IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2024-537467超音波センサシステムを使って車両の周囲内の少なくとも1つのオブジェクトを分類するための方法、ならびに制御機構、超音波センサシステム、および車両
<>
  • 特表-超音波センサシステムを使って車両の周囲内の少なくとも1つのオブジェクトを分類するための方法、ならびに制御機構、超音波センサシステム、および車両 図1
  • 特表-超音波センサシステムを使って車両の周囲内の少なくとも1つのオブジェクトを分類するための方法、ならびに制御機構、超音波センサシステム、および車両 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】超音波センサシステムを使って車両の周囲内の少なくとも1つのオブジェクトを分類するための方法、ならびに制御機構、超音波センサシステム、および車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/52 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01S15/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524655
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2022075876
(87)【国際公開番号】W WO2023072477
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212067.9
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】パンプス,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シラー,ヤニク
(72)【発明者】
【氏名】チョルジュースキ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ライマン,トム
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB12
5J083AD13
5J083AE01
5J083AE08
5J083AF05
5J083CA01
(57)【要約】
本発明は、超音波センサシステム(10)を使って車両(100)の周囲(150)内の少なくとも1つのオブジェクト(200)を分類するための方法であって、超音波センサシステム(10)を使って、多数の相次ぐ時点で超音波信号(31、41)を送信するステップと、超音波センサシステムを使って、とりわけ車両(100)の周囲(150)内の1つまたは複数のオブジェクト(200)で反射された超音波エコー信号(32、42)を受信するステップとを有し、受信された超音波エコー信号(32、42)に依存して、周囲(150)内の1つまたは複数のオブジェクト(200)が確定され、かつ受信された超音波エコー信号(32、42)に依存して、それぞれのオブジェクト(200)が動的と、とりわけ歩行者と分類されるかどうかが決定される方法に関する。加えて本発明は、超音波センサシステム(10)を動作させるための制御機構(20)、そのような超音波センサシステム(10)、およびそのような超音波センサシステム(10)を備えた車両(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサシステム(10)を使って車両(100)の周囲(150)内の少なくとも1つのオブジェクト(200)を分類するための方法であって、
- 前記超音波センサシステム(10)を使って、多数の相次ぐ時点で超音波信号(31、41)を送信するステップと、
- 前記超音波センサシステムを使って、とりわけ前記車両(100)の前記周囲(150)内の前記1つまたは複数のオブジェクト(200)で反射された超音波エコー信号(32、42)を受信するステップとを有し、
- 前記受信された超音波エコー信号(32、42)に依存して、前記周囲(150)内の1つまたは複数のオブジェクト(200)が確定され、かつ
- 前記受信された超音波エコー信号(32、42)に依存して、前記それぞれのオブジェクト(200)が動的と、とりわけ歩行者と分類されるかどうかが決定される方法。
【請求項2】
前記それぞれのオブジェクト(200)の前記確定および分類の際に、前記超音波センサシステム(10)の少なくとも1つの超音波送受信器(30)によるダイレクトエコーが使用され、かつ/または前記それぞれのオブジェクト(200)の前記確定および分類の際に、前記超音波センサシステムの少なくとも2つの超音波送受信器による1つもしくは複数のクロスエコーが使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
