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特表2024-537475脛骨コンポーネント及び人工膝関節システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】脛骨コンポーネント及び人工膝関節システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525098
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2022079885
(87)【国際公開番号】W WO2023072991
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021127834.1
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521389815
【氏名又は名称】エースクラップ・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Aesculap AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ケテラー,トーステン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC18
4C097SC01
4C097SC08
4C097SC09
(57)【要約】
人工膝関節用の脛骨コンポーネントを改良することを目的とする。前記脛骨コンポーネントは、上面及び下面を有する脛骨プレートと、前記脛骨コンポーネントを脛骨に固定するために前記脛骨の髄腔に挿入されるように前記下面から突出するシャフトと、より良い手術結果が可能になるように前記脛骨プレート上の前記シャフトを複数の異なる位置に特に無段階に位置決めするための位置決めデバイスと、を備えている。本発明では、前記シャフトが、前記上面に平行または略平行に延在する位置決め面に対する平行移動によって、前記複数の異なる位置のうちの1つの位置から別の位置へ移行可能なように、前記位置決めデバイスが構成されることが提案される。さらに、同様に改良された人工膝関節システムが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工膝関節(10)用の脛骨コンポーネント(16)であって、
前記脛骨コンポーネント(16)は、
上面(34)及び下面(36)を有する脛骨プレート(30)と、
前記脛骨コンポーネント(16)を脛骨(20)に固定するために前記脛骨(20)の髄腔(40)に挿入されるように前記下面(36)から突出するシャフト(38)と、
前記脛骨プレート(30)上の前記シャフト(38)を複数の異なる位置に特に無段階に位置決めするための位置決めデバイス(44)と、を備え、
前記シャフト(38)が、前記上面(34)に平行または略平行に延在する位置決め面(46)に対する平行移動によって、前記複数の異なる位置のうちの1つの位置から別の位置へ移行可能なように、前記位置決めデバイス(44)が構成されている、
ことを特徴とする脛骨コンポーネント。
【請求項2】
前記脛骨コンポーネント(16)は、前記シャフト(38)を移植位置に固定するための固定デバイス(56)を備え、
前記固定デバイス(56)は、前記シャフト(38)が前記脛骨プレート(30)に対して前記位置決め面(46)に平行に移動可能、特に変位可能であり、特に前記脛骨プレート(30)に対してアライメント調整可能であるようなアライメント位置から、前記シャフト(38)が前記脛骨プレート(30)上に動かないように保持される前記移植位置へ、移行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項3】
前記位置決めデバイス(44)は、前記脛骨プレート(30)上に形成された位置決め要素受入部(58)と、前記位置決め要素受入部(58)内に配置された位置決め要素(60)とを備え、
前記位置決め要素(60)と前記シャフト(38)とは、互いに結合可能に構成されており、
前記位置決め要素受入部(58)は、前記位置決め面(46)に対して垂直に延びる長手方向軸(62)を画定しており、
前記位置決め要素受入部(58)は、前記アライメント位置にある前記位置決め要素(60)が前記位置決め要素受入部(58)に対して前記位置決め面(46)に平行に変位可能になるように構成および寸法設定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項4】
(a)前記位置決め要素(60)が前記複数の異なる位置のそれぞれにおいて前記下面(36)から離反する方向に向かって前記脛骨プレート(30)から移動することなく固定されるように、前記位置決め要素受入部(58)が構成および寸法設定されており、且つ/又は、
(b)前記位置決めデバイス(44)は、前記上面(34)に対する横断方向、特に垂直方向において前記下面(36)から離反する方向に向かって前記位置決め要素(60)が前記位置決め要素受入部(58)に対して移動することを制限するための移動制限デバイス(64)を備え、且つ/又は、
(c)前記脛骨プレート(30)に穿孔(66)が形成されており、前記穿孔(66)は前記位置決め要素受入部(58)を備え、前記穿孔(66)は、前記位置決め要素(60)と協働して前記上面(34)に向かう方向に作用するストッパ(68)を備えている、
ことを特徴とする請求項3に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項5】
前記位置決め要素受入部(58)は、壁部(70)によって前記下面(36)に向かって区切られており、
前記穿孔(66)は、前記位置決め要素受入部(58)を画定する受入部(72)と、前記壁部(70)を貫通する穿孔部(74)とを備える、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項6】
(a)前記長手方向軸(62)に直交する前記受入部(72)の断面積は、前記穿孔部(74)の断面積よりも大きく、且つ/又は、
(b)前記壁部(70)は、前記ストッパ(68)を形成しており、且つ/又は、
(c)前記壁部(70)は、前記上面(34)に向かう方向を向いている環状の停止面(76)を画定しており、且つ/又は、
(d)前記位置決め要素(60)は、前記穿孔部(74)内に係合するか又は前記穿孔部(74)を通過する位置決め要素突起(80)を備え、特に、前記長手方向軸(62)に直交する前記位置決め要素突起(80)の断面積は、前記穿孔部(74)の断面積よりも小さく、且つ/又は、
(e)前記受入部(72)の第1の断面形状と前記穿孔部(74)の第2の断面形状とは、幾何学的に相似であるか又は互いに異なっており、特に、前記第1の断面形状および/または前記第2の断面形状は、特に円形などの楕円形、又は、特に長方形または正方形などの多角形である、
ことを特徴とする請求項5に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項7】
前記固定デバイス(36)は、前記移植位置において前記位置決め要素受入部(58)内に前記位置決め要素(60)を移動不能に固定するように構成されている、
ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項8】
前記固定デバイス(56)は固定要素(88)を備え、
前記固定要素(88)は、前記位置決め要素(60)に直接または間接的に当接し、前記移植位置において前記位置決め要素(60)を前記位置決め要素受入部(58)内にクランプ態様で保持する、
ことを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項9】
(a)前記移植位置にある前記位置決め要素(60)は、前記固定要素(88)とストッパ(68)との間にクランプ態様で保持され、且つ/又は、
(b)前記固定要素(88)は、雄ねじ(92)を有するねじ要素(90)を備え、前記穿孔(66)は、前記脛骨プレート(30)の前記上面(34)から始まるように前記雄ねじ(92)に対応して形成された雌ねじ(94)を備え、且つ/又は、
(c)前記固定要素(88)は、前記移植位置において前記穿孔(66)を閉じ、且つ/又は、
(d)前記固定要素(88)は、前記移植位置において前記位置決め要素(60)に対してクランプ態様で保持される固定要素クランプ面(98)を有し、且つ/又は、
(e)前記位置決め要素(60)は、前記移植位置において前記固定要素(88)に当接する特に平面状の固定要素当接面(100)を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項10】
前記シャフト(38)は、
(a)前記シャフト(38)の長手方向軸(42)を中心として旋回可能且つ/若しくは回転可能なように前記脛骨プレート(30)上に取り付けられ、且つ/又は、
(b)前記脛骨プレート(30)の対称面(32)の領域に配置若しくは形成され、且つ/又は、
(c)前記脛骨プレート(30)の前記下面(36)の中央領域若しくは中心領域に配置若しくは形成され、且つ/又は、
(d)前記シャフト(38)の長手方向軸(42)に対して回転対称または実質的に回転対称に構成され、且つ/又は、
(e)関節式、特にヒンジ式若しくはボールジョイント式で前記脛骨プレート(30)上に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項11】
前記脛骨コンポーネント(16)は、第1のジョイント要素(104)と第2のジョイント要素(106)とを有するジョイントデバイス(102)を備え、
前記第1のジョイント要素(104)は、前記脛骨プレート(30)上に配置または形成され、
前記第2のジョイント要素(106)は、前記シャフト(38)上に配置または形成され、
前記第1のジョイント要素(104)と前記第2のジョイント要素(106)とは、関節式に互いに係合している、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項12】
前記第1のジョイント要素(104)は、ジョイント受入部(108)の形態で構成され、前記第2のジョイント要素(106)は、前記ジョイント受入部(108)に係合するジョイント突起(110)の形態で構成され、
特に、
