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特表2024-537551柑橘類由来の組成物およびそれを含有する飲料
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  • 特表-柑橘類由来の組成物およびそれを含有する飲料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】柑橘類由来の組成物およびそれを含有する飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20241003BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241003BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20241003BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20241003BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23L2/52
A23L2/56
A23L2/00 B
A23L19/00 A
A23L27/10 C
A23L27/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546688
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2022039202
(87)【国際公開番号】W WO2023063433
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】21382931.0
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】村角 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】大平 美佳子
【テーマコード(参考)】
4B016
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LC04
4B016LE05
4B016LG02
4B016LK18
4B016LP01
4B016LP02
4B016LP05
4B047LB03
4B047LB06
4B047LB09
4B047LE01
4B047LF07
4B047LG38
4B047LP01
4B047LP05
4B047LP08
4B047LP18
4B117LC03
4B117LG02
4B117LP01
4B117LP06
(57)【要約】
本発明は、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が1g/100g未満であり、組成物中のリモネン量が4mg/100g未満である、組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、前記組成物中のペクチン量が1g/100g未満であり、前記組成物中のリモネン量が4mg/100g未満である、組成物。
【請求項2】
リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、前記1種以上のフラノラクトンの総含有量が95,000ppb以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、前記1種以上のフラボノイドの総含有量が、63,000ppb以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ガラクツロン酸を0.02g/100g以上の量で含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物を含むか、または実質的にそれからなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
食品または飲料の製造における、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を含む、飲料。
【請求項9】
柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料であって、前記飲料中のペクチン量が0.5g/100g未満であり、前記飲料中のリモネン量が2mg/100g未満である、飲料。
【請求項10】
リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、前記1種以上のフラノラクトンの総含有量が10ppb以上である、請求項8または9に記載の飲料。
【請求項11】
前記1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下である、請求項8から10のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項12】
シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、前記1種以上のフラボノイドの総含有量が、10ppb以上である、請求項8から11のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項13】
ガラクツロン酸を0.004mg/100g以上の量で含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項14】
柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物を含むか、または実質的にそれからなる、請求項8から13のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項15】
リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種もしくは複数のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比が、前記飲料中で0.2以下であるか、またはシネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種もしくは複数のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比が、前記飲料中で0.3以下である、請求項8から14のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項16】
柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を製造する方法であって、
前記柑橘類からアルベドを分離することと、
前記アルベドを溶媒で抽出して、アルベド抽出物を得ることと、
前記アルベド抽出物にペクチナーゼを添加することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記アルベド抽出物にペクチナーゼを添加した後、前記アルベド抽出物を30~60℃で0.5~24時間加工することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月15日に出願された欧州特許第21382931.0号からの優先権を主張し、その内容および要素は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、柑橘類由来の組成物および該組成物などを含有する飲料に関する。本発明はまた、そのような組成物、飲料などの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
柑橘類は、例えば、果汁および果汁をベースとする飲料、炭酸飲料、フレーバーウォーター(flavored water)などを含む飲料に人気がある原料および香料である。近年、消費者は健康志向がますます高くなっており、人工原料ではなく、柑橘類などの新鮮な果実に由来する原料を使用する、低カロリーかつナチュラルな飲料が求められている。
【0004】
例えば、柑橘類の果皮、特にフラベドと呼ばれる外果皮は多くの機能性成分を含有し、果実の可食部に加えて、または可食部の代わりに果皮を食品および飲料に使用することが検討されている。特開2016-093111号公報(特許文献1)は、半流動形態における加工した柑橘類果皮を製造する方法を開示しており、これは食品または飲料に添加される。特開2018-102214号公報(特許文献2)は、柑橘類の果皮から果実皮抽出物を製造する方法を開示しており、該抽出物が食品または飲料に添加されることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-093111号公報
【特許文献2】特開2018-102214号公報
【発明の概要】
【0006】
上記の状況下で、食品用または飲料用の原料として使用され得る柑橘類由来の、食品用または飲料用の新規な組成物、および該組成物を含有する新規な食品または飲料を提供することが望ましい。
【0007】
本発明者らは、食品用または飲料用の新規な組成物が、柑橘類のアルベドを使用することによって製造され得ることを発見した。新規な組成物は、改善された飲料に利用され得る。
【0008】
一側面において、本発明は、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が1g/100g未満であり、組成物中のリモネン量が4mg/100g未満である、組成物を提供する。別の側面において、本発明は、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む食品または飲料であって、飲料中のペクチン量が0.5g/100g未満であり、飲料中のリモネン量が2mg/100g未満である、食品または飲料を提供する。別の側面では、本発明は、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を製造する方法であって、柑橘類からアルベドを分離することと;アルベドを溶媒で抽出して、アルベド抽出物を得ることと;アルベド抽出物にペクチナーゼを添加することとを含む、方法を提供する。別の側面では、本発明は、柑橘類由来、食品用または飲料用の組成物を含む飲料を製造する方法を提供する。
【0009】
本発明は、以下の態様を包含する:
[1]柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が1g/100g未満であり、組成物中のリモネン量が4mg/100g未満である、組成物。
[2]リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が95,000ppb以上である、[1]に記載の組成物。
[3]1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下である、[2]に記載の組成物。
[4]シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、63,000ppb以上である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の組成物。
[5]ガラクツロン酸を0.02g/100g以上の量で含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の組成物。
[6]柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物を含むか、または実質的にそれからなる、[1]~[5]のいずれか1つに記載の組成物。
[6-1]食品または飲料の製造における、[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物の使用。
[6-2][1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物を含む、飲料。
[7]柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料であって、飲料中のペクチン量が0.5g/100g未満であり、飲料中のリモネン量が2mg/100g未満である、飲料。
[8]リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が10ppb以上である、[7]に記載の飲料。
[8-1]リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が10ppb以上である、[6-2]または[7]に記載の飲料。
[9]1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下である、[8]に記載の飲料。
[9-1]1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下である、[6-2]~[8]のいずれか1つに記載の飲料。
[10]シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、10ppb以上である、[7]~[9]のいずれか1つに記載の飲料。
[10-1]シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、10ppb以上である、[6-2]~[9]のいずれか1つに記載の飲料。
[11]ガラクツロン酸を0.004mg/100g以上の量で含む、[7]~[10]のいずれか1つに記載の飲料。
[11-1]ガラクツロン酸を0.004mg/100g以上の量で含む、[6-2]~[10]のいずれか1つに記載の飲料。
[12]組成物が、柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物を含むか、または実質的にそれからなる、[7]~[11]のいずれか1つに記載の飲料。
[12-1]組成物が、柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物を含むか、または実質的にそれからなる、[6-2]~[11]のいずれか1つに記載の飲料。
[13]リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種もしくは複数のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比が、飲料中で0.2以下であるか、またはシネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種もしくは複数のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比が、飲料中で0.3以下である、[7]~[11]のいずれか1つに記載の飲料。
[13-1]リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種もしくは複数のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比が、飲料中で0.2以下であるか、またはシネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種もしくは複数のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比が、飲料中で0.3以下である、[6-2]~[11]のいずれか1つに記載の飲料。
