(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】沈殿板、沈殿アセンブリ及び沈殿モジュール
(51)【国際特許分類】
B01D 21/02 20060101AFI20241003BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01D21/02 F
B01D21/24 D
B01D21/24 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546355
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 CN2022125788
(87)【国際公開番号】W WO2023066218
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202111583428.X
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111210735.3
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524146354
【氏名又は名称】山東華通環境科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG HOTONE ENVIRONMENTAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.3999,Rongli East Street Qingzhou County Weifang,Shandong 262515,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ルワン▼ 好峰
(72)【発明者】
【氏名】毛 士廉
(72)【発明者】
【氏名】杜 建猛
(57)【要約】
沈殿板(10)、沈殿アセンブリ(1)及び沈殿モジュールを提供し、沈殿板(10)は、平板(101)と、平板(101)の第1面(1011)上に互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第1リブ(102)と、平板(101)の第2面(1012)上に互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第2リブ(103)と、を含み、第1リブ(102)は第2リブ(103)に垂直であり、隣接する2つの第1リブ(102)の間は水流通路(104)を形成することに用いられ、隣接する2つの第2リブ(103)の間は泥搬送通路(105)を形成することに用いられる。沈殿アセンブリ(1)は複数の沈殿板(10)を含む。沈殿モジュールは沈殿アセンブリ(1)を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向流の水平沈殿に用いられる沈殿板であって、
平板(101)と、
前記平板(101)の第1面(1011)上に、互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第1リブ(102)と、
前記平板(101)の第2面(1012)上に、互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第2リブ(103)と、を含み、
前記第1リブ(102)は前記第2リブ(103)に垂直であり、隣接する2つの前記第1リブ(102)の間は水流通路(104)を形成することに用いられ、隣接する2つの第2リブ(103)の間は泥搬送通路(105)を形成することに用いられる、ことを特徴とする沈殿板。
【請求項2】
前記第1リブ(102)と前記第2リブ(103)の高さの比は1.5~5であり、及び/又は、隣接する2つの前記第1リブ(102)の間の間隔は隣接する2つの前記第2リブ(103)の間の間隔よりも小さく、好ましくは、前記第2面(1012)に前記第2リブ(103)に平行に延びる補強リブ(106)がさらに突出して形成され、前記補強リブ(106)の高さは前記第2リブ(103)の高さよりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の沈殿板。
【請求項3】
前記沈殿板(10)の材質はポリオレフィンである、ことを特徴とする請求項1に記載の沈殿板。
【請求項4】
沈殿アセンブリであって、
複数本のサイドビーム(111)で囲まれた箱型フレーム(11)と、前記箱型フレーム(11)に斜立する複数の沈殿板(10)と、を含み、