(a)前記ジョイント突起(110)は球形であり、前記ジョイント受入部(108)は、前記ジョイント突起(110)のための少なくとも1つの中空球状の当接面領域(112)を有し、且つ/又は、
(b)前記位置決め要素(60)は、前記ジョイント受入部(108)を備え、且つ/又は、
(c)前記位置決め要素(60)は、2つの部分で構成され、第1の位置決め要素部(116)と第2の位置決め要素部(118)とを備え、前記第1の位置決め要素部(116)は、前記ジョイント突起(110)のためのジョイント突起座部(120)を有し、前記第2の位置決め要素部(118)は、前記第1の位置決め要素部(116)と前記固定要素(88)との間に配置されて前記ジョイント突起(110)に当接し、特に、前記第2の位置決め要素部(118)は前記固定要素当接面(100)を備え、且つ/又は、
(d)前記ジョイント受入部(108)は、特に前記脛骨プレート(30)の前記下面(36)の面法線に対して、回転対称に構成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項13】
前記シャフト(38)は、複数の部品で構成され、第1のシャフト構成要素(128)と第2のシャフト構成要素(130)とを備え、
前記第1のシャフト構成要素(128)は、前記移植位置において前記位置決め要素(60)上に保持され、
前記第1のシャフト構成要素(128)と前記第2のシャフト構成要素(130)とは、前記移植位置において互いに係合している、
ことを特徴とする請求項3から請求項12のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項14】
前記第1のシャフト構成要素(128)は、第1の接続要素(132)を備え、前記第2のシャフト構成要素(130)は、第2の接続要素(134)を備え、前記第1の接続要素(132)と前記第2の接続要素(134)とは、前記移植位置において、強制ロック式、ポジティブロック式、及び/又は、物質的な結合態様によって、互いに係合され、
特に、
(a)前記第1の接続要素(132)と前記第2の接続要素(134)とのうち、一方は雌ねじ(144)を備え、他方は、前記雌ねじ(144)に対応する雄ねじ(146)を備え、且つ/又は、
(b)前記第1の接続要素(132)は、ナット(154)の形態で構成され、前記第2の接続要素(134)は、前記第2のシャフト構成要素(130)から突出するねじ切りされたボルト部(140)の形態で構成され、且つ/又は、
(c)前記第1の接続要素(132)は、ねじ頭部(138)と、前記ねじ頭部(138)から突出するねじ切りされたボルト部(140)とを有するねじ(136)の形態で構成され、前記第2の接続要素(134)は、前記第2のシャフト構成要素(130)上に形成された止まり穴(142)の形態で構成され、特に、前記ねじ頭部(138)は、前記ジョイント突起(110)を形成している、
ことを特徴とする請求項13に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項15】
前記位置決め要素(60)は、前記第1の接続要素(132)の少なくとも一部を収容するための接続要素受入部(148)と、接続要素穿孔(150)とを備え、前記第1の接続要素(132)又は前記第2の接続要素(134)は、前記移植位置において前記接続要素穿孔(150)を通過し、
特に、
(a)前記固定要素(88)は、前記移植位置において前記接続要素受入部(148)を閉じ、且つ/又は、
(b)前記接続要素受入部(148)は前記ジョイント突起座部(120)を備え、前記第2の位置決め要素部(118)は前記接続要素受入部(148)を閉じる、
ことを特徴とする請求項14に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項16】
前記脛骨プレート(30)の前記下面(36)から位置決めデバイス突起(48)が突出し、前記位置決め要素受入部(58)が前記位置決めデバイス突起(48)に少なくとも部分的に形成されており、
特に、前記下面(36)から、少なくとも1つの安定化突起(50)、特に2つの安定化突起(50)が、前記位置決めデバイス突起(48)から横方向に突出するように、且つ、前記脛骨プレート(30)の前記下面(36)から離れる方向を向くように配置または形成され、
さらに特に、前記少なくとも1つの安定化突起(50)は、直線状または湾曲状に構成され、特に、前方に向かって凸状に湾曲して構成されている、
ことを特徴とする請求項3から請求項15のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項17】
(a)前記脛骨プレート(30)の前記上面(34)及び/又は前記下面(36)は、平面状または略平面状に構成され、且つ/又は、
(b)前記上面(34)は、脛骨関節面(52)の形状に構成されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項18】
大腿骨(22)の遠位端に固定するための少なくとも1つの大腿骨コンポーネント(18)と、脛骨(20)の近位端に固定するための少なくとも1つの脛骨コンポーネント(16)とを備え、前記少なくとも1つの大腿骨コンポーネント(18)と前記少なくとも1つの脛骨コンポーネント(16)とが人工膝関節(10)を形成するように互いに対応して構成された人工膝関節システム(12)であって、
前記少なくとも1つの脛骨コンポーネント(16)は、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント(16)の形態で構成されていることを特徴とし、
特に、
(a)前記人工膝関節(10)は、前記脛骨コンポーネント(16)に結合可能な少なくとも1つの半月板コンポーネント(24)を備え、前記半月板コンポーネント(24)は、前記少なくとも1つの大腿骨コンポーネント(18)と協働する関節面(26)を有し、且つ/又は、
(b)前記人工膝関節システム(12)は、前記脛骨コンポーネント(16)の前記位置決めデバイスに選択的に結合するために、長さ及び/又は断面が異なる複数のシャフト(38)を備える、
ことを特徴とする人工膝関節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工膝関節用の脛骨コンポーネントに関し、脛骨コンポーネントは、上面及び下面を有する脛骨プレートと、前記脛骨コンポーネントを脛骨に固定するために脛骨の髄腔内に挿入されるように前記下面から突出するシャフトとを備え、前記脛骨コンポーネントは、脛骨プレート上のシャフトを複数の異なる位置に特に無段階に位置決めするための位置決めデバイスを備える。
【0002】
本発明はさらに、大腿骨の遠位端に固定するための少なくとも1つの大腿骨コンポーネントと、脛骨の近位端に固定するための少なくとも1つの脛骨コンポーネントとを備えた人工膝関節システムに関し、前記少なくとも1つの大腿骨コンポーネントと前記少なくとも1つの脛骨コンポーネントとが人工膝関節を形成するために互いに対応して構成されている。
【背景技術】
【0003】
冒頭に記載された種類の人工膝関節システムは、患者に適した人工膝関節を移植することによって、患者の損傷した膝関節を置換するために使用される。プロテーゼ(人工器官)の種類は多種多様であるにもかかわらず、移植後に脛骨上に脛骨プレートが最適に設置されない患者は、依然として無視できないほど存在する。特に、脛骨の片側に脛骨プレートが突出する場合がある。その結果、患者には脛骨プレートがエッジとして直接的に不快に認識されるため、患者は移植の結果に不満を抱くことになる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、特により良好な手術結果が可能になるように、冒頭で記載された種類の脛骨コンポーネント及び人工膝関節システムを改良することである。
【発明の概要】
【0005】
この目的を達成するために、本発明によれば、冒頭に説明された種類の脛骨コンポーネントにおいて、上面に平行または略平行に延在する位置決め面に対する平行移動によってシャフトが複数の異なる位置のうちの1つの位置から別の位置へ移動可能であるように位置決めデバイスが構成される。
【0006】
既知の脛骨コンポーネントに対して本発明によって提案される更なる改良により、特に、脛骨プレートに対してシャフトを実質的にそれ自体に平行に、すなわち位置決め面に平行に移動させることが可能になる。これにより、シャフトは、患者のそれぞれの生理学的状況に合わせて脛骨プレート上に最適に配置または位置決めされ得る。このことは、シャフトが挿入されるべき脛骨の髄管が、脛骨プレートが当接するように準備(調整)された脛骨面に対して完全に対称にアライメント調整(位置合わせ)されていない場合に特に有利である。このように、改良された位置決めデバイスを使用することで、特に、仮に髄管が脛骨上面の中央に形成されていなくても、部分切除によって準備(調整)された脛骨上面を脛骨プレートで最適に覆うことが可能になる。これにより、外科医は、まず、例えば、シャフトを髄管内に配置し、脛骨プレートをシャフトに対してアライメント調整(位置合わせ)して、脛骨コンポーネントを脛骨に最適に適合させることができる。
【0007】
好ましくは、前記脛骨コンポーネントは、前記シャフトを移植位置に固定するための固定デバイスを備え、前記固定デバイスは、前記シャフトが前記脛骨プレートに対して前記位置決め面に平行に移動可能、特に変位可能であり、特に前記脛骨プレートに対してアライメント調整(位置合わせ)可能であるようなアライメント位置(位置合わせ位置)から、前記シャフトが前記脛骨プレート上に動かないように保持される前記移植位置へ、移行可能である。これにより、固定デバイスは、特に、アライメント位置にある脛骨コンポーネントを所望の方法で調整すること(すなわち、脛骨プレートに対するシャフトの位置を所望の方法で定めること)を可能にし、続いて、この位置を、固定デバイスをアライメント位置から移植位置に移行することによって、一時的または永久的に固定することができる。続いて、シャフトは脛骨プレート上に動かないように保持される。これにより、特に、脛骨コンポーネントと脛骨との間の安定した接続が確立され得る。
【0008】
