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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】酸化グラフェンエアロゲル
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20241008BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20241008BHJP
   E03B 3/28 20060101ALI20241008BHJP
   C01B 32/198 20170101ALI20241008BHJP
【FI】
B01J20/20 D
B01J20/30
B01J20/20 F
E03B3/28
C01B32/198
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515024
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 AU2022051080
(87)【国際公開番号】W WO2023028666
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2021902883
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506093452
【氏名又は名称】ニューサウス イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーシー,ラケシュ
(72)【発明者】
【氏名】スイ,シャオ
(72)【発明者】
【氏名】フォラー,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ダリ
(72)【発明者】
【氏名】レン,シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンズ,ルウェリン
【テーマコード(参考)】
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4G066AA04B
4G066AA13D
4G066AA15D
4G066AA17D
4G066AA18D
4G066AA20D
4G066AA21D
4G066AA23D
4G066AA24D
4G066AA25D
4G066AA27D
4G066AA80C
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA25
4G066BA28
4G066BA38
4G066CA43
4G066FA03
4G066FA33
4G066FA34
4G066FA38
4G066FA40
4G146AA01
4G146AA15
4G146AB07
4G146AC22A
4G146AC28A
4G146AD32
4G146BA01
4G146CB10
4G146CB12
4G146CB21
4G146CB34
4G146CB40
(57)【要約】
本開示は、金属イオンで架橋された酸化グラフェンを含むエアロゲルに関する。本開示はまた、特に乾燥剤として、酸化グラフェンエアロゲルを使用するための方法および装置にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオンで架橋された酸化グラフェンを含み、前記金属イオンが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン及び塩基性金属イオンからなる群から選択され、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zr4+、Sn4+、Ti4+、V5+、La3+、Cr3+、Al3+、Zn2+及びCe4+からなる群から選択されないものである、エアロゲル。
【請求項2】
前記金属イオンが、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される、請求項1に記載のエアロゲル。
【請求項3】
前記金属イオンが、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、リチウム及びバリウムからなる群から選択されるイオンである、請求項1又は2に記載のエアロゲル。
【請求項4】
前記金属イオンが、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Li及びBa2+からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項5】
前記金属イオンがアルカリ土類金属イオンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項6】
前記アルカリ土類金属イオンがCa2+である、請求項5に記載のエアロゲル。
【請求項7】
前記金属イオンが、塩基性金属イオン又は遷移金属イオンである、請求項1に記載のエアロゲル。
【請求項8】
酸化グラフェンと金属イオンの重量比が約200:1~約1:5である、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項9】
酸化グラフェンと金属イオンの重量比が約5:1~約1:1である、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項10】
前記酸化グラフェンの平均横寸法が約500nm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項11】
前記酸化グラフェンの平均横寸法が約500nm以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項12】
前記酸化グラフェンの炭素:酸素比が約0.5~約5である、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項13】
前記酸化グラフェンの炭素:酸素比が約2.25である、請求項12に記載のエアロゲル。
【請求項14】
前記エアロゲルの吸着容量が、相対湿度約100%において約20%~約400%である、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項15】
前記エアロゲルの密度が約0.005g/cm~約0.25g/cmである、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項16】
前記エアロゲルの気孔率が約90%~約99.9%である、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項17】
前記エアロゲルが、相対湿度約100%において少なくとも約40%の吸着容量を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゲル。
【請求項18】
金属イオンで架橋された酸化グラフェンを含むエアロゲルの製造方法であって、前記金属イオンが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン及び塩基性金属イオンからなる群から選択され、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zr4+、Sn4+、Ti4+、V5+、La3+、Cr3+、Al3+、Zn2+及びCe4+からなる群から選択されないものであり、前記方法は、
(a)液体の存在下で酸化グラフェンを架橋剤と接触させるステップと、
(b)前記液体を除去して前記エアロゲルを形成するステップと、を含む、エアロゲルの製造方法。
【請求項19】
前記液体の除去が、凍結乾燥によって行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接触させるステップの後、前記凍結乾燥ステップの前に酸化グラフェンを型に移す、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記凍結乾燥ステップが、-60℃の温度条件下で2~24時間にわたって行われる、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記液体が水を含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、所定の濃度の酸化グラフェンの水溶液を準備し、続いて架橋剤に曝露することによって架橋酸化グラフェンを準備するステップを含む、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記架橋剤が、10分から6時間かけて前記グラフェンの水溶液に添加される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記水溶液中の酸化グラフェンの濃度が約0.01重量%~約20重量%である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶液中の酸化グラフェンの濃度が約0.05重量%~約5重量%である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記水溶液中の酸化グラフェンの濃度が約1重量%である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記架橋剤が前記金属イオンを含む、請求項18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記金属イオンが、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記アルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンが、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、リチウム及びバリウムからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記架橋剤が、CaCl及びMgClからなる群から選択される、請求項18~3
0のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記金属イオンが、塩基性金属イオン又は遷移金属イオンである、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記除去するステップの後、前記エアロゲルが圧縮される、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記エアロゲルが、その元の体積の約50%まで圧縮される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項18~34のいずれか一項に記載の方法により製造された酸化グラフェンエアロゲル。
【請求項36】
水分を含むガス流又は雰囲気から前記水分を吸着する方法であって、前記ガス流又は前記雰囲気を酸化グラフェンエアロゲルと接触させることにより、前記ガス流又は前記雰囲気から前記水分を吸着するステップを含む、方法。
【請求項37】
ガス流から水分を吸着するための酸化グラフェンエアロゲルの使用。
【請求項38】
酸化グラフェンエアロゲルに吸着されている水を脱着する方法であって、前記酸化グラフェンエアロゲルを十分に加熱することによって前記吸着されている水を放出させ、前記酸化グラフェンエアロゲルを再生するステップを含む、方法。
【請求項39】
