(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】医用画像のピアレビュー及び輪郭形成を支援するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241003BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545065
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022077021
(87)【国際公開番号】W WO2023057284
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524135266
【氏名又は名称】ミラダ メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MIRADA MEDICAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】New Barclay House 234 Botley Rd, Oxford Oxfordshire OX2 0HP United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ブケルルイ,ジャメル
(72)【発明者】
【氏名】グッディング,マーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ハーク,マルセル
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA34
4C093CA35
4C093FF16
4C093FF17
4C093FF19
4C093FF22
4C093FG11
4C096AC04
4C096AD14
4C096DC19
4C096DC30
4C096DD07
(57)【要約】
ディスプレイデバイスに表示するために医用画像を輪郭形成する方法及びシステムを説明される。方法は:輪郭形成されるべき少なくとも1つの医用画像を提供するステップと;ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLを提供するステップと;W、Lパラメータに従って医用画像を表示するステップと;以下の輪郭形成ステップを実行するステップとを含み、輪郭形成ステップは:輪郭が生成されるときに、輪郭の各位置について少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定することと;輪郭が生成されるとき、決定された局所画像強度に従って、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLが医用画像上の輪郭の各位置に適しているかどうかを判断することと;パラメータが適していない場合、パラメータWとLのうちの少なくとも1つが、輪郭上の最も最近生成された位置に適していないことをユーザに警告することと、輪郭上の最も最近生成された位置に適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、調整されたW、L設定に従って医用画像を表示することとを含む。以前に輪郭形成された医用画像をレビューするための方法及びシステムも説明される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスに表示される医用画像を輪郭形成する方法であって、
輪郭形成されるべき1つ以上の構造を有する少なくとも1つの医用画像を提供するステップと;
前記少なくとも1つの医用画像について、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLを提供するステップと;
W、Lパラメータに従って前記医用画像を表示するステップと;
以下の輪郭形成ステップを実行するステップであって、
画像上の構造について輪郭が生成されるとき、前記輪郭の各位置について前記少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定するステップと、
前記輪郭が生成されるとき、前記決定された局所画像強度に従って、前記ウィンドウ幅パラメータW及び前記ウィンドウレベルパラメータLが、前記医用画像上の前記輪郭の各位置の輪郭形成に適しているかどうかを判断するステップと、
パラメータのうちの少なくとも1つが輪郭形成に適していない場合、パラメータWとLのうちの少なくとも1つが、前記輪郭上の最も最近生成された位置に適していないという警告を提供するステップと、
前記輪郭上の前記最も最近生成された位置の前記構造の輪郭形成に適したものとなるように、前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、該調整されたW、L設定に従って前記医用画像を表示するステップと、
を含む、輪郭形成ステップを実行するステップと;
を含む、方法。
【請求項2】
ディスプレイデバイスに表示される、以前に輪郭形成された医用画像をレビューするための方法であって、
少なくとも1つの医用画像と、レビューされるべき前記医用画像上の少なくとも1つの輪郭とを提供するステップと;
前記少なくとも1つの医用画像について、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLを提供するステップと;
W、Lパラメータに従って前記医用画像を表示し、前記少なくとも1つの輪郭を表示するステップと;
レビューのために、前記以前に輪郭形成された画像の少なくとも1つの輪郭を選択するステップと;
以下の輪郭レビューステップを実行するステップであって、
レビューされるべき前記選択された輪郭の少なくとも1つの部分について、前記少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定するステップと、
前記決定された局所画像強度に従って、現在のウィンドウ幅パラメータとびウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの輪郭の前記少なくとも1つの部分をレビューするのに適していないと決定するステップと、
パラメータWとLのうちの少なくとも1つが、前記輪郭の前記少なくとも1つの部分をレビューするのに適していないという警告を提供し、前記輪郭の前記少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、該調整されたパラメータを使用して輪郭部分の更なるセクションをレビューし、調整されたW、L設定に従って前記医用画像を表示するステップと、
を含む、輪郭レビューステップを実行するステップと;
を含む、方法。
【請求項3】
輪郭形成されるべき前記1つ以上の構造が輪郭形成されるか、又は前記以前に輪郭形成された画像上の少なくとも1つの選択された輪郭のすべてがレビューされるまで、前記輪郭形成ステップ又は前記輪郭レビューステップが繰り返される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの構造を輪郭形成するのに適したものとなるように、又は前記輪郭の前記少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、ユーザによって行われる、
請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの構造を輪郭形成するのに適したものとなるように、又は前記輪郭の前記少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、自動調整である、
請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
現在のウィンドウ幅とウィンドウレベルパラメータを使用して、レビューするのに適した、前記選択された輪郭の1つ以上の部分を検出するステップと、検出された前記1つ以上の輪郭の部分をレビューするステップとを含む、前記輪郭レビューステップを更に含む、
請求項2、又は請求項2に従属する請求項3乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
検出された輪郭の部分がレビューされた後に、1つ以上の輪郭の部分を編集又は補正するステップを更に含む、
請求項2、又は請求項2に従属する請求項3乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
パラメータW、Lが、輪郭生成又は輪郭レビューの現在のタスクに適しているかどうかを判断するステップと、
検出されたパラメータのうちの1つ以上が前記現在のタスクに適していない場合、前記パラメータの1つ以上が適していないという警告を提供し、前記現在のタスクに適した少なくとも1つの新しいパラメータを提案するステップと、
を更に含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のパラメータについてのパラメータの提案は自動的である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のパラメータついてのパラメータの提案は自動的に適用される、
請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つの適切性の判断は、機械学習アルゴリズムを用いて行われる、
請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記機械学習アルゴリズムは、前記画像の前記局所画像強度及び空間情報のうちの少なくとも一方からの情報を使用する、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
輪郭が生成されるか、又はレビューのために選択されるとき、前記輪郭の最も最近生成された部分又はレビューのための前記輪郭の部分のいずれかの周囲のパッチを決定し、前記パッチ内の前記局所画像強度を評価して、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つが適しているか又は調整される必要があるかを判断するステップ、
を更に含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
パラメータの適切性を決定するために使用される前記パッチ内の前記局所画像強度は、
平均強度値、
最大強度値、
最小強度値、
中央強度値、
強度の構成可能な百分位数、
画像パッチ強度値の分布とW、L値の所定のパラメトリック関数との間の統計的測定、
のうちの1つ以上から計算される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記局所画像強度は、現在のW、Lパラメータのうちの少なくとも1つについて、所定の又はユーザ構成可能な閾値関数と比較される、
請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、
新しいW、L設定についての提案を有するポップアップウィンドウ、
ディスプレイを介してアクセスされるコンテキスト依存メニュー、
前記画像又は前記輪郭の領域の上のマウスホバー、
マウスクリック、キーボードホットキー又は音声制御のような対話機構、
のうちの1つ以上に応答してユーザによって行われる、
請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ユーザに提供される前記警告は、視覚的又は音声的な警告である、
請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記警告は、
ユーザインタフェース内のメッセージ、
生成又は編集されている前記輪郭の色の変更、
生成又は編集されている前記輪郭のスタイル又は厚さの変更、
生成又は編集されている前記輪郭の周囲の領域の色の変更、
のうちの1つ以上によって提供される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記医用画像は、CTスキャン、MRIスキャン又はPETスキャンである、
請求項1乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記輪郭が作成又はレビューされたとき、前記輪郭は保存されるか又は出力として提供される、
請求項1乃至19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
輪郭の編集又は生成が完了した後、医用画像上で複数の輪郭が作成又はレビューされるように、ステップが繰り返される、
請求項1乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
輪郭形成又はレビュープロセスの開始時における前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つは、
画像モダリティ依存、
ワークフロー依存、
システムの以前の使用からの設定、
記憶された画像のパラメータからユーザ構成又は定義したもの、
のうちの1つである、請求項1乃至21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記医用画像は、2D医用画像、3D医用画像又は医用画像の時系列である、
請求項1乃至22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
W、Lパラメータのうちの少なくとも1つの最小値は、輪郭形成、編集又は輪郭レビューのために設定される、
請求項1乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
W、Lパラメータのうちの少なくとも1つの最大値は、輪郭形成、編集又は輪郭レビューのために設定される、
請求項1乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
