(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】色変換シート及びこれを含むバックライトユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20241008BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241008BHJP
F21V 3/12 20180101ALI20241008BHJP
F21V 3/10 20180101ALI20241008BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20241008BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20241008BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241008BHJP
【FI】
G02B5/20
F21S2/00 431
F21V3/12
F21V3/10 310
F21V3/00 530
C09J7/29
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556518
(86)(22)【出願日】2023-07-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 KR2023010637
(87)【国際公開番号】W WO2024039093
(87)【国際公開日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2022-0103474
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501380081
【氏名又は名称】東レ先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA, INC.
【住所又は居所原語表記】93-1, Imsu-dong, Gumi-si, Gyeongsangbuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ジン, サン ウ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジュン ウ
(72)【発明者】
【氏名】オ, ジ ファン
【テーマコード(参考)】
2H148
3K244
4J004
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA01
2H148AA05
2H148AA19
2H148AA27
3K244AA01
3K244BA01
3K244BA06
3K244BA28
3K244BA31
3K244BA50
3K244CA03
3K244EA02
3K244EA12
3K244GA01
3K244GA04
3K244GA08
3K244GA17
4J004AB01
4J004CA03
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC03
4J004CE01
4J004FA01
4J004FA08
(57)【要約】
本発明の色変換シートは、有機蛍光体が樹脂マトリックス内に分散された第1波長変換層と、第1波長変換層の一面に位置した第1蛍光体拡散防止層と、第1蛍光体拡散防止層の一面に位置した粘着層とを含み、第1蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が第1波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ及び第1蛍光体拡散防止層に含まれた溶媒のヒルデブラント溶解度パラメータ間に所定の関係を満たして、輝度特性変化及び色変化問題を解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機蛍光体が樹脂マトリックス内に分散された第1波長変換層と、
前記第1波長変換層の一面に位置した第1蛍光体拡散防止層と、
前記第1蛍光体拡散防止層の一面に位置した粘着層とを含み、
前記第1蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式1に従う溶媒を含む組成物から形成されたことを特徴とする、色変換シート:
(数式1)
|P1-S2|>2MPa
1/2
P1:第1波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
S2:第1蛍光体拡散防止層に含まれた溶媒のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【請求項2】
前記第1蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式2に従う熱硬化性または熱可塑性有機化合物をさらに含む、請求項1に記載の色変換シート:
(数式2)
|P1-P2|>2MPa
1/2
P1:第1波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
P2:第1蛍光体拡散防止層に含まれた有機化合物のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【請求項3】
前記第1蛍光体拡散防止層の厚さは、0.01ないし10μmである、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項4】
前記色変換シートは、70℃温度条件において480時間処理した後x軸及びy軸の色座標変化が±0.0015以内である、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項5】
前記樹脂マトリックスは、エスター系、オレフィン系、アクリル系、エーテル系、ウレタン系、カーボネート系及びイミド系樹脂のうち、少なくとも一つ以上の樹脂を含む、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項6】
前記樹脂マトリックスは、ガラス転移温度が50ないし140℃である、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項7】
前記第1波長変換層の有機蛍光体は、前記蛍光体拡散防止層に離脱しない、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項8】
前記第1蛍光体拡散防止層は、可視光透過率が70%以上である、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項9】