水が吸着している酸化グラフェンエアロゲルから前記水を回収する方法であって、前記酸化グラフェンエアロゲルを十分に加熱することによって前記吸着されている水を放出させ、前記水を回収するステップを含む、方法。
【請求項40】
酸化グラフェンエアロゲルを備えた大気水生成装置。
【請求項41】
酸化グラフェンエアロゲルが、請求項1~17及び35のいずれか一項に記載のエアロゲルである、請求項36、38もしくは39に記載の方法、請求項37に記載の使用、又は請求項40に記載の大気水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月6日に出願されたオーストラリア仮出願番号2021902883に対する優先権を主張し、その内容全体が参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、酸化グラフェンエアロゲルに関し、特に乾燥剤として該エアロゲルを使用するための方法及び装置に関する。しかしながら、本発明はこの特定の使用分野に限定されるものはないことが理解され得る。
【背景技術】
【0003】
従来技術に関する以下の説明は、本発明を適切な技術的文脈に置き、本発明の利点をより完全に理解できるようにするために提供される。しかしながら、本明細書全体にわたる従来技術に関するいかなる記載も、そのような従来技術が広く知られているか、又は当該分野における共通の一般知識の一部を形成していることを明示的または暗示的に認めるものとして見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0004】
大きなナノサイズの細孔および高い表面積を有するナノ多孔質材料は、吸着プロセスについて世界中で大きな関心を集めている。シリカゲルやゼオライトなどの不均質な3次元多孔質材料が乾燥剤材料として広く使用されている。しかし、前述の材料には関連する大きな細孔径分布、低い表面積対細孔容積比、低い親水性及び/又は低い水熱安定性などの問題により、幅広い用途に制限が生じる。
【0005】
吸着用途のための理想的な乾燥剤材料は、化学的及び機械的安定性を有する大きな表面積及び高い気孔率を有する。従って、これらの望ましい特性の1つ以上を有する新しい乾燥剤材料を開発する必要がある。
【0006】
本発明は、従来技術の1つ以上の課題を克服もしくは改善するか、又は少なくとも有用な代替案を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
本願の発明者らは、驚くべきことに、吸着用途に適した高多孔質構造及び大きな表面積を有し得る軽量のGOベースのエアロゲル材料を開発した。これらのGOベースのエアロゲルは、その独特の物理化学的特性により、速い吸着速度と速い吸着速度を有する高い水分吸着容量を備えている可能性がある。更に、これらのエアロゲル材料の脱着プロセスは、低温(50℃)又は低湿度の室温でも完了し得る。
【0008】
本発明の第1の態様において、金属イオンで架橋された酸化グラフェンを含むエアロゲルであって、前記金属イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン及び塩基性金属イオンからなる群から選択され、前記金属イオンは、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zr4+、Sn4+、Ti4+、V5+、La3+、Cr3+、Al3+、Zn2+及びCe4+からなる群から選択されないエアロゲルを提供する。
【0009】
以下のオプションは、第1の態様と併せて、個別に又は任意の組み合わせで使用されてもよい。
【0010】
当業者は、エアロゲルがいかなる形状又はサイズであってもよく、その形状及び/又はサイズが用途に依存することを理解するであろう。例えば、球状構造、立方体構造、円筒構造、矩形構造、管状構造、又はワイヤ状構造を有してもよい。ある特定の実施形態において、該エアロゲルは、例えば円筒形の装置に適合するように巻かれるシートの形態であってもよい。ある特定の実施形態において、該エアロゲルは、ケーキ、フレーク、又は粉末の形態であってもよい。
【0011】
酸化グラフェンと金属イオンの重量比は、約500:1~約1:20であってもよく、又は約200:1~約1:20、約100:1~約1:20、約50:1~約1:20、約20:1~約1:20、約200:1~約1:10、約200:1~約1:5、約100:1~約1:10、約50:1~約1:5、約20:1~約1:2、約5:1~約1:2もしくは約5:1~約1:1であってもよい。ある特定の実施形態において、酸化グラフェンと金属イオンの重量比は約200:1~約1:5である。ある特定の実施形態において、酸化グラフェンと金属イオンの重量比は約5:1~約1:1である。酸化グラフェンと金属イオンの重量比は、例えば、約500:1、200:1、100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1:1、1:2、1:5、1:10又は1:20であってもよい。
【0012】
該金属イオンは、酸化グラフェンを架橋できる任意のイオンであってもよい。特定の実施形態において、該金属イオンは、アルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオン、及びそれらの組み合わせから選択される。特定の代替実施形態において、該金属イオンは、塩基性金属イオン又は遷移金属イオンである。特定の実施形態において、該金属イオンは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、リチウム及びバリウムからなる群から選択されるイオンである。特定の実施形態において、該金属イオンは鉄イオンであってもよい。ある特定の実施形態において、該金属イオンは、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Li及びBa2+からなる群から選択される。特定の実施形態において、該金属イオンはアルカリ土類金属イオンである。ある特定の実施形態において、該アルカリ土類金属イオンはCa2+である。
【0013】
理論に束縛されるものではないが、本願の発明者らは、特定の金属イオンによって架橋された酸化グラフェンは部分的には、周囲により多くの水分子を引き寄せる架橋イオンの高い水和数により、及び/又は水分子の迅速な交換を可能にして、架橋GOエアロゲルの吸着速度を上げるそれぞれの金属イオンの第1の水和シェルにおける水分子の交換速度が速いことにより、有利な吸着特性を提供する可能性があると仮定している。
【0014】
酸化グラフェン自体(即ち、架橋される前)は本質的には2次元材料である。該酸化グラフェンのサイズ及び形状は、エアロゲルの特性に影響を与える場合がある。酸化グラフェンの平均アスペクト比は、少なくとも約20、又は少なくとも約50、100、200、500、1000、2000、5000、10もしくは10の平均アスペクト比であってもよい。酸化グラフェンの平均アスペクト比は、約20~約10、又は約10~10、10~10、10~10、10~10、20~10、20~10、20~10、20~10、10~10、10~10もしくは10~10であってもよい。例えば、酸化グラフェンの平均アスペクト比は、約20、30、40、50、100、200、500、10、5×10、10、5×10、10、5×10又は10であってもよい。アスペクト比は、平均非横寸法(即ち、酸化グラフェンの面に直交する寸法)に対する最小横寸法(即ち、酸化グラフェンの面内)の比として定義されてもよい。酸化グラフェンは、形状が不均一であってもよいが、平均して、その平均非横寸法よりも少なくとも20倍大きい横寸法を有するものであってもよい。
【0015】
特定の実施形態において、酸化グラフェンの平均横寸法は、約10,000nm、5,000nm、2,000nm、1,000nm、500nm、200nm、100nm、50nm未満、又は約20nm、10nm、5nm、2nm又は1nm未満であってもよい。特定の実施形態において、該酸化グラフェンの平均横寸法は約500nm以下である。酸化グラフェンの平均横寸法は、約0.5nm~約10,000nm、又は約1~500、2~500、5~500、10~500、20~500、0.5~200、0.5~100、0.5~50、0.5~20、2~50、5~100又は10~200nmであってもよい。例えば、酸化グラフェンの平均横寸法は、約0.5、1、2、5、10、20、50、100、200、500又は1,000nmであってもよい。酸化グラフェンは、多数の層状材料のシートから形成された粒子を含んでもよい。各粒子中の個々のシートの平均数は、1であってもよく、又は約1を超え、又は約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20もしくは50枚を超えてもよい。各粒子中の個々のシートの平均数は、約1枚~約1,000枚であってもよく、又は約1~500、1~200、1~100、1~50、5~100、5~1000、10~1,000、20~1,000、50~1,000、5~100、10~200又は20~500枚であってもよい。例えば、各粒子中の個々のシートの平均数は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500又は100枚であってもよい。
【0016】
特定の実施形態において、該エアロゲルは、異なる平均横寸法を有する酸化グラフェンの混合物を含んでもよい。例えば、エアロゲルは、約5μmの平均横寸法を有する酸化グラフェンと、約300nmの平均横寸法を有する酸化グラフェンとの混合物を含んでもよい(即ち、酸化グラフェンは二峰性のサイズ分布を有し得る)。
【0017】
他の実施形態において、酸化グラフェンは、約200nm、500nm、1,000nm、2,000nm又は5,000nmを超える平均横寸法を有してもよい。特定の実施形態において、該酸化グラフェンの平均横寸法は約500nm以上である。酸化グラフェンは、約0.2μm~約10μm、又は約0.5~5、0.5~2、0.5~1、0.2~10、0.2~5もしくは0.2~0.5μmの平均横寸法を有してもよい。例えば、酸化グラフェンの平均横寸法は、約0.5、1、2、5又は10μmであってもよい。酸化グラフェンは、多数の層状材料のシートから形成された粒子を含んでもよい。各粒子中の個々のシートの平均数は、約20、30、40、50、60、70、80、90、100又は200枚を超えてもよい。各粒子中の個々のシートの平均数は、約20枚~約1000枚、又は約50~500、50~200、50~100、20~50、20~100、20~200もしくは20~500枚であってもよい。例えば、各粒子中の個々のシートの平均数は、約20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500又は1,000枚であってもよい。
【0018】
酸化グラフェンの平均非横寸法(即ち、厚さ)は、約2,000nm未満、又は約1,000、500、200、100、50、20、10、5、2、1もしくは0.5nm未満であってもよい。酸化グラフェンの平均非横寸法は、約1~500、2~500、5~500、10~500、20~500、0.5~200、0.5~100、0.5~50、0.5~20、2~50、5~100又は10~200nmであってもよい。例えば、酸化グラフェンの平均非横寸法は、約0.5、1、2、5、10、20、50、100、200、500又は1,000nmであってもよい。
【0019】
酸化グラフェンの炭素:酸素比は、約0.1~約5、又は約0.5~約5、約1~約4、約1.5~約2.5もしくは約2~約2.5であってもよい。例えば、酸化グラフェンの炭素:酸素比は、約0.1、0.2、0.5、1、1.5、2、2.1、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.5、3、4又は5であってもよい。特定の実施形
