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特表2024-5374512,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む安定化された組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む安定化された組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20241003BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20241003BHJP
   C07C 13/20 20060101ALI20241003BHJP
   C07C 13/23 20060101ALI20241003BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C09K5/04 E
C07C21/18
C07C13/20
C07C13/23
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523986
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 US2022047203
(87)【国際公開番号】W WO2023069570
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,468
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ション ペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン サン-ブランクス
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ ハビランド マイナー
(72)【発明者】
【氏名】アレン カプロン シーベルト
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AB93
4H006EA03
(57)【要約】
本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、有効量の少なくとも1つの阻害剤、及びガス成分を含む組成物に関し、組成物は、重合に対して耐性である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、少なくとも1つの阻害剤、及び少なくとも1つのガス成分を含む組成物であって、
前記阻害剤が、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、
前記ガス成分が、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択される、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、いかなるフェノール及びベンゾフェノン誘導体も実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、フェノール又はベンゾフェノン誘導体を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1243zf、1140、1234ze、トリフルオロプロピン、225ca、225cb、227ea、及び152aからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
1234ze、1243zf、Z-1336mzz、E-1336mzz、1327mz、1122、1122a、1123、1233zd、1224yd、E-1132、Z-1132、1132a、1112、E-1225ye、Z-1225ye、1234zc、1234ye、1234yc、1225zc、及び152aからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
潤滑剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
水を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記阻害剤が、約30~約3,000ppmの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記阻害剤が、リモネン及びα-テルピネンのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
請求項6に記載の組成物を使用して加熱又は冷却するための方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の冷媒組成物を含む容器。
【請求項12】
熱伝達流体としての請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
前記流体が、液体から気体に相変化し、そして元に戻るか、又は、逆になる、サイクルにおける冷媒としての請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
前記流体が、エアコン、冷凍庫、冷蔵庫、ヒートポンプ、水冷却装置、満液式蒸発器冷却装置、直接膨張冷却装置、遠心冷却装置、ウォークインクーラー、移動式冷蔵庫、移動式空調ユニット、移動式ヒートポンプユニット、及びそれらの組み合わせにおいて、液体から気体に相変化し、そして元に戻るか、又は、逆になる、サイクルにおける冷媒としての請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
熱伝達の方法であって、作動流体が、熱源からヒートシンクへ熱を運ぶために使用され、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を含む前記作動流体によって特徴付けられる、方法。
【請求項16】
前記作動流体が、液体から気体へ相変化し、そして元に戻るか、又は、逆になる冷媒である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、重合に対して耐性である、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)と、少なくとも1つの阻害剤とを含む安定化された組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒に対する新たな環境規制によって、冷蔵及び空調産業は、地球温暖化係数(global warming potential、GWP)の低い新規冷媒を探さなければならなくなっている。
【0003】
低GWP、非毒性、不燃性、合理的なコスト、及び優れた冷蔵性能を有する代替冷媒が求められている。
【0004】
フルオロオレフィンは、単独で又は混合物中で冷媒として提案されている。これらの製品は、空調又は冷蔵システムで典型的に使用される材料との化学安定性及び適合性について広範に試験されており(「1234yf-A Low GWP Refrigerant For MAC,Honeywell/DuPont Joint Collaboration」、JAMA/JARIAへの発表、2007年10月3日を参照)、典型的な動作条件下で安定であることが示されている。しかしながら、ある特定のフルオロオレフィンは、極端な温度、又は汚染された系内での他の化合物(様々な汚染物質の中でも、例えば、過剰な酸素、酸化化学物質、又はラジカル生成化合物)との接触などの異常な条件下で、劣化を示し得る及び/又は不必要な副生成物を生成し得ることが観察されており、これは、特定の使用及び/又は用途において予想外に起こり得る。このような劣化は、フルオロオレフィンを冷媒又は熱伝達流体として利用するときに生じ得る。この劣化は、任意の数の異なる機序によって生じ得る。安定化された冷媒組成物の例は、特開2009-298918号、米国特許第6,969,701号、米国特許第8,133,407号、米国特許出願第2006/0022166号、米国特許出願第2006/0043330号、米国特許出願第2008/0157022号、及び国際公開第2007/126760号、並びに欧州特許第2057245号、米国特許第8,101,094号、米国特許第8,535,555号、米国特許第8,097,181号、及び米国特許第8,075,796号に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-298918号
