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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】心臓ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/82 20210101AFI20241003BHJP
   A61M 60/422 20210101ALI20241003BHJP
   A61M 60/81 20210101ALI20241003BHJP
   F04D 29/048 20060101ALI20241003BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20241003BHJP
   A61M 60/174 20210101ALN20241003BHJP
   A61M 60/104 20210101ALN20241003BHJP
   A61M 60/216 20210101ALN20241003BHJP
【FI】
A61M60/82
A61M60/422
A61M60/81
F04D29/048
F04D29/046 Z
A61M60/174
A61M60/104
A61M60/216
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523748
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022077151
(87)【国際公開番号】W WO2023066635
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2114999.2
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515339170
【氏名又は名称】カロン カーディオ-テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ビギントン マシュー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ ロビン
【テーマコード(参考)】
3H130
4C077
【Fターム(参考)】
3H130AA05
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC18
3H130BA13E
3H130BA66E
3H130CA21
3H130DB03X
3H130DB10X
3H130DB13X
3H130DD01Z
3H130EB01A
3H130EB01C
4C077AA04
4C077DD08
4C077DD10
4C077EE01
4C077JJ08
4C077JJ30
4C077KK21
4C077KK27
(57)【要約】
心臓ポンプが提供される。心臓ポンプは、ハウジングと、心臓ポンプの回転軸に沿ってローターの第1及び第2の軸方向端部の間に延びるローターと、軸受組立体とを備える。軸受組立体は、回転軸の周りの回転のために心臓ポンプハウジングの中でローターを支持するように構成され、ローターは、ローターの軸方向端面に形成された凹部を備える。ハウジングは、凹部の中へ軸方向に延びる突出部を備える。軸受組立体は、ローターに形成された凹部の半径方向外側のハウジングの部分上に設けられた第1の磁石組立体と、ハウジングの突出部の半径方向外側のローターの部分上に設けられた第2の磁石組立体と、ハウジングの突出部上に設けられた第3の磁石組立体とを備え、第1、第2、及び第3の磁石組立体は、回転軸と平行な方向で少なくとも部分的に互いに重なり合う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ポンプであって、
ハウジングと、
ローターであって、当該ローターの第1及び第2の軸方向端部の間に前記心臓ポンプの回転軸に沿って延びる前記ローターと、
軸受組立体と、
を備え、
前記軸受組立体は、前記回転軸の周りの回転のために前記心臓ポンプハウジングの中で前記ローターを支持するように構成され、前記ローターは、当該ローターの軸方向端面に形成された凹部を備え、前記ハウジングは、前記凹部の中へ軸方向に延びる突出部を備え、
前記軸受組立体は、
前記ローターに形成された前記凹部の半径方向外側にある前記ハウジングの部分に設けられた第1の磁石組立体と、
前記ハウジングの前記突出部の半径方向外側にある前記ローターの部分に設けられた第2の磁石組立体と、
前記ハウジングの前記突出部に設けられた第3の磁石組立体と、
を備え、
前記第1、第2、及び第3の磁石組立体は、前記回転軸と平行な方向において互いに少なくとも部分的に重なり合う、心臓ポンプ。
【請求項2】
前記ローターの前記第1の軸方向端部は、出口端部であり、前記ローターの前記第2の軸方向端部は、入口端部であり、前記凹部は、前記ローターの前記出口端部において前記軸方向端面に形成されている、請求項1に記載の心臓ポンプ。
【請求項3】
前記第1の磁石組立体は、半径方向内向き方向において前記第1の磁石組立体に隣接してより強い磁場を生成し、半径方向外向き方向において前記第1の磁石組立体に隣接してより弱い磁場を生成するように配置された、複数の磁石を備える、請求項1又は2に記載の心臓ポンプ。
【請求項4】
前記第1の磁石組立体は、半径方向内向き方向において前記第1の磁石組立体に隣接してより強い磁場を生成し、半径方向外向き方向において前記第1の磁石組立体に隣接してより弱い磁場を生成するように配置された、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備える、請求項1から3のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項5】
前記第1の磁石組立体は、前記回転軸と平行な第1の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第1のハウジング磁石と、前記第1の方向と反対の第2の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第2のハウジング磁石と、選択的に、前記第1及び第2のハウジング磁石の間に配置された第3のハウジング磁石と、を備える、請求項1から4のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項6】
前記第1の磁石組立体は、前記第1及び第2のハウジング磁石の間に配置された磁極片を備える、請求項5に記載の心臓ポンプ。
【請求項7】
前記第1の磁石組立体は、前記ハーフ又はフルハルバッハ配列の各々の磁石の間に磁極片を備える、請求項4に従属する場合の請求項6に記載の心臓ポンプ。
【請求項8】
前記第2の磁石組立体は、前記回転軸と平行な第1の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第1のローター磁石と、前記第1の方向と反対の第2の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された、前記第1のローター磁石に隣接する第2のローター磁石と、を備える、請求項1から7のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項9】
前記第2のマグネット組立体は、前記回転軸と平行な第1の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第1のローター磁石と、前記第1の方向と反対の第2の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第2のローター磁石と、前記第1及び第2のローター磁石の間に配置された磁極片と、を備える、請求項1から7のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項10】
前記第3の磁石組立体は、半径方向外向き方向において前記第3の磁石組立体に隣接してより強い磁場を生成し、半径方向内向き方向において前記第3の磁石組立体に隣接してより弱い磁場を生成するように配置された、複数の磁石を含む、請求項1から9のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項11】