態において、酸化グラフェンの炭素:酸素比は約0.5~約5である。ある特定の実施形態において、該酸化グラフェンの炭素:酸素比は約2.25である。
【0020】
エアロゲルの吸着容量は、相対湿度100%において約5%~約1000%であってもよく、又は相対湿度100%において約5%~約500%、約10%~約500%、約20%~約500%、約50%~約500%、約100%~約500%、約20%~約400%、約50%~約300%、約50%~約250%もしくは約100%~約250%であってもよい。特定の実施形態において、エアロゲルの吸着容量は、相対湿度100%で約20~約400%である。エアロゲルの吸着容量は、例えば、相対湿度100%において約5、10、15、20、50、75、100、110、120、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900又は1000%であってもよい。特定の実施形態において、該エアロゲルの吸着容量は、相対湿度100%において少なくとも約40%であってもよく、又は相対湿度100%において少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、150もしくは200%であってもよい。
【0021】
エアロゲルの吸着容量は、相対湿度50%において約5%~約500%であってもよく、又は相対湿度50%において約5%~約200%、約10%~約500%、約20%~約500%、約50%~約500%、約100%~約500%、約20%~約400%、約50%~約300%、約50%~約250%もしくは約100%~約250%であってもよい。特定の実施形態において、該エアロゲルの吸着容量は、相対湿度50%において約20~約150%である。エアロゲルの吸着容量は、例えば、相対湿度50%において約5、10、15、20、50、75、100、110、120、150、200、250、300、400又は500%であってもよい。
【0022】
エアロゲルの密度は、約0.001g/cm~約0.4g/cmであってもよく、又は約0.002g/cm~約0.4g/cm、約0.005g/cm~約0.4g/cm、約0.005g/cm~約0.3g/cm、約0.005g/cm~約0.25g/cm、約0.01g/cm~約0.2g/cm、約0.02g/cm~約0.2g/cmもしくは約0.1g/cm~約0.2g/cmであってもよい。特定の実施形態において、エアロゲルの密度は、約0.005g/cm~約0.25g/cmである。エアロゲルの密度は、例えば、約0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.3又は0.4g/cmであってもよい。
【0023】
エアロゲルの気孔率は、約50%~約99.9%、又は約60%~約99.9%、約60%~約99%、約70%~約99%、約80%~約99%、約90%~約99.9%もしくは約70%~約95%であってもよい。特定の実施形態において、エアロゲルの気孔率は約90~約99.9%である。エアロゲルの気孔率は、例えば、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、95、97、99、99.5又は約99.9%であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、エアロゲルの細孔径は、約10nm~約500μmの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、平均細孔径は、少なくとも約20nm、少なくとも約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm又は500nmである。いくつかの実施形態において、平均細孔径は、少なくとも約1μm、10μm、20μm、50μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm又は220μmである。いくつかの実施形態において、平均細孔径は、約500μm以下、400μm以下、300μm以下又は250μm以下であってもよい。一般に、エア
ロゲルは、約100~約250μm、約110~約220μm、約120~約210μm又は約130~200μmの平均細孔径を有してもよい。
【0025】
特定の実施形態において、金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Lu、Lr、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Mn、Tc、Re、Bh、Fe、Ru、Os、Hs、Co、Rh、Ir、Mt、Ni、Pd、Pt、Ds、Cu、Ag、Au、Rg、Zn、Cd、Hg、Cn、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Po、Nh、Fl、Mc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbもしくはLvのイオン、又はそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Lu、Lr、Hf、Rf、Nb、Ta、Db、Mo、W、Sg、Mn、Tc、Re、Bh、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Mt、Pd、Pt、Ds、Ag、Au、Rg、Cd、Hg、Cn、Ga、Ge、In、Sb、Tl、Pb、Bi、Po、Nh、Fl、McもしくはLvのイオン、又はそれらの組み合わせである。
【0026】
特定の代替実施形態において、金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Lu、Lr、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Mn、Tc、Re、Bh、Fe、Ru、Os、Hs、Co、Rh、Ir、Mt、Ni、Pd、Pt、Ds、Cu、Ag、Au、Rg、Zn、Cd、Hg、Cn、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Po、Nh、Fl、Mc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及び/又はLvのイオンのうちの1つ以上ではない。
【0027】
本発明の第2の態様において、金属イオンで架橋された酸化グラフェンを含むエアロゲルの調製方法であって、該金属イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン及び塩基性金属イオンからなる群から選択され、前記金属イオンは、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zr4+、Sn4+、Ti4+、V5+、La3+、Cr3+、Al3+、Zn2+及びCe4+からなる群から選択されず、前記方法は、
(a)液体の存在下で酸化グラフェンを架橋剤と接触させるステップと、
(b)該液体を除去してエアロゲルを形成するステップと
を含む、エアロゲルの製造方法を提供する。
【0028】
以下のオプションは、第2の態様と併せて、個別に又は任意の組み合わせで使用されてもよい。
【0029】
金属イオン及び/又はエアロゲルは、第1の態様に関して前述した構成であってもよい。
【0030】
液体は、任意選択で1つ以上の塩を含む水性液体であってもよい。液体は水を含み得る。特定の実施形態において、液体は実質的に水である。液体は極性溶媒を含み得る。液体はアルコールを含み得る。液体は、1つ以上の揮発性有機溶媒を含み得る。液体は、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム又はプロパノールを含み得る。液体は、1気圧で測定された約150℃未満、又は1気圧で測定された約130℃、110℃、90℃もしくは70℃未満の沸点を有してもよい。
【0031】
特定の実施形態において、該液体の除去は凍結乾燥によって行われる。該凍結乾燥は、約-100℃~約-20℃、又は約-80℃~約-40℃、又は約-100、-80、-
60、-50、-40、-30もしくは-20℃で実行されてもよい。該凍結乾燥は、約1~約48時間、又は約2~約24時間、約3~約12時間、約4~約10時間もしくは約2~約5時間にわたって実行されてもよい。ある特定の実施形態において、該凍結乾燥ステップは、-60℃の温度条件下で約2~約24時間にわたって行われる。通常、凍結乾燥の真空レベルは50ミリトル~300ミリトルであり、100ミリトル~200ミリトルが最も一般的な範囲である。
【0032】
特定の実施形態において、該接触ステップの後、該凍結乾燥ステップの前に該酸化グラフェンを金型に移す。金型は任意の形状又はサイズであってもよい。当業者は、金型の形状及び/又はサイズがエアロゲルの所望の形状及び/又はサイズに依存することを理解するであろう。液体との混合物中の金属イオンで架橋された酸化グラフェンは金型に移されてもよく、該液体を除去すると、該混合物は、金型と実質的に同じ体積を有するエアロゲルを形成してもよい。
【0033】
特定の実施形態において、この方法は、所定の濃度で酸化グラフェンの水溶液を提供し、続いて架橋剤に曝露することにより、架橋酸化グラフェンを提供するステップを含む。
【0034】
特定の実施形態において、架橋剤は、約5分~約12時間、又は約10分~約6時間、約30分~約5時間、約1時間~約4時間もしくは約1時間~約3時間にわたってグラフェンの水溶液に添加されてもよい。架橋剤は、約5、10、15、20、30、40もしくは50分、又は約1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10もしくは12時間にわたって添加されてもよい。ある特定の実施形態において、架橋剤は、約10分~約6時間にわたってグラフェンの水溶液に添加されてもよい。
【0035】
特定の実施形態において、水溶液中の酸化グラフェンの濃度は、約0.01重量%~約30重量%、又は約0.02重量%~約30重量%、約0.05重量%~約30重量%、又は約0.05重量%~約20重量%、約0.05重量%~約10重量%、約0.05重量%~約5重量%、約0.05重量%~約1重量%もしくは約0.05重量%~約1.5重量%であってもよい。ある特定の実施形態において、水溶液中の酸化グラフェンの濃度は約0.01~約20重量%である。ある特定の実施形態において、水溶液中の酸化グラフェンの濃度は約0.05~約5重量%である。水溶液中の酸化グラフェンの濃度は、約0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20又は30重量%であってもよい。ある特定の実施形態において、水溶液中の酸化グラフェンの濃度は約1重量%である。
【0036】
特定の実施形態において、該架橋剤は、アルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンを含む。ある特定の実施形態において、該アルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、リチウム及びバリウムからなる群から選択される。特定の実施形態において、該架橋剤は、CaCl及びMgClからなる群から選択される。特定の実施形態において、該架橋剤は、第1の態様に関して前述した金属イオンの塩である。
【0037】
