(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】検査システムと故障解析の方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20241003BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G01N21/956 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541127
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022076258
(87)【国際公開番号】W WO2023046770
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021124505.2
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524108606
【氏名又は名称】ビコン ハイテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ローマン ビーザー
【テーマコード(参考)】
2F065
2G051
【Fターム(参考)】
2F065AA24
2F065CC01
2F065CC19
2F065FF01
2F065FF09
2F065GG07
2F065GG23
2F065GG24
2F065HH12
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065LL42
2F065LL46
2F065LL59
2F065LL67
2G051AA65
2G051AB14
2G051AC21
2G051BA08
2G051BA20
2G051BB15
2G051CA04
2G051CC15
(57)【要約】
本発明は、製品の故障解析のための検査システム(26)に関し、検査システムは投影装置(32)と光学的検出装置(28)と処理装置とを含み、投影装置は、白色光をそのスペクトル成分に分割でき、且つこのようにして単色光線から形成された多色光線(37)を製品に投影できる少なくとも1つの分光計装置を有し、エリアスキャンカメラ(27)と光学系(28)とを備えた検出ユニット(29)によって、製品の製品表面(38)に対して横断方向に延びる検出ユニットの検出面(46)において製品で反射された光線(37)をエリアスキャンカメラで検出でき、検出ユニットは、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置された分散素子若しくは回析素子(31)を有し、反射された光線はエリアスキャンカメラの像面(49)に投影でき、処理装置によって反射された光線の彩度値の像面における空間分布と、製品に対して相対的な光学的検出ユニットの位置と、入射角βとから製品表面の高さ情報が導出できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品、特にプリント回路基板製品、半導体ウェハ又はこれに類するものの故障を解析するための検査システム(26)であって、前記検査システムは、投影装置(32)と光学的検出装置(28)と処理装置とを含み、前記投影装置は、白色光をそのスペクトル成分に分割でき、且つこのようにして単色光線から形成された多色光線(37)を入射角βで製品に投影できる少なくとも1つの分光計装置を有し、前記光学的検出装置は、エリアスキャンカメラ(27)と光学系(28)とを備えた検出ユニット(29)を有し、前記エリアスキャンカメラによって、製品の製品表面(38)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に延びる前記検出ユニットの検出面(46)において製品で反射された多色光線(37)を検出できるものにおいて、
前記検出ユニットは、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置された分散素子若しくは回折素子(31)を有し、反射された多色光線はエリアスキャンカメラの像面(49)に投影でき、前記処理装置によって、反射された多色光線の彩度値の像面における空間分布と、製品に対して相対的な光学的検出ユニットの位置と、入射角βとから製品表面の高さ情報を導出できることを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記処理装置によって、平均以上の彩度値を有するエリアスキャンカメラ(27)の少なくとも2本のセンサライン、好ましくは3本のセンサライン、特に好ましくは4本ないし最大5本のセンサラインのライン画像を検出できることを特徴とする、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
エリアスキャンカメラ(27)の像面(49)における光のガウス分布の重心が、分布の半値幅、好ましくは50%、60%、70%、80%又は90%に相当し、重心が少なくとも1本のセンサラインを覆うことを特徴とする、請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
第1の高さ情報に対する重心が第1のセンサラインを覆い、第2の高さ情報に対する重心が前記第1のセンサラインに隣接する第2のセンサラインを覆うことを特徴とする、請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記エリアスキャンカメラ(27)の像面(49)における彩度値の空間分布の位置に応じて、前記製品表面の高さ情報が導出できることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項6】
前記処理装置によって、複数のライン画像から製品の解析画像を導出できることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項7】
