(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】デンプン-インドールカルボン酸誘導体及びその製造方法並びに使用
(51)【国際特許分類】
C08B 31/04 20060101AFI20241003BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20241003BHJP
A61K 31/718 20060101ALI20241003BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241003BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241003BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241003BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241003BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241003BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241003BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241003BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08B31/04
A23L33/10
A61K31/718
A61P1/04
A61P1/16
A61P3/10
A61P37/02
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547810
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2022125134
(87)【国際公開番号】W WO2023066132
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202111213344.7
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524152252
【氏名又は名称】山東善維免疫科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG SHANWEI IMMUNOTECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッカイ、チャールズ レイ
(72)【発明者】
【氏名】宋 營營
(72)【発明者】
【氏名】曲 新艷
(72)【発明者】
【氏名】王 泉博
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C090
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD10
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4B018MD34
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4C090AA05
4C090AA09
4C090BA15
4C090BB53
4C090BB62
4C090BB77
4C090BB94
4C090CA38
4C090DA23
4C090DA27
(57)【要約】
本願は、加工デンプンの技術分野に関し、デンプン-インドールカルボン酸誘導体及びその製造方法並びに使用を提供する。前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、縮合剤及び塩基の作用で、デンプンとインドールカルボン酸のエステル化反応により生成されたエステル化デンプンを指し、高い耐性を有し、胃、小腸の分解に耐えることができ、結腸部位に到達した後に腸内細菌叢の発酵を経て腸の健康に有益なインドールカルボン酸を放出することができ、胃内投与、腹腔内注射などの従来の投与方法と比べて明らかな利点を有し、結腸及び肝門脈血中のインドールカルボン酸の含有量を顕著に高めることができ、また、インドールカルボン酸は、アリール炭化水素受容体を活性化して免疫調節作用を果たすことができ、デンプンの腸内細菌叢発酵により放出された短鎖脂肪酸の調節作用を重ね合わせることで、複数の免疫系シグナル伝達経路によって相乗的に免疫調節作用を発揮する製品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン-インドールカルボン酸誘導体であって、
主に、縮合剤及び塩基の作用で、デンプンとインドールカルボン酸のエステル化反応により製造されたものであり、
縮合後にデンプン-インドールカルボン酸誘導体のインドールカルボン酸の置換度は、0.01~1.0である前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項2】
前記インドールカルボン酸が、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、インドールアクリル酸又はインドール乳酸のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項3】
前記デンプンが、ハイアミロースコーンスターチ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、雑豆デンプン及びバナナデンプンのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項4】
前記縮合剤が、EDCI、DCC、HATUのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項5】
前記塩基が、1-メチルイミダゾール、アミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項6】
前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、インドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ及びインドールプロピオン酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチのいずれかを含む請求項1に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項7】
デンプン-インドールカルボン酸誘導体がインドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチである場合に、インドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチのインドールカルボン酸の置換度は、0.065~0.49である請求項6に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項8】
デンプン-インドールカルボン酸誘導体がインドールプロピオン酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチである場合に、インドールプロピオン酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチのインドールカルボン酸の置換度は、0.25~0.39である請求項6に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項9】
(a)デンプンを溶媒に溶解して、溶液Aを得て、続いてインドールカルボン酸、縮合剤及び塩基を溶液Aに加えてエステル化反応を行って、反応液Aを得るステップと、
