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特表2024-537529評価用電子装置と4mA~20mAインタフェイスを備えた圧力測定セル
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  • 特表-評価用電子装置と4mA~20mAインタフェイスを備えた圧力測定セル 図1
  • 特表-評価用電子装置と4mA~20mAインタフェイスを備えた圧力測定セル 図2
  • 特表-評価用電子装置と4mA~20mAインタフェイスを備えた圧力測定セル 図3
  • 特表-評価用電子装置と4mA~20mAインタフェイスを備えた圧力測定セル 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】評価用電子装置と4mA~20mAインタフェイスを備えた圧力測定セル
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01L9/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526793
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022078839
(87)【国際公開番号】W WO2023072660
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021128370.1
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524164613
【氏名又は名称】ベガ グリースハーバー ケージー
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】メレート,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウェラー,バーンハード
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバー,ヨハン
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB01
2F055CC02
2F055DD20
2F055EE11
2F055FF34
2F055GG31
(57)【要約】
本発明は、圧力測定セルに関し、前記圧力測定セルに統合された圧力センサと評価用電子装置とを有し、前記圧力測定セルには、エネルギ供給専用に4mA~20mAのインタフェイスが設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力測定セル(1)に統合された圧力センサ(7)と評価用電子装置(62)とを有する、圧力測定セル(1)において、
前記圧力測定セルには、エネルギ供給専用に4mA~20mAのインタフェイスが設けられている、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項2】
先行する請求項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記評価用電子装置(62)はASICである、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項3】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記評価用電子装置(62)が、好ましくはダイアフラム封止媒体(13)の温度を検出する温度センサを備えている、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項4】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記評価用電子装置(62)は、当該評価用電子装置(62)が前記圧力測定セル(1)を較正できるように設定されている、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項5】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記評価用電子装置(62)はSIL2認証されている、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項6】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記評価用電子装置(62)は、少なくとも19ビットの精度で少なくとも1Hzの測定周波数を有し、好ましくは前記評価用電子装置(62)は、少なくとも12ビットの精度で少なくとも1000Hzの測定周波数を有する、