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特表2024-537626パウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】パウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/543 20210101AFI20241008BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/547 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20241008BHJP
【FI】
H01M50/543
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/178
H01M50/531
H01M50/547 101
H01M50/557
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514549
(86)(22)【出願日】2023-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 KR2023011663
(87)【国際公開番号】W WO2024053878
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0113970
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ド・ヒュン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】スン・ス・チョ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ミン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ミ・イ
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA12
5H011AA13
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD13
5H011EE04
5H043AA04
5H043AA07
5H043AA11
5H043AA13
5H043BA19
5H043CA08
5H043DA02
5H043DA09
5H043DA27
5H043EA06
5H043HA02
5H043JA01
5H043JA13
5H043JA15
5H043KA01
(57)【要約】
本発明はパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールに関し、具体的には、下部ケースおよび上部ケースで構成されたパウチケースと、前記パウチケースの内部に位置し、正極、負極および分離膜を含む電極組立体であって、一側または両側に一対の電極タブを備えた電極組立体と、前記一対の電極タブと連結され、前記パウチケースの外側に突出した一対の電極リードと、を含み、前記下部ケースと上部ケースとが対面する縁部には熱融着したシーリング部が備えられ、前記第1金属層または第2金属層と接触する補助端子が前記シーリング部の側面縁部を取り囲むように備えられることを特徴とするパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内部樹脂層、第1金属層および第1外部樹脂層が順次積層された下部ケース、および第2内部樹脂層、第2金属層および第2外部樹脂層が順次積層された上部ケースで構成されたパウチケースと、
前記パウチケースの内部に位置し、正極、負極および分離膜を含む電極組立体であって、前記電極組立体の一側または両側に一対の電極タブを備えた電極組立体と、
前記一対の電極タブと連結され、前記パウチケースの外側に突出した一対の電極リードと、を含み、
前記下部ケースと上部ケースとが対面する縁部には熱融着したシーリング部が備えられ、前記第1金属層または第2金属層と接触する補助端子が前記シーリング部の側面縁部を取り囲むように備えられている、パウチ型電池セル。
【請求項2】
前記シーリング部は、電極リードが突出しない羽部、および前記電極リードが突出したテラス部からなり、前記補助端子は前記羽部の一部領域に備えられている、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項3】
前記シーリング部は、電極リードが突出しない羽部、および前記電極リードが突出したテラス部からなり、前記補助端子は前記羽部の全領域に備えられている、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項4】
前記シーリング部は、電極リードが突出しない羽部、および前記電極リードが突出したテラス部からなり、前記補助端子は前記テラス部に備えられている、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項5】
前記補助端子は、折曲可能な板状金属材質または導電性物質を含む接着フィルムの形態に形成される、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項6】
前記補助端子の内側面には楔形突起が備えられている、請求項5に記載のパウチ型電池セル。
【請求項7】
前記楔形突起は第1外部樹脂層を貫通してから第1金属層と接触するか、または第2外部樹脂層を貫通してから第2金属層と接触する、請求項6に記載のパウチ型電池セル。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のパウチ型電池セルと、
一側は前記補助端子と連結され、他側は正極リードまたは負極リードと連結されている測定部材と、を含む、電池モジュール。
【請求項9】
前記測定部材は2個であり、その一方には前記補助端子および前記正極リードが連結され、その他方には前記補助端子および前記負極リードが連結されている、請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記測定部材はバッテリー管理システム(BMS;Battery Management System)である、請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項11】