(b)反応液A中のデンプンを析出させ、続いて吸引濾過、洗浄、乾燥をこの順に行って、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を得るステップとを含む請求項1~8のいずれか一項に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)における溶媒が、DMSO、イオン液体、水のうちの少なくとも1つを含む請求項9に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(a)のエステル化反応の温度は20~80℃であり、時間は20~30時間である請求項9に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項12】
前記ステップ(b)の析出の方法は、反応液Aをエタノール又は水に滴加して、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を析出させることである請求項9に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の腸内免疫のバランスを調節する製品の製造における使用。
【請求項14】
前記腸内免疫のバランスを調節することは、デンプン-インドールカルボン酸誘導体は摂取されて結腸部位に到達した後、腸内細菌叢の発酵により、接続されたインドールカルボン酸が放出され、デンプンの腸内細菌叢発酵により放出された短鎖脂肪酸と相乗して、複数の免疫系シグナル伝達経路によって相乗的に免疫調節作用を発揮することを指す請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記腸内免疫のバランスを調節する製品が、薬物、健康食品、特別医療目的用食品又は一般食品を含む請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記薬物が、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患を予防及び治療する薬物である請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患が、炎症性腸疾患、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、自己免疫性肝疾患、多発性硬化症のうちの1つを含む請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、加工デンプンの技術分野に関し、特に、デンプン-インドールカルボン酸誘導体及びその製造方法並びに使用に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年10月19日に中国特許庁に提出された出願番号が202111213344.7であり、発明の名称が「デンプン-インドールカルボン酸誘導体及びその製造方法並びに使用」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
【背景技術】
【0003】
3-インドール酢酸(IAA)、3-インドールプロピオン酸(IPA)、3-インドール乳酸(ILA)、3-インドールアクリル酸(IA)などのインドールカルボン酸誘導体は、トリプトファンの腸内微生物の代謝産物で、腸内免疫のバランス調節などにおいて重要な役割を発揮している。IAA、IA、ILAなどはアリール炭化水素受容体(AhR)のリガンドとして腸内免疫のバランスを調節することができ、且つIAAはマウスマクロファージ及び肝細胞における炎症誘発性サイトカインのレベルをAhR依存的に抑制し、さらに肝臓の炎症反応を軽減することが研究で分かった。IPAは、プレグナンX受容体(PXR)のリガンドとして、特にインドールの存在下でマウスの腸のバリア機能を調節し、且つ血清IPAの濃度の上昇は2型糖尿病の有病率の低下、インスリン分泌及びインスリン抵抗性に関連している。また、IPAはヒドロキシラジカルスカベンジャーとして抗酸化作用を発揮することもできる。
【0004】
トリプトファンは人間の必須アミノ酸であり、食品タンパク質から提供される。トリプトファンの消化管における代謝は、主に、キヌレニン経路、5-ヒドロキシトリプタミン経路及び腸内微生物による直接分解の3つの経路がある。腸内微生物は、トリプトファンを分解してIAA/IPAなどのインドールカルボン酸を生成する主な場所である結腸で最も豊富である。健常者と比べて、肥満及び糖尿病患者の糞便中のIAAの含有量は顕著に低下し、且つ疫学研究は血清IPAレベルと2型糖尿病(T2D)及び軽微な炎症が負の相関にあることを示していることから、IAA/IPAなどのインドールカルボン酸の含有量は人間の疾患に密接に関係していることが示唆されるということが研究で分かった。従って、IAA/IPAなどのインドールカルボン酸の結腸標的化送達は、IAA/IPAなどのインドールカルボン酸の良好な免疫調節作用を利用して、炎症性腸疾患、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、自己免疫性肝疾患、多発性硬化症などの炎症性疾患及び自己免疫疾患を予防又は治療する効果を果たすことが期待できるであろう。
【0005】
しかし、このようなインドールカルボン酸小分子を経口で直接摂取すると、結腸部位には実際に到達できずに消化管の胃又は小腸部位で吸収されてしまう。どのようにすればこれらの免疫調節作用を有するインドールカルボン酸小分子を標的の結腸部位に送達し作用を発揮させることができるかは、解決すべき課題である。
【0006】
本願は、上記の事情に鑑みてなされたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の第1の目的は、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を提供することであり、前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、胃、小腸の分解に耐えることができ、結腸部位に到達した後に腸内細菌叢の発酵を経てインドールカルボン酸を放出することができ、胃内投与、腹腔内注射などのインドールカルボン酸の従来の投与方法と比べて明らかな利点を有し、結腸及び肝門脈血中のインドールカルボン酸の含有量を顕著に高めることができる。
【0008】
本願の第2の目的は、デンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法を提供することである。
【0009】
本願の第3の目的は、デンプン-インドールカルボン酸誘導体の使用を提供し、前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体を腸内免疫のバランスを調節する製品の製造プロセスに幅広く使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の上記の目的を達成するために、特に、以下の技術的手段を採用する。
本願によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体であって、前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、主に、縮合剤及び塩基の作用で、デンプンとインドールカルボン酸のエステル化反応により製造されたものであり、
好ましくは、縮合後にデンプン-インドールカルボン酸誘導体のインドールカルボン酸の置換度は、0.01~1.0である。
【0011】
さらに、前記インドールカルボン酸は、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、インドールアクリル酸又はインドール乳酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
