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特表2024-537412干渉衝撃波を伴う血管内砕石術カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】干渉衝撃波を伴う血管内砕石術カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/225 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B17/225
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523164
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022078216
(87)【国際公開番号】W WO2023069902
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/257,397
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515000292
【氏名又は名称】ショックウェーブ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴォー, カイン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE08
4C160EE17
(57)【要約】
本発明は、体腔内の閉塞を治療するためのカテーテルを提供する。カテーテルは、伸長管と、衝撃波を発生させるようにそれぞれ構成される第1の電極対と、第2の電極対とを含む。カテーテルはまた、伝導性流体で充填可能であり、これが第1および第2の電極対を囲繞するように、伸長管の少なくとも一部の周囲に円周方向に被着される可撓性ポリマー封入体を含む。第1および第2の電極対は、電圧が各対の電極を横断して送達されると、電極対において発生された衝撃波の間の干渉を助長するように、相互に対して配列されることができる。電極対は、縦方向に隣接する(比較的に短い縦方向距離で離間される)、縦方向に整合される(同一の縦方向場所において)、円周方向にオフセットされる(カテーテルの円周を中心としてオフセットされる)、円周方向に整合される(同一の円周場所において)、または上記のうちのいずれかの任意の組み合わせであり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内の閉塞を治療するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
伸長管と、
前記伸長管の少なくとも一部の周囲に円周方向に被着される可撓性封入体であって、前記可撓性封入体は、伝導性流体で充填可能である、可撓性封入体と、
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第1の電極対であって、前記第1の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第1の電極対と、
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第2の電極対であって、前記第2の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第2の電極対と
を備え、
前記第2の電極対の間隙は、前記伸長管に対して前記第1の電極対の間隙と円周方向に整合され、前記第1の電極対の間隙と前記第2の電極対の間隙との間の距離は、電圧が前記第1の電極対および前記第2の電極対を横断して印加されると、前記第1の電極対および前記第2の電極対において発生された衝撃波が、建設的に干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、1mm~4mmである、カテーテル。
【請求項2】
前記第1の電極対は、
前記伸長管の外側表面に沿って延在する第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と、
前記伸長管の周囲に円周方向に搭載される第1の伝導性シースと
を備え、
前記第2の電極対は、
前記伸長管の外側表面に沿って延在する第2の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と、
前記伸長管の周囲に円周方向に搭載される第2の伝導性シースと
を備え、
電圧が前記第1の絶縁ワイヤおよび前記第2の絶縁ワイヤを横断して印加されると、電流が、前記第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と前記第1の伝導性シースとの間の前記間隙を横断して流動し、第1の衝撃波を発生させるように構成され、前記電流はさらに、前記第2の伝導性シースと前記第2のワイヤの絶縁体除去部分との間の前記間隙を横断して流動し、第2の衝撃波を発生させるように構成される、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1の伝導性シースは、前記第1の伝導性シースの側縁上に形成される弓形切り抜きを備え、前記電流は、前記弓形切り抜きと前記第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分との間で流動するように構成される、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1の伝導性シースは、前記第1の伝導性シースの対向する側縁の間に位置する円形切り抜きを備え、前記電流は、前記円形切り抜きと前記第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分との間で流動するように構成される、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第3の電極対であって、前記第3の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第3の電極対と、
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第4の電極対であって、前記第4の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第4の電極対と
をさらに備え、
前記第4の電極対の間隙は、前記伸長管に対して前記第3の電極対の間隙と円周方向に整合され、前記第3の電極対の間隙と前記第4の電極対の間隙との間の距離は、電圧が前記第3の電極対および前記第4の電極対を横断して送達されると、前記第3の電極対および前記第4の電極対において発生された衝撃波が、干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、1mm~4mmである、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第3の電極対は、
前記第1の伝導性シースと、
前記伸長管の外側表面に沿って延在する第3の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と
を備え、
前記第4の電極対は、
前記第2の伝導性シースと、
前記第3の絶縁ワイヤのさらなる絶縁体除去部分と
を備え、
電圧が前記第1の絶縁ワイヤおよび前記第2の絶縁ワイヤを横断して印加されると、電流が、前記第1の伝導性シースと前記第3の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分との間の前記間隙を横断して流動し、第3の衝撃波を発生させるように構成され、前記電流はさらに、前記第2の伝導性シースと前記第3の絶縁ワイヤのさらなる絶縁体除去部分との間の前記間隙を横断して流動し、第4の衝撃波を発生させるように構成される、
請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第3の電極対は、前記伸長管に対して約180度前記第1の電極対から円周方向にオフセットされる、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記伸長管の外側表面は、溝を備え、前記第1の絶縁ワイヤおよび前記第2の絶縁ワイヤは、前記伸長管の溝に沿って延在する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記伸長管は、ガイドワイヤを受容するためのガイドワイヤ管腔を備え、前記カテーテルは、前記ガイドワイヤにわたって前記体腔の中に前進されるように構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
体腔内の閉塞を治療するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
伸長管と、
前記伸長管の少なくとも一部の周囲に円周方向に被着される可撓性封入体であって、前記可撓性封入体は、伝導性流体で充填可能である、可撓性封入体と、
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第1の電極対であって、前記第1の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第1の電極対と、
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第2の電極対であって、前記第2の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第2の電極対と
を備え、
前記第2の電極対の間隙は、前記第1の電極対の間隙と本質的に同一の前記伸長管上の縦方向場所に位置し、電圧が前記第1の電極対および前記第2の電極対を横断して印加されると、前記第1の電極対および前記第2の電極対において発生された衝撃波が、建設的に干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、180度未満の角度で前記第1の電極対の間隙から円周方向にオフセットされる、カテーテル。
【請求項11】
前記第1の電極対の間隙および前記第2の電極対の間隙は、40~140度の角度で相互から円周方向にオフセットされる、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記第1の電極対の間隙および前記第2の電極対の間隙は、65~125度の角度で相互から円周方向にオフセットされる、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記第1の電極対の間隙および前記第2の電極対の間隙は、80~100度の角度で相互から円周方向にオフセットされる、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記第1の電極対の間隙と前記第2の電極対の間隙との間の前記円周オフセットは、前記組み合わせられた衝撃波のピーク圧力が、相互に対して180度の角度で円周方向にオフセットされる間隙を有する第1および第2の電極対を有するカテーテルによって発生された衝撃波のピーク圧力を上回るように選択される、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記第1の電極対は、
前記伸長管の周囲に円周方向に搭載される第1の伝導性シースと、
前記伸長管の外側表面に沿って延在する第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と
を備え、
前記第2の電極対は、
前記第1の伝導性シースと、
前記伸長管の外側表面に沿って延在する第2の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と
を備え、
電圧が前記第1の絶縁ワイヤおよび前記第2の絶縁ワイヤを横断して印加されると、電流が、前記第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と前記第1の伝導性シースとの間の間隙を横断して流動し、第1の衝撃波を発生させるように構成され、前記電流はさらに、前記第1の伝導性シースと前記第2のワイヤの絶縁体除去部分との間の前記間隙を横断して流動し、第2の衝撃波を発生させるように構成される、
請求項10に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記第1の伝導性シースは、前記第1の伝導性シースの側縁上に形成される弓形切り抜きを備え、前記電流は、前記弓形切り抜きと前記第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分との間で流動するように構成される、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記第1の伝導性シースは、前記第1の伝導性シースの対向する側縁の間に位置する円形切り抜きを備え、前記電流は、前記円形切り抜きと前記第1の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分との間で流動するように構成される、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記伸長管の外側表面は、溝を備え、前記第1の絶縁ワイヤおよび前記第2の絶縁ワイヤは、前記伸長管の溝に沿って延在する、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第3の電極対であって、前記第3の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第3の電極対と、
前記可撓性封入体の内側に位置し、衝撃波を発生させるように構成される第4の電極対であって、前記第4の電極対は、間隙によって離間される第1の電極と、第2の電極とを有する、第4の電極対と
