(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】乳飲料を調製するためのミルクモジュール
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47J31/44 410
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522419
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 IB2022059827
(87)【国際公開番号】W WO2023062582
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102022000020949
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522138722
【氏名又は名称】ヘイロー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】セリアーニ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】イエマ,ローレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】フェランテ,アントレーノ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA27
4B104BA32
4B104BA33
4B104CA10
4B104DA13
4B104DA44
4B104DA45
4B104DA47
4B104DA56
4B104EA09
4B104EA30
(57)【要約】
温度の高低と泡立ちの有無を問わずに液体ミルクから飲料を調製するミルクモジュール(1)は、ミルク容器(4)からミルク射出ノズル(5)まで延びるミルク流路(3)と、空気源から延びてミルク流路(3)内に開口する空気流路(9)とを備えている。ミルク流路(3)は、ミルク容器(4)からミルクを吸い出すミルクポンプ(6)と、ミルクポンプ(6)の下流側に配置された流量制限機構(7)と、ミルクヒータ(8)とを備えている。ミルクモジュール(1)は、空気流路(9)に沿って配置された比例空気ソレノイド弁(16)と、ミルクポンプ(6)の下流におけるミルク流路(3)内のミルクと空気の混合物の圧力を測定し、当該圧力を示す出力を出す圧力センサ(17)と、当該出力を受け付けるために圧力センサ(17)と通信可能であるとともに、その動作を制御するために比例空気ソレノイド弁(16)と通信可能である電子制御ユニット(18)とをさらに備えている。比例空気ソレノイド弁(16)の動作を制御するために、電子制御ユニット(18)は、ミルクポンプ(6)の下流におけるミルク流路(3)にて期待される前記混合物の目標圧力の時間的推移を示す少なくとも一つの目標圧力プロファイル(P)を表すデータを記憶し、圧力センサ(17)により測定された前記混合物の圧力と目標圧力プロファイル(P)に基づいて、比例空気ソレノイド弁(16)を閉ループ制御するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度の高低と泡立ちの有無を問わずに液体ミルクから飲料を調製するミルクモジュール(1)であって、
ミルク容器(4)からミルク射出ノズル(5)まで延びるミルク流路(3)と、
空気源から延びて前記ミルク流路(3)内に開口する空気流路(9)と、
を備えており、
前記ミルク流路(3)は、
前記ミルク容器(4)からミルクを吸い出すミルクポンプ(6)と、
前記ミルクポンプ(6)の下流側に配置された流量制限機構(7)と、
ミルクヒータ(8)と、
を備えており、
前記空気流路(9)に沿って配置された比例空気ソレノイド弁(16)と、
前記ミルクポンプ(6)の下流における前記ミルク流路(3)内のミルクと空気の混合物の圧力を測定し、当該圧力を示す出力を出す圧力センサ(17)と、
前記出力を受け付けるために前記圧力センサ(17)と通信可能であるとともに、その動作を制御するために前記比例空気ソレノイド弁(16)と通信可能である電子制御ユニット(18)と、
をさらに備えており、
前記比例空気ソレノイド弁(16)の動作を制御するために、前記電子制御ユニット(18)は、
前記ミルクポンプ(6)の下流における前記ミルク流路(3)にて期待される前記混合物の目標圧力の時間的推移を示す少なくとも一つの目標圧力プロファイル(P)を表すデータを記憶し、
前記圧力センサ(17)により測定された前記混合物の圧力と前記目標圧力プロファイル(P)に基づいて、前記比例空気ソレノイド弁(16)を閉ループ制御する、
ように構成されている、
ミルクモジュール(1)。
【請求項2】
