(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】複合材料要素を結合するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
B29C 70/68 20060101AFI20241003BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20241003BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20241003BHJP
B29C 43/12 20060101ALI20241003BHJP
B64C 1/08 20060101ALI20241003BHJP
B64F 5/40 20170101ALI20241003BHJP
【FI】
B29C70/68
B29C70/44
B29C70/54
B29C43/12
B64C1/08
B64F5/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522373
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 IB2022059825
(87)【国際公開番号】W WO2023062580
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021000026504
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518160436
【氏名又は名称】レオナルド・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・セリオ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ガッロ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ・ジュゼッペ・コルヴァグリア
【テーマコード(参考)】
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AD16
4F204AG03
4F204AH31
4F204AM28
4F204FA01
4F204FA13
4F204FB01
4F204FB11
4F204FF05
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ37
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AH31
4F205AM28
4F205HA09
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HF05
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK05
4F205HT26
4F205HW02
4F205HW50
(57)【要約】
航空機の構造構成部品(4)を定めるために、複合材料内の第1の要素(2)を複合材料内の第2の要素(3)と結合する方法が記載されており、その方法は、
a) 第1の要素(2)を第2の要素(3)と接触させて配置するステップと、
b) 非剛性の加熱層(6)を第1の要素(2)に適用するステップと、
c) 圧縮非平衡状態で予荷重の掛けられた形状記憶熱可塑性ポリマの層(7)を加熱層(6)に適用するステップと、
d) このように得られた組立体に真空バッグ(8)を適用するステップと、
e) 第1の要素(2)、第2の要素(3)の少なくとも一部、加熱層(6)、および形状記憶層(7)を収容する真空室(10)を定めるために、真空バッグ(8)を封止するステップと、
f) 真空室(10)の内部に真空を適用するステップと、
g) 加熱層(6)を作動させることで、第1の要素(2)、第2の要素(3)、および形状記憶層(7)に熱を適用するステップと、
h) 熱を適用するステップg)を用いて、形状記憶層(7)を圧縮非平衡状態から拡張平衡状態へと拡張するステップと、
i) 拡張するステップh)を用いて、第1の要素(2)を第2の要素(3)に当てて圧縮するために第1の要素(2)に圧力を適用するステップと
を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の構造構成部品(4)を定めるために、複合材料内の第1の要素(2)を複合材料内の第2の要素(3)と結合する方法であって、
a) 前記第1の要素(2)を前記第2の要素(3)と接触させて配置するステップと、
b) 非剛性の加熱層(6)を前記第1の要素(2)に適用するステップと、
c) 圧縮非平衡状態で予荷重の掛けられた形状記憶熱可塑性ポリマの層(7)を前記加熱層(6)に適用するステップと、
d) このように得られた組立体に真空バッグ(8)を適用するステップと、
e) 前記第1の要素(2)、前記第2の要素(3)の少なくとも一部、前記加熱層(6)、および前記形状記憶層(7)を収容する真空室(10)を定めるために、前記真空バッグ(8)を封止するステップと、
f) 前記真空室(10)の内部に真空を適用するステップと、
g) 前記加熱層(6)を作動させることで、前記第1の要素(2)、前記第2の要素(3)、および前記形状記憶層(7)に熱を適用するステップと、
h) 熱を適用する前記ステップg)を用いて、前記形状記憶層(7)を前記圧縮非平衡状態から拡張平衡状態へと拡張するステップと、
i) 拡張する前記ステップh)を用いて、前記第1の要素(2)を前記第2の要素(3)に当てて圧縮するために前記第1の要素(2)に圧力を適用するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
l) 前記第1の要素(2)および/または前記第2の要素(3)に少なくとも1つの温度センサ(12)を配置するステップと、
m) 前記温度センサ(12)を用いて、熱を適用する前記ステップg)の間に到達させられる温度を測定するステップと
を含み、
熱を適用する前記ステップg)は、測定する前記ステップm)の間に測定される温度値に基づいて前記加熱層(6)の温度を制御するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
