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▶ スペクトラム ブランズ,インコーポレイティドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】遺伝子導入ティールテトラ
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/0275 20240101AFI20241008BHJP
   A01K 67/02 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241008BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20241008BHJP
【FI】
A01K67/0275
A01K67/02
C12N15/09 Z
C12N15/12
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514470
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022041639
(87)【国際公開番号】W WO2023034134
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,419
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516381231
【氏名又は名称】スペクトラム ブランズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100225598
【弁理士】
【氏名又は名称】桐島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】アイダス ネイスビシウス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エドワード フォックス
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC01
(57)【要約】
本発明は、遺伝子導入観賞魚、並びにかかる魚をインビトロ受精によって作製する方法に関する。また、かかる遺伝子導入魚の集団を確立する方法、及びマーケティングの目的のためにそれらを観賞魚産業に提供する方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子導入テトラであって、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含み、前記テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、前記ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、遺伝子導入テトラ。
【請求項2】
繁殖可能な、遺伝子導入テトラとして更に定義される、請求項1に記載の遺伝子導入テトラ。
【請求項3】
繁殖不能な遺伝子導入ティールテトラとして更に定義される、請求項1に記載の遺伝子導入テトラ。
【請求項4】
前記魚が、前記組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてホモ接合である、請求項1に記載の遺伝子導入テトラ。
【請求項5】
前記魚が、前記組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてヘテロ接合である、請求項1又は4に記載の遺伝子導入テトラ。
【請求項6】
遺伝子導入テトラを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項1に記載の遺伝子導入テトラを得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項7】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
遺伝子導入テトラを生産する方法であって、
(a)染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含む、テトラを得ることであって、前記テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、前記ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、得ることと、
(b)得られた前記テトラを第2のテトラと繁殖させて、前記ティールテトラ1形質転換事象を含む遺伝子導入テトラを提供することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記第2のテトラが、非遺伝子導入テトラである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の遺伝子導入テトラの子孫であって、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含み、前記テトラ及び前記子孫が、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、前記ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、子孫。
【請求項13】
繁殖可能な、遺伝子導入テトラとして更に定義される、請求項12に記載の子孫魚。
【請求項14】
繁殖不能なティールテトラとして更に定義される、請求項12に記載の子孫魚。
【請求項15】
