(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ハンズフリーの試料挿入装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01N1/00 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523399
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 US2022078188
(87)【国際公開番号】W WO2023069885
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ガラノ
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AA30
2G052AA32
2G052AD06
2G052CA12
2G052JA22
(57)【要約】
試料がハンズフリー方式で診断分析器に挿入されることを可能にする試料挿入装置。試料挿入装置は、挿入部材を有する試料容器に連結するように構成されたカプラを有する挿入ヘッドと、アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと、挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するように試料容器を試料プローブの方に動かすように構成された、後退アセンブリとを含む。診断分析器への試料のハンズフリー挿入のための試料挿入および動作方法、ならびに他の態様が記載されている。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料挿入装置であって:
挿入部材を有する試料容器に連結するように構成されたカプラを有する挿入ヘッドと;
アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと;
挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するように試料容器を試料プローブの方に動かすように構成された、後退アセンブリと、
を含む、前記試料挿入装置。
【請求項2】
試料容器はシリンジである、請求項1に記載の試料挿入装置。
【請求項3】
挿入部材は、シリンジの貫通可能膜を含む、請求項2に記載の試料挿入装置。
【請求項4】
後退アセンブリは:
案内アセンブリと、
駆動アセンブリと、
を含む、請求項1に記載の試料挿入装置。
【請求項5】
案内アセンブリは:
試料挿入装置の本体に結合可能な案内部材と;
案内部材内で可動の1つまたはそれ以上の案内ロッドを含む案内ロッドアセンブリと;
1つまたはそれ以上の案内ロッドに取り付けられた挿入ヘッド受け部であって、挿入ヘッドは該挿入ヘッド受け部に結合される、挿入ヘッド受け部と;
1つまたはそれ以上の案内ロッドに固定された駆動ブラケットと、
を含む、請求項4に記載の試料挿入装置。
【請求項6】
駆動ブラケットはリードナットを含む、請求項5に記載の試料挿入装置。
【請求項7】
挿入ヘッドは、1つまたはそれ以上の案内ロッドの作用線からオフセットされて位置する、請求項5に記載の試料挿入装置。
【請求項8】
駆動アセンブリは:
試料挿入装置の本体に結合可能な取付けブラケットと;
該取付けブラケットに結合された駆動モータと;
親ねじと;
駆動モータおよび親ねじに結合された伝動アセンブリと、
を含む、請求項4に記載の試料挿入装置。
【請求項9】
親ねじは、駆動ブラケットに結合されたリードナットと係合する、請求項8に記載の試料挿入装置。
【請求項10】
伝動アセンブリは、駆動モータに結合された第1のプーリと、親ねじに結合された第2のプーリと、該第1のプーリおよび該第2のプーリを係合させるベルトとを含む、請求項8に記載の試料挿入装置。
【請求項11】
試料挿入装置であって:
本体と;
シリンジの結合端に連結するように構成されたカプラを有する可動挿入ヘッドであって、シリンジは挿入部材を有する、可動挿入ヘッドと;
アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと;
可動挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するようにシリンジを試料プローブの方に動かすように構成された、後退アセンブリと、
を含み、該後退アセンブリは:
案内アセンブリであって:
試料挿入装置の本体に結合可能な案内部材、
案内部材内で可動の1つまたはそれ以上の案内ロッドを含む案内ロッドアセンブリ、
1つまたはそれ以上の案内ロッドに取り付けられ、可動挿入ヘッドが挿入ヘッド受け部に結合された、挿入ヘッド受け部、および
1つまたはそれ以上の案内ロッドに固定された駆動ブラケット
を含む、案内アセンブリと;
駆動アセンブリであって:
試料挿入装置の本体に結合可能な取付けブラケット、
該取付けブラケットに結合された駆動モータ、
親ねじ、ならびに
該駆動モータおよび該親ねじに結合された伝動アセンブリ
を含む、駆動アセンブリと、
を含む、前記試料挿入装置。
【請求項12】
試料挿入方法であって:
伸長位置において試料挿入装置の挿入ヘッドを設けることと;
試料プローブを含むアームを挿入ヘッドに近接して設けることと;
挿入部材を含む試料容器を挿入ヘッドに結合することと;
案内アセンブリおよび駆動アセンブリを用いて、伸長位置からアームおよび試料プローブに向けて挿入ヘッドを後退させ、試料プローブにわたる試料容器の挿入部材の挿入を引き起こすことと、
を含む、前記試料挿入方法。
【請求項13】
試料容器を挿入ヘッドに結合することは、挿入ヘッド受け部への挿入ヘッドの第1の結合を含む、請求項12に記載の試料挿入方法。
【請求項14】
案内アセンブリは、伸長位置からの後退を受けるとき、挿入ヘッドを直線経路で案内する、請求項12に記載の試料挿入方法。
【請求項15】
伸長位置から後退させることは、駆動アセンブリを用いて案内アセンブリの駆動ブラケットを駆動することを含む、請求項12に記載の試料挿入方法。
【請求項16】
