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特表2024-537442誘導加熱式装置用のエアロゾル発生物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】誘導加熱式装置用のエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20241003BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241003BHJP
   A24F 40/485 20200101ALI20241003BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/42
A24F40/485
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523729
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022079030
(87)【国際公開番号】W WO2023066962
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】AM20210082
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AM
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルヴェス
(72)【発明者】
【氏名】セレダ アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シモニャン アンゼリカ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AC17
4B162AC18
4B162AC27
4B162AC41
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品に関する。物品は、中空の管状近位領域(34)および閉鎖された遠位端(36)を含むサセプタ要素(32)を備える。物品は、サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分を同軸で囲む中空の管状芯要素(42)を備える。本発明はエアロゾル発生システムにさらに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品であって、
中空の管状近位領域および閉鎖された遠位端を含むサセプタ要素と、
前記サセプタ要素の前記中空の管状近位領域の少なくとも一部分を同軸に囲む中空の管状芯要素と、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記閉鎖された遠位端が、カップ形状の遠位端領域として構成される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記カップ形状の遠位端領域が、凝縮した液滴を収集するための収集貯蔵部を提供する、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記サセプタ要素の少なくとも一部分、好ましくは、前記サセプタ要素の前記中空の管状近位領域の少なくとも一部分が、流体透過性であり、より好ましくは、前記サセプタ要素の前記中空の管状近位領域の少なくとも一部分が、流体透過性であり、前記閉鎖された遠位端が、流体不透過性である、請求項1~3のいずれかに記載の組立品。
【請求項5】
前記サセプタ要素の前記中空の管状近位領域および前記閉鎖された遠位端のうちの一方または両方が、多孔性材料を含む、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記多孔性材料が、45%~80%、好ましくは、55%~70%の空隙率を有する、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記サセプタ要素の前記中空の管状近位領域の長軸方向中心軸に沿って延びる気流経路を備える、請求項1~6のいずれかに記載の物品。
【請求項8】
前記閉鎖された遠位端の近位の位置に位置する一つ以上の空気吸込み口を備える、請求項1~7のいずれかに記載の物品。
【請求項9】
前記一つ以上の空気吸込み口のサイズ、数、および配設が、前記物品の全体的な引き出し抵抗を予め決定するように構成され、前記一つ以上の空気吸込み口が、前記物品の前記全体的な引き出し抵抗が50~200水柱mm、好ましくは、100~160水柱mm、より好ましくは、120~140水柱mmの範囲内であるように配設される、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記芯要素を同軸に囲む中空の管状液体貯蔵部分を備える、請求項1~9のいずれかに記載の物品。
【請求項11】
前記中空の管状液体貯蔵部分が、前記芯要素の側壁に隣接した高保持材料を含む、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記高保持材料と前記芯要素との間の境界面に提供された多孔性壁要素を備える、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記物品が、円筒状形状を有し、前記物品の外径が、5ミリメートル~10ミリメートル、好ましくは、6ミリメートル~8ミリメートルである、請求項1~12のいずれかに記載の物品。
【請求項14】
前記閉鎖された遠位端が、流体不透過性である、請求項1~13のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~14のいずれかに記載の物品と、
前記物品の少なくとも一部分を挿入するための加熱チャンバ、および前記物品を誘導加熱するための前記加熱チャンバを少なくとも部分的に囲むインダクタコイル、を含むエアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生物品に関する。本開示は、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル形成基体を燃焼することなく加熱してもよい。加熱配設は、誘導加熱配設であってもよく、また誘導コイルおよびサセプタを含み得る。サセプタは、装置の一部であってもよく、または物品の一部であってもよい。