前記第1波長変換層または前記粘着層の少なくとも一面に位置する基材をさらに含む、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項10】
前記粘着層上に位置する第2蛍光体拡散防止層と、
前記第2蛍光体拡散防止層上に位置し、有機蛍光体が樹脂マトリックス内に分散された第2波長変換層と、
をさらに含む、請求項1に記載の色変換シート。
【請求項11】
前記第2波長変換層は、前記第1波長変換層内に分散された有機蛍光体と同一または異なる色相の有機蛍光体を含む、請求項10に記載の色変換シート。
【請求項12】
前記第2蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式1に従う溶媒を含む組成物から形成されたことを特徴とする、請求項10に記載の色変換シート:
(数式1)
|P1-S2|>2MPa
1/2
P1:第2波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
S2:第2蛍光体拡散防止層に含まれた溶媒のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【請求項13】
前記第2蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式2に従う熱硬化性または熱可塑性有機化合物をさらに含む、請求項10に記載の色変換シート:
(数式2)
|P1-P2|>2MPa
1/2
P1:第2波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
P2:第2蛍光体拡散防止層に含まれた有機化合物のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【請求項14】
請求項1ないし13のうち、いずれか1項に記載の色変換シートを含む、バックライトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機蛍光体を使用する色変換シート及びこれを含むバックライトユニットに関し、さらに具体的に有機蛍光体の劣化を防止して、色変化が少なく輝度信頼性に優れた色変換シート及びこれを含むバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置(LCD、liquid crystal display)は、それ自体が発光して画像を形成できず、外部から光が入射して画像を形成する受光型ディスプレイ装置であって、このような液晶表示装置は、その背面に光を出射させるバックライトユニット(BLU、backlight unit)を必要とする。最近、液晶表示装置の高画質を具現するために、量子ドット技術がおおく適用されているが、このような量子ドット技術は、ナノ無機粒子の大きさ調節だけで多様な色合いを具現できるという長所を有しており、またUVのような光にも安定性が優秀であるという長所を有している。
【0003】
しかしながら、量子ドット技術が適用された液晶表示装置の場合、従来のカドミウム(Cd)系ナノ無機粒子を使用するが、カドミウム系ナノ無機粒子は、環境的に問題になるという点とナノ無機粒子が水分に脆弱であるから、バリヤフィルムを共に使用しなければならないという点のため、基材の選択及び他の光学フィルムとの複合化に限界があるという短所を有している。
【0004】
そのため、最近になってカドミウム系ナノ無機粒子を含まなくても高い色再現率と優れた輝度特性を具現できる有機蛍光体の開発が多くなされている。有機蛍光体は、量子ドット技術に適用されるナノ無機粒子に比べて発光効率が優秀であり、周辺化学物質の変化を通じて同じ蛍光体でも多様な発光特性を具現できるという長所を有している。また、有機蛍光体は、水分に相対的に強くてバリヤフィルムを適用する必要がないから、多様な基材の使用及び他の光学フィルムとの複合化が容易であるという長所も有している。
【0005】
しかしながら、有機蛍光体の場合、隣り合った物質との化学的または物理的反応により劣化が行われるおそれがあり、これによる光耐久性の低下は、ディスプレイへの有機蛍光体適用に問題として作用するから、これを解決できる技術開発が切実な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2012-0067167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、波長変換層に含まれた有機蛍光体が隣り合った層と化学的反応をすることと隣り合った層に広がるのを防止することによって、環境的に安全な有機蛍光体を採用しながらも色再現率と輝度特性に優れ、常温だけでなく高温及び高湿の環境でも光照射時色変化が少なく、かつ輝度信頼性に優れた色変換シート及びこれを含むバックライトユニットを提供しようとすることにある。
【0008】
本発明の前記及び他の目的と利点は、好ましい実施例を説明した下記の説明によりさらに明らかになるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、 有機蛍光体が樹脂マトリックス内に分散された第1波長変換層と、前記第1波長変換層の一面に位置した第1蛍光体拡散防止層と、前記第1蛍光体拡散防止層の一面に位置した粘着層とを含み、前記第1蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式1に従う溶媒を含む組成物から形成されたことを特徴とする、色変換シートにより達成される。
(数式1)
|P1-S2|>2MPa1/2
P1:第1波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
S2:第1蛍光体拡散防止層に含まれた溶媒のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【0010】
好ましくは、第1蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式2に従う熱硬化性または熱可塑性有機化合物をさらに含むことでありうる。
(数式2)
|P1-P2|>2MPa1/2
P1:第1波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
P2:第1蛍光体拡散防止層に含まれた有機化合物のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【0011】
好ましくは、第1蛍光体拡散防止層の厚さは、0.01ないし10μmでありうる。
【0012】
好ましくは、色変換シートは、70℃温度条件において480時間処理した後x軸及びy軸の色座標変化が±0.0015以内でありうる。