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項7】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記圧力測定セル(1)には、前記評価用電子装置(62)が配置されるディスプレーサ(61)が配置されている、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項8】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記圧力測定セル(1)は、容量性または抵抗性の測定原理に従って動作するように設定されている、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項9】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記圧力測定セル(1)の動作温度が150℃までに設定されており、好ましくは前記圧力測定セル(1)の動作温度が200℃までに設定されている、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項10】
先行する請求項のいずれか一項に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記圧力測定セル(1)は絶対圧力を計測する圧力測定セル(1)である、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項11】
請求項1~9に記載の前記圧力測定セル(1)において、
前記圧力測定セル(1)は相対圧力を計測する圧力測定セル(1)である、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)。
【請求項12】
膜(5)と、圧力センサ(7)とを有し、前記膜(5)に作用する圧力を前記圧力センサ(7)に伝達するダイアフラム封止媒体(13)が充填された圧力測定セル(1)であって、前記圧力測定セル(1)には評価用電子装置(62)が統合されている、前記圧力測定セル(1)の製造方法において、
前記圧力測定セル(1)は、4mA~20mAインタフェイスによってエネルギ供給される、ことを特徴とする
圧力測定セル(1)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価用電子装置とエネルギ供給用4mA~20mAインタフェイスとが統合された圧力測定セルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、膜の変形およびこの変形がもたらす静電容量の変化による圧力の変化を検出する圧力測定セルは先行技術で知られている。この種の圧力測定セルは静電容量圧力測定セルと呼ばれる。さらに、例えば、歪ゲージによって膜の変形を検出し、歪ゲージの抵抗の変化によって圧力を判定する抵抗またはピエゾ抵抗圧力測定セルがあり、圧電効果を用いて圧力を判定する圧電圧力測定セルもある。
【0003】
圧力測定セルは、処理に使用される材料、すなわち処理環境および処理媒体と接触する材料によって区別され、一般に金属製とセラミック製で異なり、一方は金属膜を有し、他方はセラミック膜を有する。製造および測定の技術的な理由から、圧力測定セルの基体は膜と同じ材料から製造されることが多い。製造および測定の技術的な理由から、同一の、または類似する材料間の接続は、異なる材料間の接続よりも製造し易いことが多い。測定の技術的な理由から、熱膨張係数が類似する材料、または理想的には同一の材料を使用するのが有益である。
【0004】
絶対圧力または相対圧力が計測可能かどうかは、膜の後ろ側に第2の圧力、例えば、外部圧力が供給されるかどうか、または膜の後側が空いているか否かに依存する。
【0005】
圧力測定セルのセンサからのセンサ信号に対する評価用電子装置は、大部分が圧力測定セルの筺体外部に配置されており、外部へ通ずる貫通メッキ孔によって接触する。つまり、センサから評価用電子装置までの信号経路が比較的長く、信号対ノイズ比が最適ではない。信号対ノイズ比が大きすぎるとセンサ信号が歪み、精度が落ちる。
【0006】
したがって、本発明は、測定の設定が最適化され、先行技術と比較して評価部での入力信号品質を向上する圧力測定セルを提供するという目的に基づくものである。
【0007】
本発明によれば、上記目的は、独立特許請求項の特徴を有する主題および方法によって達成される。さらなる利点および実用的な実施形態は、従属請求項に関連して記載される。
【0008】
なお、特許請求項において個々に詳述される特徴は、任意の技術的に合理的に(また例えば、方法と装置などのカテゴリを超えて)、あらゆる組み合わせが可能であり、本発明のさらなる実施の形態を示すことに留意されたい。本明細書は、特に図に関連して本発明の特徴をさらに示し明記するものである。