請求項8に記載の電池モジュールを含む、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2022年9月8日付け韓国特許出願第10-2022-0113970号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールに関し、具体的には電池セルの不良有無を実時間で把握することができ、またガスベンティングを防止するかまたは遅延させることができるパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
最近、化石燃料の使用による大気汚染、エネルギー枯渇による代替エネルギーの開発によって生産された電気エネルギーを貯蔵することができる二次電池に対する需要が増加している。充放電の可能な二次電池は、モバイル機器、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの日常生活に密接に使用されている。
【0004】
現代社会で必要不可欠に使用されている各種の電子機器のエネルギー源として使用されている二次電池は、モバイル機器の使用量の増加および複雑化、電気自動車などの開発によって所要容量が増加している。使用者の需要を満たすために、小型機器には多数の電池セルを配置しているが、自動車などには多数の電池セルを電気的に連結する電池モジュールまたはこのような電池モジュールを多数備えた電池パックが使用される。
【0005】
一方、パウチ型電池セルは、内部樹脂層、金属層および外部樹脂層からなるラミネートシートを使用して下部ケースおよび上部ケースを準備した後、これらを互いに対面した状態で熱融着して互いに接合する。
【0006】
しかし、円筒形ケースや角形ケースに比べて損傷し易く、損傷が発生して金属層が露出される場合、金属層の腐食によって水分が浸透するか、短絡が発生するか、または電気的絶縁の側面で危険に曝されて火災につながることがある。
【0007】
また、繰り返しの充放電の過程またはイベント発生の際に生成されるガスは電池セルの安全性の脅威となる要因の一つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許10-2014-0032710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような問題点を解決するために、本発明は、パウチ型電池セルが正常であるかを確認することができる機能を備えたパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、ベンティングガスを防止するかまたは遅延させることができる機能を備えたパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するために、本発明によるパウチ型電池セルは、第1内部樹脂層(111)、第1金属層(112)および第1外部樹脂層(113)が順次積層された下部ケース(110)、および第2内部樹脂層(121)、第2金属層(122)および第2外部樹脂層(123)が順次積層された上部ケース(120)で構成されたパウチケース(100)と、前記パウチケース(100)の内部に位置し、正極、負極および分離膜を含む電極組立体(200)であって、一側または両側に一対の電極タブを備えた電極組立体(200)と、前記一対の電極タブと連結され、前記パウチケース(100)の外側に突出した一対の電極リード(300)と、を含み、前記下部ケース(110)と上部ケース(120)とが対面する縁部には熱融着したシーリング部(130)が備えられ、前記第1金属層(112)または第2金属層(122)と接触する補助端子(600)が前記シーリング部(130)の側面縁部を取り囲むように備えられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記シーリング部(130)は、電極リード(300)が突出しない羽部(131)および前記電極リード(300)が突出したテラス部(132)からなり、前記補助端子(600)は前記羽部(131)の一部領域に備えられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記シーリング部(130)は、電極リード(300)が突出しない羽部(131)および前記電極リード(300)が突出したテラス部(132)からなり、前記補助端子(600)は前記羽部(131)の全領域に備えられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記シーリング部(130)は、電極リード(300)が突出しない羽部(131)および前記電極リード(300)が突出したテラス部(132)からなり、前記補助端子(600)は前記テラス部(132)に備えられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記補助端子(600)は、折曲可能な板状金属材質または導電性物質を含む接着フィルムの形態であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記補助端子(600)の内側面には楔形突起(610)が備えられることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記楔形突起(610)は第1外部樹脂層(113)を貫通してから第1金属層(112)と接触するか、または第2外部樹脂層(123)を貫通してから第2金属層(122)と接触することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前述したパウチ型電池セルと、一側は前記補助端子(600)と連結され、他側は正極リード(310)または負極リード(320)と連結される測定部材(700)と、を含む電池モジュールを提供することを特徴とする。
【0019】
また、本発明による電池モジュールにおいて、前記測定部材(700)は2個であり、その一方には前記補助端子(600)および正極リード(310)が連結され、その他方には前記補助端子(600)および負極リード(320)が連結されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明による電池モジュールにおいて、前記測定部材(700)はバッテリー管理システム(BMS;Battery Management System)であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、前述した電池モジュールを含む電池パックを提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上で説明したように、本発明によるパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールによれば、パウチケースの金属層と接触する補助端子がシーリング部に装着されているので、電池セルの絶縁抵抗や絶縁電圧を実時間で測定およびモニタリングすることができ、よって電池セルの安全性の確保に寄与することができる。
