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▶ メドス・インターナショナル・エスエイアールエルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】可撓性外科手術アクセスポート
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525101
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022080012
(87)【国際公開番号】W WO2023073065
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】17/510,709
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス・ジョン・ライリー
(72)【発明者】
【氏名】リヒター・イェルン
(72)【発明者】
【氏名】ブールマン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】トーメン・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー・ロジャー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL70
(57)【要約】
可撓性本体を備える可撓性外科手術アクセスポートが提供される。可撓性本体は、それを通る外科用器具の通過に応答して弾性的に拡張するように構成され、したがって、外科用器具が通過するにつれて後退する。したがって、可撓性本体は、Kambinの三角形を通して外科手術アクセス経路を提供することができ、可撓性本体を通過する大型外科用器具は、出て行く神経又は横断神経根を長時間圧縮しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性外科手術アクセスポートであって、
ボアを画定するカラーと、
前記カラーから中心軸に沿って延在する可撓性本体と、
を備え、前記可撓性外科手術アクセスポートが、その長さ全体に沿って管腔を画定し、前記管腔が、前記カラーの前記ボアと連通し、
前記可撓性外科手術アクセスポートは、第1の寸法よりも大きい半径方向寸法を有する物体が前記内側管腔を通過するときに、前記長手方向軸に垂直な半径方向に前記第1の寸法から第2の寸法に拡張及び収縮するように構成されている、可撓性外科手術アクセスポート。
【請求項2】
前記可撓性本体が編組されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記可撓性外科手術アクセスポートに隣接する組織の神経モニタリングを容易にするために、前記可撓性本体に織り込まれたワイヤを更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記可撓性外科手術アクセスポートの長さに沿って光を伝送するために、前記可撓性本体内に織り込まれた光ファイバを更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記可撓性本体がエラストマーで形成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カラーは、前記可撓性外科手術アクセスポートの直径を制御するように構成されたばねを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記可撓性外科手術アクセスポートが、その側壁に形成された1つ以上の追加の管腔を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記可撓性本体が弾性的に拡張する、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、例えば、可撓性外科手術アクセスポートを使用して、外科手術アクセスを提供するためのデバイス及び方法に関する。このようなデバイス及び方法は、様々な処置、例えば、脊椎固定手術などの整形外科的又は神経外科的処置において用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
外科手術は、広範な疾患、病気、及び外傷を処置及び治療するために用いられる。外科医はしばしば、観血的又は低侵襲的な外科手術によって内部組織にアクセスする必要がある。「低侵襲」なる用語は、内視鏡手術、腹腔鏡手術、関節鏡手術、自然開口部腔内手術、及び自然開口部経管的手術などのあらゆる種類の低侵襲的外科的処置を指す。低侵襲手術は、従来の開腹外科処置と比べて、外傷が少ない、回復が早い、感染の危険性が少ない、及び傷痕が小さいなどの多数の利点を有し得る。
【0003】
低侵襲性であるか否かにかかわらず、多くの外科処置では、患者内の手術部位へのアクセスを提供するために、患者内にワーキングチャネルを形成することが望ましい場合がある。1つのそのような例は、例えば、椎骨及び/又は隣接する椎骨の間に配置された椎間板、後部構造、椎間孔空間などにアクセスする脊椎固定術を含む、整形外科的又は神経外科的処置である。そのような処置では、処置に関連する器具類及びインプラントが汚染されることから保護することが望ましい。
【0004】
そのような作業チャネルを提供するための先行技術は、種々の欠点を有し得る。例えば、固定サイズの剛性アクセスポートの挿入は、より大きい切開及び周囲組織の変形を必要とし得、これは、敏感な神経組織等の組織を損傷する可能性があり、微小虚血組織損傷をもたらす可能性がある。更に、剛性アクセスポートは、最大の器具が処置中に1回のみ又は短時間使用される場合であっても、剛性アクセスポートを通過する最大の器具又はインプラントに従ってサイズ決定される。したがって、剛性アクセスポートは、処置の大部分がそのような大きなサイズのアクセスチャネルを必要としない場合であっても、処置の持続時間の間、組織を最大限に変形させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来のポートの上記及び他の欠陥に対処することができる改善されたアクセスポートが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施例では、可撓性外科手術アクセスポートは、ボアを画定するカラーと、中心軸に沿ってカラーから延在する可撓性本体とを備えることができ、可撓性外科手術アクセスポートは、その長さ全体に沿って、管腔を画定し、管腔は、カラーのボアと連通する。可撓性外科手術アクセスポートは、第1の寸法より大きい半径方向寸法を有する物体が内側管腔を通過するときに、長手方向軸に垂直な半径方向に第1の寸法から第2の寸法に拡張及び収縮するように構成されることができる。
【0007】
上で説明される特徴又は変形例のいずれも、いくつかの異なる組み合わせで、本開示の任意の特定の態様又は実施形態に適用することができる。任意の特定の組み合わせの明確な記述はないが、それは単に本概要での重複を回避するためである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】脊柱の一部分の側面立面図である。
図2】Kambinの三角形の概略側面図である。
図3】標的外科手術場所にアクセスするように位置付けられた可撓性外科手術アクセスポートの一例の斜視図である。
図4A】一例に従って構築された図3の可撓性外科手術アクセスポートの斜視図である。
図4B】不規則な形状に適合する図4Aの可撓性外科手術アクセスポートの斜視図である。
図4C】代替の不規則な形状に適合する図4Aの可撓性外科手術アクセスポートの斜視図である。
図5A図4Aの可撓性外科手術アクセスポートに挿入されたガイド部材を含む、アクセスアセンブリの斜視図である。
図5B図4Aの可撓性外科手術アクセスポートに挿入されたアクセスカニューレを含む、アクセスアセンブリの斜視図である。
図5C図4Aの可撓性外科手術アクセスポートを通して駆動されている椎間インプラントを含むアクセスアセンブリの斜視図である。
図6】別の例における図4Aの可撓性外科手術アクセスポートの斜視図である。
図7図6の可撓性外科手術アクセスポートの一部の斜視図であり、そこを通るトロカールの挿入を示す。
図8】剛性領域を有する外科手術アクセスポートと、椎骨伸延器とを含む外科手術アクセスシステムの一実施形態の側面図である。
図9A】第1の位置で椎間腔に挿入された椎骨伸延器を示す、図8の外科手術アクセスシステムの側面図である。
