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特表2024-537577信号処理方法、装置、記憶媒体および電子端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-11
(54)【発明の名称】信号処理方法、装置、記憶媒体および電子端末
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/36 20060101AFI20241004BHJP
   G01S 7/292 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01S7/36
G01S7/292
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526521
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2021133213
(87)【国際公開番号】W WO2023082347
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111341205.2
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523389235
【氏名又は名称】蘇州蘇試試験集団股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】シォン ジゥヂャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヂョン チォンファ
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD01
5J070AE04
5J070AK35
5J070BH03
5J070BH04
5J070BH07
(57)【要約】
本発明は、信号処理方法、装置、記憶媒体および電子端末を開示し、該信号処理方法は、走査済ターゲットセットおよび複数の初期ターゲットを取得し、複数のクラスタに分割するステップと、複数のクラスタ内の各第1クラスタに対してSN比統計分析および偽ターゲット統計分析を行い、不適格なSN比を有する初期ターゲット、および偽ターゲットを除去するステップと、を含む。該信号処理方法によれば、不適格なSN比を有する初期ターゲットおよび偽ターゲットを識別して除去することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダーシステムのための信号処理方法であって、
Num1個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum1個の属性値を含む走査済ターゲットセットを取得し、前記レーダーシステムが走査操作を1回実行するように前記レーダーシステムを制御し、レーダーエコー信号に基づいてNum2個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum2個の属性値を取得するステップであって、前記属性値は初期ターゲットの方位AZ、初期ターゲットの出現時間、レーダーエコー信号の振幅およびレーダーエコー信号のSN比の値S_Nを少なくとも含み、Num1およびNum2はいずれも自然数であるステップと、
前記Num1個の初期ターゲットを1対1で対応するNum1個の処理待ちターゲットにコピーし、前記Num2個の初期ターゲットを1対1で対応するNum2個の処理待ちターゲットにコピーし、クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割するステップと、
前記複数のクラスタ内の各第2クラスタに対して、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除するステップと、
前記複数のクラスタ内の各第1クラスタに対して、第1クラスタにおいて、出現時間と現在時間の差の絶対値が第1所定時間閾値ΔTime1よりも小さい処理待ちターゲットの数M個をカウントし、M>第1所定数閾値の場合、M個の処理待ちターゲットを、各小クラスタにおいて任意の2つの処理待ちターゲット中の振幅の差の絶対値がいずれも所定振幅閾値よりも小さいN個の小クラスタに分割し、各小クラスタについて、そこに含まれる処理待ちターゲットの数>第2所定数閾値であれば、前記小クラスタを削除するという第1処理を実行し、残りの各小クラスタに対して、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとし、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧前記方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとするという第2処理を実行するステップであって、第1処理待ちターゲットは前記小クラスタ内のいずれか1つであり、第2処理待ちターゲットは前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つであり、MおよびNはいずれも自然数でN≦Mであり、その後、前記第2処理が行われていない小クラスタが存在する場合、前記第2処理を再度実行し、その後、前記第1処理が行われていない第1クラスタが存在する場合、前記第1処理を再度実行するステップと、を含む、ことを特徴とする信号処理方法。
【請求項2】
前記「クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割する」ステップは、
前記Num1+Num2個の処理待ちターゲットがすべて処理されるまで、前記Num1+Num2個の処理待ちターゲットに対して、
Num1+Num2個の処理待ちターゲットから未処理の第3処理待ちターゲットを選択し、第3処理待ちターゲットのみを含むクラスタを生成し、第3処理待ちターゲットに処理済フラグを付け、その後、Num1+Num2個の処理待ちターゲット内の各第4処理待ちターゲットに対して、第4初期ターゲットが未処理であり、且つ、|第3処理待ちターゲットの方位AZ-前記クラスタ内のすべての処理待ちターゲットの方位AZの平均値|<前記方位差閾値ΔAZであるかを判断し、真である場合、第4処理待ちターゲットを前記クラスタに追加し、第4処理待ちターゲットに処理済フラグを付けることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項3】
前記「第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除する」ステップは、
