(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】燃料補給ステーションとクライアントとの間のデータ交換のためのコンピュータ実装方法、水素生成および/または水素準備を制御するためのコントローラ、水素生成および/または水素準備を制御するためのシステム、ならびにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513797
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022074059
(87)【国際公開番号】W WO2023031184
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021209626.3
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522482784
【氏名又は名称】アルゴ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・アンドレアス
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC06
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの燃料補給ステーション201、202と、クライアント301、311との間のデータ交換のためのコンピュータ実装方法であって、ワイヤレスデータ送信320を介してクライアント301、311から少なくとも1つの燃料補給ステーション201、202に燃料補給要求を送信するステップと、ワイヤレスデータ送信を介して、クライアント301、311の燃料補給要求に対する少なくとも1つの燃料補給ステーション201、202からの少なくとも2つの燃料補給提案を受信するステップとを備え、少なくとも2つの送信された燃料補給提案は、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給ステーションの側の燃料補給に必要なエネルギー、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される水素の生成に使用されるエネルギーの種類、CO2証明書、環境証明書のグループから選択される少なくとも1つの提案された燃料補給パラメータ(αproposed)において互いに異なる、コンピュータ実装方法に関する。さらに、本発明は、車両の燃料補給プロセスをフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで制御するためのコンピュータ実装方法と、クライアントの消費パターンおよび/またはクライアントの燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法と、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法と、コントローラ、システム、およびリモートサーバとに関する。さらに、本発明は、コンピュータプログラム、およびコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)、特に水素燃料補給ステーションと、クライアント(301、311)、特にモバイル端末、車両(310)の電子通信デバイス(311)、スマートフォン(301)などとの間のデータ交換のためのコンピュータ実装方法であって、
ワイヤレスデータ送信(320)を介して前記クライアント(301、311)から前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)に燃料補給要求を送信するステップと、
前記ワイヤレスデータ送信を介して、前記クライアント(301、311)の燃料補給要求に対する前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)からの少なくとも2つの燃料補給提案を受信するステップと
を備え、
前記少なくとも2つの送信された燃料補給提案は、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要なエネルギー(前記燃料補給ステーションの側)、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される前記水素の生成に使用されるエネルギーの種類、CO
2証明書、および環境証明書のグループから選択される少なくとも1つの提案された燃料補給パラメータ(α
proposed)において互いに異なる、方法。
【請求項2】
前記クライアント(301、311)から前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)への前記燃料補給要求の前記送信の前に、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要な最大エネルギー、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される前記水素の生成に使用されるエネルギーの種類、前記クライアント(301、311)、特に前記クライアントのユーザによるCO
2証明書、および環境証明書のグループから選択される少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(α
desired)を事前選択するステップをさらに備え、前記燃料補給要求が、好ましくは、前記少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(α
desired)を備える、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの送信された燃料補給提案が、前記少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(α
desired)を共通に有し、残りの提案された燃料補給パラメータ(α
proposed)のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なり、前記提案された燃料補給パラメータ(α
proposed)が、好ましくは、前記所望された燃料補給パラメータ(α
proposed)を考慮して決定される、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記クライアント(301、311)による、特に前記クライアントのユーザによる、前記少なくとも2つの送信された燃料補給提案のうちの1つの選択と、
前記クライアント(301、311)から前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)への前記選択された燃料補給提案の確認の送信と
をさらに備え、
好ましくは、前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)が、前記受信した確認に基づいて、対応する燃料補給プロセスを予約し、前記予約を前記クライアントに確認する、請求項2または3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
貯蔵水素の量、貯蔵水素の温度、貯蔵水素の圧力、空き燃料ポンプの数、進行中の燃料補給プロセスの数、前記燃料補給ステーションの利用状況、エネルギー価格、グリーンエネルギーの利用可能性、予定されている燃料補給プロセスの数、物流によって提供できる水素の時間および量に応じた予約済みの燃料補給プロセスのコストのグループから選択される少なくとも1つのパラメータを備える、前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の状態および/または動作パラメータを検出するステップと、
前記少なくとも2つの燃料補給提案の決定における、特に前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)による、前記クライアントによって送信された前記所望の燃料補給パラメータ(α
desired)、および/または前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の前記検出された状態および/または動作パラメータを考慮するステップと
を備える、請求項2から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
燃料補給時間、計算された燃料補給期間、最大充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要な最大エネルギー、計算された水素の価格、燃料補給される前記水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択されるデータを備える、少なくとも1つの予定された、または予約された燃料補給プロセスを表すデータを取得するステップと、
前記取得されたデータに燃料補給スケジュール予測アルゴリズムを適用することによって、あらかじめ定められた第1の時間期間(t1)にわたる燃料補給予測、特に燃料補給予測スケジュールを生成するステップと
をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが、
あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)にわたる、個々の燃料補給プロセスの蓄積を表す履歴データまたはデータ収集、および
前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内の燃料補給時間またはそれぞれの燃料補給プロセスの時刻
に基づいてトレーニングされている、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)が、10日、30日、60日、90日、180日、1年、または2年の期間に及ぶ、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが、
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された曜日、および/または
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された年の日および/または年の週および/または年の月、ならびに/あるいは
前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中の気象条件、および/または
前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中の屋外温度、および/または
前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中の休暇または旅行シーズン、および/または
前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中のエネルギー価格、および/または
前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中のグリーンエネルギー、特に風力エネルギーおよび/または太陽エネルギーの利用可能性、ならびに/あるいは
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の地理的位置、および/または
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)において、同時に実行された燃料補給プロセスの数、および/または
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の性能データであって、好ましくは、(圧縮および冷却された水素の)最大水素貯蔵量、水素生成速度(Nm
3/h)、水素圧縮速度(Nm
3/h)(30bar~700barにおいて)、水素再冷却能力(Nm
3/hまたはKW)、水素中間貯蔵量、グリーンエネルギーの最大供給電力(KW)、物流によって供給できる水素の前記時間および量に応じた前記予約された燃料補給プロセスのコストのグループから選択された少なくとも1つの性能パラメータを備える、前記性能データに基づいてさらにトレーニングされている、請求項7または8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが、前記燃料補給予測を生成または決定する際にメタデータも考慮に入れ、前記メタデータが、燃料ポンプの数、燃料ポンプあたりの平均供給能力、地理的位置、特に大都市圏、地方の位置、輸送ハブへの近さ、工業地帯などへの近さ、平均年間水素供給能力を備えるグループから選択されている、請求項6から9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが、