【特許文献2】米国特許第6,969,701号
【特許文献3】米国特許第8,133,407号
【特許文献4】米国特許出願第2006/0022166号
【特許文献5】米国特許出願第2006/0043330号
【特許文献6】米国特許出願第2008/0157022号
【特許文献7】国際公開第2007/126760号
【特許文献8】欧州特許第2057245号
【特許文献9】米国特許第8,101,094号
【特許文献10】米国特許第8,535,555号
【特許文献11】米国特許第8,097,181号
【特許文献12】米国特許第8,075,796号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「1234yf-A Low GWP Refrigerant For MAC,Honeywell/DuPont Joint Collaboration」、JAMA/JARIAへの発表、2007年10月3日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ある特定の異常な条件下かつ反応開始剤として機能し得る望ましくない汚染物質の存在下で、フルオロオレフィンは、存在する可能性のある特定の汚染物質の存在下でオリゴマー化又はホモ重合することがある。したがって、この技術分野では、オリゴマー化又はホモ重合する可能性が排除とはいかないまでも低減されている安定化されたフルオロオレフィン含有冷媒組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(本明細書ではHFO-1234yf、1234yfとも称され、式CFCFCH=CHを有する)を含む組成物中に存在する少なくとも1つの阻害剤を提供することによって、重合開始に関連する問題を解決することができる。特に、本発明は、少なくとも1つの阻害剤を1234yfを含む組成物に添加することによって、組成物が異常な状態に持ちこたえる能力を改善することができ、また、テトラフルオロプロペンをオリゴマー化又はホモ重合させるという反応開始剤に関連する潜在的な問題を解決する。「阻害剤」とは、1234yfのオリゴマー又はホモポリマーへの変換を排除とはいかないまでも低減する、本発明による少なくとも1つの化合物を指すことを意味する。オリゴマー化又はホモポリマー化反応は比較的高い温度により加速され得るが、このような反応はまた、開始剤の濃度及び種類に応じて周囲条件下で発生し得る。阻害剤は、ラジカル阻害剤として、組成物の冷蔵性能にも潤滑油及び部品との適合性にも影響を及ぼすことなく機能することができる。組成物は、冷却システムにおいて、及びより高い地球温暖化係数を有する既存の冷媒の代替品として有用であり得る。
【0009】
1234yfの可能な不安定性を回避するために、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されるある特定の阻害剤化合物を添加することは、包装、貯蔵、及び冷蔵又は空調システム用途における使用の間、それらの安定性を増加させることが見出されている。ある特定の以前の開示とは対照的に、組成物は、フェノール及びベンゾフェノン誘導体を実質的に含まない。
【0010】
本発明の一実施形態は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、少なくとも1つの阻害剤、及び少なくとも1つのガス成分を含む組成物に関し、阻害剤は、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、ガス成分は、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択される。
【0011】
1つの特定の実施形態では、本発明は、O及びフルオロオレフィンポリペルオキシドと相互作用又は反応し、次に、このような化合物とヒドロフルオロオレフィンとの反応を阻害又は防止することができる、1234yfと、阻害剤とを含む組成物に関する。このような阻害剤の例は、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物のうちの少なくとも1つを含む。リモネン、α-テルピネンα-ピネン、及びβ-ピネンは、以下の構造を有する。
【0012】
【化1】
【0013】
いかなる理論又は説明によっても束縛されることを望むものではないが、その構造中に共役二重結合が存在することにより、α-テルピネンは、酸化時に芳香環を形成することができると考えられる。本発明の別の実施形態では、阻害剤は、d-リモネンを含む。
【0014】
本発明の一実施形態では、任意選択で酸化防止剤を含む阻害剤は、数ppmレベルであっても独特の芳香を提供する。この心地よい臭気は、1234yf及び1234yfを含むブレンドの組成物を用いた冷媒漏れ検出に利用され得る。これは、家庭用空調装置又は移動式空調装置における冷媒漏れを早期に検出するのに特に有益である。というのも、パラプロフェッショナルな電子的漏れ検出器はいずれの場所でも利用できないことが多いからである。
【0015】
本発明の一実施形態は、組成物が、いかなるフェノール及びベンゾフェノン誘導体も実質的に含まない、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物を安定化するための方法に関し、当該方法は、当該組成物に対して、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される有効量の少なくとも1つの阻害剤を添加することを含み、ガス成分は、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択される。
【0017】
本発明の別の実施形態は、1234yfを含む組成物のオリゴマー化又はホモ重合を低減するための方法に関し、オリゴマー化又はホモ重合は、組成物を取り扱うために使用される導管、ライン、及び他のシステム;包装(容器)、及び冷蔵、空調、又はヒートポンプシステムのうちの少なくとも1つに存在する意図しない又は望ましくない汚染物質の存在によって引き起こされ、当該方法は、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される有効量の少なくとも1つの阻害剤と、ガス成分とを、当該システム、容器、及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物のうちの少なくとも1つに添加することを含み、ガス成分は、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択される。
【0018】
本発明の更なる実施形態は、容器内の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、阻害剤、及びガス成分を含む組成物に関し、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、本発明の阻害剤組成物を含まない組成物と比べて、オリゴマー化又はホモ重合する可能性が低減されている。
【0019】
本発明の一実施形態は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、ガス成分と、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される有効量の少なくとも1つの阻害剤とを含む組成物に関し、組成物は、いかなるフェノール及びベンゾフェノン誘導体も実質的に含まない。
