IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

特表2024-537428リサイクル可能な又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品
<>
  • 特表-リサイクル可能な又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品 図1
  • 特表-リサイクル可能な又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品 図2
  • 特表-リサイクル可能な又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品 図3
  • 特表-リサイクル可能な又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品 図4
  • 特表-リサイクル可能な又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】リサイクル可能な又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B32B27/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523590
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2022059961
(87)【国際公開番号】W WO2023067480
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/257,948
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】カルマン,ガイ エム.
(72)【発明者】
【氏名】カドマ,イグナティウス エー.
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,ロヒット
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン,カール イー.
(72)【発明者】
【氏名】フリスコ,サラ ヘマー
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ミッシェル
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AJ11C
4F100AK01C
4F100AK15E
4F100AK41C
4F100AK41E
4F100AK42E
4F100AK52B
4F100AR00B
4F100AT00E
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CB00A
4F100CB05A
4F100DD01B
4F100DD01C
4F100DG10D
4F100EH232
4F100EH23C
4F100EH462
4F100EH46A
4F100EH46B
4F100EJ392
4F100JK06
4F100YY00
4F100YY00B
(57)【要約】
基材に取り付け可能な接着剤物品は、基材の主表面に取り付け可能な接着剤層と、接着剤層と接触している剥離可能なライナーと、を含み得る。剥離可能なライナーは、剥離層と、剥離層に適用された生分解性ポリマー層と、を有する。剥離層は、接着剤層と接触している構造化表面を画定している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に取り付け可能な接着剤物品であって、
基材の主表面に取り付け可能な接着剤層と、
前記接着剤層と接触している剥離可能なライナーと、
を含み、前記剥離可能なライナーは、剥離層と、前記剥離層に適用された生分解性ポリマー層とを含み、前記剥離層は、前記接着剤層と接触している構造化表面を画定している、接着剤物品。
【請求項2】
前記生分解性ポリマー層が堆肥化可能である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記生分解性ポリマー層が、前記剥離層の構造化表面を画定する隆起特徴部を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記剥離層が非生分解性材料から形成されている、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記剥離層がシリコーンを含む、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記剥離層の重量の、前記剥離可能なライナーの総重量に対する比率が15%未満である、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記剥離層の重量の、前記剥離可能なライナーの総重量に対する比率が1%未満である、請求項4に記載の物品。
【請求項8】
前記生分解性ポリマー層がポリブチレンサクシネートを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記生分解性ポリマー層が植物ベースのワックスを含む、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記剥離可能なライナーが、前記生分解性ポリマー層に適用された紙層を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記剥離可能なライナーが別の生分解性ポリマー層を更に含み、前記別の生分解性ポリマー層が、前記紙層の、前記生分解性ポリマー層とは反対側に適用されている、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記接着剤層に取り付けられた基材を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記基材が、PVC、PET、PLAのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記基材の、前記接着剤層とは反対側にある別の主表面上にあるインク層を更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記接着剤層と前記剥離可能なライナーとの間の平均剥離力が、135グラムフォース未満である、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