駆動ブラケットを駆動することは、駆動モータに結合された伝動アセンブリを駆動することを含み、これにより次に、駆動ブラケットに取り付けられたリードナットに結合された親ねじの回転を引き起こす、請求項15に記載の試料挿入方法。
【請求項17】
試料容器の挿入部材への試料プローブの挿入に続いて、試料を引き込むことを含む、請求項12に記載の試料挿入方法。
【請求項18】
試料の引込みの後、挿入ヘッドを伸長位置に戻すことを含む、請求項17に記載の試料挿入方法。
【請求項19】
伸長位置からの後退中、試料プローブは静止している、請求項12に記載の試料挿入方法。
【請求項20】
挿入ヘッドへの試料容器の結合は、挿入ヘッドへのシリンジの結合を含み、挿入部材は、ポートまたは貫通可能膜を含む、請求項12に記載の試料挿入方法。
【請求項21】
診断分析器を動作させる方法であって:
装置ハウジングを有する診断分析器を設けることであって、該診断分析器は試料挿入装置を含むことと;
試料の容積を含む試料容器を設けることと;
試料容器を試料挿入装置に結合することであって、結合により、試料容器は、装置ハウジングの実質的に外部に位置することと;
試料容器の少なくとも一部分を装置ハウジング内にハンズフリーで後退させ、試料プローブを試料容器に挿入することと、
を含み、ここで、試料プローブは、常に全体が装置ハウジング内に含まれる、前記方法。
【請求項22】
試料挿入装置の挿入ヘッドは、少なくとも部分的に装置ハウジングの外部に位置する、請求項21に記載の診断分析器を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月19日に出願された米国特許仮出願第63/257、371号の、米国特許法第119条(e)の下での利益を主張する。上記で参照した特許出願の内容全体が参照によって本明細書に明示的に組み入れられる。
【0002】
本開示は、診断分析器への試料の挿入を提供する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
医療診断において、生体材料またはその構成成分を含む試料が、診断器具またはデバイス(以後、「診断分析器」)の内側境界内に挿入される。そのような診断分析器は、限定ではないが、分子検査を行うように適用された免疫測定具、血液学分析器、および化学成分について試料を分析する化学分析器を含む。試料は、全血、血漿もしくは血清、胸膜液、尿、組織液、髄液等、または同定、特性評価および/または測定される関心対象のタンパク質、検体もしくは成分を抽出するために以前に処理された場合がある生体試料等の生体材料のまたはこれを含む未加工試料とすることができる。
【0004】
いくつかの例において、試料は、本体と、試料を含むチャンバとを有するシリンジに含まれるような診断装置に供給され、試料は分析のために診断装置に移送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料を診断装置に移送するための既存のシステムは、伸縮式シースを有するアームを含む。シリンジは、伸縮式シースと係合し、シースおよびシリンジは、プローブ(例えば、針状試料プローブ)をシリンジの本体に挿入するために技術者によって物理的に動かされる。挿入されると、診断装置への試料の移送を行うことができる。しかしながら、いくつかの例において、シリンジの本体は、シースと位置合わせ不良であるか、または他の形で適切にシースに取り付けられていない場合があり、この結果、不適切なプローブ挿入が生じ、技術者の手が鋭い針状の試料プローブと接触することにより技術者が負傷するという安全性の問題が生み出される可能性がある。このため、診断装置内への試料の改善された供給を可能にする試料挿入装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態において、試料挿入装置が提供される。試料挿入装置は、挿入部材を有する試料容器に連結するように構成されたカプラを有する挿入ヘッドと、アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと、挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するように試料容器を前記試料プローブの方に動かすように構成された、後退アセンブリとを含む。
【0007】
別の実施形態において、試料挿入装置が提供される。試料挿入装置は、本体と;シリンジの結合端に連結するように構成されたカプラを有する可動挿入ヘッドであって、シリンジは挿入部材を有する、可動挿入ヘッドと;アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと;可動挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するようにシリンジを前記試料プローブの方に動かすように構成される、後退アセンブリとを含み、後退アセンブリは:試料挿入装置の本体に結合可能な案内部材、案内部材内で可動の1つまたはそれ以上の案内ロッドを含む案内ロッドアセンブリ、1つまたはそれ以上の案内ロッドに取り付けられ、可動挿入ヘッドが挿入ヘッド受け部に結合された、挿入ヘッド受け部、および1つまたはそれ以上の案内ロッドに固定された駆動ブラケットを含む案内アセンブリと;試料挿入装置の本体に結合可能な取付けブラケット、取付けブラケットに結合された駆動モータ、親ねじ、ならびに駆動モータおよび親ねじに結合された伝動アセンブリを含む駆動アセンブリと、を含む。
【0008】
更に別の実施形態において、試料挿入方法が提供される。試料挿入方法は、伸長位置において試料挿入装置の挿入ヘッドを設けることと、試料プローブを含むアームを挿入ヘッドに近接して設けることと、挿入部材を含む試料容器を挿入ヘッドに結合することと、案内アセンブリおよび駆動アセンブリを用いて、伸長位置からアームおよび試料プローブに向けて挿入ヘッドを後退させ、試料プローブにわたる試料容器の挿入部材の挿入を引き起こすこととを含む。
【0009】
別の方法実施形態において、診断分析器方法を動作させる方法が提供される。診断分析器を動作させる方法は、装置ハウジングを有する診断分析器を設けることであって、診断分析器は試料挿入装置を含むことと、試料の容積を含む試料容器を設けることと、試料容器を試料挿入装置に結合することであって、結合により、試料容器は、装置ハウジングの実質的に外部に位置することと、試料容器の少なくとも一部分を装置ハウジング内にハンズフリーで後退させ、試料プローブを試料容器に挿入することと、を含み、ここで、試料プローブは、常に全体が装置ハウジング内に含まれる。
