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特表2024-537520新規なYhhS変異体及びそれを用いたO-ホスホセリン、システイン及びその誘導体の生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】新規なYhhS変異体及びそれを用いたO-ホスホセリン、システイン及びその誘導体の生産方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/00 20060101AFI20241003BHJP
   C12N 15/52 20060101ALI20241003BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241003BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20241003BHJP
   C12P 13/06 20060101ALI20241003BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241003BHJP
   C12P 13/12 20060101ALI20241003BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20241003BHJP
   C12N 9/16 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C12N9/00
C12N15/52 Z ZNA
C12N1/21
C12P1/04 Z
C12P13/06 D
C12P21/02 C
C12P13/12 B
C12P13/12 C
C12N15/55
C12N9/16 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526583
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2022007930
(87)【国際公開番号】W WO2022255839
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0072313
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヘ ミン
(72)【発明者】
【氏名】シム、ヒ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、フィ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジン ナム
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジン-グン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AE08
4B064AE14
4B064AE15
4B064AE63
4B064CA02
4B064CA19
4B064DA20
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA17
4B065CA27
(57)【要約】
本出願は、新規なYhhS変異体及びそれを用いたO-ホスホセリン、システイン及びシステインの誘導体の生産方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、YhhS変異体。
【請求項2】
前記配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸は、極性アミノ酸である、請求項1に記載のYhhS変異体。
【請求項3】
前記極性アミノ酸は、セリンである、請求項2に記載のYhhS変異体。
【請求項4】
前記他のアミノ酸は、非極性アミノ酸である、請求項1に記載のYhhS変異体。
【請求項5】
前記非極性アミノ酸は、グリシンまたはアラニンである、請求項4に記載のYhhS変異体。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列の241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンで置換された、YhhS変異体。
【請求項7】
前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンまたはスレオニンで置換された、請求項1に記載のYhhS変異体。
【請求項8】
前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の246番目の位置に対応するアミノ酸であるアスパラギン酸がバリンでさらに置換、及び/又は配列番号1のアミノ酸配列の330番目の位置に対応するアミノ酸であるバリンがイソロイシンでさらに置換された請求項1または6に記載のYhhS変異体。
【請求項9】
前記変異体は、配列番号2~5、34及び36から選択されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有する請求項1または6に記載のYhhS変異体。
【請求項10】
請求項1または6に記載の変異体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項1または6に記載の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、エシェリキア属微生物。
【請求項12】
前記微生物は、さらにホスホセリンホスファターゼ(phosphoserine phosphatase,SerB)の活性が内在的活性に比べて弱化された、請求項11に記載の微生物。
【請求項13】
請求項1または6に記載の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む微生物を培地で培養する段階を含む、O-ホスホセリンの生産方法。
【請求項14】
a)請求項1または6に記載の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含むO-ホスホセリン生産微生物を培地で培養してO-ホスホセリンまたはそれを含む培地を生産する段階と;
b)O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼ(O-phosphoserine sulfliydrylase,OPSS)またはそれを発現する微生物、前記a)段階で生産されたO-ホスホセリンまたはそれを含む培地及び硫化物を接触させる段階と;を含む、システインまたはその誘導体の生産方法。
【請求項15】
請求項1または6に記載の変異体;前記変異体をコードするポリヌクレオチド;前記ポリヌクレオチドを含むベクター;前記変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む微生物;またはそれらのうちの2以上の組み合わせを含む、O-ホスホセリン生産用組成物。
【請求項16】
請求項1または6に記載の変異体;前記変異体をコードするポリヌクレオチド;前記ポリヌクレオチドを含むベクター;または前記変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む微生物のO-ホスホセリン、システインまたはシステインの誘導体生産への使用。
【請求項17】
請求項1または6に記載の変異体を用いてO-ホスホセリンを微生物から排出するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、YhhS変異体及びそれを用いたO-ホスホセリン、システイン及びシステインの誘導体の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L-システインは、あらゆる生物体の硫黄代謝において重要なアミノ酸であり、毛髪のケラチンなど生体内タンパク質、グルタチオン、ビオチン、メチオニン及びその他硫黄を含有した代謝産物の合成に使用されるだけでなく、コエンザイムA生合成の前駆物質として使用される。
【0003】
微生物を用いてL-システインを生産する方法として、1)微生物を用いてD,L-ATC(D、L-2-aminothiazoline-4-carboxylic acid)を生物学的に変換する方法、2)大腸菌を利用したL-システインを生産する直接発酵方法(欧州登録特許EP0885962B;Wada M andTakagi H、Appl.Microbiol.Biochem.、73:48-54,2006)、3)微生物を用いてO-ホスホセリン(O-phosphoserine,OPS)を発酵生産した後、O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼ(O-phosphoserine sulfhydrylase,OPSS)の触媒作用の下に硫化物と反応させてL-システインに変換させる方法(米国登録公報US 8557549 B2)が公知となっている。
【0004】
そのとき、前記3)方法で高収率のシステインを生産するためには、前駆体であるOPSを過量生産しなければならない必要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州登録特許EP0885962B
【特許文献2】米国登録公報US 8557549 B2
【特許文献3】大韓民国登録特許第10-1381048号
【特許文献4】米国公開特許第10-2012-0190081号
【特許文献5】米国登録特許US 7662943 B2
【特許文献6】米国登録特許US 10584338 B2
【特許文献7】米国登録特許US 10273491 B2
【特許文献8】米国登録公報US 8557549 B2
【特許文献9】米国公開公報第2012-0190081号
【特許文献10】米国登録公報US 9127324 B2
【特許文献11】米国公開特許第2020-0048619号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wada M andTakagi H、Appl.Microbiol.Biochem.、73:48-54,2006
【非特許文献2】Pearson et al (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444
【非特許文献3】Rice et al.、2000,Trends Genet. 16:276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch、1970,J.Mol.Biol.48:443-453
【非特許文献5】Devereux,J.,et al,Nucleic Acids Research 12:387 (1984)
【非特許文献6】Atschul,[S.] [F.,] [ET AL,J MOLEC BIOL 215]:403 (1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers,Martin J. Bishop,[ED.,] Academic Press,San Diego、1994
【非特許文献8】[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48:1073
【非特許文献9】Smith and Waterman,Adv. Appl. Math (1981) 2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff,eds.,Atlas Of Protein Sequence And Structure,National Biomedical Research Foundation,pp. 353-358 (1979)
【非特許文献11】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14:6745
【非特許文献12】J.Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual、2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold Spring Harbor,New York、1989
【非特許文献13】F.M.Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York、9.50-9.51,11.7-11.8
【非特許文献14】Ahmed Zahoor,Computational and structural biotechnology journal,vol 3,2012 October
【非特許文献15】Wendisch V F et al.,Curr Opin Microbiol.2006 Jun;9(3):268-74
【非特許文献16】Peters-Wendisch P et al.,Appl Environ Microbiol.2005 Nov;7 1( l l):7 139-44.