n) 前記加熱層(6)と前記第1の要素(2)との間に通気層(13)を配置するステップ、および/または
o) 前記加熱層(6)と前記第1の要素(2)との間に、具体的には、前記通気層(13)が存在するときには前記第1の要素(2)と前記通気層(13)との間に、解放膜(16)の層を配置するステップ
を含む、請求項1もしくは2に記載の方法。
【請求項4】
p) カバー層(15)を前記形状記憶層(7)と接触させて配置するステップを含み、
圧力を適用する前記ステップi)は、前記カバー層(15)を用いて、前記第1の要素(2)とは反対の方向への前記形状記憶層(7)の拡張を制限および/または防止するステップを含む、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
q) 真空を適用する前記ステップf)を用いて、前記カバー層(15)を固定位置で維持するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
r) 前記形状記憶層(7)と前記第1の要素(2)との間に、内部容積が流体で満たされる封止された変形可能な非剛性の中空要素(18)を配置するステップを含み、
圧力を適用する前記ステップi)は、
前記形状記憶層(7)を前記非剛性の中空要素(18)に抗して拡張し、それによって、前記非剛性の中空要素(18)に含まれる前記流体に圧力を適用するステップと、
前記非剛性の中空要素(18)に含まれる前記流体を用いて、このような圧力を静水圧へと変換するステップと、
拡張する前記形状記憶層(7)によって圧力の加えられる前記非剛性の中空要素(18)を用いて、前記静水圧を前記第1の要素(2)に適用するステップと
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
適用する前記ステップb)は、
前記加熱層(6)を、前記第1の要素(2)と、熱伝導性材料から作られる前記非剛性の中空要素(18)との間に配置するステップ、または、
前記加熱層(6)を前記形状記憶層(7)と前記非剛性の中空要素(18)との間に配置するステップ、または、
前記加熱層(6)を、前記非剛性の中空要素(18)に対して反対側に、前記形状記憶層(7)に配置するステップ
のうちの1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の要素(3)は、損傷または欠陥のある一部分(3a)を有する航空機の構造構成部品を定め、前記第1の要素(2)は修復パッチを定め、
前記方法は、
s) 前記第2の要素(3)の前記損傷または欠陥のある一部分(3a)に前記第1の要素(2)を配置するステップと、
t) 熱を適用する前記ステップg)および圧力を適用する前記ステップi)を用いて、前記第1の要素(2)と結合することで前記第2の要素(3)を修復するステップと
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
u) 前記損傷または欠陥のある一部分(3a)を有する前記第2の要素(3)の表面(3b)とは反対の前記第2の要素(3)の無傷表面(3c)に対向圧力を適用するステップを含み、
対向圧力を適用する前記ステップu)は、
解放材料のさらなる層(16a)または通気材料のさらなる層(13a)の介在の有無にかかわらず、前記第2の要素の前記無傷表面(3c)に第2の非剛性の加熱層(6a)を適用するステップと、
圧縮非平衡状態で予荷重の掛けられた形状記憶熱可塑性ポリマの第2の層(7a)を前記第2の加熱層(6a)に適用するステップと、
このように得られた組立体に第2の真空バッグ(8a)を適用するステップと、
前記無傷表面(3c)によって部分的に画定され、前記第2の加熱層(6a)および前記第2の形状記憶層(7a)を収容する第2の真空室(10a)を定めるために、前記真空バッグ(8a)を封止するステップと、
前記第2の真空室(10a)の内部に真空を適用するステップと、
前記第2の加熱層(6a)を作動させることで、前記第1の要素(2)、前記第2の要素(3)、および前記第2の形状記憶層(7a)に熱を適用するステップと、
熱を前記第2の加熱層(6a)に適用することで、前記第2の形状記憶層(7a)を前記圧縮非平衡状態から拡張平衡状態へと拡張するステップと、
前記第2の形状記憶層(7a)を拡張することで、前記第2の要素(3)の前記無傷表面(3c)に圧力を適用するステップと
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の要素は、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料の少なくとも第1の層(2)を定め、前記第2の要素は、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料の少なくとも第2の層(3)を定め、
前記方法は、
v) 先に一体に積層された前記第1の層および前記第2の層を硬化工具(19)に配置するステップと、
z) 熱を適用する前記ステップg)および圧力を適用する前記ステップi)を用いて、前記第1の層(2)の前記複合材料および前記第2の層(3)の前記複合材料を硬化させるステップと
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
航空機の構造構成部品(4)を定めるために、複合材料内の第1の要素(2)を複合材料内の第2の要素(3)と結合するためのデバイス(1)であって、
前記第1の要素(2)が前記第2の要素(3)に接触して使用で配置されるとき、前記第1の要素(2)に適用されるように構成される、非剛性の加熱層(6)、好ましくは電気毛布と、
圧縮非平衡状態と拡張平衡状態との間で制御可能であって、前記加熱層(6)へと前記圧縮状態で予荷重が掛けられて配置されるように構成され、前記加熱層(6)を作動させることで熱を供給することによって拡張させられるように構成される形状記憶熱可塑性ポリマの層(7)と、
組立体に適用されることで、前記形状記憶層(7)、前記加熱層(6)、前記第1の要素(2)、および前記第2の要素(3)の少なくとも一部を収容する真空室(10)を定めるように構成される真空バッグ(8)と
を備え、
前記加熱層(6)は、前記第1の要素(2)および前記第2の要素(3)に熱を適用するように構成され、
