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特表2024-537569商用車のブレーキシステムを作動させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-11
(54)【発明の名称】商用車のブレーキシステムを作動させる方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B60T17/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518585
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2022072748
(87)【国際公開番号】W WO2023046368
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021210697.8
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(71)【出願人】
【識別番号】524110540
【氏名又は名称】ツェットエフ シーヴイ システムズ ヨーロッパ ベースローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ZF CV SYSTEMS EUROPE BV
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】マルティン サグメイスター
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハヴァカンプ
【テーマコード(参考)】
3D049
【Fターム(参考)】
3D049AA02
3D049AA03
3D049BB05
3D049CC03
3D049CC07
3D049HH03
3D049HH39
3D049HH51
(57)【要約】
本発明は、商用車のブレーキシステム(1)を作動させる方法に関する。ブレーキシステム(1)は、常用ブレーキシステム(8)と、補助ブレーキシステム(28)と、商用車の車輪(2、3)用のブレーキ装置(5、6)とを備える。常用ブレーキシステム(8)は、通常作動において、関連する常用ブレーキアクチュエータを駆動させる。常用ブレーキアクチュエータを介して駆動を行い、ブレーキ作動装置(21、22)の作動に対応して、関連するブレーキ装置(5、6)の作動を実行する。補助ブレーキシステム(28)では、補助ブレーキアクチュエータ(29)を駆動することによって、ブレーキ装置(5、6)の作動を開始する。緊急作動中、ブレーキ作動装置(21、22)の作動を検出し、補助ブレーキアクチュエータ(29)にアクセスする。この場合、ブレーキ作動装置(21、22)の作動の程度に適応させて、ブレーキ装置(5、6)の作動を調整する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車、特に農業用または公共用の商用車のブレーキシステム(1)を作動させる方法であって、前記ブレーキシステム(1)は、常用ブレーキシステム(8)と、補助ブレーキシステム(28)と、商用車の車輪(2、3)用のブレーキ装置(5、6)と、を備え、前記常用ブレーキシステム(8)では、通常作動において、少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)が作動すると、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を駆動させ、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を介して駆動を行い、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動に対応して、それぞれ関連する前記ブレーキ装置(5、6)の作動を実行し、前記補助ブレーキシステム(28)では、少なくとも1つの制御デバイス(25)を介して、前記ブレーキ装置(5、6)のうちの少なくとも1つのブレーキ装置の作動を開始することができて、前記常用ブレーキシステム(8)の少なくとも部分的な故障を検出すると、緊急作動を実行する方法において、前記補助ブレーキシステム(28)では、前記少なくとも1つの制御デバイス(25)を介して、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)を駆動することによって、少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動を開始し、緊急作動中、少なくとも1つの制御デバイス(7)によって前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動を検出し、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)にアクセスし、この場合、前記少なくとも1つの制御デバイス(7)によって、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を用いて、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動の程度に適応させて、少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動を調整することを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、緊急作動中に、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動の程度に基づいて、要求されるブレーキトルクを決定し、前記要求されるブレーキトルクを、続いて前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)の駆動を調整するために使用することを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動を検出すると、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)が接続される圧力源(15)を介して、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)への圧力供給が少なくとも低すぎることを、少なくとも部分的な故障として検出することを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記常用ブレーキシステム(8)における圧力供給が少なくとも低すぎることを、好適には圧力センサ(18)であるセンサシステムを介して検出することを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の方法において、前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)の駆動を、特にブレーキ制御デバイスである第1制御デバイス(7)を介して開始し、このために、データ伝送は、前記第1制御デバイス(7)と、好適には変速機制御デバイスである第2制御デバイス(25)との間で、データ伝送システムにおいて実行し、その際、前記第2制御デバイス(25)を介して、前記第1制御デバイス(7)の指示に対応して、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を駆動することを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の方法において、前記補助ブレーキシステム(28)では、少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動は、前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)において、それぞれ1つの流体シリンダ(30)を減圧することによって実行し、前記流体シリンダ(30)は、作動位置に予め付勢された作動ピストンを装備していることを特徴とする、方法。
【請求項7】
制御デバイス(7)、特にブレーキ制御デバイスであって、商用車のブレーキシステム(1)の補助ブレーキシステム(28)では、それぞれ1つの車輪(2、3)の少なくとも1つのブレーキ装置(5、6)を作動させるために、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)の駆動を開始するように構成されている制御デバイス(7)において、前記制御デバイス(7)は、前記ブレーキシステム(1)の常用ブレーキシステム(8)の少なくとも部分的な故障を検出すると、緊急作動を開始し、前記緊急作動中に、前記常用ブレーキシステム(8)の少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動を検出すると、前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)にアクセスし、その際、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を介して、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動の程度に適応させて、前記少なくとも1つのブレーキ装置(5、6)の作動を開始するようにさらに構成されている、制御デバイス(7)。