【非特許文献17】Nakashima N et al.,Bacterial cellular engineering by genome editing and gene silencing.Int J Mol Sci.2014;15(2):2773-2793
【非特許文献18】Sambrook et al.Molecular Cloning 2012
【非特許文献19】Weintraub,H.et al.,Antisense-RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews - Trends in Genetics,Vol.1(1) 1986
【非特許文献20】Sitnicka et al.Functional Analysis of Genes.Advances in Cell Biology.2010,Vol.2.1-16
【非特許文献21】Mino K and Ishikawa K、FEBSletters、551:133-138,2003
【非特許文献22】Bums K E et al. J. Am. Chem. Soc、127:11602-11603,2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、OPS生産菌株で生産されたOPSを細胞外に排出できる活性を有する膜タンパク質において、その変異体を究明し、前記変異体によりOPS排出が向上することを確認することにより、本出願を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の一つの目的は、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、YhhS変異体を提供することにある。
【0009】
本出願のもう一つの目的は、配列番号1のアミノ酸配列の241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンで置換された、YhhS変異体を提供することにある。
【0010】
本出願の他の一つの目的は、本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することにある。
【0011】
本出願の他の一つの目的は、本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、エシェリキア属微生物を提供することにある。
【0012】
本出願の他の一つの目的は、本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む微生物を培地で培養する段階を含む、O-ホスホセリンの生産方法を提供することにある。
【0013】
本出願の他の一つの目的は、a)本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含むO-ホスホセリン生産微生物を培地で培養してO-ホスホセリンまたはそれを含む培地を生産する段階と;b)O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼ(O-phosphoserine sulfliydrylase,OPSS)またはそれを発現する微生物、前記a)段階で生産されたO-ホスホセリンまたはそれを含む培地及び硫化物を接触させる段階と;を含む、システインまたはその誘導体の生産方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0014】
本出願は、新規なO-ホスホセリン(O-phosphoserine,OPS)排出活性を有する変異型ポリペプチドを用いて、OPS生産能を有する微生物を培養する場合、既存の非変形または変異体タンパク質を利用した場合に比べて高収率のOPS生産が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用することができる。即ち、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが、本出願の範囲に属する。また、以下に記載される具体的な記述により本出願のカテゴリが制限されるとは見られない。
【0016】
また、本明細書の全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として組み込まれ、本出願が属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0017】
本出願の一態様は、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、YhhS変異体を提供する。
【0018】
本出願において用語、「YhhS」とは、O-ホスホセリン(O-phosphoserine,OPS)排出活性を示すポリペプチド、具体的には、OPSを細胞外に排出できる活性を有する膜タンパク質を意味する。本出願において、前記YhhSは、OPSを細胞外に排出できる活性を有する膜タンパク質であるYhhS MFS(major facilitator superfamily)トランスポーターであってもよい。前記YhhSは、過量のOPSが存在する条件の下で生育阻害が解除された大腸菌からOPS排出活性を示すタンパク質として糾明されている。
【0019】
本出願において用語、「O-ホスホセリン(O-phosphoserine,OPS)」はセリンのリン酸(phosphoric acid)エステルであり、種々のタンパク質の構成要素である。前記OPSはL-システインの前駆体であり、OPSスルフヒドリラーゼ(OPS sulfhydrylase,OPSS)の触媒作用の下に硫化物と反応してシステインに変換され得るが、これに制限されない(米国登録公報US 8557549 B2)。
【0020】
具体的には、本出願のYhhSは、YhhS MFSトランスポーターと互換的に使用され得る。本出願において前記YhhSのアミノ酸配列は、公知のデータベースであるNCBIのGenBankからその配列を得ることができる。具体的には、前記アミノ酸配列は、yhhS遺伝子によりコードされるYhhS活性を有するポリペプチドであってもよく、より具体的には、配列番号1であってもよいが、これに制限されない。
【0021】
前記配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸は、極性アミノ酸であってもよい。前記極性アミノ酸は、例えば、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンまたはグルタミンであってもよく、具体的には、セリンであってもよい。
【0022】
本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列を基準として129番目の位置に対応する極性アミノ酸が非極性アミノ酸で置換されたものであってもよい。前記非極性アミノ酸は、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはプロリンであってもよく、具体的には、グリシンまたはアラニンであってもよい。前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列を基準として129番目の位置に対応するアミノ酸がグリシンまたはアラニンであるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。また、そのような相同性または同一性を有し、本出願の変異体に対応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、修飾、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有する変異体も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0023】
例えば、前記アミノ酸配列のN末端、C末端及び/または内部に本出願の変異体の機能を変更しない配列の追加または欠失、自然に生じ得る突然変異、サイレント突然変異(silent mutation)または保存的置換を有する場合である。
【0024】
本出願において用語「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸を類似した構造的及び/又は化学的性質を有するもう一つのアミノ酸で置換させることを意味する。前記変異体は、一つ以上の生物学的活性を依然として保有しながら、例えば、一つ以上の保存的置換を有することができる。このようなアミノ酸の置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて発生することがある。例えば、電荷を帯びる(electrically charged)側鎖を有するアミノ酸中、正で荷電された(塩基性)アミノ酸はアルギニン、リシン、及びヒスチジンを含み、負で荷電された(酸性)アミノ酸は、グルタミン酸及びアスパラギン酸を含み;電荷を帯びない(uncharged)側鎖を有するアミノ酸中、非極性アミノ酸(nonpolar amino acid)は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン及びプロリンを含み、極性(polar)または親水性(hydrophilic)アミノ酸は、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンを含み、前記アミノ酸中、芳香族アミノ酸は、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンを含む。
【0025】
本出願において用語、「変異体(variant)」とは、一つ以上のアミノ酸が保存的置換(conservative substitution)及び/又は修飾(modification)され、前記変異体の変異前のアミノ酸配列と相違するが、機能(functions)または特性(properties)が維持されたポリペプチドを指す。このような変異体は、一般に、前記ポリペプチドのアミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸を変形し、前記変形ポリペプチドの特性を評価して同定(identify)されてもよい。即ち、変異体の能力は、変異前のポリペプチドに比べて増加したり、変わらなかったり、または減少する。また、一部の変異体は、N末端リーダー配列または膜貫通ドメイン(transmembrane domain)のような一つ以上の部分が除去された変異体を含んでもよい。他の変異体は、成熟タンパク質(mature protein)のN及び/又はC末端から一部分が除去された変異体を含んでもよい。前記用語「変異体」とは、変異型、修飾体、変異型ポリペプチド、変異されたタンパク質、変異及び変異体などの用語(英語の表現ではmodification,modified polypeptide,modified protein,mutant,mutein,divergentなど)が互換的に使用され、変異された意味として用いられる用語であれば、これに制限されない。本出願の目的上、前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸であるセリンがグリシンまたはアラニンで置換された、配列番号1で記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0026】
また、変異体は、ポリペプチドの特性と2次構造に最小限の影響を有するアミノ酸の欠失または付加を含むことができる。例えば、変異体のN末端には、翻訳と同時に(co-translationally)または翻訳後に(post-translationally)タンパク質の移動(translocation)に関与するシグナル(またはリーダー)配列がコンジュゲートすることができる。また、前記変異体は、同定、精製、または合成できるように他の配列またはリンカーとコンジュゲートすることができる。
【0027】
本出願において用語、「相同性(homology)」または「同一性(identity)」は、二つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列相互間の類似の程度を意味し、百分率で表すことができる。用語の相同性及び同一性は、しばしば互換的に使用することができる。
【0028】
保存された(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準的な配列アルゴリズムにより決定され、使用されるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に使用することができる。実質的に、相同性を有したり(homologous)または同一の(identical)配列は、一般に、配列の全体または一部分と中程度または高いストリンジェントな条件(stringent conditions)でハイブリダイズすることができる。ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドにおける一般のコドンまたはコドン縮退性を考慮したコドンを含有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることが自明である。
【0029】
