(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】熱的に安定なカメラマウント
(51)【国際特許分類】
A61B 90/25 20160101AFI20241008BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20241008BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20241008BHJP
【FI】
A61B90/25
A61B6/00 570
A61B6/00 590Z
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516606
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022076137
(87)【国際公開番号】W WO2023046703
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】デ ボア ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ケンプ マルコ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA25
4C093EC16
4C093EE30
(57)【要約】
本発明は、医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントに関する。より少ない較正又は補正を必要とする改良されたマウントを提供するために、マウントは、支持体に本体構造を取り付けるように構成された中心点を設けられた本体構造と、保持部分において本体構造にスライド可能に取り付けられ、保持部分が中心に対して変位される、少なくとも2つのカメラサスペンションと、少なくとも2つのカメラサスペンションの各々のための固定装置とを有する。固定装置の各々は、第1の端部でそれぞれのカメラサスペンションに取り付けられ、第2の端部で固定部を用いて本体構造に取り付けられる長手方向保持要素を有する。長手方向保持要素は、少なくとも保持部分から中心点に向かって第1の端部から第2の端部まで延在する。長手方向保持要素は、熱膨張による本体構造の寸法の変化に対して長さ補償を提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントであって、前記マウントが、
本体構造であって、前記本体構造を支持体に取り付けるように構成される中心点を設けられた前記本体構造と、
保持部分において前記本体構造にスライド可能に取り付けられ、前記保持部分が前記中心点に対して変位される、少なくとも2つのカメラサスペンションと、
前記少なくとも2つのカメラサスペンションの各々のための固定装置と、
を有し、
前記固定装置の各々は、第1の端部でそれぞれの前記カメラサスペンションに取り付けられ、第2の端部で固定部を用いて前記本体構造に取り付けられる長手方向保持要素を有し、
前記長手方向保持要素は、前記第1の端部から前記第2の端部まで、少なくとも前記保持部分から前記中心点に向かって延在し、
前記長手方向保持要素は、熱膨張による前記本体構造の寸法の変化に対する長さ補償を提供するように構成される、
マウント。
【請求項2】
前記長手方向保持要素の少なくとも1つは、前記中心点を横切って延在し、
前記長手方向保持要素の前記固定部は、それぞれの前記カメラサスペンションに対して前記中心点を越えて前記本体構造に取り付けられる、
請求項1に記載のマウント。
【請求項3】
上昇する温度とともに、前記長手方向保持要素は、その第1の端部において、前記第2の端部に対するその延在の第1の方向に膨張し、
前記固定部によって、前記第2の端部は、前記中心点から離れる第2の方向に膨張する前記本体構造の一部に固定して取り付けられ、前記第1及び前記第2の方向は、前記第2の方向における前記本体構造の膨張が前記第1の方向における前記長手方向の保持要素の膨張を少なくとも部分的に補償するように、互いに反対である、
請求項1又は2に記載のマウント。
【請求項4】
前記長手方向保持要素は、前記固定部が前記中心点までの第1の距離で配置され、前記カメラサスペンションが前記中心点までの第2の距離で配置されるように配置され、
前記第1の距離と前記第2の距離との比は、前記本体構造の熱膨張と前記長手方向保持要素の熱膨張との比に基づく、
請求項1、2又は3に記載のマウント。
【請求項5】
前記長手方向保持要素は、前記本体構造の中心点に対する前記保持部分よりも、前記中心点に対する前記カメラサスペンションのより安定した相対位置を提供する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項6】
