(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】レーザ装置の光出射窓防塵構造及びレーザ装置
(51)【国際特許分類】
H01S 3/034 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01S3/034
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515945
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2022081999
(87)【国際公開番号】W WO2023040226
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111075642.4
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516281137
【氏名又は名称】北京科益虹源光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 勁松
(72)【発明者】
【氏名】劉 斌
(72)【発明者】
【氏名】徐 向宇
(72)【発明者】
【氏名】劉 広義
(72)【発明者】
【氏名】江 鋭
(72)【発明者】
【氏名】陳 文斌
【テーマコード(参考)】
5F071
【Fターム(参考)】
5F071AA06
5F071DD06
5F071DD07
5F071EE04
5F071JJ10
(57)【要約】
本発明は、レーザ装置の光出射窓防塵構造及びレーザ装置を提供する。レーザ装置の光出射窓防塵構造は、放電キャビティ本体、ガス浄化器、防塵パイプライン及びファンを備える。光出射窓とスリットの間には、中間キャビティが設置されている。前記防塵パイプラインは、ガス入口端が前記ガス浄化器に接続され、中間が前記中間キャビティを通過し、ガス出口端がファンに接続されている。前記ガス浄化器により浄化された後の少なくとも一部の作動ガスは、防塵パイプラインを通過して前記中間キャビティを流れ、ファンは、作動ガスをガイドし、中間キャビティを通過するガス流量を増加させ、クリーンガスによる光出射窓のパージを強化し、キャビティ本体内からスリット上の窓を通過して中間キャビティ内に入る作動ガスの中の粒子状物質が光出射窓に近づいて光出射窓を汚染することを効果的に防止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電キャビティ本体(10)、ガス浄化器(20)、防塵パイプライン(11)及びファンを備え、
前記ガス浄化器(20)は、放電キャビティ本体(10)内の作動ガス(1)に対して浄化処理を行うために用いられ、
前記放電キャビティ本体(10)には、光出射窓(50)と、スリット(60)とが設置されており、
前記光出射窓(50)とスリット(60)の間には、中間キャビティ(12)が設けられており、
前記防塵パイプライン(11)は、ガス入口端が前記ガス浄化器(20)に接続され、中間が前記中間キャビティ(12)を通過し、ガス出口端(11a)がファンに接続され、前記ガス浄化器(20)により浄化された後の少なくとも一部の作動ガス(1)は、防塵パイプライン(11)を通過して前記中間キャビティ(12)を流れ、光出射窓(50)の内側に防塵エアカーテンを形成するために用いられ、ひいてはキャビティ本体(10)内からスリット(60)上の窓を通過して中間キャビティ(12)内に入る作動ガス(1)が前記光出射窓(50)に近づいて前記光出射窓(50)を汚染することを回避することを特徴とするレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項2】
前記中間キャビティ(12)内の空気圧は、前記放電キャビティ本体(10)内の圧力以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項3】
前記防塵パイプライン(11)内の作動ガス(1)は、前記ファンを通過した後に直接的に又はパイプラインを通過して前記キャビティ本体(10)内に還流することを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項4】
前記ファンは、クロスフローファン(30)であり、クロスフローファン(30)の両端には、軸盤(33)が設置され、前記防塵パイプライン(11)は、ガス出口端(11a)が軸盤(33)に面して設置され、軸盤(33)には、クロスフローファン(30)の中間中空キャビティの内外を連通する貫通孔(36)が設けられ、防塵パイプライン(11)から排出された作動ガス(1)は、前記貫通孔(36)を通過してクロスフローファン(30)の中間中空キャビティに入ることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項5】
