)より流体的に下流側である後方に安全要素(16)が設けられた請求項14に記載のフィルタシステム。
【請求項16】
前記フィルタ要素(10)の前記シール(20)により、前記フィルタ要素(10)が意図した通りに取り付けられた状態で、前記未処理側(40)が前記清浄側(42)から分離される請求項14又は15に記載のフィルタシステム。
【請求項17】
前記フィルタ要素(10)は、流体の主流軸(128)に交差する方向に前記フィルタハウジング(110)内に挿入される又は挿入可能な挿入フィルタ要素として構成される請求項14~16のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を濾過するための、特に自動車両の、特に内燃機関のエアフィルタ又は内部エアフィルタとして使用されるフィルタ要素、及びフィルタ要素を備えたフィルタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102009040202号明細書は、未処理側と清浄側を分離し、ひだ先端部とひだ基部とが交互に配置されたアコーディオン状に折り畳まれた濾材からなるフィルタを開示している。ひだの中間空間には、ひだ先端部とひだ基部との間に交互に延びる接着剤トラックが配置されており、少なくとも2つの接着剤トラックが、それぞれ濾材の未処理側及び清浄側において、フィルタ要素に、ひだ先端部の方向に対して垂直かつ互いに平行に配置されている。未処理側及び/又は清浄側の接着剤トラックは、規則的な間隔で途切れており、接着剤トラックの間隙の始点及び終点は、ひだ先端部に対して10~80°、好ましくは45±15°の角度で延びる互いに平行な複数の直線に沿って並んでいる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、動作時に高い信頼性を提供しながら、長い耐用年数を有する、流体を濾過するための改良されたフィルタ要素を提供することを目的とする。
【0004】
さらに、本発明は、このような交換可能なフィルタ要素を収容する、流体を濾過するためのフィルタシステムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様によると、上述の目的は、流体、特に空気を濾過するためのフィルタ要素であって、未処理側の流入面と清浄側の流出面とを有する、ジグザグ状に折り畳まれた濾材を含む少なくとも1つのフィルタベローズであって、補強フレーム内に配置されたフィルタベローズと、フィルタベローズの流入面又は流出面において、濾材の外周側に、周方向に少なくとも部分的に連続して配置された少なくとも1つのシールであって、特に発泡又は成形によって補強フレームに接続されたシールと、を備え、フィルタベローズのひだの流入側及び/又は流出側に、複数の細長い接着部が、少なくとも2つの接着剤トラックに、濾材のひだの展延に沿って配置され、流入側の接着剤トラック及び流出側の接着剤トラックは、横方向において互いにずれて配置され、接着剤トラックは、少なくとも部分的に、濾材及び/又はシールに対する接着剤トラックの長さ変化を補償するために張力を緩和するように構成されるフィルタ要素によって解決される。
【0006】
本発明の更なる態様によると、更なる目的は、流体を濾過するためのフィルタシステムであって、流体流を流入させるための少なくとも1つの流入口と、浄化された流体流を流出させるための少なくとも1つの流出口とを有するフィルタハウジングと、フィルタハウジング内に、未処理側と清浄側との間に交換可能に配置された、流体を濾過するためのフィルタ要素と、を備え、フィルタ要素は、未処理側の流入面と清浄側の流出面とを有する、ジグザグ状に折り畳まれた濾材を含む少なくとも1つのフィルタベローズであって、清浄側に配置された補強フレーム内に配置されたフィルタベローズと、フィルタベローズの流入面又は流出面において、濾材の外周側に、周方向に少なくとも部分的に連続して配置された少なくとも1つのシールであって、特に発泡又は成形によって補強フレームに接続されたシールと、を備え、フィルタベローズの流入側及び/又は流出側に、複数の細長い接着部が、少なくとも2つの接着剤トラックに、濾材のひだの展延に沿って配置され、流入側の接着剤トラック及び流出側の接着剤トラックは、横方向において互いにずれて配置され、接着剤トラックは、少なくとも流出側において、少なくとも部分的に、濾材及び/又はシールに対する接着剤トラックの長さ変化を補償するために張力を緩和するように構成されるフィルタシステムによって解決される。
【0007】
本発明の好ましい実施形態及び利点は、添付の特許請求の範囲、明細書、及び図面から得られる。
【0008】