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記長手方向保持要素が、前記中心点と前記カメラサスペンションとの間の前記本体構造よりも小さい熱膨張を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項7】
前記長手方向保持要素が、前記本体構造よりも小さい熱膨張を有する材料から作製される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項8】
取り付け装置が、前記取り付け装置を支持装置に取り付けるために、前記中心点に設けられる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項9】
2つのカメラサスペンションが、前記本体構造によって提供されるビーム状構造の2つの端部に配置されて設けられ、前記2つの端部は、前記2つの端部の間に前記中心点を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項10】
前記本体構造は、前記2つの端部の間に前記中心点を有する4つのビーム端部を提供する交差するように設けられた2つのビームを有し、
4つのカメラサスペンションが、設けられ、前記4つの端部の各々に1つずつ配置される、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のマウントと、
複数のカメラと、
を有するカメラ装置において、
前記カメラサスペンションの各々は、前記複数のカメラのうちの1つを保持する、
カメラ装置。
【請求項12】
前記マウントの前記本体構造が懸架される支持体が設けられる、請求項11に記載のカメラ装置。
【請求項13】
対象の関心領域から非可視画像データを取得するように構成された医用撮像装置と、
前記対象の前記関心領域から可視画像データを取得するように構成される、請求項11又は12に記載のカメラ装置と、
前記医用撮像装置及び前記カメラ装置によって可視である一組のマーカと、
を有する医用撮像システムにおいて、
前記撮像システムは、前記マーカに基づいて前記医用撮像装置の画像データと可視画像の位置合わせを提供するように構成される、
医用撮像システム。
【請求項14】
前記一組のマーカは、
対象位置合わせのための皮膚マーカと、
針又は穿孔位置追跡のような手術装置の動作パラメータを追跡するための装置マーカと、
正確な配置及び自動化された移動のためのロボット動作の追跡及び較正のためのロボットマーカと、
のグループのうちの少なくとも1つを有する、請求項13に記載の医用撮像システム。
【請求項15】
医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントを提供するステップであって、前記マウントは、本体構造であって、支持体に前記本体構造を取り付けるために構成された中心点を有する前記本体構造と、保持部分において前記本体構造にスライド可能に取り付けられ、前記保持部分が前記中心点に対して変位される、少なくとも2つのカメラサスペンションと、前記少なくとも2つのカメラサスペンションの各々のための固定装置とを有し、前記固定装置の各々は、第1の端部においてそれぞれの前記カメラサスペンションに取り付けられ、第2の端部において固定部を用いて前記本体構造に取り付けられる、長手方向保持要素を有し、前記長手方向保持要素は、前記第1の端部から前記第2の端部まで、少なくとも前記保持部分から前記中心点に向かって延在する、ステップと、
第1の方向における増加する熱負荷によって前記本体構造を熱膨張させるステップと、
熱膨張による前記本体構造の寸法の変化に対して前記長手方向保持要素によって長さ補償を提供するステップと、
を有するカメラを保持するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを取り付けることに関し、特に、医療用ナビゲーションセットアップのカメラ配置用のマウント、カメラ装置、医用撮像システム、及びカメラを保持するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学的介入のために、ナビゲーション情報は、医用撮像によって提供されることができる。更なるナビゲーションサポートは、例えば、患者及び手術ツール上の視覚的マーカを位置合わせすることによって、ツール及び対象の相対位置を検出することによって提供されることができる。空間配置を決定するために、光学カメラ、例えば、いわゆるスマートビジョンボックス(SVB)内に配置された2つ以上のカメラが、使用されることができる。正確な位置合わせのためには、ツール及び対象に対するカメラの空間的位置が可能な限り安定していることが、非常に重要である。しかしながら、動作中に、カメラの位置の幾何学的変化が生じることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、カメラの空間的位置に関して、より少ない較正又は補正努力を必要とする改善されたカメラマウントが必要とされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。以下に説明する本発明の態様は、医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置用のマウント、カメラ装置、医用撮像システム、及びカメラを保持する方法にも適用されることに留意されたい。
