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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】熱放散を伴うエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20241003BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024523799
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2021125824
(87)【国際公開番号】W WO2023065329
(87)【国際公開日】2023-04-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ ジアツン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、加熱チャンバと熱放散要素とを備えてもよいエアロゾル発生装置に関する。熱放散要素は、加熱チャンバを少なくとも部分的に包囲して配設されてもよい。熱放散要素は、加熱チャンバの長軸方向軸に対して軸方向および接線方向のうちの一方または両方で主として熱を放散する材料から作製されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
加熱チャンバと、
熱放散要素であって、前記加熱チャンバを少なくとも部分的に包囲して配設される、熱放散要素と、を備え、
前記熱放散要素が、主として、前記加熱チャンバの長軸方向軸に対して軸方向および接線方向のうちの一方または両方で主に熱を放散する材料から作製される、加熱システム。
【請求項2】
前記熱放散要素が、前記加熱チャンバの前記長軸方向軸に対して、半径方向では、前記軸方向および接線方向より少ない熱しか放散しない、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記熱放散要素が、層として構成される、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記熱放散要素がグラフェンで作製される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記熱放散要素が、前記加熱チャンバを完全に包囲する、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記熱放散要素が、遠位方向で前記加熱チャンバにわたって延びる、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記熱放散要素が、長方形のシート、T字形状のシート、および二つの接続された長方形のシートのうちの一つから形成される、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記エアロゾル発生装置が発熱体をさらに備える、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記発熱体が加熱トラックを備え、好ましくは加熱トラックから成る、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記発熱体が、部分的に、好ましくは完全に、前記加熱チャンバを包囲して配設される、請求項8または9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記加熱チャンバが、寸法的に安定した前記エアロゾル発生装置の内側フレームによって形成される、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記加熱チャンバが、前記エアロゾル発生装置の前記近位端に当接して配設される、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記加熱チャンバが、円筒形状を有する、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記加熱チャンバが、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するように構成される、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを生成するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素が揮発する温度へとエアロゾル形成基体を加熱してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の空洞(加熱チャンバなど)の中へのエアロゾル発生物品の挿入のためにロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバの中へと挿入されると、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバの中に、またはその周りに配設されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外側が過度に高温にならないエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。熱放散が改善されたエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態によると、加熱チャンバと熱放散要素とを備えてもよいエアロゾル発生装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、エアロゾル発生装置の実施形態を示す。
図2図2は、エアロゾル発生装置のさらなる実施形態を示す。
図3A-C】図3A-Cは、エアロゾル発生装置で採用される熱放散要素の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
熱放散要素は、加熱チャンバを少なくとも部分的に包囲して配設されてもよい。熱放散要素は、加熱チャンバの長軸方向軸に対して軸方向および接線方向のうちの一方または両方で主として熱を放散する材料から作製されてもよい。
【0007】
本発明の実施形態によると、加熱チャンバと熱放散要素とを備えるエアロゾル発生装置が提供される。熱放散要素は、加熱チャンバを少なくとも部分的に包囲して配設される。熱放散要素は、加熱チャンバの長軸方向軸に対して軸方向および接線方向のうちの一方または両方で主として熱を放散する材料から作製される。
【0008】
熱放散要素を提供することは、エアロゾル発生装置の外側が過度に高温になることを防止する。よって、ユーザーは、エアロゾル発生装置の外側を安全に触れることができる。熱を装置の残りの部分へと放散することができるように、加熱チャンバから軸方向または接線方向に熱が離れるように放散することが特に有利である。このようにして、エアロゾル発生装置のある特定のスポットが過度に高温になることなく、合計温度を安全に低減することができ、かつ全体的な熱を環境へと放散することができる。
【0009】
熱放散要素は、加熱チャンバの長軸方向軸に対して、半径方向では、軸方向および接線方向より少ない熱しか放散しなくてもよい。
【0010】
