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特表2024-537611MHCIIペプチド結合の性質決定のためのアッセイおよび試薬
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】MHCIIペプチド結合の性質決定のためのアッセイおよび試薬
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/74 20060101AFI20241008BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20241008BHJP
   C12Q 1/28 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C07K14/74 ZNA
C07K7/08
C12Q1/28
G01N33/53 D
G01N33/543 575
G01N33/574 A
G01N21/78 C
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513369
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022075608
(87)【国際公開番号】W WO2023034759
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,728
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】エルソーリー,アデル マームード
(72)【発明者】
【氏名】ゴーバー,ジョシュア グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】リィ,ジュアン
【テーマコード(参考)】
2G043
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043AA04
2G043BA14
2G043EA01
2G043EA06
4B063QA01
4B063QQ79
4B063QR02
4B063QS28
4B063QX01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA17
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA65
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
MHCII対立遺伝子に結合する抗原のハイスループットスクリーニングのための試薬および方法が本明細書に記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験ペプチドと主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)-リガンド複合体とを含む組成物であって、前記MHCII-リガンド複合体は、(i)α鎖およびβ鎖を含むMHC分子と、(ii)前記α鎖および前記β鎖と会合したリガンドとを含む、組成物。
【請求項2】
前記α鎖が第1の二量体化タグを含み、前記β鎖が第2の二量体化タグを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記二量体化タグが互いに相互作用し、前記α鎖および前記β鎖の会合を安定化する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の二量体化タグおよび第2の二量体化タグが、ロイシンジッパー、Fos/Jun、iDimerize対、コイルドコイルヘテロ二量体化タグ、またはノブ・イン・ホールもしくは他のヘテロ二量体のFcから選択される二量体化対を含む、請求項2または3に記載の組成物
【請求項5】
前記リガンドが、切断可能なリンカーを介して前記α鎖または前記β鎖に共有結合している、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記切断可能なリンカーが、UV切断可能なリンカーまたは酵素切断可能なリンカーである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記MHCII分子を結合することができ、タグを含むタグ付きペプチドをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記タグに結合し、検出可能な標識を含む分子をさらに含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記検出可能な標識が、化学発光化合物または蛍光化合物を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記タグがビオチンを含み、前記タグに結合する前記分子がストレプトアビジンを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記MHCII分子に結合する抗体をさらに含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗体が表面に固定化されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記リガンドが、少なくとも約1mg/Lのレベルで生産され、前記リンカーの切断後に2D LCMSにおいて検出可能であり、前記MHCII分子に対して高い親和性を有することが知られているペプチドとの交換反応において約20%~100%のペプチド交換収率を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記タグ付きペプチドが、前記MHCII分子に対する前記リガンドの親和性より高い、前記MHCII分子に対する親和性を有する、請求項7~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記MHCII-リガンド複合体が、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DO、HLA-DQまたはHLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記HLA-DR対立遺伝子および前記リガンドが、
から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
(i)α鎖およびβ鎖を含むMHC分子と、(ii)前記α鎖および前記β鎖と会合した試験ペプチドとを含むMHCII-試験ペプチド複合体をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
(i)α鎖およびβ鎖を含むMHC分子と、(ii)前記α鎖および前記β鎖と会合したタグ付きペプチドとを含むMHCII-タグ付きペプチド複合体をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
1または複数のさらなる試験ペプチドをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記試験ペプチドおよび/または前記1もしくは複数のさらなる試験ペプチドが、腫瘍抗原またはネオ抗原を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記試験ペプチドおよび/または前記1もしくは複数のさらなる試験ペプチドの長さが、7アミノ酸~30アミノ酸である、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
(i)α鎖およびβ鎖を含むMHCII分子と、(ii)前記MHCII分子と会合するリガンドとを含む、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)-リガンド複合体。
【請求項23】
前記リガンドが、配列番号1~配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項22に記載のMHCII-リガンド複合体。
【請求項24】
前記リガンドが、切断可能なリンカーを介して前記α鎖または前記β鎖に結合している、請求項22または23に記載のMHCII-リガンド複合体。
【請求項25】
前記切断可能なリンカーが、UV切断可能なリンカーまたは酵素切断可能なリンカーである、請求項24に記載のMHCII-リガンド複合体。
【請求項26】
前記α鎖が第1の二量体化タグを含み、前記β鎖が第2の二量体化タグを含む、請求項22~25のいずれか一項に記載のMHCII-リガンド複合体。
【請求項27】
前記二量体化タグが、互いに相互作用し、前記α鎖および前記β鎖の会合を安定化する、請求項26に記載のMHCII-リガンド複合体。
【請求項28】
前記第1の二量体化タグおよび第2の二量体化タグが、ロイシンジッパー、Fos/Jun、iDimerize対、コイルドコイルヘテロ二量体化タグ、またはノブ・イン・ホールもしくは他のヘテロ二量体のFcから選択される二量体化対を含む、請求項26または27に記載のMHCII-リガンド複合体。
【請求項29】
前記MHCII分子が、HLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含み、前記HLA-DR対立遺伝子および前記リガンドが、
から選択される、請求項22~25のいずれか一項に記載のMHCII-リガンド複合体。
【請求項30】
ペプチドへの主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子の結合を検出する方法であって、
a)ペプチドと、(i)α鎖およびβ鎖を含む前記MHCII分子ならびに(ii)リガンドを含むMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;
b)前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;
c)第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離ペプチドおよび/または前記MHCII分子と前記MHCII分子に非共有結合的に結合した前記ペプチドとを含むMHCII-ペプチド複合体を含む、前記第1の組成物をインキュベートすることと;
(d)前記MHCII分子が前記ペプチドに結合しているかどうかを決定することと
を含む、方法。
【請求項31】
前記ペプチドへのMHCII分子結合が、前記第2の組成物中のMHCII-ペプチド複合体のレベルを測定することによって決定される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
MHCII-ペプチド複合体のレベルが、前記第2の組成物の2次元液体クロマトグラフィー-質量分析(2D LC/MS)によって測定される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
2D LC/MSが、前記第2の組成物から前記遊離ペプチドおよび/またはリガンドを除去することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記MHCII分子と前記ペプチドを区別するための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記遊離ペプチドが前記第2の組成物から除去される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記遊離ペプチドが、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって前記第2の組成物から除去される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
HPLCおよびMSによって決定される前記ペプチドの存在が、前記MHCII分子が前記ペプチドに結合することができることを示す、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の組成物が、複数の前記MHCII-リガンド複合体と少なくとも2つの異なるペプチドとを含む、請求項30~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ペプチドが、工程d)における各ペプチドの質量に基づいて、質量分析によって互いから区別される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ペプチドが、少なくとも10:1(ペプチド:MHCII分子)の比で前記第1の組成物中に存在する、請求項30~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記切断可能なリンカーが、UV切断可能なリンカーまたは酵素切断可能なリンカーである、請求項30~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記リガンドが、少なくとも約1mg/Lのレベルで生産され、前記リンカーの切断後に2D LCMSにおいて検出可能であり、前記MHCII分子に対して高い親和性を有することが知られているペプチドとの交換反応において約20%~100%のペプチド交換収率を有する、請求項30~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記MHCII分子が、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DO、HLA-DQまたはHLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含む、請求項30~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記HLA-DR対立遺伝子および前記リガンドが、
から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記試験ペプチドが、腫瘍抗原もしくはネオ抗原、または自己抗原を含む、請求項30~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記試験ペプチドの長さが7アミノ酸~30アミノ酸である、請求項30~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子に対する試験ペプチドの親和性を検出するための方法であって、
a)前記試験ペプチドと;タグ付きMHCII結合ペプチド(タグ付きペプチド)と;(i)α鎖およびβ鎖を含む前記MHCII分子ならびに(ii)リガンドを含むMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;
b)前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;
c)第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチド、遊離タグ付きペプチド、前記MHCII分子と会合した前記タグ付きペプチドを含むMHCII-タグ付きペプチド複合体、および/または前記MHCII分子と会合した前記試験ペプチドを含むMHCII-試験ペプチド複合体を含む、前記第1の組成物をインキュベートすることと;
d)前記MHCII分子が前記試験ペプチドに結合しているかどうかを決定することと
を含む、方法。
【請求項48】
前記第1の組成物が、工程b)の後、少なくとも24時間インキュベートされる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の組成物が、工程b)の後、24時間~96時間インキュベートされる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の組成物を、前記MHCII分子に結合する抗体と接触させることをさらに含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記抗体が固体表面に結合している、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗体に結合したMHCII-タグ付きペプチド複合体の量を決定することをさらに含む、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
前記タグがビオチンを含み、前記決定する工程が、前記抗体に結合した前記MHCII-タグ付きペプチド複合体をストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートと接触させることを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記MHCII-タグ付きペプチド複合体が前記抗体に結合している場合に、前記試験ペプチドが前記MHCII対立遺伝子に対して低い親和性を有する、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記MHCII-タグ付きペプチド複合体が前記抗体に結合していない場合に、前記試験ペプチドが前記MHCII対立遺伝子に対して高い親和性を有する、請求項52または53に記載の方法。
【請求項56】
前記MHCII分子に対する前記試験ペプチドの親和性が、ペプチド交換アッセイによって確認される、請求項47~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ペプチド交換アッセイが、請求項30~41のいずれか一項に記載の方法を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記タグ付きペプチドがヒトCLIPを含む、請求項47~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記切断可能なリンカーが、UV切断可能なリンカーまたは酵素切断可能なリンカーである、請求項47~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記試験ペプチドが抗原である、請求項47~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記抗原が腫瘍関連抗原である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記抗原がネオ抗原である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記MHCII分子が、HLA-DP対立遺伝子、HLA-DM対立遺伝子、HLA-DOA対立遺伝子、HLA-DOB対立遺伝子、HLA-DQ対立遺伝子またはHLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含む、請求項47~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記HLAペプチドがHLA-DR対立遺伝子によってコードされ、前記HLA-DR対立遺伝子および前記リガンドが、
から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)対立遺伝子に対する多重エピトープマッピングのための方法であって、
a)複数の試験ペプチドと、複数のMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、各MHCII-リガンド複合体は、(i)α鎖およびβ鎖を含むMHCII分子と、(ii)リガンドとを含み、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;
