(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】新規な発光素子用化合物およびそれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
H10K 85/60 20230101AFI20241008BHJP
H10K 50/858 20230101ALI20241008BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20241008BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20241008BHJP
H10K 50/11 20230101ALI20241008BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20241008BHJP
C07C 233/62 20060101ALI20241008BHJP
C07C 321/22 20060101ALI20241008BHJP
C07C 255/46 20060101ALI20241008BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20241008BHJP
C07D 211/62 20060101ALI20241008BHJP
C07D 309/08 20060101ALI20241008BHJP
C07D 335/02 20060101ALI20241008BHJP
C07D 295/215 20060101ALI20241008BHJP
C07D 213/81 20060101ALI20241008BHJP
C07D 213/82 20060101ALI20241008BHJP
C07D 239/28 20060101ALI20241008BHJP
C07D 241/14 20060101ALI20241008BHJP
C07D 251/22 20060101ALI20241008BHJP
C07D 307/68 20060101ALI20241008BHJP
C07D 333/26 20060101ALI20241008BHJP
C07D 263/34 20060101ALI20241008BHJP
C07D 277/32 20060101ALI20241008BHJP
C07D 271/10 20060101ALI20241008BHJP
C07D 285/12 20060101ALI20241008BHJP
C07D 249/10 20060101ALI20241008BHJP
C07D 215/48 20060101ALI20241008BHJP
C07D 307/82 20060101ALI20241008BHJP
C07D 333/70 20060101ALI20241008BHJP
C07D 209/42 20060101ALI20241008BHJP
C07D 263/58 20060101ALI20241008BHJP
C07D 277/68 20060101ALI20241008BHJP
C07D 235/24 20060101ALI20241008BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20241008BHJP
C07D 249/18 20060101ALI20241008BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241008BHJP
C07D 333/38 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H10K85/60
H10K50/858
H10K50/16
H10K50/15
H10K50/11
H10K50/17 171
H10K50/17
C07C233/62 CSP
C07C321/22
C07C255/46
C07F7/10
C07D211/62
C07D309/08
C07D335/02
C07D295/215
C07D213/81
C07D213/82
C07D239/28
C07D241/14
C07D251/22 A
C07D307/68
C07D333/26
C07D263/34
C07D277/32
C07D271/10
C07D285/12
C07D249/10
C07D215/48
C07D307/82
C07D333/70
C07D209/42
C07D263/58
C07D277/68
C07D235/24
C07D519/00 311
C07D249/18
H10K50/844
C07D333/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516613
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 KR2022010811
(87)【国際公開番号】W WO2023043039
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0124580
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0017811
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524000159
【氏名又は名称】サムスン ディスプレイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG DISPLAY CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】ハム ホワン
(72)【発明者】
【氏名】アン ヒョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ミン ビョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョンジン
(72)【発明者】
【氏名】アン ジャウン
(72)【発明者】
【氏名】クォン ドンヨル
(72)【発明者】
【氏名】イ デウン
(72)【発明者】
【氏名】イム ヒョンジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨンロン
(72)【発明者】
【氏名】オ イルス
(72)【発明者】
【氏名】イ ボラ
(72)【発明者】
【氏名】チョ イルフン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H006
4H049
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC04
3K107CC05
3K107CC07
3K107CC23
3K107CC24
3K107DD59
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD78
3K107EE21
3K107FF06
3K107FF15
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB92
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ37
4H049VR24
(57)【要約】
本発明は、新規な発光素子用化合物及びそれを含有する有機発光素子を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される発光素子用化合物:
<化学式1>
(前記化学式1において、
L1~L5は、それぞれ独立して直接結合、置換または非置換C1~C50 のアルキレン基、置換または非置換C2~50のアルケニレン基、置換または非置換C1~C50のアルキレンオキシ基、エーテル基 、置換または非置換C1~C50のスルフィド基、チオエーテル基、置換または非置換C 1~C50のカルボニル基、置換または非置換-NR4C(X 1)-、置換または非置換-C(X2)NR5-、置換もしくは非置換-C(X3)-、置換もしくは非置換-NR6-、置換もしくは非置換-R7-NR8-、置換もしくは非置換C3~C50のシクロアルキレン基、または置換 置換されていないC1~C50のヘテロシクリレン基、置換もしくは非置換のC3~C50のアリーレン基、または置換もしくは未置換C2~C50のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
X、X1~X3は、それぞれ独立してO、S、Se、Te、=NR9、または=CR10R11であり、
