(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】急性虚血性脳卒中の罹患が疑われる患者の迅速な診断撮像のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241003BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20241003BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B6/00 560
A61B6/50 500B
A61B6/03 560T
A61B6/00 550D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525553
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 CA2022051585
(87)【国際公開番号】W WO2023070209
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520449035
【氏名又は名称】サークル・カーディオバスキュラー・イメージング・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CIRCLE CARDIOVASCULAR IMAGING INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤール,マヤンク
(72)【発明者】
【氏名】オスペル,ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ソジョウディ,アリレザ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA10
4C093AA11
4C093AA22
4C093AA24
4C093CA02
4C093CA18
4C093CA34
4C093DA02
4C093FF17
4C093FF41
4C093FF50
(57)【要約】
【課題】急性虚血性脳卒中(AIS)の迅速な診断、および血管内装置を用いた血栓の機械的除去である血管内治療は、共により良好な転帰をもたらす。
【解決手段】限られた数の投影角度からX線画像を取得し、有意義な診断データを提供するために処理される2つの回転X線管を使用して血管造影室内で行われる撮像技術を含む、診断までの時間を短縮するためのシステムおよび方法が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性虚血性脳卒中(AIS)の罹患が疑われ、造影剤が注入された患者の脳の一連の灌流画像を取得する方法であって、
a)第1のX線エミッタおよび第1のX線レシーバを有する第1のX線撮像システム(FXIS)であって、前記FXISが、前記患者の頭部の周りのほぼ前方/後方位置(AP)に動作可能に位置付けられる、FXISと、第2のX線エミッタおよび第2のX線レシーバを有する第2のX線撮像システム(SXIS)であって、前記SXISが、前記患者の頭部の周りのほぼ側方位置に動作可能に位置付けられる、SXISと、を有する神経血管造影装置を利用するステップと、
b)前記FXISが第1の撮像位置と第2の撮像位置との間を交互に移動するように起動され、前記SXISが第3の撮像位置と第4の撮像位置との間を交互に移動するように起動される、前記FXISおよび前記SXISから一連の画像を取得するステップと、
c)時間=0(t
0)~時間=n(t
n)の複数の時点にわたってステップb)を繰り返すステップであって、t
0は一般に上部頸管の造影剤到達に対応し、t
nは一般に造影剤ウォッシュアウトに対応する、繰り返すステップと、
d)前記患者の脳の灌流動態の視覚化を示す後処理された画像を作成するために、ステップb)およびc)からの前記画像を処理するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップd)は、時間閾値内に取得された一対の画像として前記FXISおよび前記SXISからの画像の組み合わせを処理することを含み、罹患組織の領域が検出された場合、一対の画像からの立体オフセット解析に基づいて前記罹患組織の相対的な深度が推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップd)は、ステップc)からの画像を補間モデルに導入すること、過去のコンピュータ断層撮影画像によって急性虚血性脳卒中と診断された患者から導出された過去の画像データベースに前記画像を一致させるように前記モデルを起動すること、より多数の画像角度を補間して前記後処理された画像の解像度を改善するために、前記過去の画像データベースからの最適画像を利用することをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記FXISを起動して前記第1の撮像位置に移動させ、その後前記FXISを前記第2の撮像位置に移動させることによって、第1の画像対を取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記SXISを起動して前記第3の撮像位置に移動させ、その後前記SXISを前記第4の撮像位置に移動させることによって、第2の画像対を取得する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記FXISを起動して前記第1の撮像位置に移動させ、前記SXISを前記第2の撮像位置に移動させることによって、第1の画像対を取得し、前記FXISおよびSXISの画像を同時に取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記FXISを起動して前記第3の撮像位置に移動させ、前記SXISを前記第4の撮像位置に移動させることによって、第2の画像対を取得し、前記FXISおよびSXISの画像を同時に取得する、請求項1から3または6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2の撮像位置ならびに第3および第4の撮像位置はそれぞれ、約15~30°離れている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記後処理された画像が、完全に灌流された脳組織と死んだ脳組織との間の色の範囲を示すカラースケールでの罹患脳組織の相対灌流に基づいて罹患脳組織を分類するために分析される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
t
nが40~60秒である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
現在の患者における限定された投影角度から導出された複数のフラットパネルX線画像であって、前記複数のフラットパネルX線画像が、前記現在の患者における急性虚血性脳卒中(AIS)の診断のための診断画像を組み立てるために後処理を受ける、複数のフラットパネルX線画像の解像度を向上させるために画像補間モデルを訓練および利用する方法であって、
a)第1の複数のコンピュータ断層撮影血管造影(CT)画像であって、前記第1の複数のCT画像が、AISと診断された複数の過去の患者からの完全なデータセットとして定義され、前記第1の複数のCT画像が、複数の投影角度からの画像を含む、第1の複数のコンピュータ断層撮影血管造影(CT)画像を取得するステップと、
b)第2の複数のCT画像であって、前記第2の複数のCT画像が、AISと診断された複数の過去の患者からの部分データセットとして定義され、前記第2の複数のCT画像が、ステップa)より小さい投影角度からの画像を含む、第2の複数のCT画像を取得するステップと、