【0009】
また、本明細書で使用される接続詞「および/または」は、2つの特徴の間に配置され、それらを連結するものであるが、本発明の主題の第1の実施の形態では、第1の特徴のみが存在し得、第2の実施の形態では、第2の特徴のみが存在し得、第3の実施の形態では、第1の特徴および第2の特徴の両方が存在し得るように常に解釈されることに留意されたい。
【0010】
本発明による圧力測定セルは、前記圧力測定セルに統合された圧力センサと評価用電子装置とを有し、前記圧力測定セルには、エネルギ供給専用に4mA~20mAのインタフェイスが設けられている。
【0011】
前記圧力測定セルに統合された評価用電子装置とは、前記評価用電子装置が、前記圧力測定セルの一部であり、例えば、前記圧力測定セルの筺体内に配置され得ることを意味すると理解されたい。前記評価用電子装置を、前記筺体の内部に配置され、その中に前記圧力センサも配置されることも考えられる。しかしながら、前記評価用電子装置は、信号経路も同様に短く維持することができるため、前記筺体の外側に配置されていてもよい。さらに別の選択肢として、例えば、基体と閉鎖要素との間、または2つの別体の閉鎖要素の間など、前記評価用電子装置を前記圧力測定セルの2つの筺体部分の間に配置することが挙げられる。統合された評価用電子装置は、前記評価用電子装置が前記圧力測定セルに属し、例えば、センサから離隔した異なる筺体内には収容されないことを特徴とする。前記評価用電子装置が前記圧力測定セルに統合されているため、信号処理は、従来の外部電子回路ではなく、前記圧力測定セル内で行われる。
【0012】
前記評価用電子装置は、圧力測定セルまたはその筺体に対して接着接合によって接合されることが好ましい。しかしながら、例えばガラスはんだ、はんだ、溶接、フォームフィット接合など、他の接合方法も可能である。
【0013】
前記評価用電子装置は、前記圧力測定セルの筺体内または筐体上に配置することで、如何なる場合においても前記センサ付近に配置されるため、センサチップと前記評価用電子装置との間の信号経路を非常に短くすることができる。前記信号経路は、例えば、ボンドワイヤで構成されており、これにより信号対ノイズ比が改善され、結果として信号品質が改善する可能性がある。前記信号経路が短いため、高速でより直接な反応速度も達成できる。外部との接触は、例えば、前記圧力測定セルの前記筺体から延在する貫通メッキ孔によって行うことができる。前記評価用電子装置が直接測定チャンバ内に配置されている場合、前記評価用電子装置も同様にボンドワイヤを介して前記圧力センサに接続される。
【0014】
統合された評価用電子装置のさらなる利点として、前記圧力測定セルが、例えば抵抗式や静電容量式などの測定原理に関わらず、測定値と同じ信号を出力する。これは、前記評価用電子装置が既に前記圧力センサの出力信号を処理し、圧力に対する測定値を出力できるからである。
【0015】
前記圧力測定セルのエネルギ供給は、二線ケーブルを介した4mA~20mAの電流信号によって行われ、前記二線ケーブル以外に追加の供給線を必要としない。配線や設置にかかる費用や、例えば防爆エリアなどで使用する場合の安全対策をできるだけ小さくするため、電源ケーブルを追加で用意することも好ましくない。
【0016】
前記圧力測定セルの測定値の信号を例えば上位ユニットへ伝送する場合、既知の4mA~20mA規格に従って行われ、この場合、4mA~20mAの電流ループまたは二線ケーブルが前記圧力測定セルと前記上位ユニットとの間に形成される。信号のアナログ伝送に加えて、上述のように接続されたユニットは、他の種々のプロトコル、特にデジタルプロトコルに従って、前記上位ユニットに対してさらなる情報を送信し、前記上位ユニットからさらなる情報を受診する。例としては、HARTプロトコルやProfibusPAプロトコルが挙げられる。
【0017】
本発明の有利な構成および変形例は、従属請求項および以下の記載から得られる。従属請求項において個々に詳述される特徴は、任意の技術的に合理的に、あらゆる組み合わせが可能であり、以下に詳述する特徴とも組み合わせることができ、本発明のさらなる設計の有益な変形例を示す。
【0018】
前記圧力測定セルの一実施の形態では、前記圧力測定セルは、前記評価用電子装置がASICであることを特徴とする。ASICとは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit)を指している。これは、スタンドアローンのモジュールとして構成され、ディスプレーサに適用または統合されてもよい。ASICは省エネのプロセッサであり、低消費電力であるため、4mA~20mAのエネルギ供給で前記圧力測定セルを作動させることができる。この目的で、漏れ電流が防止され、例えばコントローラやメモリなどの回路コンポーネントは可能な限り高い頻度で待機状態となる。
