(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】プロテアソーム阻害剤耐性を改善するためのtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/555 20060101AFI20241003BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20241003BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20241003BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241003BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K31/555
A61K31/416
A61K31/69
A61K38/07
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525371
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 CA2022051569
(87)【国際公開番号】W WO2023070199
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521478706
【氏名又は名称】ボールド セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラハ,パロミタ
(72)【発明者】
【氏名】バセット,マーク
(72)【発明者】
【氏名】マカリスター,エドワード・ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】パンコヴィッチ,ジャームス
(72)【発明者】
【氏名】クロフォード,リサ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA32
4C084CA59
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC37
4C086DA31
4C086DA43
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
プロテアソーム阻害剤および免疫調節性イミド薬物に対する耐性を含む、薬物耐性を改善するためのtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムの使用を伴う、患者における疾患を処置する方法および対応する使用が提供される。疾患は例えば再発性/難治性多発性骨髄腫であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とするヒト患者においてがんまたはリンパ増殖性障害である疾患を処置する方法であって、前記患者に有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムおよび組み合わせて有効な量のプロテアソーム阻害剤(PI)を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
それを必要とする患者における疾患においてプロテアソーム阻害剤(PI)に対する治療耐性を改善する方法であって、前記患者に有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムを投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
前記患者に組み合わせて有効な量の前記PIを投与することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムおよび前記組み合わせて有効な量の前記PIが相乗的に有効である、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
前記疾患が前記PIでの処置に対して耐性であるか、または前記疾患が前記PIに対して耐性を発生しやすい、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記PIが、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、クエン酸イキサゾミブ、マリゾミブ、オプロゾミブ、デランゾミブ、ONX 0914またはKZR 616である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記PIが、構成的なプロテアソームの阻害剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記PIが免疫プロテアソームの阻害剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記疾患が骨髄腫である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記疾患が多発性骨髄腫(MM)である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記MMが再発性/難治性MMである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記疾患が、アミロイドーシス、リンパ増殖性障害、形質細胞障害またはリンパ系悪性腫瘍である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記疾患が、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、またはT細胞リンパ腫アミロイドーシスである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記がんが再発性/難治性多発性骨髄腫であり、かつ前記PIがボルテゾミブまたはカルフィルゾミブである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
がんもしくはリンパ増殖性障害である疾患を処置するための、またはがんもしくはリンパ増殖性障害である疾患を処置するための医薬を製剤化するための、組み合わせて有効な量のプロテアソーム阻害剤(PI)と組み合わせた有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムの使用。
【請求項16】
それを必要とする患者における疾患においてプロテアソーム阻害剤(PI)に対する治療耐性を改善するための、ある量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムの使用。
【請求項17】
前記trans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが前記PIと併用するためのものである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムおよび組み合わせて有効な量の前記PIが相乗的に有効である、請求項15または17に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患が前記PIでの処置に対して耐性であるか、または前記疾患が前記PIに対して耐性を発生しやすい、請求項15~18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記PIが、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、クエン酸イキサゾミブ、マリゾミブ、オプロゾミブ、デランゾミブ、ONX 0914またはKZR 616である、請求項15~19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
前記PIが、構成的なプロテアソームの阻害剤である、請求項15~19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記PIが免疫プロテアソームの阻害剤である、請求項15~19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記疾患が骨髄腫である、請求項15~22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
前記疾患が多発性骨髄腫(MM)である、請求項15~22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記MMが再発性/難治性MMである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記疾患が、アミロイドーシス、リンパ増殖性障害、形質細胞障害またはリンパ系悪性腫瘍である、請求項15~22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
前記疾患が、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、またはT細胞リンパ腫アミロイドーシスである、請求項15~22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
前記がんが再発性/難治性多発性骨髄腫であり、かつ前記PIがボルテゾミブまたはカルフィルゾミブである、請求項15に記載の使用。
【請求項29】
治療剤に対して耐性の骨髄腫を処置する方法であって、患者に有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムを投与することを含み、前記治療剤が、耐性でない骨髄腫を処置するために有効である、前記方法。
【請求項30】
前記治療剤が、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節性イミド薬物、セレブロンモジュレーター薬物、サリドマイドまたはサリドマイドアナログである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記PIが、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、クエン酸イキサゾミブ、マリゾミブ、オプロゾミブ、デランゾミブ、ONX 0914またはKZR 616である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記PIが、構成的なプロテアソームの阻害剤である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記PIが免疫プロテアソームの阻害剤である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記サリドマイドアナログが、レナリドミド、ポマリドミドまたはイベルドミドである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記骨髄腫が多発性骨髄腫(MM)である、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記MMが再発性/難治性MMである、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばがんの処置における、trans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムおよびプロテアソーム阻害剤の併用を含む、治療学の分野におけるものである。