【0003】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバの中へのエアロゾル発生物品の挿入のために適切な形状を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、ロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバの中へと挿入されると、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバの中に、またはその周りに配設されてもよい。目標温度まで加熱されると、エアロゾル形成基体は気化してエアロゾルを形成する。
【0004】
エアロゾル発生物品は固体エアロゾル形成基体を含んでもよい。別の方法として、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分から電気発熱体に送達されてもよい。液体基体は、毛細管構成要素を介して発熱体に送達されてもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を含む交換可能または再充填可能なカートリッジとして形成されてもよい。カートリッジは、エアロゾル発生のために液体エアロゾル形成基体を装置に供給するために、エアロゾル発生装置に取り付けられてもよい。
【0005】
液体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を誘導加熱するために構成された既存の誘導加熱式エアロゾル発生装置とともに使用することができる液体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。液体エアロゾル形成基体を含むコンパクトなエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。漏れ防止を有する液体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品が提供される。物品は、サセプタ要素を備えてもよい。サセプタ要素は、中空の管状近位領域を含み得る。サセプタ要素は、閉鎖された遠位端を含んでもよい。物品は、中空の管状芯要素を備えてもよい。中空の管状芯要素は、サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分を同軸に囲んでもよい。
【0007】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品が提供される。物品は、中空の管状近位領域および閉鎖された遠位端を含むサセプタ要素を備える。物品は、サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分を同軸に囲む中空の管状芯要素を備える。
【0008】
たばこ含有消耗品を誘導加熱するためにも設計されたエアロゾル発生装置の狭い加熱チャンバの中に適合するようにコンパクトに設計され得るエアロゾル発生物品が提供される。こうした消耗品は典型的に、5ミリメートル~10ミリメートル、好ましくは、6ミリメートル~8ミリメートルの外径を有する。中空の加熱チャンバは、消耗品の外径と比較してわずかに広い内径を有する。
【0009】
エアロゾル発生物品の閉鎖された遠位端は、漏れ防止を支援し得る。例えば、蒸発していない、または内壁で液滴として再凝縮された液体エアロゾル形成基体の一部分に起因して、中空の管状近位領域の内部に存在し得る液滴は、重力または毛細管力によって閉鎖された遠位端に向かって移動し得る。液滴は、閉鎖された遠位端によってサセプタを出ることが妨げられ得る。それによって、漏れが回避され得る。
【0010】
閉鎖された遠位端は、流体不透過性であってもよい。
【0011】
閉鎖された遠位端は、カップ形状の遠位端領域として構成されてもよい。
【0012】
カップ形状の遠位端領域は、凝縮した液滴を収集するための収集貯蔵部を提供し得る。
【0013】
カップ形状の遠位端領域は、漏れ防止のための機構を提供し得る。例えば、蒸発していない液体エアロゾル形成基体の一部分に起因して中空の管状近位領域の内部に存在し得る液滴は、重力または毛細管力によってカップ形状の遠位端領域に向かって移動し得る。液滴はその後、収集貯蔵部内に閉じ込められ得る。それによって、漏れが回避され得る。
【0014】
サセプタ要素の少なくとも一部分は流体透過性であり得る。サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分は、流体透過性であり得る。サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分は、流体透過性であってもよく、閉鎖された遠位端は、流体不透過性であってもよい。
【0015】
サセプタ要素の中空の管状近位領域および閉鎖された遠位端のうちの一方または両方は、多孔性サセプタ材料を含んでもよい。
【0016】
多孔性サセプタ材料は、45%~80%、好ましくは、55%~70%の空隙率を有してもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「空隙率」は、材料の空隙である単位容積の割合として定義される。空隙率は、標準的な方法および方程式を使用して導き出され、空隙率の小数値を与える。定義された容積の材料の空孔容積(Vp)およびその総容積(Vt)を知ることにより、空隙率(Pt)が、Vp/Vtの比率によって与えられる。空隙率をパーセントとして表現するために、その小数を単に100%で乗じる。例えば、Pt=0.51、したがって0.51×100%=51%である。
【0018】
多孔性サセプタ材料は、強磁性合金、好ましくは、強磁性ステンレス鋼合金、より好ましくは、304ステンレス鋼または410ステンレス鋼であってもよい。
【0019】
中空の管状近位領域およびサセプタ要素の閉鎖された遠位端は、モノリシック構造を形成してもよい。
【0020】