前記圧力センサ(17)は、前記ミルクポンプ(6)の下流における前記ミルク流路(3)に沿って配置された物理的センサである、
請求項1に記載のミルクモジュール(1)。
【請求項3】
前記圧力センサ(17)は、前記ミルクポンプ(6)により吸収される電流に基づいて前記ミルクポンプ(6)の下流における前記ミルク流路(3)内の前記混合物の圧力を測定し、当該圧力を示す出力を出す仮想センサである、
請求項1に記載のミルクモジュール(1)。
【請求項4】
前記目標圧力プロファイル(P)は、ミルクポンプ(6)の下流におけるミルク流路(3)内の前記混合物の圧力が実質的に一定の時間的推移を示すような前記比例空気ソレノイド弁(16)の制御がなされるように記憶されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のミルクモジュール(1)。
【請求項5】
前記目標圧力プロファイル(P)は、ミルクポンプ(6)の下流におけるミルク流路(3)内の前記混合物の圧力が変化する時間的推移を示すような前記比例空気ソレノイド弁(16)の制御がなされるように記憶されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のミルクモジュール(1)。
【請求項6】
前記電子制御ユニット(18)は、各々がミルクモジュール(1)により生産可能な乳飲料と関連付けられた複数の異なる目標圧力プロファイル(P)を記憶するように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のミルクモジュール(1)。
【請求項7】
前記電子制御ユニット(18)は、比例微分(PD)コントローラを実装することにより前記比例空気ソレノイド弁(16)を制御するように構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のミルクモジュール(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のミルクモジュール(1)を備えている、
自動飲料調製機。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載のミルクモジュール(1)の電子制御ユニット(18)にロード可能なソフトウェアであって、
実行されることにより、前記電子制御ユニット(18)が請求項1から7のいずれか一項の記載された通りに構成される、
ソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月15日に提出された欧州特許出願21203004.3号、および2022年10月11日に提出された伊国特許出願102022000020949号の優先権を主張するものであり、それらの全開示内容が援用される。
【0002】
本発明は、動物性または植物性の液体ミルクから飲料を調製するためのミルクモジュールに関連する。当該飲料の温度の高低と泡立ちの有無は問わない。
【0003】
この種のミルクモジュールは、スタンドアロンユニットとして使用されてもよいし、より一般的には、複数の製品を調製するユニットを形成するためにコーヒー飲料を調製する機械と併用あるいは統合されてもよい。
【背景技術】
【0004】
上記のように特定される種のミルクモジュールは、液体ミルクの容器から飲料射出ノズルまで延びるミルク流路、および下記の要素を備えることが一般的である。
・前記容器からミルクを吸い出すポンプ
・前記ポンプの吸引側でミルク流路に空気の導入を許容する空気入口
・前記ポンプの下流に配置された泡立て装置
・前記泡立て装置と前記飲料射出ノズルの間に配置されることが一般的な加熱装置
【0005】
使用時には、容器から吸い出されたミルクの流れに所定量の空気が導入されることで得られたミルクと空気の混合物が加圧状態で泡立て装置に供給される。その後、必要に応じて加熱装置により加熱される。
【0006】
泡立て装置は、流量制限機構を備えることが一般的である。当該機構は、例えば固定されたノズル、あるいは固定型または調節可能型の絞り弁により形成される。加熱装置は、フロースルーヒータを備えることが一般的である。フロースルーヒータは、電気ヒータまたは熱交換器でありうる。別例として、ミルクと空気の混合物は、ミルク流路内に蒸気流を注入することによって加熱される。
【0007】
当業者には周知のように、ミルク流路に導入される空気の量は、カップ内で泡立てられた飲料を調製するにあたって風味と美観の両観点からの高い要求を満たすために不可欠なパラメータである。よって近年では、泡立てを行なうか否かで流量一定のソレノイド弁によって空気入口が開閉されるオンオフ空気制御に基づく旧来のシステムから、調製される飲料に応じて供給空気量を変更できるようにミルク流路への空気の導入を比例制御可能なより高度なシステムへの進展が見られる。
【0008】