b)前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;
c)第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチドおよび/または複数のMHCII-試験ペプチド複合体を含み、各MHCII-試験ペプチド複合体は、前記MHCII分子およびこれに非共有結合的に結合した試験ペプチドを含む、前記第1の組成物をインキュベートすることと;
d)前記複数の試験ペプチドの1または複数が、前記第2の組成物中の前記MHCII分子に結合しているかどうかを決定することと
を含む、方法。
【請求項66】
前記複数の試験ペプチドが、抗原の重複するペプチドを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記抗原が、ネオ抗原、腫瘍関連抗原または自己抗原である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
各試験ペプチドの長さが7アミノ酸~30アミノ酸である、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記複数の試験ペプチドの1または複数へのMHCII分子結合が、前記第2の組成物中の前記MHCII分子に結合した各試験ペプチドのレベルを測定することによって決定される、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記MHCII分子に結合した各試験ペプチドのレベルが、前記第2の組成物の2次元液体クロマトグラフィー-質量分析(2D LC/MS)によって測定される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記MHCII分子と前記試験ペプチドを区別するための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)を実行することをさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
2D LC/MSが、前記第2の組成物から前記遊離試験ペプチドおよび/またはリガンドを除去することを含む、請求項65~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記遊離試験ペプチドが、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって前記第2の組成物から除去される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
HPLCおよびMSによって決定される所与の試験ペプチドの存在が、前記所与の試験ペプチドが前記MHCII分子に結合することができることを示す、請求項70~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記MHCII分子に結合した前記試験ペプチドの相対的レベルが、前記MHCII分子に対する前記試験ペプチドの相対的親和性を示す、請求項70~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
第2の試験ペプチドと比較して、前記MHCII分子に結合した第1の試験ペプチドのレベルがより低いことは、前記第1の試験ペプチドが、前記第2の試験ペプチドより、細胞の表面上の前記MHCII分子を結合するより低い可能性を有することを示す、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
第1の試験ペプチドと比較して、前記MHCII分子に結合した第2の試験ペプチドのレベルがより高いことは、前記第2の試験ペプチドが、前記第1の試験ペプチドより、細胞の表面上の前記MHCII分子を結合するより高い可能性を有することを示す、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
前記試験ペプチドが、各試験ペプチドの質量に基づいて、質量分析によって互いから区別される、請求項70~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
少なくとも1つの主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子を結合するペプチドであって、配列番号1~配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる2021年8月30日に出願された米国仮出願第63/238,728号に対する優先権の恩典を主張する国際段階の出願である。
【0002】
配列表
添付の配列表中の資料は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。名称「048893-534001WO_SL_ST26.xml」の添付ファイルは、2022年8月29日に作成され、42,603バイトである。このファイルは、Windows OSを使用するコンピュータ上で、Microsoft Wordを使用してアクセスすることができる。
【背景技術】
【0003】
背景
主要組織適合抗原複合体II(MHCII)は、抗原提示細胞(APC)およびある種の免疫細胞の細胞外表面に位置する細胞表面タンパク質の群である。MHCIIタンパク質は、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子座によって、古典的対立遺伝子HLA-DP、-DQおよび-DR、ならびに非古典的対立遺伝子HLA-DMおよび-DOによってコードされる。MHCIIタンパク質は、α鎖およびβ鎖のヘテロ二量体であり、多段階成熟プロセスを経て最終的な抗原提示形態に至る。αおよびβ鎖は、小胞体内で一回貫通膜タンパク質として翻訳され、次いでインバリアント鎖(Ii)と会合して複合体を形成する。ゴルジ体、細胞膜、エンドソーム、および最終的には多胞体の腔内小胞の間を循環した後、インバリアント鎖は、カテプシン(cathespin)によって、より小さなペプチド、すなわちMHCIIα/βヘテロ二量体のペプチド結合溝内に結合しているクラスII関連インバリアント鎖ペプチド(CLIP)にプロセシングされる。その後の段階で、CLIPがシャペロンプロセスを介して抗原性ペプチドと交換され、MHCII/抗原性ペプチド複合体がAPC細胞表面に戻り、CD4(+)T細胞に提示する。
【0004】
抗原提示細胞は適応免疫応答を調節する。適応免疫応答は、病原性攻撃、ワクチン接種および他の非自己抗原の記憶を保持すること、およびヘルパーまたはCD4(+)T細胞を訓練して、特異的な様式で様々な種類の攻撃を制御することに関与する。近年、がん、新規のウイルス感染症、細菌感染症および真菌感染症ならびにある種の自己免疫疾患に対する標的化された治療薬のための非自己抗原を生成することに大きな関心が寄せられている。実際、インビトロで抗原またはネオアンチゲンを生成し、選択する能力は、これらの疾患の脅威に対処する我々の能力を加速し、拡大するであろう。
【発明の概要】
【0005】
概要
本技術は、一般に、MHCII複合体に対するペプチドのハイスループットスクリーニングのための試薬および方法に関する。
【0006】
一態様において、試験ペプチドと主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)-リガンド複合体とを含む組成物であって、前記MHCII-リガンド複合体は、(i)α鎖およびβ鎖を含有するMHC分子と、(ii)前記α鎖および前記β鎖と会合したリガンドとを含有する、組成物が本明細書において提供される。
【0007】
一態様において、(i)α鎖およびβ鎖を含有するMHCII分子と、(ii)前記MHCII分子と会合したリガンドとを含有する主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)-リガンド複合体が本明細書において提供される。MHCII-リガンド複合体は、配列番号1~配列番号3から選択されるアミノ酸配列を有するリガンドをさらに含有する。
【0008】
一態様において、ペプチドへの主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子の結合を検出する方法であって、ペプチドと、(i)α鎖およびβ鎖を含有するMHCII分子ならびに(ii)リガンドを含有するMHCII-リガンド複合体とを含有する第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離ペプチド、および/または前記MHCII分子と前記MHCII分子に非共有結合的に結合した前記ペプチドとを含むMHCII-ペプチド複合体を含有する、前記第1の組成物をインキュベートすることと;前記MHCII分子が前記ペプチドに結合しているかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0009】
一態様において、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子に対する試験ペプチドの親和性を検出するための方法であって、前記試験ペプチドと、タグ付きMHCII結合ペプチド(タグ付きペプチド)と、(i)α鎖およびβ鎖を含有する前記MHCII分子ならびに(ii)リガンドを含有するMHCII-リガンド複合体とを含有する第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチド、遊離タグ付きペプチド、前記MHCII分子と会合した前記タグ付きペプチドを含有するMHCII-タグ付きペプチド複合体、および/または前記MHCII分子と会合した前記試験ペプチドを含有するMHCII-試験ペプチド複合体を含有する、前記第1の組成物をインキュベートすることと;前記MHCII分子が前記試験ペプチドに結合しているかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0010】
一態様において、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)対立遺伝子に対する多重エピトープマッピングのための方法であって、複数の試験ペプチドと、それぞれのMHCII-リガンド複合体が(i)α鎖およびβ鎖を含有するMHCII分子ならびに(ii)リガンドを含有する複数のMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチド、および/またはそれぞれのMHCII-試験ペプチド複合体が前記MHCII分子とこれらに非共有結合的に結合した試験ペプチドを含む複数のMHCII-試験ペプチド複合体を含有する、前記第1の組成物をインキュベートすることと;前記複数の試験ペプチドの1つまたは複数が、前記第2の組成物中の前記MHCII分子に結合しているかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0011】
一態様において、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)対立遺伝子に対する多重エピトープマッピングのための方法であって、複数の試験ペプチドと、それぞれのMHCII-リガンド複合体が(i)α鎖およびβ鎖を含有するMHCII分子ならびに(ii)リガンドを含有する複数のMHCII-リガンド複合体とを含有する第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチド、および/またはそれぞれのMHCII-試験ペプチド複合体が前記MHCII分子とこれらに非共有結合的に結合した試験ペプチドを含有する複数のMHCII-試験ペプチド複合体を含有する、前記第1の組成物をインキュベートすることと;前記複数の試験ペプチドの1つまたは複数が、前記第2の組成物中の前記MHCII分子に結合しているかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0012】
一態様において、少なくとも1つの主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子を結合するペプチドであって、配列番号1~配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含有する、ペプチドが本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、MHCIIタンパク質複合体に対するペプチド交換アッセイの概略図である。MHCIIα鎖、β鎖および共有結合したリガンド(例えば、CLIPリガンド)を発現させ、精製する。共有結合したリガンドは、過剰の試験ペプチドの存在下にある間、ペプチド骨格切断反応を介して除去される。試験ペプチドがMHCIIを結合し、CLIPリガンドと効果的に競合すれば、MHCII-試験ペプチド複合体が形成される。MHCII/試験ペプチド複合体をサイズ排除クロマトグラフィーによって分離し、逆相LC-MSによってMHCII/試験ペプチド複合体を分析する。
【0014】
図2図2は、HEK-293細胞およびCHO細胞におけるMHCIIタンパク質の発現を示すクーマシー染色されたSDS-PAGEゲルの走行である。
【0015】
図3A図3Aおよび3Bは、共有結合した高親和性CLIP(クラスII関連インバリアント鎖ペプチド、配列PVSQMRMATPLLMRP、配列番号4)酵素的プロセシングおよびMHCIIヘテロ二量体についての、試験ペプチド(OVAペプチド、配列ISQVHAAHAEINEAGR、配列番号5)とのその後の交換反応の一例を提供する。図3Aは、トロンビンまたはTEVプロテアーゼによるプロセシングによってCLIPペプチドが除去されることを示し、酵素切断部位は、CLIPペプチドとMHCIIβ鎖のN末端の間にあるリンカー配列内に位置する。pH5.2、37℃の酢酸緩衝液中、20倍濃度の試験ペプチド(OVA)の存在下で、MHCII/切断されたCLIPペプチド複合体を一晩インキュベートすることによって交換反応を開始する。反応混合物をサイズ排除クロマトグラフィーによって分離し、RP LC-MSによって分析した。図3Bは、MHCII/ペプチド複合体サイズ排除画分から得られたLC-MSクロマトグラムが、MHCII/OVAペプチド(5.2分)対MHCII/CLIPペプチド(7分)の量を示すことを示す。
図3B】同上。
【0016】
図4A図4Aおよび4Bは、共有結合した低親和性CLIP(クラスII関連インバリアント鎖ペプチド、配列PVSQARMATGALARP、配列番号6)酵素的プロセシングおよびMHCIIヘテロ二量体についての、試験ペプチド(OVAペプチド、配列ISQVHAAHAEINEAGR、配列番号5)とのその後の交換反応の一例を提供する。図4Aは、トロンビンまたはTEVプロテアーゼによるプロセシングによってCLIPペプチドが除去されることを示し、酵素切断部位は、CLIPペプチドとMHCIIβ鎖のN末端の間にあるリンカー配列内に位置する。pH5.2、37℃の酢酸緩衝液中、20倍濃度の試験ペプチド(OVA)の存在下で、MHCII/切断されたCLIPペプチド複合体を一晩インキュベートすることによって交換反応を開始する。反応混合物をサイズ排除クロマトグラフィーによって分離し、RP LC-MSによって分析した。図4Bは、MHCII/ペプチド複合体サイズ排除画分から得られたLC-MSクロマトグラムが、MHCII/OVAペプチド(5.2分)対MHCII/CLIPペプチド(約6.8分)の量を示すことを示す。
図4B】同上。
【0017】
図5A図5Aおよび5Bは、2D LC-MSの一次元からのSECクロマトグラム(図5A)およびLC-MS二次元検出からの抽出イオンクロマトグラム(図5B)を示し、3つの異なるCLIPペプチド配列とのHLA-DRB1*01:01複合体および同じ試験ペプチド配列(pp65、LPLKMLNIPSINVH、配列番号7)についての3つの別個の交換アッセイ結果の差を示す対応するカウント対取得時間ウィンドウを示す。
図5B】同上。
【0018】
図6A図6Aおよび6Bは、3つの異なるCLIPペプチド配列とのHLA-DRB1*03:01複合体および同じ試験ペプチド配列(SP41、HTYTIDWTKDAVTWS、配列番号8)についての3つの別個の交換アッセイ結果の差を示すLC-MSクロマトグラム(図6A)および対応するカウント対取得時間ウィンドウ(図6B)を示す。
図6B】同上。
【0019】
図7A図7Aおよび7Bは、3つの異なるCLIPペプチド配列とのHLA-DRB1*04:01複合体および同じ試験ペプチド配列(HA、PKYVKQNTLKLAT、配列番号9)についての3つの別個の交換アッセイ結果の差を示すLC-MSクロマトグラム(図7A)および対応するカウント対取得時間ウィンドウ(図7B)を示す。
図7B】同上。
【0020】
図8A図8Aおよび8Bは、3つの異なるCLIPペプチド配列とのHLA-DRB1*07:01複合体および同じ試験ペプチド配列(pp65、EPDVYYTSAFVFPTK 配列番号10)についての3つの別個の交換アッセイ結果の差を示すLC-MSクロマトグラム(図8A)および対応するカウント対取得時間ウィンドウ(図8B)を示す。
図8B】同上。
【0021】
図9A図9Aおよび9Bは、3つの異なるCLIPペプチド配列とのHLA-DRB1*07:01複合体および同じ試験ペプチド配列(HA、PKYVKQNTLKLAT、配列番号9)についての3つの別個の交換アッセイ結果の差を示すLC-MSクロマトグラム(図9A)および対応するカウント対取得時間ウィンドウ(図9B)を示す。
図9B】同上。
【0022】
図10図10は、HLA-DR対立遺伝子について同定されたCLIP変異形(または野生型CLIP)の表である。
【0023】
図11A図11A~11Cは、MHCII結合のための試験ペプチドの表(図11A)、マウスT細胞のスクリーニングおよびその後のフローサイトメトリー実験+/-CD44 T細胞スクリーニングのために使用するための、試験ペプチドが会合したビオチン化MHCII分子の蛍光性アビジン四量体を含む複合体のイラスト(図11B)を示す。図11Cは、ペプチド交換から唯一の結合剤として同定されたより短い変異ペプチドに対するT細胞の活性化を示すインターフェロンガンマELISPOTアッセイである。同定された短いペプチドは、長い合成ペプチド(M112_7788-5)と同等のELISPOT応答を与える。
図11B】同上。
図11C】同上。
【0024】
図12図12は、単一の交換での、HumiraおよびRemicade可変ドメインからの150ペプチドライブラリーのペプチド結合の多重化分析を示す。
【0025】
図13図13は、競合的ペプチド交換アッセイの概略図である。低親和性含有ペプチドは、切断可能なリンカーを介してMHCII分子に共有結合している。リンカーは、標識された高親和性ペプチドおよび試験ペプチドのプールの存在下で切断され、低親和性ペプチドが交換される。図示されている3つの結果は以下のとおりである。MHCII分子は高親和性ペプチドを結合し、検出され、MHCII分子は試験ペプチドを結合し、検出されず、および/またはMHCII複合体はペプチドを結合することができなくなり、検出されない。
【0026】
図14A図14A~14Cは、ELISAを介してMHCIIおよびペプチド複合体をスクリーニングするための例示的なワークフローを示す。図14Aのイラストは、MHCII分子および標識された高親和性ペプチド(例えば、ビオチン化)を含有するプールおよび様々な濃度範囲の試験ペプチドについての競合的ペプチド交換の時間経過を示す。ペプチド交換反応ミックスを一定の時間および一定のpH(例えば、pH5で60~72時間)でインキュベートし、次いで、抗MHC抗体でコーティングされたELISAプレートに適用する。発色試薬(例えば、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ)を添加することによって、搭載されたELISAプレートを発色させる。得られたシグナルを濃度に対してプロットし、得られたデータ点を結合モデルにフィッティングし、試験ペプチドについて結合親和性を計算する。図14Bは、MHCIIに対する8つの高親和性ペプチドの結合曲線および親和性順位を示すプロットである。図14Cは、モデルフィットのR2値とともに、MHCIIに対する各ペプチドのIC50値(結合親和性)を含む表である。
