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特表2024-537413複数の立体視カメラを有する撮像装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】複数の立体視カメラを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61F9/007 200C
A61F9/007 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523177
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 IB2022059634
(87)【国際公開番号】W WO2023084334
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/277,369
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ジリアン マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】エリック アスプネス
(57)【要約】
本開示は、標的手術部位の異なる視野角に関連する立体視ビデオデータを表示するための技術及び装置を提供する。例示的な眼科用撮像装置は、患者の眼に関連する標的手術部位の上方の第1の軌道位置に取り付けられた第1のカメラヘッドを含み、第1のカメラヘッドは、標的手術部位の第1の視野角を提供する少なくとも1つの立体視レンズセットを含む。更に、眼科用撮像装置は、標的手術部位の上方の第2の軌道位置に取り付けられた少なくとも第2のカメラヘッドを含み、第2のカメラヘッドは、標的手術部位の第1の視野角と異なる標的手術部位の第2の視野角を提供する少なくとも1つの追加の立体視レンズセットを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用撮像装置であって、
患者の眼に関連する標的手術部位の上方の第1の軌道位置に取り付けられた第1のカメラヘッドであって、前記標的手術部位の第1の視野角を提供する少なくとも1つの立体視レンズセットを含む第1のカメラヘッドと、
前記標的手術部位の上方の第2の軌道位置に取り付けられた少なくとも第2のカメラヘッドであって、前記標的手術部位の前記第1の視野角と異なる前記標的手術部位の第2の視野角を提供する少なくとも1つの他の立体視レンズセットを含む第2のカメラヘッドと
を含む眼科用撮像装置。
【請求項2】
前記第1の視野角は、前記標的手術部位の前面ビューを提供し、及び
前記第2の視野角は、前記標的手術部位の周辺ビューを提供する、請求項1に記載の眼科用撮像装置。
【請求項3】
前記第1のカメラヘッドの前記少なくとも1つの立体視レンズセットは、第1の立体視レンズセット及び第2の立体視レンズセットを含み、
前記第1のカメラヘッドの前記第1の立体視レンズセット及び前記第2の立体視レンズセットは、前記標的手術部位からの光を受け取るように構成され、
前記第1のカメラヘッドは、
前記第1の立体視レンズセットを通過した後の前記光を受け取るように構成された第1の複数の画像センサであって、
前記第1の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第1の左画像データを生成するように構成された第1の左画像センサと、
前記第1の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第1の右画像データを生成するように構成された第1の右画像センサと
を含む第1の複数の画像センサと、
前記第2の立体視レンズセットを通過した後の前記光を受け取るように構成された第2の複数の画像センサであって、
前記第2の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第2の左画像データを生成するように構成された第2の左画像センサと、
第2の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第2の右画像データを生成するように構成された第2の右画像センサと
を含む第2の複数の画像センサと、
前記第1の複数の画像センサ及び前記第2の複数の画像センサに通信可能に結合された第1のプロセッサであって、
前記第1の左画像データ及び前記第1の右画像データを、表示モニタ上に表示するための第1の立体視ビデオデータに変換することと、
前記第2の左画像データ及び第2の右画像データを、前記表示モニタ上に表示するための第2の立体視ビデオデータに変換することと
を行うように構成される第1のプロセッサと
を更に含む、請求項1に記載の眼科用撮像装置。
【請求項4】
前記第2のカメラヘッドの前記少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、第3の立体視レンズセット及び第4の立体視レンズセットを含み、
前記第2のカメラヘッドの前記第3の立体視レンズセット及び前記第4の立体視レンズセットは、前記標的手術部位からの光を受け取るように構成され、及び
前記第2のカメラヘッドは、
前記第3の立体視レンズセットを通過した後の前記光を受け取るように構成された第3の複数の画像センサであって、
前記第3の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第3の左画像データを生成するように構成された第3の左画像センサと、
前記第3の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第3の右画像データを生成するように構成された第3の右画像センサと
を含む第3の複数の画像センサと、
前記第4の立体視レンズセットを通過した後の前記光を受け取るように構成された第4の複数の画像センサであって、
前記第4の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第4の左画像データを生成するように構成された第4の左画像センサと、
第4の立体視レンズセットから受け取られた前記光に基づいて第4の右画像データを生成するように構成された第4の右画像センサと
を含む第4の複数の画像センサと、
前記第3の複数の画像センサ及び前記第4の複数の画像センサに通信可能に結合された第2のプロセッサであって、
前記第3の左画像データ及び前記第3の右画像データを、表示モニタ上に表示するための第3の立体視ビデオデータに変換することと、
前記第4の左画像データ及び第4の右画像データを、前記表示モニタ上に表示するための第4の立体視ビデオデータに変換することと
を行うように構成される第2のプロセッサと
を更に含む、請求項3に記載の眼科用撮像装置。
【請求項5】
前記第1のカメラヘッドの前記第1の立体視レンズセット及び前記第2のカメラヘッドの前記第3の立体視レンズセットは、第1の固定拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された少なくとも第1の固定焦点距離レンズをそれぞれ個別に含む、請求項4に記載の眼科用撮像装置。
【請求項6】
前記第1のカメラヘッドの前記第2の立体視レンズセット及び前記第2のカメラヘッドの前記第4の立体視レンズセットは、前記第1の固定拡大レベルと異なる第2の固定拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された少なくとも第2の固定焦点距離レンズをそれぞれ個別に含む、請求項5に記載の眼科用撮像装置。
【請求項7】
前記第1のプロセッサは、前記表示モニタ上に前記第1の立体視ビデオデータを前記第2の立体視ビデオデータと同時に表示するように更に構成される、請求項4に記載の眼科用撮像装置。
【請求項8】
前記第2のプロセッサは、前記表示モニタ上に前記第3の立体視ビデオデータを前記第4の立体視ビデオデータと同時に表示するように構成される、請求項4に記載の眼科用撮像装置。
【請求項9】
前記第1のプロセッサ及び第2のプロセッサは、前記表示モニタ上に前記第1の立体視ビデオデータ、第2の立体視ビデオデータ、第3の立体視ビデオデータ及び第4の立体視ビデオデータの異なる組み合わせを表示するように構成される、請求項4に記載の眼科用撮像装置。
【請求項10】
前記第1の立体視レンズセットは、それぞれの第1の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第1の左レンズ鏡筒及び第1の右レンズ鏡筒を含み、
前記第1の左レンズ鏡筒及び前記第1の右レンズ鏡筒の各々は、第1の拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された第1の固定焦点距離レンズを含み、
前記第1の左画像センサは、前記第1の左レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成され、及び
前記第1の右画像センサは、前記第1の右レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成され、
前記第2の立体視レンズセットは、それぞれの第2の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第2の左レンズ鏡筒及び第2の右レンズ鏡筒を含み、
前記第2の左レンズ鏡筒及び前記第2の右レンズ鏡筒の各々は、前記第1の拡大レベルと異なる第2の拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された第2の固定焦点距離レンズを含み、
前記第2の左画像センサは、前記第2の左レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成され、及び
前記第2の右画像センサは、前記第2の右レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成される、請求項4に記載の眼科用撮像装置。
【請求項11】
前記第3の立体視レンズセットは、それぞれの第3の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第3の左レンズ鏡筒及び第3の右レンズ鏡筒を含み、
前記第3の左レンズ鏡筒及び前記第3の右レンズ鏡筒の各々は、前記第1の拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された第3の固定焦点距離レンズを含み、
前記第3の左画像センサは、前記第3の左レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成され、
前記第3の右画像センサは、前記第3の右レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成され、
前記第4の立体視レンズセットは、それぞれの第4の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第4の左レンズ鏡筒及び第4の右レンズ鏡筒を含み、
前記第4の左レンズ鏡筒及び前記第4の右レンズ鏡筒の各々は、前記第1の拡大レベルと異なる前記第2の拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された第4の固定焦点距離レンズを含み、
前記第4の左画像センサは、前記第4の左レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成され、及び
前記第4の右画像センサは、前記第4の右レンズ鏡筒からの前記光を受け取るように構成される、請求項10に記載の眼科用撮像装置。
【請求項12】
眼科用撮像装置を使用する、標的手術部位の立体視ビデオデータのための方法であって、
第1のカメラヘッドの少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して、患者の眼に関連する標的手術部位からの光を受け取ることであって、
前記第1のカメラヘッドは、前記標的手術部位の上方の第1の軌道位置に取り付けられ、及び
前記少なくとも1つの立体視レンズセットは、前記標的手術部位の第1の視野角を提供する、受け取ることと、
第2のカメラヘッドの少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して前記標的手術部位からの前記光を受け取ることであって、
前記第2のカメラヘッドは、前記第1の軌道位置と異なる、前記標的手術部位の上方の第2の軌道位置に取り付けられ、及び
前記少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、前記標的手術部位の前記第1の視野角と異なる前記標的手術部位の第2の視野角を提供する、受け取ることと、
前記少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光に基づいて画像データを生成することと、
前記少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光に基づいて追加の画像データを生成することと、
前記画像データを立体視ビデオデータに変換し、且つ前記追加の画像データを追加の立体視ビデオデータに変換することと、
前記立体視ビデオデータ又は前記追加の立体視ビデオデータの少なくとも1つを表示モニタ上に表示することと
を含む方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの立体視レンズセットは、第1の立体視レンズセット及び第2の立体視レンズセットを含み、
前記少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、第3の立体視レンズセット及び第4の立体視レンズセットを含み、
前記少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光に基づいて前記画像データを生成することは、前記第1の立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光及び前記第2の立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光にそれぞれ基づいて、第1の画像データ及び第2の画像データを生成することを含み、
前記少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光に基づいて前記追加の画像データを生成することは、前記第3の立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光及び前記第4の立体視レンズセットを使用して受け取られた前記光にそれぞれ基づいて、第3の画像データ及び第4の画像データを生成することを含み、
前記画像データを立体視ビデオデータに変換し、且つ前記追加の画像データを追加の立体視ビデオデータに変換することは、前記第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換し、前記第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換し、前記第3の画像データを第3の立体視ビデオデータに変換し、且つ前記第4の画像データを第4の立体視ビデオデータに変換することを含み、及び