輪郭形成は、手動輪郭形成、半自動輪郭形成又は自動輪郭形成のうちの1つである、
請求項1乃至25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
医用画像を分析するためのシステムであって、
輪郭形成されるべき少なくとも1つの医用画像を表示するためのディスプレイと、
ディスプレイデバイスのためのウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLを、輪郭形成されるべき前記少なくとも1つの医用画像上の構造の輪郭の開始位置のための正しい値に設定するためのプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記輪郭が生成されるとき、前記輪郭の各位置について前記少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定し、
前記プロセッサは、前記輪郭が生成されるとき、前記決定された局所画像強度に従って、前記医用画像上の前記輪郭の各位置について、前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLが正しいかどうかを判断し、パラメータのうちの少なくとも1つが正しくない場合、パラメータWとLのうちの少なくとも1つが、前記輪郭上の現在の位置にとって正しくないことをユーザに警告し、前記輪郭上の前記現在の位置にとって正しいものとなるように、前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整する、
システム。
【請求項28】
ユーザが以前に輪郭形成された医用画像をレビューすることを可能にするシステムであって、
デフォルトのウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLを用いて、レビューされるべき少なくとも1つの以前に輪郭形成された医用画像を表示するためのディスプレイと、
レビューのために、前記以前に輪郭形成された画像上の少なくとも1つの輪郭を選択するためのプロセッサと、
を備え、前記プロセッサは、
前記デフォルトのウィンドウ幅パラメータとウィンドウレベルパラメータを使用して、レビューに適した、前記選択された輪郭の1つ以上の部分を検出し、それにより、ユーザが、検出された前記1つ以上の輪郭の部分をレビューすることを可能にし、
前記デフォルトのウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つが、レビューされるべき輪郭の更なるセクションに適していないことを検出し、
パラメータWとLのうちの少なくとも1つが前記輪郭の前記更なるセクションに適していないことを前記ユーザに警告し、前記輪郭の前記更なるセクションにとって正しいものとなるように、前記ウィンドウ幅パラメータWと前記ウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、前記ユーザが、調整されたパラメータを使用して輪郭部分の前記更なるセクションをレビューすることを可能にする、
ように構成される、システム。
【請求項29】
前記ディスプレイは、前記調整されたW、L設定に従って前記医用画像を表示する、
請求項27又は28に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサは、
現在のウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウ長パラメータLのうちの少なくとも1つを自動的に検出し、検出されたパラメータが輪郭生成又は輪郭レビューの現在のタスクに適しているかどうかを判断するように構成される、
請求項27乃至29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータによって実行されると、該コンピュータに、請求項1乃至26のいずれかに記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の分野に関する。特に、例えば放射線腫瘍医による、患者の医用画像における放射線治療計画のための解剖学的又は標的構造の輪郭形成、レビュー又は編集に関する。本発明は、構造を輪郭形成するとき又は医用画像上の構造の輪郭をレビューするときに、ユーザが医用画像の表示の適切なスケーリングを使用していることを保証するツールを提供する。
【背景技術】
【0002】
医用画像処理では、患者の医用画像上に構造又は他の物体を描写することが必要な場合がある。例えば放射線治療計画では、患者の体積(3D)画像を撮影する必要があり、この画像に対して治療計画を設計し、放射線量の送達を推定することができる。3D画像/体積画像は、医用画像処理において通常複数の2D画像から作成される体積を含む画像である。3D画像の要素はボクセルとして知られる。2D画像は、2D平面内のスライスを含む画像である。このスライスは、所定の厚さを有し、したがって、患者の断面として医用画像内の体積を構成することがある。2D画像の要素は、通常、ピクセルと呼ばれる。
【0003】
このような3D画像は、シミュレーションCT(コンピュータ断層撮影)画像と呼ばれる。このプロセスの一部は、患者の画像上の解剖学的及び標的構造の外形を含み、構造の各々への推定放射線量送達を計算し、治療計画を行う臨床スタッフに報告することができる。放射線治療計画において、この画像は通常CT画像であるが、MRI(磁気共鳴画像法)画像も使用されることがある。
【0004】
画像上に示される腫瘍のサイズ及び位置は、患者に提供される最善の治療の選択に関する決定プロセスに寄与する重要な指標である。最良の臨床的選択を行うためには、患者の画像上の健康な臓器と癌領域の両方の正確な描写が必要とされる。例えば放射線治療計画では、腫瘍への放射線の照射線量を最大化しながら、健康な組織への線量を最小限に抑える計画を立てるときに、正確な描写が必要とされる。
【0005】
輪郭を描く又は描写するプロセスは、放射線腫瘍学の分野では「輪郭形成(contouring)」として知られる。「セグメンテーション」という用語も使用されることがあり、これはそのプロセスと結果の両方を指すために使用されることがある。自動セグメンテーション又は自動輪郭形成は、輪郭形成タスクが画像処理システムによって自動的に実行される場合を指す(非特許文献5(Sharp、2014年)、非特許文献4(Lustberg、2018年))。半自動又は対話式/手動ツールも存在する(非特許文献6(Ramkumar等、2016年))。
【0006】
輪郭形成プロセスにおける自動化は、描写時間を短縮するのに役立つだけでなく、画像セグメンテーションの一貫性を改善し、観察者間及び観察者内の変動性を低減するのにも役立つ(非特許文献7(Brouwer等、2012年)、非特許文献11(Vinod等、2016年)、非特許文献12(Vinod等、2016年(a))、非特許文献14(Patrick等、2021年))。しかしながら、現在の自動化の解決策では依然として、自動システムのエラーを修正するために、手動の編集を必要とする(非特許文献4(Lustberg等、2018年)、非特許文献8(Brouwer等、2020年))。さらに、自動化の解決策は、輪郭形成をすることができる解剖学的領域又はサポートされる画像モダリティに関して、依然として限定されている。したがって、手動の輪郭形成は、依然としてクリニックで日常的に実施されている。
【0007】
手動の輪郭形成は、典型的に、適切な画像ディスプレイを有するワークステーションを使用して実行される。今日、ほとんどの医用画像技術は3次元であり、典型的には2D医用画像スライスのスタックを含むが、輪郭は、画像スライス毎に各構造の周囲に描画され得る。3D画像は、通常、3つの面、すなわち、アキシャル面、サジタル面、コロナル面(これらは、医用画像処理において周知の解剖学的面である)のうちの1つに対して、あるいは画像取得面に従って、画面上にスライス毎に表示される。画像はまた、任意の面で再サンプリングすることによって表示されてもよい。複数の2D画像を同時に、同じ画面又は複数の画面に表示することもできる。次いで、臨床医は、新しい輪郭を手動で生成するか、あるいは表示された輪郭の既存のセットをレビュー及び/又は編集し得る。
【0008】
輪郭は、一般に、医用画像スライス上にオーバーレイとして表示される。輪郭は、特定の線幅で曲線として充填されるか表示されることができる。ほとんどの医用画像がスカラー値(非カラー)画像であり、したがってグレースケールで表示されるので、コントラストを改善するために、色が一般的に使用される。X線、CT、MRI PET(陽電子放射断層撮影)を含む現在の医用画像処理技術によって生成される医用画像は、典型的に、値(ピクセル)当たり12~16ビットで符号化されたスカラー値を有する。これは、4,096~65,536の記憶値(stored values)に対応する。これらの記憶値を、実世界値にマッピングすることができる。例えばCT画像は1024の記憶値を有することがあり、これらを、0ハウンスフィールド単位の値の実世界単位にマップすることができる。さらに、いくつかの3D画像モダリティに対して、3D画像のダイナミックレンジが明らかにはるかに大きくなるように、実世界値への異なるマッピングが各スライスに適用され得る。例えばPET画像は、画像の1つのスライス上で136.79Bq/mL(ベクレル/ミリリットル)にマッピングする1024の記憶値を有することがあり、一方、異なるスライス上では、1024の記憶値は2440.99Bq/mLにマッピングし得る。記憶値と実世界の値との間のこの変換は、医用画像が記憶されるファイルフォーマット規格(例えばDICOM)によって決定される。記憶値への更なる参照は、医用画像ファイルフォーマットに従った実世界単位への変換後の記憶値を含むと解釈されることがある。
【0009】
したがって、医用画像における記憶値の範囲は、現在の医用ディスプレイがサポートすることができる範囲よりもはるかに広く、ディスプレイは一般に8ビットから10ビットをサポートする。医療で使用されるディスプレイデバイスのディスプレイ品質を評価するためのガイドラインと推奨は、定期的に発行され、更新される(非特許文献1(Bevins等、2019年))。これらのガイドラインに従って品質保証プロセスをどのように実装するについての実際的な推奨も入手可能である(非特許文献3(Bevins等、2020年))。興味深いことに、非特許文献1(Bevins等、2019年)に記載されているパターンと品質評価プロセスのほとんどは、8ビット表示(グレーの256の階調)を使用する。画像の視覚化に対するより強い制限は、人間の観察者が同時により広い範囲のグレーの階調(非特許文献10(Kimpe及びTuytschaever、2007年)によると、700と900との間)を区別することができないことであるため、これは驚くべきことではない。
【0010】
ディスプレイ技術と人間の知覚という、これらの2つの制限のために、画像処理技術における一般的な手法は、ウィンドウとして知られる表示範囲を定義することであり、ウィンドウ内では、画像強度が表示されたグレーの階調にマッピングされる。これは通常、次の2つの値によって定義される:
●W:ウィンドウ幅:これは典型的に、強度のダイナミックレンジの長さである(例えばaからbまでのウィンドウは、幅W=b-aを有する)。
●L:ウィンドウレベル:ウィンドウの中心における強度値(例えばaからbまでのウィンドウは、L=(a+b)/2を有する)。
【0011】
次いで、L-W/2とL+W/2との間の画像強度値のみがディスプレイ上にレンダリングされるように、画像がスケーリングされる。所与の範囲、ここではL-W/2とL+W/2の間の範囲への数値の制限は、クランプとして知られている。クランプ/クランピング(Clamping)とは、所与の範囲[a b]への数値の制限である。具体的には、値は、所与の範囲内にある場合は線形にスケーリングされ;aより小さい場合は低い値aに設定され;bより大きい場合は高い値bに設定される。L-W/2より低い強度値はクランプされ、すべてが最低値(黒色)として画面に表示される。同様に、L+W/2より大きい強度値もクランプされ、最高値(白色)としてディスプレイに表示される。中間画像強度値は、通常は線形にスケーリングされ、デバイスの表示の全範囲をカバーする。このような変換は、一般に、ウィンドウ/レベリング又はクランプ線形強度変換(clamped linear intensity transformation)と呼ばれる。場合によっては、ウィンドウレベルパラメータW、Lは単にウィンドウとも呼ばれる。肺ウィンドウ又は骨ウィンドウのような例示的な言葉は、肺組織又は骨の解剖学的構造を表示するために一般的に使用されるか又は推奨されるW、L設定を指す。(W,L)設定の非クランプ強度値は、L-W/2からL+W/2までの範囲の強度値であり、一般に[L-W/2,L+W/2]と表記され、単にウィンドウという言葉で呼ばれることもある。
【0012】
スカラー強度値は、グレーの階調として表示されることが多いが、カラーマッピングを使用して、スカラー強度値をカラー表示範囲に変換してもよいことに留意されたい。したがって、「グレーの階調(shades of grey)」という用語は、表示色にマッピングする前のスカラー画像値として解釈されるべきである。
【0013】
グレーの階調の有用な範囲に関する推奨事項は、医師が回答する必要がある臨床的な質問を与えるか、目前にあるタスクを与えた。例えばCTスキャン上の肺構造を見るための強度値の有用な範囲は、肝臓構造又は頭頸部構造の強度値の有用な範囲とは異なる。
【0014】
CTについてのW、Lの適切な値に関するガイドラインが利用可能である(非特許文献2(Bongartz、2000年))。例として一般的なCT胸部検査では、軟組織の推奨ウィンドウ幅(W)は300~600ハウンスフィールド単位(HU)であり、ウィンドウレベル(L)は0~30HUである。しかしながら、肺実質の推奨ウィンドウ幅(W)は800~1,600HUであり、ウィンドウレベル(L)は-500~700HUである。肺組織を表示するための特定の例示的な値は、W=1000HU及びL=-500HUを設定することができ、したがって、[-500-1000/2,-500+1000/2]=[-1000,0]からの強度の範囲を定義し、肺ウィンドウによって参照される。