【0020】
本発明の別の実施形態は、組成物が、約0.03重量%未満のオリゴマー、ホモポリマー、又は他のポリマー生成物を含む、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0021】
本発明の別の実施形態は、クメンヒドロペルオキシド、及びフルオロオレフィンポリペルオキシド、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、及びヒドロペルサルフェートからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を更に含む、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0022】
本発明の別の実施形態は、組成物が、HFO-1234zeを更に含む、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0023】
本発明の別の実施形態は、前述の組成物のうちのいずれかに関し、HFO-1243zf、HCO-1140、HFO-1234ze、3,3,3-トリフルオロプロピン、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HFC-227ea、及びHFC-152aからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を更に含む。
【0024】
本発明の別の実施形態は、前述の組成物のうちのいずれかに関し、HFO-1234ze、HFO-1243zf、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、HCFO-1233zd、HCFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、CO-1112、E-HFO-1225ye、Z-HFO-1225ye、HFO-1234zc、HFO-1234ye、HFO-1234yc、HFO-1225zc、HFC-152a、及びHFC-254ebからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を更に含む。
【0025】
本発明の別の実施形態は、前述の組成物のうちのいずれかに関し、潤滑剤を更に含む。
【0026】
本発明の別の実施形態は、前述の組成物のうちのいずれかに関し、水を更に含む。
【0027】
本発明の別の実施形態は、阻害剤が、約30~約3,000ppmの量で存在する、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0028】
本発明の別の実施形態は、阻害剤が、d-リモネン及びα-テルピネンのうちの少なくとも1つを含む、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0029】
本発明の別の実施形態は、阻害剤が、約-80~180℃の温度で液体を含む、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0030】
本発明の別の実施形態は、組成物が、アンモニア及びCFIのうちの少なくとも1つを実質的に含まない、前述の組成物のうちのいずれかに関する。
【0031】
本発明の別の実施形態は、組成物が、当該接触の前に、クメンヒドロペルオキシド、及びフルオロオレフィンポリペルオキシド、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、及びヒドロペルサルフェートからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素に曝露されている、前述の方法のうちのいずれかに関する。
【0032】
本発明の別の実施形態は、加熱又は冷却のための前述の方法のうちのいずれかの使用に関する。熱伝達流体としての前述の組成物のうちのいずれかの使用が含まれる。冷媒としての前述の組成物のうちのいずれかの使用も含まれる。
【0033】
本発明の別の実施形態は、前述の組成物のいずれかを含む冷媒を含む容器に関する。
【0034】
本発明の実施形態は、単独で又は互いに組み合わせて使用することができ、その異なる実施形態を組み合わせ、本発明の一部を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び有効量の少なくとも1つの阻害剤の組成物を提供し、阻害剤は、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、ガス成分は、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択される。
【0036】
組成物は安定化された組成物である。「安定化(された)」とは、組成物が、1234yfが別の化合物と相互作用し、ダイマー、オリゴマー、ホモポリマー、又はポリマー生成物を形成することを排除とはいかないまでも阻害する、有効量の少なくとも1つの阻害剤化合物を含むことを指すことを意図する。このような相互作用を引き起こし得るこのような化合物の例としては、数ある阻害剤の中でも、空気、酸素、クメンヒドロペルオキシド、及びフルオロオレフィンポリペルオキシド、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、ヒドロペルサルフェートなどの酸化剤が挙げられる。反応開始剤化合物は、重量基準で約10~約15,000ppm、約1,000~約10,000ppm、及び場合によっては約1,000~約3,000ppm、いくつかの実施形態では、30~2,000ppmの量で存在し得る。このような反応開始剤化合物は、1234yf含有組成物を取り扱うために使用される導管、ライン、及び他のシステム;包装(容器)、及び冷蔵、空調、又はヒートポンプシステムのうちの少なくとも1つにおける汚染物質として存在し得る。いかなる理論又は説明によっても束縛されることを望むものではないが、ある特定の汚染物質はラジカル反応開始剤として機能し、それによって、1234yfをオリゴマー化させる、ホモポリマー化させる、又は他のポリマー生成物を形成させると考えられる。
【0037】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、1234yfなどのヒドロフルオロオレフィンに由来するオリゴマー、ホモポリマー、又は他のポリマー生成物を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、組成物が、IR又はNMRによって測定されるとき、約1重量%未満、約0.07重量%未満、約0.03重量%未満、及び場合によっては約0ppmのこのような生成物を含むことを意味する。
【0038】
本発明の別の実施形態では、組成物は、ファメソール(famesol)、ファメセン(famesene)からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素などのセスキテルペン化合物;イオン性液体、フェノール、ベンゾフェノン誘導体、及びそれらの混合物を含むある特定の従来の阻害剤化合物を実質的に含まない。実質的に含まないとは、本発明の組成物が、約500ppm未満、典型的には約250ppm未満、場合によっては約100ppm及び場合によっては約0ppmの、このような従来の阻害剤を含むことを意味する。
【0039】
本発明の組成物は、特に、熱伝達媒体(冷蔵システム、冷蔵庫、空調システム、ヒートポンプ、冷却装置などで使用するための熱伝達流体及び冷媒など)を含む様々なユーティリティを有する。本発明の組成物は、移動式空調又はヒートポンプシステムにおいて使用するのに、そして、固定式熱伝達システムにおいて使用するための冷媒ブレンドを作製するための成分として特に適している。
【0040】
熱伝達媒体(本明細書では熱伝達流体、熱伝達組成物、又は熱伝達流体組成物とも呼ばれる)は、熱源からヒートシンクに熱を運ぶために使用される作動流体である。
【0041】
