(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-11
(54)【発明の名称】集中治療後症候群(PICS)の予防及び/又は治療に使用するためのコラーゲン加水分解物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/39 20060101AFI20241004BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K38/39
A61P25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519454
(86)(22)【出願日】2023-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2023073847
(87)【国際公開番号】W WO2024047134
(87)【国際公開日】2024-03-07
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523411020
【氏名又は名称】ルースロ ビーヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ クレルク-エンゲルス、バルバラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲヴァルト、エリーン、モニク
(72)【発明者】
【氏名】クニンティ、プラニース レディ
(72)【発明者】
【氏名】プラヴィット、ヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジリオ、ニコリーナ
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA43
4C084DA40
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
(57)【要約】
本発明は、集中治療室(ICU)滞在後のコラーゲン加水分解物の使用に関する。コラーゲン加水分解物は、回復を向上させ、ICU滞在後の集中治療後症候群(PICS)を予防及び/又は治療する。コラーゲン加水分解物は、好ましくは、ICU滞在及び/又はPICSの状況でサプリメントとして投与される。コラーゲン加水分解物は一般的に安全であると認められており、したがって予防的且つ長期的な手段とみなすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中治療室滞在後の集中治療後症候群(PICS)の予防及び/又は治療に使用するためのコラーゲン加水分解物。
【請求項2】
前記コラーゲン加水分解物の乾燥重量に基づき1日あたり10~100gの総用量で投与される、請求項1に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項3】
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後少なくとも3週間連続してコラーゲン加水分解物を投与することを含む、請求項1又は請求項2に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項4】
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後3週間以内に開始するコラーゲン加水分解物の投与を含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項5】
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、少なくとも毎日1回又は少なくとも1日おきに1回コラーゲン加水分解物を投与することを含む、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項6】
1000~9000Daの平均分子量を有する、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項7】
5000Da未満の平均分子量を有する、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項8】
1400~2200Da、好ましくは1600~2000Daの平均分子量を有する、請求項7に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項9】
前記コラーゲンがブタコラーゲンであり、及び/又は前記コラーゲン加水分解物がブタコラーゲンの加水分解に由来する、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項10】
集中治療室滞在後のコラーゲン加水分解物の使用。
【請求項11】
集中治療室滞在後の回復を向上させるためのコラーゲン加水分解物の使用。
【請求項12】
前記コラーゲン加水分解物が、前記コラーゲン加水分解物の乾燥重量に基づいて、1日あたり10~100gの総用量で投与される、請求項10又は請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後少なくとも3週間連続してコラーゲン加水分解物を投与することを含む、請求項10~請求項12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後3週間以内に開始するコラーゲン加水分解物の投与を含む、請求項10~請求項13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、少なくとも毎日1回又は少なくとも1日おきに1回コラーゲン加水分解物を投与することを含む、請求項10~請求項14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記コラーゲン加水分解物が1000~9000Daの平均分子量を有する、請求項10~請求項15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記コラーゲン加水分解物が5000Da未満の平均分子量を有する、請求項10~請求項16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記コラーゲン加水分解物が、1400~2200Da、好ましくは1600~2000Daの平均分子量を有する、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記コラーゲンがブタコラーゲンであり、及び/又は前記コラーゲン加水分解物がブタコラーゲンの加水分解に由来する、請求項10~請求項18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
ICU滞在後の対象に使用するためのコラーゲン加水分解物。
【請求項21】
請求項2~請求項5のいずれか一項に定義されるように投与される、請求項20に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【請求項22】
請求項6~請求項9のいずれか一項に従って定義される、請求項20又は請求項21に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集中治療後症候群(PICS)の予防及び/又は治療のための戦略、特にPICSの予防及び/又は治療のためのサプリメントに関する。
【背景技術】
【0002】
集中治療室(ICU)の生存者は、典型的には、ICU入院の結果として様々な(重篤な)障害に罹患し得る。集中治療後症候群(PICS)は、患者がICUに入院した後に生じ得る医学的状態であり、身体的、認知的及び精神的健康状態の持続的変化の特徴付けに関連する(Needhamら、Crit Care Med 2012年;40巻:502~509頁)。PICSによる愁訴は、ICU滞在後数週間から数年間持続し得る。PICS患者は、記憶及び集中力の持続的な欠如、うつ病及び不安を経験し得る。さらに、PICS患者は、働くことも社会的集まりに参加することもできない可能性がある。結果として、PICS患者の生活の質は一般に劇的に損なわれる(Schweickertら、Lancet.、373巻(9678号):1874~1882頁)。
【0003】
いくつかの要因がPICSの発症に寄与し得るが、ICU入院の急性合併症(例えば、機械的換気、固定及び深い鎮静)は、PICSを構成する長期症状を発症するリスク因子であることが一般に認められている。一般に、PICSを発症する可能性は、ICUで過ごした時間に関連すると考えられている。最も典型的には、PICSを発症する可能性は、48時間以上のICU滞在で有意に増加する。機構は現在正確には理解されていないが、PICSの様々な態様は、症状が不均一である可能性があるにも関わらず、1又は複数の一般的な原因を有し得る。PICS症状は、最初はわずかであり得、その結果、患者及び臨床医によって容易に認識され得ない。症状は進行し得、ICU入院後数ヶ月から数年に至るまで慢性症状をもたらす(Colbensonら、Breathe、2019年、15巻:98~101頁)。
【0004】
PICSを診断するための様々な測定機器が報告されているが(Yuanら、Nurs Crit Care、2022年1月;27巻(1号):8~9頁)、特に魅力的で実用的なものは集中治療後症候群質問票(PICSQ)である。PICSQは、身体的、認知的、及び心理学的ドメインを包含する18項目の自己報告測定ツールである。PICSQは、ICU生存者においてPICSを診断するための信頼性が高く一貫性のあるツールであることが示された(Jeongら、Intensive Crit Care Nurs、2019年12月;55巻:102756頁)。
【0005】