【背景技術】
【0002】
trans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムは、抗がん活性を有するルテニウムの配位錯体である(BOLD-100、KP1339、NKP-1339、IT-139、およびNa[RuIIICl4(Hind)2]としても公知である)。trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]のアルカリ金属塩を製造する方法は、例えばPCT国際公開第2018204930号に記載されており、そのような化合物は、式I:
【化1】
(式中、Mはアルカリ金属陽イオンである)を有し、例えばナトリウム塩:
【化2】
である。
【0003】
骨髄腫は、主に骨髄中に存在する形質細胞を伴うリンパ系悪性腫瘍であるが、悪性形質細胞は、末梢血、軟組織および臓器中にも見られ得る。骨髄腫は、したがって、罹患した部位により区別され得る形態において現れる形質細胞障害であり、多発性骨髄腫においていくつかの異なる区画が罹患し、形質細胞腫において1つの部位のみが罹患し、限局性骨髄腫において隣接する部位が罹患し、髄外骨髄腫において骨髄以外の組織の関与がある。本明細書において使用される場合、用語「骨髄腫」は、したがって、そのようなものとして当技術分野において認識される疾患のスペクトラムを指す。疾患のこのスペクトラム内で、再発性MMは、典型的には客観的臨床基準に基づいて、過去の奏効後の疾患の再発として一般に考えられており、再発性/難治性MM(RRMM)は、過去の治療において最小奏効(MR)またはより良好な奏効を達成した患者において治療に対してまたは以前の処置の60日以内に非奏効性または進行性となる疾患として一般に定義される。RRMMの処置は特有の課題を提示している。
【0004】
免疫調節性イミド薬物(IMiD)は、IMiD薬物サリドマイドならびにそのアナログ(レナリドミド、ポマリドミド、およびイベルドミドを含む)を含めて、骨髄腫の処置において使用されている。これらの薬物は、タンパク質セレブロンのモジュレーターとして作用することが理解されている。
【0005】
プロテアソームは、形質転換された真核細胞および正常真核細胞の両方において、調節されたタンパク質加水分解のためのマーカーとして作用するユビキチンと協力して、タンパク質の選択的な加水分解を媒介するプロテアーゼ複合体である。プロテアソーム阻害剤(PI)の使用は、多発性骨髄腫(MM)、マントル細胞リンパ腫(MCL)およびアミロイドーシスの処置において変革的なものとなっている。PIは、様々なプロテアソーム構成要素を標的化することによりタンパク質のプロテアソーム分解を阻害することにより媒介される抗増殖および抗腫瘍活性を有することが理解されており、ほとんどの細胞タイプにおいて発現される構成的なプロテアソームおよび免疫細胞において発現される免疫プロテアソームの阻害剤の間で区別が認識されている。PIの臨床活性はまた、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、T細胞リンパ腫アミロイドーシス、および他のリンパ増殖性障害、例えばリンパ系悪性腫瘍において報告されている。3つのプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ、カルフィルゾミブおよびクエン酸イキサゾミブは、多発性骨髄腫の処置のために使用されており、追加の使用のために試験されている。マリゾミブ、オプロゾミブ、およびデランゾミブは、MMおよび他の適応症のための臨床試験において使用されているPIである。免疫プロテアソーム阻害剤はONX-0914およびKZR-616を含み、例えば国際公開第2006099261号、国際公開第2006092326号、国際公開第2006045066号、国際公開第2007149512号、国際公開第2010108172号、国際公開第2014152134号、国際公開第2014152127号、国際公開第2011109355号、国際公開第2014056954号、国際公開第2014056748号において記載されている。多数の疾患の処置におけるPIの成功の増加と共に、プロテアソーム阻害剤への耐性の問題が大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006099261号
【特許文献2】国際公開第2006092326号
【特許文献3】国際公開第2006045066号
【特許文献4】国際公開第2007149512号
【特許文献5】国際公開第2010108172号
【特許文献6】国際公開第2014152134号
【特許文献7】国際公開第2014152127号
【特許文献8】国際公開第2011109355号
【特許文献9】国際公開第2014056954号
【特許文献10】国際公開第2014056748号
【発明の概要】
【0007】
有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム(BOLD-100)を投与することを含む、それを必要とする患者においてプロテアソーム阻害剤(PI)に対する治療耐性を改善する方法および対応する使用が提供される。組み合わせて有効な量のプロテアソーム阻害剤(PI)と組み合わせて有効量のBOLD-100を投与することを含む、それを必要とする患者においてがんまたはリンパ増殖性障害を処置する方法が同様に提供される。PIの組み合わせて有効な量は、PIの治療的な利益がBOLD-100との併用処置により向上されるPI投薬量またはレジメンである。BOLD-100およびPIでの併用処置に適する疾患または障害は、例えば、BOLD-100での処置の非存在下でPIでの処置に対して耐性を発生しやすい疾患であってもよい。プロテアソーム阻害剤に対する治療耐性を改善するためのBOLD-100の使用は、したがって、PI耐性疾患状態への遷移を改善するという意味において、予防的であり得る。
【0008】
有効量のBOLD-100および組み合わせて有効な量のPIは、例えば、付加的にまたは相乗的に有効であってもよく、相乗作用は、様々な当分野において認識される尺度のいずれか1つにより評価される。疾患は、PI単独での処置に対して耐性であってもよい。疾患は、多発性骨髄腫(MM)、例えば再発性難治性MM(RRMM)であってもよい。選択的実施形態は、したがって、RRMMの処置を伴い、RRMMは、PIに対する耐性を獲得しており、かつ処置は、BOLD-100と組み合わせたPIの投与を含み、BOLD-100は、PIに対する獲得された耐性を克服または改善するために有効な量で使用される。BOLD-100およびPIは、任意の順序で、逐次的に投与されてもよいか、または、共製剤中でもしくは別々に、組み合わせて投与されてもよい。
【0009】
治療剤に対して耐性の骨髄腫を処置する方法であって、患者に有効量のtrans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムを投与することを含み、治療剤が、耐性でない骨髄腫を処置するために有効である、方法もまた提供される。治療剤は、例えば、PI、免疫調節性イミド薬物、セレブロンモジュレーター薬物、サリドマイドまたはサリドマイドアナログ(例えばレナリドミド、ポマリドミドもしくはイベルドミド)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】trans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム(BOLD-100)の抗がん活性を示す線グラフであり、様々な多発性骨髄腫(MM)がん細胞株の増殖の阻害を示す。
【
図2A】親MM.1S細胞株と比較してBOLD-100に対するPI耐性株のより高い感受性(BOLD-100 IC
50:MM.1S=83μM;MM.1S BR=23μM)を実証する、24時間にかけての増加用量のBOLD-100の存在下での細胞株MM.1SおよびMM.1S BRの増殖曲線を示す線グラフを含む。
【
図2B】BOLD-100に対するレナリドミドおよびポマリドミド耐性株のより高い感受性(BOLD-100 IC
50:OPM2=120μM;OPM2 PR=51μM)を実証する、24時間にかけての増加用量のBOLD-100の存在下での細胞株OPM2、OPM2 LR(レナリドミド耐性)およびOPM2 PR(ポマリドミド耐性)の増殖曲線を示す線グラフを含む。
【
図3A】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3B】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3C】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3D】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3E】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3F】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3G】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3H】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3I】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3J】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3K】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3L】棒グラフおよび散布図を含み、BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服することを示す。棒グラフは、指し示される処置についての媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを示す。散布図は、処置についての対応する併用指数(combination index)および効果サイズ比率(fraction effect size)を示し、点線は、上から下へそれぞれ拮抗作用、付加的効果および相乗作用の領域を指し示す。