前記光学系(28)によって、前記製品表面(38)の物体面(47)のライン画像をエリアスキャンカメラ(27)の像面(49)に結像でき、前記エリアスキャンカメラは製品の移動方向(39)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項8】
前記エリアスキャンカメラ(27)は、製品の移動方向(39)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に32~128本のセンサライン、好ましくは32~64本のセンサラインを有するRGBチップ又はグレースケールチップによって形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項9】
前記投影装置(32)は、赤・緑・青(RGB)、赤外(IR)及び/又は紫外(UV)の波長域、好ましくは400~700nmの波長域の光を放出でき、前記エリアスキャンカメラ(27)がこの光を検出できることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項10】
前記検査システムは、前記投影装置(32)と波長域が異なる光又は波長域が一致する光を放出する別の投影装置(50)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項11】
前記分散素子若しくは回折素子(31)は、プリズム(48)又は回折格子であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項12】
前記光学系(30)は、像側の絞り(42)を備えたテレセントリック光学系であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項13】
検査システム(26)を用いて製品、特にプリント回路基板製品、半導体ウェハ又はこれに類するものの故障を解析する方法であって、前記検査システムは、投影装置(32)と光学的検出装置(28)と処理装置とを含み、前記投影装置の分光計装置によって白色光がそのスペクトル成分に分割され、このようにして単色光線から形成された多色光線(37)が入射角βで製品に投影され、前記光学的検出装置は、エリアスキャンカメラ(27)と光学系(28)とを備えた検出ユニット(29)を有し、製品の製品表面(38)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に延びる前記検出ユニットの検出面(46)において多色光線(37)が製品で反射されて前記エリアスキャンカメラによって検出される方法において、
前記反射された多色光線は、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置された前記検出ユニットの分散素子若しくは回折素子(31)によってエリアスキャンカメラの像面(49)に投影され、前記処理装置によって、反射された多色光線の彩度値の像面における空間分布と、製品に対して相対的な光学的検出ユニットの位置と、入射角βとから製品表面の高さ情報が導出されることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記処理装置によって、彩度値が最も高いエリアスキャンカメラ(27)の少なくとも3本、好ましくは5本のセンサラインのライン画像が同時に検出されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検査システム(26)の前記別の投影装置(50)によって、前記投影装置(32)と波長域が異なる光又は波長域が一致する光が放出され、前記エリアスキャンカメラ(27)によって前記投影装置と前記別の投影装置の波長域のライン画像が同時に検出されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記処理装置によって、前記別の投影装置(50)の反射された多色光線(37)の彩度値の前記像面(49)における空間分布と、製品に対して相対的な光学検出ユニット(29)の位置と、入射角βとから製品表面の別の高さ情報が導出されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記処理装置によって、前記エリアスキャンカメラ(27)の像面(49)が色相、明度及び/又は彩度に関して解析されることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記処理装置によって、解析画像から製品の材料、材料特性及び/又は幾何学的構造が決定され、及び/又は解析画像と参照画像との比較が行われることを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記処理装置の画像処理によって、一致する製品表面(38)の少なくとも2つ以上のライン画像が結合されることを特徴とする、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品、特にプリント回路基板製品、半導体ウェハ又はこれに類するもの故障を解析するための検査システム及び方法に関し、検査システムは、投影装置と光学的検出装置と処理装置とを含み、投影装置は、白色光をそのスペクトル成分に分割でき、且つこのようにして単色光線から形成された多色光線を入射角βで製品に投影できる少なくとも1つの分光計装置を有し、光学的検出装置は、エリアスキャンカメラと光学系とを備えた検出ユニットを有し、エリアスキャンカメラによって、製品の製品表面に対して横断方向に、好ましくは直交方向に延びる検出ユニットの検出面において製品で反射された多色光線を検出できる。
【背景技術】
【0002】
製品の故障解析のための公知の検査システム若しくは方法において、例えばプリント回路基板又はプリント回路基板上に配置された部品の高さプロファイルは、分光法を用いて求めることができる。検査される製品は、PCB(プリント回路基板)又は光電池であってよい。PCBは、特に導電性ペーストを回路基板上に印刷して、導電性トラックや抵抗器などの電子部品を形成することによっても作製できる。基板には、銅、金、アルミニウム、チタンなど種々の材料を塗布できる。プリント回路基板製品は、更に配線部品又はいわゆるSMD部品を装着し、ソルダーレジストを被覆し、それぞれの製造方法の枠内で例えばウェーブはんだ付けによってはんだ付けすることができる。これらの製造方法では、不完全に印刷された導体トラック、不良なはんだ接合部、又は欠陥のある部品など多くの故障が発生して、プリント回路基板製品が機能できなくなる可能性がある。そのため、プリント回路基板製品を製造中に起こりうる故障について定期的に解析する必要がある。
