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特表2024-537597原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法
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  • 特表-原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/06 20060101AFI20241008BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G21C17/06 040
G01B11/16 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508355
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 RU2021000549
(87)【国際公開番号】W WO2023055251
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2021128446
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312460
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“ロスエネルゴアトム”
(71)【出願人】
【識別番号】524051885
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー “エヌ. エー. ドレジャーリ リサーチ アンド デベロップメント インスティテュート オブ パワー エンジニアリング”
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(71)【出願人】
【識別番号】524052099
【氏名又は名称】オブチェストヴォ エス オグラニチェンノイ オトヴェットヴェンノスチュ “プロローグ”
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェドロフ, アルチョム・ニコラエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ポドシンニコフ, アレクサンドル・アレクサンドロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ステパノフ, マクシム・アレクセーヴィッチ
【テーマコード(参考)】
2F065
2G075
【Fターム(参考)】
2F065AA46
2F065BB08
2F065FF51
2F065JJ01
2F065JJ05
2F065JJ15
2F065LL02
2G075AA02
2G075CA38
2G075FA11
2G075FB03
(57)【要約】
原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法であって、光ファイバーセンサーの下端には、角度変更可能に吊り下げられた重力振り子が備えられており、前記重力振り子の上端面と、前記光検出器に接続されており前記光ファイバーセンサーに固定されている前記光ファイバー回線の下端面との間にガスギャップがあり、前記ガスギャップは、前記光ファイバーセンサーが前記燃料アセンブリの中心管内を移動する際、撓んだ前記中心管の軸に対して前記重力振り子が傾くことによって変化し、当該方法は、前記光ファイバーセンサーを備えた前記可撓性の中空支持棒を前記燃料アセンブリの中心管に沿って移動させ、前記ガスギャップ内で反射された反射光信号の干渉パターンの変化を前記光検出器と前記コンピュータを使用して記録し、各光ファイバーセンサーの光ファイバー回線ごとに、記録された反射光信号の干渉パターンの変化に基づいて、前記ガスギャップの変化のプロフィログラムをそれぞれ記録し、得られたガスギャップのプロフィログラムのそれぞれに基づいて、垂直軸からの前記燃料アセンブリの中心管の撓みの大きさと方向を計算し、この結果に基づいて、原子炉燃料チャネルの撓みの存在と大きさを決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法であって、
少なくとも1つの光ファイバーセンサーが先端に固定されている可撓性の中空支持棒を燃料アセンブリの中心管内に配置し、
前記光ファイバーセンサーに接続された光ファイバー回線を通じて光信号を伝送し、
前記光ファイバー回線に接続された光検出器を使用して反射光信号を記録し、
前記光検出器に接続されたコンピュータを使用して光信号のパラメータを分析し、原子炉燃料チャネルの撓みを決定するものであり、
前記光ファイバーセンサーの下端には、角度変更可能に吊り下げられた重力振り子が備えられており、
前記重力振り子の上端面と、前記光検出器に接続されており前記光ファイバーセンサーに固定されている前記光ファイバー回線の下端面との間にガスギャップがあり、
前記ガスギャップは、前記光ファイバーセンサーが前記燃料アセンブリの中心管内を移動する際、撓んだ前記中心管の軸に対して前記重力振り子が傾くことによって変化し、
当該方法は、
前記光ファイバーセンサーを備えた前記可撓性の中空支持棒を前記燃料アセンブリの中心管に沿って移動させ、前記ガスギャップ内で反射された反射光信号の干渉パターンの変化を前記光検出器と前記コンピュータを使用して記録し、
各光ファイバーセンサーの光ファイバー回線ごとに、記録された反射光信号の干渉パターンの変化に基づいて、前記ガスギャップの変化のプロフィログラムをそれぞれ記録し、
