(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置、電解システム、及び電解方法
(51)【国際特許分類】
C25B 9/65 20210101AFI20241003BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20241003BHJP
C25B 15/023 20210101ALI20241003BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20241003BHJP
C25B 9/70 20210101ALI20241003BHJP
C25B 1/04 20210101ALN20241003BHJP
C25B 9/00 20210101ALN20241003BHJP
C25B 9/015 20210101ALN20241003BHJP
【FI】
C25B9/65
C25B9/19
C25B15/023
C25B15/08 302
C25B9/70
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/015
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524603
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2022127348
(87)【国際公開番号】W WO2023072064
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111267982.7
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】時振堂
(72)【発明者】
【氏名】王美威
(72)【発明者】
【氏名】李君
(72)【発明者】
【氏名】呉冠霖
(72)【発明者】
【氏名】陶麗楠
(72)【発明者】
【氏名】孫進
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BB05
4K021BC01
4K021CA01
4K021CA05
4K021CA08
4K021DB06
4K021DB40
4K021DB47
4K021DC03
4K021EA06
(57)【要約】
本発明の実施例は、交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置、電解システム、及び電解方法を提供する。前記電解装置は、少なくとも1組の磁気回路と、電解槽と、を含み、前記磁気回路は、電磁コイルが巻かれた磁気コアを含み、前記磁気コアは、前記電解槽の外部に設けられ、前記磁気回路は、交流電源を利用して前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させ、前記回転磁場は、前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させる。該電解装置は、交流電流によって電解槽に誘導直流電流を直接生成させることによって、交流/直流変換の工程を省略し、エネルギー変換によるエネルギー損失を低減させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置であって、
少なくとも1組の磁気回路と、電解槽と、を含み、
前記磁気回路は、電磁コイルが巻かれた磁気コアを含み、前記磁気コアは、前記電解槽の外部に設けられ、
前記磁気回路は、交流電源を利用して前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させるために使用され、前記回転磁場は、前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させる、ことを特徴とする電解装置。
【請求項2】
前記磁気コアの上端及び下端には、前記電解槽に適合するポールシューペアが接続されており、
前記ポールシューペア間の磁場と電解槽内の電解液との相対移動により磁力線が切断され、前記磁力線の方向が回転磁場の移動の接線方向と平行ではなく、前記磁力線の方向及び回転磁場の移動の接線方向のいずれも電解槽のセパレータの平面に垂直ではない、ことを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
【請求項3】
前記交流電源は多相正弦波交流電流であり、前記磁気回路は、m*n対の磁気コアを含み、mは、前記交流電源の位相の数であり、nは、1以下の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
【請求項4】
前記交流電源は、3相正弦波交流電流であり、前記磁気回路は、3n対の磁気コアを含み、前記3相正弦波交流電流の位相線が電磁コイルの一端に接続され、前記電磁コイルの結線方式がスター結線又は三角形結線法である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解装置。
【請求項5】
前記電解槽は、環状電解槽であり、
前記電解槽は、電解槽セパレータと、電解生成物の吐出管路と、電解液の補充管路と、を含み、前記電解槽セパレータは、電解液を陰極電解液と陽極電解液に仕切るために使用される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項6】
前記陰極電解液及び陽極電解液には、陰極板及び陽極板がそれぞれ設けられ、
前記陰極板と前記陽極板との間の回路が短絡している、ことを特徴とする請求項5に記載の電解装置。