前記第3の磁石組立体は、半径方向外向き方向において前記第3の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において前記第3の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備える、請求項1から10のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項12】
前記第3の磁石組立体は、前記回転軸と平行な第1の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第4のハウジング磁石と、前記第1の方向と反対の第2の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第5のハウジング磁石と、選択的に、前記第4及び第5のハウジング磁石の間に配置された磁極片と、を備える、請求項1から11のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項13】
前記第3の磁石組立体は、前記ハーフ又はフルハルバッハ配列の各々の磁石の間に磁極片を備える、請求項11に従属する場合の請求項12に記載の心臓ポンプ。
【請求項14】
前記軸受組立体は、前記ハウジングに設けられた第4の磁石組立体と、前記ローターに設けられた第5の磁石組立体とをさらに備え、前記第4及び第5の磁石組立体は、前記回転軸と平行な方向において前記ローターの前記凹部から離間しており、前記第4及び第5の磁石組立体は、前記回転軸と平行な方向において少なくとも部分的に互いに重なり合う、請求項1から13のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項15】
前記第4及び第5の磁石組立体は、前記第1、第2、及び第3の磁石組立体よりも前記ローターの前記入口端部の近くに配置されている、請求項2に従属する場合の請求項14に記載の心臓ポンプ。
【請求項16】
前記心臓ポンプは、前記ハウジングに対する前記ローターの回転を引き起こす1つ以上の駆動磁石を含む磁気駆動組立体をさらに備え、前記1つ以上の駆動磁石は、前記第1、第2、及び第3の磁石組立体と、前記第4及び第5の磁石組立体との間に配置されている、請求項14又は15に記載の心臓ポンプ。
【請求項17】
前記第5の磁石組立体は、前記回転軸と平行な第1の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第3のローター磁石と、前記第1の方向と反対の第2の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された、前記第3のローター磁石に隣接する第4のローター磁石と、を備える、請求項14から16のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項18】
前記第5の磁石組立体は、前記回転軸と平行な第1の方向と整列するように磁気双極子モーメントが配置された第3のローター磁石と、前記第1の方向と反対の第2の方向と整列されるように磁気双極子モーメントが配置された第4のローター磁石と、前記第3及び第4のローター磁石の間に配置された磁極片と、を備える、請求項14から17のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項19】
前記第4の磁石組立体は、半径方向内向き方向において前記第4の磁石組立体に隣接してより強い磁場を生成し、半径方向外向き方向において前記第4の磁石組立体に隣接してより弱い磁場を生成するように配置された、複数の磁石を備える、請求項14から18のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項20】
前記第4の磁石組立体は、半径方向内向き方向において前記第4の磁石組立体に隣接してより強い磁場を生成し、半径方向外向き方向において前記第4の磁石組立体に隣接してより弱い磁場を生成するように配置された、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備える、請求項14から19のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項21】
前記第4の磁石組立体は、5つ以上の磁石を備える、請求項20に記載の心臓ポンプ。
【請求項22】
前記第5の磁石組立体は、半径方向外向き方向において前記第5の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において前記第5の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、複数の磁石を含む、請求項14から21のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項23】
前記第5の磁石組立体は、半径方向外向き方向において前記第5の磁石組立体に隣接してより強い磁場を生成し、半径方向内向き方向において前記第5の磁石組立体に隣接してより弱い磁場を生成するように配置された、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備える、請求項14から22のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項24】
前記ハウジングの前記突出部は、前記ローターの前記第1の端部において、前記ハウジングと前記ローターとの間に滑り軸受を形成するために前記凹部において前記ローターと係合するように構成されている、請求項1から23のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【請求項25】
前記ハウジングは、前記ローターの前記第2の端部において、前記ハウジングと前記ローターとの間にさらなる滑り軸受を形成するために前記ローターの前記第2の端部において前記ローターと係合するように構成されている、請求項1から24のいずれかに記載の心臓ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心臓ポンプなどの血液ポンプに関し、特に限定されるものではないが、亜臨界ローター速度で作動するように構成された心臓ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
進行性心不全は、毎年何千人もの死者が出ている大きな世界的な健康問題であり、この疾病を罹患する人達は、非常に質の低い生活の質に耐えている。進行性心不全の治療法、例えば、薬物療法及び心臓再同期化(ペースメーカー)には一般的に実証された成功例はなく、患者に残された唯一の選択肢は、心臓移植である。残念なことに、利用可能なドナーの心臓の数は、需要のほんの一部しか満たされず、多くの人々は、未治療のままである。
【0003】
補助人工心臓(VAD)は、心臓移植に代わる治療法として、ここ10年で受け入れられつつある。補助人工心臓の使用によって、大部分の症例において、一旦補助人工心臓が埋め込まれると、病気の進行が停止され、心不全の症状が緩和され、患者は、良好な生活の質を取り戻すことが示されている。
【0004】
VADは、心不全治療の有力な選択肢と考えることができ、ドナー心臓が利用できないことになる何千人もの心不全患者に希望を与えている。
【0005】
一般論として、人間の心臓の心室への埋め込み適する、VDAなどの心臓ポンプを提供することが知られている。このような埋め込み型ポンプの最も一般的なタイプは、それらの小さいサイズ及び機械的な単純さ/信頼性のために、小型回転ポンプである。このような公知の装置は、2つの主要構成要素である、心臓ポンプハウジング及び心臓ポンプローターを有し、心臓ポンプハウジングは、心臓ポンプ入口及び心臓ポンプ出口を画定し、心臓ポンプローターは、心臓ポンプハウジング内に収容され、流体にエネルギーを与えるように構成されている。
【0006】
従って、心臓ポンプの要件は、心臓ポンプハウジング内で心臓ポンプローターを回転可能に支持する軸受システムである。心臓ポンプの軸受システム、及び、一般にポンプ及びモーターなどの全ての回転機械は、理想的には、他の全ての自由度において十分な拘束力をローターに与えながら、ローターの回転を許容するという基本的な機能を達成する。例えば、軸受システムは、軸方向、半径方向、及びピッチ/ヨーでローターを支持する必要がある。
【0007】
軸受システムの望ましい機能には、一般に、低い摩耗率、低い騒音、及び低い振動、血液ポンプの場合、血液を閉じ込める、又は、血液に剪断応力又は熱を導入する特徴を排除することが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