任意の二つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al (1988) [Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85]:2444でのようなデフォルトパラメータを用いて「FASTA」プログラムなどの既知のコンピュータアルゴリズムを使用して決定することができる。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.、2000,Trends Genet.16:276-277)(バージョン5.0.0または以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ブンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch、1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を使用して決定することができる(GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al,Nucleic Acids Research 12:387 (1984))、BLASTP,BLASTN,FASTA (Atschul,[S.] [F.,] [ET AL,J MOLEC BIOL 215]:403 (1990);Guide to Huge Computers,Martin J.Bishop,[ED.,] Academic Press,San Diego、1994、及び[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48:1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLASTまたはClustalWを用いて相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0030】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math (1981) 2:482において公知となっているように、例えば、Needleman et al.(1970)、J Mol Biol.48:443のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列中、より短いものにおける記号の総数であり、類似の配列された記号(即ち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を除した値と定義することができる。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)二進法比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含む)及びSchwartz and Dayhoff,eds.,Atlas Of Protein Sequence And Structure,National Biomedical Research Foundation,pp.353-358 (1979)により開示されているように、Gribskov et al(1986) Nucl.Acids Res.14:6745の加重比較マトリックス(またはEDNAFULL (NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);及び(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。
【0031】
本出願において、用語「対応する(corresponding to)」とは、ポリペプチドで列挙される位置のアミノ酸残基であるか、またはポリペプチドで列挙される残基と類似または同一または相同のアミノ酸残基を指す。対応する位置のアミノ酸を確認することは、特定配列を参照する配列の特定アミノ酸を決定することであってもよい。本出願に用いられた「対応領域」は、一般に、関連タンパク質または参照(reference)タンパク質における類似または対応する位置を指す。
【0032】
例えば、任意のアミノ酸配列を配列番号1と整列(align)させ、これに基づいて前記アミノ酸配列の各アミノ酸残基は、配列番号1のアミノ酸残基と対応するアミノ酸残基の数字位置を参照して番号付けすることができる。例えば、本出願に記載されているような配列整列アルゴリズムは、クエリシーケンス(「参照配列」ともいう)と比較してアミノ酸の位置、または置換、挿入または欠失などの変異が発生する位置を確認することができる。
【0033】
このような整列には、例えば、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman及びWunsch、1970,J.Mol.Biol.48:443-453)、EMBOSSパッケージのNeedlemanプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.、2000、Trends Genet.16:276-277)などを利用することができるが、これに制限されず、当業界に知られている配列整列プログラム、ペアワイズ配列(pairwise sequence)比較アルゴリズムなどを適切に用いることができる。
【0034】
本出願の他の一態様は、配列番号1のアミノ酸配列の241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンまたはスレオニンで置換された、YhhS変異体を提供することである。
【0035】
前記「配列番号1のアミノ酸配列」、「YhhS」及び「変異体」については、前記他の様態で記載した通りである。
【0036】
具体的には、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列を基準として241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンまたはスレオニンで置換されたものであってもよい。前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列を基準として241番目の位置に対応するアミノ酸がグルタミンまたはスレオニンであるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、これについては、前記他の様態で記載した通りである。
【0037】
また、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸が他のアミノ酸で置換され、さらに241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンまたはスレオニンで置換されたものであってもよい。
【0038】
また、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置または241番目の位置に対応するアミノ酸の置換以外に、配列番号1のアミノ酸配列の246番目の位置に対応するアミノ酸であるアスパラギン酸がバリンでさらに置換、及び/又は配列番号1のアミノ酸配列の330番目の位置に対応するアミノ酸であるバリンがイソロイシンでさらに置換されることを含むことができる。
【0039】
加えて、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の88番目の位置に対応するアミノ酸がフェニルアラニンであり、配列番号1のアミノ酸配列の207番目の位置に対応するアミノ酸がリシンであってもよい。
【0040】
具体的には、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸であるセリンがグリシンで置換された配列番号2、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸であるセリンがアラニンで置換された配列番号3、配列番号1のアミノ酸配列の241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンで置換された配列番号4、配列番号1のアミノ酸配列の241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがスレオニンで置換された配列番号5、配列番号1のアミノ酸配列の241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがスレオニンで置換、246番目の位置に対応するアミノ酸であるアスパラギン酸がバリンで置換、及び330番目の位置に対応するアミノ酸であるバリンがイソロイシンで置換された配列番号12、配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸であるセリンがグリシンで置換、241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがスレオニンで置換、246番目の位置に対応するアミノ酸であるアスパラギン酸がバリンで置換、及び330番目の位置に対応するアミノ酸であるバリンがイソロイシンで置換された配列番号34、または配列番号1のアミノ酸配列の129番目の位置に対応するアミノ酸であるセリンがグリシンで置換、241番目の位置に対応するアミノ酸であるイソロイシンがグルタミンで置換された配列番号36のアミノ酸配列を含むものであってもよい。
【0041】
本出願の変異体は、配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号12または配列番号34または配列番号36のアミノ酸配列からなるか、または前記アミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0042】
また、本出願の変異体は、前記配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号12または配列番号34または配列番号36のアミノ酸配列と99%以上の配列同一性(相同性または同一性)を有するものであってもよいが、前記配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号12または配列番号34または配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上または100%未満の配列同一性を有するものであってもよい。また、そのような相同性または同一性を有し、本出願の変異体に対応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、修飾、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有する変異体も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0043】
本出願の一例として、本出願の変異体は、YhhS活性を有することができる。また、本出願の変異体は、野生型ポリペプチドに比べてOPS排出を増加させる活性を有することができる。
【0044】
前記YhhSについては、前記他の様態で記載した通りである。
【0045】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0046】
前記「変異体」については、前述の通りである。
【0047】
本出願において用語、「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチド単位体(monomer)が共有結合により長く鎖状につながったヌクレオチドの重合体(polymer)で一定の長さ以上のDNAまたはRNA鎖であり、より具体的には、前記変異体をコードするポリヌクレオチド断片を意味する。
【0048】
本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号12または配列番号34または配列番号36と記載されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むことができる。本出願の一例として、本出願のポリヌクレオチドは、配列番号6または配列番号7または配列番号8または配列番号9または配列番号17または配列番号35または配列番号37の配列を有するか、または含むことができる。また、本出願のポリヌクレオチドは、配列番号6または配列番号7または配列番号8または配列番号9または配列番号17または配列番号35または配列番号37の配列からなるか、または必須的に構成されてもよい。
【0049】
本出願のポリヌクレオチドは、コドンの縮退性(degeneracy)または本出願の変異体を発現させようとする生物で好まれるコドンを考慮し、本出願の変異体のアミノ酸配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形がなされてもよい。具体的には、本出願のポリヌクレオチドは、配列番号6または配列番号7または配列番号8または配列番号9または配列番号17または配列番号35または配列番号37の配列と相同性または同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、及び100%未満である塩基配列を有するか、含むか、または配列番号6または配列番号7または配列番号8または配列番号9または配列番号17または配列番号35または配列番号37の配列と相同性または同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、及び100%未満である塩基配列からなるか、または必須的に構成されてもよいが、これに制限されない。この時、前記相同性または同一性を有する配列において、配列番号1の129番目の位置に対応するアミノ酸をコードするコドンはグリシンまたはアラニンをコードするコドンの一つであってもよく、241番目の位置に対応するアミノ酸をコードするコドンはグルタミンまたはスレオニンをコードするコドンの一つであってもよく、246番目の位置に対応するアミノ酸をコードするコドンはバリンをコードするコドン中一つであってもよく、330番目の位置に対応するアミノ酸をコードするコドンはイソロイシンをコードするコドンの一つであってもよい。
【0050】