【0023】
また、本発明によるパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールによれば、補助端子はシーリング部を取り囲むように固定されるので、ベンティングガスを防止または遅延させることができ、電池セルの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の好適な第1実施例による補助端子を備えたパウチ型電池セルの分解斜視図である。
図2図1に示すパウチ型電池セルの斜視図である。
図3図2に示すパウチ型電池セルにおいて補助端子の装着過程を説明するための図である。
図4】本発明の好適な第2実施例による補助端子の装着過程を説明するための図である。
図5】本発明の好適な第3実施例による補助端子の装着過程を説明するための図である。
図6】本発明の好適な第4実施例によるパウチ型電池セルの斜視図である。
図7】本発明の好適な第5実施例によるパウチ型電池セルの斜視図である。
図8】本発明の好適な実施例による電池モジュールを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例の動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0026】
また、図面全般にわたって類似の機能および作用をする部分に対しては同じ図面符号を使用する。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言及するとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むと言及するときは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
以下、本発明によるパウチ型電池セルおよびこれを含む電池モジュールについて添付図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は本発明の好適な第1実施例による補助端子を備えたパウチ型電池セルの分解斜視図であり、図2図1に示すパウチ型電池セルの斜視図であり、図3図2に示すパウチ型電池セルにおいて補助端子の装着過程を説明するための図である。
【0029】
図1図3に示すように、本発明によるパウチ型電池セルは、パウチケース100と、電極組立体200と、電極リード300と、保護テープ400と、リードフィルム500と、補助端子600と、を含む。
【0030】
まず、パウチケース100は下部ケース110および上部ケース120で構成され、電極組立体200を収容するようにポケット状の収容空間が形成されている。
【0031】
このようなパウチケース100は、外部樹脂層、金属層および内部樹脂層からなるラミネートシートを使用して収容部を形成する。
【0032】
詳細には、下部ケース110は、最内側に位置する第1内部樹脂層111、中間に位置する第1金属層112、および最外側に位置する第1外部樹脂層113で構成され得る。
【0033】
上部ケース120の場合にも、第2内部樹脂層121が最内側に位置し、中間には第2金属層122が位置し、最外側には第2外部樹脂層123が位置している。
【0034】
パウチケース100の外郭に位置する第1外部樹脂層113および第2外部樹脂層123は電極組立体200を保護しながら耐熱性および耐化学性を確保するように、引張強度、透湿防止性および空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使用することができ、一例としてナイロンまたはポリエチレンテレフタレートを使用することができるが、これに限定されない。
【0035】
外部樹脂層と接する金属層、すなわちパウチケース100の中間に位置する第1金属層112および第2金属層122は水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使用することができる。
【0036】
そして、パウチケース100の最内側に位置する第1内部樹脂層111および第2内部樹脂層121は電極組立体200と直接的に接触するので、絶縁性および耐電解性を有しなければならず、また外部に対する密閉のために、シーリング性、すなわち内部層同士が熱接着されたシーリング部位は優れた熱接着強度を有しなければならない。
【0037】
このような第1内部樹脂層111および第2内部樹脂層121の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性が良いポリプロピレン(Polypropylene)、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリエチレンアクリル酸(Polyethylene Acrylic Acid)、ポリブチレン(Polybutylene)などのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、およびポリイミド樹脂から選択され得るが、これに限定されない。引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性および耐化学性に優れたポリプロピレンが最も好ましい。
【0038】
図1および2は収容空間が上部ケース120および下部ケース110の両方に備えられたものとして示しているが、上部ケース120または下部ケース110のうちのいずれか一方のケースにのみ収容空間を備えることができるというのは言うまでもない。
【0039】
次に、電極組立体200について説明する。パウチケース100の収容空間に着座する電極組立体200は、長いシート状の負極と正極との間に分離膜が介在されて巻き取られる構造を有するゼリーロール型電極組立体、長方形の正極および負極が分離膜を間に介在した状態で積層される構造を有する単位セルで構成されるスタック型電極組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタックフォールディング型電極組立体、または単位セルが分離膜を間に介在した状態で積層されて互いに付着されるラミネーションスタック型電極組立体などからなり得るが、これに限定されない。