第2クラスタ内の第5処理待ちターゲットの数Counter1および第6処理待ちターゲットの数Counter2を取得し、ここで、|第5処理待ちターゲットの出現時間-現在時間|≦第1所定時間閾値ΔTime1、|第6処理待ちターゲットのSN比の値S_N-所定SN比の値|≦所定SN比閾値ΔS_Nであり、Counter2/Ccounter1>所定パーセント値の場合、第2クラスタを削除することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項4】
前記所定パーセント値=0.9である、ことを特徴とする請求項3に記載の信号処理方法。
【請求項5】
前記「第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除する」ステップは、
第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除すると共に、前記レーダーシステムの回転速度および送信周波数を調整することを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の信号処理方法。
【請求項6】
前記「|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとする」ステップは、、
|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとすると共に、前記走査済ターゲットセットにおいて、第1処理待ちターゲットの属性値で、第7処理待ちターゲットの属性値を更新することを含み、ここで、第2処理待ちターゲットと第7処理待ちターゲットの内容は同一であり、
前記「|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧前記方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとする」ステップは、
|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧前記方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとすると共に、第1処理待ちターゲットを前記走査済ターゲットセットに追加することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項7】
前記走査済ターゲットセット内の各初期ターゲットに対して、|前記初期ターゲットの直近の出現時間-現在時間|<第2所定時間閾値ΔTime2の場合、前記走査済ターゲットセットから前記初期ターゲットを削除するという処理を実行するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の信号処理方法。
【請求項8】
レーダーシステムのための信号処理装置であって、
Num1個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum1個の属性値を含む走査済ターゲットセットを取得し、前記レーダーシステムが走査操作を1回実行するように前記レーダーシステムを制御すると共に、レーダーエコー信号に基づいてNum2個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum2個の属性値を取得するために使用されるデータ取得モジュールであって、前記属性値は初期ターゲットの方位AZ、初期ターゲットの出現時間、レーダーエコー信号の振幅およびレーダーエコー信号のSN比の値S_Nを少なくとも含み、Num1およびNum2はいずれも自然数であるデータ取得モジュールと、
前記Num1個の初期ターゲットを1対1で対応するNum1個の処理待ちターゲットにコピーし、前記Num2個の初期ターゲットを1対1で対応するNum2個の処理待ちターゲットにコピーし、クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割するために使用されるクラスタモジュールと、
前記複数のクラスタ内の各第2クラスタに対して、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除するという処理を実行するノイズ処理モジュールと、
前記複数のクラスタ内の各第1クラスタに対して、第1クラスタにおいて、出現時間と現在時間の差の絶対値が第1所定時間閾値ΔTime1よりも小さい処理待ちターゲットの数M個をカウントし、M>第1所定数の閾値の場合、M個の処理待ちターゲットを、各小クラスタにおいて任意の2つの処理待ちターゲット中の振幅の差の絶対値がいずれも所定振幅の閾値よりも小さいN個の小クラスタに分割し、各小クラスタについて、そこに含まれる処理待ちターゲットの数>第2所定数の閾値であれば、前記小クラスタを削除するという第1処理を実行し、残りの各小クラスタに対して、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとし、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧前記方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとするという第2処理を実行する処理モジュールであって、第1処理待ちターゲットは前記クラスタ内のいずれか1つであり、第2処理待ちターゲットは前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つであり、MおよびNはいずれも自然数でN≦Mであり、その後、前記第2処理が行われていない小クラスタが存在する場合、前記第2処理を再度実行し、その後、前記第1処理が行われていない第1クラスタが存在する場合、前記第1処理を再度実行するための処理モジュールと、を備える、ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項9】
プログラム命令を記憶した記憶媒体であって、前記プログラム命令が実行されると、請求項1~7のいずれか1項に記載の信号処理方法が実現される、ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項10】
プロセッサと、プログラム命令を記憶した記憶装置とを備える電子端末であって、前記プロセッサがプログラム命令を実行すると、請求項1~7のいずれか1項に記載の信号処理方法を実現する、ことを特徴とする電子端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダーの技術分野に関し、特に、信号処理方法、装置、記憶媒体および電子端末に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダーは、電磁波を用いて初期ターゲットを探知し、電磁波を送信して初期ターゲットを照射し、そのエコーを受信することにより、初期ターゲットから電磁波を送信した地点までの距離、速度、方位などの情報を得る電子機器である。