図9B】椎間腔に挿入され、椎間腔を画定する椎骨が伸延される第2の伸延位置にある椎骨伸延器を示す、図9Aの外科手術アクセスシステムの側面図である。
図9C図9Bの外科手術アクセスシステムの側面図であり、剛性領域に係合し、剛性領域を伸延された椎間板腔の中へ付勢するプッシャツールを示す。
図9D図9Cの外科手術アクセスシステムの図であり、椎骨が伸延されている間に、椎間腔から除去された伸延器と、椎間腔内に配置された剛性領域とを示す。
図10A図3の可撓性外科手術アクセスポート、及び可撓性外科手術アクセスポート内に受容されるアクセスポートの斜視図である。
図10B図10Aの可撓性外科手術アクセスポートを通した挿入のために位置合わせされたカニューレの一実施形態の斜視図である。
図10C】可撓性外科手術アクセスポートに挿入されている図10Bのカニューレの斜視図である。
図10D】可撓性外科手術アクセスポート内に完全に着座した図10Cのカニューレの別の図である。
図10E】椎間板腔を通って延在する軌道に沿って可撓性外科手術アクセスポートを通して挿入されるガイド部材の斜視図である。
図10F図10Aの可撓性外科手術アクセスポートの斜視図であるが、可撓性外科手術アクセスポートを拡張するように構成される係留機構を含む。
図10G図10Fの脊椎固定ケージの斜視図であるが、外科手術アクセスポートの軌道を変更するように構成された係留機構を示す図である。
図11A図10Eの可撓性外科手術アクセスポートを通して挿入された可撓性遠位アクセスポートを示す斜視図である。
図11B図11Bの可撓性遠位アクセスポートを通して完全に挿入された遠位可撓性外科手術アクセスポートを示す斜視図である。
図12A図11Cの可撓性遠位アクセスポートを通して椎間腔内に挿入するために位置合わせされた脊椎固定ケージの一実施形態の斜視図である。
図12B図12Aの可撓性外科手術アクセスポートを通して椎間腔に挿入されている図12Aの脊椎固定ケージの斜視図である。
図13A】一例における椎骨アンカー部材を含む、可撓性外科手術アクセスポートの一部の斜視図である。
図13B】椎骨に固定されて示される、図13Aの可撓性外科手術アクセスポートの一部の側面図である。
図14A】一例における、少なくとも1つの神経モニタリングワイヤを含む可撓性外科手術アクセスポートの斜視図である。
図14B】別の例における少なくとも1つの神経モニタリングワイヤを含む可撓性外科手術アクセスポートの斜視図である。
図15】流体送達又は吸引の適用のための1つ以上の導管を含む、可撓性外科手術アクセスポートの一部の斜視図である。
図16】別の例における摩擦増加フィラメントを含むアクセスポートの側面図である。
図17】可撓性本体をカラー上に巻いて長さを調節することができるアクセスポートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、ある特定の例示的な実施形態について、これから説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明され、添付の図面に示される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態である点を理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。かかる修正及び変形例は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0010】
追加的に、直線又は円形の寸法が、開示されるデバイス及び方法の説明で使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなデバイス及び方法とともに使用され得る形状のタイプを限定することを意図しない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に判定することができる点が認識されるであろう。更に、本開示において、実施形態の同様の番号が付された構成要素は、概して類似する特徴を有する。更に、装置の寸法及び形状、並びにその構成要素は、装置が使用されることになる対象の解剖学的形態、装置とともに使用されることになる構成要素の寸法及び形状、並びに装置が使用されることになる方法及び手技に少なくとも依存し得る。
【0011】
本明細書に開示されるある特定の実施形態は、デバイス及び方法がそのような分野において適用性及び有用性を有するため、椎間インプラント及び脊椎融合に関連して論じられる。このデバイスは、例えば、椎間板が破裂したか、又はさもなければ損傷を受けた状況において、隣接する椎骨の間隔を適切に空けるために椎間インプラントを挿入することによって、融合のために使用され得る。「隣接する」椎骨は、椎間板によってのみ最初に分離された椎骨、又は中間の椎骨及び椎間板によって分離された椎骨を含むことができる。したがって、そのような実施形態は、正常な解剖学的位置及び距離を回復するために、必要に応じて適切な椎間板高さ及び脊椎湾曲を作成するように使用され得る。しかしながら、本明細書に開示される教示及び実施形態は、脊椎手術及びその他のための様々な他の手術設定において有益に実施され得ることが企図される。
【0012】
本明細書に説明される方法及びデバイスのコンテキストとして、図1は、脊柱10の側面図である。図1に示すように、脊柱10は、椎骨13を有する一連の代替椎骨11を含む。隣接する椎骨13は、線維性椎間板12を含有するそれぞれの椎間板腔14を画定する。健康な椎間板12は、身体の上部に軸方向の支持及び運動を提供する。脊柱10は、典型的には、7個の頸椎(C1~C7)、12個の胸椎(T1~T12)、5個の腰椎(L1~LS)、5個の癒合仙椎(S1~S5)、及び4個の癒合尾椎を伴う、33個の椎骨11を含む。
【0013】
図2は、Kambinの三角形24の概略図である。この領域20は、脊髄手術のための後外側アクセスの部位である。これは、背側から見た椎間板12上の直角三角形として定義することができる。斜辺は出て行く神経21であり、底辺は下椎骨22の上縁であり、高さは横断神経根23である。いくつかの例では、椎間板腔14、したがって椎間板12は、外科手術器具又はインプラントなどの外科用器具をKambinの三角形24を通して導入することができるように、下椎骨22の一部を除去する椎間孔形成術を行うことによってアクセスすることができる。椎間板腔14は、下椎骨22と、下椎骨22の反対側にある上椎骨27との椎骨によって画定される。除去される下椎骨22の一部分は、下椎骨22の上関節突起によって画定することができる。このような処置では、出て行く神経及び横断する神経根を保護することがしばしば望まれる。Kambinの三角形24を通して椎間板にアクセスするための装置及び方法は、神経を保護しながら内視鏡椎間孔形成術を実施することを伴ってもよく、以下でより詳細に議論される。Kambinの三角形24を通して椎間板12にアクセスするために椎間孔形成術を利用することは、当該技術分野において典型的に行われるような後方又は前方から椎間板にアクセスすることと比較して、いくつかの利点(例えば、患者への外傷がより少ない又は低減される)を有することができる。特に、後方アクセスを伴う外科的処置は、椎間関節の取り外しを必要とすることが多い。例えば、経椎間孔腰椎椎体間固定術(transforaminal interbody lumbar fusion、TLIF)は、典型的には、椎間板への拡大されたアクセス経路を作成するために、1つの椎間関節の取り外しを伴う。椎間関節の取り外しは、患者にとって非常に痛みを伴う可能性があり、回復時間の増加に関連付けられている。対照的に、Kambinの三角形24を通して椎間板にアクセスすることは、有利には、椎間関節を取り外す必要性を回避し得る。以下でより詳細に説明されるように、内視鏡椎間孔形成術は、椎間関節の取り外しを伴わずに、椎間板への拡大されたアクセスを提供し得る。椎間関節を温存することは、外科的処置に関連付けられた患者の疼痛及び失血を低減し得る。加えて、椎間関節を温存することは、有利には、支持のために椎間関節を利用する、ある後方固定デバイス(例えば、経椎間関節ねじ、経椎弓根ねじ、及び/又は椎弓根ねじ)の使用を可能にすることができる。このようにして、このような後方固定デバイスは、Kambinの三角形24を通して挿入される椎体間デバイスと組み合わせて使用することができる。
【0014】