さらに、前記デンプンは、ハイアミロースコーンスターチ(HAMS)、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、雑豆デンプン及びバナナデンプンのうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
さらに、前記縮合剤は、EDCI、DCC、HATUのうちの少なくとも1つを含み、
好ましくは、前記塩基は、1-メチルイミダゾール、アミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
本願によって提供される上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法であって、前記製造方法は、
(a)デンプンを溶媒に溶解して、溶液Aを得て、続いてインドールカルボン酸、縮合剤及び塩基を溶液Aに加えてエステル化反応を行って、反応液Aを得るステップと、
(b)反応液A中のデンプンを析出させ、続いて吸引濾過、乾燥をこの順に行って、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を得るステップとを含む。
【0015】
さらに、前記ステップ(a)における溶媒は、DMSO、イオン液体、水のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
さらに、前記ステップ(a)のエステル化反応の温度は20~80℃であり、時間は20~30時間である。
【0017】
さらに、前記ステップ(b)の析出の方法は、反応液Aをエタノール又は水に滴加して、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を析出させることである。
【0018】
本願によって提供される上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の腸内免疫のバランスを調節する製品の製造における使用である。
【0019】
前記腸内免疫のバランスを調節することは、デンプン-インドールカルボン酸誘導体は摂取されて結腸部位に到達した後、腸内細菌叢の発酵により、接続されたインドールカルボン酸が放出され、デンプンの腸内細菌叢発酵により放出された短鎖脂肪酸と相乗して、複数の免疫系シグナル伝達経路によって相乗的に免疫調節作用を発揮することを指す。
【0020】
さらに、前記腸内免疫のバランスを調節する製品は、薬物、健康食品、特別医療目的用食品又は一般食品を含む。
【0021】
さらに、前記薬物は、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患を予防及び治療する薬物である。
【0022】
さらに、前記炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患は、炎症性腸疾患、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、自己免疫性肝疾患、多発性硬化症のうちの1つを含む。
【発明の効果】
【0023】
本願は、従来技術と比べて、次の有益な効果を有する。
本願によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体として、前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、主に、縮合剤及び塩基の作用で、デンプンとインドールカルボン酸のエステル化反応により製造されたものであり、上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体は、デンプンとインドールカルボン酸がエステル化反応を行って形成されたアシル化デンプンであり、高い耐性を有し、胃、小腸の分解に耐えることができ、結腸部位に到達した後に腸内細菌叢の発酵を経てインドールカルボン酸を放出することができ、胃内投与、腹腔内注射などのインドールカルボン酸の従来の投与方法と比べて明らかな利点を有し、結腸及び肝門脈血中のインドールカルボン酸の含有量を顕著に高めることができる。
【0024】
本願によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体から結腸部位で放出されたインドールカルボン酸は、AhRを活性化することによって免疫調節作用を発揮する。また、腸内細菌叢がデンプンを発酵させて生成された短鎖脂肪酸は、Gタンパク質共役受容体を活性化し且つヒストン脱アセチル化酵素を抑制することによって、同様に免疫調節作用を果たすことができる。インドールカルボン酸及び短鎖脂肪酸の作用をプラス的に重ね合わせることで、複数の免疫系シグナル伝達経路によって相乗的に免疫調節作用を発揮する製品を提供することができる。
【0025】
本願によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法として、前記製造方法では、デンプンを溶媒に溶解して、溶液Aを得て、続いてインドールカルボン酸、縮合剤及び塩基を溶液Aに加えてエステル化反応を行って、反応液Aを得て、次に反応液A中のデンプンを析出させ、吸引濾過、乾燥をこの順に行って、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を得る。上記の製造方法は、加工プロセスが簡単であり、産業的な大量生産に適する利点を有する。
【0026】
本願によって提供される上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体を腸内免疫のバランスを調節する製品、及び炎症性疾患を予防及び治療する製品に幅広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的手段をより明瞭に説明するために、具体的な実施形態又は従来技術の記述で使用する図面を簡単に紹介し、いうまでもないが、以下の記述で図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者は、新規性のある作業をすることなく、これらの図面から他の図面を得ることもできる。
【0028】
【
図1】
図1は、本願の実施例1によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体の水素核磁気共鳴スペクトルである。
【
図2】
図2は、本願の実施例1によって提供されるデンプン(HAMS)及びインドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIAA)の赤外スペクトルである。
【
図3】
図3は、本願の実施例1によって提供されるデンプン(HAMS)及びインドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIAA)のXRDパターンである。
【
図4】
図4は、本願の実施例1によって提供されるデンプン(HAMS)及びインドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIAA)のSEM電子顕微鏡画像である。
【
図5】
図5は、本願の実施例2によって提供される実験マウスの糞便中のインドールカルボン酸の濃度を示す図である。
【
図6】
図6は、本願の実施例2によって提供される実験マウスの肝門脈血中のインドールカルボン酸の濃度を示す図である。
【
図7】
図7は、本願の実施例3によって提供される実験マウスの糞便中のインドールカルボン酸の濃度を示す図である。
【
図8】
図8は、本願の実施例4によって提供される異なる投与方法の結腸内容物中のIAAの濃度である。
【
図9】
図9は、本願の実施例4によって提供される異なる投与方法の肝門脈血血清中のIAAの濃度である。
【
図10】
図10は、本願の実施例5によって提供される実験マウスの糞便中のIPAの濃度を示す図である。
【
図11】
図11は、本願の実施例6によって提供される正常群及びDSS誘発性潰瘍性結腸炎群の末梢血血清中のIAA/IPAの濃度の比較を示す図である。