冷媒は、流体が液体から気体(又は蒸気)に相変化し、そして元に戻るか、又は、逆になる、サイクルにおいて熱伝達流体として機能する化合物又は化合物の混合物である。本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、少なくとも1つの阻害剤、及び少なくとも1つのガス成分、並びに潤滑剤を含む冷媒(又は冷媒組成物)を提供する。冷媒に関して、阻害剤は、少なくとも冷媒の液体フルオロオレフィン(1234yf)含有相、及び冷媒の潤滑剤成分中に存在する。一実施形態では、約10~約80重量%、約25~約75重量%、及び場合によっては、約45~約60重量%の阻害剤が、液体フルオロオレフィン相中に存在し、残りは主に潤滑剤相中に存在する。一実施形態では、気相は阻害剤を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、蒸気フルオロオレフィン相中の阻害剤の量が、約10ppm未満、場合によっては約5未満、及び典型的には約2ppm未満であることを意味する。一実施形態では、冷媒は、少なくとも1234yfを含む気相と、1234yf、少なくとも1つの潤滑剤及び少なくとも1つの阻害剤を含む液相とを含み、場合によっては、気相は、阻害剤を実質的に含まない。
【0042】
本明細書で使用するとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、列挙する要素を含む、組成物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない他の要素、又はこのような組成物、プロセス、方法、物品、若しくは装置などに内在する他の要素を含み得る。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、すなわち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つにより満たされる。
【0043】
移行句「からなる(consisting of)」は、特定されていないあらゆる要素、工程、又は構成要素を除外する。特許請求の範囲における場合、このような句は、材料に通常付随する不純物を除き、列挙された材料以外の材料を含むことに対して特許請求の範囲を閉ざすことになる。語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく、ある請求項の本文の節内で現れる場合、この語句はその節内に示される要素のみを限定するものであり、その他の要素が、当該請求項全体から除外されるわけではない。
【0044】
移行句「から本質的になる(consisting essentially of)」は、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、成分、又は要素は、特許請求される発明の基本的及び新規の特徴、特に本発明のプロセスのいずれかの所望の結果を達成するための行動様式に実質的に影響を及ぼす。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場を占める。
【0045】
出願人らが、発明又はその一部を、「含む」などの非限定的な用語で定義していた場合、(特に明記しない限り)その記載は、用語「から本質的になる」又は「からなる」を使用する発明もまた含むと解釈すべきであることが容易に理解されるべきであろう。
【0046】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上なされるものであり、本発明の範囲の全般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0047】
本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、少なくとも1つの阻害剤、及び少なくとも1つのガス成分を含む組成物を提供し、阻害剤は、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、ガス成分は、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択される。
【0048】
ある特定の実施形態では、組成物は、HFO-1243zf、HCO-1140、HFO-1234ze、トリフルオロプロピン、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HFC-227ea、及びHFC-152aからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を更に含む(表1を参照されたい)。
【0049】
ある特定の実施形態では、組成物は、HFO-1234ze、HFO-1243zf、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、HCFO-1233zd、HCFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、CFO-1112、E-HFO-1225ye、Z-HFO-1225ye、HFO-1234zc、HFO-1234ye、HFO-1234yc、HFO-1225zc、及びHFC-152aからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を更に含む(表1を参照されたい)。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に列挙した化合物は、市販されているか、又は当該技術分野において既知のプロセスによって調製することができる。
【0052】
表1の化合物の多くは、異なる立体配置異性体又は立体異性体として存在する。特定の異性体が指定されていない場合、本発明は、全ての単一の立体配置の異性体、単一の立体異性体、又はこれらの任意の組み合わせを含むことを意図する。例えば、HFO-1234zeは、E異性体、Z異性体、又は任意の比率の両異性体の任意の組み合わせ若しくは混合物を表すことを意味する。別の一例として、HFO-1224ydは、E異性体、Z異性体、又は任意の比率の両異性体の任意の組み合わせ若しくは混合物を表すことを意味する。
【0053】
1つの特定の実施形態では、HFO-1234yfを含む組成物は、99重量%超の純度、99.5重量%超の純度、及び場合によっては99.5~99.98パーセント超の純度を有するHFO-1234yfを含む。
【0054】
別の特定の実施形態では、組成物は、約99.5重量%超のHFO-1234yfと、HFO-1225ye、HFO-1243zf、HFO-1234ze、HFC-236ea、HFC-244bb、HFC-245fa、HFC-245eb、HFC-245cb、3,3,3-トリフルオロプロピン、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の構成要素とを含む(表1に開示されていない化合物については表2を参照されたい)。HFO-1225ye(E/Z異性体)の量は、0超~約200重量ppm、約1~約150ppm、及び場合によっては約5~約50ppmの範囲であり得る。HFO1243zfの量は、約0.1~約250ppm、約10~約200ppm、及び場合によっては約15~約150ppmの範囲であり得る。HFO-1234ze(E異性体)の量は、約1~約1,500ppm、約5~約1,000ppm、及び場合によっては約50~500ppmの範囲であり得る。HFC-236eaの量は、約1~約50ppm、約5~約25、及び場合によっては約10~約20ppmの範囲であり得る。HFC-245fa、HFC-245eb及び/又はHFC-245cbの量は、約0~約20、約1~約15、及び場合によっては約5~約10ppmの範囲であり得る。3,3,3-トリフルオロプロピンの量は、約0~約500ppm、約1~約300ppm、及び場合によっては約5~約100ppmの範囲であり得る。
【0055】
【表2】
【0056】
