(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】薬剤送達デバイスのためのカバー構造
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61M5/32 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524707
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022078193
(87)【国際公開番号】W WO2023072578
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ヌレッティン・アリ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066LL13
(57)【要約】
本開示は、一般に、自己注射器などの薬剤送達デバイスに関し、特に、薬剤送達デバイスの近位端部において薬剤送達部材を包囲するように構成されたカバー構造に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス(110)のためのカバー構造(122)であって、
前記カバー構造は、前記薬剤送達デバイスの近位端部(112)において薬剤送達部材を包囲するように構成され、
前記カバー構造は、前記薬剤送達部材(120)が前記カバー構造の近位端部において露出する収縮位置と、前記薬剤送達部材が前記カバー構造で覆われる伸長位置との間で、前記薬剤送達デバイスの軸方向に移動可能であり、
前記カバー構造は、前記カバー構造の前記近位端部にロック構造(130)を備え、
前記ロック構造は、遠位端部(136)及び近位端部(138)を有する少なくとも1つの偏向可能クリップと、作動力を受容するように構成された作動面(134)とを備え、
少なくとも1つの前記偏向可能クリップは、中立位置に配置可能であり、前記中立位置では、少なくとも1つの前記偏向可能クリップは、前記カバー構造が前記伸長位置から前記収縮位置まで軸方向に移動するのを防止し、
前記偏向可能クリップは、前記作動面に作用すると到達可能な偏向位置にさらに配置可能であり、前記偏向位置では、前記カバー構造は、前記収縮位置に向かって軸方向に移動することが許容され
前記偏向可能クリップは、前記近位端部(138)から始まって前記遠位端部(136)に向かって移動する作動力が前記作動面に加えられると、前記偏向可能クリップが前記中立位置から前記偏向位置に移行するように構成される、カバー構造。
【請求項2】
少なくとも1つの前記偏向可能クリップは、前記作動面に作用して、前記薬剤送達デバイスを受容するように構成されたパッド(100)の取付部(108)の円周構造(146)と協働することによって、偏向状態に移行するように構成される、請求項1に記載のカバー構造。
【請求項3】
前記円周構造は円筒構造であり、前記ロック構造は、円筒構造の内側に嵌合するように構成される、請求項1または2に記載のカバー構造。
【請求項4】
少なくとも1つの前記クリップ(132)は、前記中立位置にありかつ前記カバー構造が前記収縮位置に向かって移動するとき、前記薬剤送達デバイスの停止要素(142)に当接するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項5】
前記停止要素は、前記薬剤送達デバイスのハウジング(116)の一部である、請求項4に記載のカバー構造。
【請求項6】
少なくとも1つの前記クリップの前記遠位端部(136)は、前記停止要素に当接するように構成される、請求項4または5に記載のカバー構造。
【請求項7】
前記偏向可能クリップは、前記偏向可能クリップが横方向内側に偏向すると、停止要素が解放され、それによって前記カバー構造が前記収縮位置に向かって移動可能になるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項8】
前記カバー構造の円周に沿って対称に配置された少なくとも2つの前記偏向可能クリップを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項9】
少なくとも1つの前記偏向可能クリップは各々、近位端部から遠位端部に到達し、前記パッドの取付部の円筒構造上を摺動するように構成された傾斜面(152)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項10】
少なくとも1つの前記偏向可能クリップは、固定近位端部(138)及び自由遠位端部(136)を備え、前記自由遠位端部は、少なくとも1つの前記偏向可能クリップが前記中立位置から前記偏向位置に移行するときに、前記固定端部に対して移動可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項11】
少なくとも1つの前記偏向可能クリップは、前記カバー構造の切断部に作られる、請求項1から10のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項12】
前記中立位置にありかつ前記カバー構造が前記伸長位置にあるとき、少なくとも1つの前記偏向可能クリップは、前記薬剤送達デバイスのハウジング(116)の外側に近位に位置される、請求項1から11のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のカバー構造を備える薬剤送達デバイス。
【請求項14】
近位端部(104)から遠位端部(106)まで軸(102)に沿って延在するパッド(100)であって、
前記近位端部は、前記パッドの使用時に注射部位に隣接する前記パッドの端部であり、
前記パッドは、
薬剤送達デバイス(110)を受容するように構成された取付部(108)と、