前記沈殿板(10)は請求項1~3のいずれか1項に記載の沈殿板(10)であり、前記第1面(1011)は斜め下方に向かい、前記第2面(1012)は斜め上方に向かい、かつ、隣接する2つの前記沈殿板(10)において、一方の前記第1リブ(102)は他方の前記第2リブ(103)に当接している、ことを特徴とする沈殿アセンブリ。
【請求項5】
前記平板(101)と前記箱型フレーム(11)の底面とのなす角度は60°である、ことを特徴とする請求項4に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項6】
少なくとも一部の前記サイドビーム(111)には、前記箱型フレーム(11)の底面に傾斜して開口する凹溝が開けられ、前記沈殿板(10)は前記凹溝に密着して挿入される、ことを特徴とする請求項4に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項7】
複数本の前記サイドビーム(111)同士はねじ締結具によって着脱可能に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項8】
前記沈殿アセンブリ(1)は、フラッシュ液を前記泥搬送通路(105)に導入するためのフラッシュ機構(12)をさらに含み、
前記フラッシュ機構(12)は、前記サイドビーム(111)の上方に固定されるブラケット(121)と、前記ブラケット(121)に取り付けられる複数本の第1ウォッシュパイプ(122)と、を含み、前記第1ウォッシュパイプ(122)は、水平に設けられ、下に向かって開口する第1噴水口(123)を有し、好ましくは、前記フラッシュ機構(12)は、前記第1ウォッシュパイプ(122)に連通する複数本の第2ウォッシュパイプ(124)をさらに含み、複数本の前記第2ウォッシュパイプ(124)は、前記箱型フレーム(11)の片側に立設され、前記沈殿板(10)に向かう第2噴水口(125)を有し、好ましくは、前記第2ウォッシュパイプ(124)は前記箱型フレーム(11)の前記沈殿板(10)の上端に近い側に設けられる、ことを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項9】
沈殿モジュールであって、
給水口(21)、出水口(22)及び泥排出口(23)が開けられるハウジング(2)と、請求項4~8のいずれか1項に記載の沈殿アセンブリ(1)として構成され、前記ハウジング(2)に設けられる沈殿アセンブリ(1)と、前記沈殿アセンブリ(1)の下方に設けられ、沈殿後の土砂を前記泥排出口(23)から導出するための土砂処理機構(3)と、を含むことを特徴とする沈殿モジュール。
【請求項10】
配水機構(4)をさらに含み、
前記配水機構(4)は、前記沈殿アセンブリ(1)の給水側と前記給水口(21)との間に設けられた第1配水板(41)と、前記沈殿アセンブリ(1)の出水側と前記出水口(22)との間に設けられた第2配水板(42)とを含み、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)は、前記ハウジング(2)を給水チャンバ(201)、前記沈殿アセンブリ(1)を収容する沈殿チャンバ(202)、及び出水チャンバ(203)に仕切り、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)にそれぞれ貫通する配水管(43)が均等に分布しており、これにより隣接する2つのチャンバを連通し、好ましくは、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)は、内部に空洞を有する中空板として構成され、かつ、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)の前記水流通路(104)に面する側の面にそれぞれ前記空洞に連通する複数のノズル(44)が設けられ、前記ノズル(44)の位置は前記水流通路(104)の位置に対応し、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)にそれぞれ前記空洞に給水するための給水管(45)が接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の沈殿モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水処理の分野に関し、具体的には、沈殿板、沈殿アセンブリ及び沈殿モジュールに関する。
【0002】
本開示は、2021年10月18日に中国特許庁に提出した、出願番号が202111210735.3で、名称が「横方向流平板沈殿モジュール」、及び2021年12月22日に中国特許庁に提出した、出願番号が202111583428.Xで、名称が「沈殿板、沈殿アセンブリ及び沈殿モジュール」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全ての内容は引用により本開示に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