本発明の一態様によると、流体、特に空気を濾過するためのフィルタ要素であって、未処理側の流入面と清浄側の流出面とを有する、ジグザグ状に折り畳まれた濾材を含む少なくとも1つのフィルタベローズであって、補強フレーム内に配置されたフィルタベローズと、フィルタベローズの流入面及び/又は流出面において、濾材の外周側に、周方向に少なくとも部分的に連続して配置された少なくとも1つのシールであって、特に発泡又は成形によって補強フレームに接続されたシールと、を備えるフィルタ要素が提案される。フィルタベローズのひだの流入側及び/又は流出側に、複数の細長い接着部が、少なくとも2つの接着剤トラックに、濾材のひだの展延に沿って配置される。これに関連して、流入側の接着剤トラック及び流出側の接着剤トラックは、横方向において互いにずれて配置され、接着剤トラックは、少なくとも流出側において、少なくとも部分的に、濾材及び/又はシールに対する接着剤トラックの長さ変化を補償するために張力を緩和するように構成される。
【0009】
フィルタベローズは、例えば、ジグザグ状にひだ折りされており、平行なひだ先端部が、フィルタベローズの長手方向に次々に並び、それぞれフィルタベローズの両端縁に延在する。ひだのうち、ひだ先端部の後側に位置する部分をひだ基部と称する。
【0010】
フラットフィルタの場合、流れ方向は、例えば、フラットフィルタではフィルタベローズの両平坦面に設けられる流入面及び流出面に対して垂直である。好ましくは、隆起するひだを有するフィルタの流出面及び流入面は、それぞれ濾材のひだ先端部が位置する面である。
【0011】
濾材のひだのうち、流れる流体に面する側を流入側と呼び、流れる流体から離れる側を流出側と称する。
【0012】
この場合、フィルタベローズには、周方向に連続した補強フレームを成形することができる。このようなフィルタベローズは、例えば、内燃機関のエアフィルタとして有利に利用され、エアフィルタの安価で効率的な解決策を提供する。成形されたフレームにより、フィルタベローズを容易に取り付け、必要に応じて交換することが可能となる。
【0013】
シールは、好ましくはポリウレタン(PUR)シールであり、フィルタベローズに発泡又は成形することによって補強フレームの領域に製造することができる。
【0014】
有利には、フィルタ要素は、いわゆるフラットフィルタ要素である。本発明の意味におけるフラットフィルタ要素は、濾材が中空体を形成するように閉じられていない。
【0015】
本発明のフィルタ要素は環状構造ではない。流路面は、要素軸に関して、軸方向両側に配置されている。これに対して、中空状のフィルタ要素、特にいわゆる円形フィルタ要素の場合、濾材は周方向に閉じられて内部を囲っている。本発明のフィルタ要素は、平面状又は湾曲状であり得る。これに関して、流体用のフィルタベローズの流入面及び/又は流出面は、平面状、湾曲状、又は段差状であり得る。また、フィルタ要素は、ボックス状であってもよい。フィルタベローズは、略多面体形状であってもよい。有利には、フィルタベローズは、立方体状、直方体状、ピラミッド状、角柱状、楔状などである。なお、フィルタベローズのすべての面、特に周方向側の面が平面である必要はない。フィルタベローズの少なくとも1つの面は、少なくとも部分的に湾曲、特に放物線状及び/又は段差状であってもよい。互いに反対側に配置された面は、平行に延びていてもよい。これに代わって又はこれに加えて、これらの面は、異なる方法で、互いに斜めに又は非平行に延びていてもよい。有利には、流入面及び/又は流出面は、それぞれ要素軸に対して、少なくとも部分的に垂直又は斜めに延びていてもよい。
【0016】
有利には、流入面及び流出面は、互いに、少なくとも部分的に斜めに、及び/又は、少なくとも部分的に平行に延びていてもよい。有利には、少なくとも1つのフィルタベローズは、ジグザグ状及び/又は波状の濾材を含んでいてもよい。これにより、フィルタベローズの空間的拡張に関連して、流体が流れる濾材の表面を拡張することができる。
【0017】
有利には、濾材のひだ先端部は、両流路面、特に流入面及び/又は流出面において、互いに平行に延びる。
【0018】
有利には、少なくとも1つのフィルタベローズは、比較的深いひだ及び/又は可変のひだ高さを有する。流入側のひだ先端部と隣接する流出側のひだ先端部との間の折り畳まれた濾材のひだの範囲を「ひだ高さ」と呼ぶ。深いひだの場合、ひだ高さ、すなわち、対応するひだの領域におけるフィルタベローズの高さは、ひだ高さに垂直又は交差する方向のフィルタベローズの幅及び/又は長さよりも大きい。
【0019】
濾材は、濾紙、濾不織布、メルトブロー、布、及び/又は流体、特に空気を濾過するのに適した別の濾過材料を含み得る。有利には、濾材は可撓性を有し、特に折り畳み可能又は折り曲げ可能である。
【0020】
従来技術によれば、通常、端面に配置される接着部は、流入面又は流出面にわたって、濾材のひだのひだ先端部上に連続的に延びる接着剤トラックとして配置される。
【0021】
本発明によれば、濾材の流入側の接着剤トラックを、濾材の流出側の接着剤トラックに対して、例えば濾材のフィルタベローズの横方向に接着剤トラックの半分の距離だけずれるように塗布することができる。これにより、接着剤トラックは、濾材の流入側と流出側に交互に配置される。この方法では、接着剤の総塗布量は、通常互いに反対側に配置される従来の接着剤トラックの塗布量と同等である。しかしながら、この方法では、横方向の接着剤トラックの距離を半分にすることができ、フィルタベローズの安定性に関してプラスの効果がある。
