(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エアゾール発生装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20241004BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20241004BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20241004BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/57
A24F40/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523462
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2022127396
(87)【国際公開番号】W WO2023072078
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111252866.8
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】何煥杰
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
4B162AC27
4B162AC32
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4B162AC50
4B162AD02
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD15
(57)【要約】
本出願は、エアゾール発生装置及びその制御方法を開示する。エアゾール発生装置は、電力を供給するためのバッテリセルと、加熱温度の変化により抵抗値が変化する感熱素子と、前記感熱素子と電気的に接続されて検出回路を形成するためのサンプリング抵抗と、前記検出回路の電気特性、前記サンプリング抵抗の電気特性、及び前記感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率に基づいて、前記加熱温度を決定するように構成されたコントローラと、を含む。上記したエアゾール発生装置は、サンプリング抵抗及び感熱素子により検出回路を構成し、検出回路の電気特性、サンプリング抵抗の電気特性、及び感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率に基づいて、エアゾール形成基質を加熱する温度を決定することにより、温度制御を容易にする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール形成基質を加熱してエアゾールを発生させるために構成されたエアゾール発生装置であって、
電力を供給するためのバッテリセルと、
加熱温度の変化により抵抗値が変化する感熱素子と、
前記感熱素子と電気的に接続されて検出回路を形成するためのサンプリング抵抗と、
前記検出回路の電気特性、前記サンプリング抵抗の電気特性、及び前記感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率に基づいて、前記加熱温度を決定するように構成されたコントローラと、を含むことを特徴とする、エアゾール発生装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記任意の2つの電気特性を検出するようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記比率、及び予め記憶された比率と加熱温度との対応関係データに基づいて、前記加熱温度を得るようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記対応関係データから検索するようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のエアゾール発生装置。
【請求項5】
前記サンプリング抵抗は、前記感熱素子と直列に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項6】
前記電気特性は、電圧を含み、
前記比率は、
前記検出回路の両端の電圧と前記サンプリング抵抗の両端の電圧との比率、前記検出回路の両端の電圧と前記感熱素子の両端の電圧との比率、及び前記サンプリング抵抗の両端の電圧と前記感熱素子の両端の電圧との比率の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載のエアゾール発生装置。
【請求項7】
前記サンプリング抵抗は、前記感熱素子と並列に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項8】
前記電気特性は電流を含み、