前記立体視ビデオデータ又は前記追加の立体視ビデオデータの少なくとも1つを表示することは、前記第1の立体視ビデオデータ、前記第2の立体視ビデオデータ、前記第3の立体視ビデオデータ又は前記第4の立体視ビデオデータの少なくとも2つを前記表示モニタ上に表示することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の視野角は、前記標的手術部位の前面ビューを提供し、及び
前記第2の視野角は、前記標的手術部位の周辺ビューを提供する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のカメラヘッドの前記第1の立体視レンズセット及び前記第2のカメラヘッドの前記第3の立体視レンズセットは、第1の固定拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された少なくとも第1の固定焦点距離レンズをそれぞれ個別に含み、及び
前記第1のカメラヘッドの前記第2の立体視レンズセット及び前記第2のカメラヘッドの前記第4の立体視レンズセットは、前記第1の固定拡大レベルと異なる第2の固定拡大レベルに従い、前記受け取られた光を拡大するように構成された少なくとも第2の固定焦点距離レンズをそれぞれ個別に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ユーザからの入力を受信することと、
前記ユーザからの前記入力に基づいて、前記表示モニタ上に前記第1の立体視ビデオデータを表示することから、前記表示モニタ上に前記第3の立体視ビデオデータを表示することに切り替えることと
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
手術は、芸術である。熟連した芸術家は、常人の能力をはるかに超える芸術作品を創り出す。芸術家は、ブラシを用いて絵の具の缶を鳴らして、見る者に強い独特な感情を起こさせる鮮やかなイメージに仕上げる。芸術家は、紙に書かれた普通の言葉を、劇的で畏敬の念を抱かせるパフォーマンスに変える。芸術家は、楽器を握って、そこから美しい音楽を奏でる。同様に、外科医は、一見普通のメス、ピンセット及びプローブを手にして、生命を変える生物学的奇跡をもたらす。
【0002】
芸術家と同じように、外科医も自らの方法及び好みを有する。芸術家志望者は、その手技の基礎を教わる。初心者は、多くの場合、予め決められた方法に従う。経験、自信及び知識を得るにつれて、初心者は、自ら及び個人的な環境を反映した独自の芸術性を発展させる。同様に、医学生は、外科手術の基礎を教わる。医学生は、これらの方法に関して厳しくテストされる。研修医を経て、専門職に進むと、学生は、その手術がどのように行われるのが最善であるかを考えることに基づいて、(依然として医学的な基準の範囲内で)基礎からの派生を発展させる。例えば、同じ医療処置が異なる著名な外科医によって実施されることを考える。イベントの順序、ペース配分、スタッフの配置、ツールの配置及び撮像機器の使用は、外科医の各々の好みに基づいて変動する。切開のサイズ及び形状さえも外科医に特有であり得る。
【0003】
外科医の芸術的な独自性及び達成感は、外科医を、その方法を変化させるか又は変えさせる手術用ツールに対して慎重にさせる。ツールは、外科医の延長であるべきであり、同時に及び/又は調和のとれた同期において操作されるべきである。処置の流れを指図するか又は外科医のリズムを変化させる手術用ツールは、多くの場合、廃棄されるか又は適合するように修正される。
【0004】
一例では、微細手術の視覚化を考えると、特定の外科手術は、人間が肉眼で容易に視覚化するには小さすぎる患者の構造を伴う。このような微細手術の場合、微小構造を適切に見るために拡大が必要となる。外科医は、一般に、自らの眼の自然な延長である視覚化ツールを望む。実際、微細手術の視覚化における初期の労力は、頭部装着光学接眼レンズ(手術用ルーペと呼ばれる)に拡大レンズを装着することを伴った。最初の対は、1876年に開発された。手術用ルーペの大幅な改良バージョン(いくつかは、光学ズーム及び一体化された光源を含む)は、今日でも依然として外科医によって使用されている。図1は、光源102と拡大レンズ104a-bとを有する手術用ルーペ100の対の図を示す。手術用ルーペが150年間も使用され続けているのは、手術用ルーペが文字通り外科医の眼の延長であるという事実に帰することができる。
【0005】
その長寿にもかかわらず、手術用ルーペは、完璧ではない。図1の手術用ルーペ100など、拡大レンズと光源とを有するルーペは、はるかに大きい重量を有する。外科医の顔の前にわずかな重量でもかかると、特に長時間の手術中に不快感及び疲労が増す可能性がある。手術用ルーペ100は、遠隔電源に接続されるケーブル106も含む。このケーブルは、事実上、鎖として機能し、それにより手術遂行中の外科医の移動性を制限する。
【0006】
別の微細手術視覚化ツールは、手術用顕微鏡であり、手術顕微鏡とも呼ばれる。手術用顕微鏡の広範な商業的発展は、手術用ルーペに取って代わることを意図して1950年代に始まった。手術用顕微鏡は、光路、レンズ及び集光要素を含み、手術用ルーペと比較してより大きい拡大を提供する。光学要素の大きいアレイ(その結果としての重量)は、手術用顕微鏡を外科医から切り離さなければならないことを意味した。この切り離しにより、外科医が操作するための空間をより広くしたが、手術用顕微鏡が嵩張るため、患者の上方のかなりの手術スペースを消費させ、それにより手術ステージのサイズを減少させた。
【0007】
図2は、従来技術の手術用顕微鏡200の図を示す。想像できるように、手術エリアにおける手術用顕微鏡のサイズ及び存在により、衝突が発生しやすかった。スコープヘッド201に安定性及び剛性を提供するために、顕微鏡は、比較的大きいブームアーム202及び204又は他の同様の支持構造に接続される。大きいブームアーム202及び204は、追加の手術スペースを消費し、外科医及びスタッフの操作性を低下させる。合計すると、図2に示される手術用顕微鏡200は、350キログラム(「kg」)もの重量であり得る。
【0008】
手術用顕微鏡200を使用して標的手術部位を見るために、外科医は、接眼レンズ206を通して直接見る。外科医の背中へのストレスを低減するために、接眼レンズ206は、一般に、高さを調節するためのブームアーム202を使用して外科医の自然な視線に沿って位置決めされる。しかしながら、外科医は、標的手術部位のみを見て手術を実施するわけではない。接眼レンズ206は、外科医が患者に対する作動距離の腕の長さの範囲内にあるように位置決めされなければならない。そのような正確な位置決めは、特に長時間使用される場合、手術用顕微鏡200が外科医にとって邪魔になるのではなく、むしろ延長になることを確保するために重要である。
【0009】
いかなる複雑な器具でもそうであるように、外科医が手術用顕微鏡を快適に使用するようになるには、数十時間~数百時間かかる。図2に示されるように、手術用顕微鏡200の設計では、外科医から標的手術部位まで実質的に90°の角度の光路を必要とする。例えば、標的手術部位からスコープヘッド201まで完全に垂直な光路が必要である。これは、スコープヘッド201が全ての微細手術処置で患者の真上に位置決めされなければならないことを意味する。加えて、外科医は、接眼レンズ206をほぼ水平に(又は若干下向き角度で)見なければならない。外科医の自然な傾斜は、自らの視線を手術部位の手元に方向付けるためである。一部の外科医は、自らの手の移動をより正確に制御するために、自らの頭部を手術部位により近づけることさえ望む。残念ながら、手術用顕微鏡200は、外科医にこの柔軟性を与えない。代わりに、手術用顕微鏡200は、外科医が手術遂行中に接眼レンズ206上に自らの眼を置き、自らの頭部を腕の長さに保持することを容赦なく指図し、その間、患者の上方の貴重な手術スペースを消費する。スコープヘッド201が外科医の視界を遮るため、外科医は、単に患者を見下ろすことさえできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
更に悪いことに、手術用顕微鏡200に示されるようないくつかの手術用顕微鏡は、共同遂行者(例えば、外科助手、看護師又は他の臨床スタッフ)のための接眼レンズ208の第2の対を含む。接眼レンズ208の第2の対は、通常、接眼レンズ206から直角に位置決めされる。接眼レンズ206と接眼レンズ208との間の近接により、助手は、外科医の近くに立つ(又は座る)必要があり、更に移動を制限する。これは、いくらかのスペースがある状態で遂行することを好む一部の外科医にとって迷惑であり得る。手術用顕微鏡200のような手術用顕微鏡は、その拡大の利点にもかかわらず、外科医の自然な延長ではない。むしろ、手術室において威圧的な存在である。従って、当技術分野では、改良された手術用顕微鏡が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の態様は、眼科用撮像装置を提供する。眼科用撮像装置は、患者の眼に関連する標的手術部位の上方の第1の軌道位置に取り付けられた第1のカメラヘッドを含み、第1のカメラヘッドは、標的手術部位の第1の視野角を提供する少なくとも1つの立体視レンズセットを含む。更に、眼科用撮像装置は、標的手術部位の上方の第2の軌道位置に取り付けられた少なくとも第2のカメラヘッドを含み、第2のカメラヘッドは、標的手術部位の第1の視野角と異なる標的手術部位の第2の視野角を提供する少なくとも1つの追加の立体視レンズセットを含む。
【0012】
本開示の態様は、眼科用撮像装置を使用して、標的手術部位の立体視ビデオデータを表示するためのプロセスを提供する。プロセスは、第1のカメラヘッドの少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して、患者の眼に関連する標的手術部位からの光を受け取ることを含み、第1のカメラヘッドは、標的手術部位の上方の第1の軌道位置に取り付けられ、及び少なくとも1つの立体視レンズセットは、標的手術部位の第1の視野角を提供する。プロセスは、第2のカメラヘッドの少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して標的手術部位からの光を受け取ることを更に含み、第2のカメラヘッドは、第1の軌道位置と異なる、標的手術部位の上方の第2の軌道位置に取り付けられ、及び少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、標的手術部位の第1の視野角と異なる標的手術部位の第2の視野角を提供する。プロセスは、少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて画像データを生成することと、少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて追加の画像データを生成することと、画像データを立体視ビデオデータに変換し、且つ追加の画像データを追加の立体視ビデオデータに変換することと、立体視ビデオデータ又は追加の立体視ビデオデータの少なくとも1つを表示モニタ上に表示することとを更に含む。
【0013】
本開示の上述した特徴及び利点並びに他のあり得る特徴及び利点は、添付の図面と関連して考慮した場合、本開示を実行する最良の形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
本明細書に記載する図面は、単に例示を目的とし、本質的に概略的なものであり、本開示の範囲を限定するものではなく、例示的なものであるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、従来技術の手術用ルーペの対の図を示す。
図2図2は、従来技術の手術用顕微鏡の図を示す。
図3図3は、立体視覚化カメラの斜視図を示す。
図4図4は、例示的な立体視覚化カメラ内の光学要素を示す図を示す。
図5図5は、立体視覚化カメラを含む微細手術環境の図を示す。
図6A図6Aは、各々が異なる固定拡大レベルに関連する、複数の立体視レンズセットを含む撮像装置の異なる図を示す。
図6B-6C】図6B-6Cは、各々が異なる固定拡大レベルに関連する、複数の立体視レンズセットを含む撮像装置の異なる図を示す。
図7図7は、画像データを取得及び処理するための例示的な撮像装置のモジュールの図を示す。
図8図8は、立体視画像データの異なる表示構成を示す。
図9図9は、標的手術部位の異なる立体視ビデオデータを同時に表示するための例示的なプロセスを示す。
図10図10は、各々が標的手術部位の異なる視野角を提供する、複数のカメラヘッドを含む眼科用撮像装置を示す。
図11図11は、標的手術部位の異なる視野角に関連する異なる立体視ビデオデータを表示するための例示的なプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記の概要は、本開示の全てのあり得る実施形態又は全ての態様を表すように意図されない。むしろ、前述の概要は、本明細書に開示される新規の態様及び特徴のいくつかを例示するように意図される。上記の特徴及び利点並びに本開示の他の特徴及び利点は、添付の図面及び添付の特許請求の範囲と関連して考慮した場合、本開示を実行する代表的な実施形態及び形態の以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【0017】
本開示は、概して、撮像装置及びプラットフォームに関する。撮像装置は、場合により、デジタル立体視顕微鏡(「DSM」)と呼ばれ得る。例示的な撮像装置及びプラットフォームは、顕微鏡光学要素及びビデオセンサを、従来技術の(図1の手術用ルーペ100及び図2の手術用顕微鏡200などの)顕微鏡よりも顕著に小型であり、軽量であり、且つ操作性の良い自己完結型のヘッドユニット又はハウジングに一体化するように構成される。例示的なカメラは、手術環境内の1つ以上のテレビモニタ、表示モニタ、プロジェクタ、ホログラフィックデバイス、スマートグラス、バーチャルリアリティデバイス又は他の視覚表示デバイスに対して/それらの上に立体視ビデオデータを送信/表示するように構成される。
【0018】
モニタ又は他の視覚表示デバイスは、患者に対して手術を実施している間、外科医の視線内に容易に入るように手術環境内に位置決めされ得る。この柔軟性により、外科医は、個人的な好み又は習慣に基づいて表示モニタを配置することが可能になる。加えて、本明細書に開示される立体視覚化カメラの柔軟性及びスリムなプロファイルにより、患者の上方で消費されるエリアを減少させる。全体として、立体視覚化カメラ及びモニタ(例えば、立体視覚化プラットフォーム)は、外科医及び外科チームが、上述した手術用顕微鏡200と比較して、移動を指図又は制限されることなく、患者に対して複雑な微細手術処置を実施することを可能にする。例示的な立体視覚化プラットフォームは、それに応じて、外科医の眼の延長として動作し、外科医が、以前の既知の視覚化システムによって誘発されるストレス、制限及び限界に対処することなく、優れた微細手術を実施することを可能にする。
【0019】