横方向流斜板沈殿プロセスは水処理業界の一般的なプロセスであり、斜板の間のピッチが25mm~200mmであることが多いため、「浅池理論」に合致する。横方向流斜板沈殿プロセスは沈殿効率が高く、しかも水流に垂直な断面の有効利用率が高く、有効利用率が90%以上に達する。
【0004】
しかしながら、該プロセスにおいて、斜板の幅が1mよりも大きく、厚さが10mmよりも小さく、斜板と水平面との角度が60°である場合、斜板は湾曲し、長期に放置するとクリープが発生し、排泥効果に影響を与える。そのため、大型の水処理場では、該プロセスを使用する時に、高さを効果的に利用するために、多段階曲げて配列された斜板を用いることが多く、このように、泥排出過程において上側の沈殿物は下へスライドする時にコーナー位置で完全に密着することができず、さらに沈殿物が分散し、再び水中に落下し、沈殿効率を低下させる。また、斜板の取付や固定が困難であるという問題もある。上記欠陥が存在するため、横方向流斜板沈殿プロセスは広く普及できない。
【0005】
横方向流水平管沈殿プロセスは水処理業界にも長年存在する。横方向流斜板沈殿プロセスに比べ、横方向流水平管は水をよりも小さく分割することができ、水路と泥路は互いに独立し、互いに干渉しないため、横方向流水平管沈殿プロセスは横方向流斜板沈殿プロセスに比べて沈殿効率がより高い。しかしながら、従来の水平管の角部と主斜板は菱形構造であって垂直ではないため、大量に製造する場合、型抜きが困難であるという問題があり、手動で製造する場合、品質が悪く、コストが高いという問題がある。また、水路と泥路が相対的に離れているため、水流の垂直断面の面積有効利用率は60%程度しかない。上記欠陥が存在するため、横方向流水平管沈殿プロセスも広く普及ができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、以上の技術的課題を解決するために、沈殿板、沈殿アセンブリ及び沈殿モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、平板と、前記平板の第1面上に互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第1リブと、前記平板の第2面上に互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第2リブと、を含み、前記第1リブは前記第2リブに垂直であり、隣接する2つの前記第1リブの間は水流通路を形成することに用いられ、隣接する2つの第2リブの間は泥搬送通路を形成することに用いられる沈殿板を提供する。
【0008】
任意選択的に、前記第1リブと前記第2リブの高さの比は1.5~5である。
【0009】
任意選択的に、前記沈殿板の材質はポリオレフィンである。
【0010】
任意選択的に、隣接する2つの前記第1リブの間の間隔は隣接する2つの前記第2リブの間の間隔よりも小さい。
【0011】
任意選択的に、前記第2面に前記第2リブに平行に延びる補強リブがさらに突出して形成され、前記補強リブの高さは前記第2リブの高さよりも小さい。
【0012】
上記技術的解決手段を基にして、本開示は、複数本のサイドビームで囲まれた箱型フレームと、前記箱型フレームに斜立する複数の沈殿板と、を含み、前記沈殿板は上記技術的解決手段における沈殿板であり、前記第1面は斜め下方に向かい、前記第2面は斜め上方に向かい、かつ、隣接する2つの前記沈殿板において、一方の前記第1リブは他方の前記第2リブに当接している沈殿アセンブリをさらに提供する。
【0013】
任意選択的に、前記平板と前記箱型フレームの底面とのなす角度は60°である。
【0014】
任意選択的に、少なくとも一部の前記サイドビームには、前記箱型フレームの底面に傾斜して開口する凹溝が開けられ、前記沈殿板は前記凹溝に密着して挿入される。
【0015】
任意選択的に、複数本の前記サイドビーム同士はねじ締結具によって着脱可能に接続される。
【0016】
任意選択的に、前記沈殿アセンブリは、フラッシュ液を前記泥搬送通路に導入するためのフラッシュ機構をさらに含み、前記フラッシュ機構は、前記サイドビームの上方に固定されるブラケットと、前記ブラケットに取り付けられる複数本の第1ウォッシュパイプと、を含み、前記第1ウォッシュパイプは、水平に設けられ、下に向かって開口する第1噴水口を有する。
【0017】
任意選択的に、前記フラッシュ機構は、前記第1ウォッシュパイプに連通する複数本の第2ウォッシュパイプをさらに含み、複数本の前記第2ウォッシュパイプは、前記箱型フレームの片側に立設され、前記沈殿板に向かう第2噴水口を有する。