前記魚が、GFP又はBFPが組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてホモ接合である、請求項12に記載の子孫魚。
【請求項16】
前記魚が、前記組み込まれた発現カセットについてヘテロ接合である、請求項12に記載の子孫魚。
【請求項17】
遺伝子導入魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項12に記載の子孫魚を得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項18】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
遺伝子導入魚を生産する方法であって、
(a)請求項12に記載の遺伝子導入魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記ティールテトラ1形質転換事象形質転換事象を含む遺伝子導入魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記第2の魚が、非遺伝子導入魚である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
遺伝子導入テトラであって、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含み、前記テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含む、遺伝子導入テトラ。
【請求項24】
繁殖可能な、遺伝子導入テトラとして更に定義される、請求項23に記載の遺伝子導入テトラ。
【請求項25】
繁殖不能な遺伝子導入ティールテトラとして更に定義される、請求項23に記載の遺伝子導入テトラ。
【請求項26】
前記魚が、前記組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてホモ接合である、請求項23に記載の遺伝子導入テトラ。
【請求項27】
前記魚が、前記組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてヘテロ接合である、請求項23又は26に記載の遺伝子導入テトラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際出願として2022年8月26日に出願され、2021年9月3日に出願された米国仮特許出願第63/240,419号の利益及び優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。適切な範囲で、上記参照出願に対する優先権の主張がなされる。
【0002】
本発明は、遺伝子導入魚、特に青緑色(teal)遺伝子導入魚に関する。
【発明の概要】
【0003】
遺伝子導入技術は、宿主生物への外来遺伝子の移入を含み、宿主が新しい遺伝可能な形質を取得することを可能にする。遺伝子導入技術は、多くの潜在的な適用を有する。例えば、新しい品種の魚を生成するために、魚に導入遺伝子を導入するために使用することができる。魚に外来遺伝子を導入する多くの方法があり、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、精子媒介遺伝子移入、遺伝子ボンバードメント又は遺伝子銃、リポソーム媒介遺伝子移入、及び魚組織へのDNAの直接注入が含まれる。
【0004】
初期の遺伝子導入魚は、マウスメタロチオネイン遺伝子プロモーター及びヒト成長ホルモン遺伝子からなるキメラ遺伝子構築物を使用した。初期の遺伝子導入魚試験のほとんどは、急速に成長する魚を生成することを目的に、成長ホルモン遺伝子移入に集中していた。初期の試みの大部分は、異種成長ホルモン遺伝子及びプロモーターを使用し、これらの魚を生産することに失敗したが、大西洋サケ、いくつかの種の太平洋サケ、及びドジョウを含むいくつかの魚の種において遺伝子導入魚の増強された成長が示されている。
【0005】
ブラックスカートテトラ(Gymnocorymbus ternetzi)は、少なくとも1950年初期には米国で商業的に養殖されていた。しかしながら、観賞魚産業にとって、成魚ブラックスカートテトラの濃い縞模様の色素沈着は、様々な色の効率的なディスプレイに役立たない。アルビノのブラックスカートテトラ、又は「ホワイトスカートテトラ」は、馴化期間中に発生し、減少した色素沈着を示す変異体である。蛍光タンパク質を用いた遺伝子導入のために改変した色素沈着を有するような魚の利用可能性は、蛍光色のより良い視覚化により、観賞魚産業のためのより良い商品をもたらすであろう。
【0006】
多くの蛍光タンパク質が当該技術分野で既知であり、様々な細胞プロセスを調査するために使用されてきており、様々な緑色、赤色、黄色、青色、又は紫色を示す蛍光タンパク質が含まれる。蛍光タンパク質を含む遺伝子導入実験は、遺伝子導入のための新しいマーカー及びレポーターを提供してきているが、かかるタンパク質を発現する観賞魚を開発及び生産する分野における進歩は限られている。
【0007】
更に、古典的な緑色、赤色、黄色、青色、又は紫色を超えて色をディスプレイする遺伝子導入魚を提供する能力は、種、使用される色の組み合わせ、妊娠周期、及び複数世代(F1、F2、F3など)にわたる色の一貫性を含むがこれらに限定されない、いくつかの要因に基づいて予測することが困難である。そのため、一貫したハイブリッド色を維持する、複数世代を通した色の可視化を保持する色交配した遺伝子導入魚が必要とされている。
【0008】
遺伝子導入ティールテトラ(TEAL TETRA)
特定の実施形態では、本開示は、遺伝子導入蛍光魚を作製し、かかる魚を観賞魚産業に提供することに関する。