【請求項7】
前記電解槽は、互いに独立した複数のサブキャビティを含み、前記複数のサブキャビティは、環状に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の電解装置。
【請求項8】
前記サブキャビティのいずれにも、電解槽セパレータ、陰極板、及び陽極板が設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の電解装置。
【請求項9】
該電解装置は、制御ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットは、監視アセンブリと、処理ユニットと、を含み、
前記監視アセンブリは、電解液の電解速度を監視するために使用され、
前記処理ユニットは、電解液の電解速度に応じて前記電磁コイルの電流を制御するために使用され、前記電磁コイルの電流を制御することによって前記回転磁場の磁気インダクタンスを調節し、電解液の電解速度に応じて前記電磁コイルの電流の周波数を制御し、前記回転磁場の回転速度を制御するために使用される、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項10】
交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムであって、
交流電源と、請求項1~9のいずれか1項に記載の交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置と、を含む、ことを特徴とする電解システム。
【請求項11】
交流誘導によりエネルギーが供給される電解方法であって、
請求項10に記載の交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムを利用しており、
前記交流電源と前記磁気回路を接続し、前記磁気回路によって前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させ、前記回転磁場によって前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させるステップを含む、ことを特徴とする電解方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2021年10月29日に提出された中国特許出願第202111267982.7号の利益を主張しており、当該出願の内容は本明細書に組み込まれている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、電気化学分野に関し、具体的には、交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置、電解システム、及び電解方法に関する。
【0003】
〔背景技術〕
電解(Electrolysis)は、電流が電解質溶液又は溶融電解質(総称して「電解質」と呼ばれる。)を流れて、電解質が陰極と陽極で酸化還元反応を受けて目的の生成物を調製するプロセスである。電解は、塩素アルカリ産業、金属製錬、電気化学エネルギー貯蔵などの産業で広く使用されており、再生可能エネルギー発電-水の電解による水素製造は、将来の主要な水素エネルギー源となる。
【0004】
従来技術では、電解に使用する電源は低電圧大電流の直流電源であったが、大電流の直流電源を使用すると、大きな抵抗損失と磁場が発生する。既存の電力網は一般に交流電力網であり、(高調波汚染などを考慮せずに)3相正弦波交流電流を供給する。交流電源を使用する場合、電解装置は、電解に使用する前に、変圧器と整流器を使用して高電圧交流電源を直流電流に降圧、整流する必要がある。したがって、既存の電解技術には、整流器の設備コストが増加し、エネルギー変換プロセス中に過度のエネルギー損失が生じるという欠点がある。
【0005】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の実施例の目的は、交流電源が電磁コイル及び磁気コアによって磁場を形成し、電解槽に誘導電流を生成させることで、交流/直流変換の工程を省略し、エネルギー変換によるエネルギー損失を低減させる、交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置、電解システム、及び電解方法を提供する。
【0006】
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成させるために、本発明の実施例は、
交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置であって、
少なくとも1組の磁気回路と、電解槽と、を含み、
前記磁気回路は、電磁コイルが巻かれた磁気コアを含み、前記磁気コアは、前記電解槽の外部に設けられ、
前記磁気回路は、交流電源を利用して前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させるために使用され、前記回転磁場は、前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させる。
【0007】
任意選択で、前記磁気コアの上端及び下端には、前記電解槽に適合するポールシューペアが接続されており、
前記ポールシューペア間の磁場と電解槽内の電解液との相対移動により磁力線が切断され、前記磁力線の方向が回転磁場の移動の接線方向と平行ではなく、前記磁力線の方向及び回転磁場の移動の接線方向のいずれも電解槽のセパレータの平面に垂直ではない。