【0018】
任意選択的に、前記第2ウォッシュパイプは前記箱型フレームの前記沈殿板の上端に近い側に設けられる。
【0019】
上記技術的解決手段を基にして、本開示は、給水口、出水口及び泥排出口が開けられるハウジングと、上記技術的解決手段における沈殿アセンブリとして構成され、前記ハウジングに設けられる沈殿アセンブリと、前記沈殿アセンブリの下方に設けられ、沈殿後の土砂を前記泥排出口から導出するための土砂処理機構と、を含む沈殿モジュールをさらに提供する。
【0020】
任意選択的に、前記沈殿モジュールは、配水機構をさらに含み、前記配水機構は、前記沈殿アセンブリの給水側と前記給水口との間に設けられた第1配水板と、前記沈殿アセンブリの出水側と前記出水口との間に設けられた第2配水板とを含み、前記第1配水板及び前記第2配水板は、前記ハウジングを給水チャンバ、前記沈殿アセンブリを収容する沈殿チャンバ、及び出水チャンバに仕切り、前記第1配水板及び前記第2配水板にそれぞれ貫通する配水管が均等に分布しており、これにより隣接する2つのチャンバを連通する。
【0021】
任意選択的に、前記第1配水板及び前記第2配水板は、内部に空洞を有する中空板として構成され、かつ、前記第1配水板及び前記第2配水板の前記水流通路に面する側の面にそれぞれ前記空洞に連通する複数のノズルが設けられ、前記ノズルの位置は前記水流通路の位置に対応し、前記第1配水板及び前記第2配水板にそれぞれ前記空洞に給水するための給水管が接続される。
【0022】
上記技術的解決手段により、本開示に係る沈殿板の複数本の第1リブ及び複数本の第2リブはそれぞれ平板に垂直であり、そのため、第1リブ及び第2リブは補強リブとして機能することができ、それにより沈殿板の剛性を向上させるとともに沈殿板の厚さを減少させることができ、また、沈殿板の製造過程においてその型抜きの難易度を低減することもでき、それにより生産効率を向上させ、生産コストを低減することに有利である。複数の沈殿板が斜立しかつ順次積層され、かつ各沈殿板の泥搬送通路が斜め上方に向かい、水流通路が斜め下方に向かう時、上方の沈殿板の第1リブは下方の沈殿板の泥搬送通路に垂直であるため、土砂の沈殿方向において、第1リブが泥搬送通路を遮蔽せず、土砂が直接、迅速に泥搬送通路に沈殿しやすく、それにより沈殿効率を向上させ、同時に、水流通路の通水面の利用率を向上させることもできる。また、泥搬送通路において、第2リブは水流の方向に止められ得、泥搬送通路に沈殿した土砂が再び水流に混入することを回避し、それにより土砂と水との分離率を向上させる。本開示に係る沈殿アセンブリは上記技術的解決手段における沈殿板と同様の技術的効果を有し、不必要な重複を回避するために、ここでは説明を省略する。本開示に係る沈殿モジュールは上記技術的解決手段における沈殿アセンブリと同様の技術的効果を有し、不必要な重複を回避するために、ここでは説明を省略し、また、泥搬送通路からハウジングの底部に排出された土砂は土砂処理機構の案内作用で速やかに泥排出口から排出され、土砂がハウジングに堆積して泥搬送通路を塞ぐことを回避する。
【0023】
本開示の他の特徴及び利点は次の特定の実施形態の部分で詳細に説明する。
【0024】
図面は本開示をさらに理解することに用いられ、かつ明細書の一部を構成し、以下の特定の実施形態とともに本開示を解釈するが、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の特定の実施形態における沈殿板の構造概略図である。
【
図2】本開示の特定の実施形態における沈殿アセンブリの斜視図である。
【
図3】本発明の特定の実施形態における沈殿アセンブリの左側面図である。
【
図4】本発明の特定の実施形態における沈殿板と箱型フレームの組み立て概略図である。
【
図5】本開示の特定の実施形態における沈殿モジュールの斜視図である。
【
図6】本開示の特定の実施形態における沈殿モジュールの平面図である。
【
図7】本開示の特定の実施形態における配水機構と沈殿アセンブリが係合する場合の斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態における配水板の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下は図面を参照して本開示の特定の実施形態について詳細に説明する。ここで説明する特定の実施形態は本開示を説明及び解釈するためだけに用いられ、本開示を限定するものではないと理解すべきである。
【0027】
本明細書では、逆の説明がない限り、使用される方向用語「上、下」は、通常、重力方向に沿う上、下を意味し、「内、外」は対応する部品自体の輪郭に対する内、外を意味する。本発明に使用される用語「第1」、「第2」等は、1つの要素と他の要素とを区別するためのものであり、順序性や重要性を持たない。なお、以下の図面の説明では、特に断らない限り、各図面において同一又は類似の要素には同一の符号を付している。