図14B】同上。
図14C】同上。
【0027】
図15A図15A~15Gは、HLA-DRB1対立遺伝子/低親和性リガンドペプチド複合体、標識された高親和性ペプチド(ビオチン化huCLIP、50nM)および様々な濃度範囲の8つの異なる試験ペプチドの正規化されたシグナル対対数濃度プロットを示す。全ての結果は、ELISAによって測定されている。図15Aは、DRB1*01:01ならびにペプチドmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)についての競合的結合の対数プロットである。図15Bは、DRB1*08:01ならびにペプチドmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)についての競合的結合の対数プロットである。図15Cは、DRB1*15:01ならびにペプチドmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)についての競合的結合の対数プロットである。図15Dは、DRB1*04:01ならびにペプチドmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)についての競合的結合の対数プロットである。図15Eは、DRB1*09:01ならびにペプチドmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)についての競合的結合の対数プロットである。図15Fは、DRB1*11:01ならびにペプチドmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)についての競合的結合の対数プロットである。図15G参照pp65-ビオチン化DRB1*01:01。
図15B】同上。
図15C】同上。
図15D】同上。
図15E】同上。
図15F】同上。
図15G】同上。
【0028】
図16図16Aおよび16Bは、8つの異なるHLA DRB1対立遺伝子試料/低親和性リガンドペプチド複合体(100nM)および1つの高親和性ペプチド(ビオチン化huCLIP)についての正規化されたシグナル対ペプチド濃度の飽和結合曲線を示す。高親和性CLIPペプチドの濃度範囲は40,000nM~2.4nMである。ペプチド交換時間経過を、37℃、pH5で70時間にわたって追った(図16A)。図16Bは、8つの異なるHLA DRB1対立遺伝子試料および高親和性ペプチド(ビオチン化huCLIP)についての結合親和性値の表である。ヒル勾配を有する特異的結合モデルにデータをフィッティングした、Bmaxは最大特異的結合であり、Kdは平衡状態での最大半量リガンド結合であり、hはヒル勾配であり、R二乗値は、モデルがデータにどれだけよくフィットするかである。
【0029】
図17A図17A~17Cは、試験ペプチドとしてのmCLIPに対する結合競合アッセイにおける、対立遺伝子特異的プローブについての最適なビオチン化huCLIP(huCLIP-bio)ペプチド濃度の決定である。6つのDRB1対立遺伝子および参照対立遺伝子(pp65-DRB1*01:01)に対してペプチド交換アッセイを行った。図17Aは、50nMのhuCLIP-bioについての相対シグナル対mCLIP濃度範囲(40,000~0.38nM)の対数のプロットを示し、図17Bは、25nMのhuCLIP-bioについての相対シグナル対mCLIP濃度範囲(40,000~0.38nM)の対数のプロットを示す。図17Cは、算出されたKd値の表である。
図17B】同上。
図17C】同上。
【0030】
図18A図18A~18Fは、DRB1*01:01、DRB1*08:01およびDRB1*11:01に対して、高親和性ペプチドとして50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロットを示す。図18Aおよび図18Dは、DRB1*08:01結合についてmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)試験ペプチドと競合するために使用される50nMおよび25nM hCLIP-bioのプロットである。図18Bおよび図18Eは、DRB1*11:01結合についてmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)試験ペプチドと競合するために使用される50nMおよび25nM hCLIP-bioのプロットである。図18Cおよび図18Fは、DRB1*11:01結合についてmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)試験ペプチドと競合するために使用される50nMおよび25nM hCLIP-bioのプロットである。
図18B】同上。
図18C】同上。
図18D】同上。
図18E】同上。
図18F】同上。
【0031】
図19A図19A~19Dは、DRB1*04:01およびDRB1*15:01に対して、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロットを示す。図19Aおよび図19Bは、それぞれ、DRB1*04:01およびDRB1*15:01結合についてmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)試験ペプチドと競合するために使用される50nM hCLIP-bioのプロットである。図19Cおよび図19Dは、それぞれ、DRB1*04:01およびDRB1*15:01結合についてmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)試験ペプチドと競合するために使用される25nM hCLIP-bioのプロットである。
図19B】同上。
図19C】同上。
図19D】同上。
【0032】
図20A図20Aおよび20Bは、DRB1*09:01に対して、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロットを示す。DRB1*09:01結合についてmCLIP、LCMV RNAP、LASV RNAP、VETF(275~289)、LCMV NP(201~215)、VV HP(23~37)、MOG(35~55)およびOVA(323~339)試験ペプチドと競合するために使用される50nM(図20A)および25nM(図20B)hCLIP-bioのプロット。
図20B】同上。
【0033】
図21図21は、ペプチド交換アッセイのワークフロー図解の例である。
【0034】
図22図22は、試験ペプチド配列の表である。
【0035】
図23A図23A~23Eは、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロット(図23Aおよび23B)、2.5分にMHCII/ペプチド複合体ピークを示す、完了したペプチド交換反応についてのSECクロマトグラムの重ね合わせ(図23C)、低親和性CLIPと交換された試験ペプチドの量を示す、各SECピークについてのカウント対取得時間の重ね合わせ(図23D)、ならびに試験ペプチド配列の表およびMHCII HLA対立遺伝子DRB1*01:01に対する、低親和性CLIPペプチドと比較した各試験ペプチドについての得られた交換プロファイル(図23E)を示す。MHCIIの濃度は16μMであり、試験ペプチドの濃度は400μMであった。試験ペプチド配列は、図22に示されているとおりである。
図23B】同上。
図23C】同上。
図23D】同上。
図23E】同上。
【0036】
図24A図24A~24Eは、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロット(図24Aおよび24B)、2.5分にMHCII/ペプチド複合体ピークを示す、完了したペプチド交換反応についてのSECクロマトグラムの重ね合わせ(図24C)、低親和性CLIPと交換された試験ペプチドの量を示す、各SECピークについてのカウント対取得時間の重ね合わせ(図24D)、ならびに試験ペプチド配列の表(図24E)およびMHCII HLA対立遺伝子DRB1*04:01に対する、低親和性CLIPペプチドと比較した各試験ペプチドについての得られた交換プロファイルを示す。MHCIIの濃度は16μMであり、試験ペプチドの濃度は400μMであった。試験ペプチド配列は、図22に示されているとおりである。
図24B】同上。
図24C】同上。
図24D】同上。
図24E】同上。
【0037】
図25A図25A~25Eは、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロット(図25Aおよび25B)、2.5分にMHCII/ペプチド複合体ピークを示す、完了したペプチド交換反応についてのSECクロマトグラムの重ね合わせ(図25C)、低親和性CLIPと交換された試験ペプチドの量を示す、各SECピークについてのカウント対取得時間の重ね合わせ(図25D)、ならびに試験ペプチド配列の表(図25E)およびMHCII HLA対立遺伝子DRB1*08:01に対する、低親和性CLIPペプチドと比較した各試験ペプチドについての得られた交換プロファイルを示す。MHCIIの濃度は16μMであり、試験ペプチドの濃度は400μMであった。試験ペプチド配列は、図22に示されているとおりである。
図25B】同上。
図25C】同上。
図25D】同上。
図25E】同上。
【0038】
図26A図26A~26Dは、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロット(図26Aおよび26B)、2.5分にMHCII/ペプチド複合体ピークを示す、完了したペプチド交換反応についてのSECクロマトグラムの重ね合わせ(図26C)、低親和性CLIPと交換された試験ペプチドの量を示す、各SECピークについてのカウント対取得時間の重ね合わせ(図26D)を示す。MHCIIの濃度は16μMであり、試験ペプチドの濃度は400μMであった。試験ペプチド配列は、図22に示されているとおりである。
図26B】同上。
図26C】同上。
図26D】同上。
【0039】
図27A図27A~27Eは、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロット(図27Aおよび27B)、2.5分にMHCII/ペプチド複合体ピークを示す、完了したペプチド交換反応についてのSECクロマトグラムの重ね合わせ(図27C)、低親和性CLIPと交換された試験ペプチドの量を示す、各SECピークについてのカウント対取得時間の重ね合わせ(図27D)、ならびに試験ペプチド配列の表(図27E)およびMHCII HLA対立遺伝子DRB1*11:01に対する、低親和性CLIPペプチドと比較した各試験ペプチドについての得られた交換プロファイルを示す。MHCIIの濃度は16μMであり、試験ペプチドの濃度は400μMであった。試験ペプチド配列は、図22に示すとおりである。
図27B】同上。
図27C】同上。
図27D】同上。
図27E】同上。
【0040】
図28A図28A~28Bは、50nMまたは25nM huCLIP-bioのいずれかを用いて行われたペプチド交換アッセイのプロット(図28Aおよび28B)、2.5分にMHCII/ペプチド複合体ピークを示す、完了したペプチド交換反応についてのSECクロマトグラムの重ね合わせ(図28C)、低親和性CLIPと交換された試験ペプチドの量を示す、各SECピークについてのカウント対取得時間の重ね合わせ(図28D)、ならびに試験ペプチド配列の表(図28E)およびMHCII HLA対立遺伝子DRB1*15:01に対する、低親和性CLIPペプチドと比較した各試験ペプチドについての得られた交換プロファイルを示す。MHCIIの濃度は16μMであり、試験ペプチドの濃度は400μMであった。試験ペプチド配列は、図22に示すとおりである。
図28B】同上。
図28C】同上。
図28D】同上。
図28E】同上。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
この説明を読んだ後、様々な代替の実施形態および代替の適用において本開示を実施する方法が当業者に明らかになるであろう。しかしながら、本発明の様々な実施形態の全てについてここでは説明しない。ここに提示される実施形態は、一例として提示されているに過ぎず、限定ではないことが理解されよう。したがって、様々な代替の実施形態のこの詳細な説明は、本明細書に記載の本開示の範囲または幅を限定すると解釈されるべきではない。
【0042】
本技術を開示および説明する前に、以下に記載される態様は、特定の組成物、そのような組成物を調製する方法、またはその使用に限定されず、したがって当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語が特定の態様を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0043】
本出願は、広範な免疫療法において使用するためのMHCIIペプチドをアッセイするための組成物および方法を提供する。
【0044】
一態様において、α鎖、β鎖およびリガンドを含む主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)タンパク質複合体であって、前記リンカーが、前記α鎖およびβ鎖と会合している、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)タンパク質複合体が本明細書において提供される。
【0045】
一態様において、MHCIIα鎖およびMHCIIβ鎖、ならびにMHCII分子と会合したリガンドを含む主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)-リガンド複合体であって、前記リガンドが試験ペプチドである、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)-リガンド複合体が本明細書において提供される。
【0046】
一態様において、ペプチドへの主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子の結合を検出する方法であって、ペプチドとMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、前記MHCII-リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖およびリガンドを含み、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離ペプチド、および/または前記MHCII分子と前記MHCII分子に非共有結合的に結合した前記ペプチドとを含むMHCII-ペプチド複合体を含む、前記第1の組成物をインキュベートすることとを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態において、本方法は、MHCII分子がペプチドに結合しているかどうかを決定することを含む。
【0047】
一態様において、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子に対する試験ペプチドの親和性を検出するための方法であって、前記試験ペプチドと、タグ付きMHCII結合ペプチド(タグ付きペプチド)と、(i)α鎖およびβ鎖を含む前記MHCII分子ならびに(ii)リガンドを含むMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチド、遊離タグ付きペプチド、前記MHCII分子と会合した前記タグ付きペプチドを含むMHCII-タグ付きペプチド複合体、および/または前記MHCII分子と会合した前記試験ペプチドを含むMHCII-試験ペプチド複合体を含む、前記第1の組成物をインキュベートすることとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0048】
複数の実施形態において、本方法は、MHCII分子が試験ペプチドに結合しているかどうかを決定することをさらに含む。
【0049】
読者の便宜のためだけに様々なセクションに分けられた詳細な説明および任意のセクションに見られる開示は、別のセクションのものと組み合わされてもよい。タイトルまたはサブタイトルが、読者の便宜のために本明細書で使用され得、本開示の範囲に影響を及ぼすことを意図しない。
【0050】
定義
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書および以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有すると定義されなければならないいくつかの用語が参照される。
【0051】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。本明細書で使用される、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうでないと示さない限りは、複数形を同様に含むことが意図されている。
【0052】
「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」は、続いて記載されるイベントまたは状況が起こり得るか、または起こり得ないこと、およびその説明が、そのイベントまたは状況が起こる場合と、それが起こらない場合とを含むことを意味する。
【0053】
「約」という用語は、例えば温度、時間、量、濃度など、範囲を含む数値指定の前に使用される場合、(+)もしくは(-)10%、5%、1%、またはそれらの間の任意の部分範囲もしくは部分値によって変化し得る近似値を示す。好ましくは、「約」という用語は、量に関して使用される場合、量が±10%変化し得ることを意味する。
【0054】
「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」は、組成物および方法が、記載された要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図している。「から本質的になる(consisting essentially of)」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、記載された目的のための組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本発明で定義される要素から本質的になる組成物は、特許請求される発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない他の材料または工程を排除しない。「からなる(consisting of)」は、他の成分および実質的な方法工程の微量よりも多い要素を除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内にある。