少なくとも1つのメタデータ値に基づいて、前記少なくとも1つの燃料補給ステーションをあらかじめ定められたクラスタまたはグループに割り当てることと、
前記割り当てられたクラスタまたはグループに基づいて燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムを決定することと
をさらに備え、
前記燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムが、好ましくは、少なくとも1つの同一または共通のメタデータ値を有する複数の燃料補給ステーション、特に水素燃料補給ステーションの前記データに基づいてトレーニングされている、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムに基づいて、あらかじめ定められた第3の時間期間(t3)にわたる個々の燃料補給プロセスの蓄積を表す取得された履歴データまたはデータ収集に基づいて、あらかじめ設定された燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムがトレーニングされるという点で、個々の燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが開発され、前記第3の時間期間(t3)が、好ましくは、1日、2日、10日、30日、60日、90日、180日、1年、または連続的に及ぶ、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
燃料補給時間、燃料補給期間、充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要なエネルギー、水素の価格、第4の時間期間(t4)内で前記燃料補給された水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択されるデータを備える、前記クライアントによって実行される少なくとも1つの燃料補給プロセスを表すデータを取得するステップ(S10)と、
前記第4の時間期間(t4)にわたって前記取得されたデータの履歴またはデータ収集を生成するステップ(S20)と、
前記取得されたデータの前記生成された履歴またはデータ収集にクライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムを適用することによって、水素のクライアント燃料補給パターンを生成するステップ(S30)と
をさらに備え、
前記クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、あらかじめ定められた第5の時間期間(t5)にわたる個々の燃料補給プロセスの蓄積を表す履歴またはデータ収集に基づいてトレーニングされたアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムであり、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムを使用してクライアント燃料補給パターンを決定または定義する、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記第4の時間期間(t4)が、1年、6か月、3か月、1か月、2週間、または1週間に及び、かつ/あるいは、前記第5の時間期間(t5)が、30日、60日、90日、180日、1年、または2年に及ぶ、請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
前記第5の時間期間(t5)にわたる、個々の燃料補給プロセスの蓄積を表す履歴データまたはデータ収集、および
前記第5の時間期間(t5)内の燃料補給時間またはそれぞれの燃料補給プロセスの時刻
に基づいてトレーニングされている、請求項13または14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記第5の時間期間(t5)内に実行された曜日、および/または
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記第5の時間期間(t5)内に実行された年の日および/または年の週および/または年の月、ならびに/あるいは
前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中の気象条件、および/または
前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中の屋外温度、および/または
前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中の休暇または旅行シーズン、および/または
前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中のエネルギー価格、および/または
前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中のグリーンエネルギー、特に風力エネルギーおよび/または太陽エネルギーの利用可能性、ならびに/あるいは
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の地理的位置、および/または
前記それぞれの燃料補給プロセスが前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)において、同時に実行された燃料補給プロセスの数、および/または
前記第5の時間期間(t5)内に実行された前記それぞれの燃料補給プロセス中に燃料補給された水素の量、および/または
前記第5の時間期間(t5)内に前記それぞれの燃料補給プロセスを実行する際の燃料補給速度
に基づいてさらにトレーニングされている、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、前記クライアント燃料補給パターンを生成または決定する際にメタデータも考慮し、前記メタデータが、車両の種類、前記車両のタンク容量、水素消費量(kg/km)、運転者の年齢、運転者の数、家族の人数、地理的位置、特に大都市圏または地方の位置、毎日の通勤、月平均の水素消費量などを備えるグループから選択される、請求項13から16のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
少なくとも1つのメタデータ値に基づいて、前記少なくとも1つのクライアント、特に車両の運転者をあらかじめ定められたクラスタまたはグループに割り当てることと、
前記割り当てられたクラスタまたはグループに基づいてクライアント燃料補給パターン決定サブアルゴリズムを決定することと
をさらに備え、
前記クライアント燃料補給パターン決定サブアルゴリズムが、好ましくは、少なくとも1つの同一または共通のメタデータ値を有する複数のクライアント、特に車両の運転者の前記データに基づいてトレーニングされている、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
少なくとも1つのクライアント(301、311)、好ましくは複数のクライアントが、前記ワイヤレスデータ送信(320)を介して、前記決定または定義されたクライアント燃料補給パターンを前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)に送信し、前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)が、好ましくは、燃料補給予測、特に燃料補給予測スケジュールを準備する際に、前記受信したクライアント燃料補給パターンを考慮に入れる、請求項13から18のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)が、複数の受信されたクライアント燃料補給パターンに基づいて前記燃料補給予測を準備する際に、燃料補給ステーションの燃料補給パターンを生成する、請求項19に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記クライアント、特に前記クライアントのオペレータによって、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要な最大エネルギー、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される前記水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択される少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(α
desired)を備える、デフォルトの所望の燃料補給プロファイルを作成するステップをさらに備える、請求項13から20のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)が、前記生成された燃料補給予測に基づいて、特にあらかじめ定められた時間期間にわたる前記燃料補給ステーション(201、202)の利用状況を決定し、前記決定された前記燃料補給ステーション(201、202)の利用状況が80%未満、好ましくは60%未満である場合、前記燃料補給ステーション(201、202)が、待ち時間なしでの燃料補給が可能、高速充填での燃料補給が可能、および水素の割引価格のグループから選択された少なくとも1つの情報を含むメッセージを前記少なくとも1つのクライアントに送信する、請求項1から21のいずれか一項および請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記クライアントの送信された前記少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(α
desired)がグリーン水素による燃料補給である場合、前記少なくとも1つの燃料補給ステーションが、燃料補給される前記水素が太陽光エネルギー、風力エネルギー、バイオマス、水力発電および/または地熱エネルギーなどの再生可能エネルギーのみを使用して生成されたことを保証し、これが、前記燃料補給が実行された後に前記クライアント(301、311)に記録される、特に環境証明書によって認証される、請求項1から22のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
複数のクライアント(301、311)によって送信された燃料補給要求をクラウドベースサーバ(350)のデータベースに収集するステップと、
前記データベース内の複数の燃料補給ステーション(201、202)から状態および/または動作パラメータおよび/または燃料補給予測を収集するステップと、
少なくとも2つの燃料補給提案を前記データベースから前記クライアント(301、311)のうちの少なくとも1つに送信するステップであって、個々の燃料補給ステーション(201、202)の前記収集された状態および/または動作パラメータおよび/または燃料補給予測、ならびに/あるいは前記複数のクライアント(301、311)の前記送信された燃料補給要求が、前記燃料補給提案を準備する際に考慮される、ステップと
をさらに備える、請求項1から23のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