接着剤物品を形成する方法であって、
接着剤層を提供することと、
剥離可能なライナーを前記接着剤層に積層することと、
を含み、前記剥離可能なライナーは、剥離層と、前記剥離層に適用された生分解性ポリマー層とを含み、前記剥離層は、前記接着剤層と接触している構造化表面を画定している、方法。
【請求項17】
前記生分解性ポリマー層上に前記剥離層をコーティングすることと、
前記剥離層及び生分解性ポリマー層をエンボス加工して、前記剥離可能なライナーを提供することと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
接着剤物品を使用する方法であって、
前記接着剤物品を提供することであって、前記接着剤物品は、接着剤層と接触している剥離可能なライナーを含み、前記剥離可能なライナーは、剥離層と、前記剥離層に適用された生分解性ポリマー層とを含み、前記剥離層は、前記接着剤層と接触している構造化表面を画定している、提供することと、
前記剥離可能なライナーを前記接着剤層から取り外すことと、
前記接着剤層を物体の表面上に積層することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
接着剤物品は、用途の中でもとりわけ、所望の物品を基材に接着するのに有用である。剥離ライナーは、接着剤自体の接着性を保護するために使用される。これらのライナーは、使用前にユーザが容易に剥離することができる。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、基材に取り付け可能な接着剤物品は、基材の主表面に取り付け可能な接着剤層と、接着剤層と接触している剥離可能なライナーと、を含む。剥離可能なライナーは、剥離層と、剥離層に適用された生分解性ポリマー層と、を有する。剥離層は、接着剤層と接触している構造化表面を画定している。
【0003】
別の態様では、接着剤物品を形成する方法は、接着剤層を提供することと、剥離可能なライナーを接着剤層に積層することと、を含む。剥離可能なライナーは、剥離層と、剥離層に適用された生分解性ポリマー層とを含む。剥離層は、接着剤層と接触している構造化表面を画定している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】接着剤物品の側断面概略図である。
図2】剥離可能なライナーの側断面概略図である。
図3】接着剤物品を形成する方法の側面概略図である。
図4】接着剤物品を形成する別の方法の側面概略図である。
図5】テープ型接着剤物品の側断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、接着剤物品の側断面概略図である。接着剤物品100は、基材110と、基材110に取り付けられた接着剤層120と、接着剤層120に適用された剥離可能なライナー130と、を含む。いくつかの実施形態では、基材110は、任意選択である。いくつかの実施形態では、基材110なしで接着剤層120と剥離可能なライナー130とを含む接着剤物品が、単一ライナー接着剤転写テープを提供し得る。いくつかの実施形態では、接着剤物品は、基材、接着剤層、及び剥離可能なライナーのうちの1つ、2つ、又はそれ以上を含んでもよい。
【0006】
接着剤物品100は、任意の好適な基材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、ポリマー材料であってもよく、又はポリマー材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、二重ライナー接着剤転写テープを提供し得る別のライナーであってもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、基材110は、両面接着剤テープを提供するために、ポリマー発泡体材料を含み得るバッキング層又はコアであってもよい(図5を参照されたい)。好適なポリマー材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度若しくは低密度ポリエチレン又はポリエステル全般、ポリカーボネート、塩化ポリビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリ乳酸(PLA)、又は酢酸セルロースが挙げられる。他の好適な材料としては、紙又は木材パルプ材料、天然繊維若しくは合成繊維の不織布又は織布ウェブが挙げられる。
【0008】