【0055】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、白血病、リンパ腫、癌腫および肉腫を含む、哺乳動物(例えば、ヒト)において見出される全ての種類のがん、新生物または悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で処置され得る例示的ながんには、脳がん、神経膠腫、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、前立腺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、髄芽腫、黒色腫、子宮頸がん、胃がん、卵巣がん、肺がん、頭部のがん、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫が含まれる。本明細書において提供される化合物または方法を用いて処置され得る例示的ながんとしては、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸、結腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、胃、および子宮のがんが挙げられる。さらなる例としては、甲状腺癌、胆管癌腫、膵臓腺癌、皮膚黒色腫、結腸腺癌、直腸腺癌、胃腺癌、食道癌腫、頭頸部扁平上皮癌腫、乳房侵襲性癌腫、肺腺癌、肺扁平上皮癌腫、非小細胞肺癌腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱がん、前悪性皮膚病変、精巣がん、甲状腺がん、神経芽細胞腫、食道がん、泌尿生殖器がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、膵内分泌部もしくは膵外分泌部の新生物、髄様甲状腺がん、髄様甲状腺癌腫、黒色腫、結腸直腸がん、乳頭様甲状腺がん、肝細胞癌腫、または前立腺がんが挙げられる。
【0056】
化合物に関する「選択的」または「選択性」などは、化合物が分子標的を区別する能力を指す(例えば、化合物はHMT SUV39H1および/またはHMT G9aに対する選択性を有する)。
【0057】
化合物に関する「特異的な」、「特異的に」、「特異性」などは、特定の分子標的に対して、特定の作用、例えば、阻害を引き起こす、化合物の能力を指し、細胞内の他のタンパク質に対する作用が最小限であるかまたは存在しないことを指す(例えば、HMT SUV39H1および/またはHMT G9aに対する特異性を有する化合物は、それらのHMTの活性の阻害を示し、一方で同じ化合物は、他のHMT、例えば、DOT1、EZH1、EZH2、GLP、MLL1、MLL2、MLL3、MLL4、NSD2、SET1b、SET7/9、SET8、SETMAR、SMYD2、SUV39H2の阻害をほとんどまたはまったく示さない)。
【0058】
「免疫応答」などの用語は、通常の慣例的意味で、生物体による、疾患から保護する応答を指す。応答は、当該技術分野において周知のように、自然免疫系または獲得免疫系によって開始され得る。
【0059】
「免疫応答をモジュレートする」などの用語は、作用物質、例えば、本明細書においてその実施形態を含めて開示される化合物の投与の結果としての、対象の免疫応答における変化を指す。したがって、免疫応答は、作用物質、例えば、本明細書においてその実施形態を含めて開示される化合物の投与の結果として、活性化または脱活性化され得る。
【0060】
「B細胞」または「Bリンパ球」は、当該技術分野におけるそれらの標準的な使用法を指す。B細胞は、白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))の一種であるリンパ球であり、抗体を産生する形質細胞(「成熟B細胞」)へと発達する。「未成熟B細胞」は、成熟B細胞へと発達することができる細胞である。一般に、プロB細胞は、免疫グロブリン重鎖再構成を受けて、プロBプレB細胞となり、さらに、免疫グロブリン軽鎖再構成を受けて、未成熟B細胞となる。未成熟B細胞には、T1およびT2B細胞が含まれる。
【0061】
「T細胞」または「Tリンパ球」は、本明細書で使用される場合、細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球の一種(白血球のサブタイプ)である。それらは、細胞表面上のT細胞受容体の存在によって、他のリンパ球、例えば、B細胞およびナチュラルキラー細胞とは区別され得る。T細胞には、例えば、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T(Treg)細胞、およびヘルパーT細胞が含まれる。異なる種類のT細胞は、T細胞検出剤の使用によって、区別され得る。
【0062】
「メモリーT細胞」は、以前の感染、がんとの遭遇または以前のワクチン接種中にその同族抗原に以前に遭遇し、その同族抗原に応答したことがあるT細胞である。その同族抗原との2度目の遭遇時に、メモリーT細胞は、免疫系が病原体に最初に応答したときより速く、より強い免疫応答を開始するように再生(分裂)することができる。
【0063】
「制御性T細胞」または「抑制性T細胞」は、免疫系をモジュレートし、自己抗原に対する寛容性を維持し、自己免疫疾患を予防するリンパ球である。
【0064】
アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字記号またはIUPAC-IUB生化学命名委員会が推奨する1文字記号のいずれかによって表され得る。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般的に認められている1文字のコードによって表され得る。
【0065】
用語「ポリペプチド(polypeptide)」、「ペプチド(peptide)」および「タンパク質(protein)」は、アミノ酸残基の重合体を指すために本明細書においては互換的に使用され、この重合体は、アミノ酸から構成されない部分に結合され得る。これらの用語は、天然に存在するアミノ酸重合体および天然に存在しないアミノ酸重合体に適用されるのみならず、1または複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸重合体にも適用される。「融合タンパク質(fusion protein)」は、単一の部分として組み換え的に発現される2つまたはそれより多くの別々のタンパク質配列をコードするキメラタンパク質を指す。
【0066】
アミノ酸配列に関して、当業者であれば、コードされる配列中の単一のアミノ酸または少ないパーセンテージのアミノ酸を改変し、付加し、または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加は、改変があるアミノ酸の、化学的に類似したアミノ酸による置換をもたらす「保存的に修飾された変異形」であることを認識するであろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の一覧は、当該技術分野において周知である。そのような保存的に修飾された変異形は、本開示の多型変異形、種間ホモログおよび対立遺伝子に対する追加であり、それらを排除するものではない。
【0067】
アミノ酸またはヌクレオチド塩基の「位置」は、N末端(または5’末端)に対するその位置に基づいて、参照配列におけるそれぞれのアミノ酸(またはヌクレオチド塩基)を順に特定する番号によって指定される。最適なアライメントを決定するときに考慮に入れなければいけない欠失、挿入、トランケーション、融合などに起因して、一般に、N末端から単純にカウントすることによって決定される試験配列におけるアミノ酸残基番号は、参照配列におけるその対応する位置の番号と必ずしも同じにはならないであろう。例えば、アライメントされる参照配列と比べて変異形が欠失を有する事例では、変異形には、欠失の部位に、参照配列における位置に対応するアミノ酸が存在しないであろう。アライメントされる参照配列に挿入が存在する場合、その挿入は、参照配列中の付番されたアミノ酸位置に対応しないであろう。トランケーションまたは融合の事例においては、参照配列またはアライメントされる配列のいずれかの中に、対応する配列中のいずれかのアミノ酸に対応しないアミノ酸のストレッチが存在し得る。
【0068】
「を参照して付番された」または「に対応する」という用語は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列の付番の文脈において使用される場合、その所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列が参照配列と比較されるときの、指定された参照配列の残基の番号付けを指す。
【0069】
「アミノ酸側鎖」という用語は、アミノ酸に含まれる官能性置換基を指す。例えば、アミノ酸側鎖は、天然に存在するアミノ酸の側鎖であり得る。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン)、ならびに後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、およびO-ホスホセリンである。複数の実施形態において、アミノ酸側鎖は、非天然アミノ酸側鎖であり得る。
【0070】
「非天然アミノ酸側鎖」という用語は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合されているα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム、アリルアラニン、2-アミノイソ酪酸の官能性置換基を指す。非天然アミノ酸は、天然に存在するか、または化学的に合成されたかのいずれかである、非タンパク質原性アミノ酸である。このようなアナログは、修飾されたR基(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。
【0071】
本明細書に提供される「MHCII」または「主要組織適合抗原複合体クラスII」または「主要組織適合抗原複合体II」という用語は、主要組織適合抗原複合体II(MHCII)またはMHCII活性を維持する(例えば、MHCIIと比較して少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%以内の活性)その変異形もしくはホモログのあらゆる組換え形態または天然に存在する形態を含む。いくつかの態様において、変異形またはホモログは、天然に存在するMHCIIポリペプチドと比較して、配列全体または配列の一部分(例えば、50、100、150または200の連続的なアミノ酸の部分)にわたって、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態において、MHCIIは、2つの非共有結合的に結合したタンパク質、アルファ(α)鎖およびベータ鎖(β)、それらのホモログまたは機能的断片のヘテロ二量体である。複数の実施形態において、MHCIIは、ペプチドリガンドを含む。
【0072】
「HLA」または「ヒト白血球抗原」という用語は、MHC遺伝子複合体によってコードされるタンパク質の群を指す。具体的には、限定されないが、MHCII遺伝子複合体は、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQおよびHLA-DRの群のタンパク質をコードする。
【0073】
「リガンド」という用語は、生体分子と複合体を形成して生物学的機能を果たす分子を指す。結合は、タンパク質、ペプチド、RNA、DNA、核酸、核酸誘導体、非天然核酸、アミノ酸、アミノ酸誘導体、非天然アミノ酸、炭水化物、単糖、二糖、オリゴ糖、オリゴヌクレオチド、金属、金属錯体、薬物、脂質、脂肪酸、代謝産物、無機分子、有機分子、バイオポリマーおよびポリマーの間で起こり得るが、これらに限定されない。リガンド複合体は、イオン結合、共有結合、ファンデルワールス相互作用および/または水素結合によって形成され得る。MHCIIに対するリガンドは、一般に、ペプチドである。
【0074】
「クラスII関連インバリアント鎖ペプチド」および「CLIP」という用語は、親和性成熟プロセス中にMHCIIペプチド結合溝内に結合するインバリアント鎖(Ii)タンパク質配列の一部を指す。
【0075】
「結合する」および「結合した」という用語は、本明細書で使用される場合、その明白かつ通常の意味に従って使用され、原子間または分子間の会合を指す。会合は、直接的であってもよく、または間接的であってもよい。例えば、結合した原子または分子は、例えば、共有結合的結合もしくはリンカー(例えば、第1のリンカーまたは第2のリンカー)による、直接的なものであってもよく、または例えば、非共有結合的結合(例えば、静電相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ハロゲン結合)、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子-双極子、双極子-誘起双極子、ロンドン分散)、環スタッキング(pi効果)、疎水性相互作用など)による、間接的なものであってもよい。
【0076】
用語「抗体(antibody)」は、抗原を特異的に結合および認識する、免疫グロブリン遺伝子またはその機能的断片によってコードされたポリペプチドを指す。一般に認められた免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定常領域遺伝子ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロンとして分類され、これらは、それぞれ、順に免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義する。
【0077】
タンパク質またはペプチドに言及する場合、抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」または「と特異的に(または選択的に)免疫反応性である」という語句は、しばしばタンパク質およびその他の生物製剤の不均一な集団におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下において、指定された抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10~100倍超で特定のタンパク質に結合する。そのような条件下での抗体への特異的結合には、特定のタンパク質に対するその特異性について選択された抗体が必要とされる。例えば、ポリクローナル抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応性であり、他のタンパク質とは免疫反応性でない抗体のサブセットのみを得るように選択され得る。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成され得る。特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択するために、様々なイムノアッセイ形式が使用され得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択するために日常的に使用されている(特異的免疫反応性を決定するために使用することができる免疫アッセイ形式および条件の説明については、例えば、Harlow&Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照されたい)。
【0078】
「変性する」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、DNA、RNA、または他のバイオポリマーの三次元構造が、化学的もしくは機械的手段によって、または加熱もしくは冷却によって、破壊されるプロセスを指す。
【0079】
「ペプチドリンカー」という用語は、1つのペプチドを別のペプチドに連結するアミノ酸配列を指す。ペプチドリンカーは、切断可能なリンカーであり得る。切断可能なリンカーは、任意の切断可能なリンカーであり得る。例えば、限定されないが、切断可能なリンカーは、UV切断可能なリンカー、酵素切断可能なリンカー、pH依存性リンカー、塩依存性リンカーなどであり得る。好ましくは、ペプチドをMHCIIサブユニットに連結するペプチドリンカーまたは切断可能なリンカーは、リンカーの非存在下より、MHCIIにより強く結合するペプチドをもたらさない。切断可能なリンカーは、任意の適切な分子から作製されてもよく、ペプチドリンカーに限定されない。
【0080】
本明細書に記載の実施例および実施形態が、例示を目的とするものに過ぎないこと、ならびにそれを考慮に入れた様々な改変または変更が当業者に提案され、本出願の趣旨および範囲内および添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0081】
MHCII組成物
一態様において、α鎖、β鎖を含むMHCII分子とリガンドとを含む主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)/リガンド複合体であって、前記リガンドが、前記α鎖および前記β鎖と会合したペプチドである、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)/リガンド複合体が本明細書において提供される。
【0082】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖を含有する。複数の実施形態において、α鎖およびβ鎖は、ヘテロ二量体中で会合している。複数の実施形態において、α鎖は、第1の二量体化タグを含有する。複数の実施形態において、β鎖は、第2の二量体化タグを含有する。複数の実施形態において、第1の二量体化タグを含有するα鎖および第2の二量体化タグを含有するβ鎖は、会合している。
【0083】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、ヘテロ二量体としてより安定であるα鎖およびβ鎖を含有する。複数の実施形態において、第1の二量体化タグを含有するα鎖および第2の二量体化タグを含有するβ鎖は、安定な複合体中で会合する。複数の実施形態において、第1の二量体化タグを含有するα鎖および第2の二量体化タグを含有するβ鎖は、第1および第2の二量体化タグなしの同じα鎖およびβ鎖配列によって形成される複合体より安定な複合体中で会合する。
【0084】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、第1の二量体化タグを含有するα鎖と、第2の二量体化タグを含有するβ鎖とを含有し、二量体化タグは、ロイシンジッパー、Fos/Jun、コイルドコイルヘテロ二量体化タグ、ノブ・イン・ホールもしくは他のヘテロ二量体Fc、またはiDimerize対から選択される。
【0085】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖、ならびにリガンドを含有する。複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖、ならびにリガンドを含有し、リガンドはペプチドである。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、α鎖に共有結合している。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、ペプチドリンカー配列を介してα鎖に共有結合している。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、β鎖に共有結合している。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、ペプチドリンカー配列を介してβ鎖に共有結合している。複数の実施形態において、ペプチドリンカー配列は、酵素切断部位を含有する。複数の実施形態において、酵素切断部位は、トロンビン、エンテロキナーゼ、第Xa因子、低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)プロテアーゼ、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、PreScissionTMプロテアーゼ、ライノウイルス3Cプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼA、カルボキシペプチダーゼB、ジペプチジルアミノペプチダーゼ(DAP)、タバコ脈緑斑紋形成ウイルスプロテアーゼ(TVMV(Tobacco vein mottling virus))、およびこれらの任意の変異形から選択される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、柔軟なペプチドリンカーでα鎖のN末端に融合される。いくつかの実施形態において、リンカーは、トロンビン認識配列GGGGSLVPRGSGGGGS(配列番号17)を含有する。いくつかの実施形態において、リンカーは、TEVプロテアーゼ認識配列GGGGSENLYFQGGGGGS(配列番号18)を含有する。