【
図3M】棒グラフは、各々のデータセット中のすべての細胞が10nMのボルテゾミブ(左手の棒グラフ)または10nMのカルフィルゾミブ(右手の棒グラフ)で処理された、
図3の他のパネルに示されるものと同じデータを示す。
【
図4A】棒グラフおよび写真を含み、クローン形成アッセイにおけるPI感受性(MM.1S)細胞株における強い細胞傷害性効果の媒介におけるボルテゾミブ(Btz)と組み合わせたBOLD-100の有効性を示す。
【
図4B】棒グラフおよび写真を含み、クローン形成アッセイにおける耐性(MM.1 BR)細胞株における強い細胞傷害性効果の媒介におけるボルテゾミブ(Btz)と組み合わせたBOLD-100の有効性を示す。
【
図5】BOLD-100は3つのMM.1S細胞株の生存に負に影響するが、骨髄細胞株HS-5において最小の影響力を有することを示す線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示されるように、PIと組み合わせたBOLD-100は、PI感受性がん細胞において付加的な治療効果を媒介する能力を有し、かつPI耐性がん細胞において耐性を克服する。よって、長期化された曝露からの獲得された薬物耐性に典型的には起因して、PIの治療有効性が低減される場合、処置レジメンにBOLD-100を加えることはPIの有効性を回復させる。追加的に、BOLD-100およびPIの付加的な併用は、処置の過程において生じる任意のPI耐性細胞に対する相乗的な効果によりさらに補足されるという意味において、BOLD-100およびPIの併用は永続的なPI療法を促す。このようにして、BOLD-100は、PI耐性へのPI感受性疾患の進行を阻害するために使用され得る。BOLD-100との永続的なPI併用療法のこれらの形態は、したがって、PIでの処置に対して耐性を発生しやすいがんまたはリンパ増殖性障害において特有の有用性を有し得る。これは、例えば、MM、特には再発性/難治性MMの処置またはRRMMへのMMの進行の予防において該当する。
【0012】
本発明の態様は、以下に記載されるように、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]のナトリウム塩(すなわちBOLD-100)を含有する薬物製造物を調製する方法を伴う。
【0013】
本発明の1つの態様は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムを含有する無菌の、凍結乾燥された薬物製造物を調製する方法を提供する。この製剤は、患者への投与のために好適である。製剤は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、pH緩衝剤、および凍結保護剤を含む。前記製剤を提供する一般的方法は、水性緩衝剤溶液を調製する工程、水性凍結保護剤溶液を調製する工程、緩衝剤溶液中にtrans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムを溶解する工程、凍結保護剤溶液を加える工程、無菌濾過(sterile filtration)(例えば殺菌濾過(aseptic filtration))工程、無菌条件下でのバイアルへの充填工程、および無菌条件下での凍結乾燥工程を含む。好適な緩衝剤は、クエン酸(塩)、TRIS、酢酸(塩)、EDTA、HEPES、トリシン、およびイミダゾールを含むが、これらに限定されない。リン酸緩衝剤の使用は可能であるが好ましくない。本発明の好ましい態様はクエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤の使用である。好適な凍結保護剤は、糖、単糖、二糖、ポリアルコール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、デキストラン、およびデキストロースを含むが、これらに限定されない。本発明の好ましい態様は凍結保護剤としてのマンニトールの使用である。
【0014】
本明細書において、上記されるように、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムは水中で化合物Aに分解することができる(スキームII)。この分解反応を限定することは、最も高い純度の製造物を得るために有利であることを当業者は認識する。製剤化過程の間にtrans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム溶液を冷却することは、凍結乾燥された製造物中に存在する化合物Aの量を大きく低減させることが見出されたことが見出された。本発明の1つの態様において、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム溶液は、製剤化過程の間に4℃に冷却される。本発明の別の態様において、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム溶液は、製剤化過程の間に 2~8℃に冷却される。本発明の別の態様において、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム溶液は、製剤化過程の間に2~15℃に冷却される。
【0015】
本発明の1つの実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、好適な緩衝剤、およびマンニトールを含む組成物を提供する。一部の実施形態において、好適な緩衝剤はクエン酸緩衝剤を含む。例えば、一部の実施形態において、クエン酸緩衝剤はクエン酸ナトリウムおよびクエン酸を含む。本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、およびマンニトールを含む組成物を提供する。本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、およびmer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]を含む組成物を提供する。本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物を提供する。本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、およびマンニトールを含む組成物であって、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが非晶性である、組成物を提供する。本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、およびmer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]を含む組成物であって、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが非晶性である、組成物を提供する。本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが非晶性である、組成物を提供する。本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01~約0.4重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.01重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0016】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01~約0.4重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.01重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0017】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01~約0.2重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.01重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0018】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01~約0.40重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.01重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0019】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
組成物が凍結乾燥粉末であり、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01~約0.40重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.01重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0020】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
組成物が凍結乾燥粉末であり、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01~約0.3重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.1重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0021】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01~約0.3重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.1重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0022】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