本開示の態様は、標的手術部位の異なる視野及び拡大レベルに関連する異なる立体視ビデオデータの表示を可能にするための技術を提供する。例えば、図3に示され、以下に説明する立体視覚化カメラ300などの特定の手術用顕微鏡は、レールに沿って前進及び後退する複数の固定焦点距離レンズを使用して、標的手術部位のこれらの異なる視野及び拡大レベルを達成する。
【0020】
場合により、可動ズームレンズは、重く、高価であり、集光の問題を起こしやすい敏感な光学系を含むことにより、立体視覚化カメラの製造をより困難に且つより高価にする。加えて、ズームレンズを移動させる部品(例えば、モータ、レールなど)は磨耗しやすくて壊れやすいため、高価な修理につながる可能性がある。更に、外科医は、一度に標的手術部位の1つの視野/拡大レベルのみを見ることができる場合があり、視野/拡大レベルを切り替えるために(例えば、ズームレンズが移動するのを待つために)手術を一時停止しなければならない場合があり、これにより手術の遅延を引き起こし、ワークフローを遅くする。
【0021】
従って、本開示の態様は、各々が異なる固定拡大レベルに関連する複数の立体視レンズセットを含む、眼科用撮像装置を提供する。これらの異なる固定拡大レベルの各々は、標的手術部位の異なる視野に関連付けられ得、それらは表示モニタ上で外科医に同時に表示され得る。異なる拡大レベルに関連する複数のレンズセットを提供し、且つ対応する視野を同時に表示することにより、外科医は、拡大レベル/視野を変化させるために手術を一時停止する必要がない。更に、拡大レベルが固定されるため、立体視撮像デバイスは、可動部品を必要とせず、複雑で高価な製造及び修理を回避することができる。
【0022】
本開示の態様は、標的手術部位の視野角に関連する異なる立体視ビデオデータの表示を可能にする技術を提供する。これらの異なる視野角は、網膜手術及び白内障手術などの特定のタイプの手術で特に重要である。従来の技術を使用すると、このような異なる視野角を実現するために、患者の頭部の移動及び強膜陥凹などの技術を伴った。より新しい技術は、標的手術部位の上方の異なる軌道位置に移動できるカメラヘッドを有する手術用顕微鏡の使用を伴う。しかしながら、これらの技術は、外科医のワークフローを遅らせ、その結果、手術時間を長くする。更に、場合により、強膜陥凹などの特定の技術は、患者に更なる外傷を引き起こす可能性がある。加えて、可動カメラヘッドを有する手術用顕微鏡は、製造コストが高く、故障しやすいため、高価な修理及び長いダウンタイムをもたらす。
【0023】
従って、本開示の態様は、標的手術部位の上方の異なる軌道位置に取り付けられた複数のカメラヘッドを含む眼科用撮像装置を提供する。複数のカメラヘッドの各カメラヘッドは、標的手術部位の異なる視野角を提供するように構成され得る。標的手術部位の異なる視野角に関連する複数のカメラヘッドを提供し、且つこれらの異なる視野角に対応する標的手術部位の異なる視野を表示することにより、外科医は、標的手術部位の周辺ビューを得るために患者の頭部を移動させるために手術を一時停止する必要がないか、又は患者の頭部を後ろに移動させる際に位置合わせの問題を修正する必要がない。外科医が強膜陥凹を実施する必要もなく、強膜陥凹に関連する患者に対する追加の外傷の可能性を排除する。更に、標的手術部位の上方の異なる軌道位置に取り付けられた複数のカメラヘッドを提供することにより、これらの特定の手術用顕微鏡の単一のカメラの物理的な移動を容易にする部品の必要性を排除し、製造費用並びにそのような可動部品の複雑で費用のかかる修理を回避する。
【0024】
本明細書における本開示は、一般に、微細手術に言及する。例示的な立体視覚化カメラは、例えば、頭蓋手術、脳手術、神経外科手術、脊椎手術、眼科手術、角膜移植、整形外科手術、耳鼻咽喉科手術、歯科手術、プラスチック及び再建外科手術又は一般外科手術を含む、事実上あらゆる微細手術処置で使用され得る。
【0025】
本開示は、標的手術部位、シーン又は視野にも言及する。本明細書で使用される場合、標的手術部位又は視野は、例示的な立体視覚化カメラによって記録又は他の方法で撮像される物体(又は物体の一部)を含む。一般に、標的手術部位、シーン又は視野は、例示的な立体視覚化カメラの主対物レンズアセンブリから作動距離だけ離れており、例示的な立体視覚化カメラと位置合わせされる。標的手術部位は、患者の生体組織、骨、筋肉、皮膚又はそれらの組み合わせを含み得る。これらの例では、標的手術部位は、患者の解剖学的構造の進展に対応する奥行き成分を有することによって三次元であり得る。目標手術部位は、例示的な立体視覚化カメラの較正又は検証に使用される1つ以上のテンプレートも含み得る。テンプレートは、紙(又はプラスチックシート)上のグラフィックデザインなどの二次元であり得るか、又は特定の領域における患者の解剖学的構造の近似などの三次元であり得る。
【0026】
全体を通して、x方向、y方向、z方向及び傾斜方向についても言及する。z方向は、例示的な立体視覚化カメラから標的手術部位への軸に沿った方向であり、一般に奥行きを意味する。x方向及びy方向は、z方向に入射する平面内にあり、標的手術部位の平面を含む。x方向は、y方向の軸から90°にある軸に沿っている。x方向及び/又はy方向に沿った移動は、面内移動を指し、例示的な立体視覚化カメラの移動、例示的な立体視覚化カメラ内の光学要素の移動及び/又は標的手術部位の移動を指し得る。
【0027】
例示的な立体視覚化カメラ
図3は、立体視覚化カメラ300の斜視図を示す。図3に示されるように、立体視覚化カメラ300は、光学要素、レンズモータ(例えば、アクチュエータ)及び信号処理回路を囲むように構成されたハウジング302を含む。図4は、立体視覚化カメラ300の光学要素の例示的な配置及び位置を示す。場合により、立体視覚化カメラ300の光学要素の配置及び位置決めにより、2つの平行な光路を形成して、左ビュー及び右ビューを生成する。平行な光路は、人間の視覚系に対応し、その結果、立体視ディスプレイ上に表示される左ビュー及び右ビューは、例えば、およそ6度の収束角を形成する距離だけ離れているように見え、これは、約4フィート離れて物体を見ている大人の人間の眼の収束角に匹敵し、それにより立体視をもたらす。いくつかの実施形態では、左ビュー及び右ビューから生成された画像データは、表示モニタ上で一緒に組み合わせられて、標的手術部位又はシーンの立体視画像を生成する。
【0028】
立体視は、平面視と比較して人間の視覚系をはるかにより忠実に模倣する。立体視は、奥行き知覚、距離知覚、相対的なサイズ知覚を提供し、標的手術部位の現実的なビューを外科医に提供する。網膜手術などの処置の場合、手術での移動及び力は非常に小さく、外科医が感じることができないため、立体視は有用である。立体視を提供することにより、脳が奥行きを感じている間にわずかな移動でも感じ取ると、外科医の脳が触知を拡大するのに役立つ。
【0029】
図4は、光学要素を露出させるためにハウジング302が透明である、例示的な立体視覚化カメラ300の側面図を示す。図4に示される光学要素は、左光路の一部であり得、左ビューを生成し得る。(例えば、右ビューを生成する)立体視覚化カメラ300の右光路における光学要素の配置及び位置決めは、一般に、左光路と同一であり得ることが理解されるべきである。
【0030】
例示的な立体視覚化カメラ300は、標的手術部位400の上方の作動距離406で標的手術部位400(シーン又は視野とも呼ばれる)の画像を取得するように構成される。標的手術部位400は、患者上の解剖学的位置を含む。標的手術部位400は、研究室の生物学的サンプル、較正用スライド/テンプレートなども含み得る。標的手術部位400からの画像は、前方作動距離レンズ407と後方作動距離レンズ404とを含む主対物レンズアセンブリ402を介して立体視覚化カメラ300で受信される。
【0031】
標的手術部位400を照明するために、例示的な立体視覚化カメラ300は、近赤外線(「NIR」)光源408b及び近紫外線(「NUV」)光源408cなどの1つ以上の照明光源を含む。他の例では、立体視覚化カメラ300は、追加の又はより少ない(又は全くない)光源を含み得る。例えば、NIR光源及びNUV光源が省略され得る。例示的な光源408は、光を生成するように構成され、この光は、標的手術部位400に投射される。生成された光は、相互作用して標的シーンを反射し、光の一部が、主対物レンズアセンブリ402に反射される。他の例は、外部光源又は環境からの周囲光を含み得る。
【0032】
光源408からの光が主対物レンズアセンブリを通して投射されることにより、作動距離406及び/又は焦点面に基づいて照明された視野を変化させる利点を提供する。光は、主対物レンズアセンブリ402を通過するため、光が投射される角度は、作動距離406に基づいて変化し、角度視野に対応する。この構成により、作動距離又は倍率に関係なく、光源408によって視野が適切に照明されることが確保される。
【0033】
更に、図4に示されるように、立体視覚化カメラ300は、偏向要素412を含む。場合により、偏向要素412は、特定の波長の光をNUV光源408cから主対物レンズアセンブリ402を通して標的手術部位400まで透過させるように構成され得る。偏向要素412は、標的手術部位400から受け取られた光を、ズーム及び記録のための前方レンズセット414を含む下流の光学要素に対して反射するようにも構成され得る。いくつかの実施形態では、偏向要素412は、特定の波長の光が前方レンズセット414に到達するように、主対物レンズアセンブリ402を通して標的手術部位400から受け取られた光をフィルタリングし得る。
【0034】
偏向要素412は、光を特定の方向に反射させるための任意のタイプの鏡又はレンズを含み得る。一例では、偏向要素412は、異なる波長において異なる反射及び伝送特性を有するダイクロイックミラー又はフィルタを含む。図4の立体視覚化カメラ300は、単一の偏向要素412を含み、右及び左の光路の両方に光を提供する。他の例では、立体視覚化カメラ300は、右及び左の光路の各々に対する別個の偏向要素を含み得る。更に、NUV光源408cに対する別個の偏向要素が提供され得る。
【0035】
図4の例示的な立体視覚化カメラ300は、ズーム倍率を提供するために標的手術部位400の焦点距離及び視野角を変化させるための1つ以上のズームレンズを含む。図4に示される例では、ズームレンズは、前方レンズセット414と、ズームレンズアセンブリ416と、レンズ鏡筒セット418とを含む。場合により、ズームレンズは、更なる倍率及び/又は画像解像度を提供するための追加のレンズを含み得る。
【0036】
前方レンズセット414は、右光路用の右前方レンズと、左光路用の左前方レンズとを含む。左及び右の前方レンズは、偏向要素412からの光をズームレンズアセンブリ416内のそれぞれのレンズに方向付けるための正収束レンズをそれぞれ含み得る。左及び右の前方レンズの横方向位置は、それに応じて、ズームレンズアセンブリ416に伝搬される、主対物レンズアセンブリ402及び偏向要素412からのビームを画定する。
【0037】
例示的なズームレンズアセンブリ416は、レンズ鏡筒セット418に伝搬される光ビームのサイズを変更することにより、視野のサイズ(例えば、直線視野)を変化させるための無限焦点ズームシステムを形成する。ズームレンズアセンブリ416は、右前方ズームレンズ及び左前方ズームレンズを有する前方ズームレンズセット424を含む。ズームレンズアセンブリ416は、右後方ズームレンズ及び左後方ズームレンズを有する後方ズームレンズセット430も含む。
【0038】
左及び右の光路の各々に対する画像ビームのサイズは、前方ズームレンズセット424の前方ズームレンズ、後方ズームレンズセット430の後方ズームレンズ及びレンズ鏡筒セット418間の距離に基づいて決定される。一般に、後方ズームレンズセット430内の後方ズームレンズがレンズ鏡筒セット418に向かって(それぞれの光路に沿って)移動するにつれて、光路のサイズは減少し、それにより倍率が低下する。加えて、前方ズームレンズセット424内の前方ズームレンズは、後方ズームレンズセット430内の後方ズームレンズがレンズ鏡筒セット418に向かって移動するにつれて、(放物線弧を描くように)レンズ鏡筒セット418に向かって(又はレンズ鏡筒セット418から離れるように)移動して、標的手術部位400上の焦点面の位置を維持し、それにより焦点を維持することもできる。
【0039】
前方ズームレンズセット424内の前方ズームレンズは、第1のキャリア内に含まれ得る一方、後方ズームレンズセット430内の後方ズームレンズは、第2のキャリア内に含まれる。キャリアの各々は、左及び右の倍率が均一に調整(例えば、増減)され得るように、光路に沿ってトラック(又はレール)上を移動することができる。全体として、前方レンズセット414、ズームレンズアセンブリ416及びレンズ鏡筒セット418は、回折限界解像度を有するズームレベルのような5倍~約20倍などの光学ズームを達成するように構成される。
【0040】
標的手術部位400からの光の後、右及び左の光路の各々における光は、所望の波長の光を選択的に透過させるために、1つ以上の光学フィルタ440(又はフィルタアセンブリ)を通過することができる。右及び左の光路の各々における光は、次いで、光学フィルタ440から受け取られた光を光学画像センサ444上に集光するように構成された最終光学要素セット442を通過することができる。
【0041】
示されるように、図4の立体視覚化カメラ300は、最終光学要素セット442から受け取られた入射光を取得及び/又は記録するように構成され得る、光学画像センサ444を含む。光学画像センサ444は、右光路に沿って伝搬する光を記録し、且つ右光路に関連する右画像データを生成するように構成された右光学画像センサを含む。更に、光学画像センサ444は、左光路に沿って伝搬する光を記録し、且つ左光路に関連する左画像データを生成するように構成された左光学画像センサも含む。右及び左の画像データが作成された後、1つ以上のプロセッサは、左及び右の画像データを同期させて結合して、立体視画像を生成することができる。更に、1つ以上のプロセッサは、複数の立体視画像を、立体視ディスプレイなどの表示モニタ上で立体視覚化カメラ300のユーザに表示するための立体視ビデオデータに変換するように構成され得る。
【0042】
立体視覚化カメラ300の追加の態様は、「STEREOSCOPIC VUALIZATION CAMERA AND PLATFORM」という名称の米国特許第11,058,513号明細書に見出すことができ、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
図5は、微細手術環境500内で使用される立体視覚化カメラ300の図を示す。いくつかの実施形態では、図5の微細手術環境500は、眼科手術処置に使用され得る。示されるように、(特に多自由度アームと共に使用される場合)立体視覚化カメラ300の小さい占有面積及び操縦性により、患者502に対する柔軟な位置決めが可能になる。立体視覚化カメラ300の視野内の患者502の一部には、標的手術部位400が含まれる。外科医504は、(仰臥位で寝ている)患者502の上方に、より十分な手術スペースを残しながら、立体視覚化カメラ300を事実上任意の配向に位置決めすることができる。立体視覚化カメラ300は、それに応じて、外科医504が気を散らすか又は妨げられることなく、生命を左右する微細外科手術を実施することが可能になるように最小限の侵入で済む(又は侵入しない)。
【0044】
