(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】外皮付きの竹単板及びその製造プロセス
(51)【国際特許分類】
B27K 9/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B27K9/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523522
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2022127989
(87)【国際公開番号】W WO2023088060
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111357117.1
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111355837.4
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186845
【氏名又は名称】龍竹科技集団股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Long Bamboo Technology Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.1,Longtai Park, Xushi Town, Jianyang District, Nanping City, Fujian, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】連 健昌
(72)【発明者】
【氏名】叶 学財
【テーマコード(参考)】
2B230
【Fターム(参考)】
2B230AA16
2B230AA27
2B230BA10
2B230EA19
2B230EA21
2B230EB06
2B230EB11
2B230EB12
2B230EB13
(57)【要約】
本発明は外皮付きの竹単板及びその製造プロセスを開示し、竹材加工技術の分野に属し、竹を分断し、断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップと、竹片を加圧加熱して軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開するステップと、続いて竹片が完全に平坦になるまで、保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップと、竹板に対して連続降温冷却処理を行い、続いて、重しをして定型化し乾燥し、さらに定幅トリミングを行った後に外皮付きの竹単板を得るステップと、を含む。本発明にて提供される外皮付きの竹片の展開プロセスは、竹の青い表面を破壊しない前提で、外皮付きの竹板を展開することができ、且つ展開過程において割れ、スプリングバックの問題が発生せず、得られた外皮付きの竹単板は滑らかで平らであり、テクスチャが自然で美観であり、且つ良好な力学的性能を有し、竹材市場の自然な緑色竹テクスチャ材料に欠ける空白を埋める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2と、
ステップ2で処理した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却処理を行い、続いて、水分含有量が6~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し、さらに定幅トリミングを行った後に外皮付きの竹単板を得るステップ4と、を含む、ことを特徴とする外皮付きの竹単板の製造プロセス。
【請求項2】
前記ステップ1において、前記竹筒の直径は60~150mmであり、前記竹筒は数量3~6枚の竹片に縦割りに切断される、ことを特徴とする請求項1に記載の外皮付きの竹単板の製造プロセス。
【請求項3】
前記ステップ2における加熱軟化の条件は、圧力0.8~1.3MPa、温度160~200℃、時間3~10minである、ことを特徴とする請求項1に記載の外皮付きの竹単板の製造プロセス。
【請求項4】
前記ステップ2における等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することである、ことを特徴とする請求項1に記載の外皮付きの竹単板の製造プロセス。
【請求項5】
前記ステップ3における保温条件は80~100℃であり、両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなる、ことを特徴とする請求項1に記載の外皮付きの竹単板の製造プロセス。
【請求項6】
前記ステップ4における連続降温冷却は100℃から25℃まで降温することである、ことを特徴とする請求項1に記載の外皮付きの竹単板の製造プロセス。
【請求項7】