それぞれの燃料補給ステーション(201、202)までの距離、前記車両内の水素残量、それぞれのクライアントの予定走行ルートのグループから選択された、個々の燃料補給ステーション(201、202)の前記収集された状態および/または動作パラメータおよび/または燃料補給予測、ならびに/あるいは前記複数のクライアント(301、311)および/またはクライアント関連パラメータの前記送信された燃料補給要求に基づいて、最適化された燃料補給提案が決定され、前記燃料補給提案が、好ましくは、前記選択された燃料補給ステーションまでの前記距離、充填速度、待ち時間、水素の価格、前記燃料補給ステーションの利用状況などに関して最適化される、請求項24に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記車両の高圧貯蔵タンクの充填レベルおよび/またはあらかじめ定められた走行距離に応じて、充填プロセスおよび/またはそれに応じて適切に配置された燃料補給ステーション(201、202)が前記クライアントに提案される、請求項1から25のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記ワイヤレスデータ送信(320)が、デジタルモバイル通信、Bluetooth、またはWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)である、請求項1から26のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
車両および/またはクライアントの燃料補給プロセスをフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで制御するためのコンピュータ実装方法であって、
燃料補給期間、充填量、最大充填速度、充填される水素の温度曲線、前記車両側の高圧貯蔵タンクに充填される前記水素の温度曲線、燃料補給曲線(デルタ-P温度曲線)のグループから選択される、前記車両またはクライアント、またはクライアントタイプに対してすでに実行された少なくとも1つの燃料補給プロセスに関する少なくとも1つの燃料補給パラメータが利用可能かどうかを確認するステップを備え、
燃料補給される前記車両および/またはクライアントおよび/またはクライアントのタイプに対して少なくとも1つの燃料補給プロセスパラメータが利用可能である場合、これが前記燃料補給または充填プロセス中に考慮および/または最適化される、方法。
【請求項29】
前記車両またはクライアントまたはクライアントのタイプの車両タイプ、特に設置された水素システムの前記タイプが、前記車両および/またはクライアントの前記燃料補給プロセスが実行される前に照会され、これが、好ましくは、前記車両または前記クライアントに添付されたコード、特にQRコードを介して、またはワイヤレスデータ送信によるデータ交換を介して行われる、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項30】
前記方法が、
前記車両またはクライアントまたはクライアントタイプに対してすでに実行された前記少なくとも1つの燃料補給プロセスの燃料補給パラメータに基づいて、燃料補給曲線、特にデルタ-P温度曲線を作成するステップをさらに備え、
前記燃料補給曲線が、好ましくは、燃料補給期間、充填量、前記充填された水素の温度曲線、前記車両側の高圧貯蔵タンクに充填された前記水素の温度曲線(開始温度<->終了温度)、前記車両側の高圧貯蔵タンク内の圧力上昇、および達成された充填度のグループから選択される前記利用可能な燃料補給パラメータ、ならびに/または
貯蔵された(利用可能な)水素の温度、貯蔵された水素の圧力、進行中の燃料補給プロセスの数、燃料補給ステーションの利用状況、エネルギー価格、再生可能エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、および一定の時間期間内に予定されている(保留中または確認された)燃料補給プロセスの数のグループから選択される、充填デバイス、特に水素燃料補給ステーション(201、202)の状態および/または動作パラメータに基づいて作成および/または最適化される、請求項28または29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項31】
同じ車両、クライアント、および/またはクライアントタイプに対してすでに実行された燃料補給プロセスの前記燃料補給パラメータを確認する際、実行された前記燃料補給プロセスの終了時に高圧貯蔵タンクの最大許容温度に達していないと決定された場合、車両および/またはクライアントの予定された燃料補給プロセスの前記燃料補給期間があらかじめ定められた値または決定された値だけ短縮される、請求項30に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項32】
特に好ましくは水素を動力源とする車両の運転者の、ユーザの消費パターンおよび/またはユーザの燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法であって、
燃料補給時間、燃料補給期間、充填量(燃料補給される水素の量)、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要なエネルギー、水素の価格、第4の時間期間(t4)内で前記燃料補給された水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択されるデータを備える、クライアント(301、311)によって実行される少なくとも1つの燃料補給プロセスを表すデータを取得するステップ(S10)と、
前記第4の時間期間(t4)にわたって前記取得されたデータの履歴またはデータ収集を生成するステップ(S20)と、
前記取得されたデータの前記生成された履歴またはデータ収集にクライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムを適用することによって、水素のクライアント燃料補給パターンを生成するステップ(S30)と
をさらに備え、
前記クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、第5の時間期間(t5)にわたる個々の燃料補給プロセスの蓄積を表す履歴またはデータ収集に基づいてトレーニングされたアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムであり、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムを使用してクライアント燃料補給パターンを決定または定義する、方法。
【請求項33】
前記第4の時間期間(t4)が、1年、6か月、3か月、1か月、2週間、または1週間に及び、および/あるいは、前記第5の時間期間(t5)が、30日、60日、90日、180日、1年、または2年に及ぶ、請求項32に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項34】
前記クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
前記第5の時間期間(t5)にわたる、個々の燃料補給プロセスの蓄積を表す履歴データまたはデータ収集、および
前記第5の時間期間(t5)内の燃料補給時間またはそれぞれの燃料補給プロセスの時刻
に基づいてトレーニングされている、請求項32または33に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項35】
水素燃料補給ステーションによる、少なくとも1台の車両に燃料補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法であって、
燃料補給ステーションの燃料補給パターンを作成するステップであって、前記燃料補給ステーションの燃料補給パターンが、好ましくは、請求項21から27のいずれか一項および請求項20に記載のコンピュータ実装方法によって作成される、ステップと、
貯蔵水素の量、貯蔵水素の温度、貯蔵水素の圧力、空き燃料ポンプの数、進行中の燃料補給プロセスの数、前記燃料補給ステーションの利用状況、エネルギー価格、再生可能エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、一定の時間期間内に予定されている(保留中または確認済みの)燃料補給プロセスの数、前記燃料補給期間に応じた予約済みの燃料補給プロセスのコスト、ならびに水素の物流のグループから選択される少なくとも1つのパラメータを備える、前記水素燃料補給ステーションの状態および/または動作パラメータを検出するステップと、
前記作成された燃料補給ステーションの燃料補給パターンと、前記検出された前記水素燃料補給ステーションの状態および/または動作パラメータを考慮して、フィードバックありおよび/またはフィードバックなしで水素生成および/または水素処理を制御するステップと
を備える、方法。
【請求項36】
前記作成された燃料補給ステーションの燃料補給パターンに基づいて必要な水素貯蔵量を決定するステップであって、前記貯蔵水素の量、前記貯蔵水素の冷却温度、および前記貯蔵水素の前記圧力が、前記作成された燃料補給ステーションの燃料補給パターン、特に前記予定された燃料補給プロセスのそれぞれの燃料補給プロファイルに基づいて決定され、前記水素貯蔵量、前記貯蔵水素の前記冷却温度、および前記貯蔵水素の前記圧力が、好ましくは、前記燃料補給ステーションの燃料補給パターンに基づいて決定された要件よりも約10%~20%高い範囲で可能な限り低く保たれる、ステップをさらに備える、請求項35に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項37】
特に水素燃料補給ステーションによって、少なくとも1台の車両に燃料補給するための、フィードバックありおよび/またはフィードバックなしで水素生成および/または水素処理を制御するためのコントローラであって、制御ユニットと、請求項35または36のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段とを備える、コントローラ。
【請求項38】
特に水素燃料補給ステーションにおいて、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素を生成および/または処理するためのシステム(300)であって、
コントローラ、特に請求項37に記載のコントローラと、請求項35または36のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段とを備える、システム(300)。
【請求項39】
少なくとも1つの燃料補給施設と、
少なくとも1つの高圧水素貯蔵タンクと、
少なくとも1つのディスペンサと、
好ましくは少なくとも1つの電解槽と
をさらに備える、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
メモリと、
ワイヤレスデータ送信を介して、少なくとも1つの燃料補給ステーション、特に水素燃料補給ステーションと、少なくとも1つのクライアント、特にモバイル端末、車両の電子通信デバイス、スマートフォンなどとの間でデータを交換するように構成された通信インターフェースと、
請求項1から27のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うためのコンピュータ実装方法を実行するように構成されたプロセッサと
を備える、リモートサーバ(350)。
【請求項41】
コンピュータ、特に車両コントローラ、モバイル端末、スマートフォンなどのグループから選択されるクライアントのコンピュータによって実行されると、請求項1から27のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うためのコンピュータ実装方法、請求項28から31のいずれか一項に記載のフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで燃料補給プロセスを制御するためのコンピュータ実装方法、請求項32から34のいずれか一項に記載のユーザ消費パターンおよび/またはユーザ燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法、および/または請求項35または36のいずれか一項に記載の少なくとも1台の車両に燃料補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法を実行させるコマンドを備える、コンピュータプログラム、特にアプリケーションソフトウェア(アプリ)。
【請求項42】