今日まで、PICSに有効な治療法はない。代わりに、米国集中治療医学会及び集中治療医学会は、PICSを予防するために以下の柱に焦点を当てている(Marraら、Crit Care Clin、2017年、33巻:225~243頁)。
(1)原因因子の修正又は除去;
(2)抗不安薬及び抗精神病薬の投与;
(3)環境ストレス源の低減;及び
(4)頻繁な患者と家族のコミュニケーション。
【0006】
以上のように、現在のところ、PICSを有効に予防又は治療することができる十分な手段はない。代わりに、現在の戦略は、PICSの1又は複数の症状を低減することを目的としているが、PICSの医学的状態自体又は根本的な(一般的な)原因を軽減しないようである。さらに、抗不安薬及び抗精神病薬は副作用を引き起こすので、好ましくは避けられる。さらに、PICS(症状)の現在の治療は、時間がかかり、複雑であり、すなわち、並行して異なる治療的介入を必要とし、患者にさらなる負担をかける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PICSを予防及び/又は治療するための効果的な戦略に対する満たされていない必要性が依然として存在する。特に、安全であると考えられ、したがって長期的(予防的)手段とみなすことができる戦略が望まれている。本発明は、このための解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、コラーゲン加水分解物が集中治療室(ICU)滞在後の回復を向上させ、集中治療後症候群(PICS)を予防及び/又は治療することを見出した。
【0009】
一態様では、本発明は、ICU滞在後のコラーゲン加水分解物の使用に関する。
【0010】
一態様では、本発明は、集中治療室滞在後の回復を向上させるためのコラーゲン加水分解物の使用に関する。
【0011】
一態様では、本発明は、ICU滞在後のPICSの予防及び/又は治療に使用するためのコラーゲン加水分解物に関する。
【0012】
一態様では、本発明は、ICU滞在後に使用するためのコラーゲン加水分解物に関する。
【0013】
一態様では、本発明は、ICU滞在後の対象において使用するためのコラーゲン加水分解物に関する。
【0014】
一態様では、本発明は、ICU滞在後にPICSのリスクがある対象に使用するためのコラーゲン加水分解物に関する。
【0015】
発明の詳細な説明
【0016】
ICU滞在
本発明の使用は、ICU滞在後の、及び/又はICU滞在後の回復を向上させるためのコラーゲン加水分解物の投与に関する。
【0017】
本発明によるコラーゲン加水分解物の使用は、ICU滞在後に(長期)症状を経験し、及び/又はICU滞在後に回復障害を示す対象の問題を解決する。
【0018】
本発明の文脈における「ICU滞在後」という用語は、対象がICUを退室した(及び対象がPICSの症状を発症し得る)瞬間から数えた、時間量に関係ない任意の期間を意味する。PICSは、最も典型的には、ICU滞在後数ヶ月から数年以内に確立し、用語「ICU滞在後」は、典型的には、ICU滞在後数週間~数年以内(最も典型的には2年以内)を意味する。「ICU滞在後」という用語は、対象がPICS(すなわち、ICU滞在に関連する)及び/若しくはその少なくとも1つの症状と診断された場合、又はPICSを発症するリスクが高いと診断された場合、任意の期間に限定されない。
【0019】
PICSを発症する可能性は、ICUで過ごした時間と関連付けられる。PICSは、48時間以上のICU滞在で最も典型的に見られる。一実施形態では、本発明のコラーゲン加水分解物は、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも48時間、より好ましくは少なくとも72時間、さらにより好ましくは少なくとも7日間又は14日間にわたってICUに滞在した対象において使用するためのものである。
【0020】
コラーゲン加水分解物の早期投与が、ICU滞在後のPICSの予防及び/又は治療に有利であることが見出された。例えばPICSを発症する可能性をさらに最小限に抑えるために、ICU滞在中又はICUに入室するときに既にコラーゲン加水分解物の前記投与を開始することがさらに有利であり得る。
【0021】
一実施形態では、本発明は、ICUに入室又は滞在する対象へのコラーゲン加水分解物の投与に関する。ICUに入室及び/又は滞在する対象に投与される前記コラーゲン加水分解物は、好ましくは、特別な医療目的のための食品(FSMP)として製剤化される。「特別な医療目的のための食品(FSMP)」という用語は、特別な医療目的の対象及び/又は標準的な食材を消費することによっては満たすことができない栄養要求を有する対象に供給するための規制された食材を意味する。ICU滞在の場合、コラーゲン加水分解物の投与(FSMPとして)は、典型的には(経腸)経管栄養、経口栄養補助食品として提供され得、及び/又は静脈内投与され得る。
【0022】
PICSは、最も典型的には、ICU滞在後数ヶ月(例えば、ICU滞在の3~9ヶ月後に発症)から数年(典型的には2年以内)以内に診断される。本発明の文脈において、予防手段として前記コラーゲン加水分解物を投与する場合、PICSが通常通りに診断又は経験される前に前記投与を開始することが好ましい。したがって、コラーゲン加水分解物の使用又は投与を、ICU退室後の早期(例えば、数日から数週間)に、又はICU滞在中若しくはICU滞在直後においてさえも開始することが好ましい場合がある。
【0023】
ICU滞在後3週間以内にコラーゲン加水分解物の投与を開始すると有利であることが見出された。好ましい実施形態では、前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンは、コラーゲン加水分解物を、ICU滞在後の3週間以内に(開始して)、好ましくは2週間以内に(開始して)、より好ましくは1週間以内に(例えば、6日以内、又は5日以内、又は4日以内、又は3日以内、又は2日以内、又は1日以内、又は直ちに)(開始して)及び/又はICU退室時に投与することを含む。
【0024】
一実施形態では、ICUでの滞在は以下のうちの1又は複数によるものである:
-感染症、好ましくは敗血症及び/又はCOVID-19(すなわち、SARS-CoV-2感染に起因する);
-手術;
-外傷;
-(重度の)炎症;
-呼吸不全;
-心筋梗塞;
-卒中;
-低酸素血症;及び
-低血糖。
【0025】
一実施形態では、本発明は、ICU滞在後の非治療的回復又は治療的回復を向上させるためのコラーゲン加水分解物の使用に関する。
【0026】
本発明の文脈における「ICU滞在後の回復を向上させる」という用語は、仕事又は学校を再開するまでの時間を減少させること、運動の実施を再開するまでの時間を減少させること、又はセルフケアを再開する(すなわち、日常生活においてヘルスケア専門家からの支援を必要としない)までの時間を減少させることのうちの1又は複数を包含する。これに加えて、又はこれに代えて、「ICU滞在後の回復を向上させる」は、好ましくは、PICSを経験しているがコラーゲン加水分解物又はPICSに対する別の公知の有効な処置を受けていない参照集団と比較することによる、生活の質(QOL)レベルの向上を包含する。基準値は、システマティックレビューなどで(例えば、Oeyenら、Crit Care Med.2010年;38巻(12号):2386~2400頁によるシステマティックレビューで)容易に見出すことができる。QOLは、好ましくは、医学的転帰検査・36項目の簡略形式(Medical Outcomes Study 36-Item Short Form、SF-36)健康調査、ノッティンガム健康プロファイル(NHP)、疾病影響プロファイル(SIP)、Dartmouth初期診療情報プロジェクト(Primary care Cooperative Information Project、COOP)チャート、ウェルビーイングの質(QWB)尺度、健康有用性指数(Health Utilities Index、HUI)、又はEuroQol手段(EQ-5D)などの当分野で周知のQOL評価ツールを用いて決定される。これに加えて、又はこれに代えて、「ICU滞在後の回復を向上させる」という用語は、ICU滞在に関連する1又は複数の状態、例えば、身体的状態(すなわち身体的症状、好ましくはPICSにおける身体的状態)、精神的状態(すなわち精神的症状、好ましくはPICSにおける精神的状態)、及び認知的状態(すなわち認知的症状、好ましくはPICSにおける認知的状態)のうちの1又は複数、好ましくは2以上、最も好ましくは3つ全てを発症する可能性を低減することを包含する。
【0027】
本明細書で使用される「運動」という用語は、計画、構造化、及び反復が可能であり、最終的な又は中間的なものとしての目的を有する任意の身体活動を意味する。本明細書で使用される「運動」という用語は、典型的には、目標として身体的健康の改善又は維持を有する。例えば、「運動」は、スポーツ、筋力トレーニング又はウエイトトレーニング、及び持久力又は有酸素活動を含む全ての専門的活動又は非専門的活動を含み得る。これに加えて、又はこれに代えて、「運動」は持久力トレーニングを含み得る。持久力トレーニングという用語は、一般に、例えば、ウォーキング、ランニング、ジョギング、サイクリング、水泳、縄跳びなどの間に、長期間(例えば、最大心拍数(MHR)70%で少なくとも30分間)、心拍数を増加させて身体運動を行うことによって、無酸素系とは対照的に有酸素系をトレーニングすることを指す。本発明の文脈における「運動」という用語は、非アスリートが行うことができる身体活動を包含し、それには、ウォーキング又はハイキング、ダンス、水泳、水中エアロビクス、ジョギング又はランニング、有酸素運動、ヨガ、サイクリング、又はガーデニング(熊手で掃く、及び芝刈り機を押すなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の文脈におけるコラーゲン加水分解物の使用は、好ましくは治療的である。特定の実施形態では、前記使用は非治療的であり得る。治療的処置又は非治療的処置を必要とする対象は、ICU滞在の性質、その後の回復、及び/又は前記対象がICU滞在後に(PICSの)1若しくは複数の病理学的症状を発症するリスクがあるかどうかに基づいて分けることができる。
