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特表2024-537423エステル官能性シロキサンオリゴマーを調製するためのヒドロシリル化反応を促進する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】エステル官能性シロキサンオリゴマーを調製するためのヒドロシリル化反応を促進する方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/08 20060101AFI20241003BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C07F7/08 X
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523505
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022077831
(87)【国際公開番号】W WO2023069844
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,075
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス、スヴァギャ
(72)【発明者】
【氏名】フィスク、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ムコパディヤーイ、スクリット
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
【Fターム(参考)】
4H039CA92
4H039CF10
4H049VN01
4H049VP03
4H049VQ79
4H049VR22
4H049VR23
4H049VR41
4H049VR42
4H049VS79
4H049VT17
4H049VT30
4H049VW02
4H049VW32
(57)【要約】
エステル官能性シロキサンを調製するための方法は、アルケニルエーテル及びオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーのヒドロシリル化を含む。白金ヒドロシリル化触媒及び促進剤がこの方法において使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル官能性シロキサンを調製するための方法であって、
(1)
(A)式
【化1】

(式中、Rは、1個~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、Rは、水素及び1個~12個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)
のアルケニルエーテル、
(B)単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(HRSiO2/2(R SiO2/2
(式中、各Rは、独立して選択される1個~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、下付き文字a、b、c及びdはそれぞれ、単位式中の単位の平均数を表し、0≦a≦2、0<b≦2、0≦c≦3、0≦d≦3、(a+b)の量=2、(b+c)の量≧1、(a+b+c+d)の量が2~10であるような値を有する)
のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
ここで、(A)前記アルケニルエーテルと(B)前記オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーとが、(B)前記オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー:(A)前記アルケニルエーテル(B)の量のモル比(B):(A)が1.25:1~0.75:1であるような量で存在し、
(C)白金ヒドロシリル化反応触媒、並びに
前記エステル官能性シロキサン:オキシ-シリルエステル副生成物の≧2.5:1の収率比と、出発材料(A)及び(B)の≧50%の転化率との両方を提供するのに十分な量の、(D)式
【化2】

(式中、式
【化3】

の各基は、シクロヘキシル及びフェニルからなる群から独立して選択され、各Rは、独立して選択される1個~6個の炭素原子のアルキル基であり、各下付き文字xは、独立して0、1、又は2である)の促進剤、
を含む出発材料を合わせること
を含む、方法。
【請求項2】
出発材料(A)中、Rがメチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発材料(A)中、Rが、式
【化4】

のアルケニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
出発材料(A)中、Rが、式
【化5】

のアルケニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
出発材料(B)が、式
【化6】

を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各Rが、メチルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
出発材料(C)が、白金ビニルジメチルシロキサン錯体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)の前に、(C)前記白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)前記促進剤とを合わせることを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(C)前記白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)前記促進剤とが、(E)溶媒中で合わせられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
出発材料(D)の量が、白金1モル当たり>0.5モル~<1.25モルであり、出発材料(D)が
(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、
(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン、及び
(D3)(D1)と(D2)との両方の組合せ、からなる群から選択される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記促進剤が(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記促進剤が(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記(D)促進剤の量が、白金1モル当たり0.75モル~1モルである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
(F)(メタ)アクリレート重合阻害剤を添加することを更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(1)の後に、(2)前記エステル官能性シロキサンを回収することを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で2021年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/270075号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/270075号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
エステル官能性シロキサンオリゴマーを調製するための方法が開示される。より詳細には、本方法は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーによるアリルエーテルのヒドロシリル化の収率及び選択性を改善するために促進剤を使用する。
【背景技術】
【0003】
現在、シロキサン-(メタ)アクリレート化合物は、アリルメタクリレート1と1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン2との反応によって以下の式1に例示されるように、(メタ)アクリルオキシ官能性アルケニル化合物とオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーとの直接白金触媒ヒドロシリル化反応を介して合成することができる。しかしながら、この直接反応は、オキシ-シリルエステル及びアルキレンヒドロシリル化生成物(それぞれ、オキシ-シリルエステル4及びプロピレンヒドロシリル化付加物5によって式1に例示される)を含む、かなりの量の副生成物があり、所望の生成物(式1においてMD’M-ALMA 3によって例示される)の収率が45%~55%程度と低いという欠点を有する。オキシ-シリルエステル副生成物は、MD’M-ALMAと同様の沸点を有し、蒸留が困難で、時間がかかり、高価になる。
【0004】
【化1】
【発明の概要】
【0005】
(A)アルケニルエーテル及び(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを含む出発材料を、(C)ヒドロシリル化反応触媒及び(D)促進剤の存在下で合わせることを含む、エステル官能性シロキサンを調製するための方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
より具体的には、エステル官能性シロキサンを調製するための方法は
(1)
(A)式(A1):
【0007】
【化2】