前記比率は、前記サンプリング抵抗を流れる電流と前記感熱素子を流れる電流の比率を含むことを特徴とする、請求項7に記載のエアゾール発生装置。
【請求項9】
スイッチングトランジスタをさらに含み、
前記コントローラは、前記検出回路と前記バッテリセルとの間の電気接続をオン又はオフにするように前記スイッチングトランジスタを制御するようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項10】
エアゾール形成基質を加熱するための加熱素子をさらに含み、
前記感熱素子は前記加熱素子の近くに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項11】
前記感熱素子は、エアゾール形成基質を加熱するために用いられてもよい利用可能に構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項12】
前記エアゾール形成基質は、固体状又は液体状であることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール発生装置。
【請求項13】
エアゾール形成基質を加熱してエアゾールを発生させるために構成されたエアゾール発生装置であって、
電力を供給するためのバッテリセルと、
加熱温度の変化により抵抗値が変化する感熱素子と、
前記感熱素子と電気的に接続されて検出回路を形成するためのサンプリング抵抗と、
前記検出回路の電気特性、前記サンプリング抵抗の電気特性、及び前記感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率を、予め設定された値又は予め設定された範囲内に制御するように構成されたコントローラと、を含むことを特徴とする、エアゾール発生装置。
【請求項14】
電力を供給するためのバッテリセルと、
エアゾール形成基質を加熱してエアゾールを発生させるための加熱素子と、
前記加熱素子と電気的に接続されて検出回路を形成するためのサンプリング抵抗と、
前記検出回路の電気特性、前記サンプリング抵抗の電気特性、及び前記加熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率に基づいて、前記加熱素子の加熱温度を決定するように構成されたコントローラと、を含むことを特徴とする、エアゾール発生装置。
【請求項15】
検出回路の電気特性、サンプリング抵抗の電気特性、及び感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性に基づいて比率を決定し、エアゾール形成基質を加熱する温度を決定すること
を含むことを特徴とする、エアゾール発生装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月27日に中国特許庁に出願された、出願番号が202111252866.8であり、発明の名称が「エアゾール発生装置及びその制御方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願の実施例は、電子霧化の技術分野に関し、特に、エアゾール発生装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タバコ製品(例えば、紙巻タバコ、葉巻タバコなど)は、利用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を発生させるものである。タバコを燃焼させるこれらの製品の代替として、燃焼せずに化合物を放出する製品を製造することが試みられている。
【0004】
そのような製品の例として、材料を燃焼させるのではなく、加熱することで化合物を放出させる加熱式非燃焼装置がある。当該材料は、例えば、タバコ製品又は他の非タバコ製品であってもよい。他の非タバコ製品は、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。別の例としての電子霧化装置は、通常、液体を含み、加熱素子によって液体を加熱して気化させることによって、吸入可能なエアゾールを発生させる。当該液体は、ニコチン及び/又は香味剤及び/又はエアゾール発生物質(例えば、グリセリン)を含み得る。
【0005】
上記した加熱装置は、通常、温度係数を有する抵抗の抵抗値を算出することで加熱素子の作動温度を決定するが、電源の不安定による干渉の問題を回避するために、算出される抵抗の抵抗値の正確さを確保するようにフィルター回路を追加する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本出願の一実施例は、エアゾール形成基質を加熱してエアゾールを発生させるために構成されたエアゾール発生装置であって、
電力を供給するためのバッテリセルと、
加熱温度の変化により抵抗値が変化する感熱素子と、
前記感熱素子と電気的に接続されて検出回路を形成するためのサンプリング抵抗と、