別の実施形態では、組成物は、HFO-1234yfと、1114、1123、1131a、1131trans、1140、1214ya、1216、1224yd、1225ye(E)、1233zd(E)、1234ze(E)、1252、143a、225、245eb、254eb、263fb、CFCFI、236fa、142b、244cc、1223、1132a、2316、1327異性体、1336mzzE、1336異性体、1234zeZ、及び1224異性体からなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物とを含む(表1又は表2に開示されていない化合物については表3を参照されたい)。1つの特定の実施形態では、組成物は、1114、1123、1131a、1131トランス、1140、1214ya、1216、1224yd、1225ye(E)、1233zd(E)、1234ze(E)、1252、143a、225、245eb、254eb、263fb、CFCFI、236fa、142b、244cc、1223、1132a、2316、1327異性体、1336mzzE、1336異性体、1234zeZ、及び1224異性体からなる群から選択される追加の化合物の0より多く約1重量%未満、約0.5重量%未満、及び場合によっては0.25重量%未満を含む。
【0057】
【表3】
【0058】
任意の好適な有効量の阻害剤を、前述の組成物において使用することができる。本明細書に記載のとおり、語句「有効量」は、組成物に添加されたときに、1234yfが開始剤と相互作用しない、及び/又は劣化して、例えば、阻害剤を含まない組成物と比較して、冷却装置で使用したときに、性能を大幅に低減させることのない組成物が得られる、本発明の阻害剤の量を指し、1234yfを含む液相及び潤滑剤中に存在する。冷却装置の場合、このような有効量の阻害剤は、標準試験ASHRAE 97-2007(RA-2017)の条件下で試験することによって決定することができる。
【0059】
本発明のある特定の実施形態では、有効量は、その量の阻害剤が、組成物が潤滑剤を更に含む場合に組成物の構成成分として含まれるときに、過去に類似のシステムでどの冷媒が使用されていた可能性があるかに応じて、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R-134a)又は他の標準的な冷媒(R-12、R-22、R-502、R-507A、R-508、R401A、R401B、R402A、R402B、R408、R-410A、R-404A、R407C、R-413A、R-417A、R-422A、R-422B、R-422C、R--422D、R-423、R-114、R-11、R-113、R-123、R-124、R236fa、又はR-245fa)を含む組成物を作動流体として利用したかのように、当該組成物を利用する冷却装置に、同レベルの冷蔵性能及び冷却能力を発揮させることができると言うことができる。
【0060】
本発明は、有効量の前述の阻害剤のうちの少なくとも1つを用いる。任意の好適な有効量を用いることができるが、有効量は、組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.3重量%~約4重量%、約0.3重量%~約1重量%を構成する。一実施形態では、有効量は、約10~約2,000重量ppm、約10~約1,000ppm、及び場合によっては約10~約500ppmの少なくとも1つの阻害剤を含む。
【0061】
組成物は、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/O比を有するN/O混合物からなる群から選択されるガス成分を含む。ガス成分の総量は、典型的には、2008 Appendix C for Analytical Procedures for AHRI Standard 700-2014,Part 5に基づいて、非凝縮性ガス(Non-Condensable Gas、NCG)又は非吸収性ガス(Non-Absorbable Gas、NAG)の約0.01~約15体積%又は約0.1~約5体積%又は約0.1~約3体積%又は約0.1~約1.5体積%の範囲の量で存在する。
【0062】
本発明の一実施形態では、組成物は、水を更に含む。水は、約0~最大約20ppmまでの任意の量で存在し得る。例えば、水は、0超~約10ppmの量で存在し得る。
【0063】
ガス成分及び水(存在する場合)は、1234yf成分とともに、又は阻害剤とともに、又は物質輸送を介して組成物に導入され得る。
【0064】
一実施形態では、本発明の前述の組成物は、フルオロオレフィン、ヒドロフルオロカーボン、炭化水素、ジメチルエーテル、CFI、アンモニア、二酸化炭素(CO)、及びこれらの混合物、すなわち、この段落に列挙される追加の化合物のいずれかの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物を更に含んでもよい。追加の化合物の量は、約1~約90重量%、約5~約75%、及び場合によっては約10~約50%の範囲であり得る。
【0065】
一実施形態では、追加の化合物は、ヒドロフルオロカーボンを含む。本発明のヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbon、HFC)化合物は、炭素、水素、及びフッ素を含む飽和化合物を含む。特に有用なのは、1~7個の炭素原子を有し、約-90℃~約80℃の標準沸点を有するヒドロフルオロカーボンである。ヒドロフルオロカーボンは、多くの供給源から入手可能な市販品であるか、又は当該技術分野において既知の方法によって調製することができる。代表的なヒドロフルオロカーボン化合物としては、フルオロメタン(CHF、HFC-41)、ジフルオロメタン(CH、HFC-32)、トリフルオロメタン(CHF、HFC-23)、ペンタフルオロエタン(CFCHF、HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(CHFCHF、HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(CFCHF、HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(CFCH、HFC-143a)、1,1-ジフルオロエタン(CHFCH、HFC-152a)、フルオロエタン(CHCHF、HFC-161)、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン(CFCFCHF、HFC-227ca)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(CFCHFCF、HFC-227ea)、1,1,2,2,3,3,-ヘキサフルオロプロパン(CHFCFCHF、HFC-236ca)、1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン(CFCFCHF、HFC-236cb)、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(CFCHFCHF、HFC-236ea)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(CFCHCF、HFC-236fa)、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(CHFCFCHF、HFC-245ca)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(CFCFCH、HFC-245cb)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(CHFCHFCHF、HFC-245ea)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(CFCHFCHF、HFC-245eb)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(CFCHCHF、HFC-245fa)、1,2,2,3-テトラフルオロプロパン(CHFCFCHF、HFC-254ca)、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(CHFCFCH、HFC-254cb)、1,1,2,3-テトラフルオロプロパン(CHFCHFCHF、HFC-254ea)、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(CFCHFCH、HFC-254eb)、1,1,3,3-テトラフルオロプロパン(CHFCHCHF、HFC-254fa)、1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(CFCHCHF、HFC-254fb)、1,1,1-トリフルオロプロパン(CFCHCH、HFC-263fb)、2,2-ジフルオロプロパン(CHCFCH、HFC-272ca)、1,2-ジフルオロプロパン(CHFCHFCH、HFC-272ea)、1,3-ジフルオロプロパン(CHFCHCHF、HFC-272fa)、1,1-ジフルオロプロパン(CHFCHCH、HFC-272fb)、2-フルオロプロパン(CHCHFCH、HFC-281ea)、1-フルオロプロパン(CHFCHCH、HFC-281fa)、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン(CHFCFCFCHF、HFC-338pcc)、1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン(CFCHCFCF、HFC-338mf)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(CFCHCHF、HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(CFCHFCHFCFCF、HFC-43-10mee)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロヘプタン(CFCFCHFCHFCFCFCF、HFC-63-14mee)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
別の実施形態では、追加の化合物は、炭化水素を含む。本発明の炭化水素は、炭素及び水素のみを有する化合物を含む。特に、3~7個の炭素原子を有する化合物が有用である。炭化水素は、多数の化学供給元を介して市販されている。代表的な炭化水素としては、プロパン、n-ブタン、イソブタン、シクロブタン、n-ペンタン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルプロパン、シクロペンタン、n-ヘキサン、2--メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、3-メチルペンタン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、及びシクロヘプタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
別の実施形態では、追加の化合物は、ジメチルエーテル(DME、CHOCH)などの、ヘテロ原子を含む炭化水素を含む。DMEは市販されている。
【0068】
別の実施形態では、追加の化合物は、様々な供給源から市販されているか、又は当該技術分野において既知の方法によって調製することができるヨードトリフルオロメタン(CFI)を含む。
【0069】
別の実施形態では、追加の化合物は、様々な供給源から市販されているか、又は当該技術分野において既知の方法によって調製することができる二酸化炭素(CO)を含む。一般に、追加の化合物の量が、1234yf含有相と潤滑剤相との間の阻害剤の前述の分配を排除しない限り、任意の好適な追加化合物を用いることができる。
【0070】
別の実施形態では、本発明の前述の組成物は、追加の化合物を実質的に含まず、特に、ジメチルエーテル、CFI、アンモニア、及び二酸化炭素のうちの少なくとも1つを実質的に含まない。この実施形態の好ましい一態様では、前述の組成物は、CFIを実質的に含まない。「追加の化合物を実質的に含まない」とは、組成物及び阻害剤が、約10%未満、通常約5%未満、及び場合によっては0%の追加の化合物を含むことを意味する。
【0071】
特に注目すべきは、(i)HFO-1234yfと、HFO-1234ze、HFO-1225ye、及びHFC-32を含む追加の化合物;(ii)HFO-1234yfと、HFO-1225ye及びHFC-134aを含む追加の化合物;(ii)HFO-1234yfと、HFO-1225ye、HFC-134a、及びHFC-32を含む追加の化合物;(iv)HFO-1234yfと、HFO-1225yeを含む追加の化合物;(v)HFO-1234yfと、HFO-1225ye、HFC-32を含む追加の化合物;(vi)HFO-1234yfと、HFO-1225ye、HFO-1225yeを含む追加の化合物、並びに(vii)HFO-1234yfと、HFC-125を含む追加の化合物を含む組成物である。更なる組成物は、HFO-1234yf及び任意選択でHFO-1234ze、並びに(i)HFC-134a、HFC-32、及びHFC-125;(ii)HFC-134a;(iii)HFC-227ea;(iv)HFC-236fa;並びに(v)HFC-134のブレンドを含む。
【0072】
本発明の他の実施形態では、組成物は、少なくとも約99質量%のHFO-1234yfと、0超であるが1質量%未満の、HFC--134a、HFO-1243zf、HFO-1225ye、HFO-1234ze、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、HCFO--1233xf、HFC-245cb、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素とを含む。
【0073】
必要に応じて、ブレンドされた組成物は、HCC-40、HCFC-22、CFC-115、HCFC-124、HCFO-1122、及びCFO-1113からなる群から選択される少なくとも1つの追加の構成要素を更に含み得る。追加の構成要素の量は、0超~約5重量%、約0~約2重量%、及び場合によっては約0~約0.5重量%を構成し得る。1つの特定の実施形態では、前述の量の追加の構成要素を、HFO-1234yf及び任意選択でHFO-1234zeとブレンドする。別の特定の実施形態では、前述の量の追加の構成要素を、HFO-1234yf及び任意選択でHFO-1234ze、並びにHFC-32、HFC-125、HFC-134a、HFC-152a、236fa及びHFC-227eaからなる群から選択される少なくとも1つのヒドロフルオロカーボンとブレンドし、場合によっては、二酸化炭素と合わせる。
【0074】
ある特定の実施形態では、組成物は、潤滑剤を含む。組成物の潤滑剤成分は、冷蔵又は空調装置とともに使用するのに好適なものを含むことができる。これらの潤滑剤の中でも、クロロフルオロカーボン冷媒を利用する圧縮冷蔵装置において従来用いられているものである。このような潤滑剤及びその特性は、参照により本明細書に組み込まれる1990 ASHRAE Handbook,Refrigeration Systems and Applications、第8章、表題「Lubricants in Refrigeration Systems」、8.1~8.21頁で論じられている。本発明の潤滑剤は、圧縮冷蔵潤滑の分野において「鉱油」として一般的に既知のものを含んでもよい。鉱油は、パラフィン(すなわち、直鎖状及び分岐鎖状炭素鎖の飽和炭化水素)、ナフテン(すなわち、パラフィンであってもよい環状又は環構造飽和炭化水素)、並びに芳香族(すなわち、交互二重結合を特徴とする1つ以上の環を含む不飽和環状炭化水素)を含む。本発明の潤滑剤は、圧縮冷蔵潤滑の分野において「合成油」として一般的に既知のものを更に含む。合成油は、アルキルアリール(すなわち、直鎖状及び分岐鎖状アルキルアルキルベンゼン)、合成パラフィン及びナフテン、シリコーン、並びにポリ-アルファ-オレフィンを含む。本発明の代表的な従来の潤滑剤は、市販されているBVM 100 N(BVA Oilsによって販売されているパラフィン系鉱油)、Crompton Co.によって商標名Suniso(登録商標)3GS及びSuniso(登録商標)5GSとして市販されているナフテン系鉱油、商標名Sontex(登録商標)372LTとしてPennzoilから市販されているナフテン系鉱油、商標名Calumet(登録商標)RO-30としてCalumet Lubricantsから市販されているナフテン系鉱油、商標名Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150、及びZerol(登録商標)500としてShrieve Chemicalsから市販されている直鎖状アルキルベンゼン、並びにHAB 22としてNippon Oilによって販売されている分枝状アルキルベンゼンである。