また、本出願のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子配列から製造され得るプローブ、例えば、本出願のポリヌクレオチド配列の全体または一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下にハイブリダイズすることができる配列であれば、制限なく含まれてもよい。前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(J.Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual、2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold Spring Harbor,New York、1989;F.M.Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York、9.50-9.51,11.7-11.8参照)に具体的に記載されている。例えば、相同性または同一性が高いポリヌクレオチド同士、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の相同性または同一性を有するポリヌクレオチド同士ハイブリダイゼーションし、それより相同性または同一性が低いポリヌクレオチド同士ハイブリダイゼーションしない条件、または通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1XSSC、0.1% SDS、具体的には60℃、0.1XSSC、0.1% SDS、より具体的には68℃、0.1XSSC、0.1% SDSに相当する塩濃度及び温度で、1回、具体的には二回~三回洗浄する条件を列挙できる。
【0051】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、二つの核酸が相補的配列を有することを要求する。用語、「相補的」は、互いにハイブリダイズ可能なヌクレオチド塩基間の関係を記述するのに使用される。例えば、DNAについて、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって、本出願のポリヌクレオチドは、また、実質的に類似の核酸配列だけでなく、全体配列に相補的な単離された核酸断片を含むことができる。
【0052】
具体的には、本出願のポリヌクレオチドと相同性または同一性を有するポリヌクレオチドは、55℃のTm値でハイブリダイゼーション段階を含むハイブリダイゼーション条件を用い、上述の条件を用いて探知できる。また、前記Tm値は60℃、63℃または65℃であってもよいが、これに制限されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節されてもよい。
【0053】
前記ポリヌクレオチドをハイブリダイズする適切なストリンジェンシーは、ポリヌクレオチドの長さ及び相補性程度に依存し、変数は当該技術分野によく知られている(例えば、J.Sambrook et al.、同上)。
【0054】
本出願のもう一つの態様は、本出願のポリヌクレオチドを含むベクターを提供することである。
【0055】
前記ベクターは、前記ポリヌクレオチドを宿主細胞で発現させるための発現ベクターであってもよいが、これに制限されない。
【0056】
本出願のベクターは、適切な宿主内で目的ポリペプチドを発現させることができるように、適切な発現調節領域(または発現調節配列)に作動可能に連結された前記目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列を含むDNA製造物を含んでもよい。前記発現調節領域は、転写を開始し得るプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含んでもよい。ベクターは、適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能することができ、ゲノム自体に統合されてもよい。
【0057】
本出願で使用されるベクターは、特に限定されず、当業界に知られている任意のベクターを利用することができる。通常使用されるベクターの例としては、天然状態または組換え状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを挙げることができる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとしてpWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、及びCharon21Aなどを用いることができ、プラスミドベクターとしてpDZ系、pBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系、pSK系、pSKH系及びpET系などを用いることができる。具体的には、pDZ、pDC、pDCM2、pACYC177、pACYC184、pCL、pSK、pSKH130、pECCG117、pUC19、pBR322、pMW118、pCC1BACベクターなどを用いることができる。
【0058】
一例として、細胞内における染色体挿入用ベクターを通じて目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを染色体内に挿入することができる。前記ポリヌクレオチドの染色体内への挿入は、当業界に知られている任意の方法、例えば、相同組換え(homologous recombination)により行われてもよいが、これに限定されない。前記染色体の挿入有無を確認するための選別マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。前記選別マーカーは、ベクターで形質転換された細胞を選別、即ち、目的核酸分子の挿入有無を確認するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面ポリペプチドの発現のような選択可能表現型を付与するマーカーが使用されてもよい。選択剤(selective agent)が処理された環境では、選別マーカーを発現する細胞のみが生存するか、または他の表現形質を示すため、形質転換された細胞を選別することができる。
【0059】
本出願における用語「形質転換」とは、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞または微生物内に導入し、宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドが発現できるようにすることを意味する。形質転換されたポリヌクレオチドは、宿主細胞内で発現できる限り、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、または染色体外に位置するかに関係なく、それらの全部を含んでもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、目的のポリペプチドをコードするDNA及び/又はRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば、如何なる形態でも導入することができる。例えば、前記ポリヌクレオチドは、自体で発現されるのに必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入することができる。前記発現カセットは、通常、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位及び翻訳終結信号を含んでもよい。前記発現カセットは、自己複製が可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよく、これに制限されない。
【0060】
また、前記において用語「作動可能に連結」されたとは、本出願の目的変異体をコードするポリヌクレオチドの転写を開始及び媒介させるプロモーター配列と前記ポリヌクレオチド配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0061】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、エシェリキア属微生物を提供することである。
【0062】
本出願の微生物は、本出願の変異型ポリペプチド、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または本出願のポリヌクレオチドを含むベクターを含むことができる。
【0063】
本出願において用語「菌株(または、微生物)」とは、野生型微生物や天然または人為的に遺伝的変形が生じた微生物を全て含み、外部遺伝子が挿入されたり、または内在的遺伝子の活性が強化されたり、不活性化されるなどの原因により、特定の機序が弱化または強化された微生物であり、目的とするポリペプチド、タンパク質または産物の生産のために遺伝的変形(modification)を含む微生物であってもよい。
【0064】
本出願の微生物は、本出願の変異体、本出願のポリヌクレオチド及び本出願のポリヌクレオチドを含むベクターのいずれか一つ以上を含む微生物;本出願の変異体または本出願のポリヌクレオチドを発現するように変形された微生物;本出願の変異体、または本出願のポリヌクレオチドを発現する微生物(例えば、組換え微生物);または本出願の変異体活性を有する微生物(例えば、組換え微生物)であってもよいが、これに制限されない。
【0065】
本出願の微生物は、O-ホスホセリン生産能を有する微生物であってもよい。
【0066】
本出願の微生物は、天然にYhhSまたはO-ホスホセリン生産能を有している微生物、またはYhhSまたはO-ホスホセリン生産能のない親株に本出願の変異体またはこれをコードするポリヌクレオチド(または前記ポリヌクレオチドを含むベクター)が導入されるか、及び/又はO-ホスホセリン生産能が付与された微生物であってもよいが、これに制限されない。
【0067】
一例として、本出願の菌株は、本出願のポリヌクレオチドまたは本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換され、本出願の変異体を発現する細胞または微生物であり、本出願の目的上、本出願の菌株は本出願の変異体を含めてO-ホスホセリンを生産できる微生物を全て含むことができる。例えば、本出願の菌株は、天然の野生型微生物またはO-ホスホセリンを生産する微生物に本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドが導入されることによりYhhS変異体が発現し、O-ホスホセリン生産能が増加した組換え菌株であってもよい。前記O-ホスホセリン生産能が増加した組換え菌株は、天然の野生型微生物またはYhhS非変異微生物(即ち、野生型YhhS(配列番号1)を発現する微生物または変異型YhhS(配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号12または配列番号34または配列番号36)を発現しない微生物)に比べてO-ホスホセリン生産能が増加した微生物であってもよいが、これに制限されるものではない。その例として、前記O-ホスホセリン生産能の増加有無を比較する対象菌株である、野生型YhhSが導入された微生物は、SerBの活性が内在的活性に比べて弱化された微生物であるCA07-0012(KCCM 11121P、大韓民国登録特許第10-1381048号及び米国公開特許第10-2012-0190081号)であってもよいが、これに制限されない。
【0068】
一例として、前記生産能が増加した組換え菌株は、変異前の親株または非変形微生物のO-ホスホセリン生産能に比べて約1%以上、具体的には、約1%以上、約10%以上、約20%以上、約29%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約110%以上、約120%以上、約130%以上、約140%以上、約144%以上、約150%以上、約160%以上、約170%以上、約180%以上、約190%以上、約200%以上、約210%以上、約220%以上、約230%以上、約233%以上、約240%以上、約250%以上、約252%以上、約260%以上、約267%以上、約270%以上、約280%以上、約290%以上、約300%以上、約310%以上、約320%以上、約330%以上または約338%以上(上限値に特別な制限はなく、例えば、約300%以下、約200%以下、約100%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下または約15%以下であってもよい)増加されたものであってもよいが、変異前の親株または非修飾微生物の生産能に比べて+値の増加量を有する限り、これに制限されない。他の例において、前記生産能が増加した組換え菌株は、変異前の親株または非修飾微生物に比べて、IMP生産能が約1.01倍以上、約1.1倍以上、約1.2倍以上、約1.29倍以上、約1.3倍以上、約1.4倍以上、約1.5倍以上、約1.6倍以上、約1.7倍以上、約1.8倍以上、約1.9倍以上、約2.0倍以上、約2.1倍以上、約2.2倍以上、約2.3倍以上、約2.4倍以上、約2.44倍以上、約2.5倍以上、約2.6倍以上、約2.7倍以上、約2.8倍以上、約2.9倍以上、約3.0倍以上、約3.1倍以上、約3.2倍以上、約3.3倍以上、約3.33倍以上、約3.4倍以上、約3.5倍以上、約3.52倍以上、約3.6倍以上、約3.67倍以上、約3.7倍以上、約3.8倍以上、約3.9倍以上、約4.0倍以上、約4.1倍以上、約4.2倍以上、約4.3倍以上または約4.38倍以上(上限値に特別な制限はなく、例えば、約10倍以下、約5倍以下、約3倍以下、または約2倍以下であってもよい)増加されたものであるが、これに制限されない。
【0069】
本出願において用語「非修飾微生物」とは、微生物に自然に生じ得る突然変異を含む菌株を除外することではなく、野生型菌株または天然型菌株自体であるか、天然または人為的要因による遺伝的変異で形質が変化する前の菌株を意味する。例えば、前記非修飾微生物は、本明細書に記載のYhhS変異体が導入されていないか、または導入される前の菌株を意味する。前記「非修飾微生物」は、「修飾前の菌株」、「修飾前の微生物」、「非変異菌株」、「非修飾菌株」、「非変異微生物」または「基準微生物」と互換可能に使用され得る。
【0070】