[14]柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を製造する方法であって、
柑橘類からアルベドを分離することと、
アルベドを溶媒で抽出して、アルベド抽出物を得ることと、
アルベド抽出物にペクチナーゼを添加することと
を含む、方法。
[15]アルベド抽出物にペクチナーゼを添加した後、アルベド抽出物を30~60℃で0.5~24時間加工することをさらに含む、[14]に記載の方法。
【0010】
一態様では、本発明は、食品用または飲料用に原料として使用され得る柑橘類由来の、食品用または飲料用の新規な組成物、および該組成物を含有する新規な食品または飲料を提供することができる。好ましい態様は、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を食品または飲料に付与することが可能な、食品用または飲料用の新規な組成物を提供することができる。より好ましい態様は、ナチュラルでフレッシュな果実風味に加えて、柑橘類の果皮に由来する自然な苦味を付与することが可能な、柑橘類由来の、食品用または飲料用の新規な組成物を提供することができる。本発明の態様による、食品用および飲料用の組成物またはそれを含有する飲料は、リモネンなどの柑橘系油分の低含有量に起因して、高い光安定性および/または外観安定性を有し、黄色がかった透明に近い色の独特の概観を有する。
【0011】
本発明の原理を例示する態様および実験を、添付の図を参照して、これから説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】典型的な柑橘類の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の態様および態様を、ここで詳述する。以下に記載の態様および態様は単に例示的なものであり、本発明をこれらの態様のみに限定することを意図するものではないことに留意されたい。本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな形態で実行することができる。本明細書に引用される全ての文献および公開公報、特許公報などを含む特許文献は、参照により本明細書に組み込まれることに留意されたい。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「ppm」および「ppb」とは、特に明記されない限り、それぞれ「重量ppm」および「重量ppb」を意味する。また、単位「%」とは、特に明記されない限り、「重量%」を意味する。
【0015】
1.柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物
第1の側面では、本発明は、以下の組成物(これ以降「本発明の組成物」と称する)を提供する:
柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が1g/100g未満であり、組成物中のリモネン量が4mg/100g未満である、組成物。
【0016】
用語「食品用または飲料用の組成物」は、本明細書で、食品もしくは飲料に使用され得るか、または食品もしくは飲料における使用に好適な組成物を指す。例えば、食品用または飲料用の組成物は、食品用または飲料用の原料であってもよい。さらに、本組成物は柑橘類に由来する。したがって、本発明の組成物は、風味成分、糖、ビタミン、ミネラル、タンパク質、多糖および食物繊維などの、柑橘類に起源を持つ成分を含有し得る。一部の態様では、本発明の組成物は、柑橘類に起源を持つ成分の存在に起因して、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を食品または飲料に付与することが可能である。好ましい態様では、ナチュラルでフレッシュな果実風味に加えて、柑橘類の果皮に由来する自然な苦味が付与される。柑橘類は一般にペクチンが豊富であり、本発明の組成物は柑橘類に由来するが、本組成物中のペクチン量は、1g/100g未満のように低い。また、一般に、柑橘類におけるリモネンが豊富であるにもかかわらず、本組成物中のリモネン量は、4mg/100g未満のように低い。一部の態様では、本発明の組成物は、リモネンなどの柑橘系油分の低含有量に起因して、高い光安定性および/または外観安定性を有し、黄色がかった透明に近い色の独特の概観を有する。
【0017】
本発明による食品用または飲料用の組成物の例として、抽出物(液体または固体)および抽出物の濃縮物が含まれる。
【0018】
本発明の組成物中のペクチン量は、1g/100g未満である。一部の態様では、本発明の組成物中のペクチン量は、0g/100gまたは検出限界未満であり得る。一部の態様では、本発明の組成物中のペクチン量は、0.95g/100g以下、0.9g/100g以下、0.8g/100g以下、0.7g/100g以下、0.6g/100g以下、0.5g/100g以下、0.4g/100g以下、0.3g/100g以下、0.2g/100g以下、0.1g/100g以下、0g/100gより多く1g/100g未満、0.01g/100gより多く1g/100g未満、0.05g/100gより多く1g/100g未満、0.01g/100g~0.95g/100g、0.01g/100g~0.9g/100g、0.01g/100g~0.8g/100g、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.6g/100g、0.01g/100g~0.5g/100g、0.01g/100g~0.4g/100g、0.01g/100g~0.3g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、0.01g/100g~0.15g/100g、0.05g/100g~0.95g/100g、0.05g/100g~0.9g/100g、0.05g/100g~0.8g/100g、0.05g/100g~0.7g/100g、0.05g/100g~0.6g/100g、0.05g/100g~0.5g/100g、0.05g/100g~0.4g/100g、0.05g/100g~0.3g/100g、0.05g/100g~0.2g/100gまたは0.05g/100g~0.15g/100gである。本組成物中のペクチン量は、好ましくは0.01g/100g~0.7g/100g、より好ましくは0.01g/100g~0.2g/100g、さらにより好ましくは0.01g/100g~0.15g/100gであってもよい。ペクチン量は、例えば、実施例の項に記載されるように、m-ヒドロキシジフェニル法(比色法)を使用して、ガラクツロン酸の量を測定することによって分析することができる。一部の態様では、ペクチン量は、組成物に含有される1種以上の不溶性ペクチンおよび1種以上の可溶性ペクチンの総量である。本明細書で使用される場合、可溶性ペクチンとは、熱水に溶解し得るペクチンを意味し、不溶性ペクチンとは、0.05mol/Lの塩酸などの希塩酸に溶解し得るペクチンを意味する。ペクチン量は、化合物をペクチナーゼで酵素的に処理することによって、上記の量まで低減することができる。
【0019】
他の態様では、ペクチン量は、組成物に含有される1種以上の可溶性ペクチンの総量である。一部の態様では、本発明の組成物中の1種以上の可溶性ペクチンの総量は、0.95g/100g以下、0.9g/100g以下、0.8g/100g以下、0.7g/100g以下、0.6g/100g以下、0.5g/100g以下、0.4g/100g以下、0.3g/100g以下、0.2g/100g以下、0.1g/100g以下、0g/100gより多く1g/100g未満、0.01g/100gより多く1g/100g未満、0.05g/100gより多く1g/100g未満、0.01g/100g~0.95g/100g、0.01g/100g~0.9g/100g、0.01g/100g~0.8g/100g、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.6g/100g、0.01g/100g~0.5g/100g、0.01g/100g~0.4g/100g、0.01g/100g~0.3g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、0.01g/100g~0.15g/100g、0.05g/100g~0.95g/100g、0.05g/100g~0.9g/100g、0.05g/100g~0.8g/100g、0.05g/100g~0.7g/100g、0.05g/100g~0.6g/100g、0.05g/100g~0.5g/100g、0.05g/100g~0.4g/100g、0.05g/100g~0.3g/100g、0.05g/100g~0.2g/100gまたは0.05g/100g~0.15g/100gである。本組成物中の1種以上の可溶性ペクチンの総量は、好ましくは0.01g/100g~0.7g/100g、より好ましくは0.01g/100g~0.2g/100g、さらにより好ましくは0.01g/100g~0.15g/100gであってもよい。可溶性ペクチンの量は、例えば、実施例の項に記載されるように、m-ヒドロキシジフェニル法(比色法)を使用して、ガラクツロン酸の量を測定することによって分析することができる。
【0020】
本発明の組成物中のリモネン量は、4mg/100g未満である。一部の態様では、本発明の組成物中のリモネン量は、0mg/100gまたは検出限界未満である。一部の態様では、本発明の組成物中のリモネン量は、3.5mg/100g以下、3mg/100g以下、2.5mg/100g以下、2mg/100g以下、1.5mg/100g以下、1mg/100g以下、0.8mg/100g以下、0.6mg/100g以下、0.4mg/100g以下、0.2mg/100g以下、0.1mg/100g以下、0.05mg/100g以下、0.01mg/100g以下、0mg/100g~4mg/100g未満、0.001mg/100g~4mg/100g未満、0.01mg/100g~4mg/100g未満、0.001mg/100g~3.5mg/100g、0.001mg/100g~3mg/100g、0.001mg/100g~2.5mg/100g、0.001mg/100g~2mg/100g、0.001mg/100g~1.5mg/100g、0.001mg/100g~1mg/100g、0.001mg/100g~0.8mg/100g、0.001mg/100g~0.6mg/100g、0.001mg/100g~0.4mg/100g、0.001mg/100g~0.2mg/100g、0.001mg/100g~0.1mg/100g、0.001mg/100g~0.08mg/100g、0.01mg/100g~4mg/100g未満、0.01mg/100g~3.5mg/100g、0.01mg/100g~3mg/100g、0.01mg/100g~2.5mg/100g、0.01mg/100g~2mg/100g、0.01mg/100g~1.5mg/100g、0.01mg/100g~1mg/100g、0.01mg/100g~0.8mg/100g、0.01mg/100g~0.6mg/100g、0.01mg/100g~0.4mg/100g、0.01mg/100g~0.2mg/100g、0.01mg/100g~0.1mg/100gまたは0.01mg/100g~0.08mg/100gである。本組成物中のリモネン量は、好ましくは0.001mg/100g~0.2mg/100g、より好ましくは0.001mg/100g~0.1mg/100g、さらにより好ましくは0.01mg/100g~0.08mg/100gであってもよい。リモネン量は、例えば、実施例の項に記載されるように、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)を使用して測定することができる。リモネンは、d-リモネン、l-リモネンまたはこれらの混合物であってもよい。リモネン量は、組成物用の原材料としてアルベドを主に使用することによって、上記の量まで低減することができる。
【0021】
本発明の組成物は、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み得る。一部の態様では、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの量は、本発明の組成物の全体において、95,000ppb以上、100,000ppb以上、120,000ppb以上、130,000ppb以上、150,000ppb以上、170,000ppb以上、95,000~300,000ppb、100,000~300,000ppb、120,000~300,000ppb、130,000~300,000ppb、150,000~300,000ppb、170,000~300,000ppb、95,000~250,000ppb、100,000~250,000ppb、120,000~250,000ppb、130,000~250,000ppb、150,000~250,000ppb、170,000~250,000ppb、95,000~200,000ppb、100,000~200,000ppb、120,000~200,000ppb、130,000~200,000ppb、150,000~200,000ppb、170,000~200,000ppb、95,000~140,000ppb、100,000~140,000ppb、110,000~140,000ppbまたは120,000~140,000ppbである。1種以上のフラノラクトンの総含有量は、本発明の組成物の全体において、好ましくは95,000~300,000ppb、より好ましくは100,000~250,000ppb、さらにより好ましくは120,000~200,000ppbであってもよい。フラノラクトン量は、例えば、実施例の項に記載されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定することができる。フラノラクトン量は、組成物用の原材料としてアルベドを主に使用することによって調節され得る。
【0022】
1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比は、17重量%以下であってもよい。好ましい態様では、該比は、15重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、0重量%より多く18重量%まで、0.1重量%~18重量%、0.1重量%~15重量%、0.1重量%~12重量%、0.1重量%~10重量%、0.1重量%~8重量%、0.1重量%~5重量%または0.1重量%~3重量%、1重量%~10重量%、1重量%~8重量%または1重量%~5重量%である。より好ましい態様では、該比は、0.1重量%~10重量%または1重量%~8重量%または1重量%~5重量%である。
【0023】
リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比、すなわち、リモネン/フラノラクトンは、本発明の組成物中で、0.2以下であってもよい。これは、リモネン量が、フラノラクトンの総量よりはるかに少ないことを意味する。一部の態様では、本発明の組成物は、フラノラクトンの総量と比較して、低量のリモネンを含有する。一部の態様では、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量は、本発明の組成物中で、0.0001~0.2、0.0001~0.15、0.0001~0.1、0.0001~0.08、0.0001~0.06、0.0001~0.04、0.0001~0.02、0.001~0.2、0.001~0.15、0.001~0.1、0.001~0.08、0.001~0.06、0.001~0.04、0.001~0.02、0.002~0.2、0.002~0.15、0.002~0.1、0.002~0.08、0.002~0.06、0.002~0.04または0.002~0.02である。該比は、好ましくは0.0001~0.2、より好ましくは0.001~0.1、さらにより好ましくは0.001~0.04であってもよい。上記の範囲内で、本発明の組成物は、高い光安定性および/または外観安定性を有しながら、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を食品または飲料に付与し得る。
【0024】
本発明の組成物は、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み得る。一部の態様では、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの量は、本発明の組成物の全体において、63,000ppb以上、70,000ppb以上、80,000ppb以上、100,000ppb以上、120,000ppb以上、140,000ppb以上、63,000~200,000ppb、70,000~200,000ppb、80,000~200,000ppb、100,000~200,000ppb、120,000~200,000ppb、130,000~200,000ppb、140,000~200,000ppb、63,000~150,000ppb、70,000~150,000ppb、80,000~150,000ppb、100,000~150,000ppb、120,000~150,000ppb、130,000~150,000ppb、140,000~150,000ppb、63,000~110,000ppb、70,000~110,000ppbまたは80,000~110,000ppbである。1種以上のフラボノイドの総含有量は、本発明の組成物の全体において、好ましくは63,000~200,000ppb、より好ましくは80,000~150,000ppb、さらにより好ましくは80,000~110,000ppbであってもよい。フラボノイドの量は、例えば、実施例の項に記載されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定することができる。フラボノイドの量は、組成物用の原材料としてアルベドを主に使用することによって調節することができる。
【0025】
シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比、すなわち、リモネン/フラボノイドは、本発明の組成物中で、0.3以下であってもよい。これは、リモネン量が、フラボノイドの総量よりはるかに少ないことを意味する。一部の態様では、本発明の組成物は、フラボノイドの総量と比較して、低量のリモネンを含有する。一部の態様では、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量は、本発明の組成物中で、0.0001~0.3、0.0001~0.25、0.0001~0.2、0.0001~0.15、0.0001~0.1、0.0001~0.08、0.0001~0.06、0.0001~0.04、0.0001~0.02、0.001~0.3、0.001~0.25、0.001~0.2、0.001~0.15、0.001~0.1、0.001~0.08、0.001~0.06、0.001~0.04、0.001~0.02、0.002~0.3、0.002~0.25、0.002~0.2、0.002~0.15、0.002~0.1、0.002~0.08、0.002~0.06、0.002~0.04または0.002~0.02である。該比は、好ましくは0.0001~0.3、より好ましくは0.001~0.1、さらにより好ましくは0.001~0.04であってもよい。上記の範囲内で、本発明の組成物は、高い光安定性および/または外観安定性を有しながら、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を食品または飲料に付与し得る。
【0026】
本発明の組成物は、ガラクツロン酸を0.02g/100g以上の量で含み得る。一部の態様では、本発明の組成物中のガラクツロン酸の量は、0.04g/100g以上、0.06g/100g以上、0.08g/100g以上、0.1g/100g以上、0.15g/100g以上、0.2g/100g以上、0.25g/100g以上、0.3g/100g以上、0.02~10g/100g、0.02~5g/100g、0.02~2g/100g、0.02~1g/100g、0.02~0.7g/100g、0.02~0.5g/100g、0.1~10g/100g、0.1~5g/100g、0.1~2g/100g、0.1~1g/100g、0.1~0.7g/100g、0.1~0.5g/100g、0.2~10g/100g、0.2~5g/100g、0.2~2g/100g、0.2~1g/100g、0.2~0.7g/100gまたは0.2~0.5g/100gである。本発明の組成物中のガラクツロン酸の含有量は、好ましくは0.02~2g/100g、より好ましくは0.1~1g/100g、さらにより好ましくは0.2~0.7g/100gであってもよい。ガラクツロン酸の量は、例えば、実施例の項に記載されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定することができる。ガラクツロン酸の量は、化合物をペクチナーゼで酵素的に処理することによって調節することができる。ガラクツロン酸は、ペクチンの加水分解によって生成することができる。
【0027】
一部の態様では、本組成物は、柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物を含むか、または実質的にそれからなる。図1に例示されたように、アルベドは、柑橘類の果皮の白っぽいスポンジ状の部分である。「ペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物」とは、本明細書で、抽出物中のペクチン量を低減するためにペクチナーゼで処理した、柑橘類のアルベドの抽出物を意味する。「から実質的になる(consists essentially of)」という語句は、本明細書で、本発明の組成物が、本発明の効果を障害することがない範囲内で、柑橘類のアルベド以外の部分の抽出物を含有し得ることを意味する。例えば、組成物の70%以上、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、またより好ましくは98%以上は、柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物である。残部は、柑橘類の果汁または柑橘類のフラベドからの抽出物であり得る。図1に記載されるように、柑橘類(10)は、一般に、果汁小胞を有するセグメント(7)、種子(9)、ならびにアルベド(5)およびフラベド(3)で構成される果皮(1)で構成される。一般に、フラベドは、香料として使用することができる、リモネンなどの多量の柑橘系油分を含有するため、柑橘類果皮中の好ましい部分である。本発明者らは、驚いたことに、柑橘類のフラベドからではなく、主にアルベドから得られる組成物が、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を食品または飲料に付与し得ることを見出した。
【0028】
本発明の組成物が、上記の量のペクチンおよびリモネンを含有する限り、本発明の組成物を製造する方法は限定されない。一部の態様では、本発明の組成物は、上記の成分を水に添加することによって調製される。一部の態様では、本発明の組成物は、柑橘類の一部の部分を使用し、成分の量を上記のように調節することによって調製される。一部の態様では、本発明の組成物は、本明細書に開示される方法を使用して得ることができる。好ましい態様では、本発明の組成物は、本明細書に開示される方法によって製造される。
【0029】
本発明の組成物は、固体状態、液体状態またはゲルもしくはゾルなどの半固体状態であってもよい。好ましい態様では、本組成物は、柑橘類の液体抽出物などの液体形態である。一部の態様では、本発明の組成物は、溶媒を含む。溶媒は、水、アルコールまたは水とアルコールの混合物であってもよい。
【0030】
本発明の組成物は、レモン、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ、ライムおよび他の柑橘類からなる群から選択される1種以上の柑橘類に由来し得る。他の柑橘類は、キンカン、ユズ、アグリフルーツ、ブンタン、タンジェリン、タンジェロ、ウンシュウミカン、およびクレメンタインを限定されることなく含み得る。一部の態様では、柑橘類は、レモン、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ、およびライムから選択される。一部の態様では、柑橘類は、レモンおよびオレンジから選択される。一部の態様では、柑橘類はレモンである。好ましい態様では、本発明の組成物は、レモン、オレンジおよびグレープフルーツからなる群から選択される1種以上の柑橘類に由来する。
【0031】
本発明の組成物を使用することができる食品の例には、菓子、パン、穀粉、麺類、米、農産/林産加工食品、畜産加工品、水産加工品、ミルク/乳製品、油脂/油脂加工食品、調味料または他の食品材料が含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の組成物を使用することができる飲料の例には、炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、ビールまたはノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ココア飲料、栄養飲料および機能性飲料が含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。好ましい態様では、本発明の組成物は、本発明の組成物の風味が特に炭酸飲料に適し得るため、炭酸飲料に使用される。
【0033】
2.柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む食品または飲料
第2の側面では、本発明は、以下の食品または飲料(これ以降「本発明の食品または飲料」と称する)を提供する:
柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む食品または飲料であって、飲料中のペクチン量が0.5g/100g未満であり、飲料中のリモネン量が2mg/100g未満である、食品または飲料。
【0034】
本発明の食品または飲料中のペクチン量は、0.5g/100g未満である。一部の態様では、本発明の食品または飲料中のペクチン量は、0g/100gまたは検出限界未満であり得る。一部の態様では、本発明の食品または飲料中のペクチン量は、0.45g/100g以下、0.4g/100g以下、0.3g/100g以下、0.2g/100g以下、0.1g/100g以下、0.01g/100g以下、0.001g/100g以下、0.0001g/100g以下、0.000001g/100g~0.5g/100g未満、0.000001g/100g~0.4g/100g、0.000001g/100g~0.3g/100g、0.000001g/100g~0.2g/100g、0.000001g/100g~0.1g/100g、0.000001g/100g~0.01g/100g、0.000001g/100g~0.001g/100g、0.000001g/100g~0.0001g/100g、0.00001g/100g~0.5g/100g未満、0.00001g/100g~0.4g/100g、0.00001g/100g~0.3g/100g、0.00001g/100g~0.2g/100g、0.00001g/100g~0.1g/100g、0.00001g/100g~0.01g/100g、0.00001g/100g~0.001g/100gまたは0.0001g/100g~0.0002g/100gである。一部の態様では、本発明の食品または飲料中のペクチン量は、0.00001~0.2g/100g、0.00001~0.15g/100g、0.00001~0.05g/100g、0.00001~0.02g/100g、0.00001~0.005g/100g、0.00001~0.002g/100g、0.00001~0.0005g/100g、0.00001~0.0002g/100g、0.0001~0.2g/100g、0.0001~0.15g/100g、0.0001~0.05g/100g、0.0001~0.02g/100g、0.0001~0.005g/100g、0.0001~0.002g/100g、0.0001~0.0005g/100g、0.0001~0.0002g/100g、0.001~0.2g/100g、0.001~0.15g/100g、0.001~0.05g/100g、0.001~0.02g/100g、0.001~0.005g/100g、0.001~0.002g/100g、0.01~0.2g/100g、0.01~0.15g/100g、0.01~0.05g/100gまたは0.01~0.02g/100gである。好ましい態様では、本発明の食品または飲料中のペクチン量は、0.00001~0.2g/100g、0.00001~0.1g/100gまたは0.00001~0.02g/100gである。ペクチン量は、例えば、実施例の項に記載されるように、m-ヒドロキシジフェニル法(比色法)を使用して、ガラクツロン酸の量を測定することによって分析することができる。飲料中のペクチン量が、m-ヒドロキシジフェニル法(比色法)の検出限界未満である場合、試料を、真空蒸発および固相抽出などの公知の方法によって濃縮し、濃縮された試料中の量を測定して、飲料中のペクチン量を算出することができる。一部の態様では、ペクチン量は、食品または飲料に含有される1種以上の不溶性ペクチンおよび1種以上の可溶性ペクチンの総量である。ペクチン量は、ペクチンを含有する原材料をペクチナーゼで酵素的に処理することによって、上記の量まで低減することができる。
【0035】
