(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-15
(54)【発明の名称】安全モードを有する油圧システム、削岩リグ、および方法
(51)【国際特許分類】
E21B 1/26 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
E21B1/26
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518098
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2022076002
(87)【国際公開番号】W WO2023046647
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ランタネン, ユーホ
(72)【発明者】
【氏名】パーキネン, ペルティ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルホ, サムリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァタネン, ハッリ
(72)【発明者】
【氏名】ホンジェル, テーム
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB13
2D129BA11
2D129CA28
2D129CA29
(57)【要約】
油圧システム、削岩リグ、および、油圧システム(HS)の安全機能機構の実行中に、一時的に油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の出力性能を限定するための方法。出力性能は、油圧式掘削アクチュエータの油圧回路(CL、OL)において、生み出される油圧流体フローを限定することによって限定され、それにより、流体フローの制限された大きさが油圧ポンプで生み出される。このように、制限動作モード(ROM)が可能にされ、制御ユニット(CU)によって制御される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩リグ(1)の油圧システム(HS)であって、
モータ(M)を用いて駆動される油圧ポンプ(Hp)を備える油圧動力ユニット(Pu)が設けられた、少なくとも1つの油圧回路(CL、OL)と、
前記油圧動力ユニット(Pu)によって生成される油圧およびフローによって動力供給される、少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータ(Ha)とを備え、
前記油圧システム(HS)に、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の出力性能を一時的に限定するための前記少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータ(Ha)に向けられる入力油圧流体の特徴を限定するための安全機能機構が設けられ、
前記油圧システム(HS)に、前記安全機能機構として働き、給送ユニット(Pu)の出力フローの大きさを限定するように構成された、少なくとも1つの制限動作モード(ROM)を含む少なくとも1つの制御ユニット(CU)が設けられ、それにより、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の動作速度が、受信した入力フローの限定された大きさによって限定される、
削岩リグ(1)の油圧システム(HS)において、
前記油圧ポンプ(Hp)が、電動モータ(M)を用いて駆動される固定容量型油圧ポンプであり、
前記電動モータ(M)が、少なくとも1つの電動モータ制御デバイス(Mc)を用いて制御され、
前記制御ユニット(CU)が、前記電動モータ(M)および前記油圧ポンプ(Hp)の回転速度を制御するための前記電動モータ制御デバイス(Mc)を制御するように構成され、
前記油圧流体の限定された前記出力フローが、選択された前記制限動作モード(ROM)に応答して、前記制御ユニット(CU)の制御下で実現されることを特徴とする、削岩リグ(1)の油圧システム(HS)。
【請求項2】
前記モータ(M)が、前記電動モータ制御デバイス(Mc)として働く可変周波数ドライブを用いて制御される速度制御電動モータであることを特徴とする、請求項1に記載の油圧システム。
【請求項3】
前記可変周波数ドライブが、有線安全回路に基づいた統合安全機能を備えることを特徴とする、請求項2に記載の油圧システム。
【請求項4】
前記制御ユニット(CU)に、前記制限動作モード(ROM)の少なくとも1つの入力限界値が提供され、
前記入力限界値が、削岩機(6)の回転デバイス(9)および前記削岩機(6)に接続可能な掘削ツール(8)の最大回転速度を規定するように構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の油圧システム。