ここで図3を参照すると、外科手術アクセスシステム25は、Kambinの三角形24を通して脊椎へのアクセス経路を提供するように構成される、可撓性外科手術アクセスポート30を含む。可撓性外科手術アクセスデバイスポート30は、カラー28と、カラー28から概して遠位に延在する可撓性外科手術アクセス本体36とを含むことができる。カラー28は、可撓性本体36に対して開口するボア32を画定する環として構成することができる。ボア32は、円筒形であるか、又は代替的に所望の形状であることができる。また、カラー28は、剛性又は可撓性であり得る。可撓性本体36は、中心軸34に沿ってカラー28から延びている。可撓性外科手術アクセスデバイスポート30は、可撓性本体36を通って延在する中心軸34を画定することができる。可撓性本体36は、近位端38a(図5Aも参照)と、中心軸34に沿って近位端38aの反対側にある遠位端38bとを画定することができる。管腔40(図4A参照)は、可撓性外科手術アクセスポート30を通ってその近位端からその遠位端まで延在することができる。したがって、管腔40は、中心軸34に沿って近位端38aから遠位端38bまで可撓性本体36の全長にわたって延在することもできる。
【0015】
近位端38aは、管腔40がカラー28のボア32と連通するように、所望の任意の方法でカラー28に結合することができる。特に、ボア32の中心軸は、可撓性外科手術アクセスポート30の中心軸34と位置合わせされ得る。外科手術アクセスシステム25は、可撓性外科手術アクセスポート30を支持するように構成されたハンドル42を含むことができる。一例では、ハンドル42は、可撓性外科手術アクセスポート30をKambinの三角形24等の標的場所に向かって指向するように、任意の好適な方法でカラー28に結合されることができる。したがって、外科手術器具又はインプラントなどの装置を、ボア32を通して遠位に、脊椎に向かって管腔40内に挿入することができる。カラー28は、可撓性外科手術アクセスポート30の近位端を画定することができる。
【0016】
ここで図4A~4Bも参照すると、可撓性本体36、したがって可撓性外科手術アクセスポート30は、有利には、第1の断面寸法を有する第1の構成から、第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有する第2の構成又は拡張構成へと半径方向に拡張するように構成され得る。第1及び第2の断面寸法は、同じ方向に沿って測定され、中心軸34を通って延在することができる。いくつかの例では、第1及び第2の断面寸法は、可撓性本体36の断面が円形であるときの直径として構成することができる。可撓性本体36は、所望に応じて任意の好適な形状を画定し得る。可撓性本体36、したがって、可撓性外科手術アクセスポート30は、所望に応じて、織布又は不織布であり得る。織布である場合、可撓性本体36は、織りパターンを画定する織られた繊維44の任意の適切なパターンから作製され得る。本明細書における可撓性本体36の説明は、等しい力及び効果で可撓性外科手術アクセスポート30に適用することができる。一例では、繊維44は、メッシュを画定するように織り合わせることができる。他の例では、繊維44は格子を画定することができる。したがって、繊維44は、可撓性本体36が半径方向に拡張するにつれて変化し得るそれぞれの交差角度で交差することができる。したがって、1つ以上の交差角度を測定して、可撓性本体36の外径の定量化を決定することができる。更に他の例では、繊維44は編組され得る。例えば、繊維44は、編組を画定するように螺旋状に巻かれることができる(図15参照)。
【0017】
動作中、可撓性本体36は、第1の構成に折り畳むことができ、通常の弛緩した幾何学的構成に付勢することができる。通常の弛緩した幾何学的形状において、可撓性本体36は、もはや折り畳まれていないが、その通常の弛緩した幾何学的形状を超えて拡張されていない。例えば、可撓性本体36が円筒形本体として構成されるとき、可撓性繊維44は、第1の構成において圧潰され、したがって、円筒を画定しないことができる。可撓性本体36は、所望であれば、その通常の弛緩した円筒形幾何学的形状に付勢され得る。しかしながら、可撓性本体36はまだ拡張していない。したがって、第1の構成は、折り畳まれるか、又は第1の構成におけるその通常の弛緩した幾何学的形状のいずれかであり得る。可撓性本体36は、第1の構成を超えて拡張位置まで拡張するように構成され、それによって、可撓性本体の少なくとも一部分は、通常の弛緩した幾何学的構成を超えて拡張される。可撓性本体36の第2の位置への拡張は、中心軸34に垂直な方向に沿って行うことができる。
【0018】
外科手術アクセスシステム25は、管腔40を通って遠位に駆動されるように構成された外科用器具46を含むことができる。外科用器具は、可撓性本体が第1の構成にあるとき、可撓性本体の断面寸法よりも大きい断面寸法を有することができる。外科用器具46の断面寸法は、可撓性本体36の断面寸法と同じ方向に向けられている。したがって、外科用器具46は、可撓性本体36を付勢してその通常の弛緩した幾何学的構成を超える第2の構成に拡張させる半径方向外向きの力を加える。可撓性本体36が格子構造を画定するとき、外科用器具は、可撓性本体36を付勢して交差角度を変化させ、可撓性本体36を第2の構成に拡張させることができる。したがって、いくつかの例では、可撓性本体36は、繊維44がそれぞれの長さに沿って実質的に拡張することなく、第2の構成に拡張することができる。この点に関して、繊維44は、その長さに沿って実質的に剛性であり得る。
【0019】
他の例では、繊維44は、可撓性本体36を拡張するように、それらの長さに沿って拡張可能であり得る。例えば、繊維44は、その長さに沿った繊維44の拡張が可撓性本体36を半径方向に拡張させるように、中心軸の周りに円周方向に延在することができる。例えば、繊維44は、所望に応じて、編組、メッシュ、格子構造、又は任意の好適な代替織物構造を画定することができる、弾性変形可能エラストマーによって画定されることができる。したがって、繊維44の伸長は、第1の構成から第2の構成への可撓性本体36の移動に寄与することができる。他の例では、可撓性本体36は、不織布であってもよく、膨張性材料から作製されてもよい。可撓性本体36は、第2の構成に拡張された後、第1の構成に向かって、又は第1の構成に移動するように、弾性であり得る。他の例では、可撓性本体36は、周囲の解剖学的組織からの圧縮力が可撓性本体36を第2の構成から第1の構成に向かって、又は第1の構成に移動させることができるように、実質的に非弾性であってもよい。繊維は、ニッケルチタン(NiTi)又は所望の任意の好適な代替材料から作製されることができる。一例では、フィラメントは、可撓性本体が所望の形状に偏向されると、可撓性本体が所望の形状のままであるように、形状記憶を有することができる。
【0020】
「実質的に(substantially)」、「約(approximately)」という用語、及びそれらの派生語、並びに類似の意味の単語は、サイズ、形状、空間関係、距離、方向、拡張、及び他の類似のパラメータを説明するために使用される場合、述べられたパラメータを、述べられたパラメータよりも最大10%多い及び最大10%少ない範囲に加えて含み、最大5%多い及び最大5%少ない、最大3%多い及び最大3%少ない、最大1%多い及び最大1%少ない範囲を含む。
【0021】
引き続き図4A図4Cを参照すると、外科用器具46は、カラー28のボア32(図3参照)を通して挿入されるようなサイズにすることができる。更に、可撓性本体36が第1の構成にあるとき、第1の断面寸法は、カラー28のボア32の断面寸法よりも小さい。したがって、外科用器具46がボア32を通って管腔40内に駆動されるとき、可撓性本体36は第2の構成に拡張し、それによって、いくつかの例では、第2の断面寸法はボア32の断面寸法以下である。他の例では、外科用器具46は、第1の向きでボア32を通して挿入され、その後、管腔40内で第2の向きに反復されて、管腔40をボア32の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法に拡張させることができることが認識される。可撓性本体36は、可撓性本体36を拡張させた外科用器具の少なくとも一部から全部に当接することができる。
【0022】