【0019】
前記ASICの動作電圧は、好ましくは2.1V、さらに好ましくは1.6V、さらに好ましくは1.2Vに制限される前記ASICの動作電圧を制限することは、エネルギが節約され、電気的損失が最小限に抑えられることになる。これらの仕様を実現するため、前記ASICの製造には90nmの特殊な半導体製造プロセスが採用され、これにより低電圧での回路動作が可能となる。
【0020】
前記評価用電子装置は、前記圧力センサを前記圧力測定セルの電気端子から電気的に絶縁するように設定される。前記圧力測定セルの前記電気端子とは、前記圧力測定セルの外側に繋がる電気端子である。
【0021】
前記圧力測定セルの別の実施の形態では、前記圧力測定セルの評価用電子装置が、前記圧力測定セルの温度を検出する温度センサを備えていることを特徴とする。
【0022】
前記評価用電子装置を前記圧力測定セル内に配置することの利点として、前記圧力測定セルとの熱結合が挙げられる。このため、温度の変動を前記圧力センサで検出することができ、この変動が材料の膨張を引き起こし、センサ内部の圧力の変化につながる。したがって、前記評価用電子装置は、温度の測定値によって温度補償を行い、補正された測定値を出力することができる。さらに、測定された温度によって処理パラメータに関する結論を導き出すことができるため、プロセス自体を最適化することもできる。
【0023】
同様に、前記圧力測定セルの前記評価用電子装置は、当該評価用電子装置が前記圧力測定セルを較正できるように設定することも考えられる。統合された前記評価用電子装置によって、圧力測定セルまたはその圧力センサは、所定の圧力と温度を加えることによって点検および場合によっては再較正することができ、較正用の装置をさらに必要とすることがない。
【0024】
前記圧力測定セルの別の実施の形態では、前記評価用電子装置がSIL2認証を受けていることを特徴とする。
【0025】
安全規格EN61508によるSIL規格(安全度水準規格)は、4つの明確に区別された水準を定義しており、E/E/PE安全関連システムに割り当てられる安全機能の安全度に関する要件を規定する。安全度水準4は、最も高い安全度を表しており、安全度水準1は最も低い安全度を表す。
【0026】
前記圧力測定セルの別の実施の形態では、前記評価用電子装置が少なくとも19ビットの精度で少なくとも1Hzの測定周波数を有することを特徴とする。測定周波数が1Hzと低く、測定範囲の分解能が低いため、測定中のエネルギを節約できる。
【0027】
前記評価用電子装置は、少なくとも12ビットの精度で少なくとも1kHzの測定周波数を有することが好ましい。測定周波数が高く、精度が高ければ高いほど、圧力測定セルに必要となるエネルギが多くなる。したがって、4mA~20mAのエネルギ供給について、前記評価用電子装置は、エネルギ供給に不必要な制約を課すことなく、12ビットの精度で、1kHzの測定周波数領域での計測を可能にするため、省エネルギ様式で設計されている。
【0028】
金属製圧力測定セルを使用する場合、基体と前記基体上に配置された金属膜であって、前記膜と前記基体との間に膜チャンバが形成された前記基体と前記金属膜と、前記基体のセンサチャンバに配置された圧力センサとを備え、前記膜チャンバと前記センサチャンバとの間には接続ダクトが形成され、前記チャンバには、前記膜に作用する圧力を伝達するためのダイアフラム封止媒体が充填されている。ダイアフラム封止媒体の容量は、可能な限り低く抑えるべきであることから、この種の圧力測定セルでは、ディスプレーサがセンサチャンバに設置されている。この種の前記圧力測定セルの一実施の形態では、前記圧力測定セルは、前記評価用電子装置が前記ディスプレーサに配置されている。
【0029】
前記評価用電子装置は、前記ディスプレーサに配置されている。前記評価用電子装置と前記ディスプレーサとの接合は、接着接合で構成されていることが好ましい。この場合、接着接合は、前記ディスプレーサと前記評価用電子装置とがほとんど異なる熱膨張係数に適合していることが好ましい。接着剤層がこの場合に発生する長さの差を補償し、発生する剪断力に耐え、確実に強固な固定を可能にすることが最も好ましい。あるいは、前記評価用電子装置が、導電性トラックの形でディスプレーサに直接適用されてもよい。このように機能化されたディスプレーサを有する圧力測定セルは、設置スペースが特に小さい。
【0030】
したがって、前記評価用電子装置は前記センサチップ近傍の前記ディスプレーサに取り付けることができる。そのため、前記評価用電子装置はセンサに近接して配置され、センサチップと前記評価用電子装置との間の信号経路が非常に短くなる。前記信号経路は例えばボンドワイヤを使って構成されるため、信号対ノイズ比が改善されることにより信号品質も改善される。前記信号経路が短くなるため、反応速度も速くなる。外部との接触は、例えば、前記ディスプレーサと前記閉鎖要素とを貫通し、前記ディスプレーサの上側にあるボンドワイヤによって前記評価用電子装置と電気的に接続される接点によって行うことができる。