組成物が凍結乾燥粉末であり、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約11.5~約14.0重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約43.9~約53.7重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約25.7~約23.1重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約11.5~約14.0重量パーセントであり、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01および約0.3重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.1重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0023】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マンニトール、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
組成物が凍結乾燥粉末であり、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約10.2~約15.3重量パーセントであり
クエン酸が組成物の約39.0~約58.5重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約20.5~約30.8重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約10.2~約15.3重量パーセントであり、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が組成物の約0.01および約0.3重量パーセントであり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.1重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0024】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]、およびセシウム塩を含む組成物であって、
組成物が凍結乾燥粉末であり、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約10.2~約15.3重量パーセントであり、
mer,trans-[RuIIICl3(Hind)2(H2O)]が約0.01および約0.3重量パーセントの組成物であり、
かつセシウムが組成物の約0.00001~約0.1重量パーセントである、
組成物を提供する。
【0025】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、およびクエン酸ナトリウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約49.86重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約49.86重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.187重量パーセントであり、
かつクエン酸ナトリウムが組成物の約0.093重量パーセンテージである、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0026】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、およびクエン酸ナトリウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.01~約0.5重量パーセントであり、
かつクエン酸ナトリウムが組成物の約0.001~約0.25重量パーセンテージである、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0027】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、およびクエン酸ナトリウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.001~約1重量パーセントであり、
かつクエン酸ナトリウムが組成物の約0.0001~約1重量パーセンテージである、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0028】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびRuIIICl3(Hind)2(H2O)を含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約49.86重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約49.86重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.187重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.093重量パーセンテージであり、
かつRuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の0.5重量パーセンテージ以下である、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0029】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびRuIIICl3(Hind)2(H2O)を含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.01~約0.5重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.001~約0.25重量パーセンテージであり、
かつRuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の約0~約0.5重量パーセンテージである、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0030】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.001~約1重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.0001~約1重量パーセンテージであり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の0.5重量パーセンテージ以下であり、
かつセシウムが組成物の0.25重量パーセンテージ以下である、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0031】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約49.61重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約49.86重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.187重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.093重量パーセンテージであり、
かつセシウムが組成物の約0.25重量パーセンテージである、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0032】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.01~約0.5重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.001~約0.25重量パーセンテージであり、
かつセシウムが組成物の約0.1~約0.5重量パーセンテージである、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0033】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.001~約1重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.0001~約1重量パーセンテージであり、
かつセシウムが組成物の約0.01~約1重量パーセンテージである、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0034】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約46.61重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約49.86重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.187重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.093重量パーセンテージであり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)が組成物の1.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)が組成物の1.0重量パーセンテージ以下であり、
かつセシウムが組成物の0.25重量パーセンテージ以下である、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0035】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約46.61重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約49.86重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.187重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.093重量パーセンテージであり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)が組成物の1.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)が組成物の1.0重量パーセンテージ以下であり、