【0022】
また、接着剤トラックは、温度変化などの環境影響による接着剤トラックの収縮時に、接着剤トラックが裂けてフィルタベローズが損傷しないように、動作中の接着剤トラックの長さ変化を補償するための張力緩和手段を含むことができる。フィルタベローズはフレームに固定的に接続されており、接着剤トラックの収縮時にフレームから剥離する可能性があることから、このことは、シールが配置されたフィルタベローズの剛性プラスチックフレーム側において特に重要である。
【0023】
張力緩和手段によって、接着剤の経時的な収縮により接着剤トラックに接着剤の開口部ができ、シールと濾材との間から浄化する流体の漏れが生じることを有利に回避することができる。張力緩和手段の利点は、フィルタベローズのシールとの重要な接合領域において、接着剤の収縮による比較的広い剥離効果が生じなくなることにある。接着剤の収縮は、これらの領域で対応する張力が生じないように、依然として生じ得る。
【0024】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、濾材及び/又はシールに対する接着剤トラックの長さ変化を補償するために、接着部と接着間隙とが、各接着剤トラックにおいて張力を緩和するように交互に配置される。
【0025】
このように、接着剤トラックは、温度変化などの環境影響による接着剤トラックの収縮時に、接着剤トラックが裂けてフィルタベローズが損傷しないように、動作中の接着剤トラックの長さ変化を補償するための張力緩和手段として、短い接着部と接着間隙のシーケンスを含むことができる。フィルタベローズはフレームに固定的に接続されており、接着剤トラックの収縮時にフレームから剥離する可能性があることから、このことは、シールが配置されたフィルタベローズの剛性プラスチックフレーム側において特に重要である。
【0026】
更なる利点として、フィルタベローズ内で横方向の空気流が可能になり、フィルタベローズ内に堆積した汚れによる詰まりのリスクが減少する。
【0027】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、流入側の接着部と流出側の接着間隙とは、ひだの展延に沿って、特に重なり合って、交互に配置される。これにより、接着剤トラックによる安定化を得ながら、フィルタベローズの有利な柔軟性を維持することができる。
【0028】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、流入側又は流出側に、ひだ先端部を横切って延在する接着部がそれぞれ配置される。これに代わって又はこれに加えて、流出側又は流入側に、ひだ先端部を横切って延在する接着間隙がそれぞれ配置されてもよい。これにより、ひだ先端部は、ひだ先端部上の接着部によって特に安定化され、起こり得る損傷から保護され得るとともに、ひだ先端部の後側、すなわちひだ基部における接着間隙によって、依然としてその柔軟性を維持することができる。
【0029】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、流入側のひだについて、ひだ基部において、少なくとも縁部領域に接着部が存在しない。このように、例えば、フィルタベローズの最初及び最後の5~10個のひだについて、縁部領域又はひだ基部に接着剤トラックが存在しないように設計することができる。これにより、起こり得る振動負荷に対するフィルタベローズの高い柔軟性を有利に達成することができる。
【0030】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、流出側において、ひだは、流出側の外部から視認可能なひだ先端部に、少なくとも1つの、好ましくは複数の接着間隙を有する。流入側のひだ基部に接着部が存在しないひだにおいて、流出側の外部から視認可能なひだ先端部に、少なくとも1つ、好ましくは複数の接着間隙が配置されてもよい。
【0031】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、流入側において、ひだ基部に延在する接着部がそれぞれ配置される。これに代わって又はこれに加えて、流出側において、ひだ基部に延在する接着間隙が配置されてもよい。これにより、流出面においてフィルタベローズを有益に安定化しながら、流入面において起こり得る振動負荷に対する十分な柔軟性を維持することができる。
【0032】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、流出側において、ひだ先端部は、更なる接着間隙を含み、更なる接着間隙は、ひだに対する横方向に関して、隣接する接着剤トラックの更なる接着間隙が異なるひだ先端部上に位置するように分布して配置される。特に、更なる接着間隙は、少なくとも1つのひだにわたって延在する。