好適なポリマー発泡体材料としては、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリメタクリル、エラストマー、スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレン(styrene-isoprene-styrene、SIS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー(styrene-ethylene/butylene-styrene block copolymer、SEBS)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレンとジエン系スチレン-ブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber、SBR)とのランダムコポリマー、スチレンとジエン系スチレン-ブタジエンゴム(SBR)とのブロックコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene-terephthalate、PET)、ポリスチレン-ポリエチレンコポリマー、ポリビニルシクロヘキサン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、芳香族エポキシ、非晶質ポリエステル、非晶質ポリアミド、半結晶性ポリアミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(acrylonitrile-butadiene-styrene、ABS)コポリマー、エチレン-ビニルアセテート(ethylene-vinyl acetate、EVA)、ポリエチレン-ビニルアセテート(polyethylene-vinyl acetate、PEVA)とも呼ばれるエチレンとビニルアセテートとのコポリマー、低密度ポリエチレン(low-density polyethylene、LDPE)、延伸ポリプロピレン(expanded polypropylene、EPP)及びポリプロピレン紙(polypropylene paper、PPP)などのポリプロピレン(PP)、延伸ポリスチレン(expanded polystyrene、EPS)及び押出ポリスチレン(extruded polystyrene、XPS)及び場合により時ポリスチレン紙(polystyrene paper、PSP)などのポリスチレン(PS)、アクリロニトリル(acrylonitrile、ACN)のコポリマーにおけるようなニトリルゴム(nitrile rubber、NBR)、及びブタジエン、ポリフェニレンオキシドアロイ、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)、フッ素化エラストマー、ポリジメチルシロキサン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、非晶質フルオロポリマー、非晶質ポリオレフィン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンオキシド-ポリスチレンアロイ、又はこれらの混合物が挙げられ得る。発泡体は、発泡体の片面若しくは両面に接着剤を有する共押出シートとして形成することができ、又は接着剤を発泡体に積層していてもよい。接着剤を発泡体に積層する場合、発泡体又は任意の他の種類のバッキングに対する接着剤の接着性を向上させるために、表面を処理することが望ましい場合がある。このような処理は、典型的には、接着剤の性質及び発泡体又はバッキングの材料の性質に基づいて選択され、プライマー及び表面改質(例えばコロナ処理、表面磨耗)を含む。更なる発泡体テープ構造としては、米国特許第5,602,221号(Bennettら)、米国特許第4,223,067号(Levens)、及び米国特許第6,103,152号(Gehlsenら)に記載されているものを挙げることができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
基材110は、実質的に透明であってもよく、高度の拡散を有してもよく(例えば、高いヘイズ及び/若しくは低い透明度を示す)、又は基材を半透明若しくは更に不透明にする1つ以上の顔料若しくは着色剤を含んでもよい。
【0010】
基材110は、印刷されていても、又は印刷可能であってもよい。接着剤物品100は、基材110の側面に適用された、又は基材に埋め込まれたインク層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤層120は、基材110の主表面に適用されてもよく、インク層は、接着剤層120の反対側にある基材110の主表面上にあってもよい。
【0011】
基材110は、任意の適切なプロセスを通して、任意の好適なサイズ、形状、又は厚さに形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、溶融押出又はブロー押出プロセスを通して形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、カレンダー加工プロセスを通して形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、キャスティング(例えば、溶剤キャスティング)プロセスを通して形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、基板110は、積層造形プロセスから形成されてもよい。
【0012】
接着剤物品がテープ状又はフィルム状であるいくつかの実施形態では、基材110は、10マイクロメートル~3000マイクロメートルの厚さであってもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、より大きな材料又は表面の一部分であってもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、数ミリメートル、数センチメートル、又は更に数メートルの厚さであってもよい。例えば、基材110は、床、壁、又は天井の一部分であってもよい。基材110は、例えば、選択された接着剤が基材の表面に接着することができる限り、任意の物体(ビークル、壁、箱、電子デバイス)の一部分であってもよい。
【0013】