前記取付部に配置された円周構造(146)であって、前記円周構造(146)は、使用時にかつ前記薬剤送達デバイス(110)が前記取付部の所定の位置に移動されると、前記薬剤送達デバイスに含まれるカバー構造(122)のロック構造(130)を受容して押し込むように構成され、それにより、前記ロック構造は、前記カバー構造が伸長位置にあるときに収縮位置に向かって軸方向に移動するのを防止する中立位置から、前記カバー構造が前記取付部の前記収縮位置に向かって軸方向に移動することを許容する偏向位置に移動する、円周構造(146)と
を含む、パッド。
【請求項15】
薬剤送達デバイス(210)のためのカバー構造(222,322)であって、
前記カバー構造は、前記薬剤送達デバイスの近位端部(112)において薬剤送達部材(120)を包囲するように構成され、
前記カバー構造は、前記薬剤送達部材が前記カバー構造の前記近位端部において露出する収縮位置と、前記薬剤送達部材が前記カバー構造で覆われる伸長位置との間で、前記薬剤送達デバイスの軸方向に移動可能であり、
前記カバー構造は、
前記カバー構造と一体化されたパッド(200)であって、前記パッドは、近位端部(104)から遠位端部(106)まで軸(102)に沿って延在し、前記近位端部は、前記パッドの使用時に注射部位に隣接する前記パッドの端部である、パッド(200)
を備える、カバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、自己注射器などの薬剤送達デバイスに関し、特に、薬剤送達デバイスの近位端部において薬剤送達部材を包囲するように構成されたカバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
注射を必要とする病状は数多くある。今日、様々なタイプのペン型注射器、自己注射器、及びオンボディデバイスを含む、数多くの異なる注射機器が存在する。これらのデバイスの多くは、多くの病状の管理において大きな改善を可能にしてきたが、現在の技術には様々な制限が依然として存在する。これらの中でも特に、頻繁に注射を必要とする患者や、特に粘性のある薬剤を注射する必要がある患者が直面する困難が存在する。これらの問題を考慮して、本出願人は、今日市販されている薬剤送達デバイスを改善するために様々な開発が可能であることを理解し、以下により詳細に記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、従来技術の問題を解決または少なくとも緩和する、薬剤送達デバイスのためのカバー構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様によれば、薬剤送達デバイスのためのカバー構造が提供される。カバー構造は、薬剤送達デバイスの近位端部において薬剤送達部材を包囲するように構成される。カバー構造は、薬剤送達部材がカバー構造の近位端部において露出する収縮位置と、薬剤送達部材がカバー構造で覆われる伸長位置との間で、薬剤送達デバイスの軸方向に移動可能である。カバー構造は、カバー構造の近位端部にロック構造を備える。ロック構造は、遠位端部と近位端部とを有する少なくとも1つの偏向可能クリップと、作動力を受容するように構成された作動面とを備える。少なくとも1つの偏向可能クリップは中立位置に配置可能であり、中立位置では、少なくとも1つの偏向可能クリップは、カバー構造が伸長位置から収縮位置まで軸方向に移動するのを防止する。さらに、偏向可能クリップは、作動面に作用すると到達可能な偏向位置に配置可能であり、偏向位置では、カバー構造は、収縮位置に向かって軸方向に移動することが許容される。偏向可能クリップは、近位端部から始まって遠位端部に向かって移動する作動力が作動面に加えられると、偏向可能クリップが中立位置から偏向位置に移行するように構成される。
【0005】
本開示の実施形態は、少なくとも1つの偏向可能クリップが偏向状態に押し込まれた場合にのみ薬剤送達デバイスを作動させることができるように、薬剤送達部材を露出させることを可能にする好都合なカバー構造を提供する。言い換えれば、薬剤送達部材、例えば針、が意図しないときに露出し、それによって損傷を引き起こす可能性がないことが保証できる。さらに、ロック構造によって、ユーザは、薬剤送達デバイスを使用するために適切な行動をとらざるを得なくなる。例えば、ロック構造は、作動面に作用する薬剤送達補助デバイスの協働構造によって解放可能であってもよく、それによって、ユーザに薬剤送達補助デバイスを使用させ、好都合には、ユーザに薬剤が適切に送達されることを確実にすることができる。
【0006】
本開示において、「遠位方向」という用語が使用される場合、これは、薬剤送達デバイスの使用中に容量送達部位から離れる方向を指す。「遠位部分/端部」という用語が使用される場合、これは、送達デバイスの部分/端部、またはその構成要素の部分/端部を指し、薬剤送達デバイスの使用下では容量送達部位から最も遠くに位置する。これに対応して、「近位方向」という用語が使用される場合、これは、薬剤送達デバイスの使用中に容量送達部位に向かう方向を指す。「近位部分/端部」という用語が使用される場合、これは、送達デバイスの部分/端部、またはその部材の部分/端部を指し、薬剤送達デバイスの使用下では容量送達部位の最も近くに位置する。
【0007】
さらに、「長手方向の」、「長手方向に」、「軸方向に」、または「軸方向の」という用語は、近位端部から遠位端部まで、通常は、デバイスまたはその構成要素に沿って、デバイス及び/または構成要素の最も長い延在方向に延びる方向を指す。
【0008】
同様に、「横方向」、「横方向の」、及び「横方向に」という用語は、長手方向に略垂直な方向を指す。
【0009】