前記貫通孔(36)は、螺旋状で傾斜的に設置され、モータ(40)が軸盤(33)を回転駆動する際に、軸盤(33)の外側のガスが貫通孔(36)を通過して前記クロスフローファン(30)の中空キャビティ内に強制的に流入させられるように傾向づけるために用いられることを特徴とする請求項4に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項6】
前記スリット(60)は、本体(63)と、複数のスポイラー(61)とを備え、レーザ出射方向に垂直な投影面においては、スポイラー(61)が左右又は上下に対称的に前記本体(63)に設置されることにより、取り囲むことでレーザ通過用のレーザチャネル(62)を形成し、レーザ出射方向には、左右又は上下の両側のスポイラー(61)が互い違いに設置されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項7】
前記クロスフローファン(30)の両端の軸本体(32)は、軸受(13)を介して前記キャビティ本体(10)に回転可能に設置され、軸本体(32)の前記軸受(13)の外端面に近い外側円には、ネジ構造(34)、歯構造又は羽根構造が設置され、モータ(40)が軸本体(32)及びクロスフローファン(30)を回転駆動する際に、ネジ構造(34)、歯構造又は羽根構造は、前記軸受(13)の外側のガスを、前記軸受(13)から離れる方向に強制的に移動させ、ひいてはキャビティ本体(10)内の粉塵が軸受(13)に近づいて入ることを防止することを特徴とする請求項4に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項8】
前記キャビティ(10)の側壁には、取り付け穴(14)が設置され、軸本体(32)のネジ構造(34)、歯構造又は羽根構造が取り付け穴(14)内に挿入されて取り付けされ、クロスフローファン(30)が回転すると、ねじ構造(34)、歯構造又は羽根構造と取り付け穴(14)の間には、動的シール構造を形成することを特徴とする請求項7に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項9】
前記クロスフローファン(30)の軸盤(33)の外側端面及び軸本体(32)の周方向には、複数の羽根が設置され、モータ(40)が前記軸受(13)、軸盤(33)及び羽根を回転駆動する際、羽根は、軸受(13)及び軸本体(32)の付近のガスが前記軸受(13)及び軸本体(32)から離れる方向へ強制的に流れさせられるように傾向づけることを特徴とする請求項7に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載のレーザ装置の光出射窓防塵構造を備えることを特徴とするレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ装置技術分野に関し、特に、レーザ装置の光出射窓防塵構造及びレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマレーザ装置の放電キャビティは、放電過程において電極の損失に伴い、粉塵が継続的に発生する。これらの粉塵は、気流循環に従って運動し、キャビティ本体内の各位置に分散し、特に、レンズレーザ装置の光出射窓及びクロスフローファンの軸受に大きなダメージを与えるので、レンズの光出射窓及び軸受の通常動作及び耐用年数を保護し延長するために、専用な保護装置を設計する必要がある。
【0003】
具体的には、
図1に示すように、レーザ装置の放電キャビティ本体(10)内の作動ガス(1)は、レーザ装置の上部キャビティ本体内のガス出口によりガス浄化器(20)(即ち、金属フッ化物捕捉装置MFT)内に入り、濾過されて粉塵が除去され、その後、上部キャビティ本体内に設置されているガス入口及びガス入り流路を通過し、スリット60の光入口を通って放電キャビティ10内に戻って動作を継続し、このような方式で循環する。図面における矢印は、作動ガス1の流れ方向である。前記レーザ装置の上部キャビティ本体内のガス入り流路は、即ち、金属フッ化物捕捉装置の排気流路である。
【0004】