【0003】
現代のレーダー対策システムは、干渉エネルギーの発生源の違いにより、能動的干渉用と受動的干渉用との2種類に分けられる。レーダーが干渉を受けると、レーダーが識別する初期ターゲットには、真の初期ターゲットと偽の初期ターゲットの両方が含まれることが理解できる。従って、レーダーが干渉を受けた場合、どのようにして真の初期ターゲットと偽の初期ターゲットを識別するかが、解決すべき緊急の問題となる。
【発明の概要】
【0004】
上記の点に鑑み、本発明の主な目的は、信号処理方法、装置、記憶媒体および電子端末を提供することである。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決策は以下のように実現される。レーダーシステムのための信号処理方法は、
Num1個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum1個の属性値を含む走査済ターゲットセットを取得し、前記レーダーシステムが走査操作を1回実行するように前記レーダーシステムを制御し、レーダーエコー信号に基づいてNum2個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum2個の属性値を取得するステップであって、前記属性値は初期ターゲットの方位AZ、初期ターゲットの出現時間、レーダーエコー信号の振幅およびレーダーエコー信号のSN比の値S_Nを少なくとも含み、Num1およびNum2はいずれも自然数であるステップと、
前記Num1個の初期ターゲットを1対1で対応するNum1個の処理待ちターゲットにコピーし、前記Num2個の初期ターゲットを1対1で対応するNum2個の処理待ちターゲットにコピーし、クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割するステップと、
前記複数のクラスタ内の各第2クラスタに対して、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除するステップと、
前記複数のクラスタ内の各第1クラスタに対して、第1クラスタにおいて、出現時間と現在時間の差の絶対値が第1所定時間閾値ΔTime1よりも小さい処理待ちターゲットの数M個をカウントし、M>第1所定数閾値の場合、M個の処理待ちターゲットを、各小クラスタにおいて任意の2つの処理待ちターゲット中の振幅の差の絶対値がいずれも所定振幅の閾値よりも小さいN個の小クラスタに分割し、各小クラスタについて、そこに含まれる処理待ちターゲットの数>第2所定数閾値であれば、前記小クラスタを削除するという第1処理を実行し、残りの各小クラスタに対して、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとし、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとするという第2処理を実行するステップであって、第1処理待ちターゲットは前記小クラスタ内のいずれか1つであり、第2処理待ちターゲットは前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つであり、MおよびNはいずれも自然数でN≦Mであり、その後、前記第2処理が行われていない小クラスタが存在する場合、前記第2処理を再度実行し、その後、前記第1処理が行われていない第1クラスタが存在する場合、前記第1処理を再度実行するステップと、を含む。
【0006】
本発明の実施例の改良として、前記「クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割する」ステップは、前記Num1+Num2個の処理待ちターゲットがすべて処理されるまで、前記Num1+Num2個の処理待ちターゲットに対して、Num1+Num2個の処理待ちターゲットから未処理の第3処理待ちターゲットを選択し、第3処理待ちターゲットのみを含むクラスタを生成し、第3処理待ちターゲットに処理済フラグを付け、その後、Num1+Num2個の処理待ちターゲット内の各第4処理待ちターゲットに対して、第4初期ターゲットが未処理であり、且つ、|第3処理待ちターゲットの方位AZ-前記クラスタ内のすべての処理待ちターゲットの方位AZの平均値|<前記方位差閾値ΔAZであるかを判断し、真である場合、第4処理待ちターゲットを前記クラスタに追加し、第4処理待ちターゲットに処理済フラグを付けることを含む。
【0007】
本発明の実施例の改良として、前記「第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除する」ステップは、第2クラスタ内の第5処理待ちターゲットの数Counter1および第6処理待ちターゲットの数Counter2を取得し、ここで、|第5処理待ちターゲットの出現時間-現在時間|≦第1所定時間閾値ΔTime1、|第6処理待ちターゲットのSN比の値S_N-所定SN比の値|≦所定SN比閾値ΔS_Nであり、Counter2/Ccounter1>所定パーセント値の場合、第2クラスタを削除することを含む。
【0008】
本発明の実施例の改良として、所定パーセント値=0.9である。
【0009】
本発明の実施例の改良として、前記「第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除する」ステップは、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除すると共に、前記レーダーシステムの回転速度および送信周波数を調整することを含む。
【0010】
本発明の実施例の改良として、前記「|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとする」ステップは、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとすると共に、前記走査済ターゲットセットにおいて、第1処理待ちターゲットの属性値で、第7処理待ちターゲットの属性値を更新することを含み、ここで、第2処理待ちターゲットと第7処理待ちターゲットの内容は同一であり、
前記「|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとする」ステップは、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとすると共に、第1処理待ちターゲットを前記走査済ターゲットセットに追加することを含む。