得られたガスギャップのプロフィログラムのそれぞれに基づいて、垂直軸からの前記燃料アセンブリの中心管の撓みの大きさと方向を計算し、
この結果に基づいて、原子炉燃料チャネルの撓みの存在と大きさを決定する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定技術に関するものであり、垂直方向に延びる流路の撓みを測定する方法の実現、特に、高出力流路型原子炉を含む原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法の実現に使用できる。
【背景技術】
【0002】
この方法に最も近い技術的解決策は、原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法である。こうした方法は、少なくとも1つの光ファイバーセンサーを有する支持体を燃料アセンブリの中央管内に配置し、光ファイバーセンサーの光ファイバー回線を通じて光信号を伝送し、反射された光信号を分析することによって、燃料アセンブリの中央管の撓みをプロフィログラムの形式で記録することを含む方法である(ロシア特許第2626301号、公開日2017年7月25日、IPC G01B 5/20)。
【0003】
既知の方法では、耐放射線性石英系光ファイバーの構造内に複数レベルで埋め込まれたファイバ・ブラッグ・グレーティングである光ファイバー歪センサーが使用される。
【0004】
光信号を生成するために、波長800nmから1600nm(800・10-9mから1600・10-9m)のレーザー照射が使用され、内部に光ファイバー歪センサーが配置された可撓性の中空ロッドが支持体として使用される。
【0005】
原子炉燃料チャンネルが撓んでいる場合、燃料アセンブリの中央管も撓んでおり、その結果、燃料アセンブリの中央管内に配置された、光ファイバーセンサーを備えた可撓性ロッドに撓みが生じる。これにより、光ファイバー歪センサーは、引張力または圧縮力の影響を受ける。この状態で、狭帯域波長可変レーザーによる光信号が歪センサーの光ファイバー回線を通過するとき、ブラッググレーティングによって反射される光の波長が変化する。この変化が光検出器によって検出され、コンピュータにインストールされたソフトウェアを使って分析される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ロシア特許第2626301号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原子炉燃料チャネルの撓みを測定する既知の方法の欠点は、耐放射線性石英系光ファイバーの内部に屈折率を変化させた微細な部分を技術的に複雑に実装してブラッググレーティングを形成することに伴う、複雑で労力のかかる光ファイバー歪みセンサーの製造技術にある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、作動中に原子炉燃料チャネルの幾何学的パラメータの変化に関する信頼性の高い情報を得る可能性を維持しつつ、ブラッググレーティングを形成する、屈折率を変化させた微細な部分を得るために、複雑で労力を要する技術的な操作が含まれる耐放射線性石英系光ファイバーの使用を排除することを可能にする、原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法を創出することである。
【0009】
本発明の技術的成果は、測定精度を維持しつつ、原子炉燃料チャネルの撓みの測定を簡素化することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的成果は、本発明に係る原子炉燃料チャネルの撓みの測定方法により達成される。すなわち、原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法であって、少なくとも1つの光ファイバーセンサーが先端に固定されている可撓性の中空支持棒を燃料アセンブリの中心管内に配置し、前記光ファイバーセンサーに接続された光ファイバー回線を通じて光信号を伝送し、前記光ファイバー回線に接続された光検出器を使用して反射光信号を記録し、前記光検出器に接続されたコンピュータを使用して光信号のパラメータを分析し、原子炉燃料チャネルの撓みを決定するものであり、前記光ファイバーセンサーの下端には、角度変更可能に吊り下げられた重力振り子が備えられており、前記重力振り子の上端面と、前記光検出器に接続されており前記光ファイバーセンサーに固定されている前記光ファイバー回線の下端面との間にガスギャップがあり、前記ガスギャップは、前記光ファイバーセンサーが前記燃料アセンブリの中心管内を移動する際、撓んだ前記中心管の軸に対して前記重力振り子が傾くことによって変化し、当該方法は、前記光ファイバーセンサーを備えた前記可撓性の中空支持棒を前記燃料アセンブリの中心管に沿って移動させ、前記ガスギャップ内で反射された反射光信号の干渉パターンの変化を前記光検出器と前記コンピュータを使用して記録し、各光ファイバーセンサーの光ファイバー回線ごとに、記録された反射光信号の干渉パターンの変化に基づいて、前記ガスギャップの変化のプロフィログラムをそれぞれ記録し、得られたガスギャップのプロフィログラムのそれぞれに基づいて、垂直軸からの前記燃料アセンブリの中心管の撓みの大きさと方向を計算し、この結果に基づいて、原子炉燃料チャネルの撓みの存在と大きさを決定することを特徴とする。
【0011】
図面によって説明される本発明の本質は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法を実施するための装置の全体概略図である。
