(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】半導体基板層の処理方法及び太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/18 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01L31/04 440
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523469
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2022141510
(87)【国際公開番号】W WO2023160200
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210189426.0
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524004179
【氏名又は名称】安徽▲華▼晟新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI HUASUN ENERGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 99 Qingliu Road, Xuancheng Economic And Technological Development Zone, Xuancheng, Anhui, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼良
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼景
(72)【発明者】
【氏名】周▲錫▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】周▲粛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲コン▼道仁
(72)【発明者】
【氏名】徐▲暁▼▲華▼
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251DA03
5F251FA02
5F251FA06
5F251GA04
5F251GA14
(57)【要約】
本願は半導体基板層の処理方法及び太陽電池の製造方法を提供する。半導体基板層の処理方法は、単結晶シリコンウェーハを提供するステップと、前記単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーするステップと、単結晶シリコンウェーハを焼鈍処理するステップと、を含み、単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーする前に、前記単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行うステップであって、前記表面酸化処理は、前記拡散液に対する前記単結晶シリコンウェーハの表面の親液性を高めて、前記単結晶シリコンウェーハの焼鈍処理の均一性を高めることに用いられるステップをさらに含む。本願に係る半導体基板層の処理方法は拡散液の広がりが不均一である問題を解決することができ、半導体基板層の特性が大幅に向上する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコンウェーハを提供するステップと、前記単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーするステップと、単結晶シリコンウェーハを焼鈍処理するステップと、を含む半導体基板層の処理方法であって、
前記単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーする前に、前記単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行うステップであって、前記表面酸化処理は、前記拡散液に対する前記単結晶シリコンウェーハの表面の親液性を高めて、前記単結晶シリコンウェーハの焼鈍処理の均一性を高めることに用いられるステップをさらに含む、ことを特徴とする半導体基板層の処理方法。
【請求項2】
前記表面酸化処理を行うステップは、前記単結晶シリコンウェーハの表面に酸素含有ガスを噴射するステップを含み、
好ましくは、前記酸素含有ガスはオゾンを含み、
好ましくは、前記酸素含有ガスの濃度は50ppm~300ppmであり、
好ましくは、前記酸素含有ガスの噴射速度は0.5slm~5slmであり、
好ましくは、前記酸素含有ガスの噴射時間は5秒~30秒であり、
好ましくは、前記表面酸化処理のステップにおいて、前記酸素含有ガスを前記単結晶シリコンウェーハの表面に向けて垂直に噴射する、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項3】
前記表面酸化処理により、前記単結晶シリコンウェーハの表面に酸化層が形成され、
前記単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行うステップにより、前記拡散液中の拡散イオンは前記酸化層を通って前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散して、前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに、前記酸化層に被覆されるドーピング層が形成され、前記拡散焼鈍処理は前記単結晶シリコンウェーハ内の不純物を前記ドーピング層に移動させることに適し、
好ましくは、前記拡散焼鈍処理は連鎖拡散焼鈍処理である、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項4】
前記酸化層の厚さは0.5nm~20nmであり、
好ましくは、前記単結晶シリコンウェーハの材料は単結晶シリコンを含み、前記酸化層の材料は酸化ケイ素を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項5】
前記単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行うステップは、順に行われた昇温過程、保温過程及び冷却過程を含み、前記保温過程は前記拡散イオンを前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散させることに適し、前記冷却過程は前記単結晶シリコンウェーハ内の不純物を前記ドーピング層に移動させることに適し、