公知の装置では、心臓ポンプのローターは、複数の異なるタイプの軸受システムのうちの1つを用いてハウジング内で回転可能に支持することができる。一般に、心臓ポンプで使用される3つのタイプの軸受システムがある。
【0009】
いくつかの心臓ポンプは、ハウジング内でローターをしっかりと支持するために、例えば、一対の滑り軸受のような、血液に浸漬された接触軸受を使用する。しかしながら、このような滑り軸受システムでは、ローターが接触軸受内に完全に閉じ込められるのを保証することが困難な場合がある。さらに、従来技術の血液に浸漬された接触軸受は、軸受内、軸受に近接した領域、及び軸受の周りの支持構造体上でタンパク質及び他の生物学的沈着の影響を受けやすい可能性がある。
【0010】
他の心臓ポンプは、ローターが血液の薄膜上で支持されている非接触流体力学的軸受システムを使用する。必要なレベルの流体力学的揚力を生み出すために、流体力学的軸受システムは、小さな走行隙間を必要とする。その結果、これらの小さな走行隙間を通過する血液は、例えば、溶血又は血小板活性化をさらに引き起こして血栓症にさらに引き起こすことによって、血液の細胞成分に有害な影響を及ぼす場合がある高レベルの剪断応力を受ける可能性がある。
【0011】
また、心臓ポンプは、非接触磁気軸受システムを使用することができ、ここでは、ローターとハウジングとの間の走行隙間は、大きな間隙が軸受内に存在し、軸受内の剪断関連の血液損傷が低減するように設計することができる。しかしながら、少なくとも1自由度で他の方法と組み合わせて、アクティブ磁気制御のような受動磁気軸受システムを使用することが一般的である。これは、設計のサイズ及び複雑さ、及び/又は、流体力学的サスペンションを著しく増大させる可能性があり、これは、製造公差に関する要件を増大させる可能性がある。
【0012】
既存の心臓ポンプでは、軸受システムは、典型的には、低い剛性を有し、ローターは超臨界速度で作動するようになっている。従って、心臓ポンプは、心臓ポンプの作動速度に達するためにローターが臨界速度を超えて加速するときに受ける荷重に耐えるように設計及び構築する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様によれば、心臓ポンプなどの血液ポンプが提供され、ポンプは、
ハウジングと、
ローターであって、心臓ポンプの回転軸に沿ってローターの第1及び第2の軸方向端部の間に延びるローターと、
軸受組立体と、
を備え、
軸受組立体は、回転軸の周りの回転のために心臓ポンプハウジングの中でローターを支持するように構成され、ローターは、その軸方向端面に形成された凹部を備え、ハウジングは、凹部の中へ軸方向に延びる突出部を備え、軸受組立体は、
ローターに形成された凹部の半径方向外側のハウジングの部分上に設けられた第1の磁石組立体と、
ハウジングの突出部の半径方向外側のローターの部分上に設けられた第2の磁石組立体と、
ハウジングの突出部上に設けられた第3の磁石組立体と、
を備え、
第1、第2、及び第3の磁石組立体は、回転軸と平行な方向で少なくとも部分的に互いに重なり合う。
【0014】
それによって、第1、第2、及び第3の磁石組立体は、回転軸に対して半径方向にローターを支持するように構成することができる。
【0015】
ローターの第1の軸方向端部は、出口端部とすることができ、ローターの第2の軸方向端部は、入口端部とすることができる。凹部は、ローターの出口端部において軸方向端面に形成することができる。あるいは、凹部は、ローターの入口端部において軸方向端面に形成することができる。
【0016】
第1の磁石組立体は、半径方向内向き方向において第1の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向外向き方向において第1の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、複数の磁石を備えることができる。
【0017】
第1の磁石組立体は、半径方向内向き方向において第1の磁石組立体に隣接してより強い磁場を生成し、半径方向外向き方向において第1の磁石組立体に隣接してより弱い磁場を生成するように配置された、例えば、3又は4以上の磁石を備える、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備えることができる。
【0018】
第1の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向と整列するように配置された第1のハウジング磁石を備えることができる。第1の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向と整列するように配置された第2のハウジング磁石を備えることができる。第1の磁石組立体は、第1及び第2のハウジング磁石の間に配置された磁極片を備えることができる。第1の磁石組立体は、ハーフ又はフルハルバッハ配列の各磁石間に配置された磁極片を備えることができる。第1の磁石組立体は、第3のハウジング磁石を備えることができる。
【0019】
第2の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向と整列するように配置された第1のローター磁石を備えることができる。第2の磁石組立体は、例えば、ローターの回転軸に沿って、第1のローター磁石に隣接する、例えば、第1及び第2の磁石の間に磁極片なしで、第1のローター磁石に直接隣接する、第2のローター磁石を備えることができる。第2のローター磁石は、その磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向と整列するように配置することができる。第2の磁石組立体は、例えば、回転軸に沿って、第1及び第2のローター磁石の間に配置された磁極片を備えることができる。
【0020】
第3の磁石組立体は、半径方向外向き方向において第3の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において第3の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、複数の磁石を備えることができる。例えば、第3の磁石組立体は、半径方向外向き方向において第3の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において第3の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備えることができる。
【0021】
第3の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向と整列するように配置された第4のハウジング磁石を備えることができる。第3の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向と整列するように配置された第5のハウジング磁石を備えることができる。第3の磁石組立体は、例えば、回転軸に沿って、第4及び第5のハウジング磁石の間に配置された磁極片を備えることができる。第3の磁石組立体は、半又は完全バッハ配列の各磁石の間に磁極片を備えることができる。
【0022】
軸受組立体は、ハウジング上に設けられた第4の磁石組立体と、ローター上に設けられた第5の磁石組立体とをさらに備えることができる。第4及び第5の磁石組立体は、回転軸と平行な方向においてローターの凹部から相隔たっている。第4及び第5の磁石組立体は、回転軸と平行な方向において少なくとも部分的に互いに重なり合うことができる。
【0023】
第4及び第5の磁石組立体は、第1、第2、及び第3の磁石組立体よりもローターの入口端部に近接して配置することができる。例えば、第1、第2、及び第3の磁石組立体は、出口端部にて回転軸の周りのローターの回転を、例えば、半径方向に支持するように配置することができ、第4及び第5の磁石組立体は、入口端部にて回転軸の周りのローターの回転を、例えば、半径方向に支持するように配置することができる。
【0024】
心臓ポンプは、ハウジングに対するローターの回転を引き起こす1又は2以上の駆動磁石を備える磁気駆動組立体をさらに備えることができる。1又は2以上の駆動磁石は、第1、第2、及び第3の磁石組立体と、第4及び第5の磁石組立体との間に配置することができる。
【0025】