コンピュータ、特に車両コントローラ、モバイル端末、スマートフォンなどのグループから選択されるクライアントのコンピュータによって実行されると、請求項1から27のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うためのコンピュータ実装方法、請求項28から31のいずれか一項に記載のフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで燃料補給プロセスを制御するためのコンピュータ実装方法、請求項32から34のいずれか一項に記載のユーザ消費パターンおよび/またはユーザ燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法、および/または請求項35または36のいずれか一項に記載の少なくとも1台の車両に燃料補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法を実行させるコマンドを備える、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料補給ステーションとクライアントとの間のデータ交換のためのコンピュータ実装方法、車両の燃料補給プロセスをフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで制御するためのコンピュータ実装方法、クライアントの燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法、フィードバックありおよび/またはフィードバックなしで水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法、ならびに水素を生成および/または処理するためのシステムに関する。さらに、本発明は、リモートサーバ(クラウドベースのサーバ)、コンピュータプログラム、およびコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、政治的および環境的理由から、電気駆動車両または自動車、特に電力を供給するバッテリを備えた車両に対する関心が高まっている。商用車、航空機、または船舶では、バッテリの重量が重いため、バッテリの使用は非現実的であることがよくある。この文脈において、業界が燃料電池ドライブを搭載した車両により重点を置いているのはそのためである。自動車分野においても、多くの自動車メーカが長期的に水素推進に注力している。ここで、車両には電気エネルギーを供給するための燃料電池が搭載されており、燃料電池のエネルギー源として水素が使用される。この目的のために、水素は車両に常設された高圧貯蔵タンクに最大700barの圧力で貯蔵される。将来的には、最大1000barの圧力が考えられる。現在、最大350barの範囲の圧力で極低温水素を貯蔵する研究も行われている。
【0003】
しかしながら、電気モータを動力とする車両、特に自動車に対する消費者の受入れを増やすために、水素を広く利用できるようにし、車両への水素の燃料補給(充填)を簡素化する必要がある。水素の供給または燃料補給が極低温または気体のいずれであっても、水素燃料補給ステーションにおいて、水素は水の凝固点未満の温度で車両側の高圧貯蔵タンク(水素タンク)に導入または充填される。自動車圧力タンクへの最大700barの圧力のガス状水素の燃料補給または充填に関して、SAE規格J2601が導入されており、これに従って、水素燃料補給ステーションから車両、特に車両に設置された高圧貯蔵タンクに供給される水素は、1つまたは複数の境界条件の関数として調整される。この点において、燃料補給中、特に高圧貯蔵タンクへの注入中に、高圧貯蔵タンクが損傷する可能性があるため、水素が90℃から100℃の範囲の臨界温度に達するのを防ぐために水素をマイナス20℃からマイナス40℃の間の温度に冷却することが特に必要である。これは、水素が燃料補給ステーションによって適切に事前調整され、特に冷却された場合にのみ達成することができる。ここで、極低温状態の水素も事前調整が必要である点に留意されたい。十分に冷たい水素(マイナス40℃~0℃、できればマイナス40℃~マイナス20℃)が利用できない場合、ゆっくりとした燃料補給のみを行うことができる。乗用車の場合、燃料補給に10~15分かかり、約3~5kgの水素が燃料補給される場合は、遅いと考えられる。対照的に、通常の燃料補給は約3分かかり、その間に約3~5kgの水素も車両に充填される。
【0004】
現時点では、水素燃料車両と水素燃料補給ステーションとの間のデータ交換は行われておらず、これは、水素燃料補給ステーションが、潜在的な顧客に燃料を補給するために十分な水素を利用できるようにするために、予防的に比較的大量の水素を貯蔵していることを意味しており、これが水素燃料補給ステーションの側のエネルギー支出の増加につながり、したがって、供給される水素の価格が高くなる。これは、水素燃料車両の受入れに悪影響を及ぼす。一方、エネルギーを節約するために燃料補給ステーションが予防的に貯蔵する水素の量を最小限に抑えようとすると、これにより、第1に、利用可能な水素が十分にない場合に顧客の待ち時間が不必要に長くなり、第2に、利用可能な水素を通常よりも迅速に圧縮または冷却する必要が生じ、結果としてエネルギー消費量が増加する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、水素燃料補給ステーションが、必要な水素の生成に必要なエネルギーを削減し、したがって、供給される水素の価格を下げることができるように、特に調整された形で利用可能な状態に保たれる水素をより正確に予測できるようにするための対策が非常に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のようなニーズを背景に、本発明の目的のうちの1つは、少なくとも1つの燃料補給ステーションとクライアント、特にモバイル端末、車両の電子通信デバイス、スマートフォンなどとの間のデータ交換のためのコンピュータ実装方法と、特に好ましくは水素を動力源とする車両の運転者の、クライアントの消費パターンおよび/またはクライアントの燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法と、特に水素燃料補給ステーションによる、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法、ならびに、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素を生成および/または処理するためのシステム、リモートサーバ(クラウドベースのサーバ)、必要な水素の生成のためのエネルギー消費を削減し、したがって供給される水素の価格を下げることができるように、燃料補給ステーション、特に水素燃料補給ステーションによって供給される水素、特に調整された形の水素をより正確に予測することができるコンピュータプログラムならびにコンピュータ可読記憶媒体を提供することである。
【0007】
前述の目的は、請求項1に記載の、少なくとも1つの燃料補給ステーションとクライアントとの間のデータ交換のためのコンピュータ実装方法と、請求項28に記載の、車両の燃料補給プロセスをフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで制御するためのコンピュータ実装方法と、請求項32に記載の、クライアントの消費パターンおよび/またはクライアントの燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法と、請求項35に記載の、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法と、請求項37に記載の、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための、フィードバックありおよび/またはフィードバックなしで水素生成および/または水素処理を制御するためのコントローラと、請求項38に記載の、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素を生成および/または処理するためのシステムと、請求項40に記載のリモートサーバ(クラウドベースのサーバ)と、請求項41に記載のコンピュータプログラムと、請求項42に記載のコンピュータ可読記憶媒体とによって解決される。本発明の好ましいさらなる発展形態は、従属請求項に規定されており、コンピュータ実装方法に関する特許請求の範囲の方法の特徴は、それぞれの他のコンピュータ実装方法、コントローラ、システム、リモートサーバおよびコンピュータプログラムにおいて使用することができ、またその逆も可能である。
【0008】
本発明の基本的な考え方のうちの1つは、少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間のデータ交換のための手段を提供し、少なくとも1つのクライアントから少なくとも1つの燃料補給ステーションへの燃料補給要求の送信、ならびに、少なくとも1つのクライアントの燃料補給要求に応答して、クライアントに送信される、少なくとも1つの燃料補給ステーションによる少なくとも2つの(異なる)燃料補給提案の生成を可能にすることであって、少なくとも2つの生成および/または送信された燃料補給提案が、少なくとも1つの提案された燃料補給パラメータにおいて互いに異なる、ことである。ここで、互いに異なる少なくとも2つの提案された燃料補給パラメータは、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要なエネルギー、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される水素の生成に使用されるエネルギーの種類などのグループから選択することができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの燃料補給ステーション、特に水素燃料補給ステーションと、クライアント、特にモバイル端末、電子通信デバイスまたは車両の車両コントローラ、スマートフォンなどとの間のデータ交換のためのコンピュータ実装方法は、
ワイヤレスデータ送信を介してクライアントから少なくとも1つの燃料補給ステーションに燃料補給要求を送信するステップと、
ワイヤレスデータ送信を介して、クライアントの燃料補給要求に対する少なくとも1つの燃料補給ステーションからの少なくとも2つの燃料補給提案を受信するステップとを備え、
少なくとも2つの送信された燃料補給提案は、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量(燃料補給される水素の量)、最大充填速度(l/s)、燃料補給ステーションによる水素の燃料補給および/または供給に必要なエネルギー、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される水素の生成に使用されるエネルギーの種類(たとえば、グレー水素、ブルー水素、またはグリーン水素)、CO2証明書、環境証明書などのグループから選択される少なくとも1つの提案された燃料補給パラメータにおいて互いに異なる。
【0010】
本発明の範囲内で、以下で使用される「車両」もしくは「輸送手段」という用語またはその他類似の用語は、スポーツ用多目的車両(SUV)を含む乗用車、バス、トラック、様々な商用車両、様々なボートおよび船舶を含む水上車両、航空機など、ハイブリッド車両、電気車両、プラグインハイブリッド電気車両、水素車両、ならびに、他の代替車両(たとえば、石油以外の資源から得られる燃料など)などのモータービークル全般を含む。本明細書で述べるように、ハイブリッド車両は、2つ以上のエネルギー源を備えた車両、たとえば、ガソリン駆動と同時に電気駆動の車両である。監視ドローン、輸送ドローン、または旅客ドローンなどのドローンも含まれる。
【0011】
さらに、本発明の文脈において、「クライアント」という用語は、デジタルモバイル通信、ワイヤレスローカルネットワーク(W-LAN、「ワイヤレスローカルエリアネットワーク」)、Bluetoothなどのワイヤレス接続を介して、サーバまたはサーバプログラムを介して、他のクライアントまたはホストと通信することができる任意のユーザを意味する。この場合、少なくとも1つの燃料補給ステーションは、最小のネットワーク(クライアント-燃料補給ステーション)内のホストを表す。
【0012】
少なくとも1つの燃料補給ステーション(「ホスト」)は、データ交換に必要なデータベース(データサーバ)を提供する。いくつかの燃料補給ステーションおよびいくつかのクライアントを備えるより大きいネットワークの場合、複数の燃料補給ステーションおよびクライアントが相互に通信できる独立したデータサーバ(リモートサーバまたはクラウドベースのサーバ)を提供することができる。この場合、独立したデータサーバまたはリモートサーバはホストを表す。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、