空気量を比例制御するための最も一般的に使用されるシステムの一つにおいては、ミルクポンプの動作により外気を吸引し、ミルク流路へ導入される前に、比例ソレノイドバルブによって電子的に空気流量を調節する。ソレノイド弁は、ミルクモジュールの電子制御ユニットにより本技術分野において広く知られた閉ループまたは開ループ制御アルゴリズムに基づいて制御されることが一般的である。当該制御は、ミルクの種別、冷たいミルクまたはミルクと空気の混合物の温度、ミルクポンプの速度などの様々なパラメータに基づいて行なわれる。
【0009】
空気流量を調節するために比例ソレノイド弁を用いる幾つかのシステムが、下記の先行技術文献において例示的に開示されている。
【0010】
欧州特許出願公開3181921号公報(Stener Weggis)においては、所定の粘度を有するミルク泡を得るために比例ソレノイド弁によって空気の量が調節される。比例ソレノイド弁は、幾つかの動作パラメータの測定値に基づいて電子制御ユニットにより制御される。動作パラメータの例としては、ミルクの種別、ミルク容器内のミルクの温度、加熱されたミルクと空気の混合物の温度などが挙げられる。
【0011】
欧州特許第3039999号と欧州特許出願公開3040000号公報(Cimbali)においては、電子制御ユニット内に記憶された所定のプログラムに基づいて制御される比例ソレノイド弁によって空気の量が調節される。
【0012】
欧州特許第3426110号(Douwe Egberts)においては、ミルク入口またはその近傍に配置されたセンサにより測定された温度に基づいて電子制御ユニットに制御される比例ソレノイド弁によって空気の量が調節される。
【0013】
国際公開第2017/155403号(Douwe Egberts)においては、調整される飲料の種別に基づいて電子制御ユニットに制御される比例ソレノイド弁によって空気の量が調節される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、飲料の風味と美観の双方を高めるためにミルク流路へ供給される空気の量を従来のシステムよりも正確に調節できる飲料(特に乳飲料)調製用ミルクモジュールを提供することである。なお、当該飲料について泡立ちの有無は問わない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載された通りの、泡立ちの有無を問わず飲料(特に乳飲料)を調製するミルクモジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係るミルクモジュールの流路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照しつつ、本発明について当業者による理解と実施を可能にすべく詳細に説明する。記載された実施形態に対する当業者にとって明らかな改変や、一般的原則の他の実施形態への適用が、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の保護範囲から逸脱しない限りにおいて可能である。よって本発明は、記載された実施形態例に限定されるべきではなく、明細書および特許請求の範囲に記載された特徴に基づき最大限に広い保護範囲が付与されねばならない。
【0018】
特に断りのない限り、本明細書に記載の技術科学用語は、本発明に係る当業者によって広く使用されるものと同じ意味を有する。何らかの対立が生じた場合は、本明細書において提供されている記載および定義が優先される。例は例示のみを目的として記載されており、当該例に限定されるような解釈がなされるべきでない。
【0019】
本明細書に記載される複数の実施形態についての理解を促すため、幾つかの実施形態が参照されるとともに当該実施形態を描写するために特定の語句が使用される。本明細書で用いられる語句は、特定の実施形態のみを説明するために用いられるのであって、本発明を限定する意図はない。
【0020】
添付の図面において、参照符号1は、動物性または植物性のミルクから乳飲料を調製するミルクモジュール全体を示している。当該乳飲料の温度の高低と泡立ちの有無は問わない。
【0021】
その用途に応じて、ミルクモジュール1は、スタンドアロンのミルクモジュールとして、あるいは複数の製品を生産する統合ユニットを形成するように少なくとも一つの自動飲料調製機(コーヒーマシンなど)と接続されて動作するように構成されうる。
【0022】
ミルクモジュール1は、ミルク流路3を備えている。ミルク流路3は、ミルク容器4からミルク射出ノズル5まで延びている。ミルク容器4は、ミルクの温度を3℃から5℃に保てるように不図示の冷却装置内に収容されることが好ましい。ミルク射出ノズル5は、不図示のカップ充填室内に配置される。
【0023】
ミルク流路3は、ミルクポンプ6、流量制限機構7、およびフロースルー式のミルクヒータ8を連なるように備えている。ミルクポンプ6は、ミルク容器4からミルクを吸い出す。流量制限機構7は、ミルクポンプ6の下流側に配置される。