【0028】
上記目的を達成するために、本発明は沈殿板10を提供し、
図1~
図4に示すように、該沈殿板10は平板101を含んでもよく、平板101は、対向する第1面1011及び第2面1012を有する。複数の第1リブ102は、第1面1011上に、互いに平行で間隔を置いて垂直に立つことができ、複数の第2リブ103は、平板101の第2面1012上に、平行で間隔を置いて垂直に立つことができる。第1リブ102は第2リブ103に垂直であり、隣接する2つの第1リブ102の間は水流通路104を形成することに用いられ、隣接する2つの第2リブ103の間は泥搬送通路105を形成することに用いられる。
【0029】
上記技術的解決手段により、本開示に係る沈殿板10の複数本の第1リブ102及び複数本の第2リブ103はそれぞれ平板101に垂直であり、そのため、第1リブ102及び第2リブ103は補強リブとして機能することができ、それにより沈殿板10の剛性を向上させるとともに沈殿板10の厚さを減少させることができ、また、沈殿板10の生産過程においてその型抜きの難易度を低減することもでき、それにより生産効率を向上させ、生産コストを低減することに有利である。複数の沈殿板10が傾斜して配置されかつ順次積層され、かつ各沈殿板10の泥搬送通路105が斜め上方に向かい、水流通路104が斜め下方に向かう場合、上方の沈殿板10の第1リブ102は下方の沈殿板10の泥搬送通路105に垂直であるため、土砂の沈殿方向において、第1リブ102が泥搬送通路105を遮蔽せず、土砂が直接、迅速に泥搬送通路105に沈殿しやすく、それにより沈殿効率を向上させ、同時に、水流通路104の通水面の利用率を向上させる。また、泥搬送通路105において、第2リブ103は水流れ方向において、せき止めることができ、泥搬送通路105に沈殿した土砂が再び水流に混入することを回避し、それにより土砂と水との分離率を向上させる。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、第1リブ102と第2リブ103の高さの比は1.5~5であってもよく、第1リブ102と第2リブ103の高さはそれが平板から突出する部分の寸法を意味し、好ましくは、第1リブ102と第2リブ103の高さの比は16:9であってもよく、水流通路の断面の面積が従来より増加するようにし、それにより単位時間あたりの通水量を向上させ、生産能力を増加させる。
【0031】
本開示の特定の実施形態では、沈殿板10の材質はポリオレフィンであってもよく、具体的には、PVC、PP又はPE材質であってもよい。これらの材質で製造された沈殿板10は射出成形により一体に成形することができ、かつ、沈殿板10自体の重量が軽く、輸送及び組み立てが容易である。また、これらの材質で製造された沈殿板10は、さらに耐腐食性を有し、耐用年数が長い。
【0032】
図1~
図4に示すように、隣接する2つの第1リブ102の間の間隔は隣接する2つの第2リブ103の間の間隔よりも小さくてもよく、すなわち、泥搬送通路105の幅が広く、これにより土砂が泥搬送通路105に入った後に詰まりが発生することを回避する。
【0033】
図1に示すように、第2面1012に第2リブ103に平行に延びる補強リブ106がさらに突出して形成され、沈殿板10の強度を増加させ、土砂が多い場合に沈殿板10が曲がって変形することを回避する。補強リブ106の高さは第2リブ103の高さよりも小さく、補強リブ106が水流通路104の水流に干渉することを回避する。また、第1リブ102の表面に平板101に垂直な補強リブが形成され、第1リブ102が曲がって変形することを回避する。
【0034】
上記技術的解決手段を基にして、本開示は、沈殿アセンブリ1をさらに提供する。
図2~
図4に示すように、沈殿アセンブリ1は、複数本のサイドビーム111で囲まれた箱型フレーム11と、箱型フレーム11に斜立した複数の沈殿板10と、を含んでもよい。沈殿板10は上記技術的解決手段における沈殿板10であってもよく、第1面1011は斜め下方に向かい、第2面1012は斜め上方に向かい、かつ、隣接する2つの沈殿板10において、一方の第1リブ102は他方の第2リブ103に当接しており、これにより隣接する2つの沈殿板10の間に互いに直交する水流通路104及び泥搬送通路105が形成され、かつ、水流通路104は泥搬送通路105の上方に位置し、これにより水流が水流通路104を通過する時に土砂は重力の作用で泥搬送通路105に沈殿することができ、泥搬送通路105は下へ傾斜して延び、土砂は泥搬送通路105に入った後に泥搬送通路105に沿って下へ流れて排出され得る。
【0035】