【0015】
図3は、CT画像を表示するために推奨されるいくつかの典型的なウィンドウW、Lパラメータセットについての数例の強度変換を示す。この図では、CTについての推奨(W、L)パラメータセットの例:骨の解剖学的構造304、肝臓305、胸部一般306、肺307が示されている。図の明瞭性のために、x軸313も314で描かれている。このx軸は、実世界(ハウンスフィールド単位)値にマップされた記憶画像値を表し;示された範囲(-1000~2000HU)はCT画像化の典型である。百分率で等級付けされたy軸311は、黒から白へのカラーバー310によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。異なる変換のウィンドウレベル308は、常に、グレーの階調の中間(50%)301にレンダリングされる。ウィンドウレベルL308及びウィンドウ幅W209は、太い線で描かれた骨の解剖学的構造の変換312について示されている。この例では、クランプ線形強度変換が、L=480HU 208及びW=2500HU 309について示され、したがって、-770から+1700HUまでの非クランプ画像強度の範囲を定義し、グレーの階調の0%から100%の間で表示されるように線形にスケーリングされる。-770HU 316より低い画像強度はクランプされ、ディスプレイ上に最低値(黒色)として表示され、+1700HU 215より高い画像強度もクランプされ、ディスプレイ上に最高値(白色)として表示される。クリニックでは、ディスプレイデバイスの品質は定期的にチェックされ、臨床チームは、使用すべき適切な(W,L)パラメータに関するガイドラインについて訓練され、教育されている。場合によっては、臨床医は、輪郭形成中に(W,L)設定を数回変更する必要があることがある。実際、臓器や腫瘍は、正常組織と腫瘍組織との間の境界を画面上に「最適に」表示し、視覚化するために一般に異なる(W,L)設定を必要とする、異なる組織型によって囲まれている可能性がある。例としては、
図11に示されるような、肋骨付近の胸壁に浸潤した肺腫瘍である。異なる組織型間の正しい境界を評価するためには、異なる(W,L)設定が必要とされる。例えば肺について典型的に使用されるウィンドウ/レベル設定は、腫瘍1101と肺1102との間の境界を評価するのに最良であり得るが、一方、骨について典型的に使用されるウィンドウ/レベル設定は、腫瘍1101と肋骨1103との間の境界を評価するのに最良であり得る。
【0016】
これを更に説明するために、
図12a、
図12b、
図12c及び
図12dは、
図12aではロードされるCT画像値の強度プロファイルの例を示し、
図12bではCT-肺ウィンドウ307、
図12cではCT-骨ウィンドウ304、そして
図12dではCT-胸部ウィンドウ306の適用後のCT画像値の強度プロファイルの例を示す。この例では、強度プロファイルは、1107から始まって1108で終わる、
図11において破線で示される解剖学的領域に対応する。CT画像強度プロファイル1201は、
図12aに示される。y軸1203は、ハウンスフィールド単位でロードされたCT画像強度値を表す。x軸1202は、ピクセル単位で等級付けされた空間位置を表しており、強度プロファイル上の最初のピクセルは、肺に位置する位置1107に対応し、最後のピクセルは、画像背景に位置する位置1108に対応する。
図11に見られるように、この線プロファイルは、肺、腫瘍、骨、脂肪、筋肉、脂肪、そして最終的には空気(身体の外部)といういくつかの組織型にわたる。これらの異なる領域は、線プロファイル1201上で観察されることができ、これらは、文字A~Fによってラベル付けされ、凡例1210に要約されている。異なる組織間の境界は、1204~1209とラベル付けされた垂直の破線で示されている。
図12bは、表示のために(W,L)=(1000,-500) 307のCT-肺ウィンドウの適用後の強度プロファイル1221を示す。x軸1222は、
図12aの1202と同じである。ここでは1224~1229とラベル付けされている異なる組織間の境界も、
図12aと同じ位置にある。百分率で等級付けされたy軸1223は、黒から白へのカラーバー1230によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。強度プロファイル1221と水平線1231及び1232との交点は、クランプされたピクセルを示す。この例では、腫瘍と骨との間の境界1225は、腫瘍強度値と骨強度値の両方が、表示値の範囲外であり、したがってクランプされるので、表示された画像上で見ることができない。また、筋肉組織と周囲の脂肪組織との間の境界1227及び1228は、筋肉ピクセルのクランピング画像強度のため、及び両方の組織が最高のグレー階調で表示されるときの境界位置における低画像コントラストのために、正確に描くことができない。肺ウィンドウでは、画像コントラストは、1224及び1229の正しい境界位置を認識するのに十分である。
【0017】
図12cは、(W,L)=(2500,480) 304のCT-骨ウィンドウの適用後の強度プロファイル1241を示す。x軸1242は、
図12aの1202と同じである。ここでは1244~1249とラベル付けされている異なる組織間の境界も、
図12aと同じ位置にある。百分率で等級付けされたy軸1243は、黒から白へのカラーバー1250によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。強度プロファイル1241と水平線1251及び1252との交点は、クランプされたピクセル強度を示す。この例では、骨組織1245及び1246との境界のみが、正確に描画又はレビューされるのに十分なコントラストを有する。骨ウィンドウの大きなウィンドウ幅W=2500は、軟組織(筋肉、腫瘍、脂肪等)を区別することを不可能にし、したがって、1247及び1248のような境界を正確に描くこと又はレビューすることができない。軟組織間の正確な区別は、より小さなW値で画像を表示することを必要とする。これは、(W,L)=(350,40) 306のCT-胸部ウィンドウの適用後の強度プロファイル1261を示す
図12dに示されている。x軸1262は、
図12aの1202と同じである。ここでは1264~1269とラベル付けされている異なる組織間の境界も、
図12aと同じ位置にある。百分率で等級付けされたy軸1263は、黒から白へのカラーバー1270によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。強度プロファイル1261と水平線1271及び1272との交点は、クランプされたピクセルを示す。この例では、肺組織Aと画像背景Fはクランプされており、境界位置1264又は1269で輪郭をレビュー又は描くことが困難になっている。また、骨組織Cもクランプされており、骨境界1265及び1266の正しい位置を認識することが困難になる。
【0018】
現在の医用画像視覚化デバイスは、ユーザが異なる(W,L)設定間を迅速に切り替えることを可能にし、また、ユーザが、表示された画像のコントラストを自由かつ対話的に(例えばコンピュータマウスを介して)調整することもある。言い換えると、ユーザは、表示された画像に対してカスタム(W,L)パラメータを設定している。そのような技術的特徴は有用であるが、ユーザが適切でない(W,L)パラメータを用いて輪郭を輪郭形成、レビュー又は編集したりすることを妨げるものは何もないので、それらの技術的特徴は限定されている。さらに、特定の(W,L)パラメータに関するガイドラインは、コンピュータ断層撮影のためのハウンスフィールド単位のような標準化された強度値を用いる画像モダリティでのみ定義される可能性があり、MRIは定量的な技術ではなく、得られる画像強度の範囲は非常に多様である。言い換えると、現在の解決策は、コントラストの視覚化を改善するために、表示された画像に変数(W,L)を適用することを可能にすることによって輪郭形成を容易にするが、最適でない画像ウィンドウ幅/レベルで輪郭形成が実行されていることをユーザに積極的に通知しない。したがって、これは、輪郭形成及びレビュープロセスにおけるエラーの原因となる可能性がある。そのようなエラーが検出されない場合、放射線治療計画に影響が及び、患者に害を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Bevins N, Flynn M, Silosky M, Marsh R, Walz-Flannigan A, Badano A. AAPM Report 270: Display Quality Assurance. American Association of Physicists in Medicine; 2019. https://www.aapm.org/pubs/reports/RPT_270.pdf
【非特許文献2】Bongartz G at al; “European guidelines on quality criteria for computed tomography”, 2000, EUR 16262 EN, https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/d229c9e1-a967-49de-b169-59ee68605f1a
【非特許文献3】Bevins NB, Silosky MS, Badano A, Marsh RM, Flynn MJ, and Walz-Flannigan AI. Practical application of AAPM Report 270 in display quality assurance: A report of Task Group 270. Med Phys 2020.
【非特許文献4】Lustberg T, et al. “Clinical evaluation of atlas and deep learning based automatic contouring for lung cancer”, Radiotherapy and Oncology, 126(2):312-7, 2018.
【非特許文献5】Sharp G, et al. “Vision 20/20: perspectives on automated image segmentation for radiotherapy.” Medical physics, 41, 5, 2014.
【非特許文献6】Ramkumar, A. et al. "User Interaction in Semi-Automatic Segmentation of Organs at Risk: a Case Study in Radiotherapy." Journal of Digital Imaging, vol. 29, pp. 264-277, 2016
【非特許文献7】Brouwer CL, Steenbakkers RJ, van den Heuvel E, Duppen JC, Navran A, Bijl HP, Chouvalova O, Burlage FR, Meertens H, Langendijk JA, van't Veld AA. 3D variation in delineation of head and neck organs at risk. Radiation Oncology. 2012 Dec;7(1):1-0.
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【非特許文献9】Chrzan, Robert, and Andrzej Urbanik. “The assessment of diagnostic medical images using 10-bit grayscale - fact or myth?.” Polish journal of radiology vol. 83 e127-e132. 5 Apr. 2018, doi:10.5114/pjr.2018.75877
【非特許文献10】Kimpe, Tom, and Tom Tuytschaever. “Increasing the number of gray shades in medical display systems--how much is enough?.” Journal of digital imaging vol. 20,4 (2007): 422-32. doi:10.1007/s10278-006-1052-3
【非特許文献11】Vinod, Shalini & Min, Myo & Jameson, Michael & Holloway, Lois. (2016). A review of interventions to reduce inter-observer variability in volume delineation in radiation oncology. Journal of Medical Imaging and Radiation Oncology. 60. 10.1111/1754-9485.12462.
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【非特許文献13】Qureshi, Bilal Mazhar et al. “Impact of Peer Review in the Radiation Treatment Planning Process: Experience of a Tertiary Care University Hospital in Pakistan” Journal of Global Oncology 2019 :5, 1-7
