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特表2024-537513交換式のコリオリ流量センサのための重い架台
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】交換式のコリオリ流量センサのための重い架台
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20241003BHJP
   G01F 1/84 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01F1/00 G
G01F1/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526468
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 US2022048615
(87)【国際公開番号】W WO2023081164
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/274,841
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/523,185
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510179283
【氏名又は名称】マレマ エンジニアリング コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MALEMA ENGINEERING CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1060 South Rogers Circle,Boca Raton,FL 33487 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーパク バグワン マラニ
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤセカー ラジャゴパラン
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CF14
2F035JA02
(57)【要約】
実施形態は、架台および固定機構を含む流体処理システムに関する。架台は、コリオリ流量センサ用の取り付け構造を有し、架台は、コリオリ流量センサよりもかなり大きな質量を有する。固定機構は、取り付け構造における所定の位置で、コリオリ流量センサを固定および固定解除するために用いられる。固定機構は、コリオリ流量センサと架台が固定されたとき一体となって振動するのに十分な固定力を生成する。このようにしてコリオリ流量センサは、流体処理システムの一部として用いられる場合、効果的により大きい質量を有するが、コリオリ流量センサは、固定機構の固定を解除し、そのときのコリオリ流量センサを取り外し、別のものと交換することによって、容易に交換することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体処理システムであって、
コリオリ流量センサのための取り付け構造を有する架台であって、前記架台が、前記コリオリ流量センサの質量の少なくとも10倍の質量を有する、架台と、
前記取り付け構造における所定の位置でコリオリ流量センサを固定しおよび固定解除するための固定機構であって、前記固定機構は、固定されたときに前記コリオリ流量センサと前記架台が単一のものとして振動するように十分な固定力を生成する、固定機構と、
を備えた、流体処理システム。
【請求項2】
前記架台が少なくとも5kgの質量を有する、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項3】
前記架台および取り付け構造の両方が、直列コリオリ流量センサと縦コリオリ流量センサのいずれも収容するように成形されている、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項4】
前記架台は、前記架台の質量の大部分を含む長方形のカラーを備え、
前記取り付け構造は、前記コリオリ流量センサが取り付けられる長方形の環状へりを含み、前記固定機構は、前記コリオリ流量センサに前記へりに向けて力を加える、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項5】
前記架台は、前記コリオリ流量センサを囲む筺体を備える、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項6】