したがって、動作中、外科手術器具又はインプラント等の外科用器具46は、ボア32を通して可撓性本体36の中に駆動されることができる。外科用器具46は、ボア32を通って嵌合するようなサイズであり得、可撓性本体36の第1の断面寸法よりも大きいサイズであり得る。したがって、外科用器具46が管腔40を通して駆動されると、外科用器具46からの力は、可撓性本体36の局所領域を付勢して、第1の構成から第2の構成に半径方向に拡張させる。局所領域は、外科用器具46と位置合わせされた可撓性本体36の位置合わせ位置と、外科用器具46が管腔40を通って移動するときに外科用器具46からの力によって拡張するように付勢される位置合わせ位置に隣接する領域とを含むことができる。すなわち、外科用器具46と位置合わせされる可撓性本体36の領域、又は外科用器具46と位置合わせされる可撓性本体36の部分に隣接する可撓性本体36の領域は、管腔40を拡大して、可撓性本体が第1の構成にあるときの可撓性本体36の断面寸法よりも大きい断面寸法を有する外科用器具を収容するために、外向きに拡張することができる。典型的には、位置合わせされた領域は、隣接する領域よりも大きく拡張する。外科用器具46からの力が除去されると、拡張した可撓性本体36の場所は、第1の構成に向かって、又は第1の構成に戻ることができる。外科用機器46から離れた可撓性本体36の遠隔領域は、第1の構成であり得る。
【0023】
したがって、外科用器具46が管腔40を通して駆動されるとき、外科用器具46の以前に拡張された領域は、外科用器具46が管腔40に沿って遠位に十分な距離を移動するときに、第2の構成のままであるか、又は第2の構成から第1の構成に向かって、又は第1の構成に戻ることができ、それにより、以前に局所領域を画定した可撓性本体36の部分が今や遠隔領域を画定し、それにより、外科用器具46は、遠隔領域を第1の構成から拡張させるのに十分な力を遠隔領域にもはや及ぼさない。可撓性本体の局所領域36は、外科用器具が管腔40内で遠位に前進させられるにつれて、遠位に移動する。逆に、可撓性本体36の局所領域36は、外科用器具が管腔40内で近位に前進させられるにつれて、近位に移動する。外科用器具46が管腔40内を移動するとき、外科用器具46によって第2の構成に拡張するように付勢された可撓性本体36の場所は、外科用器具46が当該場所から離れた位置に移動したとき、当該場所が遠隔領域を画定するように、第1の構成に向かって、又は第1の構成に戻ることができる。可撓性本体36の自然な付勢力は、外科用器具46が通過した後に、可撓性本体36を第1の構成に向かって、又は第1の構成へと付勢することができる。したがって、外科用器具46は、可撓性本体36を付勢して、外科用器具46が管腔40内で遠位方向及び近位方向に選択的に移動するときに拡張させる。可撓性本体36の局所拡張は、したがって、局所領域が遠隔領域となり、次いで、外科用器具が通過すると、第1の構成に向かって、又は第1の構成に戻るため、瞬間的であり得ることを理解されたい。
【0024】
その結果、可撓性本体36を取り囲む解剖学的組織は、第1の構成から第2の構成への可撓性本体36の瞬間的な拡張に起因して瞬間的な圧縮のみを受ける。可撓性本体36を取り囲むいくつかの領域では、周囲の解剖学的組織は、患者の脂肪組織及び筋肉組織を含むことができる。可撓性本体36の他の領域では、周囲組織は、部分的にKambinの三角形を画定する出て行く神経21及び横断神経根23のいずれか又は両方等の神経を含むことができる。有利なことに、大きな外科用器具46は、可撓性本体36と神経との間の瞬間的な接触のみを引き起こしながら、可撓性本体36を通過することができる。これに反して、大きな外科用器具を受け入れる大きさの剛性導管は、外科的処置中に導管が所定の位置にある限り、神経を圧迫する。したがって、外科手術アクセスシステム25は、脊髄手術中に神経が長時間圧縮されるのを防止する。
【0025】
ここで図4Cを参照すると、可撓性本体36はまた、中心軸34に垂直な方向に沿って偏向するように構成することができる。したがって、外科用器具46が曲率を有して管腔40に挿入されるとき、手術器具46は、それに応じて可撓性本体36に曲率を与えることができる。したがって、中心軸34は、1つ以上の湾曲経路に沿って延在することができる。外科用器具46が管腔40から除去されると、可撓性本体36は、第1の構成に向かって、又は第1の構成に戻ることができる。代替的に又は追加的に、中心軸34に対して選択方向に角度オフセットされた方向に沿って管腔40内に挿入された外科用器具46は、中心軸34の少なくとも一部及び可撓性本体36の遠位端のいずれか又は両方を対応して選択方向に偏向させることができる。したがって、外科用器具46は、近位端38aと遠位端38bとを隔てる方向によって規定される管腔の軌道を、第1の軌道から第2の軌道に変更することができる。これは、脊椎の異なる領域に対して1つ以上の処置を実行することが望ましい場合に有利であり得る。可撓性本体36は、第1の構成にあるときに第1の軌道を画定することができる。可撓性本体36の遠位端38bはまた、可撓性外科手術アクセスポート30の遠位端を画定することができる。
【0026】
ここで図5Aを参照すると、いくつかの例では、外科手術アクセスシステム25の外科用器具46は、スタイレット48、又は標的外科手術場所への軌道を確立するように構成され得る任意の好適な代替アクセス部材を含むことができる。スタイレット48は、管腔40を通して挿入されるようなサイズにすることができる。いくつかの例では、スタイレット48は、可撓性本体36が第1の構成のままである間に管腔40を通って延在することができる。他の例では、スタイレット48は、可撓性本体36を第1の構成を超えて第2の構成に拡張させることができる。スタイレット48が管腔40を通って延在している間、スタイレット48は、患者の解剖学的軟組織を通って標的手術場所に向かって駆動され得る。ここで図6図7も参照すると、スタイレット48は、スタイレットシャフト49及びスタイレットハンドル51を含むことができる。スタイレットシャフト49は、可撓性外科手術アクセスポート30のカラー28のボア32(図3も参照のこと)を通って延在するようなサイズであり、可撓性外科手術アクセスポート30のポートハンドル52及び近位ポートグロメット54のいずれか又は両方によって規定され得る。可撓性本体36は、近位ポートグロメット54から遠位方向に延びることができる。近位ポートグロメット54は、可撓性本体36の拡張断面寸法に等しい直径などの内側断面寸法を有することができる。可撓性外科手術アクセスポート30は、遠位ポートグロメットを更に含むことができ、遠位ポートグロメットは、可撓性本体36から遠位に延在し、近位ポートグロメット54の内側断面寸法と等しい内側断面寸法を有する。スタイレットシャフト49は、スタイレットシャフト49の遠位先細先端49aが可撓性本体36の遠位端38bを越えて遠位に延在するように、ポートハンドル52及び近位ポートグロメット54を通して、並びに管腔40を通して遠位に駆動されることができる。一例では、標的手術場所は、上関節突起によって画定することができる。代替的又は追加的に、標的手術場所は、椎間板腔によって画定され得る。スタイレットハンドル51は、スタイレットシャフト49が可撓性本体36を通して完全に駆動されたとき、ポートハンドル52に対して着座するか、又はポートハンドル52と取り外し可能に連結することができる。
【0027】
図5Bに示すように、いくつかの例では、外科手術アクセスシステム25の外科用器具は、アクセスカニューレ50を含むことができ、アクセスカニューレ50は、剛性であり、標的外科手術場所に向かう、又は標的外科手術場所への作業チャネル55を画定する。作業チャネル55は、可撓性外科手術アクセスポート36の管腔40の第1の断面寸法よりも大きい断面寸法を画定することができる。したがって、アクセスカニューレ50は、可撓性外科手術アクセスポート36を第2の構成に半径方向に拡張させる。アクセスカニューレ50は、スタイレット48の外側断面寸法より大きい外側断面寸法を有し得ることが認識される。アクセスカニューレ50は、アクセスカニューレ50が使用中である間、可撓性本体36の全体を半径方向に拡張することができるので、アクセスカニューレ50は、標的外科手術場所にアクセスすることが神経の圧縮を伴わないとき、特定の適用性を有することができる。
【0028】
図5Cを参照すると、いくつかの例では、外科手術アクセスシステム25の外科用器具は、管腔40を通って遠位に駆動されるようにサイズ決めされた椎間インプラント56を更に含むことができる。椎間インプラント56は、脊椎固定ケージとして構成することができる。したがって、可撓性本体36は、椎間インプラント56を受け入れるように構成することができる。椎間インプラント56は、管腔40を通って椎間板腔の中に移動することができる。椎間インプラント56は、椎間インプラント56が管腔40を通って遠位に移動するときに、可撓性本体36を第1の構成から第2の構成に拡張させることができる。インプラント56は、インプラント56が管腔40を通って遠位方向に移動するときに、インプラント56に隣接する領域で可撓性本体36を40拡張させる。可撓性本体36の領域は、椎間インプラント56が遠位方向に通過した後、第1の構成に向かって、又は第1の構成に戻ることができる。したがって、可撓性本体36の拡張に起因して圧縮される任意の神経は、インプラント56が遠位に通過するまで、瞬間的にのみ圧縮される。