かつセシウムが組成物の0.25重量パーセンテージ以下である、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0036】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約40~約60重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.01~約0.5重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.001~約0.25重量パーセンテージであり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の約0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)が組成物の約1.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)が組成物の約1.0重量パーセンテージ以下であり、
かつセシウムが組成物の0.25パーセンテージ以下である、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0037】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約30~約70重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.001~約1重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.0001~約1重量パーセンテージであり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の約0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)が組成物の約1.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)が組成物の約1.0重量パーセンテージ以下であり、
かつセシウムが組成物の0.25パーセンテージ以下である、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0038】
本発明の代替的な実施形態は、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)、およびセシウムを含む組成物であって、
trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウムが組成物の約20~約80重量パーセントであり、
マンニトールが組成物の約20~約80重量パーセントであり、
クエン酸が組成物の約0.0001~約5重量パーセントであり、
クエン酸ナトリウムが組成物の約0.00001~約5重量パーセンテージであり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)が組成物の約0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)が組成物の約1.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)が組成物の約1.0重量パーセンテージ以下であり、
かつセシウムが組成物の0.25パーセンテージ以下である、
組成物を提供する。一部のそのような実施形態において、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0039】
一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される製剤または組成物を含む単位投薬形態を提供する。表現「単位投薬形態」は、本明細書において使用される場合、処置される対象のために適切な提供される製剤の物理的に別々の単位を指す。しかしながら、提供される製剤の1日当たりの総用量は、妥当な医学的判断の範囲内で主治医により決定されることが理解される。任意の特有の対象または生物のための特定の有効な用量レベルは、処置されている障害および障害の重症度;用いられる特定の活性剤の活性;用いられる特定の製剤;対象の年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事;投与の時間、および用いられる特定の活性剤の排出の速度;処置の持続期間;用いられる(1または複数の)特定の化合物と組み合わせてまたは同時的に使用される薬物および/または追加の療法、ならびに医療分野において周知の同様の要因を含む様々な要因に依存する。
【0040】
本発明の組成物は単位投薬形態として提供され得る。一部の実施形態において、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウムを含むバイアルは単位投薬形態である。
【0041】
一部の実施形態において、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびセシウムを含む本発明のバイアルは単位投薬形態である。
【0042】
一部の実施形態において、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、RuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)、およびセシウムを含む本発明のバイアルは単位投薬形態である。
【0043】
本発明によりいっそうさらに包含されるのは、本明細書に記載される組成物、または提供される組成物を含む単位投薬形態、および容器(例えば、ホイルもしくはプラスチックパッケージ、または他の好適な容器)を含む医薬的パックおよび/またはキットである。使用のための指示書がそのようなキットにおいて追加的に提供されてもよい。
【0044】
一部の実施形態において、本発明は単位投薬形態として提供され得る。実際に、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウムを含むバイアルは、表3において描写される単位投薬形態である。
【表1】
一部の実施形態において、表3に記載される医薬的構成要素はセシウムをさらに含み;
セシウムは組成物の0.25重量パーセンテージ以下である。
【0045】
一部の実施形態において、表3に記載される医薬的構成要素は、セシウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、およびRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)をさらに含み;
セシウムは組成物の約0.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)は組成物の約0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)は組成物の約1.25重量パーセンテージ以下であり、
かつRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)は組成物の約1.0重量パーセンテージ以下である。
【0046】
一部の実施形態において、医薬組成物は、表4中のものから選択される。
【表2】
一部の実施形態において、表4に記載される医薬的構成要素はセシウムをさらに含み;
セシウムは組成物の0.25重量パーセンテージ以下である。
【0047】
一部の実施形態において、表4に記載される医薬的構成要素は、セシウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、およびRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)をさらに含み;
セシウムは組成物の約0.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)は組成物の約0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)は組成物の約1.25重量パーセンテージ以下であり、
かつRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)は組成物の約1.0重量パーセンテージ以下である。
【0048】
一部の実施形態において、本発明は単位投薬形態として提供され得る。実際に、trans-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム、マンニトール、クエン酸、クエン酸ナトリウムを含むバイアルは、表5において描写される単位投薬形態である。
【表3】
一部の実施形態において、表5に記載される医薬的構成要素はセシウムをさらに含み;
セシウムは組成物の0.25重量パーセンテージ以下である。
【0049】
一部の実施形態において、表5に記載される医薬的構成要素は、セシウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、およびRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)をさらに含み;
セシウムは組成物の約0.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)は組成物の約0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)は組成物の約1.25重量パーセンテージ以下であり、
かつRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)は組成物の約1.0重量パーセンテージ以下である。
【0050】
一部の実施形態において、医薬組成物は、表6中のものから選択される。
【表4】
一部の実施形態において、表6に記載される医薬的構成要素はセシウムをさらに含み;
セシウムは組成物の0.25重量パーセンテージ以下である。
【0051】
一部の実施形態において、表6に記載される医薬的構成要素は、セシウム、RuIIICl3(Hind)2(H2O)、RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)、およびRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)をさらに含み;
セシウムは組成物の約0.25重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(H2O)は組成物の約0.5重量パーセンテージ以下であり、
RuIIICl3(Hind)2(CH3CN)は組成物の約1.25重量パーセンテージ以下であり、
かつRuIIICl3(Hind)(HN=C(Me)ind)は組成物の約1.0重量パーセンテージ以下である。
【0052】
一部の実施形態において、医薬的構成要素は、表3~6のいずれかに記載される通りであり、かつセシウムをさらに含む。一部の実施形態において、セシウムは、組成物の約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0重量パーセンテージの量で存在する。
【0053】
一部の実施形態において、有効量のBOLD-100は、単独でまたは組み合わせて、例えばPIと組み合わせて、BOLD-100の投与後に細胞中のGRP78の量を低減させるために有効であってもよい。