前記形状記憶層(7)は、前記圧縮状態から前記拡張状態へと移行することで前記第1の要素(2)を前記第2の要素(3)に当てて圧縮するために、前記第1の要素(2)に圧力を適用するように構成される、デバイス(1)。
【請求項12】
制御ユニット(11)と、
前記第1の要素(2)および/または前記第2の要素(3)に配置可能であって、前記加熱層(6)の作動に続いてそれ自体において到達した温度を測定するように構成され、温度信号を前記制御ユニット(11)へと送信するように構成される少なくとも1つの温度センサ(12)、好ましくは熱電対と
を備え、
前記制御ユニット(11)は、前記温度センサ(12)から受信される前記温度信号に基づいて、前記加熱層(6)の温度を制御するように構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の要素(2)に対して反対側の前記形状記憶層(7)に接触して配置され、前記第1の要素(2)とは反対の方向への前記形状記憶層(7)の拡張を制限および/または防止するように構成されるカバー層(15)を備える、請求項11もしくは12に記載のデバイス。
【請求項14】
内部容積が流体で満たされる封止された変形可能な非剛性の中空要素(18)を備え、
前記非剛性の中空要素(18)は、前記形状記憶層(7)によって発揮される圧力を受け入れ、その圧力を静水圧へと変換し、その静水圧を前記第1の要素(2)に適用するために、前記形状記憶層(7)と前記第1の要素(2)との間に配置可能である、請求項11から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2021年10月15日に出願されたイタリア特許出願第102021000026504号からの優先権を主張し、その特許出願の開示全体が、本明細書において参照により組み込まれている。
【0002】
本発明は、複合材料内の構造構成部品を定めるために、複合材料内の第1の要素を複合材料内の第2の要素と結合する方法に関し、構造構成部品は、例えば、航空分野で使用され、以下の説明が一般性を失うことなく明示的に言及する航空機の機体の梁、縦材、または縦通材などの航空機の構造の一部である。
【0003】
詳細には、本発明は、複合材料内の損傷または欠陥のある構造構成部品の修復に有利に適用されるが、そのような修復に限定して適用されるのではない。
【0004】
さらに、本発明は、前述の種類の構造構成部品を構成する複合材料の硬化に有利に適用されるが、そのような硬化に限定して適用されるのではない。
【0005】
また、本発明は、複合材料における前述の構造構成部品またはその一部を定めるために、複合材料内の第1の要素を複合材料内の第2の要素と結合するための結合デバイスにも関する。
【背景技術】
【0006】
例えば、複合材料で製造される機体およびその一部など、航空機産業の分野で使用される構造構成部品が知られている。このような材料の使用は、航空機の全重量を低減する必要性、航空構造の腐食の問題を排除または最低限にする必要性、および、航空構造の疲労強度を増加させる必要性によって決定付けられる。
【0007】
最先端の技術では、軽合金で製作され、そのため金属材料で製作され、機体に適用される必要がある航空構造構成部品がある。
【0008】
このような金属要素の使用と、複合材料内の構造と接触させての金属要素の搭載とは、金属の腐食の関連する危険性と結びつくガルバニックの問題と、検査レベルを増加させる必要性の問題とを引き起こす。これは、このような構成部品の製作者にとっての全体コスト、延いては、飛行機会社にとっての全体コストにおける増加を伴う。
【0009】
そのため、このような構造構成部品を複合材料でも製造する必要性がある。
【0010】
複合材料の使用は、航空機の全重量を低減することを可能にすると同時に、非常に耐久性のある構造を得ることを可能にする。
【0011】
前述の構造構成部品を製作するために、未硬化の複合材料の複数の層が、構造構成部品に与えられるように意図されている形に依存して、適切に成形された形成工具に配置される。
【0012】
複合材料は、2つのステップ、すなわち、母材および繊維から成る材料である。具体的には、予め含浸させた材料の場合、各々の層は、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維など、異なる性質の繊維によって補強された(熱硬化性樹脂、熱可塑性物質など内の)母材によって通常は構成される。
【0013】
このように得られた層は形成工具において一体に積層される。
【0014】
積層の後、必要な場合には、形成工程が、通常は真空の助けで、形成ダイにおいて行われ、つまり、このような手法では、層が圧縮され、所望の形(例えば、T字形、Z字形、C字形、またはΩ字形の輪郭など)が構造構成部品に押し付けられる。
【0015】
このように形成された組立体は、続いて、複合材料を硬化させ、前述の層を一体に圧縮し、それによって構造構成部品を得るために、高温高圧を適用することによって、硬化工具において硬化工程を受ける。
【0016】
そのために、組立体は、樹脂の重合を作り出し、延いては材料の硬化を作り出すために必要である圧力および温度が適用されるオートクレーブの内部に収容される。
【0017】
しかしながら、一般的に使用されるオートクレーブは、部品に対してはるかにより大きい寸法を有する。これは、特に、硬化される構成部品がオートクレーブの体積に対して小さい寸法のものである場合、オートクレーブを加圧および加熱するために必要な時間およびコストにおいて増加を伴う。さらに、オートクレーブは相当に高価である。
【0018】
損傷または欠陥のある構造構成部品を修復するための部門における必要性が知られている。構造構成部品の修復は、廃棄物を減らし、特には、大きな寸法の構成部品を製造する場合において、コストを低減することを可能にする。
【0019】
そのため、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料のパッチを欠陥または損傷のある部品に適用することと、好ましくは接着シートを間に介在させることとから成る修復介入が知られている。EP-A-2457718は、接着された航空機結合部、つまり、接着剤要素で製造される航空機結合部を製造するための方法および装置の例を提供している。
【0020】
損傷または欠陥のある構成部品、および、修復される部分に配置されるパッチの周りに、真空バッグが所与の圧力を適用するために巻かれる。
【0021】