【0010】
本開示の更に他の態様、構成、および利点は、本開示を実施するために企図される最良の形態を含む、いくつかの例示的実施形態の以下の説明および図示から容易に明らかになり得る。本開示はまた、他の異なる実施形態も可能とすることができ、そのいくつかの詳細は、全て本開示の範囲から逸脱することなく様々な点で変更することができる。本開示は、特許請求の範囲の範囲に含まれる全ての修正形態、等価形態、および代替形態を網羅することが意図される。
【0011】
以下で説明する図面は、例示目的のものであり、必ずしも原寸に比例して描かれていない。したがって、図面および説明は、本質的に例示とみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。図面は、本開示の範囲を限定することを何ら意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本開示による、試料容器を受ける準備ができた、伸長位置に示される試料挿入装置の第1の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図1B】本開示による、伸長位置に示された、試料容器がその挿入ヘッドに結合された試料挿入装置の第1の実施形態の側面図を示す。
【
図1C】本開示による、後退位置に示された、試料プローブを試料容器に挿入させ、後退の結果として試料をそこから引き出すことができるようにする試料挿入装置の第1の実施形態の側面図を示す。
【
図1D】本開示による、試料プローブが試料容器の挿入部材(例えば、ポート)に挿入された試料挿入装置の第1の実施形態の挿入ヘッドおよび挿入ヘッド受け部の部分拡大側面図を示す。
【
図1E】本開示による、試料プローブが試料容器の挿入部材(例えば、貫通可能膜)に挿入された試料挿入装置の別の実施形態の挿入ヘッドおよび挿入ヘッド受け部の部分拡大側面図を示す。
【
図1F】本開示による、試料挿入装置の第1の例示的な実施形態の構成要素の展開斜視図を示す。
【
図1G】本開示による、
図1Fの反対の側面から見た試料挿入装置の第1の例示的な実施形態の構成要素の展開斜視図を示す。
【
図1H】本開示による、シースが試料プローブを取り囲むものとして示された試料挿入装置のアームの構成要素の斜視図を示し、シースは伸長位置に示されている。
【
図1I】本開示による、シースが試料プローブを露出させる後退位置に示された試料挿入装置のアームの構成要素の斜視図を示す。
【
図1J】本開示による、明確性のためにシースが取り除かれ、試料プローブの例示的な実施形態の形状および固定を示す、アームのアーム本体および試料プローブの一部分の斜視図を示す。
【
図2】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による試料挿入の方法のフローチャートを示す。
【
図3】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による診断分析器の動作方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、試料容器への試料プローブのハンズフリー挿入、および診断分析器への試料のハンズフリー供給を可能にする装置および方法を対象とする。本開示の第1の実施形態によれば、分析または測定される生体材料を含む試料を含む試料容器を受けるように構成された試料挿入装置が提供される。診断分析器の機能部材とすることができる試料挿入装置は、ハンズフリー動作、ならびに診断分析器の1つまたはそれ以上の内部通路および/またはチャンバへの試料の挿入を可能にし、これにより、技術者が試料プローブにさらされるかまたは試料プローブによって負傷する可能性を排除する。特に、技術者は、試料プローブの挿入が行われているとき、試料容器(例えば、シリンジ)を保持する必要がない。診断分析器の内部部分への試料の挿入は、ハンズフリー方式で行うこともできる。
【0014】
他の実施形態において、動作がハンズフリーの試料挿入および動作方法が提供される。したがって、本発明者らは、ハンズフリー動作に起因して、人物が使用中の装置のプローブによって突かれる場合がある誤作動がより起こりにくい新規の装置および方法を発明した。
【0015】
本開示の1つの態様において、試料挿入装置が提供される。試料挿入装置は、挿入部材(例えば、ポートまたは貫通可能膜)を含む試料容器に連結するように構成されたカプラを有する挿入ヘッドと、アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと、挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するように試料容器を前記試料プローブの方に動かし、試料を処理および/または分析のために試料容器のチャンバから診断分析器の動作部材内に引き込むことができるようにするように構成された、後退アセンブリとを含む。
【0016】
本開示の別の態様において、試料挿入方法が提供される。試料挿入方法は、伸長位置において試料挿入装置の挿入ヘッドを設けることと、挿入ヘッドに近接して位置するアームを設けることであって、アームは試料プローブを含むことと、挿入部材を含む試料容器を挿入ヘッドに結合することと、伸長位置からアームおよび試料プローブに向けて挿入ヘッドを後退させ、それによって、試料プローブにわたる試料容器の挿入部材の挿入を引き起こすこととを含む。本明細書に記載のように、伸長位置からの後退は、案内アセンブリおよび駆動アセンブリを用いて達成することができる。
【0017】
本開示の別の方法態様において、診断分析器を動作させる方法が提供される。動作方法は、装置ハウジングおよび試料挿入装置を有する診断分析器を設けることと;試料の容積を含む試料容器を設けることと;試料容器を試料挿入装置に結合することであって、結合により、試料容器は、装置ハウジングの実質的に外部に位置することと;試料容器の少なくとも一部分を装置ハウジング内にハンズフリーで後退させ、試料プローブを試料容器に挿入することと、を含み、ここで、試料プローブは、常に全体が装置ハウジング内に含まれる。