異なる時点に送信された2つの超音波信号(31、41)の時間差内に生じた、前記車両(100)と前記それぞれ確定されたオブジェクト(200)との間隔変化(ΔX)が、前記超音波信号(31、41)に属する超音波エコー信号(32、42)に依存して決定され、前記間隔変化(ΔX)および前記車両(100)の速度に依存して、前記それぞれのオブジェクト(200)が動的と分類可能かどうかが決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記間隔変化(ΔX)と、前記車両(100)の前記速度に応じた前記時間差内に前記車両(100)が進んだ距離との比較が行われ、その際、前記間隔変化(ΔX)が前記進んだ距離より大きい場合に前記オブジェクト(200)が動的と分類されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記オブジェクト(200)を分類するために、前記1つのオブジェクト(200)から多重反射が受信されるかどうかが考慮されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波センサシステム(10)が複数の超音波送受信器(30、40)を有し、この場合、前記分類のために考慮される最高の情報品質を伴う前記超音波送受信器(30、40)、とりわけ、前記受信された超音波エコー信号が最多の多重反射を伴う前記超音波送受信器(30、40)が決定され、かつ前記超音波送受信器(30、40)の周りの監視範囲が規定され、前記監視範囲内で前記超音波エコー信号(32、42)が評価されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
車両(100)の周囲(150)内の少なくとも1つのオブジェクト(200)を分類するための超音波センサシステム(10)の動作のための制御機構(20)であって、前記超音波センサシステム(10)を請求項1から6のいずれか一項に基づいて動作させるために適応されている制御機構(20)。
【請求項8】
少なくとも1つの超音波送受信器(30)および請求項7に記載の制御機構(20)を有する、とりわけ車両の周囲内のオブジェクトを分類するための超音波センサシステム(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波センサシステム(10)を有する車両(100)、とりわけ乗用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサシステムを使って車両の周囲内の少なくとも1つのオブジェクトを分類するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のための走行支援システムおよび駐車支援システムの分野では、車両周囲を捕捉するための超音波センサシステムが広く普及している。従来の超音波センサシステムでの問題は、適切に反射しないオブジェクトおよび/または移動中のオブジェクトの不確実な検出である。とりわけ、従来の手順では、移動するオブジェクトの場合に、一方では周囲の解像度に関する、他方では移動しているオブジェクトにおける動く反射点を検出し得る能力に関する正反対の要求を共に十分に兼ね備えることは不可能である。これにより、歩行者は4km/h未満の非常に低速でしか正しく認識され得ない。この問題を解決するため、エコートレース法が利用され得るが、ただしエコートレース法は、多くの有り得る反射可能性を有する動的なオブジェクトでは限界にぶつかる。オブジェクトの速度が変わる場合または動的なオブジェクトの周りに他のオブジェクトがある場合、個々のトレースへのエコーの誤った割り当てが増加し得る。これにより、動的なオブジェクトの識別のロバスト性も低下する。加えてこの開発された手法は、なかでも移動方向および移動速度を推定するので、非常に計算時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題が本発明によって解決されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、超音波センサシステムを使って車両の周囲内の少なくとも1つのオブジェクトを分類するための方法に関する。これに関しこの方法は、以下のステップ、すなわち
- 超音波センサシステムを使って、多数の相次ぐ時点で超音波信号を送信するステップと、
- 超音波センサシステムを使って、とりわけ車両の周囲内の1つまたは複数のオブジェクトで反射された超音波エコー信号を受信するステップとを有し、
- 受信された超音波エコー信号に依存して、周囲内の1つまたは複数のオブジェクトが確定され、かつ
- 受信された超音波エコー信号に依存して、それぞれのオブジェクトが動的と、とりわけ歩行者と分類されるかどうかが決定される。
【0005】
これに関し、オブジェクト形成に介入するのではなく、エコー平面上の特性が評価され、この特性が、車両の周りのある程度の範囲内のすべての既に作成されたオブジェクトに広められることが有利である。これにより、動的なオブジェクトが速く簡単に認識および分類され得る。加えて、ダイナミクスに関する要求を実現でき、かつ副作用、例えば静的なオブジェクトの場合の不安定なオブジェクト位置が、または誤った位置特定による誤った分類も、少なく保たれ得る。
【0006】
オブジェクトとは、車両の外にあるあらゆる任意の対象のことであり、これには、とりわけ歩行者または自転車乗りも属している。動的と分類されるとは、この場合、オブジェクトが移動しており、とりわけ一様でなく移動しているということであり、これに関しオブジェクトは車両に向かって移動し得る。これは例えば歩行者に該当し、しかし動物または自転車乗りにも該当する。
【0007】
車両は、例えば乗用車、トラックであってよく、またはとりわけエンジン駆動の二輪車であってもよい。
車両の周囲とは、本来の車両幾何形状の外にあるすべてのもののことであり、例えば車両の前の道路である。