さらに、「円周」、「円周の」、「円周に」という用語は、軸、通常は、デバイス及び/または構成要素の最も長い延在方向に延びる中心軸に対する円周または円周方向を指す。同様に、「半径の」または「半径方向に」は、軸に対して半径方向に延びる方向を指し、「回転」、「回転式」及び「回転して」は、軸に対する回転を指す。
【0010】
パッドなどの他の構成要素を説明するために同じ方向の用語が使用されており、例えば、パッドの近位端部は、容量送達部位(注射部位)に最も近いパッドの部分であり、パッドの遠位端部は、容量送達部位から最も遠いパッドの部分である。図では、長手方向は軸102の方向であり、軸102に対する対応する円周方向31及び半径方向32も示されている。
【0011】
「注射部位で」または「用量送達部位で」という表現が本出願で使用される場合、それは一般に、薬剤送達デバイス(例えば針)が患者に入る点、及びその周囲領域、例えばパッドが取り付けられた領域を指す。
【0012】
一実施形態によれば、少なくとも1つの偏向可能クリップは、作動面に作用して、薬剤送達デバイスを受容するように構成されたパッドの取付部の円周構造と協働することによって、偏向状態に移行するように構成されてもよい。そのようなパッドは、使用時に、ユーザの注射部位に取り付けられる。パッドは、使用時に、ユーザが薬剤送達デバイスの係合を解放するまで、薬剤送達デバイスを所定の位置に固定することができる取付部を含む。薬剤送達デバイスが取付部に挿入されたときに、パッドの円周構造が作動面に作用し、それによってカバー構造が収縮位置に移行すると好都合である。偏向可能クリップは、特に、取付部の円周構造によって偏向するように適合されている。したがって、ユーザは、薬剤が適切に送達されることを確実にするパッド、例えば、ユーザが薬剤送達デバイスを十分な時間、注射部位の所定の位置に維持するのを補助するパッドを使用することが推奨される。
【0013】
一実施形態によれば、円周構造は円筒構造であってもよく、ロック構造は円筒構造の内側に嵌合するように構成される。円筒構造は有利に回転対称性を提供するため、円周構造におけるカバー構造の円周の向きは、クリップの偏向を引き起こす上であまり重要でないか、全く重要でない。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも1つのクリップは、中立位置にあり、カバー構造が収縮位置に向かって動かされるとき、薬剤送達デバイスの停止要素に当接するように構成されてもよい。停止要素は、カバー構造が伸長位置にあるとき、少なくとも1つのクリップに対して遠位に位置することが好ましい。
【0015】
一実施形態によれば、停止要素は、薬剤送達デバイスのハウジングの一部であってもよい。
【0016】
一実施形態によれば、少なくとも1つのクリップの遠位端部は、カバー構造が収縮位置に移動するのを防止するために、停止要素に当接するように構成されてもよい。
【0017】
一実施形態によれば、偏向可能クリップは、偏向可能クリップが横方向内側に偏向すると、停止要素が解放され、それによってカバー構造が収縮位置に向かって移動可能になるように構成されてもよい。したがって、偏向可能クリップは、中立位置で半径方向外側に突出している。
【0018】
一実施形態によれば、ロック構造は、カバー構造の円周に沿って対称に配置された少なくとも2つの偏向可能クリップを備えてもよい。
【0019】
一実施形態によれば、少なくとも1つの偏向可能クリップは各々、クリップの近位端部から遠位端部に達する傾斜面を備えてもよく、パッドの取付部の円筒構造上を摺動するように構成されてもよい。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも1つの偏向可能クリップは、固定近位端部及び自由遠位端部を備え、自由遠位端部は、少なくとも1つの偏向可能クリップが中立位置から偏向位置に移行するときに、固定端部に対して移動可能である。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも1つの偏向可能クリップは、カバー構造の切断部に作られる。これにより、カバー構造とクリップを一体化した単一構造として提供する比較的簡単な方法が提供される。
【0022】
一実施形態によれば、中立位置にあり、カバー構造が伸長位置にあるとき、少なくとも1つの偏向可能クリップは、薬剤送達デバイスのハウジングの外側に近位に位置される。
【0023】
本明細書に開示される実施形態のいずれかのカバー構造を備える薬剤送達デバイスをさらに提供する。
【0024】
本開示の第2の態様によれば、近位端部から遠位端部まで軸に沿って延在するパッドが提供され、近位端部は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である。パッドは、薬剤送達デバイスを受容するように構成された取付部と、取付部に配置された円周構造とを備える。円周構造は、使用時にかつ薬剤送達デバイスが取付部の所定の位置に移動すると、薬剤送達デバイスに含まれるカバー構造のロック構造を受容して押し込むように構成され、それにより、ロック構造は、カバー構造が伸長位置にあるときに収縮位置に向かって軸方向に移動するのを防止する中立位置から、カバー構造が取付部の収縮位置に向かって軸方向に移動することを許容する偏向位置に、移動する。
【0025】
これにより、第1の態様で説明したような、カバー構造のロック構造と協働することができる円周構造を含む有利なパッドが提供される。このパッドにより、薬剤送達デバイスが薬剤を送達するための適切な位置に維持されることが保証される。さらに、円周構造は、薬剤送達デバイスが取付部の所定の位置にある場合にのみ、ロック構造の作動を可能にするように特に適合され、それによってユーザにパッドの使用を促す。
【0026】
一実施形態によれば、近位注射面は接着剤を含んでもよい。接着剤は、パッドを注射部位に取り付けるためのものである。
【0027】
この態様は、第1の態様に関して上述したものと同様の利点を提供する。
【0028】