c)前記第1および第2の複数のCT画像のサイノグラムモデルを構築するステップと、
d)前記第1の複数のCT画像に対する第2の複数のCT画像のセットの最良適合を決定することに基づいて、前記第2のCT画像の投影角度間を補間するために、前記第1および第2の複数のCT画像を使用して補間モデルを訓練するステップと、
e)前記第1の複数のCT画像との最良適合を決定し、前記現在の患者から補間画像を作成するために、複数の現在の患者のフラットパネルX線画像を前記モデルに導入し、解析するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の複数のCT画像が、90を超える投影角度からの画像を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の複数のCT画像が、10未満の投影角度からの画像を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第1のX線エミッタおよび第1のX線レシーバを有する第1のX線撮像システム(FXIS)と、第2のX線エミッタおよび第2のX線レシーバを有する第2のX線撮像システム(SXIS)とを有する神経血管造影装置を動作させる方法であって、
a)前記FXISを患者の頭部に対してほぼ前方/後方位置にある第1の位置に移動させるステップと、
b)前記SXISを患者の頭部に対してほぼ側方位置にある第2の位置に移動させるステップと、
c)前記前方/後方位置の周りの円弧を通って第1の撮像位置と第2の撮像位置との間を交互に移動するように前記FXISを起動させるステップと、
d)前記側方位置の周りの円弧を通って第3の撮像位置と第4の撮像位置との間を交互に移動するように前記SXISを同時に起動させるステップと、
e)前記第1、第2、第3、および第4の撮像位置のそれぞれにおいてX線画像を取得するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記FXISが前記第1または第2の撮像位置にあり、前記SXISが前記第3または第4の撮像位置にあるとき、前記FXISおよび前記SXISからの画像の同時取得を可能にするために、前記FXISおよびSXISの移動が調整される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
時間=0(t
0)~時間=n(t
n)の複数の時点にわたってステップc)~e)が繰り返され、前記患者への造影剤の注入後、t
0は一般に上部頸管への造影剤の到達に対応し、t
nは一般に造影剤のウォッシュアウトに対応する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および第2の撮像位置ならびに第3および第4の撮像位置はそれぞれ、約15~30°離れている、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
完全に灌流された脳組織と死んだ脳組織とを識別するスケールでの罹患脳組織の相対灌流に基づいて罹患脳組織を分類するために、画像を後処理するステップをさらに含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
t
nが40~60秒である、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
急性虚血性脳卒中(AIS)の迅速な診断、および血管内装置を用いた血栓の機械的除去である血管内治療は、共により良好な患者の転帰をもたらす。限られた数の投影角度からX線画像を取得し、有意義な診断データを提供するために処理される2つの回転X線管を使用して血管造影室内で行われる撮像(イメージング)技術を含む、診断までの時間を短縮するためのシステムおよび方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
血管造影室は、広範囲の低侵襲性処置を行うための特殊な撮像および治療設備である。血管造影室の中心部分は、特殊な撮像および血管内治療が行われる血管造影装置である。
【0003】
脳卒中の診断および治療では、虚血性脳卒中の診断および治療に通常関連する時間を短縮する有効な手段として、direct-to-angio(DTA)と呼ばれるプロトコルがますます実装されている。特に、DTAは、診断(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)スキャナ)にのみ使用することができる撮像機械を利用する従来の診断ステップをバイパスすることによって実施されている従来の脳卒中プロトコルを超える様々な利点を提供する。これらの初期撮像ステップをバイパスすることによって、血管造影室への患者の移動のその後の追加のステップが回避される。
【0004】
従来の治療プロトコルでは、患者が診療施設に到着し、脳卒中を患っている疑いがある場合、ほとんどの診療施設は、患者が最初に標準的または多用途のコンピュータ断層撮影(CT)撮像室でCTスキャン、またはMRIスキャンを受けることを必要とするプロトコルを開始する。CT撮像を使用する典型的なシナリオは、CTスキャンとして説明される。一般に、CTスキャンはMRI撮像よりも一般的である。しかしながら、MRIにも同じ原理が適用される。
【0005】
典型的な多用途CTスキャナは、身体領域の全範囲を撮像するために使用され、したがって身体のすべての領域にわたって多数の状態を診断するために使用されるCT撮像装置である。
【0006】
標準的な診断用CT装置は、急速に回転するガントリを介して円状/螺旋状に患者の身体の周りに狭いX線ビームを誘導する。X線はX線管から放射され、X線は身体の関心領域を通過する。X線は、デジタルX線検出器を用いて患者の身体の反対側で受け取られる。組織に応じて、X線ビームは、ガントリアームの所与の時間および位置でX線ビームが通過している実際の組織に基づいて減衰される。ガントリが身体の周りを360度移動しているとき、各X線ビームは画像の時間およびガントリの角度位置に相関し、数学的操作(すなわち、後処理)によって、多数のデータ点は、身体の特定のレベルにおける身体領域のスライス(典型的には「横断面」スライス)を示す画像に組み立てられる。
【0007】
異なる位置/レベルでのガントリの複数回の回転は、放射線科医が患者の身体の特定の領域の診断分析を行うことを可能にするために、様々な方法で表示されおよび/または組み立てられ得る下層にある身体組織の一連の空間的に分離された画像スライスの構築を可能にする。
【0008】
CT装置の基本的な動作に加えて、疑わしい異常および撮像されている身体領域に応じて、画像からより高い精度および/またはより関連する情報を得るために利用することができる放射線科医が使用することができる広範な技術がある。
【0009】
広範囲の診断手順で利用される1つの特定の技術は、造影CTスキャンである。CT画像が取得される直前にヨード造影剤を体内に注入することによって、造影CTスキャンは、画像が取得されるときに血管に対してより優れた視認性を特に提供することができる。一般に、造影剤が血管を通って流れると、周囲の実質組織と比較してX線をより減衰させ、したがって、造影剤で充填された血管はより濃く見え、これにより、血管と、X線がより容易に通過する周囲の組織との間のより効果的な区別が提供される。
【0010】
CT血管造影法(CTA)は、この技術が、虚血性脳卒中の効果的な診断のために解釈および使用することができ、処置手順の計画を可能にすることができる、罹患および非罹患血管/組織を造影剤がどのように流れるかに関する非常に有用な情報を提供するため、虚血性脳卒中に関連する循環異常の診断において特に有用である。急性虚血性脳卒中(AIS)の根底にある原因である脳血管の閉塞は、そうでなければ造影剤で充満された血管の急激な充満欠陥およびこの血管によって供給される脳組織における造影剤の欠如として現れる。
【0011】