【0033】
付加的な、特に長い接着間隙は、温度変化などの環境影響による接着剤トラックの収縮時に、接着剤トラックが裂けてフィルタベローズが損傷しないように、動作中の接着剤トラックの長さ変化を補償するための更なる張力緩和手段として寄与することができる。フィルタベローズはフレームに固定的に接続されており、接着剤トラックの収縮時にフレームから剥離する可能性があることから、このことは、シールが配置されたフィルタベローズの剛性プラスチックフレーム側において特に重要である。
【0034】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、ひだに対する横方向に関して、隣接する接着剤トラックの接着部及び接着間隙が、ひだの展延に対してそれぞれ同じ高さ位置に配置される。これにより、フィルタベローズの有利な安定性を達成することができる。さらに、このように同一のパターン及び長さの接着部及び接着間隙が使用される場合、フィルタ要素の製造をさらに単純化することができる。
【0035】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、接着部及び接着間隙は、同じ長さを有するように構成される。これにより、フィルタベローズの安定性と、フィルタベローズのフレームからの剥離を伴う接着剤トレースの収縮による潜在的なリスクの回避との間で、良好なバランスを達成することができる。
【0036】
フィルタ要素の有利な実施形態によれば、接着剤トラックは、互いに等距離に平行に配置される。これに代わって又はこれに加えて、接着間隙は、流入側にわたって及び/又は流出側にわたって、均一に分布して配置されてもよい。これにより、フィルタベローズのできるだけ均一な安定化を達成することができる。
【0037】
有利な実施形態によると、接着剤トラックは、ひだ先端部に対して垂直に延びる。これにより、フィルタベローズのできるだけ均一な安定化を達成することができる。
【0038】
本発明の一態様によると、流体を濾過するためのフィルタシステムであって、流体流を流入させるための少なくとも1つの流入口と、浄化された流体流を流出させるための少なくとも1つの流出口とを有するフィルタハウジングと、フィルタハウジング内に、未処理側と清浄側との間に交換可能に配置された、流体を濾過するためのフィルタ要素と、を備え、フィルタ要素は、未処理側の流入面と清浄側の流出面とを有する、ジグザグ状に折り畳まれた濾材を含む少なくとも1つのフィルタベローズであって、清浄側に配置された補強フレーム内に配置されたフィルタベローズと、フィルタベローズの流入面又は流出面において、濾材の外周側に、周方向に少なくとも部分的に連続して配置された少なくとも1つのシールであって、特に発泡又は成形によって補強フレームに接続されたシールと、を備えるフィルタシステムが提案される。フィルタベローズのひだの流入側及び/又は流出側に、複数の細長い接着部が、少なくとも2つの接着剤トラックに、濾材のひだの展延に沿って配置される。これに関連して、流入側の接着剤トラック及び流出側の接着剤トラックは、横方向において互いにずれて配置され、接着剤トラックは、少なくとも流出側において、少なくとも部分的に、濾材及び/又はシールに対する接着剤トラックの長さ変化を補償するために張力を緩和するように構成される。
【0039】
フィルタベローズは、例えば、ジグザグ状にひだ折りされており、平行なひだ先端部が、フィルタベローズの長手方向に次々並び、それぞれフィルタベローズの両端縁に延在する。この場合、フィルタベローズには、周方向に連続した補強フレームを成形することができる。このようなフィルタベローズは、例えば、内燃機関のエアフィルタとして有利に利用され、エアフィルタの安価で効率的な解決策を構成する。成形されたフレームにより、フィルタベローズを容易に取り付け、必要に応じて交換することが可能となる。
【0040】
シールは、好ましくは、補強フレームの領域内でフィルタベローズ上に発泡又はモールド成形することで製造されるポリウレタン(PUR)シールである。
【0041】
フラットフィルタの場合の流れ方向は、例えば、フラットフィルタではフィルタベローズの両平坦面に設けられる流入面及び流出面に対して垂直である。好ましくは、隆起するひだを有するフィルタの流出面及び流入面は、それぞれ濾材のひだ先端部が位置する面である。
【0042】
従来技術によれば、通常、端面に配置される接着部は、流入面又は流出面にわたって、濾材のひだのひだ先端部上に連続的に延びる接着剤トラックとして配置される。
【0043】
有利には、濾材の流入側の接着剤トラックを、濾材の流出側の接着剤トラックに対して、例えば濾材のフィルタベローズの横方向に接着剤トラックの半分の距離だけずれるように塗布することができる。これにより、接着剤トラックは、濾材の流入側と流出側に交互に配置される。この方法では、接着剤の総塗布量は、通常互いに反対側に配置される従来の接着剤トラックの塗布量と同等である。しかしながら、この方法では、横方向の接着剤トラックの距離を半分にすることができ、フィルタベローズの安定性に関してプラスの効果がある。