【0008】
任意選択で、前記交流電源は多相正弦波交流電流であり、前記磁気回路は、m*n対の磁気コアを含み、mは、前記交流電源の位相の数であり、nは、1以下の整数である。
【0009】
任意選択で、前記交流電源は、3相正弦波交流電流であり、前記磁気回路は、3n対の磁気コアを含み、前記3相正弦波交流電流の位相線が電磁コイルの一端に接続され、前記電磁コイルの結線方式がスター結線又は三角形結線法である。
【0010】
任意選択で、前記電解槽は、環状電解槽であり、
前記電解槽は、電解槽セパレータと、電解生成物の吐出管路と、電解液の補充管路と、を含み、前記電解槽セパレータは、電解液を陰極電解液と陽極電解液に仕切るために使用される。
【0011】
任意選択で、前記陰極電解液及び陽極電解液には、陰極板及び陽極板がそれぞれ設けられ、前記陰極板と前記陽極板との間の回路が短絡している。
【0012】
任意選択で、前記電解槽は、互いに独立した複数のサブキャビティを含み、前記複数のサブキャビティは、環状に配置される。
【0013】
任意選択で、前記サブキャビティのいずれにも、電解槽セパレータ、陰極板、及び陽極板が設けられる。
【0014】
任意選択で、前記制御ユニットは、監視アセンブリと、処理ユニットと、を含み、前記監視アセンブリは、電解液の電解速度を監視するために使用され、前記処理ユニットは、電解液の電解速度に応じて前記電磁コイルの電流を制御し、前記電磁コイルの電流を制御することによって前記回転磁場の磁気インダクタンスを調節し、電解液の電解速度に応じて前記電磁コイルの電流の周波数を制御し、前記回転磁場の回転速度を制御するために使用される。
【0015】
別の態様では、本発明は、交流電源と、上記の交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置と、を含む、交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムを提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、
上記の交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムを利用しており、
前記交流電源と前記磁気回路を接続し、前記磁気回路によって前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させ、前記回転磁場によって前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させるステップを含む交流誘導によりエネルギーが供給される電解方法を提供する。
【0017】
〔発明の効果〕
本発明の交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置は、少なくとも1組の磁気回路と、電解槽と、を含み、前記磁気回路は、電磁コイルが巻かれた磁気コアを含み、前記磁気コアは、前記電解槽の外部に設けられ、前記磁気回路は、交流電源を利用して前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させ、前記回転磁場は、前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させる。該電解装置は、交流電流によって電解槽に誘導直流電流を直接生成させ、電解工程を直接行うことで、交流・直流整流によるエネルギー損失を低減させる。
【0018】
本発明の実施例の他の特徴及び利点は、後の具体的な実施形態の部分で詳細に説明される。
【0019】
〔図面の簡単な説明〕
図面は、本発明の実施例の更なる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、以下の発明を実施するための形態とともに本発明の実施例を説明するために使用されるが、本発明の実施例を限定するものではない。図面において、
〔
図1〕本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の構造模式図である。
【0020】
〔
図2〕本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の片面プロファイル誘導起電力の模式図である。
【0021】
〔
図3〕本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の電解槽の誘導起電力の平面模式図である。
【0022】
〔
図4〕本発明に係る3相交流電源とスター結線接続された電磁コイルとの結線の模式図である。
【0023】
〔
図5〕本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の複数のサブキャビティのレイアウトの模式図である。
【0024】
〔
図6〕本発明に係る単相交流電源が容量性分相を受けてスター結線接続された電磁コイルに結線されるときの模式図である。
【0025】
〔発明を実施するための形態〕
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施形態は、本発明の実施例を説明及び解釈するためのものであり、本発明の実施例を限定するものではない。
【0026】
従来技術では、電解槽の動作原理として、一般に交流電源と整流器を使用して電解槽内の2つの電極板に直流を供給し、電解槽セパレータの両側の電解質間に電位と電流を発生させてイオンを移動駆動し、電解液を電解するが、従来技術では、電解装置の構造が複雑で、消費エネルギーも大きくなる。
