(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーの合成のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20241003BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C07F7/18 X
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522474
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022077749
(87)【国際公開番号】W WO2023069840
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、シャオユアン
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ドーツァイ
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
【Fターム(参考)】
4H039CA92
4H049VN01
4H049VP03
4H049VQ78
4H049VR21
4H049VR22
4H049VR23
4H049VR41
4H049VR42
4H049VR43
4H049VS78
4H049VT17
4H049VT30
(57)【要約】
反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマー、及び当該オリゴマーの調製のための方法が開示される。オリゴマーは、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンをキャッピングして、ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを生成するのに有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式のアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーであって、
【化1】
式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1であり、R
10が、
【化2】
からなる群から選択される反応性部分であり、式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマー。
【請求項2】
各R
1が、アルキル基であり、Dが、アルキレン基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字cが、0であり、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して選択された、1~6個のキャロン原子のアルキル基である、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
各R
1が、メチルであり、各Dが、-(C
2H
4)-であり、下付き文字aが、0であり、R
4、R
5、R
8、及びR
9が、各々メチルであり、R
6及びR
7が、各々エチルである、請求項2に記載のオリゴマー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを製造するための方法であって、前記方法が、
(1)脱水素シリル化反応を行うための条件下で、
(A)式
【化3】
のアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーであって、式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1である、アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーと、
(B)式
【化4】
の反応性水素官能性化合物であって、式中、R
10が、
【化5】
からなる群から選択され、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、反応性水素官能性化合物と、
任意選択で、(C)貴金属触媒と、
任意選択で、(D)溶媒と、を含む、出発材料を組み合わせることを含む、方法。
【請求項5】
(A)前記アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーにおいて、各R
1が、アルキル基であり、Dが、アルキレン基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字cが、0である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各R
1が、メチルであり、各Dが、-(C
2H
4)-であり、下付き文字aが、0である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(B)前記反応性水素官能性化合物が、(B1)式
【化6】
のオキシムを含み、式中、R
4及びR
5が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(B)反応性水素官能性化合物が、(B2)式
【化7】
のヒドロキシルアミンを含み、式中、R
6及びR
7が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(B)前記反応性水素官能性化合物が、(B3)式
【化8】
のエノールを含み、式中、R
8及びR
9が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(C)前記貴金属触媒が、存在し、前記貴金属触媒が、式[Rh(R
13)
x(R
14)
y]
zのロジウム錯体を含み、式中、下付き文字xが、1又は2であり、R
13が、1,5-シクロオクタジエン配位子又は2,5-ノルボルナジエン配位子であり、下付き文字yが、0、1、又は2であり、R
14が、(A)前記アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で活性化され得る配位子であり、下付き文字zが、1又は2である、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
R
13が、1,5-シクロオクタジエンであり、R
14が、Clであり、下付き文字x=1、下付き文字y=1、及び下付き文字z=2である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(2)前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを回収することを更に含む、請求項4~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するための方法であって、前記方法が、
(I)請求項4~12のいずれか一項に記載の方法を実施し、それによって、前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを調製することと、
(II)
(a)前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーと、
(b)1分子当たり、平均して少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)部分と、
任意選択で、(c)触媒であって、(a)前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーからの前記反応性部分と(b)前記ポリオルガノシロキサンからの前記シラノール部分との反応を触媒する触媒と、を含む、出発材料を組み合わせることと、を含む、方法。
【請求項14】
(b)前記ポリオルガノシロキサンが、単位式:
(R
11
2R
12SiO
1/2)
aa(R
11R
12SiO
2/2)
bb(R
11SiO
3/2)
cc(HOSiO
3/2)
dd(SiO
4/2)
eeを有し、式中、各R
11が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、各R
12が、独立して、OH及びR
11からなる群から選択され、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeが、前記単位式中の1分子当たりの各単位の平均数を表し、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeが、aa≧0、bb≧0、cc≧0、dd≧0、ee≧0、10,000≧(aa+bb+cc+dd+ee)≧2であるような値を有し、但し、下付き文字dd=0である場合、少なくとも1つのR
