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特表2024-537440スリーブを切断するための機構及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】スリーブを切断するための機構及び方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/00 20060101AFI20241003BHJP
   B26D 3/16 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 5/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B26D3/00 601D
B26D3/16 G
B26D7/26
B26D5/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523695
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2022060234
(87)【国際公開番号】W WO2023079408
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2029631
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ファン レイセウェイク ルーカス
【テーマコード(参考)】
3C021
3C024
【Fターム(参考)】
3C021JA02
3C021JA09
3C024KK01
(57)【要約】
ラベリング機械(1)を通ってスリーブ搬送軸に沿って搬送されるスリーブ(3)を切断するためのスリーブ切断機構(5;105;205;305)は、スリーブ搬送軸と一致する中心軸(7)に沿って延びるスリーブ通路を有する基部(10)と、スリーブ通路の中心軸(7)に対して半径方向距離で、かつ中心軸(7)の周りに角距離で基部(10)上に保持される複数の回転カッタ(12、12a~12f)とを備える。回転カッタ(12、12a~12f)の各々は、基部(10)の中心軸(7)に平行な回転軸の周りに回転可能に保持されたキャリア(14)と、スリーブ(3)を切断するためにキャリアに固定された少なくとも1つの刃(16)とを備える。スリーブ通路の中心軸(7)に対する回転カッタ(12、12a~12f)の半径方向距離は調整可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベリング機械(1)を介してスリーブ搬送軸に沿って搬送されているスリーブ(3)を切断するためのスリーブ切断機構(5;105;205;305)であって、
前記スリーブ搬送軸と一致する中心軸(7)に沿って延びるスリーブ通路を有する基部(10)と、
複数の回転カッタ(12,12a~12f)と、を備え、
前記複数の回転カッタ(12,12a~12f)は、前記スリーブ通路の前記中心軸(7)に対して半径方向距離で、かつ前記中心軸(7)の周りに角度距離で前記基部(10)上に保持され、
前記複数の回転カッタ(12,12a~12f)の各々は、
前記基部(10)の前記中心軸(7)に平行な回転軸の周りに回転可能に保持されるキャリア(14)と、
前記スリーブ(3)を切断するために前記キャリア(14)に固定された少なくとも1つの刃(16)と、を備えるスリーブ切断機構(5;105;205;305)において、
前記スリーブ通路の前記中心軸(7)に対する前記回転カッタ(12、12a~12f)の半径方向距離は調整可能であることを特徴とする、スリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項2】
前記回転カッタ(12、12a~12f)は、前記中心軸(7)に対応する法線ベクトルを有する共通平面内で移動可能であるように前記基部(10)上に保持される、請求項1に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項3】
前記回転カッタ(12、12a~12f)の前記半径方向距離は、同期して調整可能である、請求項1又は2に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項4】