【
図12】
図12は、本願の実施例6によって提供される15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの体重の変化を示す図である。
【
図13】
図13は、本願の実施例6によって提供される15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの結腸の長さの変化を示す図である。
【
図14】
図14は、本願の実施例6によって提供される15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスのDAI指数の変化を示す図である。
【
図15】
図15は、本願の実施例6によって提供される15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの結腸状態の変化を示す図である。
【
図16】
図16は、本願の実施例6によって提供される15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの結腸組織切片の変化を示す図である。
【
図17】
図17は、本願の実施例6によって提供されるマウスの結腸組織中の抗炎症性サイトカインであるIL-10の含有量を示す図である。
【
図18】
図18は、本願の実施例6によって提供されるマウスの結腸組織中の炎症誘発性サイトカインであるIL-6の含有量を示す図である。
【
図19】
図19は、本願の実施例6によって提供されるマウスの結腸組織中の炎症誘発性サイトカインであるIL-1βの含有量を示す図である。
【
図20】
図20は、本願の実施例6によって提供されるマウスの結腸組織中のAhRの相対発現量を示す図である。
【
図21】
図21は、本願の実施例6によって提供されるマウスの結腸組織中の抗炎症性サイトカインであるIL-22の含有量を示す図である。
【
図22】
図22は、本願の実施例7によって提供される各群のマウスの腎臓組織のHE染色の比較画像である。
【
図23】
図23は、本願の実施例7によって提供される各群のマウスの腎臓組織の病理スコアである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施例を用いて本願の技術的手段を明瞭かつ完全に記述し、いうまでもないが、記述される実施例は、本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。当業者は、本願の実施例に基づいて、新規性のある作業をすることなく他の実施例を得た場合、その全てはいずれも本願の保護する範囲に属する。
【0030】
本願の一態様によれば、デンプン-インドールカルボン酸誘導体であって、前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、主に、縮合剤及び塩基の作用で、アミロースデンプンとインドールカルボン酸のエステル化反応により製造されたものであり、
好ましくは、縮合後にデンプン-インドールカルボン酸誘導体のインドールカルボン酸の置換度は、0.01~1.0である。
【0031】
本願によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体として、前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、主に、縮合剤及び塩基の作用で、デンプンとインドールカルボン酸のエステル化反応により製造されたものであり、上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体は、デンプンとインドールカルボン酸がエステル化反応を行って形成されたアシル化デンプンであり、高い耐性を有し、胃、小腸の分解に耐えることができ、結腸部位に到達した後に腸内細菌叢の発酵を経てインドールカルボン酸を放出することができ、胃内投与、腹腔内注射などのインドールカルボン酸の従来の投与方法と比べて明らかな利点を有し、結腸及び肝門脈血中のインドールカルボン酸の含有量を顕著に高めることができる。
【0032】
なお、結腸部位を標的にしてインドールカルボン酸を放出することによって炎症性疾患及び自己免疫疾患を効果的に予防及び治療することができ、ただし、炎症性疾患及び自己免疫疾患は、炎症性腸疾患、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、自己免疫性肝疾患、多発性硬化症などを含むが、それらに限定されない。
【0033】
好ましくは、前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、インドールカルボン酸誘導体化デンプンを含み、インドールアセチル化デンプン、インドールプロピオニル化デンプン、インドールラクチル化デンプン、インドールアクリル化デンプンのうちの1つ又は複数の混合物である。
【0034】
本願の好ましい実施形態では、前記インドールカルボン酸は、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、インドールアクリル酸又はインドール乳酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
本願の好ましい実施形態では、前記デンプンは、ハイアミロースコーンスターチ(HAMS)、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、雑豆デンプン及びバナナデンプンのうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
なお、前記ハイアミロースデンプンは、アミロースデンプンの含有量が50%を超えるデンプンを指す。
【0037】
本願の好ましい実施形態では、前記縮合剤は、EDCI、DCC、HATUのうちの少なくとも1つを含み、
本願の好ましい実施形態では、前記塩基は、1-メチルイミダゾール、アミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
本願の一態様によれば、上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法であって、前記製造方法は、
(a)デンプンを溶媒に溶解して、溶液Aを得て、続いてインドールカルボン酸、縮合剤及び塩基を溶液Aに加えてエステル化反応を行って、反応液Aを得るステップと、
(b)反応液A中のデンプンを析出させ、続いて吸引濾過、乾燥をこの順に行って、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を得るステップとを含む。
【0039】
本願によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法として、前記製造方法では、デンプンを溶媒に溶解して、溶液Aを得て、続いてインドールカルボン酸、縮合剤及び塩基を溶液Aに加えてエステル化反応を行って、反応液Aを得て、次に反応液A中のデンプンを析出させ、吸引濾過、乾燥をこの順に行って、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を得る。上記の製造方法は、加工プロセスが簡単であり、産業的な大量生産に適する利点を有する。
【0040】
本願の好ましい実施形態では、前記ステップ(a)における溶媒は、DMSO、イオン液体、水のうちの少なくとも1つを含む。
【0041】
本願の好ましい実施形態では、前記ステップ(a)のエステル化反応の温度は20~80℃であり、時間は20~30時間である。
【0042】
本願の好ましい実施形態では、前記ステップ(b)の析出の方法は、反応液Aをエタノール又は水に滴加して、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を析出させることである。
【0043】