【0018】
本開示によれば、診断分析器へのハンズフリーの試料導入を可能にするように構成された装置および方法のいくつかの例示的な実施形態が示され、
図1A~
図3を参照して説明される。
【0019】
図1A~
図1Dは、診断装置80の一体化部材とすることができる試料挿入装置100の第1の実施形態を示す。診断分析器80の残りの詳細は、本明細書において説明されず、従来通りである。試料挿入装置100は、任意のタイプの診断分析器と共に用いることができ、ここで、試料は、ハンズフリー方式で診断分析器内に導入されることが所望される。診断分析器80は、診断分析器80の外側カバー面を画成する装置ハウジング150を有して示され、実施形態による試料挿入装置100は、診断分析器80の一部として含まれる。
【0020】
試料挿入装置100は、可動であり、試料125の容積を内部に含む試料容器120(
図1B)の一部分(例えば、結合端122)に連結するように構成されたカプラ118cを有する、挿入ヘッド118を含むことができる。試料容器120は、示されるポート(孔)等の挿入部材124(
図1D)を含むことができる。孔は、内部に受けることが可能な試料プローブ104Pの直径よりもわずかに大きくするべきである。いくつかの実施形態では、試料容器120を試料挿入装置100に結合する動作は、試料容器120を、装置ハウジング150の実質的に外部に位置させることを伴う(
図1Bは、装置ハウジング150の完全に外部に位置する試料容器120を示す)。
【0021】
試料プローブ104Pは、細長い針状の要素とすることができ、中空の通路を含み、例えば約0.90mmの外径を有することができる。試料プローブ104Pは、ステンレス鋼から作ることができ、鈍端(
図1D)または鋭端(
図1E)のいずれかを含むことができる。試料プローブ104Pは、他の材料から作ることもできる。任意選択で、いくつかの実施形態では、挿入部材124は、試料プローブ104Pによって穿刺することができる貫通可能膜(例えば、弾性膜)とすることができるか、またはこれを含むことができる。いくつかの実施形態では、貫通可能膜は、例えば
図1Eに示すように、試料容器120の結合端122に形成された孔内に受けるかまたは形成することができる。挿入部材124の他の形態を用いることもできる。
【0022】
図1A、
図1B、および
図1G~
図1Iに最も良好に示されているように、試料挿入装置100は、アーム本体104Bおよび試料プローブ104Pを含むアーム104を更に含み、試料プローブ104Pは、アーム104のアーム本体104Bに対して静止して位置する。試料プローブ104Pは、これをアーム本体104Bに形成されたアパーチャ内に取り付けること、これを保持機能に取り付けること、および/またはアーム本体104Bを試料プローブ104Pの一部分に一体成形すること等によって、アーム104のアーム本体104Bに任意の適切な方式で装着することができる。いくつかの実施形態では、試料プローブ104Pは、常に全体が装置ハウジング150内に含まれる。
【0023】
アーム本体104Bは、試料挿入装置100の本体102に対するアーム104の回転を可能にするように構成された取付具104M(
図1G)を含むことができる。例えば、アーム104は、
図1Fに最も良好に示されるアーム回転アセンブリ126等のアーム回転アセンブリによって試料挿入装置100の本体102の周りで回転可能とすることができる。アーム回転アセンブリ126は、本体102に結合され、プーリ129A、129Bおよび相互接続ベルト130の回転を引き起こすように構成された、アーム回転モータ128を含むことができる。プーリ129Bは、アーム取付具102Mに取り付けられ、アーム取付具102Mの回転を引き起こし、これによりアーム104の回転を引き起こす。
【0024】
図1H~
図1Jに最も良好に示すように、アーム104はシース104Sを含むことができ、シース104Sは中空であり、アーム本体104Bに対して引込み可能で伸長可能である。後退は、アーム本体104Bに形成されるチャネルに沿った直線後退とすることができる。シース104Sは、いくつかの実施形態において、シース104Sとアーム本体104Bとの間に取り付けられたばね132を用いることによってアーム本体104Bに装填されたばねとすることができる。
図1Hに示されているように、ばねの装填は、シース104Sを伸長位置に付勢するように動作することができる。
【0025】
図1Aおよび
図1Bは、試料プローブ104Pがシース104Sの内部に位置し、これによって囲まれるような伸長位置におけるシース104Sも示している。
図1A、
図1Bおよび
図1Hにおいて、試料プローブ104Pは、シース104Sによって取り囲まれて示され、シース104Sの端部は、アーム回転アセンブリ126の動作によって挿入ヘッド118の背面に直接近接して位置している。
【0026】
図1Jに示されているように、試料プローブ104Pは、任意の適切な手段によってアーム本体104Bに固定することができる。例えば、示されているように、プローブ104Pは、アーム本体104Bの長さに沿って取付具104Mから離れて延びる第1の部分104P1を含み、第1の部分104P1は、示されているスナップ嵌め機能等の保持機能104Rに固定することができる。保持機能104Rは、本体104Bの成形部分とすることができるか、またはプローブ104P自体の一部とすることができる。第1の部分104P1に概ね垂直とすることができ、孔104H内および取付具104M内に通すことができる、第2の部分104P2も示されている。合わせて、孔104Hおよび保持機能104Rは、試料プローブ104Pを適所に固定し、後退アセンブリ106が試料容器120および挿入ヘッド118を後退中に試料プローブ104Pに向けて直線的に並進させるときに、試料プローブ104Pを挿入部材124と位置合わせすることができるようにする。示すように、試料プローブ104Pは、ポンプ135の作動を通じて、試料125を診断分析器(図示せず)の分析内部構成要素に引き込むことを容易にするためにポンプ135に接続された導管134(点線で示す可撓性チューブ)に接続することができる。