をさらに備え、
前記第4の電極対の間隙は、前記第3の電極対の間隙と本質的に同一の前記伸長管上の縦方向場所に位置し、電圧が前記第3の電極対および前記第4の電極対を横断して印加されると、前記第3の電極対および前記第4の電極対において発生された衝撃波が、建設的に干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、180度未満の角度で前記第3の電極対の間隙から円周方向にオフセットされ、
前記第3の電極対および前記第4の電極対は、電圧が前記第1の電極対、前記第2の電極対、前記第3の電極対、および前記第4の電極対のそれぞれを横断して送達されると、前記第1の電極対、前記第2の電極対、前記第3の電極対、および前記第4の電極対のそれぞれによって発生された衝撃波が、干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、前記伸長管に沿って1mm~4mmの縦方向距離で前記第1の電極対および前記第2の電極対から分離される、
請求項10に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記第3の電極対は、
第2の伝導性シースと、
前記伸長管の外側表面に沿って延在する第3の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分と
を備え、
前記第4の電極対は、
前記第2の伝導性シースと、
前記第3の絶縁ワイヤのさらなる絶縁体除去部分と
を備え、
電圧が前記第1の絶縁ワイヤおよび前記第2の絶縁ワイヤを横断して印加されると、電流が、前記第2の伝導性シースと前記第3の絶縁ワイヤの絶縁体除去部分との間の前記間隙を横断して流動し、第3の衝撃波を発生させるように構成され、前記電流はさらに、前記第2の伝導性シースと前記第3の絶縁ワイヤのさらなる絶縁体除去部分との間の前記間隙を横断して流動し、第4の衝撃波を発生させるように構成される、
請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記第1の電極対の間隙および前記第2の電極対の間隙は、前記第3の電極対の間隙と前記第4の電極対の間隙との間の前記オフセットと同一の角度で相互から円周方向にオフセットされる、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記第1の電極対の間隙と前記第2の電極対の間隙との間の前記円周オフセットは、前記伸長管に対して前記第3の電極対の間隙と前記第4の電極対の間隙との間の前記オフセットと円周方向に整合される、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記第1の電極対の間隙と前記第2の電極対の間隙との間の前記円周オフセットは、前記伸長管に対して約180度前記第3の電極対の間隙と前記第4の電極対の間隙との間の前記円周オフセットから円周方向にオフセットされる、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記伸長管は、ガイドワイヤを受容するためのガイドワイヤ管腔を備え、前記カテーテルは、前記ガイドワイヤにわたって前記体腔の中に前進されるように構成される、請求項10に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2021年10月19日に出願された、米国仮出願第63/257,397号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、概して、医療デバイスおよび方法の分野に関し、より具体的には、脈管内の石灰化病変および閉塞および泌尿器系内の腎臓結石等の体腔内の石灰化病変を治療するための衝撃波カテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
多種多様なカテーテルが、動脈疾患と関連付けられる脈管内の石灰化病変等の石灰化病変を治療するために開発されている。例えば、経皮的冠動脈血管形成術または末梢血管形成術のための治療システムは、石灰化病変を拡張させ、血管内の正常な血流を回復させるために、血管形成術バルーンを使用する。これらのタイプの手技では、バルーンを担持するカテーテルが、バルーンが石灰化プラークと整合されるまで、ガイドワイヤに沿って脈管の中に前進される。バルーンは、次いで、(通常、10atmを上回って)加圧され、バルーンを血管内で拡張させ、血管壁の中に戻るように石灰化プラークを押動し、脈管の閉塞領域を拡張させる。
【0004】
より最近では、血管形成術バルーンの内側に衝撃波を発生させるための電極の対を含むカテーテルが、開発されている。衝撃波デバイスは、衝撃波からの音響圧力が、周辺組織に害を及ぼすことなく、血管形成術バルーンの近傍の病変を破砕し、途絶させることができるため、石灰化病変を治療するために特に効果的であり得る。これらのデバイスでは、カテーテルは、これが体腔内の石灰化病変の近位に位置付けられ、および/またはそれと整合されるまで、患者の脈管を通してガイドワイヤにわたって前進される。バルーンは、次いで、バルーンが拡張し、病変に接触するように、伝導性流体(2~4atmの比較的に低い圧力を使用する)で膨張される。電圧が、次いで、電極対の電極に印加され、血管形成術バルーンの壁を通して、病変の中に伝搬する、音響衝撃波を生じることができる。いったん病変が音響衝撃波によって破砕されると、バルーンは、さらに拡張され、管腔の断面積を増加させ、血管を通した血流を改善することができる。
【0005】
例えば、脈管内のより堅く、横断することがより困難な閉塞を粉砕するために、衝撃波を前方方向に指向することによって、これらのデバイスにおける衝撃波の送達を改良する取り組みが、行われている。前方発射設計の実施例は、米国特許第10,966,737号(特許文献1)および米国公開第2019/0388110号(特許文献2)(その両方は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。他のカテーテルデバイスは、カテーテルの横断外形を低減させ、カテーテルが石灰化血管をより容易にナビゲートし、脈管のより重度の閉塞領域内に衝撃波を送達することを可能にする、薄型外形電極アセンブリのアレイを含むように設計されている。例えば、米国特許第8,888,788号(特許文献3)および10,709,462号(特許文献4)(その両方は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、薄型外形電極アセンブリの実施例を提供している。
【0006】
これらの進歩にもかかわらず、多くの現在利用可能な衝撃波カテーテルは、大きい動脈血管内の高密度かつ破砕することが困難なカルシウムまたは偏心カルシウムを治療するために十分な音響圧力を伴う衝撃波を生じる課題を有する。第1に、衝撃波カテーテルによって送達される合計病変破砕エネルギーは、衝撃波形成を誘発するために使用される電圧源によって限定される。多くの従来の衝撃波カテーテルデバイスは、高電圧パルス発生器を使用するが、これらの発生器は、限定された範囲の電圧しか送達せず、極端に高い電圧は、衝撃波治療の間にカテーテルバルーンを破裂させ、患者の脈管を損傷させるリスクがあり得る。第2に、多くの衝撃波カテーテル設計は、電極の1つを上回る対が直列に接続され、6ミリメートル(6mm)またはそれよりも離れた距離においてカテーテルに沿って離間される、電極アセンブリにエネルギーを分配する。電極対を相互から6mmを上回って離間すると、電極対のそれぞれによって発生された音響衝撃波は、隣接する波との重複を殆ど伴わずに個々に伝搬し、より低い圧力の単一波面衝撃波の送達をもたらし得る。加えて、同一の電圧チャネル上で複数の電極対を直列に接続すると、電圧は、電極間で均等に分配され、これは、各電極対において発生される衝撃波のピーク圧力を低減させ、それによって、比較的により低いピーク圧力を有する衝撃波のアレイを生じる。第3に、いくつかの現在の衝撃波カテーテル設計は、相互から180度離れて円周方向に配列される、電極対の対をそれぞれ含む、エミッタを含む。エミッタ上で180度円周方向に分離されると、それらの電極対から放出された音響衝撃波は、同一の縦方向場所における(すなわち、同一のエミッタ上の)対応する電極対の衝撃波との重複を殆ど伴わずに、反対方向に個々に伝搬する。故に、従来の電圧発生器を使用して増加された圧力の音響衝撃波を生じることが可能なカテーテル設計に関する満たされていない必要性が、存在する。類似するデバイスが、身体の他の部分において形成される閉塞、例えば、泌尿器系内の腎臓結石を治療するために必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第10,966,737号明細書
【特許文献2】米国公開第2019/0388110号明細書
【特許文献3】米国特許第8,888,788号明細書
【特許文献4】米国特許第10,709,462号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、各電極対から放出された衝撃波が、相互に建設的に干渉するように、相互に近接して位置する電極対を伴う電極アセンブリを含む、カテーテルにおいて実現される。相互に近接する電極対から発生された衝撃波が、建設的に干渉すると、組み合わせられた衝撃波は、各個々のエミッタの衝撃波よりも高い圧力を有し、これは、組み合わせられた衝撃波が、体腔内のより高密度かつより剛性の石灰化病変を治療することを可能にする。
【0009】
1つまたはそれを上回る実施例では、カテーテルの可撓性封入体の内側に位置する電極対は、カテーテルの長さに沿って相互から比較的に短い距離(例えば、1mm~4mm)で離間される。相互から比較的に短い距離で電極対を離間することは、隣接する電極対において発生された音響衝撃波の間の建設的干渉を助長し、それによって、組み合わせられた衝撃波の圧力を増加させる。1つまたはそれを上回る実施例では、カテーテルは、カテーテルの長さに沿った同一の縦方向場所に(すなわち、同一のエミッタ上に)位置する電極対の対をそれぞれ含む、1つまたはそれを上回るエミッタを含み、電極対は、エミッタ上で相互から180度未満離れて円周方向に配列されることができる。同一のエミッタの電極対を180度未満の角度に離れて配列することは、隣接する電極対において発生された音響衝撃波の間の建設的干渉を助長し、それによって、組み合わせられた衝撃波の圧力を増加させる。カテーテルが、複数のエミッタ(エミッタ上で相互に対して180度未満分離される電極対の対をそれぞれ含む)を含むとき、エミッタは、カテーテルの長さに沿って相互から比較的に短い距離(例えば、1mm~4mm)で離間されることができる。相互から比較的に短い距離でエミッタを離間することは、隣接するエミッタにおいて発生された音響衝撃波の間の建設的干渉を助長し、それによって、組み合わせられた衝撃波の圧力を増加させる。
【0010】
例示的実装は、体腔内の閉塞を治療するためのカテーテルを提供する。カテーテルは、伸長管と、伝導性流体で充填可能であり、伸長管の少なくとも一部の周囲に円周方向に被着される、可撓性ポリマー封入体とを含む。カテーテルはまた、電圧が電極に送達されると、衝撃波を発生させるように構成される、第1の電極と、第2の電極とをそれぞれ含む、可撓性封入体の内側に位置する、第1の電極対と、第2の電極対とを含む。各電極対の電極は、概して、電気が伝導性流体を通して横断(ジャンプ)し、蒸気泡を発生させるであろう、火花間隙と称される、ある距離で分離される。
【0011】
1つまたはそれを上回る実施例では、各電極対の電極の間の間隙は、電極対において発生された衝撃波が、建設的に干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、伸長管に対して相互と円周方向に整合され(例えば、第1の電極対の第1の電極と第2の電極との間の間隙は、第2の電極対の第1の電極と第2の電極との間の間隙と同一のカテーテルの円周に沿った場所に位置することができる)、カテーテルの長さに沿って1mm~4mmの距離(例えば、縦方向間隙)で分離されることができる。
【0012】
別の実装では、各電極対の電極の間の間隙は、電極対において発生された衝撃波が、建設的に干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、180度未満の角度で伸長管に対して相互から円周方向にオフセットされるが、伸長管上の本質的に同一の縦方向場所に位置することができる。同一の縦方向場所に位置するとき、電極対は、同一の「エミッタ」上に位置すると呼ばれることができる。したがって、エミッタを含むカテーテルは、同一の縦方向場所に1つまたはそれを上回る電極対を含む。
【0013】
随意に、カテーテルは、相互に建設的に干渉する衝撃波を発生させるように構成される、複数の隣接するエミッタを含むことができる。電圧がエミッタに送達されると、隣接するエミッタの電極対において発生された個々の衝撃波は、電極対の間の円周および/または縦方向間隙が、隣接するエミッタ上の電極対が相互に対して十分に近接して留まることを可能にするという条件で、相互に建設的に干渉し、組み合わせられた衝撃波を形成することができる。
【0014】
1つまたはそれを上回る実施例では、カテーテルは、第1および第2の電極対が180度の角度で相互から円周方向にオフセットされる、第1のエミッタと、第3および第4の電極対が180度の角度で相互から円周方向にオフセットされる、第2のエミッタとを含むことができ、第1のエミッタおよび第2のエミッタは、1mm~4mmの縦方向間隙によって分離され、第1のエミッタの少なくとも1つの電極対が、第2のエミッタの電極対と円周方向に整合される(例えば、カテーテルの同一の円周場所に位置するが、縦方向に離間される)ように配列される。
【0015】