図5では、立体視覚化カメラ300は、機械的アーム506(例えば、「ロボットアーム」とも呼ばれる)に接続される。機械的アーム506は、立体視覚化カメラ300の容易な再位置決めを容易にするための、電気機械的ブレーキを有する1つ以上の回転又は伸縮関節を含み得る。立体視覚化カメラ300を移動させるために、外科医504又は助手508は、機械的アーム506の1つ以上の関節のブレーキ解除を作動させる。立体視覚化カメラ300を所望の位置に移動させた後、ブレーキを作動させ、機械的アーム506の関節を所定の位置にロックすることができる。
【0045】
立体視覚化カメラ300の顕著な特徴は、接眼レンズを含まないことである。これは、立体視覚化カメラ300が、外科医504の眼に位置合わせされる必要がないことを意味する。この自由度により、立体視覚化カメラ300は、従来既知の手術用顕微鏡では実用的でなかった又は可能でなかった、所望の位置に位置決めされて配向されることが可能となることを意味する。換言すれば、外科医504は、手術用顕微鏡の接眼レンズによって指図される単に適切な視野に制限されるのではなく、例えば、処置の実施に最適なビューで微細手術を実施することができる。
【0046】
図5に示されるように、立体視覚化カメラ300は、機械的アーム506を介して、表示モニタ512、514を有するカート510(集合的に立体視プラットフォーム516)に接続される。図示される構成では、立体視プラットフォーム516は、自己完結型であり、手術室間を含む微細手術環境500内の任意の所望の場所に移動させることができる。一体化された立体視プラットフォーム516により、表示モニタ512、514を接続することによってシステムを構成する時間を必要とすることなく、オンデマンドで立体視覚化カメラ300を移動して使用することが可能になる。
【0047】
表示モニタ512及び514の各々は、高精細テレビ、超高精細テレビ、スマートアイウェア、プロジェクタ、1つ以上のコンピュータ画面、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ及び/又はスマートフォンを含む任意のタイプのディスプレイを含み得る。表示モニタ512及び514は、立体視覚化カメラ300と同様の柔軟な位置決めを可能にするために、機械的アームに接続され得る。場合により、表示モニタ512及び514の1つ以上は、オペレータが立体視覚化カメラ300にコマンドを送信すること及び/又はディスプレイの設定を調整することを可能にするためのタッチスクリーンを含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、カート510は、コンピュータ520を含み得る。これらの実施形態では、コンピュータ520は、立体視覚化カメラ300に接続されたロボット機械的アームを制御することができる。追加的又は代替的に、コンピュータ520は、表示モニタ512及び514に表示するために、立体視覚化カメラ300からのビデオ(又は立体視ビデオ)信号(例えば、画像又はフレームストリーム)を処理することができる。例えば、コンピュータ520は、標的手術部位の立体視画像を表示するための立体視信号を作成するために、立体視覚化カメラ300からの左及び右のビデオ信号を組み合わせ又はインターリーブすることができる。コンピュータ520は、ビデオ信号及び/又は立体視ビデオ信号をビデオファイル内に記憶(メモリに記憶)し、手術遂行をドキュメント化して再生できるようにすることもできる。更に、コンピュータ520は、立体視覚化カメラ300に制御信号を送信して、設定を選択し、且つ/又は較正を実施することもできる。
【0049】
複数の固定拡大レベルを有する立体視撮像装置に関連する態様
立体視覚化カメラ300などのデジタル立体顕微鏡は、眼科手術を実施する際に特に有用である。通常、立体視覚化カメラ300などの手術用顕微鏡では、複数のズーム又は拡大レベルは、図4に示される立体視覚化カメラ300のズームレンズアセンブリ416の前部及び後部ズームレンズなどの可動ズームレンズ群を有するように手術用顕微鏡を設計することによって達成される。例えば、ズームレンズアセンブリ416内の前方及び後方のズームレンズがレールに沿って前向き及び後向きに移動すると、これらのレンズを通過する標的手術部位400からの光は、異なる距離で集光し、異なるズーム又は拡大レベルもたらす。しかしながら、可動ズームレンズは重く、高価で、集光の問題を起こしやすい敏感な物体を含むことにより、立体視覚化カメラ300の製造をより困難に、且つより高価にする。加えて、ズームレンズを移動させる部品(例えば、モータ、レールなど)は、磨耗しやすくて壊れやすいため、高価な修理につながる可能性がある。
【0050】
更に、可動ズームレンズは、所与の時点で1つのみの拡大レベルを生成することができる。その結果、外科医(例えば、図5の外科医504)に対して、任意の所与の時点で標的手術部位400の視野が1つのみ表示される場合がある。手術中、外科医は、様々なタスクを達成するために異なるズーム/拡大レベル間で変化させるため、これは、問題となり得る。例えば、困難な手術動作を実施しながら標的手術部位の微細な詳細を見る必要がある場合、(例えば、その結果、標的手術部位400の視野が狭くなる)より大きいズーム/より高倍率が使用され得る。対照的に、例えば、器具の挿入/交換中、標的手術部位400の「全体像」視野が必要な場合、より小さいズーム/より低倍率が使用され得る。しかしながら、ズーム/拡大レベルを変化させるため、外科医は、手術中に一時停止し、可動レンズが適切なズーム/拡大レベルに調整されるのを待たなければならず、これにより手術の遅延を引き起こし、ワークフローを遅くする。
【0051】
従って、本開示の態様は、各々が異なる固定拡大レベルに関連する複数の立体視レンズセットを含む、眼科用撮像装置を提供する。これらの異なる固定拡大レベルの各々は、標的手術部位の異なる視野に関連付けられ得、それらは表示モニタ上で外科医に同時に表示され得る。例えば、いくつかの実施形態では、眼科用撮像装置は、標的手術部位の微細な詳細を示す狭い視野など、第1の固定拡大レベル及び第1の視野に関連する第1の立体視レンズセットを含み得る。更に、眼科用撮像装置は、標的手術部位の「全体像」を示す広い視野など、第2の固定拡大レベル及び第2の視野に関連する第2のレンズセットを含み得る。
【0052】
従って、標的手術部位のこれらの異なる視野は、表示モニタ上で外科医に同時に表示され得る。いくつかの実施形態では、これらの異なる視野は、ピクチャインピクチャ(PIP)構成を使用して又はサイドバイサイドで表示され得る。異なる固定拡大レベルに関連する複数のレンズセットを提供し、且つ対応する視野を同時に表示することにより、外科医は、拡大レベル/視野を変化させるために手術を一時停止する必要がない。更に、拡大レベルが固定されるため、立体視撮像装置は、可動部品を必要とせず、複雑で高価な製造及び修理を回避することができる。
【0053】
固定倍率を有する立体視レンズセットは、特定の拡大レベル又は焦点距離に設計されながらも、微細な集光のために設計された拡大レベルに微調整を行うことを可能にする構成要素を含む、立体視レンズセットを指すと理解されるべきである。従って、第1及び第2の立体視レンズセットの各々は、異なる固定拡大レベルに設計されるが、第1及び第2の立体視レンズセットは、微細な集光を可能にするために固定拡大レベルに微調整を行うことを可能にする特定の構成要素をそれぞれ含み得る。
【0054】
図6A図6B及び図6Cは、それぞれ異なる固定拡大レベルに関連する複数の立体視レンズセットを含む撮像装置600の斜視図、左側面図及び右側面図を示す。いくつかの実施形態では、撮像装置600は、微細手術環境500などの微細手術環境で実装され得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、撮像装置600は、微細手術環境500で立体視覚化カメラ300に取って代わるように構成される。
【0055】
図示されるように、撮像装置600は、光学要素及び信号処理回路を囲むように構成されたハウジング601を含む。更に、図示されるように、撮像装置600は、図4に図示される標的手術部位400の一例であり得る標的手術部位603からの光を受け取るように構成された第1の立体視レンズセットを含む。いくつかの実施形態では、標的手術部位603は、患者の眼に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、受け取られた光は、光源610によって生成され得る。例えば、光源610は、標的手術部位603に光を放射するように構成され得る。いくつかの実施形態では、光源610は、図4に図示される光源408A~408Cの1つ以上の一例であり得る。
【0056】
図示されるように、第1の立体視レンズセットは、少なくとも第1の左レンズ鏡筒602A及び第1の右レンズ鏡筒602Bを含み得る。示されるように、第1の左レンズ鏡筒602A及び第1の右レンズ鏡筒602Bは、第1の左光路612A及び第1の右光路612Bなど、それぞれの第1の平行な左及び右の光路を画定する。第1の左レンズ鏡筒602A及び第1の右レンズ鏡筒602Bは、標的手術部位603のわずかに異なる視点からの光を受け取るように構成され、標的手術部位603の立体視を提供する。
【0057】
更に、示されるように、撮像装置600は、光源610によって生成された標的手術部位からの追加の光を受け取るように構成された第2の立体視レンズセットも含む。例えば、第2の立体視レンズセットは、第2の左レンズ鏡筒604A及び第2の右レンズ鏡筒604Bを含み得る。示されるように、第2の左レンズ鏡筒604A及び第2の右レンズ鏡筒604Bは、第2の左光路614A及び第2の右光路614Bなど、それぞれの第2の平行な左及び右の光路を画定する。第1の左レンズ鏡筒602A及び第1の右レンズ鏡筒602Bと同様に、第2の左レンズ鏡筒604A及び第2の右レンズ鏡筒604Bは、わずかに異なる角度で標的手術部位603からの光を受け取るように構成され、標的手術部位603の別の立体視を提供する。
【0058】
更に、いくつかの実施形態では、第1のレンズセットの第1の左レンズ鏡筒602A及び第1の右レンズ鏡筒602Bは、第1の固定拡大レベルに従って標的手術部位603から受け取られた光を拡大するように構成された固定焦点距離レンズの第1のセットを含む。より具体的には、示されるように、第1の左レンズ鏡筒602Aは、第1の左固定焦点距離レンズ606Aを含み、第1の右レンズ鏡筒602Bは、第1の右固定焦点距離レンズ606Bを含む。固定焦点距離レンズ606A及び606Bの各々は、第1の固定拡大レベルに従って標的手術部位603から受け取られた光を拡大するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の固定拡大レベルは、固定焦点距離レンズ606A及び606Bに関連する焦点距離に依存し得、標的手術部位603の第1の視野を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、固定焦点距離レンズ606A及び606Bの第1の固定拡大レベルは、標的手術部位603の微細な詳細を示す狭い視野を提供することができる。固定焦点距離レンズ606A及び606Bが固定拡大レベルに関連付けられるため、撮像装置600は、標的手術部位の狭い視野を達成するために可動部分(例えば、モータ、レールなど)を必要としない場合がある。固定焦点距離レンズ606A及び606Bは、第1の固定拡大レベル又は焦点距離に対して設計されるが、第1の左レンズ鏡筒602A及び第1の右レンズ鏡筒602Bは、微細な集光を可能にするために第1の固定拡大レベルに微調整を行うことを可能にする特定の構成要素をそれぞれ含み得ることが理解されるべきである。
【0059】
更に、いくつかの実施形態では、第2のレンズセットの第2の左レンズ鏡筒604A及び第2の右レンズ鏡筒604Bは、第1の固定拡大レベルと異なる第2の固定拡大レベルに従い、標的手術部位603から受け取られた追加の光を拡大するように構成された固定焦点距離レンズの第2のセットを含む。より具体的には、示されるように、第2の左レンズ鏡筒604Aは、第2の左固定焦点距離レンズ608Aを含み、第2の右レンズ鏡筒604Bは、第2の右固定焦点距離レンズ608Bを含む。固定焦点距離レンズ608A及び608Bの各々は、第2の固定拡大レベルに従って標的手術部位603から受け取られた光を拡大するように構成される。いくつかの実施形態では、第2の固定拡大レベルは、固定焦点距離レンズ608A及び608Bに関連する焦点距離に依存し得、標的手術部位603の第2の視野を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、固定焦点距離レンズ608A及び608Bの第2の固定拡大レベルは、標的手術部位603のより大きい/より広い詳細を示す「全体像」又は広い視野を提供することができる。固定焦点距離レンズ608A及び608Bが固定拡大レベルに関連付けられるため、撮像装置600は、標的手術部位の「全体像」/広い視野を達成するために可動部品(例えば、モータ、レールなど)を必要としない場合がある。固定焦点距離レンズ608A及び608Bは、第2の固定拡大レベルに対して設計されるが、第2の左レンズ鏡筒604A及び第2の右レンズ鏡筒604Bは、微細な集光を可能にするために第2の固定拡大レベルに微調整を行うことを可能にする特定の構成要素をそれぞれ含み得ることが理解されるべきである。
【0060】
更に、撮像装置600は、第1の複数のダイクロイックミラーと、第2の複数のダイクロイックミラーとを含み得る。図6Bに示されるように、第1の複数のダイクロイックミラーは、第1の左レンズ鏡筒602Aに関連する第1の左ダイクロイックミラー616Aを含み得る。更に、図6Cに示されるように、第1の複数のダイクロイックミラーは、第1の右レンズ鏡筒602Bに関連する第1の右ダイクロイックミラー616Bを含み得る。更に、図6Bに示されるように、第2の複数のダイクロイックミラーは、第2の左レンズ鏡筒604Aに関連する第2の左ダイクロイックミラー618Aを含み得る。更に、図6Cに示されるように、第2の複数のダイクロイックミラーは、第2の右レンズ鏡筒604Bに関連する第2の右ダイクロイックミラー618Bを含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の複数のダイクロイックミラーは、第1の左レンズ鏡筒602A及び第1の右レンズ鏡筒602Bから受け取られた光を撮像装置600の第1の複数の画像センサに方向付けるように構成される。例えば、第1の複数の画像センサは、第1の左レンズ鏡筒602Aに関連する第1の左画像センサ620Aと、第1の右レンズ鏡筒602Bに関連する第1の右画像センサ620Bとを含み得る。従って、第1の左ダイクロイックミラー616A及び第1の右ダイクロイックミラー616Bは、第1の平行な左及び右の光路に沿って(例えば、第1の左光路612A及び第1の右光路612Bに沿って)、受け取られた光を第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620Bにそれぞれ方向付けるように構成され得る。
【0062】