好ましくは、前記保温過程の温度は800℃~900℃であり、
好ましくは、前記ドーピング層の厚さは0.15μm~0.3μmである、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項6】
前記拡散液はリン酸溶液を含み、
好ましくは、前記リン酸溶液の濃度は2質量%~12質量%である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項7】
前記単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行う前に、
前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去するステップと、
前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去した後に、疎水性溶液で前記単結晶シリコンウェーハの表面を脱水処理するステップと、
前記脱水処理の後に、前記単結晶シリコンウェーハを乾燥処理するステップと、をさらに含み、
好ましくは、前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去することに用いられる腐蝕液はNaOH水溶液、KOH水溶液、又はHFとHNO
3の混合溶液であり、
好ましくは、前記疎水性溶液はHF水溶液を含み、
好ましくは、前記NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記HFとHNO
3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO
3を1:3~1:9の体積比で調製する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項8】
前記拡散焼鈍処理の後に、
前記酸化層を除去するステップと、
前記酸化層を除去した後に、前記ドーピング層を除去するステップと、をさらに含み、
好ましくは、前記酸化層を除去するための腐蝕液はHCl水溶液であり、HCl水溶液中のHClの濃度は4質量%~5質量%であり、
好ましくは、前記ドーピング層を除去することに用いられる腐蝕液はNaOH水溶液又はKOH水溶液であり、
好ましくは、前記酸化層の除去及び前記ドーピング層の除去の両方はHFとHNO
3の混合溶液を用い、
好ましくは、前記NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記HFとHNO
3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO
3を1:3~1:9の体積比で調製する、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項9】
前記ドーピング層を除去した後に、中和洗浄液で前記単結晶シリコンウェーハを洗浄するステップをさらに含み、
好ましくは、前記中和洗浄液はHFとHClの混合溶液である、ことを特徴とする請求項8に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体基板層の処理方法を含む、ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記半導体基板層を処理した後に、
前記半導体基板層に対してテクスチャ化処理を行うステップと、
テクスチャ化処理の後に、前記半導体基板層の一方側の面に第1真性半導体層を形成し、前記半導体基板層の他方側の面に第2真性半導体層を形成するステップと、
前記第1真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1ドーピング半導体層を形成し、前記第2真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2ドーピング半導体層を形成するステップと、
前記第1ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1透明導電性膜を形成し、前記第2ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2透明導電性膜を形成するステップと、
前記第1透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第1グリッド電極を形成し、前記第2透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第2グリッド電極を形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2022年2月28日に中国特許庁に提出された、出願番号が202210189426.0、発明の名称が「半導体基板層の処理方法及び太陽電池の製造方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用によって本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、太陽電池製造の分野に関し、具体的には、半導体基板層の処理方法及び太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池は、クリーンで、汚染のなく、再生可能で、動作性能が安定している等の利点を有する。太陽電池の構造、製造プロセス及び使用材料によって、太陽電池は、異なるタイプに分けられ、シリコン系太陽電池、多元系化合物薄膜太陽電池、高分子多層修飾電極太陽電池、有機太陽電池等を含み、そのうち、ヘテロ接合太陽電池等のシリコン系太陽電池は最も成熟したものである。ヘテロ接合太陽電池を例にすると、N型基板の片側又は両側に半導体層、透明導電層及び金属電極を製造してセルを形成し、続いて、複数のセルを相互接続してパッケージングしモジュールを形成し、モジュールが発電し、その電力をインバーターを介して送電網にフィードバックする。
【0004】