第4の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向と整列するように配置された第7のハウジング磁石を備えることができる。第4の磁石組立体は、第8のハウジング磁石を備えることができる。第8のハウジング磁石は、例えば、回転軸に沿って第7のハウジング磁石に隣接することができる。第8のハウジング磁石は、例えば、第7及び第8のハウジング磁石の間に磁極片なしで、第7のハウジング磁石に直接隣接することができる。第7のハウジング磁石は、第7のハウジング磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向と整列するように配置することができる。
【0026】
第5の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向と整列するように配置された第3のローター磁石を備えることができる。第5の磁石組立体は、例えば、回転軸に沿って第3のローター磁石に隣接する第4のローター磁石を備えることができる。第4のローター磁石は、例えば、第3及び第4のローター磁石の間に磁極片なしで第3のローター磁石に直接隣接することができる。第4のローター磁石は、その磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向と整列するように配置することができる。
【0027】
第5の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向と整列するように配置された第3のローター磁石を備えることができる。第5の磁石組立体は、その磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向と整列するように配置された第4のローター磁石を備えることができる。第5の磁石組立体は、例えば、回転軸に沿って第3及び第4のローター磁石の間に配置された磁極片を備えることができる。
【0028】
第4の磁石組立体は、半径方向内向き方向において第4の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向外向き方向において第4の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、複数の磁石を備えることができる。
【0029】
第4の磁石組立体は、半径方向内向き方向において第4の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向外向き方向において第4の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備えることができる。第4の磁石組立体は、5又は6以上の磁石を備えることができる。
【0030】
第5の磁石組立体は、半径方向外向き方向において第5の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において第5の磁石組立体に隣接してより弱い磁界と生成するように配置された、複数の磁石を備えることができる。
【0031】
第5の磁石組立体は、半径方向外向き方向において第5の磁石組立体に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において第5の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備えることができる。
【0032】
ハウジングの突出部は、ローターの第1の端部において、ハウジングとローターとの間に滑り軸受を形成するために凹部でローターと係合するように構成することができる。ハウジングは、ローターの第2の端部において、ハウジングとローターとの間にさらなる滑り軸受を形成するためにローターの第2の端部でローターと係合するように構成することができる。
【0033】
本明細書における努力の不必要な重複及びテキストの繰り返しを避けるために、特定の特徴は、本発明の1つ又は複数の態様又は実施形態のみに関連して説明される。しかしながら、技術的に可能であれば、本発明の何らかの態様又は実施形態に関連して説明された特徴はまた、本発明の何らかの他の態様又は実施形態と共に使用することができることを理解されたい。
【0034】
本発明をよりよく理解するために、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、ここで、例示的に添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】左心室に埋め込まれた心臓ポンプを備える心臓の切断面を示す斜視図である。
図2】心臓ポンプハウジングの一部が明確にするために除外された心臓ポンプの斜視図である。
図3】心臓ポンプの断面図である。
図4図2及び3に示す心臓ポンプのための磁気軸受組立体の部分断面図である。
図5】心臓ポンプのための別の磁気軸受組立体の部分断面図である。
図6】別の心臓ポンプの断面図である。
図7】心臓ポンプのための別の磁気軸受組立体の部分断面図である。
図8】別の心臓ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、心不全の治療のための心臓ポンプ1などの血液ポンプ、例えば、心室補助装置(VAD)が心臓5の左心室3における埋め込まれた構成で示す。本開示による心臓ポンプ1は、何らかの適切なタイプの心臓ポンプとすることができる。例えば、心臓ポンプ1は、軸流心臓ポンプ、半径流心臓ポンプ、又は混流心臓ポンプとすることができる。従って、技術的に可能であれば、半径流心臓ポンプに関連して説明した特徴は、軸流心臓ポンプなどの何らかのタイプの心臓ポンプに使用すること、逆もまた同様であることを理解されたい。さらに、図1は、心臓5の左心室3に埋め込まれた構成の心臓ポンプを示すが、心臓ポンプ1は、何らかの適切な位置、例えば、体外に、心臓5の完全な外側に、又は心臓5の完全な内側に埋め込むことができることを理解されたい。
【0037】
図1の心臓ポンプ1は、血液用入口9及び血液用出口11を備える心臓ポンプハウジング7を備える。心臓ポンプ1は、心臓ポンプハウジング7内に少なくとも部分的に配置された心臓ポンプローター8(図2に示す)を備える。心臓ポンプローター8は、後述するように、1又は2以上の軸受組立体23によって、例えば、回転可能に支持される。
【0038】
心臓ポンプ1は、流入管、例えば、心臓ポンプハウジング7に一体にすることができる流入カニューレ14を備えることができる。心臓ポンプが埋め込まれた状態にあるとき、流入カニューレ14は、少なくとも部分的に左心室3の内側に位置することができる。ポンプ室15は、心臓5の外側に位置することができる。流入カニューレ14は、ポンプ室15から左心室3の壁を通って左心室3内に延びるように配置することができる。このようにして、入口9は、完全に左心室3内に位置することができる。ポンプ室15は、左心室3の頂部に位置することができ、出口11は、別個の流出カニューレ17に接続されている。図1に示す例では、流出カニューレ17は、下行大動脈19に吻合されるが、代替例では、流出カニューレ17は、上行大動脈21に吻合することができる。
【0039】
図2を参照すると、心臓ポンプのローター8は、少なくとも部分的に心臓ポンプハウジング7内に支持される。心臓ポンプのローター8は、血液をポンプ送給するように構成されたインペラ部分25を備える。図示するように、インペラ部分25は、心臓ポンプローター8の第1の端部8aに又は第1の端部8aに面して設けることができる。
【0040】
心臓ポンプローター8は、1又は2以上の軸受組立体によって支持することができる。軸受組立体は、心臓ポンプローター8が実質的に、例えば、5自由度で拘束され、心臓ポンプローター8が回転軸A-Aの周りで回転することができるように構成することができる。換言すれば、心臓ポンプ1の1又は2以上の軸受組立体は、心臓ポンプローター8の回転を可能にすると同時に、他の全ての自由度で心臓ポンプローター8を十分に拘束することができる。このようにして、1又は2以上の軸受組立体は、心臓ポンプローター8を軸方向及び半径方向(回転軸A-Aに対して)だけでなく、ピッチ及びヨーで支持することができる。
【0041】
心臓ポンプ1は、1又は2以上の磁気軸受組立体300を備え、磁気軸受組立体300を、図3から10を参照して以下に詳しく説明する。心臓ポンプローター8は、第1の滑り軸受組立体23、第2の滑り軸受組立体24、及び/又は1又は2以上の電磁軸受組立体によってさらに支持することができる。
【0042】
図2に示す例において、心臓ポンプローター8は、心臓ポンプの入口9に面して、例えば、心臓ポンプローターの第2の端部8bに又はそれに面して配置される第1の滑り軸受組立体23によって部分的に支持される。滑り軸受組立体23は、接触軸受組立体のタイプであり、滑り軸受組立体23の各軸受面は、心臓ポンプ1の作動中に接触するように構成されている。例えば、滑り軸受組立体23は、中間転動体を備えない場合がある、すなわち、運動は、滑り軸受組立体23のそれぞれの部分の2又は3以上の接触面間で直接伝達される。