前記検出回路の電気特性、前記サンプリング抵抗の電気特性、及び前記感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率に基づいて、前記加熱温度を決定するように構成されたコントローラと、を含むエアゾール発生装置を提供する。
【0007】
一例において、前記コントローラは、前記任意の2つの電気特性を検出するようにさらに構成されている。
【0008】
一例において、前記コントローラは、前記比率、及び予め記憶された比率と加熱温度との対応関係データに基づいて、前記加熱温度を得るようにさらに構成されている。
【0009】
一例において、前記コントローラは、前記対応関係データから検索するようにさらに構成されている。
【0010】
一例において、前記サンプリング抵抗は、前記感熱素子と直列に接続されている。
【0011】
そのうち、前記電気特性は、電圧を含み、
前記比率は、
前記検出回路の両端の電圧と前記サンプリング抵抗の両端の電圧との比率、前記検出回路の両端の電圧と前記感熱素子の両端の電圧との比率、及び前記サンプリング抵抗の両端の電圧と前記感熱素子の両端の電圧との比率の少なくとも1つを含む。
【0012】
一例において、前記サンプリング抵抗は、前記感熱素子と並列に接続されている。
【0013】
そのうち、前記電気特性は、電流を含み、
前記比率は、前記サンプリング抵抗を流れる電流と前記感熱素子を流れる電流の比率を含む。
【0014】
一例において、前記ゾール発生装置は、前記スイッチングトランジスタをさらに含み、
前記コントローラは、前記検出回路と前記バッテリセルとの間の電気接続をオン又はオフにするように前記スイッチングトランジスタを制御するようにさらに構成されている。
【0015】
一例において、前記ゾール発生装置は、エアゾール形成基質を加熱するための加熱素子をさらに含み、
前記感熱素子は前記加熱素子の近くに設けられている。
【0016】
一例において、前記感熱素子は、エアゾール形成基質を加熱するために利用可能に構成された。
【0017】
一例において、前記エアゾール形成基質は、固体状又は液体状である。
【0018】
本出願の一実施例は、エアゾール形成基質を加熱してエアゾールを発生させるために構成されたエアゾール発生装置であって、
電力を供給するためのバッテリセルと、
加熱温度の変化により抵抗値が変化する感熱素子と、
前記感熱素子と電気的に接続されて検出回路を形成するためのサンプリング抵抗と、
前記検出回路の電気特性、前記サンプリング抵抗の電気特性、及び前記感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率を、予め設定された値又は予め設定された範囲内に維持するように制御するように構成されたコントローラと、を含むエアゾール発生装置をさらに提供する。
【0019】
本出願の一実施例は、
電力を供給するためのバッテリセルと、
エアゾール形成基質を加熱してエアゾールを発生させるための加熱素子と、
前記加熱素子と電気的に接続されて検出回路を形成するためのサンプリング抵抗と、
前記検出回路の電気特性、前記サンプリング抵抗の電気特性、及び前記加熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率に基づいて、前記加熱素子の加熱温度を決定するように構成されたコントローラと、を含むエアゾール発生装置をさらに提供する。
【0020】
本出願のさらなる実施例は、
検出回路の電気特性、サンプリング抵抗の電気特性、及び感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性に基づいて比率を決定し、エアゾール形成基質を加熱する温度を決定することを含む、エアゾール発生装置の制御方法をさらに提供する。
【0021】
上記したエアゾール発生装置は、サンプリング抵抗及び感熱素子により検出回路を構成し、検出回路の電気特性、サンプリング抵抗の電気特性、及び感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率に基づいて、エアゾール形成基質を加熱する温度を決定することにより、温度制御を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
1つ又は複数の実施例は、対応する添付図面によって例示的に説明されるが、これらの例示的説明は実施例を限定するものではない。また、図面において同じ参照符号が付された要素は類似の要素を表し、特に断らない限り、添付図面は比例を制限するものではない。
【
図1】本出願の実施例で提供されるエアゾール発生装置の模式図である。
【
図2】本出願の実施例で提供される別のエアゾール発生装置の模式図である。
【
図3】本出願の実施例で提供される回路の一実施例の基本コンポーネントの模式図である。
【
図4】本出願の実施例で提供される回路の別の実施例の基本コンポーネントの模式図である。
【
図5】本出願の実施例で提供される回路のさらに別の実施例の基本コンポーネントの模式図である。
【
図6】本出願の実施例で提供される回路のさらなる実施例の基本コンポーネントの模式図である。