クライアントから少なくとも1つの燃料補給ステーションへの燃料補給の要求の送信の前に、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量(燃料補給される水素の量)、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要な最大エネルギー(燃料補給ステーションによる)、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される水素の生成に使用されるエネルギーの種類(たとえば、グレー水素、ブルー水素、またはグリーン水素)、クライアント、特にクライアントのユーザによって所望されたCO2証明書、または環境証明書などのグループから選択される少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(αdesired)を事前選択するステップをさらに備えることができる。
【0014】
ここで、燃料補給要求は、少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(αdesired)を含むことが好ましい場合がある。
【0015】
さらに、少なくとも2つの送信された燃料補給提案は、少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータを共通に有し、残りの提案された燃料補給パラメータ(αproposed)のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なることが有利であり、提案された燃料補給パラメータ(αproposed)は、所望された燃料補給パラメータ(αproposed)を考慮して決定されることが好ましい。
【0016】
言い換えれば、たとえば、クライアントが最大10分の待ち時間を所望しているが、要求された燃料補給ステーションは、クライアントが燃料補給のために到着できる最も早い時点ですでに非常に混雑しているため、経験によれば、10分の待ち時間内に燃料補給することは無理である場合、燃料補給ステーションまたは管理システム(システム)は、10分の待ち時間以内に燃料補給が確実に実行できる、後の時間をクライアントに提案する。
【0017】
一方、クライアントが現在燃料補給ステーションによって提供できない、または燃料補給ステーションの多用により提供できない特定の最大水素価格を所望している場合、燃料補給ステーションまたは管理システムは、別の機会、たとえば、電気料金が安くなり、したがって水素生成コストが安くなる夜間をクライアントに提案することができる。しかしながら、強風や非常に晴れた日によって、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーが余る可能性もあり、その場合、燃料補給ステーションまたは管理システムは、所望される燃料補給の需要を増やすために、クライアントに積極的に水素価格の割引を提供することができる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、
クライアントによる、特にクライアントのユーザによる、少なくとも2つの送信された燃料補給提案のうちの1つの選択であって、好ましくは複数の燃料補給提案が送信されることと、
選択された燃料補給提案の確認をクライアントから少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムにワイヤレスデータ送信を介して送信するステップと
をさらに備え、
好ましくは、少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムは、受信した確認に基づいて、対応する燃料補給プロセスを予約し、その予約をクライアントに確認することが有利であり得る。
【0019】
さらに、コンピュータ実装方法は、
貯蔵水素の量、貯蔵水素の温度、貯蔵水素の圧力、空き燃料ポンプの数、進行中の燃料補給プロセスの数、燃料補給ステーションの利用状況、エネルギー価格、再生可能エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、一定の時間期間内に予定されている(保留中または確認済みの)燃料補給プロセスの数、顧客によって指定された燃料補給期間に応じた予約済みの燃料補給プロセスのコスト(低速充填、通常充填、または低温充填)、水素の物流(トラックまたはパイプラインなどの輸送ルートを介して燃料補給ステーションまでどれだけの水素を利用できるか)などのグループから選択される少なくとも1つのパラメータを備える、好ましくは少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムによって、少なくとも1つの燃料補給ステーションの状態および/または動作パラメータを検出するステップと、
少なくとも2つの燃料補給提案の決定における、特に少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムによる、クライアントによって送信された所望の燃料補給パラメータ(αdesired)、および/または少なくとも1つの燃料補給ステーションの検出された状態および/または動作パラメータを考慮するステップとを備え得る。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、
燃料補給時間、計算された燃料補給期間、最大充填量(燃料補給される水素の量)、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要な最大エネルギー(燃料補給ステーションによる)、計算された水素の価格、燃料補給される水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択されるデータを備える、少なくとも1つの予定された(まだ予約されていない)または予約された燃料補給プロセスを表すデータを取得するステップと、
取得されたデータに燃料補給スケジュール予測アルゴリズムを適用することによって、あらかじめ定められた第1の時間期間(t1)にわたる燃料補給予測、特に燃料補給予測スケジュールを生成するステップとをさらに備え得る。
【0021】
さらに、燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが、
あらかじめ定められた第2の時間期間にわたって実行された、個々の燃料補給プロセス、個々の燃料補給プロセスの数およびプロファイルの蓄積を表す履歴データまたはデータ収集、および
あらかじめ定められた第2の時間期間内の燃料補給時間またはそれぞれの燃料補給プロセスの時刻に基づいてトレーニングされていることが有利である。
【0022】
さらなる実施形態によれば、あらかじめ定められた第2の時間期間は、10日、30日、60日、90日、180日、1年、または2年の期間に及び得る。
【0023】
さらに、燃料補給スケジュール予測アルゴリズムは、
それぞれの燃料補給プロセスがあらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された曜日、および/または
それぞれの燃料補給プロセスがあらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された年の日および/または年の週および/または年の月、ならびに/あるいは
あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中の気象条件、および/または
あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中の屋外温度、および/または
あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中の休暇または旅行シーズン、および/または
あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中のエネルギー価格、および/または
あらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中のグリーンエネルギー、特に風力エネルギーおよび/または太陽エネルギーの利用可能性、ならびに/あるいは
それぞれの燃料補給プロセスがあらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の地理的位置、および/または
それぞれの燃料補給プロセスがあらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)において、同時に実行された燃料補給プロセスの数、および/または
それぞれの燃料補給プロセスがあらかじめ定められた第2の時間期間(t2)内に実行された少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の性能データであって、好ましくは、(圧縮および冷却された水素の)最大水素貯蔵量、水素生成速度(Nm3/h)(30barにおいて)(電解槽)、水素圧縮速度(Nm3/h)(30bar~700barにおいて)、水素再冷却能力(Nm3/hまたはKW)、水素中間貯蔵量(たとえば300barにおいて)、グリーンエネルギーの最大供給電力(KW)、顧客によって指定された時間(燃料補給時間)に応じた予約済み燃料補給プロセスのコスト(低速充填、通常充填、または低温充填)、水素の物流(トラックまたはパイプラインなどの輸送ルートを介して燃料補給ステーションまでどれだけの水素を利用可能にすることができるか)のグループから選択された少なくとも1つの性能パラメータを備える、性能データに基づいてトレーニングされているのが好ましい。
【0024】
さらに、燃料補給スケジュール予測アルゴリズムは、燃料補給予測を生成または決定する際にメタデータも考慮に入れることが有利であり、メタデータは、燃料ポンプの数、燃料ポンプあたりの平均供給能力、地理的位置、特に大都市圏、地方の位置、輸送ハブへの近さ、工業地帯などへの近さ、平均年間水素供給能力などを備えるグループから選択されている。
【0025】
別の実施形態によれば、燃料補給スケジュール予測アルゴリズムは、
少なくとも1つのメタデータ値に基づいて、少なくとも1つの燃料補給ステーションをあらかじめ定められたクラスタまたはグループに割り当てることと、
割り当てられたクラスタまたはグループに基づいて燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムを決定することとをさらに備え得、
燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムは、好ましくは、少なくとも1つの同一または共通のメタデータ値を有する複数の異なる燃料補給ステーション、特に水素燃料補給ステーションのデータに基づいてトレーニングされている。
【0026】
この点に関して、燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが、あらかじめ定められた第2の時間期間t2にわたる個々の燃料補給プロセス(燃料補給プロセスの数およびプロファイル)の蓄積を表す履歴またはデータ収集に基づいてトレーニングされたアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムであり、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムを使用して燃料補給スケジュール予測を決定または定義することがさらに有利である。
【0027】
この点に関して、燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムに基づいて、あらかじめ定められた第2の時間期間の後、またはそれに連続して延びるあらかじめ定められた第3の時間期間(t3)にわたって取得された、個々の燃料補給プロセス、(燃料補給プロセスの数およびプロファイル)の蓄積を表す履歴データまたはデータ収集に基づいて、あらかじめ設定された燃料補給スケジュール予測サブアルゴリズムを適用することによって、個々の燃料補給スケジュール予測アルゴリズムが開発されることはさらに有利であり、第3の時間期間(t3)は、好ましくは、1日、2日、10日、30日、60日、90日、180日、1年、または連続的に及ぶ。
【0028】
本発明のさらなる実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、