【請求項5】
前記制御ユニット(CU)に、前記制限動作モード(ROM)の少なくとも1つの入力限界値が提供され、
前記入力限界値が、前記削岩機(6)に送る送りデバイス(10)および前記削岩機(6)に接続可能な掘削ツール(8)の最大送り速度を規定するように構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の油圧システム。
【請求項6】
可動キャリア(2)と、
前記キャリア(2)に接続された少なくとも1つのブーム(3)と、
前記ブーム(3)の遠位端部分に搭載された、少なくとも1つの削岩ユニット(4)であって、送りビーム(5)と前記送りビーム(5)に移動可能に搭載された削岩機(6)とを備える、少なくとも1つの削岩ユニット(4)と、
油圧システム(HS)とを備え、
前記削岩機(6)が、前記油圧システム(HS)によって動力供給される少なくとも1つの油圧式アクチュエータ(Ha)を備える、
削岩リグ(1)において、
前記油圧システム(HS)が、請求項1から5のいずれか一項によるものであり、それにより、前記削岩ユニット(4)の前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)が、性能が限定された制限動作モード(ROM)下で制御可能であることを特徴とする、削岩リグ(1)。
【請求項7】
油圧システム(HS)の安全機能機構の実行中に、一時的に油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の出力性能を限定するための方法であって、
前記油圧システム(HS)の油圧回路(CL、OL)に接続された前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)に向けられる入力油圧流体の油圧の特徴を限定することと、
前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記油圧回路(CL、OL)において、生み出される油圧流体フローを限定することによって、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記出力性能を限定することであって、それにより、前記安全機構の制限動作モードの持続時間の間、前記流体フローの制限された大きさが、前記油圧回路の油圧ポンプ(Hp)において生み出される、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記出力性能を限定することとを含む方法において、
電動モータ(M)を用いて前記油圧ポンプ(Hp)を駆動することと、
前記電動モータ(M)および前記油圧ポンプ(Hp)の回転速度を制御して、前記油圧流体のフローの前記制限された大きさを生み出すこととを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削岩リグの油圧システムに関する。油圧システムには、安全性を改善するための安全モードが提供される。
【0002】
本発明は更に、削岩リグと、油圧式掘削アクチュエータの安全な動作を確実にするための方法とに関する。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項のプリアンブルにおいて、より具体的に定義される。
【背景技術】
【0004】
鉱山および他の作業現場では、削岩リグのブームに搭載された削岩機を用いて、発破孔、補強用孔、および他のタイプの孔を掘削するために、異なるタイプの削岩リグが使用される。削岩機は、油圧式で動作可能であってもよく、安全ケージまたは騒音抑制装置で包囲されてもよく、または回転機械要素のセキュリティゾーン内部に入るのを防ぐ他の安全デバイスがあってもよい。しかしながら、安全デバイスを開き、稼働中の削岩作業を手作業で支援することが必要な場合がある。そのような状況では、油圧式削岩機の油圧式アクチュエータに動力供給する油圧システムには、出力性能を安全なレベル内に限定するための安全機能機構を設ける必要がある。油圧式掘削アクチュエータの安全性を改善するための、知られている安全機構および解決策は、いくつかの不利な点を有することが示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、新規の改善された油圧システム、およびかかる油圧システムを装備した削岩リグを提供すること、および、更に、出力性能を一時的に限定することによって動作の安全性を改善するための、新規の改善された方法のためである。
【0006】
本発明による油圧システムは、第1の独立装置請求項の特性を示す特徴によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による削岩リグは、第2の独立装置請求項の特性を示す特徴によって特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、独立方法請求項の特性を示す特徴によって特徴付けられる。