更に、第2の複数のダイクロイックミラーは、第2の左レンズ鏡筒604A及び第2の右レンズ鏡筒604Bから受け取られた追加の光を撮像装置600の第2の複数の画像センサに方向付けるように構成される。例えば、第2の複数の画像センサは、第2の左レンズ鏡筒604Aに関連する第2の左画像センサ622Aと、第2の右レンズ鏡筒604Bに関連する第2の右画像センサ622Bとを含み得る。従って、第2の左ダイクロイックミラー618A及び第2の右ダイクロイックミラー618Bは、第2の平行な左及び右の光路に沿って(例えば、第2の左光路614A及び第2の右光路614Bに沿って)、受け取られた追加の光を第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622Bにそれぞれ方向付けるように構成され得る。
【0063】
態様によれば、第1の複数の画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620B)は、第1の立体視レンズセットを通過して、第1の左ダイクロイックミラー616A及び第1の右ダイクロイックミラー616Bによってそれぞれ方向付けられた後の光を受け取るように構成され得る。更に、第1の複数の画像センサの各画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620B)は、第1の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第1の画像データを生成するように構成され得る。例えば、第1の左画像センサ620Aは、第1の左レンズ鏡筒602Aから受け取られた光に基づいて第1の左画像データを生成するように構成され得、第1の右画像センサ620Bは、第1の右レンズ鏡筒602Bから受け取られた光に基づいて第1の右画像データを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の画像データ(例えば、第1の左画像データ及び第1の右画像データ)は、標的手術部位603の微細な詳細を示す上述の狭い視野など、標的手術部位603の第1の視野の画像を提供することができる。
【0064】
同様に、第2の複数の画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622B)は、第2の立体視レンズセットを通過して、第2の左ダイクロイックミラー618A及び第2の右ダイクロイックミラー618Bによってそれぞれ方向付けられた後の追加の光を受け取るように構成され得る。更に、第2の複数の画像センサの各画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622B)は、第2の立体視レンズセットから受け取られた追加の光に基づいて第2の画像データを生成するように構成され得る。例えば、第2の左画像センサ622Aは、第2の左レンズ鏡筒604Aから受け取られた追加の光に基づいて第2の左画像データを生成するように構成され得、第2の右画像センサ622Bは、第2の右レンズ鏡筒604Bから受け取られた追加の光に基づいて第2の右画像データを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の画像データ(例えば、第2の左画像データ及び第2の右画像データ)は、上述の標的手術部位603の「全体像」又は広い視野など、標的手術部位603の第2の視野の画像を提供することができる。
【0065】
以下により詳細に説明するように、対応する左及び右の画像センサからの画像データは、撮像装置600の1つ以上のプロセッサにより、表示モニタ上に表示するための立体視ビデオデータに変換され得る。例えば、図7は、本開示の例示的な実施形態による、画像データを取得及び処理するための例示的な撮像装置600のモジュールの図を示す。モジュールは、特定のハードウェア、コントローラ、プロセッサ、ドライバ及び/又はインターフェースによって実施される動作、方法、アルゴリズム、ルーチン及び/又はステップを例示するものであることが理解されるべきである。他の実施形態では、モジュールは、組み合わせられ、更に分割され、且つ/又は削除され得る。更に、モジュールの1つ以上(又はモジュールの一部)は、遠隔サーバ、コンピュータ及び/又は分散コンピューティング環境など、撮像装置600の外部に提供され得る。
【0066】
図7に示される実施形態では、光学要素702は、第1の左レンズ鏡筒602A、第1の右レンズ鏡筒602B、第2の左レンズ鏡筒604A、第2の右レンズ鏡筒604B、第1の左固定焦点距離レンズ606A、第1の右固定焦点距離レンズ606B、第2の左固定焦点距離レンズ608A、第2の右固定焦点距離レンズ608B、光源610、第1の左ダイクロイックミラー616A、第1の右ダイクロイックミラー616B、第2の左ダイクロイックミラー618A、第2の右ダイクロイックミラー618B、第1の左画像センサ620A、第1の右画像センサ620B、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622Bを含み得る。光学要素702(具体的には左及び右の画像センサ620A、620B、622A及び622B)は、画像キャプチャモジュール704並びにモータ及び照明モジュール706に通信可能に結合される。画像キャプチャモジュール704は、情報処理モジュール708に通信可能に結合され、情報処理モジュール708は、外部に配置されたユーザ入力デバイス710及び1つ以上の表示モニタ712に通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の表示モニタは、図5に示される表示モニタ512及び/又は514の一例であり得る。
【0067】
例示的な画像キャプチャモジュール704は、左及び右の画像センサ620A、620B、622A及び622Bから画像データを受信するように構成される。例えば、画像キャプチャモジュール704は、第1の左画像センサ620Aから第1の左画像データを、第1の右画像センサ620Bから第1の右画像データを、第2の左画像センサ622Aから第2の左画像データを、第2の右画像センサ622Bから第2の右画像データを受信するように構成され得る。画像キャプチャモジュール1404は、画像データをキャプチャするためのフレームレート及び露光時間などの画像記録特性を指定することもできる。
【0068】
例示的な照明モジュール706は、光源610を制御するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、照明モジュール706は、光源610を制御して標的手術部位603に光を放射するための1つ以上のドライバを含み得る。
【0069】
例示的な情報処理モジュール708は、表示のために画像データを処理するように構成される。例えば、情報処理モジュール708は、画像データに色補正を提供し、画像データから欠陥をフィルタリングし、且つ/又は立体視表示のために画像データをレンダリングすることができる。情報処理モジュール708は、光学要素に対して所定の調整を実施するように画像キャプチャモジュール704並びに/又はモータ及び照明モジュール706に指示を提供することにより、撮像装置600を較正するための1つ以上の較正ルーチンを実施することもできる。情報処理モジュール708は、画像位置合わせを改善し、且つ/又はスプリアス視差を低減するために、画像キャプチャモジュール704並びに/又はモータ及び照明モジュール706に対するリアルタイム指示を更に決定及び提供することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、情報処理モジュール708は、第1の複数の画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620B)並びに第2の複数の画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622B)に通信可能に結合される1つ以上のプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、1つ以上の表示モニタ712上に表示するために、第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、第1の左画像センサ620Aによって生成された第1の左画像データと第1の右画像センサ620Bによって生成された第1の右画像データとを、第1の立体視ビデオデータに結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換することは、第1の左画像データ及び第1の右画像データの画素の行をインターリーブすることを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータは、第1の画像データに関して上述したように、標的手術部位603の狭い視野を表し、示し得る。
【0071】
更に、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、1つ以上の表示モニタ712上に表示するために、第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、第2の左画像センサ622Aによって生成された第2の左画像データと第2の右画像センサ622Bによって生成された第2の右画像データとを、第2の立体視ビデオデータに結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換することは、第2の左画像データ及び第2の右画像データの画素の行をインターリーブすることを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の立体視ビデオデータは、第2の画像データに関して上述したように、標的手術部位603の「全体像」又は広い視野を表し、示し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、1つ以上の表示モニタ712上に、一度に第1の立体視ビデオデータ又は第2の立体視ビデオデータの1つのみを表示するように構成され得る。他の実施形態では、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、1つ以上の表示モニタ712上に、第1の立体視ビデオデータを第2の立体視ビデオデータと同時に表示するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、1つ以上の表示モニタ712上に第1の立体視ビデオデータと第2の立体視ビデオデータとをサイドバイサイドで表示することができる。このサイドバイサイド表示の一例を図8Aに示す。例えば、図8Aに示されるように、1つ以上のプロセッサは、(例えば、標的手術部位603の「全体像」又は広い視野に対応する)第1の立体視ビデオデータ802を、(例えば、標的手術部位603の狭い視野に対応する)第2の立体視ビデオデータ804の隣に表示することができる。
【0073】
特定の実施形態では、1つ以上のプロセッサは、ピクチャインピクチャ構成を使用して、1つ以上の表示モニタ712上に第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示することができる。このピクチャインピクチャ構成の一例を図8Bに示す。例えば、図8Bに示されるように、1つ以上のプロセッサは、(例えば、標的手術部位603の「全体像」又は広い視野に対応する)第1の立体視ビデオデータ802を、1つ以上の表示モニタの表示領域全体にわたって表示することができる。更に、1つ以上のプロセッサは、(例えば、標的手術部位603の狭い視野に対応する)第2の立体視ビデオデータ804を、第1の立体視ビデオデータ802内のフレーム内に表示することができる。
【0074】
例示的なユーザ入力デバイス710は、撮像装置600の動作を変更するための指示を提供するコンピュータを含み得る。ユーザ入力デバイス710は、撮像装置600のパラメータ及び/又は機能を選択するための制御装置も含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス710は、撮像装置600のユーザが標的手術部位603の異なる拡大レベル及び視野間で切り替えるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス710は、撮像装置600のユーザが、固定焦点距離レンズ606A及び606Bに関連する第1の固定拡大レベル(例えば、標的手術部位603の狭い視野)と、固定焦点距離レンズ608A及び608Bに関連する第2の固定拡大レベル(例えば、標的手術部位603の「全体像」/広い視野)との間で切り替えることを可能にし得る。
【0075】
撮像装置600の固定焦点距離レンズ606A、606B、608A及び608Bは可動部品を有しないため、標的手術部位603の異なる視野(例えば、第1の立体視ビデオデータにおける狭い視野と第2の立体視ビデオデータにおける広い視野)は、ほぼ瞬時に交換され、1つ以上の表示モニタ712上に表示され得る。更に、いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス710は、撮像装置600のユーザが、図8Aに示されるサイドバイサイド構成及び図8Bに示されるピクチャインピクチャ構成など、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータに関連する異なる表示構成間を切り替えることを可能にするようにも構成され得る。
【0076】
更に、いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス710は、ユーザが異なる拡大レベル及び/又は表示構成を切り替えることを可能にする、撮像装置600上のボタン又はフットペダルを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス710は、情報処理モジュール1408にハードワイヤ接続され得る。追加的又は代替的に、ユーザ入力デバイス710は、情報処理モジュール1408に無線で又は光学的に通信可能に結合される。
【0077】
撮像装置600は、各々が異なる固定拡大レベルに関連する第1の立体視レンズセット及び第2の立体視レンズセットを含むものとして上述したが、撮像装置は、各々が異なる固定拡大レベルに関連する任意の数(例えば、1つ、2つ、3つ又はそれを超える)の立体視レンズセットを含み得ることが理解されるべきである。更に、いくつかの実施形態では、第1の立体視レンズセットは、固定焦点距離レンズを含み、且つ固定拡大レベルに関連付けられる一方、第2の立体視レンズセットは、可動ズームレンズ(例えば、立体視覚化カメラ300のズームレンズアセンブリ416の前方及び後方のズームレンズと同様)を含み、且つ調整可能な拡大レベルに関連付けられ得る。
【0078】
図9は、標的手術部位の異なる立体視ビデオデータを表示するための例示的なプロセス900を示す。いくつかの実施形態では、異なる立体視ビデオデータは、標的手術部位の異なる視野及び拡大レベルに関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、プロセス900は、撮像装置600などの撮像装置又は光学要素702、画像キャプチャモジュール704、照明モジュール706、情報処理モジュール708、ユーザ入力デバイス710及び/若しくは1つ以上の表示モニタ712などの撮像装置600内の1つ以上の構成要素によって実施され得る。