N型基板は、通常、単結晶シリコン棒を切断して得られる単結晶シリコンウェーハである。単結晶シリコン棒を引き上げる過程で、金属不純物の偏析係数が非常に小さいため、単一シリコン棒の最前端と最後端に金属含有量に差が発生し、特に、従来技術では、連続的に供給し引き上げる方法はよく用いられ、複数の単結晶シリコン棒を連続的に引き上げることができ、単一バッチ内で、後に引き上げられた単結晶棒内の金属不純物は前に引き上げられる単結晶棒内の金属不純物よりも多い。単結晶シリコンウェーハで太陽電池を製造すると、金属不純物が存在するため、金属不純物が少数のキャリアと再結合し、光電変換効率に影響を与え、さらに高効率電池の変換効率に影響を与え、耐用年数の低下に繋がる。
【0005】
ゲッタリングは単結晶シリコンウェーハの結晶品質を向上させる重要な方法であり、ゲッタリングにより、単結晶シリコンウェーハ内の金属不純物の含有量を減少し、単結晶シリコンウェーハの品質の一貫性をより高くすることができ、それにより、高効率電池の変換効率がより集中する。現在、主な方法の1つは、リン酸連鎖スプレーゲッタリングであり、リン酸を拡散液として単結晶シリコンウェーハの表面にスプレーし、リン酸を自然に広げた後に、拡散焼鈍によりドーピング層を形成し、この過程で、単結晶シリコンウェーハ内の金属不純物はドーピング層に析出し、最後に、ドーピング層が除去されて不純物除去の目的が実現される。しかし、基板の単結晶シリコンウェーハをリン酸連鎖スプレーゲッタリングで処理すると、リン酸が単結晶シリコンウェーハの表面に不均一に広がることはよくあり、最終的な太陽電池の耐用年数及び光電変換効率が好ましくない可能性がある。従って、リン酸の広がりが不均一である問題を解決するための解決手段が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、拡散液の広がりが不均一である問題を解決するように、半導体基板層の処理方法及び太陽電池の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、単結晶シリコンウェーハを提供するステップと、単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーするステップと、単結晶シリコンウェーハを焼鈍処理するステップと、を含む半導体基板層の処理方法を提供し、単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーする前に、単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行うステップであって、表面酸化処理は、拡散液に対する単結晶シリコンウェーハの表面の親液性を高めて、単結晶シリコンウェーハの焼鈍処理の均一性を高めることに用いられるステップをさらに含む。
【0008】
選択可能に、表面酸化処理を行うステップは、単結晶シリコンウェーハの表面に酸素含有ガスを噴射するステップを含む。
【0009】
選択可能に、酸素含有ガスはオゾンを含む。
【0010】
選択可能に、酸素含有ガスの濃度は50ppm~300ppmである。
【0011】
選択可能に、酸素含有ガスの噴射速度は0.5slm~5slmである。
【0012】
選択可能に、酸素含有ガスの噴射時間は5秒~30秒である。
【0013】
選択可能に、表面酸化処理のステップにおいて、酸素含有ガスを単結晶シリコンウェーハの表面に向けて垂直に噴射する。
【0014】
選択可能に、前記表面酸化処理により、前記単結晶シリコンウェーハの表面に酸化層が形成され、前記半導体基板層の処理方法は以下のことをさらに含み、前記単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行うにより、前記拡散液中の拡散イオンは前記酸化層を通って前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散して、前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに、前記酸化層に被覆されるドーピング層が形成され、前記拡散焼鈍処理は前記単結晶シリコンウェーハ内の不純物を前記ドーピング層に移動させることに適する。
【0015】
選択可能に、拡散焼鈍処理は連鎖拡散焼鈍処理である。
【0016】
選択可能に、表面酸化処理により、単結晶シリコンウェーハの表面に酸化層が形成され、酸化層の厚さは0.5nm~20nmである。
【0017】
選択可能に、単結晶シリコンウェーハの材料は単結晶シリコンを含み、酸化層の材料は酸化ケイ素を含む。
【0018】
選択可能に、単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行うステップは、順に行われた昇温過程、保温過程及び冷却過程を含み、保温過程は拡散イオンを単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散させることに適し、冷却過程は単結晶シリコンウェーハ内の不純物をドーピング層に移動させることに適する。
【0019】
選択可能に、保温過程の温度は800℃~900℃である。
【0020】
選択可能に、ドーピング層の厚さは0.15μm~0.3μmである。
【0021】
選択可能に、拡散液はリン酸溶液を含む。
【0022】
選択可能に、リン酸溶液の濃度は2質量%~12質量%である。
【0023】
選択可能に、単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行う前に、
単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去するステップと、単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去した後に、疎水性溶液で単結晶シリコンウェーハの表面を脱水処理するステップと、脱水処理の後に、単結晶シリコンウェーハを乾燥処理するステップと、をさらに含む。
【0024】
選択可能に、単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去することに用いられる腐食液はNaOH水溶液、KOH水溶液、又はHFとHNO3の混合溶液である。
【0025】
選択可能に、疎水性溶液はHF水溶液を含む。
【0026】
選択可能に、NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%である。
【0027】
選択可能に、KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%である。
【0028】
選択可能に、HFとHNO3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO3を1:3~1:9の体積比で調製する。