【請求項8】
請求項7に記載の制御デバイス(7)であって、さらに、請求項2乃至6の何れか一項または複数に記載の方法を実行するように構成されている、制御デバイス(7)。
【請求項9】
商用車、特に農業用または公共用の商用車用のブレーキシステム(1)であって、常用ブレーキシステム(8)と、補助ブレーキシステム(28)と、商用車の車輪用のブレーキ装置(5、6)と、少なくとも1つの制御デバイス(7、24、25)と、を含み、前記常用ブレーキシステム(8)は、少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)を備え、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)を介して、通常作動で作動する際に、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を駆動可能であり、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)は、通常作動で駆動する際に、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動に対応して、それぞれ割り当てられたブレーキ装置(5、6)を作動させるブレーキシステム(1)において、前記補助ブレーキシステム(28)は補助ブレーキアクチュエータ(29)を備え、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)は、前記少なくとも1つの制御デバイス(7、25)を介して駆動可能であり、駆動の際に、前記ブレーキ装置(5、6)のうちの少なくとも1つを作動させること、また前記少なくとも1つの制御デバイス(7)は、請求項7または8にしたがって構成されていること、を特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項10】
請求項9に記載のブレーキシステム(1)であって、さらに、請求項2乃至6の何れか一項または複数に記載の方法にしたがって作動可能である、ブレーキシステム
【請求項11】
請求項9または10に記載のブレーキシステム(1)において、第1制御デバイス(7)、特にブレーキ制御デバイスが設けられ、前記第1制御デバイス(7)はデータ伝送システムにおいて第2制御デバイス(25)と接続され、前記第2制御デバイス(25)は、好適には変速機制御デバイスであり、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を介して駆動可能であることを特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項12】
請求項9乃至11の何れか一項に記載のブレーキシステム(1)において、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)は、作動位置に予め付勢された作動ピストンを有する流体シリンダ(30)を備え、前記作動ピストンは、前記流体シリンダ(30)に流体で圧力を供給することによって、開位置に移動することができて、前記開位置において、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を介する少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動が取り消されることを特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか一項に記載のブレーキシステム(1)において、前記常用ブレーキシステム(8)では、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)は、それぞれ1つのブレーキ回路(11)に配置され、前記ブレーキ回路(11)において、通常作動では、それぞれ関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)の制御は、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動に応じて行うことを特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項14】
請求項9乃至13の何れか一項に記載のブレーキシステム(1)において、前記常用ブレーキシステム(8)では、前記常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を制御可能な少なくとも1つのブレーキ回路(11)にセンサシステムを設けることができて、前記センサシステムを介して、前記少なくとも1つのブレーキ回路(11)の流体の圧力を監視できることを特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項15】
請求項9乃至14の何れか一項または複数に記載のブレーキシステム(1)を含む、商用車、特に農業用または公共用の商用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用車、特に農業用または公共用の商用車のブレーキシステムを作動させる方法に関する。ブレーキシステムは、常用ブレーキシステム(Betriebsbremsanlage)と、補助ブレーキシステムと、商用車の車輪用のブレーキ装置と、を備える。常用ブレーキシステムでは、通常作動において、少なくとも1つのブレーキ作動装置が作動すると、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータが駆動される。常用ブレーキアクチュエータを介して駆動を行い、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動に対応して、それぞれ関連するブレーキ装置の作動を実行する。補助ブレーキシステムでは、少なくとも1つの制御デバイスを介して、ブレーキ装置のうちの少なくとも1つのブレーキ装置の作動を開始することができる。常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障を検出すると、緊急作動を実行する。さらに本発明は、制御デバイスと、商用車のブレーキシステムと、商用車とに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキシステムは、通常、それぞれの自動車の走行中に1つまたは複数の関連するブレーキ作動装置を対応して作動させることによって、車輪に、ひいては自動車にもブレーキをかけることができるように、常用ブレーキシステムを備える。加えて、ブレーキシステムは、通常、補助ブレーキシステムを備えなければならない。補助ブレーキシステムを介して、停止している状態、例えば駐車状態にあるそれぞれの自動車を、少なくとも個々の車輪を固定的に制動することによって、それぞれの現在位置に保持することができる。この場合、自動車におけるブレーキシステムは、たとえブレーキシステムの一部が故障したとしても、可及的に自動車にブレーキをかけることを可能にするために、冗長システムとして実現されなければならない。場合によっては、この場合、常用ブレーキシステムが少なくとも部分的に故障した際に、自動車にブレーキをかけることを可能にするために、補助ブレーキシステムが目指されて求められる。
【0003】
US2005/0168064A1は、例えばセミトレーラートラックなどの牽引車両である商用車用のブレーキシステムを開示する。ブレーキシステムは、この場合、ブレーキ装置を介して、商用車の車輪に互いに独立してブレーキをかけることができる常用ブレーキシステムおよび補助ブレーキシステムを備える。US2005/0168064A1のブレーキシステムは、この場合、全体として電子ブレーキシステムとして実現されている。この電子ブレーキシステムにおいて、一方では、ブレーキペダルの形態である常用ブレーキシステムのブレーキ作動装置の作動が、他方では、ハンドブレーレバーの形態であるパーキングブレーキシステム(Feststellbremsanlage)のパーキングブレーキ作動装置の作動が、それぞれ制御デバイスを介して検出され、データバスシステムにおいて、ブレーキアクチュエータの対応する駆動に変換される。この場合、商用車の前車軸のブレーキアクチュエータと、商用車の後車軸のブレーキアクチュエータとは、別個の回路に統合されている。