接着剤層120は、任意の好適な材料であってもよく、任意の好適なプロセスを通して形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、接着剤層120は、エポキシ又は光学的に透明な接着剤を含む。いくつかの実施形態では、接着剤層120は、感圧接着剤層であるか、又は感圧接着剤層を含む。いくつかの実施形態では、接着剤層120は、アクリル感圧接着剤層であるか、又はアクリル感圧接着剤層を含む。いくつかの実施形態では、接着剤層120は、溶媒コーティングプロセスを通して形成される。いくつかの実施形態では、接着剤層120は、押出(溶融又はブロー)プロセスを通して形成される。接着層120は、任意の好適な厚さを有していてもよい。接着剤層120は、そのレオロジー特性又は光学特性について選択されてもよい。接着剤層は、顔料、染料、又は他の着色剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤は、10マイクロメートル~1550マイクロメートルの厚さであってもよい。いくつかの実施形態では、接着剤は、ガラス、セラミック、若しくはポリマー樹脂、又は好適なバインダー材料と共に一緒に保持されたそれらの凝集物などの材料から作製された、部分的に埋め込まれたマイクロビーズを含んでもよい。いくつかの実施形態では、そのようなマイクロビーズは、屈折率が、接着剤層の屈折率と整合されていてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、特に基材が本質的に接着剤化学物質に良好に結合しない場合、いくつかの実施形態は、基材上にプライム層を任意選択で含んでもよい。プライム層は、多くの場合プライマー層又は結合層とも呼ばれ、任意の好適な厚さを有する任意の好適な物質又は組成物であり得る。プライム層の選択は、基材と接着剤層との間の(プライボンド(ply-bond)破壊を防止するために)十分な接着性、及び両方に結合するために十分な接着性を確保するためのものしである。いくつかの実施形態では、プライム層はポリアミド又はコポリアミドを含んでもよい。特定の材料は、代替的又は追加的に、可塑剤、水、溶媒、又は他の夾雑物質の、接着剤層と反対側の基材の側面から接着剤層への移動を防止するためのバリア層として有用であり得る。そのようなプライム層は、極端に薄くてもよく、例えば、10マイクロメートル未満の厚さ、6マイクロメートル未満の厚さ、5マイクロメートル未満の厚さ、4マイクロメートル未満の厚さ、3マイクロメートル未満の厚さ、2マイクロメートル未満の厚さ、又は更に1マイクロメートル未満の厚さでもよい。そのような層は、溶媒キャスト、コーティング、又は更に押出若しくは共押出(他の層のうちの1つ以上と共に)されてもよい。
【0015】
剥離可能なライナー130は、接着剤層120上に接触して配置され、接着剤層の露出可能な(かつ接着可能な)側を保護した後、接着剤層がその最終表面に取り付けられることが意図される。したがって、そのような剥離可能なライナーは、設置時又はその近くでユーザによって剥離可能及び取外し可能である。設置は、接着剤物品(剥離可能なライナーなし)を別のフィルム又はフィルムスタックに積層することを含んでもよい。
【0016】
剥離可能なライナー130は、容易に剥離可能であるように構築されていてもよく、しかしながら、取り外し時まで接着剤層との接触を維持するようにも適合されていてもよい。いくつかの実施形態では、剥離可能なライナー130を接着剤層120から取り外すために必要とされる平均剥離力は、1000g/インチ、800g/インチ、500g/インチ、200g/インチ、150g/インチ、135g/インチ、100g/インチ、50g/インチ、30g/インチ、又は更に10g/インチ以下である。
【0017】
この剥離力は、材料によって影響され得るだけではなく、剥離ライナーの接着剤界面表面上に存在する任意の物理的構造(以下により詳細に記載される)によっても影響され得、環境老化(例えば、温度及び湿度への長期曝露)によっても影響され得る。剥離の衝撃性もまた、いくつかの用途において重要なパラメータであり得る。剥離力における変動が小さいことは、より滑らかな(衝撃の少ない)剥離に対応する。いくつかの実施形態では、平均剥離力からの二乗平均平方根偏差は、200g/インチ、100g/インチ、50g/インチ、20g/インチ、10g/インチ、5g/インチ、又は更には1g/インチ以下である。
【0018】
剥離可能なライナー130は、任意の好適な材料から形成されていてもよい。シリコーン及び他の既存の剥離材料は、多くの商業的リサイクルストリームにおいて容易にリサイクル可能なものではない。しかしながら、多くのリサイクル可能な材料単独は、許容できないほど高い(又は衝撃的な)剥離をもたらす。生分解性ポリマー層と、非生分解性材料であり得る比較的薄い剥離層との組み合わせは、剥離可能なライナー130に十分な剥離性及び堆肥化性又はリサイクル性を提供し得る。
【0019】
剥離可能なライナー130は、2つ以上の層を含む。図1に示すように、剥離可能なライナー130は、2つの層、すなわち、剥離層132と、剥離層132に適用された生分解性ポリマー層134と、を含む。本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、例えば、細菌又は他の生物への曝露によって、環境中で分解するか、又は劣化する材料を指す。
【0020】
いくつかの実施形態では、剥離可能なライナー130は堆肥化可能であってもよい。特に、生分解性ポリマー層134は堆肥化可能な材料から作製されていてもよい。本明細書で使用される場合、「堆肥化可能」という用語は、規格ASTM D6400又はASTM D6868を満たす材料、組成物、又は物品を指す。これらの2つの規格は、異なる種類の材料に適用可能であるので、材料、組成物、又は物品は、通常、本明細書で定義されるように「堆肥化可能」であるのに最も適用可能なもののどれでも、それらのうちの1つを満たすだけでよいことに留意されたい。特に、堆肥化可能な材料、組成物、又は物品は、ASTMD5338規格も満たす。特に、堆肥化可能な材料、組成物、又は物品は、EN 12432、AS 4736、又はISO 17088規格のうちの1つ以上も満たす。より具体的には、堆肥化可能な材料、組成物、又は物品は、ISO 14855規格も満たす。