【0009】
いくつかの実施形態では、遺伝子導入魚又は遺伝子導入魚を作製する方法が提供される。特定の態様では、遺伝子導入魚は、繁殖可能な、遺伝子導入の蛍光魚である。少なくとも1つの例示的な実施形態では、開示される構築物及び方法で使用するための魚は、ホワイトスカートテトラである。テトラ皮膚色は、メラノソーム(黒色又は褐色)、キサントソーム(黄色)、エリスロソーム(オレンジ色又は赤色)、又はイリドソーム(白色を含む、虹色)と呼ばれる色素顆粒を含む、それらの皮膚における色素細胞によって決定される。色素細胞当たりの色素顆粒の数、サイズ、及び密度は、魚皮膚の色に影響を与える。ホワイトスカートテトラは、減少した数、サイズ、及び密度のメラノソームを有し、そのため、野生型ブラックスカートテトラと比較して明るい皮膚を有する。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態では、特定の遺伝子導入組み込み事象を含む遺伝子導入テトラ又はその子孫が提供され、本明細書において形質転換事象と称される。これらの魚は、例えば、それらが審美的に魅力的な青緑色を体現するため、特に興味深いものである。これらの特定の遺伝子導入事象を含む遺伝子導入魚は、形質転換事象(複数可)の各々について、ホモ接合又はヘテロ接合(例えば、ヘミ接合を含む)であり得る。形質転換事象を欠いている魚と繁殖されたホモ接合魚は、ほとんど全ての場合、100%ヘテロ接合性子孫を生産する。これらの特定の遺伝子導入事象を含む卵、精子、及び胚も、本発明の一部として含まれる。
【0011】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、ティールテトラは、2つの発現カセットを含む。両方のカセットは、ホモ接合であることができる。他の実施形態では、カセットの各々は、ヘテロ接合であることができる。代替的な実施形態では、一方の発現カセットは、ホモ接合であることができ、他方の発現カセットは、ヘテロ接合である。異なる接合状態の魚は、繁殖時に異なる比率の子孫を生産するであろうことを理解されたい。
【0012】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、テトラは、特定の遺伝子導入組み込み事象を含み、ティール遺伝子導入テトラ又はその子孫は、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含んで提供され、テトラは、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、ティールテトラ1形質転換事象を含む精子は、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている。染色体に組み込まれた導入遺伝子は、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含む。
【0013】
いくつかの例示的な実施形態では、ティールテトラは、緑色蛍光タンパク質若しくはその一部、及び/又は青色非蛍光色素タンパク質を有する青色蛍光タンパク質若しくはその一部を含む。少なくともこれらの例示的な実施形態では、遺伝子導入テトラは、繁殖可能な、遺伝子導入テトラである。より具体的な態様では、かかるテトラは、遺伝子導入ホワイトスカートテトラである。かかる遺伝子導入テトラは、導入遺伝子又は組み込まれた発現カセット(複数可)について、ホモ接合又はヘテロ接合(例えば、ヘミ接合を含む)であり得る。
【0014】
染色体に組み込まれた導入遺伝子は、1つの組み込まれた発現カセット又は2つ以上の組み込まれた発現カセットに存在し得る。いくつかの例示的な実施形態では、ティールテトラは、緑色蛍光タンパク質若しくはその一部、及び青色蛍光タンパク質又はその一部、及び青色非蛍光色素タンパク質を含む。少なくともこれらの例示的な実施形態では、遺伝子導入青色テトラは、繁殖可能な、遺伝子導入テトラであり、繁殖可能な、遺伝子導入テトラである遺伝子導入緑色テトラと交配される。より具体的な態様では、かかる交配の子孫は、遺伝子導入ティールテトラである。少なくともこれらの例示的な実施形態では、かかる遺伝子導入テトラは、導入遺伝子又は組み込まれた発現カセット(複数可)について、ホモ接合又はヘテロ接合(例えば、ヘミ接合を含む)であり得る。
【0015】
また、ティールテトラ1形質転換事象を含む遺伝子導入テトラを観賞魚市場に提供する方法が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含む遺伝子導入テトラ又はその子孫を得ることであって、テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む。かかる魚は、養殖者によって商業流通業者に流通され得るか、又はかかる魚は、養殖者若しくは商業流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0016】
いくつかの態様では、遺伝子導入テトラを生産する方法が提供され、方法は、(a)蛍光を示し、1つ以上の染色体に組み込まれた導入遺伝子又は発現カセットを含むテトラを得ることであって、テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、得ることと、(b)得られたテトラを第2のテトラと繁殖させて、ティールテトラ1形質転換事象を含む遺伝子導入テトラを提供することと、を含む。第2のテトラは、遺伝子導入又は非遺伝子導入テトラであり得る。更なる実施形態では、遺伝子導入生物を生産する方法も提供され、方法は、ティールテトラ1形質転換を含む精子を使用して(かかる精子は、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている)、遺伝子導入子孫を生産することを含む。かかる子孫は、例えば、テトラ、Gymnocorymbus属の種、テトラに関連する魚の種若しくは属、又は別の魚の種若しくは属であり得る。いくつかの態様では、魚は、当該技術分野で既知か、又は本明細書に記載のインビトロ受精技法を使用して生産され得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書で特許請求の範囲で使用される場合、単語「含む(comprising)」とともに使用される場合、単語「a」又は「an」は、1つ又は1つ以上を意味し得る。