R及びR1~R11はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、置換または非置換アミノ基、置換または非置換C1~C50のアルキル基、置換または非置換C2~C50のアルケニル基、置換または非置換C1~C50のアルコキシ基、置換または非置換C1~C50のスルフィド基、置換または非置換C0~C50のシリル基、置換または非置換C3~C50のシクロアルキル基、置換または非置換C3~C50のシクロアルケニル基、置換または非置換C1~C50のヘテロシクリル基、置換または非置換C3~C50のアリール基、または置換もしくは非置換C2~C50のヘテロアリール基であり、隣接する複数のR、R1~R11は、互いに結合して環を形成しても形成しなくてもよく、
lは0~14の整数であり、
mは1~14の整数である。)
【請求項2】
前記化学式1が下記化学式2または化学式3で表される、請求項1に記載の発光素子用化合物:
<化学式2>
<化学式3>
(前記化学式2及び化学式3において、
前記化学式1と同じ記号は化学式1での定義と同じである。)
【請求項3】
前記化学式1が下記化学式4で表される、請求項1に記載の発光素子用化合物:
<化学式4>
(前記化学式4において、
前記化学式1と同じ記号は化学式1での定義と同じである。)
【請求項4】
前記化学式1の前記R1~R5のうち2つ以上は、それぞれ独立して置換もしくは非置換のC3~C50のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換のC1~C50のヘテロシクリル基である、請求項2に記載の発光素子用化合物。
【請求項5】
前記化学式1の 前記R1~R5のうち1つ以上は、それぞれ独立して置換されたC3~C50のシクロアルキル基、または置換C1~C50のヘテロシクリル基である、請求項1に記載の発光素子用化合物。
【請求項6】
前記R1~R5の置換基としては、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1~C30のアルキル基、C1~C30のハロゲン化アルキル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C30のスルフィド基、C0~C30のシリル基、ハロゲン基、C3~C30のシクロアルキル基、C3~C30のシクロアルケニル基、C1~C30のヘテロシクリル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の発光素子用化合物。
【請求項7】
前記化学式2の前記R2およびR4が水素であり、前記化学式3の前記R2およびR5は水素である、請求項2に記載の発光素子用化合物。
【請求項8】
前記化学式1の前記Rはそれぞれ独立して水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C30のスルフィド基、C0~C30のシリル基、ハロゲン基、C3~30のシクロアルキル基、C1~30の複素環基、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の発光素子用化合物。
【請求項9】
前記化学式1において、-L1-N(-L5R2)-C(X)-L4-R1及び-L2-L3-R3のうちの1つ以上は、それぞれ独立して、下記化学構造式B-1~B-46の中から選択できる、請求項1に記載の発光素子用化合物:
(前記化学構造式において、W1はそれぞれ独立してメチル基、エチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン基、ジヒドロアミン基、ジメチルアミン基、ヒドロキシ基、メトキシ基、メルカプタン基、メチルチオ基、フッ素基、トリフルオロメチル基、ニトリル基、ニトロ基、またはトリメチルシリル基であり、
nは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
*は、結合位置を示す。)
【請求項10】
前記-L1-N(-L5R2)-C(X)-L4-R1は、前記化学構造式B-1~B-46において、-CO-NH-*構造が-CH2CO-NH-*,-CO-NHCH2-*、-CS-NH-*、-CNH-NH-*、-CNMe-NH-*、-C(=CHMe)NH-*、-C(=CMe2)NH-*、-SCO-NH-*、-OCO-NH-*、-COCO-NH-*、-CSe-NH-*、-CTe-NH-*、-C(=CH2)-NH-*、-CH2CO-NHCH2-*、-CO-NHO-*、-OCO-NHCH2-*、-CH2CO-NHO-*、-O-CO-NHO-*、-S-CO-NH-*、-CO-NHS-*、-SCO-NHCH2-*、-CH2CO-NHS-*、-SCO-NHS-*、-SCO-NHO-*、-OCO-NHS-*、-CO-CO-NH-*、または-CO-NH-CO-*に変わった形の化学構造式を有する、請求項9に記載の発光素子用化合物。
【請求項11】
前記-L2-L3-R3は、前記化学構造式B-1~B-46において、-CO-NH-*構造が-Z-*または*-Z-に変わった形態の化学構造式を有し、前記Zは-CH2CO-NH-、-CO-NHCH2-、-CS-NH-、-CNH-NH-、-CNMe-NH-、-C(=CHMe)NH-、-C(=CMe2)NH-、 -SCO-NH-、-OCO-NH-、-COCO-NH-、-CSe-NH-、-CTe-NH-、-C(=CH2)-NH-、-CH2CO-NHCH2-、-CO-NHO-、-OCO-NHCH2-、-CH2CO-NHO-、-O-CO-NHO-、-S-CO-NH-、-CO-NHS-、-SCO-NHCH2-、-CH2CO-NHS-、-SCO-NHS-、-SCO-NHO-、-OCO-NHS-、-CO-CO-NH-、-CO-NH-CO-、-NH-、-CH2-、-O-、-S-、-C0-、または「-」中から選択される、請求項9に記載の発光素子用化合物。
【請求項12】
前記化学式1において、-L1-N(-L5R2)-C(X)-L4-R1及び-L2-L3-R3のうちの1つ以上は、それぞれ独立して、 下記化学構造式C-1~C-14の中から選択できる、請求項1に記載の発光素子用化合物:
。
【請求項13】
前記-L2-L3-R3は、前記化学構造式C-1~C-14において、-CO-N-*または-CO-N(CO)-*構造が-N-*に変わった形態の化学構造式を有する、請求項12に記載の発光素子用化合物。
【請求項14】
前記発光素子用化合物が下記化合物のいずれか一つである、請求項1に記載の発光素子用化合物:
。
【請求項15】
前記発光素子用化合物は、波長450nmでの屈折率が1.55以下である、請求項1に記載の発光素子用化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の発光素子用化合物を含有する、有機発光素子。
【請求項17】
前記有機発光素子は、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の内側に介在する1層以上の有機物層と、を含み、
前記発光素子用化合物は、前記有機物層のうち1つ以上に含まれる、請求項16に記載の有機発光素子。
【請求項18】
前記発光素子用化合物が含有される有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送補助層、電子輸送層及び電子注入層のうちの1つ以上である、請求項17に記載の有機発光素子。
【請求項19】
前記発光素子用化合物が含有される有機物層は、正孔輸送層、発光補助層または発光層である、請求項17に記載の有機発光素子。
【請求項20】
前記有機発光素子は、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の内側に介在する1層以上の有機物層と、
前記第1電極及び前記第2電極のいずれか一つ以上の電極外側に、配置されるキャッピング層と、を含み、
前記発光素子用化合物は、前記キャッピング層に含まれる、請求項16に記載の有機発光素子。
【請求項21】
前記キャッピング層の厚さが100Å~3000Åの範囲内である、請求項20に記載の有機発光素子。
【請求項22】
前記キャッピング層は、450nm波長での屈折率が1.55以下である、請求項20に記載の有機発光素子。
【請求項23】
前記キャッピング層は、請求項1に記載の発光素子用化合物を含有する第1キャッピング層と、前記第1キャッピング層よりも高屈折である第2キャッピング層と、を含む、請求項20に記載の有機発光素子。
【請求項24】
前記第2キャッピング層は、前記第1キャッピング層と前記第1電極との間に介在するか、或いは前記第1キャッピング層と前記第2電極との間に介在する、請求項23に記載の有機発光素子。
【請求項25】
前記第2キャッピング層は、前記第1キャッピング層及び前記第1電極、または前記第1キャッピング層及び前記第2電極と接触する、請求項23に記載の有機発光素子。
【請求項26】