前記回転カッタ(12、12a~12f)は、少なくとも2つのグループに分割され、前記少なくとも2つのグループのうちのいずれか1つに割り当てられた前記回転カッタ(12a、12b)の前記半径方向距離は、同期して、かつ前記少なくとも2つのグループのうちの別のグループに割り当てられた前記回転カッタ(12c、12d、12e、12f)の前記半径方向距離とは独立して調整可能である、請求項1又は2に記載のスリーブ切断機構(105)。
【請求項5】
前記回転カッタ(12、12a~12f)は各々、それぞれの旋回軸(28)の周りで旋回可能であるように前記基部(10)に取り付けられた旋回アーム(20)の一端部に回転可能に取り付けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項6】
前記旋回アーム(20)は、前記一端部とは反対側の他端部において、旋回駆動機構と係合する、請求項5に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項7】
前記旋回駆動機構は、前記スリーブ通路の前記中心軸(7)の周りで回転可能であるように前記基部(10)上に保持され、前記それぞれの旋回アーム(20)の前記他端部に設けられたギア手段(22)と噛合するリングギア(24、25、26)を備える、請求項6に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項8】
前記リングギア(24、25、26)は、前記基部(10)に取り付けられたクランクハンドル機構(27)によって回転可能である、請求項7に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項9】
前記旋回駆動機構は、少なくとも2つのリングギア(25、26)を備え、前記リングギア(25、26)は、前記スリーブ通路の前記中心軸(7)の周りを互いに独立して回転可能であるように、前記基部(10)上に一方が他方の上に保持され、前記リングギア(25、26)は、1つ以上の関連する回転カッタ(12、12a~12f)の他端部に設けられたギア手段(22)と噛合する、請求項6に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項10】
前記旋回駆動機構は、少なくとも2つのリングギアセグメント(22)を備え、前記リングギアセグメント(22)は、前記スリーブ通路の前記中心軸(7)の周りを互いに独立して回転可能であるように、前記基部(10)上に一方が他方の上に又は互いに隣接して保持され、前記リングギアセグメント(22)は、関連付けられた1つ以上の回転カッタの他端部に設けられたギア手段(22)と噛合する、請求項6に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項11】
前記リングギア(25、26)又はリングギアセグメントはそれぞれ、前記基部(10)に取り付けられた関連するクランクハンドル機構(27)によって回転可能である、請求項9又は10に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項12】
各回転カッタ(12、12a~12f)は、前記それぞれのキャリア(14)に回転不能に接続された従動ギア(18)又は従動プーリ(42)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)。
【請求項13】
前記従動プーリ(42)は、タイミングベルト(36)によって駆動される、請求項12に記載のスリーブ切断機構(305)。
【請求項14】
前記従動ギア(18)は、前記旋回軸(28)と一致する回転軸を有する前記旋回アーム(20)上に回転可能に保持された中間ギア(30)によって駆動される、請求項5及び12に記載のスリーブ切断機構(5;105;205)。
【請求項15】
前記中間ギア(30)と噛合するリングギア(32)を備え、前記リングギア(32)は、前記中心軸(7)の周りに回転可能であるように前記基部(10)に保持される、請求項14に記載のスリーブ切断機構(5;105)。
【請求項16】
前記リングギア(32)は、モータ(34)によって駆動される、請求項15に記載のスリーブ切断機構(5;105)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のスリーブ切断機構(5;105;205;305)を使用してスリーブを切断する方法であって、
マンドレル上のスリーブ通路を通って搬送される管状スリーブ(3)の断面に応じて前記回転カッタ(12,12a~12f)の半径方向距離を調整するために、前記回転カッタ(12,12a~12f)を前記スリーブ通路の前記中心軸(7)に対して移動させて、キャリア(14)に固定された少なくとも1つの刃(16)が、その回転軸の周りを回転するときに前記スリーブ通路に入ることができるようにするステップと、