【0018】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、又は代替物が相互に排他的である場合を除いて、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、代替物のみ及び「及び/又は」のみを指す定義も支持する。本明細書で使用される場合、「別の」とは、少なくとも第2の、又はそれ以上を意味し得る。
【0019】
本出願全体にわたって、「約」という用語は、値が、デバイス、値を決定するために用いられている方法、又は試験対象間に存在する変動、における誤差の固有の変動を含むことを示すために使用される。
【0020】
本方法、キット、及び組成物のうちのいずれかの任意の実施形態は、記載される特徴及び/又はステップ-を含む(comprise)/含む(include)/含む(contain)/有するではなく-からなるか、又は本質的になり得る。したがって、特許請求の範囲のうちのいずれかにおいて、「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、所与の特許請求の範囲を、非限定的連結動詞を他の方法で使用するものから変更するために、上記の非限定的連結動詞のいずれかに置き換えられ得る。
【0021】
本開示の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明から、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正が当業者に明らかになるため、詳細な説明及び好ましい実施例は、本発明の特定の実施形態を示しながら、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
遺伝子導入魚
いくつかの態様では、本発明は、遺伝子導入魚に関する。遺伝子導入魚を作製する方法は、例えば、米国特許第7,135,613号、同第7,700,825号、同第7,834,239号に記載されており、それらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。例えば、遺伝子導入テトラは、ZsGreen1などの緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。別の例では、遺伝子導入オレンジ色テトラは、ZsYellow1などのオレンジ色蛍光タンパク質(YFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。別の例では、遺伝子導入赤色テトラは、DsRed2などの赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。別の例では、遺伝子導入紫色テトラは、FP635などの紫色蛍光タンパク質(PFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。別の例では、遺伝子導入青色テトラは、TagBFP、又はaeCP597と組み合わせたTagBFPなどの青色蛍光タンパク質(BFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。
【0023】
関連する実施形態では、青色化タンパク質は、aeCP597、eqFP670、E2-Crimson、mPlum、mRaspberry、mCardinal、mNeptune、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0024】
他の関連する実施形態では、BFPは、SBFP2、TagBFP、TagBFP2、shBFP、Azurite、eBFP2、oxBFP、mBlueberry2、mKalama1、eBFP 1.2、eBFP.A5、moxBFP、mTagBFP、mTagBFP2、又はそれらの組み合わせを含む群から選択される。関連する実施形態では、これらのBFPは、aeCP597、eqFP670、E2-Crimson、mPlum、mRaspberry、mCardinal、mNeptune.mNeptune2、Neptune、TagRFP657、TagRFP658、Maroon0.1、mMaroon1、mGrape2、mGrape3、mCarmine、mKelly、mKelly2、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの青色化タンパク質と組み合わせられる。
【0025】
他の関連する実施形態では、青色色素タンパク質は、Acropora hyacinthusからのCP-580、Acropora aculeusからのCP-580、Acropora formosa(現在はA.muricataと呼ばれる)からのCP-588、Rhizostoma pulmo及びCassiopeia xamachanaからのCP-588、CP-588 Acropora millepora、Montipora efflorescensからのCP-590、Montipora種からのCP-592、Anemonia sulcateからのCP-595、Anemonia equinaからのCP-597、Anemonia majano、aeBlue、Ultramarine、meffBlue(Rtms5)からのCP-597、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