【0027】
より詳細には、試料挿入装置100は、挿入ヘッド118に結合可能な後退アセンブリ106(
図1A~
図1Gにおいて示すように結合されている)を更に含む。後退アセンブリ106は、ハンズフリー方式で試料プローブ104Pを試料容器120(例えば、シリンジ)の挿入部材124(
図1Dまたは
図1E)に挿入するように、試料容器120および挿入ヘッド118を、試料プローブ104Pに向けて(すなわち、技術者から離れるように)(例えば、直線に並進する)動かすように構成される。換言すれば、技術者が試料容器120を挿入ヘッド118に結合すると、試料容器120のチャンバ121Cへの試料プローブ104Pの挿入が、技術者が試料容器120を保持するかまたは他の形でこれを操作することなく達成される。したがって、ハンズフリー動作を有利に提供することに加えて、後退アセンブリ106は、試料プローブ104Pが試料プローブ104Pとの試料容器120の結合または係合中に、(1)技術者に対して露出されること、および(2)技術者に向かって伸長するかまたは押されること、が防がれる。これにより、技術者が、意図せずに針状の試料プローブと接触する可能性が排除され、これにより有利には動作の安全性が改善する。さらに、診断分析器(図示せず)への試料125の引込みも、ポンプ135を介してハンズフリー方式で達成することができる。例えば、導管134によって油圧で試料プローブ104Pに結合されたポンプ135は、プローブ104Pを通じて、および試料プローブ104Pに結合された導管134を通じて試料125を引き込むように動作させることができる。
図1Jは、試料プローブ104Pの1つの実施形態を示す。試料プローブ104Pの他の構成が可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、
図1Bに示されているような試料容器120は、管状本体を含む容器本体121と、容器本体121内で可動のピストン123と、挿入ヘッド118の結合部118Cと係合する容器本体121の端部の結合端122とを有するシリンジとすることができる。いくつかの実施形態によれば、容器本体121の結合端122は挿入部材124を含む。示される実施形態において、挿入部材124は、試料容器120のチャンバ内(例えば、シリンジのチャンバ121C内)に試料プローブ104Pが通ることを可能にする、結合端122におけるポートを含む。
【0029】
より詳細には、
図1Fおよび
図1Gに最も良好に示すように、後退アセンブリ106は、案内アセンブリ106Gおよび駆動アセンブリ106Dを含むことができる。例えば、示す実施形態において、案内アセンブリ106Gは、案内部材117および案内ロッドアセンブリ109を含むことができる。案内部材117は、固定具(例えば、ボルトまたはねじ)等によって試料挿入装置100の本体102に堅固に結合可能とすることができる。
【0030】
案内ロッドアセンブリ109は、1つまたはそれ以上の案内ロッド110A、110B、挿入ヘッド受け部116、および駆動ブラケット113から作ることができる。1つまたはそれ以上の案内ロッド110A、110Bは、示すような1つまたはそれ以上の案内ロッド110A、110Bとのスライド嵌めを有することができる案内部材117に形成される案内チャネルにおける運動等によって案内部材117に形成された通路内で可動(摺動可能)である。挿入ヘッド受け部116は、ボルトまたはねじ等の任意の適切な手段によって1つまたはそれ以上の案内ロッド110A、110Bの端部に取り付けることができる。任意選択で、挿入ヘッド受け部116および案内ロッド110A、110Bは一体形成することができる。挿入ヘッド118は、挿入ヘッド受け部116に結合されるように構成され、そこから迅速に着脱することができる。例えば、挿入ヘッド118はタブ118Tを含むことができ、タブ118Tは、互いに対して押し込まれると;挿入ヘッド118が挿入ヘッド受け部116から除去されることを可能にする。これは、汚染された場合に挿入ヘッド118を別の新たな挿入ヘッドと交換するために行うことができる。
【0031】
示すように、駆動ブラケット113は、1つまたはそれ以上のロッド110A、110Bに締め付けることによって、または止めねじ等による締結によって、1つまたはそれ以上の案内ロッド110A、110Bに固定することができる。他の適切な締結機構を用いることもできる。駆動ブラケット113は、挿入ヘッド118を引き込むかまたは伸長させるために、駆動アセンブリ106Dによって係合される。用いられる駆動アセンブリ106Dのタイプに依拠して、駆動ブラケット113は駆動部材を含むことができる。例えば、親ねじ111を含む駆動アセンブリ106Dの場合、駆動ブラケット113は、例えば示すようなリードナット112を含むことができる。
【0032】
示される実施形態において、挿入ヘッド118は、1つまたはそれ以上の案内ロッド110A、110Bの作用線からオフセットされて位置する。
図1A、
図1Bおよび
図1Gに示すように、アーム104のシース端104Eが挿入ヘッド118の後面118RSに密接して位置合わせ可能となることを可能にしながら、案内アセンブリ109との干渉なしでのアーム104の回転を可能にするために、オフセットは、垂直方向および横方向双方のオフセットを含むことができる。
【0033】
さらにより詳細には、駆動アセンブリ106Dは、挿入ヘッド118を引き込み、伸長させるように適用され、
図1Fに最も良好に示されるように、取付けブラケット108と、駆動モータ114と、親ねじ111と、伝動アセンブリ115とを含むことができる。取付けブラケット108は、任意の適切な方式で試料挿入装置100の本体102に取り付けることができる。本体102への取り付けは、例えばボルトまたはねじ等の適切な固定具によるものとすることができる。他の適切な締結機構を用いることもできる。さらに、いくつかの実施形態において、取付けブラケット108は、本体102と一体にすることができる。
【0034】
駆動モータ114のハウジングは、取付けブラケット108に直接または間接的に結合することができ、その出力軸115S(
図1A~