同様に、別の実施例では、第1のエミッタおよび第2のエミッタは、それぞれ、180度未満の角度で相互から円周方向にオフセットされる、第1および第2の電極対を含み、第1および第2のエミッタは、1mm~4mmの縦方向間隙によって分離され、第1のエミッタの少なくとも1つの電極対が、第2のエミッタの電極対と円周方向に整合されるように配列されることができる。随意に、第1のエミッタおよび第2のエミッタの電極対のうちのいずれも、相互と円周方向に整合されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の例証的側面が、以下の図面の図を参照して、下記に詳細に説明される。本明細書に開示される実施形態および図が、制限的ではなく、例証的と見なされるものであることを意図している。
【0017】
図1図1は、本開示の側面による、血管形成術バルーンの内側にエミッタのアレイを有する、例示的カテーテルを図示する。
【0018】
図2A図2Aは、本開示の側面による、絶縁ワイヤおよび円形切り抜きを有する伝導性シースから形成される、例示的電極アセンブリを伴う隣接するエミッタの間隔を図示する。
【0019】
図2B図2Bは、本開示の側面による、絶縁ワイヤおよび弓形切り抜きを有する伝導性シースから形成される、例示的電極アセンブリを伴う隣接するエミッタの間隔を図示する。
【0020】
図3A図3Aは、本開示の側面による、カテーテルの例示的電極アセンブリを図示する。
【0021】
図3B図3Bは、本開示の側面による、図3Aの例示的電極アセンブリを通した電流の流動を図示する。
【0022】
図4A図4Aは、本開示の側面による、エミッタの近位対と、エミッタの中心対と、エミッタの遠位対とを有する、例示的電極アセンブリの正面側面図を図示する。
【0023】
図4B図4Bは、本開示の側面による、図4Aの例示的電極アセンブリの配線を図示する。
【0024】
図4C図4Cは、本開示の側面による、図4Aの例示的電極アセンブリの上面側面図を図示する。
【0025】
図4D図4Dは、本開示の側面による、図4Bの例示的電極アセンブリ配線の上面側面図を図示する。
【0026】
図5図5は、本開示の側面による、例示的衝撃波カテーテルの画像を提供する。
【0027】
図6図6は、本開示の側面による、図5に示されるような例示的カテーテルによって発生される音響波面の圧力を図示する、一連のヒートマップグラフィックを提供する。
【0028】
図7図7は、本開示の側面による、例示的カテーテルのバルーン縁に沿って測定される音響波面の圧力を図示する、2つのグラフを提供する。
【0029】
図8図8は、本開示の側面による、例示的カテーテルのエミッタのアクティブ化からもたらされる、気泡の形成および圧潰の一連の画像を提供する。
【0030】
図9図9は、本開示の側面による、同一の縦方向場所にあるが、60度相互から円周方向にオフセットされる電極対の対を有する、例示的電極アセンブリを図示する。
【0031】
図10図10は、本開示の側面による、同一の縦方向場所にあるが、60度相互から円周方向に離間される電極対の対を有する、電極アセンブリを伴う例示的衝撃波カテーテルの画像を提供する。
【0032】
図11図11は、本開示の側面による、例示的カテーテルのアクティブ化からもたらされる、気泡の形成および圧潰の一連の画像を提供する。
【0033】
図12図12は、本開示の側面による、例示的カテーテルのバルーン縁に沿って測定される単一のエミッタからの音響波面の圧力を図示する、グラフを提供する。
【0034】
図13A図13Aは、カテーテルの長さに沿って離間されるエミッタの複数の対を有する、カテーテルのための例示的電極アセンブリの右正面図を図示する。
【0035】
図13B図13Bは、図13Aの例示的電極アセンブリの左正面図を図示する。
【0036】
図14図14は、本開示の側面による、同一の縦方向場所を伴うが、相互に対して円周方向にオフセットされる電極対の対を有する、第1のエミッタと、同一の縦方向場所を伴うが、相互に対して円周方向にオフセットされる電極対の対を有する、第2のエミッタとを伴う、例示的衝撃波カテーテルの画像を提供する。
【0037】
図15図15は、本開示の側面による、例示的カテーテルのアクティブ化からもたらされる、気泡の形成および圧潰の一連の画像を提供する。
【0038】
図16図16は、本開示の側面による、例示的カテーテルのバルーン縁に沿って測定されるエミッタの対からの音響波面の圧力を図示する、グラフを提供する。
【0039】
図17図17は、本開示の側面による、単一の電極対を伴うエミッタを有する、例示的カテーテル電極アセンブリを図示する。
【0040】
図18図18は、本開示の側面による、カテーテルの長さに沿って離間される、単一の電極対をそれぞれ伴う、エミッタの対を有する、例示的電極アセンブリの右正面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
以下の説明は、当業者が、本明細書に開示される種々の実施形態およびその側面を作製および使用することを可能にするために提示される。具体的デバイス、アセンブリ、技法、および用途の説明は、実施例としてのみ提供される。本明細書に説明される実施例の種々の修正が、当業者に容易に明白となり、本明細書に説明される一般的原理は、種々の実施形態およびその側面の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施例および用途に適用され得る。したがって、種々の実施形態およびその側面は、本明細書に説明され、示される実施例に限定されることを意図しておらず、請求項と一貫する範囲を与えられるものである。
【0042】
本明細書に使用されるように、用語「電極」は、電流を受電し、続けて、電流を別の導電性要素に放出する、導電性要素(典型的には、金属から作製される)を指す。本開示の文脈では、電極は、多くの場合、内側電極および外側電極として相互に対して位置付けられる。故に、本明細書に使用されるように、「電極対」は、電流が2つの電極の間(例えば、内側電極と外側電極との間(または逆もまた同様である)、随意に、絶縁体が2つの電極を分離し、電気がその間の伝導性流体またはガスを通して通過する)の間隙を横断して伝送されるであろうように、相互に隣接して位置付けられる2つの電極を指す。いくつかの文脈では、1つまたはそれを上回る電極対(1つまたはそれを上回るエミッタを横断して位置付けられる)はまた、電極アセンブリと称され得る。さらに、本明細書に使用されるように、「エミッタ」は、1つまたはそれを上回る電極対を有する構造を指す。エミッタは、単体である、対合される、または別様にエミッタアセンブリとして電気的に接続されるようにともに配列されることができる。衝撃波が、エミッタの各電極対において発生されることができる。
【0043】
本明細書に説明されるものは、衝撃波カテーテルデバイスから送達される音響衝撃波の効率を改良し、そのピーク圧力を増加させる設計要素を組み込む、カテーテルである。1つまたはそれを上回る実施例では、カテーテルは、隣接するエミッタの電極対において発生される衝撃波の間の干渉を助長するために、隣接するエミッタの間に低減された間隔を有する、エミッタ対の電極アセンブリを含む。隣接するエミッタの電極対が、ともにアクティブ化されると、衝撃波の音響圧力波面は、建設的に干渉し、重複する、または組み合わせられた音響圧力波面(すなわち、組み合わせられた衝撃波)を生じることができる。1つまたはそれを上回る実施例では、本明細書に説明されるカテーテルは、1~4ミリメートル(1mm~4mm)の縦方向間隙等によって離間される、カテーテル上で相互に縦方向に近接する別個の隣接するエミッタ上に位置する電極対を伴う、エミッタアセンブリを含む。
【0044】
1つまたはそれを上回る実施例では、本明細書に説明されるカテーテルは、カテーテル上(およびエミッタ上)の同一の縦方向場所に位置する電極の対を有する、エミッタアセンブリを含む。エミッタの電極対は、180度または180度未満相互から円周方向にオフセットされる(例えば、離間される)ことができる。随意に、第1の縦方向場所における第1のエミッタ上の第1の電極対が、第2のエミッタ上の第2の電極対に近接して位置し、カテーテル上で縦方向に離間されることができる。第1のエミッタおよび第2のエミッタのそれぞれの上の電極対は、それらが、相互と円周方向に整合される(例えば、第1のエミッタの第1の電極対が、第2のエミッタの第1の電極対と同一の円周場所に位置付けられる)ように、またはそれらが、相互からオフセットされる(例えば、第1のエミッタの第1の電極対が、第2のエミッタの第1の電極対から円周方向にオフセットされる)ように配列されることができる。1つまたはそれを上回る実施例では、本明細書に説明されるカテーテルは、単一の電極対を伴うエミッタおよび/または電極対の対を伴う単一のエミッタを有する、電極アセンブリを含む。
【0045】
本明細書に使用されるように、「組み合わせられた衝撃波」は、ともにアクティブ化される(例えば、衝撃波を同時に、または数ナノ秒離れて発生させる、同一の高電圧パルスによってアクティブ化される)密接して離間される隣接するエミッタ対によって生じられる、2つまたはそれを上回る衝撃波を含む。隣接する衝撃波の間の建設的干渉は、比較的に増加されたエミッタ間隔を伴う従来の衝撃波カテーテルから送達される衝撃波と比較して、より高いピーク圧力を有する、高振幅の組み合わせられた衝撃波をもたらすことができる(例えば、図7のグラフのピーク参照)。密接して離間される電極対および/または密接して離間されるエミッタはまた、わずかに異なる角度で伝搬する、重複するより高い圧力の多重(例えば、二重)波面を有する、組み合わせられた衝撃波を生じ、病変に増加された機械的力および剪断応力を送達する「二重打撃」効果を生じることができる(例えば、図6に示される下側行の圧力波面参照)。
【0046】
本明細書に説明されるカテーテル設計は、それらが、カテーテルを囲繞する治療部位に音響衝撃波を送達する、カテーテルに沿った(例えば、血管形成術バルーンの作業長内の)1つまたはそれを上回る電極対をそれぞれ有する、小型化エミッタのアレイを含む点において、現在の衝撃波カテーテルに類似し得る。しかしながら、一実施例では、本設計は、カテーテルの長さに沿って約3.5mmまたはそれ未満離れて隣接するエミッタを配列する。いくつかの実施例では、隣接するエミッタは、対において配列され、隣接するエミッタの各対は、3.5mmまたはそれ未満離間される。いくつかの実装では、2つの隣接するエミッタの間の縦方向距離は、より精密には、各エミッタ上に1つずつの電極対の2つのセットの中間点の間の距離であり、電極対は、エミッタの縁上にあり、および/またはエミッタの本体内により中心に位置することができる。縦方向に変動されるが、密接して離間されるエミッタが、ともに発射されると、隣接するエミッタから発生された気泡が、成長し、相互に向かって圧潰し、組み合わせられた衝撃波を生じる。1つまたはそれを上回る実施例では、各エミッタ上の電極対の対は、カテーテル上の同一の縦方向場所に位置するが、例えば、120度、90度、または60度等の180度未満、およびその中の範囲の増分および勾配で相互から円周方向に離間される。円周オフセットに関する例示的範囲は、限定ではないが、40度~140度、65度~125度、80度~100度、および同等物の範囲内の角度を含むことができる。故に、本明細書に開示されるような電極およびエミッタの配列は、衝撃波の進行に指向性または指向性バイアスを付与する、衝撃波発生の実装を提供する。縦方向に整合されるが、円周方向に変動されるエミッタが、ともに発射されると、隣接するエミッタから発生された気泡が、成長し、相互に向かって圧潰し、組み合わせられた衝撃波を生じる。組み合わせられた衝撃波の増加されたピーク圧力および二重波面は、カテーテルのカルシウム破砕有効性を最大限にし、これは、高密度かつ破砕することが困難なカルシウム、偏心カルシウム、ならびに大きい動脈血管内のカルシウムを治療するために特に有益であり得る。また、増加された強度を有する衝撃波は、衝撃波がエミッタから標的組織領域まで進行するためにより長い距離が存在する、比較的に大きい直径のバルーンにおいて療法レベルの力を維持することができる。
【0047】
図1は、本開示の側面による、血管形成術バルーンの内側にエミッタのアレイを有する、例示的カテーテル100を図示する。カテーテル100は、カテーテルの近位ハンドル126とカテーテルの遠位先端との間に延在する、シャフト、より具体的には、伸長管104を含む。可撓性ポリマー封入体102(例えば、可撓性血管形成術バルーンまたはある他の応従性または半応従性ポリマー封入体)が、伸長管104の少なくとも一部の周囲に円周方向に被着され、カテーテル100の遠位先端の近傍に位置するシール122を介して伸長管104にシールされる。可撓性ポリマー封入体102は、可撓性ポリマー封入体102を充填し、および/または膨張させるために、生理食塩水または造影剤と混合された生理食塩水等の伝導性流体で充填され得る、伸長管104の周囲の環状空洞124を形成する。伝導性流体は、近位端ハンドル126内に位置する充填ポートを介して空洞124の中に入れられてもよい。可撓性ポリマー封入体102はまた、空洞124の内側の伝導性流体中に衝撃波を発生させるように構成される、可撓性ポリマー封入体102の内側に位置する、いくつかのエミッタ111、112、113、114、115、116を囲繞する。示されるように、エミッタは、近位対としてのエミッタ111および112、中心対としてのエミッタ113および114、および近位対としてのエミッタ115および116を伴って、対において配列されることができる。集合的に、エミッタ111、112、113、114、115、116は、エミッタアセンブリと称され得る。
【0048】