前記ステップ4における重しをして定型化し乾燥する条件は、重し1000~1200kg、乾燥温度30~60℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の外皮付きの竹単板の製造プロセス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の外皮付きの竹単板の製造プロセスにより製造される、ことを特徴とする外皮付きの竹単板。
【請求項9】
前記外皮付きの竹単板は竹壁の外面から内へ厚さ1~3mmの外皮を原料として取る、ことを特徴とする請求項8に記載の外皮付きの竹単板。
【請求項10】
前記外皮付きの竹単板は、密度が0.9~1.1g/cm
3であり、引張強度が296.72~311.56MPaであり、抗折強度が143.14~149.65MPaであり、繊維方向引張強度が177.76~185.84MPaであり、繊維方向圧壊強度が77.70~81.22MPaである、ことを特徴とする請求項9に記載の外皮付きの竹単板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹材加工技術の分野に属し、具体的には外皮付きの竹片及びその製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
竹は、成長速度が速く、再生能力が強いという特性を有するため、多くの産業において重要な木材の代替原料となっている。一部の産業は「竹で木を代替」を実施することで、中国の木材の需要と供給との矛盾を効果的に緩和することができる。推計によれば、1トンの竹材を利用すると、森林伐採を3.9ムー、二酸化炭素排出を1.62トン減少し、したがって、竹材は木材の代わりに使用されると、炭素排出を効果的に緩和し、温室効果を改善することもできる。
【0003】
竹の自然成長状態は節となった円筒状であるが、例えば家具、建材、日用品など、多くの竹製品はいずれも平坦な板材又はシート材を用いて製造する必要がある。このため、竹を伐採した後に平坦化処理を行う必要がある。平坦化過程において割れの問題を回避するために、まず竹の節、内皮及び外皮の除去、穴開け、溝掘り(スクライブ)などのステップにより処理した後に平坦化する必要がある。出願番号が202110652490.3の中国発明特許は、竹の外皮と内皮を削り、さらに丸竹を展開することにより平らな竹板を得る丸竹展開プロセスを開示する。また、出願番号が201510695352.8の中国発明特許は、竹全体の平坦化方法を開示し、竹筒を竹木加工装置に装着して竹の外節と竹の内節を除去し、厚さ2~3mmの外皮を除去し、続いて竹筒に溝を掘り、竹筒を軟化し、平坦化し、冷間プレスした後に竹板を得、竹板の内面の内皮を3~5mm削り、さらに研削、ベークを行い、竹全体を得る。加工過程において除去された竹の外皮は比較的高い繊維密度、硬度及び強度を有し、竹の外皮を切削せずに適用できれば、竹材の浪費を効果的に低減し、市場に欠ける青い表面の竹製品を得ることができ、現在も青い表面を保有して平坦化するプロセスを有し、例えば、出願番号が202110324858.3の中国発明特許は、竹の外皮にスクライブし竹の内皮を切削する方式によって外皮を保有した竹片を得る、外皮を保有した竹の平坦化装置及び方法を開示する。しかしながら、このようなプロセスは依然として青い表面にスクライブする必要があり、製品の完全性及び美観度に影響を与え、スクライブした後の青い表面を外観面として使用することも適切ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術の欠点を解消するために、本発明が解決しようとする課題は、外皮が付き且つ外皮面に溝掘り(スクライブ)などの損傷がない外皮付きの竹単板及びその製造プロセスをどのように提供するかということである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明が採用する技術的解決手段は、外皮付きの竹単板の製造プロセスであって、
竹を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2と、
ステップ2で処理した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却処理を行い、続いて、水分含有量が6~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し、さらに定幅トリミングを行った後に外皮付きの竹単板を得るステップ4と、を含む外皮付きの竹単板の製造プロセスである。
【0006】