前記固定機構は蝶ねじを備える、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項7】
前記固定機構は、1分以内に、前記コリオリ流量センサを取り外し、交換するように手動で動作可能である、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項8】
前記固定機構は、少なくとも5Nmの力を加えて、前記取り付け構造における所定の位置にコリオリ流量センサを固定する、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項9】
前記固定機構は、前記取り付け構造における所定の位置で、コリオリ流量センサを固定するために力を加える複数の固定ポイントを備え、前記固定ポイントのそれぞれで加えられる前記力は、互いの力の15%以内の違いである、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項10】
前記固定機構は、長方形形状に配置された4つの固定ポイントで力を加え、前記取り付け構造における所定の位置にコリオリ流量センサを固定する、請求項1に記載の流体処理システム。
【請求項11】
流体処理システムであって、
流体の流れを含む環境で用いられる装置を支持するためのスキッドと、
流体の流量を測定するためのコリオリ流量センサと、
前記スキッドに取り付けられる架台であって、前記架台は前記コリオリ流量センサのための取り付け構造を有し、前記架台は、前記コリオリ流量センサの質量の少なくとも10倍の質量を有する、架台と、
前記コリオリ流量センサを前記取り付け構造における所定の位置に固定する固定機構であって、前記固定機構は、前記コリオリ流量センサと前記架台が単一のものとして振動するのに十分な固定力を生じさせるが、前記固定機構はまた、前記コリオリ流量センサを解放するために固定解除可能である、固定機構と、
を備えた、流体処理システム。
【請求項12】
前記コリオリ流量センサは、使い捨ておよび/または使い切りである、請求項11に記載の流体処理システム。
【請求項13】
前記コリオリ流量センサはポリマーフローチューブを含み、少なくとも50kGyまでガンマ線照射可能である、請求項11に記載の流体処理システム。
【請求項14】
前記コリオリ流量センサは、一体型緩衝器を備える、請求項11に記載の流体処理システム。
【請求項15】
前記コリオリ流量センサは、一体型圧力センサを備える、請求項11に記載の流体処理システム。
【請求項16】
前記架台と前記スキッドとの間のガスケットであって、前記架台と前記スキッドとの間の振動減衰をもたらすガスケット、をさらに備えた、請求項11に記載の流体処理システム。
【請求項17】
前記コリオリ流量センサは、2.5g/分以下のゼロ点ドリフトを有する、請求項11に記載の流体処理システム。
【請求項18】
前記コリオリ流量センサは、前記コリオリ流量センサによって測定された最小流量の1%以下のゼロ点ドリフトを有する、請求項11に記載の流体処理システム。
【請求項19】
流体処理システムであって、
交換可能なコリオリ流量センサが取り付けられた長方形の金属カラーおよび長方形の環状へりを備えた架台であって、前記架台は、前記コリオリ流量センサの質量の少なくとも10倍の質量を有し、前記長方形の金属カラーは、前記架台の前記質量の大部分を含む、架台と、
前記コリオリ流量センサを前記環状へりに向けて所定の位置で固定しおよび固定解除するための複数の手動操作可能な蝶ねじであって、前記蝶ねじは、前記コリオリ流量センサに前記へりに向けて少なくとも5Nmの力を加え、各蝶ねじによって加えられる力は、互い力の15%以内の違いである、複数の手動操作可能な蝶ねじと、
前記架台と前記架台の支持体との間のガスケットであって、前記架台と前記支持体との間で振動減衰をもたらすガスケットと、
を備えた、流体処理システム。
【請求項20】
前記コリオリ流量センサは、前記コリオリ流量センサによって測定された最小流量の1%以下のゼロ点ドリフトを有する、請求項19に記載の流体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/274,841号、及び2021年11月10日に出願された米国実用特許出願第17/523,185号に対する、35USC§119(e)に基づく優先権を主張する。上述の全ての主題は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、コリオリ流量センサに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの用途で制御された流体の流れを必要とする。流体処理システムは、通常、流体の流量を測定するためのいくつかの流量センサを含む。コリオリ流量センサは、センサを通って流れる流体のコリオリ効果によって引き起こされる振動に基づいて、流体の流量を測定する。