【0029】
コラーゲン加水分解物の非治療的使用から利益を受ける対象は、ICU滞在後に病理がないことを特徴とし、したがって、コラーゲン加水分解物による治療からの治療的利益を有さない。例えば、コラーゲン加水分解物の非治療的使用から利益を受けるのは、ICUへの入室が健康問題、疼痛の症状、又は苦痛を引き起こさない/これらを引き起こさないと予想される場合であり得る。これに加えて、又はこれに代えて、コラーゲン加水分解物の非治療的使用から利益を受けるのは、ICU滞在が対象が介入なしに自然に回復するような性質又は重症度を有すると予想されるが、それでも回復までの時間を短縮することが有利であるような場合であり得る。非治療的使用はまた、前記コラーゲン加水分解物が、例えば、以下の効果のうちの1又は複数を達成することによって、他の健康な対象(すなわち、PICS又は他の病変を有さない)の一般的能力を改善することを意味し得る:
-身体の審美的又は美容的外観を改善すること(例えば、より望ましい体重への体重増加);
-より多くのエネルギー、スタミナ、持久力、又は身体能力を提供することなどによって、日常生活における生産性を向上させること;
-一般的な機能及び/又はウェルビーイングを改善すること;
-集中力を改善すること;
-不安を低減すること;
-睡眠を改善すること。
【0030】
疑わしい場合には、専門の医療従事者は、ICU滞在後に治療的介入が必要であるか、非治療的介入が必要であるか(すなわち、人が健康な対象の群に入るか、又は病理学的な対象の群に入るかどうか)を症例ごとに決定することができる。前記専門の医療従事者は、例えば、ICU滞在(の性質及び/又は期間)が健康及び心理的リスクにつながるかどうかを確立することができる。
【0031】
PICS
本発明の前記使用は、好ましくは、ICU滞在後のPICSの予防及び/又は治療に関する。
【0032】
本発明者らは、コラーゲン加水分解物の投与がPICSを効果的に予防及び/又は治療することを見出した。驚くべきことに、コラーゲン加水分解物は、フルオキセチン(抗うつ剤)又はホエータンパク質(筋促進剤)を含む、PICSで見られる特定の身体的、認知的又は精神的症状を標的とすることが知られている薬剤よりも優れていることが見出された。これは、身体的、認知的又は精神的症状を治療するための既知の戦略がPICSの治療には不十分であることを示唆している。代わりに、コラーゲン加水分解物の補充は、前記症状(だけ)ではなく、PICSの根本的な原因及びPICSの病態生理自体に対抗するようである。いくつかの共通の特徴をPICS患者に見ることができ、これは、PICSの症状が共通の基礎疾患を有することを示唆している。理論に束縛されるものではないが、コラーゲン加水分解物の補充は、過剰な幹細胞活性化の制限、上皮バリア機能障害の改善、上皮間葉転換の制限、並びに線維症及び炎症の制限の1又は複数において役割を果たすようである。
【0033】
PICSとの関連において、コラーゲン加水分解物の投与は、前記症状の治療及び/若しくは予防に代えて、又はこれに加えて、PICSの前記病態生理自体を治療及び/又は予防するようである。
【0034】
PICSの予防及び/又は治療におけるコラーゲン加水分解物の前記使用は、コラーゲン加水分解物が(例えば(毎日の)サプリメントとしての)頻繁な投与後も一般に安全であると認められる(GRAS)という利点/利益を提供する。比較すると、PICSの治療に使用される抗不安薬及び抗精神病薬は、頻繁に副作用を伴い、したがって望ましくない。さらに、PICSの初期段階、すなわち症状がわずかであり、まだ完全には認識されていないときに、そのような薬物を使用することに抵抗があるかもしれない。ICU生存者は、PICSをより効果的に予防するために、ICU退室後の早期に(又は入室時若しくはICU滞在中でさえ)摂取することができるので、コラーゲン加水分解物による予防的手段から大いに利益を得る。
【0035】
PICSの予防及び/又は治療におけるコラーゲン加水分解物の使用は、PICSの異なる態様を同時に改善し得、及び/又はPICSの根本の病態生理(すなわち、PICS状態自体)を標的にし得る単一の方法がまだないという問題を解決する。先行技術の戦略は、PICSの様々な症状に対抗することを目的としており、これは一般に効率及び効果が低い。コラーゲン加水分解物の投与は、PICSの根本的な原因及びPICSの病態生理自体を治療又は除去するようである。
【0036】
PICSの診断に関して、専門の医療従事者又はヘルスケア機関によって採用される、PICSのための単独で適用される手段がない場合がある。代わりに、専門の医療従事者又は医療センターは、PICSのための独自の測定機器を使用することがある(及び使用する傾向がある)。そのような測定システムは、一般に、PICSにおける身体的、認知的、及び精神的領域に及ぶ測定システムの組み合わせを含む。本発明の文脈において、PICSの存在は、現地慣行(すなわち、医療専門家又はヘルスケア機関)のいずれか1つ、好ましくはICU滞在のヘルスケアセンターの現地慣行に従って定義され得る。本開示では、PICS及び/又は(長期の)ICU入院に関連する状態若しくは症状の診断及び/又は治療を担当する専門のヘルスケア専門家によってそのように診断された場合、対象はPICSを有すると考えられる。これに加えて、又はこれに代えて、対象は、本明細書中に開示されるような2以上のPICS症状を経験するとき、PICSを有すると考えられる。これに加えて、又はこれに代えて、本発明の文脈において処置される対象は、例えば、ICU滞在後の回復不良を経験しているとき、PICSの初期徴候を経験しているとき、及び/又はPICSを確立する可能性を高めるリスク因子を経験しているときなど、PICS又はPICS関連症状を経験するリスクがあり得る。PICSを発症する可能性は、3日以上のICU入院後に劇的に増加する。したがって、一実施形態では、本発明の文脈で治療される対象は、例えば、PICSを発症するリスクが高い場合にPICSが発生するのを防ぐために、3日以上ICUに滞在した対象である。
【0037】
本発明の文脈におけるPICSを診断する好ましい方法は、Jeongら(Intensive Crit Care Nurs、2019年12月;55巻:102756頁)によって報告されているPICS質問票(PICSQ)である。PICSQには、3つの因子(精神的、認知的及び身体的領域)及び18個の項目があり、単純且つ比較的迅速にPICSを確立するための有効且つ信頼性の高いツールであることが示されている。18個の項目(参照により本明細書に組み込まれるJeongらの表4)には、対象によって0(なし)、1(時々)、2(ほとんどの場合)、又は3(常に)のスコアが割り当てられる。総PICSQスコアは、0~54であり得る。本発明の文脈において、PICSQスコアが20以上(軽度PICS)又は30以上(平均PICS)又は40以上(重度PICS)である場合、対象はPICSを有する。一実施形態では、PICSの「低減」、「改善」又は「治療」は、PICSQスコアが20ポイント未満に低減することを意味する。一実施形態では、PICSの「低減」、「改善」又は「治療」は、PICSQスコアが(治療を受けていない対照と比較して、及び/及び/又は治療前と本発明のコラーゲン加水分解物での治療後とのPICSQスコアを比較した場合などに)少なくとも10ポイント、好ましくは少なくとも20ポイント、より好ましくは少なくとも30ポイント低下することを意味する。
【0038】
これに加えて、又はこれに代えて、本発明の文脈において、対象は、身体的状態、精神的状態及び認知的状態のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは少なくとも3つ全てを経験し、これがICU滞在、好ましくは少なくとも48時間にわたるICU滞在に関連するときに、PICSを有する。
【0039】
本明細書に開示される身体的状態は、好ましくは、筋力の低下、運動耐性の低下、及び運動協調の低下のうちの1又は複数である。
【0040】
本明細書に開示される精神的状態は、好ましくは不安、うつ病及び心的外傷後ストレス障害の1又は複数である。
【0041】
本明細書に開示される認知的状態は、好ましくは、記憶の低下及び集中力の低下のうちの1又は複数である。
【0042】
身体的、精神的又は認知的状態の低下は、好ましくは、ICU滞在前及び/又はICU滞在後の(最高)値に対して決定される。さらに、身体的、精神的又は認知的状態は、例えば健康な集団(システマティックレビューなどで報告されているものなど)における基準データと比較することができる。
【0043】
本明細書で使用される「筋力」は、好ましくは、それぞれ当分野で周知の試験であり当業者によく知られている握力(Jamar動力計)、脚の筋力[HHD(すなわち、ハンドヘルド式動力学測定(Handheld dynamometry))四頭筋]、及び腕の筋力(HHD上腕二頭筋)の2以上の低減として確立される。
【0044】
本明細書で使用される「運動耐性」(すなわち、運動能力)は、好ましくは、当分野で周知の試験である6分間歩行距離(6MWD)試験で確立される。好ましくは、6MWDは、廊下(最短30メートル)で行われ、測定値は、Gibbonsら(J Cardiopulm Rehabil、2001年;21巻(2号):87~93頁)によって報告されたような基準データと比較される。
【0045】
本明細書で使用される「運動協調」は、好ましくは、当分野で周知の試験であるキパート-シリング身体協調試験(KTK)で確立される。KTKの4項目に基づいて、「運動指数」(MQ)、すなわち年齢と性別で調整された運動協調の全体的な指標を決定することができる(Popovicら、Int J Environ Res Public Health.2020年8月;17巻(16号):5902頁。運動協調障害は、MQが71~85(中程度に障害されている)又は56~70(重度に障害されている)である場合と考えられる。