本発明が採用する別の技術的解決手段は、上記外皮付きの竹単板の製造プロセスにより製造された外皮付きの竹単板である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明にて提供される外皮付きの竹単板の製造プロセスは、溝掘り(スクライブ)、釘穴開け、外皮削りなど、青い表面を破壊する操作を行わない前提で、外皮付きの竹板を展開することができ、展開過程において割れ、スプリングバックの問題が発生せず、得られた外皮付きの竹単板は性能が安定し且つ強度が高く、得られた外皮付きの竹単板は青い表面が損傷されず、滑らか且つ平らであり、テクスチャが自然で美観である。当該外皮付きの竹単板は硬度に対する要求が高い一部の下流分野に適用され、且つ竹材市場の自然な緑色竹テクスチャ材料に欠ける空白を埋め、単独で板材として使用されてもよく、他の板材と複合して複合板材を製造して使用されてもよく、他の竹製品の素材として使用されてもよい。
【0008】
展開過程において、加圧加熱軟化を採用し、従来の加熱軟化に比べて、蒸気圧と温度が上昇し、軟化時間を顕著に短縮することができ、効率がより高く、また、軟化効果を向上させ、後続の展開過程において割れが発生するという問題を回避し、等弧長定厚さで展開処理すると、竹片の厚さを均一に保証し、後続して両面保護を行って徐々に展開して平坦化するために基礎を提供し、厚さの不均一による力受けが不均一であるという問題を回避し、保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化すると、スプリングバック及び割れが発生するという問題を効果的に回避することができ、外皮付きの竹板は応力が比較的大きいため、連続降温冷却処理により、急冷却による割れを回避することができ、冷却後の外皮付きの竹板を重しをする条件で乾燥すると、外皮付きの竹板の異なる位置の水分含有量を均一に保証し、それにより乾燥後の平坦化板は曲げがなく、変形がなく、且つスプリングバックできない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の技術内容、実現する目的及び効果を詳細に説明するために、実施形態を参照して説明する。
【0010】
本発明の最も重要な構想は、平坦化プロセスを最適化することにより、青い表面を破壊しない前提で、竹の外皮部分を用いて外皮付きの竹単板を製造することである。
【0011】
本発明は、外皮付きの竹単板の製造プロセスであって、
竹を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2と、
ステップ2において等弧長定厚さで展開し竹の内皮を除去した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却処理を行い、続いて、水分含有量が6~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し、さらに定幅トリミングを行った後に外皮付きの竹単板を得るステップ4と、を含む外皮付きの竹単板の製造プロセスを提供する。
【0012】
また、上記製造プロセスにより製造された外皮付きの竹単板を提供する。得られた外皮付きの竹単板は単独で板材として使用されてもよく、他の板材と複合して複合板材を製造して使用されてもよく、他の竹製品の素材として使用されてもよい。
【0013】
上記説明から分かるように、本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明の外皮付きの竹単板の製造プロセスの提案は竹材の適用範囲及び分野をさらに広げる。当該製造プロセスは竹の外皮面を損傷しない前提で竹片(竹板)の平坦化を完成することができ、且つ平坦化された竹片は割れず、スプリングバックしない。当該プロセスは展開過程において斜溝又は釘穴を開設する必要がなく、竹の節を処理する必要もなく、処理ステップを減少し、投入するコストを効果的に節約する。展開過程において、軟化及び等弧長定厚さでの展開は加工過程において割れが発生するという問題を効果的に低減することができるが、外皮付きの竹片の内層を引っ張り、外皮付きの竹片の外層、特に外皮付きの部分を押圧し、極めて大きな内部応力を発生させ、後続加工におけるスプリングバック(反発)現象の発生を引き起こし、本発明は後続して保温条件で保護して徐々に展開して平坦化する上で、重しをし、乾燥することにより、上記ステップにおいて内部応力が発生するという問題を効果的に釣り合わせることができ、加工過程中及び完成品加工後のスプリングバックの問題を回避し、ステップの間は密接につながっており、互いに合わせて、外皮付きの竹板の順調な展開を保証し、割れ、スプリングバックなどの問題による原材料の浪費、加工コストの増大の問題を回避する。得られた外皮付きの竹単板は表面に損傷がなく、直接使用することができ、且つ竹の外皮を保有するため、外皮付きの竹単板は良好な力学的性能を有し、硬度に対する要求が高い一部の下流分野に適用される。
【0014】
なお、本分野で言われる溝掘り、直線溝掘り、斜線溝掘り、スクライブなどはいずれも竹材の表面に一定の深さの切断操作を行うことである。
【0015】
さらに、前記ステップ1において、前記竹筒の直径は60~150mmであり、前記竹筒は数量3~6枚の竹片に縦割りに切断される。
【0016】
上記説明から分かるように、竹筒全体を直接展開することができず、まずシートに切断してはじめて後続の平坦化処理を行うことができる。