図2】測定を行うための光ファイバーセンサーの全体図である。
図3】原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法を実施するための、燃料アセンブリの直線中心管内に挿入された光ファイバーセンサーの概略配置を示す図である。
図4】撓んだ部分を有する燃料アセンブリの中心管内における光ファイバーセンサーの概略配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
原子炉燃料チャネルの撓みを測定する方法は、以下のように実施される。
【0014】
可撓性の中空支持棒が燃料アセンブリの中心管内に配置され、中空支持棒の先端には少なくとも1つの光ファイバーセンサーが固定されている。そのセンサーに接続された光ファイバー回線を通じて光信号が伝送され、反射光信号は、光ファイバー回線に接続された光検出器を使用して記録される。光検出器に接続されたコンピュータを使用して、原子炉燃料チャネルの撓みが光信号パラメータの分析に基づき決定される。
【0015】
光ファイバーセンサーは、光ファイバーセンサーの下端に角度変更可能に吊り下げられた重力振り子を備えている。
【0016】
光ファイバーセンサーを備えた可撓性の中空支持棒を燃料アセンブリの中心管に沿って移動させ、重力振り子の上端面と、光検出器に接続されており光ファイバーセンサーに固定されている光ファイバー回線の下端面との間のガスギャップにおける反射光信号の干渉パターンの変化が光検出器とコンピュータを使用して記録される。光ファイバーセンサーが燃料アセンブリの中心管における撓んだ部分を通過する際、その撓んだ中心管の軸から重力振り子が逸脱してずれることによって、当該ガスギャップが変化する。
【0017】
各光ファイバーセンサーの光ファイバー回線ごとに、記録された反射光信号の干渉パターンの変化に基づいて、ガスギャップの変化のプロフィログラムが記録され、得られたガスギャップのプロフィログラムに基づいて、垂直軸に対する燃料アセンブリの中心管の撓みの大きさと方向が計算され、この結果に基づいて、原子炉燃料チャネルの撓みの存在と大きさが決定される。
【0018】
本発明は、以下に説明する実施例によって説明される。提示された例は唯一の可能な例ではなく、本発明の本質的な特徴によって記載された技術的結果を達成できる可能性を明確に示している。
【0019】
(実施例)
少なくとも1つの光ファイバーセンサー2が先端に固定された可撓性の中空支持棒1が、燃料アセンブリの中心管3内に配置される。次に、光ファイバーセンサー2は、波長可変レーザー4と光検出器5に接続され、これらが一次情報処理部6を通じてコンピュータ7に接続される。
【0020】
光ファイバーセンサー2の本体は、スリーブ8によって可撓性の中空支持棒1にしっかりと固定されている。光ファイバーセンサー2の本体のチューブ9とカバー10は、不活性ガスで満たされている光ファイバーセンサー2のキャビティの気密性を確保する。
【0021】
可撓性の中空支持棒1が初期位置に配置された後、すなわち可撓性の中空支持棒1が燃料アセンブリの中心管3内に完全に降下された後、可撓性の中空支持棒1の持ち上げが開始される。
【0022】
燃料アセンブリの中心管3の撓みの測定は、中心管3内において可撓性の中空支持棒1が移動されるときに実行される。この際、波長可変レーザー4からの光信号が光ファイバー回線11を通じて光ファイバーセンサー2に伝送され、光ファイバーセンサー2による反射光信号が光ファイバー回線11を通じて光検出器5で受信される。
【0023】
原子炉燃料チャネルに撓みが存在し、これに伴って燃料アセンブリの中心管3に撓みが生じている場合、光ファイバーセンサー2の重力振り子12は、その中心管3に従って撓んだ光ファイバーセンサー2の、重力ベクトルに対する傾きに比例した角度だけ可撓性要素13によって、その光ファイバーセンサー2の中心軸から逸脱する。
【0024】
すなわち、可撓性の中空支持棒1が持ち上げられると、光ファイバーセンサー2は重力場に対して偏向し、その結果、重力振り子12は、光ファイバーセンサー2の中心軸に対して角度aだけ傾く(図4)。
【0025】
その結果、ガスギャップ14の幾何学的パラメータが変化する。すなわち、重力振り子12の反射面と光ファイバー回線11の端部との間の距離が変化する(図4におけるギャップの大きさX1 1≠X2 1)。これにより反射光信号の干渉パターンに変化が生じ、これが光検出器5によって記録され、コンピュータ7にインストールされている専用ソフトウェアを使用して分析される。
【0026】
測定の結果、ガスギャップ14のプロフィログラムが光ファイバー回線11ごとに記録される。得られたガスギャップ14のプロフィログラムに基づいて、鉛直軸からの燃料アセンブリの中心管3のずれの大きさと方向のプロフィログラムが計算され、そして、原子炉燃料チャネルの撓みの大きさと方向が計算される。
【0027】
提案された方法は、黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(LWGR)を含む原子炉燃料チャネルの撓みの測定に使用できる。
【0028】
提案された手法を用いることにより、燃料アセンブリの中心管の撓みを必要な精度で求め、それに基づいて黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(LWGR)の燃料チャネルの撓みを計算することが可能になる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】