【0086】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖ならびにリガンドを含有し、リガンドはペプチドであり、リガンドペプチドはペプチドリンカー配列を介してα鎖またはβ鎖に共有結合している。複数の実施形態において、ペプチドリンカー配列は、非天然アミノ酸を含有する。複数の実施形態において、非天然アミノ酸は、UV切断可能である。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、2-ニトロフェニルグリシン(NPG)、拡張型(expanded)o-ニトロベンジルリンカー、o-ニトロベンジルケージド(caged)フェノール、o-ニトロベンジルケージドチオール、32ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)ケージドアニリン、o-ニトロベンジルケージドセレン化物、ビス-アゾベンゼン、クマリン、シンナミル、スピロピラン、2-ニトロフェニルアラニン(2-nF)および3-アミノ-3-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸(ANP)アミノ酸アナログから選択される。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、3-アミノ-3-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸(ANP)である。
【0087】
複数の実施形態において、MHCII複合体は、α鎖およびβ鎖ならびにタグ付きペプチドを含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、リガンドなしでMHCII複合体を選択的に認識し、MHCII複合体と会合する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、追加の分子と会合して、検出可能な複合体を形成する。
【0088】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖、リガンド、ならびにタグ付きペプチドを含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、MHCII複合体/リガンド複合体を選択的に認識し、MHCII複合体/リガンド複合体と会合する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、追加の分子と会合して、検出可能な複合体を形成する。
【0089】
複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、分子を結合して、検出可能な標識を生成することができる。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、蛍光化合物または生物発光化合物を含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、多価プラットフォームでタグを付けられる。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、ビオチンでタグを付けられ、追加の分子は、ストレプトアビジンである。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、四量体集合体のサブユニットでタグを付けられる。
【0090】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖、リガンドならびに抗体を含有する。複数の実施形態において、抗体は、MHCII分子に結合する。複数の実施形態において、抗体は、表面に固定化される。
【0091】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、ペプチドリガンドに対する親和性を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、CLIP配列を含有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、以下の基準のうちの1または複数を満たす:
a)MHCII鎖での発現中に使用可能な量で産生される;
b)(リンカーの切断後に)2D LCMSにおいて高レベルで検出される;および/または
c)対立遺伝子に対して高い親和性を有することが知られているペプチドとの交換反応において、約20%~100%のペプチド交換収率を有する。
【0092】
複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、前記基準のうち2つまたはそれより多くを満たす。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、前記基準のうち3つ全てを満たす。
【0093】
複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、1mg/Lを超える。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約300mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約250mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約200mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約190mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約180mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約170mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約160mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約150mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約140mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約130mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約120mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約110mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約100mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約90mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約80mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約70mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約60mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約50mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約40mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約30mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約20mg/Lである。複数の実施形態において、発現されるMHCII/リガンド複合体の使用可能な量は、約1mg/L~約10mg/Lである。量は、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0094】
複数の実施形態において、2D LC-MSによって検出されるMHCII/リガンド複合体のシグナル範囲は、ペプチドリガンドの抽出イオンクロマトグラム(EIC)において約103~105カウントである。いくつかの実施形態において、シグナルは約103カウントである。いくつかの実施形態において、シグナルは約104カウントである。いくつかの実施形態において、シグナルは約105カウントである。
【0095】
複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、対立遺伝子に対して高い親和性を有することが知られているペプチドとの交換反応において、約20%~約100%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において約40%~約100%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において約50%~約100%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約20%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約30%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約40%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約50%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約60%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約70%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約80%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において少なくとも約90%のペプチド交換収率を有する。複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、交換反応において約100%のペプチド交換収率を有する。値は、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0096】
複数の実施形態において、MHCII複合体は、CLIP配列よりタグ付きペプチドに対して、より高い親和性/IC50を有する。いくつかの実施形態において、MHCII複合体は、CLIP配列よりタグ付きペプチドに対して、より高い親和性を有する。
【0097】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、α鎖を含有し、α鎖は、以下の遺伝子座のうちの任意の1つによってコードされる:HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQおよびHLA-DR対立遺伝子。いくつかの実施形態において、α鎖は、HLA-DP遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、α鎖は、HLA-DM遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、α鎖は、HLA-DOA遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、α鎖は、HLA-DOB遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、α鎖は、HLA-DQ遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、α鎖は、HLA-DR遺伝子座によってコードされる。
【0098】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体は、β鎖を含有し、β鎖は、以下の遺伝子座のうちの任意の1つによってコードされる:HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQおよびHLA-DR対立遺伝子。いくつかの実施形態において、β鎖は、HLA-DP遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、β鎖は、HLA-DM遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、β鎖は、HLA-DOA遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、β鎖は、HLA-DOB遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、β鎖は、HLA-DQ遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態において、β鎖は、HLA-DR遺伝子座によってコードされる。
【0099】
複数の実施形態において、MHCII/リガンド複合体はHLA-DR対立遺伝子によってコードされ、リガンドはHLA-DRおよびリガンド配列のリストから選択される。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*01:01であり、ペプチドリガンドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*03:01であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*04:01であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*07:01であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*08:01であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*11:01であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*13:01であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*15:01であり、ペプチドリガンドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*11:04であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。
【0100】
複数の実施形態において、MHCII複合体は、α鎖およびβ鎖を含有するMHC分子と、α鎖およびβ鎖と会合したタグ付きペプチドとを含有する。
【0101】
複数の態様において、MHCII複合体(α鎖およびβ鎖ならびにα鎖およびβ鎖と会合したペプチドリガンドを含有するMHC分子)と、試験ペプチドとを含む組成物が提供される。複数の実施形態において、MHCII複合体は、α鎖およびβ鎖を含有するMHC分子と、ペプチドリガンドと、試験ペプチドと、α鎖およびβ鎖と会合したタグ付きペプチドとを含有する。複数の実施形態において、MHCII複合体は、α鎖およびβ鎖を含有するMHC分子と、ペプチドリガンドと、2つまたはそれより多くの試験ペプチドと、α鎖およびβ鎖と会合したタグ付きペプチドとを含有する。いくつかの実施形態において、MHCII複合体は、タグ付きペプチドと検出可能な複合体を作る分子も含有する。
【0102】
複数の実施形態において、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)/リガンド複合体は、α鎖およびβ鎖を含有するMHCII分子と、MHCII分子と会合したリガンドとを含有する。いくつかの実施形態において、リガンドはペプチドである。いくつかの実施形態において、リガンドはタグ付きペプチドである。いくつかの実施形態において、リガンドは試験ペプチドである。
【0103】
複数の実施形態において、MHCII複合体は、α鎖およびβ鎖を含有するMHCII分子と、α鎖およびβ鎖と会合した試験ペプチドとを含有する。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、腫瘍抗原である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、自己抗原である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、ネオ抗原である。
【0104】
複数の実施形態において、試験ペプチドは、7~30アミノ酸残基長である。長さは、終点を含む列挙された範囲内の任意の値または部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、7アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、8アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、9アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、10アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、11アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、12アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、13アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、14アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、15アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、16アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、17アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、18アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、19アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、20アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、21アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、22アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、23アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、24アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、25アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、26アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、27アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、28アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、29アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、30アミノ酸残基長である。