管状の近位領域および閉鎖された遠位端を含むサセプタ要素全体は、モノリシック構造であってもよい。モノリシック構造は、流体透過性であってもよい。モノリシック構造は、多孔性であってもよい。モノリシック構造は、閉鎖された遠位端の領域に流体不透過性コーティングを含み得る。
【0021】
エアロゾル発生物品は、サセプタ要素の中空の管状近位領域の長軸方向中心軸に沿って延びる気流経路を備えてもよい。
【0022】
エアロゾル発生物品は、閉鎖された遠位端の近位の位置に位置する一つ以上の空気吸込み口を備えてもよい。
【0023】
一つ以上の空気吸込み口のサイズ、数、および配設は、エアロゾル発生物品の全体的な引き出し抵抗を予め決定するように構成されてもよい。
【0024】
使用中、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入されている時、エアロゾル発生物品の引き出し抵抗(RTD)とも呼ばれる引き出し保持力は、50~200水柱mm、好ましくは、100~160水柱mm、より好ましくは、120~140水柱mmの範囲内であってもよい。
【0025】
一つ以上の空気吸込み口は、エアロゾル発生物品の全体的な引き出し抵抗が50~200水柱mm、好ましくは、100~160水柱mm、より好ましくは、120~140水柱mmの範囲内となるように配設されてもよい。
【0026】
芯要素は、モノリシック要素であってもよい。
【0027】
芯要素は、セラミック材料を含んでもよい。芯要素は、多孔性材料を含んでもよい。芯要素は、多孔性セラミック材料を含んでもよい。芯要素は、多孔性シリカセラミックを含んでもよい。焼結材料の空隙率は、導入されたシリカ粒子の含有量を変化させ、その粒度を変化させることによって調整することができ、これにより最終製品の所望の空隙率を良好に制御することができる。
【0028】
芯要素の空隙率は、45%~80%、好ましくは、50%~65%、最も好ましくは、50%~60%であってもよい。
【0029】
エアロゾル発生物品は、芯要素を同軸に囲む中空の管状液体貯蔵部分を備えてもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体および液体感覚媒体のうちの一方または両方を含み得る。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、ニコチンを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、植物性含有量、例えばCBDを含んでもよい。
【0030】
中空の管状液体貯蔵部分は、芯要素の側壁に隣接した高保持材料を含んでもよい。高保持材料は、芯要素を同軸に囲む中空の管状要素の形態で提供される。高保持材料の中空の管状要素の外径は、4ミリメートル~6.5ミリメートルであってもよい。高保持材料は、多孔性材料であってもよい。高保持材料は、綿を含み得る。高保持材料は、本明細書に記載の通りの毛細管材料を含んでもよい。高保持材料は、芯要素の湿潤性を確保するのに役立ち得る。高保持材料は、芯要素が常に液体貯蔵部分から液体を供給されることを確保するのに役立ち得る。
【0031】
エアロゾル発生物品は、高保持材料と芯要素との間の境界面に提供された流体透過性壁要素を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、高保持材料と芯要素との間の境界面に提供された多孔性壁要素を備えてもよい。壁要素の空隙率は、50%~90%、好ましくは、50%~80%であってもよい。
【0032】
エアロゾル発生物品は、マウスピースまたはマウスピース要素を備えてもよい。マウスピースまたはマウスピース要素は、均質化チャンバを含んでもよい。均質化チャンバは、ユーザーによる吸入のためにマウスピース要素を出る前に、エアロゾルの膨張、均質化、および冷却のうちの一方または両方を可能にし得る。
【0033】
マウスピースは、管状コア要素を含んでもよい。管状コア要素は、凝縮形成を低減するために構成され得る。管状コア要素は、管状壁を含み得る。管状コア要素は、マウスピースの中心に配設されてもよい。管状コア要素は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って中央に配設されてもよい。管状コア要素は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に直交する方向に測定された内径を有してもよい。マウスピースの管状コア要素の内径は、マウスピースの外側管状壁の内径よりも小さくてもよい。管状コア要素の内径は、マウスピースの直径の1/3であってもよい。マウスピースの管状コア要素は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿った方向に測定された長さを有してもよい。管状コア要素の長さは、同じ方向に測定されるマウスピースの長さよりも小さくてもよい。管状コア要素の長さは、マウスピースの長さの約1/2であってもよい。管状コア要素を出た後、エアロゾルの流れの速度は減少する場合がある。エアロゾルは、管状コア要素を出た後にさらに均質化されてもよい。管状コア要素の管状壁の内側は、管状壁の外側よりも高温に曝露され得る。管状コア要素は、凝縮形成を防止または低減し得る。管状コア要素の管状壁の内側におけるエアロゾルおよび液滴形成の凝縮が防止または低減され得る。使用中、管状コア要素の管状壁は、マウスピースの外側管状壁よりも高温を有し得る。それによって、凝縮形成が防止または低減され得る。
【0034】
マウスピースは、凝縮防止のために構成された高保持材料を含んでもよい。本明細書で使用する「高保持材料」とは、液体を吸収および/または貯蔵する能力を有し、かつ液体を運ぶ(例えば、毛細管作用によって)能力を有する材料である。例えば、液体は、マウスピースの外側管状壁の内側から離れるように運ばれてもよい。液体エアロゾル形成基体またはエアロゾル形成基体の液体残留物は、マウスピースの外側管状壁の内側上で凝縮し得る。高保持材料は、マウスピースの管状コア要素を取り囲んでもよい。高保持材料は、マウスピースの管状コア要素の遠位部分を取り囲んでもよい。それによって、凝縮物は、エアロゾル発生物品が、遠位端が重心の方を向いた直立位置に配向された時に吸収され得る。高保持材料は、例えば綿であってもよい。
【0035】
マウスピース要素は、一つ以上の剥離可能な外層を含み得る。
【0036】