【0043】
第1の滑り軸受組立体23は、第1の滑り軸受部23aを備える。第1の滑り軸受部23aは、心臓ポンプハウジング7に結合され、心臓ポンプ1の作動中、第1の滑り軸受部23aは心臓ポンプローター8と一緒に回転しないようになっている。図2及び3では、第1の滑り軸受部23aは、心臓ポンプハウジング7と一体であるが、代替例では(図示せず)、第1の滑り軸受部23aは、心臓ポンプハウジング7に剛体的に固定された別個の構成要素とすることができる。別の例では、第1の滑り軸受部23aは、心臓ポンプハウジング7に移動可能に結合すること、例えば、螺合可能に結合することができ、第1の滑り軸受部23aの位置は、心臓ポンプハウジング7に対して調節することができるようになっている。第1の滑り軸受部23aは、心臓ポンプハウジング7とは異なる材料、例えば、セラミック材料で構成することができる。代替的に、第1の滑り軸受部23aは、心臓ポンプハウジング7と同様の材料、例えば、チタン合金で構成することができる。第1の滑り軸受部23aは、滑り軸受組立体23の摩耗特性を向上させるために、表面被覆を備えることができる、及び/又は、表面処理を受けることができる。
【0044】
滑り軸受組立体23は、第2の滑り軸受部23bを備える。第2の滑り軸受部23bは、心臓ポンプローター8に結合され、心臓ポンプ1の作動中、第2の滑り軸受部23bが心臓ポンプローター8と一緒に回転するようになっている。図2及び3に示す例では、第2の滑り軸受部23bは、心臓ポンプローター8と一体であるが、代替例では、第2の滑り軸受部23bは、心臓ポンプローター8に剛体的に固定された別個の構成要素とすることができる。別の例では、第2の滑り軸受部23bは、心臓ポンプローター8に移動可能に結合すること、例えば、螺合可能に結合することができ、第2の滑り軸受部23bの位置は、心臓ポンプローター8に対して調節することができるようになっている。第2の滑り軸受部23bは、心臓ポンプローター8とは異なる材料、例えば、セラミック材料で構成することができる。代替的に、第2の滑り軸受部23bは、心臓ポンプローター8と同様の材料、例えば、チタン合金で構成することができる。第2の滑り軸受部23bは、滑り軸受組立体23の摩耗特性を向上させるために、表面被覆を備えることができる、及び/又は、表面処理を受けることができる。第1及び第2の滑り軸受部23a、23bは、互いに異なる材料で構成することができ、例えば、第1及び第2の滑り軸受部23a、23bの各々は、異なるセラミックで構成することができる。
【0045】
第1及び第2の滑り軸受部23a、23bは、心臓ポンプローター8及び心臓ポンプハウジング7が組立構成にあるときに、滑り軸受組立体23が心臓ポンプハウジング7内で心臓ポンプローター8を回転可能に支持するように構成されるように、接触するように互いに係合するように構成される。図2から4に示す例では、第1及び第2の軸受部23a、23bは、各々、回転軸A-Aに垂直に配置された実質的に平面状の関節軸受面を備える。このように、第1及び第2の軸受部23a、23bは、心臓ポンプローター8を心臓ポンプハウジング7内で心臓ポンプローター8の軸方向において少なくとも部分的に支持するように構成される。
【0046】
第1及び第2の軸受部23a、23b間の接触領域は、滑り軸受組立体23の発熱及び摩耗特性に関して最適化することができる。例えば、接触領域は、心臓ポンプ1の作動特性及び第1及び/又は第2の軸受部23a、23bが作られる材料に応じて選択することができる適切な直径を有する実質的に円形の接触領域とすることができる。一例では、実質的に円形の接触領域は、約10μmから3mmの範囲内、特に、約300μmから1mmの範囲内の直径を有することができる。しかしながら、接触領域の形状は、何らかの適切な形状及び/又はサイズとすることができることを理解されたい。別の例では、滑り軸受組立体23は、複数の接触領域を備えることができ、接触領域の各々は、所望のレベルの発熱及び摩耗特性をもたらすように最適化することができる。
【0047】
後述するように、心臓ポンプ上に設けられた磁気軸受組立体の剛性が比較的高いとき、滑り軸受組立体23上の軸方向予荷重は、比較的高い場合があり、従って、第1及び第2の軸受部23a、23bのサイズ及び形状は、高い軸方向予荷重を考慮してサイズ決定する及び/又は形作ることができる。
【0048】
図1及び2に示す心臓ポンプローター8は、心臓ポンプの出口11に面して、例えば、心臓ポンプローターの第1の端部8aに又はそこに面して位置する第2の滑り軸受組立体24をさらに備える。第2の滑り軸受組立体24は、心臓ポンプローターの端部停止部として機能するように構成することができ、端部停止部は、例えば、心臓ポンプローターが出口端部に向かって変位する状態になる場合に心臓ポンプローターに対して作用する。第2の滑り軸受組立体24は、上述した第1の滑り軸受組立体の第1及び第2の滑り軸受部と同様に構成することができる、第1及び第2の滑り軸受部を備える。
【0049】
以下、図3を参照して、本開示の構成による心臓ポンプ100を説明する。心臓ポンプ100は、図1及び2を参照して上述した心臓ポンプ1と同様とすることができ、心臓ポンプ1に関して説明した特徴は、心臓ポンプ100に同様に適用することができる。詳細には、心臓ポンプ100は、ローター108及びハウジング107を備え、これらは、それぞれ、ローター及びハウジング8、7と同様である。心臓ポンプ100は、滑り軸受組立体123をさらに備え、これは、滑り軸受組立体23と同様である。図3は、本開示の構成による心臓ポンプ100の断面図である。心臓ポンプ100の構成要素の断面形状は、心臓ポンプの回転軸A-Aの周りで少なくとも部分的に一定とすることができる。しかしながら、心臓ポンプローター108のインペラ部分125及び心臓ハウジング107の出口容積126など、構成要素の形状は、回転軸A-Aの周りで変化する場合があることを理解されたい。
【0050】
心臓ポンプローター108は、心臓ポンプ100の回転軸A-Aに沿って、ローターの第1及び第2の端部108a、108b間に延びる。図示するように、第1の端部108aは、ローターの出口端部とすることができ、例えば、心臓ポンプ100の出口111にあるか、又は、第2の端部108bよりも出口111に近接することができる。第2の端部108bは、ローターの入口端部とすることができ、例えば、心臓ポンプ100の入口109にあるか、又は、第1の端部108aよりも入口109に近接することができる。図3に示す構成において、ハウジング107、例えばハウジングの外部形状、及び入口109は、心臓ポンプ100の回転軸A-A周りに実質的に対称な形状である。しかしながら、他の構成において、ハウジング107は、何らかの他の形状とすることができる。詳細には、ハウジング107及び/又は入口109は、回転軸A-A周りで非対称とすることができる。
【0051】
図示するように、心臓ポンプローター108は、心臓ポンプローター108の軸方向端面に形成された凹部110を備える。図示の構成において、凹部110は、心臓ポンプローターの出口端部108aの軸方向端面に形成される。凹部110は、回転軸A-Aに対して軸方向端面上で中央に位置決めすることができる。換言すれば、凹部110は、回転軸A-Aから半径方向外側に延びることができる。図示の構成において、凹部110は、回転軸A-Aの周りに対称である。例えば、凹部110は、回転軸A-Aと整列した中心軸を有する円筒形状の凹部とすることができる。他の構成において、凹部は、何らかの他の形状とすること、及び/又は、回転軸A-Aに対して、例えば、回転軸A-Aの周りに非対称に形作ることができる。
【0052】
図示するように、心臓ポンプローターは、入口端部108bから出口111又は出口容積126の少なくとも一部を過ぎて、心臓ポンプローターの出口端部108bまで延びることができる。換言すれば、心臓ポンプローターの第1の端部108aは、回転軸A-Aに沿って、心臓ポンプローターの入口端部108bから、心臓ポンプローターの出口111又は出口容積126の少なくとも一部の反対側に配置することができる。凹部110は、心臓ポンプローターの一部において、心臓ポンプローターの入口端部108bから、出口の又は出口容積126の少なくとも一部の反対側に、例えば、部分的に又は実質的に完全に形成することができる。
【0053】
心臓ポンプハウジング107は、突出部112をさらに備え、これは、軸方向に、例えば、回転軸A-Aに沿って凹部110の中に延びる。突出部112は、少なくとも部分的に凹部110の中に収容することができる。