本願の一態様によれば、上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の腸内免疫のバランスを調節する製品の製造における使用である。
【0044】
本願によって提供される上記のデンプン-インドールカルボン酸誘導体を腸内免疫のバランスを調節する製品の製造プロセスに幅広く使用することができる。
【0045】
本願の好ましい実施形態では、前記腸内免疫のバランスを調節することは、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を標的化ベクターとして、結腸にインドールカルボン酸を送達することを指す。
【0046】
好ましくは、前記腸内免疫のバランスを調節する製品は、薬物、健康食品、特別医療目的用食品又は一般食品を含む。
【0047】
以下、実施例を用いて本願の技術的手段を一層説明する。
【0048】
実施例1:デンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造
1.インドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIAA)の製造
HAMSをDMSOに加え、溶液が清澄化するまで撹拌し、IAA、EDCI、1-メチルイミダゾールをこの順に加え、仕込みが完了したら引き続き24時間撹拌した。反応が終了した後、反応液をEtOH又はH2Oに滴加して、固体を析出させ、吸引濾過し、ケーキをEtOH又はH2Oで洗浄して、乾燥した。
【0049】
2.インドールプロピオン酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIPA)の製造
HAMSをDMSOに加え、溶液が清澄化するまで撹拌し、IPA、EDCI、1-メチルイミダゾールをこの順に加え、仕込みが完了したら引き続き24時間撹拌した。反応が終了した後、反応液をEtOH又はH2Oに滴加して、固体を析出させ、吸引濾過し、ケーキをEtOH又はH2Oで洗浄して、乾燥した。
【0050】
仕込み比を調整することで、異なる置換度(0.01~1.0)のHAMSIAA及びHAMSIPAを得た。HAMSIAAを例とする(表1)。
【0051】
【0052】
3.インドールカルボン酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチの置換度の測定
滴定法でインドールカルボン酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチの置換度を測定することは、エステル結合の塩基加水分解及び余った塩基の中和の2つのステップを含み、具体的な操作は、次のとおりであった。
【0053】
0.2gのデンプンを秤量して、10mLのアセトン、1mLの水に加え、密封して、均一に混合するまで磁気撹拌した。3mLのNaOH水溶液(1mol/L)を加えて、30分間磁気撹拌した。10mLの60℃の温水を加えて壁部を洗い流し、引き続き2分間撹拌した。放冷し、3滴のフェノールフタレイン試薬に加えて、溶液が無色に変わるまでHCl(0.5mol/L)で滴定し、室温で、色が変わらないまで2分間静置し、HClの体積を記録した。測定は3回の並行で実施した。
【0054】
インドールカルボン酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチHAMSIAAにおけるインドールアセチル基の質量分率ωは、次のとおりであった。
【0055】
【0056】
式中、V2、V1は、それぞれ、HAMS及びHAMSIAAを滴定する時に使用したHClの体積(mL)であり、cはHClの濃度(mol/L)であり、mはHAMSIAAサンプルの質量(g)であり、158はインドールアセチル基の分子量であった。
【0057】
次のとおりにインドールアセチル基の含有量で置換度DSを計算した。
【0058】
【0059】
【0060】
式中、158はインドールアセチル基の相対分子質量であり、162はデンプンの各グルコース単位の相対分子質量であり、1はH原子の相対原子質量であった。
【0061】
同じように、HAMSIPAの置換度は次のとおりであった。
【0062】
【0063】
【0064】
式中、ωは加工デンプンHAMSIPAにおけるインドールプロピオニル基の質量分率であり、V2、V1は、それぞれ、HAMS及びHAMSIPAを滴定する時に使用したHClの体積(mL)であり、cはHClの濃度(mol/L)であり、mはHAMSIPAサンプルの質量(g)であり、172はインドールプロピオニル基の相対分子質量であり、162はデンプンの各グルコース単位の相対分子質量であった。
【0065】
4.インドールカルボン酸誘導体化デンプンの構造の特徴付け
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)、赤外スペクトル(FTIR)によりその具体的な構造情報を特徴付けし、X線回折(XRD)により加工デンプンの結晶化度を測定し、走査型電子顕微鏡(SEM)でデンプン粒の超微細形態を分析した。
【0066】
図1は、当実施例によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体の水素核磁気共鳴スペクトルである。
図1から分かるように、HAMSと比べて、HAMSIAA及びHAMSIPAは化学シフト10.83ppmでNHの特徴的なピークが出現し、且つHAMSIPAは2.96ppm及び2.69ppmで2つの新しいピークが出現し、これがIPA中の2つのメチレン基の特徴的なピークであった。
【0067】
図2は、当実施例によって提供されるデンプン(HAMS)及びインドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIAA)の赤外スペクトルである。
図2から分かるように、400cm
-1でのピークはOH又はNHの伸縮振動ピークであり、OHピークはブロードであったがNHピークはシャープであり、これはIAAにNHが含有されているため置換度が上昇するにつれてシャープなピークはますます明らかになるためであり、2930cm
-1でのピークはCHの伸縮振動ピークであった。HAMSと比べて、HAMSIAAは1728cm
-1で、カルボニル基の伸縮振動ピークが1つの新しいピークとして出現し、1728cm
-1でのカルボニル基ピークは置換度が上昇するにつれて強くなった。スペクトルから分かるように、745cm
-1でのピークも、HAMSIAAの置換度が上昇するにつれて強くなり、当該ピークは芳香環CHの面外変角振動ピークであり、即ち、IAAのインドール環CHの面外変角振動ピークであった。1728cm
-1でのカルボニル基の特徴的なピーク及び745cm
-1での芳香環CHの特徴的なピークが出現したことは、HAMSとIAAのエステル化反応が成功したことを示した。
【0068】
【0069】
なお、文献の報告によると、デンプン粒は多結晶体であり、デンプン粒の結晶構造は由来植物種によって異なり、主に3つのタイプのX線回折パターン(A型、B型及びC型)が得られた。また、デンプンのアシル化などの特別な方法で、V型の構造を得ることができ、遺伝育種された一部のデンプンにはA+V型、B+V型及びC+V型が示された。異なる結晶形のデンプンには明らかな特徴的なピークがあり、A型には15°、17°、18°及び23°で強いピークがあり、B型には5.6°、17°、22°及び24°で強いピークがあり、C型にはA型とB型の取り合わせが示され、A型と比べると5.6°でピークが出現し、B型と比べると23°で強いピークが出現し、V型の特徴的なピークは12.5°及び19.5°であった。
【0070】
図3は、当実施例によって提供されるデンプン(HAMS)及びインドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIAA)のXRDパターンである。