本出願のまた他の一例として、本出願の微生物は、O-ホスホセリンを生産できる微生物であってもよく、その種類は特に制限されない。本出願の微生物は、原核細胞または真核細胞がいずれも可能であるが、具体的には原核細胞であってもよい。前記原核細胞は、一例として、エシェリキア(Escherichia)属、エルウィニア(Erwinia)属、セラチア(Seratia)属、プロビデンシア(Providencia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属及びブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する微生物菌株を含むことができ、具体的にはエシェリキア属微生物、より具体的にはエシェリキア・コリ(Escherichia coli)であってもよいが、これに制限されない。特に、本出願のエシェリキア属微生物の場合、L-セリンの生合成経路の酵素であるSerA、SerC及びSerBを通じて、OPS及びL-セリンを生産することができる(Ahmed Zahoor,Computational and structural biotechnology journal,vol 3,2012 October;Wendisch V F et al.,Curr Opin Microbiol.2006 Jun;9(3):268-74;Peters-Wendisch P et al.,Appl Environ Microbiol.2005 Nov;7 1( l l):7 139-44.)。
【0071】
本出願のO-ホスホセリン生産微生物は、さらにホスホセリンホスファターゼ(phosphoserine phosphatase,SerB)の活性が内在的活性に比べて弱化されたものであってもよい。
【0072】
本出願のSerBは、O-ホスホセリンをL-セリン(L-serine)に変換させる活性を有するため、前記SerB活性が弱化されるように変異された微生物はO-ホスホセリンを蓄積する特徴を有し、O-ホスホセリンの生産に有用に用いられる。本出願のSerBは、配列番号10で記載されるアミノ酸配列を有するか、または含むタンパク質、または配列番号10で記載されるアミノ酸配列からなるか、または必須的に構成されるタンパク質であってもよいが、これに制限されるものではない。また、本出願のSerBは、SerBの活性を示す限り、配列番号10で記載されるアミノ酸配列と相同性または同一性が少なくとも70%、80%、90%、95%または99%以上であるアミノ酸配列を有するか、または含むことができる。併せて、本出願のSerBは、配列番号10で記載されるアミノ酸配列と相同性または同一性が少なくとも70%、80%、90%、95%または99%以上であるアミノ酸配列からなるか、または必須的に構成されるが、これに制限されない。また、前記SerBをコードするポリヌクレオチドは、前記配列番号10に記載されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するか、または含むことができる。さらに、前記SerBをコードするポリヌクレオチドは、配列番号10で記載されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるか、または必須的に構成されてもよい。本出願のSerBをコードするポリヌクレオチドは、コドンの縮退性により、または前記SerBタンパク質を発現させようとする生物で好まれるコドンを考慮し、SerBタンパク質のアミノ酸配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形がなされてもよい。本出願のSerBをコードするポリヌクレオチドは、配列番号11の塩基配列と相同性または同一性が少なくとも70%、80%、90%、95%または99%以上、そして100%未満である塩基配列を有するか、または含むことができる。また、本出願のSerBをコードするポリヌクレオチドは、配列番号11の塩基配列と相同性または同一性が少なくとも70%、80%、90%、95%または99%以上、そして100%未満である塩基配列からなるか、または必須的に構成されるが、これに制限されない。
【0073】
本出願における用語、ポリペプチドの「弱化」は、内在的活性に比べて活性が減少または活性がないことを全て含む概念である。前記弱化は、不活性化(inactivation)、欠乏(deficiency)、下方制御(down-regulation)、減少(decrease)、低下(reduce)、減衰(attenuation)などの用語と互換可能に使用され得る。
【0074】
前記弱化は、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの変異などにより、ポリペプチド自体の活性が本来微生物が有しているポリペプチドの活性に比べて減少または除去された場合、それをコードするポリヌクレオチドの遺伝子の発現阻害またはポリペプチドへの翻訳(translation)阻害などにより細胞内で全体的なポリペプチド活性度及び/又は濃度(発現量)が天然型菌株に比べて低い場合、前記ポリヌクレオチドの発現が全く行われない場合、及び/又はポリヌクレオチドの発現にもかかわらず、ポリペプチドの活性がない場合も含むことができる。前記「内在的活性」とは、天然または人為的要因による遺伝的変異により形質が変化した場合、形質変化前の親株、野生型または非変異微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性を意味する。これは、「変異前の活性」と互換可能に使用され得る。ポリペプチドの活性が内在的活性に比べて「不活性化、欠乏、減少、下方制御、低下、減衰」するということは、形質変化前の親株または非変異微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性に比べて低下したことを意味する。
【0075】
そのようなポリペプチドの活性の弱化は、当業界に知られている任意の方法により行うことができるが、これらに制限されるものではなく、当該分野においてよく知られている多様な方法の適用により達成されることができる(例えば、Nakashima N et al.,Bacterial cellular engineering by genome editing and gene silencing.Int J Mol Sci.2014;15(2):2773-2793,Sambrook et al.Molecular Cloning 2012など)。
【0076】
具体的には、本出願のポリペプチドの弱化は、
1)ポリペプチドをコードする遺伝子の全部または一部の欠損;
2)ポリペプチドをコードする遺伝子の発現が減少するように発現調節領域(または発現調節配列)の変形;
3)ポリペプチドの活性が除去または弱化されるように、前記ポリペプチドを構成するアミノ酸配列の変異(例えば、アミノ酸配列上の1以上のアミノ酸の除去/置換/付加);
4)ポリペプチドの活性が除去または弱化されるように、前記ポリペプチドをコードする遺伝子配列の変異(例えば、ポリペプチドの活性が除去または弱化されるように変形されたポリペプチドをコードするように、前記ポリペプチド遺伝子の核酸塩基配列上の1以上の核酸塩基の除去/置換/付加);
5)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列の変異;
6)ポリペプチドをコードする前記遺伝子の転写体に相補的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスRNA)の導入;
7)リボソーム(ribosome)の付着が不可能な二次構造物を形成させるためにポリペプチドをコードする遺伝子のシャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列の前にシャイン・ダルガノ配列と相補的な配列の付加;
8)ポリペプチドをコードする遺伝子配列のORF(open reading frame)の3’末端に反対方向に転写されるプロモーターの付加(Reverse transcription engineering,RTE);または
9)前記1)~8)から選択された2以上の組み合わせであってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0077】
例えば、
前記1)ポリペプチドをコードする前記遺伝子の一部または全部の欠損は、染色体内の内在的目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド全体の除去、一部のヌクレオチドが欠失したポリヌクレオチドへの交換またはマーカー遺伝子への交換であってもよい。
【0078】
前記2)発現調節領域(または発現調節配列)の変異は、欠失、挿入、非保存的若しくは保存的置換、またはそれらの組み合わせにより発現調節領域(または発現調節配列)上の変異が発生、又は更に弱い活性を有する配列への交換であってもよい。前記発現調節領域には、プロモーター、オペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、及び転写と解読の終結を調節する配列を含むが、これらに限定されるものではない。
【0079】
前記3)及び4)のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の変異は、ポリペプチドの活性を弱化するように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列または前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を欠失、挿入、非保存的若しくは保存的置換、またはそれらの組み合わせにより配列上の変異の発生、またはより弱い活性を有するように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列または活性がないように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列への交換であってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、ポリヌクレオチド配列内の変異を導入して終結コドンを形成させることにより、遺伝子の発現を阻害または弱化させることができるが、これに制限されない。
【0080】
前記5)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列変異は、例えば、内在的開始コドンに比べてポリペプチド発現率がより低い他の開始コドンをコードする塩基配列で置換するものであってもよいが、これらに制限されない。
【0081】
前記6)ポリペプチドをコードする前記遺伝子の転写体に相補的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスRNA)の導入は、例えば、文献[Weintraub,H.et al.,Antisense-RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews - Trends in Genetics,Vol.1(1) 1986]を参考にすることができる。
【0082】
前記7)リボソーム(ribosome)の付着が不可能な二次構造物を形成させるために、ポリペプチドをコードする遺伝子のシャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列の前にシャイン・ダルガノ配列と相補的な配列の付加はmRNA翻訳を不可能にするか、または速度を低下させるものであってもよい。
【0083】
また、前記8)ポリペプチドをコードする遺伝子配列のORF(open reading frame)の3’末端に反対方向に転写されるプロモーターの付加(Reverse transcription engineering,RTE)は、前記ポリペプチドをコードする遺伝子の転写体に相補的なアンチセンスヌクレオチドを作って活性を弱化するものであってもよい。
【0084】
本出願において用語、ポリペプチド活性の「強化」とは、ポリペプチドの活性が内在的活性に比べて増加することを意味する。前記強化は、活性化(activation)、上方制御(up-regulation)、過剰発現(overexpression)、増加(increase)などの用語と互換的に使用され得る。ここで、活性化、強化、上方制御、過剰発現、増加は、本来有していなかった活性を示すこと、または内在的活性または変形前の活性に比べて向上した活性を示すようになることを全て含むことができる。前記「内在的活性」とは、天然または人為的要因による遺伝的変異で形質が変化した場合、形質変化前の親株または非変異微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性を意味する。これは、「変異前の活性」と互換的に使用され得る。ポリペプチドの活性が、内在的活性に比べて「強化」、「上方制御」、「過剰発現」または「増加」するとは、形質変化前の親株または非変異微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性及び/又は濃度(発現量)に比べて向上したことを意味する。
【0085】
前記強化は、外来のポリペプチドを導入するか、または内在的なポリペプチドの活性強化及び/又は濃度(発現量)を通じて達成することができる。前記ポリペプチドの活性の強化有無は、当該ポリペプチドの活性度、発現量または当該ポリペプチドから排出される産物の量の増加から確認することができる。
【0086】
前記ポリペプチドの活性の強化は、当該分野においてよく知られた多様な方法の適用が可能であり、目的のポリペプチドの活性を変形前の微生物より強化させることができる限り、制限されない。具体的には、分子生物学の日常的な方法である当業界の通常の技術者によく知られた遺伝子工学及び/又はタンパク質工学を利用したものであってもよいが、これで制限されない(例えば、Sitnicka et al.Functional Analysis of Genes.Advances in Cell Biology.2010,Vol.2.1-16,Sambrook et al.Molecular Cloning 2012など)。
【0087】
具体的には、本出願のポリペプチドの強化は、
1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞内コピー数の増加;
2)ポリペプチドをコードする染色体上の遺伝子発現調節領域の変異(例えば、発現調節領域内の変異の発生、より強い活性を有する配列への交換、またはより強い活性を有する配列の挿入);
3)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列の変異;