【0040】
具体的には、負極は、負極集電体に負極活物質およびバインダーが混合されたスラリーを塗布することで製造する。
【0041】
ここで、負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料;Si、SiO、SiOの単独またはこれらの混合物であるSi系材料などを使うことができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0042】
正極は、正極集電体に正極活物質およびバインダーが混合されたスラリーを塗布することで製造する。
【0043】
そして、正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物または1種もしくはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは0~0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0044】
一方、負極集電体および正極集電体には、活物質が混合されたスラリーが塗布された部分とスラリーが塗布されていない無地部とが含まれ、無地部を裁断して形成するかまたは無地部に別途の導電部材を超音波溶接などで連結して一対の電極タブ、すなわち正極タブ210および負極タブ220を形成する。
【0045】
正極リード310および負極リード320を含む一対の電極リード300は正極タブ210および負極タブ220にそれぞれ電気的に連結された後、パウチケース100の外部に露出する構造を有する。
【0046】
ここで、これらの一対の電極タブおよび電極リード300は、溶接、より詳細には超音波溶接によってそれぞれ電気的に連結することができる。このような超音波溶接による結合は、略20kHzの高い超音波によって発生した高周波振動を印加することで、電極タブと電極リードとの間の境界面でホーン(Horn)およびアンビル(Anvil)の作動によって振動エネルギーが摩擦によって熱エネルギーに変換されながら急速に溶接される原理で実施される。
【0047】
次に、保護テープ400について説明する。保護テープ400は、電極タブと電極リード300とが互いに重なる部分、すなわちこれらの溶接部を包むように配置される。
【0048】
電極タブと電極リード300とは溶接によって連結されるから、電極タブおよび電極リード300の表面が滑らかでない場合が発生し得、これは絶縁不良につながる。
【0049】
詳細には、溶接部の表面が滑らかでないとき、衝撃によって溶接部とパウチケース100とが接触すると、内部樹脂層が剥げて金属層が露出し、結果的に絶縁不良が発生することになる。したがって、前述した絶縁不良が発生しないように、保護テープ400を使用して溶接部を包むことが好ましい。
【0050】
ここで、保護テープ400は絶縁性素材からなり得る。一例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルまたはポリイミド素材からなり得るが、溶接部を包むとともにパウチケース100との接触の際に絶縁状態を維持することができる素材である限り、これらに限定されない。
【0051】
第1リードフィルム510および第2リードフィルム520を含むリードフィルム500は保護テープ400から一定の距離だけ離隔しており、パウチケース100である上部ケース120と下部ケース110とが熱融着するシーリング部130に位置して電極リード300をパウチケース100に固定させる。したがって、電極組立体200から生成された電気が電極リード300を介してパウチケース100に流れることを防止しながらパウチケース100のシーリングを維持する。
【0052】
このようなリードフィルム500は電気がよく通じない非伝導性材質であることが好ましく、一般的に電極リード300に付着しやすく、厚さが比較的薄い絶縁テープを多く使用しているが、これに限定されない。
【0053】
具体的には、リードフィルム500は、ポリイミド(PI:polyimide)、ポリプロピレン(PP:polyprophylene)、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)、ポリビニルクロライド(PVC:polyvinyl chloride)、高密度ポリエチレン(HDPE:high density polyethylene)、およびエポキシ樹脂からなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の物質であり得、熱および圧力によってパウチケースの内部樹脂層と熱融着して接着される。
【0054】
次に、補助端子600について説明する。本発明による補助端子600は、下部ケース110と上部ケース120とが重畳する縁部の熱融着したシーリング部130に位置する。具体的には、シーリング部130において正極リード310および負極リード320が突出しない羽部131の長手方向(X軸方向)に沿って位置し、側面縁部を取り囲む形状である。
【0055】
このような補助端子600を介して、パウチの金属層とセル端子との間の、すなわち電池セルの絶縁抵抗および絶縁電圧を測定することができ、さらにシーリング部の羽部を押圧した状態で維持することにより、内部樹脂層の接着能力が低下することを防止することが。
【0056】
より詳細には、補助端子600は折り曲げられることができるとともに変形された形状を維持することができる板状金属材質、または導電性物質を含む接着フィルムからなり、第1金属層112または第2金属層122と接触し、また内部樹脂層の接着能力を維持することができるように羽部131の縁部に沿って位置する。
【0057】
したがって、パウチケース100にクラックなどが発生して金属層が露出され、露出された金属層とケース内の電解質または電極とが接触して短絡が発生するとき、補助端子600と連結された測定部材を介して絶縁抵抗や絶縁電圧などの変化を測定して感知することができる。
【0058】
ここで、補助端子600は、金属層と接触して電気的経路を提供し、またシーリング部の羽部を押圧した状態で維持することができる金属である限り、特に限定されない。一例として、アルミニウムまたは銅である。導電性物質を含む接着フィルム状の場合であれば、導電性物質を含んで電気的経路を提供することができるものである限り、特に限定されない。