他の態様では、ペクチン量は、食品または飲料に含有される1種以上の可溶性ペクチンの総量である。一部の態様では、本発明の食品または飲料中の1種以上の可溶性ペクチンの総量は、0.5g/100g以下、0.45g/100g以下、0.4g/100g以下、0.3g/100g以下、0.2g/100g以下、0.1g/100g以下、0.01g/100g以下、0.001g/100g以下、0.0001g/100g以下、0.000001g/100g~0.5g/100g未満、0.000001g/100g~0.4g/100g、0.000001g/100g~0.3g/100g、0.000001g/100g~0.2g/100g、0.000001g/100g~0.1g/100g、0.000001g/100g~0.01g/100g、0.000001g/100g~0.001g/100g、0.000001g/100g~0.0001g/100g、0.00001g/100g~0.5g/100g未満、0.00001g/100g~0.4g/100g、0.00001g/100g~0.3g/100g、0.00001g/100g~0.2g/100g、0.00001g/100g~0.1g/100g、0.00001g/100g~0.01g/100g、0.00001g/100g~0.001g/100g、0.0001g/100g~0.0002g/100gである。一部の態様では、本発明の食品または飲料中の可溶性ペクチンの量は、0.00001~0.2g/100g、0.00001~0.15g/100g、0.00001~0.05g/100g、0.00001~0.02g/100g、0.00001~0.005g/100g、0.00001~0.002g/100g、0.00001~0.0005g/100g、0.00001~0.0002g/100g、0.0001~0.2g/100g、0.0001~0.15g/100g、0.0001~0.05g/100g、0.0001~0.02g/100g、0.0001~0.005g/100g、0.0001~0.002g/100g、0.0001~0.0005g/100g、0.0001~0.0002g/100g、0.001~0.2g/100g、0.001~0.15g/100g、0.001~0.05g/100g、0.001~0.02g/100g、0.001~0.005g/100g、0.001~0.002g/100g、0.01~0.2g/100g、0.01~0.15g/100g、0.01~0.05g/100gまたは0.01~0.02g/100gである。好ましい態様では、本発明の食品または飲料中の可溶性ペクチンの量は、0.00001~0.2g/100g、0.00001~0.1g/100gまたは0.00001~0.02g/100gである。可溶性ペクチンの量は、例えば、実施例の項に記載されるように、m-ヒドロキシジフェニル法(比色法)を使用して、ガラクツロン酸の量を測定することによって分析することができる。
【0036】
本発明の食品または飲料中のリモネン量は、2mg/100g未満である。一部の態様では、本発明の食品または飲料中のリモネン量は、0mg/100gまたは検出限界未満である。一部の態様では、本発明の食品または飲料中のリモネン量は、1.5mg/100g以下、1mg/100g以下、0.5mg/100g以下、0.1mg/100g以下、0.01mg/100g以下、0.001mg/100g以下、0.0005mg/100g以下、0.00005mg/100g以下、0.000001mg/100g~2mg/100g未満、0.000001mg/100g~1mg/100g未満、0.000001mg/100g~0.5mg/100g未満、0.000001mg/100g~0.4mg/100g、0.000001mg/100g~0.3mg/100g、0.000001mg/100g~0.2mg/100g、0.000001mg/100g~0.1mg/100g、0.000001mg/100g~0.01mg/100g、0.000001mg/100g~0.001mg/100g、0.000001mg/100g~0.0001mg/100g、0.00001mg/100g~2mg/100g未満、0.00001mg/100g~1mg/100g未満、0.00001mg/100g~0.5mg/100g未満、0.00001mg/100g~0.4mg/100g、0.00001mg/100g~0.3mg/100g、0.00001mg/100g~0.2mg/100g、0.00001mg/100g~0.1mg/100g、0.00001mg/100g~0.01mg/100g、0.00001mg/100g~0.001mg/100g、0.0001mg/100g~0.0002mg/100gである。一部の態様では、本発明の食品または飲料中のリモネン量は、0.00001~0.2mg/100g、0.00001~0.15mg/100g、0.00001~0.05mg/100g、0.00001~0.02mg/100g、0.00001~0.005mg/100g、0.00001~0.002mg/100g、0.00001~0.0005mg/100g、0.00001~0.0002mg/100g、0.0001~0.2mg/100g、0.0001~0.15mg/100g、0.0001~0.05mg/100g、0.0001~0.02mg/100g、0.0001~0.005mg/100g、0.0001~0.002mg/100g、0.0001~0.0005mg/100g、0.0001~0.0002mg/100g、0.001~0.2mg/100g、0.001~0.15mg/100g、0.001~0.05mg/100g、0.001~0.02mg/100g、0.001~0.005mg/100g、0.001~0.002mg/100g、0.005~0.2mg/100g、0.005~0.15mg/100g、0.005~0.05mg/100gまたは0.005~0.04mg/100gである。好ましい態様では、本発明の食品または飲料中のリモネン量は、0.00001~0.2mg/100g、0.00001~0.1mg/100gまたは0.00001~0.02mg/100gである。リモネン量は、例えば、実施例の項に記載されるように、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)を使用して測定することができる。飲料中のリモネン量が、GC/MSの検出限界未満である場合、試料を、真空蒸発および固相抽出などの公知の方法によって濃縮し、濃縮された試料中の量を測定して、飲料中のリモネン量を算出することができる。リモネンは、d-リモネン、l-リモネンまたはこれらの混合物であってもよい。リモネン量は、食品用または飲料用の原材料としてアルベドを主に使用することによって、上記の量まで低減することができる。
【0037】
本発明の食品または飲料は、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み得る。一部の態様では、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの量は、本発明の食品または飲料の全体において、10ppb以上、15ppb以上、20ppb以上、50ppb以上、100ppb以上、500ppb以上、1,000ppb以上、5,000ppb以上、10,000ppb以上、20,000ppb以上、47,500ppb以上、10ppb~150,000ppb、15ppb~150,000ppb、20ppb~150,000ppb、50ppb~150,000ppb、100ppb~150,000ppb、500ppb~150,000ppb、1,000ppb~150,000ppb、5,000ppb~150,000ppb、10,000ppb~150,000ppb、20,000ppb~150,000ppb、47,500ppb~150,000ppb、10ppb~100,000ppb、15ppb~100,000ppb、20ppb~100,000ppb、50ppb~100,000ppb、100ppb~100,000ppb、500ppb~100,000ppb、1,000ppb~100,000ppb、5,000ppb~100,000ppb、10,000ppb~100,000ppb、20,000ppb~100,000ppb、47,500ppb~100,000ppb、10ppb~50,000ppb、15ppb~50,000ppb、20ppb~50,000ppb、50ppb~50,000ppb、100ppb~50,000ppb、500ppb~50,000ppb、1,000ppb~50,000ppb、5,000ppb~50,000ppb、10,000ppb~50,000ppb、20,000ppb~50,000ppb、47,500ppb~50,000ppb、10ppb~10,000ppb、15ppb~10,000ppb、20ppb~10,000ppb、50ppb~10,000ppb、100ppb~10,000ppb、500ppb~10,000ppb、1,000ppb~10,000ppb、5,000ppb~10,000ppb、10ppb~5,000ppb、15ppb~5,000ppb、20ppb~5,000ppb、50ppb~5,000ppb、100ppb~5,000ppb、500ppb~5,000ppb、1,000ppb~5,000ppb、10ppb~1,000ppb、15ppb~1,000ppb、20ppb~1,000ppb、50ppb~1,000ppb、100ppb~1,000ppbまたは500ppb~1,000ppbである。1種以上のフラノラクトンの総含有量は、本発明の食品または飲料の全体において、好ましくは10ppb~50,000ppb、より好ましくは20ppb~50,000ppb、さらにより好ましくは20ppb~10,000ppbであってもよい。フラノラクトン量は、例えば、実施例の項に記載されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定することができる。飲料中のフラノラクトン量が、HPLCの検出限界未満である場合、試料を、真空蒸発および固相抽出などの公知の方法によって濃縮し、濃縮された試料中の量を測定して、飲料中のフラノラクトン量を算出することができる。フラノラクトン量は、食品用または飲料用の原材料としてアルベドを主に使用することによって調節することができる。
【0038】
1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比は、17重量%以下であってもよい。好ましい態様では、該比は、15重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、0重量%より大きく18重量%まで、0.1重量%~18重量%、0重量%より大きく17重量%まで、0.1重量%~17重量%、0.1重量%~15重量%、0.1重量%~12重量%、0.1重量%~10重量%、0.1重量%~8重量%、0.1重量%~5重量%または0.1重量%~3重量%である。
【0039】
リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比、すなわち、リモネン/フラノラクトンは、本発明の食品または飲料中で、0.2以下であってもよい。これは、リモネン量が、フラノラクトンの総量よりはるかに少ないことを意味する。一部の態様では、本発明の食品または飲料は、フラノラクトンの総量と比較して、低量のリモネンを含有する。一部の態様では、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量は、本発明の食品または飲料中で、0.0001~0.2、0.0001~0.15、0.0001~0.1、0.0001~0.08、0.0001~0.06、0.0001~0.04、0.001~0.02、0.001~0.2、0.001~0.15、0.001~0.1、0.001~0.08、0.001~0.06、0.001~0.04、0.001~0.02、0.002~0.2、0.002~0.15、0.002~0.1、0.002~0.08、0.002~0.06、0.002~0.04または0.002~0.02である。該比は、好ましくは0.0001~0.2、より好ましくは0.001~0.1、さらにより好ましくは0.001~0.04であってもよい。上記の範囲内で、本発明の食品または飲料は、高い光安定性および/または外観安定性を有しながら、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を有し得る。
【0040】
本発明の食品または飲料は、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み得る。一部の態様では、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの量は、本発明の食品または飲料の全体において、10ppb以上、15ppb以上、20ppb以上、50ppb以上、100ppb以上、500ppb以上、1,000ppb以上、5,000ppb以上、10,000ppb以上、20,000ppb以上、30,000ppb以上、10ppb~100,000ppb、15ppb~100,000ppb、20ppb~100,000ppb、50ppb~100,000ppb、100ppb~100,000ppb、500ppb~100,000ppb、1,000ppb~100,000ppb、5,000ppb~100,000ppb、10,000ppb~100,000ppb、20,000ppb~100,000ppb、47,500ppb~100,000ppb、10ppb~50,000ppb、15ppb~50,000ppb、20ppb~50,000ppb、50ppb~50,000ppb、100ppb~50,000ppb、500ppb~50,000ppb、1,000ppb~50,000ppb、5,000ppb~50,000ppb、10,000ppb~50,000ppb、20,000ppb~50,000ppb、47,500ppb~50,000ppb、10ppb~10,000ppb、15ppb~10,000ppb、20ppb~10,000ppb、50ppb~10,000ppb、100ppb~10,000ppb、500ppb~10,000ppb、1,000ppb~10,000ppb、5,000ppb~10,000ppb、10ppb~5,000ppb、15ppb~5,000ppb、20ppb~5,000ppb、50ppb~5,000ppb、100ppb~5,000ppb、500ppb~5,000ppb、1,000ppb~5,000ppb、10ppb~1,000ppb、15ppb~1,000ppb、20ppb~1,000ppb、50ppb~1,000ppb、100ppb~1,000ppbまたは500ppb~1,000ppbである。1種以上のフラボノイドの総含有量は、本発明の食品または飲料の全体において、好ましくは10ppb~50,000ppb、より好ましくは15ppb~50,000ppb、さらにより好ましくは15ppb~10,000ppbであってもよい。フラボノイドの量は、例えば、実施例の項に記載されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定することができる。飲料中のフラボノイド量が、HPLCの検出限界未満である場合、試料を、真空蒸発および固相抽出などの公知の方法によって濃縮し、濃縮された試料中の量を測定して、飲料中のフラボノイド量を算出することができる。フラボノイド量は、食品用または飲料用の原材料としてアルベドを主に使用することによって調節することができる。
【0041】
シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比、すなわち、リモネン/フラボノイドは、本発明の食品または飲料中で、0.3以下であってもよい。これは、リモネン量が、フラボノイドの総量よりはるかに少ないことを意味する。一部の態様では、本発明の食品または飲料は、フラボノイドの総量と比較して、低量のリモネンを含有する。一部の態様では、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量は、本発明の食品または飲料中で、0.0001~0.3、0.0001~0.25、0.0001~0.2、0.0001~0.15、0.0001~0.1、0.0001~0.08、0.0001~0.06、0.0001~0.04、0.001~0.02、0.001~0.3、0.001~0.25、0.001~0.2、0.001~0.15、0.001~0.1、0.001~0.08、0.001~0.06、0.001~0.04、0.001~0.02、0.002~0.02、0.002~0.3、0.002~0.25、0.002~0.2、0.002~0.15、0.002~0.1、0.002~0.08、0.002~0.06、0.002~0.04または0.002~0.02である。該比は、好ましくは0.0001~0.3、より好ましくは0.001~0.1、さらにより好ましくは0.001~0.04であってもよい。上記の範囲内で、本発明の食品または飲料は、高い光安定性および/または外観安定性を有しながら、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を有し得る。
【0042】
本発明の食品または飲料は、ガラクツロン酸を0.004mg/100g以上の量で含み得る。一部の態様では、本発明の組成物中のガラクツロン酸の量は、0.006mg/100g以上、0.01mg/100g以上、0.05mg/100g以上、0.1mg/100g以上、0.5mg/100g以上、1mg/100g以上、5mg/100g以上、10mg/100g以上、50mg/100g以上、100mg/100g以上、0.004mg/100g~5,000mg/100g、0.006mg/100g~5,000mg/100g、0.01mg/100g~5,000mg/100g、0.05mg/100g~5,000mg/100g、0.1mg/100g~5,000mg/100g、0.5mg/100g~5,000mg/100g、1mg/100g~5,000mg/100g、5mg/100g~5,000mg/100g、10mg/100g~5,000mg/100g、50mg/100g~5,000mg/100g、10mg/100g~5,000mg/100g、0.004mg/100g~2,500mg/100g、0.006mg/100g~2,500mg/100g、0.01mg/100g~2,500mg/100g、0.05mg/100g~2,500mg/100g、0.1mg/100g~2,500mg/100g、0.5mg/100g~2,500mg/100g、1mg/100g~2,500mg/100g、5mg/100g~2,500mg/100g、10mg/100g~2,500mg/100g、50mg/100g~2,500mg/100g、10mg/100g~2,500mg/100g、0.004mg/100g~1,000mg/100g、0.006mg/100g~1,000mg/100g、0.01mg/100g~1,000mg/100g、0.05mg/100g~1,000mg/100g、0.1mg/100g~1,000mg/100g、0.5mg/100g~1,000mg/100g、1mg/100g~1,000mg/100g、5mg/100g~1,000mg/100g、10mg/100g~1,000mg/100g、50mg/100g~1,000mg/100g、10mg/100g~1,000mg/100g、0.004mg/100g~500mg/100g、0.006mg/100g~500mg/100g、0.01mg/100g~500mg/100g、0.05mg/100g~500mg/100g、0.1mg/100g~500mg/100g、0.5mg/100g~500mg/100g、1mg/100g~500mg/100g、5mg/100g~500mg/100g、10mg/100g~500mg/100g、50mg/100g~500mg/100gまたは10mg/100g~500mg/100gである。本発明の組成物中のガラクツロン酸の含有量は、好ましくは0.004mg/100g~5,000mg/100g、より好ましくは0.006mg/100g~1,000mg/100g、さらにより好ましくは0.004mg/100g~500mg/100gであってもよい。ガラクツロン酸の量は、例えば、実施例の項に記載されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定することができる。飲料中のガラクツロン酸の量が、HPLCの検出限界未満である場合、試料を、真空蒸発および固相抽出などの公知の方法によって濃縮し、濃縮された試料中の量を測定して、飲料中のガラクツロン酸の量を算出することができる。ガラクツロン酸の量は、食品または飲料をペクチナーゼで酵素的に処理することによって調節することができる。
【0043】
一部の態様では、食品または飲料に含まれる組成物は、柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物を含むか、または実質的にそれからなる。「ペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物」とは、本明細書で、抽出物中のペクチン量を低減するためにペクチナーゼで処理した、柑橘類のアルベドの抽出物を意味する。「から実質的になる(consists essentially of)」という語句は、本明細書で、組成物が、本発明の効果を障害することがない範囲内で、柑橘類のアルベド以外の部分の抽出物を含有し得ることを意味する。例えば、組成物の70%以上、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、またより好ましくは98%以上は、柑橘類のアルベドの抽出物、またはペクチナーゼ処理した柑橘類のアルベドの抽出物である。残部は、柑橘類の果汁または柑橘類のフラベドからの抽出物であり得る。一般に、フラベドは、香料として使用することができる、多量の柑橘系油分を含有するため、柑橘類果皮中の好ましい部分である。本発明者らは、驚いたことに、柑橘類のアルベドから主に得られる組成物が、柑橘類のナチュラルでフレッシュな果実風味を食品または飲料に付与し得ることを見出した。アルベドは、柑橘類全体から、果汁小胞を有するセグメント、種子およびフラベドを除去することによって得ることができる。一部の態様では、アルベドは、柑橘類の果汁を搾った後の柑橘類から得られる。例えば、アルベドは、柑橘類の搾りかすから得ることができる。本発明の組成物用の原材料として搾りかすを使用することは、天然資源を利用しかつ廃棄物を低減するという点から好ましい。
【0044】
本発明の食品または飲料は、第1の態様による本発明の組成物を含み得る。一部の態様では、食品または飲料中の組成物の含有量は、食品または飲料の総重量に基づいて、0.001~50重量%である。好ましい態様では、柑橘類のアルベドの抽出物などの組成物の含有量は、食品または飲料中で、0.001~50重量%、0.001~40重量%、0.001~30重量%、0.001~20重量%、0.001~10重量%、0.001~5重量%、0.001~1重量%、0.001~0.5重量%、0.001~0.1重量%、0.001~0.09重量%、0.001~0.08重量%、0.001~0.07重量%、0.001~0.06重量%、0.001~0.05重量%、0.001~0.04重量%、0.001~0.03重量%または0.001~0.02重量%である。より好ましい態様では、柑橘類のアルベドの抽出物の含有量は、食品または飲料中で、0.02~0.2重量%である。
【0045】
本発明の食品または飲料は、柑橘類からの果汁を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「果汁」は、果実を機械的に搾ることによって得られる液体を指す。一部の態様では、柑橘類からの果汁の含有量は、食品または飲料中で、ストレートの果汁に関して0.01~20重量%、0.01~5重量%または0.01~2重量%である。製造方法にかかわらず、ストレートの果汁、濃縮された果汁などの形態で、任意の果汁を使用してもよい。濃縮された果汁は、加熱濃縮法および凍結濃縮法のいずれかによって調製されたものであり得る。
【0046】
本発明の食品または飲料に含有され得る果汁の種類は、特に限定されず、1種または2種以上の果汁が使用されてもよい。果汁の好ましい例には:オレンジ(マンダリンオレンジを含む)、レモン、グレープフルーツ、ライム、パイナップル、イチゴ、ブルーベリー、カシス、クランベリー、グアバ、バナナ、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ、マンゴー、リンゴ、ブドウ、モモ、ウメ(梅)、ナシ、アンズ、スモモ(プルーン)、メロン、キウイフルーツ、およびビワからの果汁が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の食品または飲料は、1種以上の甘味料を含んでもよい。そのような甘味料の例には、フルクトース、砂糖(スクロース)、フルクトース-グルコースシロップ、グルコース、マルトース、高-フルクトースシロップ、糖アルコール、オリゴ糖、ハチミツ、ステビオール配糖体、ステビア抽出物、圧搾サトウキビ果汁(黒砂糖シロップ)、デンプンシロップ、ラカンカ(シライチア・グロスベノリ(Siraitia grosvenorii))粉末、ラカンカ(シライチア・グロスベノリ(Siraitia grosvenorii))抽出物、カンゾウ粉末、カンゾウ抽出物、タウマトコックス・ダニエリ(Thaumatococcus daniellii)種子粉末、タウマトコックス・ダニエリ(Thaumatococcus daniellii)種子抽出物などの天然甘味料、ならびにアセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテームおよびサッカリンなどの人工甘味料が含まれる。これらの中でも、天然甘味料が、さわやかな味わい、飲み易さ、天然の風味および適度に濃厚な味わいを付与するという側面から好ましく使用され、フルクトース、グルコース、マルトース、スクロースおよび砂糖が特に好ましく使用される。これらの甘味料の1種以上種のいずれかが使用され得る。
【0048】
一部の態様では、本発明の食品または飲料に、さらなる甘味料は添加されない。一部の態様では、食品または飲料の甘味は、完全に柑橘類由来の甘味料(すなわち、それらからの天然糖)からのものである。一部の態様では、本発明の飲料は、さらなる甘味料を少量で、例えば、ブリックス度10以下のスクロース含有量と等価の甘味をもたらす量で含有する。一部の態様では、本発明の飲料は、さらなる甘味料を、ブリックス度10以下、ブリックス度4.0以下、ブリックス度3.0以下、ブリックス度2.0以下、またはブリックス度1.0以下のスクロース含有量と等価の甘味をもたらす量で含有する。好ましい態様では、本発明の飲料は、さらなる甘味料を、0.1~5.0のブリックス度、0.1~4.0のブリックス度、0.1~3.0のブリックス度、0.1~2.0のブリックス度、0.1~1.0のブリックス度、0.5~5.0のブリックス度、0.5~4.0のブリックス度、0.5~3.0のブリックス度、0.5~2.0のブリックス度、または0.5~1.0のブリックス度のスクロース含有量と等価の甘味をもたらす量で含有する。
【0049】
本発明の食品の例には、菓子、パン、穀粉、麺類、米、農産/林産加工食品、畜産加工品、水産加工品、ミルク/乳製品、油脂/油脂加工食品、調味料または他の食品材料が含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0050】
本発明の飲料の例には、炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、ビールまたはノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ココア飲料、栄養飲料および機能性飲料が含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0051】
本発明の飲料のエネルギー(総エネルギー、カロリー)は、態様に応じて、0~50Kcal/100mL、0~45Kcal/100mL、0~40Kcal/100mL、0~35Kcal/100mL、0~30Kcal/100mL、0~24Kcal/100mL、0~22Kcal/100mL、0~20Kcal/100mL、0~15Kcal/100mL、0~10Kcal/100mL、0~5Kcal/100mL、0.1~50Kcal/100mL、0.1~45Kcal/100mL、0.1~40Kcal/100mL、0.1~35Kcal/100mL、0.1~30Kcal/100mL、0.1~24Kcal/100mL、0.1~22Kcal/100mL、0.1~20Kcal/100mL、0.1~15Kcal/100mL、0.1~10Kcal/100mL、0.1~5Kcal/100mL、1~50Kcal/100mL、1~45Kcal/100mL、1~40Kcal/100mL、1~35Kcal/100mL、1~30Kcal/100mL、1~24Kcal/100mL、1~22Kcal/100mL、1~20Kcal/100mL、1~15Kcal/100mL、1~10Kcal/100mL、1~5Kcal/100mL、5~50Kcal/100mL、5~45Kcal/100mL、5~40Kcal/100mL、5~35Kcal/100mL、5~30Kcal/100mL、5~24Kcal/100mL、5~20Kcal/100mL、5~15Kcal/100mL、5~10Kcal/100mL、10~50Kcal/100mL、10~45Kcal/100mL、10~40Kcal/100mL、10~35Kcal/100mL、10~30Kcal/100mL、10~24Kcal/100mL、10~20Kcal/100mL、10~15Kcal/100mL、15~50Kcal/100mL、15~45Kcal/100mL、15~40Kcal/100mL、15~35Kcal/100mL、15~30Kcal/100mL、15~24Kcal/100mL、15~20Kcal/100mL、20~50Kcal/100mL、20~45Kcal/100mL、20~40Kcal/100mL、20~35Kcal/100mL、20~30Kcal/100mL、20~24Kcal/100mL、24~50Kcal/100mL、24~45Kcal/100mL、24~40Kcal/100mL、24~35Kcal/100mLまたは24~30Kcal/100mLであり得る。
【0052】
本発明の飲料のpHは、特に限定されず、2.0~7.0、2.5~6.5、3.0~6.0、3.5~5.5、2.0~5.0、2.5~5.0、3.0~5.0、3.5~5.0、2.0~4.5、2.5~4.5、3.0~4.5、3.5~4.5、2.0~4.0、2.5~4.0、3.0~4.0または3.5~4.0であり得る。一部の態様では、本発明の飲料のpHは、好ましくは2.0~4.5、より好ましくは2.2~4.2、さらに好ましくは2.7~4.0である。pHが上記の範囲に入る場合は、保存中に、pHが上記の範囲に入らない場合には起きる微生物などの発生を抑制することができ、加えて、爽快な味わいをもたらし得る。飲料のpHは、周知の方法によって、例えばpHメータを使用することによって決定することができる。飲料の酸味は、柑橘類由来の天然の酸からもたらされ得る。加えて、一部の態様では、クエン酸を含むがこれらに限定されない酸味調整剤を添加して、飲料のpHを調節する。