【0013】
好ましくは、樹脂マトリックスは、エスター系、オレフィン系、アクリル系、エーテル系、ウレタン系、カーボネート系及びイミド系樹脂のうち、少なくとも一つ以上の樹脂を含むことでありうる。
【0014】
好ましくは、樹脂マトリックスは、ガラス転移温度が50ないし140℃でありうる。
【0015】
好ましくは、第1波長変換層の有機蛍光体は、蛍光体拡散防止層に離脱しないことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、第1蛍光体拡散防止層は、可視光透過率が70%以上でありうる。
【0017】
好ましくは、第1波長変換層または粘着層の少なくとも一面に位置する基材をさらに含むことでありうる。
【0018】
好ましくは、粘着層上に位置する第2蛍光体拡散防止層と、第2蛍光体拡散防止層上に位置し、有機蛍光体が樹脂マトリックス内に分散された第2波長変換層と、をさらに含むことでありうる。
【0019】
好ましくは、第2波長変換層は、第1波長変換層内に分散された有機蛍光体と同一または異なる色相の有機蛍光体を含むことでありうる。
【0020】
好ましくは、第2蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式1に従う溶媒を含む組成物から形成されたことでありうる。
(数式1)
|P1-S2|>2MPa1/2
P1:第2波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
S2:第2蛍光体拡散防止層に含まれた溶媒のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【0021】
好ましくは、第2蛍光体拡散防止層は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式2に従う熱硬化性または熱可塑性有機化合物をさらに含むことでありうる。
(数式2)
|P1-P2|>2MPa1/2
P1:第2波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
P2:第2蛍光体拡散防止層に含まれた有機化合物のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【0022】
また、前記目的は、上述した色変換シートを含むバックライトユニットにより達成される。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の一実施例による色変換シート及びこれを含むバックライトユニットによれば、色変換シートは、有機蛍光体が分散された波長変換層の一面に有機蛍光体の拡散を防ぐ蛍光体拡散防止層をさらに形成することによって、波長変換層が外部に露出して波長変換層内の有機蛍光体が空気中の水分及び酸素のような不必要な要素により劣化するのを防止できるから、色座標変化または信頼度の低下問題を解決できる。
【0024】
また、本発明の一実施例による色変換シート及びこれを含むバックライトユニットによれば、蛍光体拡散防止層は、波長変換層を多様な基材フィルム及び/または他の波長変換層と積層するために用いられる粘着層との不必要な接触を防止して、波長変換層内の有機蛍光体が粘着層の化学官能基により劣化するのを防止でき、高温及び高温高湿条件での波長変換層の有機蛍光体が粘着層に広がることも防止可能であるから、これによる輝度特性変化及び色変化問題を解決できる。
【0025】
また、本発明の一実施例による色変換シート及びこれを含むバックライトユニットは、導光板、プリズムシート、輝度向上フィルム(DBEF)のような光学基材との複合化が可能であるだけでなく、多様な有機蛍光体及び多様な樹脂マトリックスに採用可能で、バリヤフィルムの省略が可能であるから、コスト競争力で優れている。
【0026】
ただし、本発明の効果らは、以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、以下の記載から当業者にとって明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施例による色変換シートの構成図である。
【
図2】本発明の他の実施例による色変換シートの構成図である。
【
図3】本発明の一実施例による色変換シートを含むバックライトユニットの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付した図面を参照して、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できるよう詳細に説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現化でき、ここに説明する実施例に限定されない。
【0029】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分に対しては、同一の図面符号を付してある。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。これに対し、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0030】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の熟練者により通常に理解されることと同じ意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先するはずである。また、本明細書において説明されることと類似または同等な方法及び材料が本発明の実施または試験に使用されうるが、適合した方法及び材料が本明細書に記載される。
【0031】
以下、図面を参考にして、本発明の一実施例による色変換シート(color conversion sheet)について詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例による色変換シートの構成図である。
【0033】
図1を参考にすれば、本発明の一実施例による色変換シート10は、有機蛍光体が樹脂マトリックスに分散された波長変換層20、波長変換層20の一面に位置した蛍光体拡散防止層22及び蛍光体拡散防止層22の一面に位置した粘着層24を含む。
【0034】
蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20と粘着層24との間に位置して、波長変換層20に分散された有機蛍光体13が粘着層24に広がるのを防止する特徴を有している。ここで、蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20が外部に露出して波長変換層20内の有機蛍光体13が空気中の水分及び酸素のような不必要な要素により劣化するのを防止するだけでなく、粘着層24のように隣り合った他の層との不必要な接触により有機蛍光体13が隣り合った他の層の化学官能基により劣化するのを防止する機能も果たす。