急性虚血性脳卒中の診断および治療ワークフローの各ステップは、例えば、予備臨床検査のための時間、異なる治療領域(例えば、撮像が行われるCTスキャナから治療が行われる神経血管造影室まで)への患者の移動および異なる治療領域からの患者の移動のための時間、専門家を含む追加の医療従事者との関与のための時間、血液検査などの追加の診断検査を計画および実行するための時間、画像データの処理および分析のための時間、治療処置のための計画のための時間(例えば、適切な血管内治療ツールを選択することによって)、ならびに治療の実際の実行のための時間を含む時間を必要とする。
【0012】
AISに罹患していると疑われる患者については、「時は脳なり」である。大血管が閉塞している平均的なAIS患者は、毎分平均190万個のニューロン(脳細胞)を失う。脳卒中発症から治療までの時間を増加させるすべてのステップは、患者の転帰を実質的に悪化させる可能性がある。例として、上記で導入されたように、それぞれが時間成分を有する治療施設に到着した虚血性脳卒中患者について、以下のステップの様々な組み合わせに従うことができる。
・脳卒中の可能性を疑うため最初の対応者/医師による患者の症状(例えば、脱力感、しびれなど)に基づく予備診断。
・脳卒中の専門家による予備検査の確認、およびAISが本当に存在するかどうか、または代替診断(例えば、出血性脳卒中)があるかどうかを判定するためにCTスキャンを実施する決定。
・一般的なCT室への患者の移動、初期CTスキャンの計画および実行。
・取得されたCT画像の後処理。
・放射線科医による画像のレビューおよび初期診断の完了。
・AISが疑われる場合は、CT血管造影法(CTA)スキャン(すなわち、脳に供給する血管の造影剤スキャン)を計画して実行し、続いて追加の処理時間、レビューおよび診断を行う。
・CT灌流(CTP)スキャンまたは多相(mCTA)スキャン(すなわち、AISにおける脳組織生存率を示す高度な撮像技術)などの追加のCT検査を計画、実行、および実施し、続いて追加の処理時間、レビューおよび診断を行う。
・治療の決定、および患者の治療場所への移動(例えば、神経血管造影室または「血管造影室(アンギオスイート)」)。
・血管造影室への患者の移動、ならびに適切な装置の選択、血管の穿刺による血管内アクセスの確立などを含む血管内処置の準備および段取り)。
【0013】
灌流撮像は、脳の色分けされたマップとして表示することができるため、AISの一般的な撮像方法である。閉塞した血管は、灌流マップにおいて異なる色の楔形の領域として表示される灌流の際立った異常を引き起こし、経験の浅いオペレータであっても血管閉塞を容易に視認可能にする。さらに、灌流マップにより、オペレータは、どの程度の罹患した脳組織が既に不可逆的に損傷を受けており、治療で救済することができないか(「梗塞コア」)、およびどの程度の罹患した脳組織が依然として治療で救済可能であるか(「危険な状態の組織」を推定することができる。
【0014】
撮像中の1つの特定の問題は、患者が受ける放射線の量である。CT撮像は、実行される場合はどこでも電離放射線に依存し、取得される画像の数に比例する。さらに、アンギオスイート内では、すべての血管内器具が、やはり電離放射線を使用する蛍光透視法制御下でナビゲートされる。したがって、効果的な撮像を提供しながら、患者が受ける放射線の量を低減する技術が望ましい。
【0015】
したがって、患者の放射線への曝露を低減しながら、いくつかのステップを完全に排除することを含む、上述の様々なタスクに関連する時間を短縮する改善された診断および治療プロトコルが必要とされている。
【0016】
上述したように、一部の診療施設のプロトコルは、CTスキャナをバイパスし、患者をアンギオスイート(DTA)に直接移す。これらの施設では、血管内治療中に蛍光透視法(X線誘導)下で血管内カテーテルおよび他のツールをナビゲートするために通常のみ使用されるアンギオスイートX線装置もまた、撮像を取得するために使用される。
【0017】
これらのDTAシナリオでは、アンギオ機械X線管および検出器は、「フラットパネル撮像」と呼ばれるCTに類似した画像を生成するために、患者の周りを360°超回転する(CTスキャナに類似)。この取得は、通常のCTスキャン(数秒)よりも長くかかり、また比較的高い放射線量を有する。また、通常のCTスキャンで要求される通常のCTスキャンと比較して画質が劣る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、急性虚血性脳卒中(AIS)の罹患が疑われ、造影剤が注入された患者の脳の一連の灌流画像を取得する方法が提供され、本方法は、a)第1のX線エミッタおよび第1のX線レシーバを有する第1のX線撮像システム(FXIS)であって、FXISは、患者の頭部の周りのほぼ前方/後方位置(AP)に動作可能に位置付けられる、第1のX線撮像システム(FXIS)と、第2のX線エミッタおよび第2のX線レシーバを有する第2のX線撮像システム(SXIS)であって、SXISは、患者の頭部の周りのほぼ側方位置に動作可能に位置付けられる、第2のX線撮像システム(SXIS)と、を有する神経血管造影装置を利用するステップと、b)FXISが第1の撮像位置と第2の撮像位置との間を交互に移動するように起動され、SXISが第3の撮像位置と第4の撮像位置との間を交互に移動するように起動される、FXISおよびSXISから一連の画像を取得するステップと、c)時間=0(t0)~時間=n(tn)の複数の時点にわたってステップb)を繰り返すステップであって、t0は一般に上部頸管の造影剤到達に対応し、tnは一般に造影剤ウォッシュアウトに対応する、繰り返すステップと、患者の脳の灌流動態の視覚化を示す後処理された画像を作成するために、d)ステップb)およびc)からの画像を処理するステップと、を含む。
【0019】
様々な実施形態において、
・ステップd)は、時間閾値内に取得された一対の画像としてFXISおよびSXISからの画像の組み合わせを処理することを含み、罹患組織の領域が検出された場合、一対の画像からの立体オフセット解析に基づいて罹患組織の相対的な深度が推定される。
・ステップd)は、ステップc)からの画像を補間モデルに導入すること、過去のコンピュータ断層撮影画像によって急性虚血性脳卒中と診断された患者から得られた過去の画像データベースに画像を一致させるようにモデルを起動すること、より多数の画像角度を補間して後処理された画像の解像度を改善するために、過去の画像データベースからの最適画像を利用することをさらに含む。
・FXISを起動して第1の撮像位置に移動させ、その後FXISを第2の撮像位置に移動させることによって、第1の画像対を取得する。
・SXISを起動して第3の撮像位置に移動させ、その後にSXISを第4の撮像位置に移動させることによって、第2の画像対を取得する。
・FXISを起動して第1の撮像位置に移動させ、SXISを第2の撮像位置に移動させることによって、第1の画像対を取得し、FXISおよびSXISの画像を同時に取得する。
・FXISを起動して第3の撮像位置に移動させ、SXISを第4の撮像位置に移動させることによって、第2の画像対を取得し、FXISおよびSXISの画像を同時に取得する。
・第1および第2の撮像位置ならびに第3および第4の撮像位置はそれぞれ、約15~30°離れている。
・後処理された画像は、完全に灌流された脳組織と死んだ脳組織との間の色の範囲を示すカラースケールでの罹患脳組織の相対灌流に基づいて罹患脳組織を分類するために分析される。
・tnは40~60秒である。
【0020】