4)ポリペプチド活性が強化されるように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列の変異;
5)ポリペプチド活性が強化されるように、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の変異(例えば、ポリペプチドの活性が強化されるように変形されたポリペプチドをコードするように前記ポリペプチド遺伝子のポリヌクレオチド配列の変異);
6)ポリペプチドの活性を示す外来ポリペプチドまたはそれをコードする外来ポリヌクレオチドの導入;
7)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコドン最適化;
8)ポリペプチドの三次構造を分析し、露出部位を選択して変形するか、または化学的に修飾;または
9)前記1)~8)から選択された2以上の組み合わせであってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0088】
より具体的には、
前記1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞内コピー数の増加は、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが作動可能に連結された、宿主とは無関係に複製して機能し得るベクターの宿主細胞内への導入により達成されるものであってもよい。または、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、宿主細胞内の染色体内に1コピーまたは2コピー以上の導入により達成されるものであってもよい。前記染色体内への導入は、宿主細胞内の染色体内に前記ポリヌクレオチドを挿入することができるベクターが宿主細胞内に導入されることにより行うことができるが、これらに制限されない。前記ベクターは、前述の通りである。
【0089】
前記2)ポリペプチドをコードする染色体上の遺伝子発現調節領域(または発現調節配列)の活性が強力な配列への交換は、例えば、前記発現調節領域の活性をさらに強化するように欠失、挿入、非保存的若しくは保存的置換またはそれらの組み合わせにより配列上の変異の発生、またはより強い活性を有する配列への交換であってもよい。前記発現調節領域は、特にこれに制限されないが、プロモーター、オペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写及び解読の終結を調節する配列などを含んでもよい。一例として、本来のプロモーターを強力なプロモーターと交換させることであってもよいが、これらに制限されない。
【0090】
公知となった強力なプロモーターの例としては、CJ1~CJ7プロモーター(米国登録特許US 7662943 B2)、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、ラムダファージPRプロモーター、PLプロモーター、tetプロモーター、gapAプロモーター、SPL7プロモーター、SPL13(sm3)プロモーター(米国登録特許US 10584338 B2)、O2プロモーター(米国登録特許US 10273491 B2)、tktプロモーター、yccAプロモーターなどがあるが、これらに制限されない。
【0091】
前記3)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列変形は、例えば、内在的開始コドンに比べてポリペプチド発現率がより高い他の開始コドンをコードする塩基配列で置換することであってもよいが、これらに制限されない。
【0092】
前記4)及び5)のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の変形は、ポリペプチドの活性を強化するように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列または前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を欠失、挿入、非保存的若しくは保存的置換、またはそれらの組み合わせにより配列上の変異の発生、またはより強い活性を有するように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列または活性が増加するように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列への交換であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記交換は、具体的には、相同組換えによりポリヌクレオチドを染色体内に挿入することにより行うことができるが、これらに制限されない。このときに使用されるベクターは、染色体の挿入有無を確認するための選別マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。前記選別マーカーは、前述の通りである。
【0093】
前記6)ポリペプチドの活性を示す外来ポリヌクレオチドの導入は、前記ポリペプチドと同一/類似の活性を示すポリペプチドをコードする外来ポリヌクレオチドの宿主細胞内の導入であってもよい。前記外来ポリヌクレオチドは、前記ポリペプチドと同一/類似の活性を示す限り、その由来や配列に制限はない。前記導入に用いられる方法は、公知の形質転換方法を当業者が適宜選択して行うことができ、宿主細胞内で前記導入されたポリヌクレオチドが発現されることによりポリペプチドが生成し、その活性が増加されてもよい。
【0094】
前記7)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコドン最適化は、内在ポリヌクレオチドが宿主細胞内で転写または翻訳が増加するようにコドン最適化したものであるか、または外来ポリヌクレオチドが宿主細胞内で最適化された転写、翻訳が行われるようにそのコドンを最適化したものであってもよい。
【0095】
前記8)ポリペプチドの三次構造を分析し、露出部位を選択して変異または化学的に修飾することは、例えば、分析しようとするポリペプチドの配列情報を公知のタンパク質の配列情報が格納されたデータベースと比較することにより、配列の類似性の程度にしたがって、鋳型タンパク質候補を決定し、それに基づいて構造を確認し、変形または化学的に修飾する露出部位を選択して変異または修飾することであってもよい。
【0096】
このようなポリペプチド活性の強化は、対応するポリペプチドの活性または濃度発現量が野生型や変異前の微生物菌株で発現されたポリペプチドの活性または濃度を基準にして増加するか、または当該ポリペプチドから生産される産物の量が増加することであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0097】
本出願の微生物においてポリヌクレオチドの一部または全部の変異は、(a)微生物内の染色体挿入用ベクターを用いた相同組換えまたは遺伝子はさみ(engineered nuclease,e.g.,CRISPR-Cas9)を用いたゲノム編集及び/又は(b)紫外線及び放射線などのような光及び/又は化学物質の処理により誘導されてもよいが、これらに制限されない。前記遺伝子の一部または全部の変異方法には、DNA組換え技術による方法を含むことができる。例えば、目的遺伝子と相同性のあるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列またはベクターを前記微生物に注入して相同組換え(homologous recombination)を起こさせるようにして遺伝子の一部または全部の欠損がなされてもよい。前記注入されるヌクレオチド配列またはベクターは、優性選別マーカーを含んでもよいが、これらに制限されるものではない。
【0098】
また、前記微生物は、さらにOPSの細胞中への流入及び分解能力を減少させた微生物であってもよい。
【0099】
前記のようなOPS生産微生物に関する内容は、前記内容以外にも米国登録公報US 8557549 B2または米国公開公報第2012-0190081号などに開示された内容が本出願の参考資料として用いられるが、これに制限されない。
【0100】
本出願の微生物において、「変異体」、「ポリヌクレオチド」及び「O-ホスホセリン」などは、前記他の様態で記載した通りである。
【0101】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む微生物を培地で培養する段階を含む、O-ホスホセリンの生産方法を提供することである。
【0102】
本出願のO-ホスホセリンの生産方法は、本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む微生物を培地で培養する段階を含むことができる。
【0103】
本出願において用語、「培養」とは、本出願の微生物を適切に調節された環境条件で生育させることを意味する。本出願の培養過程は、当業界に知られている適当な培地と培養条件に応じて行うことができる。このような培養過程は、選択される菌株に応じて当業者が容易に調整して使用することができる。具体的には、前記培養は、回分式、連続式及び流加式であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0104】
本出願において用語、「培地」とは、本出願の微生物を培養するために必要とする栄養物質を主成分として混合した物質を意味し、生存及び発育に不可欠な水をはじめとする栄養物質及び発育因子などを供給する。具体的には、本出願の微生物の培養に用いられる培地及びその他の培養条件は、通常の微生物の培養に使用される培地であれば、特別な制限なくいずれも使用できるが、本出願の微生物を適当な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸及び/又はビタミンなどを含有する通常の培地内で好気性条件下で温度、pHなどを調節しながら培養することができる。
【0105】
本出願において前記炭素源としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、フルクトース、スクロース、マルトースなどのような炭水化物;マンニトール、ソルビトールなどのような糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などのような有機酸;グルタミン酸、メチオニン、リシンなどのようなアミノ酸などが含まれ得る。また、澱粉加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米ぬか、キャッサバ、バガス及びトウモロコシ浸漬液のような天然の有機栄養源を用いることができ、具体的には、グルコース及び殺菌された前処理糖蜜(即ち、還元糖に転換された糖蜜)などのような炭水化物が用いられ、その他の適正量の炭素源を制限なく多様に用いることができる。これら炭素源は、単独で使用しても、2種以上を組合わせて使用してもよく、これらに限定されるものではない。
【0106】
前記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのような無機窒素源;グルタミン酸、メチオニン、グルタミンなどのようなアミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類エキス、酵母エキス、麦芽エキス、トウモロコシ浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類またはその分解生成物、脱脂大豆ケーキまたはその分解生成物などのような有機窒素源が用いられる。これら窒素源は、単独で使用しても、2種以上を組合わせて使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0107】
前記リン源としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、またはこれに対応するナトリウム含有塩などが含まれてもよい。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどが用いられ、それ以外にアミノ酸、ビタミン及び/又は適切な前駆体などが含まれてもよい。これら構成成分または前駆体は、培地に回分式または連続式で添加することができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0108】
前記培地は、硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含むことができ、それ以外にアミノ酸、ビタミン及び適切な前駆体などが含まれてもよい。これらの培地または前駆体は、培養物に回分式または連続式で添加されてもよいが、これらに制限されるものではない。
【0109】
一例として、SerB活性が内在的活性に比べて弱化された組換え微生物の培養は、前記微生物のセリン要求性が誘導され、培地にグリシンまたはセリンがさらに含まれてもよい。グリシンは、精製されたグリシン、グリシンを含むイースト抽出物、トリプトンの形態で提供されることができ、培養液に含まれる濃度は、通常、0.1~10g/L、具体的には0.5~3g/Lであってもよい。また、セリンは、精製されたセリン、セリンを含有するイースト抽出物、トリプトンなどの形態で提供されてもよく、培養液に含まれる濃度は、通常、0.1~5g/L、具体的には0.1~1g/Lであってもよい。
【0110】
また、本出願の微生物の培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などのような化合物を培地に適切な方式で添加し、培地のpHを調整することができる。また、培養中は、脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を用いて気泡生成を抑制することができる。また、培地の好気状態を維持するために、培地内に酸素または酸素含有気体を注入したり、嫌気及び微好気状態を維持するために、気体の注入なしに、あるいは窒素、水素または二酸化炭素ガスを注入することができ、これらに限定されるものではない。
【0111】