【非特許文献14】Patrick, H. M. and Souhami, L. and Kildea, J. (2021) “Reduction of inter-observer contouring variability in daily clinical practice through a retrospective, evidence-based intervention”, Acta Oncologica, 60:2, 229-236, DOI: 10.1080/0284186X.2020.1825801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、医用画像上の1つ以上の輪郭を輪郭形成、レビュー又は編集している間に、1つ以上の輪郭とともに画像を表示するために使用される現在の画像ウィンドウ幅及びレベルパラメータのうちの1つ以上が、輪郭の輪郭形成、編集又はレビューのタスクにとって不適切であることをユーザに通知する方法及びシステムが必要である。このようなシステム及び方法は、本発明によって説明及び開示される。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によると、ディスプレイデバイスに表示される医用画像を輪郭形成する方法が提供され、本方法は:輪郭形成されるべき1つ以上の構造を有する少なくとも1つの医用画像を提供するステップと;少なくとも1つの医用画像について、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLを提供するステップと;W、Lパラメータに従って医用画像を表示するステップと;以下の輪郭形成ステップを実行するステップとを含み、輪郭形成ステップは、画像上の構造について輪郭が生成されるとき、輪郭の各位置について少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定するステップと、輪郭が生成されるとき、決定された局所画像強度に従って、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLが、医用画像上の輪郭の各位置の輪郭形成に適しているかどうかを判断するステップと、パラメータのうちの少なくとも1つが輪郭形成に適していない場合、パラメータW及びLのうちの少なくとも1つが、輪郭上の最も最近生成された位置に適していないという警告を提供するステップと、輪郭上の最も最近生成された位置の構造の輪郭形成に適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、該調整されたW、L設定に従って医用画像を表示するステップとを含む。
【0022】
本発明の更なる実施形態では、ディスプレイデバイスに表示される、以前に輪郭形成された医用画像をレビューするための方法も提供され、本方法は:少なくとも1つの医用画像と、レビューされるべき医用画像上の少なくとも1つの輪郭とを提供するステップと;医用画像について、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLを提供するステップと;W、Lパラメータに従って医用画像を表示し、少なくとも1つの輪郭を表示するステップと;レビューのために、以前に輪郭形成された画像上の少なくとも1つの輪郭を選択するステップと;以下の輪郭レビューステップを実行するステップとを含み、輪郭レビューステップは、レビューされるべき、選択された輪郭の少なくとも1つの部分について、少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定するステップと、決定された局所画像強度に従って、現在のウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適していないと決定するステップと、パラメータW及びLのうちの少なくとも1つが、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適していないという警告を提供し、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、該調整されたパラメータを使用して輪郭部分の更なるセクションをレビューし、調整されたW、L設定に従って医用画像を表示するステップとを含む。
【0023】
本発明の実施形態では、輪郭形成されるべき1つ以上の構造が輪郭形成されるか、又は以前に輪郭形成された画像上の少なくとも1つの選択された輪郭のすべてがレビューされるまで、輪郭形成ステップ又は輪郭レビューステップが繰り返される。
【0024】
好ましくは、少なくとも1つの構造を輪郭形成するのに適したものとなるように、又は輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、ユーザによって行われる。本発明の代替的な実施形態では、少なくとも1つの構造を輪郭形成するのに適したものとなるように、又は輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、自動調整である。
【0025】
本発明の実施形態では、方法は、現在のウィンドウ幅及びウィンドウレベルパラメータを使用してレビューするのに適した、選択された輪郭の1つ以上の部分を検出するステップと、検出された1つ以上の輪郭部分をレビューするステップとを含む、輪郭レビューステップを更に含む。
【0026】
更に好ましくは、方法は、検出された輪郭部分がレビューされた後に、1つ以上の輪郭部分を編集又は補正するステップも含む。
【0027】
好ましくは、方法は、パラメータW、Lが、輪郭生成又は輪郭レビューの現在のタスクに適しているかどうかを判断するステップと、検出されたパラメータのうちの1つ以上が現在のタスクに適していない場合、パラメータの1つ以上が適していないという警告を提供し、現在のタスクに適した少なくとも1つの新しいパラメータを提案するステップと、を更に含む。
【0028】
好ましくは、1つ以上のパラメータについてのパラメータの提案は自動的である。更に好ましくは、1つ以上のパラメータついてのパラメータの提案は自動的に適用される。
【0029】
本発明の実施形態において、ウィンドウ幅パラメータ及びウィンドウレベルパラメータのうちの少なくとも1つの適切性の判断は、機械学習アルゴリズムを用いて行われる。
【0030】
好ましくは、機械学習アルゴリズムは、画像の局所画像強度及び空間情報のうちの少なくとも一方からの情報を使用する。
【0031】
好ましくは、方法は、輪郭が生成されるか、又はレビューのために選択されるとき、輪郭の最も最近生成された部分又はレビューのための輪郭の一部のいずれかの周囲のパッチを決定し、パッチ内の局所画像強度を評価して、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つが適しているか又は調整される必要があるかを決定するステップを更に含む。
【0032】
更に好ましくは、パラメータの適切性を決定するために使用されるパッチ内の局所画像強度は、平均強度値、最大強度値、最小強度値、中央強度値、構成可能な強度の百分位数(configurable percentile of intensities)、パッチ強度値の分布とW、L値の所定のパラメトリック関数との間の統計的測定、のうちの1つ以上から計算される。
【0033】
好ましくは、局所画像強度は、現在のW、Lパラメータのうちの少なくとも1つについて、所定の又はユーザ構成可能な閾値関数と比較される。
【0034】
更に好ましくは、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、新しいW、L設定についての提案を有するポップアップウィンドウ;ディスプレイを介してアクセスされるコンテキスト依存メニュー(context sensitive menu);画像又は輪郭の領域の上のマウスホバー;マウスクリック、キーボードホットキー又は音声制御のような対話機構;のうちの1つ以上に応答してユーザによって行われる。
【0035】
更に好ましくは、ユーザに提供される警告は、視覚的又は音声的な警告である。好ましくは、警告は、ユーザインタフェース内のメッセージ;生成又は編集されている輪郭の色の変更;生成又は編集されている輪郭のスタイル又は厚さの変更;生成又は編集されている輪郭の周囲の領域の色の変更;のうちの1つ以上によって提供される。
【0036】
好ましくは、医用画像は、CTスキャン、MRIスキャン又はPETスキャンである。
【0037】
更に好ましくは、輪郭が作成又はレビューされたとき、輪郭は保存されるか又は出力として提供される。
【0038】
本発明の実施形態では、輪郭の編集又は生成が完了した後、医用画像上で複数の輪郭が作成又はレビューされるように、上記のステップが繰り返される。
【0039】
好ましくは、輪郭形成又はレビュープロセスの開始時におけるウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つは、画像モダリティ依存;ワークフロー依存;システムの以前の使用からの設定;記憶された画像のパラメータからユーザ構成又は定義したもの;のうちの1つである。
【0040】
本発明の実施形態では、医用画像は、2D医用画像、3D医用画像又は医用画像の時系列である。
【0041】
更に好ましくは、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つの最小値は、輪郭形成、編集又は輪郭レビューのために設定される。好ましくは、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つの最大値は、輪郭形成、編集又は輪郭レビューのために設定される。本発明の好ましい実施形態では、輪郭形成は、手動輪郭形成、半自動輪郭形成又は自動輪郭形成のうちの1つである。
【0042】
本発明の更なる実施形態では、医用画像を分析するためのシステムも提供され、本システムは、輪郭形成されるべき少なくとも1つの医用画像を表示するためのディスプレイと、ディスプレイデバイスのためのウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLを、輪郭形成されるべき少なくとも1つの医用画像上の構造の輪郭の開始位置のための正しい値に設定するためのプロセッサと、を備え、プロセッサは、輪郭が生成されるとき、輪郭の各位置について少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定し、プロセッサは、輪郭が生成されるとき、決定された局所画像強度に従って、医用画像上の輪郭の各位置について、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLが正しいかどうかを判断し、パラメータのうちの少なくとも1つが正しくない場合、パラメータW及びLのうちの少なくとも1つが、輪郭上の現在の位置にとって正しくないことをユーザに警告し、輪郭上の現在の位置にとって正しいものとなるように、ウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整する。
【0043】
本発明の更なる実施形態では、ユーザが以前に輪郭形成された医用画像をレビューすることを可能にするシステムも提供され、本システムは、デフォルトのウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLを用いて、レビューされるべき少なくとも1つの以前に輪郭形成された医用画像を表示するためのディスプレイと、レビューのために、以前に輪郭形成された画像上の少なくとも1つの輪郭を選択するためのプロセッサと、を備え、プロセッサは、デフォルトのウィンドウ幅及びウィンドウレベルパラメータを使用して、レビューに適した、選択された輪郭の1つ以上の部分を検出し、それにより、ユーザが、検出された1つ以上の輪郭部分をレビューすることを可能にし、デフォルトのウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つが、レビューされるべき輪郭の更なるセクションに適していないことを検出し、パラメータW及びLのうちの少なくとも1つが輪郭の更なるセクションに適していないことをユーザに警告し、輪郭の更なるセクションにとって正しいものとなるようにウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、ユーザが、調整されたパラメータを使用して輪郭部分の更なるセクションをレビューすることを可能にするように構成される。
【0044】
本発明の実施形態において、ディスプレイは、調整されたW、L設定に従って医用画像を表示する。
【0045】
更に好ましくは、プロセッサは、現在のウィンドウ幅パラメータW及びウィンドウ長パラメータLのうちの少なくとも1つを自動的に検出し、検出されたパラメータが輪郭生成又は輪郭レビューの現在のタスクに適しているかどうかを判断するように構成される。
【0046】
本発明に実施形態では、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに上述の方法を実行させる、命令を含むコンピュータプログラム製品も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の更なる詳細、態様及び実施形態は、単なる例として図面を参照して説明される。図面において、同様の参照番号は、同様の又は機能的に類似する要素を識別するために使用される。図中の要素は、簡潔性及び明瞭性のために図示されており、必ずしもスケーリングして描かれていない。
【0048】
【
図1】医用画像処理システムの例の簡略化されたブロック図である。
【
図2】手動輪郭形成、輪郭のレビュー又は編集のために医用画像を視覚化ステーションにロードする簡略化されたプロセスを示す図である。
【
図3】CT画像を表示するための一般的な適用ウィンドウ(W,L)設定を示す図である。
【
図4】輪郭位置における強度が、表示されるCT画像の適用ウィンドウW、Lパラメータのエッジにある可能性がある概略図である。
【
図5】輪郭位置における強度が、非正規化強度値を有する表示画像の適用ウィンドウW、Lパラメータのエッジにある可能性がある概略図である。