前記第1キャッピング層と前記第2キャッピング層とを合わせた厚さが100~3000Åの範囲内である、請求項23に記載の有機発光素子。
【請求項27】
前記第1キャッピング層は、波長450nmでの屈折率が1.55以下であり、前記第2キャッピング層は、波長450nmでの屈折率が2.10以上であり、波長450nmでの前記第1キャッピング層の屈折率と第2キャッピング層の屈折率との差は、0.2~1.2の範囲内である、請求項23に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子用化合物およびそれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子において有機物層として使用される材料は、機能によって、発光材料、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などに大別される。
【0003】
その中でも、前記発光材料は、発光メカニズムによって電子の一重項励起状態に由来する蛍光材料、電子の三重項励起状態に由来する燐光材料と三重項励起状態から一重項励起状態に電子の移動が由来する遅延蛍光材料に分類することができ、発光色に応じて青色、緑色、赤色発光材料とより良い天然色を実現するために必要な黄色とオレンジ色の発光材料に分けることができる。
【0004】
一般な有機発光素子は、基板の上部にアノードが形成されており、該アノードの上部に正孔輸送層、発光層、電子輸送層およびカソードが順次形成されている構造を有することができる。ここで、正孔輸送層、発光層および電子輸送層は、有機化合物からなる有機薄膜である。
【0005】
上述した構造を有する有機発光素子の駆動原理は、次の通りである。
前記アノードとカソードとの間に電圧を印加すると、アノードから注入された正孔は、正孔輸送層を経由して発光層へ移動し、カソードから注入された電子は、電子輸送層を経由して発光層へ移動する。前記正孔と前記電子は、発光層で再結合して励起子を生成する。この励起子が励起状態から基底状態に変わりながら光が生成される。
【0006】
有機発光素子の効率は、通常、内部発光効率と外部発光効率に分けられる。内部発光効率は、正孔輸送層、発光層および電子輸送層などのように第1電極と第2電極との間に介在した有機層でどれほど効率よく励起子が生成されて光変換が行われるかと関連しており、理論的に、蛍光の場合には25%、燐光の場合には100%と知られている。
【0007】
現在まで、このような有機発光素子に用いられる物質として様々な化合物が知られているが、これまで知られている物質を用いた有機発光素子の場合、高い駆動電圧、低効率、短寿命により、新しい材料の開発が絶えず要求されています。このため、優れた特性を有する材料を用いた低電圧駆動、高輝度、長寿命の有機発光素子を開発する努力が続いてきた。
【0008】
一方、外部発光効率は、有機層で生成された光が有機発光素子の外部に抽出される効率を示し、通常、内部発光効率の約20%の水準で外部に抽出されることが知られている。この光抽出を高めるための方法として、外部に出る光が全反射して失われることを防止するための1.7以上の屈折率を有する多様な有機化合物をキャッピング層として適用してきた。有機発光素子の外部発光効率をさらに高めるために、高屈折率を有するキャッピング層と、低屈折率を有するキャッピング層との複合層構造を含む有機発光素子が開発されている。
【0009】
低屈折率のキャッピング層材料としてはLiFが商用化されているが、このような無機化合物は、蒸着温度が高く共晶性に劣るという問題点が指摘され、これを有機化合物に置き換えようとする努力が持続している実情である。低屈折率を有する物質としてボロン配位化合物が知られているが、ボロン配位化合物は、安定性が不足して有機発光素子の寿命を低下させるという問題も生じた。これにより、低屈折率を維持し且つ化合物の安定性に優れた有機キャッピング層材料を開発しようとする努力が続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アミド系置換基がアダマンタンコアに連結されるので、高い熱安定性、高効率、長寿命を提供する発光素子用化合物、およびそれを含む有機発光素子を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、アミド系置換基が嵩高いアダマンタン基に結合した構造を有するため、低い屈折率を形成することができ、特に広いバンドギャップを維持することができるので、短波長範囲でも低い消光係数を確保することができてさらに低い屈折率を実現することができる発光素子用化合物、およびそれを含む有機発光素子を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、低い分極率を有する置換基を導入してより低い屈折率を有することができるので、有機発光素子の効率及び色純度の改善に非常に効果的な発光素子用化合物、及びそれを含む有機発光素子を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、剛直なアダマンタン連結基を含めて高い熱安定性を有することができ、同時にアミド系置換基がアダマンタン連結基に結合しており、優れた薄膜配列性を有するため、外部酸素や空気、水分などの汚染から安定性が改善され、これをキャッピング層として適用するときに有機発光素子の寿命の改善に非常に効果的な発光素子用化合物、およびそれを含む有機発光素子を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送補助層、電子輸送層、電子注入層、正孔遮断層、電子遮断層及び励起子遮断層のうちの1つ以上に用いて、高色純度、高効率、長寿命の有機発光素子を具現することができる発光素子用化合物、およびそれを含む有機発光素子を提供することを目的とする。
前記の課題および追加の課題について、以下に詳細に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の課題を解決するために、本発明は、一実施形態において、
下記化学式1で表される発光素子用化合物を提供する。
<化学式1>
前記化学式1において、
【0016】
L1~L5は、それぞれ独立して直接結合、置換または非置換C1~C50 のアルキレン基、置換または非置換C2~50のアルケニレン基、置換または非置換C1~C50のアルキレンオキシ基、エーテル基 、置換または非置換C1~C50のスルフィド基、チオエーテル基、置換または非置換C 1~C50のカルボニル基、置換または非置換-NR4C(X 1)-、置換または非置換-C(X2)NR5-、置換もしくは非置換-C(X3)-、置換もしくは非置換-NR6-、置換もしくは非置換-R7-NR8-、置換もしくは非置換C3~C50のシクロアルキレン基、または置換 置換されていないC1~C50のヘテロシクリレン基、置換もしくは非置換のC3~C50のアリーレン基、または置換もしくは未置換C2~C50のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
X、X1~X3は、それぞれ独立してO、S、Se、Te、=NR9、または=CR10R11であり、
R及びR1~R11はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、置換または非置換アミノ基、置換または非置換C1~C50のアルキル基、置換または非置換C2~C50のアルケニル基、置換または非置換C1~C50のアルコキシ基、置換または非置換C1~C50のスルフィド基、置換または非置換C0~C50のシリル基、置換または非置換C3~C50のシクロアルキル基、置換または非置換C3~C50のシクロアルケニル基、置換または非置換C1~C50のヘテロシクリル基、置換または非置換C3~C50のアリール基、または置換もしくは非置換C2~C50のヘテロアリール基であり、隣接する複数のR、R1~R11は、互いに結合して環を形成しても形成しなくてもよく、
lは0~14の整数であり、
mは1~14の整数である。
また、本発明は、一実施形態において、上述した発光素子用化合物を含む有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態による発光素子用化合物は、アミド系置換基がアダマンタンコアに連結されるので、高い熱安定性、高効率、長寿命の有機発光素子を具現することができる。
【0018】
また、アミド系置換基が嵩高いアダマンタン基に結合した構造を有するため、低い屈折率を形成することができ、特に広いバンドギャップを維持することができるので、短波長範囲でも低い減衰係数を確保できるようになるため、キャッピング層に適用するとより低い屈折率を実現することができる。
また、低い分極率を有する置換基を導入してより低い屈折率を有することができるので、有機発光素子の効率及び色純度の改善に非常に効果的である。