【0105】
複数の実施形態において、試験ペプチドは、配列番号1~配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含有する。複数の実施形態において、試験ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含有する。
【0106】
MHCII/リガンド複合体を検出するための方法
一態様において、試験ペプチドへの主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子の結合を検出する方法であって、(a)ペプチドと、(i)α鎖およびβ鎖を含む前記MHCII分子ならびに(ii)リガンドを含むMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;(b)前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;(c)第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離ペプチド、および/または前記MHCII分子と前記MHCII分子に非共有結合的に結合した前記ペプチドとを含むMHCII-ペプチド複合体を含む、前記第1の組成物をインキュベートすることと、(d)前記MHCII分子が前記ペプチドに結合しているかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0107】
複数の実施形態において、MHCII分子が試験ペプチドに結合するかどうかは、第2の組成物中のMHCII/ペプチド複合体のレベルを測定することによって決定される。複数の実施形態において、MHCII/ペプチド複合体のレベルは、第2の組成物の2次元液体クロマトグラフィー-質量分析(2D LC/MS)によって測定される。複数の実施形態において、MHCII分子と試験ペプチドを区別するために、HPLCとMSおよび/または2D LC/MSとの組み合わせが使用される。いくつかの実施形態において、遊離試験ペプチドおよび/またはリガンドは、2D LC/MSより前に、第2の組成物から除去される。いくつかの実施形態において、遊離試験ペプチドは、2D LC/MSより前に、第2の組成物から除去される。いくつかの実施形態において、遊離試験ペプチドは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を介して第2の組成物から除去される。いくつかの実施形態において、遊離試験ペプチドは、イオン交換を介して第2の組成物から除去される。
【0108】
複数の実施形態において、HPLCおよびMSによって決定される試験ペプチドの存在は、MHCII分子が試験ペプチドに結合することができることを示す。複数の実施形態において、HPLCおよびMSによって決定される試験ペプチドの存在は、試験ペプチドがリガンドペプチドと比較してMHCII分子に対してより高い親和性を有することを示す。
【0109】
本明細書に記載の方法は、多重に実行され得る。複数の実施形態において、第1の組成物は、複数のMHCII/リガンド複合体と、少なくとも2つの異なる試験ペプチドとを含有する。複数の実施形態において、第1の組成物は、2~約1000の異なる試験ペプチドを含有する。複数の実施形態において、第1の組成物は、10~約500の異なる試験ペプチドを含有する。複数の実施形態において、第1の組成物は、50~約500の異なる試験ペプチドを含有する。複数の実施形態において、第1の組成物は、100~約500の異なる試験ペプチドを含有する。複数の実施形態において、第1の組成物は、10~約250の異なる試験ペプチドを含有する。試験ペプチドの数は、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。複数の実施形態において、試験ペプチドは、質量分析を介して互いに区別される。
【0110】
複数の実施形態において、試験ペプチドは、約1000:1~約1:1000の試験ペプチド対MHCII/リガンド複合体の比で第1の組成物中に存在する。複数の実施形態において、試験ペプチドは、約1000:1~約1:10の試験ペプチド対MHCII/リガンド複合体の比で第1の組成物中に存在する。複数の実施形態において、試験ペプチドは、約1000:1~約1:1の試験ペプチド対MHCII/リガンド複合体の比で第1の組成物中に存在する。複数の実施形態において、試験ペプチドは、約1000:1~約10:1の試験ペプチド対MHCII/リガンド複合体の比で第1の組成物中に存在する。複数の実施形態において、試験ペプチドは、約1000:1~約100:1の試験ペプチド対MHCII/リガンド複合体の比で第1の組成物中に存在する。比は、列挙された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0111】
複数の実施形態において、MHCII分子は、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DO、HLA-DQまたはHLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含有する。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DPである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DMである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DOである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DQである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DRである。
【0112】
複数の実施形態において、MHCII分子は、HLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含有し、リガンドはペプチドである。複数の実施形態において、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRBである。複数の実施形態において、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1である。複数の実施形態において、HLA-DRB対立遺伝子は、HLA-DRB1*01:01、HLA-DRB1*03:01、HLA-DRB1*04:01、HLA-DRB1*07:01、HLA-DRB1*08:01、HLA-DRB1*11:01、HLA-DRB1*11:01、HLA-DRB1*13:01またはHLA-DRB1*15:01から選択される。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*01:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*03:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*04:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*07:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*08:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*11:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*13:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*15:01である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*11:04である。
【0113】
複数の実施形態において、MHCII分子/リガンド複合体は、ペプチドであるリガンドを含有する。複数の実施形態において、リガンドペプチドは、以下から選択される。PVSKARMATGALAQA(配列番号1)、PVSKMRMATGALAQA(配列番号2)、またはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドは、PVSKARMATGALAQA(配列番号1)である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドは、PVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドは、PVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)である。
【0114】
複数の実施形態において、MHCII分子/リガンド複合体は、ペプチドであるリガンドを含有し、MHCII分子は、HLA-DR対立遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*01:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*01:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*03:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*04:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*07:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*08:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*11:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*13:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*15:01である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*11:04であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。
【0115】
複数の実施形態において、試験ペプチドは、抗原、自己抗原またはネオ抗原に由来する配列を含有する。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、抗原に由来する配列を含有する。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、ネオ抗原に由来する配列を含有する。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、自己抗原に由来する配列を含有する。
【0116】
複数の実施形態において、試験ペプチドは、上記のように、7~30アミノ酸残基長である。
【0117】
複数の実施形態において、試験ペプチドは、配列番号1~配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含有する。
【0118】
複数の実施形態において、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子に対する試験ペプチドの親和性を検出するための方法であって、(a)前記試験ペプチドと、タグ付きMHCII結合ペプチド(タグ付きペプチド)と、(i)α鎖およびβ鎖を含む前記MHCII分子ならびに(ii)リガンドを含むMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して、前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;(b)前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;(c)第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチド、遊離タグ付きペプチド、前記MHCII分子と会合した前記タグ付きペプチドを含むMHCII-タグ付きペプチド複合体、および/または前記MHCII分子と会合した前記試験ペプチドを含むMHCII-試験ペプチド複合体を含む、前記第1の組成物をインキュベートすることと;(d)前記MHCII分子が、前記試験ペプチドに結合しているかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0119】
複数の実施形態において、第1の組成物は、リンカー切断の開始後、少なくとも24時間~96時間インキュベートされる。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、リンカー切断の開始後24時間インキュベートされる。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、リンカー切断の開始後約24時間インキュベートされる。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、リンカー切断の開始後約48時間インキュベートされる。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、リンカー切断の開始後約72時間インキュベートされる。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、リンカー切断の開始後約96時間インキュベートされる。インキュベーション時間は、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0120】
複数の実施形態において、第2の組成物を、前記MHCII分子に結合する抗体と接触させる。複数の実施形態において、抗体は、MHCII分子に結合する。複数の実施形態において、抗体は、固体表面に固定化される。
【0121】
複数の実施形態において、第2の組成物は、前記MHCII分子に結合する抗体と接触し、第2の組成物は、タグ付きペプチドを含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、MHCII分子と会合する。
【0122】
複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、標識を含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、蛍光標識または生物発光標識を含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、ビオチン標識を含有する。
【0123】
複数の実施形態において、第2の組成物を、前記MHCII分子に結合する抗体と接触させる。複数の実施形態において、第2の組成物は、MHCII分子およびタグ付きペプチドを含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、蛍光標識または生物発光標識を含有する。複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、ビオチン標識を含有する。複数の実施形態において、抗体は、蛍光標識、生物発光標識または基質でタグを付けられる。複数の実施形態において、抗体は、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートでタグを付けられる。
【0124】
複数の実施形態において、MHCII-タグ付きペプチド複合体が抗体に結合している場合に、試験ペプチドは、MHCII対立遺伝子に対して低い親和性を有する。
【0125】
複数の実施形態において、MHCII-タグ付きペプチド複合体が抗体に結合していない場合に、試験ペプチドは、MHCII対立遺伝子に対して高い親和性を有する。
【0126】
複数の実施形態において、MHCII分子に対する試験ペプチドの親和性は、ペプチド交換アッセイによって確認される。複数の実施形態において、MHCII分子に対する試験ペプチドの親和性は、MHCII分子に対する既知のペプチドの親和性と比較して決定される。
【0127】
複数の実施形態において、タグ付きペプチドは、ヒトCLIP配列を含有する。
【0128】
複数の実施形態において、切断可能なリンカーは、UV切断可能なリンカーまたは酵素切断可能なリンカーである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー配列は、酵素切断部位を含有する。複数の実施形態において、酵素切断部位は、トロンビン、エンテロキナーゼ、第Xa因子、低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)プロテアーゼ、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、PreScissionTMプロテアーゼ、ライノウイルス3Cプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼA、カルボキシペプチダーゼB、ジペプチジルアミノペプチダーゼ(DAP)、タバコ脈緑斑紋形成ウイルスプロテアーゼ(TVMV(Tobacco vein mottling virus))、およびこれらの任意の変異形から選択される。複数の実施形態において、ペプチドリンカー配列は、非天然アミノ酸を含有する。複数の実施形態において、非天然アミノ酸は、UV切断可能である。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、2-ニトロフェニルグリシン(NPG)、拡張型(expanded)o-ニトロベンジルリンカー、o-ニトロベンジルケージド(caged)フェノール、o-ニトロベンジルケージドチオール、32ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)ケージドアニリン、o-ニトロベンジルケージドセレン化物、ビス-アゾベンゼン、クマリン、シンナミル、スピロピラン、2-ニトロフェニルアラニン(2-nF)および3-アミノ-3-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸(ANP)アミノ酸アナログから選択される。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、3-アミノ-3-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸(ANP)である。