【0054】
図3に示すように、心臓ポンプ100の第2の滑り軸受組立体124は、凹部110の内部に配置することができる。例えば、第2の滑り軸受組立体の第1の滑り軸受部124aは、心臓ポンプハウジングの突出部112によって形成することができる。第2の滑り軸受組立体124の第2の滑り軸受部124bは、凹部110の内部に形成することができる。第2の滑り軸受組立体の第1及び第2の滑り軸受部は、凹部110の内部で互いに係合することができる。
【0055】
図3に示すように、心臓ポンプ100は第1の磁気軸受組立体400を備える。付加的に又は代替的に、心臓ポンプ100は、第2の磁気軸受組立体800をさらに備えることができる。第1及び/又は第2の磁気軸受組立体400、800は、回転軸A-Aの周りの回転のために心臓ポンプローター108を支持する、例えば、半径方向に支持するように構成することができる。第1及び/又は第2の磁気軸受組立体400、800は、心臓ポンプローター108を支持するために、第1及び/又は第2の滑り軸受組立体(存在する場合)などの心臓ポンプの他の軸受組立体と連動して作動するように構成することができる。
【0056】
図示するように、第1の磁気軸受組立体400は、心臓ポンプローターの回転軸A-Aに沿って、少なくとも部分的に又は実質的に完全に凹部110と整列することができる。
【0057】
図4は、本開示の構成による第1の磁気軸受組立体400の部分断面図である。図4は、回転軸A-Aの一方側の第1の磁気軸受組立体400の構成要素の断面構成を示す。構成要素の断面形状は、心臓ポンプ100の回転軸A-Aの周りで一定とすることができる。あるいは、第1の磁気軸受組立体400の構成要素の断面形状は、回転軸A-Aの周りで、例えば、角度によって変化することができる。
【0058】
第1の磁気軸受組立体400は、第1の磁石組立体410、第2の磁石組立体420、及び第3の磁石組立体430を備える。図示するように、第1の磁石組立体410は、凹部の半径方向外側の心臓ポンプハウジング107の部分上に設けられている。第2の磁石組立体420は、心臓ポンプハウジングの突出部112の半径方向外側の位置でローター上に設けられている。第3の磁石組立体430は、心臓ポンプハウジングの突出部112上に設けられている。第1、第2、及び第3の磁石組立体は、回転軸A-Aと平行な方向において少なくとも部分的に互いに重なり合う。このように、第1、第2、及び第3の磁石組立体410、420、430は、回転軸A-Aの周りの回転のために、ローター108を支持する、例えば、半径方向に支持するように構成することができる。
【0059】
図4に示すように、第1の磁石組立体410は、半径方向内向き方向において第1の磁石組立体410に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向外向き方向において第1の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された複数の磁石412、414、416を備えることができる。例えば、第1の磁石組立体410は、回転軸A-Aに沿って延びる、例えば、3、4以上(5など)、又はより多くの磁石を備える、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を構成することができる。磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列は、磁石の配列の半径方向における一方の側面に、他方の側面に対してより強い磁界を生成するように構成することができる。詳細には、磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列は、半径方向内向き方向において第1の磁石組立体410に隣接する磁石の配列の側面により強い磁場を生成するように構成することができる。磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列は、半径方向外向き方向において第1の磁石組立体410に隣接するハルバッハ配列の側面により弱い磁場を生成するように構成することができる。
【0060】
図4に示すように、第1の磁石組立体410は、第1のハウジング磁石412を備えることができ、第1のハウジング磁石は、第1のハウジング磁石の磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向D1と少なくとも部分的に、例えば、実質的に整列するように配置される。第1の磁石組立体410は、第2のハウジング磁石414をさらに備えることができる。第2のハウジング磁石は、ポンプ100の軸方向に沿って、第1のハウジング磁石412に隣接するか又はそこから離間することができる。第2のハウジング磁石414は、第2のハウジング磁石414の磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向D2と整列するように配置することができる。第1の磁石組立体は、第3のハウジング磁石416をさらに備えることができ、第3のハウジング磁石は、第1及び第2の磁石の間で、第1及び/又は第2の方向に、例えば、ポンプの軸方向に配置される。第3のハウジング磁石416は、第3のハウジング磁石416の磁気双極子モーメントが、第1及び第2の方向D1、D2に垂直な第3の方向D3の方向と整列するように配置することができる。
【0061】
第2の磁石組立体420は、第1のローター磁石422及び第2のローター磁石424を備えることができる。第1及び第2のローター磁石422、424は、ポンプ100の軸方向に、互いに隣接するか又は離間することができる。第1のローター磁石422は、第1のローター磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向D1に整列するように配置することができる。第2のローター磁石424は、第2のローター磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向D2と整列するように配置することができる。第2のローター磁石は、第1のローター磁石に直接隣接して、例えば、接触して、例えば、第1及び第2のローター磁石の間に磁極片又は別の磁石を設けることなく配置することができる。
【0062】
第3の磁石組立体430は、第1の磁石組立体410と同様とすることができ、半径方向において、第3の磁石組立体に隣接する第1の磁石組立体の一方の側面に、他方の側面に対してより強い磁界を生成するように構成された複数の磁石を備えることができる。第3の磁石組立体430は、半径方向外向き方向において第3の磁石組立体に隣接する強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において第3の磁石組立体に隣接する弱い磁界を生成するように構成することができるという点で、第1の磁石組立体410と異なることができる。
【0063】
第3の磁石組立体430は、回転軸A-Aに沿って延びる磁石におけるハーフ又はフルハルバッハ配列を備えることができる。例えば、第3の磁石組立体430は、第4のハウジング磁石432を備えることができ、第4のハウジング磁石は、第4のハウジング磁石の磁気双極子モーメントが回転軸と平行な第1の方向D1と整列するように配置される。第3の磁石組立体430は、第5のハウジング磁石434をさらに備えることができ、第5のハウジング磁石434は、第5のハウジング磁石434の磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向D2と整列するように配置される。第3の磁石組立体430は、第4及び第5のハウジング磁石の間で、第1及び/又は第2の方向に配置された第6のハウジング磁石436をさらに備えることができる。第6のハウジング磁石は、第6のハウジング磁石436の磁気双極子モーメントが第1及び第2の方向に垂直な第4の方向D4と整列するように配置することができる。第4の方向D4は、第3の方向D3と反対とすることができる。
【0064】
上述した第1、第2、及び第3の磁石組立体410、420、430の構成に起因して、第1の磁石組立体410と第2の磁石組立体420との間、及び、第3の磁石組立体430と第2の磁石組立体420との間の隙間に、大きな磁場強度が存在することができる。これらの領域における大きな磁界強度に起因して、第1の磁気軸受組立体400の剛性は、従来技術の構成における磁気軸受組立体の剛性よりも大きい場合がある。第1の磁気軸受組立体の剛性は、6N/mmよりも大きい場合がある。例えば、第1の磁気軸受組立体の剛性は、約13N/mmとすることができる。第1の磁気軸受組立体の高い剛性に起因して、心臓ポンプ100は、そのような軸受組立体がないポンプ又は小型化ポンプの超臨界速度とは対照的に、亜臨界ローター速度で効果的に作動するように構成することができる。