図1B)は、伝動アセンブリ115に結合することができる。そして、伝動アセンブリ115は親ねじ111に結合される。親ねじ111は、駆動ブラケット113に結合することができるリードナット112と係合する。任意選択で、駆動ブラケット113は、駆動ブラケット113と一体形成された親ねじ山を有することができる。
【0035】
ここで
図1A~
図1Bを参照すると、より詳細には、伝動アセンブリ115は、駆動モータ114に、例えばその出力軸115Sに結合された第1のプーリ115Aを含むことができる。出力軸115Sへの第1のプーリ115Aの結合は、第1のプーリ115Aの一部とすることができる適切な結合部によるものとすることができる。伝動アセンブリ115はまた、親ねじ111に結合された第2のプーリ115Bと、第1のプーリ115Aおよび第2のプーリ115Bと係合するベルト115Tとを含むことができる。Vベルト、ノッチベルト、マイクロリブベルト等の任意の適切なサーペンタインベルトを用いることができる。親ねじ111は、取付けブラケット108のエリア内での親ねじの支持を可能にする1つまたはそれ以上のスラスト支承面を有することができる。親ねじ111は、例えば3mm~5mm等の任意の適切なねじ山ピッチを有することができる。他のねじ山ピッチを用いることもできる。さらに、親ねじ111およびリードナット112の代わりに、親ねじおよびリードナット、直線変位変換器(LDT)、伸縮往復直線運動アクチュエータ、ラックおよびピニオン、右直線ポジショナ、直線アクチュエータ等の他のタイプの直線運動および配置機構を用いることもできる。
【0036】
図2に最も良好に示される本開示の別の実施形態によれば、試料挿入方法200が提供される。特に、方法200は、
図2に最も良好に示されているように、ブロック202において、伸長位置において試料挿入装置の挿入ヘッドを設けることを含む。例えば、
図1Aに示すように、試料挿入装置100の挿入ヘッド118は、伸長位置に設けることができる。伸長位置において、挿入ヘッド118は、その外側ハウジング面が示される点線によって画成される装置ハウジング150の外側にあるように位置することができる。装置ハウジング150およびその開口部は、診断装置の外部カバーを提供し、ハンズフリー後退および他の位置に回転するときのアームへのアクセスに対応するために任意の形状を有することができる。
【0037】
方法200は、ブロック204において、挿入ヘッドに近接してアームを設けることを更に含み、アームは試料プローブを含む。例えば、(
図1Iおよび
図1Jに最も良好に示すように)試料プローブ104Pを含むアーム104は、回転位置におけるアーム回転モータ128の回転により提供することができ、
図1Aに示すように、シース104Sのシース端104Eは、伸長され、挿入ヘッド118の近傍に位置し、これと回転可能に位置合わせされる。示すように、シース104Sおよびシース端104Eは、完全に装置ハウジング150内および内側に位置することができ、シース104Sは、伸長位置(
図1Hに示す)において、試料プローブ104Pが技術者に対して露出されず、それによって負傷のリスクを低減し、安全性を改善するように、試料プローブ104Pを完全に取り囲む。
【0038】
方法200は、ブロック206において、試料容器を挿入ヘッドに結合することを更に含み、試料容器は挿入部材を含む。例えば、試料容器120は、
図1Bに示すようにシリンジとすることができ、挿入部材124は、ポート(
図1D)または貫通可能膜(
図1E)を含むことができる。挿入ヘッド118への試料容器120の結合は、技術者が、試料125を含む試料容器120の結合端122を、挿入ヘッド118の適切な結合部118Cに結合することによって達成することができる。結合は、ルアーロック等のツイストロック機能を通じて、または単に結合部118Cと結合端122との間の摩擦嵌めを通じて行うことができる。迅速交換式結合部の他の形態を用いることもできる。
【0039】
方法200は、ブロック208において、案内アセンブリおよび駆動アセンブリを用いて、伸長位置からアームおよび試料プローブに向けて挿入ヘッドを後退させ、試料プローブにわたる試料容器の挿入部材の挿入を引き起こすことを更に含む。例えば、(
図1Aおよび
図1Bに示すような)伸長位置から
図1Cおよび
図1Dに示すような後退位置への後退は、駆動アセンブリ106Dを用いた案内アセンブリ106Gの駆動ブラケット113の駆動を含むことができる。
【0040】
これは、出力軸115Sの回転を引き起こし、これにより、駆動モータ114に結合された伝動アセンブリ115を駆動する、コントローラ136からの駆動信号を用いた駆動モータ114の駆動によって達成することができる。これは次に、駆動ブラケット113に取り付けられたリードナット112に対する親ねじ111の回転を引き起こす。出力軸115Sを回転させることにより、取り付けられた第1のプーリ115Aが回転し、次に、相互接続された第2のプーリ115Bが回転し、このため、親ねじ111が回転する。親ねじ111の回転は、駆動ブラケット113上のリードナット112に係合し、これにより、案内アセンブリ109および挿入ヘッド118が引き込まれる。本明細書に記載の案内アセンブリ106Gは、伸長位置からの後退を受けるとき、直線経路において挿入ヘッド118を案内するように機能することができる。
図1Cに示すように、ハンズフリーの後退により、試料容器120の少なくとも一部分が装置ハウジング150の中におよび装置ハウジング150内に入り、容器本体121の一部分はハウジング150内部で受けられる。このため、ハンズフリーの後退により、技術者を試料プローブ104Pにさらすことなく、試料容器120への(そのチャンバ121Cへの)試料プローブ104Pの挿入を引き起こし、それによって安全性を改善する。換言すれば、技術者が試料容器を保持することによって、試料プローブと試料容器との手動結合のために、技術者に向けて、かつ装置ハウジングから離れるように試料プローブが押されるのではなく、本明細書に記載のハンズフリー後退は、有利には、装置ハウジング120内での結合のために試料容器120を試料プローブ104Pに向けて後退させ(または引かせ)、それによって技術者に対する試料プローブの露出を回避し、安全性を改善する。
【0041】