真空バッグの代わりに、いくつかの知られている解決策は、パッチの上方における膨張可能室の配置と、圧縮空気などで室を加圧することによる圧力の適用とを提供する。
【0022】
そのため、赤外線ランプを用いてなどで、特定の温度が適用される。
【0023】
このような手法では、結合が第1の要素(パッチ)と複合材料内の第2の要素(構成部品)との間に得られる。
【0024】
本出願者は、真空バッグだけによって発揮される圧力、または、膨張可能室だけによって発揮される圧力だけでは、2つの部品の間の最適な結合効果(延いては、修復効果)に到達することを可能にしないことに気付いた。そのため、本出願者は、知られている結合方法は、さらなる改善を受け入れる余地があり、具体的には、前述の結合(修復)効果、異なる寸法を有する部品への(または、直接的に航空機への)方法の柔軟性および適用性、コストにおける全体の低減、実行の簡潔性および迅速性、ならびに可搬性に関して、さらなる改善を受け入れる余地があることに気付いた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、高い信頼性と限られたコストとを有し、知られている種類の結合の方法およびデバイスに結び付けられる先に特定された欠点のうちの少なくともいくつかを克服する、複合材料内の第1の要素を複合材料内の第2の要素と結合する方法およびデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明によれば、この目的は、添付の独立請求項において特許請求されているような方法およびデバイスによって達成される。
【0028】
本発明をより良く理解するために、いくつかの好ましい非限定的な実施形態が、以下において、単なる例として、添付の図面の助けにより記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】明確性のために部品が取り外されている状態での、本発明の第1の実施形態によるデバイスの、分解された構成での概略側面図である。
【
図2】明確性のために部品が取り外されている状態での、本発明の代替の実施形態により製造されたデバイスの、分解された構成での概略側面図である。
【
図4】拡大した縮尺においての、明確性のために部品が取り外されている状態での、本発明のさらなる実施形態により製造されたデバイスの、分解された構成での概略図である。
【
図5】拡大した縮尺においての、明確性のために部品が取り外されている状態での、本発明のさらなる実施形態により製造されたデバイスの、動作構成での概略図である。
【
図6】明確性のために部品が取り外されている状態での、本発明のさらなる実施形態によるデバイスの、分解された構成での概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付の図面を参照すると、符号1は、航空分野で使用され、以下の説明が一般性を失うことなく明示的に言及する航空機の機体の梁、縦材、または縦通材などの航空機の構造の一部である構造構成部品4を定めるために、複合材料内の第1の要素2を複合材料内の第2の要素3と結合するためのデバイスを、全体として指示している。
【0031】
具体的には、本発明は、構造構成部品4の修復に有利に適用されるが、そのような修復に限定して適用されるのではない。
【0032】
したがって、本発明の第1の実施形態によれば、デバイス1は、第1の要素2によって定められる、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料における修復パッチを、第2の要素3によって定められる構成部品4の一部とつなぐ(または、一体化もしくは結合する)ように構成される修復デバイスを定める。
【0033】
例えば、第2の要素3は、航空機の機体を形成するパネル、縦材、梁、縦通材、翼を形成するパネル、またはそれらの一部などであり得る。
【0034】
具体的には、第2の要素3は、その表面3bにおいて、修復される必要のある損傷、欠陥、または割れのある一部分3aを備える。パッチ2は、一部分3aの形と相補的である形を取るように合わせられる。
【0035】
使用中、第2の要素3は静止表面(図示されていない)に配置される。例えば、翼、機体、または他のものを構成するパネルの一部といった、航空機において直接的に行われる修復の場合、静止表面は第2の要素3によって定められる。
【0036】
そのため、第1の要素2、つまり修復パッチ2は、好ましくは接着剤層5の介在を伴って、第2の要素3に接触して配置され、具体的には、一部分3aの内側に挿入される。
【0037】
本発明の態様によれば、デバイス1は、非剛性の加熱層、好ましくは電気毛布6を備える。
【0038】
電気毛布6は、使用中に第2の要素3に接触して配置されるとき、つまり、一部分3aの内側に挿入されるとき、パッチ2に適用されるように構成される。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、デバイス1は、圧縮非平衡状態(
図1、
図2、
図3、
図4、および
図6において見ることができる)と拡張平衡状態(例えば
図5において見ることができる)との間で制御可能な形状記憶熱可塑性ポリマの層7を備える。
【0040】
好ましくは、形状記憶層7はPETなどの泡状ポリマ材料で作られる。
【0041】
知られているように、層7を構成する種類の形状記憶ポリマ材料は、制約の下での加熱、荷重の適用、および最終的な冷却から成る熱機械サイクルを用いて、圧縮非平衡状態(または形態)における固定が可能である。この変形した状態は「凍結」され、続いて、さらなる加熱を用いて回復され、これは、拡張平衡状態(または形態)への材料の拡張を引き起こす。回復が制約の下で行われる場合、拡張によって発生させられる圧力のため、荷重が適用される。
【0042】
PETなどにおけるポリマ発泡体が、ポリマの高分子の性質と気泡の微細構造との間の相互作用のおかげで、形状記憶特性を最大化することができる。そのため、大きな荷重が、平衡状態の回復の間に圧縮された発泡体によって発揮され得る。
【0043】
形状記憶層7は、圧縮状態で予荷重の掛けられた電気毛布6に配置されるように構成され、電気毛布6を作動させることによる熱の供給を通じて拡張させられるように構成される。
【0044】