少なくとも360°を前記刃(16)の数で割った角度だけ各キャリア(14)を回転させるステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベリング機械を介してスリーブ搬送軸に沿って搬送されるスリーブを切断するスリーブ切断機構及びスリーブ切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収縮可能な管状スリーブを切断するためのスリーブ切断機構は、当該技術分野において周知である。それらの収縮性スリーブ箔は、熱収縮性材料で作製されており、その温度が上昇すると収縮が引き起こされ、それによって容器(食品容器、ボトル、ジャー、ボウル、ホルダーなど)などの製品に堅固に取り付けられる。このようなスリーブ切断機構は、スリーブがスリーブ搬送軸に沿って搬送されるラベリング機械の一部である。特に、平坦なスリーブは、マンドレル上を案内され、マンドレルは、スリーブを開き、製品の形状に実質的に一致する断面、特に円形断面を形成する。一般に、スリーブ切断機構は、スリーブ搬送軸の周りに環状に配置された複数の回転カッタを備える。各回転カッタは、スリーブを切断するときにその回転軸の周りに360°回転する刃を有する。
【0003】
文献TWM 283804 Uは、管状スリーブを切断するためのスリーブ切断機構を開示している。スリーブ切断機構は、内部に配置され、カッタを駆動するためのリングギアと噛合するギアの形態の複数の回転カッタを備える。回転カッタ及びリングギアはそれぞれ、それらの中心軸の周りに回転可能である。回転カッタの1つは、この回転カッタがその長手方向軸の周りを回転し、リングギアを介して他の回転カッタを駆動するように、タイミングベルトによって駆動される。各回転カッタは、スリーブを切断するときにその回転軸の周りに360°回転する回転カッタに固定された刃を備える。
【0004】
TWM 283804 Uのスリーブ切削機構では、リングギアの中心軸に対する回転カッタの半径方向位置は固定されている。したがって、リングギアの中心軸に対する回転カッタに固定された切断刃の半径方向距離は固定されており、スリーブ切断機構が切断することができるスリーブサイズの範囲を厳しく制限する。
【発明の概要】
【0005】
収縮性スリーブが製品(食品容器、ボトル、ジャー、ボウル、ホルダーなど)の外形に適合するという一般的な要件があるので、収縮性スリーブは、良好な収縮結果を達成するために可能な限り良好に取り付けられ、製品はサイズが異なるので、異なるサイズのスリーブを切断する基本的な必要性がある。特に、管状スリーブのサイズは、マンドレルによって開かれる前の状態のスリーブの水平方向の幅に対応するレイフラット幅によって規定され得る。
【0006】
TWM 283804 Uに開示されたスリーブ切断機構から出発して、本発明の目的は、異なるサイズを有するスリーブ、すなわち異なるレイフラット幅を有するスリーブを切断することができるスリーブ切断機構、及びスリーブを切断する方法を提供することである。この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な更なる発展が、従属請求項において提示される。
【0007】
本発明によれば、ラベリング機械を介してスリーブ搬送軸に沿って搬送されるスリーブを切断するためのスリーブ切断機構は、スリーブ搬送軸と一致する中心軸に沿って延びるスリーブ通路を有する基部と、スリーブ通路の中心軸に対して半径方向距離をおいて基部上に保持され、スリーブ通路の中心軸の周りに角度距離をおいて保持され、各々が、基部の中心軸に平行な回転軸の周りに回転可能に保持されたキャリアと、スリーブを切断するためにキャリアに固定された少なくとも1つの刃とを備える複数の回転カッタとを備える。スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離は調整可能である。
【0008】
本発明によれば、スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離は調整可能である。したがって、スリーブ切断機構は、異なるサイズを有するスリーブ、すなわち異なるレイフラット幅を有するスリーブを切断することができる。このようにして、製品の形状に適合された特に収縮可能なスリーブは、例えば、異なるサイズ又は長さを有する回転カッタ又は刃を取り付けることによってスリーブ切断機構を再加工する必要なく、異なるサイズの製品のために容易かつ迅速に製造することができる。また、本発明に係るスリーブ切断機構によれば、取り扱い性及び動作性が向上する。