【0031】
前記圧力測定セルは、容量性または抵抗性の測定原理に従って動作するように設定することができる。
【0032】
容量型圧力測定セルは、2つの電極を有し、これら電極が共に電気コンデンサを形成する。この場合、一方の前記電極は前記膜上に配置される。前記膜に作用する圧力の変化により、前記電極間の距離が変化し、前記コンデンサの静電容量が変化する。前記コンデンサの静電容量は前記評価用電子装置によって検出され、当該静電容量から圧力を導出することができる。
【0033】
抵抗式圧力測定セルでは、例えば前記膜上に歪ゲージが使用され、前記膜に作用する圧力が前記膜を変形させると抵抗値が変化する。圧電抵抗型圧力センサを使用することもでき、同様に圧力の影響による変形によって抵抗が変化する。
【0034】
前記圧力測定セルにおける前記評価用電子装置の配置によって、用途によっては、処理の温度にさらされる。したがって、一実施形態では、前記圧力測定セルの動作温度は150℃までに設定されている。
【0035】
一実施形態では、前記圧力測定セルの動作温度は200℃までに設定されていることが好ましい。
【0036】
電子回路は、高温に対して敏感であることが多い。したがって、例えば、前記評価用電子装置に直接作用する温度が補償されて、修正された修正測定値が出力されるので、前記評価用電子装置を有する前記圧力測定セルは、例えば、150℃または200℃の動作温度であっても、正常に動作するように構築される。
【0037】
別の実施の形態では、前記圧力測定セルは絶対圧力を計測する圧力測定セルである。つまり、圧力測定は真空を基準レベルとして行われる。
【0038】
あるいは、前記圧力測定セルは、相対圧力を計測するように設計されてもよい。この場合、前記圧力センサの前記膜の処理に面する側のみならず、前記膜の下側にも圧力を加えることができる。例えば、前記膜の前記下側は周囲圧力にさらされるため、当該周囲圧力との相対的な圧力を測定することができる。この場合、前記圧力測定セルは、圧力補償用の貫通開口部を有する閉鎖要素を有してもよく、前記膜の裏側に一定の圧力を加えることができる。
【0039】
本発明による、圧力測定セルに統合された評価用電子装置を有する前記圧力測定セルの製造方法は、4mA~20mAのインタフェイスによって、前記圧力測定セルにエネルギが供給されることを特徴とする。
【0040】
さらなる実用的な実施の形態は、図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、ディスプレーサ上に統合された評価用電子装置と、4mA~20mA規格に従った二線式エネルギ供給有する金属製圧力測定セルを示す図である。
図2図2は、圧力測定セルの閉鎖要素内に統合された評価用電子装置を有する金属製圧力測定セルを示す図である。
図3図3は、圧力測定セルの外側に統合された評価用電子装置を有する金属製圧力測定セルを示す図である。
図4図4は、圧力測定セルの基体の凹部に統合された評価用電子装置を有する金属製圧力測定セルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図において、異なる指定がない限り、同一の構成要素または、同一の機能を有し互いに対応する構成要素には同一の参照符号が付される。
【0043】
図1は、統合された評価用電子装置62と二線式エネルギ供給とを有する、本願による圧力測定セル1の例示的な実施の形態を示す断面図である。図示される、圧力測定セル1は、相対圧力を計測する金属製圧力測定セル1であり、本設計では圧力補償用開口部72を有する。
【0044】
圧力測定セル1は、基本的に単一の基体3と、基体3の軸方向A前側に配置された金属膜5と、基体3内に形成されたセンサチャンバ71内に配置された圧力センサ7とを有する。
【0045】
センサチャンバ71は、基体3と膜5との間に配置された膜チャンバ51と、連通チャネル9を介して流体結合している。
【0046】
センサチャンバ71は、閉鎖要素80によって、後側方向が閉鎖されている。閉鎖要素80は、4mA~20mAエネルギ供給用の貫通メッキ孔79を有している。評価用電子装置62は、貫通メッキ孔79を介して外部と接触する。
【0047】
圧力センサ7は、センサチャンバ71内に配置されている。圧力センサ7は、センサ担持体75によって、閉鎖要素80に配置された、感圧素子としてのセンサチップ73を有する。センサチップ73は、ボンドワイヤとして構成される電気接続63によって評価用電子装置62に接続される。
【0048】