色素タンパク質は、別の蛍光タンパク質と組み合わされないときに蛍光を発する能力を有しないティールテトラの蛍光特性を増強するために存在し得ることを理解されたい。更に、青色色素タンパク質及びほとんど青色に見えない蛍光タンパク質は、白色光で青色蛍光特性を示す。いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、青色に見えるタンパク質(色素タンパク質、又は青色に見える赤色/遠赤色蛍光タンパク質)と混合された緑色蛍光タンパク質は、物理的な青緑色可視化をもたらす。いくつかの例示的な実施形態では、青色蛍光タンパク質は、白色光で観察される青緑色配色に寄与せず、むしろ、UV光で青色蛍光を提供する。
【0027】
商業的価値、特に観賞魚産業内で商業的価値のある魚の種及び品種に属する魚が使用されることが好ましい。かかる魚には、キャットフィッシュ、ゼブラフィッシュ、及び他のダニオ、メダカ、カープ、ティラピア、キンギョ、テトラ、バーブ、シャーク(Cyprinidae科)、エンゼルフィッシュ、ローチ、コイ、ガラスフィッシュ、キャットフィッシュ、ディスカス、イール、テトラ、ゴビー、ゴウラミ、グッピー、クシフォフォルス、ハチェットフィッシュ、モリーフィッシュ、又はパンガシウスが含まれるが、これらに限定されない。本発明の文脈における使用のための特定の魚は、テトラ、Gymnocorymbus ternetziである。テトラはますます人気のある観賞動物であり、様々な色で商業的価値が付加されるであろう。テトラ胚は、容易に利用でき、ほぼ透明である。開示の構築物及び方法で特に使用される魚は、ホワイトスカートテトラである。
【0028】
凍結精子からの受精
魚精子凍結方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、Walker and Streisinger(1983)及びDraper and Moens(2007)を参照されたく、これらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される遺伝子導入魚を得るために、凍結テトラ精子を使用して卵を受精させ得る。
【0029】
簡単に説明すると、テトラの1又は2つの繁殖対を、人工産卵マットを備えたシューボックス(又は同等の容器)に配置すべきである。シューボックスの水位は約2~3インチであり、75~85°Fに維持すべきである。低い塩分(導電率100~200uS/cm)及びわずかな酸性度(約pH6.9)は、産卵を促進する。魚は、自然又は人工の光サイクルに曝露され得、明期は、午前8時に始まり、午後10時に終了する。翌朝、卵を取り除いて廃棄する。テトラは、16mg/100mL水のトリカイン溶液に浸漬することによって麻酔され得る。鰓の動きが遅くなった後、1匹の雌を取り出し、水ですすぎ、ペーパータオルで腹部を優しく拭き取って生乾きにする。卵は、受精を妨げるため、水に晒すべきではない。腹部の側面に、例えば、親指と人差し指で軽く圧力をかけ、指を生殖孔にスライドさせることによって、卵をわずかに凹んだ表面に優しく押し出す。産卵する準備ができている雌は、卵を極めて簡単に放出し、魚を拭き取っている間に卵が押し出されないように注意すべきである。良質な卵は黄色味がかった半透明であり、雌内に長く残存していた卵は、白く不透明に見える。雌は、1時間ほどの間だけ卵を放出する。何匹かの雌からの卵をプールし得、卵は数分間受精しないままにできる。精子を、水浴中、33℃で18~20秒間解凍する。加えて、70μlの室温のハンクス溶液をバイアルに添加して混合する。次に、精子を直ちに卵子に加え、穏やかに混合する。精子及び卵子は、750μlの魚水を加えて混合することによって活性化される。
【0030】
混合物を室温で5分間インキュベートする。次いで、皿を魚水で満たし、28℃でインキュベートする。2~3時間後、受精胚を小さな皿に移し、そこで更に培養する。
【0031】
Parichy and Johnson,2001は、その全体が参照により組み込まれるが、インビトロ受精に関する更なる実施例を提供する。
【0032】
本発明は、ティールテトラ1形質転換事象を含む遺伝子導入魚の子孫、並びに遺伝子導入魚の卵、精子細胞、胚、又はゲノム的に組み込んだ遺伝子導入構築物を含有する他の細胞に由来するかかる遺伝子導入魚を更に包含する。「子孫」は、本用語が本明細書で使用される場合、本発明の2つの遺伝子導入魚を繁殖させることから、又は本発明の第1の遺伝子導入魚を本発明の遺伝子導入魚ではない第2の魚に繁殖させることから、結果とし生じることができる。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特定の系統の魚、変異体魚、又は別の遺伝子導入魚であることができる。これらの交配の交雑子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光における導入遺伝子の利点を有する。
【0033】
ティールテトラ1形質転換事象を含む魚を識別する最も簡単な方法は、問題の魚が青緑色であり、非遺伝子導入魚とすぐに区別できる蛍光特性を有するため、目視検査によるものである。
【実施例1】
【0034】