【0004】
前車軸のブレーキ回路の故障の形態で常用ブレーキシステムが部分的に故障した場合、緊急作動の範囲内で、前車軸の車輪に別の方法でブレーキがかけられる。変形例において、緊急作動中の補助ブレーキシステムでは、パーキングブレーキ作動装置の作動が、ブレーキアクチュエータを介して、前車軸の車輪のブレーキに変換される。そのために、制御デバイスはバルブを駆動する。それによって、前車軸のブレーキアクチュエータには、前車軸のブレーキ回路から独立した商用車のトレーラー用のブレーキ回路から流体が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2005/0168064A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術に基づいて、本発明の課題は、商用車用のブレーキシステムを構築することである。このブレーキシステムを用いて、常用ブレーキシステムが少なくとも部分的に故障した際にも、高い信頼性を有して商用車にブレーキをかけることができる。同時に、このブレーキシステムの構造は、簡素化することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
方法に関する技術的な観点からは、この課題は、請求項1の上位概念およびその特徴に基づいて解決される。装置に関する技術的な観点からは、この課題は、ブレーキシステムの制御デバイスに関する請求項7の技術的な特徴によって解決される。以下の従属請求項は、それぞれ、本発明の有利な発展形態を反映している。さらに、請求項9乃至14は、前述の制御デバイスを備える商用車のブレーキシステムに関する。最後に、請求項15は、前述のブレーキシステムを備える商用車を主題とする。
【0008】
独立請求項1によれば、常用ブレーキシステムと、補助ブレーキシステムと、商用車の車輪用のブレーキ装置と、を備えるブレーキシステムを作動させる方法において、常用ブレーキシステムでは、通常作動において、少なくとも1つのブレーキ作動装置が作動すると、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータを駆動させる。この常用ブレーキアクチュエータを介して駆動を行い、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動に対応して、それぞれ関連するブレーキ装置の作動を実行する。さらに、補助ブレーキシステムでは、少なくとも1つの制御デバイスを介して、ブレーキ装置のうちの少なくとも1つのブレーキ装置の作動を開始することができる。常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障を検出すると、さらに緊急作動を実行する。
【0009】
本発明による方法は、商用車、特に農業用または公共用の商用車のブレーキシステムに使用される。特に好適には、商用車は、農業用のトラクタである。商用車は、好適には、前車軸および後車軸の形態である複数の車軸を有する。それらのうちの少なくとも1つの車軸には、制動可能な車輪が装備されている。しかしながら、特に好適には、車両のすべての車輪にブレーキをかけることができる。そのために、各車輪に、それぞれ1つのブレーキ装置が割り当てられる。本発明の意味において、車輪用のブレーキ装置は、特にディスクブレーキである。これは、湿式多板ブレーキとして設計することができる。
【0010】
本発明の範囲内で、好適には、各ブレーキ装置は、常用ブレーキアクチュエータに割り当てられる。常用ブレーキアクチュエータを介して、駆動の際に、関連するブレーキ装置が作動する。この作動は、ブレーキシステムの通常作動において、常用ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ作動装置で作動が行われるときに、実行される。この場合、関連する常用ブレーキアクチュエータを介するそれぞれのブレーキ装置の作動の強度は、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の強度に依存して発生する。本発明の意味において、少なくとも1つのブレーキ作動装置は、特にブレーキペダルとして存在する。ブレーキペダルは、商用車の運転者によって作動され、常用ブレーキシステムを介して商用車にブレーキをかけることができる。
【0011】
ブレーキシステムでは、本発明の範囲内で、厳密に1つのブレーキ作動装置が存在することができる。ブレーキ作動装置が作動すると、ブレーキシステムの通常作動において、常用ブレーキシステムのすべての常用ブレーキアクチュエータが駆動される。それに対応して、関連するブレーキ装置を介して、車輪にもブレーキがかけられる。しかしながら、特に好適には、常用ブレーキシステムを介してステアリングブレーキの機能を表すことができるようにするために、2つのブレーキ作動装置が設けられる。そのため、1つのブレーキ作動装置の作動によって、1つまたは複数の常用ブレーキアクチュエータのみを駆動する。常用ブレーキアクチュエータは、商用車の長手方向において商用車の一方の側に位置するブレーキ装置を作動させる。一方、各他方のブレーキ作動装置が作動すると、そこにある1つまたは複数の常用ブレーキアクチュエータの駆動によって、商用車の他方の側にあるブレーキ装置が作動することになる。
【0012】
補助ブレーキシステムは、ブレーキシステムでは、常用ブレーキシステムが少なくとも部分的に故障した際に、車両の運転者の指示に対応して車両にブレーキをかけるために設けられている。特に好適には、補助ブレーキシステムは、さらに、ブレーキシステムの通常作動において、車両の運転者からの対応する指示に対して、車輪を固定的に制動することによって商用車を現在位置に保持するために、商用車のバーキングブレーキ機能を実現するように構成されている。この場合、本発明によるブレーキシステムを作動させる方法において、このパーキングブレーキ機能は、少なくとも1つの制御デバイスを介して、車輪のブレーキ装置のうちの少なくとも1つブレーキ装置の作動を開始することによって実現される。特に好適には、車両の運転者によって対応する指示が作動装置に対してなされたときに、少なくとも1つの制御デバイスは、パーキングブレーキ機能の範囲内で作動を開始する。特に、この作動装置は、例えばブレーキレバーのように、車両の運転者が無段階の指示を与えることができる装置である。
【0013】
本発明による方法の範囲内で、常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障が検出された場合、ブレーキシステムの緊急作動が実行される。すなわち、特にブレーキシステムにおいて圧力が構築されていない、または不十分な程度しか構築されていないために、ブレーキシステムの常用ブレーキシステムが適切に働いていないと認識されると、緊急作動へと移行される。これは、本発明の意味において、好適には、不十分にしか商用車にブレーキをかけない危険性がある常用ブレーキシステムの故障の程度から、すでに実行される。
【0014】
本発明は、補助ブレーキシステムでは、少なくとも1つの制御デバイスを介して、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータを駆動することによって、少なくとも1つのブレーキ装置の作動を開始する、という技術的な教示を含む。緊急作動中、少なくとも1つの制御デバイスによって少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動を検出し、補助ブレーキアクチュエータにアクセスする。この場合、少なくとも1つの制御デバイスによって、補助ブレーキアクチュエータを用いて、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の程度に適応させて、少なくとも1つのブレーキ装置の作動を調整する。
【0015】
換言すると、ブレーキシステムの補助ブレーキシステムでも、少なくとも1つの制御デバイスが少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータを駆動することによって、少なくとも1つのブレーキ装置を作動させる。緊急作動の間、常用ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動が検出されたとき、すなわち商用車にブレーキをかけるという車両の運転者からの指示が存在するとき、少なくとも1つの制御デバイスは、同様に補助ブレーキアクチュエータも駆動する。しかしながら、この要望を、常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障に起因して、常用ブレーキシステムを介して、実現することができない、または不十分な程度しか実現できないため、少なくとも1つの制御デバイスは、以下のように補助ブレーキアクチュエータを駆動する。すなわち、少なくとも1つのブレーキ装置の作動は、補助ブレーキアクチュエータを介して、常用ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動強度に同調させられる。