【0129】
複数の実施形態において、ペプチドリガンドは、以下の基準のうちの1または複数を満たす:
a)MHCII鎖での発現中に使用可能な量で産生される;
b)(リンカーの切断後に)2D LCMSにおいて高レベルで検出される;および/または
c)対立遺伝子に対して高い親和性を有することが知られているペプチドとの交換反応において、約20%~100%のペプチド交換収率を有する。
【0130】
複数の実施形態において、試験ペプチドは抗原である。複数の実施形態において、抗原はがん抗原である。複数の実施形態において、抗原は腫瘍関連抗原である。複数の実施形態において、抗原はネオ抗原である。複数の実施形態において、抗原は自己抗原である。
【0131】
複数の実施形態において、MHCII分子は、HLA-DP対立遺伝子、HLA-DM対立遺伝子、HLA-DOA対立遺伝子、HLA-DOB対立遺伝子、HLA-DQ対立遺伝子またはHLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含む。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DPである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DMである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DOである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DQである。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子は、HLA-DRである。
【0132】
複数の実施形態において、MHCII分子は、HLA-DR対立遺伝子によってコードされるHLAペプチドを含有し、リガンドはペプチドである。複数の実施形態において、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRBである。複数の実施形態において、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1である。複数の実施形態において、HLA-DRB対立遺伝子は、HLA-DRB1*01:01、HLA-DRB1*03:01、HLA-DRB1*04:01、HLA-DRB1*07:01、HLA-DRB1*08:01、HLA-DRB1*11:01、HLA-DRB1*11:04、HLA-DRB1*13:01またはHLA-DRB1*15:01から選択される。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*01:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*03:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*04:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*07:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*08:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*11:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*13:01である。いくつかの実施形態において、対立遺伝子はHLA-DRB1*15:01である。
【0133】
複数の実施形態において、MHCII分子/リガンド複合体は、ペプチドであるリガンドを含有する。複数の実施形態において、リガンドペプチドは、以下から選択される。PVSKARMATGALAQA(配列番号1)、PVSKMRMATGALAQA(配列番号2)、またはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドは、PVSKARMATGALAQA(配列番号1)である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドは、PVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドは、PVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)である。
【0134】
複数の実施形態において、MHCII分子/リガンド複合体は、ペプチドであるリガンドを含有し、MHCII分子は、HLA-DR対立遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*01:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*01:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*03:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*04:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*07:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*08:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*11:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKMRMATPLLMQA(配列番号3)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*13:01である。いくつかの実施形態において、リガンドペプチドはPVSKARMATGALAQA(配列番号1)であり、HLA-DR対立遺伝子はHLA-DRB1*15:01である。いくつかの実施形態において、HLA対立遺伝子はHLA-DRB1*11:04であり、ペプチドリガンドはPVSKMRMATGALAQA(配列番号2)である。
【0135】
多重エピトープマッピング
所与の抗原からMHCII対立遺伝子に結合する可能性が最も高い(例えば、インビボで結合する可能性が最も高い)ペプチドを決定するために、多重エピトープマッピングを使用することができる。例えば、変異(点変異、インデル等)を含有するネオ抗原は、多数のペプチドのうちの任意のものとしてMHCIIによって提示され得る。それぞれの可能なペプチドは、所与のMHCII対立遺伝子に対して異なる親和性を有する。本明細書に記載される方法は、単一の実行で長い変異ペプチドをマッピングするための多重様式での競合結合および分析を可能にする。異なるペプチドが、MHCII分子の結合について競合し、「最良の結合剤」(使用される条件下でMHCII対立遺伝子への最も高い親和性を有するペプチド)を決定することを可能にする。様々なペプチドの相対的結合親和性も決定され得る。最良の結合剤は、細胞の表面でMHCIIによって提示される高い可能性を有する。当業者によって理解されるように、この方法は、本開示の他の箇所に記載されている組成物、MHCII分子、MHCII-リガンド複合体および方法のいずれをも使用し得る。
【0136】
一態様において、主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)対立遺伝子に対する多重エピトープマッピングのための方法が本明細書において提供される。複数の実施形態において、本方法は、
a)複数の試験ペプチドと、複数のMHCII-リガンド複合体とを含む第1の組成物を提供することであって、各MHCII-リガンド複合体は、(i)α鎖およびβ鎖を含むMHCII分子と、(ii)リガンドとを有し、前記リガンドは、切断可能なリンカーを介して前記α鎖または前記β鎖に結合している、第1の組成物を提供することと;
b)前記第1の組成物を、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こす条件に供することと;
c)第2の組成物を形成するのに十分な期間、前記第1の組成物をインキュベートすることであって、前記第2の組成物は、前記α鎖、前記β鎖、前記リガンド、遊離試験ペプチドおよび/または複数のMHCII-試験ペプチド複合体を含み、各MHCII-試験ペプチド複合体は、前記MHCII分子およびこれに非共有結合的に結合した試験ペプチドを含む、前記第1の組成物をインキュベートすることと;
d)前記複数の試験ペプチドの1または複数が、前記第2の組成物中の前記MHCII分子に結合しているかどうかを決定することと
を含む。
【0137】
複数の実施形態において、複数の試験ペプチド中の各試験ペプチドは、第1の組成物中のMHCII分子の量と比較して準化学量論量で存在する。理論に拘束されるものではないが、これは試験ペプチド間の速度論的競合を許容するが、熱力学的競合は許容しないと予想される。これは、いずれの試験ペプチドが結合することができるかの決定を可能にすると予想されるが、必ずしも最良の結合剤である試験ペプチドではない。
【0138】
複数の実施形態において、複数の試験ペプチド中の各試験ペプチドは、第1の組成物中のMHCII分子の量と比較して過剰に存在する。理論に拘束されるものではないが、これは、MHCII分子に最もよく(例えば、最も高い親和性で)結合する試験ペプチドの決定を可能にすると予想される。
【0139】
複数の実施形態において、複数の試験ペプチドは、抗原の重複するペプチドを含む。複数の実施形態において、複数の試験ペプチドは、単一のタンパク質由来の連続ペプチドを含有する。複数の実施形態において、抗原は、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、または自己抗原である。複数の実施形態において、抗原はネオ抗原である。複数の実施形態において、抗原は腫瘍関連抗原である。複数の実施形態において、抗原は自己抗原である。本明細書で使用される「抗原の重複するペプチド」という語句は、抗原または潜在的な抗原の一部に対応するペプチドであって、各ペプチド(またはペプチドのサブセット)が抗原のわずかに異なる一部に対応する、ペプチドを指す。例えば、抗原が配列ABCDEFGHを含む場合、抗原の重複するペプチドには、ABC、BCD、CDE、DEF、EFG、FGHおよび/またはABCD、BCDE、CDEF、DEFG、EFGHなどが含まれ得る。
【0140】
複数の実施形態において、各試験ペプチドの長さは、7アミノ酸~30アミノ酸である。長さは、終点を含む列挙された範囲内の任意の値または部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、7アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、8アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、9アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、10アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、11アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、12アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、13アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、14アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、15アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、16アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、17アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、18アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、19アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、20アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、21アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、22アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、23アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、24アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、25アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、26アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、27アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、28アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、29アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態において、試験ペプチドは、30アミノ酸残基長である。
【0141】
複数の実施形態において、複数の試験ペプチドの1または複数へのMHCII分子結合は、第2の組成物中のMHCII分子に結合した各試験ペプチドのレベルを測定することによって決定される。複数の実施形態において、MHCII分子に結合した各試験ペプチドのレベルは、第2の組成物の2次元液体クロマトグラフィー-質量分析(2D LC/MS)によって測定される。
【0142】
複数の実施形態において、前記方法は、MHCII分子と試験ペプチドを区別するための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)を実行することをさらに含む。複数の実施形態において、試験ペプチドは、各試験ペプチドの質量に基づいて、質量分析によって互いに区別される。
【0143】
複数の実施形態において、2D LC/MSは、遊離試験ペプチドおよび/またはリガンドを第2の組成物から除去することを含む。複数の実施形態において、遊離試験ペプチドは、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって第2の組成物から除去される。
【0144】
複数の実施形態において、HPLCおよびMSによって決定される所与の試験ペプチドの存在は、所与の試験ペプチドがMHCII分子に結合することができることを示す。複数の実施形態において、MHCII分子に結合した試験ペプチドの相対的レベルは、MHCII分子に対する試験ペプチドの相対的親和性を示す。複数の実施形態において、第2の試験ペプチドと比較して、MHCII分子に結合した第1の試験ペプチドのレベルがより低いことは、第1の試験ペプチドが、第2の試験ペプチドより、細胞の表面上のMHCII分子を結合するより低い可能性を有することを示す。複数の実施形態において、第1の試験ペプチドと比較して、MHCII分子に結合した第2の試験ペプチドのレベルがより高いことは、第2の試験ペプチドが、第1の試験ペプチドより、細胞の表面上のMHCII分子を結合するより高い可能性を有することを示す。
【0145】
複数の実施形態において、少なくとも1つの他の試験ペプチドより高い親和性を有すると決定された試験ペプチドの1または複数は、さらに分析される。例えば、1または複数の試験ペプチドが分析され得る。
【0146】
複数の実施形態において、少なくとも1つの主要組織適合抗原複合体クラスII(MHCII)分子を結合するペプチドであって、配列番号1~配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含有する、ペプチド。
【実施例
【0147】
当業者は、本明細書に記載の粒子の作製および使用の説明が例示のみを目的としており、本開示がこの例示によって限定されないことを理解するであろう。
【0148】
実施例1 ペプチド交換に対するCLIP変異形の効果
遺伝的にコードされ、HLA-DRβ鎖のN末端に融合されたCLIPペプチドの変異形は、HLA-DR対立遺伝子のパネルにわたって強固な発現およびペプチド交換を可能にすることが同定された。CLIPペプチドは、トロンビンまたはTEV切断部位のいずれかを使用した切断によって放出され得、適切な条件下で、CLIPペプチドは放出され、候補抗原ペプチドによって交換され得る。ペプチド交換の程度および検証は、本発明の第2の構成要素に記載されている競合ELISAアッセイまたは2D-LCMSアッセイのいずれかによって決定され得る。
【0149】
HEK-293細胞またはCHO細胞中で、HLA-CLIPペプチド融合タンパク質を発現させた。トロンビン-アガロース消化物を用いて、トロンビン認識部位を有するタンパク質-CLIPペプチドリンカーを含有する発現されたHLA融合タンパク質を酵素的にプロセシングした。簡潔に説明すると、予め平衡化されたZebaTMスピンカラムを使用して、約3mg/mLの切断されていないpMHCII融合タンパク質複合体を25mM Tris、pH8.0、2mM NaN3中に緩衝液交換した。LC/MSによって決定してpMHCII融合タンパク質の大部分が切断されるまで、混合しながら、室温で、トロンビン-アガロースの存在下で、交換された複合体をインキュベートした。
【0150】
TEV(タバコエッチウイルス)プロテアーゼ認識部位を有するタンパク質-CLIPペプチドリンカーを含有する発現されたHLA融合タンパク質を、TEV消化物を使用して酵素的にプロセシングした。簡単に説明すると、約3mg/mLのpH6~8の切断されていないpMHCII融合タンパク質複合体を、約30μgのTEVプロテアーゼとともに室温でインキュベートした。LC/MSによって決定して大部分が切断されるまでpMHCII融合タンパク質を消化した。
【0151】
次いで、pMHCII融合タンパク質複合体をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。簡単に説明すると、塩化ナトリウム(NaCl)を300mMの最終濃度になるまでpMHCII融合タンパク質複合体溶液に添加した。溶液を0.5~1.0mg/mLに濃縮し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、150mM NaCl、2mM NaN3で平衡化されたS-200 SECカラム(GE Healthcare)を備えたFPLCに注入した。カラムを0.5mL/分で運転し、UV-Vis分光法(Imlen NanoPhotometer)によって溶出液中の濃度を決定した後、タンパク質を収集した。溶出された精製タンパク質をスピンフィルター(Amicon、Millipore)によって約5mg/mL未満の濃度にさらに濃縮した。
【0152】