上記技術的解決手段により、本開示に係る沈殿アセンブリは上記技術的解決手段における沈殿板と同様の技術的効果を有し、不必要な重複を回避するために、ここで説明を省略する。
【0036】
本開示の特定の実施形態では、水流の流れ方向は水流通路104の延伸方向と同じであり、水流が沈殿アセンブリ1の給水側で水流通路104に入り、沈殿アセンブリ1の出水側で水流通路104から流出する。沈殿アセンブリ1はほぼ長さが2m、幅が3.6m、高さが1.5mの立方体構造であり、長さは水流方向に沿う寸法を意味する。沈殿アセンブリ1は標準構造とすることができ、輸送及び取り付けが容易である。また、水流通路104を通過する水流の速度を、沈殿効率と生産能力を両立させるために、8mm/s~10mm/sにすることができる。
【0037】
本開示の特定の実施形態では、泥搬送通路105と底面とのなす角度を土砂の動的安息角より大きくできるために、平板101と箱型フレーム11の底面とのなす角度は60°であってもよく、それにより泥搬送通路105に泥が堆積する現象の発生を回避する。
【0038】
沈殿アセンブリ1の組み立てを容易にするために、少なくとも一部のサイドビーム111には、箱型フレーム11の底面に傾斜して開口する凹溝(図示せず)が開けられ、沈殿板10は、箱型フレーム11に相対的に固定されるために、凹溝に密着して挿入されてもよい。沈殿板10が凹溝に挿着される形態で箱型フレーム11が組み立てられると、沈殿アセンブリ1の組み立て難度が低減し、沈殿アセンブリ1の組み立て効率を向上させることができる。また、複数本のサイドビーム111同士はねじ締結具によって着脱可能に接続することができ、箱型フレーム11の迅速な着脱が容易である。
【0039】
図2、
図3及び
図7に示すように、沈殿アセンブリ1は、フラッシュ液を泥搬送通路105に導入するためのフラッシュ機構12をさらに含んでもよい。フラッシュ機構12は、サイドビーム111の上方に固定されるブラケット121と、ブラケット121に取り付けられる複数本の第1ウォッシュパイプ122とを含んでもよい。第1ウォッシュパイプ122は、水平に設けられ、下に向かって開口する複数の第1噴水口123を有し、複数の第1噴水口123は間隔をおいて設けられる。第1ウォッシュパイプ122を高圧水源に連通させ、フラッシュ液を第1噴水口123を経由して泥搬送通路105に噴出させることができる。フラッシュ液は泥搬送通路105に沿って下へ流れる過程で土砂を下へフラッシュすることができ、それにより土砂の排出を加速する。
【0040】
図2、
図4及び
図7に示すように、沈殿板10は箱型フレーム11に斜立するため、沈殿板10の泥搬送通路105の上端の一部は、箱型フレーム11の上面に位置し、沈殿板10の泥搬送通路105の上端の他部は、箱型フレーム11の側面に位置し、フラッシュ液を第1噴水口123を経由して上端が箱型フレーム11の側面に位置する泥搬送通路105に噴射することができないため、
図2及び
図7に示すように、フラッシュ機構12は、第1ウォッシュパイプ122に連通する複数本の第2ウォッシュパイプ124をさらに含んでもよい。複数本の第2ウォッシュパイプ124は、箱型フレーム11の片側に立設され、具体的には、沈殿板10の上端に近い側に立設されてもよく、かつそれは沈殿板10に向かう第2噴水口125を有するようにしてもよく、フラッシュ液を第2噴水口125を経由して上端が箱型フレーム11の側面に位置する泥搬送通路105に噴射し、これによりフラッシュ液が土砂を下へフラッシュすることができる。
【0041】
上記技術的解決手段を基にして、本開示は、沈殿モジュールをさらに提供する。
図5~
図8に示すように、該沈殿モジュールは、ハウジング2と、沈殿アセンブリ1と、土砂処理機構3と、を含んでもよい。沈殿アセンブリ1は上記技術的解決手段における沈殿アセンブリ1として構成することができ、沈殿アセンブリ1はハウジング2に設けられる。ハウジング2に給水口21、出水口22及び泥排出口23が開けられてもよく、給水口21は沈殿アセンブリ1の給水側に近接し、出水口22は沈殿アセンブリ1の出水側に近接し、泥排出口23はハウジング2の底部に設けられる。土砂処理機構3は、沈殿した土砂を泥排出口23から導出するように、沈殿アセンブリ1の下方に設けられてもよく、具体的には、土砂処理機構3は、傾斜して設けられた複数枚の泥搬送板31で構成された漏斗状構造であってもよく、泥排出口23は、土砂が円滑に排出されることが容易になるように、漏斗状構造の底部に設けられてもよい。
【0042】
上記技術的解決手段により、本開示に係る沈殿モジュールは、上記技術的解決手段における沈殿アセンブリ1と同様の技術的効果を有するが、不必要な重複を回避するために、ここでは説明を省略する。また、泥搬送通路105からハウジング2の底部に排出された土砂が土砂処理機構3の案内作用で迅速に泥排出口23から排出され得、これにより土砂がハウジング2内に堆積して泥搬送通路105を塞ぐことを回避する。