【0009】
スリーブ切断機構によって切断されるスリーブは、特に、管状の収縮可能なスリーブである。しかしながら、スリーブは、非収縮性であってもよく、スリーブの形状は、スリーブがスリーブ搬送軸に沿って搬送され、スリーブ通路の中心軸に対する半径方向距離が調整可能である回転カッタによって切断されることができる限り、管状である必要はない。また、スリーブは、例えば、ストレッチフィルムであってもよい。好ましい実施形態では、スリーブは、スリーブ通路内に配置されたマンドレルによって開かれる。換言すれば、マンドレルは、スリーブが切断された後に置かれる製品の形状に適合するように、スリーブ搬送軸に垂直なスリーブの断面を開く。スリーブは、少なくともスリーブの開状態において、スリーブの長手方向中心線(すなわち、スリーブ長手方向軸)がスリーブ切断機構のスリーブ搬送軸及び基部の中心軸と一致する状態で、上述のスリーブ搬送軸に沿ってスリーブ切断機構を通して搬送される。
【0010】
好ましい実施形態では、基部は、スリーブ通路が通過する開口部を有する環状に形成される。
【0011】
好ましい実施形態では、各キャリアは1つの刃を備える。切断作業中、各キャリア又はキャリアに固定された各刃は、スリーブ通路の中心軸に平行なその回転軸の周りを360°回転する。代替実施形態では、各キャリアは、2つ以上の刃を備えてもよい。この場合、切断動作中、各キャリア又はキャリアに固定された各刃は、少なくとも360°を刃の数で割った角度だけ回転する。
【0012】
好ましい実施形態では、回転カッタは、中心軸に対応する法線ベクトルを有する共通平面内で移動可能であるように基部上に保持される。このようにして、スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離は、容易に調整可能である。回転カッタは、基部の中心軸に対応する法線ベクトルを有する共通平面内で移動可能であるので、回転カッタは、互いに対して、及び基部に対して垂直高さを変えることなく、正確に位置決めすることができる。
【0013】
回転カッタの半径方向距離は、同期して調整可能であってもよい。特に、切断されるスリーブの断面が円形である場合、回転カッタの半径方向距離が個々に調整可能であるスリーブ切断機構と比較して、優れた切断結果を達成することができる。しかしながら、切断されるスリーブの断面が円形断面と異なる場合、個々に調整可能な回転カッタが好ましい場合がある。
【0014】
回転カッタは、少なくとも2つのグループに分割されてもよく、少なくとも2つのグループのうちのいずれか1つに割り当てられた回転カッタの半径方向距離は、同期して、かつ少なくとも2つのグループのうちの別のグループに割り当てられた回転カッタの半径方向距離とは独立して調整可能である。例えば、切断されるスリーブの断面が楕円形である場合、調整される回転カッタの半径方向距離は互いに異なる。したがって、上記構成では、スリーブ通路の中心軸に対する各グループの回転カッタの半径方向距離は、楕円形断面を有するスリーブを切断することができるように、少なくとも2つのグループのうちの別のグループに割り当てられた回転カッタの半径方向距離とは独立して、同期して調整され得る。
【0015】
回転カッタはそれぞれ、旋回アームの一端部に回転可能に取り付けられてもよく、旋回アームは、それぞれの旋回軸の周りで旋回可能であるように基部に取り付けられる。このような場合、スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離は、旋回アームをその旋回軸の周りに旋回させることによって容易に調整可能である。旋回アームは、一端部とは反対側の他端部において旋回駆動機構に係合してもよい。旋回駆動機構は、スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離を調整するために旋回アームを旋回させることができる任意の機構であってもよい。好ましい実施形態では、旋回駆動機構は、少なくとも2つの回転カッタの旋回アーム、又は回転カッタのグループに割り当てられた旋回アームを同期して駆動する。
【0016】