【0016】
このようなブレーキシステムを作動させる方法は、以下の利点を有する。すなわち、ブレーキシステムの常用ブレーキシステムが少なくとも部分的に故障した際にも、補助ブレーキシステムを介して、少なくともほぼ十分な制動を商用車にもたらすことができる。これによって、商用車の運転者は、常用ブレーキシステムが故障した際にも、商用車にブレーキをかけることが可能である。そのため、車両の運転者は商用車を停止させることができる。これは、この場合、自動的に、かつ車両の運転者の追加的なアクションなしで行われる。すなわち、少なくとも1つの制御デバイスは、緊急作動において、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動を検出すると、補助ブレーキアクチュエータにアクセスすることによって、独立して、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動に適応させて、少なくとも1つのブレーキ装置を作動させる。補助ブレーキアクチュエータが少なくとも1つの制御デバイスを介して駆動されるため、さらに同時に、ブレーキシステムの構造を簡素化して実現することができる。なぜならば、これによって、補助ブレーキシステムの少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータの電子的な作動を達成できるからである。これによって、少なくとも可及的に、油圧/空気圧コンポーネントを省略することができる。
【0017】
好適には、1つの補助ブレーキアクチュエータを用いて補助ブレーキシステムを介して、または複数の補助ブレーキアクチュエータを介して、同じ車輪にブレーキをかけることができる。同じ車輪は、常用ブレーキシステムを介しても、制動可能である。この点において、補助ブレーキシステムの内部の少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータは、特に同じブレーキ装置にアクセスできる。特に好適には、少なくとも1つの制御デバイスを介して駆動される際に、1つの車軸の複数の車輪用の2つの関連するブレーキ装置は、補助ブレーキアクチュエータを介して作動される。
【0018】
確かに、US2005/0168064A1でも、補助ブレーキシステムにおいて、ブレーキ装置は、以下のようにして、補助ブレーキシステムの制御デバイスを介して作動される。すなわち、この制御デバイスは、ブレーキアクチュエータを電子的に駆動する。しかしながら、緊急作動においては、ブレーキペダルの指示に対応して、制御デバイスを介するブレーキアクチュエータの独立した作動は開始されない。US2005/0168064A1の変形例では、パーキングブレーキのハンドブレーキの指示に対応して、商用車の前車軸のブレーキアクチュエータへは、商用車のトレーラー用のブレーキ回路から、供給される。さらに、補助ブレーキシステムおよび常用ブレーキシステムには、同じブレーキアクチュエータが割り当てられている。
【0019】
本発明の意味において、ブレーキシステムを作動させる本発明による方法では、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータの駆動の開始は、少なくとも1つの制御デバイスを介して、好適にはこの制御デバイスの補助ブレーキシステムへの電子的なアクセスによって、実現される。少なくとも1つの制御デバイスは、本発明の範囲内で、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータに直接に電子的にアクセスすることができる、または、介在するコンポーネント、例えば更なる制御デバイスおよび/または電子コンポーネントを介して、駆動する、したがってアクセスすることができる。補助ブレーキアクチュエータは、特に好適には、パーキングブレーキアクチュエータとしても機能する。つまり、補助ブレーキシステムのブレーキアクチュエータは、パーキングブレーキの機能の範囲内で車両を固定的に制動するために使用される。特に、補助ブレーキアクチュエータは、蓄勢ばねシリンダを含む。
【0020】
緊急作動において、少なくとも1つの制御デバイスを介して、少なくとも1つのブレーキ装置の作動は、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の程度に適応される(orientiert)ということは、本発明の意味において以下を意味する。すなわち、少なくとも1つの制御デバイスを介して、少なくとも1つのブレーキ装置は、補助ブレーキアクチュエータを介して、常用ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ作動装置への指示に可及的に対応するような作動を開始する。本発明による方法の範囲内で、常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障を可及的に補償し、また車両の運転者の少なくとも1つのブレーキ作動装置への商用車のブレーキについての指示を可及的に実行するための試みが、すなわち緊急作動中に、制御デバイスを介して行われる。特に好適には、少なくとも1つの制御デバイスを介して、補助ブレーキアクチュエータを用いて、少なくとも1つのブレーキ装置は、少なくとも1つのブレーキ作動装置への指示に対応して作動される。
【0021】
本発明による方法の範囲内で、さらに好適には、常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障を検出し、それとともに緊急作動が開始すると、商用車の運転者に常用ブレーキシステムの、この少なくとも部分的な故障について注意喚起するために、対応する警告メッセージを出力する。この警告メッセージは、視覚的および/または音響的な警告メッセージとして提示することができる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、緊急作動中に、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の程度に基づいて、要求されるブレーキトルクを決定する。要求されるブレーキトルクを、続いて少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータの駆動を調整するために使用する。緊急作動の範囲内で、つまり車両の運転者の少なくとも1つのブレーキ作動装置への指示によって、ブレーキ装置において調整されるブレーキトルクが決定される。この要求されるブレーキトルクは、続いて、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータの駆動を調整し、ひいてはこの要求されるブレーキトルクは、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータを介して、関連するブレーキ装置に少なくとも実質的に発生させるために使用される。特に好適には、要求されるブレーキトルクの決定は、同様に少なくとも1つの制御デバイスによって実行される。少なくとも1つの制御デバイスには、そのために、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の程度に関する情報が供給される。特に、少なくとも1つの制御デバイスは、この目的のために、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の程度を検出するセンサシステムと、データを交換する。
【0023】
本発明の可能な一実施形態によれば、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動を検出すると、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータが接続される圧力源を介して、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータへの圧力供給が少なくとも低すぎることを、少なくとも部分的な故障として検出する。つまり、圧力供給が無いと、または常用ブレーキシステムにおけるそれぞれの常用ブレーキアクチュエータへの圧力供給が要求されるブレーキトルクを実現するには低すぎると、認識されると、緊急作動に切り替わり、したがって少なくとも1つの制御デバイスを介して、補助ブレーキアクチュエータを用いて独立して作動する。少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータおよび圧力源は、このために、好適には、常用ブレーキシステムのブレーキ回路に統合される。これは、アクチュエータの種類に応じて、油圧または空気圧ブレーキ回路とすることができる。このブレーキ回路において、アクチュエータには、油圧流体または圧縮空気を供給できる。