(式中、Rは一価炭化水素基であり、Rは水素及び1個~12個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)
のアルケニルエーテル、
(B)単位式(B1):(R SiO1/2(R HSiO1/2(HRSiO2/2(R SiO2/2
(式中、Rは上記の通りであり、下付き文字a、b、c及びdは、それぞれ、単位式(B1)中の単位の平均数を表し、0≦a≦2、0<b≦2、0≦c≦3、0≦d≦3、(a+b)の量=2、(b+c)の量≧1、(a+b+c+d)の量が2~10であるような値を有する)
のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
ここで、(A)アルケニルエーテルと(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーとが、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの量:(A)アルケニルエーテルの量のモル比、すなわち、(B):(A)比が、1.25:1~0.75:1、あるいは1.0:1~1.1:1であるような量で存在し、
(C)白金ヒドロシリル化反応触媒、並びに
エステル官能性シロキサン:オキシ-シリルエステル副生成物の≧2.5:1の収率比と、出発材料(A)及び(B)の≧50%の転化率との両方を提供するのに十分な量の、(D)式
【0008】
【化3】

(式中、式
【0009】
【化4】

の各基は、シクロヘキシル及びフェニルからなる群から独立して選択され、各Rは、独立して選択される1個~6個の炭素原子のアルキル基であり、各下付き文字xは、0、1又は2である)を有する促進剤、
を含む出発材料を合わせること
を含む。各アルキル基Rは、存在する場合、式
【0010】
【化5】

の基中の炭素原子に結合する。本明細書で使用するとき、「収率比」は、[エステル官能性シロキサンの(重量/分子量)]:[オキシ-シリルエステル副生成物の(重量/分子量)]を意味する。
【0011】
上記の方法の工程(1)は、出発材料を混合及び加熱することを含んでもよい。出発材料は、任意の順序で合わせてもよい。あるいは、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒及び(D)促進剤を(A)アルケニルエーテル及び(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの一方と合わせて反応混合物を形成してもよく、その後、(A)アルケニルエーテル及び(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの他方を反応混合物に連続的又は断続的に計量供給してもよい。例えば、(A)アルケニルエーテル、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒、及び(D)促進剤を含む出発材料を合わせて反応混合物を形成してもよく、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを反応混合物に計量供給してもよい。
【0012】
あるいは、本方法は、任意選択で、(A)アルケニルエーテルと(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーとを合わせる工程(1)の前に、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒及び(D)促進剤を合わせることを更に含んでもよい。出発材料(E)である溶媒は、例えば、出発材料の混合を促進するために、例えば、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)促進剤との混合を促進するために、工程(1)において、又は工程(1)の前に使用してもよい。混合は、周囲温度又は高温、例えばRT~選択された溶媒の沸点未満、例えばRT~50℃で行ってもよい。
【0013】
理論に束縛されるものではないが、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)促進剤とを、他の出発材料と合わせる前に、任意選択で(E)溶媒の存在下で合わせることにより、白金-配位子錯体が形成され(促進剤が配位子である場合)、次いでこの錯体が工程(1)において触媒として作用し得ると考えられる。上記で紹介した出発材料を以下に詳細に説明する。
【0014】
(A)アルケニルエーテル
出発材料(A)は、式(A1):
【0015】
【化6】

のアルケニルエーテルであり、式中、Rは、1個~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、Rは、水素及び1個~12個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される。あるいは、各Rは、Hでもよい。
【0016】
あるいは、各Rは、1個~12個の炭素原子のアルキル基、及び2個~12個の炭素原子のアルケニル基からなる群から選択されてもよい。R及び/又はRのアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、及びイソブチルを含む)、ペンチル(n-ペンチル、シクロペンチル、及び5個の炭素原子を有する分岐異性体を含む)、ヘキシル(n-ヘキシル、シクロヘキシル、及び6個の炭素原子を有する分岐異性体を含む)であってもよい。あるいは、アルキル基は、メチル又はエチルであってもよく、あるいはメチルであってもよい。Rのアルケニル基は、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、分岐アルケニル基であってもよい。例えば、アルケニル基は式
【0017】
【化7】

を有してもよく、(A)は、Sigma Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)などの様々な供給元から市販されているアリルメタクリレートであってもよい。あるいは、Rのアルケニル基は、式
【0018】
【化8】

を有してもよく、(A)は、Sigma Aldrich,Inc.などの様々な供給元から市販されているアリルアクリレートであってもよい。
【0019】
あるいは、Rがメチルである場合、(A)は、Sigma Aldrich,Inc.などの様々な供給元から市販されている酢酸アリルであってもよい。
【0020】
あるいは、出発材料(A)は、式(A2):
【0021】
【化9】