本開示の第3の態様によれば、薬剤送達デバイスのためのカバー構造が提供され、カバー構造は、薬剤送達デバイスの近位端部で薬剤送達部材を包囲するように構成される。カバー構造は、薬剤送達部材がカバー構造の近位端部で露出する収縮位置と、薬剤送達部材がカバー構造で覆われる伸長位置との間で、薬剤送達デバイスの軸方向に移動可能である。カバー構造は、カバー構造と一体化されたパッドを備え、パッドは、近位端部から遠位端部まで軸に沿って延在し、近位端部は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である。
【0029】
薬剤送達デバイスのユーザは、薬剤を注射する作業を容易にするためにパッドを使用するように推奨され、特に、薬剤送達デバイスが十分な時間、注射部位の所定の位置に維持されることが確実になる。本開示の第3の態様の実施形態は、薬剤送達デバイスを使用するときにパッドが採用されることを確実にするために、一体化されたパッドを有するカバー構造を提供する。
【0030】
一実施形態によれば、パッドの近位注射面は接着剤を含んでもよい。
【0031】
一実施形態によれば、カバー構造は、作動されるとカバー構造を収縮位置から解放する解放機構を備えてもよい。
【0032】
一実施形態によれば、解放機構は、薬剤送達デバイスのハウジングのロック突起に係止するように構成されてもよい。
【0033】
一実施形態によれば、カバー構造は、薬剤送達デバイスのハウジングに横方向の力を加えるように適合された弾性タブを備えてもよい。
【0034】
一実施形態によれば、パッド及びカバー構造は、単一部品で作られてもよい。
【0035】
一実施形態によれば、カバー構造は、パッドの近位端部において取外し可能な保護キャップによって覆われて配置された薬剤送達部材を備えてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、薬剤送達部材は、取外し可能な保護キャップが一旦取り外されると、カバー構造の内部に完全に移行するように構成されてもよい。
【0037】
一実施形態によれば、カバー構造は、薬剤送達デバイスがカバー構造に取り付けられたときに、薬剤送達部材を薬剤送達デバイスの薬剤容器に接続するように構成された受部を備えてもよい。
【0038】
この第3の態様は、第1の態様及び第2の態様に関して上述したものと同様の利点を提供する。
【0039】
一般に、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義しない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。「部材、器具、構成要素、手段など」に対するすべての言及は、特に明記しない限り、部材、器具、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとして広く解釈されるべきである。
【0040】
次に、添付の図面を参照して、本発明の概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本開示の実施形態にかかるパッド及び自己注射器の斜視図である。
【
図2】
図1におけるパッド及び自己注射器の側面図である。
【
図3A】自己注射器がパッドと係合する前の状態の、
図1及び
図2における自己注射器及びパッドの断面図である。
【
図3B】自己注射器がパッドの取付部に挿入されているときの、
図1及び
図2における自己注射器及びパッドの断面図である。
【
図3C】自己注射器がパッドの取付部に挿入されているときの、
図1及び
図2における自己注射器及びパッドの断面図である。
【
図4A】実施形態にかかる自己注射器の断面図である。
【
図4B】実施形態にかかる自己注射器の断面図である。
【
図5A】本開示のさらに可能な実施形態の断面図を示す。
【
図5B】本開示のさらに可能な実施形態の断面図を示す。
【
図5C】本開示のさらに可能な実施形態の断面図を示す。
【
図5D】本開示のさらに可能な実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、例示的な実施形態が示された添付図面を参照して、本発明の概念をより詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本発明の概念の範囲を当業者に十分に伝えることができるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の部材を指す。
【0043】
図1及び
図2は、本開示の実施形態にかかる薬剤送達デバイス110及びパッド100の一例を示す。パッド100は、軸102に沿って近位端部104から遠位端部106まで延在する。近位端部104は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である。注射部位は、薬剤送達部位として理解される。
【0044】
パッド100は、自己注射器またはペン型注射器などの薬剤送達デバイス110を受容するように構成された取付部108を備える。
【0045】
図1及び
図2の薬剤送達デバイス110は、軸102に対して近位端部112から遠位端部114まで延在する。薬剤送達デバイス110は、ハウジング116と、窓118と、針120と、針120を覆うように構成されたカバー構造122とを備える。薬剤送達デバイス110はまた、パッド100の取付部108と係合するように構成された取付部124を備える。
【0046】
パッド100の取付部108は、薬剤送達デバイス110をパッド100に解放可能にロックするためのロック機構126を備えている。ロック機構126は、例えば、可動アーム127が薬剤送達デバイス110の取付部124に保持力を加える摩擦ロックとして、または、薬剤送達デバイス110のハウジング116の近位端部の突起がパッド100の取付部108の対応する部分と係合し、薬剤送達デバイス110を所定の位置にロックするスナップ嵌合ロックとして、様々な方法で構成されてもよい。