「主として」および「より少ない」という用語は、熱放散要素の材料の物理的特性、具体的には、熱放散が、加熱チャンバを少なくとも部分的に包囲して配設された熱放散要素の軸方向および接線方向のうちの少なくとも一つでは、熱放散要素の半径方向より高いことを指すことが好ましい。より好ましくは、熱放散は、軸方向および接線方向のうちの少なくとも一つでは、半径方向と比較して、2倍、好ましくは3倍、より好ましくは4倍、最も好ましくは5倍高い。
【0011】
熱放散は、材料の一つの点と距離を置いた第二の点との間の温度差を測定することによって決定されてもよい。温度差が高いほど、測定点の方向での熱放散が高い。
【0012】
結果として、全体的な加熱がエアロゾル発生装置全体にわたってより均等に配分されるように、加熱チャンバから、エアロゾル発生装置の直接包囲するハウジングへはより少ししか加熱せず、またエアロゾル発生装置の残りの部分へはより多く加熱する。
【0013】
熱放散要素は、層として構成されてもよい。熱放散要素は、加熱チャンバを少なくとも部分的に包囲する層を形成してもよい。
【0014】
熱放散要素はグラフェンで作製されてもよい。グラフェンは、その断熱特性に関して異方性特性を有するという利点を有する。断熱はX方向およびY方向では比較的劣り、一方で断熱はZ方向では高い。グラフェンは、加熱チャンバを包囲して配設されてもよく、これによりグラフェンのX方向およびY方向は、加熱チャンバの長軸方向軸に対する軸方向および接線方向に対応する。結果として、熱は軸方向および接線方向に良好に放散される。グラフェンのZ方向は、加熱チャンバの長軸方向軸に対する半径方向に対応する。結果として、熱は半径方向ではあまり放散されず、これによりエアロゾル発生装置の包囲するハウジングは過度に高温にならない。
【0015】
概して、グラフェンに関して上述のような異方性断熱特性を有する材料から作製された任意の熱放散要素が、軸方向および接線方向における加熱チャンバから離れる熱の輸送を改善するために利用されてもよい。
【0016】
熱放散要素は、加熱チャンバを完全に包囲してもよい。言い換えれば、熱放散要素は、加熱チャンバの外周を包囲してもよい。
【0017】
熱放散要素は、加熱チャンバの全長にわたって延びてもよい。加熱チャンバの外表面全体は、熱放散要素によって覆われることが好ましい。
【0018】
熱放散要素は、遠位方向に加熱チャンバにわたって延びてもよい。これは、熱がエアロゾル発生装置の中へとさらに放散されるという利点を有し、これにより、エアロゾル発生装置のハウジング上にユーザーが触れることが不快である場合があるいかなるホットスポットも発生させることなく、全体的な熱は、より均一に周囲環境へと放散することができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「上流」、「下流」、「近位」、および「遠位」という用語は、使用中にユーザーがエアロゾル発生装置を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「軸方向」という用語は、加熱チャンバの長軸方向軸に沿った、または加熱チャンバの長軸方向軸に平行な方向を指す。加熱チャンバの長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸と同一である、またはエアロゾル発生装置の長軸方向軸と平行であることが好ましい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「接線方向」という用語は、加熱チャンバの長軸方向軸に関して接線に沿った、または接線に平行な方向を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「半径方向」という用語は、軸方向に垂直かつ接線方向に垂直な方向を指す。この用語は、当業者によって加熱チャンバの半径が測定されることになる方向を指す。
【0023】
熱放散要素は、長方形のシート、T字形状のシート、および二つの接続された長方形のシートのうちの一つから形成されてもよい。
【0024】
熱放散要素が長方形のシートから形成される場合、熱放散要素は加熱チャンバのみを包囲してもよい。別の方法として、長方形のシートは、好ましくは、熱放散要素が、加熱チャンバだけでなく加熱チャンバの遠位のエリアの一部分を包囲するように寸法設定することができる。本明細書に記述されるように、熱は、従ってエアロゾル発生装置全体を通してより均一に放散される場合がある。
【0025】
熱放散要素がT字形状のシートから形成される場合、シートの「頭部」は、加熱チャンバの周りに巻かれてもよく、一方でシートの「幹部」は、遠位方向にエアロゾル発生装置の中へとさらに延びてもよい。この場合も、ヒーターは、こうした熱放散要素を提供することによって、エアロゾル発生装置の中へとより均一に放散される場合がある。
【0026】
最終的に、熱放散要素は、二つの接続された長方形のシートから形成されてもよい。この実施形態では、長方形のシートのうちの一方は、加熱チャンバを包囲して配設されることが好ましい一方で、もう一方の長方形のシートは、加熱チャンバの遠位に配設されて、エアロゾル発生装置の中へと熱をより均一に放散することが好ましい。長方形のシート間の接続は、加熱チャンバの周りに巻かれたシートから加熱チャンバの遠位のシートへと熱を伝達することができることを保証する。
【0027】
エアロゾル発生装置は、発熱体をさらに備えてもよい。
【0028】
発熱体は、加熱トラックを備えてもよく、加熱トラックから成ることが好ましい。
【0029】
発熱体は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に加熱チャンバを包囲して配設されてもよい。
【0030】
本開示のうちのいずれかの態様では、発熱体は電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性材料としては、限定されるものではないが、ドーピングされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が含まれる。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル白金、金、および銀が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料では、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料中に包埋、断熱材料に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0031】
発熱体は、加熱チャンバの壁に配設された外部発熱体として構成されてもよい。外部発熱体は、任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基板上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性加熱箔は、基体受容空洞の周辺部に適合する形状にすることができる。別の方法として、外部発熱体は、金属のグリッド、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と比抵抗との間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置では、金属は、適切な断熱材料の二つの層の間のトラックとして形成されてもよい。このようにして形成された外部発熱体は、動作中、外部発熱体の加熱と、外部発熱体の温度のモニターとの両方に使用されてもよい。