【
図7】本出願の実施例で提供されるエアゾール発生装置の制御プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願に対する理解を容易にするために、以下、添付図面と具体的な実施形態を参照しながら、本出願をより詳しく説明する。
【0024】
図1は、本出願の実施形態によって提供されるエアゾール発生装置の模式図である。
【0025】
図1に示すように、エアゾール発生装置は、
内部にエアゾール発生製品Bが排出可能に収容されるチャンバーAと、
エアゾール発生製品BがチャンバーA内に収容されている場合、エアゾール発生製品Bに挿入し、加熱してエアゾールを発生させ得る加熱素子10と、
電力を供給するためのバッテリセル20と、
バッテリセル20と加熱素子10との間に設けられている回路30と、を含む。回路30は、エアゾール発生装置を制御するために用いられ、例えば、バッテリコア20による加熱素子10への電力供給を制御する。
【0026】
エアゾール発生製品Bは、好ましくは、加熱時に基質から揮発性化合物を放出するタバコ含有材料が採用される。あるいは、加熱後に電気加熱式発煙に適宜な非タバコ材料であってもよい。エアゾール発生製品Bは、好ましくは固体基質を採用し、バニラ葉、タバコ葉、均質化タバコ、及び膨張タバコのうちの1つ又は複数の粉末、顆粒、細長い破片、ストリップ又はシートのうちの1つ又は複数を含み得る。あるいは、固体基質は基質が加熱された時に放出されるように、追加のタバコ又は非タバコの揮発性香味化合物を含み得る。
【0027】
なお、加熱素子10の加熱方法として、抵抗加熱、電磁加熱、赤外線加熱が含まれるが、これらに限定されない。加熱素子10の形状として、針状、ピン状、又はシート状が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
さらに、
図1の例とは異なり、他の例では、加熱素子10がエアゾール発生製品Bの少なくとも一部を囲むように加熱するように構成され、即ち一般に言われる周方向加熱又は外周加熱なども適用可能である。
【0029】
図2は、本出願の実施形態によって提供される別のエアゾール発生装置の模式図である。
【0030】
図2に示すように、当該エアゾール発生装置は、液体エアゾール形成基質が貯蔵されており、それを加熱して霧化させることによってエアゾールを発生させるアトマイザ100と、アトマイザ100に電力を供給する電源装置200とを含む。
【0031】
選択的な実施形態において、例えば
図2に示すように、電源装置200は、長手方向における一端に設けられており、アトマイザ100の少なくとも一部を容置するための収容キャビティ270を含む。電源装置200は、収容キャビティ270の表面に少なくとも部分的に露出しており、アトマイザ100の少なくとも一部が電源装置200内に収容された場合、アトマイザ100と電気接続することによってアトマイザ100に電力を供給するための第1電気接点230をさらに含む。
【0032】
図2に示す好ましい実施形態によれば、アトマイザ100の長手方向において電源装置200と対向する端部に、第2電気接点104が設けられており、それにより、アトマイザ100の少なくとも一部が収容キャビティ270に収容された場合、第2電気接点104は第1電気接点230と当接して電気を導通させる。
【0033】
電源装置200にはシール260が設けられており、電源装置200の内部空間の少なくとも一部は、当該シール260により仕切られて上記収容キャビティ270形成される。
図2に示す好ましい実施形態において、当該シール260は、電源装置200の断面方向に沿って延在するように構成され、好ましくは可撓性の材質(例えば、シリコーン)により製造され、それにより、アトマイザ100から収容キャビティ270に浸透するエアゾール形成基質が電源装置200内の回路220、気流センサ250などの部材に流れることを防止する。
【0034】
図2に示す好ましい実施において、電源装置200は、長手方向において収容キャビティ270から離れており、電力を供給するためのバッテリセル210をさらに含む。
【0035】
電源装置200は、バッテリセル210と第1電気接点230との間に電流を選択的に案内する回路220をさらに含む。
【0036】
電源装置200は、使用者がアトマイザ100によって吸入を行う時に発生する吸入気流を検出するための気流センサ250をさらに含む。回路220は、当該気流センサ250の検出信号に応じて、アトマイザ100に電力を出力するようにバッテリセル210を制御する。
【0037】
さらに、
図2に示す好ましい実施において、電源装置200の、収容キャビティ270から離れた他端には、バッテリセル210に充電するための充電ポート240が設けられている。
【0038】
選択的な実施例において、例えば、
図2に示す実施例において、アトマイザ100は、
液体エアゾール形成基質を貯蔵するための液体貯蔵キャビティ101と、
液体エアゾール形成基質を加熱して霧化させることによって、エアゾールを発生させるための加熱素子103と、