【0043】
図7に示すように、沈殿モジュールは、配水機構4をさらに含んでもよく、
図5~
図8に示すように、配水機構4は、沈殿アセンブリ1の給水側と給水口21との間に設けられた第1配水板41と、沈殿アセンブリ1の出水側と出水口22との間に設けられた第2配水板42と、を含んでもよい。
図6に示すように、第1配水板41及び第2配水板42は、ハウジング2を給水チャンバ201、沈殿アセンブリ1を収容する沈殿チャンバ202、及び出水チャンバ203に仕切ることができる。第1配水板41及び第2配水板42にそれぞれ貫通する配水管43が均等に分布しており、これにより隣接する2つのチャンバを連通する。具体的には、第1配水板41における均等に分布している複数本の配水管43によって、給水チャンバ201内の水が均一に沈殿チャンバ202に入ることができ、それにより水流が均一で穏やかに複数の水流通路104に入り、沈殿の安定性を維持することが容易になる。また、第2配水板42における均等に分布している複数本の配水管43によって、沈殿チャンバ202内の水が均一で穏やかに出水チャンバ203に入ることができ、沈殿後、水が出水口22から次工程に穏やかでスムーズに排出できるようにする。
【0044】
また、第1配水板41及び第2配水板42は内部に空洞(図示せず)を有する中空板として構成することができ、かつ、第1配水板41及び第2配水板42の水流通路104に面する側の面にそれぞれ空洞に連通する複数のノズル44が設けられ、ノズル44の位置は水流通路104の位置に対応し、第1配水板41及び第2配水板42にそれぞれ空洞に給水するための給水管45が接続される。給水管45を高圧水源に連通させ、高圧水流をノズル44を経由して水流通路104に噴射させることができ、水流通路104を容易にフラッシュすることができる。
【0045】
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本開示は上記実施形態における具体的な詳細に限定されるものではなく、本開示の技術的構想の範囲内で、本開示の技術的手段に対して多くの簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はすべて本開示の保護範囲に属する。
【0046】
なお、上記特定の実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合、任意の適切な方式により組み合わせることができ、不必要な重複を回避するために、本開示は様々な可能な組み合わせ方式を改めて説明しない。
【0047】
また、本開示の様々な実施形態は任意の組み合わせが可能であり、本開示の思想に反しない限り、同様に本開示に開示されたものとみなすべきである。
【符号の説明】
【0048】
1 沈殿アセンブリ
10 沈殿板
101 平板
1011 第1面
1012 第2面
102 第1リブ
103 第2リブ
104 水流通路
105 泥搬送通路
106 補強リブ
11 箱型フレーム
111 サイドビーム
12 フラッシュ機構
121 ブラケット
122 第1ウォッシュパイプ
123 第1噴水口
124 第2ウォッシュパイプ
125 第2噴水口
2 ハウジング
21 給水口
22 出水口
23 泥排出口
201 給水チャンバ
202 沈殿チャンバ
203 出水チャンバ
3 土砂処理機構
31 泥搬送板
4 配水機構
41 第1配水板
42 第2配水板
43 配水管
44 ノズル
45 給水管
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向流の水平沈殿に用いられる沈殿板
(10)であって、
平板(101)と、
前記平板(101)の第1面(1011)上に、互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第1リブ(102)と、
前記平板(101)の第2面(1012)上に、互いに平行で間隔を置いて垂直に立つ複数の第2リブ(103)と、を含み、
前記第1リブ(102)は前記第2リブ(103)に垂直であり、隣接する2つの前記第1リブ(102)の間は水流通路(104)を形成することに用いられ、隣接する2つの第2リブ(103)の間は泥搬送通路(105)を形成することに用いられる、ことを特徴とする沈殿板。
【請求項2】
前記第1リブ(102)と前記第2リブ(103)の高さの比は1.5~5であり、及び/又は、隣接する2つの前記第1リブ(102)の間の間隔は隣接する2つの前記第2リブ(103)の間の間隔よりも小さく、好ましくは、前記第2面(1012)に前記第2リブ(103)に平行に延びる補強リブ(106)がさらに突出して形成され、前記補強リブ(106)の高さは前記第2リブ(103)の高さよりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の沈殿板。