【0029】
外科手術アクセスシステム25の種々の外科用器具は、可撓性本体36を第1の構成から半径方向に異なる量だけ拡張させることができ、全てのそのような拡張度は、第2の構成を画定することができることを理解されたい。例えば、スタイレット48、椎間インプラント56、及びアクセスカニューレ50は、全て異なる寸法にすることができる。したがって、最大の第2の断面寸法は、第1の断面寸法の約4倍であり得る。例として、可撓性本体36は、第1の構成にあるとき、約4mmの第1の断面寸法を画定することができ、拡張されたとき、約15mmの最大の第2の断面寸法を画定することができる。
【0030】
ここで図8Aを参照すると、可撓性外科手術アクセスポート30は、作業チャネル55が椎間腔14への経路を画定するように、上椎骨27及び下椎骨22にそれぞれ固定されるように構成することができる。一例では、可撓性アクセスポート30は、可撓性本体36の遠位端38bから遠位に延在する剛性領域80を更に含むことができる。したがって、可撓性外科手術アクセスポート30の遠位端は、剛性領域80によって画定され得る。したがって、外科手術アクセス部分30の管腔40は、剛性領域80を通って延びることもできる。剛性領域80は、解剖学的圧縮力に応答して横断方向Tに沿ってその高さを維持するように構成することができる。剛性領域80はまた、半径方向に拡張不可能であってもよく、可撓性アクセスポート30を通して挿入される外科用器具を収容することができる可撓性アクセスポート30の最大断面寸法を画定することができる。
【0031】
外科手術アクセスシステム25は、椎間板腔14の高さを増加させるために椎骨22及び27を伸延するように構成された椎骨伸延ツール82を更に含むことができる。一例では、椎骨伸延ツール82は、シャフト84と、シャフト84の遠位端にある伸延部材86とを含むことができる。図8A図9Bに示すように、伸延部材86は、伸延部材86が第1の位置にあるときに横断方向Tに沿った第1の高さH1と、伸延部材86が第2の位置にあるときに第1の高さよりも大きい横断方向Tに沿った第2の高さH2とを有することができる。第2の位置は、第1の位置に対してシャフト84の中心軸に沿って回転可能である。例えば、第2の位置は、第1の位置に対して90度回転することができる。
【0032】
したがって、図9Aも参照すると、動作中、椎骨伸延ツール82は、可撓性外科手術アクセスポート30の管腔40内に遠位に挿入されることができ、一方、伸延部材86は、管腔40内の移動に関して椎骨伸延ツール82の先端を画定する。シャフト84は、可撓性本体36を拡張させるようなサイズにすることができ、又は可撓性本体36が拡張していないときの可撓性本体36の寸法と実質的に等しいサイズにすることができる。椎骨伸延部材82は、伸延部材86が第1の高さを画定するように、第1の位置を画定することができる。第1の高さH1は、対向する上面及び下面がそれぞれの上椎骨及び下椎骨に面するように、椎間腔への挿入のためにサイズ決定され得る。伸延部材86は、椎骨22及び27の各々の近椎骨皮質及び遠椎骨皮質を支持するように、シャフト84の中心軸に沿って任意の適切な長さを有することができる。一例では、伸延部材の長さは、25mm~40mmなど、20mm~50mmであり得る。椎骨伸延ツール82は、伸延部材86が椎間腔14内に完全に挿入されたときに椎骨22及び27の一方又は両方に当接するように構成された停止面85を画定することができ、その結果、伸延部材86は、椎骨22及び27のそれぞれの近皮質及び遠皮質を支持することができる。肩部85は、伸延部材86とシャフト84との間の境界面によって画定することができる。動作中、伸延部材86は、停止面85が椎骨22及び24の一方又は両方に当接するまで椎間腔14に挿入される。
【0033】
次に、図9Bも参照すると、伸延部材86を第2の位置に移動させることができる。特に、伸延部材86は、伸延部材86が第2の高さを画定するように、シャフト84の中心軸を中心に回転させることができる。伸延部材86は、シャフト84をその軸の周りに回転させることによって移動させることができ、それによって伸延部材86が同様に回転させられる。伸延部材86の第2の高さH2が第1の高さH1よりも大きいので、伸延部材86は、椎骨22及び27を伸延し、それによって、伸延部材86が第2の位置に移動されるとき、横断方向Tに沿って椎間板腔14の高さを増加させる。伸延ツール82は、所望に応じて任意の好適な代替実施形態に従って椎骨を伸延することができることが認識される。
【0034】
ここで図9Cも参照すると、外科手術アクセスシステム25は、剛性領域80を椎間腔14内に付勢するように構成されたプッシャツール88を含むことができる。プッシャツール88は、プッシャシャフト90と、プッシャシャフト90から遠位に延在するプッシャ部材92とを含むことができる。プッシャツール88は、伸延ツール82のシャフト84を受容するようにカニューレ挿入され得る。プッシャツール88は、剛性領域80に当接するのに十分な断面寸法を画定することができる。したがって、プッシャ部材92が剛性領域80の近位面に当接する位置まで、プッシャツール88を管腔40内で遠位方向に駆動することができる。上述したように、可撓性本体は、プッシャ部材92が剛性領域80に向かって管腔内を移動するときにプッシャ部材92を収容するように局所的に拡張することができる。剛性領域80は、Kambinの三角形から椎骨22及び27までの距離未満の長さを有することができる。したがって、剛性領域80が椎体22及び27に隣接して配置されるとき、剛性領域80は、Kambinの三角形の神経を圧縮しない。一例では、剛性領域80は、いくつかの例において5mm~15mmの長さを有することができる。
【0035】
剛性領域80の高さは、横断方向Tに沿って椎間板腔14を拡張させる椎体22及び27の伸延前の椎間板腔14の高さよりも大きくすることができる。剛性領域80は、椎体22及び27をそれぞれの伸延位置に維持するのに十分な横断方向Tに沿った高さを有することができる。動作中、プッシャ部材92が剛性領域80に当接するまで、プッシャツール88を管腔40内で遠位に前進させることができる。プッシャツール88は、管腔内を移動する際に可撓性本体36を局所的に拡張させることができる。プッシャ部材92が剛性領域80に当接すると、プッシャ部材92を更に遠位方向に前進させることにより、プッシャ部材92が剛性領域80を付勢して椎間板腔14内に遠位方向に移動させる。剛性領域80は、伸延部材86と椎骨22及び27との間に嵌合するように実質的にくさび形である遠位端81を有することができる。したがって、剛性領域80は、椎骨22及び27を更にわずかに伸延させることができる。剛性領域80は、下椎骨22及び上椎骨27の近皮質をそれぞれ支持するまで遠位方向に前進させることができる。
【0036】
ここで図9Dも参照すると、剛性領域80が椎間腔内に配置されると、プッシャ部材92は、プッシャ部材92を管腔40から近位に並進させることによって、外科手術アクセスポート30から除去されることができる。椎骨伸延ツール82はまた、プッシャ部材92を管腔40から近位方向に並進させることによって外科手術アクセスポート30から取り外すことができる。一例では、伸延ツール82は、プッシャ部材92に当接することができ、その結果、伸延ツール82の除去によってプッシャ部材92も除去される。剛性領域80は、椎骨22及び27をそれらの伸延位置に維持するのに十分な大きさであるが、椎間板物質の実質的全体が椎間腔14から除去されることを可能にするのに十分に短い長さを有することができる。特に、椎間板除去器具は、椎間インプラントの挿入に備えて椎間板物質を除去するために、外科手術アクセスポート30を通して椎間腔14内に遠位方向に続いて駆動され得る。インプラントが椎間腔14内に配置されると、椎間インプラントは、下椎骨22及び上椎骨27に当接するように拡張され得る。インプラントは、所望であれば、椎骨22及び27を更に伸延させることができる。外科的処置が完了すると、剛性領域80を椎間板腔14から除去することができ、外科手術アクセスポート30を患者から除去することができる。
【0037】