有利には、前記位置決めデバイスは、前記脛骨プレート上に形成された位置決め要素受入部と、前記位置決め要素受入部内に配置された位置決め要素とを備える。有利には、前記位置決め要素と前記シャフトとは、互いに結合可能に構成される。有利には、前記位置決め要素受入部は、前記位置決め面に対して垂直に延びる長手方向軸を画定し、前記位置決め要素受入部は、前記アライメント位置にある前記位置決め要素が前記位置決め要素受入部に対して前記位置決め面に平行に変位可能になるように構成および寸法設定される。これにより、特に、アライメント位置にあるシャフトを、脛骨プレートに対して、位置決め面に平行に変位させることが可能になる。特に、位置決め要素とシャフトとが互いに結合可能に構成されているため、この態様で脛骨コンポーネントのモジュール構成も可能である。例えば、長さが異なる複数のシャフトが、患者にとってどのシャフトの長さが最適であるかに応じて、位置決め要素に結合可能である。この場合、シャフトは、所望の位置決めのための特定の態様で構成される必要がない。シャフトの位置決めは、位置決め要素と位置決め要素受入部との互いに対する相対位置によって決定される。
【0009】
好ましくは、前記位置決め要素が前記複数の異なる位置のそれぞれにおいて前記下面から離反する方向に向かって前記脛骨プレートから移動することなく固定されるように、前記位置決め要素受入部が構成および寸法設定される。このことは、特に、位置決め要素受入部が穿孔を備える場合に有利である。これにより、例えば、位置決め要素が、穿孔を通過して、前記下面から離反する方向へ位置決め要素受入部から離れることが防止される。これによって、規定の態様で位置決め要素受入部内に位置決め要素を固定することが可能になる。
【0010】
有利には、前記位置決めデバイスは、前記上面に対する横断方向、特に垂直方向において前記下面から離反する方向に向かって前記位置決め要素が前記位置決め要素受入部に対して移動することを制限するための移動制限デバイスを備える。これにより、移動制限デバイスは、特に、位置決め要素が前記下面から離反する方向に移動し得ることを防止する。
【0011】
前記脛骨プレートに穿孔が形成され、前記穿孔が前記位置決め要素受入部を備え、前記穿孔が、前記位置決め要素と協働して前記上面に向かう方向に作用するストッパを備えることで、位置決めデバイスの構成の簡素化が可能になる。穿孔を用いることで、特に、位置決め要素をシャフトに結合することが可能になる。特に、前記ストッパは、位置決め要素が前記穿孔を通過することを防止し得る。前記ストッパは、位置決め要素受入部内(例えば、位置決め要素が位置決め要素受入部に対して又は位置決め要素受入部内において採用し得る複数の異なる位置のそれぞれ)に、位置決め要素を保持する。
【0012】
有利には、前記位置決め要素受入部は、壁部によって前記下面に向かって区切られており、前記穿孔は、前記位置決め要素受入部を画定する受入部と、前記壁部を貫通する穿孔部とを備える。この構成により、特に、受入部の領域において位置決め要素受入部内に位置決め要素を収容することが可能になる。さらに、位置決め要素は、穿孔部を通過するか、又は、穿孔部内で例えば突起に少なくとも部分的に係合する。位置決め要素受入部内での位置決め面に平行な位置決め要素の動きの限界は、位置決め要素と受入部との協働、又は、位置決め要素と穿孔部との協働のいずれかによって選択的に予め決定され得る。
【0013】
好ましくは、前記長手方向軸に直交する前記受入部の断面積は、前記穿孔部の断面積よりも大きい。これにより、特に、位置決め要素が穿孔(特に穿孔部)を通過することを規制しつつ、位置決め要素受入部内で位置決め要素を位置決め面に平行に変位させることが可能になる。
【0014】
前記壁部が前記ストッパを形成する場合、位置決めデバイスの構成の簡素化が可能になる。これにより、特に、前記壁部は位置決め要素のための保持フランジを形成することができ、前記保持フランジは平面状の停止面を画定する。
【0015】
好ましくは、前記壁部は、前記上面に向かう方向を向いている環状の停止面を画定する。ここでいう環状とは、必ずしも円形を意味するものではない。環状とは、特に、環状の自己完結型の面を意味する。特に、穿孔部は、円形、楕円形、又は多角形(特に、四角形)の断面領域を画定してもよい。環状の停止面は、特に平面構成であってもよく、穿孔を通って移動しないように位置決め要素を固定するために、前記下面とは反対側を向いている位置決め要素の側面と協働する。
【0016】
有利には、前記位置決め要素は、前記穿孔部内に係合するか又は前記穿孔部を通過する位置決め要素突起を備える。位置決め要素突起は、特に、位置決め面に平行な、位置決め要素受入部に対する位置決め要素の移動を制限するのに役立ち得る。これにより、特に、位置決め要素突起は、位置決め面に平行な相対運動を制限するためのストッパを相互に画定するように、穿孔部と協働し得る。
【0017】
好ましくは、前記長手方向軸に直交する前記位置決め要素突起の断面積は、前記穿孔部の断面積よりも小さい。これにより、位置決め要素受入部内において、位置決め要素は、位置決め面と平行に、具体的には、穿孔部によって画定された断面積内で、移動し得る。該移動は、位置決め面内の全方向に可能であるが、位置決め要素突起が穿孔部に当たるまでに限られる。
【0018】
有利には、前記受入部の第1の断面形状と前記穿孔部の第2の断面形状とは、幾何学的に相似であるか又は互いに異なっている。受入部と穿孔部とが、例えば円形で、幾何学的に相似である場合、位置決め要素は、特に、位置決め要素受入部内で回転することも可能である。受入部と穿孔部の断面形状が互いに異なる場合、特に、位置決め要素受入部内での位置決め要素の回転を規定の方法で制限することが可能である。例えば、多角形である位置決め要素突起は、対応する穿孔部と協働することができ、この場合、穿孔部の第2の断面形状が位置決め要素突起の断面形状とは異なる。
【0019】
好ましくは、前記第1の断面形状および/または前記第2の断面形状は、楕円形(特に、円形)、又は、多角形(特に、長方形または正方形)である。既述のように、適切な断面形状を選択することによって、位置決め要素および位置決め要素受入部の動きが所望の態様で制限され得る。
【0020】
さらに好ましい実施形態によれば、前記固定デバイスは、前記移植位置において前記位置決め要素受入部内に前記位置決め要素を移動不能に固定するように構成されてもよい。このような固定デバイスを用いることで、特に、脛骨プレート上、位置決め要素に結合されたシャフトに、位置決め要素を移動不能に位置決めすることができる。
【0021】
有利には、前記固定デバイスは固定要素を備え、前記固定要素は、前記位置決め要素に直接または間接的に当接し、前記移植位置において前記位置決め要素を前記位置決め要素受入部内にクランプ態様(挟持態様)で保持する。このような構成は、例えば、固定ねじ又は固定ナットの形態を有する固定要素によって、簡単な方法で達成され得る。
【0022】
好ましくは、前記移植位置にある前記位置決め要素は、固定要素とストッパとの間にクランプ態様(挟持態様)で保持される。このような構成によれば、特に、脛骨コンポーネントの形成に必要な部品点数が最小限に抑えられ得る。
【0023】
好ましくは、前記固定要素は、雄ねじを有するねじ要素を備え、前記穿孔は、前記脛骨プレートの前記上面から始まるように前記雄ねじに対応して形成された雌ねじを備える。このような構成により、特に、位置決め要素が固定要素とストッパとの間にクランプ態様(挟持態様)で保持されるまで、アライメント位置から移植位置へ位置決め要素を移行させることが、特に、穿孔に固定要素がねじ込まれることによって、簡単な方法で可能になる。さらに、既にシャフトが髄腔に挿入され、脛骨プレートが準備(調整)された脛骨面に対して配置されているときに、外科医は、位置決め要素の位置を簡単な方法で固定することができる。所望の態様でシャフトと脛骨プレートとが相互にアライメント調整(位置合わせ)された場合にのみ、外科医は脛骨コンポーネントをアライメント位置から移植位置に迅速かつ確実に移行させることができる。
【0024】
前記移植位置において、前記固定要素は前記穿孔を閉じることが好ましい。これにより、特に、全体的に閉じられた脛骨プレートの上面が達成され得る。
【0025】
好ましくは、前記固定要素は、前記移植位置において前記位置決め要素に対してクランプ態様(挟持態様)で保持される固定要素クランプ面を有する。特に、位置決め面に平行な方向における固定要素に対する位置決め要素の相対移動を防止するために、固定要素クランプ面は、粗面若しくは凹凸面であってもよく、凹凸のある表面構造を有していてもよい。
【0026】
有利には、前記位置決め要素は、前記移植位置において前記固定要素に当接する特に平面状の固定要素当接面を有する。これにより、特に、移植位置における固定要素と位置決め要素との間の最適なクランプ(挟持)が達成され得る。
【0027】
脛骨プレート上において、シャフトは、脛骨プレートから、特に垂直に又は所定の不変の角度で突出し得る。特に、シャフトは、この態様で位置決め要素から突出し得る。脛骨プレートに対するシャフトの最適なアライメント調整(位置合わせ)を可能にするために、前記シャフトは、前記シャフトの長手方向軸を中心として旋回可能且つ/若しくは回転可能なように前記脛骨プレート上に取り付けられることが好ましい。特に、この構成により、脛骨プレートに対するシャフトの所望のアライメント調整(位置合わせ)が可能になる。例えば、シャフトは、無段階に旋回可能且つ/又は回転可能であるように脛骨プレート上に取り付けられてもよい。あるいは、シャフトは、特に、脛骨プレートに対するシャフトの所定の複数の旋回位置および/または回転位置(例えば、戻り止めされた旋回位置または回転位置)を事前に決定することも可能である。これにより、脛骨プレートに対してシャフトを複数の異なる方向に向けることが可能になるが、無段階の態様ではない。以上のような脛骨プレート上へのシャフトの特別な取り付けの結果として、特に、患者の脛骨の髄腔に解剖学的に正確にシャフトを挿入できるように、シャフトを常に最適にアライメント調整(位置合わせ)することが可能になる。これにより、特に、シャフトと髄腔を画定する脛骨の骨面との衝突が防止され得る。したがって、特に、脛骨コンポーネントのシャフトは、前後方向および内外方向(横方向)の両方に任意の態様で方向づけられ得る。したがって、特に、脛骨の内側皮質上の髄腔内のシャフトの圧力またはエッジ負荷によって引き起こされる応力ピークが最小限に抑えられ得る。脛骨コンポーネントのシャフトを最適にアライメント調整(位置合わせ)する上述の機能により、特に人工膝関節のいわゆるキネマティックアライメント(運動学的アライメント)が、例えばそれぞれの各患者において達成され得る。特に、これにより、患者の膝の靱帯を部分的に切断して靱帯の張力を低下させることなく、自然で安定した関節包靱帯の張力を維持することが可能となる。したがって、上記のいわゆる「リリース」は必要ない。