【0046】
本明細書で使用される「不安」は、好ましくは一般化不安障害尺度-7(GAD-7)を用いて確立される。参照により本明細書に組み込まれるSpitzerら(Arch Intern Med、2006年5月22日;166巻(10号):1092~7頁)の
図1に開示されているスコアリングシステムを使用して、GAD-7スコアが5~9(軽度の不安)、10~14(中等度の不安)、又は15~21(重度の不安)である場合に不安と考えられる。本明細書で使用される「うつ病」は、好ましくは、当分野で周知の試験である病院不安及びうつ病尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale、HADS)のうつ病項目を用いて確立される。
【0047】
参照により本明細書に組み込まれるRichiら(Indian J Ophthalmol、2017年11月;65巻(11号):1203~1208頁)の
図1に開示されているスコアリングシステムを使用して、HADSスコア(すなわち、合計スコア21)のうつ病項目が8~10スコア(境界の場合)又は11~21スコア(異常)である場合、うつ病と考えられる。
【0048】
本明細書で使用される「心的外傷後ストレス障害」は、好ましくは、当該分野で周知の試験である、心的外傷後ストレス障害の20のDSM-5症状を評価する20項目の自己報告尺度であるPCL-5を用いて確立される。外傷後ストレス障害は、合計スコア(合計80)が33以上である場合に考えられる。
【0049】
本明細書で使用される「記憶」又は「集中力」は、好ましくは、当分野で周知の試験である30ポイントモントレール認知評価(MoCA)試験で確立される。記憶又は集中力は、20~25のスコア(軽度障害)又は19以下のスコア(高障害)では不十分であると考えられる。
【0050】
好ましい実施形態では、本発明は、PICSの1又は複数、好ましくは2以上の症状、最も好ましくは3つの症状を経験する対象の治療に使用するためのコラーゲン加水分解物であって、前記2以上の症状が、好ましくは本明細書に開示される異なるPICSドメイン(すなわち、身体的ドメイン、精神的ドメイン、認知的ドメイン)に由来する、コラーゲン加水分解物に関する。
【0051】
一実施形態では、前記コラーゲン加水分解物は、以下の少なくとも1つ、好ましくは2つ、最も好ましくは全てを改善するのに使用するためのものである:
-身体的状態(すなわち、身体的症状)、好ましくはPICSにおける身体的状態;
-精神的状態(すなわち精神的症状)、好ましくはPICSにおける精神的状態;
-認知的状態(すなわち認知的症状)、好ましくはPICSにおける認知的状態。
【0052】
本発明のコラーゲン加水分解物
本発明の文脈における「コラーゲン加水分解物」という用語は、天然(全長)コラーゲンからの(部分的)加水分解に由来するアミノ酸の短鎖(ジ、トリ、オリゴペプチド、ポリペプチド)の混合物を意味する。好ましくは酵素加水分解である加水分解の程度は、最終生成物の平均分子量(ダルトン、Daで表される)に影響を及ぼす。「コラーゲン加水分解物」という用語は、「加水分解コラーゲン」又は「コラーゲンペプチド」という用語と互換的且つ同義的に使用され得る。本発明の文脈における「コラーゲン加水分解物」は、加水分解又は部分加水分解を受けるコラーゲンを包含する。
【0053】
本明細書における「コラーゲン加水分解物」は、好ましくは、一工程プロセスで又は中間ゼラチン段階(すなわち、「加水分解ゼラチン」が得られる)を介してコラーゲン含有材料から製造される。「コラーゲン加水分解物」及び「加水分解ゼラチン」という用語は、本発明の文脈において互換的に使用することができる。本明細書で使用される「ゼラチン」という用語は、コラーゲンの部分加水分解によって得られるコラーゲンの不可逆的形態を意味し、部分加水分解はコラーゲンのタンパク質原線維をより小さなペプチドに還元する。使用されるプロセスに応じて、2種類のゼラチン、すなわちA型(酸加水分解)及びB型(アルカリ加水分解)が一般に得られる。本発明の文脈において、「ゼラチン」は、好ましくはA型又はB型ゼラチンのいずれかである。部分加水分解の物理的及び化学的方法に応じて、ペプチドの分子量は広い範囲(典型的には15~40kDa)に含まれる。部分加水分解は、ゼラチンに水を保持する能力及びゲル化能力を提供する。本発明の文脈における「加水分解ゼラチン」という用語は、ゼラチンの(部分的な)加水分解によって得られ、ペプチドの(さらなる)混合物及びゼラチンの低分子量をもたらす生成物を意味する。加水分解ゼラチンは、とりわけ、ゲル化能力及び/又は分子量に関してゼラチンと区別され(例えば、ゼラチンは30以下のブルーム強度及び/又は10kDa以上、好ましくは15kDa以上の分子量を有する)、加水分解ゼラチンは、ゲル化能力を有しない/ほとんど有さず(好ましくは30未満のブルーム強度)、及び/又はより低い分子量(好ましくは15kDa未満、より好ましくは10kDa未満)を有する。「ゼラチン」は、酸(水素イオン)によって加水分解されて、すなわち「酸加水分解ゼラチン」を得ることができる。「ゼラチン」は、アルカリ(ヒドロキシルイオン)によって加水分解されて、すなわち「アルカリ加水分解ゼラチン」を得ることができる。「ゼラチン」は、1又は複数の酵素(例えば、ペプシン、トリプシン)によって加水分解されて、すなわち「酵素加水分解ゼラチン」を得ることができる。全ての場合において、反応は、1分子の水の添加によるペプチド結合の1又は複数の破壊からなる。
【0054】
本発明の文脈におけるコラーゲン加水分解物は、I型コラーゲン~XXVII型コラーゲンから選択される1又は複数のタイプのコラーゲン、好ましくはI型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲン又はX型コラーゲンの1又は複数、より好ましくはI型コラーゲン、II型コラーゲン又はIII型コラーゲンの1又は複数に由来し得る。これに加えて、又はこれに代えて、本明細書中に開示されるようなコラーゲン加水分解物は、2以上のタイプのコラーゲン、好ましくはI型コラーゲン、II型コラーゲン及びIII型コラーゲンの2つの1又は複数の混合物であり得る。
【0055】
本明細書に開示されるコラーゲンは、ウシ(種)、ブタ(種)、ニワトリ及び魚(種)などの任意の1又は複数の動物又は動物の種に由来し得る。
【0056】
一実施形態では、前記コラーゲンはウシに由来する。一実施形態では、前記コラーゲンはブタに由来する。一実施形態では、前記コラーゲンは魚に由来する。一実施形態では、前記コラーゲンはニワトリに由来する。様々な実施形態では、前記コラーゲンは、複数の動物種に由来するコラーゲン及び/又は異なる組織に由来するコラーゲンなどの異なる供給源からのコラーゲンの混合物である。例えば、本明細書に開示されるコラーゲンは、魚コラーゲン、ブタコラーゲン、ニワトリコラーゲン、及びウシコラーゲンからなる群から選択される2以上のコラーゲンの混合物であり得る。
【0057】
ブタコラーゲン加水分解物を使用することは、本発明の文脈において、最も高いバイオアベイラビリティ及び/又は生物活性(とりわけ、魚及びウシのコラーゲン加水分解物と比較して)を有し得るので、本発明の文脈において最も有利であり得る。ブタコラーゲン加水分解物は、PICSの予防及び/又は治療に最も高い有効性をもたらすと推定される。
【0058】
好ましい実施形態では、本明細書に開示されるコラーゲンはブタコラーゲンであり、及び/又は本明細書に開示されるコラーゲン加水分解物は、ブタコラーゲンの加水分解に由来する。
【0059】
本発明の文脈におけるコラーゲンは、皮膚、鱗屑、枝角、突起(例えばこぶ)、角、頭部、脳、頸部、耳、眼、鼻、舌、唇、口、食道、気管、胸骨、喉頭、気管支、四肢、足、足指、手のひら、爪、骨、軟骨、骨髄、関節、膜、背部、靭帯、腱、肋骨、横隔膜、筋肉、骨格筋、平滑筋、腸、血管、膀胱、胃、大動脈、心臓、肝臓、腎臓、胸部、肺、脾臓、膵臓、卵子、精子、精巣、卵巣、神経、胆嚢、及び腹部からなる群から選択される1又は複数の組織に由来し得る。本明細書に開示される「皮膚」という用語は、「皮」を包含し、すなわちウシ(種)又は任意の他の大型動物などの大型動物の外側被覆を意味する。「皮膚」及び「皮」という用語は、本明細書では互換的に使用することができ、サイズに関係なく、動物の外側被覆を指すことができる。
【0060】
好ましい実施形態では、本明細書で教示されるコラーゲンは、皮膚及び/又は皮膚結合組織に由来する。好ましい実施形態では、本明細書で教示されるコラーゲンは軟骨に由来する。好ましい実施形態では、本明細書で教示されるコラーゲンは骨に由来する。好ましい実施形態では、本明細書で教示されるコラーゲンは胸骨に由来する。
【0061】
本明細書に開示されるコラーゲンは、2以上の組織及び/又は2以上の動物に由来するコラーゲンの混合物であり得る。一実施形態では、本明細書に開示されるコラーゲンは、皮膚コラーゲン、軟骨コラーゲン、胸骨、軟骨及び骨コラーゲンからなる群から選択される2以上のコラーゲンの混合物である。
【0062】
本発明の様々な実施形態では、前記コラーゲン加水分解物は、コラーゲンの酵素加水分解又は部分酵素加水分解によって生成され得、この目的に使用される前記酵素は、セリンプロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、香味プロテアーゼ(flavor protease)、複合プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、ブロメライン、メタロプロテアーゼ、アスパルテーム、プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、ペプシン、キモトリプシン、トリプシン、カテプシンK、キモトリプシン、パパイン、及びサブチリシンからなる群から選択される1又は複数であり得る。
【0063】
