(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】カナリウムオバタム樹木からの樹脂を含む組成物、並びにシーラント及び難燃剤のためのその作製方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20241003BHJP
C09F 1/00 20060101ALI20241003BHJP
C09K 21/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C09K3/10 Z
C09F1/00
C09K21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545884
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 PH2021050042
(87)【国際公開番号】W WO2023059207
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524134292
【氏名又は名称】バンツゴン,マーク ケネディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バンツゴン,マーク ケネディ
【テーマコード(参考)】
4H017
4H028
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AA32
4H017AC01
4H017AC17
4H017AD06
4H017AE02
4H017AE04
4H028AA21
4H028AB04
4H028BA01
(57)【要約】
本発明は、カナリウムオバタム樹木からの樹脂を含む組成物に関する。当該組成物は、シーラント、シーラントのための基材、及び難燃剤を調製するために使用され得る。したがって、そのような組成物は、特に、燃料タンク、及び航空機の構造に組み込まれた燃料タンクの密封に用途を見出す。シーラントのための組成物を作製する方法は、カナリウムオバタム樹木からの樹脂を、好適な溶媒と混合して、基材を生成するステップ、続いて、この基材を活性剤と混合するステップを伴う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃特性を示す組成物であって、
カナリウムオバタム樹液及び溶媒を含む、組成物。
【請求項2】
前記カナリウムオバタム樹液が、74~92.5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記溶媒が、6.8~26重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記カナリウムオバタム樹液が、乾燥カナリウムオバタム樹液又は未乾燥のカナリウムオバタム樹液のいずれかである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記溶媒が、有機溶媒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
シーラントであって、
基材であって、
カナリウムオバタム樹液及び溶媒を更に含む、基材と、活性剤と、を含む、シーラント。
【請求項7】
前記シーラントが、88.0~90.9重量%の前記基材を含む、請求項6に記載のシーラント。
【請求項8】
前記活性剤が、9.1~12.0重量%である、請求項6に記載のシーラント。
【請求項9】
前記活性剤が、金属酸化物である、請求項6に記載のシーラント。
【請求項10】
前記基材の、前記カナリウムオバタム樹液の前記溶媒に対する重量比が、5.29~12.33の範囲である、請求項6に記載のシーラント。
【請求項11】
カナリウムオバタム樹液シーラントを作製するための方法であって、
a.カナリウムオバタム樹皮からカナリウムオバタム樹液を抽出するステップと、
b.抽出された前記カナリウムオバタム樹液に溶媒を添加して、前記カナリウムオバタム樹木シーラントのための基材を作製するステップと、
c.前記基材を均質化するステップと、
d.均質化された前記基材に活性剤を添加して、前記カナリウムオバタム樹液シーラントを生成するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、シーラント及び難燃性組成物、それらの調製方法、並びに特に航空機燃料タンクへのそれらの適用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