【0021】
本明細書で使用される「堆肥化可能」という用語は、「生分解性」という用語と同じではない。「堆肥化可能」であるものは、上記の規格と一致する毒性、特に植物毒性を有する材料に、上記の規格によって指定された時間内で劣化するべきである。「生分解性」という用語は、材料が劣化するべき時間を指定するものでもなく、劣化する化合物が、毒性若しくは環境への害の欠如についての任意の規格に合格することを指定するものでもない。例えば、ASTM D6400規格を満たす材料は、「高レベルの規制金属及び他の有害成分の存在」に対処するISO 17088で指定された試験に合格するべきであるが、「生分解性」である材料は、任意のレベルの有害成分を有し得る。いくつかの実施形態では、剥離ライナー130は、0.5%未満、又は更に1%未満の回収不能若しくは非生分解性の材料を含みながら、依然として堆肥化可能であってもよい。
【0022】
生分解性ポリマー層132は接着剤層120と接触していないので、生分解性ポリマー層132は、その表面エネルギー以外の特性(すなわち、特定の接着剤層からのその剥離性)について選択されてもよい。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー層132は、商業的にリサイクル可能なポリマー材料又はバイオプラスチックであってもよいか、又はこれらを含んでもよい。
【0023】
生分解性ポリマー層134に使用される好適な材料の非限定的な例としては、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(乳酸)(PLAとしても知られ、本明細書で使用される場合、ポリ(乳酸)及びポリ(ラクチド)の両方を包含することが意図される)、ポリ(グリコール酸)(本明細書で使用される場合、ポリ(グリコール酸)及びポリ(グリコリド)の両方を包含することが意図される)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、乳酸、グリコール酸、及びカプロラクトンのうちの2つ以上のコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリエステルウレタン、分解性脂肪族-芳香族コポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)(PHB)、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバレレートとのコポリマー、ポリ(エステルアミド)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、セルロースエステル、及びセルロースが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、剥離可能なライナー130は、リサイクル可能であってもよい。本明細書で使用される場合、「リサイクル可能」という用語は、許容可能な材料に関する自主ガイドライン又は地域的ガイドラインを指す。いくつかのガイドラインの下で、「リサイクル可能」は、リサイクルのために回収不可能な材料を15%未満有するライナーを指す。剥離可能なライナー130は、15%未満の非生分解性材料を含有していてもよい。
【0025】
剥離可能なライナー130は、例えば、生分解性ポリマー層134中にポリブチレンサクシネート(PBS)を含んでもよい。PBSは、例えば、アミコラトプシス(Amycolatopsis)種、HT-6、及びペニシリウム(Penicillium)種、株14-3などの微生物の存在下で水及び二酸化炭素に自然に分解する生分解性及び堆肥化可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルである。PBSは、ポリ乳酸(PLA)などの他の生分解性バイオプラスチックよりも低い融点(115℃)を有し、より容易に押出可能にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、PBS及び少量のワックス(特に、植物ベースのワックス)は、廃棄されたライナーの埋め立てを必要とせずに、許容可能な又は「プレミアムな」剥離性能を提供することができる。いくつかの実施形態では、剥離可能なライナー130はまた、0.5~5ポリマー重量パーセントのワックスを含む。好適なワックスとしては、エチレンビス(ステアラミド)(EBS)、カスターワックス、ポリアミト(polyamitic)酸、リノール酸、アラキドン酸、ポラントール(polantolic)酸、酪酸、ステアリン酸、及びトリグリセリドが挙げられる。いくつかの実施形態では、ワックスは、植物ベースのワックスである。好適な植物系ワックスとしては、カスターワックス、EBS、及び大豆ワックスが挙げられる。
【0027】
剥離層132は、PBS、シリコーン、シリコーンポリオキサミド、又はオクタデシルカルボミルエチルアクリレート(ODCEA)などの剥離性を容易にするための任意の好適な材料から作製されてもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、剥離層132は、シリコーンなどの非生分解性材料から作製されるか、又はそれを含む。剥離可能なライナー130中に存在する場合、シリコーン又は他の非生分解性材料の量は、堆肥化又はリサイクルを容易にするために、ある最大パーセンテージに制限され得る。いくつかの実施形態では、剥離層132の重量の、剥離可能なライナー130の総重量に対する比率は15%未満であり、これはリサイクル性を促進し得る。いくつかの実施形態では、剥離層132の重量の、剥離可能なライナー130の総重量に対する比率は、1%未満、又は更に0.5%未満であり、これは堆肥化性を促進し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、剥離ライナー130はまた、天然繊維から形成された織布又は不織布材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、剥離ライナー130は、木材パルプ又は紙様材料を含んでもよい。