12が、OHである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
cc=dd=ee=0であり、(b)前記ポリオルガノシロキサンが、式
【化9】
を有し、式中、各R
11及びR
12が、上記に記載のとおりであり、下付き文字ffが、0~1,000の平均値を有する整数である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2021年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/270,073号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/270,073号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
新規アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマー及びその合成のための方法を提供する。より具体的には、新規アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーは、反応性部分を有し、ケイ素結合水素原子と反応性水素との脱水素結合を介して合成することができる。
【背景技術】
【0003】
序論
市販のアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを合成するための現在の方法は、ヒドロシリル化反応触媒を使用するアルケニル官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、直鎖状ポリジオルガノシロキサン及び/又はポリオルガノシロキサン樹脂)及びアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマー(変換体)のヒドロシリル化を伴う。
【発明の概要】
【0004】
アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーは、下記式を有し、
【0005】
【化1】
式中、各R
1は、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dは、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aは、最大20の整数であり、下付き文字cは、0又は1であり、R
10は、
【0006】
【化2】
からなる群から選択される反応性部分であり、式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9は、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される。
【0007】
アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーは、(1)脱水素シリル化反応のための条件下で、(A)アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーと、(B)反応性水素官能性化合物と、(C)貴金属触媒と、を含む、出発材料を組み合わせることを含む、方法によって合成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の方法において、(A)アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーは、式
【0009】
【化3】
を有し、式中、各R
1は、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、各Dは、独立して、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各下付き文字aは、独立して、最大20の整数であり、各下付き文字cは、独立して、0又は1である。
【0010】
R1に好適な一価炭化水素基としては、1~18個の炭素原子を有するアルキル基及び6~18個の炭素原子を有するアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、R1は、6個の炭素原子のアルキル基又は6~10個の炭素原子のアリール基であり得る。R1の好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに6個の炭素原子の分岐状飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。R1に好適なアリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。好適な一価ハロゲン化炭化水素基としては、1~18個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基又は6~18個の炭素原子を有するハロゲン化アリール基が挙げられ得る。あるいは、R1に好適な一価ハロゲン化炭化水素基としては、1~6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基又は6~10個の炭素原子を有するハロゲン化アリール基が挙げられるが、これらに限定されない。R1に好適なハロゲン化アルキル基は、1個以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置換された上述のアルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。例えば、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、及び2,3-ジクロロシクロペンチルは、好適なハロゲン化アルキル基の例である。R1に好適なハロゲン化アリール基は、1個以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置換された上述のアリール基によって例示されるが、これらに限定されない。例えば、クロロベンジル及びフルオロベンジルは、好適なハロゲン化アリール基である。あるいは、各R1は、独立して、メチル、エチル又はプロピルである。R1は各々の場合で、同じであっても異なってもよい。あるいは、各R1は、メチル基であり得る。上記式中、各R3は、独立して選択される一価炭化水素基である。R3の一価炭化水素基は、R1について上述した一価炭化水素基であってもよい。
【0011】
上記式中、Dは、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基を表す。Dは、直鎖状、分岐状、又はそれらの組み合わせであり得る。Dに好適な二価炭化水素基としては、実験式-CrH2r-のアルカン-ジイル基が挙げられ、式中、下付き文字rは、2~18、あるいは2~12、あるいは2~8、あるいは2~6である。アルカン-ジイル基は、直鎖状アルカン-ジイル、例えば、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-、若しくは-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、又は分岐状アルカン-ジイル、例えば、
【0012】
【化4】
又はこれらの組み合わせであり得る。あるいは、各Dは、2~6個の炭素原子、あるいは2、3、又は6個の炭素原子のアルカン-ジイル基であり得る。あるいは、各Dは、-(C
2H
4)-であり得る。あるいは、Dの全ての場合の90モル%超が、-(CH
2)-(CH
2)-などの直鎖状二価炭化水素基であってもよい。
【0013】
上記式において、下付き文字aは、最大20の整数である。あるいは、下付き文字aは、0~20であってもよく、あるいは下付き文字aは、0~10であってもよく、あるいは下付き文字aは、0~5であってもよく、あるいは下付き文字aは、0~1であってもよい。あるいは、下付き文字aは、2~10であってもよく、あるいは下付き文字aは、2~5であってもよい。下付き文字cは、0又は1である。あるいは、下付き文字cは、0であってもよい。
【0014】
出発材料(A)は、1つのアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマー、又はR1の基の選択、R3の基の選択、下付き文字aの値、及び下付き文字cの値などの少なくとも1つの特性において互いに異なる2つ以上のアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーを含む組み合わせであってもよい。アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーは、ZhouらのPCT特許出願公開第WO2021/050325号、ZhouらのPCT特許出願公開第WO2021/050326号、Gohndroneらの米国特許第11,098,163号、Gohndroneらの米国特許第10,968,317号、及びGohndroneらの米国特許出願公開第2020-0231755号に開示されているものなどの既知の方法によって調製されてもよい。