商業、軍事、及び一般航空セクターのための航空宇宙接着剤及びシーラントの需要が高まっており、商業セクターは、これらの中で最大のグループである。
【0003】
商業的なエンドユーザ産業で使用される最も一般的なシーリング材料の1つは、ポリスルフィド系シーラントである。これは最初の航空宇宙用シーラントであり、50年以上にわたって航空機産業で使用されている。航空燃料に耐性があり、したがって、燃料タンクの密封に役立つ。ポリスルフィド系シーラントの利点のいくつかは、アルミニウム、チタン、他の金属及び複合材料への優れた接着性、燃料蒸気、水蒸気、及び空気への低透過性、良好な低温柔軟性、良好な耐熱性、良好な弾性、適度な強度(燃料の存在下で)、良好な弾性、新しいシーラントの古いシーラントへの良好な接着性(すなわち、修理において)、並びに適用の容易さである。
【0004】
Chemetall CompanyのNaftoseal(登録商標)MC-238は、ポリスルフィド系シーラントの一例である。基本成分として75%濃度のポリスルフィドポリマーを含むこのタイプのシーラントは、そのクラスのシーラントの中でポリスルフィドポリマーの量が最も多い。
【0005】
以下に、Naftoseal(登録商標)MC-238の基材及び硬化剤材料を含む完全な組成を、その濃度パーセンテージ/パーセンテージ組成とともに表形式で列挙する。
【0006】
【0007】
ポリスルフィド系シーラントの欠点の中には、水及び不凍液の吸収があり、これは、膨張、有効性及び特性、特に引裂性及び接着性の低下をもたらす。加えて、これらのポリスルフィド系シーラントは、重度の眼刺激、呼吸器刺激、皮膚刺激の原因、水生動物への長期的な有害作用、並びに可燃性液体及び蒸気の原因として、製品安全データシート(MSDS)のセクション3(組成/成分に関する情報)に記載されている。また、吸入又は摂取による長期又は繰り返しの曝露によって、臓器、更には遺伝子欠損又はがんにも損傷を引き起こす。ポリスルフィド系シーラントに関連する健康上の危険は、航空機製造元、作業者、及び整備員に問題をもたらす。
【0008】
ポリスルフィド系シーラントと少なくとも同等の有効性を有するが、健康及び環境への有害性を最小限に抑えるシーラントの必要性が高まっている。
【0009】
「Resin Composite with Overloaded Solids for Well Sealing Applications」と題された米国特許第10428261B2(‘261)号の従来技術の参照文献は、流体材料中に混合されてシール材料を形成する1つ以上の固体粒子を含むシール材料を教示しており、1つ以上の固体粒子は、流体材料中に混合されると、シール材料の約22%~約30%の体積分率であり、密封シールされる場所では、シール材料は、1つ以上の固体粒子の第1の濃度を有する第1の部分と、1つ以上の固体粒子の第2の濃度を有する第2の部分であって、第2の濃度が第1の濃度未満である、第2の部分を含み、1つ以上の固体粒子は、酸化マグネシウム、砂、炭化ケイ素、及びグラファイトのうちの少なくとも1つを更に含む。しかしながら、‘261は、カナリウムオバタム樹木からの樹脂からなる組成物を有するシーラント、及びその作製方法を教示していない。
【0010】
本発明の目的
本発明の目的は、航空機産業で使用するシーラント用の組成物、特に燃料タンク用のシーラントを提供することであり、この組成物は、その機能に必要な特性を有し、同時に健康上及び環境上の危険を最小限に抑える。当該シーラントを作製するための方法を提供することが本発明の更なる目的である。
【0011】
〔発明の概要〕
本発明は、航空宇宙用シーラントに必要な特性を提供しながら、ポリスルフィド系シーラントの欠点を克服することを目的とする。したがって、本発明は、合成ポリスルフィドポリマーの代わりに、ピリの木としても知られるカナリウムオバタムからの樹脂が使用されるシーラント用の基材のための組成物を提供する。したがって、本発明は、健康及び環境上の危険をもたらす化学成分を最小限に抑えながら、燃料タンクで使用するための航空宇宙用シーラントの必要な機械的、熱的、及びレオロジー的特性を提供するために、当該樹脂と溶媒及び賦活剤との組み合わせを含む。本発明はまた、当該組み合わせを作製するための方法を提供する。
【0012】
〔発明を実施するための形態〕
本発明のシーラント用の組成物は、まず、結合剤組成物又は混合物を調製することによって調製される。これは、カナリウムオバタム樹木から採取された樹脂を好適な溶媒と混合することによって行われる。そのような溶媒の一例は、トルエンである。
【0013】