の(メタ)アクリレート官能性アルケニル化合物であってもよく、式中、Rは、H、アルキル及びアリールからなる群から選択され、Rは、H、アルキル及びアリールからなる群から選択され、Rは、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。R、R及びRに好適なアルキル基は、1個~12個の炭素原子、あるいは1個~6個の炭素原子を有してもよい。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル(及び5個~12個の炭素原子を有する分岐異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。あるいは、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から選択されてもよく、あるいは、メチル、エチル、及びプロピル、あるいは、メチル及びエチルからなる群から選択され得る。あるいは、アルキル基は、メチルであってもよい。好適なアリール基は、単環式又は多環式であってもよく、ペンダントヒドロカルビル基を有してもよい。例えば、アリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、及びナフチルが挙げられ、更にベンジル、1-フェニルエチル、及び2-フェニルエチルなどのアラルキル基が挙げられる。あるいは、アリール基は、フェニル、トリル、又はベンジルなどの単環式であってもよく、あるいは、アリール基は、フェニルであってもよい。あるいは、R、R及びRはそれぞれH及びメチルからなる群から選択されてもよい。あるいは、RはHであってもよい。あるいは、RはHであってもよい。あるいは、Rはメチルであってもよい。出発材料(A)に好適な市販の化合物の例としては、アリル(メタ)アクリレートが挙げられる。好適な(メタ)アクリレート官能性アルケニル化合物は、例えば、Sigma Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。
【0022】
(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー
本明細書に記載の方法の工程(1)で使用される出発材料(B)は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーである。オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子、あるいは1分子当たり厳密に1個のケイ素結合水素原子を有する。オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、単位式(B1):(R SiO1/2(R HSiO1/2(HRSiO2/2(R SiO2/2
(式中、各Rは上記の通りであり、下付き文字a、b、c及びdは、それぞれ、単位式中の単位の平均数を表し、0≦a≦2、0<b≦2、0≦c≦3、0≦d≦3、(a+b)の量=2、(b+c)の量≧1、(a+b+c+d)の量は2~10であるような値を有する)
を有してもよい。あるいは、8≧(a+b+c+d)≧2、あるいは6≧(a+b+c+d)≧2、あるいは3≧(a+b+c+d)≧2、あるいは(a+b+c+d)=3である。
【0023】
あるいは、出発材料(B)は式
(B2)
【0024】
【化10】

又は(B3)
【0025】
【化11】

(式中、Rは上記の通りであり、RはH及びRからなる群から選択され、ただし、1分子当たり少なくとも1個のRはHである)
を有してもよい。あるいは、1分子当たり1個のRはHであり、1分子当たり1個のRはRである。
【0026】
あるいは、出発材料(B)は、式(B4)
【0027】
【化12】

又は式(B5)
【0028】
【化13】

(式中、Rは上記の通りである)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーであってもよい。
【0029】
出発材料(B)に好適なオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、当該技術分野で既知であり、市販されている。例えば、出発材料(B)に好適なオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、又は1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンであってもよく、これらは、例えばSigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)から入手可能である。あるいは、出発材料(B)は、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンであってもよい。
【0030】
出発材料(B)は、1種のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、又は少なくとも1つの点、例えば、Rの選択、ケイ素結合水素の位置、及び/若しくはDPにおいて互いに異なる2種以上のオリゴマーの組合せであってもよい。しかしながら、(A)アルケニルエーテル及び(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー:(A)アルケニルエーテルの量のモル比 (B):(A)は、1.25:1~0.75:1、あるいは1.0:1~1.1:1であり、工程(1)で使用される。
【0031】
(C)白金ヒドロシリル化反応触媒
出発材料(C)は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、出発材料(A)アルケニルエーテル中のアルケニル基と、出発材料(B)オルガノハイドロジェンシロキサン中のケイ素結合水素原子との間の反応を促進する。この触媒は白金を含む。ヒドロシリル化反応触媒は、上記の(C1)白金金属、(C2)白金金属の化合物、例えば、塩化白金酸(Speier触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、(C3)この化合物とアルケニル官能性オルガノポリシロキサンとの錯体、又は(C4)マトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された白金化合物であってもよい。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-ジエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと白金との錯体(Karstedt触媒)、及びテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン中のPt(0)錯体(Ashby錯体)のようなビニルジメチルシロキサン錯体と白金との錯体、が挙げられる。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化された上記のような(C5)化合物又は錯体であってもよい。本明細書で使用するのに好適な白金含有触媒の具体例としては、六水和物の形態若しくは無水物の形態のいずれかの塩化白金酸、又は塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和オルガノシリコン化合物と反応させることを含む方法により得られる白金含有触媒、又はRoyの米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体が挙げられる。これらのアルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtClを、0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiClと混合することによって調製されてもよく、CODは、シクロオクタジエニルを表す。他の例示的なヒドロシリル化反応触媒は、Speierの米国特許第2,823,218号、Ashbyの同第3,159,601号、Lamoreauxの同第3,220,972号、Chalkらの同第3,296,291号、Willingの同第3,419,593号、Modicの同第3,516,946号、Karstedtの同第3,814,730号、Chandraの同第3,928,629号、Leeらの同第3,989,668号、Leeらの同第4,766,176号、Leeらの同第4,784,879号、Togashiの同第5,017,654号、Chungらの同第5,036,117号、及びBrownの同第5,175,325号、並びにTogashiらの欧州特許出願公開第0 347 895(A)号に記載されている。出発材料(C)に好適なヒドロシリル化反応触媒は市販されており、例えばSYL-OFF(商標)4000触媒及びSYL-OFF(商標)2700は、DSCから入手可能である。
【0032】
出発材料(C)は、1種の白金ヒドロシリル化反応触媒であってもよく、又は上記の白金ヒドロシリル化反応触媒の2種以上の組合せであってもよい。本方法中で使用される(C)白金ヒドロシリル化反応触媒の量は、出発材料(A)、(B)、及び(D)の選択を含む様々な要因に依存するが、触媒の量は、SiH及びアルケニル基のヒドロシリル化反応を触媒するのに十分であり、あるいは触媒の量は、本明細書に記載の方法の工程(1)で使用される出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量に基づいて、質量で少なくとも0.01ppm、あるいは少なくとも0.05ppm、あるいは少なくとも0.1ppm、あるいは少なくとも0.5ppm、あるいは少なくとも1ppmの白金族金属を提供するのに十分である。同時に、触媒の量は、同じ基準で、質量で最大1,000ppm、あるいは最大800ppm、あるいは最大500ppm、あるいは最大100ppmの白金族金属を提供するのに十分である。
【0033】
(D)促進剤
本明細書に記載の方法で使用される出発材料(D)は、(D)促進剤であり、これは一般式:
【0034】
【化14】