【0005】
本発明によれば、医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントが、提供される。マウントは、本体構造を支持体に取り付けるように構成された中心点を設けられた本体構造を有する。マウントは、また、保持部分において本体構造にスライド可能に取り付けられた少なくとも2つのカメラサスペンションを有し、保持部分は、中心点に対して変位される。マウントは、少なくとも2つのカメラサスペンションの各々のための固定装置を更に有する。固定装置の各々は、第1の端部でそれぞれのカメラサスペンションに取り付けられ、第2の端部で固定部を用いて本体構造に取り付けられる、長手方向保持要素を有する。長手方向保持要素は、少なくとも保持部分から中心点に向かって第1の端部から第2の端部まで延在する。長手方向保持要素は、熱膨張による本体構造の寸法の変化に対して長さ補償を提供するように構成される。
【0006】
効果として、より安定したカメラ位置が達成されるカメラマウントが、提供される。特に、カメラ位置の変化は、動作中の熱効果によって生じ得るという洞察があった。したがって、そのような熱効果の補償が、ここで提供される。
【0007】
特に、受動的な解決策として記述されることができる熱補償された設計が提供され、これは、各カメラを安定した位置に保つために能動素子が必要とされないことを意味する。これは、この解決策を非常に信頼性が高く、費用効率が高いものにし、追加の補償技術は、必要とされず、これは、また、カメラを介した位置合わせのみが必要とされるコンパクトな設計をもたらす。
【0008】
これは、外科医又は操作者が、処置中、安定化時間を必要とすることなく、スマートビジョンボックスSVBとしても知られるカメラセットアップ又はカメラシステムを直接使用することができることを可能にする。可能な精度は、他の医療装置又は補助ロボットと組み合わせても、正確な処置を実行するのに非常に高い。
【0009】
一例によれば、長手方向保持要素のうちの少なくとも1つは、中心点を横切って延在する。長手方向保持要素の固定は、それぞれのカメラサスペンションに対して中心点を越えて本体構造に取り付けられる。
【0010】
一例によれば、温度が上昇するにつれて、長手方向保持要素は、その第1の端部において、第2の端部に対するその延在の第1の方向に膨張する。固定により、第2の端部は、中心点から離れる第2の方向に膨張する本体構造の一部に固定して取り付けられる。第1及び第2の方向は、第2の方向における本体構造の膨張が第1の方向における長手方向保持要素の膨張を少なくとも部分的に補償するように、互いに反対である。
【0011】
一例によれば、長手方向保持要素は、固定部が中心点まで第1の距離で配置され、カメラサスペンションが中心点まで第2の距離で配置されるように配置される。第1の距離と第2の距離との比は、本体構造の熱膨張と長手方向保持要素の熱膨張との比に基づく。
【0012】
一例によれば、長手方向保持要素は、本体構造の中心点に対する保持部分よりも中心点に対するカメラサスペンションのより安定した相対位置を提供する。
【0013】
一例によれば、長手方向保持要素は、本体構造よりも小さい熱膨張を有する材料から作製される。
【0014】
オプションでは、長手方向保持要素は、ニッケル-鉄合金から作製され、本体構造は、アルミニウムから作製される。
【0015】
一例によれば、2つのカメラサスペンションが、本体構造によって提供されるビーム状構造の2つの端部に配置されて設けられ、2つの端部は、2つの端部の間に中心点を有する。
【0016】
一例によれば、本体構造は、2つの端部の間に中心点を有する4つのビーム端部を提供する交差方式で提供される2つのビームを有する。4つのカメラサスペンションが、設けられ、4つの端部の各々に1つずつ配置される。
【0017】
本発明によれば、カメラ装置も、提供される。カメラ装置は、前述の実施例のうちの1つによるマウントを有する。カメラ装置は、また、複数のカメラを有する。カメラサスペンションの各々は、複数のカメラのうちの1つを保持している。
【0018】