【0029】
選択可能に、拡散焼鈍処理の後に、前記酸化層を除去するステップと、前記酸化層を除去した後に、前記ドーピング層を除去するステップと、をさらに含む。
【0030】
選択可能に、前記酸化層を除去するための腐食液はHCl水溶液であり、HCl水溶液中のHClの濃度は4質量%~5質量%である。
【0031】
選択可能に、ドーピング層を除去することに用いられる腐食液はNaOH水溶液又はKOH水溶液であり、選択可能に、前記酸化層の除去及び前記ドーピング層の除去の両方にはHFとHNO3の混合溶液が用いられる。
【0032】
選択可能に、NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
選択可能に、KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
選択可能に、HFとHNO3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO3を1:3~1:9の体積比で調製する。
【0033】
選択可能に、ドーピング層を除去した後に、中和洗浄液で前記単結晶シリコンウェーハを洗浄するステップをさらに含む。
【0034】
選択可能に、中和洗浄液はHFとHClの混合溶液である。
【0035】
本願は、本願に係る半導体基板層の処理方法を含む太陽電池の製造方法をさらに提供する。
【0036】
選択可能に、上記太陽電池の製造方法は、前記半導体基板層を処理した後に、前記半導体基板層に対してテクスチャ化処理を行うステップと、テクスチャ化処理の後に、前記半導体基板層の一方側の面に第1真性半導体層を形成し、前記半導体基板層の他方側の面に第2真性半導体層を形成するステップと、前記第1真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1ドーピング半導体層を形成し、前記第2真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2ドーピング半導体層を形成するステップと、前記第1ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1透明導電性膜を形成し、前記第2ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2透明導電性膜を形成するステップと、前記第1透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第1グリッド電極を形成し、前記第2透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第2グリッド電極を形成するステップと、をさらに含む。
【発明の効果】
【0037】
本願の有益な効果は以下の通りである。
【0038】
本実施例の半導体基板層の処理方法は、拡散液をスプレーする前に単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行う。表面酸化処理により、単結晶シリコンウェーハの表面に酸化層を予め形成することができる。拡散液に対する単結晶シリコンウェーハの表面の酸化層の親液性がより良好であるため、拡散液をスプレーする際の拡散液の広がり性はより良好になり、且つ拡散液をスプレーする際の拡散液の広がり速度はより速くなる。それにより、単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液はより均一に広がる。
さらに、前記単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行い、拡散液中の拡散イオンは前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散して、前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みにドーピング層が形成され、前記拡散焼鈍処理は前記単結晶シリコンウェーハ内の不純物を前記ドーピング層に移動させることに適する。拡散液が単結晶シリコンウェーハの表面により均一に広がるため、ドーピング層内の拡散イオンの分布はより均一になり、ドーピング層のゲッタリング効果が異なる領域でより一貫になり、半導体基板層の特性が大幅に向上する。
【0039】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面は本願の一部の実施形態であり、当業者にとって創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理方法の概略フローチャートである。
【
図2】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理方法の詳細な概略フローチャートである。
【
図3】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理プロセスの構造概略図である。
【
図4】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理プロセスの構造概略図である。
【
図5】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理プロセスの構造概略図である。
【
図6】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理プロセスの構造概略図である。
【
図7】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理プロセスの構造概略図である。
【
図8】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理プロセスの構造概略図である。
【
図9】本願の1つの実施例における半導体基板層の処理プロセスの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
背景技術に記載されるように、基板の単結晶シリコンウェーハを連鎖リン酸ゲッタリングの方法で処理した後に、最終的な光電変換効率及び太陽電池の耐用年数はまだ理想的ではないかもしれない。発明者は研究したところ、具体的な原因が、リン酸の連鎖ゲッタリングの過程において、拡散液として使用されるリン酸の広がり性が悪く、広がり速度が遅く、拡散液の広がり速度が遅いため、単結晶シリコンウェーハの表面にリン酸が不均一に分布しやすく、局所的にゲッタリングが完了し腐食が発生するが、その他の部位でゲッタリングがまだ完了していない可能性があるためであることが分かった。