【0011】
本発明の実施例の改良として、前記走査済ターゲットセット内の各初期ターゲットに対して、|前記初期ターゲットの直近の出現時間-現在時間|<第2所定時間閾値ΔTime2の場合、前記走査済ターゲットセットから前記初期ターゲットを削除するという処理を実行するステップをさらに含む。
【0012】
本発明の実施例はレーダーシステムのための信号処理装置を提供する。この信号処理装置は、
Num1個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum1個の属性値を含む走査済ターゲットセットを取得し、前記レーダーシステムが走査操作を1回実行するように前記レーダーシステムを制御すると共に、レーダーエコー信号に基づいてNum2個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum2個の属性値を取得するために使用されるデータ取得モジュールであって、前記属性値は初期ターゲットの方位AZ、初期ターゲットの出現時間、レーダーエコー信号の振幅およびレーダーエコー信号のSN比の値S_Nを少なくとも含み、Num1およびNum2はいずれも自然数であるデータ取得モジュールと、
前記Num1個の初期ターゲットを1対1で対応するNum1個の処理待ちターゲットにコピーし、前記Num2個の初期ターゲットを1対1で対応するNum2個の処理待ちターゲットにコピーし、クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割するために使用されるクラスタモジュールと、
前記複数のクラスタ内の各第2クラスタに対して、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除するという処理を実行するノイズ処理モジュールと、
前記複数のクラスタ内の各第1クラスタに対して、第1クラスタにおいて、出現時間と現在時間の差の絶対値が第1所定時間閾値ΔTime1よりも小さい処理待ちターゲットの数M個をカウントし、M>第1所定数閾値の場合、M個の処理待ちターゲットを、各小クラスタにおいて任意の2つの処理待ちターゲット中の振幅の差の絶対値がいずれも所定振幅の閾値よりも小さいN個の小クラスタに分割し、各小クラスタについて、そこに含まれる処理待ちターゲットの数>第2所定数閾値であれば、前記小クラスタを削除するという第1処理を実行し、残りの各小クラスタに対して、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとし、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとするという第2処理を実行する処理モジュールであって、第1処理待ちターゲットは前記クラスタ内のいずれか1つであり、第2処理待ちターゲットは前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つであり、MおよびNはいずれも自然数でN≦Mであり、その後、前記第2処理が行われていない小クラスタが存在する場合、前記第2処理を再度実行し、その後、前記第1処理が行われていない第1クラスタが存在する場合、前記第1処理を再度実行するための処理モジュールと、を備える。
【0013】
本発明の実施例は、プログラム命令を記憶した記憶媒体であって、前記プログラム命令が実行されると、上記の信号処理方法が実現される、ことを特徴とする記憶媒体を提供する。
【0014】
本発明の実施例は、プロセッサと、プログラム命令を記憶した記憶装置とを備える電子端末であって、前記プロセッサがプログラム命令を実行すると、上記の信号処理方法を実現する、ことを特徴とする電子端末を提供する。
【0015】
本発明の実施例によって提供される信号処理方法、装置、記憶媒体および電子端末は以下の利点を有する。本発明の実施例は信号処理方法、装置、記憶媒体および電子端末を開示し、該信号処理方法は、走査済ターゲットセットおよび複数の初期ターゲットを取得し、複数のクラスタに分割するステップと、複数のクラスタ内の各第1クラスタに対してSN比統計分析および偽ターゲット統計分析を行い、不適格な(基準を満たさない)SN比を有する初期ターゲット、および偽ターゲットを除去するステップと、を含み、該信号処理方法は、不適格なSN比を有する初期ターゲットおよび偽ターゲットを識別して除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例によって提供されるレーダーの構造図である。
図2】本発明の実施例によって提供される信号処理方法の構造図である。
図3】本発明の実施例の信号処理方法の原理図である。
図4】本発明の実施例の信号処理方法の原理図である。
図5】本発明の実施例の信号処理方法の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示す実施形態を参照しながら本発明を詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態は本発明を制限することを意図せず、当業者はこの実施形態に基づいて加えた構造、方法、または機能上の変更は、すべて本発明の保護範囲内に含まれる。
【0018】
以下の説明および添付図面は、当業者が本発明を実施できるように本明細書の具体的な実施形態を完全に説明する。いくつかの実施形態の部分および特徴は、他の実施形態の部分および特徴に含まれるか、または他の実施形態の部分および特徴によって置き換えられることができる。本発明の実施形態の範囲は、特許請求の範囲の全範囲だけでなく、特許請求の範囲の利用可能なすべての等価物を含む。本発明において、「第1」及び「第2」といった用語は、単にある要素を別の要素から区別するために使用され、これらの要素が実際の関係又は順序を有することを要求又は示唆するものではない。実際には、第1の要素は第2の要素とも呼ばれることがあり、その逆もまた然りである。さらに、用語「含む」、「含有する」、またはその他の変形は、一連の要素を含む構造、デバイス、または装置が、それらの要素を含むだけでなく、他の不明確に列挙された要素も含むか、または、かかる構造、デバイス、または装置の固有の要素も含むように、非排他的に含むことを対象とすることを意図する。さらに限定しない限り、「……を含む」という表現で定義される要素は、そのような要素を含む構造、装置、または機器における他の同じ要素の存在を排除するものではない。本発明における様々な実施形態は漸進的に説明され、各実施形態は他の実施形態との相違点に焦点を当て、様々な実施形態間の同一部分及び類似部分は互いに参照され得る。