エアロゾル発生物品は、円筒状形状を有してもよい。物品の外径は、5ミリメートル~10ミリメートル、好ましくは、6ミリメートル~8ミリメートルであってもよい。
【0037】
エアロゾル発生物品は、芯要素の近位端に近位封止要素を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、芯要素の遠位端に遠位封止要素を備えてもよい。近位封止要素および遠位封止要素のうちの一方または両方は、封止ディスクの形態であってもよい。近位封止要素および遠位封止要素のうちの一方または両方は、空気を遮断してもよく、サセプタ要素および芯要素を保持および組み立ててもよい。
【0038】
エアロゾル発生物品は、その遠位端に配設されたキャッピング要素を備えてもよい。キャッピング要素は、中空の管状壁要素を含んでもよい。キャッピング要素は、中空の管状壁要素の遠位端に円周方向に配設された一つ以上の陥凹部を含んでもよい。キャッピング要素は、中空の管状壁要素内に円周方向に配設された一つ以上の入口穴、好ましくは、細長い開口部を含んでもよい。
【0039】
陥凹部または入口穴は、物品が平面と接触する時に、例えば、物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバの中に、加熱チャンバの平面遠位基部に対して挿入された時に、周囲空気がその遠位端で物品に入ることを可能にし得る。
【0040】
本発明はさらに、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムに関する。エアロゾル発生装置は、物品の少なくとも一部分を挿入するための加熱チャンバ、およびエアロゾル発生物品を誘導加熱するための加熱チャンバを少なくとも部分的に囲むインダクタコイルを含む。
【0041】
エアロゾル発生物品の液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体および液体感覚媒体のうちの一方または両方を含み得る。液体感覚媒体は、風味剤を含み得る。液体感覚媒体は、ニコチンを含み得る。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、風味剤、例えばメントールまたはハーブ化合物を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、ニコチンを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、植物性含有量、例えばCBDを含んでもよい。
【0042】
芯要素は、綿を含んでもよい。芯要素は、綿で作製されてもよい。
【0043】
芯要素は、多孔性要素であってもよい。芯要素は、気流から液体を吸収する能力を有してもよい。芯要素は、毛細管材料を含み得る。毛細管材料は、繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。毛細管材料は毛細管の束を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は、複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は概して、液体を芯要素の遠位部から芯要素の近位部に運ぶように整列され得る。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成してもよく、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系または黒鉛系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、エチレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよい。液体は、毛細管作用によって液体が毛細管材料を通して移動されることを可能にする粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を有する。毛細管材料は、エアロゾル形成基体を芯要素の近位部に、およびサセプタ要素に運ぶように構成されてもよい。毛細管材料はサセプタ要素内の隙間内に広がりうる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「液体感覚媒体」という用語は、液体感覚媒体と接触する気流を修正する能力を有する液体組成物に関する。気流の修正は、エアロゾルまたは蒸気を形成すること、気流を冷却すること、および気流を濾過することのうちの一つ以上であってもよい。例えば、液体感覚媒体は、エアロゾルまたは蒸気を形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含んでもよい。液体感覚媒体中のエアロゾル形成基体は、風味剤であるか、または風味剤を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、液体感覚媒体は、液体感覚媒体を通過する気流を冷却するための冷却物質、および気流中の望ましくない構成要素を捕捉するための濾過物質のうちの一方または両方を含んでもよい。水は、冷却物質として使用され得る。気流からダスト粒子などの粒子を捕捉するための濾過物質として、水が使用されてもよい。液体感覚媒体は、ニコチン提供液体、調味料、および増量剤のうちの一つ以上として機能してもよい。
【0045】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルまたは蒸気を形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、固体形態であってもよく、または液体状であってもよい。「エアロゾル」および「蒸気」という用語は、同じ意味で使用される。
【0046】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の液体貯蔵部分内に保持された液体の一部であってもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の液体貯蔵部分内に保持された液体感覚媒体の一部であってもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を収容してもよい。別の方法として、または追加的に、液体貯蔵部分は、固体エアロゾル形成基体を収容してもよい。例えば、液体貯蔵部分は、固体エアロゾル形成基体と液体との懸濁液を収容してもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を含有することが好ましい。