【0028】
好ましくは、前記シャフトは、前記脛骨プレートの対称面の領域に配置若しくは形成される。このような位置決めデバイスの構成により、特に、患者の要求に応じて、シャフトを対称面内で移動させたり、対称面から外れるように移動させたりすることができる。
【0029】
有利には、シャフトは、前記脛骨プレートの前記下面の中央領域若しくは中心領域に配置若しくは形成される。これにより、脛骨プレートに対するシャフトの基本位置が予め決定され得る。この基本位置から開始して、患者の生理機能に応じて、脛骨プレートに対するシャフトの調整またはアライメント調整(位置合わせ)が実行され得る。
【0030】
前記シャフトが前記シャフトの長手方向軸に対して回転対称または実質的に回転対称に構成される場合、脛骨コンポーネントが簡単な方法で形成され得る。
【0031】
前記シャフトが関節式で前記脛骨プレート上に取り付けられている場合、脛骨プレートに対するシャフトの旋回、又は、シャフトの長手方向軸周りの回転が、簡単な態様でなされ得る。特に、シャフトは、ヒンジジョイント式又はボールジョイント式で取り付けられてもよい。脛骨プレートに対するシャフトの変位性に加えて、このような軸受によって、特に、脛骨プレートに対してシャフトを旋回させることが可能になる。
【0032】
さらに好ましい実施形態によれば、前記脛骨コンポーネントは、第1のジョイント要素(第1の関節要素)と第2のジョイント要素(第2の関節要素)とを有するジョイントデバイス(関節デバイス)を備え、前記第1のジョイント要素は、前記脛骨プレート上に配置または形成され、前記第2のジョイント要素は、前記シャフト上に配置または形成され、前記第1のジョイント要素と前記第2のジョイント要素とは、関節式に互いに係合するようにしてもよい。このようなジョイントデバイス(関節デバイス)により、特に、互いに係合して協働するジョイント要素(関節要素)の所定の旋回および/または回転が可能になる。特に、ジョイントデバイス(関節デバイス)は、ジョイント要素(関節要素)間にヒンジジョイント接続またはボールジョイント接続を確立するように構成されてもよい。
【0033】
好ましくは、前記第1のジョイント要素は、ジョイント受入部の形態で構成され、前記第2のジョイント要素は、前記ジョイント受入部に係合するジョイント突起(ジョイント突出部)の形態で構成される。このように構成されたジョイントデバイス(関節デバイス)によって、簡単な方法で該ジョイントデバイスを製造することができ、特に、脛骨プレートに対するシャフトの柔軟なアライメント調整(位置合わせ)が可能になる。
【0034】
好ましくは、前記ジョイント突起は球形であり、前記ジョイント受入部は、前記ジョイント突起のための少なくとも1つの中空球状の当接面を有する。この構成により、特に、協働するジョイント要素とのボールジョイント接続を簡単な方法で形成することが可能になる。したがって、ジョイントボールを備えたシャフトは、ジョイント受入部内のその長手方向軸に対して簡単な方法で360°回転することができ、また、脛骨プレートの下面の面法線に対して、好ましくは所定の角度範囲内で旋回することもできる。この角度範囲は、特に、シャフト上及び/又は脛骨プレート上の適切なストッパによって制限されてもよい。
【0035】
前記位置決め要素が前記ジョイント受入部を備える場合、特に、位置決めデバイスがコンパクトな態様で構成され得る。
【0036】
有利には、前記位置決め要素は、2つの部分(部品)で構成され、第1の位置決め要素部(第1の位置決め部品)と第2の位置決め要素部(第2の位置決め部品)とを備え、前記第1の位置決め要素部は、前記ジョイント突起のためのジョイント突起座部(ジョイント突出部座部)を有し、前記第2の位置決め要素部は、前記第1の位置決め要素部と前記固定要素との間に配置されて前記ジョイント突起に当接する。このような構成により、特に、2つの位置決め要素部の間にジョイント突起をクランプ(挟持)することにより、移植位置において位置決め要素に関節式に取り付けられたシャフトを簡単に固定することが可能になる。
【0037】
好ましくは、前記第2の位置決め要素部は前記固定要素当接面を備える。特に、前記固定要素当接面は、所定の態様で常にジョイント突起に当接するように、ジョイント突起の輪郭に適合されてもよい。
【0038】
前記ジョイント受入部が回転対称に構成される場合、脛骨コンポーネントは簡単な方法で形成され得る。特に、前記ジョイント受入部は、前記脛骨プレートの前記下面の面法線に対して、回転対称に構成されてもよい。
【0039】
さらに好ましい実施形態によれば、前記シャフトは、複数の部品で構成され、第1のシャフト構成要素(第1のシャフト部品)と第2のシャフト構成要素(第2のシャフト部品)とを備え、前記第1のシャフト構成要素は、前記移植位置において前記位置決め要素上に保持され、前記第1のシャフト構成要素と前記第2のシャフト構成要素とは、前記移植位置において互いに係合している。この構成により、特に、脛骨コンポーネントをモジュール式に構成することが可能になる。これによって、特に、第1のシャフト構成要素は、常に同一の構成とされてもよい。モジュール式の人工膝関節システムでは、脛骨コンポーネントを患者の脛骨に最適に固定できるようにするために、第2のシャフト構成要素は、例えば、複数の異なる長さ及び/又は複数の異なる直径において提供されてもよい。
【0040】
前記第1のシャフト構成要素が第1の接続要素を備え、前記第2のシャフト構成要素が第2の接続要素を備え、前記第1の接続要素と前記第2の接続要素とが、前記移植位置において、強制ロック式、ポジティブロック式、及び/又は、物質的な結合態様によって、互いに係合される場合、シャフトはモジュール式で簡単に構成され得る。特に、移植位置において互いに係合される2つのシャフト構成要素は、強制ロック式、ポジティブロック式、及び/又は、物質的な結合態様で互いに接続されることによって、分離位置から移植位置へ移行可能になる。特に、この接続は、もはや解除できないように構成されてもよい。これにより、特に、脛骨コンポーネントの安定性が向上され得る。
【0041】
前記第1の接続要素と前記第2の接続要素とのうち、一方は雌ねじを備え、他方は、前記雌ねじに対応する雄ねじを備える場合、シャフトは簡単な方法で形成され得る。上述のように構成された2つの接続要素は、一方または他方のシャフト構成要素上に選択的に配置または形成されてもよい。
【0042】
有利には、前記第1の接続要素は、ナットの形態で構成され、前記第2の接続要素は、前記第2のシャフト構成要素から突出するねじ切りされたボルト部の形態で構成される。これにより、前記ねじ切りされたボルト部に前記ナットをねじ込むことによって、2つのシャフト構成要素が互いに結合され得る。
【0043】
有利には、前記第1の接続要素は、ねじ頭部と、前記ねじ頭部から突出するねじ切りされたボルト部とを有するねじの形態で構成され、前記第2の接続要素は、前記第2のシャフト構成要素上に形成された止まり穴の形態で構成される。例えば、前記止まり穴に雌ねじが設けられている場合、2つのシャフト構成要素を互いに接続するために、前記ねじは、前記ねじ切りされたボルト部において、前記止まり穴にねじ込まれ得る。
【0044】
有利には、前記ねじ頭部が前記ジョイント突起を形成する。これにより、特に、前記ねじ、具体的には、そのねじ頭部を前記位置決め要素に関節式(特に、ボールジョイント式)で結合することが可能になる。
【0045】
さらに好ましい実施形態によれば、前記位置決め要素は、前記第1の接続要素の少なくとも一部を収容するための接続要素受入部と、接続要素穿孔とを備え、前記第1の接続要素又は前記第2の接続要素は、前記移植位置において前記接続要素穿孔を通過するようにしてもよい。この構成により、特に、移植位置において2つのシャフト構成要素を位置決め要素に結合することが可能になり、特に、第2のシャフト構成要素と2つの接続要素のうちの一方との間に位置決め要素が配置されるような態様で、当該結合がなされ得る。これにより、特に、これらの間のクランプ接続(挟持接続)が確立され得る。特に、移植位置にある第1の接続要素は、接続要素受入部内に完全に収容され得る。特に、移植位置において第1の接続要素に対して固定要素が押し付けることが防止され得る。
【0046】
特に、移植位置における第1の接続要素を損傷から保護するために、前記固定要素が前記移植位置において前記接続要素受入部を閉じると有利である。
【0047】
さらに、場合によっては、前記接続要素受入部が前記ジョイント突起座部を備え、前記第2の位置決め要素部が前記接続要素受入部を閉じることが好ましい。これにより、特に、例えば、シャフトと脛骨プレートとの間の関節接続が望ましい場合に、脛骨コンポーネントの構造のコンパクト化が可能になる。
【0048】
有利には、前記脛骨プレートの前記下面から位置決めデバイス突起が突出し、前記位置決め要素受入部が前記位置決めデバイス突起に少なくとも部分的に形成される。位置決めデバイス突起によって、特に、所定の態様(特に、保護的な態様)で位置決め要素を脛骨プレート上に位置決めすることが可能になる。
【0049】
脛骨コンポーネントの脛骨への安定した固定(特に、回転に対する固定を含むもの)のために、前記下面から、少なくとも1つの安定化突起が、前記位置決めデバイス突起から横方向に突出するように、且つ、前記脛骨プレートの前記下面から離れる方向を向くように配置または形成されると有利である。特に、そのような安定化突起(50)が2つ設けられてもよい。例えば、少なくとも1つの安定化突起は、長手方向軸を含む対称面に関して鏡面対称に構成されてもよい。例えば、前記2つの安定化突起は、これらの間に180°未満の角度をつけて配置されてもよい。
【0050】
前記少なくとも1つの安定化突起が直線状または湾曲状に構成されると有利である。特に、前記少なくとも1つの安定化突起は、前方に向かって凸状に湾曲して構成されもよい。これにより、脛骨プレートの脛骨への固定(特に、脛骨に対する回転に対する固定)が改善され得る。
【0051】
特に、前記上面の上の半月板コンポーネントと平面状に準備(調整)された脛骨とに対して、最適な当接面を提供するために、前記脛骨プレートの前記上面及び/又は前記下面は、平面状または略平面状に構成されると有利である。
【0052】
前記上面は、脛骨関節面の形状に構成されることが好ましい。例えば、脛骨関節面は、大腿骨コンポーネントにおける対応する関節面と直接相互作用し得る。ただし、半月板コンポーネントを脛骨関節面に取り付けることも可能であり、この場合、前記半月板コンポーネントは、人工膝関節の大腿骨コンポーネントと協働するように構成されてもよい。