【
図6】本発明による実施形態のフローチャートである。
【
図7】本発明による代替的実施形態のフローチャートである。
【
図8】本発明による代替的実施形態のフローチャートである。
【
図9a】輪郭形成動作中の2D画像スライスの概略図である。
【
図9b】輪郭レビュー動作中の2D画像スライスの概略図である。
【
図10】表示画像のシステム提案された適切な新しいウィンドウW、Lパラメータの概略図である。
【
図11】患者の胸部のアキシャル画像スライスの簡略化されたスタイルの例を示す図である。
【
図12a】患者のCT画像の強度プロファイルの例を示す図である。
【
図12b】画像を表示するためのCT-肺ウィンドウのW、L設定の適用後の患者のCT画像の強度プロファイルの例を示す図である。
【
図12c】画像を表示するためのCT-骨ウィンドウのW、L設定の適用後の患者のCT画像の強度プロファイルの例を示す図である。
【
図12d】画像を表示するためのCT-胸部ウィンドウのW、L設定の適用後の患者のCT画像の強度プロファイルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
ここで
図1を参照すると、本発明の方法で使用される、医用画像をユーザに表示することを可能にするように構成される医用画像処理システム100の例の簡略化されたブロック図が示されている。好ましくは、医用画像は、CT画像又はMRI画像であるが、PETスキャンのような他の撮像方法が使用されてもよい。図示された例では、医用画像処理システム100は、例えばデータベース102又は他のデータ記憶装置内に記憶された医用画像及び/又は輪郭にアクセスするように構成される、例えばワークステーション等を含む1つ以上のユーザ端末101を含む。図示された例では、単一のデータベース102が図示されている。しかしながら、ユーザ端末101は、2つ以上のデータ記憶装置から医用画像にアクセスするように構成されてもよいことが認識されよう。さらに、図示された例では、データベース102は、ユーザ端末101の外部にあるものとして示されている。しかしながら、ユーザ端末101は同様に、103で示されるメモリ要素又は109で示されるディスク要素のような1つ以上の内部記憶要素上に、110で示されるローカル記憶モジュール内にローカルに記憶される医用画像にアクセスするように構成されてもよいことが認識されよう。ユーザ端末101は、104で全体的に示される信号処理モジュールのような、1つ以上の信号処理モジュールを更に含む。信号処理モジュールは、例えばローカル記憶モジュール110内に記憶されたコンピュータプログラムコードを実行するように構成される。図示された例では、信号処理モジュール105は、自動化処理構成要素のうちの1つ以上を含むコンピュータプログラムコードを実行して、表示された輪郭のレビューに適した部分を検出するように構成される。図示された例では、信号処理モジュール104は更に、1つ以上の画像及び輪郭表示コンポーネント106を含むコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、画像表示コンポーネント106は、ウィンドウ/レベルW、L設定で画像を表示し、また、輪郭形成又は輪郭レビュープロセスのための現在のW、L表示設定の適切性に関するユーザへの視覚的警告を、例えばディスプレイ画面107等に表示するように構成される。医用画像処理システム100は更に、信号処理モジュール104上で実行されるコンピュータプログラムコード等とユーザが対話することを可能にするために、108で全体的に示されるような1つ以上のユーザ入力デバイスを備え得る。
【0050】
図2は、医用画像上の構造の輪郭を輪郭形成し、レビューし又は編集するために、医用画像を視覚化ステーション又は他のディスプレイにロードする簡略化されたプロセスを示す。好ましくは、この方法は、
図1に示されるような画像処理システムを使用する。プロセスは、ステップ201において、1つ以上の医用画像(2D又は3D、あるいは医用画像の時系列であり得る)をロードすることから始まる。医用画像をロードするプロセスは、医用画像が記憶されるファイルフォーマット規格(例えばDICOM)によって決定されるように、記憶値と実世界の値との間の変換を含むことが理解される。好ましくは、医用画像は、CT画像又はMRI画像のいずれか一方であり、10~16ビットの画像である。任意に、1つ以上の医用画像について関連する輪郭もロードすることができる。これらは、例えば自動輪郭形成システムによって生成されたものであり、したがって、レビュー及び潜在的に編集を必要とすることがある。次に、画像強度値が、適切な画像ウィンドウ幅/レベルで変換され(202)、画面上に表示するために(204)、ディスプレイシステム(8ビット、10ビット)に送信する前に(使用されるデータタイプのビット深度によって暗黙的に)量子化される(203)。既存の輪郭が画像データとともにロードされる場合、これらも、好ましくは画面上の画像のオーバーレイとして表示される。次いで、輪郭形成、編集又はレビュープロセスが開始することができる(205)。輪郭形成中に生成される1つ以上の輪郭は、手動、半自動又は自動で生成され得る。本発明の実施形態において、画像ウィンドウパラメータW、Lのうちの少なくとも1つは、ユーザが画像を輪郭形成している間(206)、あるいは画像上の既存の輪郭をレビュー/編集している間に、1回以上調整される必要がある可能性がある。輪郭形成又はレビュープロセスが終了すると、輪郭は、臨床ワークフローにおける更なる使用のために、保存又は記憶される(207)。
【0051】
図3は、本発明の実施形態による、CT画像を表示するために推奨されるいくつかの典型的なウィンドウW、Lパラメータセットについての強度変換300のいくつかの例を示す。単にこの図の明瞭性のために、x軸313も314において描かれている。この軸は、実世界値にマップされた記憶画像値を表しており、示される範囲(-1000から2000HU)はCT画像化の典型である。百分率で段階付けられるy軸311は、黒から白へのカラーバー310によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。この図では、骨の解剖学的構造304、肝臓305、胸部一般306及び肺307について、推奨されるW、Lパラメータの例が示されている。当然、他のパラメータセットがこれらの解剖学的構造又は他の解剖学的特徴について提供されてもよい。ウィンドウレベルL308及びウィンドウ幅W309のパラメータは、骨の解剖学的構造の強度変換304について示されている。ウィンドウレベルL308は、表示のために利用可能なグレーの階調の中間(50%)301にレンダリングされる。クランプ線形変換の場合、ウィンドウレベル値は常に利用可能なグレーの階調の中間(50%)にレンダリングされる。水平破線301と異なる変換304、305、306、307の線形部分との交点は、x軸上の対応するウィンドウレベルを定義する。この図では、交差は、骨304についてのみ312とラベル付けされており、他の設定305~307のすべてについて交差があることがわかるが、これらは、図の理解を容易にするためにラベル付けされていないだけである。単にこの図の明瞭性のために、クランプ線形強度変換は、L=480HU 308及びW=2500HU 309で骨ウィンドウ設定304(太線)について強調表示されており、したがって、-770~+1700HUの非クランプ画像強度の範囲を定義し、0%から100%のグレーの階調の間で表示されるように線形的にスケーリングされる。-770HU 316未満の画像強度はクランプされ、ディスプレイ上に最低値(黒色)として表示され、+1700HU 315より高い画像強度もクランプされ、ディスプレイ上に最高値(白色)で表示される。他のウィンドウ設定305、306及び307についてはこのクランピングは示されていないが、想定されるものとする。CTには一般的に使用されないが、変換の線形部分を非線形変換で置き換えることができる。水平の破線303(y軸上の100%に対応する)及び302(y軸上の0%に対応する)は、最大及び最小の表示値を表す。
【0052】
図11は、患者の胸部のアキシャル画像スライス1100の簡略化したスタイルの例を示す。いくつかの異なる組織型が、体の断面1105に概略的に表されている。凡例1106を使用して7つの組織型を識別することができる。この例では、患者は、左肺1102に腫瘍1101を有しており、これは、胸壁1104に浸潤し、胸郭1103の近くにある。腫瘍組織は3つの異なる正常組織型に隣接しており、これらの異なる正常組織型の各々は、正常組織型と腫瘍組織との間の境界が画面に「最適に」表示されることを可能にするためには、異なるW、L設定を必要とする。画像スライスがCTスキャンから取得され、骨ウィンドウ304及び肺ウィンドウ307が2つの極端なウィンドウ設定であると仮定すると、2つのウィンドウのいずれかを使用するとき、腫瘍境界の大部分は飽和して見える。例えば(W,L)=(1000,-500)の肺ウィンドウを使用するとき、0HUより高い画像強度はクランプされ;軟組織(腫瘍組織を含む)及び骨組織は、CTスキャン上で0HUより高い強度値を有する可能性が高く、肺ウィンドウを使用するとき、ディスプレイ上で飽和して見えるか、又は非常に低いコントラストで表示される。
【0053】
これを更に説明するために、
図12a、
図12b、
図12c及び
図12dは、
図12aにロードされるCT画像値の強度プロファイルの例を示し、
図12bではCT-肺ウィンドウ307、
図12cではCT-骨ウィンドウ304、
図12dではCT-胸部ウィンドウ306の適用後のCT画像値の強度プロファイルの例を示す。この例では、強度プロファイルは、1107から始まり1108で終わる、
図11に破線で示される解剖学的領域に対応する。CT画像強度プロファイル1201は、
図12aに示される。y軸1203は、ハウンスフィールド単位でロードされたCT画像強度値を表す。x軸1202は、ピクセル単位で等級付けされる空間位置を表し、強度プロファイル上の最初のピクセルは、肺に位置する位置1107に対応し、最後のピクセルは、画像背景に位置する位置1108に対応する。
図11に見られるように、この線プロファイルは、肺、腫瘍、骨、脂肪、筋肉、脂肪、そして最終的には空気(身体の外部)といういくつかの組織型にわたる。これらの異なる領域は、線プロファイル1201上で観察されることができ;これらは、文字A~Fによってラベル付けされ、凡例1210に要約される。異なる組織間の境界は、1204~1209でラベル付けされた垂直の破線で示されている。
図12bは、表示のために(W,L)=(1000,-500) 307のCT-肺ウィンドウの適用後の強度プロファイル1221を示す。x軸1222は、
図12aの1202と同じである。ここでは1224~1229でラベル付けされている異なる組織間の境界も、
図12aと同じ位置にある。百分率で等級付けされたy軸1223は、黒から白へのカラーバー1230によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。強度プロファイル1221と水平線1231及び1232との交点は、クランプされたピクセルを示す。この例では、腫瘍と骨との間の境界1225は、腫瘍の強度値と骨の強度値の両方が表示された値の範囲外であり、したがってクランプされるので、表示された画像上で見ることができない。また、筋肉ピクセルのクランピングのため、及び両方の組織がグレーの最高階調で表示されるので境界位置における低画像コントラストのために、筋組織と周囲の脂肪組織との間の境界1227及び1228を正確に描画することができない。肺ウィンドウでは、画像コントラストは、1224及び1229の正しい境界位置を認識するのに適している。
【0054】
図12cは、(W,L)=(2500,480) 304のCT-骨ウィンドウの適用後の強度プロファイル1241を示す。x軸1242は、
図12aの1202と同じである。ここでは1244~1249とラベル付けされている異なる組織間の境界も、
図12aと同じ位置にある。百分率で等級付けされたy軸1243は、黒から白へのカラーバー1250によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。強度プロファイル1241と水平線1251及び1252との交点は、クランプされたピクセルを示す。この例では、骨組織との1245及び1246のみが、正確に描画又はレビューされる許容可能なコントラストを有する。骨ウィンドウ大きなウィンドウ幅W=2500は、軟組織(筋肉、腫瘍、脂肪等)を区別することを不可能にし、したがって、1247及び1248のような境界を正確に描画又はレビューすることができない。軟組織間の正確な区別は、より小さなW値で画像を表示することを必要とする。これは、(W,L)=(350,40) 306のCT-胸部ウィンドウの適用後の強度プロファイル1261を示す
図12dに図示されている。x軸1262は、
図12aの1202と同じである。ここでは1264~1269とラベル付けされている異なる組織間の境界も、
図12aと同じ位置にある。百分率で等級付けされたy軸1263は、黒から白へのカラーバー1270によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。強度プロファイル1261と水平線1271及び1272との交点は、クランプされたピクセルを示す。この例では、肺組織A及び画像背景Fはクランプされており、これは境界位置1264又は1269で輪郭をレビュー又は描画することを困難にする。また、骨組織Cはクランプされ、これは骨境界1265及び1266の正しい位置を認識することが困難にする。
【0055】
本発明の実施例によると、医用画像上の構造を輪郭形成しながら、医用画像の表示に使用される現在のウィンドウ幅/レベルパラメータが、正しい境界で医用画像上の構造の正確な描写のために十分なコントラストを提供するかどうかを自動的に検出する方法が提供される。画像を表示するために、使用されるウィンドウレベル値に画像強度が近い位置でユーザが輪郭形成をする間、表示される画像コントラストは最適であると予想される。画像コントラストは、ウィンドウ中心から、クランプされた画像強度が画面上で飽和して見える2つのウィンドウエッジのうちの1つに向かって移動する間、徐々に減少する。