別の態様では、本発明は、現在の患者における限定された投影角度から導出された複数のフラットパネルX線画像であって、複数のフラットパネルX線画像は、現在の患者における急性虚血性脳卒中(AIS)の診断のための診断画像を組み立てるために後処理を受ける、複数のフラットパネルX線画像の解像度を向上させるために画像補間モデルを訓練および利用する方法であって、a)第1の複数のコンピュータ断層撮影血管造影(CT)画像であって、第1のCT画像は、AISと診断された複数の過去の患者からの完全なデータセットとして定義され、第1のCT画像は、複数の投影角度(例えば、90を超える投影角度)からの画像を含む、第1の複数のコンピュータ断層撮影血管造影(CT)画像を取得するステップと、b)第2の複数のCT画像であって、第2のCT画像は、AISと診断された複数の過去の患者からの部分データセットとして定義され、第2の複数のCT画像は、より小さい投影角度(例えば、10未満の投影角度)からの画像を含む、第2の複数のCT画像を取得するステップと、c)第1および第2の複数のCT画像のサイノグラムモデルを構築するステップと、d)第1の複数のCT画像に対する第2の複数のCT画像のセットの最良適合を決定することに基づいて、第2のCT画像の投影角度間を補間するために、第1および第2の複数のCT画像を使用して補間モデルを訓練するステップと、e)第1の複数のCT画像との最良適合を決定し、現在の患者から補間画像を作成するために、複数の現在の患者のフラットパネルX線画像をモデルに導入し、解析するステップと、を含む方法を提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、第1のX線エミッタおよび第1のX線レシーバを有する第1のX線撮像システム(FXIS)と、第2のX線エミッタおよび第2のX線レシーバを有する第2のX線撮像システム(SXIS)とを有する神経血管造影装置を動作させる方法であって、a)FXISを患者の頭部に対してほぼ前方/後方位置にある第1の位置に移動させるステップと、b)SXISを患者の頭部に対してほぼ側方位置にある第2の位置に移動させるステップと、c)前方/後方位置の周りの円弧を通って第1の撮像位置と第2の撮像位置との間を交互に移動するようにFXISを起動させるステップと、d)側方位置の周りの円弧を通って第3の撮像位置と第4の撮像位置との間を交互に移動するようにSXISを同時に起動させるステップと、e)第1、第2、第3、および第4の撮像位置のそれぞれにおいてX線画像を取得するステップと、を含む、方法を提供する。
【0022】
様々な実施形態では、FXISが第1または第2の撮像位置にあり、SXISが第3または第4の撮像位置にあるとき、FXISおよびSXISからの画像の同時取得を可能にするために、FXISおよびSXISの移動が調整される。
【0023】
別の実施形態では、時間=0(t0)~時間=n(tn)の複数の時点にわたってステップc)~e)が繰り返され、患者への造影剤の注入後、t0は一般に上部頸管への造影剤の到達に対応し、tnは一般に造影剤のウォッシュアウトに対応する。
【0024】
様々な実施形態では、第1および第2の撮像位置ならびに第3および第4の撮像位置はそれぞれ、約15~30°離れ、および/またはtnは、40~60秒である。
【0025】
様々な実施形態では、本方法は、完全に灌流された脳組織と死んだ脳組織とを識別するスケールでの罹患脳組織の相対灌流に基づいて罹患脳組織を分類するために、画像を後処理するステップを含む。
【0026】
本発明の様々な目的、特徴および利点は、添付の図面に示されるように、本発明の特定の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の様々な実施形態の原理を示すことに重点が置かれている。同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の方法の一実施形態による典型的な血管造影室設備の端面図である。
【
図2】本発明の方法の一実施形態による血管造影室設備の側面図である。
【
図3】罹患組織を有する患者における前方/後方(AP)および側方(L)撮像を通して取得された典型的な画像の表示を示す略図である。
【
図4】関心領域(例えば、罹患組織)の深度の決定を得るための立体撮像(ステレオイメージング)の原理を示す略図である。
【
図5】関心領域の深度を決定するためにAP画像およびL画像をどのように組み立てることができるかを示す略図である。
【
図6】本発明の2つの実施形態による、APシステムおよびLシステムを中立位置から撮像位置に移動させて連続画像を撮影する方法を示す略図である。
【
図6A】本発明の2つの実施形態による、APシステムおよびLシステムを中立位置から撮像位置に移動させて連続画像を撮影する方法を示す略図である。
【
図7】非罹患組織および罹患組織を通る造影剤の代表的な相対流速を示す略図である。
【
図8C】空間およびフーリエ領域における代表的な投影を示す。
【
図9】現在の患者の補間画像を出力するために現在の患者からの限定された角度画像の補間を可能にするモデルを構築、訓練、および利用するための一般化されたプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
理論的根拠および言語
本発明者らは、診断撮像中に患者が受ける放射線の取得時間および量を含む、現在使用されているオンテーブルdirect-to-angio(DTA)撮像を超える様々な利点を提供する方法で撮像機器の固有の動きを行うことによって、アンギオスイートX線装置を利用するDTAおよびアンギオスイート撮像を改善できることを認識した。
【0029】
図面を参照して、血管造影室で診断撮像を行うためのシステムおよび方法を説明する。この説明内で、すべての用語は、図面および説明から合理的に推論可能な定義を有し、本明細書で使用される文言は、合理的であるように広い意味を与えると解釈されるべきである。本出願内では、様々な数および数の範囲が参照される。数または数の範囲は、数が本明細書に記載の特定の特徴に関連する可能な境界または変数を定義していることを理解して解釈されるべきである。境界は必ずしも固定されているわけではなく、1つまたは複数の他の特徴との関係によって影響を受ける可能性がある。したがって、本明細書における「約」または他の修飾語のような用語の使用は、変数または特徴の互いに対する潜在的な相互作用を許容することを意図しており、その観点から解釈されるべきである。本明細書に記載の特徴は、集合的な機能を提供すると理解される。少なくとも、数字は、その有効数字を考慮して解釈されるべきである。
【0030】
序論
説明の目的のために、図に示されている構成要素は必ずしも縮尺通りに描かれていない。代わりに、本発明の様々な態様の機能に対する構成要素の様々な貢献を強調することに重点が置かれている。この説明の過程で、いくつかの可能な代替の特徴が導入される。当業者の知識および判断によれば、そのような代替の特徴は、本発明の異なる実施形態に到達するために様々な組み合わせで置換され得ることを理解されたい。
【0031】
血管造影室および機器
血管造影室(「アンギオスイート」)内の撮像機器は、主に、一定の範囲の循環障害を治療するための特定の撮像要件のために設計されている。この説明の目的のために、アンギオスイートは、急性虚血性脳卒中(AIS)の診断および治療に関連して記載される。
【0032】
上述したように、血管造影室は、血管内機器(EE)を利用する血管内処置の前および最中に特殊な撮像を可能にするように設計された、治療施設内の特殊な撮像および治療室である。EEは、一般に、血管内処置中に入口点から循環系を通って移動させることができる広範囲のカテーテル、ワイヤ、マイクロカテーテル、ステントおよび他のデバイスを指す。
【0033】
図1および
図2に示すように、典型的なアンギオスイートは、外科医が患者の診断撮像および血管内処置中のリアルタイム撮像の両方を実行することを可能にするコンピュータ15およびディスプレイ機器14と共に患者治療テーブル12を含む撮像および治療機器10の組み合わせを含む。撮像機器は、一般に、EEを視覚化するための処置中にオペレータが断面フラットパネル撮像およびリアルタイム蛍光透視(X線)撮像を含む2つの主要な種類の撮像を行うことを可能にするX線機器を含む。