特定の実施形態において、除去ステップの後、エアロゲルが圧縮される。エアロゲルは、その元の体積の95%以下、又はその元の体積の90、85、80、75、70、65、60、55、50、45もしくは40%以下に圧縮されてもよい。エアロゲルは、その元の体積の約95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25又は20%に圧縮されてもよい。ある特定の実施形態において、エアロゲルは、その元の体積の約50%まで圧縮される。エアロゲルは、約0.01バール~約5バール、又は約0.01バール~約2バール、約0.02バール~約1.5バール、約0.05バール~約1バール、約0.05バール~約0.5バールもしくは約0.0
5バール~約0.1バールの圧力にさらすことによって圧縮されてもよい。例えば、エアロゲルは、約0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4又は5バールの圧力にさらされてもよい。
【0038】
本発明の第3の態様において、第2の態様の方法に従って製造された酸化グラフェンエアロゲルを提供する。
【0039】
特定の実施形態において、該酸化グラフェンエアロゲルは、第1の態様に関して前述したようなものであってもよい。
【0040】
本発明の第4の態様において、水分を含むガス流又は雰囲気から該水分を吸着する方法であって、該方法は、該ガス流又は該雰囲気を酸化グラフェンエアロゲルと接触させることにより、該ガス流又は該雰囲気から該水分を吸着するステップを含む、方法を提供する。
【0041】
ガス流又は雰囲気は廃ガス流であってもよい。特定の代替実施形態において、ガス流又は雰囲気は、特に入口流から水蒸気を除去することが有利なプロセスのための入口流であってもよい。
【0042】
特定の実施形態において、エアロゲルは、水分が通過することを可能にする多孔質包装内に収容されてもよい。該包装は、例えば乾燥食品物質の貯蔵などの貯蔵用途に使用されてもよい。
【0043】
特定の実施形態において、酸化グラフェンエアロゲルは、第1又は第3の態様によるエアロゲルである。
【0044】
本発明の第5の態様において、ガス流から水分を吸着するための酸化グラフェンエアロゲルの使用を提供する。ガス流は廃ガス流であってもよい。特定の代替実施形態において、ガス流又は雰囲気は、特に入口流から水蒸気を除去することが有利なプロセスのための入口流であってもよい。
【0045】
特定の実施形態において、酸化グラフェンエアロゲルは、第1又は第3の態様によるエアロゲルである。
【0046】
本発明の第6の態様において、酸化グラフェンエアロゲルに吸着した水を脱着する方法であって、該方法は、該酸化グラフェンエアロゲルを十分に加熱することによって該吸着水を放出させ、該酸化グラフェンエアロゲルを再生するステップを含む、方法を提供する。
【0047】
加熱は、約30℃~約250℃、又は約40℃~約250℃、約40℃~約200℃、約40℃~約150℃、約40℃~約100℃、約40℃~約80℃もしくは約40℃~約60℃の温度であってもよい。加熱は、例えば、約30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、150、200又は250℃の温度であってもよい。特定の実施形態において、加熱は室温であってもよい。
【0048】
加熱は、約10分~約48時間、又は約20分~約48時間、約30分~約48時間、約60分~約48時間、約10分~約24時間、約10分~約12時間、約10分~約8時間、約10分~約6時間もしくは約30分~約8時間の期間であってもよい。例えば、加熱は、約10、20、30、40もしくは50分間、又は約1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、24、36もしくは48時間であってもよい。
【0049】
特定の実施形態において、酸化グラフェンエアロゲルは、第1又は第3の態様によるエアロゲルである。
【0050】
本発明の第7の態様において、水が吸着した酸化グラフェンエアロゲルから該水を回収する方法であって、該方法は、該酸化グラフェンエアロゲルを十分に加熱することによって該吸着水を放出させ、該水を回収するステップを含む、方法を提供する。
【0051】
加熱は、約30℃~約250℃、又は約40℃~約250℃、約40℃~約200℃、約40℃~約150℃、約40℃~約100℃、約40℃~約80℃もしくは約40℃~約60℃の温度であってもよい。加熱は、例えば、約30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、150、200又は250℃の温度であってもよい。特定の実施形態において、加熱は室温であってもよい。
【0052】
加熱は、約10分~約48時間、又は約20分~約48時間、約30分~約48時間、約60分~約48時間、約10分~約24時間、約10分~約12時間、約10分~約8時間、約10分~約6時間もしくは約30分~約8時間の期間であってもよい。例えば、加熱は、約10、20、30、40もしくは50分間、又は約1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、24、36もしくは48時間であってもよい。
【0053】
この方法は、加熱プロセスによって生成された水蒸気を冷却するステップを含んでもよい。冷却は、約90℃以下、又は80、70、60、50、40、30、20、10、0、-10、-20もしくは-30℃以下の温度で行われてもよい。
【0054】
特定の実施形態において、酸化グラフェンエアロゲルは、第1又は第3の態様によるエアロゲルである。
【0055】
本発明の第8の態様において、酸化グラフェンエアロゲルを含む大気水生成装置を提供する。
【0056】
特定の実施形態において、大気水生成装置は、該ガス流又は雰囲気が酸化グラフェンエアロゲルと接触するように、その中にガス流又は雰囲気を導入するための入口を含む。該ガス流又は雰囲気は、水分を含んでもよく、該酸化グラフェンエアロゲルは、前記ガス流又は雰囲気から水分を吸着してもよい。
【0057】
特定の実施形態において、該大気水生成装置は、酸化グラフェンエアロゲルを加熱し、その上に吸着された水分を放出するための加熱要素を更に含む。特定の実施形態において、該大気水生成装置は、加熱プロセスにおいて放出された水分を冷却して凝縮させて水を形成するための冷却要素を更に含む。大気水生成装置は、凝縮水を収集する容器を更に含んでもよい。
【0058】
特定の実施形態において、酸化グラフェンエアロゲルは、第1又は第3の態様によるエアロゲルである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】凍結乾燥プロセスのために直径10cmのガラスペトリ皿に移された例示的なGO/Ca2+溶液(約30mL)を示し、(a)上面図、(b)側面図である。
図2】凍結乾燥機で乾燥した例示的なGOベースのエアロゲルを示す。
図3】実験室規模のための例示的な吸着測定セットアップの概略図を示す。
図4】実験室で使用される吸着セットアップの例を示す。
図5】横寸法(a)>500nm及び(b)<500nmのGO溶液から合成された例示的なGOベースのエアロゲルを示す。(c)はGOナノシートのAFM画像である。
図6】GOとCa2+の異なる重量比a)1:1及びb)5:1を有する例示的なGOベースのエアロゲルの画像を示す。
図7】GOと架橋剤の異なる重量比(a)GO:Ca2+=100:1、(b)GO:Ca2+=50:1、(c)GO:Ca2+=10:1、(d)GO:Ca2+=5:1、(e)GO:Ca2+=1:1を有するGOベースのエアロゲルの水吸着速度を示す。
図8】GOベースのエアロゲル圧縮試験用のキャニスタの概略設計を示す。
図9】その体積スケールでエアロゲル圧縮試験に使用された3Dプリントされたキャニスタを示す。キャニスタ内のGOベースのエアロゲルの体積は圧縮なしで300cmであった。
図10】薄膜への高圧(1.5バール)による圧縮後の例示的なGOベースのエアロゲルを示す。
図11】(a)圧縮なし、(b)0.07バールの圧縮ありの例示的なGOエアロゲルの吸着容量率を示す。
図12】GO溶液の濃度及び架橋剤の重量比が異なる例示的なGOベースのエアロゲルの吸着速度を示し、(a)1重量%、GO:Ca2+1:1、(b)1.5重量%、GO:Ca2+1:1、(c)1.5重量%、GO:Ca2+2:1である。
図13】(a)RH100%、(b)RH80%、(c)RH70%及び(d)RH50%における例示的なGOベースのエアロゲルの吸着速度を示す。
図14】(a)例示的なGOエアロゲル、(b)体積が50%減少した例示的なGOエアロゲル、(c)シリカゲルの吸着容量と相対湿度の関係を示す。
図15】例示的なGOベースのエアロゲルの密度、RH及び吸着容量の関係を示し、(a)圧縮なし、(b)50%の体積減少、(c)75%の体積減少である。
図16】4サイクル後のeGOベースのエアロゲルの吸着速度を示す。
図17】例示的な脱着プロセスの概略図を示す。
図18】実験室規模での脱着試験の例示的な実験セットアップを示す。
図19】単純な例示的な脱着プロセスを使用して吸着水を再収集できることを示す。
図20】(a)例示的な試作機の構成要素、(b)GOベースのエアロゲル調製用の例示的な金型モジュールを示す。
図21】GOエアロゲル調製用の例示的な3Dプリントされた金型モジュールを示す。
図22】例示的なGOエアロゲルの実験室規模の製造の説明:(a)金属イオンで架橋された酸化グラフェン懸濁液、(b)架橋GO懸濁液の凍結乾燥及び(c)GOエアロゲルの形成である。
図23】例示的なエアロゲル(GO:Ca2+1:1)の吸着性能に対するGOフレークサイズの影響である。エアロゲル試料は、異なるGOフレークサイズ:(a)約5μm(相対湿度約80%、最大容量約72.9%)、(b)約1μm(相対湿度約90%、最大容量約123.9%)及び(c)約300nm(相対湿度約90%、最大容量約123.3%)を使用することによって調製された。
図24】(a)100:0(最大容量72.9%)、(b)75:25(最大容量33.3%)、(c)50:50(最大容量100.9%)及び(d)25:75(最大容量38.4%)の比率での異なるサイズ(約5μm及び約300nm)のGOフレークの混合物を使用して調製された例示的なGOエアロゲルの吸着性能を示す。実験条件:GO:Ca2+=1:1、湿度=80%。
図25】異なる湿度:(a)90%(最大容量約123.3%)、(b)75%(最大容量約68.5%)、(c)60%(最大容量約42.7%)及び(d)50%(最大容量37.6%)での例示的なエアロゲルの吸着性能の比較である。エアロゲルは、横寸法が約300nmのGOフレークから生成された。
図26】異なる湿度:(a)90%(最大容量約123.9%)、(b)75%(最大容量約94.4%)、(c)60%(最大容量約62.9%)、(d)50%(最大容量約39.4%)、(e)40%(最大容量約23.4%)、(f)30%(最大容量約15.3%)での例示的なGOエアロゲルの吸着性能の比較である。
図27】Ca2+架橋剤を使用することによって調製された例示的なGOエアロゲルの相対湿度と吸着性能の関係である。挿入された矢印は、吸着容量(%)の減少傾向を示す。100分での吸着容量は比較プロットに使用された。
図28】異なる金属イオン:(a)Ca2+(相対湿度約80%、最大容量約124%)、(b)Al3+(相対湿度約90%、最大容量約107.9%)、(c)Mg2+(相対湿度約75%、最大容量約42%)、(d)K(相対湿度約80%、最大容量約30%)で架橋されたGOエアロゲルの吸着性能である。GO:架橋剤=2:1。
図29】異なる金属イオン:(a)Ca2+(最大容量約120.9%)、(b)Li(最大容量約96%)及び(c)Fe3+(最大容量約72.5%)で架橋されたGOエアロゲルの吸着性能である。GO:架橋剤=1:1、相対湿度=75~90%。