【0047】
さらに、パッド100は、解放ボタン128を任意に備え、解放ボタン128を作動させることにより、薬剤送達デバイスを取付部108から解放するように構成される。
【0048】
図2は、取付部108でパッド100に取り付けられた薬剤送達デバイス110を示す。針120は、パッド100の近位端部104から延在する。この状態では、針ガードと呼ばれることもあるカバー構造が収縮位置にあり、それによって針120が露出する。薬剤送達デバイス110が取付部108に取り付けられていない場合、針120はこのような露出した状態に維持されないことが望ましい。さらに、注射部位に薬剤を送達するために薬剤送達デバイス110を使用する場合には、パッド100が使用されることが望ましく、したがって、薬剤の適切かつ安全な送達を確実にするために、ユーザはパッド100を使用するように推奨されるか、あるいは強制されることが望ましい。
【0049】
上記の問題に対処するために、カバー構造122には、ここでより詳細に説明するロック構造が設けられる。
【0050】
次に、それぞれ薬剤送達デバイス110のカバー構造122の断面図を示す
図3A~
図3Cを参照する。カバー構造122は、薬剤送達デバイス110の近位端部112において薬剤送達部材120を包囲するように構成される。カバー構造の一般的な動作は、薬剤送達部材120がカバー構造122の近位端部112において露出する収縮位置と、薬剤送達部材120がカバー構造122で覆われる伸長位置との間で、
図1でよりよく参照できるように、薬剤送達デバイス110の軸102に沿って、軸方向に移動可能であることである。カバー構造122の伸長位置では、薬剤送達部材120は、不必要な傷害を引き起こすことが防止されるように覆われる。カバー構造122は、伸長位置において薬剤送達部材120よりも近位に位置する。
【0051】
カバー構造122は、カバー構造の近位端部112においてロック構造130を備える。ロック構造130は、遠位端部136及び近位端部138を有する少なくとも1つの偏向可能クリップ132と、作動力を受容するように構成された作動面134とを備える。少なくとも1つの偏向可能クリップ132は中立位置に配置可能であり、中立位置では、クリップ132が停止要素140に当接している
図3Aに示すように、少なくとも1つの偏向可能クリップ132は、カバー構造122が伸長位置から収縮位置まで軸方向に移動するのを防止する。
【0052】
さらに、偏向可能クリップ132は、
図3B~
図3Cに示すように、作動面134に作用すると到達可能な偏向位置に配置可能であり、偏向位置では、カバー構造122は、
図3Cに示す収縮位置に向かって軸方向に移動することが許容される。クリップ132は、近位端部138から始まって遠位端部136に向かって移動する作動力が作動面134に加えられると、クリップ132が中立位置から偏向位置に移行するように構成される。摺動力は、近位端部138から始まって遠位端部136に向かって摺動する作動面に加えられるのが好ましい。
【0053】
中立位置では、偏向可能クリップ132の作動面134は、クリップ132の近位端部138と比較して、クリップの遠位端部136上のカバー構造122の近位円筒形部140から半径方向にさらに徐々に到達する。中立位置では、作動面134は、薬剤送達デバイス110の長手方向軸102に対して傾斜している。
【0054】
ここで特に
図3Aを参照すると、薬剤送達デバイス110の近位端部112が、パッド100の取付部108に挿入される直前の状態で示されている。針120は、ここでは伸長位置にあるカバー構造122によって覆われているか、またはその内部に収容されている。カバー延長部122は、ハウジング116の内部で薬剤送達デバイス110の長手方向に摺動可能であり、そうして伸長位置と収縮位置との間を移動することができる。カバー構造122は、伸長位置に向かってバネで付勢されてもよい。
【0055】
カバー構造122は、針120を収容するための中空の内部空間を有する略円筒形である。さらに、クリップ132は、カバー構造122の一部のテーパ形状をもたらし、テーパ形状のより広い部分は、クリップ132の遠位端部136にある。
【0056】
カバー構造122の最も近位端部には、円筒形部140が位置し、パッド100の取付部108にカバー構造122を正確に嵌合することを容易にする。円筒形部140は、クリップ132に対して近位に配置される。
【0057】
このクリップ132の中立位置では、カバー構造122が収縮位置に向かって移動するのを防止するために、クリップ132は薬剤送達デバイス110の停止要素142に当接する。この特定の実施形態では、停止要素142に当接するように構成されるのは、少なくとも1つのクリップ132の遠位端部136である。さらに、偏向可能クリップ132は、薬剤送達デバイス110のハウジング116の外側に近位に位置される。
【0058】
矢印144によって示されるように、クリップ132が半径方向内側に偏向される場合、クリップは、停止要素142よりも長手方向軸102に横方向に近い位置まで横方向内側に偏向され、それによって、本明細書でより詳細に説明するように、カバー構造122は、停止要素140によって、収縮位置に向かって長手方向に移動することをもはや妨げられない。
【0059】
パッド100は、薬剤送達デバイス110を受容するように構成された取付部108を備える。より具体的には、使用時には、カバー構造122は、円筒形部140に案内されながら取付部108の内部に挿入される。停止要素140を備えるハウジング116の近位端部112もまた、取付部の内側に嵌合される。
【0060】
取付部108には、円周構造146が配置される。