図3から分かるように、HAMSは5.6°、17°、19.5°及び22°でピークが出現し、結晶形構造がB型であり、HAMSIAAは12.5°及び19.5°で特徴的なピークが出現し、V型であり、且つ置換度が上昇するにつれて、ピークはますます弱くなった。これらの結果は、HAMSのアシル化でその結晶構造が破壊されたことを示した。
【0071】
図4は、当実施例によって提供されるデンプン(HAMS)及びインドール酢酸誘導体化ハイアミロースコーンスターチ(HAMSIAA)のSEM電子顕微鏡画像である。
図4から分かるように、HAMSデンプン粒は殆ど円形又は楕円形であり、表面は亀裂がなく滑らかであるが、IAAによるアシル化後のHAMSIAAデンプン粒は、表面が粗くて不規則になり、これは反応の過程でまずDMSOで溶解し、反応が終了した後にエタノール又は水に加えて製品を析出させることで、デンプン粒の形態が破壊されたためであった。
【0072】
実施例2:インドール酢酸誘導体化デンプン(HAMSIAA)によるIAAの結腸標的化送達の効果評価
HAMS及び異なる置換度のHAMSIAAを用いてそれぞれ15%の添加率でマウス飼料を作製し、8週齢のマウスを、体重によってランダムに6群に分け、各群は5匹であった。HAMS群、HAMSIAA群であった(6群であり、DSは、それぞれ、0.065、0.12、0.19、0.29、0.37、0.49であった)。マウスの糞便及び血清を収集した。
【0073】
マウスの糞便、肝門脈血、末梢血及び結腸組織におけるIAA/IPAの含有量の測定方法:
高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(HPLC-MS/MS)技術を利用して各サンプル中の代謝産物IAA/IPAの含有量をそれぞれ検出した。マウスの糞便中のIAA/IPAの含有量の測定は次のとおりであった。採取した糞便にメタノールを加え、次にボルテックス、超音波抽出、遠心分離を経て、上清を取り出して抽出液が得られ、後に当該抽出液を処理し、IAA/IPA内部標準物質(IAA-d5/IPA-d2)を加えて校正し、次にHLB固相抽出カートリッジ(使用する前に、それぞれ、5mLのメタノール、5mLの水で前処理し、次に5mLのメタノール/水混合液、5mLの水で溶出して捨て、最後に5mLのメタノールで溶離した)で精製し、溶離液をHPLC-MS/MS分析にかけて、IAA/IPAを検出した。肝門脈及び末梢血中のIAA/IPAの含有量の測定は次のとおりであった。採取した全血を静置した後に低温で遠心分離し、上清を取り出して、血清が得られ、後に上記と同じ方法を用いて、血清に内部標準物質を加え、固相抽出カラムで精製し、HPLC-MS/MSを利用して溶離液中の代謝産物IAA/IPAを検出した。結腸組織中のIAA/IPAの含有量の測定は次のとおりであった。採取した結腸組織中のIAA/IPAの含有量を次のとおりに測定した。メタノールを加え、超音波破砕を経て一層均一に研磨し、次にボルテックス、超音波抽出、遠心分離を経て、上清を取り出して抽出液が得られ、後に上記と同じ方法を用いて、血清に内部標準物質を加え、固相抽出カラムで精製し、HPLC-MS/MSを利用して抽出液中のIAA/IPAの濃度を検出した。
【0074】
図5は、当実施例の実験マウスの糞便中のインドールカルボン酸の濃度を示す図である。
図5から分かるように、加工デンプンの飼料への添加量が15%であるとき、HAMS群と比べて、HAMSIAA群では糞便中のIAAの濃度が顕著に高められた。ただし、HAMSIAAの置換度が0.37であるとき、糞便中のIAAの濃度は最も高く、約5470μmol/kgであり、HAMS群(約4μmol/kg)と比べて、1370倍くらい高められた。これは、IAAの保持能力は置換度に関係していることを示し、置換度が低いときは、糞便中のIAAの濃度は置換度が増加するにつれて上昇し、置換度が特定の値になってさらに増加すると、IAAの濃度はかえって低減する。
【0075】
図6は、当実施例の実験マウスの肝門脈血中のインドールカルボン酸の濃度を示す図である。
図6から分かるように、加工デンプンの飼料への添加量が15%であるとき、HAMS群と比べて、HAMSIAA群ではマウスの肝門脈血中のIAAの濃度が顕著に高められた。異なる置換度のHAMSIAA群の肝門脈血中のIAAの濃度は糞便中のIAAの濃度の変化するルールとやや異なり、ただし、置換度が0.19であるHAMSIAA群は肝門脈血中のIAAの濃度が最も高く、約2700nmol/mLであり、HAMS群(約1nmol/mL)と比べて、2700倍くらい高められ、置換度が0.37であるHAMSIAA群は糞便中のIAAの濃度が最も高く、これは、置換度が0.37であるHAMSIAAは耐性がより高く、胃又は小腸部位で吸収されたのが少なく、結腸部位に到達して分解及び吸収されたのが多いからだという可能性がある。
【0076】
マウスの糞便及び肝門脈血中のIAAの濃度を検出することにより、加工デンプンの飼料への添加量が15%であるとき、HAMSIAA群はHAMS群と比べて、IAAの濃度がきわめて顕著に高められたことが分かり、HAMSIAAはIAAを効果的に標的に送達して結腸部位にゆっくりと放出させることができることを示し、ただし、置換度が0.37であるHAMSIAAは、標的化送達の効果が最も良かった。
【0077】
実施例3:インドール酢酸誘導体化デンプン(HAMSIAA)によるIAAの結腸標的化送達の効果評価
HAMS及び異なる置換度のHAMSIAAを用いてそれぞれ1.5%の添加率でマウス飼料を作製し、8週齢のマウスを、体重によってランダムに6群に分け、各群は5匹であった。HAMS群、HAMSIAA群であった(6群であり、DSは、それぞれ、0.065、0.12、0.19、0.29、0.37、0.49であった)。マウスの糞便及び血清を収集した。
【0078】
図7は、当実施例の実験マウスの糞便中のインドールカルボン酸の濃度を示す図である。
図7から分かるように、加工デンプンの飼料への添加量を1.5%に低減したとき、HAMS群と比べて、HAMSIAA群では依然として糞便中のIAAの濃度が顕著に高められ、且つ置換度が0.37であるHAMSIAA群の糞便中のIAAの濃度は、860μmol/kgくらいと最も高く、HAMS群(約4μmol/kg)と比べて、200倍くらい高められた。
【0079】
実施例4:異なる投与方法によるIAAの標的化送達の効果評価
実験では合計で5群に分けた。
1.ブランク対照群
2.HAMSIAA-0.32(1.5%)群(1匹のマウスあたり毎日3gのラットフードを消費し、合計で0.068mmolのIAAを摂取した)
3.IAANa飲水群(IAANaの濃度は2.68mg/mLで、1匹のマウスあたり毎日5mL飲水し、合計で0.068mmolのIAANaを摂取した)
4.胃内投与群(IAANaの濃度は67mg/mLで、毎日0.2mL胃内投与し、合計で0.068mmolのIAANaを摂取した)
5.腹腔内注射群(IAANaの濃度は67mg/mLで、毎日0.2mL注射し、合計で0.068mmolのIAANaを摂取した)
【0080】
胃内投与、腹腔内注射、IAA塩水の直接飲用及びHAMSIAAの4つの投与方法のマウスの結腸内容物及び肝門脈血中のIAAの濃度を比較することにより、異なる投与方法によるIAAの結腸標的化送達の効果を評価し、結果は
図8に示すとおりであった。
図8は、異なる投与方法の結腸内容物中のIAAの濃度である。
【0081】
図8から分かるように、胃内投与、腹腔内注射、IAA塩水の直接飲用の3つの投与方法と比べると、HAMSIAAはIAAをより効果的に結腸部位に送達することができる。IAAの摂取量が相当するとき、HAMSIAA群では糞便中のIAAの濃度が顕著に高められ、対照群と比べて、200倍くらい高められ、胃内投与群と腹腔内注射群の糞便中のIAAの濃度は相当し、対照群と比べて7倍くらい高められ、IAANa飲水群は対照群と比べて、糞便中のIAAの濃度が30倍くらい高められた。当該実験結果は、胃内投与であれIAA塩水の直接飲用であれ、殆どが胃又は小腸部位で吸収され、結腸部位に到達できるのはごく一部であるが、HAMSIAAは耐性デンプンを利用して胃及び小腸の消化作用に耐え、結腸部位に到達し、且つ結腸部位で腸内微生物の発酵を経てIAAをゆっくりと放出させることができることを示した。異なる投与方法のマウスの結腸内容物中のIPAの濃度を検出することにより、胃内投与、腹腔内注射及びIAANa飲水群のIPAの濃度は対照群と比べて明らかな変化がないが、HAMSIAA群のIPAの濃度は対照群と比べて顕著に高められたことが分かった。