【0042】
上記拡散液の広がりが不均一である問題を解決するために、本願は、単結晶シリコンウェーハを提供するステップと、単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーするステップとを含み、前記単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーする前に、単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行うステップであって、表面酸化処理は、拡散液に対する単結晶シリコンウェーハの親液性を高めることに用いられるステップをさらに含む、半導体基板層の処理方法を提供する。
【0043】
以下では、図面を参照して、本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに取得した他のすべての実施例は、本願の保護範囲に属する。
【0044】
なお、本願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成され、動作しなければならないことを指示又は暗示するものではなく、したがって本願を限定するものとは理解されない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」という用語は、説明の目的のためだけに使用され、相対的重要性を示すもの又は暗示するものとして理解されることはない。
【0045】
なお、本願の説明において、特に明示的な規定及び限定がない限り、用語「取り付ける」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、着脱可能接続、又は一体的接続であってもよいし、機械的接続、電気的接続であってもよいし、直接連結、又は中間媒体を介した間接的な連結、又は2つのコンポーネントの内部連通であってもよい。本明細書における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、状況に応じて理解することができる。
【0046】
また、以下に説明する本願の各実施形態に係る技術的特徴は、相互に矛盾しない限り、相互に組み合わせられてもよい。
【0047】
実施例1
本実施例は半導体基板層の処理方法を提供し、
図1を参照すると、
単結晶シリコンウェーハを提供するステップS1と、
単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行うステップS2と、
単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーするステップS3と、
単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行うステップS4と、を含む。
【0048】
本願では、前記表面酸化処理は、拡散液に対する単結晶シリコンウェーハの親液性を高めることに用いられる。拡散液は、拡散焼鈍ステップにおいてドーピング層を形成し、単結晶シリコンウェーハ内の金属不純物を除去することに用いられる。
【0049】
本実施例の半導体基板層の処理方法は、拡散液をスプレーする前に単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行う。表面酸化処理により、単結晶シリコンウェーハの表面に酸化層を予め形成することができる。拡散液に対する単結晶シリコンウェーハの表面の酸化層の親液性がより良好であるため、拡散液をスプレーする際の拡散液の広がり性はより良好になり、且つ拡散液をスプレーする際の拡散液の広がり速度はより速くなる。それにより、単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液はより均一に広がり、単結晶シリコンウェーハの焼鈍処理の均一性が高まり、半導体基板層の特性が大幅に向上する。
【0050】
本実施例では、
図2を参照すると、前記単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行う前に、
前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去するステップA1と、前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去した後に、疎水性溶液で前記単結晶シリコンウェーハの表面を脱水処理するステップA2と、前記脱水処理の後に、前記単結晶シリコンウェーハを乾燥処理するステップA3と、をさらに含む。
【0051】
本実施例では、
図2を参照すると、拡散焼鈍処理の後に、ドーピング層を除去するステップS5をさらに含む。
【0052】
【0053】
図3を参照すると、単結晶シリコンウェーハ100を提供する。
【0054】
前記単結晶シリコンウェーハ100の材料は単結晶シリコンを含む。他の実施例では、前記単結晶シリコンウェーハの材料は、ゲルマニウム又はシリコンゲルマニウム等の他の半導体材料である。前記半導体基板層の材料は他の半導体材料であってもよい。
【0055】
本実施例では、前記単結晶シリコンウェーハ100の導電タイプがN型であり、その後に形成される半導体基板層の導電タイプがN型であり、半導体基板層は太陽電池に用いられる。なお、他の実施例では、単結晶シリコンウェーハの導電タイプがP型である。
【0056】
本実施例では、前記単結晶シリコンウェーハ100の表面はダメージ層110を有する。1つの具体的な実施例では、前記単結晶シリコンウェーハ100の正面と背面の両方にダメージ層110がある。前記ダメージ層110は、単結晶原料を切断し単結晶シリコンウェーハ100を形成する過程で生じるものである。
【0057】
図4を参照すると、前記単結晶シリコンウェーハ100の表面のダメージ層110(
図3)を除去する。
【0058】
本実施例では、ダメージ層110を除去するプロセスはウェットエッチングプロセスを含み、1つの具体的な実施例では、前記単結晶シリコンウェーハ100の表面のダメージ層110を除去することに用いられる腐食液はNaOH水溶液、KOH水溶液、又はHFとHNO3の混合溶液である。前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去することに用いられる腐食液がNaOH水溶液である場合、NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去することに用いられる腐食液がKOH水溶液である場合、KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去することに用いられる腐食液がHFとHNO3の混合溶液である場合、HFとHNO3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO3を1:3~1:9の体積比で調製する。