(式中、式
【0035】
【化15】

は、シクロヘキシル及びフェニルからなる群から独立して選択され、各Rは、独立して選択される1個~6個の炭素原子のアルキル基であり、各下付き文字xは、0、1又は2である)を有する。各Rは、存在する場合、シクロヘキシル又はフェニル環中の炭素原子に共有結合している。Rに好適なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、及びブチル、あるいはメチル又はエチル、あるいはメチルが挙げられる。各下付き文字xは、0、1又は2、あるいは0又は1、あるいはx=0であってもよい。下付き文字xの各実例は同一でも異なっていてもよい。あるいは、(D)促進剤は、(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン、及び(D3)(D1)と(D2)との両方の組合せからなる群から選択されてもよい。あるいは、促進剤は(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンであってもよい。あるいは、促進剤は(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタンであってもよい。これらの化合物のそれぞれは、様々な供給元、例えば、Sigma Aldrich,Inc.、TCI America又はAlfa Aesarから市販されている。
【0036】
本方法において使用される促進剤の量は、エステル官能性シロキサン:オキシ-シリルエステル副生成物の≧2.5:1の収率比と出発材料(A)及び(B)の≧50%の転化率との両方を提供するのに十分な量である。あるいは、促進剤の量は、≧3:1の収率と出発材料(A)及び(B)の≧50%の転化率との両方を提供するのに十分であり得る。あるいは、促進剤の量は、≧3.4:1の収率比と出発材料(A)及び(B)の≧50%の転化率との両方を提供するのに十分であり得る。あるいは、促進剤の量は、出発材料(C)からの白金1モル当たり>0.5モル~<1.25モルであってもよい。あるいは、促進剤の量は、出発材料(C)からの白金1モル当たり、少なくとも0.75モル、あるいは>0.5モルであってもよく、一方、同時に、促進剤の量は、最大1モル、あるいは<1.25モルであってもよい。
【0037】
(E)溶媒
出発材料(E)は溶媒であり、これは1つ以上の出発材料の混合を促進するために使用されてもよい。例えば、工程(1)の前に、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒を溶媒中で供給してもよく、及び/又は(C)白金ヒドロシリル化反応触媒及び(D)促進剤を溶媒中で合わせてもよい。好適な溶媒としては、ポリジアルキルシロキサン、一価アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及びこれらの2種以上の組合せが挙げられる。好適な蒸気圧を有するポリアルキルシロキサンを溶媒として使用してもよく、これらとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、並びにDSCから市販されている0.5cSt~1.5cStのDOWSIL(商標)200Fluid及びDOWSIL(商標)OS FLUIDなどの他の低分子量ポリアルキルシロキサンが挙げられる。一価アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール及び/又はsec-ブタノールなどの1個~6個の炭素原子を有してもよい。芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレンなどの6個~20個の炭素原子を有してもよい。脂肪族炭化水素は、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン又はオクタンなどの1個~20個の炭素原子を有してもよい。一価アルコール及び炭化水素溶媒は、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)などの様々な供給元から市販されている。出発材料(E)は、上記の1種の溶媒又は2種以上の溶媒の組合せであってもよい。
【0038】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、並びに本方法において使用するために選択される他の出発材料の量及び種類など、様々な要因に依存する。しかしながら、溶媒の量は、工程(1)で使用される全ての出発材料の合計重量に基づいて0%~10%であってもよい。
【0039】
本方法は、任意選択で、工程(1)の前及び/又は間に(F)(メタ)アクリレート重合阻害剤(阻害剤)を添加することを更に含んでもよい。
【0040】
(F)(メタ)アクリレート重合阻害剤
出発材料(F)は、本方法において任意選択で使用されてもよい(メタ)アクリレート重合阻害剤(阻害剤)である。阻害剤は、限定されず、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤又はこれらの組合せを含んでもよく、あるいはこれらのいずれかであってもよい。このような阻害剤は、当該技術分野において公知であり、例えば、それとの共有結合の形成を通じたフリーラジカルの除去を介して、フリーラジカルと相互作用してフリーラジカルを不活性にすることができる化学化合物又は部分を含む。阻害剤は、あるいは、重合遅延剤、すなわちラジカル重合の開始及び/又は伝播速度を低減する化合物であってもよい。例えば、阻害剤は、酸素ガスを含んでもよく、あるいは酸素ガスであってもよい。一般に、阻害剤は、出発材料(A)のある部分のラジカル重合を介して形成され得る副生成物の形成を防止及び/又は抑制するために利用される。
【0041】
阻害剤(F)は、フェノール化合物、キノン若しくはヒドロキノン化合物、N-オキシル化合物、フェノチアジン化合物、ヒンダードアミン化合物又はこれらの組合せを含んでもよい。フェノール化合物の例としては、フェノール、アルキルフェノール、アミノフェノール(例えばp-アミノフェノール)、ニトロソフェノール及びアルコキシフェノールが挙げられる。そのようなフェノール化合物の具体例としては、o-、m-、及びp-クレゾール(メチルフェノール)、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、6-tert-ブチル-2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルフェノール又は2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4’-オキシビフェニル、3,4-メチレンジオキシジフェノール(セサモール)、3,4-ジメチルフェノール、ピロカテコール(1,2-ジヒドロキシベンゼン)、2-(1’-メチルシクロヘキサ-1’-イル)-4,6-ジメチルフェノール、2-又は4-(1’-フェニルエタ-1’-イル)フェノール、2-tert-ブチル-6-メチルフェノール、2,4,6-トリス-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、メチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、4-tert-ブチルピロカテコール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,4,5-トリメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール、2-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、6-イソプロピル-m-クレゾール、n-オクタデシルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5,-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート又はペンタエリスリチルテトラキス[p-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、6-sec-ブチル-2,4-ジニトロフェノール、オクタデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3-チア-1,5-ペンタンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート]、1,9-ノナンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,7-ヘプタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,1-メタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ヒドラジド、3-(3’,5’-ジメチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ヒドラジド、ビス(3-tert-ブチル-5-エチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス[3-(1’-メチルシクロヘキサ-1’-イル)-5-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル]メタン、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)メタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)エタン、ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)スルフィド、1,1-ビス(3,4-ジメチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-3-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)ブタン、1,3,5-トリス-[1’-(3Δ,5”-ジ-tert