図1に示すように、剥離ライナー130は、紙層136を含む。生分解性ポリマー層132は、紙層136上に形成されていてもよい。生分解性、堆肥化可能、又はリサイクル可能である任意の好適な紙材料を使用することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、剥離ライナー130はまた別の生分解性ポリマー層138を含み、別の生分解性ポリマー層138が、紙層136の、生分解性ポリマー層132とは反対側に適用されていてもよい。いくつかのリサイクルガイドライン又は規格は、生分解性ポリマー層132及び紙層136の存在を選好するだけである場合がある。いくつかの堆肥化ガイドライン又は規格は、紙層136の両側を生分解性ポリマーで覆うために、生分解性ポリマー層138の追加を選好する場合がある。
【0030】
接着剤物品100は、任意の好適な技術を使用して形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、接着剤物品100を形成するための技術は、剥離可能なライナー130を接着剤層120に積層することを含んでもよい。
【0031】
この技術ではまた、剥離可能なライナー130を形成してもよく、これは、生分解性ポリマー層132上に剥離層134を適用する(又はコーティングする)ことを含んでもよい。剥離層134及び生分解性ポリマー層132は、エンボス加工されていてもよい。
【0032】
接着剤物品100は、任意の好適な方法で使用されてもよい。例えば、接着剤物品100は、剥離可能なライナー130を接着剤層120から取り外し、接着剤層120を物体の表面上に積層することによって使用されてもよい。
【0033】
図1及び図2に見られるように、剥離可能なライナーは構造化表面を含んでもよい。図1は、構造化表面140を含む剥離可能なライナー130を示す。図2は、構造化表面234を含む剥離可能なライナー200を示す。
【0034】
図2は、剥離可能なライナー200の側断面概略図である。剥離可能なライナー200は、構造化表面234を含む剥離層232を含む。剥離層232は、生分解性ポリマー層236上に任意選択で配置される。図示されていないが、剥離可能なライナー200はまた、紙層136(図1)及び別の生分解性ポリマー層138(図1)を含んでもよい。
【0035】
構造化表面140、234は、剥離層の構造化表面を画定する隆起特徴部を含んでもよい。剥離可能なライナーの主表面のうちの1つの上に配置された構造化表面140、234は、任意の好適なマイクロ又はマクロ構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、構造化表面140、234は、ポスト、プリズム、隆起レール、線形レールセグメント、又は任意の他の好適な形状であり得る、エアブリード特性を付与するためのマイクロ構造を含む。いくつかの実施形態では、構造の少なくとも1つの寸法は、1~1000マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、構造化表面140、234は、エアブリード特性を付与することができる擬似ランダム又は粗いテクスチャー表面を含んでもよい。いくつかの実施形態では、構造化表面140、234は、摺動性を付与することができるビーズで充填された印象(impression)を含んでもよい。
【0036】
構造化表面140、234は、積層造形(例えば、3Dプリンティング)、ネガティブマニュファクチャリング(例えば、エッチング)、微細複製(例えば、連続キャスト及び硬化)、エンボス加工などを含む、任意の好適なプロセスから形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ構造の形状、サイズ、及び相対的位置付けのうちの1つ以上が、剥離可能なライナーの1つ以上の方向にわたって変化してもよい。
【0037】
構造化表面140、234は、剥離可能なライナーを剥ぎ取る(又は取り外す若しくは剥離する)のに必要な剥離力に著しく影響を及ぼし得る。(少なくとも特定の構造形状について)接着剤と接触している表面積が減少することから、必要とされる剥離力は(単位長さ当たりに基づいて)著しく低減され得る。
【0038】
構造化表面140、234は、代替的又は付加的な利点を有し得る。特定の市販のフィルムは構造化接着剤を含み、微細特徴部が、空気排出及び摺動性などの適用特徴を提供し得る(例えば、Comply(商標)及びControltac(商標)接着剤を有する3M Company製のIJ180Cv3)。場合によっては、これらの構造化特徴部は、実質的に特徴部のない接着剤層に構造化ライナーを噛み合わせることにより形成される。特徴部はエンボス加工され、接着剤は構造化ライナーの反転である構造化パターンを受け入れる。例えば、接着剤層中にチャネルを作製するために、レール又は隆起部を有する構造化ライナーを噛み合わせる。しかしながら、この構造化界面表面は、ライナーと接着剤との間に更により広い接触表面積を提供することができ、したがって、設計の許容性は、材料の選択に更に依存することができる。構造の形状及びサイズ、並びに接着剤の厚さ及び流動性の特定の選択が、接着剤が表面構造を完全に湿潤させることを防止するのに役立ち得、それにより、密接に噛み合った構造が剥離時に有し得る影響を低減させ得る。例えば、いくつかの実施形態では、構造は、構造が支持面と平面ランド領域との間の単位面積当たりの体積を、その同じ単位面積の接着剤体積よりも大きく動かすような形状及びサイズである。
【0039】