【0047】
好ましくは、液体ニコチンまたは風味/風味剤含有エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の液体貯蔵部分で採用され得る。
【0048】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでいてもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体は、ニコチン塩マトリクスであってもよい。
【0049】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。
【0050】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつ装置の動作温度において熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の好適な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)である。エアロゾル形成体はグリセリンであることが好ましい。存在する場合、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよく、また乾燥重量基準で5重量パーセント~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、装置の近位端またはユーザー端でマウスピースを吸うまたは吸煙するユーザーによって直接吸入可能なエアロゾルを発生する物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバの中に挿入可能であってもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、「液体貯蔵部分」という用語は、液体感覚媒体、および追加的に、または代替的に、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む貯蔵部分を指す。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を貯蔵するための容器または貯蔵部として構成されてもよい。
【0053】
液体貯蔵部分は、交換可能なタンクまたは容器として構成されてもよい。液体貯蔵部分は、任意の適切な形状およびサイズであってもよい。例えば、液体貯蔵部分は、実質的に円筒状であってもよい。液体貯蔵部分の断面は、例えば実質的に円形、楕円形、正方形、または長方形であってもよい。
【0054】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品とカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生システム」という用語は、カートリッジおよびエアロゾル発生物品のうちの一方または両方とエアロゾル発生装置との組み合わせを指す。システムでは、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生物品とカートリッジとのうちの一方または両方が協働して、呼吸に適したエアロゾルを発生する。
【0056】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。装置は電気的に動作する喫煙装置であってもよい。装置は、手持ち式エアロゾル発生装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、30ミリメートル~150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生装置は、5ミリメートル~30ミリメートルの外径を有してもよい。
【0057】
エアロゾル発生装置は、ハウジングを備えてもよい。ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0058】
ハウジングは、少なくとも一つの空気吸込み口を備えてもよい。ハウジングは、複数の空気吸込み口を含み得る。
【0059】
エアロゾル発生装置は、発熱体を備えてもよい。発熱体は、一つ以上のサセプタを誘導加熱するための少なくとも一つのインダクタコイル含み得る。
【0060】
発熱体の動作は、吸煙検出システムによってトリガーされてもよい。別の方法として、発熱体は、オンオフボタンを押すことによってトリガーされ、ユーザーの吸煙の持続時間の間保持されてもよい。吸煙検出システムはセンサとして提供されてもよく、これは気流速度を測定するための気流センサとして構成されてもよい。気流速度は、ユーザーによってエアロゾル発生装置の気流経路を通して引き出される時間当たりの空気の量を特徴付けるパラメータである。吸煙の開始は、気流が所定の閾値を超える時に、気流センサによって検出されてもよい。開始はまた、ユーザーがボタンを起動後に検出されてもよい。センサはまた、圧力センサとして構成されてもよい。
【0061】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えば、エアロゾル発生装置の加熱を開始するボタン、またはエアロゾル発生装置またはエアロゾル形成基体の状態を表示するディスプレイを含んでもよい。
【0062】
エアロゾル発生装置は、例えば、電気的に動作する、または電気式のエアロゾル発生装置内の搭載型電力供給源を再充電するための充電ユニットなどの、追加的な構成要素を含んでもよい。
【0063】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、エアロゾル発生装置またはシステムあるいはそれらの一部のユーザー端または口側端を指し、また「遠位」という用語は、近位端の反対側の端を指す。加熱チャンバに言及する時、「近位」という用語は、空洞の開端部に最も近い領域を指し、「遠位」という用語は、閉端部に最も近い領域を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生装置の使用中にユーザーがエアロゾル発生装置を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用される。