図30】ハサミ切断によって調製された直径約2cmのフレーク形態のGOエアロゲルである。
図31】異なる形状:(a)ケーキ、(b)粉末及び(c)フレーク(直径約2cm)の形態を有する例示的なGOエアロゲルの吸着性能の比較である。GO:Ca2+=1:1、相対湿度=約90%。
図32】異なる相対湿度(RH):(a)100%、(b)80~85%及び(c)75~80%での例示的なeGOの吸着性能である。(d)異なる湿度での例示的なeGOの吸着容量の比較曲線である。
図33】例示的なeGOの複数の吸着サイクル:A)1番目のサイクル、B)2番目のサイクル、C)3番目のサイクル、D)4番目のサイクル、E)5番目のサイクル、F)6番目のサイクル、G)7番目のサイクル、H)8番目のサイクルである。eGO:Ca2+=1:1、相対湿度=約100%。
図34】eGOによって調製されたエアロゲル(a)及びArmidaleで作製されたeGO(b)の吸着容量の比較プロットである。eGO:Ca2+=1:1、相対湿度=約85~90%。
図35】eGO-UNEエアロゲル:(a)試料1(最大容量約177%)及び(b)試料2(最大容量~125%)の吸着性能である。eGO:Ca2+=1:1、相対湿度=約90~95%。
図36】凍結乾燥のための大規模での例示的なGOエアロゲルの段階的な調製である。(a)金属トレイ(19cm×35cm×3cm)にロードされた架橋GO懸濁液、(b~e)-80℃冷凍庫内のスタッキングトレイ、(f~h)凍結試料の視覚化。
図37】湿度85~95%における大規模での例示的なGOエアロゲル:(a)第1のバッチのエアロゲル(約10.97g)、(b)第2のバッチのエアロゲル(約8.22g)、(b)第3のバッチのエアロゲル(約10.12g)の吸着性能である。RH90%、GO:Ca2+=1:1。
図38】第2のバッチの試料からの小規模(約0.4g)でのGOエアロゲルの吸着性能である。GO:Ca2+=1:1、相対湿度=85~95%。
図39】相対湿度95~100%の範囲におけるGOと架橋剤の異なる重量比:(a)100:1、(b)50:1、(c)10:1、(d)5:1及び(e)1:1を有する例示的なエアロゲル(濃度1重量%)の吸着性能である。(f)架橋剤比の増加に伴う吸着性能の増加を示す比較プロットであり、プロットは、600分の測定に基づく。矢印は、GOエアロゲルの吸着性能の増加傾向を表す。
図40】外部圧力:(a)約0.07バール、(b)約1.5バール及び(c)約10バールを使用した、様々な厚さを有する例示的なGOエアロゲルの吸着性能である。(d)GOエアロゲルの圧縮用キャニスタ(左)及び圧縮用のGOエアロゲルを含む3Dプリントされたキャニスタ(右)の設計である。相対湿度約95~100%。
図41】GOエアロゲルの性能に対する試料調製中の超音波処理の影響の分析である。(a)超音波処理は試料調製中に適用されず、(b)超音波処理は試料調製中に10分間適用された。GO:Ca2+=2:1、相対湿度=約95~100%
図42】異なる湿度:(a)約95~100%、(b)約80%、(c)約70%及び(d)約50%での例示的なGOエアロゲル(1.5重量%)の吸着性能である。エアロゲル試料は、GOと架橋剤の重量比2:1でCa2+で架橋することによって調製された。
図43】例示的なGOエアロゲルの等温線スペクトル:(a)吸着等温線(大気圧)、(b)吸着等温線(真空)、(c)通気時の迅速な再吸着である。吸着は湿度85%で実行され、脱着は大気圧及び真空の2つの異なる条件下でテストされた。両方の技術による脱着試験は周囲温度で実施された。灰色の強調表示された領域は、真空下の等温線を表す。試料重量2.7g、室温、RH85%。
図44】例示的なエアロゲルの等温線スペクトル:(a)吸着、(b)脱着である。試料質量=約8.57g、相対湿度=85%、脱着試験は30℃の乾燥空気下で行われた。
図45】GOエアロゲルの等温曲線:(a)吸着、(b)脱着である。試料質量=約3.73g、相対湿度=85%、脱着試験は40℃の乾燥空気下で行われた。
図46】GOエアロゲルの等温曲線:(a)吸着、(b)脱着である。試料質量=2.91g、相対湿度=55%、脱着試験は40℃の乾燥空気下で行われた。
【発明を実施するための形態】
【0060】
定義
本発明の説明及び特許請求において、以下の用語は、以下に示される定義に従って使用される。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することが意図されないことも理解されるべきである。
【0061】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0062】
別段文脈が明らかに要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、即ち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるものとする。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない、又はそのような組成物、混合物、プロセス又は方法に固有ではない他の要素を含む場合がある。
【0063】
「~からなる」という移行句は、特定されていない任意の要素、ステップ又は成分を除外するものである。特許請求の範囲にある場合、そのようなものは、通常関連する不純物を除いて、列挙されたもの以外の材料の包含に対してその請求項を閉ざすであろう。前文の直後ではなく、特許請求の範囲の本文の節に出現する場合、「~からなる」という語句は、その節に記載される要素のみを限定し、他の要素は、全体として特許請求の範囲から除外されない。
【0064】
「本質的に~からなる」という移行句は、文字通りに開示されるものに加えて、材料、ステップ、特徴、構成成分又は要素を含む組成物、プロセス又は方法を定義するために使用されるが、これらの追加の材料、ステップ、特徴、構成成分又は要素が、特許請求された発明の基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響を与えないものとする。「本質
的に~からなる」という用語は、「含む」と「~からなる」の間の妥協点を占める。
【0065】
出願人が「含む」などの制限のない用語を用いて発明又はその一部を定義した場合、(別段の記載がない限り)本明細書は、「本質的にからなる」又は「からなる」という用語を使用してそのような発明を説明するものとも解釈されるべきであることは容易に理解されるべきである。換言すれば、「含む」、「からなる」及び「本質的に~からなる」という用語に関して、これらの3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、現在開示され、特許請求されている主題には、他の2つの用語のうちのいずれかの使用が含まれてもよい。従って、他に明示的に記載されていない幾つかの実施形態において、「含む」の任意の例は、「からなる」又は「本質的にからなる」に置き換えられてもよい。
【0066】
操作例以外で、又は別段の指示がある場合には、本明細書で使用される成分又は反応条件の量を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図しない。以下において、又は別段の記載がある場合、「%」は「重量%」を意味し、「比率」は「重量比」を意味し、「部」は「重量部」を意味する。
【0067】
本明細書で使用される「大部分」、「主に」及び「実質的に」という用語は、別段の指示がない限り、50重量%以上を含むことを意味するものとする。
【0068】
本明細書で使用される場合、ある範囲の数値に関連して、「約」、「およそ」及び「実質的に」という用語は、参照数値の-10%~+10%、好ましくは参照数値の-5%~+5%、より好ましくは参照数値の-1%~+1%、最も好ましくは参照数値の-0.1%~+0.1%の範囲を指すものと理解される。更に、数値範囲に関して、これらの用語は、その範囲内の任意の数又は数のサブセットに関する請求項の根拠を提供するものとして解釈されるべきである。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9、8~10などの範囲を支持するものとして解釈すべきである。
【0069】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下では、他の実施形態も好ましい場合がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、また、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものではない。
【0070】
本明細書で使用される場合、「エアロゲル」という用語は、ゲル構造が大きく崩れることなく、ゲルの液体成分が気体に置換された、ゲルに由来する多孔質材料を意味する。特定の実施形態において、特に材料が酸化グラフェンを含む場合、それは、約0.5g/cm未満、又は約0.2g/cm、約0.1もしくは約0.05g/cm未満の密度を有する材料を意味する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「ゲル」という用語は、相当量で存在する2つ以上の構成成分(そのうちの1つは液体である)からなる軟質で、固体又は固体状の材料を意味する。
【0072】
本明細書で使用される場合、酸化グラフェンに関する「架橋された」という用語は、2つ以上の酸化グラフェンシートが、結合又は架橋基を介した一連の結合によって一緒に結合されていることを意味し、ここで、架橋基自体は、酸化グラフェンシートの構成成分ではない。特定の実施形態において、架橋基は金属イオンである。
【0073】
本明細書で使用される場合、酸化グラフェンに関する「横寸法」という用語は、シートの平面における酸化グラフェンシートの平均幅及び長さを指す。即ち、シートの厚さに直交する寸法である。
【0074】
本明細書で使用される場合、エアロゲルに関する「吸着容量」という用語は、以下の式に従って計算することができる。
【0075】
【数1】

ここで、重量吸着水は吸着水の重量であり、水分に曝露された後のエアロゲルの重量の変化によって得ることができ、次のように計算することができる。
【0076】
【数2】

ここで、重量飽和エアロゲルは、飽和するまで水分を吸収した後のエアロゲルの重量である。重量乾燥エアロゲルは、乾燥エアロゲルの初期重量である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「吸着」又は「吸着する」、又は「吸着される」という用語は、広く解釈されるべきであり、例えば、吸着及び/又は吸着プロセスを含む、水分子がエアロゲル上又はエアロゲル内に吸着され得る任意のプロセスを含む。
【0078】
本明細書で使用される場合、「塩基性金属」という用語は、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Po、Nh、Fl、Mc、Lvを含む、周期表の第13~第16族の任意の金属を含むものとして解釈されるべきである。
【0079】
本明細書で使用される場合、「遷移金属」という用語は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cn、ランタニド及びアクチニドを含む、周期表の第3~第12族の任意の金属を含むものとして解釈されるべきである。
【0080】
略語
AFM:原子間力顕微鏡、DI:脱イオン、eGO:電気化学的に剥離された酸化グラフェン、GO:酸化グラフェン、ICP-MS:誘導結合プラズマ質量分析法、RH:相対湿度。
【実施例
【0081】