本発明によれば、医用撮像システムも、提供される。医用撮像システムは、対象の関心領域から非可視画像データを取得するように構成された医用撮像装置を有する。医用撮像システムは、また、対象の関心領域から可視画像データを取得するように構成された、前述の例のうちの1つによるカメラ装置を有する。更に、医用撮像システムは、医用撮像装置及びカメラ装置によって可視であるマーカのセットを有する。撮像システムは、マーカに基づいて、医用撮像装置の画像データと可視画像の位置合わせを提供するように構成される。
【0019】
一例によれば、マーカのセットは、対象位置合わせのための皮膚マーカと、針又は穿孔位置追跡のような手術装置の動作パラメータを追跡するための装置マーカと、正確な配置及び自動化された動きのためのロボット動作の追跡及び較正のためのロボットマーカとのグループのうちの少なくとも1つを有する。
【0020】
本発明によれば、カメラを保持する方法も、提供される。本方法は、以下のステップを有する。第1のステップにおいて、医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントが、提供される。マウントは、本体構造を支持体に取り付けるように構成された中心点を設けられた本体構造を有する。マウントは、また、保持部分において本体構造にスライド可能に取り付けられた少なくとも2つのカメラサスペンションを有し、保持部分は、中心点に対して、すなわち、中心点に対する距離で、変位される。マウントは、少なくとも2つのカメラサスペンションの各々のための固定装置を更に有する。固定装置の各々は、第1の端部でそれぞれのカメラサスペンションに取り付けられ、第2の端部で固定部を用いて本体構造に取り付けられる、長手方向保持要素を有する。長手方向保持要素は、第1の端部から第2の端部まで、少なくとも保持部分から中心点に向かって、延在する。第2のステップでは、本体構造が、熱負荷の増加により第1の方向に熱膨張している。第3のステップにおいて、長さ補償は、熱膨張による本体構造の寸法の変化に対して長手方向保持要素によって提供される。
【0021】
一態様によれば、熱補償は、異なる特定の熱膨張数を有する選択された材料を用いて反対方向に提供される。一例では、インバー(Invar)(Imphy Alloysの商標)のバー/ロッド及びアルミニウムのハウジング(クロスホルダ)が、提供される。
【0022】
一態様によれば、この解決策は、反対方向の熱膨張に基づき、広い温度範囲において非常に正確なカメラ位置を有するように微調整されることができる。これは、また、必要とされる安定化時間を回避する。直接的なシステムの使用が、可能であり、直接的な必要性が必要とされる場合に非常に有用である。
【0023】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【0024】
本発明の例示的な実施形態は、以下の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントの一例を概略的に示す。
【
図2】医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントの更なる例を概略的に示す。
【
図3】カメラを保持する方法の一例のステップを示す。
【
図9】可動支持アームに取り付けられたカメラ装置の上方からの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、特定の実施形態が、添付の図面を参照して、より詳細に説明される。以下の説明では、同様の図面参照番号が、異なる図面においても、同様の要素に対して使用される。詳細な構成及び要素のような、本明細書で規定される事項は、例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供される。また、周知の機能又は構成は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にするので、詳細には説明されない。更に、「のうちの少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行する場合、要素のリスト全体を修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0027】
図1は、医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウント10の一例を概略的に示す。マウント10は、本体構造12を支持体に取り付けるように構成された中心点14を設けられた本体構造12を有する(