【0024】
図示しない別実施形態においては、流量制限機構7は、ミルクヒータ8の下流に配置されうる。
【0025】
ミルクポンプ6は、回転容積型ポンプ(好ましくはギアポンプ)であると有利である。
【0026】
流量制限機構7は、固定されたノズル、あるいは固定型または調節可能型のバッフル弁または絞り弁により形成されうる。
【0027】
ミルクヒータ8は、電気ヒータ(好ましくは電磁誘導ヒータ)であると有利である。
【0028】
図示しない別実施形態例においては、ミルクヒータ8は、熱交換器またはスチームヒータでありうる。スチームヒータは、蒸気流をミルク流路内に直接注入してもよいし、蒸気流で間接的にミルク流路を加熱してもよい。
【0029】
ミルクモジュール1は、空気流路9をさらに備えている。空気流路9は、空気源(通常は外気)から空気フィルタ10を通過してミルクポンプ6の上流側におけるミルク流路3内に開口している。これにより、使用時においては、ミルクポンプ6の作動によってミルク容器4からのミルクの吸引だけでなくミルク流路3への空気の吸入もなされる。
【0030】
別実施形態においては、空気流路9は、ミルクポンプ6の下流側かつ流量制限機構7の上流におけるミルク流路3内にも開口しうる。空気は、エアコンプレッサにより供給されてもよい。
【0031】
流量制限機構7は、ミルクポンプ6の下流においてミルク流路3の断面が局所的に狭められた部分を区画する。これにより、使用時においては、当該部分を通過するミルクと空気の混合物は、急速な圧縮と続く急速な膨張を経ることにより、当業者には周知の原理にしたがって、泡立ったミルクに変わる。
【0032】
ミルクモジュール1は、ミルク流路3の入口に三方ソレノイド弁11をさらに備えている。三方ソレノイド弁11は、通常の飲料調製構成としてミルク流路3がミルク容器4と連通された状態と、洗浄構成としてミルク流路3が水流路12と連通された状態とを選択可能である。
【0033】
ミルクモジュール11は、ミルクヒータ8の下流に別の三方分流ソレノイド弁13をさらに備えている。三方分流ソレノイド弁13は、通常の飲料調製構成としてミルク流路3がミルク射出ノズル5に連通された状態と、洗浄構成としてミルク流路3が排水ダクト15を経由して排水容器14に連通された状態とを選択可能である。
【0034】
ミルク流路3に導入される空気の量を調節するために、ミルクモジュール1は、以下の要素をさらに備える。
・空気フィルタ10の下流において空気流路9に沿って配置された比例空気ソレノイド弁16
・ミルクポンプ6の下流かつ流量制限機構7の上流においてミルク流路3に沿って配置されて当該位置におけるミルクと空気の混合物の圧力を測定し、当該圧力を示す電気的出力を出す圧力センサ17
・圧力センサ17および比例空気ソレノイド弁16と通信可能な(電気的に接続された)電子制御ユニット18
電子制御ユニット18は、圧力センサ17から前記電気的出力を受け付け、比例空気ソレノイド弁16に電気的指令を供給する。当該電気的指令は、圧力センサ17により測定されたミルクと空気の混合物の圧力に基づいて比例空気ソレノイド弁16の動作を制御するようにプログラムされている。これにより、風味と美観の双方について高い品質を有する(すなわち、正しい量のミルクを含み、ミルク泡の最上層が適切な高さと粘度を有する)乳飲料をミルクモジュール1に調製させる。
【0035】
図示しない別実施形態においては、圧力センサ17は、流量制限機構7の下流またはミルクヒータ8の下流に配置されうる。
【0036】
図示しないさらに別の実施形態においては、圧力センサ17は、ミルク流路3に沿って配置された物理的なセンサに代えて、電子制御ユニット18により実現される仮想センサでありうる。当該仮想センサは、ミルクポンプ6の電流吸収量に基づいて、ミルクポンプ6の下流におけるミルクと空気の混合物の圧力を推定する。当該電流吸収量は、周知の技術を用いて測定される。
【0037】
比例空気ソレノイド弁16の動作を制御するために、一実施形態に係る電子制御ユニット18は、以下の動作を行なうようにプログラムされる。
・少なくとも一つの目標圧力プロファイルPを表すデータを記憶する。目標圧力プロファイルPは、ミルクポンプ6の下流におけるミルク流路3にて期待されるミルクと空気の混合物の目標圧力の時間的推移を示す。
・圧力センサ17により測定されたミルクポンプ6の下流におけるミルクと空気の混合物の圧力と目標圧力プロファイルPにより期待される目標圧力との偏差に基づいて、比例空気ソレノイド弁16を閉ループ制御する。
【0038】
一実施形態においては、目標圧力プロファイルPは、時間的に一定である。これにより、比例空気ソレノイド弁16は、ミルクポンプ6の下流におけるミルク流路3内のミルクと空気の混合物の圧力を一定に保つように制御される。