図3Bを参照すると、薬剤送達デバイス110が取付部108に挿入されると、少なくとも1つの偏向可能クリップ132は、取付部108の円周構造146と協働することによって偏向状態に移行する。このため、円周構造146は、矢印150によって示されるように、クリップ132を偏向させるように作動面134に作用する。この例示的な実施形態では、作動面134は、横方向において半径方向外側に面する。言い換えれば、円周構造146は、薬剤送達デバイス110の長手方向軸102に向かって半径方向に作用する。円周構造146は、近位端部138から遠位端部136に向かって作動面134上を摺動する。
【0061】
したがって、円周構造146は、薬剤送達デバイス110が取付部108の所定の位置に移動したときに、カバー構造122のロック構造130のクリップ132を受容して押すように構成される。この実施形態では、円周構造146は円筒構造であり、ロック構造は円筒構造の内側に嵌合するように構成される。
【0062】
上述のように、結果として、ロック構造は、カバー構造122が伸長位置にあるときに収縮位置に向かって軸方向に移動するのを防止する中立位置から、カバー構造122が取付部の収縮位置に向かって軸方向に移動することを許容する偏向位置に、移動する。
【0063】
図3Bでは、カバー構造122は依然として伸長位置にあり、クリップ132は偏向位置にある。カバー構造122が、パッド100及び薬剤送達デバイス110の使用時に、注射部位に隣接する取付部108の近位支持部148に向かって押されると、カバー延長部122は、
図3Cに示される伸長位置に向かって長手方向に移動することが許容される。停止要素142は、円周構造146の横方向外側の空間に移動する。ここで、ロック機構126の可動アーム127は、薬剤送達デバイス110の取付部124に保持力を加える。
【0064】
クリップは、弾性があることが望ましい。そうすることで、クリップ132は、停止要素142によって一旦解放されると、中立位置に跳ね返る。
【0065】
ロック構造130は、カバー構造122の円周に沿って対称に配置された少なくとも2つの偏向可能クリップ132を備えることが好ましい。
【0066】
クリップ132の偏向運動を容易にするために、クリップ132は各々、近位端部138から遠位端部136に達する傾斜面152を備え、パッドの取付部の円筒構造上を摺動するように構成される。この傾斜面138は作動面134全体であってもよいし、作動面134は傾斜面152を含んでもよい。
【0067】
クリップの近位端部138は、ここでは固定端部であり、クリップは矢印で示されるようにその周りを回転することができる。このために、遠位端部136は、少なくとも1つの偏向可能クリップ132が中立位置から偏向位置に移行するときに固定端部に対して移動可能な自由端部である。
【0068】
クリップ132を実現する1つの方法は、それらをカバー構造の切断部に作ることである。そうすることで、クリップ132及びカバー構造122は、カバー構造122の材料を切断してクリップを形成することにより、1つの一体部分として作られる。切断は、例えばU字形状に作られてもよい。
【0069】
図4A~
図4Bは、薬剤送達デバイス110のためのカバー構造222に関する本開示のさらなる態様を示す。第1の態様と同様に、カバー構造222は、薬剤送達デバイス110の近位端部112において薬剤送達部材120を包囲するように構成される。
【0070】
さらに、この実施形態でも、カバー構造222は、薬剤送達部材120がカバー構造の近位端部112において露出する、
図4Bに示される収縮位置と、薬剤送達部材120がカバー構造222によって覆われた状態の、
図4Aに示される伸長位置との間で、薬剤送達デバイス210の軸方向に移動可能である。
【0071】
カバー構造222は、カバー構造222と一体化されたパッド200を備える。前述の図面に関連して説明したパッド100と同様に、パッド200は、近位端部104から遠位端部106まで軸102に沿って延在し、近位端部104は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッド200の端部である。
【0072】
カバー構造222は、薬剤送達部材120を収容するための中空の内部空間を有する円筒構造である。したがって、カバー構造222は、管状体を有してもよい。
【0073】
カバー構造222は、パッド200の取付部208の外側円筒壁206と同軸に配置され、パッドの遠位端部106から近位に延在する。カバー構造222は、取付部208の外側円筒壁206の内側に位置し、外側円筒壁206よりも小径である。
【0074】
さらに、カバー構造222は、パッド200、例えば取付部208に固定的に取り付けられる。ここで、カバー構造222は、パッド200の近位端部104に達する。
【0075】
図4Aでは、カバー構造222は、針120が覆われる伸長位置にある。薬剤送達デバイスが注射部位に向かって近位方向に移動すると、カバー構造222は長手方向に移動し、針120がパッドの近位側104に露出する(
図4Bを参照)。この収縮位置では、薬剤送達デバイス210のハウジング216は、カバー構造222と取付部208の外側円筒壁206との間の空間内に移動している。言い換えれば、この収縮位置では、ハウジング216、カバー構造222、及び外側円筒壁206は、互いに対して同軸に配向される。
【0076】
パッド200及びカバー構造222は、単一部品で作られることが望ましい。例えば、取付部208を有するパッド200は、カバー構造222と共に成形されてもよい。カバー構造222は、薬剤送達デバイス110の一部である。
【0077】
パッドの近位注射面202は接着剤を含むことが好ましい。近位注射面202は、薬剤送達デバイス210の使用時に注射部位と接触する。
【0078】