レーザ装置の光出射窓50は、スリット60の外側に設置され、両者が隣接し、両者の間には、一定の距離があり、両者の間の中空キャビティとみなすことができ、スリット60には、光の入る開口が設けられている。金属フッ化物捕捉装置で浄化されたガスは、僅かな圧力差で光出射窓50とスリット60の間の中空キャビティへ流れ、スリットを通って放電キャビティ10内に戻り、ガスの流動速度が遅く、詰まりやすい。
【0005】
スリット60は、光の入る開口があるので、光出射窓50は、放電キャビティ10の内部と完全に隔離することができず、放電キャビティ10内の粉塵がスリット60の光出口を通過して光出射窓50とスリット60の間の空間に入りやすく、光出射窓50の内側表面を汚染してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術における少なくとも1つの上述した技術課題を解決するために、レーザ装置の光出射窓防塵構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術課題を解決するために、本発明によるレーザ装置の光出射窓防塵構造は、放電キャビティ本体、ガス浄化器、防塵パイプライン及びファンを備え、前記ガス浄化器は、放電キャビティ本体内の作動ガスに対して浄化処理を行うために用いられ、前記放電キャビティ本体には、光出射窓と、スリットとが設置されており、前記光出射窓とスリットの間には、中間キャビティが設置されており、前記防塵パイプラインは、ガス入口端が前記ガス浄化器に接続され、中間が前記中間キャビティを通過し、ガス出口端がファンに接続され、前記ガス浄化器により浄化された後の少なくとも一部の作動ガスは、防塵パイプラインを通過して前記中間キャビティを流れ、光出射窓の内側に防塵エアカーテンを形成するために用いられ、ひいてはキャビティ本体内からスリット上の窓を通過して中間キャビティ内に入る作動ガスが光出射窓に近づいて光出射窓を汚染することを回避することができる。ファンは、作動ガスをガイドし、中間キャビティを通過するクリーンガス流量を増加させ、クリーンガスによる光出射窓のパージを強化し、キャビティ本体内からスリット上の窓を通過して中間キャビティ内に入る作動ガスの中の粒子状物質が光出射窓に近づいて光出射窓を汚染することを効果的に防止する。
【0008】
また、前記中間キャビティ内の空気圧は、前記放電キャビティ本体内の圧力以下である。
【0009】
また、前記防塵パイプライン内の作動ガスは、前記ファンを通過した後に直接的に又はパイプラインを通過して前記キャビティ本体内に還流(回流)する。
【0010】
なお、ファンが回転し、防塵パイプラインのガス出口端の付近には、一定の負圧を形成することにより、吸引力を形成し、防塵パイプライン内の作動ガスの流動及び流出を促進し、最終的に、作動ガスがファン内のガス流路に入ってからキャビティ本体内に吹き込まれる。
【0011】
また、前記ファンは、クロスフローファンであり、クロスフローファンの両端には、軸盤が設置され、前記防塵パイプラインは、ガス出口端が軸盤に面して設置され、軸盤には、クロスフローファンの中間中空キャビティの内外を連通する貫通孔(又は、スロットと言い)が設置され、防塵パイプラインから排出された作動ガスは、前記貫通孔を通過してクロスフローファンの中間中空キャビティに入る。
【0012】
また、前記貫通孔は、螺旋状で傾斜的に設置され、モータが軸盤を回転駆動する際に、軸盤の外側のガスが貫通孔を通過して前記クロスフローファンの中空キャビティ内に強制的に流入させられるように傾向づけるために用いられる。
【0013】
好ましくは、羽根車(インペラ)は、連結リブ板により中間軸本体に接続され、隣接する2つの連結リブ板の間により前記貫通孔又はスロットを構成する。なお、羽根のような連結リブ板は、螺旋状で又は傾斜的に設置されることにより、回転過程においてガスが外から内へ中空キャビティ内に強制的に流入させられ、さらに負圧により防塵パイプライン内の作動ガスが強制的に流出させられる。
【0014】
なお、前記防塵パイプラインは、前記放電キャビティの側壁又は底板等の内部に配置されているガス流路であっても良いが、当然ながら、放電キャビティの外側に配置されているパイプ本体を用いても良い。
【0015】
また、前記スリットは、本体と、複数のスポイラーとを備え、レーザ出射方向に垂直な投影面においては、スポイラーが左右又は上下に対称的に前記本体に設置されることにより、取り囲むことでレーザ通過用のレーザチャネル(即ち、スリット)を形成し、レーザ出射方向には、左右又は上下の両側のスポイラーが互い違いに設置されている。
【0016】
また、レーザ出射方向においては、前記レーザチャネルの横断面は、徐々に小さくなる。即ち、光出射窓からキャビティ本体の内部への方向においては、前記レーザチャネルは、開口が徐々に大きくなるようなラッパ口形状となっている。