【0024】
前述の可能な一実施形態の更なる発展形態において、常用ブレーキシステムにおける圧力供給が少なくとも低すぎることを、好適には圧力センサであるセンサシステムを介して検出する。これによって、圧力供給が低すぎることを推測可能な、簡単な可能性が提供される。
【0025】
本発明の一実施形態は、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータの駆動を、特にブレーキ制御デバイスである第1制御デバイスを介して開始する。この目的のために、データ伝送は、第1制御デバイスと第2制御デバイスとの間でデータ伝送システムにおいて実行する。第2制御デバイスは、変速機制御デバイスとすることができる。その際、第2制御デバイスを介して、第1制御デバイスの指示に対応して、補助ブレーキアクチュエータを駆動する。有利には、これによって、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータの間接的な駆動を、第2制御デバイスとの通信によって第1制御デバイスを介して実行することができる。その際第2制御デバイスは、補助ブレーキアクチュエータを直接に駆動することによって、第1制御デバイスの指示を実現する。
【0026】
本発明の発展形態において、補助ブレーキシステムでは、少なくとも1つのブレーキ装置の作動は、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータにおいて、それぞれ1つの流体シリンダを減圧することによって実行する。この流体シリンダは、作動位置に予め付勢された作動ピストンを装備している。この点において、補助ブレーキアクチュエータのそれぞれの流体シリンダが減圧されると、少なくとも1つのブレーキ装置が、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータを介して作動される。このために、それぞれの流体シリンダは、逆流体シリンダ(inverser Fluidzylinder)として構成されている。
【0027】
このために、流体シリンダの作動ピストンは、作動位置に予め付勢されている。作動ピストンは、流体シリンダに流体で圧力を供給することによって、開位置に移動される。開位置において、補助ブレーキアクチュエータを介する少なくとも1つのブレーキ装置の作動が取り消される。これに対応して、補助ブレーキアクチュエータのそれぞれの流体シリンダに、この圧力に応じて流体が供給されると、少なくとも1つのブレーキ装置の作動が、低減される、または取り消しさえされる。一方、流体の供給がなく、またそれに伴う減圧が無い場合には、作動ピストンの予めの付勢に起因して、補助ブレーキアクチュエータを介して少なくとも1つのブレーキ装置が作動する。
【0028】
特に好適には、補助ブレーキシスレムでは、少なくとも1つのバルブが設けられる。バルブを介して、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータのそれぞれ1つの流体シリンダへの供給圧力を調整することができる。これは、本発明の範囲内で、圧力を制御することによって、少なくとも1つのブレーキ装置の作動を、補助ブレーキアクチュエータを介して調整するためにも必要である。なぜなら、緊急作動を実現するには、少なくとも1つのブレーキ装置の、補助ブレークアクチュエータを介してドーズされた作動が必要なためである。したがって、圧力を調整するために、比例弁または複数の弁の組み合わせを設けることができる。
【0029】
本発明の対象は、さらに、制御デバイスである。制御デバイスは、商用車のブレーキシステムの補助ブレーキシステムでは、それぞれ1つの車輪の少なくとも1つのブレーキ装置を作動させるために、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータの駆動を開始するように構成されている。制御デバイスは、ブレーキシステムの常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障を検出すると、緊急作動を開始し、緊急作動中に、常用ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動を検出すると、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータにアクセスし、その際、補助ブレーキアクチュエータを介して、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の程度に適応させて、少なくとも1つのブレーキ装置の作動を開始するように、さらに構成されている。
【0030】
このような制御デバイスの構成、また商用車のブレーキシステムにおけるその使用は、以下の利点を有する。すなわち、ブレーキシステムの常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障の際に、制御デバイスを介して、補助ブレーキシステムの少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータに独立してアクセス可能であり、続いて、補助ブレーキアクチュエータを介して少なくとも1つのブレーキ装置を作動させることによって、ブレーキを生じさせる。このブレーキは、少なくとも1つのブレーキ作動装置を介する車両の運転者の指示に適応されている。これは、さらに、制御デバイスが少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータへ直接に、または間接的に、電子的にアクセスすることによるコンパクトな構造で達成される。制御デバイスは、特に、ブレーキシステムのブレーキ制御デバイスである。
【0031】
さらに、本発明による制御デバイスは、好適には、上述の変形例のうちの1つまたは複数によるブレーキシステムを作動させる方法が実施されるように構成されている。
【0032】
上述の制御デバイスは、好適には、商用車用のブレーキシステムの一部である。このブレーキシステムは、常用ブレーキシステムと、補助ブレーキシステムと、商用車の車輪用のブレーキ装置と、少なくとも本発明による制御デバイスと、を含む。常用ブレーキシステムは、少なくとも1つのブレーキ作動装置を備える。それを介して、通常作動で作動する際に、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータを駆動可能である。少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータは、通常作動で駆動する際に、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動に対応して、それぞれ割り当てられたブレーキ装置を作動させる。さらに、補助ブレーキシステムは、補助ブレーキアクチュエータを備える。補助ブレーキアクチュエータは、制御デバイスを介して駆動可能であり、駆動の際に、ブレーキ装置のうちの少なくとも1つを作動させる。
【0033】
次に、本発明による制御デバイスは、上述したように、常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障の際に、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動を検出することによって、補助ブレーキアクチュエータにアクセスし、補助ブレーキを介して、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動の程度に適応させて、少なくとも1つのブレーキ装置を作動させる。したがって、商用車用の信頼性の高いブレーキシステムを実現することができる。この信頼性の高いブレーキシステムでは、常用ブレーキシステムに少なくとも部分的に故障が発生した際にも、制御デバイスを介して、したがって、車両の運転者の積極的なハンドリング無しで、車両の運転者の指示に従って商用車にブレーキをかけることができる。この場合、商用車のブレーキシステムは、本発明による方法の範囲内で、上述した方法で作動させることができる。
【0034】
上述のブレーキシステムでは、データ伝送システム、好適にはCANバスにおいて互いに接続された第1制御デバイスおよび第2制御デバイスを設けることができる。第1制御デバイスは、特にブレーキ制御デバイスである。一方、第2制御デバイスは、商用車の車軸の領域に配置された変速機の変速機制御デバイスとして存在することができる。この場合、第2制御デバイスを介して、補助ブレーキアクチュエータを駆動することができる。第2制御デバイスが変速機制御デバイスである場合、これは、特に、補助ブレーキアクチュエータが変速機の領域に位置する、または変速機と一体にさえなっている場合に実現される。