【0079】
プロセス900は、902において、第1の立体視レンズセットを使用して標的手術部位(例えば、標的手術部位603)からの光を受け取ることで開始する。第1の立体視レンズセットは、図6A図6Cの第1の左レンズ鏡筒602A、第1の右レンズ鏡筒602B、第1の左固定焦点距離レンズ606A及び/又は第1の右固定焦点距離レンズ606Bなどの1つ以上の構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、標的手術部位から受け取られた光は、光源(例えば、光源610)から放射された後に標的手術部位から反射された光の一部を指す。いくつかの実施形態では、標的手術部位からの光は、第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620Bなどの第1の複数の画像センサによって受け取られ得る。
【0080】
プロセス900は、904において、第2の立体視レンズセットを使用して標的手術部位からの追加の光を受け取ることで継続する。第2の立体視レンズセットは、第2の左レンズ鏡筒604A、第2の右レンズ鏡筒604B、第2の左固定焦点距離レンズ608A及び/又は第2の右固定焦点距離レンズ608Bなどの1つ以上の構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、標的手術部位からの追加の光は、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622Bなどの第2の複数の画像センサによって受け取られ得る。
【0081】
プロセス900は、906において、第1の立体視レンズセットを使用して受け取られた光及び第1の立体視レンズセットを使用して受け取られた追加の光にそれぞれ基づいて、第1の画像データ及び第2の画像データを生成することで継続する。例えば、いくつかの実施形態では、第1の複数の画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620B)は、第1の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて第1の画像データを生成するために使用され得る。更に、第2の複数の画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622B)は、第2の立体視レンズセットを使用して受け取られた追加の光に基づいて第1の画像データを生成するために使用され得る。
【0082】
プロセス900は、908において、第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換し、第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換することで継続する。いくつかの実施形態では、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換し、第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換することは、第1の左画像センサ620Aによって生成された第1の左画像データの画素の行を、第1の右画像センサ620Bによって生成された第1の右画像データでインターリーブすることを含み得る。同様に、第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換することは、第2の左画像センサ622Aによって生成された第2の左画像データの画素の行を、第2の右画像センサ622Bによって生成された第2の右画像データでインターリーブすることを含み得る。
【0083】
プロセス900は、910において、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを、1つ以上の表示モニタ712などの表示モニタ上に表示することで継続する。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示モニタ上に表示することは、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサによって実施され得る。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示することは、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示モニタ上に同時に表示することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示モニタ上に同時に表示することは、図8Aに示されるように、サイドバイサイド構成を使用して第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示することを含み得る。他の実施形態では、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示モニタ上に同時に表示することは、図8Bに示されるように、ピクチャインピクチャ構成を使用して第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを同時に表示することを含み得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、プロセス900は、ユーザからの入力を受信することと、ユーザからの入力に基づいて、表示モニタ上に第1の立体視ビデオデータを表示することから、表示モニタ上に第2の立体視ビデオデータを表示することに切り替えることとを更に含み得る。
【0085】
複数の立体視カメラを含む撮像装置に関連する態様
特定の眼科手術では、標的手術部位603などの(例えば、患者の眼に関連する)標的手術部位を異なる視野角から見ることができることが重要である。例えば、網膜手術の後、外科医は、眼の周辺部で小さい網膜裂孔及び残存硝子体を探す必要がある。更に、白内障手術では、眼内レンズ(IOL)が眼の被嚢の溝に配置されているかどうかを確認するために、外科医は、眼球の虹彩の縁部の下を見るために異なる視野角が必要をする場合がある。異なる視野角が重要な別のタイプの手術は、低侵襲緑内障手術である。低侵襲緑内障手術では、眼の海綿状網膜(例えば、角膜の基底部周辺に位置する眼の組織領域)を除去する際及び/又は眼内の液体が適切に排出されることを可能にするように角膜の周囲にステントを配置する際、外科医は、異なる視野角を必要とする場合がある。
【0086】
これらの異なる視野角は、従来の技術及び標的手術部位の真上に位置付けられたカメラを含む手術用顕微鏡を使用して達成され得る。例えば、このような異なる視野角を達成する1つの方法は、強膜陥凹として知られる技術である。強膜陥凹では、強膜減圧器の先端を、眼球と眼窩との間に挿入することを伴う。プローブが占めるスペースが網膜を内向きに変位させ、仰角を作成する。この技術により、網膜病変と周囲の網膜組織との間のコントラストが強調され、真上に位置付けられたカメラを関して網膜の周辺部を見ることを可能にする。異なる視野角を達成する別の方法は、患者の頭部をわずかに移動させることである。極端な場合、間接検眼鏡レンズに接続されたヘッドセットを使用して、これらの異なるビューを得ることができる。
【0087】
これらの伝統的な技術は、標的手術部位の異なる視野角を達成することができ得るが、これらの技術は理想的ではなく、特定の欠点を有する。例えば、強膜陥凹は、患者の眼に外傷を引き起こし、回復には時間がかかり、更なる痛みを伴う可能性がある。加えて、強膜陥凹は、外科医のワークフローにおける別のステップであり、手術時間の延長及び効率の低下をもたらす。更に、患者の頭部を移動させることは、患者にとっても危険であり、通常のワークフローを中断する。更に、患者の頭部を戻した後、患者の眼が同じ場所にあることになる保証はなく、再びワークフローを中断し、手術用顕微鏡を移動させなければならない位置合わせの問題を引き起こす。
【0088】
標的手術部位の異なるビューを達成するための新しい技術では、標的へのロック機能を有する軌道カメラを含む手術用顕微鏡を使用することを伴う。例えば、これらのタイプの手術用顕微鏡では、カメラは、標的手術部位の上方に位置付けられ、標的手術部位の異なるビューを得るために、標的手術部位の周囲の異なる軌道位置まで自由に移動することができる。更に、この移動を容易にするために、標的へのロック機能により、新しい軌道位置まで移動する間に、カメラを標的手術部位にロックオンすることを可能にするため、患者を再配置すべき必要がない。しかしながら、これらのタイプの手術用顕微鏡は、高価であり、嵩張るコントローラボックスを有するため、より大きいカートが必要となり、手術室の占有面積も大きくなる。更に、標的手術部位の異なるビューが必要な場合、外科医は、手術用顕微鏡のカメラが新しい位置まで移動するのを依然として待つ必要があり、これにより手術のワークフローを中断し、手術時間が長くなる結果となる。加えて、このタイプの移動を容易にする部品は、高価であり、故障しやすく、複雑で費用のかかる修理並びに長い期間にわたる使用機会の損失につながる。
【0089】
従って、本開示の態様は、標的手術部位の上方の異なる軌道位置に取り付けられた複数のカメラヘッドを含む、眼科用撮像装置を提供する。複数のカメラヘッドの各カメラヘッドは、標的手術部位の異なる視野角を提供するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、眼科用撮像装置は、標的手術部位の上方の第1の軌道位置に配置される第1のカメラヘッドを含み得る。第1の軌道位置は、標的手術部位の真上であり得、第1のカメラヘッドが標的手術部位の第1の視野角を提供することを可能にする。更に、いくつかの実施形態では、眼科用撮像装置は、標的手術部位の上方の追加の軌道位置に配置された少なくとも1つの追加のカメラヘッドを含み得る。いくつかの実施形態では、この追加の軌道位置は、第1の軌道位置に対して横方向に配置され得、追加のカメラが、第1の視野角と異なる標的手術部位の第2の視野角を提供することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、第1の視野角は、標的手術部位の前面ビューを提供する一方、第2の視野角は、標的手術部位の周辺ビューを提供することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、標的手術部位のこれらの異なる視野角は、表示モニタ上で外科医に同時に表示され得る。いくつかの実施形態では、これらの異なる視野は、ピクチャインピクチャ(PIP)構成を使用して又はサイドバイサイドで表示され得る。いくつかの実施形態では、これらの異なる視野角は、表示モニタ上で外科医に個別に又は順次表示され得る。そのような実施形態では、外科医は、ボタンを押下すると、異なる視野角間をほぼ瞬時に切り替えることができ得る。
【0091】
標的手術部位の異なる視野角に関連する複数のカメラヘッドを提供し、且つこれらの異なる視野角に対応する標的手術部位の異なる視野を(例えば、同時に又は個別であるが、ボタンの押下を介して瞬時に切り替え可能に)表示することにより、外科医は、標的手術部位の周辺ビューを得るために患者の頭部を移動させるために手術を一時停止する必要がないか、又は患者の頭部を後ろに移動させる際に位置合わせの問題を修正する必要がない。外科医が強膜陥凹を実施する必要もなく、強膜陥凹に関連する患者に対する追加の外傷の可能性を排除する。
【0092】
更に、これらの異なる視野角は標的手術部位の上方の異なる軌道位置に取り付けられた複数のカメラヘッドによって提供されるため、外科医は、特定の手術用顕微鏡の単一のカメラヘッドが標的にロックオンするのを待ち、標的手術部位の異なるビューを得るために新しい位置に物理的に移動するために、手術を一時停止する必要がない場合がある。更に、標的手術部位の上方の異なる軌道位置に取り付けられた複数のカメラヘッドを提供することにより、これらの特定の手術用顕微鏡の単一のカメラの物理的な移動を容易にする部品の必要性を排除し、製造費用並びにそのような可動部品の複雑で費用のかかる修理を回避する。
【0093】
図10は、各々が標的手術部位603などの標的手術部位の異なる視野角を提供する、複数のカメラヘッドを含む眼科用撮像装置1000の前面ビューを示す。いくつかの実施形態では、眼科用撮像装置1000は、微細手術環境500などの微細手術環境で実施され得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、眼科用撮像装置1000は、微細手術環境500で立体視覚化カメラ300に取って代わるように構成される。
【0094】
いくつかの実施形態では、示されるように、眼科用撮像装置1000は、第1のカメラヘッド1002Aと、第2のカメラヘッド1002Bと、第3のカメラヘッド1002Cとを含む。第1のカメラヘッド1002A、第2のカメラヘッド1002B及び第3のカメラヘッド1002Cの各々は、図6A図6B及び図6Cに示される撮像装置600の一例であり得る。従って、標的手術部位603の異なる視野角を提供することに加えて、第1のカメラヘッド1002A、第2のカメラヘッド1002B及び第3のカメラヘッド1002Cの各々は、(例えば、異なる固定焦点距離レンズを介して)複数の異なる固定拡大レベルを提供することも可能であり得、その結果、上述の狭い視野角及び広い/「全体像」視野角など、標的手術部位603の異なる視野角を提供することができる。図10に示される前面ビューは、図6Aに示される前側を真正面から見た視点からのものである。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1のカメラヘッド1002Aは、少なくとも1つの立体視レンズセットを含み、この立体視レンズセットは、標的手術部位603からの光を受け取り、且つ標的手術部位603の第1の視野角1006Aを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、第2のカメラヘッド1002Bは、少なくとも1つの他の立体視レンズセットを含み、この立体視レンズセットは、標的手術部位603からの光を受け取り、且つ標的手術部位603の第2の視野角1006Bを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの立体視レンズセットは、第1の立体視レンズセット及び第2の立体視レンズセットを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、第3の立体視レンズセット及び第4の立体視レンズセットを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、第1の立体視レンズセットは、それぞれの第1の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第1の左レンズ鏡筒(例えば、第1の左レンズ鏡筒602A)及び第1の右レンズ鏡筒(例えば、第1の右レンズ鏡筒602B)を含む。