ここでは、一体型パッド200及び取付部208を含むカバー構造222は、作動されるとカバー構造222を収縮位置から解放するロック機構126をさらに備える。
【0079】
ロック機構126は、例えば、可動アーム127が薬剤送達デバイス210のハウジング216に保持力を加える摩擦ロックとして、または、薬剤送達デバイス210のハウジング216の近位端部の突起がパッド200の取付部208の対応する部分と係合し、カバー構造222を収縮位置にロックするスナップ嵌合ロックとしてなど、様々な方法で構成されてもよい。
【0080】
さらに、パッド100は、解放ボタン128を任意に備え、解放ボタン128を作動させることにより、ハウジング216を、ひいてはカバー構造222を収縮位置から解放するように構成される。
【0081】
ハウジング216は、ハウジングの近位端部112にロック突起220を備える。突起220は、長手方向軸102から離れるように横方向に延在し、解放機構可動アーム127の近位端肩部228に係止する。解放ボタンが押されると、肩部228がハウジング216から離れて突起220を解放する。
【0082】
さらに、ハウジング216のロックを改善し、それによってカバー構造122を収縮位置に維持するために、カバー構造222と外側壁206との間の空間において、カバー構造に取り付けられた一組の弾性タブ230は、薬剤送達デバイスのハウジング216に横方向の力を加えるように適合される。
【0083】
図5A~
図5Dは、薬剤送達デバイス110がその本体306内に薬剤容器304、例えばカートリッジを有し、パッド100が薬剤送達部材である針120を備える、本開示の可能な一実施形態の断面図を示す。
【0084】
パッド100は、本明細書に記載の他の実施形態に関連して説明したように、取付部208を備える。しかし、この実施形態では、取付部自体、より具体的には円筒壁206がカバー構造として機能する。しかしながら、カバー構造は、最初は薬剤送達デバイスの一部ではないが、後述するように、一旦使用されると、薬剤送達デバイス110の本体は、取付部208に収容された針アセンブリ308に取り付けられる。
【0085】
針120は、管形状を有する針ハブ310の貫通孔に配置される。針120は、パッド100の近位端部104を越えて延在し、取外し可能な保護キャップ302によって覆われて配置される。
【0086】
図5Bは、取外し可能な保護キャップ302が一旦取り外されると、針120がカバー構造322の内部に完全に移行することを示す。針の移行は、様々な方法で実現することができる。1つの可能な実施態様では、キャップ302が回転すると、その間の構造的係合により針ハブ310も回転する。
【0087】
例えば、ハブ310の遠位係合部材311は、保持部材312の中央通路のネジ山314と相互作用するように設計されたネジ部材である。キャップ302と保持部材312との間のネジ山316は、ハブ310と保持部材312との間のネジ山314とはピッチの方向が異なる。したがって、キャップ302を保持部材312から取り外すために近位方向に回転させると、ハブ310の回転により、ハブ310が保持部材312内に遠位方向に移動する。この旋回型針隔離保護は、一例として示されているに過ぎず、針が取付部208内に移動することを実現するための他の可能な方法があり得ることを理解されたい。
【0088】
保持部材312は、円筒壁206であるカバー構造322に取り付けられたときに、針120を受容して薬剤送達デバイス110の薬剤容器304に接続するように構成された管状受部318を備える。
図5Cに示すように、薬剤送達デバイスの本体306は、矢印320で示すように保持部材312内に押し込まれ、それによって針120がパッド100の近位端部104から突出する。したがって、カバー構造322は収縮位置にある。
【0089】
図5Dは、使用後の薬剤送達デバイス110を示し、針はカバー構造322によって覆われ、ここでは伸長位置にある。使用後、ユーザはロック機構126を用いて薬剤送達デバイス110を取り出し、薬剤送達デバイス110及びパッド300を処分することができる。
【0090】
本明細書に記載のパッドは、透明な材料から作られてもよい。さらに、取付部の側壁は、パッド表面に隣接する取付部の基部に近い窓を形成する開口部を備えてもよい。使用前に、自己注射器を使用する際にカバー延長部が完全に押し下げられているかどうかを確認するよう患者に指示する。この窓により、患者は、自己注射器を注射支持パッドと組み合わせて使用する際に、カバー延長部の状態を点検することができる。
【0091】
本明細書に開示されるパッドは、異なるユニットを含む埋込み電子機器を備えてもよい。
【0092】
自己注射器が取付部に挿入されたこと、注射が開始されたこと、注射が終了したことなどの注射事象を認識できるセンサユニット。
【0093】
注射中に記録されたデータを保存するように構成されたメモリユニット。
【0094】
保存されたデータをスマートデバイスまたはネットワークに直接送信するように構成された接続ユニット。
【0095】
システム全体を制御するように構成され、データを送信する前に処理する処理ユニット。
【0096】
ステータスLED、触覚、及び/または音声フィードバックなどのフィードバックを患者に提供するように構成されたユーザインターフェースユニット。
【0097】
自己注射器が取付部に装置されると、支持パッドの内側のセンサはその事象を認識し、触覚/視覚または音声要素を介して、患者にフィードバックを与えるように構成される。
【0098】
注射が終了すると、センサはその事象を認識し、再び患者にフィードバックを与えるように構成される。さらに、収集されたデータはメモリユニットに保存され、注射事象が終了した後に、接続ユニットを介してスマートデバイス/ネットワークに送信されてもよい。
【0099】
センサは、機械的スイッチ、ホール効果センサ、加速度センサのうちの1つ、または組み合わせであり得る。
【0100】