【0059】
一方、図3に示すように、補助端子600は下部ケース110および上部ケース120の縁部が熱融着した後に装着される。装着の前には、シーリング部の羽部131を充分に収容することができる程度に広がっている。もちろん、羽部131の側面と密着させた後には、補助端子600の外側を全体的に押圧して固定させる。
【0060】
図4は本発明の好適な第2実施例による補助端子の装着過程を説明するための図である。
【0061】
第2実施例による電池セルは、シーリング部の形状を除き、図1図3で説明した第1実施例と同様であるので、同じ構成についての説明は省略する。
【0062】
第2実施例では、シーリング部、より詳細には羽部131に補助端子600が固定された状態で、補助端子600とともに羽部131の縁部が約180°フォールディングされる。したがって、補助端子600と羽部131とを堅固に密着して固定することができる。
【0063】
図5は本発明の好適な第3実施例による補助端子の装着過程を説明するための図である。
【0064】
第3実施例による電池セルは、補助端子の形状を除き、図1図3で説明した第1実施例と同様であるので、同じ構成についての説明は省略する。
【0065】
第3実施例による補助端子600は、内面、すなわち、補助端子600がシーリング部の羽部131に装着されるときに第1外部樹脂層113および第2外部樹脂層123と対面する面に金属材質の楔形突起610を備えている。このような楔形突起610を備えるとき、補助端子600を羽部131により堅固に固定することができる。
【0066】
また、第1外部樹脂層113の下部に位置する楔形突起610は第1外部樹脂層113を貫通してから第1金属層112と接触し、第2外部樹脂層123の上部に位置する楔形突起610は第2外部樹脂層123を貫通してから第2金属層122と接触することが好ましい。
【0067】
もちろん、第1外部樹脂層113の下部の楔形突起610は第1金属層112と接触する一方で、第2外部樹脂層123の上部の楔形突起610は第2金属層122と接触することがより好ましい。
【0068】
前記のように、楔形突起610が第1金属層112および第2金属層122のうちのいずれか一つ以上と接触するとき、金属層との電気的経路を提供する補助端子としての機能を確実に担保することができる。
【0069】
一方、第2実施例と同様に、第3実施例による補助端子600が羽部131に固定された状態で補助端子600とともに羽部131の縁部が約180°フォールディングされることができるというのは言うまでもない。
【0070】
図6は本発明の好適な第4実施例によるパウチ型電池セルの斜視図である。
【0071】
第4実施例による電池セルは、補助端子の長さおよび装着される位置を除き、図1図3で説明した第1実施例と同様であるので、同じ構成についての説明は省略する。
【0072】
第4実施例による補助端子600はシーリング部の羽部131の一部領域にのみ装着され、複数の補助端子が所定の間隔で離隔し得る。ここで、補助端子600の内面には、第3実施例と同様に、楔形突起を備えることができるというのは言うまでもない。
【0073】
図7は本発明の好適な第5実施例によるパウチ型電池セルの斜視図である。
【0074】
第5実施例による電池セルは、補助端子の長さおよび装着される位置を除き、図1図3で説明した第1実施例と同様であるので、同じ構成についての説明は省略する。
【0075】
第5実施例による補助端子600は、羽部131に比べてシーリング力の確保が相対的に難しい正極リード310および負極リード320が突出するテラス部132に一つ以上装着され得る。したがって、テラス部132に位置する内部被覆層の接着性能が低下することを防止することができる。
【0076】
図8は本発明の好適な実施例による電池モジュールを示す概略図である。図8を参照しながら、補助端子を備えた電池モジュールについて説明する。
【0077】
本発明の電池モジュールは、第1実施例によるパウチ型電池セルに測定部材700をさらに備える。もちろん、第2~第5実施例による電池セルに測定部材を連結することができるというのは言うまでもない。
【0078】
前述したように、補助端子600はパウチケース100の金属層と接触して電気的経路を提供する。このような補助端子600はバッテリー管理システム(BMS;Battery Management System)のような測定部材700と連結されることにより、絶縁抵抗や絶縁電圧などの変化を感知し、結果として電池セルの状態を診断することができる。
【0079】
具体的には、測定部材700に補助端子600および正極リード310または負極リード320のうちのいずれか一つを連結して電池セルの状態を診断することができる。
【0080】
一例として、測定部材700が補助端子600および正極リード310と連結されるとき、パウチケースの金属層と正極との絶縁電圧および絶縁抵抗の情報を確認することができる。また、測定部材700が補助端子600および負極リード320と連結されるときには、パウチケースの金属層と負極との絶縁電圧および絶縁抵抗の情報を確認することができる。
【0081】
図8は正極リード310および負極リード320にそれぞれ連結されるように二つの測定部材700を示しているが、単一の測定部材700に正極リード310および負極リード320が一緒に連結されることも可能である。
【0082】
本発明は前述した電池モジュールを含む電池パックであり得る。
【0083】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば上述した内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【符号の説明】
【0084】
100 パウチケース
110 下部ケース
111 第1内部樹脂層
112 第1金属層
113 第1外部樹脂層
120 上部ケース
121 第2内部樹脂層
122 第2金属層
123 第2外部樹脂層
130 シーリング部
131 羽部
132 テラス部
200 電極組立体
210 正極タブ
220 負極タブ
300 電極リード
310 正極リード
320 負極リード
400 保護テープ
410 第1保護テープ
420 第2保護テープ
500 リードフィルム
510 第1リードフィルム
520 第2リードフィルム
600 補助端子
700 測定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】