旋回駆動機構は、スリーブ通路の中心軸の周りに回転可能であるように基部上に保持され、それぞれの旋回アームの他端部に設けられたギア手段と噛合するリングギアを備えることができる。この構成によれば、リングギアを回転させることにより、スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離を容易にかつ同期して調整することができる。好ましい実施形態では、ギア手段は、旋回アームに回転不能に接続され、基部上に保持されるギアセグメント又は歯付きセグメントである。あるいは、ギア手段はギアであってもよい。
【0017】
リングギアは、基部に取り付けられたクランクハンドル機構によって回転可能であってもよい。クランクハンドル機構は、リングギアのための単純で安価な駆動手段を提供する。代替として、リングギアは、モータ、特に電気モータなどによって回転可能であってもよい。
【0018】
旋回駆動機構は、互いに独立してスリーブ通路の中心軸の周りに回転可能であるように基部上に一方が他方の上に保持され、関連する1つ以上の回転カッタの他端部に設けられたギア手段と噛合する少なくとも2つのリングギアを備えることができる。このような構造は、スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離が異なる距離だけ半径方向に調整されなければならない場合に特に有利である。これは、例えば、スリーブ搬送軸に対して垂直なスリーブの断面が楕円形である場合であり、その結果、同じ距離だけ半径方向に調整されなければならない回転カッタは、同じリングギアにそれぞれ割り当てられ得る。したがって、簡単かつ正確な半径方向の調整を達成することができる。
【0019】
旋回駆動機構は、互いに独立してスリーブ通路の中心軸の周りに回転可能であるように、一方が他方の上に又は互いに隣接して保持され、関連する1つ以上の回転カッタの他端部に設けられたギア手段と噛合する少なくとも2つのリングギアセグメントを備えることができる。すなわち、リングギアセグメント同士を隣接させて基部上に保持すれば、省スペース性の高い構造とすることができる。リングギア又はリングギアセグメントはそれぞれ、基部に取り付けられた関連するクランクハンドル機構によって回転可能であってもよい。クランクハンドル機構は、リングギア又はリングギアセグメントのための単純で安価な駆動手段を提供する。代替案として、リングギア又はリングギアセグメントは、モータ、特に電気モータなどによって回転可能であってもよい。
【0020】
各回転カッタは、それぞれのキャリアに回転不能に接続された従動ギア又は従動プーリを備えてもよい。したがって、スリーブを切断するためにキャリア及びキャリアに固定された少なくとも1つの刃に回転駆動力を容易に伝達することができる。
【0021】
回転カッタが従動プーリを備える場合、従動プーリはタイミングベルトによって駆動されてもよい。このような設計は、多数のギアを必要とせず、したがって、安価で構造が簡単である。更に、多数の(従動)ギアを備える構造と比較して、そのような設計は、より少ない慣性を有する。
【0022】
回転カッタが従動ギアを備える場合、従動ギアは、回転軸が旋回軸と一致する状態で旋回アーム上に回転可能に保持される中間ギアによって駆動されてもよい。中間ギアと従動ギアとのギア結合により、従動ギア及び刃が固定されたキャリアに回転力を確実に伝達することができる。したがって、優れた切断結果を達成することができる。
【0023】
スリーブ切断機構は、中間ギアに噛合し、中心軸回りに回転可能に基部上に保持されたリングギアを備えていてもよい。スリーブ通路の中心軸に対する回転カッタの半径方向距離を調整するためのリングギアと同様に、リングギアは、中間ギア噛合することによって、キャリアと噛合する中間ギアに同期して回転力を伝達することができる。リングギアは、モータ、特に電気モータによって駆動されてもよい。
【0024】
本発明によるスリーブ切断機構を使用してスリーブを切断する方法は、マンドレル上のスリーブ通路を通って搬送される管状スリーブの断面に応じて回転カッタの半径方向距離を調整するために、スリーブ通路の中心軸に対して回転カッタを移動させて、キャリアに固定された少なくとも1つの刃が、その回転軸の周りを回転するときにスリーブ通路に入ることができるようにするステップと、各キャリアを、少なくとも360°を刃の数で割った角度だけ回転させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付されている図を活用し、発明の実施形態が、以下でより詳細に説明される。
図1】本発明による第1の実施形態のスリーブ切断機構を備えるラベリング機械の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態のスリーブ切断機構の斜視図を示しており、1つの回転カッタのみが示されている。