【0053】
冒頭に記載の目的は、本発明に係る人工膝関節システムによってさらに達成される。該発明は、冒頭に記載の種類の人工膝関節システムにおいて、少なくとも1つの脛骨コンポーネントが上述の脛骨コンポーネントのうちの1つの形態で構成されるものである。
【0054】
このような人工膝関節システムは、特に、脛骨コンポーネントの好ましい実施形態に関連して上述された利点を有する。例えば、人工膝関節システムをモジュール式に構成することも可能である。例えば、形状および/または大きさが互いに異なる、複数の異なる脛骨プレートが提供されてもよい。これにより、外科医は患者にとって移植に最も適した脛骨コンポーネントを選択できるようになる。
【0055】
有利には、前記人工膝関節は、前記脛骨コンポーネントに結合可能な少なくとも1つの半月板コンポーネントを備え、前記半月板コンポーネントは、前記少なくとも1つの大腿骨コンポーネントと協働する関節面を有する。これにより、特に、種類の異なる複数の人工膝関節を形成するために、半月板コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨コンポーネントとの間に配置することが可能になる。例えば、半月板コンポーネントは、脛骨上に動かないように配置または取り付けられてもよい。ただし、半月板コンポーネントを脛骨コンポーネントに移動可能に結合することも考えられる。ここで、あらゆる種類の可能な結合および相対運動(特に、半月板コンポーネントと脛骨コンポーネントとの互いに対する旋回運動および/または変位運動)が考えられる。例えば、半月板コンポーネントは、脛骨コンポーネントの平面状の上面と協働するように構成された平面状の下面を有してもよい。
【0056】
患者に最も適した人工膝関節を患者に移植できるようにするために、前記人工膝関節システムは、前記脛骨コンポーネントの前記位置決めデバイスに選択的に結合するための、長さ及び/又は断面が異なる複数のシャフトを備えることが好ましい。特に、これらのシャフトは、位置決めデバイスの位置決め要素とさまざまな態様で結合され得る。これにより、特に、アライメント位置にあるシャフトが、脛骨プレートに対して、位置決め面に平行に変位可能であるだけでなく、脛骨プレート上で旋回可能でもあるように、人工膝関節が作成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
以下、さらなる説明のために、本発明の好ましい実施形態が、以下の図面と併せて説明される。
【0058】
図1】患者の変性した膝関節を置換する一実施形態に係る人工膝関節システムの人工膝関節の概略的な全体斜視図を示す。
図2図1に示される実施形態に係る人工膝関節の、部分的に破断された概略的な分解斜視図を示す。
図3図2に示される実施形態に係る脛骨コンポーネントの概略的な分解斜視図を示す。
図4図3の4-4線に沿った断面図を示す。
図5】脛骨プレートに対してシャフトが基本位置から逸らされている図4と同様の図を示す。
図6図4の6-6線に沿った断面図を示す。
図7】脛骨プレートに対してシャフトが基本位置から逸らされている図6と同様の断面図を示す。
図8図6のA部の拡大図を示す。
図9】別の実施形態に係る脛骨コンポーネントの、図6と同様の概略断面図を示す。
図10】脛骨プレートに対してシャフトが基本位置から逸らされている図9と同様の概略断面図を示す。
図11】別の実施形態に係る脛骨コンポーネントの、図9と同様の概略断面図を示す。
図12】脛骨プレートに対してシャフトが基本位置から逸らされている図11と同様の概略断面図を示す。
図13】別の実施形態に係る脛骨コンポーネントの上面の概略的な部分破断平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1には、第1の実施形態に係る人工膝関節システム12の人工膝関節10が概略的に示されている。人工膝関節10は、患者の膝14における変性した天然の膝関節の代替物として移植される。
【0060】
人工膝関節10は、脛骨コンポーネント16と、脛骨コンポーネント16と協働する大腿骨コンポーネント18とを備える。脛骨コンポーネント16は、脛骨20の準備(調整)された近位端に固定されるように構成されている。大腿骨コンポーネント18は、大腿骨22の準備(調整)された遠位端に固定されるように構成されている。脛骨コンポーネント16及び大腿骨コンポーネント18は、人工膝関節10を形成するように互いに対応して構成される。
【0061】
図1及び図2に示す実施形態に係る人工膝関節10は、脛骨コンポーネント16と大腿骨コンポーネント18との間に配置される半月板コンポーネント24を任意選択的に備える。以下に詳細に説明される実施形態において、半月板コンポーネント24は、脛骨コンポーネント16に固定されてもよいし、脛骨コンポーネント16に対して移動可能であってもよい。
【0062】
半月板コンポーネント24は、大腿骨コンポーネント18と協働する関節面26を有する。関節面26は、大腿骨コンポーネント18によって画定される顆面28に当接する。顆面28は、関節面26上で転動可能であり、且つ/又は、関節面26に沿って摺動可能である。
【0063】
脛骨コンポーネント16は、脛骨プレート30を備える。脛骨プレート30は、平面視において、対称面32に対して鏡面対称の構成であり、略U字形または腎臓形(インゲンマメ形)の構成である。脛骨プレート30は、互いに反対方向を向いた上面34及び下面36を画定する。
【0064】
下面36からシャフト38が突出している。シャフト38は、脛骨コンポーネント16を脛骨20に固定するために、図1に破線で概略的に描かれている脛骨20の髄腔40内に固定されるように構成されている。
【0065】
シャフト38は、脛骨プレート30上で、且つ/又は、シャフト38によって画定される長手方向軸42の周りに、旋回可能である。これについては、以下でさらに詳しく説明される。
【0066】
脛骨コンポーネント16は、脛骨プレート30上のシャフト38を複数の異なる位置に位置決めするための位置決めデバイス44を備える。この目的のために、シャフト38が、上面34に平行または実質的に平行に延びる位置決め面46に対する平行移動によって、前記複数の異なる位置のうちの1つの位置から別の位置へ移行(移動)可能であるように、位置決めデバイス44が構成されている。図1図8に概略的に示される実施形態に係る脛骨コンポーネント16は、脛骨プレート30の下面36から突出する位置決めデバイス突起48を備える。位置決めデバイス突起48は、位置決めデバイス44の一部を形成する。
【0067】
下面36からは、2つの安定化突起50が、位置決めデバイス突起48から横方向に延び且つ下面36から離れる方向に延びるように突出している。図示された実施形態において、安定化突起50は、湾曲形状、具体的には、前方に向かって凸状に湾曲した形状である。
【0068】
ただし、図示されていない実施形態において、安定化突起は、直線状の構成であってもよく、特に、安定化突起は、対称面32に対して垂直な面内に延在してもよい。
【0069】
図1図8に示す実施形態において、脛骨プレート30の上面34及び下面36は、平面状または実質的に平面状の構成である。
【0070】
上面34は、脛骨関節面52の形状に構成されている。半月板コンポーネント24が脛骨コンポーネント16上に移動可能に取り付けられているとき、前記脛骨関節面52は、半月板コンポーネント24の下面54との滑り対(sliding pairing)を形成する。
【0071】
脛骨コンポーネント16は、図1に概略的に示されるように、シャフト38を移植位置に固定するための固定デバイス56をさらに備える。固定デバイス56は、図2に概略的に示されているように、アライメント位置(位置合わせ位置)から移植位置へ移行(移動)可能である。
【0072】
アライメント位置において、シャフト38は、脛骨プレート30に対して、位置決め面46に平行に移動可能である。図1図8に示す実施形態では、シャフト38は、位置決め面46に平行に脛骨プレート30に対して変位可能であり、且つ、以下に説明されるように、位置決め面46に対して旋回可能である。
【0073】
位置決めデバイス44は、脛骨プレート30上に形成された位置決め要素受入部58を備える。位置決め要素受入部58は、位置決めデバイス突起48において部分的に形成されている。
【0074】
位置決めデバイス44の位置決め要素60は、位置決め要素受入部58内に収容される。位置決め要素60及びシャフト38は、互いに結合可能に構成されている。さらに、位置決め要素受入部58は、位置決め面46に対して垂直に延びる長手方向軸62を画定している。長手方向軸62は、対称面32内に位置する。
【0075】
また、アライメント位置における位置決め要素60が位置決め要素受入部58に対して位置決め面46に平行に変位可能であるように、位置決め要素受入部58が構成され、寸法設定されている。
【0076】
本実施形態では、位置決め要素受入部58内の脛骨プレート30に対して位置決め要素60が採用し得る複数の異なる位置のうちのそれぞれにおいて、位置決め要素60が、脛骨プレート30から離れる方向への動き(すなわち、下面36から離れる方向への動き)に対して固定されるように、位置決め要素受入部58が構成され、寸法設定されている。このことは、特に、移動制限デバイス64によって達成される。移動制限デバイス64は、位置決め要素受入部58に対する位置決め要素60の、上面34を横断する方向(具体的に、図1図8に示す実施形態では上面34に垂直な方向)に沿った、下面36から離れる動きを制限するように構成されている。
【0077】
脛骨プレート30には、位置決め要素受入部58を構成する穿孔66が形成されている。穿孔66は、位置決め要素60と協働して上面34に向かう方向に作用するストッパ68を備える。
【0078】
ストッパ68は、下面36において位置決め要素受入部58の境界を定める壁部70によって形成されている。
【0079】
穿孔66は、位置決め要素受入部58を画定する受入部72と、壁部70を貫通する穿孔部74とを備える。長手方向軸62に直交する受入部72の断面積は、穿孔部74の断面積よりも大きい。このようにして、特に図8でよく分かるように、上面34に向かう方向を向いている壁部70の壁面78によって、平面状の停止面76が画定されている。図1図8に示す実施形態において、停止面76は環状に構成されている。