本発明の好ましい特徴、実施形態及び変形は、当業者が本発明を実施するのに十分な情報を提供する以下の実施例から識別することができる。以下の実施例は、いずれにしても前述の発明の概要の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0082】
酸化グラフェンベースのエアロゲルの調製
酸化グラフェンベースのエアロゲルは、酸化グラフェンをカルシウムイオン(CaCl)で架橋し、得られた架橋酸化グラフェンを凍結乾燥することによって調製された。詳細な実験手順は以下のように記載されている。
1.一定の濃度を有する酸化グラフェン溶液を調製した。
2.濃度10重量%のCaClストック水溶液を調製した。エアロゲル調製用のCaCl溶液は、混合を改善するために、DI水で異なる濃度に希釈することができた(これは大規模のエアロゲル形成にとって任意であり得る)。
3.一定の重量比を有するCaCl溶液を、30分間絶えず撹拌しながらGO溶液に徐々に加えた。
4.次いで、GO/Ca2+溶液を、凍結乾燥プロセス(例えば、図2に示すように)のために金型(例えば、図1を参照)に移してGOベースのエアロゲルを形成した。
【0083】
吸着容量の測定セットアップ
GOベースのエアロゲルの吸着容量は、プラスチックグローブバッグで測定された。図3及び4に示すように、グローブバッグ(380及び410)は、湿度を高めるために水(330)で満たされたフラスコ(335及び440)に接続された。グローブバッグ内の相対湿度(RH)は、入口弁(320、入口310の近くに位置する)及びヒータ(340及び450)を使用して制御された水分流量及び温度によって影響を受けた。天びん(360及び430)は、ケージ370内のエアロゲル(350及び420)の重量変化を連続的に記録するためにグローブバッグに入れられた。2つの湿度センサ(390及び460)は、グローブバッグ内の相対湿度を監視するために使用された。グローブバッグは、蒸気がバッグから出ることができる出口(395及び470)に接続された。
【0084】
大気は、入口弁320を経由して入口310を通って装置に入り、フラスコ335内の水330を通過してグローブバッグ380に入り、その後出口395を通って出た。水330をヒータ340で加熱した。センサ390は、ケージ370内のエアロゲル試料350が曝露されたグローブバッグ内の相対湿度を測定した。天びん360は、エアロゲル350の質量変化を測定するために使用された。
【0085】
吸着容量の計算
GOベースのエアロゲルの吸着容量は、エアロゲルの重量変化に基づいて計算された。エアロゲルが水分を吸着し始めると、重量が増加した。水分子を吸着したエアロゲルは、飽和した時に最大重量に達した。吸着容量は以下の式によって計算された。
【0086】
【数3】

ここで、重量吸着水は、エアロゲルの重量変化によって得られる吸着水の重量であり、それ自体は次のように計算することができる。
【0087】
【数4】

ここで、重量飽和エアロゲルは、最大量の水分を吸着した後の飽和形態のエアロゲルの重量である。重量乾燥エアロゲルは、乾燥形態のエアロゲルの初期重量である。
【0088】
GOベースのエアロゲルの吸着容量
GOベースのエアロゲルの吸着容量は、エアロゲル調製に使用されるGOの物理化学的特性に大きく影響された。GOの横寸法、C/O比、濃度は、GOベースのエアロゲルの
形成に影響を与えるため、GOベースのエアロゲルの形態が異なると吸着容量も異なる。
【0089】
架橋剤Ca2+(CaCl)は、GOベースのエアロゲルの機械的特性を向上させるために使用された。Ca2+とGOの重量比も、性能の変動をもたらす重要な要因である。重量比はGO溶液の濃度に応じて調整された。GO溶液の濃度は、GOベースのエアロゲルの形成プロセスに影響を与えるため、エアロゲルの吸着容量が異なる。
【0090】
適用された圧縮や相対湿度などのいくつかの外部要因も、GOベースのエアロゲルの吸着容量において重要な役割を果たす場合がある。エアロゲルの体積を減少するために、GOベースのエアロゲルは様々な圧力下で圧縮された。GOベースのエアロゲルの容量を維持するには限界圧力が存在した。圧縮が高いと、GOベースのエアロゲルの微細構造を損傷し、乾燥剤の容量を低下させる可能性がある。
【0091】
GOベースのエアロゲルは、異なる相対湿度条件下で異なる吸着容量を有することが見出された。一般に、GOベースのエアロゲルの吸着容量は、高い相対湿度下で増加し、低い相対湿度下で減少した。
【0092】
GOの横寸法の影響
合成プロセスの前処理又は後処理によって調整できるGOの横寸法は、GOベースのエアロゲルの特性を調整するための重要なパラメータである。使用されたGOのC/O比は約2.25である。図5は、横寸法が異なるGO溶液を使用して形成されたGOベースのエアロゲルを示す。図5aは、横寸法>500nmのGOがエアロゲルの均質な形態を提供したことを示す。GOの横寸法<500nmのGO溶液を使用したエアロゲルは、多孔質構造を有しており、水分子を吸着する活性部位を潜在的に増加させる可能性がある。図5cは、横寸法が異なるGOナノシートの原子間力顕微鏡(AFM)画像を示す。
【0093】
これら2つのエアロゲルの吸着測定が決定された。表1は、GOの横寸法がエアロゲルの特性にどのような影響を与えるかを示す。複数の吸着サイクルにより、GOエアロゲルの安定性を示した。横寸法が小さいGOベースのエアロゲルは、その安定性及び吸着容量においてより良好な性能を示したが、横寸法がより大きいGOエアロゲルは、依然として妥当な特性を持っていた。
【0094】
【表1】
【0095】
GOとCa2+の重量比
以下の実験に使用されたGOは、<500nmの横寸法を有した。図6に示すように、異なる重量比のCa2+を使用した場合でも、エアロゲルの形態に明らかな差はなかった(図6は、a)1:1及びb)5:1のGO:Ca2+比を示す)。しかし、Ca2+の重量比は、GOベースのエアロゲルの吸着容量に影響を与えた。GOとCa2+の重量比が100:1から10:1まで変化したと、GOベースのエアロゲルの吸着容量は最初に81%から58%への減少を示した。GOとCa2+の重量比が1:1に増加したと、GOベースのエアロゲルの吸着容量は258%まで大幅に増加した。表2は、架橋剤の重量比が異なるGOベースのエアロゲルの吸着容量を示す。使用されたGOの横寸法は<50
0nmであり、RHは90~100%の範囲であった。
【0096】
【表2】
【0097】
図7は、GOとCa2+の重量比が異なるGOベースのエアロゲルの吸着速度を示す。GOとCa2+の重量比が100:1~5:1の範囲にある場合(図1(a)~(d))、吸着速度は有意に変化しなかった。60分以内に、吸着容量は約40%に達した。しかし、GOとCa2+の重量比が1:1のGOベースのエアロゲルは、258%の吸着容量及び他のエアロゲルよりも速い吸着速度を有した。図6(e)に示すように、1:1のGOベースのエアロゲルの吸着容量は60分以内に102%に達した。
【0098】
GOベースのエアロゲルの圧縮効果
圧縮を加えた場合及び加えない場合のGOベースのエアロゲルの吸着容量が測定された。GOベースのエアロゲルは、商品化のための梱包プロセス中に空間を節約するために圧縮された。圧縮試験用のキャニスタは、図8に示すように設計された。キャニスタの構成要素には、外側本体810、プランジャアーム830、プランジャプレート840、蓋820、及び使用時のプランジャプレートの位置を固定するための構成要素850と860が含まれる。キャニスタを組み立てるには、プランジャアーム830を蓋820の角穴に通し、プランジャプレート840にねじ込む。プランジャアーム及びプランジャプレートアセンブリは外側本体810に挿入され、蓋820は外側本体810の上部のねじ山の所定の位置にねじ込まれる。このキャニスタは、直径10cmのエアロゲル用に設計された。エアロゲルをキャニスタに詰め込んだ後、プランジャアームに圧力を加えることによってエアロゲルを圧縮し、キャニスタの外側本体810の体積目盛りに従って体積を減らすことができる。次に、構成要素850と860をキャニスタの外側本体810の開口部を通してプランジャプレート840の側面開口に挿入することによって、プランジャプレート840を固定して所定の位置に保持し、エアロゲルを圧縮形態に保つ。図9は、圧縮を加えていない3Dプリントされたキャニスタ内の体積300cmのGOベースのエアロゲル930を示す。プランジャアーム910と、体積目盛り940を有する外側本体920とが示される。
【0099】
表3は、異なる圧縮力下でのGOベースのエアロゲルの吸着性能を示す。適度な圧縮は、GOベースのエアロゲルの吸着容量を損なわないようである。例えば、体積が48%減少しても、吸着容量は圧縮されていないエアロゲルと比較して全く減少しない。しかし、GOベースのエアロゲルの容量を維持するには限界圧力がある。圧縮が高いと、GOベースのエアロゲルの微細構造を損傷し、その容量を減少させる可能性がある。例えば、図10に示すように高圧を加えてエアロゲルを薄膜に圧縮すると、吸着容量は半分に減少した(表3)。
【0100】
【表3】
【0101】
図11は、圧縮なし又はありのGOベースのエアロゲルの吸着速度を示す。これら2つのGOベースのエアロゲルは、同様の最大吸着容量を持っていた。圧縮されていないエアロゲルと比べて(図11a)、0.07バール圧縮されたGOベースのエアロゲルの吸着速度は減少した。しかし、依然として300分以内に50%の吸着容量に達することができた(図11b)。
【0102】
GO溶液の濃度
エアロゲル調製に使用されるGO溶液の濃度は、架橋剤との混合効率、及び得られたエアロゲルの吸着容量に影響を与える場合がある。GOと架橋剤の重量比は、使用されたGO溶液の濃度に応じて調整することができた。濃度が1.5重量%のGO溶液を調べた。濃度が1重量%のGO溶液から形成されたエアロゲルと比べて、GOとCa2+の重量比が2:1であると、表4に示すように154%の同等の吸着容量を有するエアロゲルが得られた。濃度が異なるGO溶液の横寸法は<500nmであり、吸着試験はRH100%で実行された。
【0103】
【表4】
【0104】
図12は、初期GO溶液の濃度が異なり、架橋剤Ca2+の重量比が異なるGOベースのエアロゲルの吸着速度を示す。図12(a~b)は、初期GO溶液の濃度が異なるが、架橋剤の重量比が同じであるGOベースのエアロゲルの速度を示す。GOの濃度がより高いエアロゲルは、おそらくエアロゲル内の吸着部位が増加したため、より速い吸着速度及び吸着容量を示した。60分以内に、初期濃度が1重量%で、Ca2+の重量比が1:1のエアロゲルは、52%の吸着容量を有したが、初期濃度が1.5重量%のエアロゲルは、67%の容量を有した。図12(c)は、架橋剤の重量比を調整することにより、異なるGOベースのエアロゲルの吸着速度及び容量を調整し、同様の性能を達成できることを示す(図12(a)を参照)。図12(c)で使用されたGOベースのエアロゲルは、結果の比較を可能にするために以下の研究で使用された。
【0105】
エアロゲルの容量に対する相対湿度の影響
最適化されたGOベースのエアロゲルの吸着容量は、異なる相対湿度(RH)下で測定された。表5は、RHが100%から50%に減少したと、吸着容量が154%から31%に減少したことを示す。ここで使用されたGOの横寸法は<500nmであった。
【0106】
【表5】
【0107】
図13は、異なるRH下でのGOベースのエアロゲルの時間と吸着容量の関係を示す。高湿度下では、吸着容量は連続的かつ急速な増加を示した。低湿度下では、GOベースのエアロゲルは、吸着容量が低くなった。しかし、依然として最初は急速に吸着し、低RH下でその最大吸着容量に達した。異なるRH下でのエアロゲルの吸着性能を比べて(図13(a~d))、吸着速度は、各実験の開始から20分以内では有意に低下しなかった。
【0108】
エアロゲルの容量に対する相対湿度と圧縮の相互影響