【0017】
また、前記クロスフローファンの両端の軸本体は、軸受を介して前記キャビティ本体に回転可能に設置され、軸本体の前記軸受の外端面に近い外側円には、ネジ構造、歯構造又は羽根構造が設置され、モータが軸本体及び羽根車を回転駆動する際に、ネジ構造、歯構造又は羽根構造は、前記軸受の外側のガスを、前記軸受から離れる方向に強制的に移動させ(大体はクロスフローファンの内部及びキャビティ本体の内部の方向へ移動する)、ひいてはキャビティ本体内の粉塵が軸受に近づいて入ることを防止する。
【0018】
また、前記キャビティ本体には、取り付け穴が設置され、軸本体のネジ構造、歯構造又は羽根構造が取り付け穴内に挿入されて取り付けされ、クロスフローファンが回転すると、ネジ構造、歯構造又は羽根構造と取り付け穴の間には、動的シール構造を形成する。
【0019】
取り付け穴の内壁とネジ構造、歯構造又は羽根構造の間の隙間は、例えば、0.5mm以下と比較的小さい。クロスフローファンが高速回転すると、ネジ構造、歯構造又は羽根構造が回転してサイクロン渦を生成し、ガスが取り付け穴の外側、キャビティ本体の方向へ強制的に流れるようにさせられる。よって、取り付け穴とネジ構造、歯構造又は羽根構造は、互いに結合して良好な動的シール構造を形成し、粉塵が軸受に入ることを防止する。
【0020】
また、前記クロスフローファンの軸盤の外側端面及び軸本体の周方向には、複数の羽根が設置され、モータが前記軸受、軸盤及び羽根を回転駆動する際、羽根は、軸受及び軸本体の付近のガスが前記軸受及び軸本体から離れる方向へ強制的に流れさせられるように傾向づける(即ち、軸受と軸本体の付近には、1つの低圧領域を形成する)。
【0021】
また、前記軸盤の外側の端面においては、貫通孔が前記軸本体と羽根の間に設置され、複数の貫通孔は、軸本体の周方向において間隔を置いて配置されている。
【0022】
また、前記軸盤の外側の端面においては、前記貫通孔と羽根の間には、径方向に突起する環状仕切り板が設置されている。
【0023】
なお、仕切り板は、キャビティ本体の側面にできるだけ近づくことにより、比較的密封する環状キャビティを形成し、前記防塵パイプラインから排出される作動ガスを案内する役割を果たす。
【0024】
また、クロスフローファンは、従来技術であり、カスケードで環状に取り囲んでなる羽根車を備える。羽根車の内部には、中間中空キャビティが設置されている。羽根車の両端には、軸盤及び軸本体が設置されている。
【0025】
本発明は、上述したレーザ装置の光出射窓防塵構造を備えるレーザ装置を更に提供する。
【発明の効果】
【0026】
上述した技術案を採用することにより、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0027】
本発明によるレーザ装置の光出射窓防塵構造は、構造が簡単であり、防塵パイプラインのガス出口端がファンに接続され、防塵パイプラインのガス入口端が前記ガス浄化器に接続され、ガス浄化器により浄化された後の少なくとも一部の作動ガスは、防塵パイプラインを通過して光出射窓とスリットの間の中間キャビティを流れ、浄化処理された後に作動ガスが中間キャビティを流れ、ファンは、作動ガスをガイドし、中間キャビティを通過するガス流量を増加させ、クリーンガスによる光出射窓のパージを強化し、キャビティ本体内からスリット上の窓を通過して中間キャビティ内に入る作動ガスの中の粒子状物質が光出射窓に近づいて光出射窓を汚染することを効果的に防止する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下において説明する図面は、本発明の幾つかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働せずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】従来技術におけるレーザ装置の金属フッ化物捕捉装置の排気流路、レーザ装置の光出射窓及びスリットの模式図である(平面図)。
【
図2】本発明の実施例1によるレーザ装置の光出射窓防塵構造の構造模式図である。
【
図4】実施例1における防塵パイプラインと中間キャビティの構造模式図である。
【
図5】実施例1における光出射窓、中間キャビティ及びスリットの局部構造模式図である。
【
図6】作動ガスがクロスフローファンを通過してキャビティ本体に戻る原理図である。
【
図8】実施例1における、スリットにおいてスポイラーが互い違いに設置されている構造模式図である。
【
図9】実施例1における軸受、軸本体の局部構造模式図である。
【