【0053】
本発明の飲料は、加熱殺菌され、包装されて、容器詰飲料として調製され得る。そのような包装の例には、PETボトル、アルミニウム缶、スチール缶、紙包装、チルドカップおよび瓶が含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。一部の態様では、本発明の飲料は、リモネンなどの柑橘系油分の低含有量に起因して、高い光安定性および/または外観安定性を有し、かつ黄色がかった透明に近い色の独特の概観を有し、したがって、透明PETボトルおよび透明ガラス瓶などの透明包装が好ましい。加熱殺菌が実施される場合、加熱殺菌の種類は特に限定されず、加熱殺菌は、例えば、UHT殺菌、レトルト殺菌などの一般的技術を利用することによって実施され得る。加熱殺菌プロセス中の温度は特に限定されないが、例えば、65~130℃、好ましくは85~120℃で10~40分間である。しかしながら、上記の条件下と同等の殺菌値を得ることができる限り、殺菌は、適切な温度で数秒間、例えば、5~30秒間でなんの問題もなく実行することができる。
【0054】
本発明の食品または飲料は、本発明の効果に影響を及ぼさない限り、抗酸化剤(エリトルビン酸ナトリウムなど)、乳化剤(脂肪酸のスクロースエステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のポリグリセリンエステルなど)、酸味料、および香料などの、食品または飲料に一般的に含有される1種以上のさらなる添加剤を好適に含有してもよい。
【0055】
本発明の食品または飲料が、上記の量のペクチンおよびリモネンを含有する限り、本発明の食品または飲料を製造する方法は限定されない。一部の態様では、本発明の飲料は、上記の成分を水に添加することによって調製される。一部の態様では、本発明の食品または飲料は、柑橘類の一部の部分を使用し、成分の量を上記のように調節することによって調製される。一部の態様では、本発明の食品または飲料は、「1.柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物」の項に記載される本発明の組成物を使用することによって調製される。したがって、本発明のさらなる態様は、その項に記載される、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料である。食品または飲料の調製における、本明細書に記載の組成物の使用もまた提供される。一部の態様では、本発明の組成物は、本明細書に開示される方法によって得ることができる。好ましい態様では、本発明の組成物は、本明細書に開示される方法によって製造される。
【0056】
3.柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を製造する方法
第3の側面では、本発明は、以下の方法(これ以降「本発明の組成物を製造する方法」と称する)を提供する:
柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を製造する方法であって、
柑橘類からアルベドを分離することと、
アルベドを溶媒で抽出して、アルベド抽出物を得ることと、
アルベド抽出物にペクチナーゼを添加することと
を含む、方法。
【0057】
本発明の組成物を製造する方法は、「1.柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物」の項に記載される本発明の組成物の一部の態様により、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を製造する。
【0058】
該方法は、柑橘類からアルベドを分離することを含む。柑橘類は限定されず、「1.柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物」の項に記載される柑橘類から選択され得る。図1に記載されるように、柑橘類(10)は、一般に、果汁小胞を有するセグメント(7)、種子(9)、ならびにアルベド(5)およびフラベド(3)で構成される果皮(1)で構成される。一部の態様では、該方法は、柑橘類からアルベドを分離することによってアルベドを使用する。アルベドが柑橘類から分離され得る限り、任意の分離方法を使用してもよい。例えば、柑橘類の精油抽出器(例えば、Fratelli Indelicato S.r.l.社製のPolycitrus)を、アルベドの分離に使用してもよい。
【0059】
アルベドを分離する場合、アルベドは、柑橘類由来の少量の他の成分を含有してもよい。例えば、分離されたアルベドは、種子、果汁小胞を有するセグメント、果汁、フラベドおよびこれらの1種以上の組合せなどの、柑橘類由来の少量の他の成分を含有してもよい。一部の態様では、分離されたアルベドは、実質的にアルベドからなる。「から実質的になる(consist essentially of)」という語句は、本明細書で、分離されたアルベドが、本発明の効果を障害することがない範囲内で、柑橘類由来の少量の他の成分を含有し得ることを意味する。一部の態様では、分離されたアルベドは、分離されたアルベドの総重量に基づいて、0~30重量%、0~25重量%、0~20重量%、0~25重量%、0~20重量%、0~15重量%、0~10重量%、1~30重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、2~10重量%、3~10重量%、4~10重量%、5~10重量%、1~9重量%、1~8重量%、1~7重量%、1~6重量%または1~5重量%の、柑橘類由来の他の成分を含有する。
【0060】
本方法は、アルベドを溶媒で抽出して、アルベド抽出物を得ることを含む。アルベド抽出物は、アルベドおよび溶媒を含有するスラリーの形態であってもよい。アルベドの抽出は、任意の適切な溶媒を使用する公知の方法によって行われ得る。好ましい態様では、抽出の前に、アルベドに物理的処理を施すことによって、抽出効率が改善される。そのような物理的処理の例には、切断、破砕、粉砕、または圧搾することで、アルベドをダイス、チョップ、パルプ、粉末などの形態にすることが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様では、アルベドは、ミル、石臼、または他のミル装置を使用して物理的に処理され得る。物理的処理後のアルベドの大きさは、特に限定されないが、例えば、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下、10mm以下、5mm以下、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下、0.1~5mm、0.1~4mm、0.1~3mm、0.1~2mm、0.1~1mmまたは0.3~2mmであり得る。好ましい態様では、物理的処理後のアルベドの大きさは、0.1~1mmまたは0.3~2mmである。物理的処理後のアルベドの大きさは、物理的処理で生成されたアルベド断片の平均直径を指す。断片の大きさは、例えば、既知の直径の断片を分離して定量化する異なるメッシュサイズを有する篩振盪機を使用することによって、刻んだ後に確認することができる。
【0061】
アルベドの抽出は、さまざまな溶媒を使用して行われ得る。そのような溶媒の例には、水、アルコールおよび水とアルコールの混合物が含まれるが、これらに限定されない。一部の態様では、溶媒は水である。風味に悪影響を及ぼさない限り、任意の種類の水が使用されてもよい。これらの例には、水道水、イオン交換水、軟水、蒸留水、および脱気することによって得られる脱気水が含まれる。溶媒の量は、特に限定されないが、好ましくは、0.1~2mmなどの大きさの圧搾されたアルベドと溶媒が混合された場合、スラリーを形成するのに十分な量であり得る。一部の態様では、アルベドの量は、アルベドおよび溶媒の総重量に基づいて、10~90重量%、20~80重量%、25~70重量%、30~60重量%または30~50重量%である。好ましい態様では、アルベドの量は、アルベドおよび溶媒の総重量に基づいて、30~50重量%である。抽出は、任意の適切な温度で行われてもよいが、好ましくは室温で行われ得る。
【0062】
本方法は、アルベド抽出物にペクチナーゼを添加することを含む。理論に束縛されることは望まないが、ペクチナーゼを使用した、アルベド抽出物中のペクチンの分解は、組成物の黄色がかった透明に近い色を有する独特の概観に寄与する。添加されるペクチナーゼの量は、特に限定されない。その量は、使用されるペクチナーゼの力価、使用されるアルベドの種類、および圧搾の程度を含むさまざまな処理条件によって変化し得る。一部の態様では、添加されるペクチナーゼの量は、アルベドおよび溶媒の総量に基づいて、0.001~1重量%、0.001~0.5重量%、0.001~0.2重量%、0.001~0.1重量%、0.001~0.05重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.2重量%、0.01~0.1重量%、または0.01~0.05重量%の範囲である。好ましい態様では、添加されるペクチナーゼの量は、アルベドおよび溶媒の総量に基づいて、0.01~0.05重量%である。
【0063】
本方法で使用されるペクチナーゼは、加水分解によってペクチンを分解することができる限り、特に限定されず、ペクチンを加水分解することができる任意の公知のペクチナーゼを使用してもよい。ペクチナーゼには、ペクチン中のメチルエステル結合の加水分解に寄与するペクチンエステラーゼ、ならびに両方ともガラクツロン酸残基間のアルファ-1,4グリコシド結合の加水分解に寄与するポリガラクツロナーゼおよびペクチンリアーゼが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様では、ポリガラクツロナーゼおよびペクチンリアーゼが、ペクチナーゼとして使用される。一部の態様では、ポリガラクツロナーゼおよびペクチンリアーゼを含有するPectinex(登録商標)Ultra Mashなどの市販のペクチナーゼが酵素処理に使用される。
【0064】
アルベド抽出物にペクチナーゼを添加した後、酵素処理は、適切な温度、適切な時間で行われ得る。一部の態様では、酵素処理は、30~60℃、35~60℃、40~60℃、45~60℃、50~60℃、30~55℃、35~55℃、40~55℃または45~55℃の温度で行われる。一部の態様では、酵素処理は、0.5時間以上、1時間以上、1.5時間以上、2時間以上、4時間以上、5時間以上、10時間以上、12時間以上、24時間以上、0.5~24時間、1~24時間、1.5~24時間、2~24時間、4~24時間、5~24時間、10~24時間または12~24時間で行われる。好ましい態様では、酵素処理は、45~55℃の温度で2時間行われる。
【0065】
ペクチナーゼが酵素処理に使用される限り、キシラーゼ、マンナナーゼおよびセルラーゼなどの任意の他の酵素もまた組み合わせて使用されてもよい。組み合わせる他の酵素の量は特に限定されず、使用されるアルベドの種類などに応じて調節することができる。例えば、そのような他の酵素は、アルベドおよび溶媒の総量に基づいて、0.001~1重量%、0.001~0.5重量%、0.001~0.2重量%、0.001~0.1重量%、0.001~0.05重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.2重量%、0.01~0.1重量%、または0.01~0.05重量%の量で使用されてもよい。
【0066】
好ましい態様では、酵素処理は、効率を改善するために撹拌下で行われる。使用される撹拌機の種類は特に限定されず、例えば、縦型撹拌機、水平型撹拌機、磁気撹拌機、振とう機などを使用することができる。
【0067】
一部の態様では、限定されることなく、任意の公知の方法を使用して、固液分離が実施される。好ましい態様では、固液分離は、加圧濾過、遠心分離、多段濾過などを使用して実施することができる。連続遠心分離機を使用することによって、多量の固体および液体の画分を、短時間で分離することができる。
【0068】
本方法は、酵素処理を終結させるために、酵素を不活性化することをさらに含み得る。酵素の不活性化は、反応溶液を加熱することによって行われ得る。一部の態様では、酵素の不活性化は、反応溶液を80℃以上、85℃以上、90℃以上、または95℃以上に加熱することによって実行することができる。加熱時間は、10秒以上、15秒以上、20秒以上、25秒以上、30秒以上、30秒以上、35秒以上、40秒以上、45秒以上、50秒以上、55秒以上、60秒以上、10~60秒、10~50秒、10~40秒または20~50秒であり得る。一部の態様では、酵素の不活性化は、殺菌中に行われる。好ましい態様では、反応溶液は、93℃で30秒以上の加熱処理と等価の熱によって殺菌される。
【0069】
本発明の方法では、「食品用または飲料用の組成物」、「ペクチン」、「リモネン」、「フラノラクトン」、「フラボノイド」、「ガラクツロン酸」および「アルベド」は、経口組成物に関しては上記の項に記載されるように定義され、飲料に関しては上記の項に記載された数値は、そのままの数値が適用される。
【0070】
4.柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料を製造する方法
第4の側面では、本発明は、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料を製造する方法を提供する(これ以降「本発明の飲料を製造する方法」と称する)。
【0071】
本発明の飲料を製造する方法は、第1の側面による組成物または第3の側面による方法によって製造された組成物を、飲料用の溶媒で希釈することを含む。一部の態様では、本方法は、希釈の前または後に、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物以外の原料を添加することを含む。さらに、一部の態様による方法は、上記のように包装および/または殺菌をさらに含んでもよい。
【0072】
本発明の飲料を製造する方法では、「食品用または飲料用の組成物」、「ペクチン」、「リモネン」、「フラノラクトン」、「フラボノイド」、「ガラクツロン酸」および「アルベド」は、経口組成物に関しては上記の項に記載されるように定義され、飲料に関しては上記の項に記載された数値は、そのままの数値が適用される。
【0073】
本発明は、本明細書に記載される例示的な態様と関連して説明されてきたが、本開示を与えられると、多くの等価の修正および変形が当業者には明白であろう。したがって、本明細書に明示される本発明の例示的な態様は、例示的なものであって、限定するものではないと考えられる。記載された態様に対するさまざまな変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0074】
誤解を避けるために、本明細書で提供されるあらゆる理論的説明は、読者の理解を改善する目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明に束縛されることを望まない。