本発明の文脈におけるコラーゲン加水分解物は、少なくとも300Da、400Da、500Da、1000Da、1500Da、1600Da、1700Da、1800Da、2000Da、2100Da、2200Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、4500Da、5000Da、5500Da、6000Da、6500Da、7000Da、7500Da、8000Da、8500Da、9000Da、9500Da、又は10000Daの平均分子量を有し得る。これに加えて、又はこれに代えて、本発明の文脈におけるコラーゲン加水分解物は、10000Da、9500Da、9000Da、8500Da、8000Da、7500Da、7000Da、6500Da、6000Da、5500Da、5000Da、4500Da、4000Da、3500Da、3000Da、2500Da、2100Da、2000Da、1800Da、1700Da、1600Da、1500Da、1000Da、500Da、400Da、又は300Da以下の平均分子量を有し得る。
【0064】
好ましい実施形態では、本発明のコラーゲン加水分解物は、1000~9000Daの平均分子量を有する。一実施形態では、本発明のコラーゲン加水分解物は、5000Da未満の平均分子量を有する。一実施形態では、本発明のコラーゲン加水分解物は、1400~2200Da、より好ましくは1600~2000Daの平均分子量を有する。一実施形態では、ブタコラーゲンに由来し、5000Da未満(例えば1400~2200Da)の分子量を有するコラーゲン加水分解物が使用される。
【0065】
PICSの改善は、様々な供給源からの、及び例えば少なくとも1000~9000Daの範囲(コラーゲン加水分解物に典型的である)である広範囲の分子量のコラーゲン加水分解物を用いて達成することができると考えられる。様々な供給源(ウシ、魚及びブタ)からの、及び様々な平均分子量(ウシコラーゲン加水分解物については2000Da及び5000Da)を有するコラーゲン加水分解物の単回投与バイオアベイラビリティを調べることを目的とした試験を実施することによって、様々なコラーゲン加水分解物がPICSを改善するのに適し得るという証明が見出された。この試験は、血液中のコラーゲン加水分解物の取り込みが、ブタ、ウシ及び魚供給源からのコラーゲン加水分解物についても、また比較的高い平均分子量(5000Da)及び比較的低い平均MW(2000Da)を有する加水分解物についても同様のようであることを示した。
【0066】
本発明の文脈において、比較的低い分子量、例えば5000Da未満、より好ましくは1400~2200Da、さらにより好ましくは1600~2000Daの平均分子量を有するコラーゲン加水分解物を使用することが最も有利であり得る。本発明の文脈における比較的低い分子量は、最も高いバイオアベイラビリティ及び/又は生物活性に関連するようである。比較的低い分子量を有するコラーゲン加水分解物は、PICSの予防及び/又は治療に対して最も高い有効性をもたらすと推定される。
【0067】
コラーゲン加水分解物の分子量は、ICU滞在後の回復の向上及び/又はPICSの改善に役割を果たすと思われる。比較的低い分子量、例えば5000Da未満、好ましくは1400~2200Daの範囲内の分子量が最も効果的であると思われる。
【0068】
好ましい実施形態では、本発明のコラーゲン加水分解物は、5000Da未満の平均分子量を有する。
【0069】
好ましい実施形態では、本発明のコラーゲン加水分解物は、1400~2200Da、より好ましくは1600~2000Daの平均分子量を有する。
【0070】
特定の実施形態では、本発明の文脈において、ブタコラーゲンに由来し、5000Da未満(例えば1400~2200Da)の分子量を有するコラーゲン加水分解物を使用することが好ましい。
【0071】
本明細書に開示される平均分子量は、好ましくは重量平均分子量である。
【0072】
前記コラーゲン加水分解物の前記分子量を測定する適切で好ましい方法は、例えば、試料を酢酸ナトリウム-エタノール溶液と共にコラーゲン加水分解物で処理してタンパク質不足画分(グリコサミノグリカンを含む)を沈殿させた後の、前記コラーゲン加水分解物のHP-SECのためにタンパク質リッチ画分(上清)を使用した、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)によるものである。これに加えて、又はこれに代えて、前記コラーゲン加水分解物の分子量を決定する好ましい方法は、Edgarら(Sci.Rep.2018年7月11日;8巻(1号):10474頁)に従う。
【0073】
製剤
本明細書に開示されるコラーゲン加水分解物は、食品製剤、食品サプリメント製剤、又は医薬製剤、好ましくは食品サプリメント製剤で提供され得る。
【0074】
一実施形態では、本発明のコラーゲン加水分解物は、飲用可能な溶液又は懸濁液、シロップなどの飲料、人工風味飲料、炭酸飲料、ビール、茶、(水溶性)粉末混合物、(水溶性)ペースト、(水溶性)粉末、(水溶性)錠剤、(水溶性)丸剤、(水溶性)糖衣錠、(水溶性)カプレット、(水溶性)サシェ、又は(水溶性)カプセルからなる群から選択される1又は複数の製剤で提供される。これに加えて、又はこれに代えて、本明細書において教示されるコラーゲン加水分解物は、ジュース、シェイク、乳製品飲料、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、スイーツ、エネルギーバー、栄養バー、スリミングバー、グミ若しくはセンター充填グミ(centre-filled gummies)などの菓子、キャンディ又は粒チョコレートパスティルなどの機能性食品中に存在してもよい。
【0075】
一実施形態では、好ましくは病院環境又はICUでの投与の文脈において、前記コラーゲン加水分解物は、特別な医療目的のための食品(FSMP)として、及び/又は(経腸)経管栄養又は経口栄養補助食品として提供される。一実施形態では、好ましくは病院環境又はICUでの投与の文脈において、前記コラーゲン加水分解物は静脈内投与される。
【0076】
一実施形態では、前記コラーゲン加水分解物は、液体剤形で提供される。
【0077】
一実施形態では、前記コラーゲン加水分解物は、固体剤形、好ましくはカプセル、錠剤、又は粉末、好ましくは粉末で提供される。
【0078】
投与レジメン
異なる実施形態では、本明細書に開示されるコラーゲン加水分解物の単位用量及び/又は1日用量は、全てg単位で少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200である。これに加えて、又はこれに代えて、異なる実施形態では、本明細書に開示されるコラーゲン加水分解物の単位用量及び/又は1日用量は、全てg単位で200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、又は1以下である。
【0079】
本発明の文脈における「1日用量」という用語は、1日あたりの対象に投与される化合物、物質又は組成物の総乾燥重量を意味する。前記1日用量は、単回単位用量として、又は2、3、4以上の単位用量として投与され得る。前記2以上の単位用量は、量が等しくても異なっていてもよい。
【0080】
本発明の文脈における「単位用量」という用語は、単回用量で対象に投与される/対象によって摂取される、例えば化合物、物質、又は組成物の量又は単位を意味する。前記単位用量は、例えば、投与の準備ができている予め調製された形態(例えば予め充填された投与量)であってもよい。前記単位用量は、例えば(同様に)製品包装又はラベルから識別可能であり得る。総1日用量は、総1日用量と比較してそれぞれが低減した用量を有する複数の単位用量に分割され得る。本明細書に開示される組成物の1日用量は、好ましくは2単位用量として、より好ましくは前記1日用量の量の30~70%、好ましくは40~60%(例えば50%)にそれぞれ対応する2単位用量として投与される。
【0081】
本明細書に開示されるコラーゲン加水分解物の用量は、好ましくはコラーゲン加水分解物の乾燥重量に基づく。
【0082】
好ましい実施形態では、本明細書に開示されるコラーゲン加水分解物の使用は、前記コラーゲン加水分解物を1~100g、好ましくは10~95g、より好ましくは20~90gの1日用量で投与することを含む。
【0083】
ICU滞在後の回復及び/又はPICSの改善は、特に少なくとも3週間の連続投与と組み合わせたコラーゲン加水分解物の連続した毎日の投与後に最も明らかであることが見出された。
【0084】
臨床現場では、コラーゲン加水分解物の摂取後、アミノ酸が血液中で急速に増加し、約1時間後に最大レベルに達することが見られた。その後、アミノ酸レベルは、数時間(例えば6~10時間)の経過にわたってベースラインレベル近くへと減少する。理論に束縛されるものではないが、コラーゲン加水分解物の毎日の摂取(又は1日2回の摂取)は、血液中のアミノ酸プロファイルを維持し、最も高い生物活性を達成することによって、PICSの予防及び/又は治療の改善をもたらすようである。
【0085】
一実施形態では、前記コラーゲン加水分解物は、対象に繰り返し、好ましくは少なくとも毎日1回又は少なくとも1日おきに1回投与される。
【0086】
一実施形態では、前記コラーゲン加水分解物は、少なくとも2週間連続して、好ましくは少なくとも4週間連続して、又は少なくとも5週間連続して、より好ましくは少なくとも6週間連続して、又は少なくとも7週間連続して、最も好ましくは少なくとも8週間連続して対象に投与される。
【0087】
ICU滞在後3週間以内に前記コラーゲン加水分解物を投与することが有利であることが分かっている。PICSは一般に、ICU滞在後数ヶ月の範囲内など、後に発症するため、これは驚くべきことである。理論に束縛されるものではないが、早期のコラーゲン加水分解物投与は、既に初期段階で投与された場合、PICSの根本的な原因をより良好に標的とし得る。
【0088】