【0035】
ブレーキシステムの更なる発展形態において、補助ブレーキアクチュエータは、作動位置に予め付勢された作動ピストンを有する流体シリンダを備える。作動ピストンは、流体シリンダに流体で圧力を供給することによって、開位置に移動することができる。開位置において、補助ブレーキアクチュエータを介する少なくとも1つのブレーキ装置の作動が取り消される。これに対応して、それぞれの補助ブレーキアクチュエータの流体シリンダは、圧力が供給されると、圧力に応じて、流体シリンダを介して少なくとも1つのブレーキ装置の作動が低減される、または取り消されることによって、逆流体シリンダとして構成されている。一方、流体シリンダは、圧力供給が無いと、少なくとも1つのブレーキ装置を作動させる。
【0036】
ブレーキシステムの常用ブレーキシステムでは、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータは、それぞれ1つのブレーキ回路に配置されている。それぞれ1つのブレーキ回路において、ブレーキシステムの通常作動では、それぞれ関連する常用ブレーキアクチュエータの制御は、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動に応じて行う。好適には、それぞれ1つのブレーキ回路は、油圧回路として構成されている。それぞれ1つのブレーキ回路において、油圧流体の形態である流体が供給される。その際、常用ブレーキアクチュエータは、油圧アクチュエータとして構成される。代替的に、ブレーキ回路の流体は、圧縮空気としても存在することができる。その際、コンポーネントおよびブレーキ回路における常用ブレーキアクチュエータは、空気圧コンポーネントとして存在することができる。
【0037】
ブレーキ回路において、さらにバルブプレートを設けることができる。バルブプレートを介して、ブレーキシステムの通常作動において、少なくとも1つのブレーキ作動装置の作動が、対応するバルブによって、常用ブレーキアクチュエータを制御するための対応する圧力に変換される。
【0038】
代替的に、好適には、前述の変形例に加えて、常用ブレーキアクチュエータを制御可能な少なくとも1つのブレーキ回路に、センサシステムを設けることができる。センサシステムを介して、少なくとも1つのブレーキ回路の流体の圧力を監視することができる。このセンサシステムを介して、常用ブレーキアクチュエータへの供給が無いとき、または供給が不十分なときに、常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障を結論付けることができる。特に好適には、センサシステムは、少なくとも1つのブレーキ回路における流体圧力を決定できる圧力センサによって構成される。このような圧力センサは、少なくとも1つのブレーキ回路のバルブブロックに設けることができる。
【0039】
本発明は、さらに、前述の変形例のうちの1つまたは複数に対応するブレーキシステムが設けられる商用車に関する。この場合、商用車は、好適には、農業用または公共用の商用車であり、特に農業用のトラクタである。
【0040】
本発明は、独立請求項、またはそれに従属する請求項の特定の組み合わせに限定されない。特許請求の範囲から、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から、または図面から直接に、明らかになる個々の特徴を互いに組み合わせることも可能である。特許請求の範囲における、参照番号の使用による図面への言及は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0041】
本発明の有利な実施形態は、以下に説明され、また図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の好適な実施形態に対応する商用車のブレーキシステムの概略図である。
図2】通常作動および第1作動状態で示される、図1からのブレーキシステムの図である。
図3】通常作動および第2作動状態で示される、図1からのブレーキシステムの図である。
図4】緊急作動で示される、図1からのブレーキシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、特にトラクタの形態の農業用の商用車である商用車のブレーキシステム1の概略図を示す。ブレーキシステム1は、本発明の好適な実施形態に対応して設計され、商用車の車軸4の車輪2および3にブレーキをかける働きをする。車軸4は、この場合、商用車の後車軸である。しかしながら、本発明の範囲内で、制動可能な車輪を有する更なる車軸を、特に商用車の前車軸を、ブレーキシステム1の内部に設けることもできる。この更なる車軸には、同様に、車輪にブレーキをかけるためのブレーキシステムを装備することができる。
【0044】
車輪2および3の各々には、ブレーキシステム1によって、それぞれ1つのブレーキ装置5または6が割り当てられている。ブレーキ装置5および6は、この場合、ディスクブレーキの形態で構成されている。具体的には、この場合、ディスクブレーキは湿式多板ブレーキとすることができる。個々のブレーキ装置5または6は、作動されると、関連する車輪2または3にブレーキをかける、またはそれらを固定的に制動するよう保証する。
【0045】
本発明によるブレーキシステム1は、ブレーキ制御デバイスの形態である制御デバイス7と、常用ブレーキシステム8とを備える。常用ブレーキシステム8の内部には、油圧流体シリンダを有する2つの常用ブレーキアクチュエータ9および10が設けられている。常用ブレーキアクチュエータ9は、圧力で付勢されるとブレーキ装置5を作動させる。常用ブレーキアクチュエータ10は、圧力で付勢されるとブレーキ装置6を作動させる。この場合、当業者に原理的に既知の方法で、常用ブレーキアクチュエータ9または10のそれぞれの流体シリンダに油圧流体が供給されると、それぞれ関連するブレーキ装置5または6と連結されているそれぞれのピストンの変位が引き起こされる。これは、好適には、それぞれのボールランプを介して実現される。これに対応して、それぞれの流体シリンダのピストンが連結に起因して変位すると、それぞれ関連するブレーキ装置5または6が作動する。
【0046】
常用ブレーキアクチュエータ9および10は、この場合、ライン12および13を介してバルブブロック14と接続されることによって、油圧ブレーキ回路11に組み込まれている。加えて、商用車の油圧ポンプの形態である圧力源15、油圧流体用のタンク16、蓄圧器17、圧力センサ18、および2つの更なるライン19および20も、ブレーキ回路11において、このバルブブロック14と接続されている。ブレーキ回路11おいて優勢な油圧流体の供給圧力は、圧力センサ18を介して決定することができる。
【0047】
この場合、ブレーキ作動装置21および22はそれぞれ、ライン19および20に接続されている。ブレーキ作動装置21および22は、それぞれ、ブレーキペダルとして存在する。商用車の運転者は、ブレーキペダルを介して、常用ブレーキシステム8の常用ブレーキアクチュエータ9および10を作動させることができる。それぞれのブレーキ作動装置21または22の作動の程度は、センサによって検出され、制御デバイス7によって決定される。制御デバイス7は、同様に、圧力センサ18を介して決定されるブレーキ回路11における圧力を検出する。
【0048】
図1からわかるように、制御デバイス7は、CANバス23の形態であるデータ伝送システムにおいて、2つの更なる制御デバイス24および25と接続されている。それらのうちの、制御デバイス24は車両制御デバイスであり、制御デバイス25は変速機26の変速機制御デバイスである。変速機26は、車軸4の領域に位置している。
【0049】
制御デバイス24、25のうち、制御デバイス24は、補助ブレーキシステム28の作動装置27と接続されている。この作動装置27は、ブレーキレバーとして存在する。このブレーキレバーの作動位置は、制御デバイス24を介して検出される。補助ブレーキシステム28は、この場合ブレーキシステム1の内部に設けられ、通常作動において、商用車をその都度の現在位置に保持するために、両方の車輪2および3を固定的に制動するためのパーキングブレーキ機能を実現する。この固定的な制動は、ブレーキシステム1の通常作動において、車両の運転者によって対応する指示が与えられた際に、作動装置27を介して実行する。
【0050】