【0017】
さらに、前記ステップ2における加熱軟化の条件は、圧力0.8~1.3MPa、温度160~200℃、時間3~10minである。
【0018】
上記説明から分かるように、従来の加熱軟化に比べて、蒸気圧と温度はいずれも上昇し、蒸気圧と温度の上昇は軟化時間を顕著に短縮することができ、効率がより高く、また、軟化効果を向上させ、後続の展開過程において割れが発生するという問題を回避するが、より高い圧力と温度はより優れた効果をもたらすことがなく、且つエネルギー消費を増加させる。
【0019】
さらに、前記ステップ2における等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することである。
【0020】
上記説明から分かるように、等厚さに加工すると、後続して両面保護を行って徐々に展開して平坦化する過程において竹板の2つの面が装置と完全に接触できることを保証することができ、力受けの不均一による割れの問題を回避する。
【0021】
さらに、等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することである。等厚さとは、各箇所の厚さが等しいことである。
【0022】
さらに、前記ステップ3における保温条件は80~100℃であり、両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなる。
【0023】
さらに、両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなる。
【0024】
上記説明から分かるように、両面保護を行って徐々に展開して平坦化する過程における保温処理はキーポイントであり、常温、又はより高い温度で行うと、いずれも両面保護を行って徐々に展開して平坦化する過程において割れの現象が発生する。
【0025】
さらに、前記ステップ4における連続降温冷却は100℃から25℃まで降温することである。降温速度は10~30℃/hである。好ましくは、降温速度は25℃/hである。
【0026】
上記説明から分かるように、一般的に竹の外皮、内皮を除去し、又は斜溝、釘穴を開設した竹板とは異なり、外皮付きの竹板は、降温を直接行うと、すなわち室温環境に直接置いて冷却すると、外皮付きの竹板の割れ問題を引き起こし、割れ問題の発生を効果的に回避できるように、一定の温度範囲内で冷却降温を段階的に行うことが必要である。上記降温速度範囲内で降温を行えば、いずれも割れを引き起こすことがないが、完成品の力学的性能への影響は無視してもよい。
【0027】
さらに、前記ステップ4における重しをして定型化し乾燥する条件は、重し1000~1200kg、乾燥温度30~60℃である。
【0028】
上記説明から分かるように、重しをして定型化し乾燥することは、竹板の片側に重りをし、圧力は竹板の各部位の含水率を均一に保証することができ、軟化と可変弧長定厚さでの展開過程において発生する内部応力を効果的に解消することができ、乾燥後に反発しない効果を達成し、乾燥過程において乾燥時間を短縮し、効率を向上させるために、乾燥温度をひたすら上げてはならず、乾燥温度が高すぎると一部の外皮付きの竹板は乾燥され一定時間放置された後にスプリングバックの問題が発生する。
【0029】
さらに、外皮付きの竹単板が提供され、密度が0.9~1.1g/cm3であり、引張強度が296.72~311.56MPaであり、抗折強度が143.14~149.65MPaであり、繊維方向引張強度が177.76~185.84MPaであり、繊維方向圧壊強度が77.70~81.22MPaであり、抗折弾性率が10.12~11.67GPaであり、繊維含有量が56.10~60.65%であり、含水率が8~10%である。
【0030】
上記外皮付きの竹単板の製造プロセスは、具体的に、
竹(5年生の真竹又は孟宗竹)を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1であって、
前記竹筒の直径は60~150mmであり、前記竹筒は数量3~6枚の竹片に縦割りに切断されるステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2であって、
加圧加熱軟化の条件は、圧力0.8~1.3MPa、温度160~200℃、時間3~10minであり、
等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することであるステップ2と、
ステップ2で処理した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、100℃の保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3であって、