燃料補給時間、燃料補給期間、充填量(燃料補給される水素の量)、最大充填速度(l/s)、(燃料補給ステーションによって)燃料補給に必要なエネルギー、水素の価格、第4の時間期間(t4)内で燃料補給された水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択されるデータを備える、クライアントによって実行される少なくとも1つの燃料補給プロセス、好ましくはクライアントによって実行される複数の燃料補給プロセスを表すデータを取得するステップ(S10)と、
第4の時間期間(t4)にわたって取得されたデータの履歴またはデータ収集を生成するステップ(S20)と、
取得されたデータの生成された履歴またはデータ収集にクライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムを適用することによって、水素のクライアント燃料補給パターンを生成するステップ(S30)とをさらに備え得、
クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムは、あらかじめ定められた第5の時間期間(t5)にわたる個々の燃料補給プロセスの蓄積(燃料補給プロセスの数およびプロファイル)を表す履歴またはデータ収集に基づいてトレーニングされたアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムであり、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムを使用してクライアント燃料補給パターンを決定または定義する。
【0029】
さらに、第4の時間期間(t4)は、1年、6か月、3か月、1か月、2週間、または1週間に及び、および/あるいは第5の時間期間(t5)は、30日、60日、90日、180日、1年、または2年に及ぶことが有利である。
【0030】
この点に関して、クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
第5の時間期間(t5)にわたる、個々の燃料補給プロセス(燃料補給プロセスの数およびプロファイル)の蓄積を表す履歴データまたはデータ収集、および
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内の燃料補給時間またはそれぞれの燃料補給プロセスの時刻に基づいてトレーニングされていることがさらに好ましい場合がある。
【0031】
さらに、クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
それぞれの燃料補給プロセスが(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行された曜日、および/または
それぞれの燃料補給プロセスが(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行された年の日および/または年の週および/または年の月、ならびに/あるいは
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中の気象条件、および/または
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中の屋外温度、および/または
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中の休暇または旅行シーズン、および/または
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中のエネルギー価格、および/または
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中のグリーンエネルギー、特に風力エネルギーおよび/または太陽エネルギーの利用可能性、ならびに/あるいは
それぞれの燃料補給プロセスが(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行された少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)の地理的位置、および/または
それぞれの燃料補給プロセスが(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行された少なくとも1つの燃料補給ステーション(201、202)において、同時に実行された燃料補給プロセスの数、および/または
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内に実行されたそれぞれの燃料補給プロセス中に燃料補給された水素の量、および/または
(あらかじめ定められた)第5の時間期間(t5)内にそれぞれの燃料補給プロセスを実行する際の燃料補給速度に基づいてさらにトレーニングされていることが有利である。
【0032】
本発明のさらなる実施形態によれば、クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムは、クライアント燃料補給パターンを生成または決定する際にメタデータを考慮することもでき、メタデータは、車両の種類、車両のタンク容量、水素消費量(kg/km)、運転者の年齢、運転者の数、家族の人数、地理的位置、特に大都市圏または地方、毎日の通勤、月平均の水素消費量などを備えるグループから選択される。
【0033】
クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
少なくとも1つのメタデータ値に基づいて、少なくとも1つのクライアント、特に車両の運転者をあらかじめ定められたクラスタまたはグループに割り当てることと、
割り当てられたクラスタまたはグループに基づいてクライアント燃料補給パターン決定サブアルゴリズムを決定することとをさらに備えることも好ましく、
クライアント燃料補給パターン決定サブアルゴリズムは、少なくとも1つの同一または共通のメタデータ値を有する複数の(異なる)クライアント、特に車両の運転者のデータに基づいてトレーニングされていることが好ましい。
【0034】
この点に関して、コンピュータ実装方法では、有利には、少なくとも1つのクライアント、好ましくは複数のクライアントが、ワイヤレスデータ送信を介して、決定または定義された(検出された)クライアント燃料補給パターンを少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムに送信することができ、少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムは、燃料補給予測、特に燃料補給予測スケジュールを準備する際に、受信したクライアント燃料補給パターンを考慮に入れることができることが好ましい。
【0035】
さらに、少なくとも1つの燃料補給ステーションおよび/または管理システムは、複数の受信されたクライアント燃料補給パターンに基づいて燃料補給予測を準備する際に、燃料補給ステーションの燃料補給パターン(それぞれの燃料補給プロファイルを備えるあらかじめ定められた時間期間にわたる、複数の予定された燃料補給プロセスのスケジュール)を生成することが有利である。
【0036】
さらに、コンピュータ実装方法は、
クライアント、特にクライアントのオペレータによって、燃料補給時間、燃料補給期間、最大充填量、最大充填速度(l/s)、燃料補給に必要な最大エネルギー、水素の価格、燃料補給までの待ち時間、燃料補給される水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択される少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(αdesired)を備える、デフォルトの所望の燃料補給プロファイルを作成するステップをさらに備え得る。
【0037】
さらに、少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムが、生成された燃料補給予測に基づいて、特にあらかじめ定められた時間期間にわたる少なくとも1つの燃料補給ステーションの利用状況を決定することが有利であり得、決定された燃料補給ステーションの利用状況が80%未満、好ましくは60%未満である場合、燃料補給ステーションまたは管理システムは、待ち時間なしでの燃料補給が可能、高速充填での燃料補給が可能、水素の割引価格などのグループから選択された少なくとも1つの情報(燃料補給パラメータ)を含むメッセージを少なくとも1つのクライアントに送信する。
【0038】
本発明のさらなる実施形態によれば、クライアントの送信された少なくとも1つの所望の燃料補給パラメータ(αdesired)がグリーン水素による燃料補給である場合、少なくとも1つの燃料補給ステーションまたは管理システムは、燃料補給される水素が太陽光エネルギー、風力エネルギー、バイオマス、水力発電および/または地熱エネルギーなどの再生可能エネルギーのみを使用して生成されている、または生成されたことを保証することができ、特に気候証明書(CO2証明書)を使用して、燃料補給が実行された後にこれをクライアントに記録することが好ましい。
【0039】
さらに、コンピュータ実装方法は、
複数のクライアントによって送信された燃料補給要求をクラウドベースサーバ(リモートサーバ)のデータベースに収集するステップと、
データベース内の複数の燃料補給ステーション(201、202)から状態および/または動作パラメータおよび/または燃料補給予測を収集するステップと、
少なくとも2つの燃料補給提案をデータベースまたは管理システムからクライアントのうちの少なくとも1つに送信するステップであって、個々の燃料補給ステーションの収集された状態および/または動作パラメータおよび/または燃料補給予測、ならびに/あるいは複数のクライアントの送信された燃料補給要求が、燃料補給提案を準備する際に考慮される、ステップと
を備え得る。
【0040】
さらに、それぞれの燃料補給ステーションまでの距離、(それぞれのクライアントの)車両内の水素残量、それぞれのクライアントの予定走行ルートまたは走行距離のグループから選択された、個々の燃料補給ステーションの収集された状態および/または動作パラメータおよび/または燃料補給予測、ならびに/あるいは複数のクライアントおよび/またはクライアント関連パラメータの送信された燃料補給要求に基づいて、最適化された燃料補給提案が決定されることが有利であり、燃料補給提案は、選択された燃料補給ステーションまでの距離、充填速度、待ち時間、水素の価格、燃料補給ステーションの利用状況などに関して最適化することができる、または最適化されることが好ましい。
【0041】
本発明のさらなる実施形態によれば、車両の高圧貯蔵タンクの充填レベルおよび/またはあらかじめ定められた走行距離に応じて、充填プロセスおよび/または対応する適切な位置の燃料補給ステーションをクライアントに提案することができる。
【0042】
ワイヤレスデータ送信がデジタルモバイル通信であることも有利である。
【0043】
さらに、本発明は、車両および/またはクライアントの燃料補給プロセスをフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで制御するためのコンピュータ実装方法に関し、本方法は、
燃料補給期間、充填量、最大充填速度、充填される水素の温度曲線、車両側の高圧貯蔵タンクに充填される水素の温度曲線、燃料補給曲線(デルタ-P温度曲線)のグループから選択される、車両、またはクライアント、またはクライアントタイプ(車両タイプまたはクラスタ)に対してすでに実行された少なくとも1つの燃料補給プロセスに関する少なくとも1つの燃料補給パラメータ(データ)が利用可能かどうかを確認するステップを備える。
【0044】
燃料補給される車両および/またはクライアントおよび/またはクライアントのタイプに対して少なくとも1つの燃料補給プロセスパラメータが利用可能である場合、これは燃料補給または充填プロセス中に考慮および/または最適化される。
【0045】
この文脈において、クライアントタイプ、特に車両タイプまたはクラスタは、Mercedes GLC F-Cell、BMW X5 i Hydrogen、Toyota Miraiなどの、同じタイプのクライアントまたは車両は、高圧貯蔵タンク、バルブ技術、水素貯蔵システム、水素インジェクタなどの同一の水素システムを有していることを意味する。したがって、異なるクライアントタイプまたは車両に燃料を補給するために、異なる燃料補給パラメータが必要になる場合がある。たとえば、ある車両タイプが2.5kgの高圧水素貯蔵タンクを2個有し、別の車両タイプが0.5kgの高圧水素貯蔵タンクを10個有する場合、第2の車両タイプが導入される水素の量が貯蔵タンクの数の5倍に分散されるため、より迅速に充填することができる。一方、車両タイプが渦流発生型インジェクタなどの最新の水素システムを搭載している場合、たとえ高圧貯蔵タンクの数が少なくても、水素タンクの数が多い旧型システムに比べて、より早い燃料補給が可能となる場合がある。