試料プローブ104Pは、アーム本体104Bに対して静止していること、および、伸長位置からの挿入ヘッド118の後退中、試料プローブ104Pが静止し、絶対的意味で固定されることを認識するべきである。したがって、試料容器120が試料プローブ104P上を進み、これと係合することを可能にするために、後退中、挿入ヘッド118を後退させることにより、シース104Sを後退させ、試料プローブ104P(
図1I)を露出させる。試料プローブ104Pにわたる挿入部材124の挿入後、試料125の診断分析器への引込みを、ポンプ135の動作により達成することができる。これに続いて、アーム104および取り付けられた試料プローブ104Pを、
図1Gに示す下方位置等の別の位置まで回転させ、フラッシュ動作を行うことができるようにすることができる。
【0042】
このため、まとめると、
図1Dおよび
図1Eに示すように、後退の結果として、試料プローブ104Pにわたる試料容器120の挿入部材124のハンズフリー挿入が達成される。このため、試料プローブ104Pが試料125を含む試料容器120のチャンバ121Cに挿入され、診断分析器(図示せず)のポンプ135(
図1J)を用いて、試料125を試料容器120から引き出す。試料容器120がシリンジである場合、ピストン123は、試料125がポンプ135の作動によってチャンバ121Cから引き出されるときに後退する。診断分析器80への試料125の引込み後、試料容器120を除去することができ、案内アセンブリ106Gおよび駆動アセンブリ160Dによって挿入ヘッド118を伸長位置に戻し、挿入ヘッド118が新たな試料を含む別の試料容器の結合の準備ができた状態で位置するようにすることができる。代替的に、挿入ヘッド118から試料プローブ104Pを除去した後、アーム104を挿入ヘッド118と位置合わせされていない他の位置まで回転させ、アーム104へのアクセス、およびバキュテイナチューブまたはキャピラリチューブ等の他の容器または構成要素のアーム104への結合(例えば、直接結合)を可能にすることもできる。
【0043】
図3を参照して示され説明される別の方法実施形態において、診断分析器方法を動作させる方法300が提供される。方法300は、ブロック302において、装置ハウジング(例えば、装置ハウジング150)を有する診断分析器(例えば、診断分析器80)を設けることを含み、診断分析器は、試料挿入装置(例えば、試料挿入装置100)を含む。方法300は、ブロック304において、試料(例えば、試料125等の生体試料)の容積を含む試料容器(例えば、試料容器120)を設けることと、ブロック306において、試料容器を試料挿入装置に結合することとを更に含み、結合により、試料容器は、装置ハウジングの実質的に外部に位置する。本明細書において用いられるとき、「実質的に外部」という用語は、試料容器120の長さLの75%超が、結合動作中、ハウジング150の外部に位置することを意味する。換言すれば、いくつかの実施形態において、挿入ヘッド118は、ハウジング150の内部にわずかに陥凹させることができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、挿入ヘッド118を、ハウジング150の外部に少なくとも部分的に位置させることが望ましい場合がある。
【0044】
方法300は、ブロック308において、試料容器の少なくとも一部分を装置ハウジング内にハンズフリーで後退させ、試料プローブ(例えば、試料プローブ104P)を試料容器に挿入することを更に含み、試料プローブは、常に全体が装置ハウジング内に含まれる。したがって、ハンズフリーの後退により、有利には、試料プローブ104Pを装置ハウジングの外部および技術者に対して露出させることなく、試料プローブ104Pを試料容器120に挿入させ、これにより、技術者の負傷を低減し、安全性を改善する。
【0045】
試料挿入方法200に関与する運動の様々なシーケンスは任意の所望の順序で行うことができることを認識するべきである。例えば、挿入ヘッド118への試料容器120の結合は、挿入ヘッド118に近接し、挿入ヘッド118と位置合わせされたロケーションに対するアーム104の回転前に行うことができる。
【0046】
方法200のいくつかの実施形態において、試料容器120を挿入ヘッド118に結合することは、挿入ヘッド受け部116への挿入ヘッド118の第1の結合を含む。例えば、試料容器120の結合前に、タブ118Tを押し下げ、挿入ヘッド118を挿入ヘッド受け部116の受けポケットに押し込むことによって、新たな(汚染されていない)挿入ヘッド118を挿入ヘッド受け部116に取り付ことができる。
【0047】
本開示は、様々な変形および代替の形態を受け入れる余地があるが、特定の装置実施形態およびその方法は、図面に例として示されており、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、本明細書に開示される特定の装置または方法は、本開示または特許請求項を限定することを意図されていないことを理解されたい。
【0048】
以下は、例示的な実施形態のリストであり、上記の説明に取って代わるかまたはこれを破棄するのではなく、補うことが意図される。
【0049】
1.試料挿入装置であって:
挿入部材を有する試料容器に連結するように構成されたカプラを有する挿入ヘッドと;
アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと;
挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するように試料容器を前記試料プローブの方に動かすように構成された、後退アセンブリと、
を含む、試料挿入装置。
【0050】
2.試料容器はシリンジである、例示的な実施形態1の試料挿入装置。
【0051】
3.挿入部材は、シリンジの貫通可能膜を含む、例示的な実施形態1~2のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0052】
4.後退アセンブリは:
案内アセンブリと、
駆動アセンブリと、
を含む、例示的な実施形態1~3のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0053】
5.案内アセンブリは:
試料挿入装置の本体に結合可能な案内部材と;
案内部材内で可動の1つまたはそれ以上の案内ロッドを含む案内ロッドアセンブリと;
1つまたはそれ以上の案内ロッドに取り付けられた挿入ヘッド受け部であって、挿入ヘッドは挿入ヘッド受け部に結合される、挿入ヘッド受け部と;
1つまたはそれ以上の案内ロッドに固定された駆動ブラケットと、
を含む、例示的な実施形態1~4のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0054】
6.駆動ブラケットはリードナットを含む、例示的な実施形態1~5のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0055】
7.挿入ヘッドは、1つまたはそれ以上の案内ロッドの作用線からオフセットされて位置する、例示的な実施形態1~6のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0056】
8.駆動アセンブリは:
試料挿入装置の本体に結合可能な取付けブラケットと;
取付けブラケットに結合された駆動モータと;
親ねじと;
駆動モータおよび親ねじに結合された伝動アセンブリと、
を含む、例示的な実施形態1~7のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0057】
9.親ねじは、駆動ブラケットに結合されたリードナットと係合する、例示的な実施形態1~8のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0058】
10.伝動アセンブリは、駆動モータに結合された第1のプーリと、親ねじに結合された第2のプーリと、第1のプーリおよび第2のプーリを係合させるベルトとを含む、例示的な実施形態1~9のうちのいずれか1つの試料挿入装置。
【0059】
11.試料挿入装置であって:
本体と;
シリンジの結合端に連結するように構成されたカプラを有する可動挿入ヘッドであって、シリンジは挿入部材を有する、可動挿入ヘッドと;
アームに対して静止して位置する試料プローブを含むアームと;
可動挿入ヘッドに結合され、試料プローブを挿入部材に挿入するようにシリンジを前記試料プローブの方に動かすように構成された、後退アセンブリと、
を含み、後退アセンブリは:
案内アセンブリであって:
試料挿入装置の本体に結合可能な案内部材、
案内部材内で可動の1つまたはそれ以上の案内ロッドを含む案内ロッドアセンブリ、
1つまたはそれ以上の案内ロッドに取り付けられ、可動挿入ヘッドが挿入ヘッド受け部に結合された、挿入ヘッド受け部、および
1つまたはそれ以上の案内ロッドに固定された駆動ブラケット
を含む、案内アセンブリと;
駆動アセンブリであって:
試料挿入装置の本体に結合可能な取付けブラケット、
取付けブラケットに結合された駆動モータ、
親ねじ、ならびに
駆動モータおよび親ねじに結合された伝動アセンブリ
を含む、駆動アセンブリと、
を含む、試料挿入装置。
【0060】
12.試料挿入方法であって:
伸長位置において試料挿入装置の挿入ヘッドを設けることと;
試料プローブを含むアームを挿入ヘッドに近接して設けることと;
挿入部材を含む試料容器を挿入ヘッドに結合することと;
案内アセンブリおよび駆動アセンブリを用いて、伸長位置からアームおよび試料プローブに向けて挿入ヘッドを後退させ、試料プローブにわたる試料容器の挿入部材の挿入を引き起こすことと、
を含む、試料挿入方法。
【0061】
13.試料容器を挿入ヘッドに結合することは、挿入ヘッド受け部への挿入ヘッドの第1の結合を含む、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0062】
14.案内アセンブリは、伸長位置からの後退を受けるとき、挿入ヘッドを直線経路で案内する、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0063】
15.伸長位置から後退させることは、駆動アセンブリを用いて案内アセンブリの駆動ブラケットを駆動することを含む、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0064】
16.駆動ブラケットを駆動することは、駆動モータに結合された伝動アセンブリを駆動することを含み、これにより次に、駆動ブラケットに取り付けられたリードナットに結合された親ねじの回転を引き起こす、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0065】
17.試料容器の挿入部材への試料プローブの挿入に続いて、試料を引き込むことを含む、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0066】
18.試料の引込みの後、挿入ヘッドを伸長位置に戻すことを含む、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0067】
19.伸長位置からの後退中、試料プローブは静止している、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0068】
20.挿入ヘッドへの試料容器の結合は、挿入ヘッドへのシリンジの結合を含み、挿入部材は、ポートまたは貫通可能膜を含む、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの試料挿入方法。
【0069】
21.診断分析器を動作させる方法であって:
装置ハウジングを有する診断分析器を設けることであって、診断分析器は試料挿入装置を含むことと;
試料の容積を含む試料容器を設けることと;
試料容器を試料挿入装置に結合することであって、結合により、試料容器は、装置ハウジングの実質的に外部に位置することと;
試料容器の少なくとも一部分を装置ハウジング内にハンズフリーで後退させ、試料プローブを試料容器に挿入することと、
を含み、ここで、試料プローブは、常に全体が装置ハウジング内に含まれる、方法。
【0070】
22.試料挿入装置の挿入ヘッドは、少なくとも部分的に装置ハウジングの外部に位置する、先行する例示的な実施形態のうちのいずれか1つの診断分析器を動作させる方法。
【国際調査報告】