【0027】
上記の問題を解決するために、本発明は、交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置を提案しており、
図1は、本発明の交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の構造模式図であり、
図1に示すように、前記交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置は、少なくとも1組の磁気回路と、電解槽と、を含み、前記磁気回路は、磁気コア磁気回路11が好ましい。前記磁気回路は、電磁コイル101が巻かれた磁気コア102を含み、前記磁気コア102は、前記電解槽の外側に設けられ、好ましい前記電解槽は環状電解槽13である。使用の際に、前記電磁コイル101は、交流電源に接続され、前記磁気回路は、交流電源を利用して前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させ、前記回転磁場は、前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させる。本発明の電解装置は、直流電源を必要とせず、交流電源13を直接利用して電解槽の電解液で誘導直流電位及び電流を生成させ、電解液を電解するものである。
【0028】
前記電解槽は、環状電解槽12であり、前記電解槽は、電解槽セパレータ121と、電解生成物の吐出管路と、電解液の補充管路と、を含み、前記電解槽セパレータ121は、電解液を陰極電解液と陽極電解液に仕切るために使用され、前記陰極電解液及び陽極電解液には、陰極板122及び陽極板123がそれぞれ設けられ、前記陰極板122と前記陽極板123の間の回路が短絡している。具体的には、前記環状電解槽12内に電解液が注入されている。前記環状電解槽12は、電解槽セパレータ121と、電解生成物の吐出管路(図示せず)と、電解液の補充管路(図示せず)と、を含み、好ましくは、前記電解槽セパレータは、前記環状電解槽を内輪にある陽極室と外輪にある陰極室に仕切るために使用される。
【0029】
前記磁気回路11は、電磁コイル101が巻かれた複数の磁気コア102を含み、前記磁気コア102は、前記環状電解槽12の外に設けられ、且つ、前記磁気コア102の上端及び下端には、前記環状電解槽12に適合するポールシューペア(すなわち、第1ポールシュー112及び第2ポールシュー113)が接続される。
【0030】
前記磁気コアの上端及び下端には、前記電解槽に適合するポールシューペアが接続されており、前記交流電源13は、前記電磁コイル101に接続され、前記ポールシューペア間で回動可能な磁場を生成するために使用され、前記回動可能な磁場により、前記電解槽セパレータ121の両側の電解液の間で誘導直流電流が生成される。具体的には、前記ポールシューペア間の磁場と電解槽内の電解液との相対移動により磁力線が切断され、前記磁力線の方向が回転磁場の移動の接線方向と平行ではなく、前記磁力線の方向及び回転磁場の移動の接線方向のいずれも電解槽のセパレータの平面に垂直ではない。
【0031】
前記磁気回路は、m*n対の磁気コアを含み、mは、前記交流電流の位相の数であり、nは、1以下の整数である。好ましくは、
図4に示すように、前記交流電源は、3相交流電流であり、前記磁気回路は、3n対の磁気コアを含み、三路交流電源の位相線が電磁コイルの一端に接続され、電磁コイルの結線方式は、スター結線又は三角形結線続である。
【0032】
具体的には、モータの回動磁場(回転磁場とも呼ばれる)の形成原理を参照して、環状電解槽12の外に電磁コイル101が巻かれた複数の磁気コア102が設けられ、交流電源13を入れると、環状電解槽12の上端及び下端にそれぞれ設けられたポールシューペアによって、軌跡が円形となる持続的に回転する磁場(すなわち、回転磁場)が生成される。環状電解槽12内の電解液自身が静止しているが、それが存在する磁場が回転しているため、持続的に回転する磁場により、環状電解槽12内の電解液がポールシューペア間の磁場に対して磁力線を切断する相対移動を起こす。したがって、電解液に誘導直流電流が発生し、電解液を電解する。好ましい実施形態によれば、ポールシューペア間の磁場と電解槽内の電解液との相対移動により磁力線が切断され、前記磁力線方向と回転磁場の移動の接線方向は互いに垂直であり、しかも、前記磁力線方向、回転磁場の移動接線のいずれも、電解槽セパレータに平行であり、それによって、誘導起電力を最大化する。誘導電流の形成を確保するために、電解槽の陰極及び陽極が磁場外で短絡する。
【0033】
実際の使用では、
図2に示すように、環状電解槽12の横断面は矩形であってもよく、また、環状電解槽12の横断面は環状であってもよく、環状電解槽12内の電解液は、電解水又はイオン液体電解液であってもよい。環状電解槽12内の電解液は、電解槽セパレータ121で陰極室及び陽極室に仕切られる。電解槽セパレータ121は、磁気コア磁気回路11のポールシューペアに適合するように配置され、すなわち、電解槽セパレータ121は、環状電解槽12を陽極室と陰極室に仕切った後、1対又は複数対の対向するポールシューは、それぞれ、陽極室側及び陰極室側に位置し、それによって、磁場がポールシューペアに沿って回転するときに、ポールシューペアの間の磁場磁力線が環状電解槽12内の電解液で切断されるという目的が達成される。
【0034】
具体的には、