【0054】
ある特定の実施形態において、BOLD-100は、PIの後に、例えばPIの少なくとも1、2、3、4、5、6もしくは7日後に、または1~7日後後に投与される。代替的に、BOLD-100は、PIと少なくともおおよそ同時に、例えばPIの1、2、3、4、5もしくは6時間以内に、または互いの20、21、22、23、24、25、26、27もしくは28時間以内に投与されてもよい。代替的に、BOLD-100は、PIの前に、例えばPIの少なくとも約8、9、10、11、12、13、14、15または16時間前に投与されてもよい。
【0055】
ある特定の実施形態において、BOLD-100での処置はファーストラインまたは誘導処置の部分であってもよく、代替的にBOLD-100は再発性または難治性疾患の処置において使用されてもよい。例えばMMまたはRRMMにおいて、BOLD-100は、PI(例えばボルテゾミブ、カルフィルゾミブまたはイキサゾミブ)、レナリドミド、ポマリドミド、デキサメタゾン、プレドニゾン、シクロホスファミド、サリドマイド、ダラツムマブ、エロツズマブ、イサツキシマブ、セリネクソル、メルファラン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびパノビノスタットのうちの1または複数と組み合わせられてもよい。BOLD-100でのMM処置は、例えば自家幹細胞移植に先立ってもよい。
【0056】
滴定可能な投薬量は、例えば、単位用量よりも小さい用量において医薬品を患者が取ることを可能とするために適合されてもよく、「単位用量」は、任意の1回でまたは特定の投薬期間内に取られ得る医薬品の最大用量として定義される。同じ利益を達成するためにすべての患者が同じ用量を要求するわけではないので、用量の滴定は、異なる患者がその医薬品が有効であると感じるまで用量を増分的に増加させることを可能とする。より大きい身体またはより迅速な代謝を有する人は、より小さい身体またはより遅い代謝を有する別の人と同じ効果を達成するためにより大きい用量を要求し得る。したがって、滴定可能な投薬量は、標準的な投薬形態を上回る利点を有する。
【0057】
選択実施形態において、製剤は、以下:舌下、頬側、経口、直腸、経鼻、非経口および肺系統を介するもののうちの1または複数を標的化するような仕方で送達されるように適合されてもよい。製剤は、例えば、以下の形態:ゲル、ゲルスプレー、錠剤、液体、カプセル、注射によるもの、または気化のためのもののうちの1または複数であってもよい。
【0058】
従来の医薬的プラクティスが、好適な製剤または対象に製剤を投与するための組成物を提供するために用いられてもよい。投与の経路は、例えば、非経口、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼内、脳室内、嚢内、脊髄内、髄腔内、大槽内、腹腔内、鼻腔内、吸入、エアロゾル、外用、舌下または経口投与を含み得る。治療用製剤は液体溶液または懸濁液の形態であってもよく;経口投与のために、製剤は錠剤またはカプセルの形態であってもよく;鼻腔内製剤のために、粉末、点鼻剤、またはエアロゾルの形態であってもよく;舌下製剤のために、滴下剤、エアロゾルまたは錠剤の形態であってもよい。
【0059】
製剤を製造するための当技術分野において周知の方法は、例えば、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”(21st edition),ed.David Troy,2006,Lippincott Williams&Wilkinsにおいて見出される。非経口投与用の製剤は、例えば、賦形剤、無菌水、または食塩水、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、植物起源の油、または水素化ナフタレンを含有してもよい。生体適合性生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーが、化合物の放出を制御するために使用されてもよい。他の潜在的に有用な非経口送達システムは、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透ポンプ、移植可能注入システム、およびリポソームを含む。吸入用の製剤は、賦形剤、例えば、ラクトースを含有してもよいか、または、例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココレートおよびデオキシコレートを含有する水性溶液であってもよいか、または点鼻剤の形態、もしくはゲルとしての投与のための油性溶液であってもよい。
【0060】
本発明の医薬組成物は、組成物が患者に投与されることを可能とする任意の形態であってもよい。例えば、組成物は、固体、液体または気体(エアロゾル)の形態であってもよい。本発明の医薬組成物は、その中に含有される活性成分が患者への組成物の投与において生体利用可能となるように製剤化される。患者に投与される組成物は、1または複数の投薬単位の形態を取ってもよく、例えば、錠剤、カプセルまたはカシェ剤が単一の投薬単位であってもよく、エアロゾル形態の化合物の容器が複数の投薬単位を保持してもよい。
【0061】
医薬組成物の調製において使用される材料は、医薬的に純粋であるべきであり、かつ使用される量において非毒性であるべきである。本発明の組成物は、特に望ましい効果のために公知の1または複数の化合物(活性成分)を含んでもよい。医薬組成物中の(1または複数の)活性成分の最適な投薬量が様々な要因に依存することは当業者に明らかである。関連する要因は、対象(例えば、ヒト)のタイプ、活性成分の特有の形態、投与の方式および用いられる組成物を含むが、これらに限定されない。
【0062】
一般に、医薬組成物は、1または複数の担体と混合状態の、本明細書に記載されている本発明の製剤を含む。組成物が例えば錠剤または粉末形態となるように、(1または複数の)担体は粒子状であってもよい。(1または複数の)担体は液体であってもよく、組成物は、例えば、経口シロップまたは注射可能な液体である。追加的に、(1または複数の)担体は、例えば、吸入投与において有用な、エアロゾル組成物を提供するように、気体状であってもよい。
【0063】
経口投与のために意図される場合、組成物は好ましくは固体形態または液体形態のいずれかであり、半固体、半液体、懸濁液およびゲル形態は、固体または液体のいずれかとして本明細書において考えられる形態内に含まれる。
【0064】
経口投与用の固体製剤として、組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、丸剤、カプセル、カシェ剤、チューインガム、ウェーハ、またはロゼンジなどの形態に製剤化されてもよい。そのような固体組成物は、1または複数の不活性希釈剤または可食性担体を典型的には含有する。追加的に、以下の補佐剤のうちの1または複数が存在してもよい:結合剤、例えばシロップ、アカシア、ソルビトール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、ガムトラガカントまたはゼラチン、およびこれらの混合物;賦形剤、例えばデンプン、ラクトースまたはデキストリン、崩壊剤、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、およびコーンスターチなど;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはSterotex;充填剤、例えばラクトース、マンニトール、デンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、メチルセルロース、およびこれらの混合物;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、高分子量ポリマー、例えばポリエチレングリコール、高分子量脂肪酸、例えばステアリン酸、シリカ、湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、滑剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリン、香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味剤、ならびに着色剤。組成物がカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態である場合、それは、上記のタイプの材料に加えて、液体担体、例えばポリエチレングリコールまたは脂肪油を含有してもよい。
【0065】
製剤は、液体、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、水性もしくは油性エマルションもしくは懸濁液、またはさらには使用に先立って水および/もしくは他の液体媒体で再構成され得る乾燥粉末の形態であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であってもよい。経口投与のために意図される場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味剤、濃化剤、防腐剤(例えば、アルキルp-ヒドキシベンゾエート(alkyl p-hydoxybenzoate))、色素/着色剤および香味増強剤(香料)のうちの1または複数を含有する。注射により投与されることが意図される組成物において、界面活性剤、防腐剤(例えば、アルキルp-ヒドロキシベンゾエート)、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤(例えば、ソルビトール、グルコース、または他の糖シロップ)、緩衝剤、安定化剤および等張剤のうちの1または複数が含まれてもよい。乳化剤は、レシチンまたはソルビトールモノオレエートから選択されてもよい。
【0066】
本発明の液体医薬製剤は、溶液、懸濁液または他の同様の形態のいずれであれ、以下の補佐剤のうちの1または複数を含んでもよい:無菌希釈剤、例えば注射用の水、食塩水溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、固定油、例えば溶媒もしくは懸濁媒体として役立ち得る合成モノもしくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば酢酸(塩)、クエン酸(塩)またはリン酸(塩)および張度の調整用の剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックで作られたアンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量バイアル中に封入され得る。生理食塩水は好ましい補佐剤である。注射可能な医薬組成物は好ましくは無菌である。
【0067】