【0035】
すなわち、蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20と粘着層24との間に存在して、粘着層24の化学官能基または残留溶媒により波長変換層20内の有機蛍光体13が劣化するのを防止すると共に、高温または高温高湿の環境において時間が過ぎるにつれて波長変換層20の界面から離脱した有機蛍光体13が粘着層24に広がるのを防止して、これによって発生する有機蛍光体間の距離変化による有機蛍光体の発光効率変化を防止して、窮極的には、色変換シートにより放出される光の色座標変化または信頼度の低下を防止する役割をする。したがって、蛍光体拡散防止層22を適用した色変換シート10は、波長変換層20の有機蛍光体13が他の層に広がるか、または層間混合によって移動することが防止されて、有機蛍光体13間の距離が一定に維持されるにつれて、多様な環境でも高い色均一性、均一な輝度及び高い信頼度を具現できる。
【0036】
本発明の一実施例による色変換シート10において蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20の一面に塗布または印刷方式により形成されることができるが、このとき、蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20に影響を与えてはならない。すなわち、蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20を溶かしたり波長変換層20と混合されることができる溶媒または有機化合物を含むことは好ましくない。
【0037】
そのため、蛍光体拡散防止層22は、下記数式1を満たす溶媒を含む組成物から形成されることが好ましく、このとき、溶媒は、数式1を満たすいかなる溶媒も採用可能である。
(数式1)
|P1-S2|>2MPa1/2
P1:波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度(Hildebrand Solubility Parameter)パラメータ(MPa1/2)
S2:蛍光体拡散防止層に含まれた溶媒のヒルデブラント溶解度(Hildebrand Solubility Parameter)パラメータ(MPa1/2)
前記数式1のヒルデブラント溶解度パラメータは、ポリマーハンドブック(polymer handbook)を使用して探すことができる。
【0038】
波長変換層20に含まれた樹脂マトリックスの溶解度パラメータと蛍光体拡散防止層22に含まれた溶媒の溶解度パラメータ差は、数式1のように2MPa1/2を超過することが好ましく、4MPa1/2以上であることがさらに好ましい。これは、これらの両方の溶解度パラメータ差が2MPa1/2以下で充分でない場合、蛍光体拡散防止層22に含まれた溶媒が波長変換層20を溶かして波長変換層20内の有機蛍光体13がむしろ蛍光体拡散防止層22に拡散または移動できるためである。
【0039】
また、蛍光体拡散防止層22は、下記数式2を満たす熱硬化性または熱可塑性有機化合物を含む組成物から形成されることが好ましい。このとき、前記有機化合物は、単分子、オリゴマー及び樹脂のうち、少なくともいずれか一つであることが好ましく、数式2を満たすいかなる有機化合物も採用可能である。
(数式2)
|P1-P2|>2MPa1/2
P1:波長変換層の樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度(Hildebrand Solubility Parameter)パラメータ(MPa1/2)
P2:蛍光体拡散防止層に含まれた有機化合物のヒルデブラント溶解度(Hildebrand Solubility Parameter)パラメータ(MPa1/2)
【0040】
波長変換層20に含まれた樹脂マトリックスの溶解度パラメータと蛍光体拡散防止層22に含まれた有機化合物の溶解度パラメータ差は、数式2のように2MPa1/2を超過することが好ましく、4MPa1/2以上であることがさらに好ましい。これは、波長変換層20の樹脂マトリックス19及び蛍光体拡散防止層22の有機化合物間の溶解度パラメータ差が2MPa1/2以下で充分でない場合、蛍光体拡散防止層22が高温または高温高湿の環境において時間が過ぎるにつれて波長変換層20と混合されるか、または波長変換層20の界面から有機蛍光体13が離脱して、蛍光体拡散防止層22に拡散または移動できるためである。
【0041】
そして、蛍光体拡散防止層22の厚さは、0.01ないし10μmであることが好ましく、0.01ないし5μmであることがさらに好ましく、0.01ないし2μmであることがさらに好ましい。これは、蛍光体拡散防止層22の厚さが0.01μm未満の場合、高温または高温高湿の環境による有機蛍光体13の拡散防止機能が低下して、有機蛍光体13の拡散によって発生できる色変化の制御が難しいためである。これに対し、蛍光体拡散防止層22の厚さが10μm超過の場合、光の透過効率が阻害でき、波長変換層20と拡散防止層22の溶媒及び有機化合物との溶解度差による塗布性不良が発生できるためである。
【0042】
蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20と互いに異なる屈折率を有することが好ましい。例えば、入射光に対して最終放出される光が波長変換層20を通して出る場合、蛍光体拡散防止層22の屈折率は、波長変換層20の屈折率より大きいことが好ましい。これは、蛍光体拡散防止層22の光反射率を高めて最終的に色変換された光を外部に効果的に放出させることができるためである。
【0043】
一実施例において、蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20から離脱した有機蛍光体13を含まない。上述のように、本発明において蛍光体拡散防止層22は、数式1及び2を満たすことによって波長変換層20の有機蛍光体13が蛍光体拡散防止層22に離脱するか、または拡散されなくて内部に波長変換層20から離脱した有機蛍光体13を含まないので、高い光信頼性を有する。
【0044】
一実施例において、蛍光体拡散防止層22は、波長変換層20の有機蛍光体13から発光する光の強度を低下させないことが好ましい。そのため、蛍光体拡散防止層22は、可視光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。蛍光体拡散防止層22の可視光透過率が70%未満の場合、波長変換層20の有機蛍光体13が入射光により発光して発生する光の強度が低下して、色変換シートの効率が低下する。