【0009】
開示する解決策の発想は、削岩リグの油圧システムが、モータを用いて駆動される油圧ポンプを備える油圧動力ユニットが設けられた、少なくとも1つの油圧回路を備えるというものである。少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータは、上述の油圧動力ユニットによって生成される油圧およびフローによって動力供給される。更に、油圧システムには、油圧式掘削アクチュエータの出力性能を一時的に限定するために、上述の少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータに向けられる入力油圧流体の特徴を限定するための安全機能機構が設けられる。またその際、油圧システムには、上述の安全機能機構として働き、給送ユニットの出力フローの大きさを限定するように構成された、少なくとも1つの制限動作モード(restricted operating mode)(ROM)を含む少なくとも1つの制御ユニットが設けられ、それにより、掘削アクチュエータの動作速度が、受信した入力フローの限定された大きさによって限定される。油圧ポンプは、電動モータを用いて駆動される固定容量型油圧ポンプである。電動モータは、少なくとも1つの電動モータ制御デバイスを用いて制御され、制御ユニットは、電動モータおよび油圧ポンプの回転速度を制御するための電動モータ制御デバイスを制御するように構成される。更に、油圧流体の限定された出力フローは、選択された制限動作モード(ROM)に応答して、制御ユニットの制御下で実現される。
【0010】
換言すれば、掘削アクチュエータの出力性能は給送ユニットにおいて既に限定されており、それにより、油圧チャネルと接続された、または掘削アクチュエータにおける、制限バルブまたは他の制御要素は不要である。
【0011】
開示する解決策の利点は、外部バルブまたはバルブアセンブリがシステムに不要なので、圧力および出力の損失を回避できる点である。これは、制限動作モードおよび通常の掘削モードに当てはまる。更に、油圧回路は単純であることができ、含まれる構成要素がより少なくてもよい。
【0012】
更なる利点は、本解決策が、ROMモードの間、制御された油圧式掘削アクチュエータに対する正確な速度制御を提供する点であり、これは、セキュリティ面だけではなく動作基準にとっても有益である。
【0013】
一実施形態によれば、固定容量型油圧ポンプを駆動するためのモータは、電動モータの回転速度を制御するための電動モータ制御デバイスとして働く可変周波数ドライブを用いて制御される、速度制御電動モータである。
【0014】
一実施形態によれば、上述の可変周波数ドライブは、有線安全回路に基づいた統合安全機能を備える。
【0015】
一実施形態によれば、制御ユニットには、制限動作モード(ROM)に対する少なくとも1つの入力限界値が提供される。入力限界値は、削岩機の回転デバイスおよび削岩機に接続可能な掘削ツールの最大回転速度を規定するように構成される。
【0016】
一実施形態によれば、入力限界値は、油圧ポンプによって生み出され、削岩機の少なくとも1つの油圧式アクチュエータに向けられる、油圧流体の出力フローの最大の大きさを規定する。最大フローは、最大回転速度を上回る可能性がないように規定される。
【0017】
一実施形態によれば、制御ユニットには、制限動作モード(ROM)に対する少なくとも1つの入力限界値が提供される。入力限界値は、削岩機の送りデバイスおよび削岩機に接続可能な掘削ツールの最大送り速度を規定するように構成される。送りデバイスは、油圧モータまたは油圧シリンダであってもよい。
【0018】
一実施形態によれば、入力限界値は、油圧ポンプによって生み出され、削岩機の少なくとも1つの油圧式アクチュエータに向けられる、油圧流体の出力フローの最大の大きさを規定する。最大フローは、最大送り速度を上回る可能性がないように規定される。
【0019】
一実施形態によれば、制御ユニットは、削岩機を包囲するかまたは削岩リグと接続されている安全デバイスの開放または起動を示す受信した安全信号に応答して、制限動作モード(ROM)を実行するように構成される。
【0020】
一実施形態によれば、安全デバイスは、例えば、安全ドア、安全ケージ、または騒音抑制装置のドアである。安全デバイスには、安全デバイスの状態を監視するための1つまたは複数のセンサが設けられてもよい。更に、安全デバイスは、安全ライン、および安全ラインに接続された安全スイッチを備えてもよい。
【0021】