【0044】
また、接着剤トラックは、温度変化などの環境影響による接着剤トラックの収縮時に、接着剤トラックが裂けてフィルタベローズが損傷しないように、動作中の接着剤トラックの長さ変化を補償するための張力緩和手段を含むことができる。フィルタベローズはフレームに固定的に接続されており、接着剤トラックの収縮時にフレームから剥離する可能性があることから、このことは、シールが配置されたフィルタベローズの剛性プラスチックフレーム側において特に重要である。
【0045】
張力緩和手段によって、接着剤の経時的な収縮により接着剤トラックに接着剤の開口部ができ、シールと濾材との間から浄化する流体の漏れが生じることを有利に回避することができる。張力緩和手段の利点は、フィルタベローズのシールとの重要な接合領域において、接着剤の収縮による比較的広い剥離効果が生じなくなることにある。接着剤の収縮は、これらの領域で対応する張力が生じないように、依然として生じ得る。
【0046】
フィルタシステムの有利な実施形態によれば、フィルタハウジング内に、フィルタ要素より流体的に上流側である前方にサイクロンプレセパレータが設けられる。これに代わって又はこれに加えて、フィルタ要素より流体的に下流側である後方に安全要素が設けられてもよい。
【0047】
有利には、フィルタは、多段フィルタ、特に2段コンパクトエアフィルタとして構成される。有利には、少なくとも1つのフィルタ要素は、少なくとも1つの粒子分離装置、特にサイクロンプレセパレータより流体的に下流側に配置される。少なくとも1つの粒子分離装置は、フィルタの一部であってもよく、またはフィルタの外部でフィルタの上流に接続されていてもよく、特にプレセパレータとして使用することができる。外部プレセパレータは、モータールームの外側に配置されてもよい。有利には、少なくとも1つの流入口、少なくとも1つの流出口、また必要に応じて粒子分離装置が実質的に直線上に配置される。これにより、特に実質的にフィルタハウジングのハウジング軸に沿って、流体がフィルタを適宜流通することができる。
【0048】
フィルタシステムの有利な実施形態によれば、フィルタ要素のシールにより、フィルタ要素が意図した通りに取り付けられた状態で、未処理側が清浄側から分離される。これにより、フィルタ要素の長寿命化を図りつつ、流入流体の確実な洗浄を確保することができる。
【0049】
フィルタシステムの有利な実施形態によれば、フィルタ要素は、流体の主流軸に交差する方向にフィルタハウジング内に挿入される又は挿入可能な挿入フィルタ要素として構成される。これにより、負荷がかかったフィルタ要素を適切に交換することができる。また、内燃機関又は車両の停止を伴うメンテナンスの間隔期間を短縮することができる。
【0050】
記載されたフィルタシステムは、エアフィルタとして、特に自動車両の、特に内燃機関のエアフィルタ又は内部エアフィルタとして有利に使用することができる。
【0051】
本発明は、自動車両、建設/農業機械、圧縮機、工業用モーター、又は内燃機関を備えた他の装置に使用することができる。本発明の意味における車両は、陸上車両、船舶、及び/又は航空機を含む。
【0052】
有利には、自動車両は、乗用車、トラック、オートバイ、バス、トラクター、農業用車両及び/又は建設用車両などである。
【0053】
本発明は、有利には、内燃機関の吸気マニホルドの一部である。本フィルタは、内燃機関に供給される燃焼用空気を浄化するのに役立つ。しかしながら、本発明は、自動車両の内燃機関の吸気マニホルドのエアフィルタに限定されない。代わりに、自動車両やその他の機械、特に農業機械や建設機械などのエアシステムに使用することもできる。エアフィルタは、自動車技術以外、特に産業用モーターなどにも使用できる。
【0054】
さらに、本発明のフィルタ要素、本発明の要素フレーム、本発明のフィルタベローズ、本発明のフィルタハウジング、及び本発明のフィルタに関連して開示される特徴及び利点、並びに、それらの有利な実施形態は、互いに相互に適用され、逆もまた同様である。もちろん、個々の特徴及び利点は互いに相互に組み合わせることができ、その場合、個々の効果の合計を超える更なる有利な効果が生じる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
更なる利点は、以下の図面の説明から得られる。図面には、本発明の実施形態が示されている。図面、明細書、及び特許請求の範囲には、多数の特徴が組み合わせられて含まれる。当業者であれば、これらの特徴を適切に、また個別に検討し、組み合わせて、更なる組み合わせを提供することができる。以下、例示的に示される。
【0056】
【
図1】本発明の一実施形態によるフィルタ要素が取り付けられたフィルタシステムの等角図である。
【
図2】流入口を含む、
図1のフィルタシステムの等角図である。
【
図4】流出面を含む、本発明の一実施形態によるフィルタ要素の等角図である。