伸長管104は、近位ハンドル126とカテーテル100の遠位端との間に延在する、いくつかの管腔(例えば、管104を通した縦方向チャネル)を含んでもよい。例えば、伸長管104は、衝撃波治療の間に封入体102を充填(すなわち、膨張)および/または排出するために、流体ポートと可撓性ポリマー封入体102の空洞124との間で伝導性流体を搬送するための流体管腔を含んでもよい。伸長管104はまた、カテーテル100の挿入および位置付けを促進するために、ガイドワイヤ120を受容するように定寸される、ガイドワイヤ管腔を含んでもよい。そのような実施例では、カテーテル100は、ガイドワイヤ120にわたって体腔の中に前進されるように構成されてもよい(概して、「オーバーザワイヤ」または「OTW」配列と称される)。(代替実装では、カテーテルは、器具が手技の間に患者内の管腔の内外へと取り替えられる、「急速交換」または「Rx」構成の一部として配列されてもよい。)伸長管104はまた、高電圧パルス発生器150とエミッタ111、112、113、114、115、116との間で電流を搬送するワイヤ(例えば、ポリイミド絶縁銅ワイヤ)を保定するためのいくつかのワイヤ管腔を含んでもよい。加えて、または代替として、伸長管104の外側表面は、ワイヤを保定するために構成される、いくつかの縦方向溝またはチャネルを含んでもよく、絶縁ワイヤは、伸長管104の外側表面内の溝に沿って延在してもよい。
【0049】
衝撃波は、伸長管104の長さに沿って離間されるいくつかのエミッタ111、112、113、114、115、116において可撓性ポリマー封入体102の内側で発生されることができる。いくつかの実施例では、エミッタ111、112、113、114、115、116は、伸長管104の外側表面の周囲に位置付けられる、またはその上に搭載される、伝導性金属シースおよび絶縁ワイヤから形成される。高電圧パルスが、カテーテル100の外部の高電圧パルス発生器150からエミッタ111、112、113、114、115、116に供給される。いくつかの実施例では、高電圧パルス発生器150は、可撓性ポリマー封入体102内の所望の位置において衝撃波を発生させるために、特定のエミッタ(例えば、エミッタ111)またはエミッタの対(例えば、エミッタ111および112)を横断して電圧を選択的に印加するための多重化装置を含む。故に、示されるようなエミッタまたはエミッタ対は、同一または別個の電気チャネル上で接続され、所与のチャネルへの電流の流動は、多重化装置を介して制御されることができる。他の実施例では、高エネルギーレーザが、可撓性ポリマー封入体102の内側でレーザ光をパルス化することによって、衝撃波を発生させるために使用される。そのような実施例では、カテーテル100は、2つまたはそれを上回る光ファイバを含み得、その出力端は、ともに密接して離間され、建設的に干渉する衝撃波を発生させる。
【0050】
動作時、医師は、ガイドワイヤ管腔を通して、体腔の中にガイドワイヤ120を挿入し、次いで、ガイドワイヤ120にわたって体腔の中にカテーテル100を前進させ、ガイドワイヤ120を使用し、標的病変における、またはそれに近接する定位置に伸長管104を操縦する。いったん病変に位置付けられると、空洞124は、少なくとも部分的に、可撓性ポリマー封入体102を膨張させるために(例えば、約4atmの圧力まで)伝導性流体で充填されることができる。膨張されると、可撓性ポリマー封入体102は、石灰化病変と直接近接する管腔の壁に優しく接触し、および/またはそれに共形化し、エミッタ111、112、113、114、115、116と可撓性ポリマー封入体102の壁との間に空間を提供する。可変高電圧パルス発生器150は、次いで、アクティブ化され、エミッタ111、112、113、114、115、116のうちの1つまたはそれを上回るものを横断して一連の高電圧パルスを送達し、可撓性ポリマー封入体102内に衝撃波を発生させることができる。
【0051】
発生器150によって印加された各電圧パルスは、エミッタ上の各電極対を横断して電位差を生成する。電圧パルスの持続時間および大きさは、電極の表面上の伝導性流体内にガス気泡を発生させるために十分である。最終的に、電流のプラズマアークが、形成され、これは、気泡を横断し、可撓性ポリマー封入体102内に音響衝撃波を生成する、急速に拡張および圧潰する気泡を生成する。衝撃波の大きさおよび他の特性は、電極対の電極の間の衝撃間隙距離、電極の表面積、電極の形状、および/または隣接する電極対の間の(カテーテルの縦方向および/または円周に対する)距離を調節することによって制御されることができる。例えば、別個のエミッタ上の隣接する電極対が、ともに密接して(縦方向および/または円周方向に)離間され、同時にアクティブ化されると、これらの隣接する電極対において形成された気泡は、ともに拡張および圧潰し、組み合わせられた音響衝撃波を生成することができる。
【0052】
組み合わせられた音響衝撃波は、空洞124内の伝導性流体を通して、可撓性ポリマー封入体102の壁を通して、血管壁の中に伝導され、そこで、音響衝撃波エネルギーは、石灰化病変および硬化プラークを粉砕することができる。気泡のサイズおよび気泡の拡張および圧潰の率(したがって、結果として生じる組み合わせられた音響衝撃波の持続時間および大きさ)は、高電圧パルス発生器150によって印加される電圧パルスの大きさ、持続時間、および繰り返し率を調節することによって制御されることができる。いくつかの実施例では、医師は、低エネルギー衝撃波で手技を開始し、石灰化プラークを破砕するために必要に応じてエネルギーを増加させてもよい。
【0053】
図1に描写されるように、エミッタ111、112、113、114、115、116は、組み合わせられた衝撃波が、可撓性ポリマー封入体102の種々の部分に近接する病変を治療するために発生され得るように、伸長管104の長さに沿って離間される、種々の群化または対において配列されてもよい。衝撃波の場所は、所望のエミッタおよび/またはエミッタの所望の群化または対を横断して電圧を選択的に印加することによって制御されることができる。例えば、図1に示されるカテーテル100は、可撓性ポリマー封入体102の近位部分の内側に位置する、第1のエミッタ111と、第2のエミッタ112とを含む、近位対と、可撓性ポリマー封入体102の中心部分の内側に位置する、第3のエミッタ113と、第4のエミッタ114とを含む、中心対と、可撓性ポリマー封入体102の遠位部分の内側に位置する、第5のエミッタ115と、第6のエミッタ116とを含む、遠位対とを含む。各対の隣接するエミッタの間の間隔(例えば、近位対の第1のエミッタ111と第2のエミッタ112との間の距離)は、エミッタの各対によって生じられる衝撃波の間の建設的干渉を助長するように選択される。いくつかの実施例では、別個の群化または対のエミッタは、あるエミッタの間の建設的干渉を回避するために(例えば、近位対の第2のエミッタ112によって発生される衝撃波と中心対の第3のエミッタ113によって発生される衝撃波との間の干渉を回避するために)十分な距離で離間されてもよい。また、全てのエミッタの間の分離の距離は、発生される衝撃波の間の破壊的干渉を回避するように選択されることができる。
【0054】
隣接するエミッタがほぼ同時に(例えば、同時に、または数ナノ秒以内に)発射することを確実にするために、例示的カテーテル設計は、単一の独立した配線チャネル上で直列に接続される2つまたはそれを上回るエミッタを有する、電極アセンブリを含むことができる。例えば、エミッタの近位、中心、および遠位対はそれぞれ、別個にアクティブ化され得る独立した電極アセンブリとして配線されてもよい(例えば、所与の電極アセンブリにおけるエミッタの電極は、単一の高電圧パルスが、電極アセンブリの全てのエミッタをアクティブ化するように、電気的に直列に接続されることができる)。例えば、第1のエミッタ111と、第2のエミッタ112とを含む、近位対は、第1の電極アセンブリにおいてともに配線され得る。中心および遠位エミッタ対は、中心および遠位対のエミッタが、近位対から、および相互から独立してアクティブ化され得るように、個別のさらなる電極アセンブリにおいて配線されてもよい。単一の高電圧パルスが、所望の電極アセンブリを横断して印加され、例えば、エミッタ111および112をともに、または代替として、エミッタ113および114をともに、または代替として、エミッタ115および116をともに、ほぼ同時にアクティブ化することができる。さらなる実施形態では、高電圧パルスが、エミッタ111、112、および113をともに含む電極アセンブリに、それを横断して、次いで、加えて、または代替として、エミッタ114、115、および116をともに含む電極アセンブリに、ほぼ同時に指向されることができる。他の実施例では、カテーテル100のエミッタ111、112、113、114、115、116は全て、単一の高電圧パルスの印加が、エミッタの全てをほぼ同時に(または言い換えると、療法機能のために効果的に並行する急速な順次的進行において)アクティブ化するように、直列に配線される。密接して離間される隣接するエミッタの間の建設的干渉は、直列に配線される複数のエミッタを横断する高電圧パルスの分配からもたらされる、いかなる圧力減少も低減または軽減し得る。
【0055】
図2A-Bは、図1に示されるエミッタの近位対、中心対、または遠位対に対応する電極アセンブリ等のカテーテル内に含まれ得る2つの例示的電極アセンブリ200を図示する。電極アセンブリ(例えば、図1図2A-B、図3A-B、図4A-D、図9図13A-B、および図17-18に示され、本開示全体を通して説明されるアセンブリのうちのいずれか)の各エミッタは、それを横断して電流が流動し、衝撃波および/またはキャビテーション気泡を発生させる、火花間隙によって離間される、電極対を形成する、内側電極と、外側電極とを含む。例えば、米国特許第10,709,462号に説明されるように、カテーテルの各エミッタ(例えば、電極の各対)は、伝導性金属シースの縁およびカテーテルに沿って延在する絶縁ワイヤの伝導性部分から形成されてもよい。特定の実施例では、各電極対の外側電極は、伝導性シースから形成され、内側電極は、絶縁ワイヤの一部を除去し(例えば、ワイヤの端部の近傍の絶縁層内に孔を開け)、絶縁ワイヤの導電性部分(すなわち、絶縁体除去部分)を暴露することによって形成される。1つまたはそれを上回る実施例では、内側電極は、伝導性シースから形成されてもよく、外側電極は、絶縁ワイヤの導電性部分から形成されてもよい。ワイヤの導電性部分は、所与の電流および電圧に関して電極を横断するエネルギーの再現可能なアークを可能にするために、制御された距離(すなわち、火花間隙)で伝導性シースから分離される。いくつかの実施例では、2つまたはそれを上回る電極対が、シースに近接して絶縁ワイヤの2つまたはそれを上回る導電性部分を位置付けることによって、単一の伝導性シースを使用して同一のエミッタ上に形成され、それを横断して電流が流動し、衝撃波を発生させ得る、2つの火花間隙を生成してもよい。
【0056】
図2Aに再び目を向けると、例示的電極アセンブリ200は、伸長管204の周囲に円周方向に搭載される、それぞれ、第1の伝導性シース212および第2の伝導性シース214と、伸長管204の外側表面に沿って延在する、一連の絶縁ワイヤとから形成される、少なくとも、第1の電極対262と、第2の電極対264とを含む。示されるように、第1の電極対262は、第1のエミッタ282上に常駐し、第2の電極対264は、第2のエミッタ284上に常駐する。図2Bを参照すると、例示的電極アセンブリ200は、伸長管204の周囲に円周方向に搭載される、それぞれ、個別の第1の伝導性シース212および第2の伝導性シース214と、伸長管204の外側表面に沿って延在する、一連の絶縁ワイヤとから形成される、少なくとも、第1の電極対263と、第2の電極対265とを含む。示されるように、第1の電極対263は、第1のエミッタ282上に常駐し、第2の電極対265は、第2のエミッタ284上に常駐する。いくつかの実施例では、下記にさらに説明されるであろうように、各電極アセンブリはさらに、それぞれ、個別の第1の伝導性シース212および第2の伝導性シース214から形成される、第3の電極対と、第4の電極対と(図示せず)(言い換えると、電極対262および264(または電極対263および265)と同一またはほぼ同一の縦方向場所を共有するが、各エミッタ282および284上で相互から円周方向にオフセットされる電極対)を含む。
【0057】
図2Aに示される例示的電極アセンブリ200では、各伝導性シース212、214は、円形切り抜きを含み、電流が、円形切り抜きと絶縁ワイヤの導電性部分(すなわち、ワイヤの絶縁体除去部分)との間で流動し、衝撃波を発生させるように構成される。図2Bでは、アセンブリの各伝導性シース212、214の側縁は、弓形切り抜きを含み、電流が、弓形切り抜きと絶縁ワイヤの導電性部分との間で流動し、衝撃波を発生させるように構成される。いくつかの実施例では、絶縁シース252、254が、ワイヤの導電性部分と各伝導性シースとの間に位置付けられ、ワイヤの伝導性部分と伝導性シース212、214との間の意図せぬ電流流動を防止する。絶縁シース252、254は、ワイヤの伝導性部分のそれぞれと伝導性シース212、214との間の間隙に位置付けられる、1つまたはそれを上回る孔または切り抜きを含み、それを通して電流が各エミッタの電極の間で流動し得る、経路を提供してもよい。
【0058】
随意に、電極対が、シースを伴わない電極アセンブリから形成されることができる。例えば、ワイヤの対が、相互に近接して位置し、それぞれ、導電性部分(絶縁体除去部分等)を含有し、電流が、ワイヤの導電性部分の間で流動するように構成されることができる。そのような実施例では、電流は、第1のワイヤの伝導性部分から第2のワイヤの伝導性部分にジャンプし、それによって、衝撃波を発生させることができる。
【0059】
アセンブリ200の各電極対は、伸長管204の長さに沿った縦方向場所を有し、伸長管204の円周の周囲の円周場所を有する。隣接するエミッタおよび/または隣接する電極対の間の縦方向距離および/または円周オフセットは、第1のエミッタ282および第2のエミッタ284において発生される衝撃波の間の建設的干渉を助長するように制御されることができる。図2Aに示されるように、第1のエミッタ282および第2のエミッタ284ならびにそれらの個別の電極対262、264は、円周方向に整合され(すなわち、同一の円周場所に位置し)、距離「d」で縦方向に分離される。同様に、図2Bでは、第1のエミッタ282および第2のエミッタ284ならびにそれらの個別の電極対263、265は、円周方向に整合され、距離「d」で縦方向に分離され、本距離は、エミッタアセンブリの2つの構成の間で異なる。