液体貯蔵キャビティ101と加熱素子103との間で液体エアゾール形成基質を伝達するための液体伝導素子102と、を含む。
【0039】
選択的な実施において、液体エアゾール形成基質は、加熱時に液体エアゾール形成基質から放出される揮発性タバコ香味化合物を含むタバコ含有材料を含むことが好ましい。それに代わって又はそれに加えて、液体エアゾール形成基質は非タバコ材料を含んでもよい。液体エアゾール形成基質は、水、エタノール又は他の溶媒や、植物抽出物、ニコチン溶液、天然又は人工調味剤を含み得る。好ましくは、液体エアゾール形成基質は、エアゾール形成剤をさらに含む。適切なエアゾール形成剤の例は、グリセロール及び/又はプロピレングリコールである。
【0040】
図2に示す実施例において、液体伝導素子102はアトマイザ100の縦方向に沿って延びる中空の柱状形状に構成されており、液体伝導素子102の柱状の中空部に加熱素子103が形成されている。利用時、矢印R1で示すように、液体貯蔵キャビティ101の液体エアゾール形成基質は、液体伝導素子102の半径方向外面に沿って吸収され、その後、内面の加熱素子103に伝導し、加熱されて気化することによって、エアゾールを発生させる。発生されたエアゾールは、
図1の矢印R2で示すように、液体伝導素子102の柱状の中空部内からアトマイザ100の縦方向に沿って放出する。
【0041】
他の変形実施において、液体伝導素子102は、綿繊維、不織布、ガラス繊維ロープなどの可撓性繊維を含み、又は微孔構造を有する多孔質セラミックスを含む。具体的な実施において、多孔質セラミックスを用いた液体伝導素子102の構造は、例えば特許CN212590248Uに記載されている形状など、さまざまな規則的又は不規則な形状とすることができる。
【0042】
いくつかの実施例において、加熱素子103は、発熱ワイヤ又は発熱シートなどの構造であり、液体伝導素子102に接触するように結合される。あるいは、他の変形実施において、加熱素子103は、印刷、堆積、焼結、又は物理的な組み立てなどにより液体伝導素子102に結合されてもよい。他のいくつかの変形実施形態において、多孔質セラミックスを用いた液体伝導素子102は、加熱素子103を支持するための平面又は曲面を有してもよい。加熱素子103は、接着、印刷、堆積などにより液体伝導素子102の平面又は曲面に形成される。
【0043】
加熱素子103の材料は、適切なインピーダンスを有する金属材料、金属合金、黒鉛、炭素、導電性セラミックス又は他のセラミックス材料及び金属材料の複合材料であってもよい。適切な金属又は合金材料は、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、チタン、ニッケル合金、コバルト合金、ジルコニウム合金、チタン合金、ニッケルクロム合金、ニッケル鉄合金、鉄クロム合金、鉄クロムアルミニウム合金、チタン合金、鉄マンガンアルミニウム合金又はステンレス鋼等のうちの少なくとも1種を含む。
【0044】
図1及び
図2に示すエアゾール発生装置に基づいて、バッテリセル(20、220)による加熱素子(10、103)への電力供給を制御することで、ユーザにより良い体験を提供するために、加熱素子(10、103)によりエアゾール形成基質を加熱する温度を監視する必要がある。
【0045】
選択的な実施において、加熱素子(10、103)のリアルタイム温度は、加熱素子(10、103)の近くに設けられた感熱素子によって検出される。感熱素子は、抵抗値が加熱温度の変化に応じて可変であり、一般に、温度係数によって正温度係数の感熱素子と負温度係数の感熱素子に分けられる。
【0046】
別の選択的な実施において、加熱素子(10、103)は、エアゾール形成基質を加熱するために用いられるとともに、リアルタイム温度を検出するための感熱素子としても用いられてもよい。例えば、加熱素子103の抵抗材料は、適切な抵抗温度係数、例えば正の温度係数又は負の温度係数を有する金属又は合金材料としてもよい。このように、加熱素子103は、発熱のために用いられるとともに、加熱素子103のリアルタイム温度を検出するためのセンサとしても用いられてもよい。
【0047】
説明の便宜上、次に、
図2を参照しながら、エアゾール形成基質を加熱するために用いられるとともに、リアルタイム温度を検出するための感熱素子としても用いられてもよい加熱素子の例を説明する。
【0048】
図3は、回路220の一実施例の基本コンポーネントの模式図を示す。
【0049】
図3に示すように、回路220は、
バッテリセル210と加熱素子103(
図3ではR2として示す)との間に位置し、オンになると、バッテリセル210から加熱素子103に電力が供給されるようにするための第1スイッチングトランジスタQ1と、