-ブチル-4”-ヒドロキシフェン-1”-イル)メタ-1’-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,1,4-トリス(5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-2’-メチルフェン-1’-イル)ブタン及びtert-ブチルカテコール、p-ニトロソフェノール、p-ニトロソ-o-クレゾール、メトキシフェノール(グアヤコール、ピロカテコールモノメチルエーテル)、2-エトキシフェノール、2-イソプロポキシフェノール、4-メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、モノ-又はジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール、2,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンジルアルコール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド、1-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノン、オイゲノール、ジヒドロオイゲノール、イソオイゲノール、トコフェロール、例えば、α-、β-、γ-、δ-及びε-トコフェロール、トコール、α-トコフェロールヒドロキノン、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシクマラン)並びにこれらの組合せなどが挙げられる。
【0042】
好適なキノン及びヒドロキノンには、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(4-メトキシフェノール)、メチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、4-メチルピロカテコール、tert-ブチルヒドロキノン、3-メチルピロカテコール、ベンゾキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、4-エトキシフェノール、4-ブトキシフェノール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p-フェノキシフェノール、2-メチルヒドロキノン、テトラメチル-p-ベンゾキノン、ジエチル-1,4-シクロヘキサンジオン2,5-ジカルボキシレート、フェニル-p-ベンゾキノン、2,5-ジメチル-3-ベンジル-p-ベンゾキノン、2-イソプロピル-5-メチル-p-ベンゾキノン(チモキノン)、2,6-ジイソプロピル-p-ベンゾキノン、2,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-p-ベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-p-ベンゾキノン、エンベリン、テトラヒドロキシ-p-ベンゾキノン、2,5-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-アミノ-5-メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ビスフェニルアミノ-1,4-ベンゾキノン、5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、2-アニリノ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、N,N-ジメチルインドアニリン、N,N-ジフェニル-p-ベンゾキノンジイミン、1,4-ベンゾキノンジオキシム、コエルリグノン、3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメチルジフェノキノン、p-ロゾール酸(アウリン)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ベンジリデンベンゾキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン及びこれらの組合せが挙げられる。
【0043】
好適なN-オキシル化合物(すなわち、ニトロキシル又はN-オキシル基)には、少なくとも1つのN-O●基、例えば、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル(tetramethylpiperidin-N-oxyl、TEMPO)、4,4’,4”-トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)ホスファイト、3-オキソ-2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-N-オキシル、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチル-4-メトキシピペリジン、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチル-4-トリメチルシリルオキシピペリジン、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル2-エチルヘキサノエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシルセバケート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルステアレート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-ベンゾエート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル(4-tert-ブチル)ベンゾエート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン4-イル)スクシネート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)1,10-デカンジオエート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン4-イル)n-ブチルマロネート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)フタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)イソフタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン4-イル)テレフタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N’-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジパミド、N-(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カプロラクタム、N-(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ドデシルスクシンイミド、2,4,6-トリス[N-ブチル-N-(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル]トリアジン、N,N’-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-N,N’-ビスホルミル-1,6-ジアミノヘキサン、4,4’-エチレンビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペラジン-3-オン)及びこれらの組合せなどを有する化合物が含まれる。
【0044】
阻害剤において、又は阻害剤としての使用に好適な他の化合物としては、フェノチアジン(PTZ)及び同様の構造を有する化合物、例えば、フェノキサジン、プロマジン、N,N’-ジメチルフェナジン、カルバゾール、N-エチルカルバゾール、N-ベンジルフェノチアジン、N-(1-フェニルエチル)フェノチアジン、例えば、N-ベンジルフェノチアジン及びN-(1-フェニルエチル)フェノチアジンなどのN-アルキル化フェノチアジン誘導体及びこれらの組合せが挙げられる。阻害剤は、上記例示した化合物のうちの1つの化合物又は2つ以上の異なる化合物の組合せであってもよい。あるいは、阻害剤は、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)、4-ヒドロキシ(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4HT)、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシルセバケート(Bis-TEMPO)、ポリマー結合TEMPO又はこれらの組合せを含んでもよい。
【0045】
本方法は、任意選択で、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。例えば、本方法は、(2)工程(1)で調製された反応生成物からエステル官能性シロキサンを回収することを更に含んでもよい。回収することは、任意選択的に加熱及び/又は減圧下でのストリッピング及び/又は蒸留などの任意の簡便な手段によって行われてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、任意の未反応出発材料は、後続の反応においてリサイクルされてもよいと考えられる。あるいは、回収することは、エステル官能性シロキサン及び白金ヒドロシリル化反応触媒(又はこの触媒と促進剤との錯体)を分離するために行われてもよい。
【0046】
本方法により調製されるエステル官能性シロキサンは、単位式(G1):(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(式中、R並びに下付き文字a、b、c及びdは上記の通りであり、Rは式:
【0047】
【化16】