一実施形態によれば、開示する解決策は、可動キャリアと、キャリアに接続された少なくとも1つのブームと、ブームの遠位端部分に搭載された少なくとも1つの削岩ユニットとを備える削岩リグであって、削岩ユニットが、送りビームと送りビームに移動可能に搭載された削岩機とを備える、削岩リグに関する。削岩リグは更に油圧システムを備え、それにより、削岩機は、油圧システムによって動力供給される少なくとも1つの油圧式アクチュエータを備える。油圧システムは、本文書に開示される特徴および実施形態によるものであり、それにより、削岩機の油圧式アクチュエータは、性能が限定された制限動作モード下で制御可能である。
【0022】
一実施形態によれば、開示する解決策は、油圧システム内の安全機能機構の実行中に、一時的に油圧式掘削アクチュエータの出力性能を限定するための方法に関する。方法は、油圧システムの油圧回路に接続された油圧式掘削アクチュエータに向けられる入力油圧流体の油圧の特徴を限定することを含む。掘削アクチュエータの出力性能は、油圧式掘削アクチュエータの油圧回路において生み出される油圧流体フローを限定することによって限定され、それにより、安全機構の制限動作モードの持続時間の間、流体フローの制限された大きさが、油圧回路の油圧ポンプにおいて生み出される。
【0023】
一実施形態によれば、開示する制限動作モード、即ちROMモードは、規格EN16228の要件に基づいてもよく、次の基準を含んでもよい。
【0024】
ROMモードの接続
1.安全デバイスを起動する。
2.別個のスイッチを用いてROMモードを起動する。スイッチは物理的切換えデバイスであってもよい。
3.ROMモードがアクティブのとき、削岩機の送りおよび/または回転は制御ユニットの制御下で能動的に制御される。
4.送りは、最大限界値15m/分で能動的に制御されてもよく、回転は、最大限界値30rpmで能動的に制御されてもよい。その結果、削岩機の運動は十分に低速の運動で実行される。これにより、保護ドアまたはケージが開いているときの、安全な作業が可能になる。
【0025】
ROMモードの停止および通常モードの始動
1.ROMモードでの能動制御を終了する。
2.安全デバイスの安全状態を解除する。安全デバイスをその保護状態へと再接続する。例えば、保護ドアまたはケージを閉じる。
3.切換えデバイスを用いて通常モードを選択する。
4.性能の制限がない通常モードでの動作を継続する。
【0026】
上記に開示した実施形態は、上述の機構のうち必要なものを有する適切な解決策を形成するために組み合わされてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態について、添付図面で更に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】安全機構が設けられた開示の油圧システムを示す概略油圧回路図である。
【
図3】安全機構が設けられた別の油圧システムを示す概略油圧回路図である。
【
図4】開示する解決策のいくつかの特徴および原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
明瞭にするため、図面は、開示する解決策のいくつかの実施形態を単純化した形で示す。図面中、同様の参照番号は同様の要素を特定する。
【0030】
図1は、可動キャリア2と、キャリア2に接続された1つまたは複数のブーム3とを備える、削岩リグ1を示している。ブーム3は、削岩機6が移動可能に配置された送りビーム5を備える、削岩ユニット4が設けられてもよい。削岩機6は、掘削する岩石材料を破壊する衝撃パルスを削岩ツール8に提供するための衝撃デバイス7と、掘削ツール8をその長手方向軸線を中心にして回転させる回転デバイス9とを備えてもよい。削岩機6は、送りデバイス10を用いて掘削方向Aおよび逆方向Bに移動される。削岩ユニット4は更に、オペレータが回転し移動している機械要素の近くに入るのを防ぐための保護ケージ、カバー、騒音抑制装置、または安全ラインなどの1つもしくは複数の安全デバイスSdを備えてもよい。
【0031】
図1は更に、削岩リグ1が、削岩ユニット4の油圧で動作可能な掘削アクチュエータに対して必要な加圧された油圧流体フローを生み出すための電源ユニットPuを備えることを開示している。回転デバイス9および送りデバイス10は、電源ユニットPuによって駆動される油圧で動作可能な掘削アクチュエータ、ならびに衝撃デバイス7であってもよい。本文書に開示する安全機構が設けられてもよい、1つまたは複数の制御ユニットCUもある。
【0032】
図1は、発破孔を掘削するための表面削岩リグ1を開示しているが、本文書に開示する解決策は、地下掘削、およびロックボルト打設の解決策などの補強デバイスにも利用することができる。
【0033】
図2は、削岩リグの油圧システムHSを開示している。油圧システムHSは、第1の油圧動力ユニットPu1を有する閉ループ油圧回路CLと、第2の油圧動力ユニットPu2を有する開ループ油圧回路OLとを備える。閉ループ油圧回路CLは、第1のモータM1を用いて駆動される第1の油圧ポンプHp1を備える。第1の油圧式掘削アクチュエータHa1は閉ループ油圧回路CLに接続される。第1の油圧式掘削アクチュエータHa1は回転デバイスであってもよい。