【0059】
図5を参照すると、前記単結晶シリコンウェーハ100の表面のダメージ層110を除去した後に、疎水性溶液で前記単結晶シリコンウェーハの表面を脱水処理する。
【0060】
前記疎水性溶液はHF水溶液を含む。
【0061】
他のいくつかの実施例では、ダメージ層110を除去することに用いられる腐食液がNaOH溶液又はKOH溶液である場合、脱水処理の前に、中和処理液で残留する腐食液を除去するステップをさらに含む。中和処理液はHFとHClの混合溶液である。
【0062】
図6を参照すると、前記脱水処理の後に、前記単結晶シリコンウェーハ100を乾燥処理する。
【0063】
図7を参照すると、単結晶シリコンウェーハ100に対して表面酸化処理を行う。前記表面酸化処理により、前記単結晶シリコンウェーハ100の表面に酸化層120が形成される。表面酸化処理により、その後で単結晶シリコンウェーハ100の表面に拡散液をスプレーする際に、初期半導体層100の表面に広がる拡散液の均一性を高めることができる。
【0064】
1つの実施例では、前記酸化層120の厚さは0.5nm~20nmであり、例えば、0.5nm、1nm又は2nmであってもよい。
【0065】
酸化層120自体が非常に薄いため、その後の拡散焼鈍ステップで拡散液中の拡散イオンが酸化層120を通って拡散することに影響を与えることがない。
【0066】
前記単結晶シリコンウェーハの材料が単結晶シリコンである場合、前記酸化層120の材料は酸化ケイ素である。
【0067】
表面酸化処理を行うステップは、単結晶シリコンウェーハ100の表面に酸素含有ガスを噴射するステップを含む。
【0068】
具体的には、酸素含有ガスは、例えば、オゾンであってもよい。オゾンの酸化能力は比較的良好である。
【0069】
1つの実施例では、酸素含有ガスの濃度は50ppm~300ppmであり、例えば50ppm、100ppm、150ppm、200ppm、250ppm又は300ppmである。酸素含有ガスの濃度が低すぎると、酸化速度が遅くなり、プロセス効率が低下し、酸素含有ガスの濃度が高すぎると、酸化速度が速くなりすぎて、酸化中に比較的良好に制御することが困難になる。
【0070】
1つの実施例では、酸素含有ガスの噴射速度は0.5slm~5slm(standard liter per minute、標準リットル/分)であり、例えば0.5slm、1slm、2slm、4slm又は5slmである。酸素含有ガスの噴射速度が遅すぎると、酸化速度が遅くなり、プロセス効率が低下し、酸素含有ガスの噴射速度が速すぎると、酸化速度が速くなりすぎて、酸化中に比較的良好に制御することが困難になり、さらに、酸素含有ガスの利用が不十分で無駄が多くなる。
【0071】
1つの実施例では、酸素含有ガスの噴射時間は5秒~30秒であり、例えば5s、10s、15s、20s、25s又は30sである。酸素含有ガスの噴射時間が短過ぎると、酸化が不十分になり、酸化層120の厚さが薄くなりすぎて、酸化層120の均一性が悪くなり、単結晶シリコンウェーハの表面に広がる拡散液の均一性の向上の程度が低くなり、酸素含有ガスの噴射時間が長すぎると、酸化層120が厚くなりすぎて、拡散液中の拡散イオンの拡散に不利である。
【0072】
酸素含有ガスの噴射は、好ましくは、単結晶シリコンウェーハ100に垂直な方向に噴射する。
【0073】
いくつかの実施例では、単結晶シリコンウェーハ100の対向する両側面の両方に酸素含有ガスを噴射し、単結晶シリコンウェーハ100の対向する両側の両方に酸化層120を形成する。
【0074】
図8を参照すると、単結晶シリコンウェーハ100の表面に拡散液をスプレーし、その後、単結晶シリコンウェーハ100の表面に対して拡散焼鈍処理を行い、前記拡散液中の拡散イオンは前記酸化層120を通って前記単結晶シリコンウェーハ100の一部の厚みに拡散して、前記単結晶シリコンウェーハ100の一部の厚みに、前記酸化層120に被覆されるドーピング層130が形成され、前記拡散焼鈍処理は前記単結晶シリコンウェーハ100内の不純物を前記ドーピング層130に移動させることに適する。
【0075】
ドーピング層130の金属不純物に対する固体溶解度が初期半導体層よりも高いため、金属不純物は、初期半導体層のドーピング層130が形成されていない部分からドーピング層130へ徐々に移動する。本実施例では、前記拡散焼鈍処理の後に、酸化層120にも拡散イオンがドーピングされており、酸化層120の材料が酸化ケイ素であり、拡散イオンがリンイオンである場合、酸化層120は、前記拡散焼鈍処理の後に拡散イオンがドーピングされた酸化層120’に形成され、酸化層120’はリンケイ酸ガラス(PSG)である。
【0076】
本実施例では、単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーするステップは、具体的に、初期半導体層の表面にリン酸をスプレーし、リン酸を初期半導体層の表面に自然に広げる。そのうち、リン酸溶液の濃度は2質量%~12質量%である。
【0077】
いくつかの実施例では、単結晶シリコンウェーハ100の対向する両側面にそれぞれ拡散液をスプレーし、単結晶シリコンウェーハ100の対向する両側にドーピング層130を形成する。
【0078】
本実施例では、拡散焼鈍処理のステップは、順に行われた昇温過程、保温過程及び冷却過程を含み、前記保温過程は前記拡散イオンを前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散させることに適し、前記冷却過程は前記単結晶シリコンウェーハ内の不純物を前記ドーピング層に移動させることに適する。本実施例では、拡散焼鈍処理は、連鎖拡散焼鈍炉に行われる連鎖拡散焼鈍処理である。
【0079】
昇温過程の時間は50s~100sであり、例えば50s、60s、70s、80s、90s、100sである。昇温過程は室温から800℃~900℃、例えば800℃、850℃、900℃に加熱するものである。保温過程での温度は800℃~900℃に保持される。冷却過程の時間は50s~100sであり、例えば50s、60s、70s、80s、90s、100sである。冷却過程での温度は保温過程の温度から300℃~500℃低下する。