【0045】
一実施例において、波長変換層20は、樹脂マトリックス19及び樹脂マトリックス19に分散されている有機蛍光体13を含む。
【0046】
樹脂マトリックス19は、エスター系(ester)、オレフィン系(olefin)、アクリル系(acryl)、エーテル系(ether)、ウレタン系(urethane)、カーボネート系(carbonate)及びイミド系(imide)樹脂のうち、少なくとも一つ以上を含むことが好ましい。
【0047】
樹脂マトリックス19は、波長変換層20から有機蛍光体13を固定させると同時に水分または酸素に露出するのを防止して、樹脂マトリックス19に分散されている有機蛍光体13の劣化を防止する役割をする。
【0048】
そして樹脂マトリックス19に含まれた樹脂は、水平均分子量(Mn)が1,000~50,000g/molまたは重量平均分子量(Mw)が50,000~2,000,000g/molであることが好ましい。これは、樹脂マトリックス19に含まれた樹脂の水平均分子量が1,000g/mol未満または重量平均分子量が50,000g/mol未満の場合、有機蛍光体13の固定が困難であるから、温度に応じる有機蛍光体13の凝集(aggregation)とこれによる光特性低下が発生でき、水平均分子量が50,000g/mol超過または重量平均分子量が2,000,000g/mol超過の場合、樹脂マトリックス19が溶媒に対する溶解性が不良であるから、波長変換層20の形成が困難になる場合もあるからである。
【0049】
また、樹脂マトリックス19に含まれた樹脂の酸価(acid value)は、0~15mgKOH/gでありえ、好ましくは、0~10mgKOH/gでありうる。そして樹脂マトリックス19に含まれた樹脂の水酸基価(hydroxyl value)は、0~30mgKOH/gでありえ、好ましくは、0~20mgKOH/gでありえ、さらに好ましくは0~10mgKOH/gでありうる。一般に色変換シートに含まれた波長変換層20の樹脂マトリックス19として採用されうるエスター系(ester)、オレフィン系(olefin)、アクリル系(acryl)、エーテル系(ether)、ウレタン系(urethane)、カーボネート系(carbonate)及びイミド系(imide)樹脂は、これらの樹脂内に存在する水酸基またはカルボキシ基などの官能基が樹脂マトリックス内に分散されている有機蛍光体13の劣化を加速化させて有機蛍光体13の信頼性を低下させることができるため、前記範囲に酸価と水酸基価を維持することが好ましい。
【0050】
このような、樹脂マトリックス19の樹脂は、ポリエステル(polyester)、変性ポリエステル(modified polyester)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリシクロオレフィン(polycyclo-olefin)、ポリ(メチル)メタアクリレート(poly(methyl)methacrylate)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリカーボネート(polycarbonate)及びポリイミド(polyimide)のうち、少なくともいずれか一つを含むことができ、これらのブロック共重合体形態を含むこともできる。
【0051】
また。樹脂マトリックス19は、ガラス転移温度(Tg)が50ないし140℃であることが好ましく、60ないし140℃であることがさらに好ましく、70ないし140℃であることが最も好ましい。これは、樹脂マトリックス19のガラス転移温度が50℃未満の場合、高温または高温高湿の環境において時間が過ぎるにつれて複数の有機蛍光体13の凝集(aggregation)が発生して、これによる光特性低下が発生でき、ガラス転移温度が140℃超過の場合、一般に樹脂の結晶性が高くて溶媒に対する溶解性が不良でありえ、基材フィルムにコーティング後乾燥する時に樹脂の結晶化によるフィルムのカール現象(Curl)が発生できるためである。
【0052】
一実施例において、波長変換層20の樹脂マトリックス19に分散される有機蛍光体13は、励起光(excitation light)の照射により励起光と他の波長の光を放出する蛍光体である。波長変換層20は、目的によって緑色蛍光体または赤色蛍光体の単一蛍光体を含むか、または緑色蛍光体及び赤色蛍光体の組合により多様な色の光を放出できる。有機蛍光体13は、一つの波長変換層20に一つの色を放出する同じ色相の有機蛍光体13が複数含まれることができ、このとき、複数の有機蛍光体は、同じ物質または異なる物質でありうる。一例として、波長変換層20は、複数の緑色有機蛍光体または複数の赤色有機蛍光体のうち、いずれか一つの有機蛍光体のみを含んで、一つの色の光だけを放出させるようにすることができ、また、一つの色相の有機蛍光体を一つの波長変換層に使用する場合、互いに異なる色相の有機蛍光体を各々含む二つ以上の波長変換層20を別に形成して、多様な色の光を放出させることができる。
【0053】
他の実施形態において、一つの波長変換層20に二つ以上の互いに異なる色相の有機蛍光体13が複数混合されて含まれることができ、このとき、複数の有機蛍光体は、同じ物質または異なる物質でありうる。一例として、波長変換層20は、緑色有機蛍光体及び赤色有機蛍光体が混合されて含まれることができる。
【0054】
有機蛍光体13は、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、トリフェニレン、フェニレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物またはその誘導体(例えば、2-(ベンゾチアゾール-2-イル)-9,10-ジフェニルアントラセンまたは5,6,11,12-テトラフェニルナフタセン等)、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどのヘテロアリール環を有する化合物またはその誘導体、ボラン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、4,4’-ビス(2-(4-ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’-ビス(N-(スチルベン-4-イル)-N-フェニルアミノ)スチルベンなどのアミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4-c]ピロール誘導体、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-9-(2’-ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1-gh]クマリンなどのクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体及びその金属錯体及びN,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4、4’-ジフェニル-1,1’-ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などを含むことができる。