好ましい実施形態では、前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンは、集中治療室滞在後3週間以内に(開始して)、好ましくは2週間以内に(開始して)、より好ましくは1週間以内に(開始して)コラーゲン加水分解物を投与することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンは、ICU滞在後(ICUを出た後)12週間以内、又は11週間以内、又は10週間以内、又は9週間以内、又は8週間以内、又は7週間以内、又は6週間以内、又は5週間以内、又は4週間以内、又は3週間以内、又は2週間以内、又は1週間以内、又は6日間以内、又は5日間以内、又は4日間以内、又は3日間以内、又は2日間以内、又は1日間以内の(に開始する)コラーゲン加水分解物の投与を含む。
【0090】
本発明の文脈における「投与する」又は「投与」という用語は、それを消費する対象に化合物、物質、又は組成物を提供することを意味する。化合物、物質又は組成物を消費する対象は、それを自身に投与し得る。そのような場合、「投与する」という用語は「摂取する」と読むことができる。
【0091】
本発明の文脈における「対象」という用語は、任意の動物(例えば哺乳動物)、好ましくはヒトを意味する。「対象」という用語は、本発明の文脈において「人間」又は「個体」と互換的に使用することができる。「対象」は患者であり得る。
【0092】
一般的な定義
不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、文脈が要素の1つのみが存在することを明確に要求しない限り、2以上の要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0093】
本明細書で使用される「含む(comprising)」又は「含む(to comprise)」という用語及びそれらの活用形は、前記用語が、その単語に続く項目が含まれることを意味するように非限定的な意味で使用されるが、具体的に言及されていない項目は除外されない状況を指す。それはまた、「から本質的になる」及び「からなる」というより限定的な動詞も包含する。
【0094】
用語「予防する」は、対象が状態(例えばPICS)を発症しないことを確実にすることを意味する。本明細書では、介入はまた、状態が完全に起こらないように保たれない場合であっても、状態が遅延する、重症度が低減する、及び/又は発生率が低減する場合の「予防する」形態であると考えられる。本発明の文脈において、介入による「予防する」又は「予防」という用語は、対象が以前に状態(例えばPICS)を経験したことがあるが、介入により状態が再発しない状況を包含する。「予防する」又は「予防」は、治療効果及び/又は非治療効果を有し得る。「予防する」又は「予防」が本質的に治療的である場合、それはまた、疾患若しくは状態の症状及び/又はその根本的な病態にも向けられ得る。「予防する」又は「予防」は、任意の標準的な技術によって測定して、対照又は参照と比較して少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%などの任意の遅延、重症度の変化、及び/又は発生率の変化によって定義することができる。
【0095】
本発明の文脈において、「治療する」とは、状態が既に存在する場合に、介入が前記状態(例えばPICS)を低減及び/又は治癒することを意味する。「治療する」は、治療効果及び/又は非治療効果を有し得る。「治療する」が本質的に治療的である場合、それは疾患若しくは状態の症状及び/又はその根本的な病態に向けられ得る。治療は、例えば、任意の標準的な技術によって測定して、対照又は参照と比較して、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、又は完全(100%)などの状態の重症度、発生率、及び/又は頻度の任意の低減であり得る。
【0096】
本発明の文脈における「改善する(ameliorating)」という用語は、ある状態を「予防する」及び「治療する」の両方を包含する。本明細書で使用される場合、「改善する」は「治癒する」も包含する。「改善する」という用語は、本発明の文脈において、「低減する」又は「低下する」と互換的に使用され得る。
【0097】
「増加する」及び「増加したレベル」という用語及び「低下する」及び「低下したレベル」(又は「低減する」及び「低減したレベル」)という用語は、好ましくは、対照又は参照における対応するレベルよりもそれぞれ少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%高い又は低いなど、少なくとも5%の変化を意味する。これに加えて、又はこれに代えて、試料中のレベルは、変化の大きさに関わらず、対照又は参照におけるレベルと比較して統計学的に有意に増大又は低下するとき、増大又は低下し得る。
【0098】
コラーゲン加水分解物投与の文脈で使用される「連続的な」又は「連続的に」という用語は、前記投与が所与の期間に隙間なく相次いで順番に続くことを意味する。例えば、「コラーゲン加水分解物を4日間連続して投与する」場合、これは前記コラーゲン加水分解物を、1日あたりの投与回数や総投与回数に関わらず、少なくとも1日1回、4日間連続して(例えば、同じ週の月曜日、火曜日、水曜日、及び木曜日に)投与することを意味する。例えば、「コラーゲン加水分解物を4週間連続して投与する」場合、これは前記コラーゲン加水分解物が、1日あたりの投与回数、1週間あたりの投与回数又は総投与回数に関わらず、少なくとも1週間に1回、4週間連続して投与されることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】「対照」、「PICS」、「PICS+低用量CH」及び「PICS+高用量CH」群のPICSスコア(平均)を示した図である。
【
図2A】試験製品の摂取後の遊離Hyp応答[μg/mL]の濃度-時間曲線(平均、SD);n=6を示した図である。CH=コラーゲン加水分解物;LMW=低分子量;HMW=高分子量。
【
図2B】試験製品の摂取後の総Hyp応答[μg/mL]の濃度-時間曲線(平均、SD);n=6を示した図である。 CH=コラーゲン加水分解物;LMW=低分子量;HMW=高分子量。
【
図3】ブタベースの加水分解コラーゲン(約1800Da)の経口摂取前後の遊離グリシンのヒト血漿レベルを示した図である。データを平均+SEM(n=6)として示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
実施例
【0101】
実施例1:PICS動物試験
方法
【0102】
動物モデル
Hujinamiら(J Clin Med、2021年4月;10巻(8号):1593頁)のモデルに基づく検証済みのPICSマウスモデルを使用した。前記モデルは、複数菌による敗血症後のICUケアを模倣することによってPICSを誘導することが証明されている。これは、盲腸スラリーを腹腔内注射し、続いて他の典型的なICU関連介入(すなわち、抗生物質及び生理食塩水の投与)を72時間行うことによって達成される。前記モデルは、しばしばPICSを特徴付ける身体的(握力試験)パラメータ、精神的(不安レベル)パラメータ、及び認知(判別指数、慣れ指数(habituation index)、探索時間)パラメータの特定の組み合わせを組み込んでいる。
【0103】
パイロット試験
前記モデルにおけるPICSの発症を、パイロット試験で最初に確認した(本明細書には示さず)。マウスは約1週間後にPICSを発症する。
【0104】
この(完全な)比較試験で使用されるコラーゲン加水分解物の分子量(すなわち、約1800Da)及び供給源(ブタ)は、約1800Da及び約5000Daの、魚、ウシ又はブタコラーゲン供給源のいずれかに由来するコラーゲン加水分解物を比較する初期の実験に基づいている。比較的低い分子量(<5000Da、例えば約1800Da)を有するブタコラーゲン加水分解物が、PICSの改善において最大の推定効果を有することが見出された。
【0105】
初期の実験は、コラーゲン加水分解物の比較的早期の投与が、遅延投与と比較して、現在のモデルにおいてPICSの最も効果的な改善をもたらすことを示した(遅延投与は、例えば、現在のモデルにおいて21日目以降から開始することを意味する)。
【0106】
治療
マウス(C57BL6J、Charles River laboratories、フランス)に、以下の実験群に従ってコラーゲン加水分解物(「CH」、Peptan、ブタ約1800Da、Rousselot B.V.)又は関連する対照を投与する。
1.PICSなし+ビヒクル(生理食塩水)、すなわち「対照」
2.PICS+ビヒクル(生理食塩水)、すなわち「PICS」
3.PICS+CH 1.8g/kg(約10gの臨床用量)、すなわち「PICS+低用量CH」
4.PICS+CH 8g/kg(約44gの臨床用量)、すなわち「PICS+高用量CH」
【0107】
前記マウスに、12日目から47日目まで1日に1回投与する。
【0108】
実施例1で使用した前記コラーゲン加水分解物は、実施例3の臨床試験で使用したものと同じ組成を有する(表2)。
【0109】
治療は、PICSの誘導の4日後に開始する。CH又はビヒクルを、7週間(12~47日目)の期間にわたって毎日経口胃管栄養法によって投与する。
【0110】
フォローアップ試験では、群3(1.8g/kg CH)の有効性を、同じ方法で投与したフルオキセチン(20mg/kg)及びホエータンパク質(システインが高い、1.8g/kg)の有効性と比較する。
【0111】
PICSの評価
PICSサブコンポーネント#1を握力計(UGO Basile)で決定して前肢握力を測定し、最大力(g)を記録した。前記マウスを、前肢が棒を把持している間に尾によってわずかに後方に引っ張らせ、これがカウンタープル(counter pull)を駆動し、ピーク張力を自動的に記録する。測定を3回繰り返し、3回の測定の最大力を記録した。データは、グリップ損失(grip loss)の%で定量化される。