図9も参照)。マウント10は、また、保持部分18において本体構造12にスライド可能に取り付けられる少なくとも2つのカメラサスペンション16を有する。スライドの可能性は、二重矢印で示される。保持部分18は、中心点14に対して、例えば距離L4だけ変位される。マウント10は、少なくとも2つのカメラサスペンション16の各々のための固定装置20を更に有する。固定装置20の各々は、第1の端部24及び第2の端部26を有する長手方向保持要素22を有する。長手方向保持要素22は、第1の端部24においてそれぞれのカメラサスペンション16に取り付けられ、第2の端部26において固定部28を用いて本体構造12に取り付けられる。長手方向保持要素22は、第1の端部24から第2の端部26まで、少なくとも保持部分18から中心点14に向かって長さL3で、延在する。長手方向保持要素22は、熱膨張による本体構造12の寸法の変化に対して長さ補償を提供するように構成される。熱膨張は、左の長手方向保持要素22に対して矢印T1で示され、右の長手方向保持要素22に対してT2で示される。より良い説明のために、カメラ30は、破線で示されている。
【0028】
第1のオプションでは、長さ補償が、それぞれのカメラサスペンション16に関して中心点14を越えて本体構造12に取り付けられた長手方向保持要素22の固定28によって、中心点14を横切って延在する長手方向保持要素22によって提供される。
【0029】
第2のオプションでは、カメラ配置の長さ補償が、中心点14とカメラサスペンション16との間の本体構造12よりも小さい熱膨張を有する第1の端部24と第2の端部26との間の長手方向保持要素22によって提供される。
【0030】
変形例では、第1のオプションと第2のオプションとが、組み合わされる。
【0031】
図1は、長手方向保持要素22が、第1の端部24から第2の端部26まで、保持部分18から中心点14に向かって、距離L4未満である長さL3だけ延在する、オプションを示す。
【0032】
図2は、長手方向保持要素22が、第1の端部24から第2の端部26まで、保持部分18から中心点14に向かって、距離L4よりも大きい長さL3だけ延在する、別のオプションを示す。
【0033】
図示されていない更なるオプションでは、長手方向保持要素22が、距離L4に等しい長さL3を有する。
【0034】
結果として、熱的に安定した設計が、提供され、したがって、安定した位置にカメラを提供する。この解決策は、カメラのサスペンションにおける熱的補償によって安定化が達成される受動的解決策と称されることができる。
【0035】
図に示された例は、中心点14に関して対称的なセットアップを示す。セットアップが中心点14に関して非対称である他の例が提供されることに留意されたい。例えば、図に示される例は、少なくとも2つのカメラサスペンション16について同じ長さL3及び同じ距離L4を示す。更なる例では、長さL3が変化してもよく、すなわち、異なっていてもよく、一方で距離L4が同じである。他の例では、長さL3は同じであるが、距離L4は変化してもよい。更に別の例では、長さL3が変化し、距離L4も変化する。
【0036】
用語「マウント10」は、一組のカメラを保持するために設けられた構造に関する。マウント10は、マウント装置又はマウント構成と称されることもできる。
【0037】
用語「本体構造12」は、負荷を担持し、カメラ30のしっかりとした保持を保証するための支持構造に関する。本体構造12は、本体又は取り付け構造又は支持構造と称されることもできる。
【0038】
用語「カメラサスペンション16」は、カメラを取り付けるためのマウント、例えば、レセプションに関する。カメラサスペンション16は、カメラ保持装置とも称されることができる。カメラサスペンション16は、カメラホルダ又はカメラマウントとも称されることができる。
【0039】
用語「固定装置20」は、本体構造12に対してカメラサスペンション16をしっかりと固定する構成に関する。
【0040】
用語「長手方向保持要素22」は、本体構造上のカメラサスペンション16のスライド移動に関して、カメラサスペンション16を(使用時に取り付けられたカメラ30と共に)保持することができる細長い構造部分に関する。長手方向保持要素22は、また、保持バー又は保持ロッドと称されることができる。長手方向保持要素22は、熱補償バー又は熱補償ロッドとも称されることができる。長手方向保持要素22は、第1の端部24と第2の端部26との間で長さ方向に自由に延在するように構成される。一例では、長手方向保持要素22が、長さ方向にスライド可能に又は柔軟にガイドされる。
【0041】
用語「固定28」は、長手方向保持要素22の本体構造12へのしっかりとした接続に関する。
【0042】
「中心点14」は、ニュートラル点、中心基準点、又は熱的0(ゼロ)中心点とも称されることができる。
【0043】
一例では、少なくとも2つのカメラサスペンション16が、中心点までの距離L4で配置される。
【0044】
提案された熱的補償設計(受動型解決策)は、追加の能動部品がコストを増加させ、追加の測定技術及び補償技術と共に能動補償技術が必要とされるので、熱偏差を補償するための能動素子の使用を回避する。これは、提案された解決策では必要とされず、信頼性は、より良くなり、見た目及び感触に関する設計の最適化は、より良くなる。