図1に示されるように、加圧された油圧流体は、第1の油圧ポンプHp1の出口ポートから第1の油圧式掘削アクチュエータHa1の入口ポートまで、更に第1の油圧式アクチュエータHa1の出口ポートから第1の油圧ポンプHp1の入口ポートまで、閉ループ油圧回路CL内を循環するように向けられる。
図1では、第1の油圧ポンプHp1および第1の油圧式掘削アクチュエータHa1は両方の回転方向に回転させることができ、そのため、入口および出口ポートは明瞭にするために示されていない。第1のモータM1は、電動モータコントローラMcを用いて制御することができ、制御信号は、制御ユニットCUから電動モータコントローラMcに送信することができる。制御ユニットCUは、例えば、第1のモータM1の回転速度を正確に無段階で制御することができ、第1の油圧ポンプHp1が固定容量型ポンプである場合、第1の油圧動力ユニットPu1の出力油圧動力を正確に制御することができる。制御ユニットCUは、通常モードを中断し、限定された持続時間の間、第1の油圧式アクチュエータHa1の安全で低速の運動を可能にする、ROMモードを含んでもよい。ROMモードは、制御ユニットCUに入力することができる、安全制御プログラムまたはアルゴリズム、パラメータ、および限界値を含んでもよい。制御ユニットCUはまた、例えば、異なる安全デバイスの状態を検出するための安全信号をセンサおよび安全スイッチから受信してもよい。制御ユニットは、入力制御プログラムを実行し、必要な制御信号を生成するための、プロセッサを備えてもよい。
【0034】
図2の油圧システムの開ループ油圧回路OLは、第2のモータM2を用いて駆動される第2の油圧ポンプHp2を備える。第2の油圧動力ユニットPu2は、油圧動力を、油圧式の送りデバイスであってもよい、第2の油圧式掘削アクチュエータHa2に提供するように構成される。送りデバイスは、油圧モータまたはシリンダであってもよい。開ループ油圧回路OLは、油圧動力を削岩リグの補助アクチュエータにも提供してもよい、いわゆる共通レール回路(common rail circuit)であってもよい。油圧流体は、追加量の油圧流体が閉ループ回路で必要な場合に、共通レール回路から閉ループ回路CLに選択的に送ることができる。これは破線で
図2に示されている。閉ループ油圧回路CLとは対照的に、開ループ油圧回路OLは、タンクTまたはリザーバを介して油圧流体を循環させる。
【0035】
図3は、油圧動力を2つの油圧式掘削アクチュエータHa1およびHa2に提供するための、代替の油圧システムHSを開示している。油圧回路CLおよびOLは、前述の
図2に示されたものと非常に似ている。しかしながら、
図3では、開ループ油圧回路OLの第2の油圧動力ユニットPu2には安全機構制御が設けられる。そのため、第2のモータM2は、制御ユニットCUおよび電動モータ制御ユニットMcの制御下で制御することができ、あるいは代替として、第2の油圧ポンプHp2は、生成された流体フローを調節するために制御ユニットCUを用いて制御することができる、可変容量型ポンプであってもよい。
【0036】
図4は、開示する解決策のいくつかの基本的特徴および代替例を示す要約図である。これらの課題は、本文書で上記において既に開示されている。
【0037】
図面および関連する説明は、単に本発明の発想を例証しようとするものである。本発明は、その詳細においては、特許請求の範囲内で様々であり得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩リグ(1)の油圧システム(HS)であって、
モータ(M)を用いて駆動される油圧ポンプ(Hp)を備える油圧動力ユニット(Pu)が設けられた、少なくとも1つの油圧回路(CL、OL)と、
前記油圧動力ユニット(Pu)によって生成される油圧およびフローによって動力供給される、少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータ(Ha)とを備え、
前記油圧システム(HS)に、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の出力性能を一時的に限定するための前記少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータ(Ha)に向けられる入力油圧流体の特徴を限定するための安全機能機構が設けられ、
前記油圧システム(HS)に、前記安全機能機構として働き、給送ユニット(Pu)の出力フローの大きさを限定するように構成された、少なくとも1つの制限動作モード(ROM)を含む少なくとも1つの制御ユニット(CU)が設けられ、それにより、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の動作速度が、受信した入力フローの限定された大きさによって限定される、
削岩リグ(1)の油圧システム(HS)において、