デバイス1は、形状記憶層7と、電気毛布6と、パッチ2と、第2の要素3の少なくとも一部、具体的には、修復される一部分3aを有する第2の要素3の表面3bとを収容する真空室10を定めるために、このように得られた組立体に適用されるように構成される真空バッグ8をさらに備える。
【0045】
使用中、真空バッグ8は、封止接着マスチック樹脂14をバッグに適用することで封止される。記載されている例によれば、真空バッグ8は第2の要素3の表面3bにおいて封止され、したがって表面3bは真空室10を部分的に画定する。
【0046】
適切な弁50が、真空室10に含まれる空気の流出を、真空室10の内部の真空の全体の適用まで可能にする。
【0047】
都合良くは、デバイス1は、電気毛布6の作動を制御するために、電気毛布6に動作可能に接続可能である制御ユニット11も備える。
【0048】
本発明によれば、電気毛布6は、熱をパッチ2および第2の要素3に適用するために、制御ユニット11によって作動可能である。
【0049】
なおも本発明によれば、形状記憶層7は、圧縮状態から拡張状態へと移行することでパッチ2を第2の要素3に当てて圧縮するために、パッチ2に圧力を適用するように構成される。このような移行は、使用中に、先に言及されているように、電気毛布6による熱の供給によって行われる。
【0050】
したがって、このような構成のため、構造構成部品4を定めるために、簡単で素早くコスト効果のある手法で第2の要素3の修復を行うことが可能である。
【0051】
さらに、適切な圧力および温度値が形状記憶層7、電気毛布6、および真空バッグ8を用いて達成できるため、第1の要素2の複合材料、つまりパッチの複合材料は、第2の要素3に適切に圧縮されてそこで硬化され、それによって、同等の機械的性能を得るオートクレーブでの別の硬化工程を不必要にする。これは、修復時間およびコストの観点から、疑いのない利点を伴う。さらに、このようなシステムは、損傷した部品を取り外してから再び搭載する必要が無く、航空機の構造(例えば、機体、翼、方向舵など)において直接的に修復を行うことを可能にする。代替手段は、実際に、このような場合に、航空機全体をオートクレーブに入れることになる。
【0052】
そのため、本出願者は、このような革新的な構成が、2つの部品の間の最適な結合効果(延いては、修復効果)を達成すること、修復工程の柔軟性および適応性を増加させること、コストを低減すること、ならびに、実行の簡潔性および迅速性を向上させることに気付いた。
【0053】
好ましくは、デバイス1は、第1の要素2(つまり、パッチ2)および/または第2の要素3において利用可能であって、電気毛布6の作動に続いてそれ自体において到達した温度を測定するように構成され、温度信号を制御ユニット11へと送信するように構成される少なくとも1つの温度センサ、具体的には複数の熱電対12を備える。
【0054】
有利には、制御ユニット11は、熱電対12から受信される温度信号に基づいて、電気毛布の温度を制御するように構成される。
【0055】
このような手法では、正確性を伴って動作温度を制御することが可能であり、そのため、専用のオートクレーブの助けなしで、このような本質的なパラメータを、適応性のある手法で設定することが可能であるため、修復工程はさらに改善する。
【0056】
これは、関与する部品同士の間の結合効率だけでなく、硬化される材料の硬化効率(樹脂における部品の重合)もさらに増加させる。
【0057】
都合良くは、デバイス1は、電気毛布6と第1の要素(パッチ)2との間に介在され、好ましくは、所定の横糸を伴うポリエステルまたはガラス繊維で作られる通気繊維の層13(ブリーザとしても知られる)を少なくとも備える。
【0058】
通気繊維の層13は、電気毛布6による予め含浸させた複合材料の加熱の後に作り出される樹脂ガスおよび蒸気を排出する機能を有する。
【0059】
有利には、デバイス1は、パッチ2に対して反対側の形状記憶層7に接触して配置され、パッチ(第1の要素)2とは反対の方向への層7の拡張を制限および/または防止するように構成されるカバー層またはカバー15を備える。
【0060】
明確に、カバー15は、パッチ2に向けて(
図1において下方に向けて)の層7の拡張を可能にし、反対方向において(
図1において上方に向けて)の層7の拡張を防止する。
【0061】
このような手法では、圧縮状態から拡張状態への形状記憶層7の移動は、パッチ2に向けて方向付けられ、形状記憶層7から生じる荷重全体がパッチ2へと適用される。
【0062】
これは、圧力を集中化または局所化させ、処置における効果をさらに向上させる。
【0063】
好ましくは、カバー15は複合材料で作られる。
【0064】
使用中、カバー15は、真空が室10の内部に適用されると、真空バッグ8によって固定位置で保たれる。
【0065】
このような手法では、形状記憶材料の押し付けを、簡単でコスト効果のある手法で方向付けることが可能である。
【0066】
好ましくは、デバイス1は、真空バッグ8と形状記憶層7との間、具体的には、(
図1に示されているように)カバー15が存在するときには真空バッグ8とカバー15との間に介在させられる通気繊維のさらなる層13を備える。
【0067】
これは、圧縮/修復工程の間に作り出される蒸気の通気性をさらに向上させる。
【0068】
都合良くは、デバイス1は、電気毛布6とパッチ2との間に、具体的には、(
図1に示されているように)通気繊維の層13が存在するときにはパッチ2と通気繊維の層13との間に、介在させられる解放膜の層16(または分離層)を備える。
【0069】
このような手法では、修復された構造構成部品4からのデバイス1の取り外しおよび解放の工程は、簡単となり、修復に影響を与えない。
【0070】
図2を参照すると、本発明の代替の実施形態により製造されたデバイスが、修復される一部分3aを有する表面3bの反対の第2の要素3の無傷表面3cに対向圧力を適用するように構成される対向圧力手段17を備える。このような実施形態は、修復される第2の要素3が、例えば薄いパネルなど、どちらかと言えば薄い部品である場合に、特に都合が良い。そのため、対向圧力は、過度に大きい応力が、修復において第2の要素3を損傷または変形させるのを防止するために、表面3bに適用される前述の圧力と釣り合わせるように構成される。
【0071】