【0046】
したがって、コンピュータ実装方法では、燃料補給を実行する前に車両またはクライアントの車両タイプを呼び出すことが有利であり得、これは、車両に取り付けられたコード、特にQRコード(登録商標)を介して、または無線データ送信によるデータ交換を介して行うことができる。
【0047】
さらに、コンピュータ実装方法が、
車両、クライアント、またはクライアントタイプに対してすでに実行された少なくとも1つの燃料補給プロセスの燃料補給パラメータに基づいて、燃料補給曲線、特にデルタ-P温度曲線を作成するステップをさらに備えることが有利である。
【0048】
ここで、燃料補給パラメータおよび/または燃料補給データが、車両またはクライアントまたはクライアントタイプに対して実行される複数の燃料補給プロセスに利用可能であれば有利であり、このようにして、一方では平均値を決定することができ、他方では、収集された燃料補給パラメータおよび/または燃料補給データに基づいて作成された燃料補給曲線を最適化することができる。
【0049】
燃料補給曲線は、好ましくは、
燃料補給期間、充填量、充填された水素の温度曲線、車両側の高圧貯蔵タンクに充填された水素の温度曲線(開始温度<->終了温度)、車両側の高圧貯蔵タンク内の圧力上昇、および達成された充填度のグループから選択される利用可能な燃料補給パラメータ、ならびに/または
貯蔵された(利用可能な)水素の温度、貯蔵された水素の圧力、進行中の燃料補給プロセスの数、燃料補給ステーションの利用状況、エネルギー価格、再生可能エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、および一定の時間期間内に予定されている(保留中または確認された)燃料補給プロセスの数のグループから選択される、車両および/またはクライアントに燃料を補給するためにフィードバックありおよび/またはフィードバックなしで制御される充填デバイス、特に水素燃料補給ステーション(201、202)の状態および/または動作パラメータに基づいて作成および/または最適化することができる。
【0050】
ここで、本発明の文脈において、「燃料補給曲線」に関連する「最適化」という用語は、利用可能なデータ(たとえば、燃料補給パラメータ、水素燃料補給ステーションの状態および/または動作パラメータ)に基づいて、充填の所望の終点(目標高圧貯蔵タンク圧力、目標高圧貯蔵タンク温度、目標水素充填量)が可能な限り正確に達成されるように燃料補給曲線(デルタ-P温度曲線)を調整するための試みが行われることを意味すると理解されるべきである。デルタ-Pおよび/または充填水素の温度などの個々の燃料補給パラメータは、所望の終点をより正確に達成するために、実行される複数の燃料補給プロセスの燃料補給期間にわたって変更することができる。
【0051】
一方で、取得されたデータは、低速充填、通常充填、および低温充填のグループから選択される様々な燃料補給モードを提供するために使用することができ、デルタ-Pは、燃料補給期間が長くなるにつれて(たとえば、ゆっくりとした充填中)減少し、それに応じて、それほど強く冷却されない水素(マイナス20℃からプラス20℃の範囲、好ましくは0℃からプラス20℃の範囲)に燃料を補給できるため、燃料補給プロセスに必要なエネルギーが削減される。
【0052】
さらに、コンピュータ実装方法では、同じ車両、クライアント、および/またはクライアントタイプに対してすでに実行された燃料補給プロセスの燃料補給パラメータを確認する際、実行された燃料補給プロセスの終了時に高圧貯蔵タンクの最大許容温度に達していないと決定された場合、車両および/またはクライアントの予定された燃料補給プロセスの燃料補給期間があらかじめ定められた値または決定された値だけ短縮されることが好ましい。
【0053】
さらに、本発明は、特に好ましくは水素を動力源とする車両の運転者の、ユーザの消費パターンおよび/またはユーザの燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法であって、
燃料補給時間、燃料補給期間、充填量(燃料補給される水素の量)、最大充填速度(l/s)、燃料補給ステーションによって燃料補給に必要なエネルギー、所与の時間における水素の価格、第4の時間期間t4内で燃料補給された水素の生成に使用されるエネルギーの種類のグループから選択されるデータを備える、クライアントによって実行される少なくとも1つの、好ましくは複数の燃料補給プロセスを表すデータを取得するステップS10と、
第4の時間期間t4にわたって取得されたデータの履歴またはデータ収集を生成するステップS20と、
取得されたデータの生成された履歴またはデータ収集にクライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムを適用することによって、水素のクライアント燃料補給パターンを生成するステップS30とを備え、
クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムは、あらかじめ定められた第5の時間期間(t5)にわたる個々の燃料補給プロセスの蓄積(燃料補給プロセスの数およびプロファイル)を表す履歴またはデータ収集に基づいてトレーニングされたアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムであり、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムを使用してクライアント燃料補給パターンを決定または定義する、方法に関する。
【0054】
本発明のさらなる実施形態によれば、第4の時間期間t4は、1年、6か月、3か月、1か月、2週間、または1週間に及ぶことができ、および/あるいは第5の時間期間(t5)は、30日、60日、90日、180日、1年、または2年に及ぶことができる。
【0055】
ここで、クライアント燃料補給パターン決定アルゴリズムが、
第5の時間期間t5にわたる、個々の燃料補給プロセス(燃料補給プロセスの数およびプロファイル)の蓄積を表す履歴データまたはデータ収集、および
あらかじめ定められた第5の時間期間t5内の燃料補給時間またはそれぞれの燃料補給プロセスの時刻に基づいてトレーニングされていることが有利である。
【0056】
さらに、本発明は、水素燃料補給ステーションによる、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法であって、
燃料補給ステーションの燃料補給パターンを作成するステップであって、燃料補給ステーションの燃料補給パターンが、好ましくは、燃料補給ステーションとクライアントとの間のデータ交換のための前述のコンピュータ実装方法によって作成される、または作成された、ステップと、
貯蔵水素の量、貯蔵水素の温度、貯蔵水素の圧力、空き燃料ポンプの数、進行中の燃料補給プロセスの数、燃料補給ステーションの利用状況、エネルギー価格、再生可能エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、一定の時間期間内に予定されている(保留中または確認済みの)燃料補給プロセスの数、顧客によって指定された燃料補給期間に応じた予約済みの燃料補給プロセス、低速充填、通常充填、または低温充填のコスト、ならびに水素の物流(トラックまたはパイプラインなどの輸送ルートを介して燃料補給ステーションまでどれだけの水素を利用できるか)のグループから選択される少なくとも1つのパラメータを備える、水素燃料補給ステーションの状態および/または動作パラメータを検出するステップと、
作成された燃料補給ステーションの燃料補給パターンと、検出された水素燃料補給ステーションの状態および/または動作パラメータを考慮して、フィードバックありおよび/またはフィードバックなしで水素生成および/または水素処理を制御するステップとを備える、コンピュータ実装方法に関する。
【0057】
さらに、コンピュータ実装方法は、
作成された燃料補給ステーションの燃料補給パターンに基づいて必要な水素貯蔵量を決定するステップであって、貯蔵水素の量、貯蔵水素の冷却温度、および貯蔵水素の圧力が、作成された燃料補給ステーションの燃料補給パターン、特に予定された燃料補給プロセスのそれぞれの燃料補給プロファイル(デルタ-P温度曲線)に基づいて決定され、水素貯蔵量、貯蔵水素の冷却温度、および貯蔵水素の圧力が、燃料補給ステーションの燃料補給パターンに基づいて決定された要件よりも約10%~20%高い範囲で可能な限り低く保たれることが好ましい、ステップを備え得る。
【0058】
さらに、本発明は、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための、特に水素燃料補給ステーションによる水素生成および/または水素処理を制御するためのコントローラであって、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するための制御ユニットと、前述のコンピュータ実装方法のステップを実行するための手段とを備えるコントローラに関する。
【0059】
さらに、本発明は、特に水素燃料補給ステーションにおいて、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素を生成および/または処理するためのシステムであって、
コントローラ、特に、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するための前述のコントローラと、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するための前述のコンピュータ実装方法のステップを実行するための手段とを備えるシステムに関する。
【0060】
さらに、少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素を生成および/または処理するためのシステムは、
少なくとも1つの燃料補給施設と、
少なくとも1つの高圧水素貯蔵タンクと、
少なくとも1つのディスペンサと、
好ましくは少なくとも1つの電解槽とを備える。
【0061】
さらに、本発明は、少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間のデータ交換のためのシステムまたは管理システムであって、
少なくとも1つの燃料補給ステーション、特に水素燃料補給ステーションと、
少なくとも1つのクライアント、特にモバイル端末、車両の電子通信デバイス、スマートフォンなどと、
ワイヤレスデータ送信を介して、少なくとも1つの燃料補給ステーション、少なくとも1つのクライアント、および/またはリモートサーバあるいはクラウドベースのサーバ、の間でデータを交換するように構成されたリモートサーバまたはクラウドベースのサーバと、
少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うための前述のコンピュータ実装方法のステップを実行するための手段とを備える、システムまたは管理システムに関する。
【0062】
本発明は、
メモリ(データメモリ)と、
ワイヤレスデータ送信を介して、少なくとも1つの燃料補給ステーション、特に水素燃料補給ステーションと、少なくとも1つのクライアント、特にモバイル端末、車両の電子通信デバイス、スマートフォンなどとの間でデータを交換するように構成された通信インターフェースと、
少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うための前述のコンピュータ実装方法を実行するように構成されたプロセッサ(コンピュータプロセッサ、CPU)とを備える、リモートサーバ(または、クラウドベースのサーバ)にさらに関する。
【0063】
さらに、本発明は、コンピュータ、特に車両コントローラ、モバイル端末、スマートフォンなどのグループから選択されるクライアントのコンピュータによって実行されると、少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うための前述のコンピュータ実装方法と、フィードバックありおよび/またはフィードバックなしで燃料補給プロセスを制御するためのコンピュータ実装方法と、ユーザ消費パターンおよび/またはユーザ燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法と、および/または少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法とを実行させるコマンドを備えるコンピュータプログラム、特にアプリケーションソフトウェア(アプリ)に関する。