【0015】
アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを製造するための方法における出発材料(B)は、(B1)オキシム、(B2)ヒドロキシルアミン、又は(B3)エノールを含んでもよい。出発材料(B1)であるオキシムは、式(I)
【0016】
【化5】
を有し得、式中、R
4及びR
5は、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である。R
4及びR
5の好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに6個の炭素原子の分岐状飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、R
4及びR
5は、1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有していてよい。あるいは、R
4及びR
5は、各々メチルであり得る。St.Louis,Missouri,USAのSigma-Aldrich,Inc.製のアセトンオキシムなどの好適なオキシムは、当技術分野において既知であり、市販されている。
【0017】
あるいは、(B)反応性水素官能性化合物は、(B2)ヒドロキシルアミンを含んでもよい。ヒドロキシルアミンは、式(I)
【0018】
【化6】
を有してもよく、式中、R
6及びR
7は、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である。R
6及びR
7の好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに6個の炭素原子の分岐状飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、R
6及びR
7は、1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有していてよい。あるいは、R
6及びR
7は、各々エチルであり得る。St.Louis,Missouri,USAのSigma-Aldrich,Inc.製のジメチルヒドロキシルアミン及びジエチルヒドロキシルアミンなどの好適なヒドロキシルアミンは、当技術分野で公知であり、市販されている。
【0019】
あるいは、(B)反応性水素官能性化合物は、(B3)式
【0020】
【化7】
のエノールを含んでもよく、式中、R
8及びR
9は、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である。R
8及びR
9の好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに6個の炭素原子の分岐状飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、R
8及びR
9は、1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有していてよい。あるいは、各R
8及びR
9は、メチルであり得る。好適なエノールは、当技術分野において既知であり、市販されている。例えば、異性化してエノールを形成するアセチルアセトンは、St.Louis,Missouri,USAのSigma-Aldrich,Inc.から市販されている。
【0021】
出発材料(A)であるアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマー、及び出発材料(B)である反応性水素官能性化合物は、(B)の反応性水素官能基と(A)のシリル水素化物官能基との少なくとも1:1、あるいは1.5:1のモル比[(B):(A)比]を有し、同時に、(B):(A)比は、最大5:1、あるいは最大2:1であってもよい。あるいは、(B):(A)比は、1:1~5:1、あるいは1:1~2:1、あるいは1:1~1.5:1であってもよい。
【0022】
上記の方法において有用な出発材料(C)は、出発材料(A)のケイ素結合水素原子と出発材料(B)の反応性水素の脱水素シリル化を触媒することができる任意選択の貴金属触媒である。貴金属触媒は、任意選択であり、省略してもよい。しかしながら、貴金属触媒は、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーの生成を加速するために添加されてもよい。
【0023】
あるいは、上記の方法において有用な(C)貴金属触媒は、ロジウム錯体であってもよい。ロジウム錯体は、式[Rh(R13)x(R14)y]z[式中、下付き文字xは、1又は2であり、R13は、1,5-シクロオクタジエン配位子又は2,5-ノルボルナジエン配位子であり、下付き文字yは、0~2、あるいは0又は1であり、R14は、活性化することができる配位子であり、下付き文字zは、1又は2である]を有し得る。あるいは、下付き文字z=2である。R14に対する活性化は、本明細書に記載の方法の工程(1)における、例えば、(A)アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマー及び(B)反応性水素官能性化合物の沸点未満の温度での加熱、銀塩の添加、又は光化学的手段若しくは電気化学的手段による、任意の都合のよい手段で行われてもよい。R14は、アニオン性配位子であってもよい。R14に好適な配位子の例としては、ハロゲン原子、β-ケトエステル配位子、ハロゲン化β-ケトエステル配位子、アルコキシ配位子、シアノアルキル配位子、アリール配位子、及びヘテロアリール配位子が挙げられる。好適なハロゲン原子の例としては、臭素(bromine、Br)、塩素(chlorine、Cl)、及びヨウ素(iodine、I)が挙げられる。あるいは、ハロゲン原子は、Clであってもよい。β-ケトエステル配位子の例としては、アセチルアセトネート(acetyl acetonate、acac)が挙げられる。ハロゲン化β-ケトエステルの例としては、ヘキサフルオロアセチルアセトネート(hexafluoro acetylacetonate、hfacac)が挙げられる。アルコキシ配位子の例としては、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシが挙げられる。あるいは、アルコキシ配位子は、メトキシであってもよい。好適なシアノアルキル配位子の例としては、CH3CN、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)が挙げられる。好適なアリール配位子の例としては、フェニル、ベンジル、又はインデニルが挙げられる。好適なヘテロアリール配位子の例としては、ピリジンが挙げられる。
【0024】
出発材料(C)に好適な触媒の例としては、ビス(ロジウムシクロオクタジエンクロリド)[Rh(COD)Cl]2、ロジウムシクロオクタジエンアセチルアセトネート[Rh(I)CODacac]、ロジウムジシクロオクタジエンテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート[Rh(I)COD2BARF]、ビス(ロジウムシクロオクタジエンメトキシラート)[Rh(I)COD(OMe)]2、ロジウムシクロオクタジエンヘキサフルオロアセチルアセトネート[Rh(I)COD(hfacac)]、Rh(I)COD(CH3CN)2、Rh(I)COD(ピリジン)、Rh(I)COD(インデニル)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。式中、CODは、1,5-シクロオクタジエン基を表し、BARFは、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートを表し、acacは、アセチルアセトネートを表し、及びhfacacは、ヘキサフルオロアセチルアセトネートを表す。
【0025】