【0080】
本実施例では、初期半導体層100の材料は単結晶シリコンであり、ドーピング層130はリンがドーピングされたシリコン層である。ドーピング層130の厚さは0.15μm~0.3μmであり、例えば0.15μm、0.2μm、0.25μm、0.3μmである。
【0081】
拡散液が単結晶シリコンウェーハの表面により均一に広がるため、ドーピング層内の拡散イオンの分布はより均一になり、ドーピング層のゲッタリング効果が異なる領域でより一貫になる。
【0082】
図9を参照すると、前記酸化層120’を除去し、前記酸化層120’を除去した後、前記ドーピング層130を除去して半導体基板層200を形成する。
【0083】
本実施例では、前記酸化層120’を除去するための腐食液はHCl水溶液であり、HCl水溶液の濃度は4質量%~5質量%であり、例えば4%又は5%である。本実施例では、ドーピング層130を除去するプロセスはウェットエッチングプロセスを含む。1つの具体的な実施例では、ドーピング層130を除去することに用いられる腐食液はNaOH水溶液又はKOH水溶液である。ドーピング層130を除去することに用いられる腐食液がNaOH水溶液である場合、NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、ドーピング層130を除去することに用いられる腐食液がKOH水溶液である場合、KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%である。
【0084】
他の実施例では、前記酸化層120’の除去及び前記ドーピング層130の除去の両方にはHFとHNO3の混合溶液が用いられる。酸化層120及びドーピング層130を除去することに用いられる腐食液がHFとHNO3の混合溶液である場合、HFとHNO3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO3を1:3~1:9の体積比で調製する。
【0085】
ドーピング層のゲッタリング効果が異なる領域でより一貫しているため、ドーピング層を除去した後の半導体基板層内の不純物の除去効果はより良好になる。
【0086】
他のいくつかの実施例では、ドーピング層を除去した後に、中和洗浄液で単結晶シリコンウェーハを洗浄するステップをさらに含む。そのうち、中和洗浄液はHFとHClの混合溶液である。
【0087】
最後に、乾燥を行い、半導体基板層200の処理を完了する。
【0088】
未酸化処理の単結晶シリコンウェーハを比較グループとし、本実施例の処理方法で得られた半導体基板層のテスト結果の相対値は以下の通りである(未酸化処理の単結晶シリコンウェーハを基準値とする)。
【表1】
【0089】
これから分かるように、酸化処理の後に、半導体基板層の平均少数キャリア寿命、少数キャリア寿命の最小値はいずれも顕著に改善され、少数キャリア寿命の最大値及び製造される電池の効率もある程度で向上する。
【0090】
実施例2
本実施例は、実施例1に係る半導体基板層の処理方法を含む太陽電池の製造方法を提供する。
【0091】
本実施例では、太陽電池の製造方法は、前記半導体基板層を処理した後に、前記半導体基板層に対してテクスチャ化処理を行うステップと、テクスチャ化処理の後に、前記半導体基板層の一方側の面に第1真性半導体層を形成し、前記半導体基板層の他方側の面に第2真性半導体層を形成するステップと、前記第1真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1ドーピング半導体層を形成し、前記第2真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2ドーピング半導体層を形成するステップと、前記第1ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1透明導電性膜を形成し、前記第2ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2透明導電性膜を形成するステップと、前記第1透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第1グリッド電極を形成し、前記第2透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第2グリッド電極を形成するステップと、をさらに含む。
【0092】
半導体基板層の不純物の除去効果がより高いため、本実施例における太陽電池の製造方法で最終的に形成された太陽電池の光電変換効率がより高く、耐用年数がより長い。
【0093】
明らかに、上記の実施例は、単に明確に説明するための例示にすぎず、実施例を限定するものではない。当業者にとっては、上述した説明に基づいて、他の様々な形態の変化又は変更を行うことができる。ここでは、すべての実施形態を網羅する必要はなく、また、網羅することもできない。そして、このようにして導出された自明な変化又は変更も、本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0094】
100 単結晶シリコンウェーハ
110 ダメージ層
120 酸化層
120’ 酸化層
130 ドーピング層
200 半導体基板層
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコンウェーハを提供するステップと、前記単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーするステップと、単結晶シリコンウェーハを焼鈍処理するステップと、を含む半導体基板層の処理方法であって、
前記単結晶シリコンウェーハの表面に拡散液をスプレーする前に、前記単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行うステップであって、前記表面酸化処理は、前記拡散液に対する前記単結晶シリコンウェーハの表面の親液性を高めて、前記単結晶シリコンウェーハの焼鈍処理の均一性を高めることに用いられるステップをさらに含む、ことを特徴とする半導体基板層の処理方法。
【請求項2】
前記表面酸化処理を行うステップは、前記単結晶シリコンウェーハの表面に酸素含有ガスを噴射するステップを含み、
好ましくは、前記酸素含有ガスはオゾンを含み、
好ましくは、前記酸素含有ガスの濃度は50ppm~300ppmであり、