の基であり、R及びRは上記の通りである)を有してもよい。
【実施例
【0048】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを意図しており、請求項に記載されている発明を制限するものと解釈すべきではない。
【0049】
この参考例1では、アリルメタクリレートと1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(HMTS)とを白金触媒を用いてヒドロシリル化反応させて、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート(MD’M-ALMA)を形成することを検討した(上記式1参照)。試料は以下のように調製した。N充填グローブボックス内で、0.1mL(0.01mmol)のKarstedt触媒(キシレン溶液中2重量%Pt、Millipore Sigmaから市販、CAS番号2017-20-7)をGCバイアルに投入した。使用するときに、促進剤を、(Pt:促進剤)比が1:1となるように触媒溶液に添加した。得られた触媒溶液を、使用前に30分間静置した。次いで、適切な体積のこの触媒溶液(2μL、100ppm)を、2ドラムバイアル中の1mmolのアリルメタクリレート(基質1として式1に示される)(126mg)及び800ppmのTEMPO(阻害剤として使用される)に添加し、50℃に加熱した。1.1mmolのHMTS(245mg)を反応バイアルにゆっくりと注入した。反応温度を50℃で維持し、GC-FID/H NMRにより監視した。GC-FIDが基質1の部分的又は完全な消費を示したら(一般に20時間~24時間後)、加熱ブロックを取り外し、得られた生成物をNMR分光法によって更に分析した。
【0050】
GC-FIDの条件は以下の通りである。GC-FIDは、Agilent DB-5キャピラリー(15m×0.25mm×0.25μm;長さ、ID、フィルム)が装着されているAgilent 7890A上で実行した。方法は、50℃で2分間保持し、次いで、20°分-1で250℃まで上昇させ、250℃で5分間保持した。
【0051】
【表1-1】
【0052】
【表1-2】
【0053】
表1の実施例1は、促進剤を含まないと、試験した条件下で不十分な選択性をもたらしたことを示す。オキシ-シリルエステル副生成物に対して生成された所望の生成物MD’M-ALMAの収率比は、わずか1.5:1であった。更に、実施例2及び3は、米国特許第5,750,753号に開示されているものなどの比較ホスフィン化合物も、試験した条件下で不十分な選択性を促進することを示した。
【0054】
対照的に、実施例5及び9は、dppm及びdchpmが全て、1)所望の生成物MD’M-ALMAへの高い選択性(例えば、≧3.4:1の収率比)と2)出発材料の良好な転化率(例えば、≧50%)との両方を有する反応生成物を生成したことを示した。
【0055】
この参考例2では、異なる充填量のdppm及び触媒を使用して、参考例1に記載の反応を行った。結果を以下の表2に示す。
【0056】
【表2】