【0075】
本明細書で使用されるあらゆる項の見出しは、構成のみを目的としたものであり、記載される主題を限定するものと考えられるべきではない。
【0076】
本明細書の全体を通して、後に続く特許請求の範囲を含み、文脈によりそうでない旨が要求されない限り、語「含む(comprise)」、「含有する(contain)」および「含む(include)」、ならびに「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有している(containing)」および「含んでいる(including)」)などの変形は、述べられた整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を排除しないことが理解されるであろう。
【0077】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を包含することに留意されたい。本明細書で、範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までのように表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の態様は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用により近似値として表現される場合、特定の値が別の態様を形成することを理解されたい。数値と関連した用語「約」は任意選択のものであり、例えば+/-10%を意味する。
【0078】
さらなる例示的態様
本発明はまた、以下のさらなる例示的態様によって、説明されかつ実証される。これらのさらなる例示的態様は、本発明の範囲および意味を限定するべきではない。
【0079】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、または0.01g/100g~0.15g/100gであり、組成物中のリモネン量が、0.001mg/100g~1mg/100g mg/100gである、組成物が提供される。本組成物中のリモネン量は、好ましくは0.001mg/100g~0.2mg/100g、より好ましくは0.001mg/100g~0.1mg/100g、さらにより好ましくは0.01mg/100g~0.08mg/100gであってもよい。
【0080】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が、1g/100g未満、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.5g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、0.01g/100g~0.15g/100g、0.01g/100g~0.1g/100gまたは0.01g/100g~0.05g/100gであり、組成物中のリモネン量が、4mg/100g未満、0.001mg/100g~2mg/100g mg/100g、0.001mg/100g~1mg/100g、0.001mg/100g~0.5mg/100g、0.001mg/100g~0.3mg/100g、0.001mg/100g~0.1mg/100gまたは0.001mg/100g~0.08mg/100gである、組成物が提供される。
【0081】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、または0.01g/100g~0.15g/100gであり、組成物中のリモネン量が、0.001mg/100g~1mg/100g mg/100gであり、組成物が、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が、95,000ppb以上、100,000~250,000ppb、または120,000~200,000ppbである、組成物が提供される。好ましくは、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比は、組成物中で、0.2以下、0.0001~0.2、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0082】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が、1g/100g未満、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.5g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、0.01g/100g~0.15g/100g、0.01g/100g~0.1g/100gまたは0.01g/100g~0.05g/100gであり、組成物中のリモネン量が、4mg/100g未満、0.001mg/100g~2mg/100g mg/100g、0.001mg/100g~1mg/100g、0.001mg/100g~0.5mg/100g、0.001mg/100g~0.3mg/100g、0.001mg/100g~0.1mg/100gまたは0.001mg/100g~0.08mg/100gであり、組成物が、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が、95,000ppb以上、100,000~250,000ppb、または120,000~200,000ppbである、組成物が提供される。好ましくは、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比は、組成物中で、0.2以下、0.0001~0.2、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0083】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、または0.01g/100g~0.15g/100gであり、組成物中のリモネン量が、0.001mg/100g~1mg/100g mg/100gであり、組成物が、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、63,000ppb以上、70,000~200,000ppb、または80,000~110,000ppbである、組成物が提供される。好ましくは、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比は、組成物中で、0.3以下、0.0001~0.3、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0084】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物であって、組成物中のペクチン量が、1g/100g未満、0.01g/100g~0.7g/100g、0.01g/100g~0.5g/100g、0.01g/100g~0.2g/100g、0.01g/100g~0.15g/100g、0.01g/100g~0.1g/100gまたは0.01g/100g~0.05g/100gであり、組成物中のリモネン量が、4mg/100g未満、0.001mg/100g~2mg/100g mg/100g、0.001mg/100g~1mg/100g、0.001mg/100g~0.5mg/100g、0.001mg/100g~0.3mg/100g、0.001mg/100g~0.1mg/100gまたは0.001mg/100g~0.08mg/100gであり、組成物が、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、63,000ppb以上、70,000~200,000ppb、または80,000~110,000ppbである、組成物が提供される。好ましくは、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比は、組成物中で、0.3以下、0.0001~0.3、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0085】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料であって、飲料中のペクチン量が、0.1g/100g未満、0.001~0.2g/100g、または0.001~0.05g/100gであり、飲料中のリモネン量が、0.4mg/100g未満、0.0001~0.2mg/100gまたは0.0001~0.05mg/100gであり、該飲料が、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が、9,500ppb以上であり、該飲料が、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、6,300ppb以上であり、1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下、0.1重量%~10重量%または0.1重量%~5重量%である、飲料が提供される。好ましくは、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.2以下、0.0001~0.2、0.001~0.1、または0.001~0.04である。好ましくは、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.3以下、0.0001~0.3、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0086】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料であって、飲料中のペクチン量が、0.01g/100g未満、0.0001~0.02g/100g、または0.0001~0.005g/100gであり、飲料中のリモネン量が、0.04mg/100g未満、0.00001~0.02mg/100gまたは0.00001~0.005mg/100gであり、該飲料が、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が、950ppb以上であり、該飲料が、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、630ppb以上であり、1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下、0.1重量%~10重量%または0.1重量%~5重量%である、飲料が提供される。好ましくは、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.2以下、0.0001~0.2、0.001~0.1、または0.001~0.04である。好ましくは、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.3以下、0.0001~0.3、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0087】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料であって、飲料中のペクチン量が、0.001g/100g未満、0.00001~0.002g/100g、または0.00001~0.0005g/100gであり、飲料中のリモネン量が、0.004mg/100g未満、0.000001~0.002mg/100gまたは0.000001~0.0005mg/100gであり、該飲料が、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が、95ppb以上であり、該飲料が、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、63ppb以上であり、1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下、0.1重量%~10重量%または0.1重量%~5重量%である、飲料が提供される。好ましくは、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.2以下、0.0001~0.2、0.001~0.1、または0.001~0.04である。好ましくは、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.3以下、0.0001~0.3、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0088】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料であって、飲料中のペクチン量が、0.0002g/100g未満、0.000002~0.004g/100g、または0.000002~0.0001g/100gであり、飲料中のリモネン量が、0.0008mg/100g未満、0.0000002~0.0004mg/100gまたは0.0000002~0.0001mg/100gであり、該飲料が、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が、10ppb以上であり、該飲料が、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、10ppb以上であり、1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下、0.1重量%~10重量%または0.1重量%~5重量%である、飲料が提供される。好ましくは、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.2以下、0.0001~0.2、0.001~0.1、または0.001~0.04である。好ましくは、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.3以下、0.0001~0.3、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【0089】
一態様では、柑橘類由来の、食品用または飲料用の組成物を含む飲料であって、飲料中の可溶性ペクチンの量が、0.0002g/100g未満、0.000002~0.004g/100g、または0.000002~0.0001g/100gであり、飲料中のリモネン量が、0.0008mg/100g未満、0.0000002~0.0004mg/100gまたは0.0000002~0.0001mg/100gであり、該飲料が、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンを含み、1種以上のフラノラクトンの総含有量が、10ppb以上であり、該飲料が、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドを含み、1種以上のフラボノイドの総含有量が、10ppb以上であり、1種以上のフラノラクトンの総含有量に対するノミリンの含有量の比が、17重量%以下、0.1重量%~10重量%または0.1重量%~5重量%である、飲料が提供される。好ましくは、リモニン17-β-D-グルコシド、リモニンおよびノミリンからなる群から選択される1種以上のフラノラクトンの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.2以下、0.0001~0.2、0.001~0.1、または0.001~0.04である。好ましくは、シネンセチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソロイフォリン、ヘプタメトキシフラボンおよびナリルチンからなる群から選択される1種以上のフラボノイドの総量に対するリモネン量の比は、飲料中で、0.3以下、0.0001~0.3、0.001~0.1、または0.001~0.04である。