好ましくは、前記酸素含有ガスの噴射速度は0.5slm~5slmであり、
好ましくは、前記酸素含有ガスの噴射時間は5秒~30秒であり、
好ましくは、前記表面酸化処理のステップにおいて、前記酸素含有ガスを前記単結晶シリコンウェーハの表面に向けて垂直に噴射する、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項3】
前記表面酸化処理により、前記単結晶シリコンウェーハの表面に酸化層が形成され、
前記単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行うステップにより、前記拡散液中の拡散イオンは前記酸化層を通って前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散して、前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに、前記酸化層に被覆されるドーピング層が形成され、前記拡散焼鈍処理は前記単結晶シリコンウェーハ内の不純物を前記ドーピング層に移動させることに適し、
好ましくは、前記拡散焼鈍処理は連鎖拡散焼鈍処理である、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項4】
前記酸化層の厚さは0.5nm~20nmであり、
好ましくは、前記単結晶シリコンウェーハの材料は単結晶シリコンを含み、前記酸化層の材料は酸化ケイ素を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項5】
前記単結晶シリコンウェーハの表面に対して拡散焼鈍処理を行うステップは、順に行われた昇温過程、保温過程及び冷却過程を含み、前記保温過程は前記拡散イオンを前記単結晶シリコンウェーハの一部の厚みに拡散させることに適し、前記冷却過程は前記単結晶シリコンウェーハ内の不純物を前記ドーピング層に移動させることに適し、
好ましくは、前記保温過程の温度は800℃~900℃であり、
好ましくは、前記ドーピング層の厚さは0.15μm~0.3μmである、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項6】
前記拡散液はリン酸溶液を含み、
好ましくは、前記リン酸溶液の濃度は2質量%~12質量%である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項7】
前記単結晶シリコンウェーハに対して表面酸化処理を行う前に、
前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去するステップと、
前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去した後に、疎水性溶液で前記単結晶シリコンウェーハの表面を脱水処理するステップと、
前記脱水処理の後に、前記単結晶シリコンウェーハを乾燥処理するステップと、をさらに含み、
好ましくは、前記単結晶シリコンウェーハの表面のダメージ層を除去することに用いられる腐蝕液はNaOH水溶液、KOH水溶液、又はHFとHNO
3の混合溶液であり、
好ましくは、前記疎水性溶液はHF水溶液を含み、
好ましくは、前記NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記HFとHNO
3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO
3を1:3~1:9の体積比で調製する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項8】
前記拡散焼鈍処理の後に、
前記酸化層を除去するステップと、
前記酸化層を除去した後に、前記ドーピング層を除去するステップと、をさらに含み、
好ましくは、前記酸化層を除去するための腐蝕液はHCl水溶液であり、HCl水溶液中のHClの濃度は4質量%~5質量%であり、
好ましくは、前記ドーピング層を除去することに用いられる腐蝕液はNaOH水溶液又はKOH水溶液であり、
好ましくは、前記酸化層の除去及び前記ドーピング層の除去の両方はHFとHNO
3の混合溶液を用い、
好ましくは、前記NaOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記KOH水溶液の濃度は2質量%~15質量%であり、
好ましくは、前記HFとHNO
3の混合溶液は、濃度が45質量%~50質量%のHFと濃度が60質量%~70質量%のHNO
3を1:3~1:9の体積比で調製する、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項9】
前記ドーピング層を除去した後に、中和洗浄液で前記単結晶シリコンウェーハを洗浄するステップをさらに含み、
好ましくは、前記中和洗浄液はHFとHClの混合溶液である、ことを特徴とする請求項8に記載の半導体基板層の処理方法。
【請求項10】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の半導体基板層の処理方法を含む、ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記半導体基板層を処理した後に、
前記半導体基板層に対してテクスチャ化処理を行うステップと、
テクスチャ化処理の後に、前記半導体基板層の一方側の面に第1真性半導体層を形成し、前記半導体基板層の他方側の面に第2真性半導体層を形成するステップと、
前記第1真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1ドーピング半導体層を形成し、前記第2真性半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2ドーピング半導体層を形成するステップと、
前記第1ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第1透明導電性膜を形成し、前記第2ドーピング半導体層の前記半導体基板層とは反対側に第2透明導電性膜を形成するステップと、
前記第1透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第1グリッド電極を形成し、前記第2透明導電性膜の前記半導体基板層とは反対側に第2グリッド電極を形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
【国際調査報告】