クロストークないし相殺的干渉は、2つ以上の流量センサが互いに干渉し得る現象である。クロストークは、電気的クロストーク、機械的クロストーク、および/または流体脈動ベースのクロストークを含み得る。クロストークは、流量センサによる不正確な測定を引き起こす可能性がある。流体処理システムはまた、ポンプを含み得る。ポンプの動作はまた、流量センサ内の振動に干渉し得、これはまた、流量センサの不正確な測定を引き起こす。電磁弁、ピンチ制御弁、および他の電気機械デバイスなど、流体処理システムの外部(ただし近接)または流体処理システムの他のデバイスからの振動も、これらのコリオリ流量センサの適切な機能に対して電気的干渉または機械的干渉を引き起こし得る。
【0004】
これらの望ましくない影響を低減するために、流量センサを大きな質量物に恒久的に取り付けることができる。例えば、流量センサは、大きな金属構造に溶接され得る。しかしながら、これらの金属質量物は高価であり、使い切り/使い捨て用途には適していない。また、金属筐体を有する流量センサの消毒は、一般的には、それほど効果的ではなく、流量センサの誤動作を引き起こし得る化学物質を用いることによって実施される。このように、クロストークや、ポンプならびに他の外部干渉を軽減するための改善された技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開2023194321号公報
【特許文献2】米国特許公開2023349500号公報
【発明の概要】
【0006】
実施形態は、架台および固定機構を含む流体処理システムに関する。架台は、コリオリ流量センサ用の取り付け構造を有し、架台は、コリオリ流量センサよりもかなり大きな質量を有する。固定機構は、取り付け構造における所定の位置で、コリオリ流量センサを固定および固定解除するために用いられる。固定機構は、コリオリ流量センサと架台が固定されたとき一体となって振動するのに十分な固定力を生成する。このようにしてコリオリ流量センサは、流体処理システムの一部として用いられる場合、効果的により大きい質量を有するが、コリオリ流量センサは、固定機構の固定を解除し、そのときのコリオリ流量センサを取り外し、別のものと交換することによって、容易に交換することができる。処理単位(batch)を完了した後の、このセンサの交換は、バイオ医薬品やコビット-19ワクチンなどのワクチンの、使い切り品の製造にとって重要である。
【0007】
他の態様には、部品、デバイス、システム、改善、方法、プロセス、用途、および上記のいずれかに関連する他の技術が含まれる。
【0008】
本開示の実施形態は、添付の図面の実施例と併せて、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲からより容易に明らかになる、他の利点および特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、コリオリ流量センサおよび対応する架台の斜視図を示す。
図1B図1Bは、コリオリ流量センサの断面図を示す。
図1C図1Cは、架台に固定されたコリオリ流量センサの斜視図を示す。
図1D図1Dは、架台に固定されたコリオリ流量センサの上面図、正面図、および側面図を示す。
図2A図2Aは、架台の上面斜視図を示す。
図2B図2Bは、架台の底面斜視図を示す。
図3図3は、スキッドに取り付けられた架台を示す。
図4A図4Aは、コリオリ流量センサおよび対応する架台の他の実施形態の斜視図を示す。
図4B図4Bは、コリオリ流量センサおよび対応する架台の他の実施形態の斜視図を示す。
図5A図5Aは、コリオリ流量センサおよび対応する架台のさらに他の実施形態の斜視図を示す。
図5B図5Bは、コリオリ流量センサおよび対応する架台のさらに他の実施形態の斜視図を示す。
図6A図6Aは、コリオリ流量センサおよび対応する架台のさらに他の実施形態の斜視図を示す。
図6B図6Bは、コリオリ流量センサおよび対応する架台のさらに他の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図および以下の説明は、例示のためだけの、好適な実施形態に関する。以下の考察から、本明細書に開示される構造、および方法の代替的な実施形態は、請求の範囲の原理から逸脱することなく、用いられ得る実行可能な代替として容易に認識されることとなることに留意されたい。
【0011】
最初に、図1図2を参照すると、これらは、コリオリ流量センサ150および対応する架台100の例示的な実施形態の異なる図を示している。図1は、コリオリ流量センサ150および架台100の両方を示し、図1Aは分解図であり、図1Bは流量センサだけを示し、図1Cは組み立てられたシステムを示し、図1Dは組み立てられたシステムの上面図、正面図、および側面図を示す。図2は、架台100および固定機構140だけを示し、図2Aおよび図2Bは斜視図である。