図3に示すように、磁場がポールシューペアに沿って回転するときに、環状電解槽12内の電解液は、ポールシューペア間の磁場(磁気インダクタンスB)に対して移動し、その移動を相対速度がvであり、磁力線に垂直なものとすると、電解液が導電可能であるため、電解液中に誘導直流電界E
iが発生する。
【0035】
【0036】
誘導電界Eiの作用により、電解液中のカチオンが陰極へ移動し、アニオンが陽極へ移動し、それにより発生する電流密度Jは以下の通りである。
【0037】
【0038】
環状電解槽12内の電解液は、陰極及び陽極のそれぞれで電解反応を起こす。陽極と陰極とが外付け回路のリード線を介して連通し、電流回路が形成されることにより、電荷累積による電圧上昇が回避される。従来技術における外付け直流電源と比較して、本発明の実施例における電界が電解液中で誘導され、一方、従来技術では、電界が直流電源によって外部から印加される。
【0039】
さらに、電解液補充液の流速を制御するために、本発明の実施例では、電解液の補充管路には、管路ブースターポンプがさらに設けられる。
図5に示すように、本発明の実施例では、環状電解槽12のキャビティは、互いに独立した複数のサブキャビティ201に分けられてもよく、サブキャビティ201のそれぞれの内部に、電解槽セパレータ121、陰極板122、及び陽極板123が設けられ、このようにして、各サブキャビティは、単独したサブ電解槽として機能可能になる。なお、本発明の実施例では、サブキャビティの数及びサイズは、当業者が必要に応じて設定することができるので、ここでは特に限定しない。
【0040】
さらに、本発明の実施例では、制御ユニットをさらに含んでもよく、制御ユニットは、監視アセンブリ(図における電流計Aに示される検出電解電流)と、処理ユニットと、を含み、監視アセンブリは、電解液の電解反応速度を監視するために使用され、処理ユニットは、電解反応速度に応じて制御指令を生成するために使用され、制御指令は、電磁コイル及び前記回転磁場の磁気インダクタンス及び/又は回転速度を制御することで、環状電解槽内の誘導直流電位及び/又は誘導直流電流を制御し、最終的に電解反応速度を制御する目的を達成させるために使用される。
【0041】
本発明の実施例では、環状電解槽12内の電解液は電解水であってもよく、この場合、本発明の実施例に係る電解装置は、再生可能エネルギーによる水素製造に適用可能になり、すなわち、風力タービンなどの原動機で駆動されるオルタネータの交流電流によって電解水による水素製造を直接実現する。
【0042】
実施例1
本発明の実施例では、交流電源13が3相交流電流である場合、磁気コア磁気回路11の構造は以下の通りである。電磁コイル101が巻かれた磁気コア102は3n対あり(すなわち、磁気コア対の数は3の倍数であり、例えば、6、12又は18などである。)、各対の磁気コア102は、環状電解槽12に同心で設けられ、交流電源13の3相にそれぞれ接続された3つの電磁コイル101は、それぞれ2/3πの電気角を占める。
【0043】
具体的には、n=1を例にして、磁気コア102の数は3対、合計6個であり、6個の磁気コア102は、環状電解槽12外の円周に等間隔で設けられ、6個の電磁コイル101のうちの3つは、1つおきに電源インターフェースとして機能し、すなわち、3つの電磁コイル101は、それぞれ、交流電源13の3相に接続される。環状電解槽12に適合するポールシューペア(すなわち、第1ポールシュー112及び第2ポールシュー113)のうち、第1ポールシュー112は環状電解槽12の上方にあり、第2ポールシュー113は環状電解槽12の下方にある。電磁コイル101が3相交流電流に接続されると、ポールシューの間(すなわち、環状電解槽12の位置)で円形の回動可能な磁場が発生し、この回動可能な磁場は、静止している環状電解槽12に対して回転し、それにより、電解液は受動的に磁力線を切断し、電解槽セパレータの両側の電解液の間で電位及び電流が発生し、電解液を電解する。
【0044】
3相交流電源と3相コイルによりリング状の回転磁場が形成され、3相電磁コイル及び磁気コアは、それぞれ2/3πの電気角を占め、この回転磁場は鉄心により内向きの回転磁場に変換され、磁力線の方向が内側から外側であり、磁気インダクタンスB=E/(4.44fNS)であり、ここで、fは電源周波数であり、Eはコイルの起電力であり、Sは巻き出された導体(例えば鉄心)の横断面積であり、Nは巻数である。
【0045】
本発明の実施例の原理が3相モータと類似しており、3相対称電源に電磁コイルと磁性コアを逆相シーケンスで接続することで合成される電磁界は反時計回りに回転し、線速度vの式は以下の通りである。
【0046】
【0047】
ここで、fは電源周波数であり、rはコイルの半径であり、pはコイル(磁極)の極対数であり、nは回転数である。
【0048】
本発明の実施例では、電解槽セパレータ121は、電解槽を環状電解槽12の内周壁側の陽極室と環状電解槽12の外周壁側の陰極室に仕切るように構成されてもよく(
図1参照)、また、磁気コア磁気回路11の回転方向によって、電解槽を環状電解槽12の内周壁側の陰極室と環状電解槽12の外周壁側の陽極室に分けてもよく、後者の場合、ポールシューペアが電解槽セパレータ121に適合するために、磁気コア磁気回路11の構造は以下の通りであってもよい。
【0049】
磁気コア102の上端及び下端には、1対又は多対のポールシュー(すなわち、第1ポールシュー112及び第2ポールシュー113)がそれぞれ設けられ、環状電解槽12は、前記ポールシューペアの間に位置する。好ましくは、ポールシューペアの外縁が環状電解槽12の外側のエッジに適合する。
【0050】