【0065】
本明細書で使用される「気流経路」という用語は、ガス状媒体を搬送するのに適したチャネルを意味する。気流経路は、周囲空気を搬送するために使用されてもよい。気流経路は、エアロゾルを搬送するために使用されてもよい。気流経路は、空気およびエアロゾルの混合物を搬送するために使用されてもよい。
【0066】
本明細書で使用される「サセプタ」または「サセプタ要素」は、交番磁場に供されたときに加熱する要素を意味する。これはサセプタ要素内で誘発される渦電流、またはヒステリシス損失、または渦電流とヒステリシス損失の両方の結果であってもよい。使用時に、サセプタ要素は、エアロゾル発生装置、またはエアロゾル発生物品に受容されたエアロゾル形成基体と熱的に接触して、または熱的に近接して位置する。このようにして、エアロゾル形成基体は、サセプタによって加熱され、これによりエアロゾルが形成される。
【0067】
サセプタ材料は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料であってもよい。サセプタに関する以下の実施例および特徴は、カートリッジのサセプタ要素、エアロゾル発生装置のサセプタ、およびエアロゾル発生物品のサセプタのうちの一方または両方に適用され得る。サセプタ材料のために適切な材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合材料が挙げられる。好ましいサセプタ材料は金属または炭素を含む。有利なことに、サセプタ材料は、例えばフェライト鉄、強磁性合金(強磁性鋼またはステンレス鋼など)、強磁性粒子、フェライトなどの強磁性材料またはフェリ磁性材料を含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。適切なサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ材料は、5パーセント超の、好ましくは20パーセント超の、より好ましくは50パーセント超の、または90パーセント超の強磁性材料、フェリ磁性材料、もしくは常磁性材料を含んでもよい。好ましいサセプタ材料は、劣化することなく、摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。
【0068】
サセプタ材料は、単一の材料層から形成されてもよい。単一の材料層は、鋼層であってもよい。
【0069】
サセプタ材料は、非金属コア上に配置された金属層を有する非金属コアを備えてもよい。例えば、サセプタ材料は、セラミックコアまたは基体の外表面上に形成された金属トラックを備えてもよい。
【0070】
サセプタ材料はオーステナイト鋼の層から形成されてもよい。ステンレス鋼の一つ以上の層は、オーステナイト鋼の層上に配設されてもよい。例えば、サセプタ材料は、その上面および下面の各々上にステンレス鋼の層を有するオーステナイト鋼の層から形成されてもよい。サセプタ要素は、単一のサセプタ材料を含み得る。サセプタ要素は、第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含んでもよい。第一のサセプタ材料は第二のサセプタ材料と密接な物理的接触をして配置されてもよい。第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料は密接に接触して、分解できない単一のサセプタを形成してもよい。ある特定の実施形態において、第一のサセプタ材料はステンレス鋼であり、第二のサセプタ材料はニッケルである。サセプタ要素は、二層構造を有してもよい。サセプタ要素は、ステンレス鋼層およびニッケル層から形成されてもよい。
【0071】
第一のサセプタ材料と第二のサセプタ材料の間の密接な接触は、任意の適切な手段によってなされてもよい。例えば、第二のサセプタ材料は、第一のサセプタ材料上にメッキ、堆積、被覆、クラッディング、または溶接されてもよい。好ましい方法としては、電気メッキ、亜鉛メッキ、およびクラッディングが挙げられる。
【0072】
エアロゾル発生装置は、発熱体に電力を供給するための電力供給源であり得る。電源は電池を備えてもよい。電源はリチウム-イオン電池であってもよい。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間の間エアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するのに十分な容量を有してもよい。
【0073】
電源は直流(DC)電源であってもよい。一実施形態では、電源は、2.5ボルト~4.5ボルトの範囲のDC供給電圧と、1アンペア10アンペアの範囲のDC供給電流とを有するDC電源(2.5ワット~45ワットの範囲のDC電源に対応する)である。エアロゾル発生装置は有利なことに、DC電源によって供給されたDC電流を交流電流に変換するための直流から交流への(DC/AC)インバータを備えてもよい。DC/ACコンバータは、クラスD、クラスC、またはクラスEの電力増幅器を備えてもよい。DC/ACコンバータのAC電力出力は、誘導コイルへと供給される。
【0074】
電源は、インダクタコイルに電力を供給するように適合されてもよく、また高周波で動作するように構成されてもよい。高周波で動作するために、クラスEの電力増幅器が好ましい。本明細書で使用される「高周波振動電流」という用語は、500キロヘルツ~30メガヘルツの周波数を有する振動電流を意味する。高周波振動電流は、1メガヘルツ~30メガヘルツの周波数を有してもよく、1メガヘルツ~10メガヘルツの周波数を有することが好ましく、5メガヘルツ~8メガヘルツの周波数を有することがより好ましい。
【0075】
別の実施形態において、電力増幅器のスイッチング周波数は、より低いkHz範囲、例えば100kHz~400KHzであってもよい。クラスDまたはクラスCの電力増幅器が使用される実施形態において、より低いkHz範囲のスイッチング周波数は特に有利である。
【0076】