ここで、可撓性外科手術アクセスポート30を使用する外科的処置の一例が、概して、図10A~12Bを参照して説明されるであろう。これは外科的処置の一例に過ぎず、可撓性外科手術アクセスポート30は、所望に応じて任意の好適な代替的外科的処置に組み込まれ得ることを理解されたい。図10Aに示すように、患者の皮膚59に切開部が形成され、ガイド部材58の遠位端が可撓性本体36の遠位端38bの遠位側に延びるように、任意の適切なガイド部材58を上述した方法で可撓性本体36の管腔40を通して駆動することができる。ガイド部材58は、上述のスタイレット48(図5A参照)、トロカール、又は所望の任意の好適な代替ガイド部材58として構成されることができる。ガイド部材58は、切開部を通して、第1の標的手術場所60aと称され得る標的手術場所に向かって駆動されることができる。第1の標的手術場所60aは、下椎骨22などの椎骨として構成することができる。ガイド部材58は、第1の標的手術場所60aとして構成され得る標的手術場所への軌道を作成するために、椎骨のうちの1つにドッキングさせることができる。
【0038】
ガイド部材58の位置は、ガイド部材58が所望の場所に駆動されることを確実にするために、第1の標的手術場所に駆動される際に、任意の好適な撮像システム下で監視されることができる。一例では、ガイド部材58の遠位端は、ガイド部材58が第1の標的手術場所60aに向かって駆動される際に、リアルタイム画像又はビデオをオペレータに出力するカメラを担持することができる。第1の標的手術場所60aは、下椎骨22の上関節突起によって画定することができる。可撓性本体36がガイド部材58に沿って移動するので、ガイド部材58は、管腔40を位置決めして、第1の標的手術場所60aへの軌道を画定する。次いで、ガイド部材58を可撓性本体36から取り外すことができる。
【0039】
ここで図10B~10Dを参照すると、アクセスカニューレ50は、作業チャネル55が第1の標的外科手術場所60aへの軌道を確立するように、管腔40を通して遠位に駆動されることができる。作業チャネル55は、所望に応じて、約13mm等の任意の好適な断面寸法を有することができるが、作業チャネルは、所望に応じてサイズ決定されることができることを理解されたい。アクセスカニューレ50は、約15mmの外径を画定することができるが、アクセスカニューレ50は、所望に応じてサイズ決定され得ることを理解されたい。作業チャネル55及びアクセスカニューレ50の断面寸法は、それぞれの直径を画定することができるが、作業チャネル55及びアクセスカニューレ50は、所望に応じて任意の好適なそれぞれの形状を画定することができる。上述したように、アクセスカニューレ50の管腔40内への挿入は、可撓性本体36を第1の構成から第2の構成に拡張させる。アクセスカニューレ50の位置は、アクセスカニューレ50が所望の場所に駆動されることを確実にするために、第1の標的外科手術場所に駆動される際に、任意の好適な撮像システム下で監視されることができる。一例では、アクセスカニューレ50の遠位端は、ガイド部材58が第1の標的手術場所60aに向かって駆動される際に、リアルタイム画像又はビデオをオペレータに出力するカメラを担持することができる。
【0040】
次いで、任意の1つ以上の外科的処置が、所望に応じて、作業チャネル55を通して行われ得る。任意の適切なサイズの外科用器具(例えば、切断器具)が、作業チャネル55を通して駆動されて、椎間孔形成術を実施することができ、それによって、骨が、下椎骨の上関節突起から除去される。椎間孔形成術によって、Kambinの三角形を拡大することができる。また、作業チャネル55を通して椎間板12に対してアニュロトミー(annulotomy)を行い、その後、椎間板材料を除去して椎間板腔の減圧を達成することができる。所望であれば、アクセスカニューレ50は、アクセスカニューレ50が管腔40内に配置されている間に、椎間板腔14に向かって作業チャネル55を更に方向付けるように角度を付けることができる。外科的処置が作業チャネル55を通して完了し、外科用器具が除去されると、アクセスカニューレ50は、可撓性本体36の管腔40から除去され得る。次いで、可撓性本体36は、上記の方法で第1の構成に向かって、又は第1の構成に戻る。
【0041】
次に、図10Eを参照すると、アクセスカニューレ50が除去されると、外科手術アクセスシステム25は、第2の標的外科手術場所60bへのアクセスを提供するように再位置付け及び配向されることができる。例えば、可撓性外科手術アクセスポート30は、可撓性本体36の配向を変化させるように可撓性本体36に結合され得るボーデンケーブルを含むことができる。第2の標的手術場所60bは、椎間板腔14によって画定することができる。したがって、可撓性本体36は、管腔40が椎間板腔14に対して1つ以上の外科的処置を行うためのアクセス経路を画定するように、Kambinの三角形24を通って延びることができる。特に、任意の好適なガイド部材58は、ガイド部材58の遠位端が可撓性本体36の遠位端38bの遠位に延在するように、上述の様式で可撓性本体36の管腔40を通して駆動されることができる。ガイド部材58は、上述のスタイレット48、トロカール、又は所望に応じて任意の好適な代替ガイド部材58として構成されることができる。ガイド部材58は、Kambinの三角形24を通って椎間板腔14まで駆動され得る。ガイド部材58は、Kambinの三角形24の周囲の神経の圧縮を引き起こさないことが想定される。
【0042】
図10B図10Dに関して上述したように、可撓性本体36は、下椎骨22の上関節突起に向かって又は上関節突起まで延びるのに適した長さを有する。図10Dに示すように、外科用器具46は、椎間板腔14から椎間板12を除去するように構成することができるデブリドマン器具57を含むことができる。次に、図11Aに示すように、経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)処置を行うためにアクセスポート30が椎間板腔14に向かって延びるように再配置されるとき、可撓性本体36の長さは、Kambinの三角形24を通って延びるには不十分である。したがって、第2のアクセスポート30b、特に第2のアクセスポート30bの第2の可撓性本体36bは、以前に導入されたアクセスポート30の以前に導入された可撓性本体36の管腔40を通して駆動され得る。以前に導入された可撓性本体36は、第1又は近位可撓性本体36aと称されることができ、以前に導入されたアクセスポート30は、第1の又は近位可撓性外科手術アクセスポート30aと称されることができる。第2の可撓性本体36b及び第2のアクセスポート30bは、それぞれ、遠位可撓性本体及び遠位アクセスポートと称され得る。第2のアクセスポート30bは、可撓性外科手術アクセスポート30に関して上述されたように構築され得るが、第1の可撓性外科手術アクセスポート30aの長さよりも長い長さを有し得る。特に、図11Bに示されるように、第2のアクセスポート30bの長さは、Kambinの三角形24を通って延在するのに十分であり得る。
【0043】
更に、図13A図13Bに示すように、第2のアクセスポート30bは、椎間板腔14又はその近位の解剖学的組織に第2のアクセスポート30bを固定するアンカー構造62を含むことができる。例えば、アンカー構造62は、周囲の軟組織又は下椎骨22及び上椎骨27の椎骨13のいずれか若しくは両方を把持することができる。一例では、アンカー構造62は、可撓性本体36から、例えば可撓性本体36の遠位端38bから半径方向に突出する1つ以上のアンカーワイヤ64を含むことができる。一例では、アンカー構造は、可撓性本体36の拡張の大部分が、第1の側と反対の中心軸34の第2の側に画定され得るように、中心軸34の第1の側に限定され得ることが想定される。したがって、可撓性本体36の拡張は、外科用器具が管腔40を通過する際に、出て行く神経及びKambinの三角形の横断する神経根から離れて延びる方向に限定され得る。一例では、アンカーワイヤ64は、遠位方向へのアンカーワイヤ64の移動が、ワイヤ64を半径方向外向きに延在させ、弁輪又は椎間板材料等の周囲組織の中に固定させるように、ニチノールから作製されることができる。図16に示されるように、アクセスポート30は、周囲の解剖学的組織との摩擦を増加させ、それによって、可撓性外科手術アクセスポート30の意図されない移動に抵抗する、生体適合性フィラメント67又は他のテクスチャをその半径方向外側表面に含み得ることが更に想定される。フィラメント67は、所望に応じて、繊維44と織り合わされるか、又は繊維44によって担持され得る。
【0044】