【0112】
PICSサブコンポーネント#2は、不安のレベルのPICS関連変化に関する。マウスを、周辺ゾーンと中央ゾーンとに分けた46×46×40cmのオープンフィールドによるオープンフィールド試験(Ethovison XT、Noldus)に供した。前記中央及び周辺ゾーンで過ごした時間が記録される。PICSサブコンポーネント#2を、総移動時間に対する前記中央で費やされた時間の比として計算し、前記総移動時間のパーセンテージとして表した。前記中央領域で過ごした時間が短いほど、不安レベルが高いことを示す。
【0113】
PICSサブコンポーネント#3、#4、#5は、PICS関連の行動変化に関する。物体認識試験を、46×46×40cmの箱からなるオープンフィールドを使用して行い、デジタルカメラを使用して行動ビデオを記録した。ビデオを記録し、マウスが各対象物と共に過ごした時間を計算した。最初に、前記マウスを探索させ、空のオープンフィールドボックスに慣れさせた。次に、前記試験は2つのセッションからなる(各10分、各セッション間に30分の間隔)。訓練セッション(獲得期)では、2つの同様の物体を置き、マウスにそれらを探索させた。試験セッション(試験相)では、1つのオブジェクトを新規のオブジェクトに置き換えた。マウスと(よく知られている及び新規の)両方の対象物との相互作用を記録した。訓練セッション及び試験セッション中の探索活動及び各物体を嗅ぐために費やされた時間は、Ethovision XTソフトウェアによってスコア化された。判別指数のパーセントは、100×前記新規物体の探索に費やされた時間から前記よく知られている物体の探索に費やされた時間を引いたもの(Tnovel-Tfamiliar)を総探索時間(Tnovel+Tfamiliar)で割ったものとして計算された。慣れの指数は、よく知られている物体の認識を示し、訓練相における前記物体の探索に費やされた平均時間と試験相における新規物体の探索に費やされた平均時間との差として計算される(A Ennaceurら、Behav Brain Res.、1988年11月1日;31巻(1号):47-5頁に基づく)。
【0114】
PICSパラメータを、PICSの誘導後3~7週間にわたって調査した。表1は、「対照」群に対して正規化されたPICSスコアを示す。
【0115】
9~11の試料サイズについて結果を示す。
【0116】
結果
図1は、「対照」、「PICS」、「PICS+低用量CH」及び「PICS+高用量CH」群におけるPICSスコアを示す。全体的なPICSは、「PICS」群(すなわち、コラーゲン加水分解物なし)と比較して、「PICS+低用量CH」群では約38%、「PICS+高用量CH」群では約23%低減することが分かる。したがって、両方のCH用量がPICSの改善に有効である。
【0117】
表1は、「PICS」群と比較した、「PICS+低用量CH」及び「PICS+高用量CH」群における個々のPICSパラメータの向上を示す。両方の用量が個々のPICSサブコンポーネントを全体的にさせることが分かる。
【0118】
【0119】
高用量CHの効果を、フルオキセチン及びホエータンパク質、すなわちPICSに関連する状態において有効性が実証された薬剤と比較する。フルオキセチンは、PICS関連症状を有するマウスにおけるストレス、感情及び情動行動の状態において神経保護を提供することが示されている(Wangら、Aging(Albany NY)、2021年2月22日;13巻(6号):8720~87360頁)。したがって、フルオキセチンは、PICSモデルにおいて精神的及び認知的健康を回復させることによってPICSを改善することができると仮定される。ホエータンパク質は、例えば筋萎縮症を制限し、代謝安定性を促進することによって、重症患者の治癒及び回復を促進することが示唆されている(Tsutsumiら、JPEN J Parenter Enteral Nutr.2015年7月;39巻(5号):552-61頁)。したがって、フルオキセチンは、PICSモデルにおいて身体的健康を回復させることによってPICSを改善することができると仮定される。
【0120】
予想されるように、コラーゲン加水分解物とは対照的に、ホエータンパク質又はフルオキセチンによる治療は、PICSスコアの向上をほとんど/全くもたらさない。これは、PICSの特定のサブコンポーネント又は個々の症状のみを標的とする薬剤は、PICSを全体として改善することができないことを示している。
【0121】
PICSサブコンポーネント#1を、全ての群について1週目及び3週目~7週目(6つの時点)に評価した。主に5週目から、PICSサブコンポーネント#1の改善が見られた。他のPICSサブコンポーネントについても同様のタイミング効果が見られた。
【0122】
実施例2:コラーゲン加水分解物源及び分子量の効果
【0123】
目的
異なる供給源からの異なる平均分子量のコラーゲン加水分解物の単回用量バイオアベイラビリティを調べること。コラーゲン加水分解物がPICSを改善する能力は、このバイオアベイラビリティに関連すると考えられる。
【0124】
方法
バイオアベイラビリティを、マーカーアミノ酸としての遊離及びペプチド結合ヒドロキシプロリン(Hyp)の取り込みを評価することによって評価した。健常志願者を用いて、無作為化二重盲検クロスオーバー臨床試験を実施した。
【0125】
10gのコラーゲン加水分解物の単回用量を低平均分子量(2000Da)で提供した。ウシコラーゲン加水分解物については、低平均分子量(2000Da、「LMW」)又は高平均分子量(5000Da、「HMW」)のいずれかの10gの単回用量を提供した。コラーゲン加水分解物摂取後6時間にわたって分析のために血液をサンプリングした。
【0126】
結果
図2は、試験製品の摂取後の遊離Hyp応答(A)又は総Hyp応答(B)の濃度-時間曲線を示す。
【0127】
前記コラーゲン加水分解物10gの摂取により、血漿中の遊離Hyp濃度(ΔCmax)が大幅に増加し、魚では平均係数7.2、ブタでは平均係数9.9、ウシ低分子量(LMW)及び高分子量(HMW)コラーゲン加水分解物の両方では平均係数6.2であることが見出された。遊離Hypのバイオアベイラビリティに関して、調査した製品の応答血中濃度曲線下面積(incremental area under the curve、iAUC)間に有意差はなかった。また、全加水分解後の血液試料中のHyp含有量を決定した。有意により高い濃度の総Hypが、遊離及び総HypのiAUCと比較して決定された。血漿中の総Hyp濃度(ΔCmax)もまた、魚及びブタコラーゲン加水分解物のいずれについても、並びにウシコラーゲン加水分解物LMW及びウシコラーゲン加水分解物HMWの両方について大幅に増加した。
【0128】
全体として、この試験は、血液中のコラーゲン加水分解物の取り込みが、ブタ、ウシ及び魚供給源からのコラーゲン加水分解物についても、また比較的高い平均分子量(5000Da)及び比較的低い平均MW(2000Da)を有する加水分解物についても同様のようであることを示す。
【0129】
実施例3:PICS臨床試験
【0130】
目的
PICS動物モデルの所見に基づいて、臨床環境におけるPICSの予防及び/又は治療におけるコラーゲン加水分解物の使用を検証するための臨床試験を行った。目的は、ICU滞在後のPICSに対する対照(マルトデキストリン投与)に対するブタコラーゲン加水分解物投与の6週間の介入の効果を試験することである。
【0131】
方法
【0132】
試験デザイン
ICUから退院した(最短ICU滞在72時間)72名の18歳超(>18years old)のICU患者における無作為化対照(二重盲検)試験。一方の群には、1日2回、22gのブタコラーゲン加水分解物(タンパク質20g、80kcal)、したがって1日あたり合計44g(タンパク質40g、160kcal)を投与する。他の群には、1日2回、21gのマルトデキストリン(タンパク質0g、82kcal)、したがって合計42g(タンパク質0g、164kcal)を投与する。介入は等カロリーである。コラーゲン加水分解物又はマルトデキストリンを、午前中及び午後に提供する。
【0133】
調査製品
前記ブタコラーゲン加水分解物は粉末形態で提供される。前記粉末は、約97%の乾燥重量のタンパク質を含有する。ブタタンパク質サプリメント(100gあたり)は、平均して、360kcal、0gの脂肪、0gの炭水化物(そのうち糖0g)、90gのタンパク質及び0gの繊維を含む。アミノ酸含有量は、以下の表2に見出すことができる。コラーゲン加水分解物の平均分子量は約1800Daである。
【0134】
対照群にはマルトデキストリンを6週間毎日投与する。マルトデキストリンは多糖類であり、白色粉末としても提供される。介入製品は一次タンパク質からなり、糖質は含まず、マルトデキストリンは糖質を含み、タンパク質は含まない。マルトデキストリン(100gあたり)は、平均で、390kcal、0gの脂肪、97.5gの炭水化物(そのうち糖8.8g)、0gのタンパク質及び0gの繊維を含む。前記コラーゲン加水分解物及びマルトデキストリンは同様の外観を有し、前記試験で提供された用量は等カロリーである。
【0135】
【0136】
投与経路
コラーゲン加水分解物又はマルトデキストリンは、同一のサシェに包装された粉末形態で提供される。各投与サシェは22gを含有し、各マルトデキストリンサシェは21gを含有する。両方の粉末は溶けやすいため、液体に溶解することができる。例えば、わずかに撹拌するだけで、10gのコラーゲン加水分解物を200mlのレモネードに容易に溶解することができ、さらに多くの量が可能である(より濃縮される)。
【0137】
PICSの評価
PICSは、以下のパラメータの組み合わせを使用する地元病院の測定機器に従って評価される。
-握力からなる複合スコア(Jamar動力計);
-脚の筋力(HHD大腿四頭筋);
-腕の筋力(HHD上腕二頭筋);
-運動能力(6MWD);
-握力(Jamar動力計);
-脚の筋力(HHD大腿四頭筋);
-腕の筋力(HHD上腕二頭筋);