【0060】
電極アセンブリのエミッタが、相互に対する近接する縦方向近接性に基づいて、十分に近接する群化または対において配列される(例えば、図1および4A-Dに示されるように、カテーテルの長さに沿って近位対、中心対、または遠位対においてともに配列される)とき、縦方向に隣接するという用語は、要素がカテーテルの長さに沿って同一の群化または対においてともに配列されることを示す。例えば、図2Aおよび2Bの第1のエミッタ282および第2のエミッタ284は、縦方向に隣接するエミッタと適切に見なされ得る一方、図1の第2のエミッタ112および第3のエミッタ113は、それらが別個のエミッタ対に対応するため、縦方向に隣接すると見なされ得ない。故に、縦方向に隣接するエミッタの間に3.5mmの間隔を有するものとして説明されるカテーテルは、対において配列される一連のエミッタを含み、エミッタの個別の電極対は、相互から3.5mm離間されてもよい。そのような実施形態では、縦方向に隣接するエミッタの対の間の距離は、3.5mmであってもよい一方、別個の対のエミッタは、相互から3.5mmを上回って離間されてもよい(例えば、近位エミッタ対が、相互に密接して近接して位置するが、エミッタ111と112との間の分離を上回る距離で中心エミッタ対から分離される、縦方向に隣接するエミッタを示す、図1参照)。1つまたはそれを上回る実施例では、第1のエミッタの第1の電極対と第2のエミッタの第1の電極対との間の距離は、第1のエミッタの第2の電極対と第2のエミッタの第2の電極対との間の距離を上回り得る。他の実施形態では、エミッタアセンブリの構造およびそれに供給される電力に応じて、縦方向に隣接するものとして適格であるエミッタとそれらの個別の電極対との間の距離は、1mm~4mmまたはその範囲内の長さの増分および勾配に及び得る。
【0061】
本明細書に使用されるように、2つの隣接するエミッタの間の縦方向距離(「d」)は、単一の伝導性シースから形成される2つの電極対の間の距離(例えば、同一の伝導性シース212から形成される第1の電極対262と第3のエミッタ(図示せず)との間の円周距離またはオフセット)ではなく、2つの隣接する伝導性シースから形成される電極対の間の距離(例えば、図2Aでは、個別の第1の伝導性シース212および第2の伝導性シース214から形成される第1の電極対262と第2の電極対264との間の距離)を定義する。本明細書に使用されるように、単一の伝導性シースから形成される(すなわち、同一のエミッタ上の)2つのエミッタの間の円周オフセット(角度「α」)は、それらの電極対が相互からオフセットされる角度を定義する(例えば、180度のオフセットは、電極対がシースの反対側上に位置することを示す)。縦方向に隣接する電極対が、カテーテルの同一の円周場所に位置するとき(例えば、ゼロ度のオフセット)、それらの電極対は、円周方向に整合されると考えられることができる。
【0062】
隣接する電極対の間の縦方向距離および/または円周オフセットは、個別の電極対の間の間隙に関して測定されることができる。例えば、図2Aでは、第1のエミッタ282と第2のエミッタ284との間の3.5mmの例示的距離を前提とすることは、第1の電極対262の電極の間の火花間隙が、第2の電極対264の電極の間の火花間隙から約3.5mmであることを示す。1つまたはそれを上回る実施例では、隣接する電極対の間の縦方向距離は、代替として、隣接する伝導性シースの間の距離によって近似されてもよい。例えば、図2Bでは、3.5mm未満の例示的距離を前提とすることは、第1のエミッタ282の弓形電極対263を形成する第1の伝導性シース212の側縁と、第2のエミッタ284の弓形電極対265の電極を形成する第2の伝導性シース214の側縁との間の縦方向距離を示す。加えて、または代替として、隣接するエミッタの間の距離および/または円周オフセットは、エミッタの電極対を形成する絶縁ワイヤの絶縁体除去部分の間隔または円周オフセットによって近似されてもよい。
【0063】
前述で説明されるように、対の縦方向に隣接するエミッタは、個別のエミッタの電極対において発生される衝撃波の間の建設的干渉を助長するために、比較的に短い縦方向距離(例えば、4mmまたはそれ未満)で離間されてもよい。いくつかの実施例では、第1のエミッタ282の電極対262の間隙と第2のエミッタ284の電極対264の間隙との間の距離は、電圧が第1の電極対262および第2の電極対264を横断して送達されると、第1のエミッタ282および第2のエミッタ284において発生された衝撃波が、干渉し、組み合わせられた衝撃波を生じるように、1mm~4mmである。
【0064】
隣接するエミッタ上の電極対の間の円周オフセットはまた、エミッタ間の建設的干渉に影響を及ぼし得る。例えば、第1の電極対262、263と第2の電極対264、265との間の縦方向距離および円周オフセットは、第1のエミッタ282および第2のエミッタ284がともにアクティブ化される(すなわち、同一の高電圧パルスによってアクティブ化される)とき、組み合わせられた衝撃波が形成されるように選択されることができる。1つまたはそれを上回る実施例では、各エミッタ上の電極対の円周場所は、衝撃波が伸長管に対して特定の方向に伝搬するように(例えば、同一の方向に伝搬する衝撃波の間の干渉を助長するために)選択されることができる。いくつかの実施例では、図2Aおよび2Bに示されるように、第1の電極対262、263の間隙は、両方のエミッタが、伸長管204に対してほぼ同一の半径方向に衝撃波を発生させるように、伸長管204に対して第2の電極対264、265の間隙と円周方向に整合される(例えば、ゼロ度オフセットされる)。いくつかの実施例では、第1の電極対262、263および第2の電極対264、265の間隙が1mm~4mmの距離で離間されることに加えて、第1の電極対262、263の間隙は、第2の電極対264、265の間隙と円周方向に整合される。
【0065】
いくつかの実施例では、隣接するエミッタとそれらの個別の電極対との間の縦方向距離および/または円周オフセットは、非干渉衝撃波に対する特定の所望の圧力増加(例えば、単一の電極対から生じられる衝撃波または衝撃波の間の限定された干渉が存在する、またはいかなる干渉も存在しないように離間されるエミッタから生じられる衝撃波に対する圧力増加)を有する、組み合わせられた衝撃波を生じるように選択されることができる。例えば、第1の電極対262の火花間隙と第2の電極対264の火花間隙との間の縦方向距離は、従来の衝撃波カテーテル(例えば、10mmの距離で分離される電極対を有するカテーテル)によって発生される衝撃波のピーク圧力と比較して、組み合わせられた衝撃波のピーク圧力が、少なくとも1.25倍、少なくとも1.5倍、少なくとも二重(すなわち、2倍)である、またはこれらの値内の相対的増加の増分および勾配にあるように選択されることができる。隣接するエミッタとそれらの個別の電極対との間の縦方向距離および/または円周オフセットはまた、二重圧力波形、増加された剪断応力、増加された機械的応力、または石灰化病変を治療するためのある他の有益な属性を有する組み合わせられた衝撃波を生じるように選択されることができる。
【0066】
図3A-Bは、本開示の側面による、衝撃波カテーテル内に含まれ得る、例示的電極アセンブリ300のより詳細な図を提供する。図3Aは、カテーテルの伸長管304上に配置される、電極アセンブリ300の斜視図を提供する。図3Bは、伸長管304を伴わない電極アセンブリ300の付加的斜視図を提供し、電極アセンブリ300を通した接続性および電流流動を図示する。
【0067】
図3Aに示されるように、例示的電極アセンブリ300は、4つの縦方向溝360、362、364、および368を含む、外側表面を有する、伸長管304を含む、カテーテルにおいて実装されることができる。いくつかの絶縁ワイヤ330、332、334が、溝360、362、364、368に沿って延在する、伸長管304の外側表面上に配置される。電極アセンブリ300はさらに、第1の伝導性シース312と、第2の伝導性シース314とを含み、各シースは、伸長管304の周囲に円周方向に搭載される。
【0068】
図3Aに示されるように、電極アセンブリ300の各伝導性シース312、314は、絶縁ワイヤ330、332、334の少なくとも一部に重複し、それを囲繞する。絶縁ワイヤ330、332、334はそれぞれ、伝導性シースの縁の近傍に位置付けられる、導電性部分331、333、335a、335b(例えば、ワイヤの絶縁体除去部分)を含み、それを横断して電流が流動し、衝撃波を発生させ得る、火花間隙を形成する。例えば、第1の絶縁ワイヤ330は、伸長管304に沿って延在し、第1の伝導性シース312の第1の側縁に近接する導電性部分331を有してもよい。第2の絶縁ワイヤ332は、伸長管304に沿って延在し、第2の伝導性シース314の第1の側縁に近接する導電性部分333を有してもよい。第3の絶縁ワイヤ334は、第1の伝導性シース312と第2の伝導性シース314との間で伸長管304に沿って延在し、第1の伝導性シース312の第2の側縁に近接する第1の導電性部分335aと、第2の伝導性シース314の第2の側縁に近接する第2の導電性部分335bとを含んでもよい。いくつかの実施例では、図2Aおよび2Bに示されるように、伝導性シース312、314の側縁は、伝導性シース内に弓形切り抜きまたは円形切り抜きを含むことができる。
【0069】
図3Aおよび3Bに示される特定の実施形態では、電極アセンブリ300は、2つの伝導性シース312、314および3つの絶縁ワイヤ330、332、334から形成される、少なくとも2つの電極対をそれぞれ有する、少なくとも2つのエミッタを含む。より具体的には、第1の電極対は、伸長管の外側表面に沿って延在する、第1の絶縁ワイヤ330の導電性部分331と、伸長管の周囲に円周方向に搭載される、第1の伝導性シース312とを含む。第2の電極対は、第1の伝導性シース312と、伸長管の外側表面に沿って延在する、第3の絶縁ワイヤ334の導電性部分335aとを含む。第3の電極対は、第2の伝導性シース314と、第3の絶縁ワイヤ335bのさらなる導電性部分とを含む。第4の電極対は、伸長管の外側表面に沿って延在する、第2の絶縁ワイヤ332の導電性部分333と、伸長管の周囲に円周方向に搭載される、第2の伝導性シース314とを含む。第1の電極対および第2の電極対(両方ともシース312から形成される)の要素のアセンブリは、第1のエミッタと称され得る一方、第3の電極対および第4の電極対(両方ともシース314から形成される)の要素のアセンブリは、第2のエミッタと称され得る。
【0070】
図3Bは、例示的電極アセンブリを通した電流の流動を図示する。電極アセンブリの4つの電極対において衝撃波を開始するために、高電圧パルスが、(例えば、図1の高電圧パルス発生器150を使用して)第1の絶縁ワイヤ330および第2の絶縁ワイヤ332を横断して印加されることができる。高電圧パルスが、第1の絶縁ワイヤ330および第2の絶縁ワイヤ332を横断して印加されると、電流が、共通接地ワイヤ(すなわち、高電圧パルス発生器の群または負チャネルに接続する)として第2の絶縁ワイヤ332を用いて、矢印によって示されるように流動し得る。示されるように、電流は、第1の絶縁ワイヤ330の近位端から絶縁ワイヤ330の遠位端に向かって流動する。電流は、次いで、第1の絶縁ワイヤ330の導電性部分331と第1の伝導性シース312との間の間隙を横断して流動し、衝撃波(例えば、第1の電極対に対応する第1の衝撃波)を発生させる。電流は、次いで、第1の伝導性シース312の周囲で、第1の伝導性シース312と第3の絶縁ワイヤ334の導電性部分335aとの間の間隙を横断して流動し、さらなる衝撃波(例えば、第2の電極対に対応する第2の衝撃波)を発生させる。示されるように、電流は、次いで、第3の絶縁ワイヤ334の近位端から第3の絶縁ワイヤ334の遠位端に流動する。電流は、次いで、第3の絶縁ワイヤ334のさらなる導電性部分335bと第2の伝導性シース314との間の間隙を横断して流動し、衝撃波(例えば、第3の電極対に対応する第3の衝撃波)を発生させる。電流は、次いで、第2の伝導性シース314の周囲で、第2の伝導性シース314と第2の絶縁ワイヤ332の導電性部分333との間の間隙を横断して流動し、さらなる衝撃波(例えば、第4の電極対に対応する第4の衝撃波)を発生させる。電流は、次いで、第2の絶縁ワイヤ332(接地)に沿って近位方向に戻るように進む。
【0071】
1つまたはそれを上回る実施例では、電極アセンブリにおけるエミッタの対の縦方向に隣接する電極対は、ある距離(例えば、図2Aおよび2Bの距離「d」参照)で分離される。図3Bに示されるように、「d」は、第1の電極対と第4の電極対と(建設的干渉のための第1の対合)の間の距離を測定する一方、「d」は、第2の電極対と第3の電極対と(建設的干渉のための第2の対合)の間の距離を測定する。前述で説明されるように、縦方向に隣接するエミッタの間の距離は、隣接するシースの2つの電極対の間の距離を表すことができる。1つまたはそれを上回る実施例では、第1のエミッタおよび第2のエミッタは、円周方向に整合され(例えば、第1のエミッタの電極対の間隙は、第2のエミッタの電極対の間隙と同一のカテーテル上の円周場所にある)、1mm~4mmまたは3mm~3.5mm、またはこれらの値内の距離の増分および勾配における距離で分離される。
【0072】