【0056】
これは、
図4の図によって例示される。この図は概略
図400を示しており、この場合、輪郭位置における画像強度は、非正規化強度値を有する表示画像の適用W、Lパラメータのエッジにあり得る。x軸414は、実世界の画像値を表す。示される範囲(-1000~2000HU)は、CT画像の典型的なものである。百分率で等級付けされたy軸411は、黒から白へのカラーバー410によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。画像は、ウィンドウ幅W409及びウィンドウレベルL408を有する、強度変換404に対応するW、Lパラメータを使用してディスプレイデバイス上に表示され、ウィンドウレベルL408は、表示のために利用可能なグレーの階調の中間(50%)401にレンダリングされる。ウィンドウレベルよりもウィンドウ幅の半分だけ大きい画像強度値はクランプされ、白403として表示される。ウィンドウレベルよりもウィンドウ幅の半分だけ低い画像強度はクランプされ、黒402として表示される。したがって、画像コントラストは、407で表されるグレーの階調の範囲の50%付近のみが最適であると仮定される。412より低い画像強度値は、最も暗いグレーの階調405で表示され、413より大きい画像強度値は、最も明るいグレーの階調406で表示される。このクランプピングは、この図には明示的に示されていないが、
図3から解釈されることができる。グレーの階調の範囲405及び406の両方において、表示される画像のコントラストは、輪郭形成又は輪郭をレビューするためには不適切であると見なされる。
【0057】
図5は、輪郭形成に使用される画像モダリティがMRIのような定量化されていない強度値を有するとき、
図4と同等である。画像強度値は取得及び再構成パラメータに高度に依存するからである。ウィンドウ幅及びウィンドウレベルは、典型的に、画像強度値の百分率で定義される。x軸514は、最小画像強度値から最大画像強度値までの範囲の実世界の画像強度値を表し、最小値を0% 515にマッピングし、最大値を100% 516にマッピングする百分率で等級付けされている。百分率で等級付けされたy軸511は、黒から白へのカラーバー510によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。画像は、ウィンドウ幅W509及びウィンドウレベルL508を有する、強度変換504に対応するW、Lを使用して表示され、ウィンドウレベル508は、表示のために利用可能なグレーの階調の中間(50%)501にレンダリングされる。ウィンドウレベルよりもウィンドウ幅の半分だけ大きい画像強度値はクランプされ、白503として表示される。ウィンドウレベルよりもウィンドウ幅の半分だけ低い画像強度はクランプされ、黒502として表示される。したがって、画像コントラストは、507で表されるグレーの階調の範囲の50%付近のみが最適であると仮定される。512より低い画像強度値は、最も暗いグレーの階調505で表示され、513より高い画像強度値は、最も明るいグレーの階調506で表示される。このクランピングは、この図には明示的に示されていないが、
図3から解釈されることができる。グレーの階調の範囲505及び506の両方において、表示される画像のコントラストは、輪郭形成又は輪郭をレビューするためには不適切であると見なされる。
【0058】
本発明は、画像スライスを表示するために使用される現在のウィンドウ幅及びレベルが不適切である場合に、医用画像上の構造を輪郭形成するか又は描写している間に、ユーザへのフィードバックを可能にするシステムである。好ましくは、フィードバックは、ユーザに自動的に提供される。
【0059】
本発明の一実施形態が
図6によって図示される。システムは、ステップ601において、少なくとも1つの医用画像(2D又は3D、あるいは医用画像の時系列であり得る)をロードし、医用画像は、輪郭形成されるべき1つ以上の構造を示す。好ましくは、画像は、CT画像又はMR画像である。システムは、画像を表示するためにデフォルトのW、L設定を適用する。この画像ローディングプロセスは、ユーザによって開始されたか、あるいは自動的であった可能性があり、デフォルトのW、L設定は、画像モダリティ依存又はワークフロー依存であってよく、システムの以前の使用から持続してもよく、あるいはユーザ構成されてもよく、あるいは記憶された画像のパラメータからロードされてもよい。画像は次いで、デフォルトのW、Lパラメータで表示される。このようなシステムは、医用画像視覚化ツールの通常のビューイング能力を有し、ユーザは、ビューを変更することを選択し得ることが予想される。ある時点では、ユーザは、医用画像上の1つ以上の構造の輪郭形成プロセスを開始したいことがある。本発明の一実施形態において、ユーザは、ステップ603において手動、半自動又は自動輪郭形成ツールを選択し、ステップ604において選択された構造の輪郭形成を開始する前に、必要に応じてステップ602においてW、Lパラメータのうちの少なくとも1つを調整することができる。システム及び方法は、輪郭が生成されるときに、輪郭の各位置について少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定する。方法はまた、ステップ605において、輪郭が描かれるときに、新たに描かれた又は編集された輪郭の位置における局所画像強度に基づいて、現在のW、Lパラメータが医用画像上の構造の各位置の輪郭形成にとって適切であるかどうかを決定し、好ましくは、これは動的決定である。
【0060】
現在のW、Lパラメータが適切である間は、システムは輪郭形成プロセスを妨げない。W、Lパラメータのうちの1つ以上が輪郭形成に適していない場合、ユーザは、パラメータW及びLのうちの少なくとも1つが輪郭上の最も最近生成された位置にとって適していないことを警告される。システムは、ステップ606において、新たに描かれた又は編集された輪郭が、少なくとも表示された1つの医用画像のコントラストが局所的に、すなわちW、Lパラメータのうちの少なくとも1つが輪郭形成にとって適切でない画像位置にあるとすぐに、ユーザに警告する。好ましくは、警告は、視覚的又は音声的な警告である。本発明の一実施例では、警告は、以下のうちの1つ以上:すなわち、ユーザインタフェース内のメッセージ;生成又は編集されている輪郭の色の変更;生成又は編集されている輪郭のスタイル又は厚さの変更;生成又は編集されている輪郭の周囲の領域の色の変更;のうちの1つ以上によって提供される。
【0061】
ユーザは、輪郭形成を停止し、医用画像上の構造の輪郭形成を再開する前に、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つを調整し得る(607)。本発明の一実施例では、警告に応答して、輪郭上の最も最近生成された位置の輪郭形成に適するものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、調整されたW、L設定に従って、医用画像がディスプレイデバイスに表示される。
【0062】
本発明の一実施例では、本方法は、パラメータW、Lが、輪郭生成の現在のタスクに適しているかどうかを判断するステップを更に含んでもよく、検出されたパラメータが現在のタスクに適していない場合、パラメータが適していないという警告が提供され、現在のタスクに適した少なくとも1つの新しいパラメータが提案される。好ましくは、警告はユーザに提供される。
【0063】
本発明の一実施例では、輪郭生成の現在のタスクに適するものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、ユーザによって実行される。あるいは、現在のタスクに適するように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、自動調整である。
【0064】
本発明の一実施例では、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、以下のうちの1つ以上に応答して:すなわち、適切な通知テキストと承認/拒否ボタンが画面上に現れるポップアップウィンドウ;ディスプレイを介してアクセスされるコンテキスト依存メニュー;のうちの1つ以上に応答して、ユーザによって実行される。パラメータ調整のためのメニューは、新しい推奨ウィンドウ(W,L)設定を有する輪郭の部分の隣に表示されている注釈からアクセスされることができる。本発明の一実施例では、コンテキスト依存メニューは、システムが、新しい提案ウィンドウW、L設定を有する輪郭の部分上でマウスオーバー(マウスホバーとしても知られる)を検出するとすぐに表示される。本発明の代替例では、1つ以上の更新されたパラメータ設定は、システムが、対話機構(マウスクリック、キーボードホットキー又は音声制御)を用いてユーザがこれらを承諾するオプションとともに、新しい提案ウィンドウ(W,L)設定を有する輪郭の部分上でマウスオーバーを検出するとすぐに、直接適用される。本発明の更なる例では、システムは、提案されたW、Lパラメータ設定を適用/承諾/拒否するためのオーディオフィードバック及び音声制御システムを備える。本発明のまた更なる例では、システムのユーザインタフェースの別のペインは、提案された設定をナビゲートし、適用/承認/拒否するためのオプションとともに、すべての新しい提案をリストするために使用される。
【0065】
本発明の実施形態では、ユーザは、ステップ608において、ステップ604~607を繰り返して、構造の輪郭形成を完了し得る。本発明の実施例では、構造を輪郭形成するプロセス(ステップ602~608)は、医用画像上の複数の構造を輪郭形成するために繰り返されてよく、その結果、複数の輪郭が医用画像上に作成される。次いで、システムは、臨床ワークフローにおける更なる使用のために、ユーザによって作成された構造の描写/輪郭を保存、記憶又は出力する(609)。
【0066】
本発明の第2の実施形態が
図7によって図示される。この実施形態は、以前に輪郭形成された医用画像上の既存の輪郭をレビューするためのシステム及び方法を提供する。システムは、ステップ701において、少なくとも1つの医用画像(2D又は3D、あるいは医用画像の時系列であり得る)を、レビューのために、関連付けられる既存の輪郭セットとともにロードする。好ましくは、画像はCT画像又はMRI画像である。システムは、関連付けられる輪郭とともに画像を表示するために、画像ファイルに記憶されているデフォルト又は事前構成されたW、L設定又はW、Lパラメータを適用する。このようなシステムは、医用画像視覚化ツールの通常のビューイング能力を有し、ユーザが、ビューを変更することを選択し得ることが予想される。この画像ローディングプロセスは、ユーザが開始されたか、あるいは自動的であった可能性があり、デフォルトのW、L設定は、画像モダリティ依存又はワークフロー依存であってもよく、システムの以前の使用から持続してもよく、あるいはユーザ構成されてもよく、あるいは記憶された画像のパラメータからロードされてもよい。画像は次いで、既定のW、Lパラメータで表示される。
【0067】
任意に、ユーザは、まず、輪郭レビュー702のために1つ又は複数の構造を選択し、次いで、ステップ704において輪郭レビュープロセスを開始する前に、必要に応じて、ステップ703においてW、Lパラメータの少なくとも1つを調整し得る。システム及び方法は、レビューすべき輪郭について、輪郭の各位置について少なくとも1つの医用画像の局所画像強度を決定する。システムは、現在のW、L設定に基づいて、表示された輪郭のどの部分を適切にレビューすることができ、輪郭のどの部分を適切にレビューすることができないかを検出する(705)。好ましくは、これは自動的に検出される。現在のW、Lパラメータが適切である間は、システムは輪郭のレビュープロセスを妨げない。必要なとき、システムは、表示された画像コントラストが表示された輪郭をレビューするのに適していないことをユーザに警告する(706)。決定された画像強度に従って、W、Lパラメータのうちの1つ以上が、既存の輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適していないと判断される場合、パラメータW及びLのうちの少なくとも1つが、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適していないとユーザに警告される。本発明の一実施例では、次いで、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整し、調整されたパラメータを使用して輪郭の更なるセクションをレビューする。
【0068】
本発明の一実施例では、方法は、パラメータW、Lが輪郭レビューの現在のタスクに適しているかどうかを判断するステップを更に含んでもよく、検出されたパラメータが現在のタスクに適していない場合、パラメータが適していないという警告が提供され、現在のタスクに適した少なくとも1つの新しいパラメータが提案される。好ましくは、警告はユーザに提供される。
【0069】
本発明の一実施例では、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、ユーザによって行われる。あるいは、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、自動調整である。
【0070】
好ましくは、警告は、視覚的又は音声的な警告である。本発明の一実施例では、警告は、以下のうちの1つ以上:すなわち、ユーザインタフェース内のメッセージ;生成又は編集されている輪郭の色の変更;生成又は編集されている輪郭のスタイル又は厚さの変更;生成又は編集されている輪郭の周囲の領域の色の変更;のうちの1つ以上によって提供される。
【0071】