【実施例
【0090】
[実施例1]
柑橘類抽出物および該抽出物を含有する飲料の製造
(1)アルベドからの柑橘類抽出物の製造(試料1A)
果汁を抽出済みのレモン果実から、柑橘類の精油抽出器(Fratelli Indelicato S.r.l.社製のPolycitrus)を使用して、レモン果実のアルベドおよびフラベドを別々に得た。フラベドは、約2~3mmの厚さを有していた。アルベドを、グラインダミルを使用して約0.5mmの大きさに圧搾し、次に水を添加してスラリー(濃度:33~50%)を調製した。それに続いて、ペクチナーゼ(Novozyme A/S社製造のPectinex(登録商標)Ultra Mash)を、スラリーの総重量に基づいて0.02%の量でスラリーに添加し、撹拌下で、45~55℃で2時間、酵素的に処理した。その後、溶液をデカントし、遠心分離にかけて固相と液相に分離し、それによって柑橘類抽出物(試料1A)を上清として得た。柑橘類抽出物(試料1A)を、90~100℃で20秒以上における加熱処理によって殺菌した。加熱処理を、同様に酵素を不活性化するためにも行った。
【0091】
(2)アルベドとフラベドの両方からの柑橘類抽出物の製造(試料1B)
果汁を抽出済みのレモン果実から、柑橘類の果汁抽出器(John Bean Technologies Corporation社製)を使用して、レモン果実のアルベドとフラベドの両方を共に得た。アルベドおよびフラベドを、グラインダミルを使用して約0.5mmの大きさに圧搾し、次に水を添加してスラリー(濃度:33~50%)を調製した。試料1Aと同じ手法で酵素処理、デカンテーション、遠心分離および加熱殺菌を行って、柑橘類抽出物(試料1B)を得た。
【0092】
(3)酵素処理を用いない、アルベドからの柑橘類抽出物の製造(試料1C)
果汁を抽出済みのレモン果実から、柑橘類の精油抽出器(Fratelli Indelicato S.r.l.社製のPolycitrus)を使用して、レモン果実のアルベドおよびフラベドを別々に得た。アルベドを、グラインダミルを使用して約0.5mmの大きさに圧搾し、次に水を添加してスラリー(濃度:33~50%)を調製した。試料1Aの製造と異なり、酵素処理は行わなかった。スラリーに、デカンタおよび遠心分離を使用して固液分離を施し、柑橘類抽出物(試料1C)を上清として得た。その後、柑橘類抽出物を、90~100℃で20秒以上における加熱処理によって殺菌した。
【0093】
(4)酵素処理を用いない、フラベドからの柑橘類抽出物の製造(試料1D)
果汁を抽出済みのレモン果実から、柑橘類の精油抽出器(Fratelli Indelicato S.r.l.社製のPolycitrus)を使用して、レモン果実のアルベドおよびフラベドを別々に得た。フラベドを、グラインダミルを使用して約0.5mmの大きさに圧搾し、次に水を添加してスラリー(濃度:33~50%)を調製した。試料1Aの製造と異なり、酵素処理は行わなかった。スラリーに、デカンタおよび遠心分離を使用して固液分離を施し、柑橘類抽出物(試料1D)を上清として得た。その後、柑橘類抽出物を、90~100℃で20秒以上における加熱処理によって殺菌した。
【0094】
(5)柑橘類抽出物を含む飲料試料の製造
実施例1で得られた試料溶液(柑橘類抽出物)(試料1A、1B、1Cまたは1D)を、ミネラルウォーター(pH:約7、「南アルプスの天然水」、スティルウォーター(still water)、サントリー食品インターナショナル株式会社(Suntory Beverage & Food Limited))で希釈して、さまざまな濃度の飲料試料を調製した。飲料試料の組成は、実施例3に記載する。
【0095】
[実施例2]
柑橘類抽出物および該抽出物を含有する飲料の化学分析
(1)ペクチンの分析
実施例1で得られた試料溶液を処理して、熱水に抽出されたペクチン(可溶性ペクチン)および希塩酸に抽出されたペクチン(不溶性ペクチン)を加水分解した。次に、m-ヒドロキシジフェニル法(比色法)を使用して、ガラクツロン酸の量を測定することによって、総ペクチン量を分析した。分析の詳細は以下の通りである:
可溶性ペクチンおよび不溶性ペクチンの事前処理
i)10gの試料を、ガラス遠心分離管に入れた。水および99.5%エタノールをガラス遠心分離管に添加し、それを80℃で1時間加熱した。
ii)次に、ガラス遠心分離管から上清を得て、ガラス繊維濾紙で濾過した。ガラス繊維濾紙上の残留物を数回洗浄し、低分子量の糖類を除去した。その後、ガラス繊維濾紙をガラス遠心分離管に戻し、水を添加した後、沸騰浴中で1時間加熱した。次に、上清をガラス繊維濾紙で濾過した。
可溶性ペクチンの定量的決定
上記ステップii)で得られた濾液を冷却した。次に、濾液を定量まで希釈し、可溶性ペクチンを決定するための試験液を調製した。得られたガラクツロン酸の量をm-ヒドロキシジフェニル法によって定量化して、ガラクツロン酸の量(A)を得た。可溶性ペクチンの量を、以下の式によって算出した(補正係数、0.91):
可溶性ペクチンの量=ガラクツロン酸の量(A)×0.91。
不溶性ペクチンの定量的決定
上記ステップii)で得られたガラス繊維濾紙を、ガラス遠心分離管に戻し、それに0.05mol/Lの塩酸を添加し、沸騰浴中で1時間加熱した。冷却した後、試料を希釈して、所定のレベルに体積を調節し、濾紙で濾過して、不溶性ペクチンを決定するための試験液を調製した。得られたガラクツロン酸の量をm-ヒドロキシジフェニル法によって定量化して、ガラクツロン酸の量(B)を得た。不溶性ペクチンの量を、以下の式によって算出した(補正係数、0.91):
不溶性ペクチンの量=ガラクツロン酸の量(B)×0.91。
総ペクチン量
上記で得られた可溶性ペクチンと不溶性ペクチンの量を加算することによって、総ペクチン量を算出した。
【0096】
(2)DL-リモネンの分析
実施例1から得られた10mLの試料溶液、または試料溶液を蒸留水で希釈することによって調製した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用の10mLの希釈溶液を、容積20mLのガラススクリューバイアルに入れ、続いてTwister(GERSTEL社製)を用いて室温で30分間、成分を吸着させた。GC/MSにおいてより明確なピークを得るために、試料溶液の希釈度を調節した。次に、得られた溶液をGC/MSによって分析し、標準添加法によって定量化した。分析の詳細は以下の通りである:
装置:温度プログラム型注入口(CIS4、Gerstel社製)、加熱脱着ユニット(TDU2、Gerstel社製);GCシステム(7890B、Agilent Technologies社製)、質量選択検出器(5977B、Agilent Technologies社製)
LTMカラム:DB-WAX UI、30m×0.25mm;0.25μm、Agilent Technologies社製)
TDU:40℃(0.5分)~(720℃/分)~250℃(5分)
CIS4:-80℃(1.5分)~(12℃/秒)~270℃(20分)
注入圧力:359.02kPa
キャリアガス:He
カラム温度:40℃(3分)~(5℃/分)~250℃(5分)
MSD:SCANモード、m/z 29~300、EI
定量化イオン:DL-リモネン(m/z 93)
【0097】
(3)ガラクツロン酸の分析
実施例1から得られた試料溶液をHPLCによって分析し、ガラクツロン酸を定量化した。1gの試料に水を添加し、体積を所定のレベルに調節した。次に、試料を膜フィルタで濾過し、水で希釈した。希釈した試料に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析(ICS-6000(Thermo Fisher Scientific社製)を施した。
【0098】
試料1A~1Cのペクチン、リモネンおよびガラクツロン酸の量を、下の表1に要約した。また、これらの表中のデータに基づいて、実施例1で得られた抽出物0.02重量%を含有する飲料中の、ペクチン、リモネンおよびガラクツロン酸の理論量を算出し、表2に要約した。これらの飲料試料を、実施例1(5)に記載されるように調製した。例えば、表2中の「試料1A飲料」は、実施例1(1)で得られた抽出物、すなわち試料1Aを0.02重量%、およびミネラルウォーター(pH:約7、「南アルプスの天然水」、スティルウォーター、サントリー食品インターナショナル株式会社製)を含有する。試料1C中のペクチン含有量の信頼できるデータは得られなかった。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
(4)フラボノイドおよびフラノラクトンの分析
実施例1で得られた試料溶液を、高速液体クロマトグラフィー用の蒸留水で希釈した。高速液体クロマトグラフィー用のエタノールを、溶液中のエタノールの百分率が50重量%になるように希釈溶液に添加し、その後、該溶液を混合した。2mLの得られた溶液を、遠心分離濾過フィルタ(Ultrafree-CL、GV 0.22μm、PVDF、Merk Millipore社製)に入れ、3,000rpm、4℃で15分間以上遠心分離にかけて、分析試料としての濾液を得た。分析試料に関してLC-MS分析を行い、絶対較正法によって定量化した。分析の詳細は以下の通りである:
高速液体クロマトグラフィー:1290 Infinity II(Agilent Technologies社製)
カラム:CORTECS UPLC T3 1.6μm、2.1×150mm(Warters社製)
カラム温度:40℃
移動相:(A)LC/MS用の0.1%のギ酸溶液、(B)LC/MS用のアセトニトリル
移動相勾配条件:5%のB(0~1分)→100%のB(29.5分)→100%のB(31.5分)、平衡のための待ち時間:3.5分
流量:0.4mL/分
注入容量:2μL
質量分析:Q Exactive Focus LC-MS/MSシステム(Thermo Fisher Scientific社製)
イオン化法:HESI(加熱型エレクトロスプレーイオン化)
イオン化部の条件:シースガス流量:50;補助ガス流量:10;スイープガス流量:0;スプレー電圧 pos:3.50/neg、2.50|kV|;キャピラリ温度:350℃;S-レンズ RFレベル:50.0;補助ガスヒーター温度:300℃
質量分析部の条件:オービトラップによるスキャン分析、持続時間:32分;極性(Polatiry)切り替え、分解能:70000;AGC標的:3e6;スキャン範囲:m/z 100~1500
流路切換えバルブ:廃液ライン(0~1.8分)、MSライン(1.8~31.99分)
【0102】
上記分析によって測定したフラボノイドおよびフラノラクトンの量を、表3-1および3-2に要約する。これらの表中のデータに基づいて、実施例1で得られた抽出物0.02重量%を含有する飲料中の、これらのフラボノイドおよびフラノラクトンの理論量を算出し、表4-1および4-2に要約した。これらの飲料試料を、実施例1(5)に記載されるように調製した。例えば、表3-1および3-2中の「試料1A飲料」は、実施例1(1)で得られた抽出物、すなわち試料1Aを0.02重量%、およびミネラルウォーター(pH:約7、「南アルプスの天然水」、スティルウォーター、サントリー食品インターナショナル株式会社製)を含有する。
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
[実施例3]
柑橘類抽出物および該抽出物を含有する飲料の評価
(1)風味の評価
実施例1(1)で得られた抽出物試料および実施例1(5)で得られた飲料試料に、官能試験を施した。試料A-0、A-1、A-2、A-3、A-4、およびA-5は、抽出物(試料1A)を、それぞれ0重量%(0wt%)、0.02重量%(0.02wt%)、0.10重量%(0.10wt%)、1重量%(1wt%)、10重量%(10wt%)および100重量%(100wt%)の量で含有した。言い換えれば、試料A-0は水からなる参照試料であり、一方、試料A-5は試料1Aと等しい。飲料の官能評価の訓練を受けた者(3名)をパネリストとし、以下の評価基準に基づいて評価を実施した:
(風味評価基準)
1:風味は感じられない
2:良好な風味が感じられる
3:優れた風味が感じられる
【0108】
評価では、風味とは、レモン様の果実味および新鮮さを意味する。このようにして得られた結果を表5に示す。表中の評価値は、3名のパネリストによって等級付けされた点数の平均である。平均値2以上を有する試料は、「良好」と等級付けされた。
【0109】
【表7】
【0110】
(2)光安定性の評価
実施例1(5)で得られた飲料試料の光安定性を評価するために、試料を透明瓶に満たし、150Wh/mの照射強度で光(UV)を3時間照射した。試料に官能試験を施した。試料B-0、B-1、B-2、B-3およびB-4は、抽出物(試料1A)を、それぞれ0重量%、0.02重量%、0.10重量%、1重量%および10重量%の量で含有した。試料C-0、C-1、C-2、C-3およびC-4は、抽出物(試料1B)を、それぞれ0重量%、0.02重量%、0.10重量%、1重量%および10wtの量で含有した。試料D-0、D-1、D-2、D-3およびD-4は、抽出物(試料1D)を、それぞれ0重量%、0.02重量%、0.10重量%、1重量%および10重量%の量で含有した。試料B-0、C-0およびD-0は、参照試料である。飲料の官能評価の訓練を受けた者(3名)をパネリストとし、以下の評価基準に基づいて評価を実施した:
(光安定性の評価基準)
1:光分解に起因する著しい臭気が感じられる
2:光分解に起因する臭気が感じられる
3:光分解に起因する臭気が感じられない
【0111】
このようにして得られた結果を表6~8に示す。表中の評価値は、3名のパネリストによって等級付けされた点数の平均である。平均値3以上を有する試料は、「良好」と等級付けされた。
【0112】
【表8】
【0113】
【表9】
【0114】
【表10】
【0115】
(3)外観の評価
実施例1(5)で得られた飲料試料に、外観安定性試験を施した。この評価に使用された飲料試料は、試料1Aおよび1Cをベースとする試料であり、そのそれぞれは、50重量%の柑橘類抽出物(試料1Aおよび1C)をそれぞれ含有した。試料A-6は試料1Aをベースとする試料であり、試料E-6は試料1Cをベースとする試料である。試料を、5℃または37℃で0日目~3日目まで静置保存した。0日目は、各試料を調製した日である。沈殿の存在および非存在を目視で評価した。
【0116】
【表11】
【0117】
【表12】
【符号の説明】
【0118】
1 果皮
3 フラベド
5 アルベド
7 果汁小胞を有するセグメント
9 種子
10 柑橘類
図1
【国際調査報告】