同一の伝導性シースから形成される2つの電極対(例えば、両方とも第1の伝導性シース312から形成される第1の電極対および第2の電極対)は、類似する、またはより短い縦方向距離で縦方向に分離されてもよい。しかしながら、1つまたはそれを上回る実施例では、シースを共有する2つの電極対は、電極対が、(例えば、カテーテルの反対側上で)180度の角度相互から円周方向にオフセットされる等のため、相互に干渉しない(または最小限に干渉する)衝撃波を発生させ得る。代替として、シースを共有する2つの電極対の間の円周オフセットは、下記に議論されるであろうように、2つの電極対が、180度未満の角度で相互から円周方向にオフセットされるとき等、建設的干渉を助長するように選択されてもよい。
【0073】
さらに、上記に説明されるように、2つの電極対の間の距離(例えば、図3Bの「d」または「d」)は、第1のエミッタ上の第1の電極対の電極の間の間隙(例えば、第1の絶縁ワイヤ330の絶縁体除去部分331と第1のエミッタの第1の伝導性シース312との間の間隙)と第2のエミッタ上の第2の電極対の電極の間の間隙(例えば、第2の伝導性シース314と第2のエミッタの第2の絶縁ワイヤ332の絶縁体除去部分333との間の間隙)との間の距離を指定することができる。代替として、2つの電極対の間の距離は、各エミッタの特定の電極の間の距離によって近似されてもよい。例えば、距離は、各エミッタの電極に対応するワイヤまたは伝導性シースの絶縁体除去部分の間の距離によって近似されてもよい。
【0074】
図3A-Bは、第1および第2の伝導性シース312、314および3つの絶縁ワイヤ330、332、334から形成される、1つの例示的電極アセンブリを図示するが、本主題の開示のカテーテルは、可撓性ポリマー封入体の内側に衝撃波を発生させるための任意の数のエミッタを具備し得る。例えば、図4A-Dは、本開示の側面による、図1に示される例示的カテーテル100等の衝撃波カテーテル内に含まれ得る、例示的電極アセンブリ400を図示する。アセンブリは、個別の近位対410、中心対420、および遠位対430として構成される、縦方向に隣接するエミッタの3つの対を含む。図4Aは、電極アセンブリ400の正面側面図を図示する。図4Bは、図4Aの電極アセンブリ400の配線の正面側面図(すなわち、絶縁ワイヤ451、452、453、453、455、456、および457をより良好に描写するために伝導性シース441、442、443、444、445、446が除去されるアセンブリの図)を図示する。図4Cは、図4Aに示される電極アセンブリ400の上面側面図(すなわち、アセンブリ400の付加的特徴を示すために90度回転されるアセンブリの図)を図示する。図4Dは、電極アセンブリ400の配線の上面側面図(すなわち、伝導性シース441、442、443、444、445、446が除去される図4Cのアセンブリおよび/または90度回転される図4Bの配線の図)を図示する。
【0075】
図4Aおよび4Cに示されるように、例示的電極アセンブリ400は、複数の伝導性金属シース、より具体的には、第1の伝導性シース441と、第2の伝導性シース442と、第3の伝導性シース443と、第4の伝導性シース444と、第5の伝導性シース445と、第6の伝導性シース446とを含む。例示的電極アセンブリ400はまた、伝導性シースの下で、それを通して延在する、複数のワイヤ、より具体的には、第1の絶縁ワイヤ451と、第2の絶縁ワイヤ452と、第3の絶縁ワイヤ453と、第4の絶縁ワイヤ454と、第5の絶縁ワイヤ455と、第6の絶縁ワイヤ456と、共通接地ワイヤ457とを含む。伝導性シース441、442、443、444、445、446および絶縁ワイヤ451、452、453、453、455、456の伝導性部分は、電極アセンブリ400に沿った種々の場所において衝撃波を生じるようにアクティブ化され得る、複数のエミッタを形成する。
【0076】
図4Aおよび4Cに示されるように、伝導性シース441、442、443、444、445、446は、縦方向に隣接するシースから形成されるエミッタ対によって発生された衝撃波が、建設的に干渉する衝撃波(すなわち、組み合わせられた衝撃波)を生じ得るように、密接して離間される(例えば、縦方向に隣接する)対において配列される。より具体的には、アセンブリ400は、個別の第1の伝導性シース441および第2の伝導性シース442から形成される、第1の電極対411と、第2の電極対412とを含む、近位対410と、個別の第3の伝導性シース443および第4の伝導性シース444から形成される、第3の電極対413と、第4の電極対414とを含む、中心対420と、個別の第5の伝導性シース445および第6の伝導性シース446から形成される、第5の電極対415と、第6の電極対416とを含む、遠位対430とを含む。
【0077】
図4Aの電極アセンブリ400の正面図は、1つの電極対(例えば、電極対411および電極対412)を有する各シース(例えば、シース441およびシース442)を示すが、電極アセンブリ400は、相互から円周方向にオフセットされる、シース上の付加的電極対を含むことができる。例えば、図4Cは、遠位エミッタ対430上の2つの付加的電極対、具体的には、電極対417および電極対418を露見させる、図4Aの例示的電極アセンブリ400の上面側面図を図示する。言い換えると、電極対417および418は、それぞれ、シース445および446の電極対415および416から円周方向にオフセットされる。近位対410および中心対420は、同様に、第1の伝導性シース441、第2の伝導性シース442、第3の伝導性シース443、および/または第4の伝導性シース444の周囲に円周方向にオフセットされる、付加的エミッタ(図示せず)を含むことができる。例えば、近位対410は、個別の第1の伝導性シース441および第2の伝導性シース442の周囲で第1の電極対411および第2の電極対412から約180度円周方向にオフセットされる、さらなる電極対(図示せず)を含み得る。中心対はまた、個別の第3の伝導性シース443および第4の伝導性シース444の周囲で第3の電極対413および第4の電極対414から約180度円周方向にオフセットされる、さらなる電極対(図示せず)を含み得る。1つまたはそれを上回る実施例では、同一のシース上の電極対の間の円周オフセットは、下記にさらに議論されるであろうように、180度未満であり得る。
【0078】
図2Aおよび2Bの電極アセンブリ200に関して議論されるように、近位対410、中心対420、および遠位対430のそれぞれにおいて含まれる電極対は、各対の縦方向に隣接するエミッタによって発生される衝撃波の間の建設的干渉を助長するために、実質的に円周方向に整合されてもよい。1つまたはそれを上回る実施例では、図4Aおよび4Cに示されるように、近位対410、中心対420、および遠位対430のエミッタおよび個別の電極対は、カテーテルの円周の周囲に衝撃波治療をより均等に分配するために、異なる円周配向で位置付けられてもよい。例えば、図4Aに示されるように、近位対410は、第1の電極対411および第2の電極対412が、略上向き方向に向いているように配向される。中心対420のエミッタは、第3の電極対413および第4の電極対414が、近位対410において生じられる組み合わせられた衝撃波とは異なる半径方向に組み合わせられた衝撃波を発生させるように、近位対410から円周方向にオフセットされる。遠位対430の電極対は、さらなる異なる半径方向に組み合わせられた衝撃波を発生させるために、近位対410および中心対420の両方から円周方向にオフセットされる。エミッタの各対から放出される衝撃波の半径方向は、エミッタ対から発生される衝撃波の組み合わせが、カテーテルの円周の周囲に均等に衝撃波を発生させるように選択されることができる。いくつかの実施例では、図4A-Dに示されるように、建設的に干渉するエミッタの対が、カテーテルの円周の周囲で、約30度、約60度、約120度、または約180度、またはこれらの値内の度数の増分および勾配においてエミッタの別の対から円周方向にオフセットされてもよい。他の実施例では、建設的に干渉するエミッタの対は、カテーテルに対して特定の半径方向に組み合わせられた衝撃波を生じるために、実質的に円周方向に整合されてもよい(例えば、ゼロ度円周方向にオフセットされる)。
【0079】
図4Bおよび4Dは、電極アセンブリ400の配線を図示する。高電圧パルスが、ユーザがアセンブリ400のあるエミッタを横断して衝撃波を選択的に発生させることを可能にするために、アセンブリの絶縁ワイヤ451、452、453、454、455、456を横断して印加されることができる。例えば、図4A-Dに示される実施例では、近位対410、中心対420、および遠位対430はそれぞれ、アセンブリ400のユーザが近位対410、中心対420、または遠位対430のいずれかにおいて衝撃波を選択的に発生させることを可能にするために、電圧源(例えば、図1の高電圧パルス発生器150)に別個に配線される。共通接地ワイヤ457が、電極アセンブリ400から電流を排出するために提供される。
【0080】
図4A-Dに示されるように、近位対410は、電圧源と第1の伝導性シース441との間に延在する、第1の絶縁ワイヤ451を含み、さらに、第1の伝導性シース441と第2の伝導性シース442との間に延在する、第2の絶縁ワイヤ452を含む。電流が、近位対410から、第2の伝導性シース442の近傍に伝導性部分を有する共通接地ワイヤ457を介して流動する。近位対410において(すなわち、第1の電極対411および第2の電極対412ならびに第1および第2の伝導性シース441、442から形成される任意のさらなる電極対において)衝撃波を発生させるために、高電圧パルス電圧が、第1の絶縁ワイヤ451に印加されることができる。
【0081】
中心対420は、電圧源と第3の伝導性シース443との間に延在する、第3の絶縁ワイヤ453を含み、さらに、第3の伝導性シース443と第4の伝導性シース444との間に延在する、第4の絶縁ワイヤ454を含む。電流が、中心対420から、第4の伝導性シース444の近傍に伝導性部分を有する共通接地ワイヤ457を介して流動する。中心対420において(すなわち、第3の電極対413および第4の電極対414ならびに第3および第4の伝導性シース443、444から形成される任意のさらなる電極対において)衝撃波を発生させるために、高電圧パルス電圧が、第3の絶縁ワイヤ453に印加されることができる。
【0082】
遠位対430は、電圧源と第5の伝導性シース445との間に延在する、第5の絶縁ワイヤ455を含み、さらに、第5の伝導性シース445と第6の伝導性シース446との間に延在する、第6の絶縁ワイヤ456を含む。電流が、遠位対430から、第6の伝導性シース446の近傍に伝導性部分を有する共通接地ワイヤ457を介して流動する。遠位対430において(すなわち、第5の電極対415および第6の電極対416ならびに第5および第6の伝導性シース445、446から形成される任意のさらなる電極対において)衝撃波を発生させるために、高電圧パルス電圧が、第5の絶縁ワイヤ455に印加されることができる。
【0083】
図1に示される例示的カテーテル100および図4A-Cの電極アセンブリは、カテーテルの長さに沿った3つの場所において組み合わせられた衝撃波を発生させるようにアクティブ化され得る、エミッタの3つの対を含むが、任意の数の電極アセンブリおよび/またはエミッタが、下記に説明されるように、本開示の範囲から逸脱することなく、カテーテル内に含まれることができる。例えば、いくつかの例示的カテーテルは、カテーテルに沿った単一の場所において組み合わせられた衝撃波を発生させるように構成される、縦方向に隣接するエミッタの単一の対を含む。さらなる例示的カテーテルは、2つの対、3つの対、4つの対、またはさらに多い数の対を含み、各対は、カテーテルの長さに沿って組み合わせられた衝撃波を発生させるために離間される、1つまたはそれを上回る建設的に干渉するエミッタを含み得る。代替として、または加えて、例示的カテーテルは、カテーテルの長さに沿って組み合わせられた衝撃波を発生させるために離間される、建設的に干渉するエミッタである、3つまたは4つのエミッタの群を含み得る。組み合わせられた衝撃波を形成するために建設的に干渉する衝撃波を発生させるように構成される、縦方向に隣接するエミッタの代替として、またはそれに加えて、組み合わせられた衝撃波を形成するために建設的に干渉する衝撃波を発生させるように構成される、円周方向に隣接する電極対(例えば、180度未満の角度で相互から円周方向にオフセットされる電極対)を備えるカテーテルもまた、下記に議論されるであろうように、本開示によって想定される。
【0084】
図5は、本開示の側面を含む、例示的衝撃波カテーテルの2つの画像を提供する。上側画像は、約10ミリメートル(10mm)離間される5つのエミッタを有する、例示的「M5」カテーテルを示す。下側画像は、対において配列される6つの隣接するエミッタを有する、例示的「Lx」カテーテルを示し、対における各エミッタは、対の他のエミッタから約3.5mm離間される。図5に示されるように、M5カテーテルのエミッタは、カテーテルの長さに沿って10mmの距離において均等に離間される。Lxカテーテルのエミッタは、縦方向に隣接する対において、より具体的には、近位対、中心対、および遠位対において配列される。個別の近位、中心、および遠位対のそれぞれの縦方向に隣接するエミッタは、対の縦方向に隣接するエミッタにおいて発生される衝撃波の間の建設的干渉を助長するために、約3.5mm離間される。図5に示されるように、近位対と中心対との間の距離および中心対と遠位対との間の距離は、3.5mmを上回る。
【0085】
図6は、図5に示されるような例示的カテーテルによって発生される、種々の例示的カテーテルによって発生される衝撃波の音響圧力波面を描写する、一連のヒートマップグラフィックを提供する。各グラフのx軸(各画像の上側における)は、圧力読取値のカテーテルに沿った側方位置に対応し、「0」は、カテーテルの電極アレイに沿った中心場所(例えば、カテーテルの中心エミッタの場所)を表す。各個別の側方位置におけるカテーテルによって発生された衝撃波は、各グラフィックの下の圧力スケールに従って、より薄い陰影面積によって表される増加された圧力領域によって描出される。
【0086】