本発明の一実施例では、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、適切な通知テキストと承諾/拒否ボタンが画面上に現れるポップアップウィンドウ;ディスプレイを介してアクセスされるコンテキスト依存メニュー;のうちの1つ以上に応答して、ユーザによって行われる。メニューには、新しい推奨ウィンドウ(W、L)設定を有する輪郭の部分の隣に表示される注釈からアクセスすることができる。本発明の一実施例では、コンテキスト依存メニューは、システムが、新しい提案ウィンドウW、L設定を有する輪郭の部分でマウスオーバー(マウスホバーとしても知られる)を検出するとすぐに表示される。本発明の代替例では、設定は、システムが、対話機構(マウスクリック、キーボードホットキー又は音声制御)を用いてユーザがこれらを承諾するためのオプションとともに、新しい提案ウィンドウ(W,L)設定を有する輪郭の部分でマウスオーバーを検出するとすぐに直接適用される。本発明の別の実施例では、システムは、提案された設定を適用/承諾/拒否するためのオーディオフィードバック及び音声制御システムを備える。本発明の更に別の実施例では、システムのユーザインタフェースの別個のペインが、提案された設定をナビゲートし、適用/承諾/拒否するためのオプションとともに、すべての新しい提案をリストするために使用される。
【0072】
ユーザは、レビューを停止し、輪郭レビュープロセスを再開する前に、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つを調整し得る(707)。ユーザは、ステップ708において、輪郭レビューを完了する。輪郭レビュープロセス(ステップ702~708)は、医用画像上の複数の構造に対して繰り返されてよく、その結果、少なくとも1つの医用画像上で複数の輪郭がレビューされる。次いで、システムは、臨床ワークフローにおける更なる使用のために、ユーザによってレビューされた輪郭を保存し、記憶し又は出力する(709)。
【0073】
輪郭レビュープロセス(ステップ702~708)の間、ユーザは、表示された輪郭の1つ以上を調整する必要があることがある。好ましくは、この輪郭調整は手動で行われるが、半自動又は自動で行われてもよい。ユーザは、次いで、
図6に記載される輪郭形成プロセスに切り替えることができる。このような遷移は、ユーザが輪郭形成ツールを選択するとすぐにトリガされ得る。好ましくは、遷移は自動的にトリガされる。輪郭レビュープロセスはまた、例えば輪郭形成ツールを選択解除することによって、ユーザが輪郭形成モードを終了した後に、再開されることもできる。好ましくは、輪郭レビューは自動的に再開される。本発明の一実施例では、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、ユーザによって行われる。あるいは、輪郭の少なくとも1つの部分をレビューするのに適したものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、自動調整である。
【0074】
輪郭生成及び輪郭レビューのための本発明のこれらの実施例では、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つの最小値が、輪郭形成、編集又は輪郭レビューのために設定される。あるいは、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つの最大値が、輪郭形成、編集又は輪郭レビューのために設定される。
【0075】
本発明の更なる例が
図8によって図示される。この実施形態の主要な態様は、輪郭形成、編集又はレビュータスクを実行しながら、システム及び方法が、少なくとも1つの適切なウィンドウW、Lパラメータをユーザに提案することができることである。好ましくは、これは自動的な提案である。システムは、ステップ801において、関連する既存の輪郭セットを伴うか又は伴わない、少なくとも1つの医用画像(2D又は3D、あるいは医用画像の時系列であり得る)をロードする。好ましくは、画像は、CT画像又はMRI画像である。ユーザは、次いで、ステップ802において、輪郭形成、ロードされた輪郭の編集又はロードされた輪郭のレビューからなるタスクのうちの1つを開始する。好ましくは、輪郭形成は、手動輪郭形成、半自動輪郭形成又は自動輪郭形成である。システムは、画面上に画像及び関連する輪郭を表示するために使用される現在のウィンドウW、Lが、輪郭形成、編集又はレビューの選択されたタスクにとって適切であるかどうかをチェックし(803)、表示された画像コントラストが適切でない場合にはユーザに警告する(804)。本発明の一実施形態では、警告は、視覚的又は音声的な警告である。続くステップ805において、システムは、適切な少なくとも1つの新しいウィンドウW、L設定をユーザに提案する。好ましくは、輪郭が生成されるか又はレビューのために選択されると、輪郭の最も最近生成された部分又はレビューのための輪郭の部分のいずれかの周囲のパッチが決定され、パッチ内の局所画像強度がレビューされ、W、Lパラメータのうちの少なくとも1つが適切であるか又は調整される必要があるかが判断される。
【0076】
本発明の一実施例では、本方法は、パラメータW、Lが輪郭生成、編集又は輪郭レビューの現在のタスクに適しているかどうかを判断するステップを更に含んでもよく、検出されたパラメータが現在のタスクに適していない場合、パラメータが適していないという警告が提供され、現在のタスクに適した少なくとも1つの新しいパラメータが提案される。好ましくは、警告はユーザに提供される。
【0077】
タスクが輪郭形成又は既存の輪郭の編集であるとき、新しいウィンドウパラメータ設定の決定に関して競合がないことが予想される(これは、新たに描かれた輪郭又は編集された輪郭の単一の位置における局所画像強度に基づくためであり、ステップ605を参照されたい)。したがって、システムは任意に、少なくとも1つの新しいパラメータ設定805を自動的に適用するように構成されることができる。輪郭レビュータスクでは、現在のウィンドウ幅とレベルが、表示された輪郭の異なる部分において適切でない可能性があるため、競合が発生する可能性がある。システムは、次いで、W及びLパラメータについての複数の設定が提案されていることをユーザに警告し、ユーザが適切な設定を選択できるようにする。好ましくは、警告は、視覚的又は音声的な警告である。本発明の実施例では、警告は、ユーザインタフェース内のメッセージ、生成又は編集されている輪郭の色の変更、生成又は編集されている輪郭のスタイル又は厚さの変更、生成又は編集されている輪郭の周囲の領域の色の変更、のうちの1つ以上によって提供される。任意に、このようなシナリオでは、設定のうちの1つ以上を自動的に適用することもできる。現在輪郭形成されているか、編集されているか又はレビューされている輪郭上の関心部分を、例えばユーザの視線の位置を識別するためにシステムに接続された視線追跡ハードウェア及びソフトウェアを使用することによって自動的に決定することができ、あるいは画面上のユーザのマウスの位置によって示すことができる。したがって、異なる適切なW、L設定を有するいくつかの輪郭位置の間に競合が存在するときも、システムは引き続き、ユーザのマウス又は視線追跡システムによって示されるように、患者画像上の関心のある輪郭を識別することによって、提案された適切な設定を自動的に適用することができる。任意に、ユーザは、W、Lパラメータのうちの1つ以上を手動で調整し、次いでタスクを再開することができる(806)。
【0078】
本発明の一実施例では、輪郭の少なくとも1つの部分を輪郭形成、編集又はレビューするのに適するものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、ユーザによって行われる。あるいは、輪郭の少なくとも1つの部分を輪郭形成、編集又はレビューするのに適するものとなるように、ウィンドウ幅パラメータWとウィンドウレベルパラメータLのうちの少なくとも1つを調整することは、自動調整である。
【0079】
ユーザは、ステップ807において、輪郭形成/編集/レビュープロセスを完了する。ステップ802~807は、複数の構造について繰り返されてよい。次いで、システムは、臨床ワークフローにおける更なる使用のために、輪郭を保存、記憶又は出力する(808)。
【0080】
本発明の一実施例はまた、局所画像強度に基づいて、ウィンドウW、Lパラメータが適切でないときを自動的に検出してもよい。
図9及び
図10(
図4と同様であるが、1015、1016及び1017の番号が付けられた新しい詳細を伴う)が、基礎となる方法を詳述するために使用される。
図9aは、手動又は半自動輪郭形成動作中の2D画像スライス911を示す。ユーザは、901において画像上の構造の輪郭形成を開始し、905によって示されるように、構造の周囲を進む。示されるように、輪郭は反時計回りに生成されるが、他の方向で生成されてもよい。構造の輪郭の既に描かれている部分は、連続曲線902によって示されている。欠落している部分(ユーザによってまだ描かれていない)は、破線の曲線904によって示されている。輪郭の新たに描かれた部分の位置は、903によって示されている。図の影が付けられた部分913は、ユーザが輪郭を描いている間に好ましくは自動的かつ動的に決定される局所画像パッチである。その局所パッチ上の画像強度は、現在のW、Lパラメータ設定に基づいて、局所画像コントラストが十分であるか又は適切であるかどうかを判断するために、好ましくは自動的に分析される。
【0081】
図9bは
図9aと同等であるが、輪郭生成ではなく輪郭レビュータスク用である。これは、レビューされるべきロードされた又は自動的に生成された輪郭910とともに、2D画像スライス912を示す。システムは次いで、輪郭の2つの部分907及び916が、現在のW、L設定のうちの少なくとも1つが輪郭のこれらのセクションにとって適切でないために、正しくレビューすることができないことを自動的に検出する。破線セグメント908及び909によって区切られた部分907は、現在のW、Lパラメータが、(
図4では406によって示され、
図5では506によって示されるように)最も明るいグレーの階調で画像強度を表示するため、輪郭位置907における画像のコントラストが不適切である例を示している。破線セグメント914及び915によって区切られた部分916は、現在のW、Lパラメータが、(
図4では405によって示され、
図5では505によって示されるように)最も暗いグレーの階調で画像強度を表示するため、輪郭位置916における画像のコントラストが不適切である例を示している。
図9bは、一例として、現在のW、L設定のうちの少なくとも1つが適切でないために正しくレビューすることができない、少なくとも1つ又は複数の輪郭の少なくとも1つ又は複数の部分が存在することをシステムが検出し得ることを例示する。この検出は、ロードされた輪郭の周囲の狭いバンド906上の局所画像強度の自動分析に依存する。狭いバンドは複数のパッチ(重なるか否かにかかわらず)に分裂され、次いで、900aに示される手動輪郭形成プロセスと同様に、パッチが分析される。
【0082】
したがって、輪郭形成又はレビューの両方の場合において、W、L設定の検出は、輪郭の周りの画像パッチの局所画像強度の分析に依拠する。説明上の例として、画像がCT画像であると仮定すると、W、Lパラメータは、ウィンドウ幅W1009及びウィンドウレベルL1008を用いる強度変換1004によって、
図10に示されるとおりであり、ウィンドウレベル1008は、表示のために利用可能なグレーの階調の中間(50%)1001にレンダリングされる。x軸1014は、実世界の画像強度を表し、示された範囲(-1000~2000HU)は、CT画像化の典型である。百分率で等級付けされたy軸1011は、黒から白へのカラーバー1010によって示されるように、対応するグレーの階調を与える。また、局所パッチの強度値の最小がL+W/2よりも大きいと仮定する。したがって、局所パッチ内のすべてのピクセルはクランプされ、したがって飽和し、白1003として表示される。このクランピングは、この図には明示的に示されていないが、
図3から解釈することができる。ユーザは、次いで、純粋な白色背景上に描かれた輪郭を描く(又はレビューする)ことになるが、これは、撮像センサによってキャプチャされた画像データ内に存在するが、ディスプレイデバイス上では不正確にレンダリングされた、生物学的構造の境界を決定するのにも適切でない。したがって、システムはこの問題についてユーザに警告する。好ましくは、警告は、視覚的又は音声的な警告である。ピクセルがクランプされて、白として表示されている場合、このようなパッチの局所コントラストを改善するために、解決策は、ウィンドウレベルをシフトしてこれを調整することである。好ましくは、パラメータは、より高い値にシフトされる。これは、
図10において強度変換1015によって示されている。この例では、局所パッチの最小画像強度値は、L+W/2と比較される。局所パッチがグレーの最も白い階調1006で表示される場合、グレーの階調のダイナミックレンジの20%しか使用されないので、局所コントラストは依然として非常に低くなる。これは、例えば局所パッチの最小画像強度値が1013によって示される値よりも大きい場合である。同様の分析を、グレーの最も暗い階調1005に対して行うことができる。例えば局所パッチの最大画像強度値が1012によって示される値より小さいとき、L-W/2より低い画像強度値を有する局所パッチ内のピクセルはクランプされ、黒1002として表示される。このシナリオでは、新しいウィンドウ設定の適切な提案は、ウィンドウレベルをより低い強度値にシフトすることである。
【0083】