【0082】
図9は、異なる投与方法の肝門脈血血清中のIAAの濃度である。
図9から分かるように、IAAの摂取量が相当するとき、対照群と比べて、異なる投与方法のマウスの肝門脈血中のIAAの濃度はいずれも顕著に高められた。ただし、胃内投与群、腹腔内注射群、IAANa飲水群の血清中のIAAの濃度に有意差がないが、1.5%のHAMSIAA-0.32群は他の投与方法と比べて、血清中のIAAの濃度が10倍くらい高められた。HAMSIAAの標的化送達及び吸収効果は他の投与方法と比べて顕著に優位に立つことが示唆された。
【0083】
実施例5:インドールプロピオン酸誘導体化デンプン(HAMSIPA)によるIPAの結腸標的化送達の効果評価
異なる置換度のインドールカルボン酸誘導体化デンプンをそれぞれ15%及び1.5%の比率でマウス飼料に添加し、作製された特殊飼料でマウスを1週間飼育した後に糞便を採取してIPAの含有量を検出した。結果は
図10に示すとおりであった。
図10は、当実施例によって提供される実験マウスの糞便中のIPAの濃度を示す図である。
【0084】
図10から分かるように、HAMS群と比べて、HAMSIPA群では糞便中のIPAの濃度が顕著に高められ、且つ置換度及び用量への依存性があり、添加量が多いほど、糞便中のIPAの濃度が高かった。ただし、置換度が0.25であるHAMSIPA群は糞便中のIPAの濃度がより高かった。HAMSIPAは良好なIPAの結腸標的化送達機能をも有するということが示唆された。
【0085】
実施例6:HAMSIAAによるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性急性潰瘍性結腸炎の軽減
製造されたHAMSIAAを用いて所定の添加率でラットフードを作製し、当方はマウスを対照ラットフード組、HAMS群、対照ラットフード+DSS群、HAMS+DSS群、異なる置換度のHAMSIAA+DSS群に分けた。実験開始後にマウスの糞便形態の変化、精神状態及び体重を毎日観察及び記録し、通常の飲料水及びDSS水溶液を3日ごとに1回交換し、実験開始後の7日目にDSS水溶液を通常の飲料水に交換した。
【0086】
実験が終了した後、マウスの疾患活動性指数(disease active index、DAI)を評価し、マウスの結腸を採取してその長さを測定し切片でマウスの結腸状態を評価し、マウスの結腸組織中のサイトカインIL-10、IL-6、IL-22などのレベルを検出し、最後にこれらの指標でDSS誘発性マウス急性潰瘍性結腸炎に対するHAMSIAAの予防及び治療効果を評価した。
【0087】
図11は、正常群及びDSS誘発性潰瘍性結腸炎群の末梢血血清中のIAA/IPAの濃度の比較を示す図である。
図11から分かるように、対照群と比べて、対照+DSS群の血清中のIAA/IPAの濃度が顕著に低下しており、トリプトファンの腸内微生物の代謝産物IAA/IPAは潰瘍性結腸炎に関係していることが示唆され、したがって、当方は、IAA/IPAを補給するとDSS誘発性マウス潰瘍性結腸炎の重症度は軽減されると推測している。
【0088】
さらに、本願では、15%のHAMSIAA-0.49を例とし、マウスの体重の変化、結腸の長さ、DAI指数、結腸状態及び結腸組織切片などの指標により、飼料にHAMSIAAを添加するのはDSS誘発性マウス潰瘍性結腸炎の重症度を効果的に軽減できることを証明している。
【0089】
図12は、15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの体重の変化を示す図である。
【0090】
図13は、15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの結腸の長さの変化を示す図である。
【0091】
図14は、15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスのDAI指数の変化を示す図である。
【0092】
図15は、15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの結腸状態の変化を示す図である。
【0093】
図16は、15%のHAMSIAA-0.49での治療後のマウスの結腸組織切片の変化を示す図である。
【0094】
図12~
図16から分かるように、対照群と比べて、モデル群(対照+DSS)ではマウスの体重が明らかに減少し、HAMS+DSS群では軽減され、15%のHAMSIAA-0.49+DSS群では体重の減少が明らかに遅延され、モデル群ともHAMS+DSS群とも有意差があり(
図12)、対照群と比べて、モデル群の結腸の長さは顕著に短縮され、HAMS群はモデル群と有意差がなく、15%のHAMSIAA-0.49+DSS群はモデル群と比べて、結腸の長さが長く、且つ有意差があり(
図13)、モデル群と比べて、15%のHAMSIAA-0.49+DSS群のDAI指数は明らかに低減され、有意差があり(
図14)、
図15は、対照群、対照+DSS群、HAMS+DSS群、15%のHAMSIAA-0.49+DSS群の結腸画像であり、15%のHAMSIAA-0.49+DSS群の結腸状態が最も良かった。対照群と比べて、モデル群は結腸組織の損傷が深刻で、腺体の消失及び広範囲の粘膜層の壊死などの病変が認められ、モデル群と比べて、HAMS+DSS群の結腸損傷の程度がやや低下しており、正常な構造の腸腺が少量に存在するが、HAMSIAA-0.49はマウスの結腸組織に対する保護効果が最も明らかであった(
図16)。体重の変化、結腸の長さ、DAI指標及び組織切片のどれもが、HAMSIAAはDSS誘発性マウス潰瘍性結腸炎の重症度を効果的に軽減できることを示唆した。
【0095】
さらに、本願では、1.5%のHAMSIAA-0.32を例とし、マウスの結腸組織中のサイトカインIL-10、IL-6、IL-1β、IL-22などのレベル及びmRNA(AhR/GAPDH)の相対発現レベルを検出することにより、飼料にHAMSIAAを添加するのはDSS誘発性マウス潰瘍性結腸炎の重症度を効果的に軽減できることを一層証明しており、且つHAMSIAAによるDSS誘発性マウス潰瘍性結腸炎の軽減はAHR/IL-22経路の活性化に密接に関係しているという可能性があり、ただし、
図17~
図19は、サイトカインレベルの面からHAMSIAAはDSS誘発性マウス潰瘍性結腸炎の重症度を効果的に軽減していることを証明した。IL-10は、
免疫細胞及び非免疫細胞によって分泌される重要な抗炎症性サイトカインである。結腸炎の発生とIL-10の低下に相関性があり、IL-10の発現は疾患の進行に関係しており、病変の程度が悪化するにつれて、IL-10の発現は低減する傾向にあり、軽減期には上昇に転じるのは、IL-10はその炎症抑制効果を発揮し始め、炎症因子と抗炎症因子との間のバランスを回復させることを示唆した。モデル群と比べて、HAMSIAA治療群では結腸組織中のIL-10のレベルが顕著に高められ、HAMSIAAはDSS誘発性結腸炎を効果的に軽減していることを示した(
図17)。IL-6及びIL-1βは重要な炎症誘発性サイトカインである。結腸炎患者でIL-6及びIL-1βレベルは顕著に上昇している。モデル群と比べて、HAMSIAA治療群では結腸組織中のIL-6及びIL-1βレベルが明らかに低下し、これは、HAMSIAAはDSS誘発性結腸炎を効果的に軽減することを一層示した(
図18及び
図19)。
【0096】
図20及び