【0080】
位置決め要素60は、穿孔部74内に係合するか又は穿孔部74を貫通する位置決め要素突起80を備える。長手方向軸62に直交する位置決め要素突起80の断面積は、穿孔部74の断面積よりも小さい。このような寸法設定により、位置決め要素受入部58内で位置決め要素60を位置決め面46に平行に移動させること(具体的には、図7に概略的に示すように、位置決め要素突起80が壁部70に当たるまで移動させること)が可能になる。これにより、位置決め要素突起80は、穿孔部74と協働して、長手方向軸62に対する垂直方向への位置決め要素60の動きを制限する。
【0081】
位置決め要素60が穿孔部74の領域で穿孔66を通過することを防止するために、停止面76の幅82は、停止面76に当接する位置決め要素60の環状面86の幅84よりも小さい。
【0082】
図1図8に示す実施形態において、受入部72の第1の断面形状と穿孔部74の第2の断面形状とは、幾何学的に相似である。本実施形態において、受入部72の第1の断面形状と穿孔部74の第2の断面形状とは、円形である。
【0083】
代替の実施形態において、受入部72の第1の断面形状と穿孔部74の第2の断面形状とは、互いに異なる。特に、受入部72の第1の断面形状及び/又は穿孔部74の第2の断面形状は、楕円形または多角形であってもよい。特に、多角形の断面形状は、長方形または正方形であってもよい。
【0084】
図13に概略的に示されているのは、受入部72と穿孔部74とが幾何学的に相似であり、それぞれ正方形の断面形状を有する一実施形態に係る脛骨コンポーネント16の平面図である。他方、位置決め要素60は、位置決め要素突起80と同様に円形の断面形状を有する。
【0085】
例えば図13に示されるのと同様に、位置決め要素60、位置決め要素突起80、受入部72、及び穿孔部74の断面形状は、任意の態様で互いに組み合わせられ得る。最終的には、位置決め要素60が、アライメント位置において位置決め面46に平行に位置決め要素受入部58内で移動可能であり、且つ、いかなる位置においても穿孔部74を通過できないように、位置決め要素60の断面寸法が保証されることのみが必要になる。したがって、位置決め要素突起80の外形寸法および穿孔部74の内部の断面積も、同様のことを可能にするような寸法に設定される必要がある。
【0086】
図1図8に示す実施形態において、固定デバイス56は、位置決め要素受入部58内の位置決め要素60を移植位置に移動不能に固定するように構成されている。このことを達成するために、固定デバイス56は固定要素88を備える。固定要素88は、移植位置において位置決め要素60に直接当接し、移植位置において位置決め要素60を位置決め要素受入部58内にクランプ態様(具体的には、固定要素88とストッパ68との間にクランプされる(締め付けられるように挟み込まれる)態様)で保持する。
【0087】
固定要素88は、雄ねじ92を有するねじ要素90を備える。穿孔66には、雄ねじ92に対応する雌ねじ94が脛骨プレート30の上面34から始まるように設けられている。この構成の結果として、円盤状の固定要素88が上方から穿孔66にねじ込まれ得る。このことを容易にするために、多角形ソケットの形態の工具要素受入部96が固定要素88上に形成され、前記多角形ソケットは上面34から離れる方向に向かって開放している。したがって、工具要素受入部96に対応する多角形の外形のツールエンド(工具端部)を有するねじ込み工具が、固定要素88を穿孔66にねじ込むのに使用され得る。
【0088】
図6図8に概略的に示されるように、固定要素88は、移植位置において穿孔66を閉じる。
【0089】
固定要素88は、固定要素クランプ面98を有する。固定要素クランプ面98は、移植位置において、クランプ態様(挟み込みによる締め付け態様)で位置決め要素60に対して保持される。ここで、固定要素クランプ面98は、位置決め要素60の固定要素当接面100に当接する。
【0090】
図1図8の実施形態において、シャフト38は、旋回可能であり、且つ、シャフト38の長手方向軸42の周りに回転可能であるように脛骨プレート30に取り付けられている。ただし、シャフト38は、アライメント位置においてのみ脛骨プレート30に対して旋回可能である。
【0091】
シャフト38は、対称面32の領域において脛骨プレート30上に配置される。シャフト38の長手方向軸42が位置決めデバイス44の長手方向軸62に一致しなくなるように、又は、シャフト38の長手方向軸42が対称面32から逸らされて対称面32に対して傾くように、シャフト38は、アライメント位置において位置決め面46に平行に変位され得る。
【0092】
脛骨コンポーネント16の基本位置において、長手方向軸42と長手方向軸62とは一致する。
【0093】
簡単な方法で脛骨コンポーネント16を脛骨20の髄腔40に固定できるようにするために、シャフト38は、脛骨プレート30の下面36の中央領域または中心領域に配置される。
【0094】
シャフト38は、その長手方向軸42に対して回転対称または実質的に回転対称に構成されている。
【0095】
脛骨プレート30に対してシャフト38を旋回させるために、シャフト38は、関節式に脛骨プレート30に取り付けられる。図1図8に示す実施形態では、ボールジョイント式の取り付けが提供されている。あるいは、図示しない実施形態において、シャフト38は、ヒンジ式で脛骨プレート30に取り付けられてもよい。
【0096】
関節式にシャフト38を脛骨プレート30に取り付けるために、脛骨コンポーネント16はジョイントデバイス(関節デバイス)102を備える。ジョイントデバイス102は、第1のジョイント要素(第1の関節要素)104と第2のジョイント要素(第2の関節要素)106とを備える。第1のジョイント要素104は、脛骨プレート30上に配置または形成される。第2のジョイント要素106は、シャフト38上に配置または形成される。
【0097】
第1のジョイント要素104と第2のジョイント要素106とは、互いに対応して形成され、関節式に互いに係合される。図1図8に概略的に示される実施形態において、第1のジョイント要素104は、ジョイント受入部108の形態で構成されている。第2のジョイント要素106は、ジョイント受入部108に係合するジョイント突起(ジョイント突出部)110の形態で構成されている。
【0098】
図1図8に概略的に示される実施形態において、ジョイント突起110は、球形に構成されている。ジョイント受入部108は、ジョイント突起110のための中空球状の当接面領域112を備える。
【0099】
当接面領域112によって画定される半径114は、球形のジョイント突起110の半径に一致する。
【0100】
特に図6図8から分かるように、位置決め要素60は、ジョイント受入部108を備える。この構成により、位置決め要素60へのシャフト38のボールジョイント接続、ひいては脛骨プレート30へのシャフト38のボールジョイント接続が可能になる。
【0101】
図1図8の実施形態において、位置決め要素60は、2つの部分(部品)で構成されており、第1の位置決め要素部116と第2の位置決め要素部118とを備える。
【0102】
第1の位置決め要素部116は、ジョイント突起110のためのジョイント突起座部(ジョイント突出部座部)120を備える。第2の位置決め要素部118は、第1の位置決め要素部116と固定要素88との間に配置される。さらに、第2の位置決め要素部118は、ジョイント突起110に対して、例えば、中空球状の凹部122において当接する。凹部122の半径は、ジョイント突起110の半径114に一致する。凹部122は、環状の当接面124によって囲まれており、この当接面124は、第1の位置決め要素部116の環状の当接面126に当接する。当接面124,126は、位置決め面46に平行に延在している。
【0103】
本実施形態において、第2の位置決め要素部118は、固定要素当接面100を備える。
【0104】
図1図8の実施形態において、ジョイント受入部108は、例えば長手方向軸62に対して、回転対称に構成されている。長手方向軸62は、脛骨プレート30の下面36の面法線を画定している。
【0105】
図1図8の実施形態において、シャフト38は、複数の部品で構成されている。シャフト38は、第1のシャフト構成要素(第1のシャフト部品)128と第2のシャフト構成要素(第2のシャフト部品)130とを備える。移植位置における第1のシャフト構成要素128は、位置決め要素60上に保持される。移植位置において、第1のシャフト構成要素128と第2のシャフト構成要素130とは、互いに係合している。当該係合は、例えば、強制ロック式、ポジティブロック式、及び/又は、物質的な結合態様によってなされる。
【0106】
第1のシャフト構成要素128と第2のシャフト構成要素130との間の接続を確立するために、第1の接続要素132が、第1のシャフト構成要素128上に配置または形成されている。第2のシャフト構成要素130は、第2の接続要素134を備える。接続位置において、第1の接続要素132と第2の接続要素134とは、例えば、強制ロック式、ポジティブロック式、及び/又は、物質的な結合態様によって、互いに係合される。
【0107】
図1図8の実施形態において、第1の接続要素132は、ねじ136の形態で構成されている。ねじ136は、ねじ頭部138と、ねじ頭部138から突出するねじ切りされたボルト部140とを有する。第2の接続要素134は、第2のシャフト構成要素130上に形成された止まり穴142の形態で構成されている。止まり穴142は、ねじ切りされたボルト部140の雄ねじ146に対応する雌ねじ144を有する。止まり穴142は、長手方向軸42と同軸に形成されている。図1図8の実施形態において、ねじ頭部138は、ジョイント突起110を形成している。
【0108】
位置決め要素60は、接続要素受入部148を備える。接続要素受入部148は、第1の接続要素132の一部(具体的には、ジョイント突起110)を収容するように構成されている。
【0109】
位置決め要素60は、接続要素穿孔150を更に備える。移植位置において、第1の接続要素132は、ジョイント突起110の一部(すなわち、ねじ切りされたボルト部140)において、接続要素穿孔150を通過する。
【0110】
図1図8の実施形態において、接続要素受入部148は、ジョイント突起座部120を備える。第2の位置決め要素部118は、移植位置において接続要素受入部148を閉じる。
【0111】
以下、図1図8に関連してより詳細に人工膝関節システム12の機能が説明される。
【0112】