【0012】
コリオリ流量センサ150は、センサを通って流れる流体のコリオリ効果によって引き起こされる振動に基づいて流体の流量を測定する装置である。流量センサ150は、図1Bの断面で見ることができる。流量センサ150は、入口152、フローチューブ154(または設計によっては2つのフローチューブ)、および出口156を含む。これによって、流量センサ150を通る流体の流路がもたらされる。フローチューブ154は、例えば、磁石およびコイルによって駆動されて振動することができる。流体がフローチューブ154を通って流れるとき、コリオリ力はフローチューブのねじれ振動を生成し、フローチューブ振動の位相変動をもたらす。流体の流れはまた、フローチューブの共振周波数を変化させる。流量センサ150は、位相変動および/または共振周波数の変化に敏感な電気信号を生成する変換器を含む。これらの信号は、流体の質量流体流量および/または密度を決定するために処理され得る。
【0013】
図にはコリオリ流量センサの例が示されるが、他のタイプのコリオリ流量センサも使用され得ることを理解されたい。チューブの数および形状、チューブおよび流量センサの材料および構造、並びに入口および出口の配置は総て、コリオリ流量センサの特定の設計に応じて変更することができる。通常、コリオリ流量センサは、1/16インチから1インチのホースバーブまたはトライクランプ接続具の接続部によって大きさが決まる。他のタイプの接続具がまた、コリオリ流量センサに用いられてもよい。これら流量センサの典型的な流量範囲は、最小(1/16インチホースバーブ接続)サイズの0.05gm/分~0.5gm/分から、最大(1インチ)サイズの10kg/分~100kg/分の範囲である。典型的な精度は、実際の読取り値の0.1%~1.00%の範囲である。
【0014】
コリオリ流量センサは、フローチューブの振動の変化に基づいて動作するため、流体の流れ以外の発生源によって引き起こされる振動効果は、不正確さをもたらす可能性がある。例えば、流量センサや他のデバイスが共通の支持構造に取り付けられている場合、ポンプや他のデバイスからの振動は、支持構造を介して流量センサに機械的に連結する可能性がある。また、フローチューブの振動は、周囲の支持構造への共振結合を介してゆがめられることがあり、ないしは変化することがある。
【0015】
ゼロ点ドリフトはそのような効果の1つである。コリオリ流量センサは、流量を測定していないときでも電気的に電源が入っている。従って、ポンプによる流れが無かったり、コリオリフローチューブを通る流れがない場合、チューブは振動を続ける。時にはこれらのチューブは空であり、時にはこれらのチューブ内に液体が存在する。ゼロ点ドリフトは、実際の流れがない場合に発生する最小流量を示す現象である。ゼロ点ドリフトの1つの例は、コリオリフローチューブに休止液が残っていて、一定量のスロッシングが発生する場合である。この最小流量は極めて小さく、通常はそれぞれのコリオリフローセンサの最小流量に対して極めて小さな割合である。さらに、ポンプやバルブなどの外部機械デバイスの振動は、コリオリ流量センサからのアナログまたはデジタルの出力信号に干渉することにより、ゼロ点ドリフトを引き起こす。
【0016】
ゼロ点ドリフトを減らす1つの方法は、流量センサの質量を増加させることである。より大きい質量は、外部の機械的振動の干渉を減少させ、また、より重い質量によって休止液のスロッシングが抑制される。
【0017】
しかし、いくつかの用途では、コリオリ流量センサは永続的ではない。それらはかなり定期的に入れ替えることが意図されたものである。それらは、使い切りであり、あるいは使い捨てであると見なされることもある。使い切りまたは使い捨てのコリオリ流量センサは、コビット-19のワクチンを含むワクチン、細胞および遺伝子治療用の医薬品有効成分、および核医薬を製造するために、バイオ医薬品や薬剤の製薬業で使用される。このような種類の使い切りまたは使い捨てのコリオリ流量センサは、化学物質が金属のコリオリ流量センサを極めて急速に腐食させ得る特殊なファインケミカル製造プロセスでも用いることができる。
【0018】