pMHCII融合タンパク質複合体を試験ペプチドと交換した。簡潔に説明すると、40mM酢酸ナトリウム、pH5.0、150mM NaCl、4mM EDTA、2mM NaN3中の約18μM CLIP-MHCIIのマスターミックスを調製した(システイン含有ペプチドについては、0.5mM TCEPを添加した)。50μLの反応に対して、5μLの4mMペプチドを45μLのマスターミックスに添加し、混合し、37℃で60分間インキュベートした。等体積の50mM Tris pH8、150mM NaClの添加によって交換反応をクエンチした(最終pMHCII濃度=8μM)。ペプチド交換混合物を14,000×gで2分間遠心分離して、不溶性ペプチドまたはタンパク質凝集物を除去した。さらなる分析の前に、混合物を4℃で保存し、光から保護した。
【0153】
MHCII:HLA-DRB1*01:01に対するより低い親和性ペプチドの使用が報告されているが、実験的検証なしに同定することができなかったいくつかのHLA-DR対立遺伝子に対して優れている、使用することができる新規CLIPペプチド変異形。さらに、これらの変異形は、ペプチド交換も可能にしながら、強固なタンパク質発現を可能にする。
【0154】
実施例2 ビオチン化四量体形成
BirAビオチンタンパク質リガーゼを介して、pMHCII融合タンパク質複合体をビオチン化した。簡潔に説明すると、100mM酢酸マグネシウム、10mM ATP、5mMビオチンおよび約3mg/mL pMHCIIを含有する反応混合物を調製した。1.3mg/mLのFLAG-BirAを添加することによって反応を開始させ、室温で一晩インキュベートした。
【0155】
次いで、ビオチン化pMHCII融合タンパク質複合体をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。簡単に説明すると、塩化ナトリウム(NaCl)を300mMの最終濃度になるまでビオチン化pMHCII融合タンパク質複合体溶液に添加した。溶液を0.5~1.0mg/mLに濃縮し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、150mM NaCl、2mM NaN3で平衡化されたS-200 SECカラム(GE Healthcare)を備えたFPLCに注入した。カラムを0.5mL/分で運転し、UV-Vis分光法(Imlen NanoPhotometer)によって溶出液中の濃度を決定した後、タンパク質を収集した。溶出された精製タンパク質をスピンフィルター(Amicon、Millipore)によって約5mg/mL未満の濃度にさらに濃縮した。
【0156】
ビオチン化pMHCII融合タンパク質複合体を試験ペプチドと交換した。簡潔に説明すると、40mM酢酸ナトリウム、pH5.0、150mM NaCl、4mM EDTA、2mM NaN3中の約18μM CLIP-MHCIIのマスターミックスを調製した(システイン含有ペプチドについては、0.5mM TCEPを添加した)。50μLの反応に対して、5μLの4mMペプチドを45μLのマスターミックスに添加し、混合し、37℃で60分間インキュベートした。等体積の50mM Tris pH8、150mM NaClの添加によって交換反応をクエンチした(最終pMHCII濃度=8μM)。ペプチド交換混合物を14,000×gで2分間遠心分離して、不溶性ペプチドまたはタンパク質凝集物を除去した。精製され、ペプチド交換されたビオチン化pMHCIIをストレプトアビジン-フルオロフォア(2:1 pMHCII対ストレプトアビジン-フィコエリトリン(phyrocoerythrin))に添加し、完全に混合した。分析用SECによる分析の前に、混合物を4℃で保存し、光から保護した。
【0157】
精製され、ビオチン化された、ペプチド交換されたpMHCII融合タンパク質-ストレプトアビジン複合体を評価して、各混合物におけるビオチン化の程度を決定した。簡潔に説明すると、分析用SECを介して、注入ごとに以下の混合物を分析した:2×pMHCII:20μLの8μM pMHCI-ビオチン、10μL PBS、2×pMHCII、1×PE-SAv:20μLの8μM pMHCII-ビオチン、5.5μLの0.2mg/mLストレプトアビジン-フィコエリトリン(phyrocoerythrin)(SAv-PE、BioLegend)、4.5μL PBSおよび1×PE-SAv:10μLの8μM pMHCII-ビオチン、5.5μLの0.2mg/mL SAv-PE、14.5μL PBS。0.65mL/分の流速で走行させて、1×PBSで平衡化された分析用SECカラム(TSKgel G3000SWXL)を備えたHPLCで混合物を測定した。
【0158】
実施例3 MHCIIペプチド結合剤を特定するための2D LC-MSアッセイ:
このアッセイは、MHCII複合体に対するペプチド交換アッセイ後にペプチド結合剤を特定する。ペプチド交換プロセスの質量分析に基づく分析は、まず、分析前に溶液中のMHCII複合体を遊離ペプチドから分離することに依存する。ここでは、まず、SECカラムに試料を流し、次いで、MHCII複合体に対応するピークのみを、質量分析のために第2のHPLCカラムに注入する2D LC-MS分析方法を記載する。これにより、単一工程でのMHCII試薬の完全な分析が可能となる。このプロセスを使用して、1度に単一のペプチド結合剤を特定することができるか、またはペプチドのより大きなプール内で複数のペプチドを特定することができる。
【0159】
2D LC-MS分析の第1の次元はサイズ排除クロマトグラフィーである。ここで使用した構成は、Zenix SEC-100、3μm、100Å、4.6×50mmカラムを備えたHPLC(Agilent 1200シリーズ)であり、30℃で0.4mL/分の流量で実行した。カラムを平衡化し、25mM Tris pH8、150mM NaCl、2mM NaN3中で実行した。収集した溶出液は、ハートストリングカットオフを使用して2.43~2.88分に溶出し、続いて分析の第2の次元に転換させた。
【0160】
第2の次元の2D LC-MS分析は逆相クロマトグラフィーである。ここで使用した構成は、カラム温度80℃で、0.55mL/分の流量で走行する、5%緩衝液Bで平衡化されたPLRP-S、8μm、1000Å、2.1×50mm逆相カラム(Agilent)を備えたHPLCであった。さらに、サイクルモジュレーション時間は8分、ループ容積は180μL、ディバータバルブスイッチ時間は2分であった。グラジエントを使用して、注入されたペプチドおよびタンパク質を溶出し、緩衝液Aは水中の0.05%トリフルオロ酢酸であり、緩衝液Bはアセトニトリル中の0.05%トリフルオロ酢酸であった。グラジエントは以下のとおりであった:0.00分~5.0%緩衝液B、2.00分~5.0%緩衝液B、6.70分~50.0%緩衝液B、6.71分~95.0%緩衝液B、7.60分~95%緩衝液Bおよび7.61分~5.0%緩衝液B。
【0161】
拡張されたダイナミックレンジおよび二重ESIイオン源を有するAgilent Technologies 6224 TOF LC/MSに溶出液を注入した。簡単に説明すると、質量分析計の設定は、正のイオン極性、キャリアガス温度、350℃、乾燥ガス流量13L/分、ネブライザー圧力45psi、スキマー電圧65V、OCT 1RF VPP750VおよびVcap4000Vであった。取得質量範囲は最小100m/zおよび最大3000m/zであり、取得速度は1.03スペクトル/秒、970.9ms/スペクトル、およびトランジェント/スペクトル、9679であった。
【0162】
試料の種類および得られた吸光度/カウント範囲は以下のとおりであった。簡潔に説明すると、20μLの8μM(約0.5mg/mL)ペプチド-MHCIIをLC-MSの実行ごとに注入した。20μLの交換されていない8μM CLIP-MHCIIを注入する場合、第1の次元における280nmでの吸光度は150~200mAUの範囲内であり、第2の次元においては、CLIPのEIC(M+H、M+2H、M+3H)は約10^5カウントであった。注入された20μLの95%超交換されたペプチド-MHCIIについては、CLIPのEICは約10^3カウントであった。部分的な交換は、遠心分離後にペプチド交換反応から回収されたタンパク質の量に応じて、EICを10^4~10^3カウントに低下させた。16μM MHCIIおよび400μMペプチドの濃度で、低CLIP-MHCII試料を注入した。
【0163】
実施例4 変異特異的CD4 T細胞の同定。
MC38結腸直腸癌腫マウス細胞株から同定された変異(Yadav M.ら、Nature 2014)が、24アミノ酸(AA)長の変異されたペプチドを使用して、動物研究におけるワクチン接種時に変異特異的T細胞応答を誘導する能力についてスクリーニングされた(Capietto AHら、JEM、2020および未公開データ)。次いで、変異を含む4つの重複する15アミノ酸ペプチドを用いて、免疫原性変異からのペプチドライブラリーを設計し、合成した(Genscript)。上記の2D-LCMS法を使用して、IAb分子への結合について各ペプチドを試験した。結合ペプチドの特異的なT細胞認識を確認するために、0日目および10日目に、24AA長ペプチド(n=3、100μg/マウス;腹腔内注射)およびアジュバント(ポリ(IC)、100μg/マウス、Invitrogenおよび抗CD40抗体、50μg/マウス、Genentech)を健康なWT C57Bl/6マウス(Jackson Laboratory)にワクチン接種した。最後のワクチン接種の5日後に脾臓を採取し、処理して単一細胞懸濁液を得た。次いで、完全RPMI1640培地(10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%グルタメート)中の、各15AAペプチド(1μg/mL)、24AAペプチド(10μg/mL)とともに、または対照としてペプチドなしで一晩インキュベートした全脾細胞(5 10^5細胞)を用いたマウスIFN-γELISpotアッセイ(Biotechne)を使用して、T細胞応答を決定した。製造者の説明書に従って、IFNgスポットを明らかにした。最後に、IAb分子への結合(2D-LCMS)および免疫原性(ELISpot)の両方を示すペプチドを使用して四量体を形成し、ワクチン接種されたマウスおよび対照としてのワクチン接種されていないマウスからの脾細胞(100μLのFACS緩衝液中20μg/mL、暗所、室温(RT)で1時間)に対するフローサイトメトリーによって、染色について試験した。
【0164】
図11A~11Cに一例として示されているMC38腫瘍細胞からの変異112からのマウスのワクチン接種から得られた結果。図11Aは、重複するペプチドライブラリーを示す。図11Bは、PEフルオロフォア標識を有するリガンドとしてペプチド7788-5を有する四量体概略図、および得られたフローサイトメトリー(FACS)分析を示す。ワクチン接種されたマウスの全脾臓からの脾細胞を、FACS緩衝液(20μg/mL、100μL)中、暗所にてRTで1時間、pIAb(7788-5)四量体で染色し、200μLのFACS緩衝液で2回洗浄し、製造業者の指示に従って抗PEマイクロビーズ(Miltenyi)で染色した。次いで、磁性LSカラム(Miltenyi)によって四量体陽性細胞を濃縮し、4℃で20分間、表面抗体および生/死染色について染色した。次いで、細胞を200μLで2回洗浄し、BD-Symphonyフローサイトメーターで取得して、活性化された(CD44+)四量体+CD4 T細胞を検出した。ワクチン接種されていないマウスからの総脾細胞を陰性対照として使用した。図11Cは、ペプチドM112_7788-5、M112_7788-6、M112_7788-7、M112_7788-8およびM112_24マーの、マウスにおけるインビボワクチン接種について得られたELISpotアッセイを示す。ペプチド7788-5および24AAペプチドのみが、ELISpotアッセイにおいて、ワクチン接種されたマウスからの特異的CD4 T細胞による認識後にIFN-γスポットを示した。
【0165】
実施例5 多重化エピトープマッピング
この質量分析に基づくアッセイは、MHCII複合体に対するペプチド交換アッセイ後にペプチド結合剤を同定する。ここでは、ビオチン化組換えMHCIIタンパク質と複合体を形成する交換されたペプチドを濃縮するための自動化された免疫沈降アプローチが記載されている。Agilent AssayMAPストレプトアビジンカートリッジ(cat G5496-60010、Agilent、Santa Clara、CA)にペプチド-MHCII複合体をロードする。Agilent Bravo AssayMAPシステムを使用して、ストレプトアビジンが結合したペプチド-MHCII複合体からペプチドを酸溶出する。ペプチド溶出液を逆相C18カラムにロードした後、下流のLC-MS/MS分析のために、Thermo tribrid orbitrap質量分析計内に直接勾配溶出する。関心対象のm/zに対応する質量分析からのピークを選択してそれらの存在を確認し、曲線下面積の値を計算して、全てのペプチドが1-1モル比で存在した対照試料シグナルの値と比較した結合親和性を決定する。
【0166】
図12は、単一の交換での、HumiraおよびRemicade可変ドメインからの150ペプチドライブラリーのペプチド結合の多重化分析を示す。
【0167】
図13は、競合的ペプチド交換アッセイの概略図である。低親和性含有ペプチドは、切断可能なリンカーを介してMHCII分子に共有結合している。リンカーは、標識された高親和性ペプチドおよび試験ペプチドのプールの存在下で切断され、低親和性ペプチドが交換される。図示されている3つの結果は以下のとおりである。MHCII分子は高親和性ペプチドを結合し、検出され、MHCII分子は試験ペプチドを結合し、検出されず、および/またはMHCII複合体はペプチドを結合することができなくなり、検出されない。
【0168】
実施例6 ハイスループットELISA競合アッセイ
ペプチド交換:110nMのMHCII/低親和性CLIPおよび56nMまたは28nMのビオチン化高親和性huCLIP(huCLIP-bio)を含有するマスターミックスを交換緩衝液(40mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、4mM EDTA、pH 5.0)中に調製した。384ウェルプレート中で、100%エチレングリセロール(EG)中4mMのペプチドストックを最初に400μMに希釈し、続いてBioMekシステム(Beckman Dickson、i7)で100%エチレングリセロール中に、3倍、11点段階希釈して、400000nM~0.38nMの濃度範囲を有する10×中間希釈標準溶液を生成した。エチレングリセロール(ペプチドなし)を陰性対照として使用した。90μLのマスターミックスおよび10μLの予め滴定されたペプチドを各ウェルに移すことによって、384ウェルのディープウェルプレート中で、ペプチド交換を行った。最終ペプチド反応ミックスは、100nM MHCII/低親和性CLIP、50または25nM huCLIP-bioおよび40000nM~0.038nMの範囲の試験ペプチドを含有していた。次いで、プレートを密封し、37℃で48~70時間インキュベートしてペプチド交換させた。インキュベーションを完了した後、プレートを遠心沈殿させ、50μL/ウェルの中和緩衝液(400mM tris、150mM NaCl、pH8.0)を含有する新しい384ウェルプレートのウェルに50μL/ウェルの反応ミックスを移すことによって反応ミックスを中和した。
【0169】
競合ELISA:コーティング緩衝液(0.05M炭酸ナトリウム、pH9.6)中10μg/mLの、25μL/ウェルのマウスIgG2a抗HLA-DR1 L243モノクローナル抗体(Genentech、PUR85601)で384ウェルMaxisorpプレート(Thermo Fisher、Nunc#464718)をコーティングした。4℃で一晩インキュベートし、洗浄緩衝液(0.05% Tween 20を含むPBS緩衝液)でプレートを3回洗浄した後、50μL/ウェルのブロック緩衝液(PBS、0.5%BSA、15ppm Proclin)を添加し、室温(RT)で1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、25μLの中和されたペプチド交換反応試料を適切なウェルに移した。プレートを、室温で2時間インキュベートし、プレートを洗浄緩衝液で6回洗浄することによって、未結合の成分を除去した。次いで、25ng/mLの、アッセイ希釈液(PBS 0.5%BSA、0.05%Tween20、15ppm Proclin、pH7.4)中の25μL/ウェルの西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート化ストレプトアビジン(HRP-SA)を添加することによって、結合したMHCII/ペプチド複合体を検出し、室温で1時間インキュベートした。6回洗浄してHRP-SAを除去した後、酵素反応を、ペルオキシダーゼ基質であるテトラメチルベンジジン(TMB、Moss Inc.カタログ番号1000)で発色させ、室温で15分間インキュベートした。25μL/ウェルの1Mリン酸(phosphate acid)で反応を停止させ、Multiscan分光光度計(Thermo Fisher)において参照630nMを使用して、吸収度を450nmで測定した。試験ペプチドを含まないHLA-DRB1/低親和性CLIPおよびビオチン化高親和性huCLIPを含有する試料を、各対立遺伝子に対する陰性対照として使用した。ペプチドの結合親和性をランク付けするために、GraphPad Prism 8.4.3中のOne-site-Fit logIC50モデルを使用して、各ペプチドのIC50を決定した。
【0170】
異なるDRB1対立遺伝子にわたってhuCLIP-bioの濃度を最適化するために、低結合CLIPとともに100nMのDRB1対立遺伝子を含有する反応ミックスにおいて20,000nM~0.02nMの最終濃度範囲が得られるようにhuCLIP-bioを滴定した。GraphPad Prism 8.4.3中の、ヒル勾配を有する飽和特異的結合のカーブフィッティングモデルを用いて、BmaxおよびKdを決定した。
【0171】
上記の明細書において言及される全ての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の記載される方法および系の様々な修正形態および変化形態が、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求された発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連分野の当業者には自明である本発明を実施するための記載される様式の様々な修正形態は、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0172】
配列
【表1】

参考文献
1.Yadav,M.,et al.Predicting immunogenic tumor mutations by combining mass spectrometry and exome sequencing.Nature(2014)Nov 27;515(7528):572-6。
2.Capietto,A.H.,et al.Mutation position is an important determinant for predicting cancer neoantigens.J.Exp.Med.(2020)Apr 6;217(4):e20190179。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図25A
図25B
図25C
図25D
図25E
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E
図28A
図28B
図28C
図28D
図28E
【配列表】
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【国際調査報告】