【
図5】流入面を含む、
図4のフィルタ要素の等角図である。
【
図6】流出面を含む、
図4のフィルタ要素の更なる等角図である。
【
図7】流入面を含む、
図4のフィルタ要素の更なる等角図である。
【
図8】断面A-A、B-B、C-C、D-D、E-E、F-Fが示された、
図4のフィルタ要素の流出面の平面図である。
【
図9】ひだの流入側に配置された接着剤トラックを含む、
図8の断面A-Aにおけるフィルタ要素の縦断面図である。
【
図10】ひだの流出側に配置された接着剤トラックを含む、
図8の断面B-Bにおけるフィルタ要素の縦断面図である。
【
図11】ひだの流出側に配置された接着剤トラックを含む、
図8の断面D-Dにおけるフィルタ要素の横断面図である。
【
図12】ひだの流出側に配置された接着剤トラックを含む、
図8の断面C-Cにおけるフィルタ要素の横断面図である。
【
図13】ひだの流入側に配置された接着剤トラックを含む、
図8の断面F-Fにおけるフィルタ要素の横断面図である。
【
図14】ひだの流入側に配置された接着剤トラックを含む、
図8の断面E-Eにおけるフィルタ要素の横断面図である。
【
図15】流出側及び流入側に配置された接着剤トラックを含む、
図8の断面D-D及びF-Fを重ね合わせたフィルタ要素の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図中、同一又は類似の構成要素は同一の参照記号で示される。これらの図は単なる例示であり、限定的なものとして理解されるべきではない。
【0058】
図1は、本発明の一実施形態による、フィルタ要素10が取り付けられた、流体を濾過するためのフィルタシステム100の等角図である。
図2は、流入口を102含む、
図1のフィルタシステムの等角図である。より理解を深めるために、
図2は、フィルタシステム100の縦断面を示している。
【0059】
フィルタシステム100は、流体流れ120を導入するための少なくとも1つの流入口102(不可視)及び浄化された流体流れ122を排出するための少なくとも1つの流出口104を有するフィルタハウジング110を備える。フィルタハウジング110は、ねじ接続132によってフランジ130に沿って接合されたハウジング下部114及びハウジング上部112を含む。流体を濾過するためのフィルタ要素10は、フィルタハウジング110内に、未処理側40と清浄側42との間に交換可能に配置される。フィルタ要素10は、クランプクロージャ118によってフィルタハウジング110を密閉することができるハウジングカバー116を介して、フィルタハウジング110に挿入したり、フィルタハウジング110から取り外したりすることができる。浄化される流体の流入方向及び流出方向は、矢印120、122によって示される。
【0060】
図3のフィルタシステム100の縦断面では、同じく断面化されたフィルタ要素10が示されており、フィルタ要素10は、フィルタハウジング110に挿入されている。さらに、粗い汚れ粒子を流体流れから濾過して取り除く、マルチサイクロンとして構成されたサイクロンプレセパレータ14が示されている。分離された汚れ粒子は、フィルタハウジングから汚れ出口106を通って排出することができる。フィルタ要素10の流れ方向134は矢印で示される。下流側では、浄化された流体は、流出口104を通ってフィルタハウジング110から排出される前に、未浄化の流体や他の汚れ粒子の流入による汚染から清浄側42を、フィルタ要素10の交換時も、保護するために、例えばフラットベローズとして構成される安全要素16を流れる。流出口104は、安全要素16によって完全に覆われている。
【0061】
図1、
図2及び
図3に示されるようなフィルタシステム100に挿入されるフィルタ要素10が、
図4では流出面52を含む等角図で、
図5では流入側50を含む等角図で示される。
図6は、流出面52を含む
図4のフィルタ要素10の更なる等角図であり、
図7は、流入面50を含む更なる等角図である。
【0062】
フィルタ要素10は、要素フレーム36に挿入されるフィルタベローズ12を備える。
【0063】
フィルタ要素10は、流体の主流軸128(
図3参照)に交差する方向にフィルタハウジング110に挿入される又は挿入可能な挿入フィルタ要素として構成される。
【0064】
フィルタベローズ12は、ジグザグ状に折り畳まれた濾材13を含む。フィルタベローズ12は、主軸62方向から見ると、長方形状である。フィルタベローズ12は、横方向64から見ると、略台形状である。フィルタベローズ12の未処理側の流入面50は、流れ中心面に平行に、すなわち、主軸62に垂直に延びる。清浄側の流出面52は、横軸64に平行かつ流れ中心面に対して傾めに、すなわち、流入面50に対して傾めに延びる。
【0065】