図3】旋回アーム及びリングギアセグメントを示す、本発明の第1の実施形態のスリーブ切断機構の別の斜視図を示す。
図4】6つの回転カッタを有する本発明の第1の実施形態のスリーブ切断機構の別の斜視図を示す。
図5】回転カッタが最も内側の位置に配置されている、本発明の第1の実施形態のスリーブ切断機構の上面図を示す。
図6】回転カッタが最も外側の位置に配置されている本発明の第1の実施形態のスリーブ切断機構の上面図を示す。
図7】楕円形のスリーブを切断するための本発明の第2の実施形態のスリーブ切断機構の上面図を示す。
図8】楕円形のスリーブを切断するための本発明の第2の実施形態のスリーブ切断機構の斜視図を示す。
図9】プーリを有する本発明の第3の実施形態のスリーブ切断機構の概略部分図を示す。
図10】本発明の第3の実施形態のスリーブ切断機構の概略上面図を示す。
図11】ギアを有しない本発明の第4の実施形態のスリーブ切断機構の概略上面図を示す。
図12】本発明の第4の実施形態のスリーブ切断機構の概略斜視図を示す。
【0026】
これらの図面は、決して限定することを意図するものではなく、本発明の様々な実施形態は、必ずしも図面には示されていないものを含めた、様々な他の方式で実施することができる点が想到される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成している添付図面は、本発明のいくつかの態様を示しており、明細書本文と共に、本発明の原理を説明するために役立つものではある。しかしながら、本発明は、示されている厳密な配置構成に限定されるものではない点を理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本発明を実施するために想到されている、最良の形態のうちの1つである以下の説明から、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本発明は、本発明から全く逸脱することなく、他の異なる自明な態様が可能である。したがって、図面及び明細書本文は、本質的に例示的なものであり、制限的なものではないと見なされるべきである。本明細書の教示を組み合わせることが可能な、様々な好適な方式が、本明細書の教示に鑑みて、当業者には容易に明らかとなるであろう。そのような修正形態及び変形形態は、特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0028】
第1の実施形態
図1図6は、本発明による第1の実施形態のラベリング機械1及びスリーブ切断機構5の異なる図を示す。説明のために、スリーブ切断機構5のすべての要素が図1図6に示されているわけではない場合がある。
【0029】
図1を参照すると、収縮可能な管状スリーブ3が図1の垂直方向に延びるスリーブ搬送軸に沿って搬送されているラベリング機械1が示されている。特に、平坦なスリーブ3は、マンドレル(図示せず)上を案内され、マンドレルは、スリーブ3を開き、切断された後にスリーブ3が置かれる製品の形状に実質的に一致する円形断面を形成する。図1は、法線ベクトルがスリーブ搬送軸に対応する平面内でスリーブ3を実際に切断するスリーブ切断機構5を更に開示する。スリーブ3は、少なくともスリーブ3の開状態において、スリーブ3の長手方向中心線(すなわち、スリーブ長手方向軸)6がスリーブ切断機構のスリーブ搬送軸及び基部の中心軸と一致する状態で、上述のスリーブ搬送軸に沿ってスリーブ切断機構5を通して搬送される。
【0030】
図2図6はそれぞれ、スリーブ切断機構5をより詳細に示す。スリーブ切断機構5は、スリーブ搬送軸と一致する中心軸7に沿って延びるスリーブ通路を有する環状基部10を備える。第1の実施形態では、スリーブ切断機構5は、6つの回転カッタ12を備えている。各回転カッタ12は、基部10の中心軸7と平行な回転軸の周りに回転可能に保持されたキャリア14と、キャリア14に着脱可能に固定されたスリーブ切削用の1枚の刃16と、キャリア14に回転不能に連結された従動ギア18とを含む。回転カッタ12はそれぞれ、旋回アーム20の一端部に回転可能に取り付けられており、旋回アーム20は、それぞれの旋回軸28を中心として旋回可能であるように基部10に取り付けられている。従動ギア18及び刃16が固定されたキャリア14は、その回転軸を中心に回転することにより、スリーブ搬送軸に沿って搬送されるスリーブ3を切断することができる。図2に最もよく示されるように、旋回アーム20は、一端部とは反対側の他端部において、スリーブ通路の中心軸7の周りに回転可能であるように基部10に保持されたリングギア24の形態の旋回駆動機構と係合する。特に、旋回アーム20は、リングギア24の内周に形成された歯と噛合する複数の歯を備えるギアセグメント22の形態のギア手段に回転不能に固定される。