【0055】
本発明の一実施例による有機蛍光体13として緑色有機蛍光体は、下記の化学式1で表れる化合物を含むことが好ましく、赤色有機蛍光体は、下記の化学式2で表れる化合物を含むことが好ましい。
【化1】
【化2】
【0056】
波長変換層20は、樹脂マトリックス19の樹脂固形分100重量部対比有機蛍光体13 0.0001ないし10重量部を含むことが好ましい。これは、有機蛍光体13を0.0001重量部未満に含む場合、色変換シート10を通じて望みの色相への色変換効果が微々たるものでありえ、10重量部を超過して含む場合、有機蛍光体13の凝集のような相互作用により、消光現象が発生できるためである。
【0057】
樹脂マトリックス19に分散された有機蛍光体13を含む波長変換層20の厚さは、1ないし150μmであることが好ましく、1ないし100μmであることがさらに好ましく、1ないし50μmであることが最も好ましい。これは、波長変換層20の厚さが150μm超過の場合、十分な溶媒除去が難しくて波長変換層20内に残留している多様な溶媒により有機蛍光体13の劣化が発生できるためである。
【0058】
一実施例において、波長変換層20及び粘着層24の外部と接する少なくとも一面には、必要によって基材17をさらに含むことができる。すなわち、波長変換層20の粘着層24が形成されない一面及び/または粘着層24の波長変換層20が形成されない一面に基材17をさらに含むことができる。例えば、
図1に示すように、波長変換層20の表面に第1基材17aが位置し、粘着層24の表面に第2基材17bを位置させて、色変換シートを外部から保護し支持できる。
【0059】
基材17は、透明かつ可撓性のある高分子フィルムでありえ、例えば、ポリエチレンテレフタルレート(polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphtalate)、ポリアリレート(polyacrylate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、ポリイミド(polyimide)などの高分子フィルムでありうるが、これに限定されず、多様な高分子フィルムが採用されることができる。
【0060】
ここで、基材17は、拡散シート、プリズムシートなどでありうるが、これに限定されず、多様な機能を有したシートが採用されることができる。
【0061】
基材17が粘着層24を通じて蛍光体拡散防止層22に粘着さること、すなわち基材17が粘着層24の一面に積層される場合において、粘着層24及び基材フィルム17間の粘着力と粘着層24及び蛍光体拡散防止層22間の粘着力は、全部50gf/inch以上であることが好ましい。これは、粘着力が50gf/inch未満の場合、色変換シート10の積層構造の固定が難しくありうるためである。
【0062】
上述した内容による色変換シートは、70℃温度条件において480時間処理した後、x軸及びy軸の色座標変化が±0.0015以内であることが好ましい。色座標変化が±0.0015を超過する場合、輝度特性及び色変化問題が発生するようになる。
【0063】
次に、
図2を参考にして、本発明の他の実施例による色変換シートについて説明する。
図2は、本発明の他の実施例による色変換シートの構成図である。
【0064】
図2に示すように、
図2に示す本発明の他の実施例による色変換シート100は、粘着層24の両面に蛍光体拡散防止層22-1、22-2が形成され、前記蛍光体拡散防止層22-1、22-2の前記粘着層24が位置しない一面には、第1波長変換層201及び第2波長変換層202が形成され、必要によって第1波長変換層201及び第2波長変換層202の外部面に基材17が形成されることができる。すなわち、
図2の一例において色変換シート100は、粘着層24を中心に粘着層24の下部に第1蛍光体拡散防止層22-1及び第1波長変換層201が順次に位置し、粘着層24の上部に第2蛍光体拡散防止層22-2及び第2波長変換層202が順次に位置する。
【0065】
以下、本発明の一実施例による色変換シート10である
図1と重複する説明は省略する。
【0066】
図1において上述したように、
図2の本発明の他の実施例による色変換シート100においても第2蛍光体拡散防止層22-2は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式1に従う溶媒を含む組成物から形成されることが好ましい。
(数式1)
|P1-S2|>2MPa
1/2
P1:第2波長変換層樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
S2:第2蛍光体拡散防止層に含まれた溶媒のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【0067】
また、第2蛍光体拡散防止層22-2は、ヒルデブラント溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)が下記数式2に従う熱硬化性または熱可塑性有機化合物をさらに含む組成物で形成されることが好ましい。
(数式2)
|P1-P2|>2MPa1/2
P1:第2波長変換層樹脂マトリックスのヒルデブラント溶解度パラメータ
P2:第2蛍光体拡散防止層に含まれた有機化合物のヒルデブラント溶解度パラメータ。
【0068】
また、第1波長変換層201及び第2波長変換層202は、それぞれ互いに異なる色相の有機蛍光体13を含むことができる。一つの波長変換層に互いに異なる色相の有機蛍光体を混合して使用する場合、互いに異なる有機蛍光体間の反応による劣化が発生するか、または互いに異なる有機蛍光体間の距離変化により色座標に変化が発生できる。したがって、互いに異なる色相の有機蛍光体を別の波長変換層201、202に分離して色変換シート100を製造できる。ここで、第1波長変換層201及び第2波長変換層202に含まれた樹脂マトリックス及び有機蛍光体の構成は、上述した
図1の構成と同一である。
【0069】
一例として、第1波長変換層201は、化学式1に従う緑色有機蛍光体を混合とし、第2波長変換層202は、化学式2に従う赤色有機蛍光体を混合して色変換シート100を製造できる。