構造化表面140、234は、それぞれの剥離層から、又はその上に形成されている。剥離層232は、剥離層134に関連して上述した材料を含む。剥離層232は、生分解性ポリマー層236上に形成されていてもよい。非常に薄い剥離層232と生分解性ポリマー層236との組み合わせは、望ましい剥離性及び堆肥化性又はリサイクル性を提供するように構造化されていてもよい。
【0040】
図3は、接着剤物品を形成する方法の側面概略図である。主表面上に配置された接着剤層320を有する基材310は、剥離可能なライナー330と共に積層される。このような積層は、バッチで、又は連続プロセスとして行うことができる。
【0041】
図4は、接着剤物品を形成する別の方法の側面概略図である。基材410は、上にコーティングされた接着剤層420を含む剥離可能なライナーに積層される。図3に示すプロセスと同様に、このようなプロセスは、バッチプロセスで、又は連続(ロールツーロール)プロセスで同様に行うことができる。
【0042】
図5は、剥離可能なライナーを含むテープである、接着剤物品500の側断面概略図である。図示されるように、接着剤物品500は、基材110(例えば、バッキング層として)と、第1及び第2の接着剤層(接着剤層120及び接着剤層520)と、第1及び第2の剥離可能なライナー(剥離可能なライナー130及び剥離可能なライナー530)と、を含み、二重ライナーを有する両面接着テープを提供する。第2の剥離可能なライナー530は、材料又は構成に関して剥離可能なライナー130と同じ又は同様であってもよい。
【0043】
基材110は、第1の主表面と、基材の反対側の第2の主表面と、を有していてもよい。接着層120及び接着層520は、基材110と反対側の表面上に配置されていてもよい。接着剤層120は、第1の主表面に配置されていてもよい。接着剤層520は、第2の主表面上に配置されていてもよい。剥離可能なライナー130は、基材110の反対側の接着剤層120上に配置されていてもよい。剥離可能なライナー530は、基材110の反対側の接着剤層520上に配置されていてもよい。
【0044】
第1及び第2の剥離可能なライナー130、530のうちの1つは、任意選択であってもよい。いくつかの実施形態では、接着剤物品500は、剥離可能なライナー130、530のうちの1つのみを含み、単一のライナーを有する両面接着テープを提供する。
【0045】
接着剤転写テープ又は両面テープをはじめとするテープのための任意の好適な接着剤物品材料又は構成は、2019年10月10日に公開された国際公開第2019/193468号に記載される材料及び構成などの、剥離可能なライナー130又は剥離可能なライナー530をはじめとする1つ以上のライナーを含んでもよく、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。本発明は、前述した特定の実施形態に限定されると考えるべきではなく、それは、そのような実施形態が、本発明の種々の態様の説明を容易にするために詳細に記載されているためである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される本発明の範囲内に含まれる様々な変形形態、同等のプロセス、及び代替的デバイスを含めた、本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。
【実施例
【0047】
生分解性の剥離可能なライナーを調製し、試験した。剥離特性を測定し、それを以下の実施例に示している。
【0048】
これらの実施例は、単に説明する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。以下の略語が本明細書で使用される:um又はμm=マイクロメートル、min=分、in=インチ、gms=グラム、psi=平方インチ当たりのポンド、KPa=キロパスカル、kg=キログラム、MW=分子量。
【表1】
【0049】
試験方法
試料調製及びコンディショニング
ライナー交換 10cm×10cmのエンボス加工されたライナーを、厚さ3mmのPCの15cm×15cmシート上でパターン側を上にしてテープ留めする。3~2.5cm×15cmのIJ180-10のストリップに切断する。ライナーを取り外し、適度な圧力を使用してテープで留められたライナーに各ストリップを手により圧迫し、各々の接着剤側をライナーのエンボス加工された側と接触させる
【0050】
試料コンディショニング 平坦なPC基材にテープ留めされたエンボス加工されたライナー上で3つのストリップを下向きにして(パターンを上にして)、22.7Kgfサンドバッグ下に試料を置き、サンドバッグの表面と支持PCシートとの間に置かれた試料上の190Kgf/mの均一圧力に近似する30cm×40cmの平坦部分接触面積にする。恒温恒湿室(72°F、50%RH)で1週間保持する。
【0051】
剥離の剥離力を測定する 手持ちスケールを使用して、試料を取り付け、115cm/分の速度で、180度で引っ張る。平均剥離力を記録する。
【0052】
接着剤チャネル深さ及びライナーリッジ高さの測定
白色光干渉計(Bruker製のVISION64操作及び解析ソフトウェアを有するContourGTとして入手可能)を使用して、接着剤溝深さ及びライナーリッジ高さを評価し報告した。試料トポグラフィーは、10倍レンズを使用しながら測定関数を使用して取得した。以下の手順を使用して、試料タイプに応じてリッジ高さ及び/又は溝深さを報告した。
1)曲率及び傾きにはTerms Removalを使用する
2)繰り返しを20にしてData Restoreを使用する
3)2Dチャート上で、2点ポリライン及びチャネル/リッジにわたるドロープロファイルを設定する
4)5回の測定の平均を、試料タイプに応じてリッジ高さ及び/又はチャネル深さとして報告する
【0053】
ライナーリッジ高さ=ライナーリッジ高さの平均。
【0054】
剥離と同じ日の接着剤溝深さ=フィルムをライナーから取り外した日に測定した接着剤溝深さの平均
【0055】
2週間後の接着剤溝深さ=試料を室温条件で2週間、剥き出しで(open faced)置いた(接着剤を露出させた)後に測定した平均接着剤溝深さ。