上述の方法の工程(1)で使用される出発材料(C)の量は、様々な因子に応じて異なり、この因子には、出発材料(A)に選択された特定のアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマー、出発材料(B)に選択された特定の反応性水素官能性化合物、並びに(A)及び(B)を蒸散させることなく混合物を加熱することができる温度が挙げられる。しかしながら、(C)貴金属触媒の量は、出発材料(A)及び(B)の総量に基づいて、0ppm~100ppm、あるいは1ppm~100ppm、あるいは5ppm~80ppm、あるいは5ppm~20ppmの貴金属(例えば、ロジウム金属)のモル量を提供するのに十分であってよい。本方法は、任意選択的に、(C)触媒の不活性化又は除去を更に含んでもよい。しかしながら、適切な触媒担持では、(C)触媒の不活性化又は除去の工程を省略してもよい。
【0026】
出発材料(D)は、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを製造するための方法の工程(1)の前又は間に添加され得る任意選択の溶媒である。理論に束縛されるものではないが、溶媒は、(C)貴金属触媒などの特定の出発材料の導入を容易にするために添加することができる。本明細書で使用することができる溶媒は、出発材料の流動化に役立つが、その出発材料とは本質的に反応しないものである。溶媒は、出発材料の溶解性及び溶媒の揮発性に基づいて選択され得る。溶解性とは、溶媒が出発材料を溶解及び/又は分散させるのに十分であることを指す。揮発性とは、溶媒の蒸気圧を指す。
【0027】
好適な溶媒としては、好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及び他の低分子量ポリオルガノシロキサン、例えば、DSCから市販されている0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200 Fluids及びDOWSIL(商標)OS FLUIDSが挙げられる。
【0028】
あるいは、溶媒は有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、若しくはキシレンなどの芳香族系炭化水素;ヘプタン、ヘキサン若しくはオクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、又は塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;クロロホルム;又はこれらの組み合わせであることができる。
【0029】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、並びに方法において使用するために選択される他の出発材料の量及び種類など、様々な要因に依存する。しかしながら、溶媒の量は、工程(1)における全ての出発材料の重量に基づいて1%~99%、あるいは2%~90%の範囲であってよい。工程1)の後に溶媒の全て又は一部を任意選択で除去してもよい。
【0030】
本明細書に記載される方法の工程(1)における脱水素シリル化反応は、室温で、あるいは加熱しながら行われてもよい。アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーの合成速度を改善するために、工程(1)における温度は、50℃~100℃であってもよい。反応は、周囲圧力で実施することができる。反応は、窒素などの不活性雰囲気下で行うことができる。したがって、本方法は、工程(1)の前に反応器を窒素でパージすることを更に含んでもよい。反応器は、加熱及び/又は冷却のためのジャケット並びにバッフル又は撹拌機などの混合を容易にする手段を備えたバッチ容器などの任意の好都合な反応器であってよい。あるいは、連続処理のために構成された反応器を使用してもよい。
【0031】
上記の方法は、任意選択で、反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを、例えば、工程(1)で形成された反応混合物から回収することを更に含んでもよい。回収することは、加熱及び任意選択的に減圧でのストリッピング及び/又は蒸留などの任意の簡便な手段によって実施され得る。
【0032】
上記の方法は、反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを含む反応生成物を生成する。反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーは、下記式を有し、
【0033】
【化8】
式中、R
1、D、R
3、下付き文字a、及び下付き文字cは、上記のとおりであり、R
10は、
【0034】
【化9】
からなる群から選択される反応性部分であり、式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9は、上記のとおりである。当業者であれば、反応性部分
【0035】
【化10】
が(B1)オキシムから誘導され、反応性部分
【0036】
【化11】
が(B2)ヒドロキシルアミンから誘導され、かつ反応性部分
【0037】
【化12】
が(B3)エノールから誘導されることを認識するであろう。
【0038】
上記の反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーは、ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するための方法において使用することができる。ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製する方法は、
(I)上記の方法を実施し、それによって、上記の反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを調製することと、
(II)
(a)反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーと、
(b)1分子当たり、平均して少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)部分と、
任意選択で、(c)触媒であって、(a)アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーからの反応性部分と(b)ポリオルガノシロキサンからのシラノール部分との反応を触媒する触媒と、を含む、出発材料を組み合わせることと、を含む。
【0039】
ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製する方法において、(b)ポリオルガノシロキサンは、(R11
2R12SiO1/2)aa(R11R12SiO2/2)bb(R11SiO3/2)cc(HOSiO3/2)dd(SiO4/2)eeを有し、式中、各R11は、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、各R12は、独立して、OH及びR11からなる群から選択され、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeは、単位式中の1分子当たりの各単位の平均数を表し、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeは、aa≧0、bb≧0、cc≧0、dd≧0、ee≧0、10,000≧(aa+bb+cc+dd+ee)≧2であるような値を有し、但し、下付き文字dd=0である場合、少なくとも1つのR12は、OHである。R11の一価炭化水素基は、R1について上記したとおりであり得る。
【0040】
あるいは、(b)ポリオルガノシロキサンについての単位式において、cc=dd=ee=0である場合、(b)ポリオルガノシロキサンは、式
【0041】
【化13】
を有し得、式中、各R
11及びR
12は、上記に記載のとおりであり、下付き文字ffは、0~1,000の平均値を有する整数である。出発材料(B)に好適なシラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、当該技術分野で既知であり、市販されている。例えば、ビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサンは、様々な供給元から市販されており、例えば、SILASTIC(商標)SFD-5はDSCから、DMS-S31はMorrisville,Pennsylvania,USAのGelest,Inc.から市販されている。他のビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサンは、Fisher Scientificなどの供給業者から市販されている。
【0042】
ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを製造するための方法は、任意選択で、(c)キャッピング触媒、すなわち、(a)アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーからの反応性部分と(b)ポリオルガノシロキサンからのシラノール部分との反応を触媒する触媒と、を含む、出発材料を組み合わせることと、を含んでもよい。キャッピング触媒は、例えば、酢酸又はそのハロゲン化誘導体、例えば、トリフルオロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、トリアザビシクロデセン(triazabicyclodecene、TBD)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene、DBU)、又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンであってもよい。理論に束縛されるものではないが、キャッピング触媒は、副反応の可能性を回避するために排除することができ、本発明の利点は、(c)キャッピング触媒がなくてもキャッピング反応が進行することであると考えられる。しかしながら、キャッピング反応速度を増加させることが望ましい場合には、キャッピング触媒を任意選択で添加してもよい。
【実施例】
【0043】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを目的とするものであり、請求項に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈するべきではない。これらの実施例で使用した出発材料を、以下の表1に記載する。
【0044】
【0045】
この実施例1において、熱電対、N-2に接続された凝縮器、及び添加漏斗を備えたフラスコに、ETM(20g、70.8mmol)を充填した。アセトンオキシム(6.2g、84.8mmol)のトルエン(25g)溶液を添加漏斗に添加した。この系をN2でパージし、70℃まで加熱した。2%アセトンオキシムを撹拌しながら添加した。トルエン中の[Rh(COD)Cl]2の溶液(0.566mL、25mM、0.02mol%/SiH)を添加し、泡立ちが観察された。次いで、反応温度を70~75℃に維持しながら、アセトンオキシムを反応混合物に40分かけてゆっくりと添加した。アセトンオキシムの添加が完了した後、黄色溶液を75℃で追加の3時間撹拌し、GCによって特性決定し、以下のスキーム1に示される式を有することを見出した。
【0046】
【0047】
次いで、粗生成物を濾過し、濾液を1Torr下で蒸留により精製した。生成物プロパン-2-オンO-(1,1,3,3-テトラメチル-3-(2-(トリメトキシシリル)エチル)ジシロキサネイル(disiloxaneyl))オキシムを121~125℃でオーバーヘッドとして回収し、GC/NMRによって特性決定し、39%の収率及び91%の精製度を有することを見出した。
【0048】
生成物プロパン-2-オンO-(1,1,3,3-テトラメチル-3-(2-(トリメトキシシリル)エチル)ジシロキサネイル)オキシムを、ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと50℃で組み合わせた。キャッピング反応が観察された。理論に束縛されるものではないが、温度及び/若しくは反応時間を増加させること、並びに/又は触媒を添加することは、得られるキャップされたポリマーの収率を改善すると考えられる。
【0049】
この実施例2において、熱電対、N2に接続された凝縮器、及び添加漏斗を備えたフラスコに、ETM(20g、70.8mmol)を充填した。ジエチルヒドロキシルアミン(7.6g、85.3mmol)を添加漏斗に添加した。この系をN2でパージし、78℃まで加熱した。2%ジエチルヒドロキシルアミンを撹拌しながら添加した。トルエン中の[Rh(COD)Cl]2の溶液(0.566mL、25mM、0.02mol%/SiH)を添加し、遅い泡立ちが観察された。次いで、反応温度を70~78℃に維持しながら、ジエチルヒドロキシルアミンを反応混合物に35分かけてゆっくりと添加した。黄色溶液を78℃で追加の2時間撹拌し、濾過し、GCによって特性決定した。0.1Torr未満で、59~109℃のオーバーヘッドで低沸点物を除去した。底部を回収し、GCによって特性決定した。以下のスキーム2に示される生成物N,N-ジエチル-O-(1,1,3,3-テトラメチル-3-(2-(トリメトキシシリル)エチル)ジシロキサネイル)ヒドロキシルアミン(8.9g)は、34%の収率及び64%の精製度を有することが見出された。
【0050】
【0051】
生成物N,N-ジエチル-O-(1,1,3,3-テトラメチル-3-(2-(トリメトキシシリル)エチル)ジシロキサネイル)ヒドロキシルアミンを、ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと50℃で組み合わせ、ヒドロキシル基の49%をキャップした。理論に束縛されるものではないが、温度及び/若しくは反応時間を増加させること、並びに/又は触媒を添加することは、得られるキャップされたポリマーの収率を改善すると考えられる。
【0052】
この実施例3において、熱電対、N2に接続された凝縮器、及び添加漏斗を備えたフラスコに、ETM(20g、70.8mmol)を充填した。アセチルアセトン(8.5g、84.9mmol)を添加漏斗に添加した。この系をN2でパージし、70℃まで加熱した。2%アセチルアセトンを撹拌しながら添加した。トルエン中の[Rh(COD)Cl]2の溶液(0.566mL、25mM、0.02mol%/SiH)を添加し、非常に遅い泡立ちが観察された。反応温度を100℃に上げ、次いで、アセチルアセトンを45分かけてゆっくりと反応混合物に添加した。添加後、反応混合物をN2下、100℃で追加の30分間、泡立ちが停止するまで撹拌し、GCで分析して、以下のスキーム3に示すように、生成物(Z)-3,3-ジメトキシ-6,6,8,8,10-ペンタメチル-2,7,9-トリオキサ-3,6,8-トリシラトリデク-10-エン-12-オンの存在を確認した。
【0053】
【0054】
本実施例4では、N,N-ジエチル-O-(1,1,3,3-テトラメチル-3-(2-(トリメトキシシリル)エチル)ジシロキサネイル)ヒドロキシルアミンを以下のように合成した。20mLのガラスバイアルに、ETM(2.78g、9.84mmol)及びジエチルヒドロキシルアミン(991μL、877mg、9.84mmol)を添加し、この混合物を室温で24時間撹拌した。GC-MSによる分析は、この時点での混合物が、少量の未反応ETM(約15%)及びいくつかの他の副生成物(合計約25%)とともに、主に生成物N,N-ジエチル-O-(1,1,3,3-テトラメチル-3-(2-(トリメトキシシリル)エチル)ジシロキサネイル)ヒドロキシルアミン(約60%)から構成されることを示した。この実施例4は、脱水素シリル化反応が貴金属触媒の存在なしに進行し得ることを実証する。
【0055】
産業上の利用可能性
解決すべき課題:オルガノケイ素産業では、ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンの必要性が存在する。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、典型的には、例えば、ZhouらのPCT特許出願公開第WO2021/050325号(83123)、ZhouらのPCT特許出願公開第WO2021/050326号(83124)、Gohndroneらの米国特許第11,098,163号(80056)、Gohndroneらの米国特許第10,968,317号(80757)、及びGohndroneらの米国特許出願公開第2020/0231755号(80758)においてアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを官能化するための出発材料として使用されるアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンよりもコストが低く、入手しやすいので、シラノール官能性ポリオルガノシロキサン出発材料を使用するそれらの製造方法が望ましい。
【0056】
解決策:本発明は、反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノケイ素オリゴマーを提供する。反応性部分は、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンのシラノール基と反応して、シラノールをキャップし、ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを生成する。