【0031】
リングギア24は、クランクハンドル27によって回転可能である。クランクハンドル27を動作すると、リングギア24が中心軸7を中心として回転する。ギアセグメント22との噛合により、旋回アーム20は、基部10の中心軸7に平行な旋回軸28を中心に旋回する。したがって、従動ギア18、キャリア14及びキャリア14に固定された刃16からなる回転カッタ12のスリーブ通路の中心軸7に対する半径方向距離は同期して調整可能である。具体的には、回転カッタ12は、中心軸7に対応する法線ベクトルを有する共通平面内を移動可能であるように基部10上に保持されている。回転カッタ12は、共通平面内で移動可能であるか、むしろ調整可能であるので、回転カッタ12は、垂直高さを変えることなく正確に位置決めすることができる。これにより、刃16の高低差を必要最小限に抑えることができるので、切断後のスリーブ3の刃先に残るスリーブ材のカスであるいわゆる「ピッグテール」を確実に防止することができる。
【0032】
図2及び図4図6に示すように、従動ギア18は、旋回軸28と一致する回転軸を有する旋回アーム20に回転可能に保持された中間ギア30によって駆動される。中間ギア30の回転軸が旋回軸28と一致するので、スリーブ通路の中心軸7に対する回転カッタ12の半径方向距離が調整されるとき、中間ギア30は中心軸7に対するその半径方向位置を変化させない。ギアセグメント22と同様に、中間ギア30は、中心軸7の周りに回転可能であるように基部10に保持されたリングギア32によって駆動される。この目的のために、リングギア32は、その内周全体に沿って、6つの中間ギア30の全てと噛合する歯を備える。リングギア32は、6つの中間ギア30のうちの1つを介して電気モータ34によって駆動される(図4参照)。
【0033】
以上のような構成により、スリーブ切断機構5は、異なる大きさのスリーブ3、すなわち、異なるレイフラット幅のスリーブ3を切断することができる。具体的には、スリーブ切断機構は、例えば、異なるサイズ又は長さを有する回転カッタ又は刃を搭載することによって、スリーブ切断機構5を再加工する必要なく、58mm~226mmの範囲内のレイフラット幅を有するスリーブ3を切断することができる。更に、リングギア24は、6つの回転カッタ12のすべての半径方向距離を同期して調整するので、スリーブ切断機構5は、円形又は丸い断面を有するスリーブ3を切断するのに特に適している。なお、中心軸7に対する回転カッタ12の半径方向距離は、キャリア14がスリーブ3を切断する際に、キャリア14がその回転軸を中心として360°回転しているときに、刃16の先端が最初にスリーブ3内に入るように調整されている必要があることに留意されたい。そうでなければ、刃16はスリーブ3に確実に入ることができない。
【0034】
図5は、回転カッタ12がスリーブ通路の中心軸7に対して最も内側の位置に配置されているスリーブ切断機構5の上面図を示す。これに対して、図6は、回転カッタ12がスリーブ通路の中心軸7に対して最も外側の位置に配置されているスリーブ切断機構5の上面図を示している。なお、中心軸7は、図5及び図6において紙面に垂直に延びていることに留意されたい。
【0035】
第2の実施形態
図7及び図8は、本発明による第2の実施形態のスリーブ切断機構105を示す。スリーブ切断機構105は、回転カッタ12の半径方向位置を調整するための1つのリングギア24の代わりに2つのリングギア25、26を備える点で、第1の実施形態のスリーブ切断機構5と異なる。各リングギア25,26は、スリーブ通路の中心軸7回りに回転可能となるように基部10に保持されている。
【0036】