【0056】
実施例E1~E3及び実施例C1
実施例E1~E3は、45マイクロメートルのPBSをS1上に押出し、次いでこれをコールドニップローラーに通すことによって作製した。4ゾーン単軸押出機を、200°F、350°F、450°F、及び500°Fの上昇する温度プロファイルで使用した。押出機ダイ温度は500°Fであり、押出速度は600ft/分であった。ニップローラー温度は150°Fであった。次いで、得られた材料をコロナ処理して、PBSの基材に対する結合を改善した。次いで、得られたフィルムをRC1、RC2又はRC3でグラビアコーティングして、それぞれE1、E2及びE3を得た。グラビアコーティングの目標厚さは1ミクロン未満であった。次いで、グラビアコーティングされた材料を、送風式オーブン内で、最初に150°Fで20秒間、次に180°Fで10秒間乾燥させた。C1はPCKライナーであった。試料を調製した後、それらを剥離試験及び構造測定に供した(表2)。
【0057】
実施例E4
実施例E4は、コーティング用にRC3を使用して、E1~E3に使用したプロセスによって作製した。実施例1の作製について米国特許出願公開第2021/0017426(A1)号に開示されているのと同じ方法によってパターンをエンボス加工した。剥離ライナーをシリコーンゴムロールと彫刻金属ロールとの間に通すことにより、剥離ライナーにパターンをエンボス加工した。このパターンは、定方向に直線的であり高さがおよそ23ミクロンである、一連のチャネルであった。感圧接着剤溶液(A1)を、米国特許出願公開第2021/0017426(A1)号の実施例1に規定されているのと同じ条件を使用する連続コーティング/乾燥機ラインを使用して、エンボス加工された剥離ライナーの構造化側上にスロットダイコーティングし、乾燥させた。次いで、接着剤コーティングされた剥離ライナーE4の接着剤側を室温でフィルム(F1)に積層した。
【表2】
【0058】
ライナー剥離測定
Lab Master Release&Adhesion Tester(バージョン1.6.0)を使用して、作製した試料からのライナー剥離を測定した。この方法により、実施例E4を評価した。E4は、24時間、制御された湿度(およそ50%)及び温度(およそ73°F)の環境でコンディショニングした後、試験した。この試験では、90度の角度及び180度の角度でライナーからの接着剤の剥離力を測定した。3M 9425 Removable Double-Sided Tapeの一片を、P.A.-1 3Mスキージーを使用してスレッドに適用した。次いで、各試料を、P.A.-1 3Mスキージーを使用してスレッド上のマスキングテープに適用した。スキージーで試料を前後に3回擦り付けて、スレッドへの接着を促進した。
【0059】
90度の角度については、255インチ/分のスレッド速度を用いて試料を引っ張った。接着剤コーティングしたフィルムをライナーから引っ張った。試料を1インチ×15インチ(CD×MD)に切断した。試験値をグラム/インチとして記録した。3回の反復から平均をとり、以下の表3に報告した。
【0060】
180度の角度については、90インチ/分のスレッド速度を用いて試料を引っ張った。ライナーを接着剤コーティングしたフィルムから引っ張った。試料を1インチ×15インチ(CD×MD)に切断した。試験値をグラム/インチとして記録した。3回の反復から平均をとり、以下の表3に報告した。
【0061】
ASTM D3330/D3330M-04(試験方法D ライナーへの接着)を参照した。
【表3】
【0062】
180度で剥離されたE4については、剥離力はおよそ16.7g/インチであった。16.7g/インチの剥離力。90度で剥離されたE4については、剥離力はおよそ38.3g/インチであった。得られた剥離力は、グラフィックフィルム用途に優れている。
【0063】
こうして、リサイクル可能又は堆肥化可能な剥離ライナーを有する接着剤物品の様々な実施形態が開示されている。本明細書では、本開示の一部を形成する添付の一連の図面が参照されるが、少なくとも当業者であれば、本明細書に記載された実施形態の様々な適合及び改変が本開示の範囲内であること又は本開示の範囲から逸脱しないことを理解するであろう。例えば、本明細書に記載された実施形態の態様は、様々な方法で互いに組み合わせることができる。したがって、添付の特許請求の範囲内で、特許請求される本発明は、本明細書に明示的に記載されたもの以外で実施され得ることを理解されたい。
【0064】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴部サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、用語「厳密に」又は「約」のいずれかによって修飾されているものとして理解され得る。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値であり、例えば、実験誤差の典型的な範囲内にある。
【0065】
端点による数値範囲の記載には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。本明細書において、用語「最大(up to)」或る数又は或る数「以下(no greater than)」(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含み、用語、或る数「以上(no less than)」(例えば、5以上)は、その数(例えば、5)を含む。
【0066】
用語「又は」は、概して、内容に別段の明示がない限り、その包括的な意味で使用され、例えば、「及び/又は」を意味する。用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの少なくとも2つの組み合わせを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】