【0057】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、別途指定されない限り、重量に基づく。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。「を含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」という移行句は、Manual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。本明細書で使用される略語は、表2における定義を有する。
【0058】
【0059】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを製造するための方法は、
(1)脱水素シリル化反応を行うための条件下で、
(A)式
【0060】
【化17】
のアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーであって、式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1である、アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーと、
(B)式
【0061】
【化18】
の反応性水素官能性化合物であって、式中、R
10が、
【0062】
【化19】
からなる群から選択され、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、反応性水素官能性化合物と、
任意選択で、(C)ロジウム錯体触媒と、
任意選択で、(D)溶媒と、を含む、出発材料を組み合わせることを含む。
【0063】
第2の実施形態では、第1の実施形態の方法において、(A)アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーにおいて、各R1は、アルキル基であり、Dは、アルキレン基であり、下付き文字aは、0又は1であり、下付き文字cは、0である。
【0064】
第3の実施形態では、第2の実施形態の方法において、各R1は、メチルであり、各Dは、-(C2H4)-であり、下付き文字aは、0である。
【0065】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つに記載の方法において、(B)反応性水素官能性化合物は、(B1)式
【0066】
【化20】
のオキシムを含み、式中、R
4及びR
5は、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である。
【0067】
第5の実施形態では、第4の実施形態の方法において、各R4及びR5は、アルキルである。
【0068】
第6の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つに記載の方法において、(B)反応性水素官能性化合物は、(B2)式
【0069】
【化21】
のヒドロキシルアミンを含み、式中、R
6及びR
7は、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である。
【0070】
第7の実施形態では、第6の実施形態の方法において、R6及びR7は、各々エチルである。
【0071】
第8の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つに記載の方法において、(B)反応性水素官能性化合物は、(B3)式
【0072】
【化22】
のエノールを含み、式中、R
8及びR
9は、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である。
【0073】
第9の実施形態では、第8の実施形態の方法において、R8及びR9は、各々メチルである。
【0074】
第10の実施形態では、第1~第9の実施形態のいずれか1つに記載の方法において、(A)アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマー及び(B)反応性水素官能性化合物は、(B)の反応性水素官能基と(A)のシリル水素化物官能基との1:1~5:1のモル比[(B):(A)比]を提供するのに十分な量で使用される。
【0075】
第11の実施形態では、第10の実施形態に記載の方法において、(B):(A)比は、1:1~2:1である
【0076】
第12の実施形態では、第1~第11の実施形態のいずれか1つに記載の方法において、(C)ロジウム錯体触媒が、存在する。
【0077】
第13の実施形態では、第12の実施形態の方法において、ロジウム錯体触媒は、式[Rh(R13)x(R14)y]zを有し、式中、下付き文字xは、1又は2であり、R13は、1,5-シクロオクタジエン配位子又は2,5-ノルボルナジエン配位子であり、下付き文字yは、0、1、又は2であり、R14は、(A)アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で活性化され得る配位子であり、下付き文字zは、1又は2である。
【0078】
第14の実施形態では、第13の実施形態の方法において、R13は、1,5-シクロオクタジエン配位子である。
【0079】
第15の実施形態では、第14の実施形態の方法において、R13は、1,5-シクロオクタジエンであり、R14は、Clであり、下付き文字x=1、下付き文字y=1、及び下付き文字z=2である。
【0080】
第16の実施形態では、本方法は、(2)反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを回収することを更に含む。
【0081】
第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つに記載の方法は、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを生成し、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーは、下記式を有し、
【0082】
【化23】
式中、各R
1は、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dは、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aは、最大20の整数であり、下付き文字cは、0又は1であり、R
10は、
【0083】
【化24】
からなる群から選択される反応性部分であり、式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9は、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される。
【0084】
第18の実施形態では、第17の実施形態の方法において、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーの式は有し、各R1は、アルキル基であり、Dは、アルキレン基であり、下付き文字aは、0又は1であり、下付き文字cは、0であり、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、各々独立して選択された、1~6個のキャロン原子のアルキル基である。
【0085】
第19の実施形態では、第18の実施形態の方法において、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーの式は有し、各R1は、メチルであり、各Dは、-(C2H4)-であり、下付き文字aは、0であり、R4、R5、R8、及びR9は、各々メチルであり、R6及びR7は、各々エチルである。
【0086】
第20の実施形態では、ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するための方法は、
(I)
(1)脱水素シリル化反応を行うための条件下で、
(A)式
【0087】
【化25】
のアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーであって、式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1である、アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーと、
(B)式
【0088】
【化26】
の反応性水素官能性化合物であって、式中、R
10が、
【0089】
【化27】
からなる群から選択され、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、反応性水素官能性化合物と、
任意選択で、(C)ロジウム錯体触媒と、
任意選択で、(D)溶媒と、を含む、出発材料を組み合わせることを含む方法によって、反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを調製することと、