磁気コア磁気回路11が印加する磁場Bが電解槽に垂直であり、その回動により磁場が回転する。磁気コア磁気回路11の電解槽内での磁気インダクタンスをB、回転線速度をvとする。電解液が相対的に静止しており、磁場が相対的に移動しているので、誘導電界の計算式におけるvの方向と磁場の移動方向とが反対する。
図3を例にして、誘導電界方向は内輪から外輪であり、このため、環状電解槽12の内周壁側は電解槽の陽極室、外周壁側は電解槽陰極室である。つまり、環状電解槽12に関しては、
図2に示すように、内側では陽極反応、外側では陰極反応が起こる。
【0051】
なお、本発明の実施例における交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の具体的な実現方法及び技術的効果は、実施例の対応する交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置を参照してもよいが、ここでは詳しく説明しない。
【0052】
さらに、交流電源は3の倍数の多相電源を使用することもでき、単相交流電源を使用してパワーエレクトロニクスコンバータを介して多相電源を形成し、多相電磁コイルと協力して回転磁場を形成することもできる。あるいは、単相電源をインダクタンス分相により二相電源とする場合、電磁コイルが形成する回転磁界は楕円形となるため、電解槽の形状を計算により最適化する必要がある。
【0053】
実施例2
実施例1に基づいて、好ましくは、本発明の実施例では、
図6に示すように、交流電源13が単相交流電流である場合、交流電源13は、第2位相を生成するための位相スプリッタ(具体的には、容量性位相スプリッタ、インダクタンス位相スプリッタ、又は、コンバータを備える位相スプリッタなどであってもよい。)をさらに含んでもよく、この場合、可励磁磁気回路11の構造は以下の通りである。
【0054】
電磁コイル101が巻かれた磁気コア102は、2n対であり、各対の磁気コア102は、環状電解槽12と同心で設けられ、交流電源13の2相にそれぞれ接続される2つの電磁コイル101は、それぞれπ電気角を占め、略円形の回転磁場が形成される。
【0055】
具体的には、n=1を例にして、この場合、磁気コア102は、2対、合計4個であり、4個の磁気コア102は、環状電解槽12外の円周に等間隔で設けられ、4個の電磁コイル101のうちの2つは、1つおきに電源インターフェースとして機能し、すなわち、2つの電磁コイル101は、それぞれ、交流電源13の2相に接続される。環状電解槽12に適合するポールシューペア(すなわち、第1ポールシュー112及び第2ポールシュー113)のうち、第1ポールシュー112は環状電解槽12の上方にあり、第2ポールシュー113は環状電解槽12の下方にある。電磁コイル101が2相交流電流に接続されると、ポールシューの間(すなわち、環状電解槽12の位置)で円形の回動可能な磁場が発生し、この回動可能な磁場は、静止している環状電解槽12に対して回転し、それによって、電解液は受動的に磁力線を切断し、電解槽セパレータの両側の電解液の間で電位及び電流が発生し、電解液を電解する。
【0056】
分相電源を構成することができる単相オルタネータと同様に、分相素子(例えば、分相コンデンサ、分相抵抗器、分相インダクタンス又はコンバータ、本発明の実施例では、分相コンデンサを例にして)により第2位相を生成した後、単相交流電源の2相を2つの電磁コイルに給電可能に接続して、リンク状の回転磁場を形成し、2相電磁コイル及び磁気コアがそれぞれπ電気角(すなわち、4つの磁性コアが正方形を形成し、正方形の対角が互いに直交し、1つの対角線で接続された2つの電磁コイルが単相交流電源の2相に接続される。)を占める。この回転磁場は鉄心によって内向きの回転磁場に変換され、その磁力線方向は内側から外側であり、磁気インダクタンスB=E/(4.44fNS)であり、ここで、fは電源周波数であり、Eはコイルの起電力であり、Sは巻き出された導体(例えば鉄心)の横断面積であり、Nは巻数である。
【0057】
分相電源は、電磁コイルと磁気コアを逆相シーケンスで接続し、すなわち、容量性分相コイルはメインコイルの反時計回りの方向に配置され、結果として生じる電磁場は反時計回りに回転し、速度vの式は以下の通りである。
【0058】
【0059】
ここで、fは電源周波数であり、rはコイルの半径であり、pはコイルの極対数であり、nは回転数である。
【0060】
なお、本発明の実施例では、単相電源を使用する場合、より良い真円に近い円形磁場(すなわち、回転磁場)を形成するために、分相素子及び2つの電磁コイルの巻数を計算する必要がある、
理論上の誘導起電力は次のようになる。E=Blv=2V
該実験装置では、磁気インダクタンスをB、コイルアンペア回数をAn、電解槽の長さをl、電解槽の直径をd、回転速度をv、極対数をpとする。
【0061】
B=μIn=0.1T
l=πd=0.2m
v=pfl =100m/s
p=10
以上の通り、実験データは理論計算と同じである。
【0062】
なお、本発明の実施例における交流によりエネルギーが直接供給される電解装置の具体的な実現方法及び技術的効果は、実施例1の対応する交流によりエネルギーが直接供給される電解装置を参照してもよいが、ここでは詳しく説明しない。
【0063】
本発明による交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置、及び電解システムは、電解アルミニウム、電解食塩水、電解水などを含むがこれらに限定されない、電解を利用するさまざまな産業に適用できる。
【0064】