【0034】
アンギオスイートは、断面フラットパネル撮像およびリアルタイム蛍光透視撮像を行うように操作することができる2つのX線システム/管を含む。本明細書では、これらのX線システムは、前方/後方(AP)X線管/システム16(APシステム)および側方(L)X線管/システム18(Lシステム)と呼ばれる。
【0035】
APシステムは、約200度(回転式または8の字型/蝶形の動きのいずれか)回転するように操作することができ、非造影断面フラットパネル撮像、造影剤注入後のフラットパネル造影断面血管造影撮像(単相または多相血管造影のいずれか)、およびフラットパネル灌流撮像を含む様々な診断CT撮像技術のための画像の取得を可能にする。
【0036】
フラットパネル灌流撮像では、単一回転撮像が典型的には5~20秒にわたって実施される。これは、非造影CTスキャンと同様の画像を生成するために造影剤なしで行うことができる。しかしながら、これらの画像の解像度および品質は、通常、非造影CTスキャンと比較して悪い。したがって、脳組織型を区別し、AISの初期徴候を検出することは困難である。
【0037】
灌流撮像マップと同様のマップは、約8秒にわたって取得された単一の回転データ取得を使用して作成することができる。しかしながら、これには多くの制限がある。最も重要なことには、8秒では血液が脳に入り脳から完全に流出するには不十分である。したがって、真に脳血流(CBF)マップおよび脳血液量(CBV)マップを作成することはできない。
【0038】
いくつかは、脳血管および脳組織における造影剤の到達、分布およびウォッシュアウトをリアルタイムで示すために、約45秒の時間スパンにわたって反復画像を取得しようと試みている。しかしながら、1回の取得が典型的には約5~8秒であることを考えると、これは時間分解能を著しく制限する。さらに、それは放射線被曝を実質的に増加させる。また、患者の動きに対する脆弱性も増大する。特に、多くのAIS患者は重症であり、横になったままでいることができないためである。
【0039】
フラットパネル灌流撮像では、通常、合計200~600枚の画像が取得され、典型的な放射線量は>200mGyである(Fiorella D,Turk A,Chaudry I,Turner R,Dunkin J,Roque Cらによる、A prospective,multicenter pilot study investigating the utility of flat detector derived parenchymal blood volume maps to estimate cerebral blood volume in stroke patients、J Neurolnterventional Surg.2014;6(6):451-456.doi:10.1136/neurintsurg-2013-010840)。取得が45秒を超える場合、この放射線曝露はさらに増加する。
【0040】
APシステムはまた、治療中のEEの蛍光透視視覚化のためのAP方向の撮像のために静的に保持されてもよい。この処置のために、APシステム16は、
図1および
図2に示すように、患者の上方および下方に静的に位置付けられる。Lシステム18は、
図1に示すように、一般に、患者の頭部の両側の側方位置の固定位置にあり、典型的にはEEの視覚化にのみ使用される。カテーテルを患者の腕または鼠径部から脳に向かって前進させると、APおよびL管を患者の長軸に沿って移動させ、蛍光透視画像取得の間にわずかに回転させてEEを視野内に維持することができる。
【0041】
図示のように、AP管16はX線エミッタ16aおよびレシーバ16bを含み、L管はX線エミッタ18aおよびレシーバ18bを含む。APシステムおよびLシステムの両方は、各管のX線が身体領域を通過して対応するレシーバに到達するように、対象の身体領域に対して位置決めすることができる。各レシーバは、典型的には、単一の画像で脳全体の撮像を可能にする48cm×48cmのレシーバである。エミッタおよびレシーバの両方は、各エミッタおよびレシーバの起動および移動を制御し、それぞれからのデータの収集および処理を行うコンピュータ制御システム15に接続される。ビデオディスプレイ14は、撮像データの表示を可能にする(リアルタイムおよび記憶された以前に取得された画像シーケンスの繰り返し表示の両方で)。
【0042】
AP16およびL18システムはそれぞれ、一般に、互いに独立して動作可能である。すなわち、それぞれは、互いに対しておよび患者に対して空間的に移動することができ、様々な画像を取得するために独立して動作することができる。一般に、APシステムのみが使用されるとき、APシステムは、その後、患者の周りで360°超回転されるので、Lシステムは、フラットパネル撮像中に完全に邪魔にならないようによけている必要がある。
【0043】
一例では、L字管システム18は、
図2の二重矢印線18eで示すように、治療テーブルの長手方向軸に平行に移動することができる天井ガントリ18dから吊り下げられたX線エミッタ18aおよび検出器18bを支持するcアーム18cを含む。ガントリの長手方向の移動は、外科医が特定の身体領域(例えば、患者の頭部20)を撮像するために所望される場所にL字管システム18を位置決めすることを可能にする。さらに、テーブル12はまた、長手方向アクセスに沿って位置付けられてもよく、線12aによって示されるように長手方向軸に平行に移動されてもよい。
【0044】
APシステム16は、典型的には、床17上のcアーム16cおよびスタンド16dに取り付けられる。cアーム16cは、矢印16eで示すように、身体の周りを円運動/らせん運動で回転させることができる。APシステムはまた、線16eによって示されるように長手方向軸に平行に移動されてもよい。
【0045】
上述したように、APシステム16およびLシステム18はそれぞれ、様々な時点で、具体的にはAPシステムがフラットパネル撮像のために完全に回転されるときに必要とされ得るような各システム間の重複がないように、互いの邪魔にならないように移動させることができる。
【0046】
代表的な治療シナリオ
AISの罹患が疑われる/診断された患者を伴う典型的な治療シナリオでは、患者は、治療テーブル12に運ばれ、鎮静され、部分的に固定される。
【0047】
分離撮像および早期診断
以前の診断がCT撮像(またはMR撮像)を介して行われた場合、外科医は、計画された処置、例えば大腿動脈アクセスルートを介したM1大血管閉塞(LVO)血栓除去術の準備を開始する。
【0048】
鼠径部穿刺が完了し、所望のEEが大動脈弓に前進する。大動脈弓に到達すると、リアルタイムX線透視およびEEを介して注入された造影剤を利用して、EEを適切な頸動脈に前進させる。すなわち、外科医は、
図1に示すように互いに直交してAPシステムおよびLシステムを位置付けている。造影剤を注入した後、APシステムおよびLシステムを選択的にオンにして、AP14aおよびL14bの向きの画像を表示システム14にリアルタイムで表示する。一般に、AP画像14aはEEの位置を側面(横)から見た図を示し、L画像14bはEEの前後位置を示す。例えば診断検査からの他の画像14cもまた、外科医が自分自身を方向付けるのを助けるために表示されてもよい。AP撮像システムおよびL撮像システムの選択的使用は、外科医が必要に応じて造影剤を注入して処置を完了することを可能にする。
【0049】
Direct to Angio(DTA)プロトコル
DTAプロトコルでは、CT、単相または多相CT血管造影法、およびCT灌流などの診断撮像検査は、別個の撮像スイートでは行われず、脳卒中に罹患した疑いのある患者は、治療施設に到着するとすぐに(アンギオワークフローに直接)アンギオスイートに運ばれる。実行される第1の撮像は、後述するように、アンギオテーブル上でのフラットパネル撮像である。
【0050】