脛骨20及び大腿骨22は、患者の損傷した膝関節を置換するために準備(調整)される。患者の生理学的状況に適合した脛骨コンポーネント16及び大腿骨コンポーネント18が選択されて骨に固定される。
【0113】
選択された脛骨コンポーネント16を最適に適合させるためには、まず、最適な大きさを決定するために、脛骨プレート30が、脛骨20の準備(調整)された骨面に対して配置される。必要に応じて、脛骨20の形状および大きさにより適した脛骨プレート30が選択される。
【0114】
続いて、第1の位置決め要素部116が位置決め要素受入部58に挿入される。具体的に、この挿入は、第1の位置決め要素部116に形成された位置決め要素突起80が穿孔部74に係合するようになされる。ここで、第1の接続要素132は、ねじ切りされたボルト部140とともに位置決め要素受入部58内に挿入され、球形のジョイント突起110がジョイント突起座部120に当接するまで、接続要素穿孔150を通過し得る。
【0115】
ここで、第2の位置決め要素部118は、凹部122がジョイント突起110に当たるように配置され得る。次に、固定要素88が穿孔66にねじ込まれ得る。ただし、固定要素88は、位置決め要素60間の移動が不可能なほどにはねじ込まれない。位置決め要素60が位置決め要素受入部58内で位置決め面46に平行に変位可能であるアライメント位置において、第1の接続要素132は、脛骨プレート30上で所望の態様で位置決め及びアライメント調整(位置合わせ)され得る。
【0116】
長さ及び直径において髄腔40に適した第2のシャフト構成要素130が、モジュール式の人工膝関節システム12から選択され、第1のシャフト構成要素128に接続される。
【0117】
このようにしてアライメント位置で脛骨プレート30に結合されたシャフト38が所望の態様でアライメント調整(位置合わせ)されるとき(すなわち、特に対称面32から外側に旋回され、任意に対称面32に対して相対的に変位されるとき)、固定要素88が第2の位置決め要素部118をジョイント突起110に押し付け、ジョイント突起110をジョイント突起座部120にクランプ態様(挟み込みによる締め付け態様)で押し付けるまで、固定要素88がさらにねじ込まれる。ここで、脛骨コンポーネント16は、移植位置を採用する。シャフト38は、脛骨プレート30上に移動不能に保持されている。
【0118】
図9図12には、2つのさらなる実施形態に係る人工膝関節システム12の脛骨コンポーネント16が概略的に示されている。これらの実施形態の構造設計は、図1図8に概略的に示される実施形態に係る脛骨コンポーネント16と非常に類似しているため、同一又は機能的に同等の要素には、図1図8の実施形態と同じ参照符号が付されている。
【0119】
図9図12の実施形態は、位置決め要素60、シャフト構成要素128,130を有するシャフト38、及び、接続要素132,134の構成において、図1図8の実施形態に係る脛骨コンポーネントとは異なる。
【0120】
また、図9図12の実施形態におけるシャフト38は、アライメント位置では脛骨プレート30上で旋回可能ではないことにも留意されたい。シャフト38は、特に基本位置から逸れた位置に向かって、位置決め面46に対して平行にのみ移動可能である。前記基本位置において、長手方向軸42は、脛骨プレート30の対称面32内に位置し、前記逸れた位置において、長手方向軸42は、対称面32に対して平行に変位されている。前記基本位置は、図9及び図11にそれぞれ模式的に示され、前記逸れた位置は、図10及び図12に示されている。
【0121】
図11及び図12の実施形態は、図1図8の実施形態に係る脛骨コンポーネント16に最も類似している。図11及び図12の実施形態においても、第1の接続要素132は、ねじ136の形態で構成される。しかしながら、位置決め要素60は、一体構造であり(1つの部品で構成されており)、接続要素受入部148を有する。接続要素受入部148は、固定要素当接面100から始まる凹部を位置決め要素60内に形成している。接続要素受入部148は、ねじ136のねじ頭部138を収容可能な寸法である。
【0122】
穴の形態の接続要素穿孔150が、長手方向軸42と同軸に位置決め要素60上に形成されている。接続要素穿孔150には、ねじ136のシャンク部152が通過される。シャンク部152には雄ねじが形成されていない。ねじ136の遠位端の領域(シャンク部152よりも遠位側の領域)は、ねじ切りされたボルト部140の形態で構成されている。ねじ切りされたボルト部140は、第2のシャフト構成要素130における止まり穴142の雌ねじ144に対応する雄ねじを有する。これにより、ねじ136の形態の第1の接続要素132は、第1のシャフト構成要素128を形成している。
【0123】
脛骨コンポーネント16を取り付けるために、位置決め要素60は、まず、脛骨プレートの上面34から位置決め要素受入部58内に導入される。この導入は、例えば、位置決め要素突起80が穿孔部74に係合するような態様でなされる。ここで、ねじ136は、ねじ切りされたボルト部140が前方に位置する向きで接続要素穿孔150に通されるように、ねじ頭部138が接続要素受入部148内に受け入れられるまで押し込まれ得る。
【0124】
ここで、第2のシャフト構成要素130は、ねじ136にねじ込まれ得る。最後に、固定要素88は、固定要素クランプ面98が固定要素当接面100に当接するまで、穿孔66に形成された雌ねじ94にねじ込まれる。このようにして、図1図8の実施形態と同様に、位置決め要素60は、固定要素88と壁部70との間にクランプ態様(挟み込みによる締め付け態様)で保持され得る。
【0125】
シャフト38を脛骨プレート30上でアライメント調整(位置合わせ)するために、固定要素88のみがいくらか緩めふられ、これにより、位置決め要素受入部58内の位置決め要素60は、例えば基本位置(図11に概略的に示される位置)から逸れた位置(図12に概略的に示されるような位置)へ、位置決め面46に対して平行に移動され得る。
【0126】
図9及び図10に概略的に示される実施形態に係る脛骨コンポーネント16は、シャフト構成要素128,130及び接続要素132,134の構成においてのみ、図11及び図12の実施形態と異なる。そこで、以下では、これらの違いのみが説明される。
【0127】
第2のシャフト構成要素130は止まり穴を有しておらず、その代わりに、シャンク部152が脛骨プレート30に向かう方向を向いて第2のシャフト構成要素130から突出しており、ねじ切りされたボルト部140が前記シャンク部152の遠位端(シャンク部152の遠位側部分)に形成されている。第1の接続要素132は、ねじ切りされたボルト部140の雄ねじ146に対応する雌ねじ144を有するナット154の形態で構成されている。これにより、ナット154は、第1のシャフト構成要素128を形成している。
【0128】
図9及び図10の実施形態に係る脛骨コンポーネント16を移植するために、第1のステップでは、図11及び図12の実施形態に係る位置決め要素60と同一の構成を有する一体型のモノリシックに形成された位置決め要素60が、位置決め要素突起80とともに位置決め要素受入部58内に挿入され、穿孔部74に係合する。
【0129】
ここで、下方から(すなわち、下面36に向かう方向に)、ねじ切りされたボルト部140が、接続要素受入部148の領域に位置するまで、接続要素穿孔150を通して押し込まれ得る。ここで、第2のシャフト構成要素130を位置決め要素60に接続するために、ナット154が、ねじ切りされたボルト部140にねじ込まれる。
【0130】
ここで、位置決め要素60に結合されたシャフト38は、位置決め面46に対して平行に移動可能である。他の実施形態と同様に、脛骨プレート30に対してシャフト38の所望の位置を固定するために、固定要素88は、位置決め要素60を固定要素88と壁部70との間にクランプ態様(挟み込みによる締め付け態様)で保持するために穿孔66にねじ込まれる。
【0131】
上述のように、以上の実施形態に係る人工膝関節10は、特に、モジュール構成も可能にする。ここで、特に、長さ、直径、及び/又は、形状が互いに異なる複数の第2のシャフト構成要素130が提供されてもよい。 これにより、外科医は、髄腔40内でのシャフト構成要素の最適な嵌合を確実にするために、患者にとって最も適切なシャフト構成要素を選択することができる。
【0132】
上述の全ての脛骨コンポーネント16は、脛骨プレート30に対して複数の異なる位置にシャフト38がアライメント調整(位置合わせ)されて固定されることを可能にする。特に、図1図8の実施形態では、ジョイント突起110の中心点の周りにシャフト38を旋回させることも可能である。
【符号の説明】
【0133】
10 人工膝関節
12 人工膝関節システム
14 膝
16 脛骨コンポーネント
18 大腿骨コンポーネント
20 脛骨
22 大腿骨
24 半月板コンポーネント
26 関節面
28 顆面
30 脛骨プレート
32 対称面
34 上面
36 下面
38 シャフト
40 髄腔
42 長手方向軸
44 位置決めデバイス
46 位置決め面
48 位置決めデバイス突起
50 安定化突起
52 脛骨関節面
54 下面
56 固定デバイス
58 位置決め要素受入部
60 位置決め要素
62 長手方向軸
64 移動制限デバイス
66 穿孔
68 ストッパ
70 壁部
72 受入部
74 穿孔部
76 停止面
78 壁面
80 位置決め要素突起
82 幅
84 幅
86 環状面
88 固定要素
90 ねじ要素
92 雄ねじ
94 雌ねじ
96 工具要素受入部
98 固定要素クランプ面
100 固定要素当接面
102 ジョイントデバイス
104 第1のジョイント要素
106 第2のジョイント要素
108 ジョイント受入部
110 ジョイント突起
112 当接面領域
114 半径
116 第1の位置決め要素部
118 第2の位置決め要素部
120 ジョイント突起座部
122 凹部
124 当接面
126 当接面
128 第1のシャフト構成要素
130 第2のシャフト構成要素
132 第1の接続要素
134 第2の接続要素
136 ねじ
138 ねじ頭部
140 ねじ切りされたボルト部
142 止まり穴
144 雌ねじ
146 雄ねじ
148 接続要素受入部
150 接続要素穿孔
152 シャンク部
154 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工膝関節(10)用の脛骨コンポーネント(16)であって、
前記脛骨コンポーネント(16)は、