本発明はまた、交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置を提供し、この電解装置は、交流電源と、磁気コア磁気回路と、環状電解槽と、を含み、前記環状電解槽内には、電解液が注入されており、前記環状電解槽は、電解槽セパレータと、電解生成物の吐出管路と、電解液の補充管路と、を含み、前記電解槽セパレータは、電解液を陰極室と陽極室に仕切るために使用され、前記陰極室及び前記陽極室には、陰極板及び陽極板がそれぞれ設けられ、前記陰極板と前記陽極板との間の回路が短絡している。前記磁気コア磁気回路は、電磁コイルが巻かれた複数の磁気コアを含み、前記磁気コアは、前記環状電解槽外に設けられ、前記磁気コアの上端及び下端には、前記環状電解槽に適合するポールシューペアが接続される。前記交流電源は、前記電磁コイルに接続され、前記ポールシューペア間で回動可能な磁場を生成するために使用され、前記回動可能な磁場により前記電解槽セパレータの両側の電解液間で誘導直流電流が生成される。
【0065】
好ましくは、前記交流電源が3相交流電流である場合、前記磁気コア磁気回路の構造は以下の通りである。前記電磁コイルが巻かれた磁気コアは3n対であり、各対の前記磁気コアは、前記環状電解槽と同心で設けられ、前記交流電源の3相にそれぞれ接続される3つの前記電磁コイルは、それぞれ2/3π電気角を占める。好ましくは、前記交流電源が単相正弦波交流電流である場合、前記交流電源は、第2位相を生成するための分相コンデンサをさらに含み、前記磁気コア磁気回路の構造は以下の通りである。前記電磁コイルが巻かれた磁気コアは2n対であり、各対の前記磁気コアは、前記環状電解槽と同心で設けられ、前記交流電源の2相にそれぞれ接続された2つの前記電磁コイルは、それぞれπ電気角を占める。
【0066】
好ましくは、前記電解槽セパレータは、前記環状電解槽を内輪にある陽極室と外輪にある陰極室に仕切るために使用される。好ましくは、前記電解液補充管路は、管路ブースターポンプをさらに含む。好ましくは、前記環状電解槽のキャビティは、互いに独立した複数のサブキャビティを含み、前記サブキャビティのいずれにも、電解槽セパレータ、陰極板、及び陽極板が設けられる。好ましくは、前記電解液は、水又はイオン液体電解液を含む。
【0067】
好ましくは、制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、監視アセンブリと処理ユニットを含み、前記監視アセンブリは、電解液の電解反応速度を監視するために使用され、前記処理ユニットは、電解反応速度に応じて制御指令を生成するために使用され、前記制御指令は、前記電磁コイル及び磁気コアの磁気インダクタンス及び/又は回転速度を制御することで、前記環状電解槽内の誘導直流電位及び/又は誘導直流電流を制御するために使用される。本発明の別の態様では、原動機と、前記の交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置とを、含む、交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムも提供される。
【0068】
本発明では、交流誘導によりエネルギーが供給される電解方法も提供され、該電解方法は、前記の交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムを利用しており、前記交流電源と前記磁気回路を接続し、前記磁気回路によって前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させ、前記回転磁場は、前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させるステップを含む。
【0069】
なお、本発明の実施例における交流誘導によりエネルギーが供給される電解システム及び電解方法の具体的な実現方法及び技術的効果は、実施例1の対応する交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置を参照してもよいが、ここでは詳しく説明しない。
【0070】
以上、図面を参照して、本発明の実施例の任意の実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施例は、上記の実施形態の具体的な詳細に限定されるものではなく、本発明の実施例の技術的発想の範囲内で、本発明の実施例の技術案に対して、本発明の実施例の保護範囲内にある様々な単純な変形が可能である。
【0071】
なお、上記の具体的な実施形態で説明した各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合には、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。不必要な重複を避けるために、本発明の実施例は、様々な可能性のある組み合わせ方法については特に説明しない。
【0072】
なお、用語「包含する」、「含む」、又はそれらの他の任意の変形は、一連の要素を含むプロセス、方法、商品、又は装置が、それらの要素だけでなく、明示的に列挙されていない他の要素、又はそのようなプロセス、方法、商品、又は装置に固有の要素も含むように、非排他的包含を包含することを意図している。それ以上の制限がない場合、「……を含む」という語句によって限定される要素は、要素を含むプロセス、方法、商品又は装置に他に同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0073】