【0045】
図2に示される一例では、長手方向保持要素22の少なくとも1つは、中心点14を横切って延在し、長手方向保持要素22の固定部28は、それぞれのカメラサスペンション16に関して中心点14を越えて、すなわち、第1の端部24から見たときに「超えて」、本体構造12に取り付けられる。したがって、固定部28は、長手方向保持要素22が中心点22を横切って広がるように設けられる。
【0046】
一例では、温度が上昇すると、長手方向保持要素22は、その第1の端部24において、第2の端部26に対するその延在方向の第1の方向に膨張する。固定部28によって、第2の端部26は、中心点14から離れる第2の方向に膨張する本体構造12の一部に固定して取り付けられる。第1及び第2の方向は、第2の方向における本体構造12の膨張が第1の方向における長手方向保持要素22の膨張を少なくとも部分的に補償するように、互いに反対である。
【0047】
図2において、長手方向保持要素22の熱膨張の第1の方向は、左のスライド式カメラサスペンション16について第1の矢印T3で示され、本体構造12の熱膨張の第2の方向は、固定して取り付けられた固定具28について第2の矢印T5で示される。第3の矢印T6は、本体構造12の熱膨張を示す。しかしながら、カメラサスペンション16のスライドマウントにより、この第3の熱膨張T6は、カメラ30の位置に直接的な影響を持たない。
【0048】
結果として、カメラサスペンション16によって保持されているカメラ30は、カメラサスペンション16が、膨張する本体構造12に対してスライドするので、中心点14に対してその位置を維持することができ、一方、長手方向保持要素の膨張は、本体構造の一部が、中心点の他方の側に配置され、したがって反対方向に膨張することによって、(少なくとも部分的に)補償される。
【0049】
オプションとして
図2にも示される一例では、長手方向保持要素22は、固定部28が中心点14に対して第1の距離L1で配置され、カメラサスペンション16が中心点14に対して第2の距離L2で配置されるように、配置される。第1の距離L1と第2の距離L2との比は、本体構造12の熱膨張と長手方向保持要素22の熱膨張との比に基づく。
【0050】
一例では、長手方向保持要素22が、本体構造12よりも小さい熱膨張を有する材料から作製される。例えば、長手方向保持要素22は、インバーなどのニックル-鉄合金から作製され、本体構造12は、アルミニウム(Al)から作製される。アルミニウムとインバーの膨張比/差は、約12倍である。熱的に安定な設計のためには、ΔL1=ΔL2が必要とされ、その結果、L1=(L1+L2)/12となる。これら及び他の例では、L1及びL2が、バー/ロッドの固定点の正確なシフトのために、異なる材料及び構造に調整されることができる。
【0051】
他の材料の組み合わせでは、比は異なり、最適化されることができ、これは、熱性能、コスト、及び製造技術に関して必要とされることができる。各カメラホルダは、熱的「0」位置に関連する安定位置を有するように、カメラクロスハウジングに対して直線方向にシフト/移動することができる。
【0052】
一例では、長手方向保持要素22が、本体構造12に対する保持部分18よりも、中心点14に対するカメラサスペンション16のより安定した相対位置を提供する。
【0053】
別の例では、第1の端部24と第2の端部26との間の長手方向保持要素22が、中心点14とカメラサスペンション16との間の本体構造12よりも小さい熱膨張を有する。
【0054】
オプションでは、2つのカメラサスペンション16が、本体構造12によって提供されるビーム状構造32の2つの端部に配置されて設けられ、2つの端部は、2つの端部の間に中心点14を有する。
【0055】
オプションとして、細長いハウジング要素(以下の
図4参照)が、提供される。
【0056】
一例では、各カメラ30が、細長いハウジング要素の端部にスライド可能に配置され、ハウジング要素の内側に配置されたバー/ロッド上に固定され、バー/ロッドは、ハウジング要素よりも熱膨張性が低く、ハウジング要素内で熱的に最適化された点でハウジング要素に固定される。
【0057】
一例では、長手方向保持要素22が、本体構造12よりも小さい熱膨張を有する材料から作製される。
【0058】
オプションでは、長手方向保持要素は、ニッケル-鉄合金から作製され、本体構造は、アルミニウムから作製される。材料の選択は、製造技術、総重量及びコストに依存することに留意されたい。一例では、長手方向保持要素は、インバーから作られる。異なる材料が、熱伝達、安定性又は製造上の理由から選択されることができる。
【0059】
一例(
図8及び
図9も参照)では、マウント装置34が、マウント10を支持装置に取り付けるために中央点14に設けられている。
【0060】
オプションとして
図1及び