【0003】
この種の故障解析は、プリント回路基板を撮像するためのカメラを有する検査システムを使用して定期的に行われる。カメラは、光学センサが1ライン若しくは1列に配置されるか、それぞれ異なるセンサ(RGBセンサ)が3列若しくは3ラインに配置されたいわゆるラインカメラ、又は3列若しくは3ラインより多いエリアスキャンカメラであってよい。公知の検査システムの欠点は、公知のカメラの光学センサのライン若しくは列の長さが製造上制限されているため、検査システムを使用して特定のサイズまでの製品しか十分な画質で解析できないことである。それゆえ故障を解析するには、製品の表面全体又はその関連する部分を検出するために、製品を数回に分けてスキャンする必要がある。
【0004】
欧州特許出願EP2307852Bl号により、PCBの表面を光学的に測定できる、PCBの故障解析のための検査システム若しくは方法が知られている。所定の入射角度でプリント回路基板製品に投影されるようにするため、白色光源から出る多色光線がプリズムを通して案内される。プリント回路基板製品の表面の高さの違いにより、表面はその高さに応じてこの高さに向けられた多色光線のスペクトル色で現れる。このようにして当該表面から反射された単色光線は、光学的検出装置、特にラインスキャンカメラ又はエリアスキャンカメラの1ラインによって検出される。次に処理装置若しくはデータ処理装置によって、多色光線を検出面に位置合わせするための所望の入射角と、ラインスキャンカメラに対して相対的なプリント回路基板製品の位置を設定して、プリント回路基板製品の当該表面の高さ情報を計算できる。
【0005】
上記の検査システム若しくは方法の欠点は、PCBの表面を常に確実に検出できないことである。製品表面の反射度若しくは色に応じて、製品表面での当該光線の反射に差が生じることがある。そのため信頼性の高い故障解析のために、常にプリント回路基板製品若しくはPCBの複数の画像が必要になるか、又は製品が異なる色の光で照明されるか、若しくは故障解析に最も適していると思われるRGBチャンネルが処理装置によって更に処理される。しかしながら、高さプロファイルを作成し、製品の良質な解析画像を得るためには、それぞれ対応する検出ユニットを備えた種々の照明装置が常に必要であり、これらの検出ユニットは製品表面を順次又は別々の回にスキャンできる。それにより故障解析そのものと検査システムの構造が複雑となる。更に、当該表面について得られる高さ情報が不正確なことがあるという欠点がある。表面の高さによっては、光学的検出装置若しくはラインスキャンカメラ又はエリアスキャンカメラの像面で不鮮明な結像が生じる可能性がある。そのため高さ測定は精度が低くなり、この不鮮明さは解像度の高いカメラチップを使用しても補償できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、簡便な手段で信頼性の高い故障解析を可能にする検査システム及び製品の故障解析方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、特許請求項1の特徴を有する検査システムと、請求項13の特徴を有する方法によって解決される。
【0008】
製品、特にプリント回路基板製品、半導体ウェハ又はこれに類するものの故障を解析するための本発明による検査システムは、投影装置と光学的検出装置と処理装置とを含み、投影装置は、白色光をそのスペクトル成分に分割でき、且つこのようにして単色光線から形成された多色光線を入射角βで製品に投影できる少なくとも1つの分光計装置を有し、光学的検出装置は、エリアスキャンカメラと光学系とを備えた検出ユニットを有し、エリアスキャンカメラによって、製品の製品表面に対して横断方向に、好ましくは直交方向に延びる検出ユニットの検出面において製品で反射された多色光線を検出でき、検出ユニットは、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置されている分散素子若しくは回折素子を有し、反射された多色光線はエリアスキャンカメラの像面に投影でき、処理装置によって、反射された多色光線の彩度値の像面における空間分布と、製品に対して相対的な光学的検出ユニットの位置と、入射角βとから製品表面の高さ情報を導出できる。
【0009】
製品表面の高低差に応じて、製品表面上の多色光線の反射像は、検出面に対して入射角βで方向付けられて波長が検出面内の高さに応じて変化する多色光線のために、光学系の光軸に対して又は検出ユニット若しくはエリアスキャンカメラの検出面に対してずれる。その結果として、エリアスキャンカメラの像面における当該反射像も同様に、波長若しくは高さに応じて、光軸若しくは検出面に対してずれて結像する。次に、像面における結像の位置を決定することにより、処理装置によって製品表面の高さ情報を計算することが可能になる。任意選択で又は追加的に、検出ユニットの分散素子又は回折素子を、光学系とエリアスキャンカメラとの間に配置することもできる。
【0010】
単色光線から形成された多色光線が、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置されている分散素子若しくは回折素子を介して検出装置若しくはエリアスキャンカメラの像面に投影されることにより、多色光線から形成されて物体で反射された光線を分散素子又は回折素子によって再び分割できる。このように検出経路若しくは光学系内又は光学系と製品との間で分割されることにより、エリアスキャンカメラの複数のラインを色識別に使用できる。特に、グレースケールチップをエリアスキャンカメラとして使用する場合、RGBチップと比較してより高い解像度とより正確な色決定を達成することができる。また、グレースケールチップはカラーフィルタを必要としないため、グレースケールチップの最大感度を利用できる。こうして高さ測定の解像度の向上、若しくは製品表面の高さ情報のより正確な決定が可能になる。