第3のシナリオは、例えば局所パッチのピクセルの多くの部分(例えば45%)が値(1013)よりも大きい強度値を有し、したがって、グレーの最も白い階調1016で表示されることである。また、局所パッチのピクセルの多くの部分(例えば45%)は、値1012よりも低い強度値を有し、したがって、グレーの最も暗い階調1005で表示される。このシナリオでは、局所ピクセルの10%のみが、1007によって表される最適な推奨範囲内のグレーの階調で表示される。局所パッチは、あたかも白黒で二値化されたように見える。したがって、適切なウィンドウ設定の良好な提案は、ウィンドウレベル1008を変更せずに維持し、ウィンドウ幅を1009から1016に増加させて強度変換1017を得ることである。説明されるシナリオは、ウィンドウ幅が局所パッチ内の利用可能な画像強度の範囲に対して小さすぎるように設定された場合に発生する可能性がある。第4の妥当なシナリオは、第3のシナリオとは逆であり、この場合、ウィンドウ幅が非常に大きく設定されているため、すべてのピクセル強度がほぼ同じグレーの階調でレンダリングされる。ここでもやはり、ユーザは、平坦なグレーの背景上に描かれる輪郭を描く(又はレビューする)ことになり、これは、撮像センサによってキャプチャされるが、ディスプレイデバイス上で不正確にレンダリングされる、画像データ内に存在する生物学的構造の境界を決定するのに適切ではない。これは、例えば骨ウィンドウ204を用いて軟組織間の境界面を描くときに典型的である(
図12cの例によって示されるように)。したがって、適切なウィンドウ設定の良好な提案は、ウィンドウ幅を確かに縮小することである。ウィンドウレベルも、例えば局所パッチにおける画像強度の中心傾向推定の周囲にそれを移動させるために調整を必要とすることがある。
【0084】
本発明の様々な実施例及び実施形態のすべてに関して、現在のウィンドウW、L設定が適切でないことの検出は、輪郭の周りの画像パッチの局所画像強度からの測定に従って行われてもよい。これらは、次のうち少なくとも1つを含む:
○画像パッチの平均強度値
○画像パッチの最大強度値
○画像パッチの最小強度値
○画像パッチの中央強度値
○画像パッチの強度の構成可能な百分位数
○画像パッチ強度値の分布とW、L値の所定のパラメトリック分布関数との間の統計的測定
【0085】
更に好ましくは、局所画像強度からの測定値は、強度変換の適用の前又は後に計算される。
【0086】
更に好ましくは、局所画像強度からの測定値は、現在のW、Lパラメータの所定の又はユーザ構成可能な閾値関数と比較される。可能な閾値の多くの異なる例があり、例えば画像パッチの最小強度値>L(グレーの階調の上半分のみが使用される)、画像パッチの最大強度値<L、画像パッチの中央強度値>L+W/2、局所パッチの半分が飽和している。画像パッチの中央値強度値<L+W/2に対して同じである。
【0087】
更に好ましくは、現在のウィンドウW、L設定のうちの少なくとも1つが適切でないことの検出は、機械学習アルゴリズムを使用して行われる。機械学習アルゴリズムは、局所画像パッチと現在のウィンドウW、Lパラメータを受け取る。局所パッチに関する情報は、強度測定値、並びにパッチ内の画像強度に関する空間情報を含み得る。本発明の一実施例では、機械学習アルゴリズムは、局所画像強度に関する情報を使用する。
【0088】
更に好ましくは、手動輪郭形成、編集又は輪郭レビューを実行するときに、最小許容W値を設定することができる。
【0089】
更に好ましくは、手動輪郭形成、編集又は輪郭レビューを実行するときに、最大許容W値を設定することができる。
【0090】
ウィンドウW、Lの設定が不適切であることをユーザに警告するために(
図6のステップ606、
図7のステップ706、
図8のステップ804)、様々な異なるアプローチが実装され得る。本発明の一実施例では、輪郭の部分が不適切なウィンドウW、L設定で描画されている、描画されていた又は表示されているという警告メッセージ又は記号が、システムユーザインタフェースに表示される。更なる実施形態では、輪郭が不適切なウィンドウW、L設定で描かれているか、描かれていた又は表示されている位置において、輪郭の色が変更される。更なる実施形態では、輪郭が不適切なウィンドウW、L設定で描かれているか、描かれていた又は表示されている位置において、輪郭の曲線スタイル又は厚さが変更される。更なる実施形態では、輪郭が不適切なウィンドウW、L設定で描かれているか、描かれていた又は表示されている位置において、輪郭の周囲の領域の色が変更される。更なる実施形態では、不適切なウィンドウW、L設定で描かれているか、描かれていた又は表示されている輪郭上に、記号注釈が重ね合わされる。更なる実施形態では、不適切なウィンドウW、L設定が使用されているというオーディオフィードバックがユーザに提供される。更なる実施形態では、システムは、輪郭の描画を防止することによって、描画するときにユーザに警告する。描画カーソルは、現在のウィンドウのW、L設定では描画を実行することができない、又は実行すべきでないことを指示するために変更され得る。輪郭をレビューするとき、システムは、ウィンドウW、L設定が不適切である輪郭の部分の曲線の曲線スタイル又は厚みを表示しないか又は変更することによって、不適切なウィンドウW、L設定についてユーザに警告し得る。これらのアプローチのうちの1つ以上が、単独で又は組み合わせて実施されてよい。
【0091】
ユーザが選択できるように、1つ又は複数のウィンドウ設定が提案されていることをユーザに警告するために、様々なアプローチが実装され得る。本発明の実施形態では、警告は、視覚的又は音声的な警告である。一実施形態では、適切な通知テキスト及び承諾/拒否ボタンを有するポップアップウィンドウが画面上に現れる。更なる実施形態では、新しい提案ウィンドウ(W、L)設定を有する輪郭の部分の隣に示された注釈上でコンテキスト依存メニューにアクセスすることができる。更なる実施形態では、コンテキスト依存メニューは、システムが、新しい提案ウィンドウW、L設定を有する輪郭の部分のマウスオーバー(マウスホバーとしても知られる)を検出するとすぐに表示される。代替的実施形態では、設定は、システムが、対話機構(マウスクリック、キーボードホットキー又は音声制御)を用いてユーザがこれらを承諾するためのオプションとともに、新しい提案ウィンドウ(W、L)設定を有する輪郭の部分でマウスオーバーを検出するとすぐに直接適用される。更なる実施形態では、システムは、提案された設定を適用/承諾/拒否するためのオーディオフィードバック及び音声制御システムを備える。代替実施形態では、システムのユーザインタフェースの別のペインが、提案された設定をナビゲートし、適用/承諾/拒否するためのオプションとともに、すべての新しい提案をリストするために使用される。これらのアプローチのうちの1つ以上が、単独で又は組み合わせて実施されてよい。
【0092】
本発明の実施例を、以下のいずれか又はすべて:すなわち、画像保管通信システム(PACS);高度な視覚化ワークステーション;画像取得ワークステーション;ウェブベース又はクラウドベースの医療情報及び画像システム;放射線治療計画システム(TPS);放射線治療線形加速器コンソール;放射線治療陽子線コンソール;のいずれか又はすべてに適用することができる。
【0093】
添付の図面を参照して本発明を説明してきた。しかしながら、本発明は、本明細書に記載され、添付の図面に図示されるような特定の実施例に限定されないことが認識されよう。さらに、本発明の例示される実施形態は、大部分が、当業者に公知の電子構成要素及び回路を使用して実装され得るので、本発明の基礎となる概念の理解及び認識のために、そして本発明の教示を曖昧にせず、混乱させないようにするために、上記に例示されるように必要と考えられる範囲を超えて詳細は説明されない。
【0094】
本発明は、コンピュータシステム上で実行するためのコンピュータプログラムで実装されてもよく、少なくとも、コンピュータシステムのようなプログラム可能な装置上で実行されるときに本発明による方法のステップを実行するか又はプログラム可能な装置が本発明によるデバイス又はシステムの機能を実行することを可能にするためのコード部分を含む。
【0095】
コンピュータプログラムは、特定のアプリケーションプログラム及び/又はオペレーティングシステムのような命令のリストである。コンピュータプログラムは、例えばサブルーチン、関数、プロシージャ、オブジェクトメソッド、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/動的ロードライブラリ、及び/又はコンピュータシステム上で実行するために設計された命令の他のシーケンスのうちの1つ以上を含み得る。したがって、いくつかの例は、コーンビームCT画像の自動輪郭形成のための記憶された実行可能プログラムコードを有する非一時的コンピュータプログラム製品を説明する。
【0096】
コンピュータプログラムは、有形の非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体に内部的に記憶されてもよく、あるいはコンピュータ読取可能伝送媒体を介してコンピュータシステムに伝送されてもよい。コンピュータプログラムのすべて又は一部が、情報処理システムに永久的に、取り外し可能に又は遠隔的に結合されたコンピュータ読取可能媒体に提供されてもよい。有形の非一時的コンピュータ読取可能媒体は、限定ではなく例として、以下のうちの任意の数を含んでよい:すなわち、ディスク及びテープ記憶媒体を含む磁気記憶媒体;コンパクトディスク媒体(例えばCD ROM、CD-R等)及びデジタルビデオディスク記憶媒体のような光学記憶媒体;FLASHメモリ、EEPROM、EPROM、ROMのような半導体ベースのメモリユニットを含む不揮発性メモリ記憶媒体;強磁性デジタルメモリ;MRAM;レジスタ、バッファ又はキャッシュ、メインメモリ、RAM等を含む揮発性記憶媒体;のうちの任意の数を含んでよい。
【0097】
コンピュータプロセスは、典型的に、動作中の(実行中の)プログラム又はプログラムの一部、現在のプログラム値及び状態情報、並びにプロセスの実行を管理するためにオペレーティングシステムによって使用されるリソースを含む。オペレーティングシステム(OS)は、コンピュータのリソースの共有を管理し、それらのリソースにアクセスするために使用されるインタフェースをプログラマに提供するソフトウェアである。オペレーティングシステムは、システムデータ及びユーザ入力を処理し、タスク及び内部システムリソースをサービスとしてシステムのユーザ及びプログラムに割り当てかつ管理することによって応答する。
【0098】
コンピュータシステムは、例えば少なくとも1つの処理ユニット、関連するメモリ及び複数の入出力(I/O)デバイスを含み得る。コンピュータプログラムを実行するとき、コンピュータシステムは、コンピュータプログラムに従って情報を処理し、I/Oデバイスを介して結果として得られる出力情報を生成する。
【0099】
以上、本明細書では、本発明の実施形態の特定の実施例に関して本発明を説明してきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされてよく、特許請求の範囲は上述の特定の実施例に限定されないことは明らかである。
【0100】
当業者は、論理ブロック間の境界は単に例示的なものであり、代替的な実施形態は論理ブロック又は回路素子をマージするか、あるいは様々な論理ブロック又は回路素子に機能の代替分解を課すことができることを認識するであろう。したがって、本明細書に示されるアーキテクチャは単なる例示であり、実際には、同じ機能を達成する多くの他のアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。
【0101】
同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能性を達成するために本明細書で組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく、所望の機能性が達成されるように互いに「関連付けられている」と見なされることができる。同様に、そのように関連付けられる任意の2つの構成要素はまた、所望の機能性を達成するために、互いに「動作可能に接続されている(operably connected)」又は「動作可能に結合されている(operably coupled)」と見なされることができる。
【0102】
さらに、当業者は、上述の動作間の境界は単に例示的なものであることを認識するであろう。複数の動作は、単一の動作に組み合わされてもよく、単一の動作は、追加の動作に分散されてもよく、動作は、時間的に少なくとも部分的に重複して実行されてもよい。さらに、代替的実施形態は、特定の動作の複数のインスタンスを含んでもよく、動作の順序は、様々な他の実施形態において変更されてもよい。
【0103】
しかしながら、他の修正、変形及び代替も可能である。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味であると見なされるべきである。
【0104】
特許請求の範囲において、括弧内にあるいずれの参照符号も、請求項を限定するものと解釈してはならない。「含む」という用語は、請求項に列挙されているもの以外の他の要素又はステップの存在を排除しない。さらに、本明細書で使用される「a」又は「an」という用語は、1つ又は複数として定義される。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つ」及び「1つ以上」のような導入語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による別の請求項の要素の導入が、同じ請求項が「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入語句及び「a」又は「an」のような不定冠詞を含む場合であっても、そのような導入された請求項の要素を含む特定の請求項を、そのような要素を1つのみ含む発明に限定することを意味すると解釈されるべきではない。定冠詞の使用についても同様である。特に明記しない限り、「第1」及び「第2」のような用語は、それらの用語が記載する要素間を任意に区別するために使用される。したがって、これらの用語は、必ずしも、そのような要素の時間的な又は他の優先順位付けを示すように意図されていない。特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。
【国際調査報告】