【請求項3】
前記沈殿板(10)の材質はポリオレフィンである、ことを特徴とする請求項1に記載の沈殿板。
【請求項4】
沈殿アセンブリであって、
複数本のサイドビーム(111)で囲まれた箱型フレーム(11)と、前記箱型フレーム(11)に斜立する複数の沈殿板(10)と、を含み、
前記沈殿板(10)は請求項
1に記載の沈殿板(10)であり、前記第1面(1011)は斜め下方に向かい、前記第2面(1012)は斜め上方に向かい、かつ、隣接する2つの前記沈殿板(10)において、一方の前記第1リブ(102)は他方の前記第2リブ(103)に当接している、ことを特徴とする沈殿アセンブリ。
【請求項5】
前記平板(101)と前記箱型フレーム(11)の底面とのなす角度は60°である、ことを特徴とする請求項4に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項6】
少なくとも一部の前記サイドビーム(111)には、前記箱型フレーム(11)の底面に傾斜して開口する凹溝が開けられ、前記沈殿板(10)は前記凹溝に密着して挿入される、ことを特徴とする請求項4に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項7】
複数本の前記サイドビーム(111)同士はねじ締結具によって着脱可能に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項8】
前記沈殿アセンブリ(1)は、フラッシュ液を前記泥搬送通路(105)に導入するためのフラッシュ機構(12)をさらに含み、
前記フラッシュ機構(12)は、前記サイドビーム(111)の上方に固定されるブラケット(121)と、前記ブラケット(121)に取り付けられる複数本の第1ウォッシュパイプ(122)と、を含み、前記第1ウォッシュパイプ(122)は、水平に設けられ、下に向かって開口する第1噴水口(123)を有し、好ましくは、前記フラッシュ機構(12)は、前記第1ウォッシュパイプ(122)に連通する複数本の第2ウォッシュパイプ(124)をさらに含み、複数本の前記第2ウォッシュパイプ(124)は、前記箱型フレーム(11)の片側に立設され、前記沈殿板(10)に向かう第2噴水口(125)を有し、好ましくは、前記第2ウォッシュパイプ(124)は前記箱型フレーム(11)の前記沈殿板(10)の上端に近い側に設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の沈殿アセンブリ。
【請求項9】
沈殿モジュールであって、
給水口(21)、出水口(22)及び泥排出口(23)が開けられるハウジング(2)と、請求項4~8のいずれか1項に記載の沈殿アセンブリ(1)として構成され、前記ハウジング(2)に設けられる沈殿アセンブリ(1)と、前記沈殿アセンブリ(1)の下方に設けられ、沈殿後の土砂を前記泥排出口(23)から導出するための土砂処理機構(3)と、を含むことを特徴とする沈殿モジュール。
【請求項10】
配水機構(4)をさらに含み、
前記配水機構(4)は、前記沈殿アセンブリ(1)の給水側と前記給水口(21)との間に設けられた第1配水板(41)と、前記沈殿アセンブリ(1)の出水側と前記出水口(22)との間に設けられた第2配水板(42)とを含み、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)は、前記ハウジング(2)を給水チャンバ(201)、前記沈殿アセンブリ(1)を収容する沈殿チャンバ(202)、及び出水チャンバ(203)に仕切り、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)にそれぞれ貫通する配水管(43)が均等に分布しており、これにより隣接する2つのチャンバを連通し、好ましくは、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)は、内部に空洞を有する中空板として構成され、かつ、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)の前記水流通路(104)に面する側の面にそれぞれ前記空洞に連通する複数のノズル(44)が設けられ、前記ノズル(44)の位置は前記水流通路(104)の位置に対応し、前記第1配水板(41)及び前記第2配水板(42)にそれぞれ前記空洞に給水するための給水管(45)が接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の沈殿モジュール。
【国際調査報告】