エアロゾル発生装置は、コントローラを備えてもよい。コントローラは、インダクタコイルに電気的に接続されてもよい。コントローラは、第一の誘導コイルに、および第二の誘導コイルに電気的に接続されてもよい。コントローラは、誘導コイルに供給された電流、およびそれ故に誘導コイルによって発生された磁界強度を制御するように構成されてもよい。
【0077】
電源およびコントローラは、インダクタコイルに接続されてもよい。
【0078】
コントローラは、DC/ACコンバータの入力側の電流供給をチョップすることができるように構成されてもよい。このように、インダクタコイルに供給される電力は、従来の負荷サイクル管理の方法によって制御され得る。
【実施例
【0079】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0080】
実施例A:
エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品であって、
中空の管状近位領域および閉鎖された遠位端を含むサセプタ要素と、
サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分を同軸に囲む中空の管状芯要素と、を備える、エアロゾル発生物品。
実施例B:
閉鎖された遠位端がカップ形状の遠位端領域として構成される、実施例Aによる物品。
実施例C:
カップ形状の遠位端領域が、凝縮した液滴を収集するための収集貯蔵部を提供する、実施例Bによる物品。
実施例D:
サセプタ要素の少なくとも一部分、好ましくは、サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分が、流体透過性であり、より好ましくは、サセプタ要素の中空の管状近位領域の少なくとも一部分が、流体透過性であり、閉鎖された遠位端が、流体不透過性である、実施例A~Cのいずれかによる組立品。
実施例E:
サセプタ要素の中空の管状近位領域および閉鎖された遠位端のうちの一方または両方が、多孔性材料を含む、実施例Dによる物品。
実施例F:
多孔性材料が、45%~80%、好ましくは、55%~70%の空隙率を有する、実施例Eによる物品。
実施例G:
多孔性材料が、強磁性合金、好ましくは、強磁性ステンレス鋼合金、より好ましくは、304ステンレス鋼または410ステンレス鋼である、実施例Eまたは実施例Fによる物品。
実施例H:
サセプタ要素の中空の管状近位領域および閉鎖された遠位端が、モノリシック構造を形成する、実施例A~Gのいずれかによる物品。
実施例I:
サセプタ要素の中空の管状近位領域の長軸方向中心軸に沿って延びる気流経路を備える、実施例A~Hのいずれかによる物品。
実施例J:
閉鎖された遠位端の近位の位置に位置する一つ以上の空気吸込み口を備える、実施例A~Iのいずれかによる物品。
実施例K:
一つ以上の空気吸込み口のサイズ、数、および配設が、物品の全体的な引き出し抵抗を予め決定するように構成される、実施例Jによる物品。
実施例L:
一つ以上の空気吸込み口が、物品の全体的な引き出し抵抗が50~200水柱mm、好ましくは、100~160水柱mm、より好ましくは、120~140水柱mmの範囲内となるように配設される、実施例Kによる物品。
実施例M:
芯要素を同軸に囲む中空の管状液体貯蔵部分を備える、実施例A~Lのいずれかによる物品。
実施例N:
中空の管状液体貯蔵部分が、芯要素の側壁に隣接した高保持材料を含む、実施例Mによる物品。
実施例O:
高保持材料と芯要素との間の境界面に提供された多孔性壁要素を備える、実施例Nによる物品。
実施例P:
マウスピース要素を備える、実施例A~Oのいずれかによる物品。
実施例Q:
マウスピース要素が、一つ以上の剥離可能な外層を含む、実施例Pによる物品。
実施例R:
物品が、円筒状形状を有し、物品の外径が、5ミリメートル~10ミリメートル、好ましくは、6ミリメートル~8ミリメートルである、実施例A~Qのいずれかによる物品。
実施例S:
閉鎖された遠位端は、流体不透過性である、実施例A~Rのいずれかによる物品。
実施例T:
エアロゾル発生システムであって、
実施例A~Sのいずれか一つによる物品と、
物品の少なくとも一部分を挿入するための加熱チャンバ、および物品を誘導加熱するための加熱チャンバを少なくとも部分的に囲むインダクタコイル、を含むエアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【0081】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0082】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1図1aは、エアロゾル発生物品を示す。 図1bは、エアロゾル発生物品を示す。
図2図2は、エアロゾル発生物品の一部分を示す。
図3図3aは、マウスピース要素を示す。 図3bは、マウスピース要素を示す。
図4図4aおよび図4bは、エアロゾル発生物品の一部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1aは、細長い円筒状エアロゾル発生物品10の二つの斜視図を示す。物品10は、物品10の近位端に配設されたマウスピース要素12を備える。物品10は、カートリッジセクションをさらに備える。カートリッジセクションは、内側チャネル16を囲む中空の管状液体貯蔵部分14を含む。中空の管状液体貯蔵部分14は、液体エアロゾル形成基体18を保持する。カートリッジセクションは、内側チャネル16内に配設され、液体貯蔵部分14によって囲まれるサセプタおよび芯の組立品20を含む。サセプタおよび芯の組立品20は、以下の図2に関して以下により詳細に説明される。中空の管状液体貯蔵部分14は、サセプタおよび芯の組立品20の側壁に隣接した高保持材料22を含む。
【0085】
物品10は、その遠位端に配設されたキャッピング要素24を備える。キャッピング要素24は、中空の管状壁要素26を含む。キャッピング要素24は、中空の管状壁要素26の遠位端に円周方向に配設された複数の陥凹部28を含む。
【0086】
図1bは、エアロゾル発生物品10の二つの斜視図を示す。図1bに示す物品10は、図1bのキャッピング要素24が陥凹部28を含まないことを除いて、図1aの物品10と同一である。代わりに、図1bのキャッピング要素24は、中空の管状壁要素26内に円周方向に配設された複数の細長い開口部30を含む。