このようなケースでは、コリオリ流量センサをできるだけ軽量かつ安価にすることが望ましいため、大型で重いコリオリ流量センサを作ることは望ましくない。さらに、用途によっては、流量センサの殺菌が必要になる場合もある。金属は殺菌がより困難であるため、金属フローチューブまたは追加された金属質量物の大きな塊を備えたコリオリ流量センサを作ることも望ましくない。このような場合、フローチューブ154およびコリオリ流量センサの残りの部分の多くは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリフルオロビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)を含むポリマー材料などの非金属材料で作製され得る。さらなる例については、参照によりその全体が組み込まれる、特許文献1の“鋳造法で製造されたポリマーベースのコリオリ質量流量センサ”を参照されたい。ガンマ線照射は、流量センサを殺菌するために使用されてもよく、この場合、流量センサは、例えば、特定のバイオ医薬品用途における殺菌に使用される照射レベルであり得る、最小の50kGyまでガンマ線照射が可能な材料から構成される。
【0019】
本明細書に示される例では、コリオリ流量センサ150の有効質量は、センサがその使用中重い架台100に固定されることによって増加する。架台100は、好ましくはコリオリ流量センサの少なくとも10~30倍の質量を有する。例えば、典型的なコリオリ流量センサは、0.2kg~3kgの範囲の質量を有し、従って、重い架台の典型的な質量は、5kg~80kgであり得る。
【0020】
架台100は、コリオリ流量センサ100のための取り付け構造114(図2A参照)を有し、固定機構140は、取り付け構造における所定の位置でコリオリ流量センサを固定および固定解除するために用いられる。固定機構は、固定されたときに、(図1Aに示すように)コリオリ流量センサ150と架台100とが単一のものとして共に振動するのに十分な固定力を生成する。
【0021】
図1図2の例では、架台100は、架台の質量のかなりの量を占める長方形の金属カラー110を含む。カラー110は、図2で最もよく見える、内側へり114を備えた長方形の開口部を有する。ヘリは長方形でかつ環状でもある。流量センサ150は、隆起部158を備えたプラスチックハウジングを含む。隆起部158は、金属カラー110の開口部に適合し、へり114に対して押し付ける。固定機構140は、隆起部158に力を加えて、へり114に対して隆起部を剛性的に保持する。フローチューブ154は、へり114の環状開口部を通って突出する。
【0022】
この例では、固定機構140は、蝶ねじ142を用いて力を生じさせる。締め付けると、蝶ねじ142は舌部144に圧力を加え、次に、金属カラー110の内側へり114に向けて隆起部158を押す。蝶ねじは、特定の力を加えるように設計されている。示される例において、力は長方形の形状に配置された4つの固定ポイントで加えられるが、他の配置も可能である。加えられる力は、カラー110に対する流量センサ150の振動を適切に低減するのに十分な大きさでなければならない。その結果、流量センサ150および架台100は、単一のものとして振動し、架台100は、これら2つが互い対して振動するのではなく、流量センサ150の質量を効果的に増加させることになる。例えば、蝶ねじ142のそれぞれは、3ニュートンメートル(Nm)以上の力を加えて、流量センサ150と架台100を相互に剛性的に保持することができる。これは、総ての蝶ねじについて総計で12Nm以上の力である。他の設計では、より小さい固定力、例えば10Nm以上、または5Nm以上とすることもできる。
【0023】
均一な力を作用させることも重要である。4つの固定ポイントで同じ大きさの力を加えることで、加えられる圧力のバランスをとることができる。異なる固定ポイントで力の大きさが同じでない場合、センサは不均衡になり、ゼロ点ドリフトおよび結果として生じる不正確さが高まる。図1図2において、同じ大きさの力が各固定ポイントで加えられなければならない。例えば、各固定ポイントで加えられる力は、互いの力の15%以内、またはより好ましくは互いの力の10%以内、5%以内または1%以内の違いとすることができる。
【0024】
蝶ねじ142を用いることの1つの利点は、固定機構を手動で操作できることである。蝶ねじ142は緩めることができ、舌部144は回転ないし旋回し流量センサ150から離れてこれを解放し、流量センサを取り外して別の流量センサと交換っすることができる。これにより、使い捨てや使い切りの流量センサを含む、流量センサの交換が容易になる。使い切りまたは使い捨ての用途の中には、流量センサを1分以内に取り外して交換するものがある。
【0025】
架台100はまた、コリオリ流量センサの残りの部分を囲む筐体120を備える。筐体もまた質量を加えるものである。図1図2に示す筐体は、流量センサへの電力およびデータの接続を可能にするケーブル穴122(図2B参照)を含む。
【0026】
図3は、スキッド370に取り付けられた架台100を示す。スキッドは、機器を装着することができる機械的骨組みである。この例では、架台100は、金属板ないしパネル375に取り付けられており、そのパネルはスキッド370に取り付けられている。振動減衰ガスケット380は、架台100とプレート375との間に配置される。架台100は、垂直方向において、横断部材377A(Lブラケット)および377B(スキッドの横梁)によって支持される。振動減衰ガスケット387Aおよび387Bは、架台100と横断部材377Aおよび377Bとの間に配置される。