【0019】
また、直立したアダマンタン連結基を含めて熱安定性を高めることができ、同時に優れた薄膜配列性を有するため、これをキャッピング層として適用するときに外部酸素や空気、水分などの汚染から安定性が改善され、有機発光素子の寿命の改善に非常に効果的である。
【0020】
また、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送補助層、電子輸送層、電子注入層、正孔遮断層、電子遮断層及び励起子遮断層のうちの1つ以上に用いて、高色純度、高効率、長寿命の有機発光素子を具現することができる。
前記の効果および追加の効果について、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による有機発光素子の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を詳細に説明する前に、本明細書で使用された用語は、特定の実施形態を記述するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、他に記載がない限り、技術的に通常の技術を有する者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0023】
本明細書および請求の範囲の全般にわたって、別段の断りがない限り、包含(comprise、comprises、comprising)という用語は、記載されたモノ、ステップまたは一群のモノ、およびステップを含むことを意味し、任意の他のモノ、ステップまたは一群のモノまたは一群のステップを排除する意味で使用されたものではない。
【0024】
本明細書および請求の範囲の全般にわたって、用語「アリール」は、C5~50の芳香族炭化水素環基、例えば、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、フルオレン、フェナントレニル、トリフェニルレニル、ペリレニル、クリセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオレニル、ベンゾトリフェニレニル、ベンゾクリセニル、アントラセニル、スチルベニル、ピレニルなどの芳香族環を含むことを意味し、「ヘテロアリール」は、少なくとも1つのヘテロ元素を含むC2-50の芳香族環であって、例えば、ピロリル、ピラジニル、ピリジニル、インドリル、イソインドリル、フリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナントロリニル、チエニル、およびピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、ピロリジン環、ジオキサン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、カルバゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ベンゾフラン環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチオフェン環、トリアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラン環、ジベンゾフラン環などから形成されるヘテロ環基を含むことを意味することができる。
【0025】
まお、化学式において、Arx(ここで、xは整数である)は、特に定義されない場合、置換または非置換のC6~C50のアリール基、または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリール基を意味し、Lx(ここで、xは整数である)は、特に定義されない場合、直接結合、置換または非置換のC6~C50のアリーレン基、または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリーレン基を意味し、Rx(ここで、xは整数である)は、特に定義されない場合、水素、重水素、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、置換または非置換のC1~C30のアルキル基、置換または非置換のC2~C30のアルケニル基、置換または非置換のC1~C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1~C30のスルフィド基、置換または非置換のC6~C50のアリール基、または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリール基を意味する。
【0026】
本明細書および請求の範囲の全般にわたって、用語「置換または非置換の」は、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、ニトロソ基、スルファモイル基、イソチオシアネート基、チオシアネート基、カルボキシル基、カルボニル基、またはC1~C30のアルキル基、C1~C30のアルキルスルフィニル基、C1~C30のアルキルスルホニル基、C1~C30のアルキルスルファニル基、C1~C12のフルオロアルキル基、C2~C30のアルケニル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C12のN-アルキルアミノ基、C2~C20のN,N-ジアルキルアミノ基、置換または非置換のC1~C30のスルフィド基、C1~C6のN-アルキルスルファモイル基、C2~C12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、C0~C30のシリル基、C3~C20のシクロアルキル基、C3~C20のヘテロシクロアルキル基、C6~C50のアリール基及びC3~C50のヘテロアリール基などよりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されるか或いは置換されないことを意味することができる。また、本明細書全体において、同じ記号は、特に断りのない限り、同じ意味を有することができる。
【0027】
一方、本発明の様々な実施形態は、明確な反対の指摘がない限り、それ以外の任意の他の実施形態と組み合わされることができる。以下、本発明の実施形態及びそれによる効果を説明する。
【0028】
本発明の一実施形態による有機発光素子は、第1電極、第2電極、及び第1電極と第2電極の内側に介在する1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であってもよい。本発明の有機発光素子用化合物は、前記有機物層のいずれか一つ以上に含まれてもよい。
【0029】
本発明の他の実施形態による有機発光素子は、キャッピング層を含む有機発光素子であってもよい。具体的には、第1電極、第2電極、第1電極と第2電極の内側に介在する1層以上の有機物層と、第1電極及び第2電極のいずれか1つ以上の電極外側に配置されるキャッピング層とを含む有機発光素子であってもよい。本発明の有機発光素子用化合物は、キャッピング層に含まれてもよい。
【0030】
本発明の発光素子用化合物の具体的な例示としては、下記化学式1で表される発光素子用化合物が挙げられる。
<化学式1>
前記化学式1において、
L1~L5は、それぞれ独立して直接結合、置換または非置換C1~C50 のアルキレン基、置換または非置換C2~50のアルケニレン基、置換または非置換C1~C50のアルキレンオキシ基、エーテル基 、置換または非置換C1~C50のスルフィド基、チオエーテル基、置換または非置換C 1~C50のカルボニル基、置換または非置換-NR4C(X 1)-、置換または非置換-C(X2)NR5-、置換もしくは非置換-C(X3)-、置換もしくは非置換-NR6-、置換もしくは非置換-R7-NR8-、置換もしくは非置換C3~C50のシクロアルキレン基、または置換 置換されていないC1~C50のヘテロシクリレン基、置換もしくは非置換のC3~C50のアリーレン基、または置換もしくは未置換C2~C50のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
X、X1~X3は、それぞれ独立してO、S、Se、Te、=NR9、または=CR10R11であり、
R及びR1~R11はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、置換または非置換アミノ基、置換または非置換C1~C50のアルキル基、置換または非置換C2~C50のアルケニル基、置換または非置換C1~C50のアルコキシ基、置換または非置換C1~C50のスルフィド基、置換または非置換C0~C50のシリル基、置換または非置換C3~C50のシクロアルキル基、置換または非置換C3~C50のシクロアルケニル基、置換または非置換C1~C50のヘテロシクリル基、置換または非置換C3~C50のアリール基、または置換もしくは非置換C2~C50のヘテロアリール基であり、隣接する複数のR、R1~R11は、互いに結合して環を形成しても形成しなくてもよく、