【0019】
本発明において、「縦」、「横」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「縦」、「横」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語によって示される方位または位置関係は、図面に基づく方位または位置関係に過ぎず、本発明の説明および説明の簡略化の目的でのみ使用され、かかる装置またはデバイスは必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作することを指示または暗示するものではないので、本発明の制限として理解されない。本発明の説明において、特に明示的に規定および制限しない限り、「取付」、「連結」、「接続」などの用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよいし、2つのデバイス内部の連通であってもよく、直接に連結してもよく、中間媒体を介して間接的に連結してもよく、当業者は具体的な状況に応じて上記用語の具体的な意味を理解すればよい。
【0020】
図1に示すように、該レーダーシステムは主にメインプロセッサユニット、信号発生ユニット、信号増幅ユニット、送受信制御ユニット、アンテナおよびサーボ制御ユニットなどのユニットから構成され、該レーダーシステムの処理過程は以下のとおりであり、レーダー送信機の送信電力をPt、アンテナ利得をGとすると、レーダーの単位立体角度送信電力は
【数1】
であり、ターゲット反射面積をδ、レーダーアンテナからの中心距離をRとすると、ターゲット(例えば航空機など)が受信する電力は
【数2】
であり、探知されたターゲットが受信した後空間全体に反射されるため、単位立体角当たりの放射電力は
【数3】
であり、レーダーアンテナのテンソル角をAとすると、レーダーアンテナが受信した電力は
【数4】
であり、G=2πA/λの場合、レーダーが受信した電力は
【数5】
であり、電力がレーダー受信機の感度(レーダー毎に異なる)よりも小さいと、レーダーがターゲットを識別できず、レーダーが受信した信号のSN比の値は
【数6】
であり、SN比の値がレーダーの許容最小SN比の値(レーダー毎に異なる)よりも小さいと、同様にターゲットを識別できない。
【0021】
レーダーへの外部干渉は主にノイズとスプーフィング(なりすまし)の2種類で、ノイズは主にレーダーの受信機ユニットで作用し、SN比の値を低下させると、レーダーがターゲットを識別できず、スプーフィングは主にレーダーの信号処理ユニットで作用し、偽ターゲットを作ることで、レーダーはどちらが真のターゲットであるかを区別できず、レーダー自体を保護する目的を達成する。
【0022】
本発明の実施例1は、レーダーシステムのための信号処理方法を提供する。ここで、該レーダーシステムは、所定時間ごとに該信号処理方法を実行することができる。選択可能に、該レーダーシステムのメインプロセッサは、図2に示すように、以下のステップを含む該信号処理方法を実行する。
【0023】
ステップ201:走査済ターゲットセットを取得する。前記走査済ターゲットセットはNum1個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum1個の属性値を含む。そして、前記レーダーシステムが走査操作を1回実行するように前記レーダーシステムを制御し、レーダーエコー信号に基づいてNum2個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum2個の属性値を取得する。ここで、前記属性値は初期ターゲットの方位AZ、初期ターゲットの出現時間、レーダーエコー信号の振幅およびレーダーエコー信号のSN比の値S_Nを少なくとも含む。Num1およびNum2はいずれも自然数である。ここで、走査操作を実行するとき、まずレーダーエコー信号に基づいて初期ターゲットのトレースポイント情報を取得し、その後初期ターゲットおよび対応する属性値を取得する。各初期ターゲットについて、少なくとも以下の属性値を取得する。(1)今回の走査操作において、レーダーシステムに対する初期ターゲットが所在する方位AZ、(2)今回の走査操作において、レーダーシステムと初期ターゲットとの間の現在距離distance、(3)今回の走査操作において、初期ターゲットエコー信号の振幅pa、(4)今回の走査操作において、初期ターゲットの速度velocity、(5)初期ターゲットの出現時間appearTime、同一の初期ターゲットが数回走査される可能性があることが理解できるため、配列を使用してappearTimeを保存することができ、該配列は、該初期ターゲットが発見されてから今回走査までのすべてのappearTimeを保存し、(6)初期ターゲットの消滅時間disappearTime、同一の初期ターゲットが数回走査され、数回消滅する可能性があるため、配列を使用してdisappearTimeを保存することができ、該配列は、該初期ターゲットが発見されてから今回走査までのすべてのdisappearTimeを保存し、(7)SN比の値S_N、同一の初期ターゲットが数回走査される可能性があり、走査される度に、該初期ターゲットのレーダーエコー信号のSN比の値を取得することができるため、配列を使用してS_Nを保存することができ、該配列は、該初期ターゲットが発見されてから今回走査までのすべてのS_Nを保存する。
【0024】
ここで、実際のプログラミングでは、アーキテクチャを用いて初期ターゲットに対応する属性値を保存する。
Typedef struct StatAnalyzeStru
{
int AZ,
int distance,
int pa,
int velocity,
int appearTimeCnt;//appearTimeCntは同一の初期ターゲットが走査された回数であり
int appearTime[1024];
int disappearTimeCnt;//disappearTimeCntは同一の初期ターゲットの消滅回数であり
int disappearTime[1024];
int S_N[1024];
}
ここで、該信号処理方法の前回実行後、Num1個の初期ターゲットを得、今回走査操作に、合計Num2個の初期ターゲットが発見される。したがって、(1)Num1個の初期ターゲットおよびNum2個の初期ターゲット内の一部の初期ターゲットが重なり合い、初期ターゲット(例えば、航空機など)は通常、動いているため、前回走査と今回走査において同一の初期ターゲットの属性値は通常同一ではなく(例えば、方位AZ、現在距離distanceなどが異なる)、同一である可能性は極めて低く、(2)Num2個の初期ターゲットにおける一部の初期ターゲットは新しい。すなわちNum1個の初期ターゲットになく、これらの新しい初期ターゲットにはいくつかの偽初期ターゲットが存在する。