自己注射器の注入ポートへの挿入を検出するために、機械的スイッチ、ホール効果センサ、または加速度センサを使用することができる。
【0101】
加速度センサは、注射事象を検出するために使用できる。
【0102】
可能な無線通信方法には、ブルートゥース(登録商標)及びセルラネットワークが含まれる。
【0103】
ブルートゥース接続は、保存されたデータをネットワークに送信するためにスマートデバイスを必要とし、支持パッドを使用できるようになる前に、支持パッドとスマートデバイスとの間のペアリング動作を必要とする。しかし、これはより安価な代替手段で、プリント基板上に必要なスペースも少ない。
【0104】
セルラネットワークは、ペアリング処理が不要で、プラグアンドプレイデバイスとして使用でき、事前のセットアップも不要だが、より高価で、プリント基板上により多くのスペースを必要とする。
【0105】
製品の要件に応じて、これら2つの技術のいずれかを使用することができる。
【0106】
そのような処理ユニットは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサ、または別のプログラマブルデバイスを含む論理回路または制御ユニットを備え得る。処理回路もまた、またはその代わりに、それぞれ、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイもしくはプログラマブルアレイ論理、プログラマブル論理デバイス、またはデジタル信号プロセッサを含み得る。処理回路が、上述のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはプログラマブルデジタル信号プロセッサなどのプログラマブルデバイスを含む場合、プロセッサは、プログラマブルデバイスの動作を制御するコンピュータ実行可能コードをさらに含み得る。
【0107】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して上述されている。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も、本発明の概念の範囲内において同様に可能である。
【0108】
いくつかの態様は、以下の付記項に記載する。
【0109】
1.薬剤送達デバイス(210)のためのカバー構造(222、322)であって、カバー構造は、薬剤送達デバイスの近位端部(112)において薬剤送達部材(120)を包囲するように構成され、
カバー構造は、薬剤送達部材がカバー構造の近位端部において露出する収縮位置と、薬剤送達部材がカバー構造で覆われる伸長位置との間で、薬剤送達デバイスの軸方向に移動可能であり、
カバー構造は、
カバー構造と一体化されたパッド(200)であって、パッドは、近位端部(104)から遠位端部(106)まで軸(102)に沿って延在し、近位端部は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である、パッド(200)
を備える、カバー構造(222、322)。
【0110】
2.パッドの近位注射面(202)は接着剤を含む、付記項1に記載のカバー構造。
【0111】
3.作動されるとカバー構造を収縮位置から解放するロック機構(126)を備える、付記項1または2に記載のカバー構造。
【0112】
4.ロック機構(126)は、薬剤送達デバイスのハウジングのロック突起(220)に係止するように構成される、付記項3に記載のカバー構造。
【0113】
5.薬剤送達デバイスのハウジング(216)に横方向の力を加えるように適合された弾性タブ(230)を備える、付記項1~4のいずれか一項に記載のカバー構造。
【0114】
6.パッド及びカバー構造は単一部品で作られる、付記項1~5のいずれか一項に記載のカバー構造。
【0115】
7.カバー構造は薬剤送達デバイスの一部である、付記項1~5のいずれか一項に記載のカバー構造。
【0116】
8.パッドの近位端部において取外し可能な保護キャップ(302)によって覆われて配置された薬剤送達部材を備える、付記項1~6のいずれか一項に記載のカバー構造(322)。
【0117】
9.薬剤送達部材は、取外し可能な保護キャップが一旦取り外されると、カバー構造の内部に完全に移行するように構成される、付記項8に記載のカバー構造。
【0118】
10.薬剤送達デバイスがカバー構造に取り付けられたときに、薬剤送達部材を薬剤送達デバイスの薬剤容器(304)に接続するように構成された受部(318)を備える、付記項8または9に記載のカバー構造。
【0119】
11.薬剤容器を備える薬剤送達デバイスの本体(306)が、使用時にカバー構造内に挿入される、付記項8~10のいずれか一項に記載のカバー構造。
【符号の説明】
【0120】
31 円周方向、32 半径方向、100 パッド、102 軸、104 近位端部、106 遠位端部、108 取付部、110 薬剤送達デバイス、112 近位端部、114 遠位端部、116 ハウジング、118 窓、120 針、122 カバー構造、124 取付部分、126 ロック機構、127 可動アーム、128 解放ボタン、130 ロック構造、132 偏向可能クリップ、134 作動面、136 遠位端部、138 近位端部、140 近位円筒形部、142 停止要素、144 矢印、146 円周構造、148 近位支持部、150 矢印、152 傾斜面、200 パッド、202 近位注射面、206 外側円筒壁、208 取付部、210 薬剤送達デバイス、216 ハウジング、220 突起、222 カバー構造、228 近位端肩部、230 弾性タブ、300 パッド、302 保護キャップ、304 薬剤容器、306 本体、308 針アセンブリ、310 針ハブ、311 遠位係合部材、312 保持部材、314 ネジ山、316 ネジ山、318 管状受部、320 矢印、322 カバー構造
【国際調査報告】