lは0~14の整数であり、
mは1~14の整数である。
【0031】
前記化学式1において、具体的には、L はそれぞれ独立して前記に列挙した例示であってもよいし、これらのうち3つ以下の組み合わせであってもよく、具体的に置換または非置換-CH2 NR4C(X1)-、置換または非置換-NR4C(X1)CH2-、置換または非置換-CH2NR4C(X1)CH2-、置換または非置換-NR4C(X1)O-、置換または非置換-ONR4C(X1)-、置換または非置換-ONR4C(X1)CH2-、置換または非置換-CH2NR4C(X1)O-、置換または非置換-ONR4C(X1)O-、置換または非置換-NR4C(X1)S-、置換または非置換 -SNR4C(X1)-、置換または非置換-CH2NR4C(X1)S-、置換または非置換-SNR4C(X1)CH2-、置換または非置換-SNR4C(X1)O-、置換または非置換-ONR4C(X1)S-、置換または非置換-SNR4C(X1)S-、置換または非置換-NR4C(X1)C(X1)-、置換または非置換-C(X1)NR4C(X1)-、置換または非置換-C(X2)NR5-、置換または非置換-CH2C(X2)NR5-、置換または非置換-C(X2)NR5CH2-、置換または非置換-CH2C(X2)NR5CH2-、置換または非置換-C(X2)NR5O-、置換または非置換-OC(X2)NR5-、置換または非置換-OC(X2)NR5CH2-、置換または非置換-CH2C(X2)NR5O-、置換または非置換-OC(X2)NR5O-、置換または非置換-C(X2)NR5S-、置換または非置換-SC(X2)NR5-、置換または非置換-CH2C(X2)NR5S-、置換または非置換-SC(X2)NR5CH2-、置換または非置換-SC(X2)NR5O-、置換または非置換-OC(X2)NR5S-、置換または非置換-SC(X2)NR5S-、置換または非置換-C(X2)NR5C(X2)-、置換または非置換-C(X2)C(X2)NR5-、置換または非置換-C(X3)-、置換もしくは非置換-NR6-、または置換もしくは非置換-R7-NR8-であり得る。ここで、前記化学式1と同じ記号は化学式1の定義と同じである。
【0032】
本発明の発光素子用化合物の具体的な例示化合物としては、前記化学式1が下記化学式2または化学式3で表される発光素子用化合物が挙げられる。
<化学式2>
<化学式3>
前記化学式2及び化学式3において、
前記化学式1と同じ記号は化学式1での定義と同じである。
【0033】
前記化学式2または化学式3で表される本発明の発光素子用化合物は、2つのアミド系連結基がアダマンタン基コアに直接連結されて低い屈折率を有し、同時に低い蒸着温度を有することができる。
【0034】
本発明の発光素子用化合物の具体的な例示化合物としては、前記化学式1が下記化学式4で表される発光素子用化合物が挙げられる。
<化学式4>
前記化学式4において、
前記化学式1と同じ記号は化学式1での定義と同じである。
【0035】
前記化学式4で表される本発明の発光素子用化合物は、2つのアミドがアダマンタンコアの特定位置に結合する構造を有するため、より低い屈折率を有し、同時に熱安定性に非常に優れる。
【0036】
前記化学式式1~式化学式4において、前記R1~R5のうち2つ以上は、それぞれ独立して置換もしくは非置換のC3~C50のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換のC1~C50のヘテロシクリル基であり得る。これにより、熱安定性がさらに向上し、同時に低屈折率を形成することができる。
【0037】
また、前記R1~R5のうち1つ以上は、それぞれ独立して置換されたC3~C50のシクロアルキル基、または置換C1~C50のヘテロシクリル基であってもよい。 置換構造を有することにより、高い熱安定性を有することができる。
【0038】
前記R1~R5の置換基としては限定されないが、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1~C30のアルキル基、C1~C30のハロゲン化アルキル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C30のスルフィド基、C0~C30のシリル基、ハロゲン基、C3~C30のシクロアルキル基、C3~C30のシクロアルケニル基、C1~C30のヘテロシクリル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。このような置換基を有することにより、低い屈折率を維持し、同時に高い熱安定性を有することができる。
【0039】
また、前記化学式1~化学式4において、R2およびR4は水素であってもよい。具体的には、化学式2のR2およびR4は水素であり、化学式3のR2およびR5は水素であり得る。このとき、R1およびR3は水素ではなくてもよい。この場合、分子内分極率を下げ、同時に短波長範囲でも低い消光係数を有することにより、より低い屈折率を形成することができる。
【0040】
また、前記化学式1および化学式2において、R1およびR3は、それぞれ独立して置換または非置換のC3~C50のシクロアルキル基、または置換または非置換のC1~C50の複素環基であってもよい。これにより、分子内分極率を下げ、同時に短波長範囲でも低い消光係数を有することにより、より低い屈折率を形成することができる。
【0041】
また、前記化学式1~化学式4において、Rはそれぞれ独立して水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C30のスルフィド基、C0~C30のシリル基、ハロゲン基、C3~30のシクロアルキル基、C1~30の複素環基、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができ、具体的には、Rは水素またはC1~10のアルキル基であり得る。 この場合、低い屈折率を維持することができ、熱安定性の改善に有効であるため、素子の寿命をさらに向上させることができる。
【0042】
また、前記化学式1中、mは具体的には1~4の整数であり、より具体的には1または2であってもよい。この場合、低い屈折率を維持することができ、蒸着温度の改善にもより効果的であり得る。
【0043】
また、前記化学式1中、lは具体的には0~5の整数であり、より具体的には0~2の整数であってもよい。この場合、分子量を最小化することができ、熱安定性の改善に有効である。
【0044】
また、前記化学式1において、-L1-N(-L5R2)-C(X)-L4-R1及び-L2-L3-R3のうちの1つ以上は、それぞれ独立して、下記化学構造式B-1~B-46の中から選択できる。
【0045】
前記化学構造式において、W1はそれぞれ独立してメチル基、エチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン基、ジヒドロアミン基、ジメチルアミン基、ヒドロキシ基、メトキシ基、メルカプタン基、メチルチオ基、フッ素基 、トリフルオロメチル基、ニトリル基、ニトロ基、またはトリメチルシリル基であり、
nは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、具体的には0~4の整数であり、
*は、結合位置を示す。
【0046】
また、-L1-N(-L5R2)-C(X)-L4-R1は、前記化学構造式B-1~B-46において、-CO-NH-*構造が-CH2CO-NH-*,-CO-NHCH2-*、-CS-NH-*、-CNH-NH-*、-CNMe-NH-*、-C(=CHMe)NH-*、-C(=CMe2)NH-*、-SCO-NH-*、-OCO-NH-*、-COCO-NH-*、-CSe-NH-*、-CTe-NH-*、-C(=CH2)-NH-*、-CH2CO-NHCH2-*、-CO-NHO-*、-OCO-NHCH2-*、-CH2CO-NHO-*、-O-CO-NHO-*、-S-CO-NH-*、-CO-NHS-*、-SCO-NHCH2-*、-CH2CO-NHS-*、-SCO-NHS-*、-SCO-NHO-*、-OCO-NHS-*、-CO-CO-NH-*、または-CO-NH-CO-*に変わった形の化学構造式をとることができる。(ただし、化学式1の定義に合致する範囲内で変えることができる)。
【0047】