両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなるステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却(100℃から25℃まで降温)処理を行い、続いて、水分含有量が8~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し(重し1200kg、乾燥温度40℃)、さらに定幅トリミングを行い、削った後に、厚さ1~3mmの外皮付きの竹単板を得るステップ4と、を含む。
【0031】
上記説明から分かるように、竹の成長に伴い、竹の外皮部分の竹齢が小さすぎ又は大きすぎると、上記力学的性能を有する外皮付きの竹単板を製造して得ることができない。
【0032】
外皮付きの竹単板は竹壁の外面から竹筒の径方向に沿って延在する部分で製造される。
【0033】
上記説明から分かるように、繊維の含有量は力学的性能に影響を与え、本発明にて提供される上記力学的性能を有する外皮付きの竹単板の繊維含有量は56.10~60.65%である。完成品の含水率は力学的性能に影響を与え、上記外皮付きの竹単板のパラメータはいずれも含水率が8~10%である場合の範囲にある。竹は、内から外へそれぞれ内皮、肉質及び外皮であり、内皮と肉質は内皮と総称される場合もあり、竹の加工過程における最外側の外皮と最内側の内皮の部位を除去しないと、平坦化過程において割れの問題を引き起こしやすく、そのため大量の外皮と内皮の部位が浪費される。前記外皮付きの竹単板は竹壁の外面から竹筒の径方向に沿って延在する部分で製造されることで、通常、廃棄物とされる外皮部分が活用される。
【0034】
含水率、密度、繊維方向引張強度、繊維方向圧壊強度、抗折弾性率、抗折強度の試験はGB/T 17657-2013『人工板及び化粧人工板の物理的・化学的性能試験方法』基準を参照する。
【0035】
本発明の外皮付きの竹単板は完成品として販売されてもよく、他の板材と複合した後に使用されてもよく、例えば竹床板、竹化粧板などを製造し、素材として、竹のハンガーなど、他の商品を製造してもよい。
【0036】
さらに、上記の外皮付きの竹単板を含む竹板が提供され、前記竹板の厚さは5~10mmである。前記竹板は使用ニーズに応じてより厚くしてもよく、一層又は複数層の従来の竹単板(竹の外皮と内皮を除去する加工プロセスにより得られた竹単板)と外皮付きの竹単板とを複合してなるものであってもよい。
【0037】
(実施例1)
外皮付きの竹片の展開プロセスは、
竹を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1であって、
前記竹筒の直径は60~90mmであり、前記竹筒は数量3枚の竹片に縦割りに切断されるステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2であって、
加圧加熱軟化の条件は、圧力1.2MPa、温度200℃、時間3minであり、
等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することであるステップ2と、
ステップ2で処理した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、100℃の保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3であって、
両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなるステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却処理を行い、続いて、水分含有量が6~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し、さらに定幅トリミングを行った後に外皮付きの竹単板の完成品を得るステップ4であって、
連続降温冷却は100℃から25℃まで降温することであり、降温速度は25℃/hであり、
重しをして定型化し乾燥する条件は、重し1200kg、乾燥温度40℃であるステップ4と、を含む。
【0038】
(実施例2)
外皮付きの竹片の展開プロセスは、
竹を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1であって、
前記竹筒の直径は90~120mmであり、前記竹筒は数量4枚の竹片に縦割りに切断されるステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2であって、
加圧加熱軟化の条件は、圧力0.8MPa、温度180℃、時間10minであり、
等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することであるステップ2と、
ステップ2で処理した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、90℃の保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3であって、