【0011】
更に、処理装置によって、平均以上の彩度値を有するエリアスキャンカメラの少なくとも2本のセンサライン、好ましくは3本のセンサライン、特に好ましくは4本ないし最大5本のセンサラインのライン画像を検出できる。次に、処理装置によって彩度値の空間分布若しくは結像幅を評価することにより、像面における反射像のずれが求められる。彩度値の空間分布若しくは結像幅からずれの位置が明らかになるが、それは平均以上の彩度値を有するエリアスキャンカメラのセンサラインがこの位置を表すからである。これまで示されたように、4本以上、好ましくは5本ないし最大6本のセンサラインの信号が不正確になると、高さ情報を十分正確に決定できなくなる。更に、単一のセンサラインから得られる信号はノイズを生じるため、同様に高さ情報を正確に決定できなくなる。それゆえ処理装置によって平均以上の彩度値を有する2本のセンサラインのみを求め、像面でこれらのセンサライン上に結像したライン画像を検出すれば十分である。これにより、高さ若しくはトポグラフィーの決定が可能になるだけでなく、同時に製品表面のライン画像を検出できる。光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置されている分散素子若しくは回折素子を使用することにより、異なる色階調のライン画像が得られる。
【0012】
有利には、エリアスキャンカメラの像面における光のガウス分布の重心若しくは期待値は、ガウス分布の半値幅、好ましくは50%、60%、70%、80%又は90%に相当することができ、重心は少なくとも1本のセンサラインを覆うことができる。覆うとは、センサラインを基準にして横断方向でセンサラインを完全に覆うことと理解される。製品の異なる表面は異なる輝度を形成するため、場合によりエリアスキャンカメラの像面における光の強度が異なっても測定結果への影響は少ない。少なくとも1本のセンサラインを覆う際に、隣接する少なくとも1本の第2のセンサラインが照明されるため既に2本のセンサラインでライン画像を検出することができる。こうして高さ情報をより明確に決定することができる。
【0013】
第1の高さ情報に対する重心は第1のセンサラインを覆うことができ、第2の高さ情報に対する重心は第1のセンサラインに隣接する第2のセンサラインを覆うことができる。このようにして既に隣接する3本のセンサラインで2つの高さ情報を得ることができる。それぞれ光の互いに異なる波長若しくは異なる色階調のガウス分布は、少なくとも1本のセンサライン、好ましくは1本未満のセンサラインの領域で重なることができる。例えば高さ情報は1.5~2本のセンサラインの幅を有することができる。このため高さ情報のずれ若しくは2本のセンサライン間の変化は、特に容易に検出することができる。こうして互いに異なる高さ情報は、明確で非常に正確に決定することができる。
【0014】
エリアスキャンカメラの像面における彩度値の空間分布の位置に応じて、製品表面の高さ情報を導出できる。光学系を通る光線が分散素子又は回折素子によって分割されることにより、エリアスキャンカメラの比較的大きい範囲を利用できる。その結果、エリアスキャンカメラの像面に、より広い彩度値の空間分布が生じる。像面における光線のより広い空間分布によっても、製品表面の一層正確な高さ情報を得ることが可能になる。こうして彩度値の分布を介して光線の波長若しくは波長域が一層正確に解析され、より正確な色情報、ひいては高さ情報を得ることができる。
【0015】
処理装置によって、複数のライン画像から製品の解析画像を導出できる。次に、検出されたライン画像は、処理装置によってスキャン処理の枠内で製品表面の解析画像へと結合される。特に、製品表面の1回のみのスキャンで高さ情報と同時に高品質の解析画像を得ることができる。
【0016】
光学系によって、製品表面の物体面のライン画像をエリアスキャンカメラの像面に結像させることができ、エリアスキャンカメラは製品の移動方向に対して横断方向に、好ましくは直交方向に配置できる。例えば、エリアスキャンカメラは矩形のセンサ面を有することができ、それによって製品表面に対する検出幅を最適に利用できる。光学系は、製品で反射されて光学系によって検出できる多色光線に対応するライン画像をエリアスキャンカメラの像面に結像するように機能する。光学系と製品との間に配置された分散素子若しくは解析素子によって光路は分散的であり、或いは像面における結像は、分散素子若しくは解析素子の光の屈折に基づき分光計装置のスペクトルと製品で反射された多色光線に従って像面上の分光分布を伴って行われる。
【0017】
エリアスキャンカメラは、製品の移動方向に対して横断方向に、好ましくはと直交方向に32~128本のセンサライン、好ましくは32~64本のセンサラインを有するRGBチップ又はグレースケールチップによって形成できる。例えばエリアスキャンカメラは1024個の画素×36本のセンサライン、2048個の画素×72本のセンサライン、4096個の画素×128本のセンサライン、16384個の画素×256本のセンサライン又はそれ以上を有することができる。ここでは光の波長に関係なくグレースケールチップのすべてのセンサラインを利用できるため、グレースケールチップによって原理的により高い解像度を達成できる。とはいえ、RGBチップを用いることも可能である。
【0018】
投影装置は赤・緑・青(RGB)、赤外(IR)及び/又は紫外(UV)の波長域、好ましくは400~700nmの波長域の光を放出でき、エリアスキャンカメラはこの光を検出できる。
【0019】