【0008】
超音波信号の送信または超音波エコー信号の受信のために、超音波センサシステムはとりわけ少なくとも1つの超音波送受信器を有する。
本発明の一形態は、それぞれのオブジェクトの確定および分類の際に、超音波センサシステムの少なくとも1つの超音波送受信器によるダイレクトエコーが使用され、かつ/またはそれぞれのオブジェクトの確定および分類の際に、超音波センサシステムの少なくとも2つの超音波送受信器による1つもしくは複数のクロスエコーが使用されることを企図する。
【0009】
これに関しては、ダイレクトエコーにより、車両の周囲内のオブジェクトに関するおよびオブジェクトの車両に対する間隔に関する可能な限り速くて誤りのない結果が得られることが有利である。これに対しクロスエコーにより、オブジェクト決定または間隔決定の際の特に高い角度分解能が可能にされ得る。両方の方法を組み合わせることで、例えば点障害物と壁障害物を区別できるよう補助し得る。
【0010】
本発明の一形態は、異なる時点に送信された2つの超音波信号の時間差内に生じた、車両とそれぞれ確定されたオブジェクトとの間隔変化が、これらの超音波信号に属する超音波エコー信号に依存して決定され、間隔変化および車両の速度に依存して、それぞれのオブジェクトが動的と分類可能かどうかが決定されることを企図する。
【0011】
この場合、誤った分類が低減され得ることが有利である。その根拠は、動的なオブジェクト、例えば歩行者の場合、その自己移動により、受信された超音波エコー信号(最初の反射)が車両の自己速度より速く車両に接近することにある。これに関してはエコー情報に依存して相応に、このエコー情報の特性としての車両に対するオブジェクトの接近速度が考慮される。
【0012】
これに関し間隔変化とは、2つの異なる時点に捕捉された、車両とオブジェクトの間隔の違いのことである。例えば、車両が第1の時点でオブジェクトから100cm離れており、第2の時点ではもうオブジェクトから98cmしか離れていない場合、間隔変化は2cmである。したがって間隔変化は、両方の異なる測定時点の時間差内にオブジェクトと車両が接近した距離を表す。
【0013】
本発明のさらなる一形態は、この間隔変化と、車両の速度に応じたこの時間差内に車両が進んだ距離との比較が行われ、その際、間隔変化が進んだ距離より大きい場合にオブジェクトが動的と分類されることを企図する。
【0014】
これに関して有利なのは、これが、オブジェクトの接近速度を分類に利用する簡単な手法であることである。
本発明の一形態によれば、オブジェクトを分類するために、この1つのオブジェクトから多重反射が受信されるかどうかが考慮されることが企図されている。
【0015】
これに関して有利なのは、動的なオブジェクト、例えば歩行者は、相応の超音波信号に対し、服装および姿勢によって異なる反射可能性を有し、これが、1つの超音波信号の1回の送信の場合の反射として複数の超音波エコー信号が受信されることによって識別できることであり、よってこれが、超音波エコー信号の特性として、分類の際に考慮され得る。
【0016】
これに関してはとりわけ、相応のオブジェクトでの多重反射を証明するために、異なる時点の、つまり異なる送信された超音波信号の超音波信号エコーも相互に比較され得る。これらの多重反射が実質的に一様に接近する場合、それらがたった1つのオブジェクトに由来すると推測できる。
【0017】
本発明のさらなる一形態によれば、超音波センサシステムが複数の超音波送受信器を有し、この場合、分類のために考慮される最高の情報品質を伴う超音波送受信器、とりわけ、受信された超音波エコー信号が最多の多重反射を伴う超音波送受信器が決定され、かつこの超音波送受信器の周りの監視範囲が規定され、この監視範囲内で超音波エコー信号が評価されることが企図されている。
【0018】
これに関しては、とりわけ、車両の周りの非常に重要な範囲が監視されることにより、1つの動的なオブジェクトの相応の分類を速く簡単に実行できることが利点である。1つの範囲または相応の超音波送受信器に限定することで、分類に必要な時間を最適化でき、そのうえ誤った分類が回避され得る。
【0019】
これに関して監視範囲とは、車両の周囲のうち、とりわけ、ダイレクトエコー動作またはクロスエコー動作に応じた重要な、とりわけ最多の多重反射を受信する超音波送受信器または超音波送受信器ペアの直近にある部分範囲のことである。
【0020】
これに関し最高の情報品質とは、最高確率でオブジェクトの分類を可能にする情報内容のことである。これに関しては、とりわけ多重反射が動的なオブジェクトへの示唆を与え得るので、まさに、多くの多重反射が受信された超音波送受信器がより強く評価されることが望ましい。
【0021】
本発明はこれに加え、車両の周囲内の少なくとも1つのオブジェクトを分類するための超音波センサシステムの動作のための制御機構であって、超音波センサシステムを本発明による方法に基づいて動作させるために適応されている制御機構に関する。制御機構は、例えばマイクロコントローラとして形成され得る。
【0022】
加えて本発明は、少なくとも1つの超音波送受信器および本発明による制御機構を有する、とりわけ車両の周囲内のオブジェクトを分類するための超音波センサシステムに関する。
【0023】