センサチップ73の膜の後側部分には、閉鎖要素80を貫通してセンサチップ73の後側に繋がる圧力補償用ライン72を介して周囲圧力または基準圧力が加えられる。基準圧力は、絶対圧力測定が可能となるように、真空とすることができる。
【0049】
図1に示される例示的な実施の形態では、閉鎖要素80は、パイプ部が配置された充填用開口部11をさらに有しておりこの充填用開口部によって、例えば合成油などのダイアフラム封止媒体13を、センサチャンバ71と、連通チャネル9と、膜チャンバ51とに充填することができる。図1では、明瞭化のため、まだダイアフラム封止媒体13が供給されていない。
【0050】
例示的な本実施の形態の膜5は、周囲接合部57(この場合溶接部)によって基体3に接合されている。係る断面図の膜5は、膜5に面する基体3の壁の表面輪郭に対応するように設計された波状の表面輪郭を有する。この波状の表面輪郭55によって、膜5は軸方向Aに柔軟である一方、半径方向Rには最大の剛性が有することとなる。
【0051】
膜5の表面輪郭55は、圧力測定セル1の製造中に基体3から膜5に転写される。したがって、膜5は、基体3に固定された後、前方から過圧が加えられ、基体3によって形成される膜床に成形される。
【0052】
ディスプレーサ61はセンサチャンバ71内部に配置され、ダイアフラム封止媒体13で満たされるはずのセンサチャンバ71の実質的な部分を占める。このようにして、ダイアフラム封止媒体13が充填される主に平坦な領域の容量は小さくなる。例示的な本実施の形態では、ディスプレーサ61は略回転対称であるが、例えば、充填用開口部11を介してセンサチャンバ71に充填を行うための凹部によって、回転対称からずれていてもよい。
【0053】
評価用電子装置62は、ディスプレーサ61に配置されている。評価用電子装置は接着接合によって表面に取り付けることができる。評価用電子装置62は、センサチップ73の直接近傍に配置され、ボンドワイヤ63によって接続されている。ボンドワイヤ63は、例えば貫通メッキ孔79のように外部に繋がる接続と比較して非常に短いため、信号対ノイズ比が低くなり、センサチップの信号品質にとって特に有利である。さらに、評価用電子装置62は、ダイアフラム封止媒体13の実際の温度を検出する温度チップで構成されているため、出力される圧力測定信号の温度補正を可能にする。
【0054】
圧力測定セル1または評価用電子装置62へのエネルギ供給は、二線ケーブル81を介した4mA~20mAの電流信号によって行われ、これら二線ケーブル81以外に追加の供給線を必要としない。これら二線ケーブル81によって、同時に測定値の信号が圧力測定セル1から上位ユニットに伝送される。圧力測定セル1と上位ユニットは二線ケーブル81で接続される。
【0055】
図2は、図1と類似するが、評価用電子装置62が、圧力測定セル1の閉鎖要素内80に統合されている金属製圧力測定セル1を示す図である。この目的で、閉鎖要素80は、2つの部分で設計され、評価用電子装置62を収容するためのキャビティを形成する。
【0056】
評価用電子装置62は、貫通メッキ孔79によって電気的に接続されている。センサチップ73との接触は、ディスプレーサ61上側の貫通メッキ孔79に接続されたボンドワイヤ63によって行われる。評価用電子装置62は、二線式エネルギ供給によって外部と接触する。評価用電子装置62は、図1と同様に二線ケーブル81を介して接続されている。
【0057】
図3は、図1と類似するが、評価用電子装置62が、圧力測定セル1の外側に統合されている金属製圧力測定セル1を示す図である。評価用電子装置62は、外部から閉鎖要素80上に載置され、そこのセンサチップ73と貫通メッキ孔79およびボンドワイヤ63によって電気的に接続される。評価用電子装置62自体には、二線ケーブル81によってエネルギが供給される。
【0058】
図4は、図1と類似するが、評価用電子装置62が、圧力測定セル1の基体3の凹部内に統合されている金属製圧力測定セル1を示す図である。凹部は、圧力センサ1の基体3にあり、この中に評価用電子装置62が接着接合によって固定されている。
【0059】
二線式エネルギ供給は、貫通メッキ孔79または二線ケーブル81によって評価用電子装置62に接続される。そして、評価用電子装置62は、ボンドワイヤ63によってセンサチップ73に接続される。
【符号の説明】
【0060】
1 圧力測定セル
3 基体
5 膜
7 圧力センサ
9 連通チャネル
11 充填用開口部
13 ダイアフラム封止媒体
51 膜チャンバ
55 表面輪郭
57 接合部
61 ディスプレーサ
62 評価用電子装置
63 ボンドワイヤ
71 センサチャンバ
72 圧力補償
73 センサチップ
75 センサ担持体
79 貫通メッキ孔
80 閉鎖要素
81 二線ケーブル

A 軸方向
R 半径方向
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】