フィルタベローズ12は、設置方向66から見たときに、その横方向前側に向かって先細り状になっている。流入面50及び流出面52において、濾材13のひだ先端部24は、それぞれ横軸64に平行に延びる。ひだ先端部24は、それぞれ、流入面50及び流出面52を画定する。主軸62方向における折り畳まれた濾材13のひだ22の高さは、設置方向66に関して、フィルタベローズ12の横方向後側から横方向前側に向かって減少する。従って、フィルタベローズ12は、ひだ高さが可変である。
【0066】
流出面52はシール20に囲まれている。フィルタ要素10が意図したとおりに取り付けられている時、フィルタ要素10のシール20によって、未処理側40と清浄側42とが隔てられる。
【0067】
シール20は、例えばポリウレタン(PUR)からなる。これは弾力性を有している。シール20は、濾材13の端面上に発泡成形される。主軸62に関して、シール20は、濾材13より径方向外側かつ軸方向に突出している。流出側のシール20の端面シールリップは、主軸62に関して、周方向に連続したシール表面44を形成する。シール面44は、装着状態においてハウジング側のシール面に位置する。
【0068】
プラスチック材料からなる補強フレーム18は、主軸62に関してシール面44から軸方向に離れる方向を向いているシール20の後側で、シール20のシールトラックに埋め込まれている。補強フレーム100は、シール面に平行にかつシール表面44に平行に延びる。補強フレーム18は、主軸62に関して、周方向に連続している。主軸62に関してシール表面44の軸方向反対側にあるシール20の裏面は、シール表面44に平行な面に延びる。フィルタ要素14が取り付けられている時、シール表面44及びシール裏面は、それぞれハウジング側シール面と平行に延びる。
【0069】
要素フレーム36は、流出面52においてシール支持装置34を含む。シール支持装置34は、要素フレーム36の流出側縁部に配置されている。シール支持装置34は、フィルタ要素10の外周側で主軸62に関して周方向に連続して延びる。シール支持面34は、要素フレーム36の縦壁46及び横壁48と一体に接続されている。
【0070】
フィルタベローズ12のひだ22の流入側70及び/又は流出側72に、複数の細長い接着部28、29が、少なくとも2つの接着剤トラック26、27に、濾材13のひだ22の展延に沿って配置される。流入側70の接着剤トラック26及び流出側72の接着剤トラック27は、横方向64に互いにずれて配置される。
【0071】
接着剤トラック26、27は、フィルタベローズ12のひだ22のひだ先端部24に対して垂直に延びる。
【0072】
接着剤トラック26、27は、少なくとも流出側72において、濾材13及び/又はシール20に対する接着剤トラック26の長さ変化を補償するために、少なくとも部分的に、張力を緩和するように構成される。
【0073】
濾材13及び/又はシール20に対する接着剤トラック26、27の起こり得る長さ変化を補償するために、接着部28、29及び接着間隙30、31を各接着剤トラック26、27上に交互に配置して、張力を緩和することができる。その詳細は、
図9~
図15に示される。
【0074】
図4~
図7に示されるフィルタ要素10の実施形態では、流入側の接着剤トラック26は接着間隙なしで連続的に塗布されるが、流出側52のひだ先端部24は更なる接着間隙32を有する。この場合、更なる接着間隙32は、ひだ22に対する横方向64に関して、隣接する接着剤トラック26、27の更なる接着間隙32が異なるひだ先端部24に位置するように配置される。特に、更なる接着間隙32は、1つ又は複数のひだ22にわたって延びる。
【0075】
図8は、断面A-A、B-B、C-C、D-D、E-E、F-Fが示された、
図4のフィルタ要素10の流出面52の平面図である。接着剤トラック27は、ひだ先端部24に対して垂直に延び、横方向64に等距離に配置される。接着剤トラック27は、更なる接着間隙32を有する。
【0076】
図9は、ひだ22の流入側70に配置された接着剤トラック26を含む、
図8の断面A-Aにおけるフィルタ要素10の縦断面図である。フィルタ要素10の縦断面において、接着剤トラック26の接着部26及び接着間隙30は、設置方向66のフィルタベローズ12の範囲全体にわたって延在する縞状体として見ることができる。
【0077】
流入側70では、フィルタベローズ12の高い柔軟性を維持するために、縁部領域54のひだ22には、ひだ先端部24の接着部28、29が存在しない。
【0078】
図10は、流出側72の対応する接着剤トラック27を含む、
図8の断面B-Bにおけるフィルタ要素10の縦断面図である。
【0079】
図9及び
図10の縦断面を比較すると分かるように、流入側70の接着部28、29と流出側72の接着間隙30、31とは、ひだ22の展延に沿って、交互に配置されている。任意に、それぞれの対向配置された側70、72の接着部28、29と接着間隙30、31とは、わずかに重なるように配置されてもよい。
【0080】