検査システムは、上記投影装置と波長域が異なる光又は波長域が一致する光を放出する別の投影装置を有することができる。代替的に、別の投影装置と上記投影装置を製品表面に対して異なる高さに配置して、製品表面を波長域が異なる高さで照明するようにすることができる。別の投影装置は、上記投影装置と同一に形成することができる。それにもかかわらず別の投影装置で波長域が異なる光か又は波長域が一致する光が放射されるようにすることができる。そのためエリアスキャンカメラで検出された像においてそれぞれの投影装置を逆計算することも可能である。エリアスキャンカメラの像面に、平均以上の彩度値を有する複数の離間した領域が生じることも可能である。更に、1回の撮像で製品の多くの異なる特徴を生成することも可能である。上記投影装置と別の投影装置が波長域の異なる光を使用する場合、製品を同時に短い波長の光と長い波長の光で照明することができる。分散素子は、製品から反射されたこの光を再び分離することができる。このようにして全体として一層正確な高さ情報を求めることができる。合計3つ以上の同一の投影装置又は異なる投影装置を設けることもできる。そうすると複数の投影装置を使用して1回のスキャンで複数の画像を生成することができる。このようにすることによって製品の検査を大幅に加速できる。また、場合によっては最適な検出のために異なる照明が必要となる多数の種類の故障についても、製品を同時に検査できる。上記投影装置と別の投影装置は、検出面に対して対称に対向配置できる。このようにすると実質的に影のない製品の撮像も可能になる。
【0020】
分散素子若しくは回折素子は、プリズム又は回折格子であってよい。特に単純な実施形態では、プリズムは、例えば二等辺三角形の分散プリズムであってよい。
【0021】
光学系は、像側の絞りを備えたテレセントリック光学系であってよい。この場合、光学系の内部で光学系の光路は少なくとも部分的に平行に延びることができる。絞り若しくは開口絞りは、光学系の物体側の焦点面に配置できる。したがって光学系は部分的にテレセントリック光学系であってもよい。
【0022】
絞りは、スリット絞りであってよい。エリアスキャンカメラを使用することにより、絞りは、エリアスキャンカメラの縦軸方向に配置若しくは位置合わせされたスリット絞りであれば十分である。
【0023】
光学系は、収束レンズ及び/又はアクロマートとして設計されたフロントレンズを有することができる。アクロマートは、少なくとも2つのレンズから構成でき、アクロマートのレンズは互いに接着されるか、又は単に非常に薄い空隙を形成して互いに組み合わされている。このレンズ間の空隙は、例えば最大100μmであってよい。これにより、アクロマートを特にコスト効率よく形成でき、レンズの接着を省くことができる。アクロマートを使用することにより、色収差や歪み誤差を補正することが可能になる。
【0024】
フロントレンズは円柱レンズ又は球面レンズであってよい。単に像面に光スリット若しくはライン像を結像させるだけなので、場合によってはフロントレンズとして円柱レンズだけで使用すれば十分である。円柱レンズを使用することにより、検査システムの製造コストを削減することが可能になる。
【0025】
フロントレンズは、2つの同軸で平行な境界面を備えた円セグメント状に形成できる。フロントレンズが円柱レンズの場合、フロントレンズの縁部は、円柱レンズの主軸を包含する棒状レンズが残る程度に切り取ることができる。フロントレンズが球面レンズの場合、フロントレンズの外端部の境界面も平行に形成でき、それによってフロントレンズは近似的にのみ円形セグメントに相当することができる。このように形成された棒状フロントレンズにより、完全に円形のフロントレンズと比較して検出ユニットの横の設置スペースを節約し、この設置スペースを投影装置若しくは照明装置を配置するために利用することが可能になる。この場合、検査システムを特にコンパクトに設計できる。
【0026】
フロントレンズの円形セグメントは奥行が20mm未満、好ましくは10mmであることができ、フロントレンズの幅は250mmより大きく、好ましくは180mmであってよい。フロントレンズの幅とは、フロントレンズの直径とも理解できる。フロントレンズの奥行は、平行な境界面間の相対距離に相当する。
【0027】
光学的検出装置は、第2のエリアスキャンカメラと、第2の分散素子若しくは回折素子と、第2の光学系とを備えた少なくとも1つの第2の検出ユニットを有することができ、エリアスキャンカメラはそれらの縦軸方向において互いに一直線になるように配置できる。ここで、エリアスキャンカメラは互いに距離を置いて、物体面の共通の検出平面においてエリアスキャンカメラによって検出できるエリアスキャンカメラのそれぞれのライン画像が部分的に重なり合うことができるように配置でき、処理装置によって重なり合うライン画像を結合ライン画像へと組み合わせ若しくは結合でき、処理装置によって複数の結合ライン画像から製品の解析画像を導出できる。
【0028】
光学的検出装置の第2の検出ユニットは、第2のエリアスキャンカメラと第2の光学系と共に、エリアスキャンカメラがそれらの縦方向軸に対して、したがって移動方向に対して横断方向に1列に位置決めされるように配置できる。この場合、エリアスキャンカメラは互いに距離を置くが、隣接して配置することもできる。物体面におけるライン画像は、エリアスキャンカメラの像面におけるライン画像よりも比較的大きいため、検出ユニット若しくはエリアスキャンカメラは、エリアスキャンカメラのそれぞれのライン画像がそれらの縦方向端部において部分的に重なり合うように、即ちエリアスキャンカメラと一致する製品表面の部分(b)をそれぞれ検出できるように配置することが可能になる。処理装置は、これらの重なり合うライン画像を結合ライン画像へと組み合わせ若しくは結合できるように設定できる。こうしてエリアスキャンカメラ若しくは検出ユニットを連ねることにより、ほぼ任意の大きさの検出幅(E)を有する検査システムを構成することが原理的に可能になる。この場合、製品の全幅を1回のスキャンで検出でき、処理装置によって結合ライン画像を組み合わせて製品の解析画像を形成できる。
【0029】
結合ライン画像は物体面で、物体面におけるライン画像の検出可能な幅(B)よりも大きい検出幅(E)を有することができる。したがってそれぞれのライン画像は完全には重ならず、重なり部分(b)においてのみ重なる。重なり部分の大きさは、例えば1mm~3mmであってよい。
【0030】
物体面におけるライン画像の検出可能な幅(B)は、光学系の直径(D)又はエリアスキャンカメラの長さ(L)よりも大きくすることができる。これによりエリアスキャンカメラの縦軸を揃えて隣り合わせに配置しても、分離されていない結合ライン画像を得ることがおよそ初めて可能になる。光学系の直径とは、光学系の最大外寸であり、エリアスキャンカメラの長さはエリアスキャンカメラの最大全長であると理解される。