樹脂は、未乾燥樹脂又は乾燥樹脂としてもそれぞれ知られている、その生形態又は使用済み形態のいずれかであり得る。生の樹脂の乾燥は、乾燥樹脂からエッセンシャルオイルを分離する水蒸気蒸留プロセスによって達成される。乾燥樹脂及び未乾燥樹脂の両方は、更に考察されるように、難燃性シーラントを配合するのに好適である。
【0014】
樹脂の溶媒に対する比率は、変化させ得る。混合は、結合剤組成物が均一に見えるときに完了する。シーラント自体を調製するために、結合剤組成物を、次いで、活性剤又は活性化薬剤としても知られている好適な硬化剤と混合する。二酸化マンガンは、本発明のシーラントを調製し、試験するための活性剤として使用される。しかしながら、実際には、樹脂及び任意の好適な硬化剤又は活性剤のための任意の好適な溶媒が使用され得る。ここでの例は、溶媒及び活性剤における選択を限定するものと解釈されるべきではない。
【0015】
生のカナリウムオバタム樹脂を使用してシーラントを作製する詳細な方法は、以下のセクションで説明する。
【0016】
生のカナリウムオバタム樹液の抽出は、剥がれた皮、汚れ、及び他の異物を取り除き、タップする部分を軽く削り取ることによって行われる。最初のタッピングは、カナリウム種が高いバットレスで知られているため、地面から60cm以下の地点で行われる。
【0017】
形成層を損傷しないように、注意して、ナイフを使用して幅約2cm、長さ約15cmの水平な切削を行う。タッピングの幅の2倍のスペースを維持する必要がある。後続の幅約3mm~5mmのチッピングは、垂直にまっすぐに進行する必要がある。最初のタッピング切れ目は、周囲に沿って幅15cm、木の高さに沿って幅1~2cmでなければならない。
【0018】
木製の木槌を使用して、ナイフを叩き、切れ目の深さを制御し得る。他の切れ目は、15cmでの最初の切れ目と同じ寸法で作られ得るが、タップされた部分間の距離は、切れ目の長さの約30cm又は2倍でなければならない。
【0019】
樹木から滲出した樹脂がゆっくりと硬化するため、切れ目の下にプラスチック製のレセプタクルを仮留めする必要がある。タップされた幹は、ポリエチレンシートで覆い、プラスチック屋根用セメントで密封する必要がある。これにより、乾燥した葉、皮、ほこりなどの水分、昆虫、及び他の破片が切れ目に入ることが防止される。
【0020】
カナリウムオバタム樹皮からのカナリウムオバタム樹木からの生の樹脂の抽出後、トルエンを混合し、得られた混合物は、実験用シーラントの基材である。その後、二酸化マンガンは、別の容器内で調製され、硬化剤として機能する。
【0021】
配合プロセスは、基材を硬化剤材料と完全に混合し、その後、その適用及び試験の前に硬化させることを含む。
【0022】
乾燥したカナリウムオバタム樹脂を使用してシーラントを作製する詳細な方法は次のとおりである。
【0023】
カナリウムオバタム樹皮から樹脂を抽出した後、水蒸気蒸留プロセスを受けることがある。このプロセスは、カナリウムオバタム樹液がオレアリンであるため、エッセンシャルオイルと使用済み又は脱油樹脂の分離を伴う。
【0024】
使用済み/脱油樹脂、もはや乾燥樹脂は、粉砕され、難燃性シーラント配合物の基本成分である。乾燥プロセスでは、粉末化された樹脂は、溶媒によって容易に溶解することができる。
【0025】
トルエンは、続いて、乾燥樹脂と混合され、次いで、難燃性シーラントの基材として機能する。次いで、二酸化マンガンは、別の容器内で調製され、硬化剤として機能する。
【0026】
シーラントの配合プロセスは、基材を硬化剤と完全に混合し、その後、適用及び試験の前に硬化させることを伴う。
【0027】
配合されたシーラントの有効性及び適用性を検証する際に、5つの特性、すなわち、物理的、化学的、機械的、熱的、及びレオロジー的特性を使用して、異なる標準試験を実施することによって材料特性を分析及び決定する。物理的特性に関しては、官能試験(色、臭気、及び外観試験)、計器測色試験、及び引火点試験が使用される。タックフリー時間試験、硬化時間試験、毒性試験、及びショアA硬度試験などの化学的特性も実行される。追加的に、シーラントの機械的特性については、せん断強度試験、引張強度、引裂強度試験、剥離強度試験、ナイフ試験、プルオフ試験も特に重要である。
【0028】
一方、 熱重量測定-示差熱分析、示差走査熱量測定、及び発熱量は、配合されたシーラントの熱的特性を指す。シーラントのレオロジー的特性は、粘度試験によって定量化される。
【0029】
材料特性評価からの様々な結果は、以下のセクションで考察する。
【0030】
実施例1:シーラントの結合剤配合物の稠度