以上は、本願の実施例にすぎず、本願を限定するものではない。当業者にとっては、本願に様々な変更及び変更があってもよい。本願の精神及び原理の範囲内で行われた修正、均等な置換、改良等であれば、すべての本願の請求の範囲内に含まれるものとする。
【0074】
〔符号の説明〕
11 磁気コア磁気回路
12 環状電解槽
13 3相交流電源
101 電磁コイル
102 磁気コア
112 第1ポールシュー
113 第2ポールシュー
121 電解槽セパレータ
122 陰極板
123 陽極板
201 サブキャビティ
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の構造模式図である。
【
図2】本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の片面プロファイル誘導起電力の模式図である。
【
図3】本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の電解槽の誘導起電力の平面模式図である。
【
図4】本発明に係る3相交流電源とスター結線接続された電磁コイルとの結線の模式図である。
【
図5】本発明に係る交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置の複数のサブキャビティのレイアウトの模式図である。
【
図6】本発明に係る単相交流電源が容量性分相を受けてスター結線接続された電磁コイルに結線されるときの模式図である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置であって、
少なくとも1組の磁気回路と、電解槽と、を含み、
前記磁気回路は、電磁コイルが巻かれた磁気コアを含み、前記磁気コアは、前記電解槽の外部に設けられ、
前記磁気回路は、交流電源を利用して前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させるために使用され、前記回転磁場は、前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させる、ことを特徴とする電解装置。
【請求項2】
前記磁気コアの上端及び下端には、前記電解槽に適合するポールシューペアが接続されており、
前記ポールシューペア間の磁場と電解槽内の電解液との相対移動により磁力線が切断され、前記磁力線の方向が回転磁場の移動の接線方向と平行ではなく、前記磁力線の方向及び回転磁場の移動の接線方向のいずれも電解槽のセパレータの平面に垂直ではない、ことを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
【請求項3】
前記交流電源は多相正弦波交流電流であり、前記磁気回路は、m*n対の磁気コアを含み、mは、前記交流電源の位相の数であり、nは、1以下の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
【請求項4】
前記交流電源は、3相正弦波交流電流であり、前記磁気回路は、3n対の磁気コアを含み、前記3相正弦波交流電流の位相線が電磁コイルの一端に接続され、前記電磁コイルの結線方式がスター結線又は三角形結線法である、ことを特徴とする請求項
1に記載の電解装置。
【請求項5】
前記電解槽は、環状電解槽であり、
前記電解槽は、電解槽セパレータと、電解生成物の吐出管路と、電解液の補充管路と、を含み、前記電解槽セパレータは、電解液を陰極電解液と陽極電解液に仕切るために使用される、ことを特徴とする請求項
1に記載の電解装置。
【請求項6】
前記陰極電解液及び陽極電解液には、陰極板及び陽極板がそれぞれ設けられ、
前記陰極板と前記陽極板との間の回路が短絡している、ことを特徴とする請求項5に記載の電解装置。
【請求項7】
前記電解槽は、互いに独立した複数のサブキャビティを含み、前記複数のサブキャビティは、環状に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の電解装置。
【請求項8】
前記サブキャビティのいずれにも、電解槽セパレータ、陰極板、及び陽極板が設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の電解装置。
【請求項9】
該電解装置は、制御ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットは、監視アセンブリと、処理ユニットと、を含み、
前記監視アセンブリは、電解液の電解速度を監視するために使用され、
前記処理ユニットは、電解液の電解速度に応じて前記電磁コイルの電流を制御するために使用され、前記電磁コイルの電流を制御することによって前記回転磁場の磁気インダクタンスを調節し、電解液の電解速度に応じて前記電磁コイルの電流の周波数を制御し、前記回転磁場の回転速度を制御するために使用される、ことを特徴とする請求項
1に記載の電解装置。
【請求項10】
交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムであって、
交流電源と、請求項1~9のいずれか1項に記載の交流誘導によりエネルギーが供給される電解装置と、を含む、ことを特徴とする電解システム。
【請求項11】
交流誘導によりエネルギーが供給される電解方法であって、
請求項10に記載の交流誘導によりエネルギーが供給される電解システムを利用しており、
前記交流電源と前記磁気回路を接続し、前記磁気回路によって前記電解槽を取り囲む回転磁場を発生させ、前記回転磁場によって前記電解槽内の電解液に作用して、誘導直流を発生させ、前記電解液を電解させるステップを含む、ことを特徴とする電解方法。
【国際調査報告】