【0075】
別の実施形態では、本発明の組成物の潤滑剤成分は、ヒドロフルオロカーボン冷媒とともに使用するために設計されており、かつ圧縮冷蔵及び空調装置の動作条件下で本発明の冷媒及び阻害剤と混和できるものを含むことができる。このような潤滑剤及びその特性は、「Synthetic Lubricants and High-Performance Fluids」、R.L.Shubkin、Marcel Dekker編、1993年で論じられている。このような潤滑剤としては、Castrol(登録商標)100(Castrol,United Kingdom)などのポリオールエステル(polyol ester、POE)、Dow(Dow Chemical,Midland,Michigan)製のRL-488Aなどのポリアルキレングリコール(polyalkylene glycol、PAG)、及びポリビニルエーテル(polyvinyl ether、PVE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本発明の潤滑剤は、所与の圧縮器の要件、及び潤滑剤が曝されるであろう環境を考慮することによって選択される。潤滑剤の量は、約1~約50、約1~約20、及び場合によっては約1~約3の範囲であり得る。1つの特定の実施形態では、前述の組成物は、内燃機関を有する自動車用A/Cシステムで使用するためのPAG潤滑剤と組み合わされる。別の特定の実施形態では、前述の組成物は、電気又はハイブリッド電気ドライブトレインを有する自動車用A/Cシステムで使用するためにPOE潤滑剤と組み合わされる。
【0077】
阻害剤は、潤滑剤中に阻害剤の一部が存在するように、潤滑剤中に十分な混和性を有する。潤滑剤中に存在する阻害剤の量は、組成物が作動流体又は熱伝達媒体として使用されるときに変化し得る。
【0078】
本発明の一実施形態では、本発明の阻害剤に加えて、組成物は、冷媒及び空調システムの寿命並びに圧縮器の耐久性を改善することができる少なくとも1つの添加剤を含み得ることが望ましい。本発明の一態様では、前述の組成物は、酸スカベンジャー、性能向上剤、及び火炎抑制剤からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を含む。
【0079】
冷媒及びA/Cの寿命並びに圧縮器の耐久性を改善することができる添加剤が望ましい。本発明の一態様では、本発明の組成物を使用して、A/Cシステムの中に潤滑剤、並びに他の添加剤、例えば、a)酸スカベンジャー、b)性能向上剤、及びc)火炎抑制剤を導入する。
【0080】
酸スカベンジャーは、シロキサン、活性化芳香族化合物、又は両方の組み合わせを含んでもよい。参照によって本明細書に援用されるSerranoら(米国特許出願公開第2011/0272624(A1)号の段落38)には、シロキサンはシロキシ官能基を有する任意の分子であり得ることが開示されている。シロキサンは、アルキルシロキサン、アリールシロキサン、又はアリール及びアルキル置換基の混合物を含むシロキサンを含んでもよい。例えば、シロキサンは、ジアルキルシロキサン又はポリジアルキルシロキサンを含むアルキルシロキサンであってよい。好ましいシロキサンとしては、2つのケイ素原子と結合した酸素原子、すなわち構造:SiOSiを有する基が挙げられる。使用されてもよい例示的なシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0081】
先行して援用されるSerranoらから、本発明の一態様では、シロキサンは、約1~約12個の炭素原子を含むアルキルシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサンであることに留意する。シロキサンはまた、ポリジアルキルシロキサンなどのポリマーであってもよく、ここでアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はこれらの任意の組み合わせである。好適なポリジアルキルシロキサンは、約100~約10,000の分子量を有する。非常に好ましいシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。シロキサンは、ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、又はこれらの組み合わせから本質的になっていてよい。
【0082】
活性化芳香族化合物は、フリーデル・クラフツ付加反応に向けて活性化された任意の芳香族分子、又はその混合物であってよい。フリーデル・クラフツ付加反応に向けて活性化された芳香族分子は、鉱酸と付加反応することができる任意の芳香族分子であると定義される。特に、適用環境(ACシステム)において又はASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」の熱安定化試験中のいずれかに鉱酸と付加反応することができる任意の芳香族分子である。本明細書における教示による組成物で使用され得る例示的な活性化された芳香族分子としては、ジフェニルオキシド(すなわち、ジフェニルエーテル)、メチルフェニルエーテル(例えば、アニソール)、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。フリーデル・クラフツ付加反応に向けて活性化された非常に好ましい一芳香族分子は、ジフェニルオキシドである。
【0083】
酸スカベンジャー(例えば、活性化された芳香族化合物、シロキサン、又は両方)は、任意の濃度で存在してよく、その結果、全酸価が比較的低くなる、全ハロゲン化物濃度が比較的低くなる、全有機酸濃度が比較的低くなる、又はこれらの任意の組み合わせになる。好ましくは、酸スカベンジャーは、組成物の総重量に基づいて、約0.0050重量%超、より好ましくは約0.05重量%超、更により好ましくは約0.1重量%超(例えば、約0.5重量%超)の濃度で存在する。酸スカベンジャーは、組成物の総重量に基づいて、好ましくは約3重量%未満、より好ましくは約2.5重量%未満、最もより好ましくは約2重量%未満(例えば、約1.8重量%未満)の濃度で存在する。
【0084】
組成物中に含まれてもよく、かつ好ましくは組成物から排除される酸スカベンジャーの追加例としては、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、オトレノキシド(otolenoxides)、又はエポキシ化大豆油などのエポキシ化合物のうちの1つ以上などの、Kaneko(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0290164号として公開された、米国特許出願第11/575,256号の段落42)によって記載されるもの、及びSinghら(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0116310号として公開された、米国特許出願第11/250,219号の段落34~42)によって記載されるものが挙げられる。