カテーテルに沿ったエミッタの間隔は、各ヒートマップにわたって重畳される概略図を用いて示される。グラフィックの上側行は、Shockwave Medical, Inc.からの商業的に入手可能なM5カテーテルからの圧力読取値を提供する。M5カテーテルは、エミッタのアレイを含み、隣接するエミッタは、相互に対して均一に円周方向に整合されないカテーテルの長さに沿って約10mm離間される。より詳細には、左から右に見ると、最初の2つのエミッタは、相互と整合され、次いで、回転オフセットが、存在し、その後、次の2つのエミッタは、相互と整合され、次いで、さらなる回転オフセットが、存在し、最後のエミッタは、他のエミッタのうちのいずれとも整合されない。グラフの下側行は、本開示の側面を実装する、例示的Lxカテーテル(「3.5mm間隔」カテーテル)からの圧力読取値を提供する。Lxカテーテルは、2つの縦方向に隣接するエミッタの近位対と、2つの縦方向に隣接するエミッタの中心対と、2つの縦方向に隣接するエミッタの遠位対とを含む。近位、中心、および遠位対のそれぞれの中で、隣接するエミッタは、約3.5mmの距離において離間され、そこで、隣接するエミッタの対は、相互に対して円周方向に整合される。対合されるエミッタに関して、相互に関連して、左から右に見ると、最初の2つの(近位)エミッタは、相互と整合され、次いで、回転オフセットが、存在し、その後、次の2つの(中心)エミッタは、相互と整合され、次いで、さらなる回転オフセットが、存在し、その後、最後の2つのエミッタ(遠位)は、相互と整合される。
【0087】
図6に示されるように、3.5mm間隔Lxカテーテルのエミッタが、アクティブ化されると、縦方向に隣接するエミッタにおいて生じられた音響圧力波面(すなわち、衝撃波)は、収束し、エミッタの各縦方向に隣接する対に対応する側方位置において相互に重複するより薄い陰影面積の二重膨隆によって描写されるように、二重または多重波面および高度に集束された高振幅圧力波(すなわち、組み合わせられた衝撃波)の領域を生成する。対照的に、M5カテーテルによって生じられた音響圧力波面は、各エミッタに対応する側方位置において最小の重複を伴って大部分が相互に隣接するより薄い陰影面積によって描写されるように、収束せず、または最小限にのみ収束し、比較的により拡散するより低い圧力の波面をもたらす。結果として、3.5mm間隔Lxカテーテルは、M5カテーテルによって生じられる音響波面の圧力と比較して、増加された圧力を有する音響波面を生じることができる。
【0088】
図7は、本開示の側面による、例示的カテーテルによって生じられる衝撃波の圧力読取値を表示する、2つのグラフを提供する。x軸は、血管形成術バルーンの縁に沿った(すなわち、カテーテルの可撓性ポリマー封入体の表面に沿った)圧力読取値の側方距離に対応し、「0」は、バルーン上の中心位置を表す。左側のグラフは、約10mm離間されるエミッタを有するM5カテーテル(例えば、図5および6に関連して上記に説明されるM5カテーテル)の長さに沿ったピーク間圧力読取値を示す。右側のグラフは、約3.5mmにおいて離間される縦方向に隣接するエミッタの対を有するカテーテル(例えば、図5および6に関連して上記に説明されるLxカテーテル)の長さに沿ったピーク間圧力読取値を示す。図7は、3つのデータセットの平均圧力を提供する一方、図6は、単一の代表的データサンプルからの例示的圧力読取値を示す。図7に示されるように、3.5mm間隔Lxカテーテルは、M5カテーテルによって生じられる衝撃波と比較して、増加されたピーク圧力を有する音響衝撃波を生じる。
【0089】
図8は、本開示の側面による、エミッタを横断して印加される高電圧パルスに応答する4つの例示的カテーテルのエミッタの対における気泡進行の一連の画像を提供する。画像の上側行は、10mmの距離で離間されるエミッタの対を有するM5カテーテルによる気泡形成、拡張、および圧潰を示す。画像の第2、第3、および第4の行は、それぞれ、2.5mm、3.5mm、および4.5mmの距離において離間される縦方向に隣接するエミッタを有する、本主題の開示の側面を実装する例示的Lxカテーテルによる気泡形成、拡張、および圧潰を示す。図8に示されるように、M5カテーテルは、独立して拡張および圧潰する気泡を生じ、伝導性流体中に2つのより小さい音響衝撃波を生じる。エミッタの間の間隔が例示的Lxカテーテルにおいて減少するにつれて、気泡は、収束および重複し始め、単一の組み合わせられた音響衝撃波を生じる。例えば、10mm間隔M5カテーテルによって生じられた気泡は、干渉しないが、4.5mm間隔Lxカテーテルによって生じられた気泡は、干渉せず、または最小限にのみ干渉し、3.5mmおよび2.5mm間隔Lxカテーテルによって生じられた気泡は、干渉し(すなわち、ともに拡張および圧潰し)、組み合わせられた衝撃波を生じる。
【0090】
上記に議論されるように、縦方向に離間される電極対(例えば、エミッタ対の別個のシース上に位置する)を有することの代替として、またはそれに加えて、カテーテルは、相互から円周方向にオフセットされる、同一のシース上の複数の電極対を含むことができる。図9は、カテーテル上の同一の縦方向場所にあるが、60度相互から円周方向にオフセットされる電極対922、924の対を有する、例示的カテーテル電極アセンブリ900を図示する。
【0091】
示されるように、電極アセンブリ900の電極対922、924は、伝導性シース912およびいくつかのワイヤ930、932から形成されることができる。1つまたはそれを上回る実施例では、電極対922、924は、シース912内の円形切り抜き(図9に示されるような、および図2Aの電極アセンブリ200のような)および/または弓形切り抜き(図2Bに示されるような)から形成されることができる。電圧が電極アセンブリ900に印加されると、電流が、伝導性シースの切り抜き(第1の電極)と絶縁ワイヤの導電性部分(第2の電極)(例えば、ワイヤの絶縁体除去部分)との間で流動し、衝撃波を発生させる。1つまたはそれを上回る実施例では、絶縁シース911が、ワイヤの導電性部分と切り抜きとの間に位置付けられ、ワイヤの伝導性部分と伝導性シースとの間の意図せぬ電流流動を防止し、それを通して電流が各電極対の電極の間で流動し得る、経路を提供することができる。
【0092】
図9に示されるように、第1の電極対922は、第2の電極対924から角度「α」で円周方向にオフセットされる。電極対922および924は、各電極対によって発生された衝撃波が、相互に建設的に干渉し、組み合わせられた衝撃波を生成し得るように、密接して離間される(例えば、円周方向に隣接する)対において配列される。エミッタの間の円周オフセットαの具体的度数は、変動されることができる。例えば、60度オフセットされるのではなく、電極対922および924は、30度、90度、120度、140度、160度、またはこれらの値内の度数の増分および勾配において相互から円周方向にオフセットされることができる。
【0093】
図10は、カテーテル上の同一の縦方向場所にあるが、約60度相互から円周方向にオフセットされる電極対1002および1004の対を有する、カテーテル電極アセンブリを伴う例示的衝撃波カテーテルの画像を提供する。
【0094】
図11は、同一の縦方向場所にあるが、180度、120度、90度、60度、および0度相互から円周方向にオフセットされる電極対(図中で「エミッタ孔」と称される)の対を有する、電極アセンブリを伴う例示的衝撃波カテーテルのアクティブ化からもたらされる、気泡の形成および圧潰の一連の画像を提供する。より具体的には、画像1180は、180度のオフセットに対応し、画像1120は、120度のオフセットに対応し、画像1190は、90度のオフセットに対応し、画像1160は、60度のオフセットに対応し、画像1101は、0度のオフセットに対応する(すなわち、0度は、1つのみの電極対を伴うエミッタであり、対照実施例として提供される)。
【0095】
画像1180に示されるように、相互から180度オフセットされるときの各電極対によって発生される気泡1102は、相互に干渉しない。故に、相互に対して180度オフセットされる電極対によって発生される衝撃波の間の建設的干渉は、殆どまたは全く存在しない。比較すると、画像1120、1190、および1160に示されるように、相互から120度、90度、および60度オフセットされるときの各電極対によって発生される気泡は、1つの組み合わせられた気泡にともに合体し始める。したがって、これらの度数(例えば、120度、90度、60度)のうちのいずれかでオフセットされるとき、組み合わせられた気泡を生成する傾向がある、エミッタによって発生される気泡の間の建設的干渉が、存在する。
【0096】
図12は、本開示の側面による、同一の縦方向場所にあるが、180度、120度、90度、60度、および0度相互から円周方向に離間される2つの電極対1201、1202を有する、電極アセンブリを伴う例示的カテーテルのバルーン縁に沿って測定される単一のエミッタからの音響波面の圧力を図示する、グラフを提供する。図12のグラフに示される圧力値は、下記の表1に集計される。
【表1】
【0097】
図11の画像に示されるように、同一の縦方向場所にあるが、180未満相互から円周方向にオフセットされる電極対の対を配置するとき、エミッタによって発生される衝撃波は、相互に建設的に干渉し、組み合わせられた気泡を生成する傾向がある。また、図12のグラフおよび表1に示されるように、同一の縦方向場所にあるが、180未満相互から円周方向にオフセットされる電極対の対を配置することはまた、(組み合わせられた気泡が形成され得る場所等)電極対の間で測定されるとき、より大きい圧力値をもたらす傾向がある。故に、図9の電極アセンブリ等の同一の縦方向場所に位置し、180度未満オフセットされる電極対を伴う電極アセンブリは、180度相互からオフセットされる電極対を伴う電極アセンブリを上回る圧力値を実現することができる。
【0098】
同一のシース上等の同一の縦方向場所に2つの電極対を配置することに加えて、カテーテルは、相互に隣接して位置する電極対の複数の対、例えば、カテーテルの長さに沿って離間される複数のシースを含むことができる。図13A-Bは、本開示の側面による、カテーテルの長さに沿って離間される縦方向に整合されるエミッタの複数の対を有する、例示的電極アセンブリ1300を図示する。図13Aは、例示的電極アセンブリの右正面図を図示し、図13Bは、左正面図を図示する。図4A-Cの例示的電極アセンブリ400に対して、電極アセンブリ1300は、ここでは、縦方向に整合される電極対(例えば、同一のシース上に位置するもの)が、相互に対して180度未満円周方向にオフセットされる点において異なる。
【0099】
電極アセンブリ1300のシースおよび電極対は、いくつかのワイヤによって接続され、これは、図3A-Bおよび4A-Cを参照して説明される配線と同様に配列されることができる。電極アセンブリ1300のエミッタは、円形切り抜き(図2Aに示される電極アセンブリ200のような)および/または弓形切り抜き(図2Bに示されるような)を伴う伝導性シースから形成されることができる。電圧が電極アセンブリに印加されると、電流が、伝導性シースの切り抜き(第1の電極)と絶縁ワイヤの導電性部分(第2の電極)(例えば、ワイヤの絶縁体除去部分)との間で流動し、衝撃波を発生させる。絶縁シースが、ワイヤの導電性部分と切り抜きとの間に位置付けられ、ワイヤの伝導性部分と伝導性シースとの間の意図せぬ電流流動を防止し、それを通して電流が各エミッタの電極の間で流動し得る、経路を提供することができる。
【0100】
図13Aに示されるように、電極アセンブリ1300は、各シースが縦方向に整合されるが、円周方向にオフセットされる電極対1311、1312の対を含有する、縦方向に隣接するシース1341および1342の第1の対1310(エミッタ)、ならびに縦方向に整合されるが、円周方向にオフセットされる電極対1313および1314の対をそれぞれ含有する、縦方向に隣接するシース1343および1344の第2の対1320(エミッタ)を含む。
【0101】
伝導性シース1341、1342、1343、および1344は、各シースの電極対によって発生された衝撃波が、縦方向に隣接するシースによって発生された衝撃波に建設的に干渉し得るように、密接して離間される(例えば、縦方向に隣接する)エミッタ対1310および1320において配列される。例えば、シース1341の電極対1311によって発生された衝撃波は、シース1342の電極対1312によって発生された衝撃波に建設的に干渉することができる。図9に関して上記に解説されるように、同一のシースのもの等の縦方向に整合され、円周方向にオフセットされる電極対はまた、相互に建設的に干渉することができる。したがって、1つまたはそれを上回る実施例では、シース1341の別個の電極対1311によって発生された衝撃波は、相互に建設的干渉し、第1の組み合わせられた衝撃波気泡を発生させ、シース1342の別個の電極対1312によって発生された衝撃波は、相互に建設的に干渉し、第2の組み合わせられた衝撃波気泡を発生させ、次いで、それらの第1および第2の組み合わせられた衝撃波気泡は、それらの近接する縦方向間隔に基づいて、相互に建設的に干渉し、エミッタ対1310から1つの組み合わせられた衝撃波を形成するであろう。
【0102】
第1のエミッタ対1310に関して、シース1341は、距離dでシース1342から縦方向に分離され、シース1341の電極対1311は、シース1342の電極対1312と円周方向に整合される。同様に、第2のエミッタ対1320では、シース1343は、距離dでシース1344から縦方向に分離され、シース1343の電極対1313は、シース1344の電極対1314と円周方向に整合される。図13Aの電極アセンブリ1300を説明するために使用されるように、dおよびdは、対の縦方向に隣接するシースの間の距離を指定する。これらの距離はまた、それらのシースのエミッタの間の距離、例えば、電極対1311と電極対1312との間の距離および/または電極対1311の火花間隙と電極対1312の火花間隙と(例えば、電圧が各エミッタの電極に印加されると、それを横断して電流がジャンプし、衝撃波を発生させる間隙)の間の距離を説明することができる。シース1341および1342を分離する距離dは、シース1343および1344を分離する距離dに等しい、それを下回る、またはそれを上回り得る。1つまたはそれを上回る実施例では、対のシースの間の距離は、1mm~4mm、またはこれらの値内の距離の増分および勾配にあり得る。1つまたはそれを上回る実施例では、対のシースの間の距離は、3.5mmである。