本出願の培養において、培養温度は20~45℃、具体的には、25~40℃を維持することができ、約10~160時間培養することができるが、これに限定されるものではない。
【0112】
本出願の培養により生産されたO-ホスホセリンは、培地中に分泌されるか、または細胞内に残留する。
【0113】
本出願のO-ホスホセリン生産方法は、本出願の微生物を準備する段階、前記微生物を培養するための培地を準備する段階、またはそれらの組み合わせ(順は無関係、in any order)を、例えば、前記培養段階の前に、さらに含むことができる。
【0114】
本出願のO-ホスホセリン生産方法は、前記培養による培地(培養が行われた培地)または微生物からO-ホスホセリンを回収する段階をさらに含むことができる。前記回収する段階は、前記培養段階の後に、さらに含むことができる。
【0115】
前記回収は、本出願の微生物の培養方法、例えば回分式、連続式または流加式培養方法などにより当該技術分野において公知となった適切な方法を用いて目的とするO-ホスホセリンを収集(collect)することであってもよい。例えば、遠心分離、濾過、結晶化タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、抽出、超音波破砕、限外濾過、透析法、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー、HPLCまたはそれらの方法を組み合わせて使用することができ、当該分野において公知となった適切な方法を用いて培地または微生物から目的とするO-ホスホセリンを回収することができる。
【0116】
また、本出願のO-ホスホセリン生産方法は、さらに精製段階を含んでもよい。前記精製は、当該技術分野において公知となった適切な方法を用いて行うことができる。一例において、本出願のO-ホスホセリン生産方法が回収段階と精製段階の両方を含む場合、前記回収段階と精製段階は、手順に関係なく連続的または非連続的に行われるか、または同時にまたは一つの段階に統合されて行うことができるが、これに制限されるものではない。
【0117】
本出願の方法で、「変異体」、「ポリヌクレオチド」、「ベクター」及び「微生物」などは、前記他の様態で記載した通りである。
【0118】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含むO-ホスホセリン生産微生物を培地で培養してO-ホスホセリンまたはそれを含む培地を生産する段階と;b)O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼ(O-phosphoserine sulfliydrylase,OPSS)またはそれを発現する微生物、前記a)段階で生産されたO-ホスホセリンまたはそれを含む培地及び硫化物を接触させる段階と;を含む、システインまたはその誘導体の生産方法を提供することである。
【0119】
具体的には、前記方法は、O-ホスホセリン排出活性を有しながら配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号12または配列番号34または配列番号36のアミノ酸配列を含むポリペプチド;それと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;配列番号1のアミノ酸配列においてi)129番目;ii)241番目;iii)129番目及び241番目;iv)241番目、246番目及び330番目;及びv)129番目、241番目、246番目、及び330番目の位置に対応するアミノ酸が変異されたものが固定されたままで、一部の配列が欠失、修飾、置換または付加されたアミノ酸配列を有する変異型ポリペプチド;本出願の変異体をコードするポリヌクレオチド;及び本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクター;から選択されるいずれか一つ以上を含むO-ホスホセリン生産微生物を培地で培養し、O-ホスホセリンまたはそれを含む培地を生産する段階;及びO-ホスホセリンスルフヒドリラーゼまたはそれを発現する微生物、前記段階で生産されたO-ホスホセリンまたはそれを含む培地を硫化物と反応させる段階を含む、システインまたはその誘導体の生産方法であってもよい。
【0120】
本出願において用語「誘導体」とは、ある化合物の一部を化学的に変化させて得られる類似の化合物であり、通常、化合物中の水素原子または特定の原子団が他の原子または原子団により置換された化合物を意味する。
【0121】
本出願において用語、「システイン誘導体」とは、システインの水素原子または特定の原子団が他の原子または原子団により置換された化合物を意味する。その例として、システインのアミン基(-NH)の窒素原子またはチオール基(-SH)の硫黄原子に他の原子または原子団が付着した形態であってもよく、その例としてNAC(N-acetylcysteine)、SCMC(S-Carboxymetylcysteine)、BOC-CYS(ME)-OH,(R)-S-(2-Amino-2-carboxyethyl)-L-homocysteine,(R)-2-Amino-3-sulfopropionic acid,D-2-Amino-4-(ethylthio)butyric acid、3-sulfino-L-alanine,Fmoc-Cys(Boc-methyl)-OH,Seleno-L-cystine,S-(2-Thiazolyl)-L-cysteine,S-(2-Thienyl)-L-cysteine,S-(4-Tolyl)-L-cysteineなどがあるが、これに制限されない。
【0122】
本出願の方法によりシステインを生産しさえすれば、システイン誘導体への変換は、当業界に広く知られた方法で容易に多様なシステイン誘導体への変換が可能である。
【0123】
具体的には、前記システイン誘導体の生産方法は、前記b)段階で生成されたシステインをシステイン誘導体に変換させる段階をさらに含むものであってもよく、その例としてシステインをアセチル化剤(acetylation agent)と反応させてNAC(N-acetylcysteine)を合成するか、またはシステインを塩基性条件でハロ酢酸(haloacetic acid)と反応させることによりSCMC(S-Carboxymetylcysteine)を合成してもよいが、これらに制限されない。
【0124】
前記システイン誘導体は、主に、製薬原料として鎮咳剤、咳緩和剤、気管支炎、気管支喘息と咽喉炎などの治療剤として使用され得るが、これらに制限されない。
【0125】
本出願において用語「O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼ(O-phosphoserine sulfhydrylase,OPSS)」とは、O-ホスホセリンにチオール基(thiol,group、SH基)を提供して前記O-ホスホセリンをシステインに転換する反応を触媒する酵素を意味する。前記酵素は、アエロピルム・ペルニクス(Aeropymm pernix)、マイコバクテリウム・トゥバキュロウシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium megmatics)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)(Mino K and Ishikawa K、FEBSletters、551:133-138,2003;Bums K E et al.J.Am.Chem.Soc、127:11602-11603,2005)で初めて明らかになったことである。また、前記O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼは、野生型O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼだけでなく、前記O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼをコードするポリヌクレオチド配列中の一部の配列が欠失、置換または付加された配列であり、野生型O-ホスホセリンスルフヒドリラーゼの生物学的活性と同等またはそれ以上の活性を示す変異体も含み、米国登録公報US 8557549 B2及び米国登録公報US 9127324 B2に開示されたO-ホスホセリンスルフヒドリラーゼ及びその変異体も全て含むことができる。
【0126】
前記硫化物は、当該技術分野において通常用いる固形だけでなく、pH、圧力、溶解度の差により液体または気体の形態で提供され、サルファイド(sulfide,S2-)、チオサルフェート(thiosulfate,S 2-)などの形態でチオール基(thiol group、SH基)に転換され得る硫化物であれば、制限なく用いることができる。具体的には、チオール基をO-ホスホセリンに提供するNaS、NaSH、HS、(NHS及びNaを使用することができるが、これらに制限されない。前記反応は、一つのO-ホスホセリン反応基に一つのチオール基を提供して一つのシステインまたはシステイン誘導体を製造する反応であり、前記反応時に硫化物の添加量は、O-ホスホセリンモル濃度の0.1~3倍であってもよく、具体的には1~2倍であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0127】
また、本出願においては、さらに前記反応段階を通じて生産されたシステインを回収する段階を含むことができる。そのとき、当該分野において公知となった適切な反応を用いて反応液から所望のシステインを分離及び精製して収集することができる。
【0128】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体、前記変異体をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、微生物またはそれらのうちの2以上の組み合わせを含むO-ホスホセリン生産用組成物を提供することである。
【0129】
本出願の組成物は、O-ホスホセリン生産用組成物に通常使用される任意の適切な賦形剤をさらに含むことができ、このような賦形剤は、例えば、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤または等張化剤などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0130】
本出願の組成物において、「変異体」、「ポリヌクレオチド」、「ベクター」、「微生物」、「培地」及び「O-ホスホセリン」などは、前記他の様態で記載した通りである。
【0131】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体、前記変異体をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクターまたは本出願の変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、微生物のO-ホスホセリン、システインまたはシステインの誘導体生産への使用を提供することである。
【0132】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体を用いてO-ホスホセリンを微生物から排出するための使用を提供することである。
【0133】
以下、本出願を実験例を通じてより詳細に説明する。しかしながら、下記実施例は、本出願を例示するための好ましい実施様態に過ぎず、したがって、本出願の権利範囲をこれらに限定されるものとは意図されない。一方、本明細書に記載されていない技術的な事項は、本出願の技術分野または類似技術分野において熟練した通常の技術者であれば、十分に理解して容易に行うことができる。
【0134】
実施例1:YhhS変異体の選別
OPS排出活性が増加したYhhS変異体を選定するためにyhhS遺伝子変異体プラスミドライブラリーを製作した。具体的な過程は、下記の通りである。
【0135】
エシェリキア・コリ(Escherichia coli,E.coli)K12 W3110のゲノムDNAを鋳型とし、下記表1に示した配列番号13及び14の塩基配列を有するプライマー対を用いて任意突然変異誘発PCRを行った。実行は、多様性PCRランダム突然変異キット(Takara)を用い、PCRは94℃で5分間変性後、94℃で30秒間変性、55℃で30秒間アニーリング、72℃で1分間の重合を20回繰り返した後、72℃で5分間重合反応を行った。
【0136】
このような過程で製作された突然変異遺伝子断片をrhtBプロモーターがあるpCL1920ベクターに入れるために、まず、pCL_PrhtBを製作した。
【0137】
rhtBプロモーター断片を確保するために、前記E.coli K12 W3110のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号15及び16を用いてPCRを行った。PCRは、94℃で5分間変性後、94℃で30秒間変性、55℃で30秒間アニーリング、72℃で1分間の重合を30回繰り返した後、72℃で5分間重合反応を行った。EcoRIとSalIで切断されたpCL1920ベクター(GeneBank No.AB236930)にrhtBプロモーター断片をインフュージョンクローニングキットを用いてクローニングし、pCL_PrhtBを確保した。確保したベクターpCL_PrhtBベクターをScaIで切断した後、前記PCRを通じて得られた突然変異遺伝子断片をインフュージョンクローニングキットを用いてクローニングした。クローニングは、50℃で60分間反応させて行われ、これを通じてpCL_PrhtB-yhhS遺伝子変異体プラスミドライブラリーを製作した。その後、CA07-0012(KCCM 11121P、大韓民国登録特許第10-1381048号及び米国公開特許第10-2012-0190081号)にエレクトロポレーションで形質転換させた。
【0138】