第2スイッチングトランジスタQ2と加熱素子103との間に位置するサンプリング抵抗R1と、を含む。具体的には、サンプリング抵抗R1は、第1端が第2スイッチングトランジスタQ2に接続され、第2端が加熱素子103に接続されている。当該サンプリング抵抗R1は、0.1mΩ~1000KΩ範囲内のほぼ一定の抵抗値を有する標準抵抗であり、第2スイッチングトランジスタQ2がオンになると、加熱素子103と直列接続されることにより、サンプリング抵抗R1と加熱素子103の電圧を分圧によって検出可能な検出回路を形成するために用いられる。もちろん、検出が不要な場合には、第2スイッチングトランジスタQ2をオフにして検出回路を切断する。
【0050】
図3に示す具体的な実施において、加熱素子103の第1端は、第1スイッチングトランジスタQ1に接続される回路と、サンプリング抵抗R1と直列接続するための回路との2つの回路を有する。加熱素子103の第2端は接地されているため、加熱素子103の第2端の電位は0である。
【0051】
さらに、
図3に示す具体的な実施において、第1スイッチングトランジスタQ1及び第2スイッチングトランジスタQ2は、コントローラ221によってオン/オフが制御され、第1スイッチングトランジスタQ1及び第2スイッチングトランジスタQ2が同時にオンとされることはない。コントローラ221は、マイクロコントローラユニットMCUを含むが、これに限定されない。加熱素子103に電力を供給する必要がある場合、コントローラ221は、第1スイッチングトランジスタQ1をオンに、第2スイッチングトランジスタQ2をオフに制御することにより、バッテリコア210から加熱素子103に電力を供給する。加熱素子103の加熱温度を検出する必要がある場合、制御部221は、第1スイッチングトランジスタQ1をオフに、第2スイッチングトランジスタQ2をオンに制御することにより、検出回路、サンプリング抵抗R1、及び加熱素子103に関する電気特性、例えば電圧により加熱温度を決定することができる。
【0052】
サンプリング抵抗R1の両端の電圧をV1、加熱素子103の両端の電圧をV2とする。検出プロセス中に、コントローラ221は、抵抗R1の第1端、即ち
図3におけるサンプリング点a1での電圧、即ち、検出回路の両端の電圧をVa1としてサンプリングし、加熱素子103の第1端、即ち、
図3のサンプリング点b1での電圧Vb1をサンプリングしてもよい。
図3における加熱素子103の第2端が接地されているので、サンプリング点b1において、電圧Vb1=V2となり、サンプリング抵抗R1の両端において、電圧V1=Va1-V2となる。
【0053】
上記の関連電気特性に基づいて、コントローラ221は、キー値Kを決定し、当該キー値Kに基づいて、予め記憶されたキー値と加熱温度との対応関係データから当該キー値Kに対応する加熱温度を検索してもよい。
【0054】
具体的には、次の異なる方法により実現することができる。
【0055】
1)
であり、そのうち、K値は
、即ち、サンプリング抵抗R1の両端の電圧と加熱素子103の両端の電圧との比率であり、サンプリング抵抗R1は所定の標準抵抗であり、その抵抗値が一定であり、R2は加熱素子103のバルク抵抗であり、キー値と加熱温度との対応関係データを作成するとき、TCR計算式により(別個の感熱素子の場合は、インデックステーブルにより)、サンプリング抵抗R1の抵抗値に基づいて、
を対応する加熱温度に変換する必要があり、それにより、(K―T)温度テーブルを作成してコントローラ221又はメモリに記憶することができる。その後、キー値Kを決定した場合、(K-T)温度テーブルから対応する加熱温度を得ることができる。この方法により、加熱素子103のバルク抵抗R2を算出しなくても、対応する加熱温度を得ることができ、一方で、VCC電圧にジッター変化が発生した場合、V
a1、
、V
b1などの電圧値も同時に比例して変化し、追加のフィルター回路を必要とせずに良好な干渉防止効果を達成することができる。なお、上記のK値は逆にも実現可能であり、すなわち、サンプリング抵抗R1の両端の電圧と加熱素子103の両端の電圧との間の比率には、K値が
であることが含まれる。
2)
であり、そのうち、K値は
、即ち、検出回路の両端の電圧と加熱素子103の両端の電圧との比率であり、その他は方法1を参照することができる。
3)
であり、そのうち、K値は
、即ち、検出回路の両端の電圧とサンプリング抵抗R1の両端の電圧との比率であり、その他は方法1を参照することができる。
【0056】
さらに、
図4は、回路220の別の実施例の基本コンポーネントの模式図を示す。サンプリング抵抗R1と加熱素子103(図ではR2として示す)の位置が交換され点で
図3の例と異なる。
【0057】
図3と同様に、次の異なる方法でキー値Kを決定することで、加熱温度を決定することができる。
【0058】
11)
であり、K値は
、即ち、加熱素子103の両端の電圧とサンプリング抵抗R1の両端の電圧との比率である。
12)
であり、K値は
、即ち、検出回路の両端の電圧とサンプリング抵抗R1の両端の電圧との比率である。
13)
であり、K値は
、即ち、検出回路の両端の電圧と加熱素子103の両端の電圧との比率である。
【0059】
さらに、
図5は、回路220のさらに別の実施例の基本コンポーネントの模式図を示す。加熱素子103の第2端が接地されておらず、コントローラ221は、加熱素子103の第2端c3での電圧をV