流入側70又は流出側72には、ひだ先端部24を横切って延在する接着部28、29がそれぞれ配置される。これに代わって又はこれに加えて、流出側72又は流入側70に、ひだ先端部24を横切って延在する接着間隙30、31がそれぞれ配置されてもよい。例えば、一方の側70、72においてひだ先端部24が接着部28、29を有する場合、対応するひだ基部は接着間隙30、31を有してもよく、その逆も同様である。
【0081】
図11は、流出側72に配置された接着剤トラック27を含む、
図8の断面D-Dにおけるフィルタ要素10の横断面図であり、
図12は、断面C-Cにおける横断面図である。断面において、ひだ22の展延部は、ひだ22の流出側72として図平面で見ることができる。
【0082】
接着剤トラック27は、接着部29と接着間隙31を交互に有する。接着剤トラック27は互いに等距離に平行に配置される。これに代わって又はこれに加えて、接着間隙30、31は、流出側72をわたって均一に分布して配置されてもよい。
【0083】
図11及び
図12に示されるように、流出側72では、接着間隙31が、ひだにおける図中の流入面50に位置するひだ基部25に配置されている。
【0084】
隣り合う接着剤トラック27の接着部29及び接着間隙31は、横方向64に関して、ひだ22の展延に対してそれぞれ同じ高さに配置される。
【0085】
接着部28、29及び接着間隙30、31は、例えば、
図11及び
図12に示される実施形態のように、同じ長さ又は少なくともほぼ同じ長さを有するように設計される。
【0086】
図12の断面では、流出面52のひだ先端部24に、対応する接着部29が欠落した2つの更なる接着間隙32が見られる。
【0087】
図13は、流入側70に配置された接着剤トラック26を含む、
図8の断面F-Fにおけるフィルタ要素10の横断面図であり、
図14は、断面E-Eにおける横断面図である。
【0088】
接着剤トラック26は、
図11及び
図12の接着剤トラック27に対して横方向64にずらして、交互になるように配置される。流入側70の接着部28及び接着間隙30と、流出側72の接着部29及び接着間隙31とが、交互に配置される。
【0089】
図13及び
図14に示されるように、図中の流出面52に配置されたひだ基部25に延在する接着部28は、流入側(70)、ここではひだ22の流入側ひだポケットの流入側内壁にそれぞれ配置される。この目的のため、ひだ基部25の接着部28は、ひだ22の流入側70の残りの面上の接着部28よりも長く構成されている。好ましくは、ひだ22の流入側70の最初及び/又は最後のひだ22のひだ基部25あるいはひだポケット25に位置する縁部領域54には、接着部28が設けられてない。すなわち、フィルタベローズ12の少なくとも一端において、例えば、最初又は最後の5~10個のひだについて、縁部領域54又はひだ基部25には、接着部28が存在しない。これにより、ひだは、引張荷重を受けると、ひだ端方向に交差する方向に広がり、変形によって引張応力を低減することができるので、破れるリスクが低減される。図示されたフィルタ要素10のように、有利には、最初及び/又は最後のひだ22の流出側72において、流出側の外部から視認可能なひだ先端部24に、少なくとも1つ、好ましくは複数の接着間隙が配置される。これらの接着間隙は、好ましくは、流入側において接着部がひだ基部25に存在しないひだ22に配置される。これにより、フィルタベローズ12の最初又は最後のひだ22の限定された端部領域において、ひだ端方向に交差する方向の良好な変形を達成することができ、裂けるリスクを低減することができる。
【0090】
図15は、流入側70及び流出側72の2つの接着剤トラック26、27のオフセット配置を見ることができるように、
図11及び
図13に示されたフィルタ要素10の
図8による断面D-D及びF-Fが重ね合わされている。また、流出側72の接着間隙31に対する流入側70の接着部28の交互の配置と、流入側70の接着間隙30に対する流出側72の接着部29の交互の配置とが明瞭に示されている。接着部28、29は、それぞれ最小限の重なりで形成されている。
【符号の説明】
【0091】
10 フィルタ要素
12 フィルタベローズ
13 濾材
14 サイクロンプリセパレータ
16 安全要素
18 補強フレーム
20 シール
22 ひだ
24 ひだ先端部
25 ひだ基部
26 接着剤トラック
27 接着剤トラック
28 接着部
29 接着部
30 接着間隙
31 接着隙間
32 更なる接着隙間
34 シール支持装置
36 要素フレーム
40 未処理側
42 清浄側
44 シール面
46 縦壁
48 横壁
50 流入面
52 流出面
54 縁部領域
58 縦側面
60 横側面
62 主軸
64 横方向
66 設置方向
70 流入側
72 流出側
100 フィルタシステム
102 流入口
104 流出口
106 汚れ出口
110 フィルタハウジング
112 ハウジング上部
114 ハウジング底部
116 ハウジングカバー
118 クランプクロージャ
120 未処理の流体流れ
122 浄化された流体流れ
128 主流軸
130 フランジ
132 ねじ接続
134 流れ方向
【国際調査報告】