医薬製剤は外用投与のために意図されてもよく、その場合、担体は、好適には、溶液、エマルション、軟膏、クリームまたはゲル基剤を含んでもよい。基剤は、例えば、以下:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツバチワックス、鉱油、希釈剤、例えば水およびアルコール、ならびに乳化剤ならびに安定化剤のうちの1または複数を含んでもよい。濃化剤は、外用投与用の医薬組成物中に存在してもよい。経皮投与のために意図される場合、組成物は経皮パッチまたはイオントフォレーシスデバイスを含んでもよい。
【0068】
製剤は、例えば、直腸中で融解して薬物を放出する坐剤の形態で、直腸投与のために意図されてもよい。直腸投与用の組成物は、好適な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有してもよい。そのような基剤は、ラノリン、ココアバターおよびポリエチレングリコールを含むが、これらに限定されない。低融解性ワックスは坐剤の調製のために好ましく、脂肪酸グリセリドおよび/またはココアバターの混合物は好適なワックスである。ワックスは融解されてもよく、かつアミノシクロヘキシルエーテル化合物は撹拌によりその中に均質に分散される。融解した均質な混合物は次に、好都合なサイズのモールド中に注がれ、冷却およびそれにより固化される。
【0069】
製剤は、固体または液体投薬単位の物理的形態を改変する様々な材料を含んでもよい。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含んでもよい。コーティングシェルを形成する材料は典型的には不活性であり、例えば、糖、シェラック、および他の腸溶性コーティング剤から選択されてもよい。代替的に、活性成分は、ゼラチンカプセルまたはカシェ剤中に入れられてもよい。
【0070】
医薬製剤は気体状投薬単位からなってもよく、例えば、エアロゾルの形態であってもよい。用語エアロゾルは、コロイドの性質のものから、加圧されたパッケージからなるシステムまでの範囲に及ぶ様々なシステムを表すために使用される。送達は、液化もしくは圧縮された気体によりまたは活性成分を分配する好適なポンプシステムにより為されてもよい。本発明の化合物のエアロゾルは、(1または複数の)活性成分を送達するために単相、二相、または三相システム中で送達されてもよい。エアロゾルの送達は、一緒になってキットを形成し得る、必要な容器、アクティベーター、バルブ、およびサブ容器などを含む。
【0071】
一部の生物学的に活性の化合物は、遊離塩基の形態または医薬的に許容可能な塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩および当技術分野において公知の他の塩の形態であってもよい。適切な塩は、用いられる適切なモード(例えば、経口または非経口の投与経路)のために化合物のバイオアベイラビリティまたは安定性を増強するように選択される。
【0072】
本発明はまた、製剤の使用のための指示書と共に医薬製剤を含有するキットを提供する。好ましくは、商用パッケージは、製剤の1または複数の単位用量を含有する。光および/または空気感受性の製剤は、特別な包装および/または製剤化を要求することがある。例えば、光を通さない、かつ/または周囲空気との接触からシールされた、かつ/または好適なコーティングもしくは賦形剤を用いて構築された包装が使用されてもよい。
【0073】
本発明の製剤は、単独でまたは他の化合物(例えば、小分子、核酸分子、ペプチド、もしくはペプチドアナログ)と組み合わせて、担体または任意の医薬的にもしくは生物学的に許容可能な担体の存在下で提供され得る。本明細書において使用される場合、「医薬的に許容可能な担体」または「賦形剤」は、生理学的に適合性である任意のおよびすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、ならびに等張および吸収遅延剤などを含む。担体は、任意の適切な投与の形態のために好適であり得る。医薬的に許容可能な担体は、無菌水性溶液もしくは分散体および無菌粉末を一般に含む。補助活性化合物もまた製剤中に組み込まれ得る。
【0074】
本発明による製剤の「有効量」は治療有効量または予防有効量を含む。「治療有効量」は、所望される治療結果を達成するための、必要な投薬量および時間的期間における、有効な量を指す。製剤の治療有効量は、要因、例えば個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望される応答を誘発する化合物の能力に従って変動し得る。投薬量レジメンは、最適な治療奏功を提供するために調整されてもよい。治療有効量はまた、治療的に有益な効果が製剤または活性化合物の任意の毒性または有害効果を凌ぐ量であってもよい。「予防有効量」は、所望される予防結果を達成するための、必要な投薬量および時間的期間における、有効な量を指す。典型的には、予防用量は、対象において疾患に先立ってまたはその早期ステージにおいて使用され、その結果、予防有効量は治療有効量よりも低いものであり得る。任意の特有の対象のために、処置のタイミングおよび用量は、個々の必要性および組成物を投与するかまたはその投与を監督する者の専門的判断に従って経時的に調整されてもよい(例えば、タイミングは、1日毎、1日おき、週毎、月毎であってもよい)。
【0075】
治療応用において、観察される組み合わせられた治療効果が個々の活性成分の治療効果の和よりも大きいか、または活性成分が単独では生成できなかった新たな治療効果が生成される場合に、活性成分の間の相乗作用が起こっている。よって、製剤の構成要素が相乗的に有効な量で存在する場合、製剤は、同等の投薬量において単独で投与された個々の活性成分により達成されるよりも大きい治療効果をもたらす。この文脈において、治療効果の増強は、有効性もしくは効力の増加および/または有害効果の減少の形態を取ってもよい。相乗的な効果は、対象における活性成分の薬物動態および/または薬力学により全体的にまたは部分的に媒介され得るため、製剤中の成分の量および割合はin vivoで相乗的なものであり得る。このin vivo相乗作用は、有効性のin vitroアッセイにおいても相乗的である量および割合において活性成分を含む製剤を用いてもたらされ得る。本明細書において使用される場合、用語「相乗的に有効な量」は、したがって、in vivoおよび/またはin vitroで相乗的である量を指す。
【0076】
相乗作用は、Compusynソフトウェア、バージョン1.0を使用してChouおよびTalalayにより記載される方法論に従って複数の薬物効果分析により算出され、かつメジアン等式原理により行われる化合物相互作用において数値的に反映され得る(Chou TC.“Drug combination studies and their synergy quantification using the Chou-Talalay method.”Cancer Res.2010 Jan 15;70(2):440-6を参照)。CI値は、薬物組合せの相乗的、付加的または拮抗的な挙動を指し示す。CI<1、=1、および>1は、それぞれ相乗作用、付加的効果および拮抗作用を指し示す。
【0077】
相乗作用の代替的な数値的定量化は、阻害濃度指数比率(fractional inhibitory concentration index;FICI)として多くの場合に表現され、FICIは、試験された各々の薬物の阻害濃度比率(fractional inhibitory concentration;FIC)の和を表し、FICは、組み合わせて使用された場合の各々の薬物の最小阻害濃度(MIC;標準的なin vitroアッセイ-レサズリンに基づく標準的な比色アッセイにおいて細菌の可視的な増殖を予防する薬物の最低濃度)を、単独で使用された場合の各々の薬物のMICで割ることにより各々の薬物について決定される。非常に一般的な意味において、1より低いまたは高いFICIは、それぞれ、正に相関した活性(少なくとも付加的な相乗作用)または正の相互作用の非存在を指し示す。より決定的には、2つの化合物の相乗作用は≦0.5のFICIとして保守的に定義され得る(Odds,2003を参照;付加性または付加的な相乗作用は>0.5かつ≦1のFICIに対応し;相互作用なし(無関心)は>1かつ≦4のFICIに対応し;拮抗作用は>>4のFICIに対応する)。3つの化合物の相乗作用は≦1.0のFICIとして定義されている。(Berenbaum,1978;Yu et al.,1980)。
【0078】
[実施例]
以下の実施例に示されるように、BOLD-100はPI耐性を逆転させる。
【0079】
実施例1:BOLD-100に対する感受性
trans-[テトラクロリドビス(1H-インダゾール)ルテニウム酸(III)]ナトリウム(BOLD-100)の抗がん活性が、様々な多発性骨髄腫(MM)がん細胞株の増殖の阻害により実証された。具体的には、様々なMM細胞株をBOLD-100で24時間処理し、培養物中の代謝的に活性の生存細胞の数に対応する代謝リードアウトを提供するCell Titer Gloアッセイに供した。アッセイにおいて得られた発光読取り値を使用して、増加用量のBOLD-100での24時間の処理後の細胞死のパーセンテージを測定した。各々の細胞株を3連で処理し、平均細胞死を使用して、これらの細胞株におけるIC
50または半数最小阻害濃度用量を非線形回帰フィットを使用して算出した。
図1は、増加用量のBOLD-100の存在下での異なる細胞株の増殖曲線を示す。表1は、それぞれの細胞株におけるBOLD-100のIC
50値を示す。
【表5】
実施例2:薬物耐性細胞株はBOLD-100に対してより感受性である
プロテアソーム阻害剤(PI)および免疫調節薬物(IMiD)は、診療所においてMM疾患における標準治療処置として使用されている。BOLD-100は、in vitro CTGアッセイにおいて実証されるように感受性対照と比較して、これらのクラスの薬物の各々に対して耐性を獲得するように発達したMM細胞株においてより強力であることが見出された。具体的には、MM.1S細胞株を増加用量の薬物で約6か月間処理することによりプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(MM.1S BR)およびカルフィルゾミブ(MM.1S CR)に対して部分的な耐性を獲得するようにMM.1S細胞株を発達させ、かつOPM2細胞株を増加用量の薬物で約6か月間処理することによりIMiDレナリドミド(OPM2 LR)およびポマリドミド(OPM2 PR)に対して部分的な耐性を獲得するようにOPM2細胞株を発達させた。耐性が発達したら、薬物の存在から独立して増殖する能力について細胞を試験したところ、すべての薬物耐性細胞株は、ボルテゾミブ/カルフィルゾミブおよびレナリドミド/ポマリドミドの非存在下で、薬物の非存在下で増殖速度を維持しながら増殖できることが見出された。
図2Aは、24時間にかけての増加用量のBOLD-100の存在下でのMM.1SおよびMM.1S BRの増殖曲線を示し、親MM.1Sと比較したBOLD-100に対するPI耐性株のより高い感受性を実証している(BOLD-100 IC