【0064】
さらに、本発明は、コンピュータ、特に車両コントローラ、モバイル端末、スマートフォンなどのグループから選択されるクライアントのコンピュータによって実行されると、少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うための前述のコンピュータ実装方法と、フィードバックありおよび/またはフィードバックなしで燃料補給プロセスを制御するためのコンピュータ実装方法と、ユーザ消費パターンおよび/またはユーザ燃料補給パターンを検出するためのコンピュータ実装方法と、および/または少なくとも1台の車両に燃料を補給するための水素生成および/または水素処理を制御するためのコンピュータ実装方法とを実行させるコマンドを備えるコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0065】
デバイス、使用法、および/または方法のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の実施形態の説明において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】車両と燃料補給ステーションとの間のデータ交換のためのシステムの構造を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、複数のクライアントと燃料補給ステーションとの間のデータ交換のためのシステムの構造を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、
図2に示されるシステムの信号処理ハードウェアを示すブロック図である。
【
図4】入力層、隠れ層、および出力層を有する人工ニューロンを備えたニューラルネットワークを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
異なる図面において使用される同一の参照番号は、同一、対応する、または機能的に類似した要素を示す。
【0068】
図1は、車両102、特に水素燃料電池自動車と燃料補給ステーションとの間のデータ交換のためのシステム100の構造を概略的に示しており、車両102は、電気モータ106および蓄電機構、たとえばバッテリ104aによって動力を供給される。電気エネルギーは、水素貯蔵タンク104bによって水素が供給される燃料電池(図示せず)によって供給することができる。水素貯蔵タンク104bは、水素レベルを検出するための水素貯蔵センサ108を有し得る。
【0069】
図示のシステムは、水素供給ライン112を介して車両に新鮮な水素(燃料)を充填または燃料補給することができる、水素燃料補給ステーションなどの車両エネルギーステーション110をさらに備える。ここで、車両エネルギーステーション110は、必要に応じて現場で水素を生成するように水素コントローラによって制御される。水素コントローラ120はまた、コントローラ120がワイヤレス通信ネットワーク116を介して車両102などの1つまたは複数の構成要素と通信できるようにする通信デバイス(図示せず)を含む。たとえば、水素制御デバイスは、リモートサーバ(クラウドベースのサーバ)または車両102から水素の生成に使用されるメッセージを受信するように構成することができる。水素の生成は、水素が水素貯蔵ユニット122に貯蔵されるように制御することができる。
【0070】
図示されるシステムは、燃料補給ステーション110への車両102の到着に基づいて供給される水素の量を決定し、それに応じて生成する、エネルギー生成決定アプリケーション118をさらに備える。さらに、システムはユーティリティコンピュータインフラストラクチャ124を有し、これは1つまたは複数のコンピュータデバイス(図示せず)を備え得、それによって車両エネルギーステーション(燃料補給ステーション)は電力供給者と通信することができ、決定された水素必要量に基づいて、様々な電力供給者に必要なエネルギー要件(電力要件)を要求および注文する。
【0071】
図2は、本発明の一実施形態による、複数のクライアント301、310と燃料補給ステーション201、202との間のデータ交換のためのシステム300の構造を概略的に示している。
【0072】
図示されるシステム300または管理システムは、固定燃料補給ステーション201、モバイル燃料補給ステーション202、スマートフォンの形態の第1のクライアント301、および車両の形態の第2のクライアント310を有する。さらに、図示されるシステム300は、特にデジタルモバイル通信、Bluetooth、またはWLANの形式のワイヤレスデータ送信を介して、2つの水素燃料補給ステーション201、202と2つのクライアント301、310との間でデータを交換するために使用されるリモートサーバ350またはクラウドベースのサーバを備える。さらに、リモートサーバ350、2つの燃料補給ステーション201、202、および/または2つのクライアント301、310は、前述の少なくとも1つの燃料補給ステーションと少なくとも1つのクライアントとの間でデータ交換を行うためのコンピュータ実装方法のステップを実行するように構成された手段、特にコンピュータプログラム(スマートフォンなどのモバイル端末デバイスの場合はアプリとして実装することができる)およびデータベースを有する。
【0073】
図3は、本発明の一実施形態による、
図2に示されるシステム300の信号処理ハードウェアを示すブロック図を示しており、
図2に示される2つの燃料補給ステーション201、202のうちの1つのコントローラとして、あるいは
図2に示されるクライアントのうちの1つのコントローラまたはアプリケーションソフトウェアとして機能するように構成することができる。
【0074】
プログラム可能信号処理ハードウェア200は、少なくとも1つの燃料補給ステーション201、202の制御を実行するために、特に水素の生成および/または処理の制御を実行するために、複数のクライアント301、310と複数の燃料補給ステーション201、202との間でデータを交換するためのシステム300に対する命令を生成するために、上述の燃料補給要求または燃料補給提案、状態または動作パラメータを受信するための通信インターフェース(I/F)210を備える。信号処理デバイス200は、プロセッサ、制御ユニット(たとえば、中央ユニット、CPU、またはグラフィックス処理ユニット、GPU)220、作業メモリ230(たとえば、ランダムアクセスメモリ)、およびプロセッサ220によって実行されると、プロセッサ220に、少なくとも1台の車両に燃料を補給するために水素を生成および/または処理するためのシステム300の機能、および任意でディスプレイ制御信号ジェネレータの機能を含む様々な機能を実行または制御させるコンピュータ可読命令/コマンドを備えるコンピュータプログラムを記憶するコマンドメモリ240をさらに備える。コマンドメモリ240は、コンピュータ可読コマンドがプリロードされたROM(たとえば、電気的に消去可能なプログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM)またはフラッシュメモリの形態)を備え得る。あるいは、コマンドメモリ240は、RAMまたは同様のタイプのメモリを備え得、コンピュータプログラムのコンピュータ可読コマンドは、CD-ROM、DVD-ROMなどの形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体250などのコンピュータプログラム製品、またはコンピュータ可読コマンドを含むコンピュータ可読信号260からそこに入力され得る。いずれの場合も、コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載のコンピュータ実装方法のうちの少なくとも1つを実行させる。しかしながら、本発明によるコントローラは、代わりに、特定用途向け集積回路(ASIC)などの非プログラム可能ハードウェアで実装することができる点に留意されたい。
【0075】
本発明のこの実施形態では、プロセッサ220、作業メモリ230、およびコマンドメモリ240を備える、
図3に示されるハードウェアコンポーネントの組合せ270は、少なくとも1台の車両に燃料補給するための水素を生成および/または処理するためのシステム300の機能を実行するように構成されており、これらの機能については以下で詳細に説明する。システム300がディスプレイ制御信号ジェネレータを備える本発明の本実施形態などの実施形態では、この任意のコンポーネントの機能は、通信インターフェース210とハードウェアコンポーネントの組合せ270によっても提供され得る。
【0076】
本発明によるコントローラおよび/または本実施形態のシステム300によって実行されるプロセスの以下の説明から分かるように、コントローラおよび/またはシステム300は、これにより、非常に正確な燃料補給スケジュールの予測と、それに関連する水素および/またはエネルギー要件の予測を決定するために、燃料補給要求、燃料補給提案、燃料補給ステーションの状態および動作パラメータ、所望の燃料補給パラメータ、燃料補給予測、気象条件、外気温、曜日、休暇または旅行シーズン、エネルギー価格、グリーンエネルギーの利用可能性、対応するセンサによって検出されるか、クライアントによって送信される予定されている燃料補給プロセスの数などの環境影響を自動的に処理する。
【0077】
図4は、入力層、隠れ層、および出力層を有する人工ニューロンを備えたニューラルネットワークを概略的に示している。
【0078】
上述の時系列予測アルゴリズムは、本実施形態のようにニューラルネットワークであり得る。ニューラルネットワークは、少なくとも1つの燃料補給ステーションによって検出された状態(状態データ)および/または動作パラメータ、事前知識なしにクライアントによって送信された燃料補給要求などの入力データを処理することによって、識別特徴を自動的に生成する。
【0079】
図4に示されるように、ニューラルネットワークは通常、入力層と出力層、ならびにいくつかの隠れ層で構成される。これらの層の各々は複数の人工ニューロン(
図4ではAからFで指定される)で構成され、各層はその入力に対して様々なタイプの変換を実行することができる。各人工ニューロンは、隣接する層において複数の人工ニューロンに接続することができる。各人工ニューロンの出力は、その入力の合計の非線形関数によって計算される。人工ニューロンとそれらの間の接続には通常、対応する重み付け(
図4におけるWAD、WAEなど)があり、特定の接続における信号の強度を決定する。これらの重み付けは学習プロセス中に調整され、その結果、ニューラルネットワークの出力が変化する。信号は第1の層(入力層)から最後の層(出力層)まで伝わり、複数の層を何度か通過することができる。
【符号の説明】
【0080】
100 システム
102 車両
104a バッテリ
104b 水素貯蔵タンク
106 電気モータ
108 水素貯蔵センサ
110 車両エネルギーステーション
112 水素供給ライン
116 ワイヤレス通信ネットワーク
118 エネルギー生成決定アプリケーション
120 水素コントローラ
122 水素貯蔵ユニット
124 ユーティリティコンピュータインフラストラクチャ
200 信号処理ハードウェア
200 信号処理デバイス
201 固定燃料補給ステーション
201 水素燃料補給ステーション
202 モバイル燃料補給ステーション
202 水素燃料補給ステーション
202 モバイル水素燃料補給ステーション
210 通信インターフェース
210 I/Fインターフェース
215 ディスプレイ
220 制御ユニット
220 プロセッサ
230 作業メモリ
240 コマンドメモリ
250 非一時的コンピュータ可読記憶媒体
250 コンピュータ可読記憶媒体
260 コンピュータ可読信号
260 コンピュータ可読信号(プログラム)
270 組合せ
300 システム
301 第1のクライアント
301 スマートフォン(クライアントI)
310 第2のクライアント
310 車両(クライアントII)
311 クライアント
311 電子通信デバイス
320 ワイヤレスデータ送信
350 リモートサーバ
350 リモートサーバ(クラウドベースのサーバ)
【国際調査報告】