さらに本発明は、本発明による超音波センサシステムを有する車両、とりわけ乗用車に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による方法に基づいて制御可能な本発明による超音波センサシステムの一実施形態を使用しており、本発明に基づいて形成されている車両の概略図である。
図2】それぞれ受信された超音波エコー信号をベースとした、2つのオブジェクトに対する車両の経時的な間隔推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による方法に基づいて制御可能な本発明による超音波センサシステムの一実施形態を使用しており、本発明に基づいて形成されている車両を概略的な形態で示す。
【0026】
本発明による超音波センサシステム10の一実施形態を備えて形成されており、本発明に基づいて形成されている車両100、例えば乗用車を概略的な平面図で示している。
本発明による超音波センサシステム10は、例えば、超音波送受信器30および超音波送受信器40と、超音波センサシステム10の動作を制御するための制御機構20とを有し得る。
【0027】
1つまたは複数の捕捉および制御線を介し、制御機構20は超音波送受信器30および超音波送受信器40と接続されている。このようにして、制御機構20は、それぞれ超音波送受信器30、40の動作を制御することができ、かつ/または超音波送受信器30、40の状態を問い合わせることができ、もしくは相応のデータもしくは信号を超音波送受信器30、40から受信もしくは積極的に呼び出すことができる。
【0028】
制御機構20は、超音波送受信器30、40による送信の動作も超音波送受信器30、40による受信も本発明に基づくやり方で可能にするよう形成されており、かつその手段を有する。このために、受信された超音波エコー信号32、42の保存、処理、および評価のための相応の、ここでは詳細に図示されていない手段が設けられていてもよい。
【0029】
これに関し超音波センサシステム10は、とりわけ超音波信号31、41を多数の相次ぐ時点で送信し、かつとりわけ車両100の周囲150内の1つまたは複数のオブジェクト200で反射された超音波エコー信号32、42を受信するために適応されている。超音波センサシステム10はさらに、受信された超音波エコー信号32、42に依存して、車両100の周囲150内の1つまたは複数のオブジェクト200を確定し、これに加え、受信された超音波エコー信号32、42に依存して、それぞれのオブジェクト200が動的と、とりわけ歩行者と分類されるかどうかを決定するために適応されている。
【0030】
これに関し超音波送受信器30は、第1の期間内は超音波信号31を送信するための超音波送信器として動作することができ、これに対し、時間的に後に続く第2の期間内はこの超音波送受信器30が、ダイレクトエコーとしての超音波エコー信号32を受信するために超音波受信器として動作する。
【0031】
それに加えてまたはその代わりに、超音波送受信器40が超音波送信器として機能することができ、したがって送信信号としての超音波信号41を送信することができる。この場合には、超音波送受信器30が、超音波エコー信号42を受信するための超音波受信器として機能し得る。したがってこの構成では、まさに、第1の送受信器が超音波信号41を送信して第2の送受信器が超音波エコー信号42を受信するいわゆるクロスエコーが確定される。
【0032】
図に示していない1つの例示的実施形態では、超音波送受信器40もダイレクトエコー動作で機能し得る。
さらに、図に示していない1つの例示的実施形態では、超音波送受信器30が超音波信号を送信し、この超音波信号が超音波送受信器40によって受信され、これにより、相応のクロスエコー動作が可能にされ得る。したがって、ダイレクトエコー動作およびクロスエコー動作の組合せは任意に選択可能であり、クロスエコー動作の場合は少なくとも2つの超音波送受信器30、40が存在しなければならない。
【0033】
超音波センサシステム10は、とりわけ、異なる時点に送信された2つの超音波信号31、41の時間差内に生じた、車両100とそれぞれ確定されたオブジェクト200との間隔変化ΔXを、これらの超音波信号31、41に属する超音波エコー信号32、42に依存して決定し、かつ間隔変化ΔXおよび車両100の速度に依存して、それぞれのオブジェクト200が動的と分類可能かどうかを決定するために適応されている。これに関してはとりわけ、この間隔変化ΔXと、車両100の速度に応じたこの時間差内に車両100が進んだ距離との比較を行うことができ、その際、間隔変化ΔXが車両100が進んだ距離より大きい場合にオブジェクト200が動的と分類される。
【0034】
超音波センサシステム10はさらに、オブジェクト200を分類するため、この1つのオブジェクト200から多重反射が受信されるかどうかが考慮されるために適応されていてもよい。
【0035】
超音波センサシステム10が、ここで図示しているように複数の超音波送受信器30、40を有する場合、超音波センサシステム10はこれに加え、分類のために考慮される最高の情報品質を伴う超音波送受信器30、40、とりわけ、受信された超音波エコー信号が最多の多重反射を伴う超音波送受信器30、40を決定し、かつこのそれぞれの超音波送受信器30、40の周りの監視範囲を規定するために適応されていてもよく、この監視範囲内で超音波エコー信号32、42が評価される。
【0036】
図2は、それぞれ受信された超音波エコー信号をベースとした、2つのオブジェクトに対する車両の経時的な間隔推移をグラフで示す。