22個の結合剤の組成物を予備的に検査して、乾燥性及び未乾燥性の両方の前駆体についての、得られた混合物の均質性を定量化した。様々なピリ樹液重量を、トルエンと混合する。この初期試験は、トルエンなどの有機溶媒と混合したときに、カナリウムオバタム樹液が、許容される均質性特性を有するかどうかを定量化するために使用される。
【0031】
【0032】
乾燥及び未乾燥のカナリウムオバタム樹液の両方のための全ての結合剤組成物は、許容される均質性を示し、続いて、活性剤と混合されて、シーラントを構成し得ることが観察され得る。
【0033】
実施例2:[難燃性組成物/シーラント]の試料配合物の可燃性試験
基材及び硬化剤材料の満足のいく好適な混合物の稠度を示した12個の異なるシーラント配合物を、航空法及び規則、特に14 Code of Federal Regulation Appendix N to Part 25 - Fuel Tank Flammability Exposure and Reliability Analysisに従った重要な試験及び考慮事項である可燃性試験に供して、実験用シーラントの最良の配合物を得た。市販のシーラントも、12個のシーラント配合物と同様の同じパラメータ及び条件で試験される。
【0034】
その結果に基づいて、4つのシーラント配合物、特に18g、18.50g、及び74gの未乾燥カナリウムオバタム樹脂並びに17.50gの乾燥カナリウムオバタム樹脂は、これらの実験用シーラント配合物の炎に対する耐性を示す標準試験に合格した。更に、試験の全期間中、上記の4つのシーラント配合物では発火及び炎は発生しなかった。一方、残りの8つのシーラント配合物は、可燃性条件に耐えられず、炎及び発火の発生を引き起こした。しかしながら、この発火後、8つのシーラント配合物は、炎が燃焼することを停止する自己消火状態を得ることができる。
【0035】
【0036】
試験されるカナリウムオバタム樹木からの樹脂を含有するシーラントの様々な組成物の中で、4つが航空法規、特に14 Code of Federal Regulation Appendix N to Part 25 - Fuel Tank Flammability Exposure and Reliability Analysisの可燃性試験を満たす特性を示すことが見出される。以下、それぞれ実験用シーラント試料1~4と称される、これらの4つの組成物を表4にまとめる。この表では、「wt」は「重量」を表す。それらの他の重要な特性は、表3~10に提示され、その後、更に議論される。
【0037】
【0038】
実施例3:[難燃性組成物/シーラント]の試料配合物の物理的説明
[難燃性組成物/シーラント]及び市販のシーラントの試料配合物の物理的な説明は、表5に見られる。
【0039】
市販のシーラントに対する試料配合物の物理的特性における本質的な利点は、臭気である。配合されたシーラントは、市販のシーラントよりも快適であることが分かり、これは、ピリ樹液が、香水成分として使用されているエッセンシャルオイルを含有するオレアジンタイプであるという事実によって説明され得る。
【0040】
結果はまた、市販のシーラントが茶色がかった黒色である一方、シーラント試料が黒色であることを示す。
【0041】
L*a*b*色測定によれば、実験用シーラント及び市販のシーラントの両方が、(a*)色の色度層の緑色値で、より低い光度(L*)を示した。
【0042】
(b*)色の色度層に関して、試料3及び市販のシーラントは黄色値を示す一方、得られた残りの3つのシーラント配合物は青色値を示す。
【0043】
【0044】
実施例4:[難燃性組成物/シーラント]の試料配合物の物理化学的特性
表6は、配合されたシーラント及びNaftoseal(登録商標)MC-238の試料の物理化学的3つの化学的特性を示す。タックフリー時間は、シーラントが中断又は損傷することなく表面に正しく接着されていると判断される時間である。硬化時間は、シーラントを硬化させる化学反応が完了し、その機械的強度が最大になる時間である。短いタック及び硬化時間が望まれている。シーラントのデュロメータ硬度は、その硬度、及びくぼみに抵抗する能力を指す。数字が小さいほど、抵抗が小さく、材料が柔らかいことを示す。表6では、Naftoseal(登録商標)の対応する特性よりも優れている化学的特性の値が網掛けされている。この表に見られるように、配合されたシーラントの全ての組成物のデュロメータ硬度は、一般に販売されるシーラントNaftoseal(登録商標)MC-238の硬度を超える。しかしながら、タックフリー時間及び硬化時間に関しては、試料2及び4は、市販のシーラントよりも優れている。したがって、試料2及び4は、タックフリー時間、硬化時間、及びデュロメータ硬度においてNaftoseal(登録商標)よりも優れていると容易にみなされる。