【0087】
陥凹部28または細長い開口部30は、物品が平面と接触する時に、例えば、物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバの中に、加熱チャンバの平面遠位基部に対して挿入された時に、周囲空気がその遠位端で物品に入ることを可能にし得る。
【0088】
図2は、図1bのエアロゾル発生物品の遠位部分を示す。サセプタおよび芯の組立品20をより詳細に示す。サセプタおよび芯の組立品20の領域は、例示の目的で点線の長方形によって示されている。
【0089】
サセプタおよび芯の組立品20は、サセプタ要素32を含む。サセプタ要素32は、中空の管状近位領域34および閉鎖された遠位端を含む。閉鎖された遠位端は、カップ形状の遠位端領域36として構成される。カップ形状の遠位端領域36は、凝縮した液滴を収集するための収集貯蔵部38を提供する。
【0090】
サセプタ要素32は、閉鎖されたカップ形状の遠位端領域36の近位の位置に位置する複数の空気吸込み口40を含む。空気吸込み口40のサイズ、数、および配設は、物品の全体的な引き出し抵抗を予め決定するように構成される。
【0091】
サセプタおよび芯の組立品20は、空気吸込み口40を含むその遠位部分を除いて、サセプタ要素32の中空の管状近位領域34の大部分を同軸に囲む中空の管状芯要素42を含む。
【0092】
芯要素42によって囲まれた中空の管状近位領域34の少なくとも大部分は、流体透過性である。管状の近位領域34およびカップ形状の遠位端領域36を含むサセプタ要素32全体は、モノリシック構造であってもよい。モノリシック構造は、流体透過性であってもよい。モノリシック構造は、多孔性であってもよい。モノリシック構造は、カップ形状の遠位端領域36の領域内に流体不透過性コーティングを含んでもよい。
【0093】
中空の管状液体貯蔵部分14は、芯要素42を同軸に囲む。中空の管状液体貯蔵部分14は、芯要素42の側壁に隣接した高保持材料22を含む。多孔性の流体透過性内壁要素44は、高保持材料22と芯要素42との間の境界面に提供される。
【0094】
液体貯蔵部分14内に貯蔵された液体エアロゾル形成基体18は、高保持材料22の中へとこれを通り、次いで流体透過性内壁要素44を通り、そして芯要素42の中へとこれを通って移動して、サセプタ要素32の中空の管状近位領域34を湿潤させ得る。サセプタ要素32が誘導加熱される時、中空の管状近位領域34に位置する液体エアロゾル形成基体18は、加熱されて揮発し、エアロゾルを形成し得る。
【0095】
サセプタ要素32のカップ形状の遠位端領域36は、漏れ防止のための機構を提供する。例えば、蒸発していない液体エアロゾル形成基体の一部分に起因して中空の管状近位領域34の内部に存在し得る液滴は、重力または毛細管力によってカップ形状の遠位端領域36に向かって移動し得る。液滴はその後、収集貯蔵部38内に閉じ込められる。それによって、漏れが回避され得る。
【0096】
サセプタおよび芯の組立品20に近位の領域において、液体貯蔵部分14の流体不透過性の内壁要素46は、内側チャネル16を囲む。流体不透過性の内壁46の遠位端は、第一の突出部48を含む。サセプタおよび芯の組立品20の近位端部分50は、第一の突出部48を介して流体不透過性の内壁46に固定および封止される。
【0097】
キャッピング要素24は、その管状壁要素26を第二の突出部54を介して液体貯蔵部分14の外壁52に固定することによって固定および封止される。細長い開口部30の代わりに、図1aに示す通り、キャッピング要素74は陥凹部28を含んでもよい。
【0098】
封止ディスクの形態の近位封止要素56は、芯要素42の近位端に提供される。封止ディスクの形態の遠位封止要素58は、芯要素42の遠位端に提供される。遠位封止要素56は空気を遮断し、サセプタ要素32および芯要素42を保持および組み立てる。
【0099】
物品10は、サセプタ要素32の中空の管状近位領域34の長軸方向中心軸に沿って延びる気流経路を備える。空気は、遠位端において細長い開口部30を通して物品10に入り、さらに、空気吸込み口40を介してサセプタ要素32内の気流経路に入り得る。入ってくる空気は、高温サセプタ要素32に近接する時、および空気吸込み口40を介して中空サセプタ要素32に入る時に予熱され得る。中空の管状近位領域34の軸の領域では、サセプタ要素32が誘導加熱されてサセプタ要素32に移動した液体エアロゾル形成基体を揮発する時にエアロゾルが形成される。気流経路は、図4aおよび4bの点線矢印によって視覚化されている。エアロゾル形成基体の揮発した化合物を含む気流は、内側チャネル16を通ってマウスピース12の中へとさらに移動し、ここから成熟したエアロゾルは物品を出てユーザーによって吸入される。
【0100】
図3aおよび図3bは各々、エアロゾル発生物品10のカートリッジセクションの近位端の上部に取り付けられたマウスピース要素12を示す。中空の管状液体貯蔵部分14、内側チャネル16、液体エアロゾル形成基体18、および外壁52の近位部分が示されている。マウスピース要素12は、均質化チャンバ60を含む。均質化チャンバ60は、内側チャネル16に流体接続している。均質化チャンバ60は、ユーザーによる吸入のためにマウスピース要素12を出る前に、エアロゾルの膨張、均質化、および冷却を可能にする。
【0101】
図3bのマウスピース要素12とは異なり、図3aのマウスピース要素12の外側側壁は、剥離可能な外層60の多層を含む。剥離可能な外層62の各層は、隣接する内層上に取り外し可能に接着される。したがって、個々の層は、個別に剥がすことができるセグメントを提供する。それによって、衛生的なマウスピースが提供される。
【0102】
物品の使用後、使用済みの層は、次の使用または次のユーザーのためにきれいな表面が存在するように剥がされ得る。
【0103】
図4aおよび図4bは、図2に同様に示すようなエアロゾル発生物品の一部分の断面図を示す。上述のように、気流経路は点線矢印によって視覚化されている。
【0104】
さらに、図4aおよび図4bでは、適切な長さの範囲および好ましい特定の部品の長さが示されている。対応する値を以下の表1に列挙する。
【表1】
図1a)】
図1b)】
図2
図3a)】
図3b)】
図4a)】
図4b)】
【国際調査報告】