【0070】
蛍光体拡散防止層22-1、22-2は、第1波長変換層201及び第2波長変換層202の有機蛍光体が粘着層24に拡散されるか、または拡散されて互いに混合されるのを防止する。このとき、蛍光体拡散防止層22-1、22-2は、第1波長変換層201及び第2波長変換層202全部に対して、上述した数式1と数式2を満たすことが好ましい。
【0071】
また、第1蛍光体拡散防止層22-1、粘着層24及び第2蛍光体拡散防止層22-2は、第1波長変換層201及び第2波長変換層202間の一定の距離(間隔)を維持させることによって、赤色有機蛍光体の発光効率を一定に維持させることができ、これにより色変換シート100により放出される白色光の色座標及び信頼度の低下を防止できる。
【0072】
次に、
図3を参考して本発明の一実施例による色変換シートを含むバックライトユニットについて説明する。
【0073】
図3は、本発明の一実施例による色変換シートを含むバックライトユニットの構成図である。
【0074】
図3に示すように、本発明の一実施例によるバックライトユニット90は、光源70、光源70から放出された光を反射させて光効率を高めることができる反射板50、反射板50の上部に位置し光源70から放出される光を均一に広げる機能をする導光板30及び導光板30の上部に位置する色変換シート10を含むことができる。
【0075】
図3では、便宜上エッジ型光源70を示したが、これに限定されるものではなく、光源70は、側鎖型または直下型など多様な形態で採用されることができる。
【0076】
また、色変換シート10は、上述した
図1または
図2に示した実施例において説明したことと同じ色変換シートが採用されることができるので、これと重複する説明は省略する。
【0077】
また、色変換シート10の上部には、少なくとも一つ以上の光学シート、例えば拡散シート、プリズムシート、輝度向上フィルム(DBEF)などをさらに含むことができる。
【0078】
以下、実施例と比較例を通じて本発明の構成及びそれによる効果をさらに詳細に説明しようとする。しかしながら、本実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0079】
(実施例1)
下記の化学式1及び化学式2に従う緑色有機蛍光体及び赤色有機蛍光体をヒルデブラント溶解度パラメータが19.3MPa
1/2であるメチルエチルケトンに各々溶かして、2種の有機蛍光体溶液を製造した。
【化3】
【化4】
【0080】
製造された2種の有機蛍光体溶液を、ヒルデブラント溶解度パラメータが19.0MPa1/2であるポリ(メチル)メタアクリレート(sigma-aldrich)と共に混合した後、粘度が150cpsになるようにヒルデブラント溶解度パラメータが19.3MPa1/2であるメチルエチルケトンを追加した後、150rpmで30分間撹はんして波長変換層組成物を製造した。このとき、緑色有機蛍光体は、ポリ(メチル)メタアクリレート樹脂の固形分100重量部基準0.75重量部になるようにし、赤色有機蛍光体は、ポリ(メチル)メタアクリレートの固形分100重量部基準0.015重量部になるようにした。
【0081】
波長変換層組成物をポリエチレンテレフタルレートフィルム(TAK、PL8)の上面にバーコーティング後、140℃にて2分間乾燥させて、20μm厚さの波長変換層を製造した。
【0082】
次に、ヒルデブラント溶解度パラメータが48.0MPa1/2である蒸留水100重量部に対してヒルデブラント溶解度パラメータが30.5MPa1/2であるポリビニールアルコール(Daejung Chemicals & Metals)5重量部を添加した後、65℃温度にて1時間撹はんして蛍光体拡散防止層組成物を製造した。
【0083】
その後、蛍光体拡散防止層組成物を波長変換層の上面にバーコーティングした後、140℃にて2分間乾燥させて、0.2μm厚の蛍光体拡散防止層を製造した。
【0084】
粘着層組成物は、アクリル系樹脂(Samwon Co.,Ltd、AT-2100)100重量部にトルエン20重量部を投入し、30分間撹はんして製造した。以上のように製造した粘着剤組成物を拡散フィルム(TAK、TDF12C)の拡散層の反対面にバーコーティングした後、140℃にて2分間乾燥させて、10μm厚の粘着層を製造した。
上記のように製造された粘着層を蛍光体拡散防止層と互いに接触されるように積層させた後、ロールラミネータ(GMP、EXCELAM II-355Q)を利用して色変換シートを製造した。
【0085】
(実施例2)
蛍光体拡散防止層組成物をヒルデブラント溶解度パラメータが15.3MPa1/2であるヘプタン(heptane)100重量部に対してヒルデブラント溶解度パラメータが15.3MPa1/2であるポリジメチルシロキサン(DOW)20重量部を添加した後3時間撹はんして製造したことを除いては、実施例1と同じ方法により色変換シートを製造した。
【0086】
(実施例3)
蛍光体拡散防止層組成物のヘプタン(heptan)の代わりに、ヒルデブラント溶解度パラメータが16.8MPa1/2であるシクロヘキサン(cyclohexane)を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法により色変換シートを製造した。
【0087】
(実施例4)
実施例1において製造された緑色有機蛍光体溶液と赤色有機蛍光体溶液を、各々別にポリ(メチル)メタアクリレート(sigma-aldrich)をメチルエチルケトンに溶かした樹脂に混合した後、粘度が150cpsになるようにメチルエチルケトンを追加した後、150rpmで30分間撹はんして緑色波長変換層組成物と赤色波長変換層組成物を各々製造した。
【0088】
このとき、緑色有機蛍光体は、ポリ(メチル)メタアクリレート樹脂の固形分100重量部に対して0.36重量部になるようにし、赤色有機蛍光体は、ポリ(メチル)メタアクリレート樹脂の固形分100重量部に対して0.03重量部になるようにした。
【0089】
次に、緑色波長変換層組成物をポリエチレンテレフタルレートフィルム(TAK、PL8)の上面にバーコーティング後、140℃にて2分間乾燥させて、20μm厚の緑色波長変換層を製造し、赤色波長変換層組成物を拡散フィルム(TAK、TDF12C)の拡散層の反対面にバーコーティングした後、140℃にて2分間乾燥させて、20μm厚の赤色波長変換層を各々製造した。
【0090】
また、実施例1の蛍光体拡散防止層組成物を緑色及び赤色波長変換層の上面に各々バーコーティング後、140℃にて2分間乾燥させて、0.2μm厚の蛍光体拡散防止層を製造した。
【0091】