図2にも示される更なる例では、前述の例のうちの1つによるマウント10の一例と、複数のカメラ30とを有するカメラ装置100が、提供される。カメラサスペンション16の各々は、複数のカメラ30のうちの1つを保持している。
【0061】
カメラ装置100は、例えば、モバイルCアームX線撮像に基づく脊椎又は他の整形外科手術中のナビゲーションのために、モバイル手術に使用されるナビゲーション技術の一部として使用されることができる。
【0062】
また、ロボットと組み合わせてこれらの装置も使用される他の用途も提供される。例示的な分野は、泌尿器科、腎臓又は肺構造である。
【0063】
カメラ装置100は、手術装置又はロボットの位置合わせのために使用されることもでき、これを患者位置合わせと組み合わせることができる。したがって、改善された精度及び性能のより良好な結果並びに改善されたワークフローが、提供される。
【0064】
一例では、カメラが、熱膨張性材料で作られた中空の細長いハウジング要素を有するハウジング内に埋め込まれる。
【0065】
カメラ装置100の一例では、マウントの本体構造12が吊り下げられる支持体が、設けられる。支持体は、支持体構成と称されることもできる。
【0066】
図3は、カメラを保持するための方法300の一例のステップを示す。方法300は、以下のステップを含む。
【0067】
第1のステップ302において、医療ナビゲーションセットアップのカメラ配置のためのマウントが提供される。マウントは、本体構造を支持体に取り付けるように構成された中心点を設けられた本体構造を有する。マウントは、また、保持部分において本体構造にスライド可能に取り付けられた少なくとも2つのカメラサスペンションを有し、保持部分は、中心点に対して変位される。マウントは、少なくとも2つのカメラサスペンションの各々のための固定装置を更に有する。固定装置の各々は、第1の端部でそれぞれのカメラサスペンションに取り付けられ、第2の端部で固定部を用いて本体構造に取り付けられる、長手方向保持要素を有する。長手方向保持要素は、少なくとも保持部分から中心点に向かって第1の端部から第2の端部まで延在する。
【0068】
第2のステップ304において、本体構造は、第1の方向における熱負荷の増加に起因して熱膨張している。
【0069】
第3のステップ306において、長さ補償は、熱膨張による本体構造の寸法の変化に対して長手方向保持要素によって提供される。
【0070】
第2及び第3のステップは、多かれ少なかれ同時に起こる。
【0071】
図4は、医用撮像システム200の一例を示す。医用撮像システム200は、対象204の関心領域から非可視画像データを取得するように構成された医用撮像装置202を有する。
図4において、対象204は、対象支持体206、例えば、手術又は検査台上に配置されて示されている。更に、上述の例によるカメラ装置100の例が、提供され、対象204の関心領域から可視画像データを取得するように構成される。システム200は、医用撮像装置202及びカメラ装置100によって可視である一組のマーカ208を更に有する。撮像システム200は、マーカ208に基づいて、可視画像と医用撮像装置の画像データとの位置合わせを提供するように構成される。
【0072】
一例では、医用撮像装置202が、対象の超音波画像データを取得するように構成される。
【0073】
別の例では、医用撮像装置が、対象のX線画像データを取得するように構成される。
図4は、X線源212及びX線検出器214がCアーム210の両端に取り付けられたCアーム210を示す。Cアーム210は、Cアームマウント216によって移動可能に支持される。
【0074】
カメラ装置100は、吊り下げ支持体218に取り付けられる。
【0075】
一例では、一組のマーカ208は、対象位置合わせのための皮膚マーカ、針又は穿孔位置追跡のような手術装置の動作パラメータを追跡するための装置マーカ、及び正確な配置及び自動化された移動のためのロボット動作の追跡及び較正のためのロボットマーカのグループのうちの少なくとも1つを含む。
【0076】
図5は、カメラ装置100の一部を下方から見た斜視図を示す。本体構造12として動作するハウジング36が、設けられる。本体構造は、交差するように設けられた2つのビーム38を有し、端部間に中心点14を有する4つのビーム端部を提供する。4つのカメラサスペンション16が、設けられ、ビームの4つの端部の各々に1つずつ配置される。
【0077】
一例では、4つのカメラ30が、2つのカメラ対向位置の間の規定された距離において、互いに対して90度の角度で配置された支持ビーム上に配置される。
【0078】
一例(詳細には図示せず)では、4台、6台、8台、又は10台のカメラ30が、2つのカメラ対向位置の間の規定された距離において互いに対して30度、45度、又は60度の角度で配置された支持ビーム上に配置される。
【0079】