質量収支の残りが未反応出発材料を占め、24時間後に>90%がMD’M-ALMAに転換された
<2%~3%のプロピレンヒドロシリル化生成物しか観察されなかった
反応を完全に停止し、全ての出発材料を24時間後に回収した
【0057】
表2のデータは、促進剤の量が収率及び選択性に影響を及ぼし得ることを示した。
【0058】
本参考例3では、酢酸アリル(6)とHMTSとを白金触媒とdppmを用いて3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルアセテート(7)を形成するヒドロシリル化反応について検討した。
【0059】
【化17】
【0060】
試料は以下のように調製した。N充填グローブボックス内で、0.1mL(0.01mmol)のKarstedt触媒(キシレン溶液中2重量%Pt、Millipore Sigmaから市販、CAS番号2017-20-7)をGCバイアルに投入した。(Pt:促進剤)比が1:1~1:0.75の範囲になるように、適切な体積のジフェニルホスフィノメタン促進剤(4.0mg、0.01mmol)を触媒溶液に添加した。触媒溶液を使用前に30分間静置した。次に、この触媒溶液の適切な体積(2μL、100ppm)を、2ドラムバイアル中の1mmolの酢酸アリル(基質6)(100mg)及び800ppmのTEMPO(阻害剤として使用)に添加し、50℃に加熱した。1.1mmolのHMTS(245mg)をバイアルにゆっくり注入した。反応物を50℃で維持し、GC-FID/H NMRにより監視した。GC-FIDが酢酸アリル(基質6)の部分的又は完全な消費を示したら(一般に20時間~24時間を必要とした)、加熱ブロックを取り外し、得られた生成物をNMR分光法によって更に分析した。
【0061】
GC-FID条件:GC-FIDは、Agilent DB-5キャピラリー(15m×0.25mm×0.25μm;長さ、ID、フィルム)が装着されているAgilent 7890A上で実行した。方法は、50℃で2分間保持し、次いで、20°分-1で250℃まで上昇させ、250℃で5分間保持した。
【0062】
【表3】
【0063】
表3の結果は、dppm促進剤の使用が、試験した条件下で3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルアセテートへの良好な収率(≧65%、促進剤なしの対照より高い)及び選択性で生成物を生成するのに有効であったことを示した。
【0064】
産業上の利用可能性
エステル官能性シロキサンを調製するための方法は、本明細書に記載されるような促進剤を含まない以前の方法を超える利点を有する。利点の組合せには、1)所望のエステル官能性シロキサンへの高い選択性(例えば、≧2.5:1のエステル官能性シロキサン:オキシ-シリルエステル副生成物の収率比)と2)出発材料の良好な転化率(例えば、≧50%)との両方が含まれる。
【0065】
用語の定義及び使用法
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。発明の概要及び要約は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ明細書の文脈によって別途指定されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途指定されない限り、複数形を含む。用語「含むこと(comprising)」及びその派生語、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing)essentially of)」、及び「からなる(consist(ing)of))という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記するための「例えば(for example)」「例えば(e.g.)」、「など(such as)」、及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example, but not limited to)」又は「~などであるが、それらに限定されない(such as, but not limited to)」を意味し、他の同様又は同等の例を包含する。
【0066】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。様々な実施形態の特定の特徴又は態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュ群に関して、全ての他のマーカッシュ要素から独立したそれぞれのマーカッシュ群の各要素から、異なる、特別な、かつ/又は予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュ群の各要素は、個別に、及び/又は組み合わせて依拠されてよく、添付の特許請求の範囲内の具体的な実施形態のための適当なサポートを提供する。
【0067】
本明細書で使用される略語を、表4に定義する。
【0068】
【表4】
【0069】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、エステル官能性シロキサンを調製するための方法は、
(1)
(A)式
【0070】
【化18】

(式中Rは、1個~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、Rは、水素及び1個~12個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)
のアルケニルエーテルと、
(B)単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(HRSiO2/2(R SiO2/2
(式中、各Rは、独立して選択される1個~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、下付き文字a、b、c、及びdはそれぞれ、単位式中の単位の平均数を表し、0≦a≦2、0<b≦2、0≦c≦3、0≦d≦3、(a+b)の量=2、(b+c)の量≧1、(a+b+c+d)の量が2~10であるような値を有する)
のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
ここで、(A)アルケニルエーテルと(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーとが、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー:(A)アルケニルエーテル量のモル比が(B):(A)が1.25:1~0.75:1であるような量で存在し、
(C)白金ヒドロシリル化反応触媒、並びに
エステル官能性シロキサン:オキシ-シリルエステル副生成物の≧2.5:1の収率比と、出発材料(A)及び(B)の≧50%の転化率との両方を提供するのに十分な量の(D)式
【0071】
【化19】

(式中、式
【0072】
【化20】

は、シクロヘキシル及びフェニルからなる群から独立して選択され、各Rは、独立して選択される1個~6個の炭素原子のアルキル基であり、各下付き文字xは、0、1又は2である)の促進剤、
を含む出発材料を合わせること
を含む。
【0073】
第2の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発材料(A)中、Rは、メチルである。
【0074】
第3の実施形態では、第1又は第2の実施形態の方法において、出発材料(A)は、酢酸アリルである。
【0075】
第4の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発材料(A)中、Rは、式
【0076】
【化21】

のアルケニル基である。
【0077】
第5の実施形態では、第4の実施形態の方法において、出発材料(B)はアリルメタクリレートである。
【0078】
第6の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発材料(A)中、Rは、式
【0079】
【化22】

のアルケニル基である。
【0080】
第7の実施形態では、第6の実施形態の方法において、出発材料(A)はアリルアクリレートである。
【0081】
第8の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発材料(A)は式
【0082】
【化23】