【0065】
ここで、図5を参照して、別の構成による第1の磁気軸受組立体500を説明するが、図5において示す第1の磁気軸受組立体500は、図3において示す心臓ポンプ100の一部として、例えば、第1の磁気軸受組立体400の代わりに設けることができる。図5は、回転軸A-Aの一方側の第1の磁気軸受組立体500の構成要素の断面構成を示す。構成要素の断面形状は、心臓ポンプ100の回転軸A-Aの周りで一定とすることができる。あるいは、第1の磁気軸受組立体500の構成要素の断面形状は、回転軸A-Aの周りで、例えば、角度によって変化することができる。
【0066】
第1の磁気軸受組立体500は、第1の磁石組立体510、第2の磁石組立体520、及び第3の磁石組立体530を備える。
【0067】
第1の磁石組立体510は、上述した第1の磁石組立体410と同様とすることができ、第1の磁石組立体410に関連して説明した特徴は、第1の磁石組立体510に同様に適用することができる。詳細には、第1の磁石組立体510は、第1の磁石組立体410の第1、第2、及び第3のハウジング磁石412、414、416と同様に配置することができる、第1、第2、及び第3のハウジング磁石512、514、516を備えることができる。
【0068】
また、第3の磁石組立体530は、上述の第3の磁石組立体430と同様とすることができ、第3の磁石組立体430に関連して上述した特徴は、第3の磁石組立体530に同様に適用することができる。詳細には、第3の磁石組立体530は、第4、第5及び第6のハウジング磁石532、534、536を備えることができ、これらは、第3の磁石組立体430の第1、第2、及び第3のハウジング磁石432、434、436と同様に配置することができる。
【0069】
第1の磁気軸受組立体500は、第2の磁石組立体520が、第1のローター磁石522、第2のローター磁石524、及び、第1及び第2のローター磁石の間に、例えば、回転軸A-Aに沿って配置された磁極片526を備える点において第1の磁気軸受組立体400と異なる。磁極片526は、高い透磁率を有する材料から作ることができる。第1のローター磁石522は、第1のローター磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向D1と整列するように配置することができる。第2のローター磁石524は、第2のローター磁石の磁気双極子モーメントが、第1の方向と反対の第2の方向D2と整列するように配置することができる。第1及び第2のローター磁石522、524は、第1及び/又は第2の方向D1、D2において磁極片526の反対側で磁極片526と接触して配置することができる。
【0070】
上述した第1、第2、及び第3の磁石組立体510、520、530の構成によって、第1の磁石組立体510と第2の磁石組立体520との間、及び、第3の磁石組立体530と第2の磁石組立体520との間の隙間に大きな磁界強度が存在することができる。これらの領域における大きな磁場強度に起因して、第1の磁気軸受組立体500の剛性は、従来技術の構成よりも大きい場合がある。さらに、第1の磁石組立体と第2の磁石組立体との間、及び、第3の磁石組立体と第2の磁石組立体との間の間隙における磁界強度は、図4で示す構成の対応する位置における磁界強度よりも大きい場合がある。従って、第1の磁気軸受組立体500の剛性は、第1の磁気軸受組立体400の剛性よりも大きい場合がある。第1の磁気軸受組立体500の剛性は、13N/mmよりも大きい場合がある。例えば、第1の磁気軸受組立体500の剛性は、約15N/mmとすることができる。従って、第1の磁気軸受組立体500の高い剛性に起因して、心臓ポンプ100は、亜臨界ローター速度で効果的に作動するように構成することができる。
【0071】
ここで、図6を参照して、本開示の別の構成による第1の磁気軸受組立体600を説明する。図示するように、第1の磁気軸受組立体600は、心臓ポンプ100の一部として、例えば、第1の磁気軸受組立体400の代わりに設けることができる。図6は、本開示の構成による心臓ポンプ100の断面図である。心臓ポンプ100の構成要素のそれぞれの構成要素の断面形状は、心臓ポンプの回転軸A-Aの周りで少なくとも部分的に一定とすることができること、及び/又は、回転軸の周りで変化することができることを理解されたい。
【0072】
第1の磁気軸受組立体600は、第1の磁気軸受組立体400と同様とすることができ、第1の磁気軸受組立体400に関連して説明した特徴は、第1の磁気軸受組立体600に同様に適用することができる。第1の磁気軸受組立体600は、第1の磁気軸受組立体300と異なる場合があり、ここでは、1又は2以上のそれぞれの磁極片602は、第1、第2及び/又は第3の磁石組立体610、620、630の中の磁石のうちの1又は2以上の隣接するペアの間に設けることができる。
【0073】
図6に示す構成において、磁極片602は、第1、第2、及び第3の磁石組立体610、620、630の中の隣接する磁石の各々の間で、例えば、回転軸A-Aと平行な方向に設けられている。しかしながら、他の構成において、図6に示す磁極片602のうちの1又は2以上は省略することができる。
【0074】
第1の磁気軸受組立体600の剛性は、13N/mmよりも大きい場合があり、15N/mmよりも大きい場合がある。従って、第1の磁気軸受組立体600の高い剛性に起因して、心臓ポンプ100は、亜臨界ローター速度で効果的に作動するように構成することができる。
【0075】
ここで、図7を参照して、本開示の別の構成による第1の磁気軸受組立体700を説明するが、図7に示す第1の磁気軸受組立体700は、図3又は6に示す心臓ポンプ100の一部として、例えば、第1の磁気軸受組立体400、600の代わりに設けることができる。図7は、回転軸A-Aの一方側の第1の磁気軸受組立体700の構成要素の断面構成を示す。構成要素の断面形状は、心臓ポンプ100の回転軸A-Aの周りで一定とすることができる。あるいは、第1の磁気軸受組立体700の構成要素の断面形状は、回転軸A-Aの周りで、例えば、角度によって変化することができる。
【0076】
第1の磁気軸受組立体700は、第1の磁石組立体710、第2の磁石組立体720、及び第3の磁石組立体730を備える。上述した第1の磁気軸受組立体400,600の第1、第2、及び第3の磁石組立体410,610,420,620,430,630と同様に、第1の磁石組立体710は、凹部110の半径方向外側の心臓ポンプハウジング107の部分上に設けられている。第2の磁石組立体720は、心臓ポンプハウジングの突出部112の半径方向外側の位置でローター上に設けられている。第3の磁石組立体730は、心臓ポンプハウジングの突出部112上に設けられている。第1、第2、及び第3の磁石組立体は、回転軸A-Aと平行な方向において少なくとも部分的に互いに重なり合う。
【0077】
第1の磁気軸受組立体700の第2の磁石組立体720は、図5を参照して上述した第1の磁気軸受組立体500の第2の磁石組立体520と同様とすることができる。第2の磁石組立体520に関連して説明した特徴は、第2の磁石組立体720に同様に適用することができる。
【0078】
第1の磁石組立体710は、第1のハウジング磁石712、第2のハウジング磁石714、及び、第1及び第2のハウジング磁石714、716の間に、例えば、回転軸A-Aに沿って配置された第1のハウジング磁極片716を備える。磁極片716は、高い透磁率を有する材料、例えば、鉄、例えば、軟鉄又は焼鈍鉄から作ることができる。図示するように、第1のハウジング磁石712は、第1のハウジング磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向D1と整列するように配置することができる。第2のハウジング磁石714は、第2のローター磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向D2と整列するように配置することができる。第1及び第2のハウジング磁石712、714は、第1及び/又は第2の方向D1、D2において磁極片の反対側で磁極片716と接触して配置することができる。
【0079】