【0025】
ステップ202:前記Num1個の初期ターゲットを1対1で対応するNum1個の処理待ちターゲットにコピーし、前記Num2個の初期ターゲットを1対1で対応するNum2個の処理待ちターゲットにコピーし、クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割する。ここで、初期ターゲットと処理待ちターゲットは1対1で対応する関係を有し、相互に対応する初期ターゲットと処理待ちターゲットの内容は一致しているが独立した値である。すなわち、初期ターゲットの内容を変更しても、処理待ちターゲットの内容に影響を与えず、同様に、処理待ちターゲットの内容を変更しても、初期ターゲットの内容に影響を与えない。
【0026】
ここで、該Num1+Num2個の処理待ちターゲットは、上記Num1個の処理待ちターゲットおよびNum2個の処理待ちターゲットからマージされてなる。ここで、該クラスタリングアルゴリズムは、類似の方位AZを有する処理待ちターゲットを同一のクラスタに分類することになり、類似の方位AZを有する複数の初期ターゲットにはいくつかの偽初期ターゲットが存在することが理解され得る。
【0027】
ステップ203:前記複数のクラスタ内の各第2クラスタに対して、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除するという処理を実行する。あるクラスタのSN比の値が要件を満たさない場合、該クラスタを削除することができる。所定条件として、第2クラスタ内の任意の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが要件を満たさない場合、所定条件を満たさず、または第2クラスタ内の全ての処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが要件を満たさない場合、所定条件を満たさない。第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、レーダーシステムのSN比が悪化し、収集された信号に大きな誤差があると考えることができる。
【0028】
ステップ204:前記複数のクラスタ内の各第1クラスタに対して、以下の第1処理を実行する。第1クラスタにおいて、出現時間と現在時間の差の絶対値が第1所定時間閾値ΔTime1よりも小さい処理待ちターゲットの数M個をカウントし、M>第1所定数閾値の場合、M個の処理待ちターゲットを、各小クラスタにおいて任意の2つの処理待ちターゲット中の振幅の差の絶対値がいずれも所定振幅の閾値よりも小さいN個の小クラスタに分割し、各小クラスタについて、そこに含まれる処理待ちターゲットの数>第2所定数閾値であれば、前記小クラスタを削除する。ここで、出現時間と現在時間の差の絶対値が第1所定時間閾値ΔTime1よりも小さい処理待ちターゲット(該条件を満たす処理待ちターゲットは追加ターゲットであることが理解され得る)の数Mをカウントし、M>第1所定数閾値のとき、これらの追加ターゲットは偽ターゲットである可能性があるため、追加ターゲットの振幅を統計分析する必要があり、1つの小クラスタ内の処理待ちターゲットの数>第2所定数閾値のとき、該小クラスタ内の処理待ちターゲットは時間領域、空間領域および振幅において互いに関連しており、同一の送信機から送信され、偽ターゲットであり、フラグを削除する必要がある。
【0029】
残りの各クラスタに対して、以下の第2処理を実行し、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとし、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとする。ここで、第1処理待ちターゲットは前記小クラスタ内のいずれか1つであり、第2処理待ちターゲットは前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つであり、MおよびNはいずれも自然数でN≦Mであり、その後、前記第2処理が行われていない小クラスタが存在する場合、前記第2処理を再度実行し、その後、前記第1処理が行われていない第1クラスタが存在する場合、前記第1処理を再度実行する。ここで、第1所定数閾値は10であってもよく、第2所定数閾値は10であってもよい。
【0030】
ここで、スプーフィング干渉は、能動的干渉と受動的干渉に分けられる。能動的干渉とは、レーダーの信号を遅延させてからレーダーに転送することで、多数の偽ターゲットを作り、レーダーが偽ターゲットに追跡する一方、真のターゲットを保護することができ、さらに、多数の偽ターゲットを作ることで、レーダーのデータ処理システムを正常に動作できなくなるまで飽和させ、受動的干渉とは、ターゲットの前方に金属箔を投げたり、トレーサー弾などを発射したりして、レーダーが真のターゲットを探知できなくなり、保護作用を果たす。
【0031】
能動的干渉について、まず効果モデルを分析し、図3はレーダーアンテナの方向図である。ここで、信号の強い方向はメインローブ方向であり、信号の弱い方向はマイナーローブ方向であり、メインマイナーローブが信号を同時に受信し、相手が干渉を実施すると、図4に示すように、ある方位領域から多数のターゲット信号を傍受した。時間領域の統計分析からみると、同じ瞬間に多数の新しいターゲットがあり、新しいターゲットと古いターゲットが同時に存在し、新しいターゲットは、対決演習、スタンドオフ、戦時状態などの敏感な瞬間に出現し空間領域の統計分析からみると、新しいターゲットと古いターゲットは同一方位領域に共存し、偽ターゲットが同一送信機から送信されるので、それらの振幅はほぼ同じである。すなわち振幅に相関関係があり、実戦経験によると、同一方位と敏感な瞬間に大量のターゲットが突然に追加され、振幅に相関関係があると、それは明らかに戦場の実情に反しており、それによれば、大量の新しいターゲットの出現は古いターゲットをカバーするためのものであるはずなので、偽ターゲットと判定することができる。
【0032】
受動的干渉について、干渉者はターゲットの前方に金属箔またはトレーサー弾を投げるので、レーダーは箔のみを検出し、自分自身を検出しないので、自分自身を保護する作用を果たし、干渉効果は図5に示され、時間領域の統計分析から見ると、新しいターゲットが同一瞬間に出現し、古いターゲットが消滅し、時間領域で相関関係があり、空間領域の統計分析から見ると、新しいターゲットと古いターゲットが同一方位にあり、新しいターゲットがレーダーに近く、古いターゲットがレーダーから遠い。真のレーダーターゲットは時間領域と空間領域で連続しているはずであり、このような時間領域でのジャンプや交替は不可能であり、空間領域では同一方位にあり、距離も前後に1つずつあるため、新しいターゲットの出現は古いターゲットをカバーするためのものであり、新しいターゲットは偽ターゲットであるはずである。