この目的のために、補助ブレーキシステム28には補助ブレーキアクチュエータ29が割り当てられている。この場合、補助ブレーキアクチュエータ29は、車軸4の領域で変速機26に組み込まれている。この補助ブレーキアクチュエータ29は、流体シリンダ30を含む。流体シリンダ30では、作動ピストンがばね要素を介して作動位置に予め付勢されている。作動位置において、作動ピストンは、ブリッジ31を介して両方のブレーキ装置5および6に作用して、それらを作動させる。流体シリンダ30には、流体での作動装置27の作動とは逆に、変速機26の圧力源32から油圧流体が供給される。そのため、通常作動において、作動装置27が解放された状態では、流体シリンダ30への圧力付勢、またそれによるばね要素に抗する作動ピストンの動きが開始される。これによって、補助ブレーキアクチュエータ29を介するブレーキ装置5および6の作動が、取り消される。これに対して、作動装置27が車両の運転者によって作動されると、流体シリンダ30が徐々に減圧される。それによって、流体シリンダ30の作動ピストンを介するばね要素の効果に起因して、ブレーキ装置5および6も徐々に作動する。作動の程度を調整できるようにするために、ここには示されていない、少なくとも1つのバルブが、補助ブレーキアクチュエータ29に割り当てられている。この少なくとも1つのバルブは、制御デバイス25を介して調整される。必要な作動の程度は、制御デバイス24によって、この場合CANバス23の内部にある制御デバイス25に伝達される。
【0051】
図2乃至図4において、図1とは異なるブレーキシステム1の状態が示されている。この場合、現在ブレーキプロセスに積極的に参加しているコンポーネントのみが示されている。例えば、図2は、運転者によってブレーキ作動装置21、22が作動され、常用ブレーキが使用される際のブレーキシステム1の状態を示している。この場合、個々のブレーキ作動装置21または22の作動は、バルブブロック14において、ライン12および13における対応する圧力の調整に変換される。常用ブレーキアクチュエータ9および10は、続いて両方のブレーキ装置5および6を作動させる。そのため、車輪2および3に対応してブレーキがかかる。この場合、一方をより強力に作動させること、または一方だけを作動させることによって、ブレーキ装置9または10の一方を介して、商用車のステアリングブレーキの機能を実現するために、車両の運転者を介して、ブレーキ作動装置21および22を異なって作動させることも、またはブレーキ作動装置21または22の一方だけを作動させることもできる。
【0052】
図3は、ブレーキシステム1の更なる状態を示す。図3において、車両の運転者および補助ブレーキシステム28のパーキングブレーキとしての作動による、作動装置27の作動の状況が示される。作動装置27の作動のそれぞれの程度は、制御デバイス24によって検出され、CANバス23を用いて制御デバイス25に送信される。制御デバイス25は、それに基づいて、補助ブレーキアクチュエータ29を駆動して、補助ブレーキアクチュエータ29を介して、作動装置27の作動の程度に対応して、ブリッジ31を介して、ブレーキ装置5および6作動させる。この場合、制御デバイス25を介して、作動装置27の作動の程度が増加するにつれて、流体シリンダ30の減圧が増加される。
【0053】
最後に、図4は、常用ブレーキシステム8の少なくとも部分的な故障に起因する緊急作動における、ブレーキシステム1の状態を示す。常用ブレーキシステム8の故障の理由は、この場合、圧力源15の故障、ライン12および13の領域における漏れの可能性があり、または常用ブレーキアクチュエータ9と10の一方または両方の故障の可能性もある。特に、最初に述べた2つの故障原因は、圧力センサ18を用いて制御デバイス7によって検出される。ブレーキ回路11における流体の圧力が低いことが検出されると、制御デバイス7は、緊急作動を開始する。これは、好適には、さらに警告ランプを使用して視覚的に、および/または警告信号を介して音響的に、車両の運転者に示される。
【0054】
特別な特徴として、ブレーキ作動装置21および22が作動すると、制御デバイス7は、車両の運転者によってブレーキ作動装置21および22に対して指定されたとおりに、車輪2および3にブレーキをかけるように、独立して保証する。この目的のために、制御デバイス7は、制御デバイス25を介してCANバス23を用いて、補助ブレーキアクチュエータ29の作動を開始する。この場合、ブレーキ装置5および6の作動は、補助ブレーキアクチュエータ29を介して、車両の運転者の指示に対応して、ブレーキ作動装置21および22で実行される。制御デバイス7は、ブレーキ作動装置21および22の作動の程度を検出する。制御デバイス7は、制御デバイス25を用いて、徐々に、補助ブレーキアクチュエータ29の流体シリンダ30の減圧を増加させる。これによって、最終的に、緊急作動において、ブレーキ作動装置21および22に対する車両の運転者からのブレーキの指示は、補助ブレーキシステム28を用いて、車軸4の車輪2および3の必要とされるブレーキに、自動的に変換される。
【0055】
その結果、常用ブレーキシステム8における部分的な圧力故障(Druckausfall)のみの際に、ブレーキの要求は、運転者の要望に対する不足する差のみが補助ブレーキシステム28を介して搬送されるように、自動的に計算される。補助ブレーキシステム28を介してもたらされるブレーキ力は、常用ブレーキアクチュエータ9および10を介して常用ブレーキシステム8における残圧によって発生する力に、機械的に加えられる。これは自動的かつ動的に行われる。常用ブレーキシステム8における圧力が、ブレーキをかける間に更に下降する際にも、補助ブレーキシステム28に対する、補償するブレーキの要求は、自動的に再調整される。常用ブレーキシステム8における圧力が完全に失われた場合、この調整によって、即座にかつ自動的に、運転者のブレーキの要求の100%が補助ブレーキシステム28に送られる。
【0056】
本発明によるブレーキシステムを作動させる方法を用いて、コンパクトな構造で、常用ブレーキシステムの少なくとも部分的な故障の場合にも、高い信頼性を有して商用車にブレーキをかけることを実現できる。
【符号の説明】
【0057】
1 ブレーキシステム
2 車輪
3 車輪
4 車軸
5 ブレーキ装置
6 ブレーキ装置
7 制御デバイス
8 常用ブレーキシステム
9 常用ブレーキアクチュエータ
10 常用ブレーキアクチュエータ
11 ブレーキ回路
12 ライン
13 ライン
14 バルブブロック
15 圧力源
16 タンク
17 蓄圧器
18 圧力センサ
19 ライン
20 ライン
21 ブレーキ作動装置
22 ブレーキ作動装置
23 CANバス
24 制御デバイス
25 制御デバイス
26 変速機
27 作動装置
28 補助ブレーキシステム
29 補助ブレーキアクチュエータ
30 流体シリンダ
31 ブリッジ
32 圧力源
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車ブレーキシステム(1)を作動させる方法であって、前記ブレーキシステム(1)は、常用ブレーキシステム(8)と、ブレーキ制御デバイス(7)と、補助ブレーキシステム(28)と、前記商用車の車軸(4)の車輪(2、3)用のブレーキ装置(5、6)と、を備え、前記車軸(4)は前記商用車の後車軸であり、前記常用ブレーキシステム(8)では、通常作動において、少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)が作動すると、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を駆動させ、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を介して駆動を行い、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動に対応して、それぞれ関連する前記ブレーキ装置(5、6)の作動を実行し、前記補助ブレーキシステムは、通常作動において、パーキングブレーキ機能を実現するために設けられ、前記補助ブレーキシステム(28)では、少なくとも1つの変速機制御デバイス(25)を介して、前記ブレーキ装置(5、6)のうちの少なくとも1つのブレーキ装置の作動を開始することができて、前記常用ブレーキシステム(8)の、前記常用ブレーキシステム(8)の圧力源(15)の故障、ライン(12、13)の領域における漏れ、または前記常用ブレーキアクチュエータ(9、10)の一方または両方の故障の形態である、少なくとも部分的な故障を検出すると、緊急作動を実行する方法において、前記補助ブレーキシステム(28)では、前記変速機制御デバイス(25)を介して、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)を駆動することによって、少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動を開始し、緊急作動中、前記ブレーキ制御デバイス(7)によって前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動を検出し、