前記油圧ポンプ(Hp)が、電動モータ(M)を用いて駆動される固定容量型油圧ポンプであり、
前記電動モータ(M)が、少なくとも1つの電動モータ制御デバイス(Mc)を用いて制御され、
前記制御ユニット(CU)が、前記電動モータ(M)および前記油圧ポンプ(Hp)の回転速度を制御するための前記電動モータ制御デバイス(Mc)を制御するように構成され、
前記モータ(M)が、前記電動モータ制御デバイス(Mc)として働く可変周波数ドライブを用いて制御される速度制御電動モータであり、
前記可変周波数ドライブが、有線安全回路に基づいた統合安全機能を備え、
前記油圧流体の限定された前記出力フローが、選択された前記制限動作モード(ROM)に応答して、前記制御ユニット(CU)の制御下で実現されることを特徴とする、削岩リグ(1)の油圧システム(HS)。
【請求項2】
前記制御ユニット(CU)に、前記制限動作モード(ROM)の少なくとも1つの入力限界値が提供され、
前記入力限界値が、削岩機(6)の回転デバイス(9)および前記削岩機(6)に接続可能な掘削ツール(8)の最大回転速度を規定するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧システム。
【請求項3】
前記制御ユニット(CU)に、前記制限動作モード(ROM)の少なくとも1つの入力限界値が提供され、
前記入力限界値が、前記削岩機(6)に送る送りデバイス(10)および前記削岩機(6)に接続可能な掘削ツール(8)の最大送り速度を規定するように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の油圧システム。
【請求項4】
可動キャリア(2)と、
前記キャリア(2)に接続された少なくとも1つのブーム(3)と、
前記ブーム(3)の遠位端部分に搭載された、少なくとも1つの削岩ユニット(4)であって、送りビーム(5)と前記送りビーム(5)に移動可能に搭載された削岩機(6)とを備える、少なくとも1つの削岩ユニット(4)と、
油圧システム(HS)とを備え、
前記削岩機(6)が、前記油圧システム(HS)によって動力供給される少なくとも1つの油圧式アクチュエータ(Ha)を備える、
削岩リグ(1)において、
前記油圧システム(HS)が、請求項1から3のいずれか一項によるものであり、それにより、前記削岩ユニット(4)の前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)が、性能が限定された制限動作モード(ROM)下で制御可能であることを特徴とする、削岩リグ(1)。
【請求項5】
油圧システム(HS)の安全機能機構の実行中に、一時的に油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の出力性能を限定するための方法であって、
前記油圧システム(HS)の油圧回路(CL、OL)に接続された前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)に向けられる入力油圧流体の油圧の特徴を限定することと、
前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記油圧回路(CL、OL)において、生み出される油圧流体フローを限定することによって、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記出力性能を限定することであって、それにより、前記安全機構の制限動作モードの持続時間の間、前記流体フローの制限された大きさが、前記油圧回路の油圧ポンプ(Hp)において生み出される、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記出力性能を限定することとを含む方法において、
電動モータ(M)を用いて前記油圧ポンプ(Hp)を駆動することと、
前記電動モータ(M)および前記油圧ポンプ(Hp)の回転速度を制御して、前記油圧流体のフローの前記制限された大きさを生み出すこととを特徴とし、
前記モータ(M)が、電動モータ制御デバイス(Mc)として働く可変周波数ドライブを用いて制御される速度制御電動モータであり、
前記可変周波数ドライブが、有線安全回路に基づいた統合安全機能を備える、方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩リグ(1)の油圧システム(HS)であって、
モータ(M)を用いて駆動される油圧ポンプ(Hp)を備える油圧動力ユニット(Pu)が設けられた、少なくとも1つの油圧回路(CL、OL)と、
前記油圧動力ユニット(Pu)によって生成される油圧およびフローによって動力供給される、少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータ(Ha)とを備え、