ここで図12A~12Bを参照すると、椎間インプラント56を椎間板腔14内に埋め込むことができる。特に、椎間インプラント56は、第2の可撓性本体36bの管腔40を通って遠位に駆動され得る。椎間インプラント56は、第1の可撓性本体36a及び第2の可撓性本体36bのそれぞれの断面寸法よりも大きい断面寸法を画定することができる。したがって、可撓性本体36a、36bは、インプラントが管腔40を通して駆動されるにつれて、半径方向に拡張する。椎間インプラント56の拡大されたサイズに起因する出て行く神経及びKambinの三角形の横断する神経根の圧縮は、椎間インプラント56が椎間板腔内に遠位に駆動されるときに瞬間的に起きるので、外科手術アクセスシステム25は、神経シールドなしで提供することができる。椎間インプラント56は、任意の適切な実施形態に従って構築された拡張可能な椎骨インプラントであり得る。したがって、椎間インプラント56が椎間板腔に挿入されると、インプラント56は、その高さを増加させるように拡張され、それによって椎間板腔の高さ回復を達成することができる。特に、管腔40を通して遠位方向に駆動された駆動器具などの拡張ツールは、インプラント56の拡張部材に係合し、椎間インプラント56の垂直方向の拡張を引き起こすように作動させることができる。拡張可能な椎間インプラント56の一例は、米国特許第8,105,382号で説明されており、その開示は、その全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
外科手術アクセスシステム25は、第1の可撓性外科手術アクセスポート30aの中に挿入される第2の可撓性外科手術アクセスポート30bを含むことができるが、他の選択肢が想定されることを理解されたい。例えば、第1の可撓性外科手術アクセスポート30aは、除去されることができ、第2の可撓性外科手術アクセスポート30bは、上述の様式で、椎間板腔に向かってKambinの三角形を通して挿入されることができる。別の例では、可撓性外科手術アクセスポート30の可撓性本体部分36の長さは、調節可能であり得る。例えば、図17に示されるように、可撓性本体部分36の近位端は、中心軸に沿った可撓性本体部分36の長さを短くするために、それ自体の上に巻かれ、皮膚の上の位置でカラー28の周りに広げられ得る。例えば、カラー28は、可撓性本体部分36の近位端をそれ自体の上に巻くように、その円周軸を中心として第1の方向に回転させられ、それによって、可撓性本体部分36の長さを減少させ、したがって、可撓性本体部分36の中心軸に沿った可撓性外科手術アクセスポートの長さを減少させることができる。カラー28は、可撓性本体部分36を広げるために、その円周軸の周りで第1の方向と反対の第2の方向に回転させることができ、それによって、可撓性本体部分36の中心軸に沿って可撓性本体部分36の長さを増加させる。したがって、一例では、可撓性本体部分36は、椎間孔形成術を行うことが望ましいときに下椎骨へのアクセスを提供するために所望の長さを画定することができる。可撓性本体部分36は、続いて、可撓性本体部分36が、Kambinの三角形を通って椎間板腔に向かって、又は椎間板腔まで延在するようにサイズ決定されるように、伸長されることができる。
【0046】
図10F~10Gに示されるような他の例では、可撓性本体36の断面寸法は、外科用器具を管腔40内に導入する前に調節可能であり得ることが想定される。例えば、ばね部材又は形状記憶を伴うニチノールワイヤ等の係留機構が、繊維44と織り合わせられることができ、所望に応じて断面寸法を増加又は減少させるようにアクチュエータ43によって作動させることができる。アクチュエータは、皮膚の上に位置し得ることが想定される。一例では、アクチュエータ43は、カラー28によって画定され得るか、又は回転され得るか若しくは別様に作動され得るカラー28によって別様に支持され得る。係留機構が、可撓性本体の形状の変化を生成するように構成される1つ以上のニチノール又は他の導電性ワイヤによって画定される例では、アクチュエータは、ワイヤの温度を変化させ、可撓性本体36が第1の断面寸法を画定する第1の位置45aと、可撓性本体36が第1の断面寸法より大きい第2の断面寸法に拡張する第2の位置45bとの間で、可撓性本体36を選択的に移動させることができる。したがって、アクチュエータ43は、ワイヤを第1の位置45aから第2の位置45bへ第1の方向に移動させ、第2の位置45bから第1の位置45aへ第2の方向に移動させることができる。第1及び第2の断面寸法は、中心軸34に実質的に垂直な方向に沿って測定することができる。他の例では、アクチュエータ43は、抵抗を有するワイヤに電流を送達するように構成することができ、その結果、電流は、ワイヤ41をそれぞれ第1及び第2の方向に選択的に移動させる。図10Gに示すように、アクチュエータ43は、可撓性本体36の軌道を近位端38aから遠位端38bに変化させるように、上述した方法でワイヤを付勢することができる。したがって、可撓性本体36の中心軸34は非線形であってもよい。この点に関して、遠位端38bは、第1の標的手術場所60aに近接する第1の位置(図10C参照)から第2の標的手術場所60bに近接する第2の位置(図10E参照)に移動され得る。
【0047】
ここで図14A~14Bを参照すると、可撓性外科手術アクセスポート30は、可撓性外科手術アクセスポート30が標的外科手術アクセス場所に向かって駆動されるにつれて、神経モニタリングを提供するように構成されることができる。特に、可撓性本体36の繊維44は、図14Aに示すように、電流を運ぶように構成された1つ以上の導電性又は金属ワイヤを含むことができる。代替的に、図14Bに図示されるように、1つ以上の導電性又は金属ワイヤ66が、可撓性本体36に沿って延在することができる。例えば、金属ワイヤ66は、可撓性本体36を通して織られ得るか、又は別様に可撓性本体36によって担持され得る。神経モニタリングリード70は、アクセスポート30の近位端に取り付けられ、導電性ワイヤ66と電気的に通信することができる。導電性ワイヤ66は、電気絶縁を提供するために、その長さに沿って誘電体コーティングによって囲まれ得る。ワイヤの遠位端は、露出されたままであってもよく、誘電体コーティングによって覆われていなくてもよい。ワイヤは、銀、銅、金、アルミニウム、白金、ステンレス鋼等の任意の好適な導電性材料から作製することができる。誘電体コーティングは、パリレン等の任意の好適な電気絶縁材料から作製することができる。
【0048】
動作中、定電流がワイヤに印加され得る。したがって、可撓性本体36の遠位端38bが神経に接近すると、神経が刺激され得る。神経への刺激の程度は、遠位先端1111と神経との間の距離に関連する。神経の刺激は、例えば、運動について患者の脚を視覚的に観察することによって、又は筋電図検査(Electromyography、EMG)若しくは種々の他の既知の技法を通して筋肉活動を測定することによって、測定されてもよい。
【0049】
この構成を利用することによって、第1の拡張器チューブの外科手術アクセスポイントへの、及びKambinの三角形を通る位置決めに関する追加のガイダンスをオペレータに提供することができる。各動きで、オペレータは、可撓性外科手術アクセスポート30の先端が神経に接近するか、又は神経と接触するときに警告を受けることができる。オペレータは、この技術を単独で、又は蛍光透視法及び触覚フィードバックなどの他の位置決め支援技術と併せて使用することができる。ファイバ又はワイヤに印加される電流の量は、好ましい感度に応じて変えることができる。供給される電流が大きいほど、神経から所与の距離においてより大きな神経刺激がもたらされる。様々な実施形態において、導電性ワイヤに印加される電流は、いくつかの例において一定でなくてもよく、むしろ周期的又は不規則であってもよい。あるいは、電流パルスは、オペレータからの要求に応じてのみ提供されてもよい。一例では、神経モニタリングは、Sentio MMG技術によって実行されて、処置中に神経の場所及び神経の健康状態をモニタリングすることができる。
【0050】
ここで図15を参照すると、可撓性外科手術アクセスポート30は、外科的処置を補助する1つ以上の付加的特徴を有することができる。例えば、繊維44のうちの1つ以上は、正圧下で生理食塩水等の流体を送達するように、又は負圧下で解剖学的流体等の流体を除去するように構成される内部管腔を有する、それぞれのチューブ72として構成されることができる。繊維44は、流体を送達するか、又は流体を受け取る遠位端を有することができる。チューブ72の遠位端は、チューブ72が負圧下で流体を除去するように構成されているときに、負圧が軟組織をチューブ72の遠位端に押し込むのを防止するために、可撓性本体36の遠位端38bに対して凹んでいてもよい。
【0051】