また、-L2-L3-R3は、前記化学構造式B-1~B-46において、-CO-NH-*構造が-Z-*または*-Z-に変わった形態の化学構造式を有することができ、前記Zは-CH2CO-NH-、-CO-NHCH2-、-CS-NH-、-CNH-NH-、-CNMe-NH-、-C(=CHMe)NH-、-C(=CMe2)NH-、 -SCO-NH-、-OCO-NH-、-COCO-NH-、-CSe-NH-、-CTe-NH-、-C(=CH2)-NH-、-CH2CO-NHCH2-、-CO-NHO-、-OCO-NHCH2-、-CH2CO-NHO-、-O-CO-NHO-、-S-CO-NH-、-CO-NHS-、-SCO-NHCH2-、-CH2CO-NHS-、-SCO-NHS-、-SCO-NHO-、-OCO-NHS-、-CO-CO-NH-、-CO-NH-CO-、-NH-、-CH2-、-O-、-S-、-C0-、または「-」中から選択することができる。(ただし、化学式1の定義に合致する範囲内で変えることができる)。
【0048】
また、化学式1において、-L1-N(-L5R2)-C(X)-L4-R1および-L2-L3-R3のうちの1つ以上は、それぞれ独立して、下記化学構造式C-1~C-14の中から選択できる。
【0049】
【0050】
また、-L2-L3-R3は、前記化学構造式C-1~C-14において、-CO-N-*または-CO-N(CO)-*構造が-N-*に変わった形態の化学構造式をとることができる。
【0051】
また、前記化学式1で表される発光素子用化合物は、厚さ20nm~100nmの範囲で屈折率を測定したとき、波長450nmでの屈折率が1.55以下の低屈折率を有することができる。具体的には、波長450nmでの屈折率が1.50以下、さらに具体的には1.45以下の低屈折率を有することができる。
【0052】
また、前記化学式1は、下記化合物のうちのいずれかで表される発光素子用化合物であり得る。下記化合物は本発明を説明するための例示に過ぎないので、本発明はこれに限定されない。
【0053】
本発明の化合物の一実施形態は、下記の概略スキームで合成できる。
<スキーム1>
<スキーム2>
【0054】
本発明は、別の一実施形態として、発光素子用化合物を含有する有機発光素子を提供する。
具体的には、有機発光素子は第1電極と第2電極:前記第1電極及び前記第2電極の内側に介在する1層以上の有機物層を含み、前記発光素子用化合物は、前記有機物層のうち1つ以上に含まれていてもよい。
【0055】
前記発光素子用化合物が含有される有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送補助層、電子輸送層、電子注入層、正孔遮断層、電子遮断層及び励起子遮断層のうちの少なくとも1つであり得る。具体的には、正孔輸送層、発光補助層または発光層であってもよく、このとき、本発明の発光素子用化合物は単独で用いてもよく、公知の有機発光化合物と併用してもよい。
【0056】
本発明において、発光補助層とは、正孔輸送層と発光層との間に形成される層であり、正孔輸送層の数に応じて第2正孔輸送層または第3正孔輸送層などとも称することができる。
【0057】
一方、前記有機発光素子は、第1電極及び第2電極:前記第1電極及び前記第2電極の内側に介在する1層以上の有機物層:前記第1電極及び前記第2電極のいずれか一つ以上の電極外側に、配置されるキャッピング層をさらに含み、発光素子用化合物をキャッピング層に含ませることができる。
次に、本発明の一実施形態による有機発光素を具体的に説明する。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の内側に介在する1層以上の有機物層と、キャッピング層と、を含んで構成できる。前記キャッピング層は、前記第1電極および前記第2電極のうちのいずれか1つ以上の電極の外側に配置できる。
【0059】
具体的には、第1電極または第2電極の両側面のうち、第1電極と第2電極との間に介在した有機物層が隣接する側を内側といい、有機物層と隣接しない側を外側という。すなわち、第1電極の外側にキャッピング層が配置される場合には、キャッピング層と有機物層との間に第1電極が介在し、第2電極の外側にキャッピング層が配置される場合には、キャッピング層と有機物層との間に第2電極が介在する。
【0060】
また、本発明の一実施形態によれば、前記有機発光素子は、第1電極及び第2電極の内側に1層以上の様々な有機物層が介在してもよく、第1電極及び第2電極のうちのいずれか一つ以上の電極の外側にキャッピング層が形成されてもよい。すなわち、キャッピング層は、第1電極の外側及び第2電極の外側の両方に形成されてもよく、第1電極の外側または第2電極の外側にのみ形成されてもよい。
【0061】
このとき、前記キャッピング層は、本発明による発光素子用化合物を含むことができ、本発明による発光素子用化合物を単独で含むか、或いは2種以上含むか、或いは公知の化合物を一緒に含むことができる。
前記キャッピング層の厚さは、100Å~3000Åの値を有することができる。
【0062】
一方、前記キャッピング層は、相対的に低屈折率を有する第1キャッピング層と、前記第1キャッピング層よりも高屈折率を有する第2キャッピング層とが積層された複合キャッピング層構造を有することができ、この場合、本発明によるキャッピング層用化合物は、第1キャッピング層に含まれることができる。第1キャッピング層と第2キャッピング層との積層順序は、限定されず、第1キャッピング層が第2キャッピング層よりも外側に配置されてもよく、逆に、第2キャッピング層が第1キャッピング層よりも外側に配置されてもよい。具体的な一例として、前記第2キャッピング層は、前記第1キャッピング層と第1電極または第2電極との間に介在することができ、具体的には、前記第2キャッピング層は、前記第1キャッピング層および前記第1電極、または前記第1キャッピング層および第2電極と接触する構造であってもよい。
【0063】
また、多数の第1キャッピング層と多数の第2キャッピング層とが積層された多層構造であってもよい。この場合、第1キャッピング層と第2キャッピング層とが交互に積層されることができ、その積層順序は、上述したように限定されず、第1キャッピング層が第2キャッピング層よりも外側に配置されてもよく、逆に、第2キャッピング層が第1キャッピング層よりも外側に配置されてもよい。
【0064】
また、前記第1キャッピング層は、波長450nmでの屈折率が1.55以下、具体的には1.50以下、さらに具体的には1.47以下であり得る。前記第2キャッピング層は、波長450nmでの屈折率が2.10以上、具体的には2.25以上、より具体的には2.30以上であり、波長450nmでの前記第1キャッピング層の屈折率と第2キャッピング層の屈折率との差は、0.2~1.2の範囲内、より具体的には0.4~1.2の範囲内であり得る。前記屈折率の差が0.2未満または1.2超過である場合、光抽出効率が劣るという問題がある。
【0065】
前記第1キャッピング層の総厚さは、50Å~2000Åの範囲内であり、前記第2キャッピング層の総厚さは、50Å~2000Åの範囲内であり得る。
【0066】
一方、前記キャッピング層は、屈折率の勾配が存在する形態であってもよい。屈折率の勾配は、外側に行くほど次第に屈折率が減少してもよく、外側に行くほど次第に屈折率が増加してもよい。このために、本発明による発光素子用化合物の濃度を次第に異ならせてキャッピング層を製膜することにより、キャッピング層に屈折率の勾配を実現することができる。
一方、前記有機物層としては、一般に、発光部を構成する正孔輸送層、発光層および電子輸送層が含まれることができ、これに限定されない。
【0067】
より具体的には、本発明の一実施形態による有機発光素子は、第1電極(アノード)と第2電極(カソード)との間に正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)などの発光部を構成する有機物層を1層以上含むことができる。選択的に、前記発光層(EML)と電子輸送層(ETL)との間に正孔阻止層(HBL、図示せず)または電子輸送補助層が、正孔輸送層HTLと発光層EMLとの間に電子阻止層(EBL、図示せず)または発光補助層がさらに含まれることができる。
【0068】
図1は、本発明の実施形態による有機発光素子の構成を概略的に示す断面図である。本発明の一実施形態による有機発光素子は、
図1に記載された構造のように製造できる。
【0069】
図1に示すように、有機発光素子は、下から基板100、第1電極1000、正孔注入層200、正孔輸送層300、発光層400、電子輸送層500、電子注入層600、第2電極2000及びキャッピング層3000が順次積層された構造であり得る。ここで、図示していないが、キャッピング層3000は、上述したように、第1キャッピング層と第2キャッピング層とが積層された構造であってもよい。また、第1キャッピング層及び第2キャッピング層とは屈折率が異なる第3キャッピング層がさらに追加されて積層された構造であってもよく、限定されない。また、前記キャッピング層は、屈折率の勾配が存在する形態であってもよい。屈折率の勾配は、外側に行くほど次第に屈折率が減少してもよく、外側に行くほど次第に屈折率が増加してもよい。