【0032】
発熱体は、有利なことに、熱伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。発熱体は、基体、または基体がその上に配置されている担体と、少なくとも部分的に接触してもよい。別の方法として、内部発熱体または外部発熱体のいずれかからの熱は、熱伝導性要素によって基体に伝導されてもよい。
【0033】
動作中、エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置内に完全に含有されてもよい。その場合、ユーザーは、エアロゾル発生装置のマウスピースを吸煙してもよい。別の方法として、動作中、エアロゾル形成基体を含有する喫煙物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に含有されてもよい。その場合、ユーザーは喫煙物品を直接的に吸煙してもよい。
【0034】
加熱チャンバは、エアロゾル発生装置の寸法的に安定した内側フレームによって形成されてもよい。内側フレームは、加熱チャンバを画定してもよい。発熱体は、内側フレーム上に据え付けられてもよい。発熱体は、エアロゾル形成基体に直接的に面する加熱チャンバの内側壁上に配設されてもよい。別の方法として、発熱体は、加熱チャンバを少なくとも部分的に包囲して配設されてもよい。いずれの場合でも、熱放散要素は、加熱チャンバだけでなく、発熱体も少なくとも部分的に包囲して配設されることが好ましい。言い換えれば、発熱体は、熱放散要素の内側に配設されることが好ましい。
【0035】
加熱チャンバは、エアロゾル発生装置の近位端に当接して配設されてもよい。エアロゾル発生装置の他の要素は、加熱チャンバの遠位に配設されてもよい。言い換えれば、エアロゾル発生装置は、加熱チャンバのさらに遠位に延びてもよい。
【0036】
加熱チャンバは、円筒形状を有してもよい。
【0037】
加熱チャンバは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するように構成されてもよい。
【0038】
本発明は、本明細書に記述されるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【0039】
エアロゾル発生装置は、電気回路を備えてもよい。電気回路は、マイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサは、コントローラの一部であってもよい。電気回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、発熱体への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力は、エアロゾル発生装置の起動に続いて発熱体へと連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。電気回路は、発熱体の電気抵抗をモニターするように、かつ好ましくは発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0040】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の主本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよく、例えば、電源はおおよそ6分間の期間、または6分の倍数の期間の間、エアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するために十分な容量を有してもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば、喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接的に吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ホルダーであってもよい。装置は、電気加熱式の喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ハウジングと、電気回路と、電源と、加熱チャンバと、発熱体と、を備えてもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接的に吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、使い捨てであってもよい。
【0043】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲とを有してもよい。エアロゾル発生物品は、実質的にロッド形状であってもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲と、も有してもよい。エアロゾル形成基体は、実質的にロッド形状であってもよい。
【0044】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる一つ以上の揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0045】
エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル形成基体は、固体構成成分と液体構成成分との両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で、かつ安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の実施例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0046】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、一部の実施形態では、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの葉脈の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジ内で提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶融してもよい。
【0047】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性たばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0048】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度かつ安定したエアロゾルの形成を容易にし、またシステムの動作温度において熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な知られている化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)であってもよい。エアロゾル形成体は、プロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールとの両方を含んでもよい。