図21は、HAMSIAAでの結腸炎治療による改善はAHR/IL-22経路の活性化に密接に関係している可能性があることを示した。結腸組織のmRNA(AhR/GAPDH)の相対発現レベルを検出することにより、モデル群と比べて、HAMSIAA治療群ではAhRの相対発現が顕著に高められたことが分かり、IAAはAhRと結合して、AhRの発現を促進していることを示した(
図20)。結腸組織のIL-22レベルを検出することにより、モデル群と比べて、HAMSIAA治療群ではIL-22の含有量が顕著に高められたことが分かった(
図21)。IL-22はSTAT3を構成的に活性化する能力を有し、抗菌ペプチド及びムチンの発現を刺激することによって上皮細胞の再生を促進し粘膜バリアの完全性を向上させる。グループ3の自然リンパ球に由来するIL-22は腸管バリアに役立ち、IL-22の発現はAhRの活性化によって制御される。これはIAAがAhRと結合することの強力な証拠であった。したがって、HAMSIAAでの結腸炎治療による改善はAHR/IL-22経路の活性化に密接に関係している可能性がある。
【0097】
実施例7:HAMSIAAによる全身性エリテマトーデス(SLE)の軽減
1.製造されたHAMSIAAを用いて所定の添加率でラットフードを作製し、SLEモデルマウス及び対照マウスは、常州▼カ▲文斯実験動物有限公司から購入され、4~6週齢であった。全てのマウスをランダムに3群に分けた。
対照群(MRL/MPJ)
全身性エリテマトーデスモデル群(MRL/lpr)
HAMSIAA群(MRL/lpr+HAMSIAA)
【0098】
HAMSIAA群は、HAMSIAAを所定の比率で添加した特殊飼料を与え、14週間持続した。実験が終了した後に腎臓組織を採取した。
【0099】
2.本願では、1.5%のHAMSIAA-0.32を例とし、腎臓の病理学的指標により、飼料にHAMSIAAを添加するのはSLEを効果的に軽減できることを証明している。
【0100】
図22は、当実施例の各群のマウスの腎臓組織のHE染色の比較画像である。
【0101】
図23は、当実施例の各群のマウスの腎臓組織の病理スコアである。
【0102】
上記のマウスの腎臓組織のHE染色及び腎臓組織の病理スコアのいずれも、SLEマウスモデル群と比べて、HAMSIAAを使用するとマウスの糸球体腎炎及び間質性腎炎を明らかに軽減できること示した。これらの結果が、HAMSIAAを使用するのはSLEマウスの症状を効果的に軽減できることを示した。
【0103】
最後に付け加えるべきこととして、以上の各実施例は、本願の技術的手段を説明するためのものに過ぎず、制限を加えるものではない。前述した各実施例を参照して本願を詳細に説明しているが、当業者なら理解できることであろうが、依然として前述した各実施例に記載の技術的手段を補正するか、又はその一部若しくは全ての技術的特徴に対して等価な置換を行うことができ、これらの補正又は置換により、対象となる技術的手段の本質が本願の各実施例に係る技術的手段の範囲から逸脱することはない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本願によって提供されるデンプン-インドールカルボン酸誘導体は、デンプンとインドールカルボン酸がエステル化反応を行って形成されたアシル化デンプンであり、高い耐性を有し、胃、小腸の分解に耐えることができ、結腸部位に到達した後に腸内細菌叢の発酵を経てインドールカルボン酸を放出することができ、胃内投与、腹腔内注射などのインドールカルボン酸の従来の投与方法と比べて明らかな利点を有し、結腸及び肝門脈血中のインドールカルボン酸の含有量を顕著に高めることができ、さらに本願のデンプン-インドールカルボン酸誘導体を腸内免疫のバランスを調節する製品、及び炎症性疾患を予防及び治療する製品に幅広く使用することができる。また、本願のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法では、デンプンを溶媒に溶解して、溶液Aを得て、続いてインドールカルボン酸、縮合剤及び塩基を溶液Aに加えてエステル化反応を行って、反応液Aを得て、次に反応液A中のデンプンを析出させ、吸引濾過、乾燥をこの順に行って、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を得る。上記の製造方法は、加工プロセスが簡単であり、産業的な大量生産に適する利点を有する。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン-インドールカルボン酸誘導体であって、
縮合剤及び塩基の作用で、デンプンとインドールカルボン酸のエステル化反応により製造されたものであり、
前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体は、置換度が0.06~0.49であるインドール酢酸誘導体化デンプン、及び置換度が0.25~0.39であるインドールプロピオン酸誘導体化デンプンのうちの少なくとも1つを含む前記デンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項2】
前記縮合剤が、EDCI、DCC、HATUのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項3】
前記塩基が、1-メチルイミダゾール、アミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体。
【請求項4】
(a)デンプンを溶媒に溶解して、溶液Aを得て、続いてインドールカルボン酸、縮合剤及び塩基を溶液Aに加えてエステル化反応を行って、反応液Aを得るステップと、
(b)反応液A中のデンプンを析出させ、続いて吸引濾過、洗浄、乾燥をこの順に行って、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を得るステップとを含む請求項1~
3のいずれか一項に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)における溶媒が、DMSO、イオン液体、水のうちの少なくとも1つを含む請求項
4に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(a)のエステル化反応の温度は20~80℃であり、時間は20~30時間である請求項
4に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(b)の析出の方法は、反応液Aをエタノール又は水に滴加して、デンプン-インドールカルボン酸誘導体を析出させることである請求項
4に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項8】
請求項1~
3のいずれか一項に記載のデンプン-インドールカルボン酸誘導体の腸内免疫のバランスを調節する製品の製造における使用。
【請求項9】
前記腸内免疫のバランスを調節することは、デンプン-インドールカルボン酸誘導体は摂取されて結腸部位に到達した後、腸内細菌叢の発酵により、接続されたインドールカルボン酸が放出され、デンプンの腸内細菌叢発酵により放出された短鎖脂肪酸と相乗して、複数の免疫系シグナル伝達経路によって相乗的に免疫調節作用を発揮することを指す請求項
8に記載の使用。
【請求項10】
前記腸内免疫のバランスを調節する製品が、薬物、健康食品、特別医療目的用食品又は一般食品を含む請求項
8に記載の使用。
【請求項11】
前記薬物が、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患を予防及び治療する薬物である請求項1
0に記載の使用。
【請求項12】
前記炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患が、炎症性腸疾患、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、自己免疫性肝疾患、多発性硬化症のうちの1つを含む請求項1
1に記載の使用。
【国際調査報告】