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例を参照して更に説明される。これらの実施例は、本発明を単に例示することが意図されており、本開示の範囲をいかなる方法でも限定又は制限することは意図されておらず、本開示の技術を行うために排他的に利用されなければならない条件、パラメータ、試薬、又は出発材料を提供するものと解釈されるべきではない。
【0035】
青緑色を示す遺伝子導入魚が提供される。これらの魚で具現化された特定の遺伝子導入事象は、ティールテトラ1と名付けられる。これらの魚からの精子は、例えば、青色蛍光テトラと緑色蛍光テトラとを交配させる子孫から得ることができる。「色交配した」組み合わせを含む色をディスプレイする遺伝子導入魚を提供する能力は、当業者には容易には明らかではなく、また過度の実験を伴わずに容易に得られた新規色を得る能力でもないことを理解されたい。これは特に、複数の世代がティールテトラ形質転換事象の一貫した視覚化を有することを所望する場合、明らかである。以下の実施例は、得ることができるティールテトラの様々な関連する例を示す。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態では、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現カセット、及びTagBFP又はaeCP597と組み合わせたTagBFPなどの青色蛍光タンパク質(BFP)をコードする発現カセットが注入され、それによって緑色及び青色の両方をコードするが、テトラは、ティール視覚化効果を含む。TagBFP、TagBFP2、shBFP、Azurite、eBFP2、oxBFP、mBlueberry2、mKalama1、又はそれらの組み合わせは、単独で、又はaeCP597、eqFP670、E2-Crimson、mPlum、mRaspberry、mCardinal、mNeptune、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの青色化タンパク質と組み合わせて使用することができることを理解されたい。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態では、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現カセット、及びTagBFP又は代替的な青色化タンパク質と組み合わせたTagBFPなどの青色蛍光タンパク質(BFP)をコードする発現カセットが注入され、それによって両方の色をコードするが、テトラは、ティール視覚化効果を含む。
【0038】
他の実施形態では、各蛍光タンパク質について1つの組み込まれた発現カセット、又は各蛍光タンパク質について2つ以上の組み込まれた発現カセットに存在し得る、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含む特定の遺伝子導入組み込み事象である、GFP及びBFPテトラ又はその子孫が提供される。特定の態様では、かかる遺伝子導入テトラは、繁殖可能な、遺伝子導入テトラである。かかる遺伝子導入テトラは、導入遺伝子又は組み込まれた発現カセット(複数可)について、ホモ接合又はヘテロ接合(例えば、ヘミ接合を含む)であり得る。
【0039】
また、ティールテトラ1形質転換事象を含む遺伝子導入テトラを観賞魚市場に提供する方法が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含む遺伝子導入テトラ又はその子孫を得ることであって、テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、凍結保存した精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む。かかる魚は、養殖者によって商業流通業者に流通され得るか、又はかかる魚は、養殖者若しくは商業流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0040】
実施例1-ティール遺伝子導入テトラ
青緑色を示す遺伝子導入魚が提供される。これらの魚に具現化された特定の遺伝子導入事象は、ティールテトラ1と名付けられる。これらの魚からの精子を使用して、テトラ卵を受精させ、それによって、これらの特定の遺伝子導入組み込み事象を含む遺伝子導入テトラを繁殖させ得る。この系統からの精子は、「ティールテトラ1」(受託番号PTA-127007)としてブダペスト条約の規定に従って、American Type Culture Collection,10801 University Blvd,Patent Depository,Manassas,VA 20110-2209に寄託されている。
【0041】
蛍光遺伝子導入魚は、市場で観賞魚としての使用を有する。安定して発現する遺伝子導入系統は、少なくとも1つの例示的な実施形態では、遺伝子導入個体を野生型魚、変異体魚、又は別の遺伝子導入魚と繁殖させることによって開発することができる。所望の遺伝子導入魚は、白色光、太陽光、紫外線、青色光、又は遺伝子導入魚の青緑色の可視化を可能にする任意の他の有用な照明条件で魚を観察することによって、非遺伝子導入魚と区別することができる。
【0042】
実施例2 ティール遺伝子導入テトラ
青緑色を示す遺伝子導入魚が提供される。これらの魚に具現化された特定の遺伝子導入事象は、ティールテトラ1と名付けられる。これらの魚からの精子を使用して、テトラ卵を受精させ、それによって、これらの特定の遺伝子導入組み込み事象を含む遺伝子導入テトラを繁殖させ得る。この系統からの精子は、「ティールテトラ1」(受託番号PTA-127007)としてブダペスト条約の規定に従って、American Type Culture Collection,10801 University Blvd,Patent Depository,Manassas,VA 20110-2209に寄託されている。