【0045】
一方、引火点試験は、この材料特性の重要な試験のうちの1つであるため、実験用及び市販のシーラント配合物の両方の物理的特性の定量的側面を示すために実施される。得られた結果は、試料1及び2が、5つのシーラントの中で最も引火点が高く、MSDSによれば、引火点が高い材料は可燃性及び危険性が低いことを示す。更に、これらの2つの実験用シーラント試料は、引火点試験において市販のシーラントのデータ結果を上回った。
【0046】
【0047】
実施例5:[難燃性組成物/シーラント]の試料配合物の機械的特性
表7は、シーラント及びNaftoseal(登録商標)MC-238の試料の4つの機械的特性を比較する。引張強度は、95の伸び/荷重の一定の速度で、同時に多くのねじ山を破断することができる力の作用下での標本の破断強度である。引裂強度は、応力の方向に垂直な(に直角な)方向に試験片を引裂するのに必要な最大力である。せん断強度は、材料が破裂する前に持続し得る最大せん断応力の尺度である。最後に、剥離強度を使用して、材料の結合強度を測定する。
【0048】
表7には、12.77mmから127mmまで変化する、生成された試験パネルの長さの剥離強度値が示されている。
【0049】
表7では、網掛けは、Naftoseal(登録商標)MC-238の対応する特性を超える実験用シーラントの特性を強調している。配合されたシーラントの全ての試料の引張強度は、市販のシーラントの同じ特性と比較して高い。試料1を除き、実験用シーラントの他の全ての試料は、市販のシーラントよりも高い引裂強度を示す。この違いは、試料2及び4の場合においてより顕著である。加えて、配合されたシーラントの試料3を除く全てが、より高いせん断強度を示す。最後に、剥離強度に関して、試料1及び2は、Naftoseal(登録商標)MC-238よりも優れているようである。
【0050】
【0051】
実施例6.[難燃性組成物/シーラント]の試料配合物のナイフ試験及びプルオフ強度評価
表8は、シーラント及びNaftoseal(登録商標)MC-238のナイフ試験評価及びプルオフ強度を示す。ナイフ試験は、カッティングナイフを使用して、滑らかで平らなパネル表面に適用した場合の有機コーティングの付着を判定するために使用される。
【0052】
プルオフ強度は、垂直引張力が適用されるときの基材からの分離に対するシーラントの耐性を測定する。
【0053】
表8の機械的強度を比較するために行われた試験では、使用される基板はアルミニウムである。
【0054】
ナイフ試験において、試料3及び4は、表8に見ることができるように、Naftoseal(登録商標)MC-238よりも高い評価を有する。一方、時間が経つにつれて、Naftoseal(登録商標)MC-238と比較して、一貫して高いプルオフ強度を示すのは、試料4のみである。硬化から21日以上後、試料1及び2は、より高いプルオフ強度を示す。
【0055】
【0056】
実施例7:[難燃性組成物/シーラント]の試料配合物の熱的特性測定
表9は、実験用シーラント及びNaftoseal(登録商標)MC-238に関する3つの主要な熱的特性試験、すなわち、熱重量測定-示差熱分析、示差走査熱量測定、及び発熱量の測定の結果を比較する。これらの試験は、温度が実験用及び市販のシーラントの両方の安定性にどのように影響するかを示している。
【0057】
【0058】
示差熱重量分析によれば、全てのシーラント試料は、30℃から950℃までプログラムされた温度の全期間中、劇的な重量損失を示さないことによって、より良好な熱安定性を示した。同様に、全てのシーラント試料のピーク温度は、最大量の重量損失に達する前に吸熱反応を伴う、359℃から366℃の範囲の高温耐性を示す。
【0059】
一方、商業用シーラントは、特に、284℃のピーク温度で約69.542%のその第1のピークにおいて、最も高い重量損失率を示す。更に、商業用シーラントは、その第1のピーク温度で顕著である、その著しい重量低下によって示されるように、熱不安定性を示したことも表9に見ることができる。
【0060】
示差走査熱量測定試験に関して、3つの実験用シーラント試料(試料1、2、及び3)は、119.46℃の融点を有する市販のシーラントと比較して、溶融する前に123℃から126℃の範囲の高抵抗温度を示した。
【0061】
更に、3つの試料は、市販のシーラントと比較して、試料4とともに、発熱量試験に基づいてより高い総熱値を得て、全燃焼が起こる前に高温及び耐熱性を示す。
【0062】
したがって、熱的特性試験からの全てのデータは、本発明による配合されたシーラントが、熱安定性及び耐性の点でNaftoseal(登録商標)MC-238よりも優れていることを明らかにする。これらの熱的特性に関して、組成物は難燃剤として使用され得る。