更に、いくつかの実施形態では、第1の左レンズ鏡筒及び第1の右レンズ鏡筒の各々は、第1の固定拡大レベルに従い、受け取られた光を拡大するように構成された第1の固定焦点距離レンズ(例えば、第1の左固定焦点距離レンズ606A及び第1の右固定焦点距離レンズ606B)を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、第2の立体視レンズセットは、それぞれの第2の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第2の左レンズ鏡筒(例えば、第2の左レンズ鏡筒604A)及び第2の右レンズ鏡筒(例えば、第2の右レンズ鏡筒604B)を含む。更に、いくつかの実施形態では、第2の左レンズ鏡筒及び第2の右レンズ鏡筒の各々は、第1の固定拡大レベルと異なる第2の固定拡大レベルに従い、受け取られた追加の光を拡大するように構成された第2の固定焦点距離レンズ(例えば、第2の左固定焦点距離レンズ608A及び第2の右固定焦点距離レンズ608B)を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1のカメラヘッド1002Aは、第1の立体視レンズセットを通過した後の光を受け取るように構成された第1の複数の画像センサを更に含む。第1の複数の画像センサは、第1の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第1の左画像データを生成するように構成された第1の左画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A)を含む。いくつかの実施形態では、第1の左画像データは、第1の視野角1006Aの視点からの標的手術部位603の画像データを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の左画像センサは、第1の左レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。第1の複数の画像センサは、第1の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第1の右画像データを生成するように構成された第1の右画像センサ(例えば、第1の右画像センサ620B)も含む。いくつかの実施形態では、第1の右画像データは、第1の視野角1006Aの視点からの標的手術部位603の画像データを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の右画像センサは、第1の右レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。
【0099】
更に、第1のカメラヘッド1002Aは、第2の立体視レンズセットを通過した後の光を受け取るように構成された第2の複数の画像センサを含む。第2の複数の画像センサは、第2の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第2の左画像データを生成するように構成された第2の左画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A)を含む。いくつかの実施形態では、第2の左画像センサは、第2の左レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。更に、第2の複数の画像センサは、第2の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第2の右画像データを生成するように構成された第2の右画像センサ(例えば、第2の右画像センサ622B)を含む。いくつかの実施形態では、第2の右画像センサは、第2の右レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。
【0100】
更に、第1のカメラヘッド1002Aは、第1の複数の画像センサ及び第2の複数の画像センサに通信可能に結合された第1のプロセッサ(例えば、情報処理モジュール708)を含む。第1のプロセッサは、第1の左画像データ及び第1の右画像データを、表示モニタ(例えば、表示モニタ712)上に表示するための第1の立体視ビデオデータに変換するように構成される。更に、第1のプロセッサは、第2の左画像データ及び第2の右画像データを、表示モニタ上に表示するための第2の立体視ビデオデータに変換するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータは、第1の視野角1006Aの視点からの標的手術部位603のビデオデータを含み得る。
【0101】
上記のように、いくつかの実施形態では、第2のカメラヘッド1002Bの少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、第3の立体視レンズセット及び第4の立体視レンズセットを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、第3の立体視レンズセットは、それぞれの第3の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第3の左レンズ鏡筒(例えば、第1の左レンズ鏡筒602A)及び第3の右レンズ鏡筒(例えば、第1の右レンズ鏡筒602B)を含む。更に、いくつかの実施形態では、第3の左レンズ鏡筒及び第3の右レンズ鏡筒の各々は、第1の固定拡大レベルに従い、受け取られた光を拡大するように構成された第3の固定焦点距離レンズ(例えば、第1の左固定焦点距離レンズ606A及び第1の右固定焦点距離レンズ606B)を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、第2の立体視レンズセットは、それぞれの第4の平行な左及び右の光路を画定する少なくとも第4の左レンズ鏡筒(例えば、第2の左レンズ鏡筒604A)及び第4の右レンズ鏡筒(例えば、第2の右レンズ鏡筒604B)を含む。更に、いくつかの実施形態では、第4の左レンズ鏡筒及び第2の右レンズ鏡筒の各々は、第1の固定拡大レベルと異なる第2の固定拡大レベルに従い、受け取られた追加の光を拡大するように構成された第4の固定焦点距離レンズ(例えば、第2の左固定焦点距離レンズ608A及び第2の右固定焦点距離レンズ608B)を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、第2のカメラヘッド1002Bは、第3の立体視レンズセットを通過した後の光を受け取るように構成された第3の複数の画像センサを更に含む。第3の複数の画像センサは、第3の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第3の左画像データを生成するように構成された第3の左画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A)を含む。いくつかの実施形態では、第3の左画像データは、第2の視野角1006Bの視点からの標的手術部位603の画像データを含み得る。いくつかの実施形態では、第3の左画像センサは、第3の左レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。第3の複数の画像センサは、第3の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第3の右画像データを生成するように構成された第3の右画像センサ(例えば、第1の右画像センサ620B)も含む。いくつかの実施形態では、第4の左画像データは、第2の視野角1006Bの視点からの標的手術部位603の画像データを含み得る。いくつかの実施形態では、第3の右画像センサは、第3の右レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。
【0105】
更に、第2のカメラヘッド1002Bは、第4の立体視レンズセットを通過した後の光を受け取るように構成された第4の複数の画像センサを含む。第4の複数の画像センサは、第4の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第4の左画像データを生成するように構成された第4の左画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A)を含む。いくつかの実施形態では、第4の左画像センサは、第4の左レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。更に、第4の複数の画像センサは、第4の立体視レンズセットから受け取られた光に基づいて第4の右画像データを生成するように構成された第4の右画像センサ(例えば、第2の右画像センサ622B)を含む。いくつかの実施形態では、第4の右画像センサは、第4の右レンズ鏡筒からの光を受け取るように構成される。
【0106】
更に、第2のカメラヘッド1002Bは、第3の複数の画像センサ及び第4の複数の画像センサに通信可能に結合された第2のプロセッサ(例えば、情報処理モジュール708)を含む。第2のプロセッサは、第3の左画像データ及び第3の右画像データを、表示モニタ(例えば、表示モニタ712)上に表示するための第3の立体視ビデオデータに変換するように構成される。更に、第2のプロセッサは、第4の左画像データ及び第4の右画像データを、表示モニタ上に表示するための第4の立体視ビデオデータに変換するように構成される。いくつかの実施形態では、第3の立体視ビデオデータ及び第4の立体視ビデオデータは、第2の視野角1006Bの視点からの標的手術部位603のビデオデータを含み得る。
【0107】
第3のカメラヘッド1002Cは、第1のカメラヘッド1002A及び第2のカメラヘッド1002Bと同じであり得るため、本明細書では、光学要素(例えば、レンズ鏡筒、固定焦点距離レンズなど)及び信号処理要素(例えば、プロセッサ、画像センサなど)に関する説明は、省略される。更に、第1のカメラヘッド1002A、第2のカメラヘッド1002B及び第3のカメラヘッド1002Cの全ては、図6A図6B及び図6Cに示される撮像装置600の一例であるため、これらのカメラヘッドの光学要素及び信号処理要素に関する更なる詳細は、上記の撮像装置600の説明に見出すことができる。
【0108】
しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のカメラヘッド1002A、第2のカメラヘッド1002B及び第3のカメラヘッド1002Cは、それぞれ異なるタイプのカメラヘッドであり得る一方、依然として、標的手術部位の異なる視野角(例えば、視野角1006A~1006C)を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、第1のカメラヘッド1002Aは、各々が異なる固定拡大レベルに関連する、複数の立体視レンズセット(例えば、第1の立体視レンズセット及び第2の立体視レンズセット)を含む、図6A図6B及び図6Bに示される撮像装置600の一例であり得る。いくつかの実施形態では、第2のカメラヘッド1002Bは、図6A図6B及び図6Bに示される撮像装置600と同様であり得るが、1つの立体視レンズセット(例えば、固定拡大レベルに関連する第1の立体視レンズセット)のみを含む。更に、いくつかの実施形態では、第3のカメラヘッド1002Cは、異なる拡大レベルを達成するために、ズームレンズアセンブリ416内の前方及び後方のズームレンズを移動させることを伴う、図3図4に示される立体視覚化カメラ300の一例であり得る。
【0109】
示されるように、第1のカメラヘッド1002Aは、標的手術部位603の真上の第1の軌道位置1004Aに取り付けられる。第2のカメラヘッド1002Bは、第1のカメラヘッド1002Aの第1の軌道位置1004Aの左側で、標的手術部位603の上方の第2の軌道位置1004Bに横方向に取り付けられる。更に、第3のカメラヘッド1002Cは、第1のカメラヘッド1002Aの第1の軌道位置1004Aの右側で、標的手術部位603の上方の第3の軌道位置1004Cに横方向に取り付けられる。
【0110】
示されるように、第1のカメラヘッド1002Aの第1の軌道位置1004Aは、標的手術部位603の第1の視野角1006Aを提供する。第2のカメラヘッド1002Bの第2の軌道位置1004Bは、第1の視野角1006Aと異なる標的手術部位603の第2の視野角1006Bを提供する。更に、第3のカメラヘッド1002Cの第3の軌道位置1004Cは、第1の視野角1006A及び第2の視野角1006Bと異なる標的手術部位603の第3の視野角1006Cを提供する。
【0111】
第1のカメラヘッド1002Aに関連する第1の視野角は、標的手術部位の前面ビューを提供し、第2のカメラヘッド1002Bに関連する第2の視野角は、標的手術部位603の第1の周辺ビューを提供する。同様に、第3のカメラヘッド1002Cに関連する第3の視野角は、標的手術部位603の第2の周辺ビューを提供する。従って、複数のカメラヘッド(例えば、第1のカメラヘッド1002A、第2のカメラヘッド1002B及び第3のカメラヘッド1002C)を含むことにより、眼科用撮像装置1000は、標的手術部位603の異なるビューを提供することができ、これは、特定のタイプの眼科処置中に特に有用である。
【0112】
例えば、上記のように、網膜手術中、外科医は、患者の眼の周辺部で小さい網膜裂孔及び残存硝子体を探す必要がある。これを達成する1つの方法は強膜陥凹であり、これは、強膜減圧器の先端を眼球と眼窩との間に挿入し、網膜を内向きに変位させ、眼の周辺部を見ることができるように隆起を作成することを伴う。上記のように、強膜陥凹は、理想的ではなく、患者に対して更なる外傷を引き起こす可能性がある。
【0113】
眼科用撮像装置1000は、強膜陥凹の必要性を回避するのに役立つ。例えば、網膜手術中、外科医は、第1のカメラヘッド1002Aの第1の視野角を介して患者の眼の前面ビューを見ることができるだけでなく、小さい網膜裂孔又は残存硝子体が存在するかどうかを判定するために、第2のカメラヘッド100BA及び/又は第3のカメラヘッド1002Cによって提供される異なる視野角間で切り替えて患者の眼の周辺ビューも見ることができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、上述のように、標的手術部位603の異なる拡大レベル及び視野間で表示及び切り替えができることに加えて、眼科用撮像装置1000は、外科医が、標的手術部位603の異なる視野角に関連するビデオデータ間で表示及び切り替えできることを可能にし得る。第1のカメラヘッド1002A、第2のカメラヘッド1002B及び第3のカメラヘッド1002Cは、撮像装置600の一例であるため、異なる視野角に関連するビデオデータ間の表示及び切り替えに関する以下の説明は、画像データを取得及び処理するための撮像装置600の異なるモジュールを示す図7に関連して行われることになる。
【0115】