50:MM.1S=83μM;MM.1S BR=23μM)。
図2Bは、24時間にかけての増加用量のBOLD-100の存在下でのOPM2、OPM2 LRおよびOPM2 PRの増殖曲線を示し、BOLD-100に対するレナリドミドおよびポマリドミド耐性株のより高い感受性を実証している(BOLD-100 IC
50:OPM2=120μM;OPM2 PR=51μM)。
【0080】
実施例3:BOLD-100はin vitroでPI耐性を克服する
細胞株をBOLD-100+PI処理に供して、どの程度BOLD-100がこれらの耐性細胞株の生存に影響できるのかおよびPIに対する耐性を克服できるのかを調べた。PI感受性およびPI耐性細胞を3つの増加用量の両方の薬物、すなわちBOLD-100およびそれぞれのPI、ボルテゾミブ(Btx)もしくはカルフィルゾミブ(Cfz)で24時間同時に処理し、CTGアッセイに供して生存を決定したか(
図3A~3F)、または薬物で逐次的に処理し、その場合、細胞を最初にプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブもしくはカルフィルゾミブ)に24時間曝露し、続いて別の24時間にわたりBOLD-100を加えた(
図3G~3L)。
【0081】
各々の細胞株における媒体対照に対して正規化された生存パーセンテージを、使用された濃度における薬物組合せにより影響された比率として表した(「効果サイズ比率」)。Compusynソフトウェア、バージョン1.0を使用してChouおよびTalalayにより記載される方法論に従ってメジアン等式原理により行った複数の薬物効果分析により併用指数(CI)として化合物相互作用を算出した(Chou TC.“Drug combination studies and their synergy quantification using the Chou-Talalay method.” Cancer Res.2010 Jan 15;70(2):440-6を参照)。CI値は、薬物組合せの相乗的、付加的または拮抗的な挙動を指し示すための1つの仕方である。この方法を使用して、図に示されるように、CI<0.8、=0.8~1.2、および>1.2は、それぞれ相乗作用、付加的効果および拮抗作用を指し示す。
図3は、増加濃度の両方の薬物での生存における減少を実証する下記に列記される薬物組合せの存在下での親および耐性細胞の増殖曲線に由来するデータ、ならびに相乗作用、付加性または拮抗作用を示す各々の細胞株のそれぞれのCI対効果サイズ比率プロットを表す:
ボルテゾミブ+BOLD-100
B100-25uM/Btx 2.5nM
B100-50uM/Btx 2.5nM
B100-100uM/Btx 2.5nM
B100-25uM/Btx 5nM
B100-50uM/Btx 5nM
B100-100uM/Btx 5nM
B100-25uM/Btx 10nM
B100-100uM/Btx 10nM
B100-100uM/Btx 10nM
カルフィルゾミブ+BOLD-100
B100-25uM/Cfz 2.5nM
B100-50uM/Cfz 2.5nM
B100-100uM/Cfz 2.5nM
B100-25uM/Cfz 5nM
B100-50uM/Cfz 5nM
B100-100uM/Cfz 5nM
B100-25uM/Cfz 10nM
B100-100uM/Cfz 10nM
B100-100uM/Cfz 10nM
(B100はBOLD-100であり、Btxはボルテゾミブであり、Cfzはカルフィルゾミブである)。
【0082】
図3Aおよび
図3Bは、PI感受性MM細胞株におけるBOLD-100+ボルテゾミブまたはカルフィルゾミブの組合せは組合せの付加的効果を示すことを示し、
図3Cおよび
図3Eは、マッチした耐性細胞株においてボルテゾミブまたはカルフィルゾミブのいずれかと組み合わせられた場合にBOLD-100は細胞生存に対する相乗効果を実証することを示す。ボルテゾミブ耐性細胞株について、
図3Dに示されるようにカルフィルゾミブとのBOLD-100の組合せは、細胞生存に対する相乗的な影響力も示して、交差耐性を指し示し、これは、BOLD-100が
図3Fにおいてボルテゾミブと組み合わせられた場合にカルフィルゾミブ耐性細胞株において見られない効果である。
図3A~3Fに示される同時投薬の効果は、
図3G~3Lに示される対応する逐次投薬データにおいても明らかである。
【0083】
図3のデータに示される効果を示す代替的な仕方は
図3Lにおいて提供され、
図3Lにおいて、各々のデータセット中のすべての細胞は10nMのボルテゾミブ(左手の棒グラフ)または10nMのカルフィルゾミブ(右手の棒グラフ)で処理されている。示されるように、BOLD-100が加えられなかった場合(DMSOのカラム)、感受性細胞株と比較して耐性細胞株でより低い応答である。重要なことに、BOLD-100の濃度が増加するにつれて、感受性細胞と耐性細胞との間で処理の相対的な有効性は逆転する。例えば、100uMのBOLD-100において、感受性細胞株と比較して耐性細胞株において細胞死はおおよそ2倍である。
【0084】
実施例4:クローン形成アッセイにおいて実証されたPI耐性細胞におけるBOLD-100の有効性
プロテアソーム阻害剤と組み合わせたBOLD-100の効果はまた、BOLD-100+PIがクローン形成アッセイにおいてPI感受性細胞株およびPI耐性細胞株の両方において試験されたコロニー形成アッセイにおいて実証された。設計は、造血細胞において使用される標準的な方法に従う。特に、細胞および薬物を半固体培地と共に混合し、まばらにプレーティングして個々の細胞がコロニーを形成することを可能とした。細胞を次に半固体培地中で1週間コロニーに増殖させ、その後にコロニーをクリスタルバイオレットで染色し、
図4Aおよび
図4Bに示されるように画像を捕捉した。
図4は、より長い期間にかけて測定された場合に、細胞生存に対するPIと組み合わせたBOLD-100の強い負の影響力があったことを示し、またこのアッセイにおいて、コロニーの再成長の予防が見られ、感受性細胞株および耐性細胞株の両方における薬物組合せの強い細胞傷害性効果が実証された。
【0085】
実施例5:骨髄由来間質細胞との共培養において維持されたBOLD-100の効力
骨髄間質細胞は、薬物効果から骨髄細胞を隔離する、細胞のための保護的な環境を提供することが理解される。この実施例は、BOLD-100は、in vivo環境を部分的に模倣する環境である、骨髄間質細胞の存在下でPI感受性およびPI耐性MM細胞株におけるその効力を維持することを示す。これを行うために、共培養アッセイを実行し、共培養アッセイにおいてMM細胞を骨髄間質細胞株HS-5との共培養で増殖させた。MM細胞株は培養物中の間質細胞に接着し、間質細胞は、薬物誘導性アポトーシス/増殖阻害に対する保護効果を提供することができる。標準的なCTGアッセイによりHS-5の存在下でPI感受性細胞株MM.1 S、ならびに2つのPI耐性株MM.1S BRおよびMM.1S CRについて用量応答曲線を生成した。
図5に示されるように、BOLD-100は3つすべてのMM.1S細胞株の生存に負に影響することができたが、骨髄細胞株HS-5において最小の影響力を有した。
【0086】
参考文献
Chou TC.Drug combination studies and their synergy quantification using the Chou-Talalay method.Cancer Res.2010Jan15;70(2):440-6.
Fricker LD.Proteasome Inhibitor Drugs.Annu Rev Pharmacol Toxicol.2020 Jan 6;60:457-476.
Manasanch,E.,Orlowski,R.Proteasome inhibitors in cancer therapy.Nat Rev Clin Oncol14,417-433(2017).
Robak,P.,Robak,T.Bortezomib for the Treatment of Hematologic Malignancies:15Years Later.Drugs R D 19,73-92(2019).
Burris,H.A.et al.Safety and activity of IT-139,a ruthenium-based compound,in patients with advanced solid tumours:a first-in-human,open-label,dose-escalation phase I study with expansion cohort.ESMO open.1,e000154(2016).
本発明の様々な実施形態が本明細書に開示されるが、多くの適合および改変が、当業者の通常の一般知識に従って本発明の範囲内で為され得る。そのような改変は、実質的に同じ仕方で同じ結果を達成するために本発明の任意の態様を既知の均等物で置換することを含む。「例示的な」または「例示される」などの用語は、「例、事例、または実例として役立つこと」を意味するために本明細書において使用される。「例示的な」または「例示される」として本明細書に記載される任意の実施態様は、したがって、他の実施態様よりも必然的に好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、すべてのそのような実施態様は独立した実施形態である。他に記載されなければ、数値範囲は、範囲を定義する数を包含し、数は必然的に、与えられる桁までのおおよそのものである。語「含む」(comprising)は、オープンエンドの用語として本明細書において使用され、語句「含むが、それに限定されない」と実質的に同等であり、語「含む」(comprises)は対応する意味を有する。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明確に規定しなければ複数の指示対象を含む。そのため、例えば、「もの」(a thing)への言及は1つより多くのそのようなものを含む。本明細書における参考文献の参照は、そのような参考文献が本発明の先行技術であるという承認ではない。本明細書において参照される、特許および特許出願を含むがそれに限定されない、(1または複数の)任意の優先権文献およびすべての刊行物、ならびにそのような文献および刊行物において参照されるすべての文献は、各々の個々の刊行物が参照により本明細書に組み込まれることを特におよび個々に指し示されたのと同様に、ならびに本明細書において完全に記載されたのと同様に、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、実質的に上記されているならびに実施例および図面に関するすべての実施形態および変形形態を含む。
【0087】
一部の実施形態において、本発明は、医療または外科的処置を伴う工程を除外する。
【国際調査報告】