【0033】
本実施例では、前記「クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割する」ステップは、具体的に、以下を含む。
【0034】
前記Num1+Num2個の処理待ちターゲットがすべて処理されるまで、前記Num1+Num2個の処理待ちターゲットに対して以下の処理を実行する。ここで、該全ての処理を実行する前に、前記Num1+Num2個の初期ターゲットはデフォルトで未処理であり、該処理が実行されるたびに、多数の初期ターゲットが新しいクラスタに追加され、該新しいクラスタ内の全ての初期ターゲットに処理済フラグを付ける。
【0035】
前記処理は、具体的に、Num1+Num2個の処理待ちターゲットから未処理の第3処理待ちターゲットを選択し、第3処理待ちターゲットのみを含むクラスタを生成し、第3処理待ちターゲットに処理済フラグを付け、その後、Num1+Num2個の処理待ちターゲット内の各第4処理待ちターゲットに対して、第4初期ターゲットが未処理であり、且つ、|第3処理待ちターゲットの方位AZ-前記クラスタ内のすべての処理待ちターゲットの方位AZの平均値|<前記方位差閾値ΔAZであるかを判断し、真である場合、第4処理待ちターゲットを前記クラスタに追加し、第4処理待ちターゲットに処理済フラグを付けることを含む。
【0036】
ここで、該処理が実行される度に、Num1+Num2個の初期ターゲットから既存のいずれのクラスタにも追加されていない第1初期ターゲットを選択し、その後新しいクラスタ(該クラスタは第1初期ターゲットのみを含む)を生成し、その後Num1+Num2個の初期ターゲットから既存のクラスタおよび新規クラスタにも追加されていない第2初期ターゲット(すなわち第2初期ターゲットは未処理である)を選択し、その後、該新規クラスタ内の全ての初期ターゲットの方位AZの平均値m_azAverageを計算し、|第2初期ターゲットの方位AZ-m_azAverage|<前記方位差閾値ΔAZの場合、第2初期ターゲットとクラスタ内の全ての初期ターゲットはすべて同一方位領域にあり、その後第2初期ターゲットを前記クラスタに追加し、第2初期ターゲットに処理済フラグを付け、前記Num1個の初期ターゲットおよびNum2個の初期ターゲットには同じ初期ターゲットが存在する場合、同一のクラスタに分類される。
【0037】
該処理を繰り返して実行すると、Num1+Num2個の初期ターゲット中の全ての初期ターゲットは唯一のクラスタに分類されることを理解されたい。さらに、唯一のクラスタ内の全ての初期ターゲットの方位は近似する。
【0038】
ここで、実用的なプログラミングでは、Num1個の初期ターゲットは具体的にStatAnalyzeStruts[1、...、Num1]であり、Num2個の初期ターゲットは具体的にStatAnalyzeStruts[Num1+1、...、Num1+Num2]であると仮定すると、StatAnalyzeStruts[Num2]で走査時間をappearTime[0]内に入れ、appearTimeCntの値を1にする。
【0039】
その後、シェーピング配列m_arrayCluster[Num1+Num2]を定義し、計数器m_iCounterを定義し、初期値は0であり、分析フラグ配列m_arraypAnaFlag[Num1+Num2]を定義し、それらをすべて0、すなわち未処理に設定し、さらにシェーピング変数m_azAverageを定義する。
【0040】
その後、フラグ配列m_arraypAnaFlagの値が0である序数iを探し、該序数iをm_arrayCluster[m_iCounter]に記入し、その後m_iCounter++、m_azAverage=StatAnalyzeStruts[i].AZ、m_arraypAnaFlag[i]=1とする。
【0041】
その後、m_azAverageを基数として、以下の条件を満たす序数jを探し、|m_arraypAnaFlag[j].AZ-m_azAverage|<ΔAZ、その後序数jをm_arrayCluster[m_iCounter]に記入し、その後m_iCounter++、m_azAverage=(m_azAverage*m_iCounter+m_arraypAnaFlag[j].AZ)/(m_iCounter+1)、m_arraypAnaFlag[j]=1とする。
【0042】
m_arraypAnaFlag[1、...、Num1+Num2]がすべて1になるまで、上記ステップを繰り返して実行する。
【0043】
本実施例では、前記「第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除する」ステップは、具体的に、第2クラスタ内の第5処理待ちターゲットの数Counter1および第6処理待ちターゲットの数Counter2を取得することを含む。ここで、|第5処理待ちターゲットの出現時間-現在時間|≦第1所定時間閾値ΔTime1、|第6処理待ちターゲットのSN比の値S_N-所定SN比の値|≦所定SN比閾値ΔS_Nであり、Counter2/Ccounter1>所定パーセント値の場合、第2クラスタを削除する。ここで、Counter2/Ccounter1>所定パーセント値のとき、レーダーシステムのSN比が悪化し、収集された信号に大きな誤差があると考えることができる。
【0044】
本実施例では、所定パーセント値=0.9である。
【0045】
本実施例では、前記「第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除する」ステップは、具体的に、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除すると共に、前記レーダーシステムの回転速度および送信周波数を調整することを含む。
【0046】
ここで、レーダーシステムの回転速度および送信周波数を調整することは、具体的に、レーダーシステムの現在回転速度の周期の大きさm_rotateVelocityおよび回転速度周期の調整開始時点m_rotateTimeを取得することを含み、|m_rotateTime-現在時間|<3*m_rotateVelocityの場合、回転速度が調整されたばかりであることを示し、さらに観察するために動作せずにリターンし、3*m_rotateVelocity≦|m_rotateTime-現在時間|<100*m_rotateVelocityの場合、回転速度が調整されたが、効果が理想的でなく、レーダー送信周波数を次の周波数に変更する必要があることを示し、そうでなければ、次の回転速度に繰り返して調整し、リターンする。