【0103】
図13Aに示されるように、第1の対1310のエミッタは、第2の対1320のエミッタと円周方向に整合されない(例えば、電極対1311および1312は、電極対1313および1314からのカテーテル上の異なる円周場所に位置する)。各エミッタ対(例えば、1310および1320)から放出される衝撃波の半径方向は、対のエミッタから発生される衝撃波の組み合わせが、カテーテルの円周の周囲に均等に衝撃波を発生させるように選択されることができる。いくつかの実施例では、図13A-Bに示されるように、建設的に干渉する電極対1311および1312を含む、エミッタ対1310は、エミッタ対1320から円周方向にオフセットされる。1つまたはそれを上回る実施例では、エミッタ対1310と1320との間のオフセットは、カテーテルの円周の周囲で、約30度、約60度、約120度、または約180度、またはこれらの値内の度数の増分および勾配にあり得る。1つまたはそれを上回る実施例では、それらの個別の電極(例えば、電極対1311、1312、1313、および1314)を伴うエミッタの各対は、相互と円周方向に整合されることができる。すなわち、エミッタ対1310および1320は、実質的に円周方向に整合され(例えば、ゼロ度円周方向にオフセットされ)、カテーテルに対して特定の半径方向に組み合わせられた衝撃波を生じてもよい。
【0104】
図14は、カテーテルの長さに沿って離間される、縦方向に整合される電極対1404および1408をそれぞれ伴う、2つのエミッタ1402および1406を有する、例示的衝撃波カテーテルの画像を提供する。縦方向に整合される電極対1404および1408は、相互から円周方向にオフセットされるが、同一の縦方向場所に位置する。図14に示される実施例では、第1のエミッタ1402の電極対1404は、第2のエミッタ1406の電極対1408と円周方向に整合される。
【0105】
図15は、縦方向に整合されるが、180度、120度、90度、60度、および0度(すなわち、0度は、1つのみの電極対を伴うエミッタである)相互から円周方向にオフセットされる、電極対(画像内で「エミッタ孔」と称される)を伴うエミッタの複数の対を有する、電極アセンブリを伴う例示的衝撃波カテーテルのアクティブ化からもたらされる、気泡の形成および圧潰の一連の画像を提供し、エミッタ対の電極対は、相互と円周方向に整合され(例えば、縦方向に整合されるが、円周方向にオフセットされる電極対の第1の対を伴う第1のシースの電極対は、縦方向に整合されるが、円周方向にオフセットされる電極対の第2の対を伴う第2のシースの電極対と円周方向に整合される)、相互に密接して位置する(例えば、1mm~4mmの距離で分離される)。より具体的には、画像1580は、180度のオフセットに対応し、画像1520は、120度のオフセットに対応し、画像1590は、90度のオフセットに対応し、画像1560は、60度のオフセットに対応し、画像1501は、0度のオフセットに対応する。
【0106】
画像1580に示されるように、相互から180度オフセットされるときの各電極対によって発生される気泡1502は、相互に干渉しない。故に、相互に対して180度オフセットされるエミッタによって発生される衝撃波の間の建設的干渉は、殆どまたは全く存在しない。比較すると、画像1520、1590、および1560に示されるように、それぞれ、相互から120度、90度、および60度オフセットされるときの各エミッタによって発生される気泡は、1つの組み合わせられた気泡にともに合体し始める。したがって、これらの度数(例えば、120度、90度、60度)のうちのいずれかでオフセットされるとき、組み合わせられた気泡を生成する傾向がある、エミッタによって発生される気泡の間の建設的干渉が、存在する。
【0107】
図16は、縦方向に整合されるが、180度、120度、90度、60度、および0度相互から円周方向にオフセットされる複数の電極対を有する、電極アセンブリを伴う例示的カテーテルのバルーン縁に沿って測定されるエミッタの対からの音響波面の圧力を図示する、グラフを提供し、各エミッタ対の電極対は、相互と円周方向に整合される。図16のグラフに示される圧力値は、下記の表2に集計される。
【表2-1】
【表2-2】
【0108】
図15の画像に示されるように、同一の縦方向場所にあるが、180度未満相互から円周方向にオフセットされるエミッタの対を配置するとき、エミッタによって発生される衝撃波は、相互に建設的に干渉し、組み合わせられた気泡を生成する傾向がある。さらに、図16のグラフおよび表2に示されるように、それらが、縦方向に整合され、円周方向にオフセットされる電極対の別の対に密接して縦方向に隣接するように、縦方向に整合され、円周方向にオフセットされる電極の対を配置すること(円周オフセットは、180度未満である)は、より大きい圧力値をもたらす傾向がある。例えば、全ての電極対(例えば、電極対1601、1602、1603、および1604)の間の中心場所を考慮すると、電極対が、180度オフセットされるとき、ピーク圧力は、約7MPaであり、これは、電極対が120度(約7.7MPa)、90度(約7.9MPa)、および60度(約7.9MPa)オフセットされるときのピーク圧力未満である。また、全ての測定場所において、電極対が120度、90度、および60度オフセットされるときに測定される圧力値は、電極対が180度オフセットされるときに測定される圧力値を超える。故に、図13A-Bの電極アセンブリ等の同一の縦方向場所に位置し、180度未満オフセットされる電極対の対をそれぞれ有する、エミッタの対を伴う電極アセンブリは、180度相互からオフセットされる電極対を伴う電極アセンブリを上回る圧力値を実現することができる。
【0109】
図17は、単一の電極対1722を伴う単一のエミッタを有する、例示的カテーテル電極アセンブリ1700を図示する。電極アセンブリ1700は、ここでは、第2の電極対がプラグ1724を介してプラグ接続されることになっているであろうことを除いて、図9の電極アセンブリ900に類似し、電極アセンブリ1700が、単一の孔の電極対1722(例えば、シース1712内の単一の切り抜き)を含むことを意味する。電極対1722は、伝導性シース1712およびいくつかのワイヤ1730、1732から形成される。示されるように、シース1712は、円形切り抜きを含むが、しかしながら、電極アセンブリ1700は、代替として、弓形切り抜きを含むことができる。電圧が電極アセンブリ1700に印加されると、電流が、伝導性シース1712の切り抜き(第1の電極)と絶縁ワイヤの導電性部分(第2の電極)(例えば、ワイヤ1730の絶縁体除去部分)との間で流動し、衝撃波を発生させる。1つまたはそれを上回る実施例では、第1の絶縁ワイヤ1730は、シース1712の切り抜きに近接して位置し、電極対1722を形成し、第2の絶縁ワイヤ1732は、シース1712に直接接続される(または代替として、伝導性材料で形成されるとき、プラグ1724を介して接続される)。高電圧パルスが、第1の絶縁ワイヤ1730および第2の絶縁ワイヤ1732を横断して印加されると、電流が、共通接地ワイヤ(すなわち、高電圧パルス発生器の群または負チャネルに接続する)として第2の絶縁ワイヤ1732を用いて、矢印によって示されるように流動し得る。1つまたはそれを上回る実施例では、絶縁シース1711が、ワイヤの導電性部分とシース1712の切り抜きとの間に位置付けられ、ワイヤの伝導性部分と伝導性シースとの間の意図せぬ電流流動を防止し、それを通して電流が電極対1722の電極の間で流動し得る、経路を提供することができる。1つまたはそれを上回る実施例では、電極アセンブリ1700は、0度円周方向にオフセットされる電極対の対を含むと見なされることができる。
【0110】
図18は、カテーテルの長さに沿って離間される、単一の電極対をそれぞれ伴う、エミッタ電極アセンブリの対を有する、例示的電極アセンブリ1800の右正面図を図示する。電極アセンブリ1800は、単一の電極対1811および1812をそれぞれ含む、密接して離間される(例えば、縦方向に隣接する)シース1841、1842の対1810を含む。電極アセンブリ1800のシース1841および1842は、いくつかのワイヤによって接続される。示されるように、電極アセンブリ1800の各伝導性シース1841、1842は、絶縁ワイヤ1830、1832、1834の少なくとも一部に近接して位置する。絶縁ワイヤ1830、1832、1834はそれぞれ、伝導性シース上の切り抜き電極対1811、1812の近傍に位置付けられる、導電性部分(図に図示せず)を含む。例えば、第1の絶縁ワイヤ1830は、カテーテルの管(図示せず)に沿って延在し、シース1841の円形切り抜き(例えば、孔)に近接する導電性部分を有し、第1の電極対1811を形成してもよい。第2の絶縁ワイヤ1832は、シース1842まで延在し、シース1842の円形切り抜きに近接する導電性部分を有し、第2の電極対1812を形成してもよい。高電圧パルスが、第1の絶縁ワイヤ1830および第2の絶縁ワイヤ1832を横断して印加されると、電流が、共通接地ワイヤ(すなわち、高電圧パルス発生器の群または負チャネルに接続する)として第2の絶縁ワイヤ1832を用いて、矢印によって示されるように流動し得る。
【0111】
図18に示されるように、シース1841の電極対1811は、シース1842の電極対1812と円周方向に整合され、距離dで電極対1812から分離される。故に、電極対1811および1812は、縦方向に隣接し、円周方向に整合される。図18の電極アセンブリ1800を説明するために使用されるように、dは、エミッタ対の縦方向に隣接するシースの間の距離を指定する。距離dはまた、それらのシースの電極対の間の距離、例えば、電極対1811と電極対1812との間の距離および/または電極対1811の火花間隙と電極対1812の火花間隙と(例えば、電圧が各電極対の電極に印加されると、それを横断して電流がジャンプし、衝撃波を発生させる間隙)の間の距離を説明することができる。1つまたはそれを上回る実施例では、エミッタ対のシースの間の距離は、1mm~4mm、またはこれらの値内の距離の増分および勾配にあり得る。1つまたはそれを上回る実施例では、シース1841と1842との間の距離dは、3.5mmである。
【0112】
図18の密接して離間され(例えば、縦方向に隣接し)、円周方向に整合される電極対1811および1812から放出される衝撃波は、図4A-Cの電極アセンブリ400の密接して離間され、円周方向に整合される電極対と類似する様式において衝撃波を発生させることができる。したがって、1つまたはそれを上回る実施例では、電極対1811と1812との間の十分に近接する距離dは、各電極対において発生された衝撃波を相互に建設的に干渉させ、1つの組み合わせられた衝撃波を形成することができる。
【0113】
図1、2A-B、3A-B、4A-D、5-12、13A-B、および14-18に図示される例示的カテーテルの要素および特徴が、本発明から逸脱することなく、再配列され、再び組み合わせられ、修正され得ることに留意されたい。例えば、図2A-B、3A-B、4A-D、9、13A-B、17、および18は、いくつかの例示的電極アセンブリを図示するが、本開示は、様々な電極構成を有するカテーテルを含むことを意図しており、エミッタおよび電極対の数、設置、および間隔は、本主題の発明から逸脱することなく、修正されることができる。
【0114】
さらに、本明細書の実施例に開示されるエミッタは、典型的には、各エミッタ上に2つの電極対を有する構造を有するが、3つの電極対(例えば、120度相互から円周方向に分離される)、4つの電極対(例えば、90度相互から円周方向に分離される)、5つの電極対(例えば、72度相互から円周方向に分離される)、6つの電極対(例えば、60度相互から円周方向に分離される)等を有するエミッタもまた含むことが、想定される。配線のサイズおよび配列、十分な電力を送達するための能力、電極の浸食プロファイル等に関連する、そのようなエミッタアセンブリの構造に対する物理的限界が、存在し得るが、そのようなエミッタが、製造能力の向上によって開発に成功し得ることが、本開示の範囲内である。
【0115】
さらに、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等の数値指定子は、単に、説明的であり、指定子によって説明される要素または特徴の相対的順序、場所、または識別を示さない。例えば、「第1」の衝撃波は、「第3」の衝撃波の直前であってもよく、これは、次いで、「第2」の衝撃波の前である。別の実施例として、「第3」のエミッタは、「第1」の衝撃波を発生させるために使用されてもよく、逆もまた同様である。故に、種々の要素および特徴の数値指定子は、本開示を限定することを意図しておらず、本主題の発明から逸脱することなく、修正および置換されてもよい。
【0116】
前述が、本発明の原理の例証にすぎず、種々の修正、改変、および組み合わせが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によって行われ得ることを理解されたい。本明細書に開示される種々のカテーテルの変形例のうちのいずれかは、任意の他のカテーテルまたは本明細書のカテーテルの組み合わせによって説明される特徴を含むことができる。さらに、本方法のうちのいずれかは、開示されるカテーテルのうちのいずれかと併用されることができる。故に、本発明が、添付される請求項によるものを除いて、限定されることを意図していない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】