【0027】
重い架台100は、スキッド370のいかなる部分にも直接接触しないことに留意されたい。架台は、常に振動ガスケット380、387によって分離される。ガスケット380、387によって、架台100とスキッド370(およびスキッドに装着された他の構成要素)との間が振動絶縁とされる。例えば、振動ガスケットは、低周波振動を著しく減衰させることができる。
【0028】
重い架台100は、コリオリ流量センサ150に質量を加え、振動ガスケット380、387は、架台および流量センサを流体処理システムの残りの部分から分離する。その結果、ゼロ点ドリフトが減少する。例えば、より小さいサイズのセンサ(例えば、1/2インチ以下のチューブ)の場合、ゼロ点ドリフトは100g/分から2.5g/分に減少した。これらのセンサの典型的な最小流量は500g/分であり、そのためゼロ点ドリフトは最小流量の1%未満に低減されたことになる。より大きなセンサ(例えば、3/4および1インチのチューブ)の場合、ゼロ点ドリフトは、200g/分から25g/分に減少した。これらのセンサの典型的な最小流量は6kg/分であり、そのためゼロ点ドリフトは最小流量の1%未満に低減されたことになる。
【0029】
図1図3は一例を示す。他の変形形態も明らかである。図4図6は、コリオリ流量センサ450、550、650および対応する架台400、500、600のさらなる実施形態の斜視図を示す。図4において、流量センサ450は縦構成であり、これに対しこの図より前の図の流量センサは直列構成である。直列構成(図1参照)では、入口152および出口156は互いに一直線に並んでいるが、流れは、通常、フローチューブを通って流れるために迂回させられる。図4の縦構成では、入口452と出口456は互いに整列していないが、流れはよりフローチューブに沿ったものとなる。架台および取り付け構造は、直列コリオリ流量センサと縦コリオリ流量センサの両方を含む複数の異なる流量センサに対応するように設計することができる。さらに、図4において、固定ポイント440は、側面に沿ってではなく、角にある。
【0030】
図5では、架台500は、カラー510を含むが、筐体を有していない。流量センサ550は、図5Bに示されるように、カラー510を通って突き出ており、カラーの下方に見える。
【0031】
図6では、コリオリ流量センサは、入口652と出口656を備えた直列構成を有する。また、一体型緩衝器662および一体型圧力センサ664を含む。緩衝器662は、流量センサの入口側に位置する。一体型緩衝器は、例えば、脈動ポンプによって引き起こされ得るような、流体の流れ自体の振動を低減する。例示的な緩衝器は、特許文献2に記載されている“流量計測システムにおける流れ緩衝器”であり、その全体が参照により組み込まれる。緩衝器および圧力センサを一体化することにより、入口または出口のチューブに接続されている独立した、緩衝器や圧力センサと比較して、全体的なサイズおよびスペースの必要性が軽減される。また、必要なチューブの量を減らし、それによってデッドボリュームの量を減らすことができる。デッドボリュームとは、チューブ、センサ、およびその他の構成要素に含まれる液体の体積であり、システムにおいて処理単位(batch)間で流れがあると、この体積は失われ、使用可能な製品に変換されない。デッドボリュームは廃棄される製品であるが高価であることがあるため、デッドボリュームを減らすことは医薬品製造において重要である。一体化された圧力センサは、実際のフローチューブに近い圧力を測定するため、コリオリ流量センサを較正するためのより正確な圧力読み取り値を生成することもできる。
【0032】
詳細な説明は多くの具体例を含んでいるが、これらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に異なる例を説明するものとして解釈されるべきである。本開示の範囲は、上で詳細に論じられていない他の実施形態を含むことを理解されたい。当業者にとって明らかである様々な他の修正、変更および変形は、添付の特許請求の範囲において規定される趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書で開示される方法および装置の構成、動作および詳細においてなされ得る。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的等価物によって決定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】