c3としてサンプリング又は検出する点で
図3の例と異なる
【0060】
図3と同様に、次の異なる方法でキー値Kを決定することで、加熱温度を決定することができる
21)
であり、そのうち、K値は
、即ち、サンプリング抵抗R1の両端の電圧と加熱素子103の両端の電圧との比率である。
22)
であり、そのうち、K値は
、即ち、検出回路の両端の電圧と加熱素子103の両端の電圧との比率である。
23)
であり、そのうち、K値は
、即ち、検出回路の両端の電圧とサンプリング抵抗R1の両端の電圧との比率である。
【0061】
明らかに、
図4と同様に、
図5においてサンプリング抵抗R1と加熱素子103の位置を交換しても、同様に対応するキー値Kを決定し、それにより加熱温度を決定することができる。
【0062】
さらに、
図6は、回路220のさらなる実施例の基本コンポーネントの模式図を示す。サンプリング抵抗R1は加熱素子103と並列に接続されており、コントローラ221aが第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2を同時にオンに制御する場合、サンプリング抵抗R1と加熱素子103との間に検出回路が形成され、また、検出が不要な場合には、第2スイッチングトランジスタQ2がオフに制御される点で
図3の例と異なる
【0063】
図3と同様に、次の異なる方法でキー値Kを決定することで、加熱温度を決定することができる
【0064】
31)
であり、そのうち、K値は
、即ち、サンプリング抵抗R1を流れる電流と加熱素子103を流れる電流との比率である。
32)
であり、そのうち、K値は
、即ち、加熱素子103を流れる電流とサンプリング抵抗R1を流れる電流との比率である。
【0065】
別の実施例において、コントローラは、検出回路の電気特性、サンプリング抵抗の電気特性、及び感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性の比率を、予め設定された値又は予め設定された範囲内に制御するように構成されている。
【0066】
具体的には、
図1に示すエアゾール発生装置に基づいて、加熱素子10の温度を異なる段階で制御する必要がある。例えば、予熱段階では、加熱素子10の温度を速やかに最高温度と達し、その後一定時間で最高温度に維持する必要があり、また、吸入段階又は恒温段階では、加熱素子10の温度を予め設定された値又は予め設定された範囲内に制御する必要がある。したがって、コントローラによって任意の2つの電気特性の比率を予め設定された値又は予め設定された範囲内に直接制御することで、加熱素子10の温度を制御することができる。予熱段階を例として、コントローラは、任意の2つの電気特性の比率が予め設定された値に達したか否かを判断することにより、加熱素子10の温度が最高温度に達したか否かを判断し、それによってバッテリコア20による加熱素子30への電力供給を制御する。
【0067】
この実施例において、任意の2つの電気特性の比率については、
図3~
図6及び前述した内容の説明を参照することができ、ここでは再度説明しない。
【0068】
本出願の別の実施形態は、エアゾール発生装置の制御方法をさらに提供し、エアゾール発生装置については、前述した内容を参照することができる。
【0069】
前記方法は、
検出回路の電気特性、サンプリング抵抗の電気特性、及び感熱素子の電気特性のうちの任意の2つの電気特性に基づいて比率を決定し、エアゾール形成基質を加熱する温度を決定することを含む。
【0070】
以下、
図3及び
図7を併せて参照しながら、
図2におけるエアゾール発生装置の制御プロセスを説明する。
【0071】
ステップS11において、第1スイッチングトランジスタQ1をオフに制御し、第2スイッチングトランジスタQ2をオンに制御する。
【0072】
ステップS12において、検出ポートを開いてサンプリング点a1での電圧とサンプリング点b1での電圧を検出し、そのうち、a1での電圧をVa1、サンプリング点b1での電圧をVb1とする。
【0073】
ステップS13において、サンプリング点a1での電圧とサンプリング点b1での電圧に基づいてキー値Kを算出し、そのうち、K値は
、即ち、サンプリング抵抗R1の両端の電圧と加熱素子103の両端の電圧との比率である。
【0074】
ステップS14において、予め記憶されたキー値と加熱温度との対応関係データから、当該キー値Kに対応する加熱温度を検索し、予め記憶された(K-T)温度テーブルから、キー値
に対応する加熱温度を検索する。
【0075】
なお、本出願の好ましい実施例は、本出願の明細書及びその図面により提供されたが、本出願は、本明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、さらに、当業者であれば、上記した説明に基づいて改良又は変更を加えることができ、これらの改良及び変更はいずれも本出願に添付の特許請求の範囲の保護範囲に属するものとすべきである。
【国際調査報告】