第3の磁石組立体730は、第3のハウジング磁石732、第4のハウジング磁石734、及び、第3及び第4のハウジング磁石732、734の間に、例えば、回転軸A-Aに沿って配置された第2のハウジング磁極片736を備える。磁極片736は、高い透磁率を有する材料、例えば、鉄、例えば、軟鉄又は焼鈍鉄から作ることができる。図示するように、第3のハウジング磁石732は、第1のハウジング磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向D1と整列するように配置することができる。第4のハウジング磁石734は、第2のローター磁石の磁気双極子モーメントが第1の方向と反対の第2の方向D2と整列するように配置することができる。第3及び第4のハウジング磁石732、734は、第1及び/又は第2の方向D1、D2において磁極片の反対側で磁極片736と接触して配置することができる。
【0080】
上述した第1、第2、及び第3の磁石組立体710、720、730の構成によって、第1の磁石組立体710と第2の磁石組立体720との間、及び、第3の磁石組立体730と第2の磁石組立体720との間の隙間に大きな磁場強度が存在することができる。これらの領域における大きな磁場強度に起因して、第1の磁気軸受組立体700の剛性は、従来技術の構成よりも大きい場合がある。第1の磁石組立体710と第2の磁石組立体720との間の隙間、及び、第3の磁石組立体730と第2の磁石組立体720との間の隙間における磁場強度は、図4図5、及び図6で示す構成の対応する位置における磁場強度よりも小さい場合がある。従って、第1の磁気軸受組立体700の剛性は、第1の磁気軸受組立体400、600の剛性よりも小さい場合がある。例えば、第1の磁気軸受組立体600の剛性は、12N/mmと15N/mmとの間など、15N/mm未満とすることができる。それにもかかわらず、第1の磁気軸受組立体の高い剛性に起因して、心臓ポンプ100は、亜臨界ローター速度で効果的に作動するように構成することができる。
【0081】
図3に簡単に戻ると、第2の磁気軸受組立体800は、ローターの第2の端部108bに又はそれに面して設けることができる。詳細には、第2の磁気軸受組立体800は、第1の磁気軸受組立体400よりもローターの第2の端部108bにより近接して設けることができる。
【0082】
第2の磁気軸受組立体800は、第4の磁石組立体810及び第5の磁石組立体820を備えることができる。第4の磁石組立体は、ハウジング107に設けることができ、第5の磁石組立体820は、ローター上に設けることができる。第4及び第5の磁石組立体810、820は、回転軸A-Aと平行な方向において、少なくとも部分的に互いに重なり合うことができる。
【0083】
第4の磁石組立体810は、半径方向内向き方向において第4の磁石組立体810に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向外向き方向において第4の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された複数の磁石812、814、816を備えることができる。例えば、第4の磁石組立体810は、回転軸A-Aに沿って延びる、例えば、3、4以上(5など)、又はより多くの磁石を備える、磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列を構成することができる。磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列は、磁石の配列の半径方向における一方の側面に、他方の側面に対してより強い磁界を生成するように構成することができる。詳細には、磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列は、半径方向内向き方向において第4の磁石組立体810に隣接する磁石の配列の側面により強い磁場を生成するように構成することができる。磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列は、半径方向外向き方向において第4の磁石組立体810に隣接するハルバッハ配列の側面に弱い磁場を生成するように構成することができる。
【0084】
図3に示すように、第5の磁石組立体820は、半径方向外向き方向において第5の磁石組立体820に隣接してより強い磁界を生成し、半径方向内向き方向において第4の磁石組立体に隣接してより弱い磁界を生成するように配置された複数の磁石を備えることができる。例えば、第5の磁石組立体820は、回転軸A-Aに沿って延びる、例えば、3、4以上(5など)、又はより多くの磁石を備える、磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列を備えることができる。磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列は、磁石の配列の半径方向において一方の側面に、他方の側面に対してより強い磁場を生成するように構成することができる。詳細には、磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列は、半径方向外向き方向において第5の磁石組立体820に隣接する磁石の配列の側面により強い磁場を生成するように構成することができる。磁石のハーフ又はフルハルバッハ配列は、半径方向内向き方向において第5の磁石組立体820に隣接するハルバッハ配列の側面により弱い磁場を生成するように構成することができる。
【0085】
ここで図6を参照すると、一部の構成において、それぞれの磁極片604のうちの1又は2以上の磁極片は、第4及び/又は第5の磁石組立体810、820の中に設けられた磁石の隣接する磁石の間に、例えば、回転軸A-Aと平行な方向に設けることができる。図6に示す構成において、磁極片は、第4及び第5の磁石組立体810、820の中の隣接する各ペアの磁石の間に設けられる。しかしながら、他の構成において、磁極片のうちの1又は2以上は省略することができ、隣接する磁石は、隣接して、例えば、直接隣接して又は互いに接触して、その間に磁極片がない状態で配置することができる。
【0086】
図8は、本開示の構成による心臓ポンプ100の断面図である。心臓ポンプ100の構成要素のそれぞれの構成要素の断面形状は、心臓ポンプの回転軸A-Aの周りで少なくとも部分的に一定とすること、及び/又は、回転軸の周りで変化することができることを理解されたい。図8に示すように、一部の構成において、第5の磁石組立体820は、第3のローター磁石822、第4のローター磁石824、及び、第4及び第5のローター磁石822、824の間に設けられた磁極片826を備えることができる。図示するように、第3及び第4のローター磁石は、積み重ねること、例えば、ローターの回転軸A-Aと平行な方向に互いに隣接して配置すること又は離間することができる。第3のローター磁石822は、第3のローター磁石822の磁気双極子モーメントが第1の方向D1と整列するように配置することができる。第4のローター磁石824は、第4のローター磁石の磁気双極子モーメントが第2の方向D2と整列するように配置することができる。一部の構成において、磁極片826は省略することができる。
【0087】
図3、6、及び8を参照すると、心臓ポンプ100は、磁気駆動組立体300、例えば、ブラシレスDCモーターを備えることができる。図示するように、心臓ポンプローター108は、磁気駆動カップリングの第1の部分310、例えば、1又は2以上の永久磁石を備えることができる。心臓ポンプハウジング107は、磁気駆動カップリングの第2の部分320、例えば、1又は2以上の電気巻線を備えることができる。磁気駆動カップリングは、半径方向磁気駆動カップリング、例えば、半径方向磁束ギャップ電気モーターとすることができるが、磁気駆動カップリングは、任意の適切な構成とすることができることを理解されたい。図示するように、磁気駆動組立体300は、回転軸A-Aに沿って第1及び第2の磁気軸受組立体400、800の間に配置することができる。
【0088】
本発明は、1又は2以上の例示的な例を参照して例として説明してきたが、開示された例に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、代替例を構築することができることを当業者は理解するであろう。
【符号の説明】
【0089】
100 心臓ポンプ
107 ハウジング
108 ローター
110 凹部
112 突出部
123 軸受組立体
410 第1の磁石組立体
420 第2の磁石組立体
430 第3の磁石組立体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】