【0047】
ここで、レーダーシステムが受けたノイズ干渉は、同一周波数ノイズ干渉、掃引周波数ノイズ干渉、周波数ホッピングノイズ干渉、掃引周波数干渉、FM干渉(断続的干渉とも言う)に分けることができる。干渉が常に存在している場合は、レーダーアンテナの回転速度を変更することにより、同一周波数ノイズ干渉または断続的な干渉であるかどうかを判定し、断続的な干渉であれば、レーダーの回転速度は該方向の干渉周期と同じ周波数または周波数倍増である場合、継続的な干渉として現れ、このとき、アンテナの回転速度を調整することにより同じ周波数または周波数倍増を避け、レーダーの送信パラメータを変更する必要がなく、レーダーは該方向に「隠れた」作業を実行し、同一周波数ノイズ干渉であれば、レーダー送信周波数を変更することにより解消することができる。
【0048】
本発明の実施例では、前記「|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、該第1、第2処理待ちターゲットは同一である」ステップは、具体的に以下を含む。|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとすると共に、前記走査済ターゲットセットにおいて、第1処理待ちターゲットの属性値で、第7処理待ちターゲットの属性値を更新する。ここで、第2処理待ちターゲットと第7処理待ちターゲットの内容は同一であり、
【0049】
前記「|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとする」ステップは、具体的に以下を含む。|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとすると共に、第1処理待ちターゲットを前記走査済ターゲットセットに追加する。
【0050】
本発明の実施例では、以下のステップをさらに含む。すなわち、
前記走査済ターゲットセット内の各初期ターゲットに対して、|前記初期ターゲットの直近の出現時間-現在時間|<第2所定時間閾値ΔTime2の場合、前記走査済ターゲットセットから前記初期ターゲットを削除するという処理を実行する。
【0051】
本発明の実施例2はレーダーシステムのための信号処理装置を提供するものであり、この装置は、データ取得モジュールと、クラスタモジュールと、ノイズ処理モジュールと、処理モジュールとを含む。
【0052】
データ取得モジュールは、Num1個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum1個の属性値を含む走査済ターゲットセットを取得し、前記レーダーシステムが走査操作を1回実行するように前記レーダーシステムを制御すると共に、レーダーエコー信号に基づいてNum2個の初期ターゲットおよび1対1で対応するNum2個の属性値を取得するために使用される。ここで、前記属性値は初期ターゲットの方位AZ、初期ターゲットの出現時間、レーダーエコー信号の振幅およびレーダーエコー信号のSN比の値S_Nを少なくとも含み、Num1およびNum2はいずれも自然数である。
【0053】
クラスタモジュールは、前記Num1個の初期ターゲットを1対1で対応するNum1個の処理待ちターゲットにコピーし、前記Num2個の初期ターゲットを1対1で対応するNum2個の処理待ちターゲットにコピーし、クラスタリングアルゴリズムおよびNum1+Num2個の処理待ちターゲットの方位AZに基づいて、Num1+Num2個の処理待ちターゲットを複数のクラスタに分割する。
【0054】
ノイズ処理モジュールは、前記複数のクラスタ内の各第2クラスタに対して、第2クラスタ内の処理待ちターゲットのSN比の値S_Nが所定条件を満たさない場合、第2クラスタを削除するという処理を実行する。
【0055】
処理モジュールは、前記複数のクラスタ内の各第1クラスタに対して、第1クラスタにおいて、出現時間と現在時間の差の絶対値が第1所定時間閾値ΔTime1よりも小さい処理待ちターゲットの数M個をカウントし、M>第1所定数閾値の場合、M個の処理待ちターゲットを、各小クラスタにおいて任意の2つの処理待ちターゲット中の振幅の差の絶対値がいずれも所定振幅の閾値よりも小さいN個の小クラスタに分割し、各小クラスタについて、そこに含まれる処理待ちターゲットの数>第2所定数閾値であれば、前記小クラスタを削除するという第1処理を実行し、残りの各小クラスタに対して、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-第2処理待ちターゲットの方位AZ|<方位差閾値ΔAZの場合、当該第1、第2処理待ちターゲットを同一であるとし、|第1処理待ちターゲットの方位AZ-前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つの方位AZ|≧前記方位差閾値ΔAZの場合、第1処理待ちターゲットを新しいターゲットであるとするという第2処理を実行する。ここで、第1処理待ちターゲットは前記クラスタ内のいずれか1つであり、第2処理待ちターゲットは前記Num1個の初期ターゲット内のいずれか1つであり、MおよびNはいずれも自然数で、N≦Mである。その後、前記第2処理が行われていない小クラスタが存在する場合、前記第2処理を再度実行し、その後、前記第1処理が行われていない第1クラスタが存在する場合、前記第1処理を再度実行する。
【0056】
本発明の実施例3はプログラム命令を記憶した記憶媒体であって、前記プログラム命令が実行されると、実施例1の信号処理方法が実現される、ことを特徴とする記憶媒体を提供する。
【0057】
本発明の実施例3は、プロセッサと、プログラム命令を記憶した記憶装置とを備える電子端末であって、前記プロセッサがプログラム命令を実行すると、実施例1の信号処理方法を実現する、ことを特徴とする電子端末を提供する。
【0058】
なお、本明細書を実施形態の順に従って説明したが、各実施形態は1つの独立した技術的解決策のみを含むわけではなく、明細書の説明方式は明瞭化の目的でのみ使用、当業者は明細書を全体として理解すべきであり、当業者であれば、各実施形態中の技術的解決策を組み合わせて他の実施形態を形成することもできる。
【0059】
以上の内容は本発明の実行可能な実施形態を具体的に説明するものであり、本発明の保護範囲を制限することを意図せず、本発明の精神から逸脱することなくなされた等価の実施形態または変更は、すべて本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】