上述したように、APシステム16は回転可能であり、したがって、頭部の周りのAPシステムの回転による上述のCT検査のいずれかと同様の360°超回転フラットパネル検査を得るために使用することができる。一般に、診断フラットパネル撮像を行うために、Lシステム18は、APシステム16を患者の頭部の周りで回転させることができるように完全に取り除かれる。撮像および分析の後、APシステムおよびLシステムは、実施される処置のために
図1に示すように位置決めされる。
【0051】
診断フラットパネル画像は、患者の周りを360度超回転するcアームから収集される。ほとんどの場合、初期スキャンは、脳出血(いわゆる出血性脳卒中)などの代替診断を除外するための非造影剤フラットパネル撮像である。
【0052】
改変された灌流撮像検査は、CT灌流に似たフラットパネル画像が約5~8秒の撮像期間にわたって典型的には5~10画像/秒の速度で収集されるアンギオスイートで実施することができる。しかしながら、これは、大血管閉塞および造影剤が同側で維持された状態で頭蓋動脈、脳組織および静脈還流系を完全に横断するのに造影剤を要するおおよその時間と比較して著しく不十分である。
【0053】
他のプロトコルでは、多相血管造影フラットパネル撮像が利用され、これは、撮像期間にわたって画像の離散数の位相(典型的には3~6)を取得する診断撮像技術である。多相血管造影フラットパネル画像は、一般に、脳内への、および2つの半球を通る造影剤の流れを考慮して、特定の時間に取得される(典型的な相としては、動脈相、ピーク静脈相および後期静脈相が挙げられる。)。
【0054】
アンギオスイートにおける非回転灌流撮像(NPI)
本発明によれば、非回転灌流撮像(NPI)の様々な実施形態が、診断のためにAPおよびL撮像システムを利用して説明される。本明細書に記載のように、NPI撮像は、各時点での各画像内の造影剤密度の空間的位置の区別、特に血管閉塞の影響を受ける領域の識別を可能にする灌流マップを構築するのに十分なデータを取得しながら、撮像の過程で患者への放射線を減少させる。
【0055】
図3に示すように、各画像が取得される角度位置および画像取得中の脳の向きを考慮すると、静的位置にあるAPシステムおよびLシステムで取得されたAP画像30およびL画像32は異なる。画像32aおよび32bを説明する目的で、AP画像およびL画像はページの平面に示されていることを留意されたいが、各画像は、ページの平面に対して90度のレシーバで取り込まれた画像を表すことを理解されたい。
【0056】
画像32a、32bは治療に有用であるが、画像角度が固定されていること、および、造影剤を有する組織対造影剤を有しない組織のシャドーイング/マスキング効果が互いに前後にあることの結果として、診断に十分なデータを提供しない。
【0057】
例えば、
図3は、造影剤が脳を満たした直後の時間におけるAP画像およびL画像を示す。非罹患組織34a、34bは、代表的な血管によって示されるように、同側(IL)および反対側(CL)の両側で不透明化される。罹患組織36の領域/体積が右側に示されている。AP画像32aでは、単一の血管のみが罹患領域に投影しているため、罹患組織36は非罹患組織と空間的に識別可能であり得る。AP画像32a内の罹患領域36の血管密度は、健康な組織34aと比較して全体的にはるかに低下している。しかしながら、L画像32b上の罹患組織の背後の不透明化された血管の数を考慮すると、罹患組織の空間的識別は、側面図上の不透明化された血管背景に対して困難である。したがって、以下でより詳細に説明するように、APシステムおよびLシステムの静的な使用は、診断に有用な罹患組織対非罹患組織の十分な識別を提供することができない。さらに、上述したように、APシステム16は、Lシステム18との衝突なしにその通常の弧を通って回転することができない。
【0058】
本発明によれば、APシステムおよびLシステムを調整して同時に動作させて診断画像を収集し、罹患組織を健康な組織から空間的に分離する方法が記載される。
【0059】
APシステムおよびLシステムの移動は、APシステムおよびLシステムが蛍光透視法中に静的に動作する場合よりも多くの角度から診断画像を取得できるようにしながら、2つのシステムが互いに衝突しないように行われる。上述のように、収集された画像は、立体撮像技術(ステレオイメージング技術)によって罹患組織および非罹患組織の領域の識別が可能になる。
【0060】
【0061】
患者の頭部20が撮像されている。参考のために、Lシステムの通常の静止位置を示す横軸40aが示されている。罹患組織40bの領域(造影剤なし、図に網掛けで示されている)は右側であり、左側(反対側)は正常な充満を示す。Lシステム18を順次移動させて、頭部を約±15~30°の2つの角度で撮像し、画像L1およびL2を作成する。各画像自体は、z0に対する深度zを決定するのに十分な情報を提供しない。しかし、両画像が角変位することにより、罹患組織40bのL1およびL2の投影の位置は、両画像上の距離xおよびyで示すように横方向に変位する。
【0062】
APシステム16は、垂直軸に対して同様のオフセット(例えば約±15~30°)でAP1およびAP2画像を取得するために同様に操作および移動することができる。4つの画像の組み合わせは、両方向の罹患組織の相対的な深度、したがって
図5に示すような患者の脳内の特定の位置の決定を可能にする。
【0063】
図4Aおよび
図5に示すように罹患組織の画像を重ね合わせることにより、罹患組織の相対的な横方向の深度z(定義されたz
0に対する)を、重ね合わせたL1画像およびL2画像の横方向のオフセットa、b、cによって決定することができる。すなわち、横方向のオフセットa、b、cは、より大きい横方向の深度で減少し(
図4を参照)、2つの画像からの深度(すなわち、X線エミッタからの罹患組織の距離)の決定を可能にする。
【0064】
APシステムおよびLシステムは、
図6および
図6Aに示すように順次動作させることができ、L1、L2、AP1およびAP2画像は、2つの動作シナリオの下で中立に対する代表的な位置で収集することができる。
図6に示すように、L1画像およびL2画像を収集して横方向画像の画像対を作成し、AP1画像およびAP2画像を収集してAP画像の画像対を作成する。
図6Aに示すように、1つのL画像およびAP画像から横方向画像およびAP画像の両方のセットが取得される。
【0065】
一般に、APシステムまたはLシステムが30~60°の弧を通って移動するのに時間がかかる(約0.5~1.0秒)ので、各システムから連続して撮影された画像は時間的に分離される。すなわち、L1、L2およびAP1、AP2画像は、約1秒だけ時間が分離される。
【0066】
様々な後処理シナリオでは、横方向画像およびAP画像の各セットを同時に取得することが有利であり得る。したがって、物理的な空間および投影角度が許容すれば、
図6AによるAPシステムおよびLシステムの移動が好ましい場合がある。
【0067】
撮像プロトコル
一連の診断用フラットパネル灌流画像を得るために、患者が固定された後、オペレータ/外科医は造影剤注入を開始する。画像は、上部頸管に入る造影剤などの既知のトリガ手順に従って収集することができる。AP管およびL管の移動は、他方との衝突を防ぐためにシステムソフトウェアによって調整される。
【0068】
大血管閉塞が疑われる典型的なシナリオでは、造影剤がIL側とCL側の両方で脳の動脈、脳組織、および流出静脈を通って完全にフラッシングする予想期間は約45秒である。
【0069】
最初に、画像は、一般に、AP1、AP2、L1およびL2位置のそれぞれから可能な限り迅速に、好ましくは1セットの画像/秒を超える速度で撮影される。この画像の第1段階は、