GOベースのエアロゲルの吸着容量は、相対湿度が低下するにつれて減少した。しかし、図14に示すように、シリカゲルと比べて体積が50%減少した場合でも、GOエアロゲルの吸着容量は有意に高かった。しかし、図15に示すように、体積が75%減少したと、容量は有意に減少した。エアロゲルの吸着容量の減少は、発明者の仮説ではGOベースのエアロゲルの多孔質微細構造を損傷した可能性がある高圧に起因する場合がある。
【0109】
表6は、異なる圧縮及びRHの下でのGOベースのエアロゲルの吸着容量の詳細な結果を示す。エアロゲルの密度は、エアロゲルの吸着特性に対する圧縮及びRHの影響を理解するために計算された。
【0110】
【表6】
【0111】
eGOベースのエアロゲルの最適化された吸着容量
優れた吸着容量を有する安定なeGOベースのエアロゲルは、電気化学的方法により生成されたeGOから合成された。最大吸着容量は相対湿度100%で310%であった。表7は、eGOエアロゲルの吸着容量が4サイクル後も有意に変化しなかったことを示す。吸着容量の差は主に、乾燥プロセスによって大きく影響され得るエアロゲルの初期重量
によって引き起こされた。図16は、最初の吸着測定後に吸着速度がわずかに減少したことを示す。最初のサイクルでは、吸着容量は60分以内に100%に達した。その後、eGOベースのエアロゲルの吸着速度は比較的安定しており、約90分以内に100%の吸着容量に達した。
【0112】
【表7】
【0113】
水リサイクルのための脱着プロセス
吸着容量試験の後、GOベースのエアロゲルは水分子で飽和した。次に、脱着試験は、GOベースのエアロゲルから水を放出するために実行された。このプロセスには蒸発ステップが含まれた。実験セットアップの概略図を図17に示す。飽和したGOベースのエアロゲル1770は、円錐形の上部1710を有する清潔な容器に密封された。エアロゲルから水が放出されるときに凝縮1780が形成できるように、氷を上部に置いた。容器をヒートマット1720で覆い、ヒータ1730で加熱した。温度コントローラ1740及びプローブ1750は、蒸発のために熱を正確に監視し、供給するために使用された。加熱条件下で、水を蒸発させ、円錐形の上部で凝縮させ、その後容器1760に収集した。凝縮水を収集した後、脱着水の品質は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によって測定された。
【0114】
脱着プロセスのためのセットアップ
図18は、実験室規模の脱着プロセスの実験セットアップを示す。ヒートマットの温度は、GOベースのエアロゲルが高温下で還元されるのを防止するために、温度コントローラ1820によって50℃に制御された。天びん1810は、GOベースのエアロゲル1830から収集した水の重量を監視するために使用された。脱着プロセスの効率は温度に大きく依存した。図19(a)は、加熱プロセス中に、エアロゲル1910から水分が放出され、その後冷却された上部1920で凝縮したことを示す(図19b)。この実験において、50℃でGOベースのエアロゲルから2.7gの吸着水のうち1.4gの水を収集した。
【0115】
再生水の品質
GOベースのエアロゲルからの再生水の品質は、ICP-MSによって測定された。水質の特性評価は非常に敏感であるため、軽微な汚染によって信頼できない結果が生じる可能性がある。特に脱着プロセスからの水については、エアロゲルの調製から最終的な脱着試験まで多くの手順が関与する。これらの手順を組み合わせると、脱着水の汚染の可能性を高めることができる。表8は、脱着プロセスからの再生水の分析結果を示す。再生水の測定を2回実行した。結果により、本発明者らによって脱着プロセスにおいて使用された容器の不適切な洗浄によるものであると考えられた、リサイクルされた試料水ー01中に大量の汚染があったことを示す。容器(試料水ー02)を適切に洗浄した後、汚染物質、特にCa、K、Zn及びIが有意に減少した。再生水ー02中のMgやNaなどの幾つかの一般的な元素の濃度は、依然として水道水よりも高かったが、再生水ー01の濃度と比べて有意に減少した。これにより、プロセスに使用される構成成分を適切に洗浄することで汚染物質を効果的に減少できることを示す。しかし、汚染を引き起こす主な問題は、エアロゲルの調製に使用される凍結乾燥ステップのためのオイルポンプの使用であり得ると
本発明者らが仮定している。表8(淡い灰色で強調表示)に示すように、GOベースのエアロゲルの製造に使用されなかった一部の元素の濃度が異常に高かったため、オイルの蒸気が汚染物質の発生源となり得る。この問題は、ポンプシステムをオイルフリーポンプシステムなどに変更することによって解決することができる。
【0116】
【表8-1】
【0117】
【表8-2】
【0118】
【表8-3】
【0119】
大気水生成装置の試作機
エアロゲルを用いた試作の大気水生成装置を作製した。図20は、試作機の構成成分及び試作機に適合するGOベースのエアロゲルの金型を示す。GOベースのエアロゲル2060は、水分の入口及び出口を有するキャニスタに封入することができる。
【0120】
大気水生成装置の試作機は、図20に示すようなキャニスタを含む。このキャニスタは、外殻2040、蓋2030、断熱層2010及びコア層2050の4つの部分に分かれる。断熱層2010はガラス繊維及びアルミニウム箔からなる。断熱層は、温度が80℃未満である場合に効果的である。コア層2050には、ヒートマット、温度センサ及びステンレスメッシュバッグが含まれる。金型2060を使用して成形されたエアロゲル2060は、まず細かく切断され、ステンレスメッシュバッグに入れられる。
【0121】
特定の実施形態において、上述のキャニスタは、入口弁、出口弁及び収集弁に接続されてもよい。「吸着構成」で使用する場合、水分含有ガスが入口弁を介してキャニスタ内に送られ、出口弁を介して乾燥ガスとしてキャニスタから排出される前にエアロゲルにさらされるように、収集弁が閉じられ、入口弁及び出口弁が開かれる。エアロゲルがガスから一定量の水を吸着する時間が経過した後、入口弁及び出口弁が閉じられ、収集弁が「収集構成」で開かれ、このとき、ヒートマットを使用してエアロゲルを加熱し、収集弁を介して水を水収集容器に排出する。すべての水が排出されると、システムが「吸着構成」に戻り、それによってさらに水をエアロゲルに吸着させることを可能にするように、収集弁が閉じられ、入口弁及び出口弁が開かれる。このプロセスは、大気水生成装置によって収集した水の量を増加させるために複数回繰り返されてもよい。
【0122】
試作機の組み立て及び分解手順を以下に示す。
組み立て手順
1.断熱層2010は、外殻2040に注意深くゆっくりと押し戻される。層は均一な力で保持される。
2.ヒートマットと温度センサのケーブルは、断熱層2010及び外殻2040を通過する。
3.コア層2050は外殻2040に押し戻される。アルミチューブ及びメッシュバッグは、同時に注意深くゆっくりと押されるべきである。ステンレスメッシュバッグにかかる力は均一でなければならない。
4.コア層2050の底部にあるナット2020は、コア層を更に殻に引き下げるために組み立てられる。外殻蓋2030が組み立てられる。
分解手順
1.外殻蓋2030が取り外される。コア層の底部にあるナットが取り外される。
2.コア層の中央にあるアルミチューブ2080が注意深く押し出される。同時に、ステンレスメッシュバッグがラジオペンチで引き抜かれる。
3.ヒートマットと温度センサのケーブルが取り外される。
4.断熱層は、ラジオペンチを使用して迅速かつ容易に引き抜くことができる。
【0123】
GOベースのエアロゲル調製用の3Dプリントされた金型モジュール
GOベースのエアロゲル調製用の金型モジュールにより、キャニスタに組み込むためのエアロゲルの製造を可能にする。エアロゲルのモジュールの形状はキャニスタの内部構造に大きく依存する。図21は、図20に示すようにキャニスタに挿入するためのGOエアロゲル用に設計されたモジュールを示す。
【0124】
酸化グラフェンエアロゲルの調製
酸化グラフェンエアロゲルは、GOとイオン架橋剤を異なる重量比で混合することによって生成された。1:1のGO:Ca2+でエアロゲルを作製する詳細な手順は次の通りである。まず、20gのCaClを0.2g/mLの濃度で100mLの超純水に溶解することによってカチオン性架橋剤(塩化カルシウム、CaCl)のストック溶液を調製した。次に、7.5mL(1.5g)のCaClを100mLのGO懸濁液(1.5g、1.5重量%)に加えた後、ポータブルミキサーで15~20分間よく混合した。続いて、得られた混合物を、その後の凍結乾燥のために適切なペトリ皿/金属トレイに加えた。GOエアロゲルのすべての吸着実験は、相対湿度(RH)を制御したグローブバッグ内で実行された。図22は、GOエアロゲルの段階的な調製を示す。小規模のエアロゲルの質量は約1~2gであった。
【0125】
エアロゲルの吸着性能に対するGOフレークサイズの影響
酸化グラフェンのフレークサイズは、気孔率の変化によってエアロゲルの吸着性能に影響を与える場合がある。従って、約300nm、約1μm及び約5μmの異なる横寸法を有するGOによって調製されたエアロゲル試料を使用することによって、水吸収研究を行った。エアロゲルは、1:1の比率でCa2+架橋剤をGOと使用することによって調製された。吸着実験は、湿度を80~90%に制御したグローブバッグ内で実施された。図23に示す結果によれば、吸着容量は、GOフレークサイズがエアロゲルのより高い多孔質構造によって減少するにつれて増加した。
【0126】
エアロゲルの吸着性能に対するGOフレークサイズの混合物の影響
約5μmのフレークサイズを有するGOエアロゲル(1:1の重量比でCa2+で架橋することによって調製された)は、湿度80%下で6時間以内に約73%の吸着性能を示した。この吸着速度は、より大きなフレークによって引き起こされた多孔質構造がより少ないため、より小さなGO対応物を有するエアロゲルの吸着速度よりも低い場合がある。これを考慮して、一連の実験は、エアロゲルの性能に対するフレークサイズの影響をよりよく理解するために行われた。これは、上記のGOフレークを約300nmのより小さな積層体と増加する比率、即ち、100:0、75:25、50:50及び25:75で組み込むことによって行われた。図24に示すように、有意な変化が観察され、2つの異なるフレークサイズの比率が等しいエアロゲルは、約100%の最高性能が得られた。
【0127】
異なる湿度でのエアロゲルの吸着性能
異なる湿潤環境での水生成にGOエアロゲルを適用することを考慮して、様々な湿度で水吸収に関する一連の実験が行われた。2つの異なるサイズ、それぞれ約300nm及び約1μmを有するGO積層体を使用して、エアロゲルについて2つの別々の実験が行われた。
【0128】
小さなGO積層体(約300nm)を使用することによって調製されたエアロゲル
約300nmのより小さな積層体を使用した吸着試験は、90%、75%、60%及び50%の異なる湿度下で実行された。すべてのエアロゲル試料は、Ca2+架橋剤(1:1の重量比)を使用することによって調製された。相対湿度は、エアロゲルの吸着性能において重要な役割を果たすことができることが観察された。吸着容量は湿度9%で125%に達したが、相対湿度がより低くなると減少した(図25)。35%を超える好ましい性能は、50%の湿潤条件下でも依然として達成された。
【0129】
より大きなGO積層体(約1μm)を使用することによって調製されたエアロゲル
同じ実験は、Ca2+を1:1の重量比で架橋することによっても調製されたGOエアロゲルの異なるバッチを使用することで繰り返された。実験は、相対湿度90%、75%、60%、50%、40%、30%の範囲で5時間実施された。前述の実験と同様に、35%以上の比較的高い吸着容量が湿度50%で得られた。また、3時間以内に、図26に示すように約15%の吸着容量が相対湿度30%で得られることが分かった。図27は、例示的なGOエアロゲルの相対湿度と吸着性能の関係のより良好な視覚化を示す。