【0031】
光学系の光軸は、物体面に対して相対的に、且つ移動方向に対して横断方向に直交するように配置でき、光学系の収束光路は物体面に対して80°より大きく90°未満の角度aで延びることができる。この場合、光学系の収束光路により、物体面のライン像を部分的に重ねることが可能になると同時に、検出ユニットを隣接して、場合によっては間隔をあけて配置することが可能になる。それぞれの光学系の光軸は、検出面内で平行に配置できる。
【0032】
ライン画像が1mm~3mm重なり合うと特に有利である。そうすると処理装置は、ライン画像を組み合わせて、重なり領域で一致する画素をもとにして結合ライン画像へと組み合わされるように設定できる。重なり領域のライン画像を付加することにより、重なり領域で特に良好な結像品質を達成することが可能になる。場合によっては光学系もその検出可能な幅の縁領域でも結像誤差を示すことがあるが、これは許容範囲内である。
【0033】
投影装置は照明装置を有することができ、この照明装置によって拡散光を製品に投影でき、検出面において製品で反射された拡散光から光をエリアスキャンカメラによって検出できる。照明装置は光拡散板を有することができ、この光拡散板によって製品表面上の光の均一な分布を達成できると同時に強いコントラストが回避される。照明装置は、赤・緑・青(RGB)、赤外(IR)及び/又は紫外(UV)の波長域の光を放出できる。特定の波長域を混合するために、光の色成分を任意に選択するようにすることもできる。照明装置は、直列配置又はマトリックス配置の多数の発光ダイオード(LED)で構成できる。更に照明装置が偏光フィルタを有するようにすることができる。
【0034】
投影装置は、第2の照明装置を有することができ、第1の照明装置と第2の照明装置は光学的検出装置に対して同軸に配置できる。これらの照明装置も同様に、製品の移動方向に対して横断方向若しくは直交方向に配置できる。そうすることで場合によっては製品表面上に影が形成されることが回避される。第2の照明装置は構造が第1の照明装置と等しくすることができる。
【0035】
投影装置と光学的検出装置と処理装置とを含む検査システムを用いて、製品、特にプリント回路基板製品、半導体ウェハ又はこれに類するものの故障を解析するための本発明による方法では、投影装置の分光計装置によって白色光がそのスペクトル成分に分割され、このようにして単色光線から形成された多色光線が入射角βで製品に投影され、光学的検出装置は、エリアスキャンカメラと光学系とを備えた検出ユニットを有し、製品の製品表面に対して横断方向に、好ましくは直交方向に延びる検出ユニットの検出面において多色光線が製品で反射されてエリアスキャンカメラによって検出され、反射された多色光線は、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置された、検出ユニットの分散素子若しくは回折素子によってエリアスキャンカメラの像面に投影され、処理装置によって、反射された多色光線の彩度値の像面における空間分布と、製品に対して相対的な光学的検出ユニットの位置と入射角βとから、製品表面の高さ情報が導出される。本発明による方法の有利な効果に関しては、本発明による検査システムの利点の説明を参照されたい。
【0036】
処理装置によって、彩度値が最も高いエリアスキャンカメラの少なくとも3本、好ましくは5本のセンサラインのライン画像を同時に検出できる。例えば品質を最適化した単一のライン画像を得るために、少なくとも2本のセンサライン若しくはそれらのライン画像を重ね合わせることも可能である。それと同時に処理されるデータ量も少なくなり、そのため画像データの高速処理、ひいては製品の高速スキャンが可能になる。ライン画像を重ね合わせることにより、反射された多色光線の単一のライン画像をエリアスキャンカメラで検出することが可能になる。それゆえエリアスキャンカメラは、トポグラフィーの決定と同時に、利用しやすいライン画像を選択する目的にも使用される。
【0037】
検査システムの別の投影装置によって、上記投影装置と波長域が異なる光又は波長域が一致する光を放出することができ、エリアスキャンカメラは上記投影装置と別の投影装置の波長域におけるライン画像を同時に検出できる。
【0038】
それゆえエリアスキャンカメラの像面若しくは像面における結像は、処理装置によって色相、明度及び/又は彩度に関して解析できる。異なる材料は異なるH値、S値、V値を持つため、画像情報は特に材料の種類と分布を解析するために使用できる。解析される材料に応じて色空間を選択できるが、RGB色空間がベースとして機能できる。
【0039】
処理装置によって、解析画像から製品の材料、材料特性及び/又は幾何学的構造を決定でき、及び/又は解析画像と参照画像との比較を行うことができる。処理装置によって解析画像のライン画像を重ね合わせて解析すれば、製品の別の材料構造情報を得ることができる。この場合、処理装置の画像処理によって、例えば一致する製品表面の2つのライン画像を結合できる。代替的に、照明も分光計装置を用いて順次行うことができる。この場合、最初に第1の解析画像をある波長域の照明のみで撮影し、次に第2の解析画像を異なる波長域の照明のみで撮影する。最後に画像処理によってこれらの解析画像を結合する。更に、処理装置による故障解析の枠内で解析画像情報若しくは解析画像と参照画像との比較を行うことができる。製品の参照画像は、製品のCADデータ及び材料分布データを含むことができる。この比較は画像処理によって行うことができ、製品の異なる構造についてそれぞれ分けて差分画像を解析できる。更に、例えば導体トラックを明確に識別するために、これらの材料情報を高さ情報と組み合わせることができる。したがって参照画像情報は製品のすべての幾何学的データ、材料情報、部品情報、そしてまた高さ情報を含むことができる。解析画像情報が参照画像情報と異なる場合は、故障を知らせることができる。
【0040】