(II)
(a)反応性部分を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーと、
(b)1分子当たり、平均して少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)部分と、
任意選択で、(c)触媒であって、(a)アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーからの反応性部分と(b)ポリオルガノシロキサンからのシラノール部分との反応を触媒する触媒と、を含む、出発材料を組み合わせることと、を含む。
【0090】
第21の実施形態では、第20の実施形態の方法において、(b)ポリオルガノシロキサンは、単位式(R11
2R12SiO1/2)aa(R11R12SiO2/2)bb(R11SiO3/2)cc(HOSiO3/2)dd(SiO4/2)eeを有し、式中、各R11は、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、各R12は、独立して、OH及びR11からなる群から選択され、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeは、単位式中の1分子当たりの各単位の平均数を表し、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeは、aa≧0、bb≧0、cc≧0、dd≧0、ee≧0、10,000≧(aa+bb+cc+dd+ee)≧2であるような値を有し、但し、下付き文字dd=0である場合、少なくとも1つのR12は、OHである。
【0091】
第22の実施形態では、第21の実施形態の方法において、cc=dd=ee=0であり、(b)ポリオルガノシロキサンは、式
【0092】
【化28】
を有し、式中、各R
11及びR
12は、上記に記載のとおりであり、下付き文字ffは、0~1,000の平均値を有する整数である。
【0093】
第23の実施形態では、第20~第22の実施形態のいずれか1つに記載の方法において、工程(II)は、(c)キャッピング触媒を添加することを更に含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式のアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーであって、
【化1】
式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1であり、R
10が、
【化2】
からなる群から選択される反応性部分であり、式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマー。
【請求項2】
各R
1が、アルキル基であり、Dが、アルキレン基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字cが、0であり、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して選択された、1~6個のキャロン原子のアルキル基である、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
各R
1が、メチルであり、各Dが、-(C
2H
4)-であり、下付き文字aが、0であり、R
4、R
5、R
8、及びR
9が、各々メチルであり、R
6及びR
7が、各々エチルである、請求項2に記載のオリゴマー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを製造するための方法であって、前記方法が、
(1)脱水素シリル化反応を行うための条件下で、
(A)式
【化3】
のアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーであって、式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1である、アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーと、
(B)式
【化4】
の反応性水素官能性化合物であって、式中、R
10が、
【化5】
からなる群から選択され、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、反応性水素官能性化合物と、
任意選択で、(C)貴金属触媒と、
任意選択で、(D)溶媒と、を含む、出発材料を組み合わせることを含む、方法。
【請求項5】
(A)前記アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーにおいて、各R
1が、アルキル基であり、Dが、アルキレン基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字cが、0である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各R
1が、メチルであり、各Dが、-(C
2H
4)-であり、下付き文字aが、0である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(B)前記反応性水素官能性化合物が、(B1)式
【化6】
のオキシムを含み、式中、R
4及びR
5が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(B)反応性水素官能性化合物が、(B2)式
【化7】
のヒドロキシルアミンを含み、式中、R
6及びR
7が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(B)前記反応性水素官能性化合物が、(B3)式
【化8】
のエノールを含み、式中、R
8及びR
9が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(C)前記貴金属触媒が、存在し、前記貴金属触媒が、式[Rh(R
13)
x(R
14)
y]
zのロジウム錯体を含み、式中、下付き文字xが、1又は2であり、R
13が、1,5-シクロオクタジエン配位子又は2,5-ノルボルナジエン配位子であり、下付き文字yが、0、1、又は2であり、R
14が、(A)前記アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で活性化され得る配位子であり、下付き文字zが、1又は2である、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
R
13が、1,5-シクロオクタジエンであり、R
14が、Clであり、下付き文字x=1、下付き文字y=1、及び下付き文字z=2である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(2)前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを回収することを更に含む、請求項4~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するための方法であって、前記方法が、
(I)請求項4~12のいずれか一項に記載の方法を実施し、それによって、前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを調製することと、
(II)
(a)前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーと、
(b)1分子当たり、平均して少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)部分と、
任意選択で、(c)触媒であって、(a)前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーからの前記反応性部分と(b)前記ポリオルガノシロキサンからの前記シラノール部分との反応を触媒する触媒と、を含む、出発材料を組み合わせることと、を含む、方法。
【請求項14】
(b)前記ポリオルガノシロキサンが、単位式:
(R
11
2R
12SiO
1/2)
aa(R
11R
12SiO
2/2)
bb(R
11SiO
3/2)
cc(HOSiO
3/2)
dd(SiO
4/2)
eeを有し、式中、各R
11が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、各R
12が、独立して、OH及びR