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)にアクセスし、この場合、前記ブレーキ制御デバイス(7)によって、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を用いて、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動の程度に適応させて、少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動を調整し、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)および前記常用ブレーキアクチュエータ(9、10)は、同じブレーキ装置(5、6)に作用することを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、緊急作動中に、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動の程度に基づいて、要求されるブレーキトルクを決定し、前記要求されるブレーキトルクを、続いて前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)の駆動を調整するために使用することを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動を検出すると、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)が接続される圧力源(15)を介して、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)への圧力供給が少なくとも低すぎることを、少なくとも部分的な故障として検出することを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記常用ブレーキシステム(8)における圧力供給が少なくとも低すぎることを、圧力センサ(18)介して検出することを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の方法において、前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)の駆動を、前記ブレーキ制御デバイス(7)を介して開始し、このために、データ伝送は、前記ブレーキ制御デバイス(7)と、前記変速機制御デバイス(25)との間で、データ伝送システムにおいて実行し、その際、前記変速機制御デバイス(25)を介して、前記ブレーキ制御デバイス(7)の指示に対応して、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を駆動することを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の方法において、前記補助ブレーキシステム(28)では、少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動は、前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)において、それぞれ1つの流体シリンダ(30)を減圧することによって実行し、前記流体シリンダ(30)は、作動位置に予め付勢された作動ピストンを装備していることを特徴とする、方法。
【請求項7】
ブレーキ制御デバイス(7)であって、商用車のブレーキシステム(1)の補助ブレーキシステム(28)では、それぞれ1つの車輪(2、3)の少なくとも1つのブレーキ装置(5、6)を作動させるために、少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)の駆動を開始するように構成されているブレーキ制御デバイス(7)において、前記ブレーキ制御デバイス(7)は、前記ブレーキシステム(1)の常用ブレーキシステム(8)の少なくとも部分的な故障を検出すると、緊急作動を開始し、前記緊急作動中に、前記常用ブレーキシステム(8)の少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動を検出すると、変速機制御デバイス(25)を介して、前記少なくとも1つの補助ブレーキアクチュエータ(29)にアクセスし、その際、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を介して、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動の程度に適応させて、前記少なくとも1つのブレーキ装置(5、6)の作動を開始するようにさらに構成されている、ブレーキ制御デバイス(7)。
【請求項8】
用車用のブレーキシステム(1)であって、常用ブレーキシステム(8)と、補助ブレーキシステム(28)と、前記商用車の後車軸である車軸(4)の車輪用のブレーキ装置(5、6)と、ブレーキ制御デバイス(7)と、車両制御デバイス(24)と、変速機制御デバイス(25)と、を含み、前記常用ブレーキシステム(8)は、少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)を備え、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)を介して、通常作動で作動する際に、少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を駆動可能であり、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)は、通常作動で駆動する際に、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動に対応して、それぞれ割り当てられたブレーキ装置(5、6)を作動させるブレーキシステム(1)において、前記ブレーキ制御デバイス(7)はデータ伝送システムにおいて前記変速機制御デバイス(25)と接続されており、前記補助ブレーキシステム(28)は補助ブレーキアクチュエータ(29)を備え、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)および前記常用ブレーキアクチュエータ(9、10)は、同じブレーキ装置(5、6)に作用し、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)は通常作動においては前記変速機制御デバイス(25)を介して駆動可能であり、また緊急作動においては、車輪(2、3)にブレーキをかけるために、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)の作動を、前記変速機制御デバイス(25)を介して前記ブレーキ制御デバイス(7)によって開始可能であること、を特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項9】
請求項に記載のブレーキシステム(1)において、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)は、作動位置に予め付勢された作動ピストンを有する流体シリンダ(30)を備え、前記作動ピストンは、前記流体シリンダ(30)に流体で圧力を供給することによって、開位置に移動することができて、前記開位置において、前記補助ブレーキアクチュエータ(29)を介する少なくとも1つの前記ブレーキ装置(5、6)の作動が取り消されることを特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項10】
請求項8または9に記載のブレーキシステム(1)において、前記常用ブレーキシステム(8)では、前記少なくとも1つの関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)は、それぞれ1つのブレーキ回路(11)に配置され、前記ブレーキ回路(11)において、通常作動では、それぞれ関連する常用ブレーキアクチュエータ(9、10)の制御は、前記少なくとも1つのブレーキ作動装置(21、22)の作動に応じて行うことを特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項11】
請求項乃至10の何れか一項に記載のブレーキシステム(1)において、前記常用ブレーキシステム(8)では、前記常用ブレーキアクチュエータ(9、10)を制御可能な少なくとも1つのブレーキ回路(11)にセンサシステムを設けることができて、前記センサシステムを介して、前記少なくとも1つのブレーキ回路(11)の流体の圧力を監視できることを特徴とする、ブレーキシステム(1)。
【請求項12】
請求項乃至11の何れか一項に記載のブレーキシステム(1)を含む、商用
【国際調査報告】