一例(詳細には図示せず)では、3つのカメラサスペンション16が、設けられている。更なる例では、5つ以上のカメラサスペンション16が、提供される。
【0080】
オプションでは(詳細には図示せず)、マウント10は、第1の中空の細長いハウジング要素に対して非平行な第2の中空の細長いハウジング要素を有するハウジングを有し、同じ中央部分(すなわち、横断する構成)を有するように一方を他方に対して配置され、第2の中空の細長いハウジング要素は、第1の中空の細長いハウジング要素と同様の配置を有し、2つの他のカメラ及び非膨張可能な支持体を有する。
【0081】
別の例では、ハウジング要素は、中空であるが、その周りに追加のカバーを用いて平坦であることもできる。この設計態様は、製造態様にも関連する。
【0082】
図6は、
図5のカメラ装置100の底面図を示す。図から分かるように、長手方向保持要素22は、中心点14を横切って広がる。
【0083】
図7は、カメラ装置100の下からの更なる斜視図を示し、、4つのカメラ30が、それぞれの端部に移動可能に取り付けられているが、長手方向保持要素22によって移動、すなわちスライド方向にしっかりと保持されている。
【0084】
図8は、カメラ装置100の上方からの斜視図を示す。マウント装置34は、ハウジング36の中心の中心点14の周りに4つのねじ穴を有するように示される。
【0085】
図9は、可動支持アーム40に取り付けられたカメラ装置100の上方からの斜視図を示す。支持アーム40は、カメラ装置100を所望の位置に配置するためのオプションを提供する。一度配置されると、支持アーム40は、例えば、手術野を観察するために、カメラ装置100を所定の位置にしっかりと保持するのに十分な安定性を提供する。
【0086】
用語「対象」は、個体とも称され得る。「対象」は、更に、患者とも称され得るが、この用語は、任意の疾患又は病気が対象に実際に存在するかどうかを示さないことに留意されたい。
【0087】
熱膨張の1つの原因は、カメラの動作によって生成される熱であり得る。これは、カメラの内部光学セットアップに影響を及ぼすだけでなく、カメラの互いに対する位置にも影響を及ぼし、したがって、較正プロシージャを必要とし得る。
【0088】
熱膨張の別の原因は、手術室内の熱変化であり得る。
【0089】
上述の受動補償アセンブリは、システムが使用されるたびに補償を必要としない。補正は、固有の方法で提供される。
【0090】
一例では、X線画像が、3Dデータセットのためのボリュームを生成するために提供される。X線において可視であるマーカに基づいて、カメラからの可視画像データとのX線画像データの正確な相関が、提供されることができる。
【0091】
別の例では、3Dデータセットが、利用可能である。2つの2D X線画像は、互いに角度をなして提供される。3Dデータセットとの現在のX線画像のオーバーレイは、マーカに基づいて可能である。
【0092】
図に示された例は、例えば、(十字状のバージョンの)2対の対向するアームの(ビーム状のバージョンの)2つの対向するアームを有する、中心点14に対するカメラの配置の対称的なセットアップを示す。
【0093】
セットアップが端部に取り付けられたカメラを有する3つ又は5つまたはそれ以上のアームを提供する、他の例が提供されることに留意されたい。
【0094】
セットアップが中心点14に関して非対称である、他の例が提供されることに更に留意されたい。例えば、異なる長さを有するアームが、提供される。
【0095】
更に別の例では、ビームの代わりに板状構造が設けられ、その上にカメラが取り付けられる。
【0096】
本発明の実施形態は、それぞれ異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は、装置タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は、上記及び下記の説明から、別段の通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されることを理解するであろう。しかしながら、全ての特徴が、組み合わされて、特徴の単純な合計よりも高い相乗効果を提供することができる。
【0097】
本発明は、図面及び前述の説明において図示され、詳細に説明されているが、そのような図示及び説明は、例示的又は典型的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び従属請求項の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。
【0098】
請求項において、単語「有する」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を満たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】