【0043】
安定して発現する遺伝子導入系統は、遺伝子導入個体を野生型魚、変異体魚、又は別の遺伝子導入魚と繁殖させることによって開発することができる。所望の遺伝子導入魚は、白色光、太陽光、紫外線、青色光、又は遺伝子導入魚の青緑色の可視化を可能にする任意の他の有用な照明条件で魚を観察することによって、非遺伝子導入魚と区別することができる。少なくともこの例示的な実施形態では、青緑色可視化を含むティール遺伝子導入魚は、ヘミ接合であり、青色蛍光タンパク質及び緑色蛍光タンパク質を含み、遺伝子導入魚の子孫の精子は、同一の遺伝子類似性のパーセンテージが、ティールテトラ1形質転換事象(ATCC受託番号PTA-127007)を有する精子の少なくとも95%である。少なくともこの例示的な実施形態では、ティールテトラ1形質転換事象を有する遺伝子導入魚は、緑色及び青色の両方についてヘミ接合である。少なくともこれらの例示的な実施形態では、野生型卵を受精させるときに予想される子孫は、各々25%の野生型、緑色、青色、及び青緑色であろう。
【0044】
関連する実施形態では、ティールテトラ1は、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含むテトラを、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び染色体に組み込まれた青色色素タンパク質又は青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含むテトラと繁殖させることから形成される。かかる繁殖の子孫は、繁殖可能な次世代の魚系統をもたらす。いくつかの例では、繁殖不能な子孫系統が望ましく、ティールテトラ1が、例えば、(F1、F2、F3など)などの特定の世代系統を起源とすることを可能にする。
【0045】
別の例示的な実施形態では、ティールテトラ1は、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含むテトラを、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含む第2のテトラと繁殖させることから形成される。かかる繁殖の子孫は、繁殖可能な次世代の魚系統をもたらす。いくつかの例示的な実施形態では、本開示は、繁殖不能な子孫を提供し、ティールテトラ1が、例えば、(F1、F2、F3など)などの特定の世代系統を起源とすることを可能にする。
【0046】
別の例示的な実施形態では、ティールテトラ1は、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットのうちの少なくとも1つを含むテトラを、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含む第2のテトラと繁殖させることから形成される。かかる繁殖の子孫は、繁殖可能な次世代の魚系統をもたらす。いくつかの例示的な実施形態では、本開示は、繁殖不能な子孫を提供し、ティールテトラ1が、例えば、(F1、F2、F3など)などの特定の世代系統を起源とすることを可能にする。
【0047】
別の例示的な実施形態では、ティールテトラ1は、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含むテトラを、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含む第2のテトラと繁殖させることから形成される。かかる繁殖の子孫は、繁殖可能な次世代の魚系統をもたらす。いくつかの例示的な実施形態では、本開示は、繁殖不能な子孫を提供し、ティールテトラ1が、例えば、(F1、F2、F3など)などの特定の世代系統を起源とすることを可能にする。
【0048】
別の例示的な実施形態では、ティールテトラ1は、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含むテトラを、野生型(非遺伝子導入)ホワイトスカートテトラである第2のテトラと繁殖させることから形成される。少なくともこの例示的な実施形態では、子孫は、25%ティールであろう。かかる繁殖の子孫は、繁殖可能な次世代の魚系統をもたらす。いくつかの例示的な実施形態では、本開示は、繁殖不能な子孫を提供し、ティールテトラ1が、例えば、(F1、F2、F3など)などの特定の世代系統を起源とすることを可能にする。
【0049】
上述の蛍光遺伝子導入魚はまた、それらは細胞系統及び細胞移動の追跡などの胚試験に使用することができるため、科学研究ツールの市場においても貴重である。加えて、これらの魚を使用して、遺伝モザイク実験及び魚類がんモデルにおける細胞をマークすることができる。
【0050】
本明細書に開示され特許請求される組成物及び/又は方法は全て、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者には、本明細書に記載の組成物及び/又は方法、並びに方法のステップ又は一連のステップに、本発明の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、変形例が適用され得ることが明らかであろう。より具体的には、化学的及び生理学的の両方に関連する特定の薬剤は、同じ又は類似の結果が達成されつつ、本明細書に記載される薬剤に対して置き換えられ得ることが明らかである。当業者には明らかである全てのかかる同様の置換及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨、範囲、及び概念の範囲内であるとみなされる。