【0063】
実施例8:[難燃性組成物/シーラント]の試料配合物のレオロジー的特性
【0064】
【0065】
実験用及び商業用シーラントのレオロジー的特性は、上の表に詳述されている。結果として、2つの実験用シーラント試料、すなわち、試料1及び3は、市販のシーラントの粘度値を上回る。この特性により、言及された2つのシーラント試料は、非滴下又は非たるみ特性を示した。これらは、シーラントが適用及び硬化中にその位置に留まる必要がある用途に使用することができる。したがって、試料1及び3の粘度結果は、実験用シーラント試料タイプのレオロジー的特性が、市販のシーラントと比較してより効率的かつ効果的であることを証明する。
【0066】
実施例9:シーラント[難燃性組成物/シーラント]の配合物の毒性パラメータ
表11は、実験用シーラント試料及びNaftoseal(登録商標)MC-238の毒性パラメータを比較する。この表における毒性記述の意味を表12に示す。後者の表は、最初に有害(H302、及び他の記述との組み合わせ)、有毒(H301、H311、H331、及び他の記述との組み合わせ)、及び致命的(H300、H310、H330、及び他の記述との組み合わせ)の3つの毒性レベルがあることを示している。表11の検査は、Naftoseal(登録商標)MC-238が、飲み込まれた場合、皮膚と接触した場合、又は蒸気として吸入された場合に致命的な影響を有する可能性があることを明らかにする。一方、シーラント配合物の4つの試料は、「有害」又は「有毒」としてのみ分類される。更に、「毒性濃度」として表され、かつ特定の物質が毒性効果を生じる最小濃度として定義される実験用シーラントの毒性は、Naftoseal(登録商標)MC-238のそれよりもはるかに高い濃度で生じる。したがって、要約すると、試料の毒性は、市販のシーラントの毒性よりもはるかに低い。
【0067】
シーラント試料の中で、試料4は、毒性の観点から最も低い評価を有し、経口及び皮膚毒性に関して「有害」としてのみ記載され、その蒸気形態において「有毒」としてのみ記載される。加えて、その毒性濃度は、Naftoseal(登録商標)MC-238のほぼ25倍である。表11の限り、以下の最良の試料は、試料1であり、その毒性濃度は、Naftoseal(登録商標)MC238の12倍であるか、又は試料2のほぼ半分である。最後に、試料2及び3は、互いにわずかに異なり、Naftoseal(登録商標)MC-238よりも毒性がわずか5~6倍低い。
【0068】
したがって、上記に記載された試料は、シーラント組成物の実施形態として見ることができることが分かるであろう。試料4は、一実施形態である一方、試料1は、その優れた剥離強度及び融点のために好ましい。最も望ましい特性を有する最も好ましい実施形態は、試料2である。これらの実施形態は、シーラントの機能に関連する物理化学的、機械的、及び熱的特性に関して、Naftoseal(登録商標)MC-238と比較して劣らず、Naftoseal(登録商標)MC-238よりも毒性が少ないという追加の利点を有する。
【0069】
【0070】
これに加えて、これらの実施形態は、組成物の更なる用途、すなわち、火炎を遅らせる用途を指し示す。本出願では、試料3は一実施形態である一方、試料1及び2は、一般に販売される航空用シーラントの引火点及び可燃性の結果を上回るため、好ましい。
【0071】
本発明のこれらの実施形態を指摘する際に、本発明をこれらの具体的な例に限定する意図ではない。代わりに、目的は、本発明の一般的な趣旨及び範囲を例示することである。本明細書に記載の組成物及び方法を再現する際に、ある特定の変化が生じ得るが、結果は、そのような精神及び範囲から逸脱していると解釈されるべきではない。
【0072】
【0073】
本発明の好ましい実施形態は、上述の詳細な説明に記載されている。当業者は、本明細書に示され、かつ説明される実施形態に対する修正及び/又は変形を想定し得ることが理解される。本明細書の範囲内にある任意のそのような修正又は変形は、その中にも含まれることが意図される。具体的に記載されない限り、本明細書及び特許請求の範囲内の単語及び語句が、適用可能な技術分野の当業者に通常かつ慣れ親しんだ意味を与えることが、発明者の意図である。出願時点で出願人に知られている本発明の好ましい実施形態及び最良のモードの前述の説明が提示されており、例示及び説明の目的で意図されている。網羅的であること、又は本発明を、開示された正確な形態に限定することは意図されておらず、上記の教示に照らして多くの変更及び変形が可能である。
【国際調査報告】