(式中、Rは、H、アルキル及びアリールからなる群から選択され、Rは、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択され、Rは、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される)を有する。
【0083】
第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの方法において、出発材料(B)は式(B4)
【0084】
【化24】

(式中、Rは上記の通りである)を有する。
【0085】
第10の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの方法において、出発材料(B)は式(B5)(
【0086】
【化25】

式中、Rは上記の通りである)を有する。
【0087】
第11の実施形態では、第9の実施形態又は第10の実施形態の方法において、式(B4)及び式(B5)中の各Rはメチルである。
【0088】
第12の実施形態では、第1~第11の実施形態のいずれか1つの方法において、出発材料(C)は、白金ビニルジメチルシロキサン錯体を含む。
【0089】
第13の実施形態では、第1~第12の実施形態のいずれか1つの方法において、本方法は、工程(1)の前に、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)促進剤とを合わせることを更に含む。
【0090】
第14の実施形態では、第13の実施形態の方法において、(C)白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)促進剤とを合わせることは、(E)溶媒中で行われる。
【0091】
第15の実施形態では、第1~第14の実施形態のいずれか1つの方法において、出発材料(D)促進剤の量は、白金1モル当たり>0.5モル~<1.25モルである。
【0092】
第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のいずれか1つの方法において、(D)促進剤は、(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン、及び(D3)(D1)と(D2)との両方の組合せからなる群から選択される。
【0093】
第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つの方法において、(D)促進剤は、(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである。
【0094】
第18の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つの方法において、(D)促進剤は、(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタンである。
【0095】
第19の実施形態では、第1~第18の実施形態のいずれか1つの方法において、(D)促進剤の量は、白金1モル当たり0.75モル~1モルである。
【0096】
第20の実施形態では、第1~第19の実施形態のいずれか1つの方法は、(F)(メタ)アクリレート重合阻害剤を添加することを更に含む。
【0097】
第21の実施形態では、第1~第20の実施形態のいずれか1つの方法は、工程(1)の後にエステル官能性シロキサンを回収することを更に含む。
【0098】
第22の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの方法において、エステル官能性シロキサンは、単位式:(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(式中、各R及び下付き文字a、b、c及びdは、上記の通りであり、各Rは式
【0099】
【化26】

の基であり、ここで、R及びRは上記の通りである)を有する。
【0100】
第22の実施形態の方法における第23の実施形態では、エステル官能性シロキサンは、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレートである。
【0101】
第24の実施形態では、第22の実施形態の方法において、エステル官能性シロキサンは、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルアクリレートである。
【0102】
第25の実施形態では、第22の実施形態の方法において、エステル官能性シロキサンは、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルアセテートである。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル官能性シロキサンを調製するための方法であって、
(1)
(A)式
【化1】

(式中、Rは、1個~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、Rは、水素及び1個~12個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)
のアルケニルエーテル、
(B)単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(HRSiO2/2(R SiO2/2
(式中、各Rは、独立して選択される1個~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、下付き文字a、b、c及びdはそれぞれ、単位式中の単位の平均数を表し、0≦a≦2、0<b≦2、0≦c≦3、0≦d≦3、(a+b)の量=2、(b+c)の量≧1、(a+b+c+d)の量が2~10であるような値を有する)
のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
ここで、(A)前記アルケニルエーテルと(B)前記オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーとが、(B)前記オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー:(A)前記アルケニルエーテル(B)の量のモル比(B):(A)が1.25:1~0.75:1であるような量で存在し、
(C)白金ヒドロシリル化反応触媒、並びに
前記エステル官能性シロキサン:オキシ-シリルエステル副生成物の≧2.5:1の収率比と、出発材料(A)及び(B)の≧50%の転化率との両方を提供するのに十分な量の、(D)式
【化2】

(式中、式
【化3】

の各基は、シクロヘキシル及びフェニルからなる群から独立して選択され、各Rは、独立して選択される1個~6個の炭素原子のアルキル基であり、各下付き文字xは、独立して0、1、又は2である)の促進剤、
を含む出発材料を合わせること
を含む、方法。
【請求項2】
出発材料(A)中、Rがメチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発材料(A)中、Rが、式
【化4】

のアルケニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
出発材料(A)中、Rが、式
【化5】

のアルケニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
出発材料(B)が、式
【化6】

を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各Rが、メチルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
出発材料(C)が、白金ビニルジメチルシロキサン錯体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)の前に、(C)前記白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)前記促進剤とを合わせることを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(C)前記白金ヒドロシリル化反応触媒と(D)前記促進剤とが、(E)溶媒中で合わせられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
出発材料(D)の量が、白金1モル当たり>0.5モル~<1.25モルであり、出発材料(D)が
(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、
(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン、及び
(D3)(D1)と(D2)との両方の組合せ、からなる群から選択される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記促進剤が(D1)ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記促進剤が(D2)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記(D)促進剤の量が、白金1モル当たり0.75モル~1モルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
(F)(メタ)アクリレート重合阻害剤を添加することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(1)の後に、(2)前記エステル官能性シロキサンを回収することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】