【0051】
以下の付番された条項は、本開示の更なる例示的な態様及び特徴を定義する。
1.遺伝子導入テトラであって、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含み、テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、遺伝子導入テトラ。
2.繁殖可能な、遺伝子導入テトラとして更に定義される、条項1に記載の遺伝子導入テトラ。
3.繁殖不能な遺伝子導入ティールテトラとして更に定義される、条項1に記載の遺伝子導入テトラ。
4.魚が、組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてホモ接合である、条項1に記載の遺伝子導入テトラ。
5.魚が、組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてヘテロ接合である、条項1又は4に記載の遺伝子導入テトラ。
6.遺伝子導入テトラを観賞魚市場に提供する方法であって、条項1に記載の遺伝子導入テトラを得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
7.魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、条項6に記載の方法。
8.魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、条項6に記載の方法。
9.小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、条項8に記載の方法。
10.遺伝子導入テトラを生産する方法であって、
(a)染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含む、テトラを得ることであって、テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、得ることと、
(b)得られたテトラを第2のテトラと繁殖させて、ティールテトラ1形質転換事象を含む遺伝子導入テトラを提供することと、を含む、方法。
11.第2のテトラが、非遺伝子導入テトラである、条項10に記載の方法。
12.条項1に記載の遺伝子導入テトラの子孫であって、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含み、テトラ及び子孫が、「ティールテトラ1形質転換事象」を含み、ティールテトラ1形質転換事象を含む精子が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、子孫。
13.繁殖可能な、遺伝子導入テトラとして更に定義される、条項12に記載の子孫魚。
14.繁殖不能なティールテトラとして更に定義される、条項12に記載の子孫魚。
15.魚が、GFP又はBFPが組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてホモ接合である、条項12に記載の子孫魚。
16.魚が、組み込まれた発現カセットについてヘテロ接合である、条項12に記載の子孫魚。
17.遺伝子導入魚を観賞魚市場に提供する方法であって、条項12に記載の子孫魚を得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
18.魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、条項17に記載の方法。
19.魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、条項17に記載の方法。
20.小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、条項19に記載の方法。
21.遺伝子導入魚を生産する方法であって、
(a)条項12に記載の遺伝子導入魚を得ることと、
(b)得られた魚を第2の魚と繁殖させて、ティールテトラ1形質転換事象形質転換事象を含む遺伝子導入魚を提供することと、を含む、方法。
22.第2の魚が、非遺伝子導入魚である、条項21に記載の方法。
23.遺伝子導入テトラであって、染色体に組み込まれた緑色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、染色体に組み込まれた青色蛍光タンパク質をコードする発現カセット、及び/又は染色体に組み込まれた青色色素タンパク質若しくは青色化蛍光タンパク質をコードする発現カセットを含み、テトラが、「ティールテトラ1形質転換事象」を含む、遺伝子導入テトラ。
24.繁殖可能な、遺伝子導入テトラとして更に定義される、条項23に記載の遺伝子導入テトラ。
25.繁殖不能な遺伝子導入ティールテトラとして更に定義される、条項23に記載の遺伝子導入テトラ。
26.魚が、組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてホモ接合である、条項23に記載の遺伝子導入テトラ。
27.魚が、組み込まれた発現カセットのうちの少なくとも1つについてヘテロ接合である、条項23又は26に記載の遺伝子導入テトラ。
28.ティールテトラ1形質転換事象が、ATCC受託番号PTA-127007として寄託されている、条項23~27のずれか一項に記載の遺伝子導入テトラ。
【0052】
上記の明細書、実施例、及びデータは、本発明の組成物の製造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができるため、本発明は、以下に添付される特許請求の範囲に属する。
【国際調査報告】