このようにして、処理装置の画像処理によって、一致する製品表面の少なくとも2本以上のライン画像を結合することができる。これにより、いわゆるHDR画像(High Dynamic Range Image)を得ることができる。分光計装置による適合された照明及び/又は処理装置によるエリアスキャンカメラのセンサラインの相応に異なる検出によって、一連の段階的な露光を達成できる。例えば複数の明度が8ビットフォーマットで統合されたエリアスキャンカメラの12ビット解析画像を処理装置によって読み出すことができる。このようにして、全体として当該解析画像の画素の色空間における色位置を一層正確に決定できる。
【0041】
本方法のその他の有利な実施形態は、装置請求項に準拠した従属請求項の特徴の説明から明らかになる。
【0042】
以下では、本発明の好適な実施形態について、添付の図を参照してより詳細に説明する。図は、検査システム26の一実施形態の側面図を簡略化して示している。検査システム26は、エリアスキャンカメラ27を有する。更に、エリアスキャンカメラ27、光学系30及び分散素子31を含む検出ユニット29を備えた検出装置28が、投影装置32と共に示されている。投影装置32は、白色光を発する光源33、絞り34、及び別の分散素子35を有する。別の分散素子35は、別のプリズム36として設計されており、このプリズム36によって多色光線37が、ここでは詳細に示されない製品の矢印39で示された移動方向に対して横断方向に製品表面38に投影される。
【0043】
光学系30は、ここでは模式的に示されているレンズ配置部40と、フロントレンズ41と、像側に配置された絞り42を含む。絞り42は、特にスリット絞り43として設計されている。フロントレンズ41は、円セグメント形に形成されていて、光軸44と同軸に配置された2つの平行な境界面45を有する。光軸44は検出ユニット29の検出面46を通り、検出面46は物体面47に相当する製品面38に対して直交方向に配置されている。そのため多色光線37は検出面46に対してβの角度で製品面38若しくは物体面47に入射し、そこから光学系30へと反射される。光学系30と製品面38との間には、プリズム48として設計された分散素子31が配置されている。プリズム48は、光学系30に入る光を分散させ、光学系30を介してエリアスキャンカメラ27若しくはその像面49に投影する。更に、光学系30と像面49との間で光軸44上に、ここでは図示しない別の光学素子を単独又は追加で配置して縦色収差を補正することもできる。
【0044】
反射された多色光線37のエリアスキャンカメラ27における空間分布に基づいて、ここでは図示しない処理装置により、エリアスキャンカメラ27に対する製品表面38の高さ情報が導出される。このために、検出面46に平行に延びる、ここでは詳細に図示しないエリアスキャンカメラ27のセンサラインが評価されて、最高若しくは最大の彩度値を有する5本のセンサラインが検出される。次に、検出面46に対して相対的なセンサラインの位置と入射角βから高さ情報を計算できる。更に、処理装置によってセンサライン若しくはそれらのライン画像の重ね合わせが実行される。これらのライン画像もまた製品の解析画像へと組み合わされる。
【0045】
更に、ここでは暗示的に示されている検査システム26の別の投影装置50を設けることができる。別の投影装置50の構造は、投影装置32と同一であり、検出面46に対して投影装置32と対称に配置されている。特に、別の投影装置50も同様に検出面46に対して入射角βで位置決めされている。別の投影装置50により、投影装置32とは異なる波長域の光が製品表面38に放出される。次に、エリアスキャンカメラ27で、投影装置32と別の投影装置50のそれぞれの波長域のライン画像を同時に検出できる。このようにして製品表面38の少なくとも2つの三次元画像を1回のみの撮像で生成することができる。両三次元画像は異なる波長域の光に基づいているので、製品表面の別の特徴と一層正確な高さ情報を得ることができる。
【図】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
フロントレンズの円形セグメントは奥行が20mm未満、好ましくは10mmであることができ、フロントレンズの幅は250mm未満、好ましくは180mmであってよい。フロントレンズの幅とは、フロントレンズの直径とも理解できる。フロントレンズの奥行は、平行な境界面間の相対距離に相当する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品、特にプリント回路基板製品、半導体ウェハ又はこれに類するものの故障を解析するための検査システム(26)であって、前記検査システムは、投影装置(32)と光学的検出装置(28)と処理装置とを含み、前記投影装置は、白色光をそのスペクトル成分に分割でき、且つこのようにして単色光線から形成された多色光線(37)を入射角βで製品に投影できる少なくとも1つの分光計装置を有し、前記光学的検出装置は、エリアスキャンカメラ(27)と光学系(28)とを備えた検出ユニット(29)を有し、前記エリアスキャンカメラによって、製品の製品表面(38)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に延びる前記検出ユニットの検出面(46)において製品で反射された多色光線(37)を検出できるものにおいて、
前記検出ユニットは、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置された分散素子若しくは回折素子(31)を有し、反射された多色光線はエリアスキャンカメラの像面(49)に投影でき、前記処理装置によって、反射された多色光線の彩度値の像面における空間分布と、製品に対して相対的な光学的検出ユニットの位置と、入射角βとから製品表面の高さ情報を導出できることを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記処理装置によって、平均以上の彩度値を有するエリアスキャンカメラ(27)の少なくとも2本のセンサライン、好ましくは3本のセンサライン、特に好ましくは4本ないし最大5本のセンサラインのライン画像を検出できることを特徴とする、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