【0070】
ここで、前記基板100は、有機発光素子において一般に使用される基板を使用することができ、特に機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取り扱いやすさ、及び防水性に優れた透明なガラス基板またはフレキシブルなプラスチック基板であり得る。
【0071】
また、前記第1電極1000は、有機発光素子の正孔注入のための正孔注入電極として使用される。第1電極1000は、正孔の注入ができるように低い仕事関数を有する物質を用いて製造され、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウムジンク(IZO)、グラフェン(graphene)などの透明な材質で形成され得る。
【0072】
また、前記正孔注入層200は、前記第1電極1000の上部に正孔注入層物質を真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法などの方法によって蒸着して形成できる。前記真空蒸着法によって正孔注入層200を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層200の材料として用いる化合物、目的の正孔注入層200の構造及び熱的特性などによって異なるが、一般に、50~500℃の蒸着温度、10-8~10-3torrの真空度、0.01~100Å/secの蒸着速度、10Å~5μmの層厚さの範囲から適宜選択することができる。一方、正孔注入層200の表面には、電荷発生層を必要に応じてさらに蒸着することができる。電荷発生層物質としては、通常の物質を使用することができ、HATCNを例として挙げることができる。
【0073】
また、前記正孔輸送層300は、正孔注入層200の上部に正孔輸送層物質を真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法によって蒸着して形成できる。前記真空蒸着法によって正孔輸送層300を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般に、正孔注入層200の形成とほぼ同じ条件の範囲から選択するのがよい。前記正孔輸送層300は、公知の化合物を用いて形成することができる。
【0074】
このような正孔輸送層300は、1層以上であってもよく、
図1には示されていないが、第1正孔輸送層及び第2正孔輸送層(発光補助層)の2層であってもよい。第1正孔輸送層および第2正孔輸送層の少なくともいずれかは、本発明による発光素子用化合物を含むことができる。
【0075】
また、前記発光層400は、正孔輸送層300または発光補助層の上に発光層物質を真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法によって蒸着して形成できる。前記真空蒸着法によって発光層400を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般に、正孔注入層200の形成とほぼ同じ条件の範囲から選択するのがよい。
【0076】
前記発光層材料は、本発明に係る発光素子用化合物または公知の化合物をホストまたはドーパントとして用いることができる。また、本発明に係る発光素子用化合物をホストとして用い、公知の化合物をドーパントとして用いることができる。
【0077】
ドーパントとしては、限定されないが、燐光または蛍光ドーパントを一緒に用いて発光層を形成することができる。一例として、蛍光ドーパントとしては、BD142(N6,N12-ビス(3,4-ジメチルフェニル)-N6,N12-ジメシチルクリセン-6,12-ジアミン)を使用することができ、燐光ドーパントとしては、緑色燐光ドーパントIr(ppy)3(トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム)、青色燐光ドーパントであるF2Irpic(イリジウム(III)ビス[4,6-ジフルオロフェニル)-ピリジナート-N,C2’]ピコリン酸塩)、UDC社製の赤色燐光ドーパントRD61などが共真空蒸着(ドーピング)されることができる。ドーパントのドーピング濃度は、特に限定されないが、ホスト100重量部に対してドーパントが0.01~15重量部でドープされることが好ましい。もしドーパントの含有量が0.01重量部未満である場合には、ドーパント量が十分でないため発色がきちんとなされないという問題点があり、15重量部を超える場合には、濃度消光現象により効率が急激に減少するという問題点がある。
【0078】
ここで、発光層材料に燐光ドーパントを一緒に使用する場合には、三重項励起子または正孔が電子輸送層500に拡散する現象を防止するために、正孔抑制材料(HBL)を発光層400の上部にさらに真空蒸着法またはスピンコーティング法によって積層させることができる。使用可能な正孔抑制材料は、特に限定されず、公知の材料を任意に選択して使用することができる。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、または特開平11-329734(A1)に記載されている正孔抑制材料などが挙げられ、代表的には、Balq(ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリノナート)-アルミニウムビフェノキシド)、フェナントロリン(phenanthrolines)系化合物(例えば、UDC社製のBCP(バソクプロイン))などを使用することができる。このような本発明の発光層400は、1層以上または2層以上の青色発光層を含むことができる。
【0079】
また、前記電子輸送層500は、発光層400の上部に形成され、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法などの方法で形成できる。前記電子輸送層500の蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般に正孔注入層200の形成とほぼ同じ条件の範囲から選択するのがよい。
【0080】
前記電子輸送層材料としては、本発明に係る発光素子用化合物または通常の公知の物質から任意に選択して用いることができる。通常の公知物質としては、例えば、キノリン誘導体、特にトリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、またはET4(6,6’-(3,4-ジメシチル-1,1-ジメチル-1H-シオール-2,5-ジイル)ジ-2,2’-ビピリジン)を使用することができる。
【0081】
また、前記電子注入層600は、前記電子輸送層500の上部に電子注入層物質を蒸着して形成でき、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法などの方法で形成できる。電子注入層物質としては、発明に係る発光素子用化合物または公知の物質であるLiF、NaCl、CsF、Li2O、BaOなどの物質を用いることができる。
【0082】
また、前記第2電極2000は、電子注入電極として使用され、前記電子注入層600の上部に真空蒸着法やスパッタリング法などの方法によって形成できる。前記第2電極2000の材料としては、様々な金属が使用できる。具体的な例として、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などの物質があり、これに限定されるものではない。また、全面発光素子を得るために、ITO、IZOを用いた透過型電子注入電極を使用することもできる。
【0083】
本発明の有機発光素子は、上述した第1電極1000、正孔注入層200、正孔輸送層300、発光層400、電子輸送層500、電子注入層600、第2電極2000およびキャッピング層3000を含む構造の有機発光素子だけでなく、様々な構造の有機発光素子が可能であり、必要に応じて1層または2層の中間層をさらに含むことも可能である。
【0084】
一方、本発明によって形成される各有機物層の厚さは、要求される程度に応じて調節することができ、具体的には1~1,000nmであり、さらに具体的には1~150nmであり得る。
【0085】
前記キャッピング層3000は、
図1に示すように、前記第1電極1000の両側面のうち、正孔注入層200が形成されていない外側面に形成できる。また、前記第2電極2000の両側面のうち、電子注入層600が形成されていない外側面にも形成されることができ、これに限定されるものではない。このようなキャッピング層3000は、蒸着工程で形成でき、キャッピング層3000の厚さは100~3,000Åであり、さらに具体的には300~2,000Åであり得る。このような厚さ調節によって、キャッピング層3000の透過率が低下することを防止することができる。