第2の実施形態では、回転カッタ12は2つのグループに分けられている。図7に示すように、スリーブ切断機構105は、第1グループに割り当てられた2つの回転カッタ12a,12bと、第2グループに割り当てられた4つの回転カッタ12c,12d,12e,12fとを備えている。スリーブ通路の中心軸7に対する第1のグループに割り当てられた回転カッタ12a、12bの半径方向距離は、同期して、かつ第2のグループに割り当てられた回転カッタ12c、12d、12e、12fの半径方向距離とは独立して調整することができる。具体的には、リングギア25を回転させることにより、回転カッタ12a,12bの半径方向距離を調整することができ、リングギア26を回転させることにより、回転カッタ12c,12d,12e,12fの半径方向距離を調整することができる。この目的のために、リングギア25は、回転カッタ12a、12bの旋回アーム20に回転不能に接続されたリングギアセグメント22が位置する部分のみにおいて、その内周に形成された歯を備える。同様に、リングギア26は、回転カッタ12c、12d、12e、12fの旋回アーム20に回転不能に接続されたリングギアセグメント22が位置する部分のみにおいて、その内周に形成された歯を備える。すなわち、第1のグループに割り当てられた回転カッタ12a、12bの半径方向距離は、第2のグループに割り当てられた回転カッタ12c、12d、12e、12fの半径方向距離とは独立して調整することができる。
【0037】
断面又は外側輪郭が円形又は丸い形状と異なるスリーブを切断するとき、調整されるスリーブ通路の中心軸7に対する回転カッタの半径方向距離も互いに異なる。図7及び図8に示すように、切断されるスリーブ3の断面又は外側輪郭は楕円形である。スリーブ切断機構105は、回転カッタ12a、12bの半径方向距離を同期して、かつ回転カッタ12c、12d、12e、12fの半径方向距離とは独立して調整することができるので、スリーブ切断機構105は、楕円形断面を有するスリーブ3を切断することができる。
【0038】
収縮性スリーブ3が製品(食品容器、ボトル、ジャー、ボウル、ホルダーなど)の外形に適合することは一般的な要件であり、良好な収縮結果を達成するために、スリーブ3は可能な限り良好に上に置かれる。以上のような構成により、第2の実施形態のスリーブ切断機構105は、断面が円形又は丸形とは異なるスリーブ、例えば断面が楕円形のスリーブを切断することができる。したがって、スリーブ切断機構105は、収縮性スリーブ3を切断するために使用することができ、収縮性スリーブ3の外形は、円形又は丸形ではない、例えば楕円形の製品の外形と特に良好に一致する。したがって、ほとんど任意の形状の製品用のスリーブを切断することができ、優れた収縮結果を達成することができる。
【0039】
第3の実施形態
図9及び図10は、本発明による第3の実施形態のスリーブ切断機構205を示す。スリーブ切断機構205は、基部10に回転可能に保持され、中間ギア30に回転不能に固定されたプーリ37に巻き掛けられたタイミングベルト36によって中間ギア30が駆動される点で、第1の実施形態のスリーブ切断機構5と異なる。
【0040】
図10のスリーブ切断機構205の概略上面図に示すように、タイミングベルト36とプーリ37との歯の噛合を十分に確保するために、複数のローラ40が設けられている。モータ38は、タイミングベルト36を駆動するための動力を提供する。
【0041】
第4の実施形態
図11及び図12は、本発明による第4の実施形態のスリーブ切断機構305を示す。スリーブ切断機構305は、ギアを備えていない点で、第1の実施形態のスリーブ切断機構5と異なる。特に、スリーブ切断機構305の回転カッタ12は、従動ギア及び中間ギアの代わりに従動プーリ42を備える。プーリ42は、プーリ42とローラ40とに巻き掛けられたタイミングベルト36によって駆動され、タイミングベルト36はモータ38によって駆動される。説明のために、図11及び図12は、スリーブ通路の中心軸7に対する回転カッタ12の半径方向距離を調整するためのキャリア14、刃16、又はリングギアセグメント22を開示していないことに留意されたい。
【0042】
第4の実施形態のスリーブ切断機構305は、ギア、例えば、従動ギア及び中間ギアを有する実施形態と比較して、より少ない部品を有し、より安価である。更に、スリーブ切断機構305は、慣性が小さく、より低く構築することができ、したがって、サイズがよりコンパクトである。
【符号の説明】
【0043】
1ラベリング機械
3スリーブ
5、105、205、305スリーブ切断機構
6長手方向中心線
7中心軸
10基部
12回転カッタ
12a~12f回転カッタ
14キャリア
16刃
18従動ギア
20旋回アーム
22リングギアセグメント
24リングギア
25リングギア
26リングギア
27クランクハンドル
28旋回軸
30中間ギア
32リングギア
34電気モータ
36タイミングベルト
37プーリ
38モータ
40ローラ
42従動プーリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】