都合良くは、対向圧力手段17は、好ましくは熱電対12の存在なしで、表面3bに適用される層と対称的である層を無傷表面3cに適用することから成る。そのため、対向圧力手段17は、第2の電気毛布6aと、第2の形状記憶層7aと、第2の真空室10aを定める第2の真空バッグ8aとを備える。好ましくは、対向圧力手段17は、パッチ2および第2の要素3に対して、第1の層と対称的に配置される解放膜の第2の層16aと、第2のカバー15aと、通気繊維の第2の層13aとを同じく備える。
【0072】
一実施形態では、対向圧力手段17は、第2の複数の熱電対(図示されていない)をさらに備える。
【0073】
図1および
図2に示されていることによれば、修復される第2の要素3は平坦な形態を有する。
【0074】
しかしながら、デバイス1は、
図3に示されているように、角度の付いた部品を修復することをさらに可能にする。実際、電気毛布6ならびに付属の層13および16が非剛性であるという事実のおかげで、および、デバイス1のその全体としての多用途性および適応性のおかげで、デバイス1は、角度付きの部品にも容易に適用させることができる。
【0075】
ここで、
図4および
図5を参照して、本発明のさらなる好ましい実施形態が説明される。
【0076】
このような実施形態によれば、デバイス1は、以下において簡潔にブラダと呼ばれる、封止された変形可能な非剛性の中空要素18を備え、ブラダの内容積は、圧力下にある気体、または液体といった流体で満たされる。
【0077】
具体的には、ブラダ18は、好ましくは不浸透性で、流体で完全に満たされ、任意の形に適応するために変形可能である、閉じて封止された一種のポケットによって定められる。
【0078】
有利には、ブラダ18は、形状記憶層7によって発揮される圧力を受け入れ、その圧力を静水圧へと変換し、その静水圧をパッチ2に適用するために、形状記憶層7とパッチ2との間で利用可能である。
【0079】
具体的には、
-
図4は、形状記憶層7が圧縮状態にあり、ブラダ18が応力のない状態にある、「分解された」状態において、このような実施形態によるデバイス1を示している。
-
図5は、形状記憶層7が拡張状態にあり(電気毛布6から受け入れられた熱のおかげで)、ブラダ18が応力のある状態にある、動作状態において、このような実施形態によるデバイス1を示している。
【0080】
このような動作状態では、形状記憶層7は解放荷重(圧力)をブラダ18に適用し、ブラダ18に含まれる流体は、このような圧力を受け入れ、その圧力を静水圧へと変換し、その静水圧は、すべての方向においてパッチ2に均一に適用される。ブラダ18は、変形可能であるため、第2の要素3、修復される一部分3a、およびパッチ2の任意の形態に適合する。
【0081】
この構成は、修復される構造構成部品4が、縦材の場合のように、Ω字形といった複雑な形を有する場合に特に有利である。
【0082】
都合良くは、先に記載されている場合では、電気毛布6はパッチ2とブラダ18との間に介在させられ、ブラダ18は熱伝導性材料において製造される。このような手法では、複合材料と形状記憶材料との両方において最適な温度に到達することが可能である。
【0083】
代替で、
- 電気毛布6は形状記憶層7とブラダ18との間に配置されるか、または、
- 電気毛布6は、ブラダ18に対して反対側の形状記憶層7に、具体的には、カバー15が存在するときにはカバー15に配置される。カバー15に配置される場合、パッチ2とブラダ18との間に電気毛布6の介在がないため、適用される圧力の均一性が確保される。
【0084】
上記のことに鑑みて、本発明によるデバイス1は、航空機の構造構成部品4を定めるために、複合材料内の第1の要素2を複合材料内の第2の要素3と結合する方法であって、
a) 第1の要素2を第2の要素3と接触させて配置するステップと、
b) 非剛性の電気毛布6を第1の要素2に適用するステップと、
c) 圧縮非平衡状態で予荷重の掛けられた形状記憶層7を電気毛布6に適用するステップと、
d) このように得られた組立体に真空バッグ8を適用するステップと、
e) 真空室10を定めるために、真空バッグ8を封止するステップと、
f) 真空室10の内部に真空を適用するステップと、
g) 電気毛布6を作動させることで、第1の要素2、第2の要素3、および形状記憶層7に熱を適用するステップと、
h) 熱を適用するステップg)を用いて、形状記憶層7を圧縮非平衡状態から拡張平衡状態へと拡張するステップと、
i) 拡張するステップh)を用いて、第1の要素2を第2の要素3に当てて圧縮するために第1の要素2に圧力を適用するステップと
を含む方法を実施することを可能にする。
【0085】
好ましくは、圧力を適用するステップi)は、
- 形状記憶層7をブラダ18に抗して拡張し、それによって、ブラダ18に含まれる流体に圧力を適用するステップと、
- ブラダ18に含まれる流体を用いて、このような圧力を静水圧へと変換するステップと、
- 拡張する形状記憶層7によって圧力の加えられるブラダ18を用いて、静水圧を第1の要素2に適用するステップと
を含む。
【0086】
有利には、本発明によるデバイス1は、構造構成部品4の修復を行うことを可能にする。実際、第2の要素3が、損傷または欠陥のある一部分3aを有する航空機の構造構成部品を定め、第1の要素が、修復パッチ2を定める場合、方法は、
s) 第2の要素の損傷または欠陥のある一部分に第1の要素を配置するステップと、
t) 熱を適用するステップg)および圧力を適用するステップi)を用いて、第1の要素と結合することで第2の要素を修復するステップと
を含む。
【0087】
本発明はまた、構造構成部品4を構成する複合材料の硬化に有利に適用されるが、そのような硬化に限定して適用されるのではない。
【0088】
そのため、
図6を参照して、本発明によるデバイス1を用いて実施可能なさらなる可能な処置が示されている。
【0089】
このような実施形態によるデバイス1は、下記のことがない場合、すでに説明されているデバイス1と同一である。
【0090】
より具体的には、本発明によるデバイス1は、構造構成部品4の硬化工程を行うことをさらに可能にする。
【0091】
実際、第1の要素が、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料の少なくとも第1の層2、または複数の第1の層2を定め、第2の要素が、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料の少なくとも第2の層3、または複数の第2の層3を定める場合、方法は、