そのうち、変異体を含む菌株3種を選別し、これからプラスミドを得てシークエンシング技法を通じて塩基配列を分析した。塩基配列の分析結果、選別された変異体は、野生型YhhSのアミノ酸配列において129番目のアミノ酸残基のセリンがグリシンで置換された変異体、241番目のアミノ酸残基のイソロイシンがグルタミンで置換された変異体、241番目のアミノ酸残基のイソロイシンがスレオニンで置換され、246番目のアミノ酸残基のアスパラギン酸がバリンで置換され、330番目のアミノ酸残基のバリンがイソロイシンで置換された変異体であることを確認した。前記菌株3種は、それぞれCA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(S129G)、CA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(I241Q)及びCA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(I241T/D246V/V330I)と命名した。前記CA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(I241T/D246V/V330I)菌株は、Escherichia coli CA07-0352とも称され、ブダペスト条約下に韓国微生物センター(Korean Culture Center of Microorganisms,KCCM)に2020年05月14日付で寄託し、寄託番号KCCM 12720Pの付与を受けた。
【0139】
【表1】

【0140】
実施例2:追加YhhS変異体発現のためのベクターの製作
2-1.YhhS(S129A)変異体発現ベクター及び発現菌株の製作
yhhS(S129A)断片を確保するために、配列番号13及び18を用いてE.coli K12 W3110ゲノムDNAを鋳型としてPCRを通じてyhhS(S129A)上位断片を確保し、下記表2に示した配列番号19及び14を用いて同様にE.coli K12 W3110ゲノムDNAを鋳型としてPCRを通じてyhhS(S129A)下位断片を確保した。PCRは、94℃で5分間変性後、94℃で30秒間変性、55℃で30秒間アニーリング、72℃で1分間の重合を30回繰り返した後、72℃で5分間重合反応を行った。
【0141】
pCL_PrhtBベクターをScaIで切断した後、前記確保したyhhS(S129A)上位断片とyhhS(S129A)下位断片をインフュージョンクローニングキット(in-fusion cloning kit,Clontech Laboratories,Inc.)を用いてクローニングした。クローニングは、50℃で60分間反応させて行われ、これを通じてpCL_PrhtB-yhhS(S129A)を確保した。確保したプラスミドは、CA07-0012にエレクトロポレーションで形質転換して菌株CA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(S129A)を確保した。
【0142】
【表2】

【0143】
2-2.YhhS(I241Q)変異体発現ベクター、YhhS(I241T)変異体発現ベクター及び変異体発現菌株の製作
ライブラリーを通じて確保したyhhS 241番目のアミノ酸残基のイソロイシンがグルタミン外スレオニンで置換された時のOPS生産能を確認するために菌株を製作して評価を進めた。
【0144】
CA07-0012染色体上にyhhS 241番目のアミノ酸変異を挿入するために、プロモーターとしてはtrcを用い、挿入位置はmgsA遺伝子位置を用いた。
【0145】
具体的には、染色体上の挿入のために、pSKH130ベクター(米国公開特許第2020-0048619号、配列番号38)を用いた。前記ベクターは、PIタンパク質(pir遺伝子)に依存性を有するR6Kレプリコン(replicon)、SacB(Levansucrase)遺伝子及びカナマイシン(kanamycin)耐性遺伝子を含めており、前記ベクターを用いて1次交差でR6K及びカナマイシンを用いて所望の菌株を確保した後、スクロース(sucrose)がある培地から抗生剤を除去して菌株を製作した。
【0146】
CA07-0012菌株のmgsA遺伝子位置にyhhS 241番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸で置換された形態を導入するために、pSKH130△mgsAプラスミドを確保しようとした。pSKH130△mgsAは、mgsA ORF(open reading frame)を欠損するためのベクターでmgsAのORFの両方の外側である5’と3’の塩基配列を含んでいるプラスミドである。
【0147】
下記表3に示したプライマー対を用いてそれぞれ5’断片と3’断片を確保し、pSKH130ベクターをBamHIで切断した後、インフュージョンクローニングキットを用いてプラスミドを確保した。
【0148】
【表3】

【0149】
trcプロモーター断片を確保するために、下記表4に示した配列番号24及び25を用いてPCRを行った。2種の変異体yhhS ORFを確保するために、表5に示したプライマー対を用いて2種の変異体上位及び下位断片をそれぞれ確保し、確保された2種の上位及び下位断片は、trcプロモーター断片とpSKH130△mgsAをScaIで切断したベクターと共にインフュージョンクローニングキットを用いて2種のプラスミドを確保した。また、対照群として野生型yhhSがmgsA位置に導入された菌株を確保するために、pSKH130△mgsA::Ptrc-yhhSプラスミドを製作した。yhhS ORFを確保するために、配列番号26及び27を有するオリゴヌクレオチド対を用いてPCRを行い、trcプロモーター断片とpSKH130△mgsAをScaIで切断したベクターと共にインフュージョンクローニングキットを用いてプラスミドを確保した。
【0150】
【表4】

【0151】
【表5】

【0152】
確保されたプラスミドは、CA07-0012菌株にエレクトロポレーションで形質転換させた。組換え(交差)により染色体に変異が挿入された菌株をカナマイシンのあるLB固体培地から選択した後、染色体からプラスミド部位の切除が起こるようにスクロースがある培地で2次組換え(交換)を進めた。前記2次組換えが完了した菌株は、配列番号20及び27を用いてPCR及び塩基配列の分析を通じて染色体のmgsA位置にyhhS変異体が挿入された菌株2種(CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T)、CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS(I241Q))を確保し、対照群が導入された菌株(CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS)も同様の方法を通じて確保した。
【0153】
2-3.YhhS(S129G/I241Q)変異体発現ベクター及び発現菌株の製作
yhhS(I241Q)変異体を基盤に129番目のアミノ酸残基のセリンがグリシンで交換された菌株を製作した。その時、プロモーターはrhtBプロモーターを用いた。
【0154】
具体的には、下記表6に示した配列番号32及び33(プラスミド全体でPCR_129G時点)を用いてpCL_PrhtB-yhhS(I241Q)を鋳型としてPCRを行った。確保したPCR断片は、インフュージョンクローニングキットを用いてクローニングした。
【0155】
確保したプラスミドはCA07-0012にエレクトロポレーションで形質転換して菌株CA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(S129G/I241Q)を確保した。
【0156】
【表6】

【0157】
2-4.YhhS(S129G/I241T/D246V/V330I)変異体発現ベクター及び発現菌株の製作
プロモーターはtrcを用い、mgsA遺伝子を欠損してS129G/I241T/D246V/V330I変異挿入を進めた。
【0158】
具体的には、CA07-0012菌株のmgsA遺伝子位置にI241T、D246V及びV330I変異を導入するために、前記実施例2-2で製作したpSKH130△mgsAプラスミドを用いた。
【0159】
pSKH130△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T/D246V/V330I)を製作するために、前記実施例2-2で確保したtrcプロモーター断片を同様に用いた。yhhS(I241T/D246V/V330I) ORF断片を確保するために、前記pCL_Ptrc-yhhS(I241T/D246V/V330I)プラスミドを鋳型として配列番号26及び27を用いてPCRを進めて断片を確保した。trcプロモーター断片とyhhS453断片は、pSKH130△mgsAをScaIで切断したベクターと共にインフュージョンクローニングキットを用いてプラスミドpSKH130△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T/D246V/V330I)を確保した。
【0160】
その後、配列番号32及び33(プラスミド全体でPCR_129G時点)を用いて前記pSKH130△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T/D246V/V330I)を鋳型としてPCRを行った。PCRは、94℃で5分間変性後、94℃で30秒間変性、55℃で30秒間アニーリング、72℃で7分間重合を30回繰り返した後、72℃で5分間重合反応を行った。確保した断片は、インフュージョンクローニングキットを用いてプラスミドpSKH130△mgsA::Ptrc-yhhS(129G/I241T/D246V/V330I)を確保した。
【0161】
確保されたプラスミドは、CA07-0012菌株にエレクトロポレーションで形質転換させた。形質転換された菌株は、組換え(交差)によりカナマイシンのあるLB固体培地で染色体に導入された菌株が選択された後、スクロースのある培地で2次組換え(交換)を通じて染色体からプラスミド部位の切除が起きた。
【0162】
前記2次組換えが完了した菌株は、配列番号20及び27を用いてPCR及び塩基配列の分析を通じて染色体のmgsA位置にyhhS(I241T/D246V/V330I)及びyhhS(129G/I241T/D246V/V330I)が挿入された菌株2種(CA07-0012/pSKH130△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T/D246V/V330I)、CA07-0012/pSKH130△mgsA::Ptrc-yhhS(129G/I241T/D246V/V330I))を確保した。
【0163】
実施例3:YhhS変異体導入菌株のOPS生産能の評価
YhhS変異体が導入された菌株のホスホセリン(O-phosphoserine)生産能を評価するために、下記培地(表7)を用いて評価した。
【0164】
具体的には、培養は、それぞれの菌株をLB固体培地に塗抹した後、33℃の培養器で一晩中培養した。LB固体培地で一晩中培養した菌株を下記表7の25mLの力価培地に接種した後、それを33℃で200rpmで培養器で48時間培養し、その結果を表8~表11に示した。
【0165】
【表7】

【0166】
3-1:YhhSの129番目のアミノ酸の置換変異体導入菌株のOPS生産能の評価
YhhS(S129G)変異体を導入した菌株であるCA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(S129G)の場合、増加率が約252%、YhhS(S129A)変異体を導入した菌株であるCA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(S129A)の場合、増加率が約29%であることを確認した(表8)。
【0167】
【表8】

【0168】
3-2:yhhSの241番目のアミノ酸残基の置換変異体導入菌株のOPS生産能の評価
野生型yhhSが導入された菌株CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhSに比べてOPS排出能増加率を確認した結果、YhhS(I241Q)変異体を導入した菌株CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS(I241Q)の場合、増加率が約425%、YhhS(I241T)変異体を導入した菌株CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T)の場合、増加率が約233%、YhhS(I241T/D246V/V330I)変異体を導入した菌株CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T/D246V/V330I)の場合、増加率が約267%であることを確認した(表9)。
【0169】
【表9】

【0170】
3-3:YhhSの129番目のアミノ酸残の基置換及びyhhS 241番目のアミノ酸残基の置換変異体導入菌株のOPS生産能の評価
野生型yhhSが導入された菌株CA07-0012/pCL_PrhtB-yhhSに比べてOPS排出能増加率を確認した結果、YhhS(I241Q)変異体を導入した菌株CA07-0012/pCL_PrhtB-yhhS(S129G/I241Q)の場合、増加率が約338%であることを確認した(表10)。
【0171】
【表10】

【0172】
併せて、CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS(I241T/D246V/V330I)に比べてOPS排出能増加率を確認した結果、YhhS(129G/I241T/D246V/V330I)変異体を導入した菌株CA07-0012△mgsA::Ptrc-yhhS(129G/I241T/D246V/V330I)の場合、増加率が約144%であることを確認した(表11)。
【0173】
【表11】

【0174】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことをで理解すべきである。本出願の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更及び変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【0175】
【配列表】
2024537520000001.app
【国際調査報告】