図10】実施例1における軸本体と軸盤の局部立体模式図である。
【
図11】実施例1における取り付け穴の局部拡大模式図である。
【
図12】実施例2において独立したファンを外側に設置する時の原理図である。
【
図13】実施例2において作動ガスがガス浄化器に還流する時の動作原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の技術案をより明確且つ完全に説明する。明らかに、記載されている実施形態は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、全ての実施形態ではない。本発明の実施形態を基に、当業者は、創造的な労働をせずに得られた全ての実施形態が何れも本発明の保護範囲に属する。
【0030】
なお、本発明の記載においては、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」という専門用語が示している向き又は位置関係は、図面に示された向き又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明するためまたは説明を簡略化するためのものに過ぎず、言及した装置又は素子が特定の向き、構造及び操作を有する必要があることを示唆又は暗示するものではないので、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。また、「第一」、「第二」、「第三」という技術用語は、説明の目的だけに使用されるが、相対的な重要性を示したり暗示したりするものとして解釈されるべきではない。
【0031】
本発明の説明においては、他に明確な規定及び制限がない限り、「取り付ける」、「互いに接続する」、「接続する」という専門用語は、広い意味で理解されるべきであることに留意されたい。例えば、固定して接続しても良く、取り外し可能な接続であっても良く、一体的に接続しても良く、機械的に接続しても良く、電気的に接続しても良く、直接に接続しても良く、中間媒体を介して間接的に接続しても良く、2つの素子の内部の連通であっても良い。当業者にとっては、具体的な状況により、本発明における上述した専門用語の具体的な意味を理解することができる。
【0032】
以下、具体的な実施形態を用いて本発明を更に解釈し、説明する。
【0033】
<実施例1>
図2~
図5に示すように、本実施例によるレーザ装置の光出射窓防塵構造は、放電キャビティ本体10、ガス浄化器20、防塵パイプライン11及びクロスフローファン30を備える。ガス浄化器20は、放電キャビティ本体10内の作動ガス1に対して浄化処理を行うために用いられる。放電キャビティ本体10上且つレーザ出力側には、光出射窓50及びスリット60が設置されている。光出射窓50とスリット60の間には、中間キャビティ12が設置されている。防塵パイプライン11のガス入口端は、ガス浄化器20に接続され、中間が中間キャビティ12を通過する。防塵パイプライン11のガス出口端11aは、クロスフローファン30に接続されている。ガス浄化器20により浄化された後の少なくとも一部の作動ガス1は、防塵パイプライン11を通って中間キャビティ12を流れ、光出射窓50の内側に防塵エアカーテンを形成するために用いられ、ひいてはキャビティ10からスリット60の窓を通って中間キャビティ12に入る作動ガス1が光出射窓50に近づいて光出射窓50を汚染することを回避する。クロスフローファン30は、作動ガスをガイドする役割を果たし、中間キャビティ12を通過するクリーンガス流量を増加させ、クリーンガスによる光出射窓50のパージを強化し、光出射窓50の浄化を強化し、キャビティ本体10内からスリット60上の窓を通過して中間キャビティ12内に入る作動ガスの中の粒子状物質が光出射窓50に近づいて光出射窓50を汚染することを効果的に防止する。
【0034】
図2に示すように、キャビティ本体10は、上部キャビティ本体10a及び下部キャビティ本体10bを備える。クロスフローファン30及びそのモータ40は、下部キャビティ本体10bに配置されるが、ガス浄化器20は、上部キャビティ本体10aに固定して設置されている。
【0035】
好ましくは、中間キャビティ12内の空気圧は、放電キャビティ本体10内の圧力以下である。動作中、クロスフローファン30等のファンの吸引力を利用し、防塵パイプライン11により中間キャビティ12において設定圧力が維持される。なお、当該設定圧力は、放電キャビティ本体10内の圧力以下であり、少量の粒子状物質が中間キャビティ12内に入ったとしても、防塵パイプライン11内のガスに持って行かれ、光出射窓50を汚染することがない。スリット60の両側の圧力差が大幅に下がり、従来技術における、ビーム品質に対する比較的大きな圧力勾配の影響が大幅に低減される。