図7に示すように、非罹患組織のピーク不透明度の直前、最中、および後に画像を取り込むように、t=0~約t=5秒の間に撮影される。次の5秒間にわたって、これは、流出静脈を通って非罹患組織からフラッシングする造影剤および罹患組織内の造影剤のゆっくりした上昇(AISを引き起こす脳血管の閉塞のために造影剤フラッディングがより遅い)に対応し得、罹患組織における密度の変化率がより低く、したがってより長い期間にわたって広がるため、画像速度は、遅くなり得る。造影剤が動脈系から流出した後、画像取得速度は、残りの取得時間の間、さらに遅くなり得る(例えば、1セットの画像/2秒)。
【0070】
表1に示すように、AP画像およびL画像の両方が取得されていると仮定して、代表的な画像取得率が示されている。2セットの画像=4枚の画像
【表1】
【0071】
したがって、合計で約50~60枚の画像が撮影される場合、これは、特に患者の動きに起因して、スキャンを繰り返さなければならない場合に、同じ期間にわたって200~600枚の画像が取得され得る典型的なCTAまたはCTP検査よりも実質的に低い。したがって、患者への総放射線は実質的に低い。
【0072】
撮像手順はまた、必要に応じて手順中に繰り返されてもよい。すなわち、Lシステムを邪魔にならないようによけずに撮影を行うことができるので、いつでも新たな診断撮像を開始することができる。これは、例えば、大きな血栓が除去されており、外科医が、血栓の断片が破砕されず、小さな末梢閉塞を生じていないことを確認したい場合に特に有用である。
【0073】
大きな血栓がより小さな血栓に破砕された場合の灌流異常を描写することは、下流の閉塞およびそれらの破砕された血栓断片によって引き起こされた結果として生じる灌流欠損を検出し、小さな血栓断片が血管内器具で治療され得るかどうか、および治療されるべきかどうかを決定するために有用であり得る。しかしながら、現在使用されているようなフラットパネル灌流撮像では、L管を最初に移動させる必要があり、新しい灌流撮像の取得が開始され得るまでの時間遅延をもたらす。NPI技術では、L管をそのままにしておくことができ、小さな破砕された血栓に関連する灌流異常を示すための灌流撮像を直ちに開始することができ、それによって治療遅延を最小限に抑えることができる。
【0074】
この段階における別の選択肢は、内頸動脈に直接注射する選択肢(すなわち、さらに下流で閉塞された血管への直接注射)である。これは、造影剤が罹患した血管に直接注入され、全身血管系には注入されず、したがって希釈がはるかに少ないため、はるかに高い造影密度を達成するという利点を有する。これにより、より良好な信号対雑音比が得られる。しかしながら、これは、内頸動脈に由来する側副血管のみが充満されるが、他の動脈、例えば他の健常側の内頸動脈、または脳組織に供給する他の主要動脈である椎骨動脈に由来する罹患脳組織に供給する側副血管は充填されないので、側副循環の完全な充填を可能にしない。これは、他の主要な脳血管からの側副路充満に関する重要な情報が欠けていることを意味する。
【0075】
画像取得および後処理
上述したように、フラットパネル画像の取得は、典型的には、複数の投影を得るためにX線管を約200度(正確な円または蝶形/
図8の形状の動きのいずれかで)回転させることによって得られる。
【0076】
生画像データの後処理は、例えば脳組織の相対灌流に基づいて罹患脳組織を分類することを含む、生画像データの有用な表示への変換を可能にする。上述の画像の後処理は、完全に灌流された脳組織と死んだ脳組織との間の色の範囲を示すカラースケールなどのスケールを組み込むことを含むことができる。
【0077】
一般に、各180度の回転にわたる投影は、別個の画像処理に使用される。
図8に示すように、走査されている物体は、走査されている角度に応じて異なる投影を生成する。2つの円形物体80a、80bが異なる角度から走査されると、θ1で2つの空間的に分離された半円およびθ2で結合された半円が生じる。角度ギャップなしで画像が撮影される180度にわたる投影は、完全サイノグラムの組み立てを可能にし(
図8A)、角度ギャップを有する投影は、部分サイノグラムの組み立てを可能にする(
図8B)。
【0078】
図8Cは、フーリエスライス投影を示す。要約すると、任意の角度での2D物体の投影は、1D信号を生成する。この1D信号のフーリエ変換は、同じ角度を有する2D画像の2Dフーリエ領域内の線として示すことができる1D周波数関数である。したがって、異なる角度で複数の投影を収集することにより、画像の2Dフーリエ領域が線ごとに塗りつぶされる。フーリエ空間は、中心がオーバーサンプリングされ、境界がアンダーサンプリングされていることを示し、k空間の中心は低周波を表し、外側は画像の高周波を表す。
【0079】
画像アセンブリは、典型的には、(各角度での)画像投影の高速フーリエ変換(FFT)、それに続くフィルタリング、および逆高速フーリエ変換(IFFT)を含むフィルタリングされた逆投影法を利用して、複数の角度から合計されたときに投影角度の数に比例して物体エッジの明瞭さを一般に改善するフィルタリングされた逆投影関数を作成する。
【0080】
逆投影は、実質的に順投影の逆動作である。単一の角度での検出器関数からの逆投影は、画像の不鮮明な表現をもたらす。追加の逆投影角度が追加されると、物体の明瞭さは改善されるが、上述のようにフーリエ領域への変換によって導出/マッピングされる低周波密度対高周波密度のために最終的に制限される。すなわち、低周波および高周波のフーリエ領域表現から導出された逆投影は、低周波密度がより低い高周波密度(すなわち、物体のほぼ境界または縁部)に対して、フーリエ領域でより高い(すなわち、物体のほぼ滑らかな内面)ことを示す。
【0081】
逆投影関数のフィルタリングは、いくつかの低周波数の抑制および高周波数の増幅を可能にし、逆高速フーリエ変換(IFFT)に従うと、特にサンプリング角度が増加するときに物体エッジの改善された撮像を提供するために領域にわたって後に逆投影される新しい検出器関数をもたらす。
【0082】
機械学習
一実施形態では、上述の限定された投影角度が、上述の立体視技術と共に、罹患組織対非罹患組織の適切な識別を可能にしない程度に、限定された投影から上記で導出された部分サイノグラムは、現在の患者データを補間するためにモデル開発および訓練を使用して補間することができる。
【0083】
図9に示すように、(さまざまなAIS状態を有する)過去の患者から取得された画像データを、過去の患者からの部分画像データセットと共に使用して、サイノグラム補間モデルを構築することができる。
【0084】
例えば、全範囲の投影角度の生データを含む過去の患者のデータセットをフィルタリングして、限られた投影角度を有する同じ患者の限られたデータセットを作成することができる。完全なデータセットおよび部分的なデータセットからのデータは、次いで、補間モデルを訓練するために使用されるそれぞれのためのサイノグラムモデルを構築するために使用される。
【0085】
訓練後、限定された投影角度データがモデルに導入されて、現在の患者のための補間された出力画像が提供され、したがって、取得された限定された投影からの診断が可能になる。
【0086】
本発明は、好ましい実施形態およびその好ましい使用に関して説明および例示されているが、当業者によって理解されるように、本発明の完全な意図された範囲内にあるそれらの修正および変更を行うことができるので、そのように限定されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性虚血性脳卒中(AIS)の罹患が疑われ、造影剤が注入された患者の脳の一連の灌流画像を取得する方法であって、
a)第1のX線エミッタおよび第1のX線レシーバを有する第1のX線撮像システム(FXIS)であって、前記FXISが、前記患者の頭部の周りのほぼ前方/後方位置(AP)に動作可能に位置付けられる、FXISと、第2のX線エミッタおよび第2のX線レシーバを有する第2のX線撮像システム(SXIS)であって、前記SXISが、前記患者の頭部の周りのほぼ側方位置に動作可能に位置付けられる、SXISと、を有する神経血管造影装置を利用することと、