【0085】
好ましい添加剤としては、米国特許第5,152,926号、同第4,755,316号に記載されているものが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。特に、好ましい極圧添加剤としては、(A)トリルトリアゾール若しくはその置換誘導体と、(B)アミン(例えば、Jeffamine M-600)と、(C)(i)エトキシ化リン酸エステル(例えば、Antara LP-700型)若しくは(ii)リン酸アルコール(例えば、ZELEC 3337型)若しくは(iii)亜鉛ジアルキルジチオリン酸(例えば、Lubrizol 5139、5604、5178、又は5186型)若しくは(iv)メルカプトベンゾチアゾール若しくは(v)2,5-ジメルカプト-1,3,4-トリアジアゾール誘導体(例えば、Curvan 826)又はこれらの混合物である第3の成分との混合物が挙げられる。使用され得る添加剤の追加的な例は、米国特許第5,976,399号(Schnur,5:12-6:51、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0086】
酸価は、ASTM D664-01に従ってmg KOH/gの単位で測定される。全ハロゲン化物濃度、フッ素イオン濃度、及び全有機酸濃度は、イオンクロマトグラフィによって測定される。冷媒システムの化学安定性は、ASHRAE 97:2007(RA 2017)「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従って測定される。潤滑剤の粘度は、ASTM D-7042に従って40℃で試験される。
【0087】
Mouliら(国際公開第2008/027595号及び同第2009/042847号)には、フルオロオレフィンを含む冷媒組成物における安定剤としてのアルキルシランの使用が教示されている。ある特定の冷媒組成物中では、リン酸塩、亜リン酸塩、エポキシド、及びフェノール系添加剤も使用されている。これらは、例えばKaneko(米国特許出願公開第2007/0290164号として公開された、米国特許出願第11/575,256号)、及びSinghら(米国特許出願公開第2006/0116310号として公開された、米国特許出願第11/250,219号)によって説明されている。これら上述の出願は全て、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0088】
好ましい火炎抑制剤としては、特許出願「Refrigerant compositions containing fluorine substituted olefinsカナダ特許出願第2557873(A1)号」に記載され、HFC-125及び/又はKrytox(登録商標)潤滑剤等のフッ素化製品とともに参照により組み込まれ、また、同様に参照により組み込まれ、特許出願「Refrigerant compositions comprising fluoroolefins and uses thereof国際公開第2009/018117(A1)号」に記載されているものが挙げられる。
【0089】
本発明の組成物は、所望の量の個々の成分を合わせるための任意の簡便な方法によって調製することができる。好ましい方法は、所望の成分量を計量し、その後、適切な槽内で成分を組み合わせることである。所望の場合、撹拌を使用してもよい。
【0090】
本発明は更に、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、少なくとも1つの阻害剤、及び少なくとも1つのガス成分を含む組成物を凝縮することであって、阻害剤が、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、ガス成分が、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択される、凝縮することと、少なくとも1つの阻害剤、その後本体の近くで冷却される当該組成物を蒸発させることと、を含む、冷却を生み出すプロセスに関する。
【0091】
冷却される本体は、冷蔵又は空調を必要とする任意の空間、場所、又は物体であってよい。固定式用途では、本体は、構造、すなわち、住宅若しくは商業構造の内部、又は食品若しくは医薬品などの腐敗しやすいもののための保管場所に存在していてよい。移動式冷蔵用途では、本体は、道路、鉄道、海上、又は航空用の輸送ユニットに組み込まれていてよい。ある特定の冷蔵システムは、任意の可動キャリアに対して独立して動作し、これらは「インターモーダル」システムとして既知である。このようなインターモーダルシステムとしては、「コンテナ」(海上/陸上複合輸送)、並びに「スワップボディ」(道路及び鉄道複合輸送)が挙げられる。
【0092】
本発明は更に、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、少なくとも1つの阻害剤、及び少なくとも1つのガス成分を含む冷媒組成物を凝縮することであって、阻害剤が、d-リモネン、l-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、及びδ-テルピネン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、ガス成分が、O、N、Ar、CO、CH、He、及び78/21以上のN/Oの比を有するN/O混合物からなる群から選択され、本体の近くで少なくとも1つの潤滑剤が加熱される、凝縮することと、その後当該組成物を蒸発させることと、を含む、熱を生成するためのプロセスに関する。
【0093】
加熱される物体は、熱を必要とする任意の空間、場所、又は物体であってよい。これらは、冷却される対象と同様の方法で住宅又は商業用のいずれかの構造の内部に存在していてよい。更に、冷却について説明したような移動式ユニットは、加熱を必要とするものと同様であってよい。ある特定の輸送ユニットは、輸送される材料が輸送コンテナ内で固化するのを防止するために加熱を必要とする。
【0094】
本発明の別の実施形態は、前述の組成物を含むことを特徴とする、少なくとも1つの蒸発器と、少なくとも1つの圧縮器と、少なくとも1つの凝縮器と、少なくとも1つの膨張デバイスとを備える、空調、冷蔵、ヒートポンプ、又は冷却装置に関する。
【0095】
本発明の別の実施形態は、気相及び/又は液相中の酸素及び/又は水濃度が約25℃の温度で約3体積ppm~約3,000体積ppm未満、約5体積ppm~約1,000体積ppm未満、場合によっては約5体積ppm~約500体積ppm未満の範囲である密閉容器内で気相及び/又は液相中に前述の組成物を保管することに関する。
【0096】
前述の組成物を保管するための容器は、気相及び液相を維持しながら組成物を密封することができる任意の好適な材料及び設計で構築することができる。好適な容器の例は、タンク、充填シリンダー、及び二次充填シリンダーなどの耐圧容器を含む。容器は、炭素鋼、マンガン鋼、クロム-モリブデン鋼、特に低合金鋼、ステンレス鋼、及び場合によってはアルミニウム合金などの任意の好適な材料から構築することができる。容器は、可燃性物質を分配するのに好適な穿孔上部又は弁を備えていてよい。
【0097】
任意の好適な方法が本発明の組成物を調製するために用いられ得るが、このような方法の例としては、他の好適な方法の中でも特に、前述の阻害剤を前述の組成物とブレンドすること、ライン及び容器を、阻害剤(例えば、窒素キャリアを含む阻害剤、又は本発明の安定化された組成物)を含む材料でパージすること、並びにガス成分と組み合わせることが挙げられる。
【0098】
一実施形態では、本発明の組成物は、(i)1234yf、阻害剤、及びガス成分を含む組成物、並びに/又は潤滑剤に阻害剤を添加し、次いで、組成物を潤滑剤と組み合わせることによって調製される冷媒である。この場合、阻害剤は、組成物又は潤滑剤のうちの1つのみに添加され、次いで、組成物及び潤滑剤が組み合わされ、阻害剤は、阻害剤が組成物及び潤滑剤中に存在するように分配される。
【国際調査報告】