【0036】
図5及び
図6に示すように、防塵パイプライン11内の作動ガス1は、ファンを通過した後に直接的に又はパイプラインを通過して前記キャビティ本体10内に還流する。なお、ファンが回転し、防塵パイプライン11のガス出口端11aの付近には、一定の負圧を形成することにより、吸引力を形成し、防塵パイプライン11内の作動ガス1の流動及び流出を促進し、最終的に、作動ガス1がファン内のガス流路に入ってからキャビティ本体10内に吹き込まれる。
【0037】
具体的には、クロスフローファン30の羽根車31の両端には、軸盤33が設置されている。軸盤33は、軸本体32に固定して接続されている。防塵パイプライン11のガス出口端11aは、軸盤33に面して設置されている。軸盤33には、クロスフローファン30の中間中空キャビティの内外を連通する貫通孔36(又は、スロットと言い)が設置されている。防塵パイプライン11から排出された作動ガス1は、貫通孔36を通過してクロスフローファン30の中間中空キャビティに入る。
【0038】
好ましくは、貫通孔36は、螺旋状で傾斜的に設置され、モータ40が軸盤33を回転駆動する際に、軸盤33の外側のガスが貫通孔36を通過してクロスフローファン30の中空キャビティ内に強制的に流入させられるように傾向づけるために用いられる。
【0039】
好ましくは、クロスフローファン30の羽根車31は、連結リブ板により中間軸本体32に接続され、隣接する2つの連結リブ板の間により貫通孔36又はスロットを構成する。なお、羽根のような連結リブ板は、螺旋状で又は傾斜的に設置されていることにより、回転過程においてガスが外から内へ中空キャビティ内に強制的に流入させられ、さらに負圧により防塵パイプライン11内の作動ガス1が強制的に流出させられる。
【0040】
なお、防塵パイプライン11は、前記放電キャビティの側壁又は底板等の内部に配置されているガス流路であっても良いが、当然ながら、放電キャビティの外側に配置されているパイプ本体を用いても良い。
【0041】
図7及び
図8に示すように、スリット60は、本体63と、複数のスポイラー61とを備え、レーザ出射方向に垂直な投影面においては、スポイラー61が左右又は上下に対称的に本体63に設置されることにより、取り囲むことでレーザ通過用のレーザチャネル62(即ち、スリット60)を形成し、レーザ出射方向には、左右又は上下の両側のスポイラー61が互い違いに設置されている。レーザ出射方向においては、レーザチャネル62の横断面は、徐々に小さくなる。即ち、光出射窓50からキャビティ10本体の内部への方向においては、レーザチャネル62は、開口が徐々に大きくなるようなラッパ口形状となっている。
【0042】
本発明は、スリットの構造を改良し、スリットのスポイラー61を、左右又は上下の両側に対称的に配列して設置することから左右又は上下の両側に互い違いに配列して設置することに変更する。よって、スポイラー61の間隔を効果的に減少し、キャビティ本体10内の粉塵が中間キャビティ12に入る抵抗力が効果的に増加し、即ち、粉塵が中間キャビティ12に入る数を効果的に減少する。
【0043】
図9~
図10に示すように、クロスフローファン30の羽根車31の両端の軸本体32は、軸受13によりキャビティ本体10に回転可能に設置されている。軸本体32の軸受13の外端面に近い外側円には、ネジ構造34が設置されている。モータ40が軸本体32、軸盤33及びクロスフローファン30を回転駆動する際に、ネジ構造34は、軸受13の外側のガスを、軸受13から離れる方向に強制的に移動させ(大体はクロスフローファン30の内部及びキャビティ本体10の内部の方向へ移動する)、ひいてはキャビティ本体10内の粉塵が軸受13に近づいて入ることを防止する。
【0044】
図11に示すように、キャビティ本体10の側壁には、取り付け穴14が設置されている。軸体32のネジ構造34は、取り付け穴14内に挿入されて取り付けされている。クロスフローファン30が回転すると、ネジ構造34と取り付け穴14の間には、動的シール構造を形成する。
【0045】
取り付け穴14の内壁とネジ構造34の間の隙間は、例えば、0.5mm以下と比較的小さい。クロスフローファン30が高速回転すると、ネジ構造34が回転してサイクロン渦を生成し、ガスが取り付け穴14の外側、キャビティ本体10の方向へ強制的に流れさせられる。よって、取り付け穴14とネジ構造34は、互いに結合して良好な動的シール構造を形成し、粉塵が軸受13に入ることを防止する。
【0046】