上面(34)及び下面(36)を有する脛骨プレート(30)と、
前記脛骨コンポーネント(16)を脛骨(20)に固定するために前記脛骨(20)の髄腔(40)に挿入されるように前記下面(36)から突出するシャフト(38)と、
前記脛骨プレート(30)上の前記シャフト(38)を複数の異なる位置に位置決めするための位置決めデバイス(44)と、を備え、
前記シャフト(38)が、前記上面(34)に平行または略平行に延在する位置決め面(46)に対する平行移動によって、前記複数の異なる位置のうちの1つの位置から別の位置へ移行可能なように、前記位置決めデバイス(44)が構成され、
前記脛骨コンポーネント(16)は、前記シャフト(38)を移植位置に固定するための固定デバイス(56)を備え、
前記固定デバイス(56)は、前記シャフト(38)が前記脛骨プレート(30)に対して前記位置決め面(46)に平行に移動可能であり、前記脛骨プレート(30)に対してアライメント調整可能であるようなアライメント位置から、前記シャフト(38)が前記脛骨プレート(30)上に動かないように保持される前記移植位置へ、移行可能であり、
前記位置決めデバイス(44)は、前記脛骨プレート(30)上に形成された位置決め要素受入部(58)と、前記位置決め要素受入部(58)内に配置された位置決め要素(60)とを備え、
前記位置決め要素(60)と前記シャフト(38)とは、互いに結合可能に構成されており、
前記位置決め要素受入部(58)は、前記位置決め面(46)に対して垂直に延びる長手方向軸(62)を画定しており、
前記位置決め要素受入部(58)は、前記アライメント位置にある前記位置決め要素(60)が前記位置決め要素受入部(58)に対して前記位置決め面(46)に平行に変位可能になるように構成および寸法設定されており、
前記位置決め要素受入部(58)は、壁部(70)によって前記下面(36)に向かって区切られており、
前記脛骨プレート(30)に穿孔(66)が形成されており、
前記穿孔(66)は、前記位置決め要素受入部(58)を画定する受入部(72)と、前記壁部(70)を貫通する穿孔部(74)とを備え、
前記位置決め要素(60)は、前記穿孔部(74)内に係合するか又は前記穿孔部(74)を通過する位置決め要素突起(80)を備える、
ことを特徴とする脛骨コンポーネント。
【請求項2】
前記位置決め要素(60)が前記複数の異なる位置のそれぞれにおいて前記下面(36)から離反する方向に向かって前記脛骨プレート(30)から移動することなく固定されるように、前記位置決め要素受入部(58)が構成および寸法設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項3】
前記位置決めデバイス(44)は、前記上面(34)に対する横断方向において前記下面(36)から離反する方向に向かって前記位置決め要素(60)が前記位置決め要素受入部(58)に対して移動することを制限するための移動制限デバイス(64)を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項4】
前記穿孔(66)は前記位置決め要素受入部(58)を備え、前記穿孔(66)は、前記位置決め要素(60)と協働して前記上面(34)に向かう方向に作用するストッパ(68)を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項5】
(a)前記長手方向軸(62)に直交する前記受入部(72)の断面積は、前記穿孔部(74)の断面積よりも大きく、且つ/又は、
(b)前記壁部(70)は、前記上面(34)に向かう方向に作用するストッパ(68)を形成しており、且つ/又は、
(c)前記壁部(70)は、前記上面(34)に向かう方向を向いている環状の停止面(76)を画定している、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項6】
(a)前記長手方向軸(62)に直交する前記位置決め要素突起(80)の断面積は、前記穿孔部(74)の断面積よりも小さく、且つ/又は、
(b)前記受入部(72)の第1の断面形状と前記穿孔部(74)の第2の断面形状とは、幾何学的に相似であるか又は互いに異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項7】
前記固定デバイス(36)は、前記移植位置において前記位置決め要素受入部(58)内に前記位置決め要素(60)を移動不能に固定するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項8】
前記固定デバイス(56)は固定要素(88)を備え、
前記固定要素(88)は、前記位置決め要素(60)に直接または間接的に当接し、前記移植位置において前記位置決め要素(60)を前記位置決め要素受入部(58)内にクランプ態様で保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項9】
(a)前記移植位置にある前記位置決め要素(60)は、前記固定要素(88)とストッパ(68)との間にクランプ態様で保持され、且つ/又は、
(b)前記固定要素(88)は、雄ねじ(92)を有するねじ要素(90)を備え、前記穿孔(66)は、前記脛骨プレート(30)の前記上面(34)から始まるように前記雄ねじ(92)に対応して形成された雌ねじ(94)を備え、且つ/又は、
(c)前記固定要素(88)は、前記移植位置において前記穿孔(66)を閉じ、且つ/又は、
(d)前記固定要素(88)は、前記移植位置において前記位置決め要素(60)に対してクランプ態様で保持される固定要素クランプ面(98)を有し、且つ/又は、
(e)前記位置決め要素(60)は、前記移植位置において前記固定要素(88)に当接する固定要素当接面(100)を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項10】
前記シャフト(38)は、
(a)前記シャフト(38)の長手方向軸(42)を中心として旋回可能且つ/若しくは回転可能なように前記脛骨プレート(30)上に取り付けられ、且つ/又は、
(b)前記脛骨プレート(30)の対称面(32)の領域に配置若しくは形成され、且つ/又は、
(c)前記脛骨プレート(30)の前記下面(36)の中央領域若しくは中心領域に配置若しくは形成され、且つ/又は、
(d)前記シャフト(38)の長手方向軸(42)に対して回転対称または実質的に回転対称に構成され、且つ/又は、
(e)関節式で前記脛骨プレート(30)上に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項11】
前記脛骨コンポーネント(16)は、第1のジョイント要素(104)と第2のジョイント要素(106)とを有するジョイントデバイス(102)を備え、
前記第1のジョイント要素(104)は、前記脛骨プレート(30)上に配置または形成され、
前記第2のジョイント要素(106)は、前記シャフト(38)上に配置または形成され、
前記第1のジョイント要素(104)と前記第2のジョイント要素(106)とは、関節式に互いに係合している、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項12】
前記第1のジョイント要素(104)は、ジョイント受入部(108)の形態で構成され、前記第2のジョイント要素(106)は、前記ジョイント受入部(108)に係合するジョイント突起(110)の形態で構成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項13】
前記シャフト(38)は、複数の部品で構成され、第1のシャフト構成要素(128)と第2のシャフト構成要素(130)とを備え、
前記第1のシャフト構成要素(128)は、前記移植位置において前記位置決め要素(60)上に保持され、
前記第1のシャフト構成要素(128)と前記第2のシャフト構成要素(130)とは、前記移植位置において互いに係合している、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項14】
前記第1のシャフト構成要素(128)は、第1の接続要素(132)を備え、前記第2のシャフト構成要素(130)は、第2の接続要素(134)を備え、前記第1の接続要素(132)と前記第2の接続要素(134)とは、前記移植位置において、強制ロック式、ポジティブロック式、及び/又は、物質的な結合態様によって、互いに係合される、
ことを特徴とする請求項13に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項15】
前記位置決め要素(60)は、前記第1の接続要素(132)の少なくとも一部を収容するための接続要素受入部(148)と、接続要素穿孔(150)とを備え、前記第1の接続要素(132)又は前記第2の接続要素(134)は、前記移植位置において前記接続要素穿孔(150)を通過する、
ことを特徴とする請求項14に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項16】
前記脛骨プレート(30)の前記下面(36)から位置決めデバイス突起(48)が突出し、前記位置決め要素受入部(58)が前記位置決めデバイス突起(48)に少なくとも部分的に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項17】
(a)前記脛骨プレート(30)の前記上面(34)及び/又は前記下面(36)は、平面状または略平面状に構成され、且つ/又は、
(b)前記上面(34)は、脛骨関節面(52)の形状に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項18】
大腿骨(22)の遠位端に固定するための少なくとも1つの大腿骨コンポーネント(18)と、脛骨(20)の近位端に固定するための少なくとも1つの脛骨コンポーネント(16)とを備え、前記少なくとも1つの大腿骨コンポーネント(18)と前記少なくとも1つの脛骨コンポーネント(16)とが人工膝関節(10)を形成するように互いに対応して構成された人工膝関節システム(12)であって、
前記少なくとも1つの脛骨コンポーネント(16)は、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の脛骨コンポーネント(16)の形態で構成されている、
ことを特徴とする人工膝関節システム。
【国際調査報告】