両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなるステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却処理を行い、続いて、水分含有量が6~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し、さらに定幅トリミングを行った後に外皮付きの竹単板の完成品を得るステップ4であって、
連続降温冷却は100℃から25℃まで降温することであり、降温速度は25℃/hであり、
重しをして定型化し乾燥する条件は、重し1000kg、乾燥温度60℃であるステップ4と、を含む。
【0039】
(実施例3)
外皮付きの竹片の展開プロセスは、
竹を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1であって、
前記竹筒の直径は120~150mmであり、前記竹筒は数量5枚の竹片に縦割りに切断されるステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2であって、
加圧加熱軟化の条件は、圧力1.3MPa、温度160℃、時間7minであり、
等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することであるステップ2と、
ステップ2で処理した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、80℃の保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3であって、
両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなるステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却処理を行い、続いて、水分含有量が6~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し、さらに定幅トリミングを行った後に外皮付きの竹単板の完成品を得るステップ4であって、
連続降温冷却は100℃から25℃まで降温することであり、降温速度は25℃/hであり、
重しをして定型化し乾燥する条件は、重し1100kg、乾燥温度30℃であるステップ4と、を含む。
【0040】
(実施例4)
実施例4は、ステップ4における降温速度が30℃/hであることのみに、実施例1と違いがある。
【0041】
(実施例5)
実施例5は、ステップ4における降温速度が10℃/hであることのみに、実施例1と違いがある。
【0042】
(比較例1)
比較例1は、比較例1のステップ2における軟化操作が異なることのみに、実施例1と違いがある。比較例1の竹片の軟化は加熱軟化であり、加熱温度は180℃であり、時間は30minであった。
【0043】
(比較例2)
比較例2は、比較例2のステップ3において保温を行わず、すなわち、常温(約25℃)常圧条件で、竹片が完全に平坦化されるまで、両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、且つステップ4において冷却することなく、直接重しをして定型化し乾燥することのみに、実施例1と違いがある。
【0044】
(比較例3)
比較例3は、等弧長定厚さでの展開及び内皮削りを行わず、加圧加熱して軟化した後に直接、100℃の保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化することのみに、実施例1と違いがある。
【0045】
(比較例4)
比較例4は、比較例4のステップ4において、環境中の冷却温度を、100℃から25℃まで徐々に降温するのではなく、25℃に保持する(すなわち、25℃の環境に直接置いて冷却する)ことのみに、実施例1と違いがある。
【0046】
加工過程においてスプリングバック、割れが発生した竹板の数及び合格した完成品の数(完成品と記す)を統計し、合格率を計算し、結果を表1に示す。
【0047】
【0048】
実施例1~3の竹板をランダムに抽出して同じ厚さの外皮が付かない竹板と性能試験を行い、結果を表2に示す。
【0049】
【0050】
(実施例6)
外皮付きの竹単板であって、竹壁の外面から内へ厚さ1~3mmの外皮を原料として取り、前記外皮付きの竹単板は密度が0.9~1.1g/cm3であり、引張強度が296.72~311.56MPaであり、抗折強度が143.14~149.65MPaであり、繊維方向引張強度が177.76~185.84MPaであり、繊維方向圧壊強度が77.70~81.22MPaであり、抗折弾性率が10.12~11.67GPaであり、繊維含有量が56.10~60.65%であり、含水率が8~10%である。
【0051】
上記外皮付きの竹単板の製造プロセスは、