【0049】
エアロゾル形成基体はまた、液体状で提供されてもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然風味または人工風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、ニコチンを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.5%~約10%(例えば、約2%)のニコチン濃度を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の液体貯蔵部分内に含まれてもよく、その場合、エアロゾル発生物品はカートリッジとして表示されてもよい。
【0050】
電気抵抗性のある発熱体に対する代替として、発熱体は誘導発熱体として構成されてもよい。誘導発熱体は、誘導コイルおよびサセプタを備えてもよい。一般に、サセプタは、交番磁界によって貫通された時に熱を生成する能力を有する材料である。交番磁界内に位置する時。サセプタが導電性である場合、典型的に、交番磁界によって渦電流が誘発される。サセプタが磁性である場合、典型的に、加熱に寄与する別の効果は、一般的にヒステリシス損失と呼ばれる。ヒステリシス損失は、主にサセプタ内の磁区ブロックの移動に起因して生じる。これは、これらの磁気的な向きが、交互の誘導磁界と整列するためである。ヒステリシス損失に寄与する別の効果は、磁区がサセプタ内で拡大または縮小する時である。一般的に、サセプタ内でナノスケール以下で起こるこれらのすべての変化は、サセプタ内で熱を生成するため、「ヒステリシス損失」と呼ばれる。よって、サセプタが磁性と導電性との両方である場合、ヒステリシス損失および渦電流の生成の両方がサセプタの加熱に寄与することになる。サセプタが磁性であるが導電性ではない場合、ヒステリシス損失は、交番磁界によって貫通された時にサセプタを加熱することになる唯一の手段となることになる。本発明によると、サセプタは、導電性もしくは磁性、または導電性と磁性との両方であってもよい。一つまたはいくつかの誘導コイルによって生成される交番磁界は、サセプタを加熱し、これはその後、エアロゾル形成基体へと熱を伝達し、これによりエアロゾルが形成される。熱伝達は、主に熱の伝導によってもよい。こうした熱の伝達は、サセプタがエアロゾル形成基体と密接な熱的接触状態にある場合、最も良好である。
【0051】
サセプタは、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度へと誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタは、強磁性材料またはフェリ磁性材料(例えば、強磁性合金、フェライト鉄、または強磁性鋼もしくはステンレス鋼)を含んでよく、またはそれらから成ってよい。適切なサセプタは、アルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。好ましいサセプタは、摂氏250度を超える温度へと加熱されてもよい。
【0052】
好ましいサセプタは、金属サセプタ(例えばステンレス鋼)である。しかしながら、サセプタ材料はまた、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、アルミニウム、ニオビウム、インコネル合金(オーステナイトニッケルクロム系超合金)、金属蒸着フィルム、セラミック(例えば、ジルコニアなど)、遷移金属(例えば、鉄、コバルト、ニッケルなど)、または半金属構成要素(例えば、ホウ素、炭素、ケイ素、リン、アルミニウムなど)も含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。
【0053】
一つの実施形態に関して記述される特徴は、本発明の他の実施形態に等しく適用されてもよい。
【0054】
例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら本発明をさらに記述する。
【0055】
図1は、エアロゾル発生装置10を示す。エアロゾル発生装置10は、破線によって表示される加熱チャンバ12を備える。加熱チャンバ12は、エアロゾル発生装置10の近位エリアに配設される。加熱チャンバ12は、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品を受容するように近位端で開放する。
【0056】
グラフェン層の形態の熱放散要素は、加熱チャンバ12を包囲して配設される。グラフェン層は、発熱体から加熱チャンバ12から離れるように熱を放散する。発熱体もまた、熱放散要素によって包囲される。
【0057】
図1に示す実施形態では、熱放散要素は、加熱チャンバ12だけを包囲して配設される。この場合、熱放散要素は、加熱チャンバ12の表面を横切って熱を放散し、これによりエアロゾル発生装置10の包囲するハウジングは、触れると高温であるホットスポットを含まない。
【0058】
図2は、熱放散要素14が加熱チャンバ12を包囲するだけでなく、エアロゾル発生装置10の中へと遠位方向にさらに延びる実施形態を示す。
【0059】
より詳細には、熱放散要素14の第一の部分16は、加熱チャンバ12を包囲して配設される。熱放散要素14の第二の部分18は、エアロゾル発生装置10の中へと遠位方向にさらに延びる。熱放散要素14の第二の部分18は、エアロゾル発生装置10の中へと遠位部分20の中へとさらに延びる。結果として、加熱チャンバ12からの熱は、エアロゾル発生装置10全体を通してより均一に放散される。
【0060】
図2は、加熱チャンバ12だけでなくエアロゾル発生装置10の遠位部分も画定する内側フレーム22が提供されてもよいことをさらに示す。
【0061】
図3は、組立前の熱放散要素14の異なる実施形態を示す。図3Aは、熱放散要素14が、組立前に長方形のシートの形態で提供される実施形態を示す。この実施形態は、加熱チャンバ12のみを熱放散要素14で包囲するために採用されることが好ましい。しかしながら、長方形のシートはまた、加熱チャンバ12が熱放散要素14だけでなく、加熱チャンバ12から遠位のエアロゾル発生装置10の一部分によっても包囲されるように寸法設定することもできる。
【0062】
図3Bは、熱放散要素14が、T字形状のシートから形成される実施形態を示す。T字形状のシートの頭部を構成する熱放散要素14の第一の部分16は、この実施形態では加熱チャンバ12の周りに巻かれる。T字形状のシートの「幹部」を構成する熱放散要素14の第二の部分18は、加熱チャンバ12の遠位方向に、エアロゾル発生装置10の遠位部分の中へと延びる。
【0063】
図3Cは、熱放散要素14が、接続部分24において接続される二つの長方形のシートから形成される実施形態を示す。熱放散要素の第一の長方形のシートに対応する第一の部分16は、加熱チャンバ12の周りに巻かれる。熱放散要素の第二の長方形のシートに対応する第二の部分18は、加熱チャンバ12からさらにエアロゾル発生装置10の中へとさらに遠位に延びる。改善された熱伝達のために、接続部分24は、熱放散要素の第一の部分16を熱放散要素の第二の部分18と物理的に接続する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
【国際調査報告】