図10に示すように、クロスフローファン30の軸盤33の外側端面及び軸本体32の円周方向には、複数の羽根35が設置されている。モータ40が軸受13、軸盤33及び羽根35を駆動回転すると、羽根35は、軸受13及び軸本体32の付近のガスが軸受13及び軸本体32から離れる方向へ強制的に流れさせられるように傾向づける(即ち、軸受13と軸本体32の付近には、1つの低圧領域を形成する)。
【0047】
また、軸盤33の外側端面においては、貫通孔36が軸本体32と羽根35の間に設置されている。複数の貫通孔36は、軸本体32の円周方向に間隔を置いて設置されている。軸盤33の外側端面においては、貫通孔36と羽根35の間には、径方向に突起する環状の仕切り板37が設置されている。より好ましくは、キャビティ本体10の側面には、環状溝が設置されている。仕切り板37は、環状溝内に回転可能に挿入されて取り付けされている。仕切り板37と環状溝の間には、動的シール構造が設置されている。
【0048】
また、
図3及び
図4に示すように、クロスフローファン30は、下部キャビティ本体10bに設置されても良く、
図5(水平断面図)に示すように、クロスフローファン30は、上部キャビティ本体10aに設置されても良い。
【0049】
<実施例2>
本実施例と実施例1は、構造がほぼ同じであり、異なるところは、次の通りである。
【0050】
図12に示すように、ファンは、外部ファン30aである。防塵パイプライン11は、キャビティ本体10の外に設置されている搬送管である。搬送管は、中間キャビティ12及び外部ファン30aと順に直列に接続されている。外部ファン30aのガス出口は、パイプ本体によりキャビティ本体10に接続され、作動ガスをキャビティ本体10にガイドするために用いられる。防塵パイプライン11は、ガス分岐通路であっても良く、一部の浄化された後の作動ガスだけを中間キャビティ12にガイドし、光出射窓50を防塵するために用いられる。
【0051】
図13に示すように、本実施例のもう1つの実施形態においては、外部ファン30aのガス出口は、パイプ本体11bによりガス浄化器20のガス入口に接続され、中間キャビティ12で防塵に使用された作動ガスを、最終的にガス浄化器20に戻すために用いられる。
【0052】
本発明によるレーザ装置の光出射窓防塵構造は、構造が簡単であり、光出射窓50とスリット60との間には、中間キャビティ12を設置することにより、浄化処理された後に作動ガス1が中間キャビティ12を流れ、光出射窓50の内側にエア壁又はエアカーテンを形成する。よって、キャビティ本体10内の粒子状物質が光出射窓50を汚染することを効果的に防止する。
【0053】
クロスフローファン30は、作動ガスをガイドする役割を果たし、中間キャビティ12を通過するクリーンガス流量を増加させ、クリーンガスによる光出射窓50のパージを強化し、光出射窓50の浄化を強化し、キャビティ本体10内からスリット60上の窓を通過して中間キャビティ12内に入る作動ガスの中の粒子状物質が光出射窓50に近づいて光出射窓50を汚染することを効果的に防止する。
【0054】
<実施例3>
本発明は、レーザ装置を更に提供する。
図14の模式図に示すように、レーザ装置は、放電キャビティ本体10、クロスフローファン30、光出射窓50を備え、相対的に設置されている2つの放電電極70等及び上述した実施例1又は2の光出射窓の防塵構造(図示せず)を更に備える。
【0055】
本実施例のレーザ装置は、その光出射窓50が汚染されにくく、使用寿命が長い。
【0056】
最後に、上述した各実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ用いられ、本発明を限定するものではないことに留意されたい。上述した各実施形態を参照しながら、本発明を詳しく説明した。当業者は、上述した各実施例に記載の技術案を修正することができ、或いは、一部又は全部の技術特徴に対して等価に置き換えることができるが、これらの修正又は置き換えは、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0057】
1 作動ガス
10 キャビティ本体
10a 上部キャビティ本体
10b 下部キャビティ本体
11 防塵パイプライン
11a ガス出口端
11b パイプ本体
12 中間キャビティ
13 軸受
14 取り付け穴
20 ガス浄化器
30 クロスフローファン
31 羽根車
32 軸本体
33 軸盤
34 ネジ構造
35 羽根
36 貫通孔
37 仕切り板
40 モータ
50 光出射窓
60 スリット
61 スポイラー
62 レーザチャンネル
63 本体
【国際調査報告】