その後、実施例1の粘着剤組成物を赤色波長変換層の一面に形成された蛍光体拡散防止層の表面にバーコーティング後、140℃にて2分間乾燥させて、10μm厚の粘着層を製造した後、粘着層の上面及び緑色波長変換層の一面に形成された蛍光体拡散防止層の上面が互いに接触されるように積層させた後、ロールラミネータ(GMP、EXCELAM II-355Q)を利用して色変換シートを製造した。
【0092】
(比較例1)
蛍光体拡散防止層を形成する過程を省略したことを除き、粘着層を波長変換層と互いに接触されるように積層させたことを除き、実施例1と同じ方法で色変換シートを製造した。
【0093】
(比較例2)
蛍光体拡散防止層組成物のヘプタン(heptan)の代わりにヒルデブラント溶解度パラメータが18.3MPa1/2であるトルエンを使用したことを除いては、実施例2と同じ方法で色変換シートを製造した。
【0094】
(比較例3)
蛍光体拡散防止層組成物のヘプタン(heptan)の代わりに、ヒルデブラント溶解度パラメータが18.2MPa1/2であるキシレン(xylene)を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法で色変換シートを製造した。
【0095】
(比較例4)
蛍光体拡散防止層組成物として蒸留水及びポリビニールアルコールの代わりに、ヒルデブラント溶解度パラメータが18.3MPa1/2であるトルエン100重量部に対して、ヒルデブラント溶解度パラメータが19.0MPa1/2であるポリ(メチル)メタアクリレート(sigma-aldrich)20重量部を添加して製造したことを除いては、実施例1と同じ方法により色変換シートを製造した。
【0096】
表1は、実施例1ないし4及び比較例2ないし4に対する波長変換層及び蛍光体拡散防止層間のヒルデブラント溶解度パラメータ差を示す。比較例1は、蛍光体拡散防止層を省略したことで表1から除外した。
【0097】
【0098】
表1に示したように、実施に1ないし4ともは、数式1及び数式2に従う溶解度パラメータ差が2MPa1/2を超過して数式1及び2の条件を満たすことを確認することができる。これに対し、比較例2及び3は、数式1に従う溶解度パラメータの差が1MPa1/2未満で数式1の条件を満たさなく、比較例4は、数式1及び数式2に従う溶解度差が2MPa1/2未満で数式2の条件を満たさないことが分かる。
【0099】
上述した内容のように製造された実施例1ないし4と比較例1ないし4に対して、次の実験例に従って色変換シートの物性を測定し、これを評価した。
【0100】
(実験例)
(1)輝度及び色座標変化測定
実施例1~4及び比較例1~4の色変換シートに対して、初期輝度(L)及び色座標(x,y)値を測定した後、70℃温度条件にて時間経過に応じる色座標変化(Δx,Δy)及び輝度変化(ΔLv)を分光放射輝度計(KONICA MINOLTA、CA-S20W)を利用して測定した。
【0101】
このとき、色変換シートは、450nm波長の青色LEDと導光板を含むバックライトユニットの導光板の上面に色変換シートを積層し、色変換シートの上面にプリズムシートをさらに積層した後に実験を行った。
【0102】
上述した実験例に従って色変換シートに対して行われた実験結果は、下記の表の通りである。
【0103】
下記の表2は、実施例1ないし4及び比較例1ないし4の輝度及び色座標変化を測定した結果を表す。
【0104】
【0105】
前記表2に表したように、波長変換層と蛍光体拡散防止層の溶解度パラメータ差が数式1及び2を満たす実施例1ないし4は、70℃温度条件において480時間処理した後にもx軸及びy軸の色座標の変化が全部±0.0015以内であることに対し、蛍光体拡散防止層を形成せずに粘着層を直に積層した色変換シートである比較例1は、x軸変化値が-0.0025、y軸変化値が-0.0113で全体実施形態及び比較例のうち、最も大きく現れた。
【0106】
そして、波長変換層と蛍光体拡散防止層の溶解度パラメータ差が数式1を満たさない比較例2及び3は、実施例1ないし4と比較してさらに大きな色座標変化が現れ、数式1及び2を満たさない比較例4もまた実施例1ないし4と比較してさらに大きな色座標変化が現れた。すなわち、波長変換層と粘着層の表面エネルギーが数式1または2を満たさない比較例2ないし4は、波長変換層と粘着層の表面エネルギーが数式1及び2を満たす実施例1ないし4より色座標変化が大きいことを確認することができた。
【0107】
また、実施例1ないし4は、480時間処理した後、輝度変化が2.5%未満で特に240時間以後には、1%未満の変化を表すこと対し、蛍光体拡散防止層を形成せずに粘着層を直に積層した色変換シートである比較例1は、輝度がますます減少して480時間処理した後には、5.7%の輝度変化が現れ、波長変換層と蛍光体拡散防止層の溶解度パラメータ差が数式1または2を満たさない比較例2ないし4は、輝度がますます減少して480時間処理した後には、3.1%~4.6%の輝度変化が現れた。
【0108】
上述したように、比較例1のように蛍光体拡散防止層を形成せずに粘着層を直に積層した色変換シートと比較例2ないし4のように波長変換層と蛍光体拡散防止層の溶解度パラメータ差が数式1または2を満たさない場合、高温の環境において色変化及び輝度変化が大きく発生するのを確認することができた。反面に、波長変換層と蛍光体拡散防止層の溶解度パラメータ差が数式1及び2を満たす場合、高温の環境でも色及び輝度変化が少ないことを確認することができた。
【0109】
以上のような本発明による色変換シートは、有機蛍光体の拡散を防ぐ蛍光体拡散防止層をさらに形成して、粘着層の化学官能基または残留溶媒により波長変換層内の有機蛍光体が劣化するのを防止すると同時に、高温または高温高湿の環境において時間が過ぎるにつれて波長変換層の界面から離脱した有機蛍光体が粘着層に広がるのを防止して、有機蛍光体の発光効率を変化及び劣化に応じる輝度特性変化及び色変化問題を解決できる。また、波長変換層と蛍光体拡散防止層の溶解度パラメータ差を通じて、蛍光体拡散防止層が波長変換層との積層時に互いに混合されるか、または残留溶媒の影響で高温または高温高湿の環境において時間が過ぎるにつれて波長変換層から有機蛍光体が蛍光体拡散防止層にむしろ広がるのを防止して、これに伴う輝度特性変化及び色変化問題を解決できることを確認することができる。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0111】
10、100 色変換シート
20 波長変換層
13 有機蛍光体
19 樹脂マトリックス
22 蛍光体拡散防止層
22-1 第1蛍光体拡散防止層
22-2 第2蛍光体拡散防止層
24 粘着層
17、17a、17b 基材
201 第1波長変換層
202 第2波長変換層
30 導光板
50 反射板
70 光源
90 バックライトユニット。
【国際調査報告】