別の例では、可撓性外科手術アクセスポート30は、光及び/又はビデオを伝送するように構成される、1つ以上の光ファイバを含むことができる。一例では、1つ以上の光ファイバケーブルは、可撓性本体36に沿って延在することができ、又は金属ワイヤ66に関して図14Bに示されるように、可撓性本体36を通して織られるか、若しくは別様に可撓性本体36によって担持されることができる。光ファイバケーブルは、それらのそれぞれの近位端において光源から光を受け取ることができ、それらのそれぞれの遠位端において光を送達して、標的手術場所に向かって又は標的手術場所へのナビゲーション中にそれぞれの標的手術場所又は解剖学的組織の照明を提供することができる。別の用途では、光ファイバケーブルは、オペレータが見ることができる可撓性外科手術アクセスポート30の遠位の解剖学的組織のカメラ画像を作成するように処理される画像を伝送することができる。
【0052】
更に別の例では、可撓性本体36は、神経の健康状態/退縮/持続時間を評価するための少なくとも1つのセンサを含むことができる。例えば、少なくとも1つのセンサは、アクセスポート36の壁上の圧力、したがってアクセスポート36がアクセスポート36を取り囲む軟組織に及ぼしている負荷を測定する負荷センサを含むことができる。測定された負荷は、例えばアクセスポート36の拡張中に、閾値負荷限界と比較することができる。測定された負荷が閾値負荷よりも大きい場合、アクセスポート36が速すぎる速度で拡張されており、したがって、所望よりも高い負荷を軟組織に及ぼしていると判定することができる。したがって、アクセスポート36の拡張率を、測定された負荷が閾値負荷限界内になるまで減少させることができる。少なくとも1つのセンサはまた、軟組織の色又は外観に対する任意の虚血効果の分析を可能にし、したがって、軟組織の健康状態又は組織同一性を査定するために、近赤外(Near Infrared、NIR)又は可視波長センサを含むことができる。少なくとも1つのセンサは、1つ以上の導電性ワイヤを更に含むことができ、この導電性ワイヤは、可撓性本体36の繊維に縫い込まれるか又は織り込まれることができ、あるいは可撓性本体36によって支持されることができ、可撓性本体36の長さの一部から全体に沿って延びることができる。ワイヤは、湿度、インピーダンス、キャパシタンス、抵抗などを測定するように構成された1つ以上のセンサに結合することができ、また、Kambinの三角形の神経の活動及び健康状態を監視することもできる。導電性ワイヤは更に、可撓性本体36が拡張するにつれて可撓性本体36の繊維の歪みを測定する1つ以上の歪みゲージに結合されることができる。繊維の測定された歪みと、可撓性本体36によって周囲組織に印加される圧力との間に相関を適用することができる。
【0053】
上記の説明又は添付図面において表現された又は示唆された方法ステップの任意の順序は、開示された方法を、その順序でステップを実施することに限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。むしろ、本明細書で開示される方法の各々の様々なステップは、様々な順序のうちのいずれかで行うことができる。更に、記載した方法は、例示的実施形態に過ぎず、追加のステップを含む、又はより少ないステップを含む、様々な他の方法も本開示の範囲内である。
【0054】
本明細書に開示される器具は、様々な既知の材料のうちのいずれかから構成されることができる。例示的な材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、コバルトクロム、又はそれらの合金及び組み合わせのような金属、PEEKなどのポリマー、セラミックス、炭素繊維などを含む、外科用途で使用するのに適した材料が挙げられる。本明細書に開示される器具の様々な構成要素は、それらの使用に適切な様々な程度の剛性又は可撓性を有することができる。装置のサイズもまた、使用目的及び手術部位の生体構造によって大きく異なり得る。更に、特定の構成要素は、他の構成要素とは異なる材料から形成され得る。器具の1つ以上の構成要素又は部分は、蛍光透視法及び他の画像処理技法下の視覚化を容易にするために、放射線不透過性材料から形成されてもよく、あるいは他の構造物の可視化を干渉しないように放射線透過性材料から形成されてもよい。例示的な放射線透過性の材料としては、炭素繊維及び高強度のポリマーが挙げられる。
【0055】
本明細書で開示されたデバイス及び方法は、低侵襲手術及び/又は切開手術で使用することができる。本明細書に開示される装置及び方法は、一般に、ヒト患者における脊椎手術の文脈で説明されているが、本明細書に開示される方法及び装置は、任意のヒト若しくは動物の対象との様々な外科処置のいずれかで、又は非外科処置で使用され得ることが理解されるであろう。
【0056】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは、少なくとも1回の使用後に、再使用のために再調整することができる。再調整には、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、デバイスは分解することができ、デバイスの任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、デバイスを後の使用のために、再調整施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによってのいずれかで再度組み立てることができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0057】
本明細書に説明されるデバイスは、外科処置に使用される前に処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで、器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖及び密封された容器に入れることができる。次に、容器及びその内容物は、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子などの、容器を貫通することができる放射線場の中に配置することができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された器具を滅菌容器内で保管することができる。密封された容器は、医療施設において開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。当技術分野で既知の別の形態の滅菌も可能である。これにはベータ線又は他の放射線、酸化エチレン、蒸気、又は液体浴(例えば、寒冷浸漬)を挙げることができる。使用される材料、電気部品の存在などによって、特定の形態の滅菌技術が、デバイスの異なる部分で使用するのにより好適であり得る。
【0058】
当業者は、上記で説明された実施形態に基づき、更なる特徴及び利点を理解するであろう。したがって、本開示は、具体的に示され、かつ説明されている内容によって限定されるものではない。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) 可撓性外科手術アクセスポートであって、
ボアを画定するカラーと、
前記カラーから中心軸に沿って延在する可撓性本体と、
を備え、前記可撓性外科手術アクセスポートが、その長さ全体に沿って管腔を画定し、前記管腔が、前記カラーの前記ボアと連通し、
前記可撓性外科手術アクセスポートは、第1の寸法よりも大きい半径方向寸法を有する物体が前記内側管腔を通過するときに、前記長手方向軸に垂直な半径方向に前記第1の寸法から第2の寸法に拡張及び収縮するように構成されている、可撓性外科手術アクセスポート。
(2) 前記可撓性本体が編組されている、実施態様1に記載のデバイス。
(3) 前記可撓性外科手術アクセスポートに隣接する組織の神経モニタリングを容易にするために、前記可撓性本体に織り込まれたワイヤを更に備える、実施態様1に記載のデバイス。
(4) 前記可撓性外科手術アクセスポートの長さに沿って光を伝送するために、前記可撓性本体内に織り込まれた光ファイバを更に備える、実施態様1に記載のデバイス。
(5) 前記可撓性本体がエラストマーで形成されている、実施態様1に記載のデバイス。
【0060】
(6) 前記カラーは、前記可撓性外科手術アクセスポートの直径を制御するように構成されたばねを含む、実施態様1に記載のデバイス。
(7) 前記可撓性外科手術アクセスポートが、その側壁に形成された1つ以上の追加の管腔を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(8) 前記可撓性本体が弾性的に拡張する、実施態様1に記載のデバイス。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
【国際調査報告】