11からなる群から選択され、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeが、前記単位式中の1分子当たりの各単位の平均数を表し、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeが、aa≧0、bb≧0、cc≧0、dd≧0、ee≧0、10,000≧(aa+bb+cc+dd+ee)≧2であるような値を有し、但し、下付き文字dd=0である場合、少なくとも1つのR
12が、OHである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
cc=dd=ee=0であり、(b)前記ポリオルガノシロキサンが、式
【化9】
を有し、式中、各R
11及びR
12が、上記に記載のとおりであり、下付き文字ffが、0~1,000の平均値を有する整数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(C)前記貴金属触媒が、存在する、請求項4に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式のアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーであって、
【化1】
式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1であり、R
10が、
【化2】
からなる群から選択される反応性部分であり、式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマー。
【請求項2】
各R
1が、アルキル基であり、Dが、アルキレン基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字cが、0であり、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して選択された、1~6個のキャロン原子のアルキル基である、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
各R
1が、メチルであり、各Dが、-(C
2H
4)-であり、下付き文字aが、0であり、R
4、R
5、R
8、及びR
9が、各々メチルであり、R
6及びR
7が、各々エチルである、請求項2に記載のオリゴマー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを製造するための方法であって、前記方法が、
(1)脱水素シリル化反応を行うための条件下で、
(A)式
【化3】
のアルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーであって、式中、各R
1が、独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、Dが、2~18個の炭素原子の二価炭化水素基であり、下付き文字aが、最大20の整数であり、下付き文字cが、0又は1である、アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーと、
(B)式
【化4】
の反応性水素官能性化合物であって、式中、R
10が、
【化5】
からなる群から選択され、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される、反応性水素官能性化合物と、
任意選択で、(C)貴金属触媒と、
任意選択で、(D)溶媒と、を含む、出発材料を組み合わせることを含む、方法。
【請求項5】
(A)前記アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーにおいて、各R
1が、アルキル基であり、Dが、アルキレン基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字cが、0である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各R
1が、メチルであり、各Dが、-(C
2H
4)-であり、下付き文字aが、0である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(B)前記反応性水素官能性化合物が、(B1)式
【化6】
のオキシムを含み、式中、R
4及びR
5が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
(B)反応性水素官能性化合物が、(B2)式
【化7】
のヒドロキシルアミンを含み、式中、R
6及びR
7が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
(B)前記反応性水素官能性化合物が、(B3)式
【化8】
のエノールを含み、式中、R
8及びR
9が、各々独立して選択された、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
(C)前記貴金属触媒が、存在し、前記貴金属触媒が、式[Rh(R
13)
x(R
14)
y]
zのロジウム錯体を含み、式中、下付き文字xが、1又は2であり、R
13が、1,5-シクロオクタジエン配位子又は2,5-ノルボルナジエン配位子であり、下付き文字yが、0、1、又は2であり、R
14が、(A)前記アルコキシ官能性オルガノ水素シロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で活性化され得る配位子であり、下付き文字zが、1又は2である、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
R
13が、1,5-シクロオクタジエンであり、R
14が、Clであり、下付き文字x=1、下付き文字y=1、及び下付き文字z=2である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(2)前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを回収することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
ポリアルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するための方法であって、前記方法が、
(I)請求項4に記載の方法を実施し、それによって、前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーを調製することと、
(II)
(a)前記反応性部分を有する前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーと、
(b)1分子当たり、平均して少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)部分と、
任意選択で、(C)触媒であって、(a)前記アルコキシ官能性オルガノシロキサンオリゴマーからの前記反応性部分と(b)前記ポリオルガノシロキサンからの前記シラノール部分との反応を触媒する触媒と、を含む、出発材料を組み合わせることと、を含む、方法。
【請求項14】
(b)前記ポリオルガノシロキサンが、単位式:
(R
11
2R
12SiO
1/2)
aa(R
11R
12SiO
2/2)
bb(R
11SiO
3/2)
cc(HOSiO
3/2)
dd(SiO
4/2)
eeを有し、式中、各R
11が、各々独立して、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基及び1~18個の炭素原子の一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、各R
12が、独立して、OH及びR
11からなる群から選択され、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeが、前記単位式中の1分子当たりの各単位の平均数を表し、下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeが、aa≧0、bb≧0、cc≧0、dd≧0、ee≧0、10,000≧(aa+bb+cc+dd+ee)≧2であるような値を有し、但し、下付き文字dd=0である場合、少なくとも1つのR
12が、OHである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
cc=dd=ee=0であり、(b)前記ポリオルガノシロキサンが、式
【化9】
を有し、式中、各R
11及びR
12が、上記に記載のとおりであり、下付き文字ffが、0~1,000の平均値を有する整数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(C)前記貴金属触媒が、存在する、請求項4に記載の方法。
【国際調査報告】