v) 先に一体に積層された第1の層および第2の層を硬化工具19に配置するステップと、
z) 熱を適用するステップg)および圧力を適用するステップi)を用いて、第1の層2の複合材料および第2の層3の複合材料を硬化させるステップと
を含む。
【0092】
より正確には、このような場合、結合は第1の要素2と第2の要素3との間でもたらされ、複合材料の硬化(樹脂の重合)は、形状記憶層7(圧力のため)と電気毛布6(温度のため)とを用いてもたらされる。
【0093】
好ましくは、デバイス1は、このような場合、第2の層3と硬化工具19との間に介在させられる解放膜のさらなる層16を備える。
【0094】
このような手法では、オートクレーブの使用に再び戻る必要なく、複合材料内の2つの(またはより多くの)要素の硬化工程を行うことが可能である。これは、特には、小さい寸法を有する構造構成部品4の場合に有利である。
【0095】
さらに、熱電対12の存在のおかげで、工程の精度が向上させられる。
【0096】
本発明により製造されたデバイス1の特性と、実施することを可能にする結合の方法の特性とを検証することによって、それらが得ることができる利点が明白になる。
【0097】
具体的には、先に記載されている構成のおかげで、結合される品物の寸法および形態に依存して、複合材料内の2つの要素を結合するための簡単で効果的で素早く適合可能な柔軟な方法を実施することが可能である。
【0098】
デバイス1は、方法を、修復方法として、または単に硬化方法として、実施することをさらに可能にする。
【0099】
デバイス1の可搬性および適応性は、修復/硬化される構成部品4を取り外す必要なく、および、硬化のためのオートクレーブの必要なく、航空機の局所的な部品にも直接的に修復または硬化を行うことを可能にする。
【0100】
改良および変更が、請求項によって定められている保護の範囲から逸脱することなく、本明細書において記載および図示されているデバイス1および方法に行うことができることが明らかである。
【符号の説明】
【0101】
1 デバイス
2 複合材料内の第1の要素、修復パッチ、第1の層
3 複合材料内の第2の要素、第2の層
3a 損傷、欠陥、または割れのある一部分
3b 表面
3c 無傷表面
4 構造構成部品
5 接着剤層
6 非剛性の加熱層、電気毛布
6a 第2の電気毛布
7 形状記憶熱可塑性ポリマの層、形状記憶層
7a 第2の形状記憶層
8 真空バッグ
8a 第2の真空バッグ
10 真空室
10a 第2の真空室
11 制御ユニット
12 熱電対
13 通気繊維の層
13a 通気繊維の第2の層
14 封止接着マスチック樹脂
15 カバー
15a 第2のカバー
16 解放膜の層、分離層
16a 解放膜の第2の層
17 対向圧力手段
18 封止された変形可能な非剛性の中空要素、ブラダ
19 硬化工具
50 弁
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の構造構成部品(4)を定めるために、複合材料内の第1の要素(2)を複合材料内の第2の要素(3)と結合する方法であって、
a) 前記第1の要素(2)を前記第2の要素(3)と接触させて配置するステップと、
b) 非剛性の加熱層(6)を前記第1の要素(2)に適用するステップと、
c) 圧縮非平衡状態で予荷重の掛けられた形状記憶熱可塑性ポリマの層(7)を前記加熱層(6)に適用するステップと、
d) このように得られた組立体に真空バッグ(8)を適用するステップと、
e) 前記第1の要素(2)、前記第2の要素(3)の少なくとも一部、前記加熱層(6)、および前記形状記憶層(7)を収容する真空室(10)を定めるために、前記真空バッグ(8)を封止するステップと、
f) 前記真空室(10)の内部に真空を適用するステップと、
g) 前記加熱層(6)を作動させることで、前記第1の要素(2)、前記第2の要素(3)、および前記形状記憶層(7)に熱を適用するステップと、
h) 熱を適用する前記ステップg)を用いて、前記形状記憶層(7)を前記圧縮非平衡状態から拡張平衡状態へと拡張するステップと、
i) 拡張する前記ステップh)を用いて、前記第1の要素(2)を前記第2の要素(3)に当てて圧縮するために前記第1の要素(2)に圧力を適用するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
l) 前記第1の要素(2)および/または前記第2の要素(3)に少なくとも1つの温度センサ(12)を配置するステップと、
m) 前記温度センサ(12)を用いて、熱を適用する前記ステップg)の間に到達させられる温度を測定するステップと
を含み、
熱を適用する前記ステップg)は、測定する前記ステップm)の間に測定される温度値に基づいて前記加熱層(6)の温度を制御するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
n) 前記加熱層(6)と前記第1の要素(2)との間に通気層(13)を配置するステップ、および/または
o) 前記加熱層(6)と前記第1の要素(2)との間に、具体的には、前記通気層(13)が存在するときには前記第1の要素(2)と前記通気層(13)との間に、解放膜(16)の層を配置するステップ
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
p) カバー層(15)を前記形状記憶層(7)と接触させて配置するステップを含み、
圧力を適用する前記ステップi)は、前記カバー層(15)を用いて、前記第1の要素(2)とは反対の方向への前記形状記憶層(7)の拡張を制限および/または防止するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
q) 真空を適用する前記ステップf)を用いて、前記カバー層(15)を固定位置で維持するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
r) 前記形状記憶層(7)と前記第1の要素(2)との間に、内部容積が流体で満たされる封止された変形可能な非剛性の中空要素(18)を配置するステップを含み、
圧力を適用する前記ステップi)は、
前記形状記憶層(7)を前記非剛性の中空要素(18)に抗して拡張し、それによって、前記非剛性の中空要素(18)に含まれる前記流体に圧力を適用するステップと、