-運動能力(6MWD);
-下肢筋力(TCST);
-CPAx;
-MRCsum;
-健康関連生活の質(EQ-5Dによって評価);
-バーセルスコア;
-ロックウッド臨床フレイルスケール。
【0138】
アミノ酸の生体吸収
前記コラーゲン加水分解物の摂取後のヒト血漿中の遊離グリシンの経時的な出現を、6人の対象において1時間毎に測定した。
【0139】
転帰
臨床試験では、実施例1のPICS動物モデルと同じ投与スキームを使用する。ICU滞在後のコラーゲン加水分解物の投与は、重病からの回復を向上させ、PICSの発症を防ぐ。以前の臨床試験から、コラーゲン加水分解物の投与及び用量は安全であると考えられている(例えば、有害事象、実験室クレアチニン、尿素、CK、グルコース、Hb、CRPに基づく)。前記臨床試験ではより早期の結果が確認され、コラーゲン加水分解物は、日常診療においてPICSを予防及び/又は治療するためにICU生存者において特に使用することができる。
【0140】
コラーゲン加水分解物の摂取後、グリシンレベルが1時間の時点で最大濃度まで増加することが見出された。その後、前記グリシンは数時間にわたって基準レベル近くまで減少する(
図3)。この観察は、重要な(豊富な)アミノ酸の1つが急速に吸収し、経時的に体内に吸収され、及び/又は体内から排出されることを示唆している。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中治療室滞在後の集中治療後症候群(PICS)
を予防及び/又は治療
するための
、コラーゲン加水分解物
を含む組成物。
【請求項2】
前記コラーゲン加水分解物の乾燥重量に基づき
、1日あたり
前記コラーゲン加水分解物10~100gの総用量で投与される、請求項1に記載の
組成物。
【請求項3】
前記
組成物の投与レジメンが、集中治療室滞在後少なくとも3週間連続して
前記組成物を投与することを含む、請求項1
に記載の
組成物。
【請求項4】
前記
組成物の投与レジメンが、集中治療室滞在後3週間以内に開始する
前記組成物の投与を含む、請求項1
に記載の
組成物。
【請求項5】
前記
組成物の投与レジメンが、少なくとも毎日1回又は少なくとも1日おきに1回
前記組成物を投与することを含む、請求項1
に記載の
組成物。
【請求項6】
1000~9000Daの平均分子量を有する、請求項1
に記載の
組成物。
【請求項7】
5000Da未満の平均分子量を有する、請求項1
に記載の
組成物。
【請求項8】
1400~2200Da
の平均分子量を有する、請求項7に記載の
組成物。
【請求項9】
1600~2000Daの平均分子量を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記コラーゲンがブタコラーゲンであり、及び/又は前記コラーゲン加水分解物がブタコラーゲンの加水分解に由来する、請求項1
に記載の
組成物。
【請求項11】
前記組成物が食品組成物である、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
集中治療室滞在後のコラーゲン加水分解物
を含む組成物の使用。
【請求項13】
集中治療室滞在後の回復を向上させるためのコラーゲン加水分解物
を含む組成物の使用。
【請求項14】
前記
組成物が、前記コラーゲン加水分解物の乾燥重量に基づいて、1日あたり
前記コラーゲン加水分解物10~100gの総用量で投与される、請求項
12又は請求項
13に記載の使用。
【請求項15】
前記
組成物の投与レジメンが、集中治療室滞在後少なくとも3週間連続して
前記組成物を投与することを含む、請求項
12又は請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記
組成物の投与レジメンが、集中治療室滞在後3週間以内に開始する
前記組成物の投与を含む、請求項
12又は請求項13に記載の使用。
【請求項17】
前記
組成物の投与レジメンが、少なくとも毎日1回又は少なくとも1日おきに1回
前記組成物を投与することを含む、請求項
12又は請求項13に記載の使用。
【請求項18】
前記コラーゲン加水分解物が1000~9000Daの平均分子量を有する、請求項
12又は請求項13に記載の使用。
【請求項19】
前記コラーゲン加水分解物が5000Da未満の平均分子量を有する、請求項
12又は請求項13に記載の使用。
【請求項20】
前記コラーゲン加水分解物が、1400~2200Da
の平均分子量を有する、請求項
19に記載の使用。
【請求項21】
前記コラーゲン加水分解物が、1600~2000Daの平均分子量を有する、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記コラーゲンがブタコラーゲンであり、及び/又は前記コラーゲン加水分解物がブタコラーゲンの加水分解に由来する、請求項
12又は請求項13に記載の使用。
【請求項23】
前記組成物が食品組成物である、請求項12又は請求項13に記載の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
コラーゲン加水分解物の摂取後、グリシンレベルが1時間の時点で最大濃度まで増加することが見出された。その後、前記グリシンは数時間にわたって基準レベル近くまで減少する(
図3)。この観察は、重要な(豊富な)アミノ酸の1つが急速に吸収し、経時的に体内に吸収され、及び/又は体内から排出されることを示唆している。
<付記>
本発明は以下の態様を含む。
<項1>
集中治療室滞在後の集中治療後症候群(PICS)の予防及び/又は治療に使用するためのコラーゲン加水分解物。
<項2>
前記コラーゲン加水分解物の乾燥重量に基づき1日あたり10~100gの総用量で投与される、項1に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項3>
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後少なくとも3週間連続してコラーゲン加水分解物を投与することを含む、項1又は項2に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項4>
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後3週間以内に開始するコラーゲン加水分解物の投与を含む、項1~項3のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項5>
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、少なくとも毎日1回又は少なくとも1日おきに1回コラーゲン加水分解物を投与することを含む、項1~項4のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項6>
1000~9000Daの平均分子量を有する、項1~項5のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項7>
5000Da未満の平均分子量を有する、項1~項6のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項8>
1400~2200Da、好ましくは1600~2000Daの平均分子量を有する、項7に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項9>
前記コラーゲンがブタコラーゲンであり、及び/又は前記コラーゲン加水分解物がブタコラーゲンの加水分解に由来する、項1~項8のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項10>
集中治療室滞在後のコラーゲン加水分解物の使用。
<項11>
集中治療室滞在後の回復を向上させるためのコラーゲン加水分解物の使用。
<項12>
前記コラーゲン加水分解物が、前記コラーゲン加水分解物の乾燥重量に基づいて、1日あたり10~100gの総用量で投与される、項10又は項11に記載の使用。
<項13>
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後少なくとも3週間連続してコラーゲン加水分解物を投与することを含む、項10~項12のいずれか一項に記載の使用。
<項14>
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、集中治療室滞在後3週間以内に開始するコラーゲン加水分解物の投与を含む、項10~項13のいずれか一項に記載の使用。
<項15>
前記コラーゲン加水分解物の投与レジメンが、少なくとも毎日1回又は少なくとも1日おきに1回コラーゲン加水分解物を投与することを含む、項10~項14のいずれか一項に記載の使用。
<項16>
前記コラーゲン加水分解物が1000~9000Daの平均分子量を有する、項10~項15のいずれか一項に記載の使用。
<項17>
前記コラーゲン加水分解物が5000Da未満の平均分子量を有する、項10~項16のいずれか一項に記載の使用。
<項18>
前記コラーゲン加水分解物が、1400~2200Da、好ましくは1600~2000Daの平均分子量を有する、項17に記載の使用。
<項19>
前記コラーゲンがブタコラーゲンであり、及び/又は前記コラーゲン加水分解物がブタコラーゲンの加水分解に由来する、項10~項18のいずれか一項に記載の使用。
<項20>
ICU滞在後の対象に使用するためのコラーゲン加水分解物。
<項21>
項2~項5のいずれか一項に定義されるように投与される、請求項20に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
<項22>
項6~項9のいずれか一項に従って定義される、項20又は項21に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
【国際調査報告】