エリアスキャンカメラ(27)の像面(49)における光のガウス分布の重心が、分布の半値幅、好ましくは50%、60%、70%、80%又は90%に相当し、重心が少なくとも1本のセンサラインを覆うことを特徴とする、請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
第1の高さ情報に対する重心が第1のセンサラインを覆い、第2の高さ情報に対する重心が前記第1のセンサラインに隣接する第2のセンサラインを覆うことを特徴とする、請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記エリアスキャンカメラ(27)の像面(49)における彩度値の空間分布の位置に応じて、前記製品表面の高さ情報が導出できることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項6】
前記処理装置によって、複数のライン画像から製品の解析画像を導出できることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項7】
前記光学系(28)によって、前記製品表面(38)の物体面(47)のライン画像をエリアスキャンカメラ(27)の像面(49)に結像でき、前記エリアスキャンカメラは製品の移動方向(39)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に配置されていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項8】
前記エリアスキャンカメラ(27)は、製品の移動方向(39)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に32~128本のセンサライン、好ましくは32~64本のセンサラインを有するRGBチップ又はグレースケールチップによって形成されていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項9】
前記投影装置(32)は、赤・緑・青(RGB)、赤外(IR)及び/又は紫外(UV)の波長域、好ましくは400~700nmの波長域の光を放出でき、前記エリアスキャンカメラ(27)がこの光を検出できることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項10】
前記検査システムは、前記投影装置(32)と波長域が異なる光又は波長域が一致する光を放出する別の投影装置(50)を有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項11】
前記分散素子若しくは回折素子(31)は、プリズム(48)又は回折格子であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項12】
前記光学系(30)は、像側の絞り(42)を備えたテレセントリック光学系であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の検査システム。
【請求項13】
検査システム(26)を用いて製品、特にプリント回路基板製品、半導体ウェハ又はこれに類するものの故障を解析する方法であって、前記検査システムは、投影装置(32)と光学的検出装置(28)と処理装置とを含み、前記投影装置の分光計装置によって白色光がそのスペクトル成分に分割され、このようにして単色光線から形成された多色光線(37)が入射角βで製品に投影され、前記光学的検出装置は、エリアスキャンカメラ(27)と光学系(28)とを備えた検出ユニット(29)を有し、製品の製品表面(38)に対して横断方向に、好ましくは直交方向に延びる前記検出ユニットの検出面(46)において多色光線(37)が製品で反射されて前記エリアスキャンカメラによって検出される方法において、
前記反射された多色光線は、光学系内又は光学系と製品との間の検出面に配置された前記検出ユニットの分散素子若しくは回折素子(31)によってエリアスキャンカメラの像面(49)に投影され、前記処理装置によって、反射された多色光線の彩度値の像面における空間分布と、製品に対して相対的な光学的検出ユニットの位置と、入射角βとから製品表面の高さ情報が導出されることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記処理装置によって、彩度値が最も高いエリアスキャンカメラ(27)の少なくとも3本、好ましくは5本のセンサラインのライン画像が同時に検出されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検査システム(26)の前記別の投影装置(50)によって、前記投影装置(32)と波長域が異なる光又は波長域が一致する光が放出され、前記エリアスキャンカメラ(27)によって前記投影装置と前記別の投影装置の波長域のライン画像が同時に検出されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記処理装置によって、前記別の投影装置(50)の反射された多色光線(37)の彩度値の前記像面(49)における空間分布と、製品に対して相対的な光学検出ユニット(29)の位置と、入射角βとから製品表面の別の高さ情報が導出されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記処理装置によって、前記エリアスキャンカメラ(27)の像面(49)が色相、明度及び/又は彩度に関して解析されることを特徴とする、請求項13
又は14に記載の方法。
【請求項18】
前記処理装置によって、解析画像から製品の材料、材料特性及び/又は幾何学的構造が決定され、及び/又は解析画像と参照画像との比較が行われることを特徴とする、請求項13
又は14に記載の方法。
【請求項19】
前記処理装置の画像処理によって、一致する製品表面(38)の少なくとも2つ以上のライン画像が結合されることを特徴とする、請求項13
又は14に記載の方法。
【国際調査報告】