竹(5年生の真竹、孟宗竹)を分断した後に竹筒を得、竹筒を断面が円弧面となった竹片に縦割りに切断するステップ1であって、
前記竹筒の直径は60~150mmであり、前記竹筒は数量3~6枚の竹片に縦割りに切断されるステップ1と、
竹片を加圧加熱して軟化し、軟化した後の竹片を等弧長定厚さで展開した後に竹の内皮を除去するステップ2であって、
加圧加熱軟化の条件は、圧力1.2MPa、温度200℃、時間3minであり、
等弧長定厚さでの展開は、円弧ローラを用いて軟化した竹片を等弧長形状にプレスし、続いて円弧刃を用いて等厚さに加工することであるステップ2と、
ステップ2で処理した竹片を、竹片が完全に平坦になるまで、100℃の保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化し、竹板を得るステップ3であって、
両面保護を行って徐々に展開して平坦化することは複数のプレス装置によって徐々に平坦化することであり、前記プレス装置は上プレス板と下プレス板を含み、前記上プレス板と下プレス板との間に隙間が設けられ、複数の前記プレス装置の隙間の弧度が順次小さくなるステップ3と、
竹板に対して連続降温冷却(100℃から25℃まで降温)処理を行い、続いて、水分含有量が8~10%になるまで、重しをして定型化し乾燥し(重し1200kg、乾燥温度40℃)、さらに定幅トリミングを行い、削った後に、厚さ1~3mmの外皮付きの竹単板を得るステップ4と、を含む。
【0052】
上記方法を採用すると、表面が滑らかで、割れない外皮付きの竹単板を製造することができ、同じ竹の異なる部分を用いて製造された外皮付きの竹単板はいずれも力学的性能が異なるが、いずれも実施例1の範囲内にある。
【0053】
実施例6で得られた厚さの異なる外皮付きの竹単板を3枚ランダムに取って性能試験を行い、結果を表3に示す。
【0054】
【0055】
(実施例7)
竹板であって、厚さが10mmであり、上から下へ順に外皮付きの竹単板、第1の竹板及び第2の竹板が接着されてなり、前記第1の竹板及び第2の竹板は市販されている外皮と内皮を除去する加工プロセスによって得られた竹単板である。
【0056】
以上説明したように、本発明にて提供される外皮付きの竹単板の展開プロセスは、斜溝や釘穴の開け、外皮削り及び竹の節の処理を行わない前提で、外皮付きの竹片を展開することができ、且つ展開過程において割れ、スプリングバックの問題が発生せず、得られた外皮付きの竹単板は滑らか且つ平らであり、得られた外皮付きの竹単板は高強度の特性を有し、従来の竹板が、強度、硬度が不十分であるため、利用できない分野に適用することができ、当該製造プロセスの提案は竹材の適用範囲及び分野をさらに広げる。
【0057】
本発明にて提供される外皮付きの竹単板の展開プロセスは、展開過程において、加圧加熱軟化を採用し、従来の加熱軟化に比べて、蒸気圧と温度が上昇し、軟化時間を顕著に短縮することができ、効率がより高く、また、軟化効果を向上させ、後続の展開過程において割れが発生するという問題を回避し、等弧長定厚さで展開処理すると、竹片の厚さを均一に保証し、後続して両面保護を行って徐々に展開して平坦化するために基礎を提供し、厚さの不均一による力受けが不均一であるという問題を回避し、80~100℃の保温条件で両面保護を行って徐々に展開して平坦化すると、スプリングバック及び割れが発生するという問題を効果的に回避することができ、外皮付きの竹板は応力が比較的大きいため、連続降温冷却処理により、急冷却による割れを回避することができ、冷却後の外皮付きの竹板を1000~1200kgの重しをする条件で乾燥すると、外皮付きの竹板の異なる位置の水分含有量を均一に保証し、それにより乾燥後の平坦化板は曲げがなく、変形がなく、且つスプリングバックできない。
【0058】
本発明にて提供される外皮付きの竹単板の製造プロセスは装置に対する要求が低く、プロセスに合わせて新たな装置をわざわざ追加する必要がなく、異なる規模の企業において適用を広めることに適する。
【0059】
本発明にて提供される外皮付きの竹単板は、竹の外皮部分を用いて外皮付きの竹単板を製造し、竹の外皮を効果的に利用し、外皮除去による原材料の大量浪費を回避し、且つ製造された外皮付きの竹単板は硬度が高く、良好な引張、圧壊性能を有し、外皮付きの竹単板は外皮部分を保有するため、完成品が深い緑色となり、現在の市場で不足している自然な緑色竹テクスチャを有する製品を提供することができ、当該外皮付きの竹単板は単独で使用されてもよく、他の竹板と接合して、床板、壁板、化粧板などとして使用されてもよく、例えば竹のハンガー、竹の椅子、竹のテーブル、竹の箪笥のような他の竹製品を直接又は間接的に製造して使用されてもよい。
【0060】
以上は本発明の実施例に過ぎず、それにより本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書の内容を利用して行われた同等の変換は関連する技術分野に直接又は間接的に活用され、いずれも同様に本発明の特許保護範囲内に含まれる。
【国際調査報告】