【0086】
また、
図1には示されていないが、本発明の一実施形態によれば、キャッピング層3000と第1電極1000との間、またはキャッピング層3000と第2電極2000との間に、様々な機能をする有機物層がさらに形成できる。または、キャッピング層3000の上部(外側表面)にも、様々な機能をする有機物層がさらに形成でき、キャッピング層3000の中間にも別途の機能性層が1つ以上挿入されて存在してもよく、これに限定されるものではない。
【0087】
以下では、本発明の一実施形態による化合物の合成例および有機発光素子の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。下記の合成例および実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲は、下記の例示に限定されるものではない。
【0088】
合成例1:化合物1の合成
丸底フラスコに、 シクロヘキサンカルボニルクロリド5.0g、トリエチルアミン18.8gを1,4-ジオキサン100mlに溶かした後、1,4-ジオキサン30mlに溶かしたアダマンタン-1,3-ジアミン2.8gをゆっくり滴加し、60℃で5時間攪拌した後、常温で24時間撹拌した。前記反応溶液を薄い塩酸溶液400mlに滴加して反応を終了した。析出した固体を減圧濾過した後、再結晶して化合物1(5.6g,収率85%)を得た。
m/z: 386.2933 (100.0%)、387.2967 (26.0%)、388.3000 (3.2%)
【0089】
合成例2:化合物7の合成
合成例1と同様にして、シクロヘキサンカルボニルクロリドの代わりに4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボニルクロリドを用いて化合物7を合成した(収率83%)。
m/z: 498.4185 (100.0%)、499.4219 (34.6%)、500.4252 (5.8%)
【0090】
合成例3:化合物49の合成
合成例1と同様にして、シクロヘキサンカルボニルクロリドの代わりに1-アダマンタンアミン塩酸塩を用いて化合物49を合成した(収率80%)。
m/z: 490.3559 (100.0%)、491.3593 (34.6%)、492.3626 (5.8%)
【0091】
合成例4:化合物51の合成
合成例1と同様にして、シクロヘキサンカルボニルクロリドの代わりにメマンチンを用いて化合物51を合成した(収率81%)。
m/z: 546.4185 (100.0%)、547.4219 (38.9%)、548.4252 (7.4%)
【0092】
合成例5:化合物60の合成
合成例1と同様にして、 アダマンタン-1,3-ジアミンの代わりに5,7-ジメチルアダマタン-1,3-ジアミンを用いて化合物60を合成した(収率80%)。
m/z: 518.3872 (100.0%)、519.3906 (36.8%)、520.3939 (6.6%)
【0093】
合成例6~21
合成例1と同様にして、アダマンタン-1,3-ジアミンおよびシクロヘキサンカルボニルクロリドの代わりに、下記表1および表2の出発物質1および出発物質2を用いて化合物を合成した。
【0094】
【0095】
【0096】
有機発光素子の製造
図1は、一般的な有機発光素子の構造を示したものである。本発明は、一例として、
図1に示した有機発光素子の構造を有するように製造した。具体的には、製造された有機発光素子は、下から正極(正孔注入電極1000)/正孔注入層200/正孔輸送層300/発光層400/電子輸送層500/電子注入層600/陰極(電子注入電極2000)/キャッピング層3000の順に積層されている。前記キャッピング層3000は、上述したように、第1キャッピング層と第2キャッピング層とが複合化された多層構造であり得る。
【0097】
有機発光素子の製作の際に、基板10は、透明なガラス基板またはフレキシブルなプラスチック基板であり得る。
【0098】
正孔注入電極1000は、有機発光素子の正孔注入のための陽極として使用される。正孔の注入ができるように低い仕事関数を有する物質を用い、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウムジンク(IZO)、グラフェン(graphene)などの透明な材質で形成できる。
【0099】
正孔注入層200、正孔輸送層300、発光層400、電子輸送層500、電子注入層600、高屈折キャッピング層には、下記表3にまとめられた物質を使用した。
【0100】
また、電子注入層600上に電子注入のための陰極2000を形成した。陰極としては、様々な金属が使用できる。具体的な例として、アルミニウム、金、銀、マグネシウム、マグネシウム-銀合金などの物質がある。
【0101】
【0102】
実施例1
銀(Ag)を含む反射層が形成された酸化インジウムスズ(ITO)基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄し、乾燥させた。その後、ITO基板の上部に、正孔注入層としてHT01にNDP9を3重量%でドープして100Å、正孔輸送層としてHT01を1000Åそれぞれ蒸着した後、発光層としてホストBH01にドーパントBD01を3重量%でドープして250Åの厚さに蒸着した。その後、電子輸送層を用いてET01とLiq(1:1、wt./wt.)との混合物を300Åの厚さに蒸着した後、LiFを10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した。次いで、MgAgを15nmの厚さに蒸着して陰極を形成し、前記陰極上に高屈折キャッピング層としてCPM01を950Åの厚さに蒸着した後、低屈折キャッピング層として、合成例1で製造された化合物を400Åの厚さに蒸着させた。この素子をグローブボックスで密封(Encapsulation)することにより、有機発光素子を作製した。
【0103】
実施例2~実施例21
前記実施例1と同様にして製造するが、それぞれ合成例2~合成例21で製造された化合物を用いて低屈折キャッピング層を成膜した有機発光素子を作製した。
【0104】
比較例1~比較例4
前記実施例1と同様の方法で製造するが、下記表4に表示された比較化合物1~比較化合物4をそれぞれ用いて低屈折キャッピング層を成膜した有機発光素子を作製した。
【0105】
【0106】
<実験例1>有機発光素子の性能評価
Kisley2400ソースメジャーメントユニット(Kiethley 2400 source measurement unit)で、電圧を印加して電子及び正孔を注入し、コニカミノルタ(Konica Minolta)分光複写計(CS-2000)を用いて光が放出されるときの輝度を測定することにより、実施例1~実施例5、実施例14~実施例16、実施例18、実施例19~実施例21、及び比較例1~比較例4の印加電圧に対する電流密度及び輝度を大気圧の条件下で測定して有機発光素子の性能を評価した。その結果を下記表5に示す。
【0107】
【0108】
本発明の実施例を比較例と対照してみると、本発明は、嵩高いアダマンタンコアを介して連結されて低屈折率を有し、分極率が低い2つ以上のアミン系置換基が連結されているため、より低い屈折率を有する、同時に、薄膜形成と熱安定性に優れ、高色純度、高効率、長寿命の有機発光素子の実現が可能である。
【0109】
具体的に、本発明の実施例を比較してみると、実施例1と実施例3を比較し、置換基でアダマンタンを有する場合熱安定性に優れ寿命改善に有効であり、置換基で シクロヘキシルを有する場合、低い屈折率を持ち効率改善に効果的なことがわかる。実施例1と実施例2をそれぞれ比較し、置換基をさらに有することで熱安定性に優れ、寿命改善に有効であることがわかる。
【0110】
<実験例2>屈折率の評価
合成例1~合成例5の化合物および比較化合物1~比較化合物4をそれぞれ用いて、シリコン基板上に厚さ30nmの蒸着膜を真空蒸着装備を用いて作製し、エリプソメータ装置(J.A.Woollam Co.Inc、M-2000X)を用いて波長450nmでの屈折率を測定した。その結果は、下記表6にまとめた通りである。
【0111】
【0112】
前記表6に記載されているように、本発明による化合物は、450nmの波長で屈折率が1.50以下、具体的には1.45以下の低い屈折率を示すことを確認することができる。また、表6に記載していないが、本発明による他の化合物も450nmの波長で屈折率が1.55以下、具体的には1.50以下、より具体的には1.45以下の低い屈折率を示した。
【符号の説明】
【0113】
100 基板
200 正孔注入層
300 正孔輸送層
400 発光層
500 電子輸送層
600 電子注入層
1000 第1電極
2000 第2電極
3000 キャッピング層
【国際調査報告】