これに関し、横座標では時間tが秒で示されている。縦座標では車両100とそれぞれのオブジェクトとの間隔Xが示されており、間隔Xは、相応の超音波エコー信号31、41から決定され得る。これに関してはとりわけ、2つのオブジェクトがグラフに組み込まれており、第1のオブジェクトに対する間隔は四角で、第2のオブジェクトに対する間隔は丸で示されている。示された間隔推移は、超音波信号31、41が多数の相次ぐ時点で超音波センサシステム10によって送信されて、相応のオブジェクトで反射された超音波エコー信号32、42が超音波センサシステム10によって受信されることで決定される。
【0037】
第2のオブジェクトが多重反射を有することがはっきり認識でき、これは、動的なオブジェクト、とりわけ歩行者に関する示唆である。
これに加え、同じ期間に、車両100と第2のオブジェクトの間隔が車両100と第1のオブジェクトの間隔より速く減少しているので、第2のオブジェクトが第1のオブジェクトより速く車両100に接近していることが分かる。これに関し、第2のオブジェクトの車両100への接近速度が車両100の速度より速ければ、つまり2つの相前後して捕捉された間隔Xの間の間隔変化ΔXが、車両100のこの時間差内に進んだ距離より大きければ、またもや車両100に向かって移動している動的なオブジェクトが推測され得る。これに対し、第1のオブジェクトの接近速度が車両速度と同じであれば、第1のオブジェクトが静的なオブジェクトであることが推測され得る。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサシステム(10)を使って車両(100)の周囲(150)内の少なくとも1つのオブジェクト(200)を分類するための方法であって、
- 前記超音波センサシステム(10)を使って、多数の相次ぐ時点で超音波信号(31、41)を送信するステップと、
- 前記超音波センサシステムを使って、とりわけ前記車両(100)の前記周囲(150)内の前記1つまたは複数のオブジェクト(200)で反射された超音波エコー信号(32、42)を受信するステップとを有し、
- 前記受信された超音波エコー信号(32、42)に依存して、前記周囲(150)内の1つまたは複数のオブジェクト(200)が確定され、かつ
- 前記受信された超音波エコー信号(32、42)に依存して、前記それぞれのオブジェクト(200)が動的と、とりわけ歩行者と分類されるかどうかが決定される方法。
【請求項2】
前記それぞれのオブジェクト(200)の前記確定および分類の際に、前記超音波センサシステム(10)の少なくとも1つの超音波送受信器(30)によるダイレクトエコーが使用され、かつ/または前記それぞれのオブジェクト(200)の前記確定および分類の際に、前記超音波センサシステムの少なくとも2つの超音波送受信器による1つもしくは複数のクロスエコーが使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
異なる時点に送信された2つの超音波信号(31、41)の時間差内に生じた、前記車両(100)と前記それぞれ確定されたオブジェクト(200)との間隔変化(ΔX)が、前記超音波信号(31、41)に属する超音波エコー信号(32、42)に依存して決定され、前記間隔変化(ΔX)および前記車両(100)の速度に依存して、前記それぞれのオブジェクト(200)が動的と分類可能かどうかが決定されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記間隔変化(ΔX)と、前記車両(100)の前記速度に応じた前記時間差内に前記車両(100)が進んだ距離との比較が行われ、その際、前記間隔変化(ΔX)が前記進んだ距離より大きい場合に前記オブジェクト(200)が動的と分類されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記オブジェクト(200)を分類するために、前記1つのオブジェクト(200)から多重反射が受信されるかどうかが考慮されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波センサシステム(10)が複数の超音波送受信器(30、40)を有し、この場合、前記分類のために考慮される最高の情報品質を伴う前記超音波送受信器(30、40)、とりわけ、前記受信された超音波エコー信号が最多の多重反射を伴う前記超音波送受信器(30、40)が決定され、かつ前記超音波送受信器(30、40)の周りの監視範囲が規定され、前記監視範囲内で前記超音波エコー信号(32、42)が評価されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
車両(100)の周囲(150)内の少なくとも1つのオブジェクト(200)を分類するための超音波センサシステム(10)の動作のための制御機構(20)であって、前記超音波センサシステム(10)を請求項1から6のいずれか一項に基づいて動作させるために適応されている制御機構(20)。
【請求項8】
少なくとも1つの超音波送受信器(30)および請求項7に記載の制御機構(20)を有する、とりわけ車両の周囲内のオブジェクトを分類するための超音波センサシステム(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波センサシステム(10)を有する車両(100)、とりわけ乗用車。

【国際調査報告】