【0130】
異なるカチオン性架橋剤を使用することによって調製されたエアロゲルの吸着性能
一連のエアロゲル試料は、Ca2+、K、Mg2+及びAl3+の異なるカチオン性架橋剤を使用して調製された。GOと架橋剤の重量比は2:1に維持され、湿度は75~90%の範囲であった。Ca2+架橋剤を使用することで最大約124%の最大吸着容量が達成され、次にAl3+を使用することで約107.9%が達成されることが観察された(図28)。他の架橋剤Mg2+及びKは、それぞれ約42%及び30%という最大容量を提供した。上述のように、吸着実験は、相対湿度を制御したグローブバッグ内で実施された。
【0131】
それに加えて、Li及びFe3+のようなカチオンもカルシウム架橋剤との比較と見なされた。ここで、実験セットアップには、GOと架橋剤(塩化カルシウム、塩化リチウム又は塩化鉄(III))の重量比が1:1のエアロゲルを調製することが含まれており、吸着試験は相対湿度約85~95%で実行された。以前の実験と同様に、Ca2+を使用することによって調製されたエアロゲルは約120%以上の吸着容量を生じたが、Li及びFe3+を使用することによって調製されたエアロゲルは、設定された時間枠内で約96%及び約72.5%の最大容量を生じた(図29)。これらの発見は、カルシウムイオンで架橋されたときにエアロゲルが最高性能を示すことを示した。
【0132】
異なる形状を有するエアロゲルの吸着性能
ケーキ、フレーク(直径約2cm)、及び粉末形態のGOエアロゲルの水吸収を測定した。まず、Ca2+架橋剤(1:1の重量比)を使用して3つのエアロゲル試料を調製し、その後凍結乾燥した。フレーク形態のエアロゲルは、新たに調製されたエアロゲルをハサミで切断することによって生成された。切断後、直径約2cmのエアロゲルフレークが得られた(図30)。次に、ブレビルコーヒーアンドスパイスグラインダーを使用して1つのエアロゲルケーキを粉砕することにより、粉末形態のエアロゲルを生成した。続いて、3つのエアロゲル試料の水吸収研究を湿度90%で実行した。図31に示すように、最大約127%の最大吸着容量がエアロゲルケーキによって得られたが、約111%及び約98%がそれぞれ粉末及びフレーク形態でエアロゲルによって達成された。
【0133】
eGOエアロゲルの吸着性能
異なる湿度におけるeGOの吸着性能
eGOエアロゲル試料は、Ca2+架橋剤を1:1のeGO:Ca2+で使用することによって調製された。次に、性能試験は、グローブバッグ内で異なる湿度、それぞれ100%、80~85%、75~80%で6時間行われた。標準GO場合と同じ傾向が観察さ
れ、即ち、湿度は、図32に示すように、より低い湿度の条件下で約190%から約150%及び約90%に減少した。
【0134】
吸着の複数サイクルにおけるeGOの性能
再利用性が重要な特性であるため、eGOエアロゲルの吸着は複数のサイクルにわたって実行された。まず、1:1の重量比でGOをCa2+で架橋することによって試料を調製し、湿度100%で8サイクルの吸着を5~6時間実行した。各サイクルにおけるエアロゲルの水吸着容量を図33に示し、各サイクル後に水吸収がわずかに減少することを示す。しかし、エアロゲルは8サイクル後でも120%を超える最大容量で望ましい性能を維持しており、産業用途のための炭素ベースの乾燥剤としてのeGOエアロゲルの可能性を示す。
【0135】
Armidale製eGOの吸着性能
1:1の重量比でeGO:Ca2+で架橋されたeGOエアロゲル(Armidale製)の吸着性能は、湿度85~95%で測定された。図34に示すように、吸着速度は5時間以内に122%に達し、他のeGO試料と同様であることが観察された。
【0136】
eGOーUNEの吸着性能
1:1の重量比でCa2+で架橋することによって調製された2つのeGOエアロゲル試料はテストされた。水吸収研究は、湿度を90~95%に制御したグローブバッグ内で実施された。図35に示すように、試料1及び試料2の最大容量はそれぞれ約177%及び125%であった。
【0137】
大規模でのGOエアロゲルの吸着性能
大規模に製造されたGOエアロゲルの性能は決定された。試料の調製は次の通りである。1:1の重量比で40gのGOをCa2+で架橋し、懸濁液を15~20分間撹拌した後、4つの金属トレイ(19cm×35cm×3cm)に分け、-80℃の冷凍庫で凍結させた(図36)。その後、凍結試料をScitek社で凍結乾燥させた。図36は、大規模のGO懸濁液の調製及び凍結条件を示す。
【0138】
40gのエアロゲル試料は3回調製され、それぞれ第1、第2、及び第3のバッチのエアロゲルと呼ばれる。約11gの第1のバッチのエアロゲルは、相対湿度が約90%の湿度チャンバー内で水吸収研究に供された。図37aに示すように、300%を超える水吸収が4時間以内に得られたことが観察された。他の2つのエアロゲルは、湿度(85~95%)を制御したグローブバッグ内でテストされた。性能試験の前に、試料を窒素下で完全に乾燥した。約160%の最大容量は、約8.22gの第2のバッチのエアロゲルで得られた(図37b)。第3のバッチのエアロゲル(約10.12g)では、約130%の吸着容量が得られ(図37c)、第2のバッチの試料と同様である。水吸収は、設定された環境に応じて変化し得ることに注意すべきである。
【0139】
次に、大規模での性能は、より小さいものの性能と比較された。エアロゲルの小片(約0.4g)を第2のバッチの試料から採取し、テスト前に窒素下で一晩乾燥した。実験条件は、グローブバッグ内で湿度85~95%で同じに設定された。17時間以内に、140%の吸着速度に達し、大規模の第2のバッチのエアロゲルで得られた結果と一致した(図38)。
【0140】
異なる濃度のGO懸濁液におけるGOエアロゲルの吸着性能
一連の実験は、1重量%及び1.5重量%の濃度を有するGO懸濁液を使用して行われた。エアロゲル試料は、GOを塩化カルシウム(Ca2+)架橋剤で架橋することによって形成された。
【0141】
1重量%のGO懸濁液
GOと架橋剤の重量比の変化
濃度が1重量%のGO懸濁液を使用してエアロゲルを調製した。まず、異なる重量比(GO:Ca2+)、それぞれ100:1、50:1、10:1、1:5及び1:1でGOをCa2+で架橋した。実験は、グローブバッグ内で相対湿度95~100%で実施された。GOと架橋剤の比率が等しいと、最大吸着容量が約260%まで達することが分かった。図39は、GOと金属イオンの重量比を変化させることによるエアロゲルの吸着性能を示す。図39bに示すように、容量は、GOと同じ質量比に達するように金属イオンの含有量が増加するにつれて増加する。
【0142】
圧縮によるエアロゲルの厚さの変化
厚さが異なるGOエアロゲルの吸着試験もテストされた。まず、1:1の重量比で1重量%のGOをCa2+で架橋し、その後、凍結乾燥してエアロゲルを形成した。続いて、図40dに示すように、3Dプリントされたキャニスタを使用して、約0.07バール、約1.5バール、約10バールの異なる圧力で圧縮することでエアロゲルの厚さを調整した。続いて、吸着性能を相対湿度95~100%で実施した。図40a~cに示すように、高圧下で圧縮すると、エアロゲルの吸着性能は約165%から約79%及び約29%に減少した。
【0143】
1.5重量%のGO懸濁液
エアロゲルの性能に対する超音波処理の役割
試料調製中、即ち、GOをCa2+で架橋している間の超音波処理の効果を調べた。2つのエアロゲル試料を2:1の重量比(GO:Ca2+)で塩化カルシウムで個別に架橋した。次に、一方の試料を10分間超音波処理し、その後、両方の懸濁液を凍結乾燥してエアロゲルを形成した。図41に示すように、超音波処理で調製されたエアロゲル試料と超音波処理を行わずに調製されたエアロゲル試料の間に有意な差は観察されなかった。実験を相対湿度が95~100%のグローブバッグ内で実施した。
【0144】
異なる湿度での吸着性能
2:1の重量比でGO(1.5重量%)をCa2+金属イオンで架橋することによってエアロゲルを調製し、エアロゲルの吸着性能を異なる湿度、それぞれ95~100%、80%、70%、50%で実施した。図42に示すように、約154%の水吸収が湿度100%で得られ、これは、相対湿度が80%、70%及び50%に低下すると、それぞれ約56%、約40%及び30%に減少した。
【0145】
等温線試験
ケーキ形態の多数のエアロゲル試料は、それらの等温線吸着-脱着挙動についてテストした。
【0146】
大気圧及び真空の異なる条件での脱着
1:1の重量比でCa2+で架橋することによって約2.7gのGOエアロゲルを調製した。吸着試験をRH85%で42時間行い、その後、大気圧及び真空下の2つの異なる条件下で脱着を行った。図43は、吸着ー脱着プロセスの第1のサイクル(大気圧下での脱着)を示し、灰色で強調表示された領域は第2のサイクル(真空下での脱着)を示す。吸着は設定された時間枠内で約60%であったが、エアロゲルは、依然としてプロセスの第2のサイクルにおいても良好な吸着性能を示した。脱着に関しては、段階的な水放出が大気圧下で観察されたが、真空条件下では有意な増強が得られた。
【0147】
85℃での吸着及び30℃の乾燥空気下での脱着
40gのエアロゲル試料の第2のバッチを使用した別の一連の等温線実験を行った。湿度85%での吸着試験の前に、約8.57gのエアロゲルを窒素下で完全に乾燥した。図44に示すように、エアロゲルの水吸収は2.5時間以内に100%に達した。次に、30℃の乾燥空気下で脱着試験を実行した。図44に示す脱着スペクトルは、周囲条件下でエアロゲルから完全に水を回収したことを示す。
【0148】
85℃での吸着及び40℃の乾燥空気下での脱着
別の穏やかな温度(40℃)での脱着性能も調べた。吸着試験の実験条件は次の通りである。約3.73gのエアロゲルを同じ湿度(85%)でインキュベートし、その後、40℃の乾燥空気下で脱着を実行した。図45に示す等温曲線によれば、約110%の水吸収は5時間以内に実現され、脱着の成功も観察された。
【0149】
55%での吸着及び40℃の乾燥空気下での脱着
低温でのエアロゲルの脱着効率を調べた後、吸着及び脱着試験の両方について穏やかな条件下で別の等温線を実施した。実験において、1:1の重量比でCa2+で架橋することによって調製された約2.91gのエアロゲルを湿度55%で6時間インキュベートし、約75%の水分を吸収した。次に、脱着試験を40℃の乾燥空気下で実行した。図46は、周囲条件下でのGOエアロゲルの望ましい性能を示す等温曲線を示す。
【0150】
本明細書に記載のエアロゲルは水の吸着を示しているが、当業者であれば、エアロゲルは、メタノール、エタノールなどの有機溶媒や二酸化炭素、窒素、二酸化硫黄などのガスなどの他の小分子の吸着にも適し得ることを理解するであろう。
【0151】
本発明は、特定の実施例を参照して説明されたが、本発明が他の多くの形態で具体化され得ることが当業者には理解される。特に、様々な説明された実施例のいずれか1つの特徴は、他の説明された実施例のいずれにおいても任意の組み合わせで提供され得る。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明に対する様々な修正や変更が当業者には明らかである。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではないこと、そのような実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。
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【国際調査報告】