前記油圧システム(HS)に、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の出力性能を一時的に限定するための前記少なくとも1つの油圧式掘削アクチュエータ(Ha)に向けられる入力油圧流体の特徴を限定するための安全機能機構が設けられ、
前記油圧システム(HS)に、前記安全機能機構として働き、前記油圧動力ユニット(Pu)の出力フローの大きさを限定するように構成された、少なくとも1つの制限動作モード(ROM)を含む少なくとも1つの制御ユニット(CU)が設けられ、それにより、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の動作速度が、受信した入力フローの限定された大きさによって限定される、
削岩リグ(1)の油圧システム(HS)において、
前記油圧ポンプ(Hp)が、電動モータ(M)を用いて駆動される固定容量型油圧ポンプであり、
前記電動モータ(M)が、少なくとも1つの電動モータ制御デバイス(Mc)を用いて制御され、
前記制御ユニット(CU)が、前記電動モータ(M)および前記油圧ポンプ(Hp)の回転速度を制御するための前記電動モータ制御デバイス(Mc)を制御するように構成され、
前記モータ(M)が、前記電動モータ制御デバイス(Mc)として働く可変周波数ドライブを用いて制御される速度制御電動モータであり、
前記可変周波数ドライブが、有線安全回路に基づいた統合安全機能を備え、
前記油圧流体の限定された前記出力フローが、選択された前記制限動作モード(ROM)に応答して、前記制御ユニット(CU)の制御下で実現されることを特徴とする、削岩リグ(1)の油圧システム(HS)。
【請求項2】
前記制御ユニット(CU)に、前記制限動作モード(ROM)の少なくとも1つの入力限界値が提供され、
前記入力限界値が、削岩機(6)の回転デバイス(9)および前記削岩機(6)に接続可能な掘削ツール(8)の最大回転速度を規定するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧システム。
【請求項3】
前記制御ユニット(CU)に、前記制限動作モード(ROM)の少なくとも1つの入力限界値が提供され、
前記入力限界値が
、削岩機(6)に送る送りデバイス(10)および前記削岩機(6)に接続可能な掘削ツール(8)の最大送り速度を規定するように構成されることを特徴とする、請求項
1に記載の油圧システム。
【請求項4】
可動キャリア(2)と、
前記キャリア(2)に接続された少なくとも1つのブーム(3)と、
前記ブーム(3)の遠位端部分に搭載された、少なくとも1つの削岩ユニット(4)であって、送りビーム(5)と前記送りビーム(5)に移動可能に搭載された削岩機(6)とを備える、少なくとも1つの削岩ユニット(4)と、
油圧システム(HS)とを備え、
前記削岩機(6)が、前記油圧システム(HS)によって動力供給される少なくとも1つの油圧式
掘削アクチュエータ(Ha)を備える、
削岩リグ(1)において、
前記油圧システム(HS)が、請求項1から3のいずれか一項によるものであり、それにより、前記削岩ユニット(4)の前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)が、性能が限定された制限動作モード(ROM)下で制御可能であることを特徴とする、削岩リグ(1)。
【請求項5】
油圧システム(HS)の安全機能機構の実行中に、一時的に油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の出力性能を限定するための方法であって、
前記油圧システム(HS)の油圧回路(CL、OL)に接続された前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)に向けられる入力油圧流体の油圧の特徴を限定することと、
前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記油圧回路(CL、OL)において、生み出される油圧流体フローを限定することによって、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記出力性能を限定することであって、それにより、前記安全
機能機構の制限動作モードの持続時間の間、前記流体フローの制限された大きさが、前記油圧回路の油圧ポンプ(Hp)において生み出される、前記油圧式掘削アクチュエータ(Ha)の前記出力性能を限定することとを含む方法において、
電動モータ(M)を用いて前記油圧ポンプ(Hp)を駆動することと、
前記電動モータ(M)および前記油圧ポンプ(Hp)の回転速度を制御して、前記油圧流体のフローの前記制限された大きさを生み出すこととを特徴とし、
前記モータ(M)が、電動モータ制御デバイス(Mc)として働く可変周波数ドライブを用いて制御される速度制御電動モータであり、
前記可変周波数ドライブが、有線安全回路に基づいた統合安全機能を備える、方法。
【国際調査報告】