例えば、いくつかの実施形態では、図7に示される情報処理モジュールの1つ以上のプロセッサは、第1の視野角1006Aに関連する立体視ビデオデータ(例えば、第1の立体視ビデオデータ及び/又は第2の立体視ビデオデータ)のみを、1つ以上の表示モニタ712上に表示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、図7に示される情報処理モジュール708は、第2の視野角1006Bに関連する立体視ビデオデータ(例えば、第3の立体視ビデオデータ及び/又は第4の立体視ビデオデータ)のみを、1つ以上の表示モニタ712上に表示するように構成され得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、第1の視野角1006Aに関連する立体視ビデオデータ(例えば、第1の立体視ビデオデータ及び/又は第2の立体視ビデオデータ)を、第2の視野角1006Bに関連する立体視ビデオデータ(例えば、第3の立体視ビデオデータ及び/又は第4の立体視ビデオデータ)と同時に、1つ以上の表示モニタ712上に表示するように構成され得る。例えば、場合により、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、第1の視野角1006Aに関連する第1の立体視ビデオデータを、第2の視野角1006Bに関連する第3の立体視ビデオデータと同時に表示することができる。一般に、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、第1の立体視ビデオデータ、第2の立体視ビデオデータ、第3の立体視ビデオデータ及び第4の立体視ビデオデータの異なる組み合わせを1つ以上の表示モニタ712上に表示するように構成され得る。場合により、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサは、(例えば、図8Aに示されるものと同様の)サイドバイサイド構成又は(例えば、図8Bに示されるものと同様の)ピクチャインピクチャ構成を使用して、これらの異なる視野角に関連する立体視ビデオデータを表示することができる。
【0117】
図11は、標的手術部位の立体視ビデオデータを表示するための例示的なプロセス1100を示す。いくつかの実施形態では、異なる立体視ビデオデータは、標的手術部位の異なる視野角に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、プロセス1100は、複数のカメラヘッド(例えば、第1のカメラヘッド1002A、第2のカメラヘッド1002B又は第3のカメラヘッド1002Cの2つ以上)を含む、図10に示される眼科用撮像装置1000などの撮像装置によって実施され得る。場合により、プロセス1100は、光学要素702、画像キャプチャモジュール704、照明モジュール706、情報処理モジュール708、ユーザ入力デバイス710及び/又は図7に示される1つ以上の表示モニタ712など、これらのカメラヘッドのいずれかの1つ以上の構成要素によって実施され得る。
【0118】
プロセス1100は、1102において、第1のカメラヘッド(例えば、第1のカメラヘッド1002A)の少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して、患者の眼に関連する標的手術部位(例えば、標的手術部位603)からの光を受け取ることで開始する。いくつかの実施形態では、第1のカメラヘッドは、標的手術部位の上方の第1の軌道位置(例えば、第1の軌道位置1004A)に取り付けられる。更に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの立体視レンズセットは、標的手術部位の第1の視野角(例えば、第1の視野角1006A)を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの立体視レンズセットは、第1の立体視レンズセット及び第2の立体視レンズセットを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、第1の立体視レンズセットは、図6A図6Cの第1の左レンズ鏡筒602A、第1の右レンズ鏡筒602B、第1の左固定焦点距離レンズ606A及び/又は第1の右固定焦点距離レンズ606Bなどの1つ以上の構成要素を含み得る。更に、いくつかの実施形態では、第2の立体視レンズセットは、第2の左レンズ鏡筒604A、第2の右レンズ鏡筒604B、第2の左固定焦点距離レンズ608A及び/又は第2の右固定焦点距離レンズ608Bなどの1つ以上の構成要素を含み得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、標的手術部位から受け取られた光は、光源(例えば、光源610)から放射された後に標的手術部位から反射された光の一部を指す。いくつかの実施形態では、標的手術部位からの光は、第1の左画像センサ620A、第1の右画像センサ620B、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622Bなどの第1の複数の画像センサ及び第2の複数の画像センサによって受け取られ得る。
【0121】
プロセスは、1104において、第2のカメラヘッド(例えば、第2のカメラヘッド1002B)の少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して標的手術部位からの光を受け取ることで継続する。いくつかの実施形態では、第2のカメラヘッドは、第1の軌道位置と異なる、標的手術部位の上方の第2の軌道位置(例えば、第2の軌道位置1004B)に取り付けられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、標的手術部位の第1の視野角と異なる標的手術部位の第2の視野角(例えば、第2の視野角1006B)を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の立体視レンズセットは、第3の立体視レンズセット及び第4の立体視レンズセットを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、第3の立体視レンズセットは、図6A図6Cの第1の左レンズ鏡筒602A、第1の右レンズ鏡筒602B、第1の左固定焦点距離レンズ606A及び/又は第1の右固定焦点距離レンズ606Bなどの1つ以上の構成要素を含み得る。更に、いくつかの実施形態では、第4の立体視レンズセットは、第2の左レンズ鏡筒604A、第2の右レンズ鏡筒604B、第2の左固定焦点距離レンズ608A及び/又は第2の右固定焦点距離レンズ608Bなどの1つ以上の構成要素を含み得る。
【0123】
プロセス1100は、1106において、少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて画像データを生成することで継続する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて画像データを生成することは、第1の立体視レンズセットを使用して受け取られた光及び第2の立体視レンズセットを使用して受け取られた光にそれぞれ基づいて、第1の画像データ及び第2の画像データを生成することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の複数の画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620B)は、第1の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて第1の左画像データ及び第1の右画像データを生成することによって第1の画像データを生成するために使用され得る。更に、第2の複数の画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622B)は、第2の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて第2の左画像データ及び第2の左画像データを生成することによって第2の画像データを生成するために使用され得る。
【0124】
プロセス1100は、1108において、少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて追加の画像データを生成することで継続する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて追加の画像データを生成することは、第3の立体視レンズセットを使用して受け取られた光及び第4の立体視レンズセットを使用して受け取られた光にそれぞれ基づいて、第3の画像データ及び第4の画像データを生成することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第3の複数の画像センサ(例えば、第1の左画像センサ620A及び第1の右画像センサ620B)は、第3の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて第3の左画像データ及び第3の右画像データを生成することによって第3の画像データを生成するために使用され得る。更に、第4の複数の画像センサ(例えば、第2の左画像センサ622A及び第2の右画像センサ622B)は、第4の立体視レンズセットを使用して受け取られた光に基づいて第4の左画像データ及び第4の左画像データを生成することによって第4の画像データを生成するために使用され得る。
【0125】
プロセス1100は、1110において、画像データを立体視ビデオデータに変換し、且つ追加の画像データを追加の立体視ビデオデータに変換することで継続する。例えば、いくつかの実施形態では、画像データを立体視ビデオデータに変換し、且つ追加の画像データを追加の立体視ビデオデータに変換することは、第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換し、第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換し、第3の画像データを第3の立体視ビデオデータに変換し、且つ第4の画像データを第4の立体視ビデオデータに変換することを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、第1の画像データを第1の立体視ビデオデータに変換することは、第1の左画像センサによって生成された第1の左画像データの画素の行を、第1の右画像センサによって生成された第1の右画像データでインターリーブすることを含み得る。同様に、第2の画像データを第2の立体視ビデオデータに変換することは、第2の左画像センサによって生成された第2の左画像データの画素の行を、第2の右画像センサによって生成された第2の右画像データでインターリーブすることを伴い得る。更に、第3の画像データを第3の立体視ビデオデータに変換することは、第3の左画像センサによって生成された第3の左画像データの画素の行を、第3の右画像センサによって生成された第3の右画像データでインターリーブすることを伴い得る。同様に、第4の画像データを第4の立体視ビデオデータに変換することは、第4の左画像センサによって生成された第4の左画像データの画素の行を、第4の右画像センサによって生成された第4の右画像データでインターリーブすることを伴い得る。
【0127】
プロセス1100は、1112において、立体視ビデオデータ又は追加の立体視ビデオデータの少なくとも1つを1つ以上の表示モニタ712などの表示モニタ上に表示することで継続する。いくつかの実施形態では、立体視ビデオデータ又は追加の立体視ビデオデータの少なくとも1つを表示することは、第1の立体視ビデオデータ、第2の立体視ビデオデータ、第3の立体視ビデオデータ又は第4の立体視ビデオデータの少なくとも2つを表示モニタ上に表示することを含む。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータ、第2の立体視ビデオデータ、第3の立体視ビデオデータ又は第4の立体視ビデオデータの少なくとも2つを表示モニタ上に表示することは、情報処理モジュール708の1つ以上のプロセッサによって実施され得る。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータ、第2の立体視ビデオデータ、第3の立体視ビデオデータ又は第4の立体視ビデオデータの少なくとも2つを表示することは、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示モニタ上に同時に表示することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示モニタ上に同時に表示することは、サイドバイサイド構成を使用して又はピクチャインピクチャ構成を使用して、第1の立体視ビデオデータ及び第2の立体視ビデオデータを表示することを含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、プロセス1100は、ユーザからの入力を受信することと、ユーザからの入力に基づいて、表示モニタ上に第1の視野角に関連する第1の立体視ビデオデータを表示することから、表示モニタ上に第2の視野角に関連する第3の立体視ビデオデータを表示することに切り替えることとを更に含み得る。
【0129】
追加的な考察
本明細書で使用される場合、項目のリスト「の少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c及びa-b-c並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c並びにc-c-c又はa、b及びcの他の任意の順序)を網羅することが意図される。
【0130】
上記の説明は、当業者が、本明細書に記述する様々な実施形態を実施できるようにするために与えられている。これらの実施形態に対する様々な変更形態は、当業者に直ちに明らかになり、本明細書で定義する一般的な原理を他の実施形態に適用することができる。従って、請求項は、本明細書に示す実施形態への限定を意図されず、請求項の文言と整合する全範囲を対象とする。
【0131】
請求項内で要素を単数形で言及していても、特に明記しない限り、「1つ且つ唯一」ではなく、「1つ以上」を意味することを意図する。別途明記しない限り、用語「いくつか」は、1つ以上を指す。本開示を通して記述された、当業者に公知であるか又は後に公知になる様々な態様の要素の全ての構造的及び機能的均等物が引用により本明細書に明示的に組み込まれ、請求項に含まれることを意図する。更に、本明細書に開示するいかなるものも、そのような開示が請求項内で明示的に記載されているか否かを問わず、公開することを意図しない。請求項のいかなる要素も、要素が語句「~のための手段」を用いて明示的に記載されない限り又は方法クレームの場合、要素は、語句「~のためのステップ」を用いて記載されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されない。本明細書では、用語「例示的」は、「例、実例又は図示の役割を果たす」意味で使用される。本明細書で「例示的」と記述されるいかなる態様も、必ずしも他の態様よりも好適又は有利であると解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B-6C】
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
【国際調査報告】