b)前記FXISが第1の撮像位置と第2の撮像位置との間を交互に移動するように起動され、前記SXISが第3の撮像位置と第4の撮像位置との間を交互に移動するように起動される、前記FXISおよび前記SXISから一連の画像を取得することと、
c)時間=0(t
0)~時間=n(t
n)の複数の時点にわたって(b)を繰り返すことであって、t
0は一般に上部頸管の造影剤到達に対応し、t
nは一般に造影剤ウォッシュアウトに対応する、繰り返すことと、
d)前記患者の脳の灌流動態の視覚化を示す後処理された画像を作成するために、(b)および(c)からの前記画像を処理することと、
を含む、方法。
【請求項2】
(d)は、時間閾値内に取得された一対の画像として前記FXISおよび前記SXISからの画像の組み合わせを処理することを含み、罹患組織の領域が検出された場合、一対の画像からの立体オフセット解析に基づいて前記罹患組織の相対的な深度が推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(d)は、(c)からの画像を補間モデルに導入すること、過去のコンピュータ断層撮影画像によって急性虚血性脳卒中と診断された患者から導出された過去の画像データベースに前記画像を一致させるように前記モデルを起動すること、より多数の画像角度を補間して前記後処理された画像の解像度を改善するために、前記過去の画像データベースからの最適画像を利用することをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記FXISを起動して前記第1の撮像位置に移動させ、その後前記FXISを前記第2の撮像位置に移動させることによって、第1の画像対を取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記SXISを起動して前記第3の撮像位置に移動させ、その後前記SXISを前記第4の撮像位置に移動させることによって、第2の画像対を取得する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記FXISを起動して前記第1の撮像位置に移動させ、前記SXISを前記第2の撮像位置に移動させることによって、第1の画像対を取得し、前記FXISおよびSXISの画像を同時に取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記FXISを起動して前記第3の撮像位置に移動させ、前記SXISを前記第4の撮像位置に移動させることによって、第2の画像対を取得し、前記FXISおよびSXISの画像を同時に取得する、請求項1から3および6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2の撮像位置ならびに第3および第4の撮像位置はそれぞれ、約15~30°離れている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記後処理された画像が、完全に灌流された脳組織と死んだ脳組織との間の色の範囲を示すカラースケールでの罹患脳組織の相対灌流に基づいて罹患脳組織を分類するために分析される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
t
nが40~60秒である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
現在の患者における限定された投影角度から導出された複数のフラットパネルX線画像であって、前記複数のフラットパネルX線画像が、前記現在の患者における急性虚血性脳卒中(AIS)の診断のための診断画像を組み立てるために後処理を受ける、複数のフラットパネルX線画像の解像度を向上させるために画像補間モデルを訓練および利用する方法であって、
a)第1の複数のコンピュータ断層撮影血管造影(CT)画像であって、前記第1の複数のCT画像が、AISと診断された複数の過去の患者からの完全なデータセットとして定義され、前記第1の複数のCT画像が、複数の投影角度からの画像を含む、第1の複数のコンピュータ断層撮影血管造影(CT)画像を取得することと、
b)第2の複数のCT画像であって、前記第2の複数のCT画像が、AISと診断された複数の過去の患者からの部分データセットとして定義され、前記第2の複数のCT画像が、(a)より小さい投影角度からの画像を含む、第2の複数のCT画像を取得することと、
c)前記第1の複数のCT画像および前記第2の複数のCT画像のサイノグラムモデルを構築することと、
d)前記第1の複数のCT画像に対する第2の複数のCT画像のセットの最良適合を決定することに基づいて、前記第2のCT画像の投影角度間を補間するために、前記第1の複数のCT画像および前記第2の複数のCT画像を使用して補間モデルを訓練することと、
e)前記第1の複数のCT画像との最良適合を決定し、前記現在の患者から補間画像を作成するために、複数の現在の患者のフラットパネルX線画像を前記モデルに導入し、解析することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の複数のCT画像が、90を超える投影角度からの画像を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の複数のCT画像が、10より少ない投影角度からの画像を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第1のX線エミッタおよび第1のX線レシーバを有する第1のX線撮像システム(FXIS)と、第2のX線エミッタおよび第2のX線レシーバを有する第2のX線撮像システム(SXIS)とを有する神経血管造影装置を動作させる方法であって、
a)前記FXISを患者の頭部に対してほぼ前方/後方位置にある第1の位置に移動させることと、
b)前記SXISを患者の頭部に対してほぼ側方位置にある第2の位置に移動させることと、
c)前記前方/後方位置の周りの円弧を通って第1の撮像位置と第2の撮像位置との間を交互に移動するように前記FXISを起動させることと、
d)前記側方位置の周りの円弧を通って第3の撮像位置と第4の撮像位置との間を交互に移動するように前記SXISを同時に起動させることと、
e)前記第1、第2、第3、および第4の撮像位置のそれぞれにおいてX線画像を取得することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記FXISが前記第1または第2の撮像位置にあり、前記SXISが前記第3または第4の撮像位置にあるとき、前記FXISおよび前記SXISからの画像の同時取得を可能にするために、前記FXISおよびSXISの移動が調整される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
時間=0(t
0)~時間=n(t
n)の複数の時点にわたって(c)~(e)が繰り返され、前記患者への造影剤の注入後、t
0は一般に上部頸管への造影剤の到達に対応し、t
nは一般に造影剤のウォッシュアウトに対応する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および第2の撮像位置ならびに第3および第4の撮像位置はそれぞれ、約15~30°離れている、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
完全に灌流された脳組織と死んだ脳組織とを識別するスケールでの罹患脳組織の相対灌流に基づいて罹患脳組織を分類するために、画像を後処理することをさらに含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
t
nが40~60秒である、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】