前記非剛性の中空要素(18)に含まれる前記流体を用いて、このような圧力を静水圧へと変換するステップと、
拡張する前記形状記憶層(7)によって圧力の加えられる前記非剛性の中空要素(18)を用いて、前記静水圧を前記第1の要素(2)に適用するステップと
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
適用する前記ステップb)は、
前記加熱層(6)を、前記第1の要素(2)と、熱伝導性材料から作られる前記非剛性の中空要素(18)との間に配置するステップ、または、
前記加熱層(6)を前記形状記憶層(7)と前記非剛性の中空要素(18)との間に配置するステップ、または、
前記加熱層(6)を、前記非剛性の中空要素(18)に対して反対側に、前記形状記憶層(7)に配置するステップ
のうちの1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の要素(3)は、損傷または欠陥のある一部分(3a)を有する航空機の構造構成部品を定め、前記第1の要素(2)は修復パッチを定め、
前記方法は、
s) 前記第2の要素(3)の前記損傷または欠陥のある一部分(3a)に前記第1の要素(2)を配置するステップと、
t) 熱を適用する前記ステップg)および圧力を適用する前記ステップi)を用いて、前記第1の要素(2)と結合することで前記第2の要素(3)を修復するステップと
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
u) 前記損傷または欠陥のある一部分(3a)を有する前記第2の要素(3)の表面(3b)とは反対の前記第2の要素(3)の無傷表面(3c)に対向圧力を適用するステップを含み、
対向圧力を適用する前記ステップu)は、
解放材料のさらなる層(16a)または通気材料のさらなる層(13a)の介在の有無にかかわらず、前記第2の要素の前記無傷表面(3c)に第2の非剛性の加熱層(6a)を適用するステップと、
圧縮非平衡状態で予荷重の掛けられた形状記憶熱可塑性ポリマの第2の層(7a)を前記第2の加熱層(6a)に適用するステップと、
このように得られた組立体に第2の真空バッグ(8a)を適用するステップと、
前記無傷表面(3c)によって部分的に画定され、前記第2の加熱層(6a)および前記第2の形状記憶層(7a)を収容する第2の真空室(10a)を定めるために、前記真空バッグ(8a)を封止するステップと、
前記第2の真空室(10a)の内部に真空を適用するステップと、
前記第2の加熱層(6a)を作動させることで、前記第1の要素(2)、前記第2の要素(3)、および前記第2の形状記憶層(7a)に熱を適用するステップと、
熱を前記第2の加熱層(6a)に適用することで、前記第2の形状記憶層(7a)を前記圧縮非平衡状態から拡張平衡状態へと拡張するステップと、
前記第2の形状記憶層(7a)を拡張することで、前記第2の要素(3)の前記無傷表面(3c)に圧力を適用するステップと
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の要素は、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料の少なくとも第1の層(2)を定め、前記第2の要素は、未硬化または硬化前の予め含浸させた複合材料の少なくとも第2の層(3)を定め、
前記方法は、
v) 先に一体に積層された前記第1の層および前記第2の層を硬化工具(19)に配置するステップと、
z) 熱を適用する前記ステップg)および圧力を適用する前記ステップi)を用いて、前記第1の層(2)の前記複合材料および前記第2の層(3)の前記複合材料を硬化させるステップと
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
航空機の構造構成部品(4)を定めるために、複合材料内の第1の要素(2)を複合材料内の第2の要素(3)と結合するためのデバイス(1)であって、
前記第1の要素(2)が前記第2の要素(3)に接触して使用で配置されるとき、前記第1の要素(2)に適用されるように構成される、非剛性の加熱層(6)、好ましくは電気毛布と、
圧縮非平衡状態と拡張平衡状態との間で制御可能であって、前記加熱層(6)へ
と圧縮状態で予荷重が掛けられて配置されるように構成され、前記加熱層(6)を作動させることで熱を供給することによって拡張させられるように構成される形状記憶熱可塑性ポリマの層(7)と、
組立体に適用されることで、前記形状記憶層(7)、前記加熱層(6)、前記第1の要素(2)、および前記第2の要素(3)の少なくとも一部を収容する真空室(10)を定めるように構成される真空バッグ(8)と
を備え、
前記加熱層(6)は、前記第1の要素(2)および前記第2の要素(3)に熱を適用するように構成され、
前記形状記憶層(7)は、前記圧縮状態か
ら拡張状態へと移行することで前記第1の要素(2)を前記第2の要素(3)に当てて圧縮するために、前記第1の要素(2)に圧力を適用するように構成される、デバイス(1)。
【請求項12】
制御ユニット(11)と、
前記第1の要素(2)および/または前記第2の要素(3)に配置可能であって、前記加熱層(6)の作動に続いてそれ自体において到達した温度を測定するように構成され、温度信号を前記制御ユニット(11)へと送信するように構成される少なくとも1つの温度センサ(12)、好ましくは熱電対と
を備え、
前記制御ユニット(11)は、前記温度センサ(12)から受信される前記温度信号に基づいて、前記加熱層(6)の温度を制御するように構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の要素(2)に対して反対側の前記形状記憶層(7)に接触して配置され、前記第1の要素(2)とは反対の方向への前記形状記憶層(7)の拡張を制限および/または防止するように構成されるカバー層(15)を備える、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
内部容積が流体で満たされる封止された変形可能な非剛性の中空要素(18)を備え、
前記非剛性の中空要素(18)は、前記形状記憶層(7)によって発揮される圧力を受け入れ、その圧力を静水圧へと変換し、その静水圧を前記第1の要素(2)に適用するために、前記形状記憶層(7)と前記第1の要素(2)との間に配置可能である、
請求項11に記載のデバイス。
【国際調査報告】