【0039】
別実施形態においては、目標圧力プロファイルPは、時間的に変化する。これにより、比例空気ソレノイド弁16は、ミルクポンプ6の下流におけるミルク流路3内のミルクと空気の混合物の圧力が目標圧力プロファイルPと同様の時間的推移を示すように制御される。
【0040】
例えば、時間的に変化する目標圧力プロファイルPは、複数の直線区間を有する折れ線的傾向を有しうる。当該複数の直線区間は、第一区間、第二区間、および第三区間を有する。第一の時間長さを有する第一区間においては、所定の時間間隔で目標圧力が初期値(例えば1バール)から最終値(例えば4バール)へ上昇する。第二の時間長さを有する第二区間においては、所定の時間間隔で目標圧力が実質的に一定値をとる。第三の時間長さを有する第三区間においては、所定の時間間隔で目標圧力が初期値へ戻る。
【0041】
別実施形態においては、電子制御ユニット18は、複数の異なる目標圧力プロファイルPを表すデータを記憶するようにプログラムされる。各目標圧力プロファイルPは、ミルクモジュール1により生産可能な各乳飲料と便宜的に関連付けられうる。各目標圧力プロファイルPは、ミルクモジュール1が関連付けあるいは統合される自動飲料調製機のディスプレイに表示されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を通じてユーザにより選択されうる。
【0042】
一実施形態においては、例えば比例微分(PD)コントローラを実装することにより、比例空気ソレノイド弁16に電気的指令を出力するようにプログラムされる。
【0043】
上記以外のコントローラであっても、当業者が目的に合致したものと判断しうるものであれば実装されうる。
【0044】
比例空気ソレノイド弁16の動作を制御するために、電子制御ユニット18は、以下の動作を行なうようにプログラムされる。
・圧力センサ17の電気的出力と目標圧力プロファイルPとを比較する。
・ミルクポンプ6の下流におけるミルクと空気の混合物について測定された圧力の目標圧力からの偏差が特定の閾値範囲(例えば±0.2バール)を上回らない限り、比例空気ソレノイド弁16に対して調節を行なわない。
・ミルクポンプ6の下流におけるミルクと空気の混合物について測定された圧力の目標圧力からの偏差が上記の閾値範囲を上回る場合、測定された圧力が目標圧力よりも高いか低いかに応じて、測定された圧力の目標圧力からの偏差に比例する量(%)だけ空気流路の断面積を増減させるように、比例空気ソレノイド弁16への介入を行なう。
【0045】
圧力センサ17の電気的出力と目標圧力プロファイルPとを比較するために、電子制御ユニット18は、所定のサンプリング周波数(例えば1秒ごと)で圧力センサ17の電気的出力をサンプリングし、得られた値を対応する目標圧力プロファイルPの記憶値と比較するようにプログラムされる。
【0046】
電子制御ユニット18は、比例空気ソレノイド弁16に対する調節介入がなされる度に、さらなる調節介入がなされるべきかを確認する前に圧力遷移期間だけ待機するようにプログラムされる。
【0047】
これまでの説明に基づき、本発明により得られる利点が理解されうるであろう。
【0048】
特に、本発明によれば、ミルクポンプ6の下流において得られるミルクと空気の混合物の圧力プロファイルの設定が可能とされる。当該圧力プロファイルは、飲料の射出を通じて再現され、風味と美観の双方について高い品質を有する(すなわち、正しい量のミルクを含み、ミルク泡の最上層が適切な高さと粘度を有する)乳飲料をミルクモジュール1に生産させることができる。
【0049】
加えて、本発明によれば、ミルク容器4が空であることを示すミルクポンプ6の下流におけるミルク流路3にミルクが不在であることの特定と報知を可能にできる。
【0050】
さらに、本発明によれば、ミルクモジュールの異常(ミルクポンプの故障など)の診断と報知を可能にできる。
【0051】
添付の請求項に記載された本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、これまで説明した複数の実施形態に対して様々な改変が可能であることは明らかである。
【0052】
例えば、図示しない別実施形態においては、電子制御ユニット18により電子的に制御される圧縮空気源(エアコンプレッサなど)によって、空気が空気流路9に導入されうる。この場合、比例空気ソレノイド弁16は省略されうる。空気流路9に導入される空気の量は、圧縮空気源の適切な制御(例えばエアコンプレッサの速度制御)を通じて調節されうる。あるいは、ミルク流路3に導入される空気の量を微調節するために、比例空気ソレノイド弁16を残して圧縮空気源の下流に配置してもよい。
【0053】
ヒータは、ミルク流路3に導入された空気を適切に加熱するために、空気流路9に沿って配置されうる。
【国際調査報告】